説明

粘度調整剤の組み合わせを含む潤滑組成物

本発明は、(a)潤滑粘度の油、(b)星型ポリマーおよび(c)45,000以下の重量平均分子量を有する実質的に線状のポリマーを含む潤滑組成物に関する。本発明は、機械的デバイス、代表的には、マニュアルトランスミッションを、上記潤滑組成物で潤滑する方法をさらに提供する。本発明は、より低い作動温度および燃料経済性を含む多くの利益を提供するための潤滑組成物の使用をさらに提供する。一実施形態において、本発明は、(a)潤滑粘度の油、(b)星型ポリマー、および(c)45,000以下、または35,000以下、または25,000以下、または8000〜25,000、または12,000〜20,000の重量平均分子量を有する実質的に線状のポリマーを含む潤滑組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、(a)潤滑粘度の油、(b)星型ポリマー、および(c)45,000以下の重量平均分子量を有する実質的に線状のポリマーを含む、潤滑組成物に関する。本発明は、機械的デバイス(代表的には、マニュアルトランスミッション)を上記潤滑組成物で潤滑する方法をさらに提供する。本発明は、より低い作動温度および燃料経済性を含む多くの利点を提供するための上記潤滑組成物の使用をさらに提供する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
粘度指数改善剤は、潤滑油状組成物に添加されて、潤滑剤の粘度指数を改善することが公知である。代表的な粘度指数改善剤は、メタクリレート、アクリレート、オレフィンのポリマー(例えば、α−オレフィンならびにマレイン酸無水物およびそのエステル化誘導体のコポリマー)、またはマレイン酸無水物−スチレンコポリマー、ならびにそのエステル化誘導体を含む。上記粘度指数改善剤は、ペンダント/グラフト化/分枝状の基の中にエステル官能基を組み込む傾向にある。上記エステル官能基は、1〜40個の炭素原子を有する直線状アルキルアルコールから得られ得る。最近、粘度指数改善剤をα−オレフィンのコポリマーから生成する試みがなされた。しかし、このような粘度指数改善剤は、不十分な剪断安定性、低温での高すぎる粘度、不十分な燃料経済性、および不十分な非分散性浄化(non−dispersant cleanliness)を有する。
【0003】
さらに、低い粘度において(例えば、動力伝達系デバイスにおいて)機能し得る潤滑剤は、代表的には、増大した燃料経済性(従って、企業平均燃費(CAFE)、NEDC(欧州走行サイクル)、またはFTP−75(連邦試験手順)、または日本試験サイクル(JC−08)を改善する)を提供する。逆に言えば、より高い粘度の流体は、上昇したギア作動温度およびトランスミッション作動温度に寄与し、これら温度は、燃料経済性を低下させ、耐久性を減少させると考えられる。
【0004】
特許文献1は、星型ポリマー、リン含有化合物、および極圧剤を含む潤滑組成物を開示する。
【0005】
特許文献2および特許文献3:特許文献2は、上記星型ポリマーが、原子移動ラジカル重合(ATRP)、ニトロキシド媒介性重合、アニオン性重合および可逆的付加フラグメント化(reversible addition fragmentation)(RAFT)から得られ得ることを開示する。特許文献3は、RAFT重合から得られる線状および星型ポリ(メタ)アクリレートを有する潤滑組成物を開示する。
【0006】
国際特許出願PCT/US2009/052028は、モノマー(i)α−オレフィンおよびモノマー(ii)エチレン性不飽和カルボン酸またはβ位またはより高次の位置において分枝状になった一級アルコールでエステル化されたその誘導体から得られるユニットを含むコポリマーであって、ここで上記コポリマーは、エステル化する前に、最大0.08までの低下した比粘度を有するコポリマーを含む潤滑組成物を開示する。
【0007】
特許文献4は、主要な量の潤滑粘度の油、ならびに約1.0%以下の結晶性を有する無定形エチレン−α−オレフィンコポリマーまたはエチレン−α−オレフィン−ジエンターポリマーを含む第1のポリマー;および星型ポリマーを含む第2のポリマーであって、そのうちのアームは、ジエン、および必要に応じて、ビニル芳香族炭化水素モノマーから得られ、上記星型ポリマーは、約1%〜約35%の剪断安定性指数(SSI)(30サイクル)を有する粘度指数(VI)改善剤組成物を含む潤滑油状組成物を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2007/127660号
【特許文献2】国際公開第2006/047398号
【特許文献3】国際公開第2006/047393号
【特許文献4】米国特許出願公開第2008/0085847号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の発明者らは、本明細書で開示される潤滑組成物、方法および使用が、改善された酸化安定性、低下した機械的デバイス作動温度、増大した機械的デバイス耐久性、改善された剪断安定性指数、改善された粘度指数、改善された低温粘度測定値および改善された高温粘度測定値のうちの少なくとも1つを提供し得ることを発見した。
【0010】
一実施形態において、本発明は、(a)潤滑粘度の油、(b)星型ポリマー、および(c)45,000以下、または35,000以下、または25,000以下、または8000〜25,000、または12,000〜20,000の重量平均分子量を有する実質的に線状のポリマーを含む潤滑組成物を提供する。
【0011】
上記実質的に線状のポリマーは、標題「トランスミッション潤滑剤の粘度剪断安定性」のCEC試験CEC−L−45−99(テーパーローラーベアリングリグ)または試験法DIN 51350−6−KRL/Cにおいて記載される手順によって測定される場合、剪断安定性指数25未満(または15以下、または10以下、または0〜10、または0〜5)を有し得る。
【0012】
一実施形態において、本発明は、(a)潤滑粘度の油、(b)星型ポリマー、および(c)45,000以下、または35,000以下、または25,000以下、または8000〜25,000、または12,000〜20,000の重量平均分子量を有する実質的に線状のポリメタクリレートポリマーを含む潤滑組成物を提供する。
【0013】
一実施形態において、本発明は、(a)潤滑粘度の油、(b)星型ポリマー、および(c)モノマー(i)α−オレフィンおよびモノマー(ii)エチレン性不飽和カルボン酸またはアルコールでエステル化されたその誘導体から得られるユニットを含むコポリマー、を含む潤滑組成物を提供する。
【0014】
一実施形態において、本発明は、(a)潤滑粘度の油、(b)星型ポリマー、および(c)モノマー(i)α−オレフィンおよびモノマー(ii)エチレン性不飽和カルボン酸またはβ位またはより高次の位置において分枝状になった一級アルコールでエステル化されたその誘導体から得られるユニットを含むコポリマーであって、ここで上記コポリマーは、エステル化する前に、最大0.2まで、または最大0.15まで、または最大0.10まで、または代表的には、最大0.08までの低下した比粘度を有する、コポリマー、を含む潤滑組成物を提供する。
【0015】
一実施形態において、本発明は、以下:
(a)潤滑粘度の油、
(b)星型ポリマーであって、ここで上記星型ポリマーは、ポリメタクリレートまたはポリアクリレート(代表的には、ポリメタクリレート)であり得、上記星型ポリマーは、以下:
(i)50重量%〜100重量%(または65重量%〜95重量%)のであって、ここで上記メタクリレートの上記アルキル基は、10〜30個、または10〜20個、または12〜18個、または12〜15個の炭素原子を有するアルキルメタクリレート;
(ii)0重量%〜40重量%(または5重量%〜30重量%)のアルキルメタクリレートであって、ここで上記メタクリレートの上記アルキル基は、1〜9個、または1〜4個の炭素原子(例えば、メチル、ブチル、または2−エチルヘキシル)を有するアルキルメタクリレート;および
(iii)0重量%〜10重量%(または0重量%〜5重量%、または0.1〜2重量%)の分散性モノマー(酸素含有化合物、または窒素含有モノマーおよび代表的には、窒素含有モノマーのいずれかとして言及され得る);
を含むモノマー組成物から得られ得る、星型ポリマー;および
(c)モノマー(i)α−オレフィンおよびモノマー(ii)エチレン性不飽和カルボン酸またはβ位またはより高次の位置において分枝状になった一級アルコールでエステル化されたその誘導体から得られるユニットを含むコポリマーであって、ここで上記コポリマーは、エステル化する前に、最大0.2まで、または最大0.15まで、または最大0.10まで、代表的には、最大0.08までの低下した比粘度を有するコポリマー、
を含む潤滑組成物を提供する。
【0016】
一実施形態において、本発明は、潤滑粘度の油、星型ポリマー、ならびにモノマー(i)α−オレフィンおよびモノマー(ii)エチレン性不飽和カルボン酸またはβ位またはより高次の位置において分枝状になった一級アルコールでエステル化されたその誘導体から得られるユニットを含むコポリマーを含む潤滑組成物を提供し、ここで上記コポリマーは、インターポリマーであり、上記インターポリマーは、最大0.08まで、または0.02〜0.08(または0.02〜0.07、0.03〜0.07または0.04〜0.06)の低下した比粘度(エステル化する前)を有する。
【0017】
モノマー(i)α−オレフィンおよびモノマー(ii)エチレン性不飽和カルボン酸またはβ位またはより高次の位置において分枝状になった一級アルコールでエステル化されたその誘導体から得られるユニットを含む上記コポリマーは、重量平均分子量の観点で、またはRSVによって定義され得る。代表的には、上記重量平均分子量は、最終的なエステル化コポリマー(必要に応じて、アミンでキャップされる)に対して測定される。上記重量平均分子量は、5000〜35,000(約0.15 RSV)、または5000〜20,000、または13,000〜18,000であり得る。
【0018】
低下した比粘度(RSV)の上記コポリマーは、式RSV=(相対粘度−1)/濃度によって測定され、ここで上記相対粘度は、希釈粘度計によって、100cmのアセトンおよび30℃でのアセトンの粘度において上記コポリマーの1.6gの溶液の粘度を測定することによって決定される。RSVのより詳細な説明は、以下に提供される。上記RSVは、(i)α−オレフィンおよび(ii)エチレン性不飽和カルボン酸またはβ位またはより高次の位置において分枝状になった一級アルコールでエステル化する前のその誘導体のコポリマーについて決定される。
【0019】
異なる実施形態において、β位またはより高次の位置において分枝状になった上記一級アルコールは、少なくとも12個(または少なくとも16個、または少なくとも18個または少なくとも20個の)炭素原子を有し得る。上記炭素原子の数は、少なくとも12〜60個、または少なくとも16〜30個の範囲に及び得る。
【0020】
一実施形態において、本発明は、潤滑粘度の油、星型ポリマー、ならびにモノマー(i)α−オレフィンおよびモノマー(ii)エチレン性不飽和カルボン酸またはβ位またはより高次の位置において分枝状になった一級アルコールでエステル化されたその誘導体から得られるユニットを含むコポリマーを含む潤滑組成物を提供し、ここで上記コポリマーは、インターポリマーであり得、上記インターポリマーは、最大0.08まで、または0.02〜0.08(または0.02〜0.07、0.03〜0.07または0.04〜0.06)の低下した比粘度を有する。
【0021】
一実施形態において、モノマー(i)α−オレフィンおよびモノマー(ii)エチレン性不飽和カルボン酸または上記に記載されるβ位またはより高次の位置において分枝状になった一級アルコールでエステル化されたその誘導体から得られるユニットを含む上記コポリマーは、エステル基および窒素含有基(例えば、アミノ基、アミド基、および/またはイミド基)のうちの少なくとも1個を有し、代表的には、0.01重量%〜1.5重量%(または0.02重量%〜0.75重量%、または0.04重量%〜0.25重量%)窒素を上記コポリマーに提供するに十分なモノマーに由来するユニットをさらに含む。
【0022】
一実施形態において、本発明は、機械的デバイスを潤滑する方法を提供し、上記方法は、上記機械的デバイス(代表的には、動力伝達系デバイス)に、本明細書で開示される潤滑組成物を供給する工程を包含する。一実施形態において、上記機械的デバイスは、マニュアルトランスミッションであり得る。
【0023】
一実施形態において、本発明は、潤滑剤(代表的には、マニュアルトランスミッション潤滑剤)に、受容可能なまたは改善された剪断安定性、受容可能なまたは改善された粘度指数制御、受容可能なまたは改善された低温粘性、受容可能なまたは改善された燃料経済性、および受容可能なまたは改善されたデバイス作動温度のうちの少なくとも1つ(または少なくとも2つ、または最大ですべて)を提供するための、本明細書で記載される潤滑組成物の使用を提供する。代表的には、上記潤滑剤は、動力伝達系デバイス(例えば、マニュアルトランスミッション)において使用され得る。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(発明の詳細な説明)
本発明は、本明細書で開示される、潤滑組成物、方法および使用を提供する。
【0025】
(星型ポリマー)
本発明の潤滑組成物は、星型ポリマーを含む(または上記星型ポリマーはまた、ラジアルポリマーとして言及され得る)。上記星型ポリマーは、0.1重量%〜30重量%、または0.1重量%〜20重量%、または2重量%〜30重量%、または5重量%〜20重量%、または8重量%〜15重量%において、本明細書に記載される組成物中に存在し得る。上記星型ポリマーはまた、上記潤滑組成物のうちの0.2重量%〜15重量%、または0.5重量%〜10重量%、または1重量%〜8重量%において存在し得る。
【0026】
本明細書で開示される星型ポリマーの詳細な説明は、WO 2007/127660(2007年11月8日に公開,Bakerら、The Lubrizol Corporationに譲渡)の段落[0021]〜[0061])に記載され得る。Bakerは、種々の星型ポリマーの組成物および調製法を開示する。
【0027】
一実施形態において、上記星型ポリマーは、50重量%以上の非ジエンモノマーから得られるポリマーであり得る。
【0028】
異なる実施形態において、上記星型ポリマーは、50重量%より多くの、または55重量%以上の、または70重量%以上の、または90重量%以上の、または95重量%以上の、または100重量%の非ジエンモノマー(すなわち、非ジエンモノマーユニットまたはより多くの非ジエンモノマーのうちの1つの重合から得られるユニット)を含み得る。ジエンモノマーの例としては、1,3−ブタジエンまたはイソプレンが挙げられる。対照的に、本発明の非ジエンの例としては、スチレン、メタクリレート、アクリレート、またはこれらの混合物が挙げられる。一実施形態において、上記星型ポリマーは、メタクリレート、またはこれらの混合物から得られるポリマーであり得る。
【0029】
本明細書中以降で記載されるように、上記粘度調整剤の分子量は、公知の方法(例えば、ポリスチレン標準を使用するGPC分析)を使用して決定されてきた。ポリマーの分子量を決定する方法は、周知である。上記方法は、例えば、以下に記載される:(i)P.J.Flory, 「Principles of star polymer Chemistry」,Cornell University Press 91953),第VII章,pp 266−315;または(ii)「Macromolecules,an Introduction to star polymer Science」,F.A.Bovey and F.H.Winslow,Editors,Academic Press(1979),pp 296−312。本明細書に記載されるように、本発明のポリマーの上記重量平均分子量および数平均分子量は、本発明の星型ポリマーに対応するピーク下面積を積分することによって得られ、上記ピークは、通常、主要な高分子量ピークであり、希釈剤、不純物、カップリングされていない星型ポリマー鎖および他の添加剤と関連したピークを除く。
【0030】
上記星型ポリマーは、100,000〜1,000,000、または125,000〜700,000、または150,000〜500,000、または200,000〜400,000の重量平均分子量を有し得る。上記星型ポリマーのアームの上記重量平均分子量は、8,000〜150,000、または10,000〜100,000または15,000〜75,000、または25,000〜70,000の範囲中にあり得る。
【0031】
本明細書で使用される場合、上記星型ポリマーの上記剪断安定性指数(SSI)は、20時間のKRL試験(フォルクスワーゲンテーパードベアリングローラー試験)によって決定され得る。上記試験手順は、CEC−L−45−A−99または等価な試験法DIN 51350−6−KRL/Cの両方に示される。
【0032】
上記星型ポリマーのSSIは、0〜100、または0〜80、または0〜60、または0〜50、0〜20、または0〜15、または0〜10、または0〜5の範囲の中にあり得る。上記SSIに適した範囲の例としては、1〜5、または25〜65が挙げられる。
【0033】
上記星型ポリマーは、ホモポリマーまたはコポリマーであり得る(すなわち、そのアームは、ホモポリマーまたはコポリマーであり得る)。一実施形態において、上記星型ポリマーは、コポリマーであり得る。上記星型ポリマーは、ランダム構造、テーパード構造、ジブロック構造、トリブロック構造またはマルチブロック構造を有する星型ポリマーであり得る。代表的には、上記星型ポリマーは、ランダム構造またはテーパード構造を有する。
【0034】
上記星型ポリマーは、ブロックアーム構造、またはヘテロアーム構造、またはテーパードアーム構造を有し得るアームを有し得る。テーパードアーム構造は、星型ポリマーアームの長さにわたって変動性の組成を有する。例えば、上記テーパードアームは、一端では、比較的純粋な第1のモノマーおよび他端では、比較的純粋な第2のモノマーから構成され得る。上記アームの中央部は、むしろ上記2つのモノマーの勾配組成物である。
【0035】
ブロックアームから得られる上記星型ポリマーは、代表的には、同じアームの中にあるブロック構造において2種以上のモノマーから得られる1個以上の星型ポリマーアームを含む。上記ブロックアームのより詳細な説明は、Henry Hsieh and Roderic Quirkによる「Anionic Polymerization,Principles and Practical Applications」(Marcel Dekker,Inc,New York,1996)(本明細書中以上、Hsiehらといわれる)の第13章(pp.333−368)に示される。
【0036】
上記星型ポリマーは、代表的には、上記アームがコア部分に化学的に結合され得るような構造を有する。上記コア部分は、多価の(メタ)アクリルモノマー、オリゴマー、ポリマー、もしくはそれらのコポリマー、または多価ジビニル非アクリルモノマー、オリゴマー、ポリマー、もしくはこれらのコポリマーであり得る。一実施形態において、上記多価ジビニル非アクリルモノマーは、ジビニルベンゼンであり得る。一実施形態において、上記多価(メタ)アクリルモノマーは、ポリオールのアクリレートエステルもしくはメタクリレートエステル、またはポリアミンのメタクリルアミド(例えば、ポリアミンのアミド)(例えば、メタクリルアミドまたはアクリルアミド)であり得る。異なる実施形態において、上記多価(メタ)アクリルモノマーは、(i)アクリル酸もしくはメタクリル酸とポリオールとの縮合反応生成物、または(ii)アクリル酸もしくはメタクリル酸とポリアミンとの縮合反応生成物であり得る。
【0037】
上記アクリル酸またはメタクリル酸と縮合され得る上記ポリオールは、一実施形態において、2〜20個の炭素原子、別の実施形態においては、3〜15個の炭素原子、および別の実施形態において、4〜12個の炭素原子を含み;存在するヒドロキシル基の数は、一実施形態において、2〜10個、別の実施形態において、2〜4個、および別の実施形態において、2個であり得る。ポリオールの例としては、エチレングリコール、ポリ(エチレングリコール)、アルカンジオール(例えば、1,6−ヘキサンジオール)またはトリオール(例えば、トリメチロールプロパン)、オリゴマー化トリメチロールプロパン(例えば、Perstorp Polyolsが販売するBoltorn(登録商標)材料)が挙げられる。ポリアミンの例としては、ポリアルキレンポリアミン(例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン、ペンタエチレンヘキサアミンおよびこれらの混合物)が挙げられる。
【0038】
上記多価不飽和(メタ)アクリルモノマーの例としては、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、グリセロールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、マンニトールヘキサアクリレート、4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、1,4−ベンゼンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、分子量200〜4000のポリエチレングリコールのビス−アクリレートおよびメタクリレート、ポリカプロラクトンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、1,1,1−トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,1,1−トリメチロールプロパントリメタクリレート、ヘキサメチレンジオールジアクリレートもしくはヘキサメチレンジオールジメタクリレートまたはアルキレンビス−(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
【0039】
分枝状構造、コーム様構造、ラジアル構造または星型構造を有する上記星型ポリマーは、2本以上のアーム、または5本以上のアーム、または7本以上のアーム、または10本以上のアーム、例えば、12〜100本、または14〜50本、または16〜40本のアームを有し得る。分枝状構造、コーム様構造、ラジアル構造または星型構造を有する上記星型ポリマーは、120本以下、または80本以下、または60本以下を有し得る。
【0040】
上記星型ポリマーは、制御されたラジカル重合技術から得られ得る/得られる可能性があり得る。制御されたラジカル重合技術の例としては、RAFT、ATRPまたはニトロキシド媒介性プロセスが挙げられる。上記星型ポリマーはまた、アニオン性重合プロセスから得られ得る/得られる可能性があり得る。一実施形態において、上記星型ポリマーは、RAFT、ATRPまたはアニオン性重合プロセスから得られ得る/得られる可能性があり得る。一実施形態において、上記星型ポリマーは、RAFTまたはATRP重合プロセスから得られ得る/得られる可能性があり得る。一実施形態において、上記星型ポリマーは、RAFT重合プロセスから得られ得る/得られる可能性があり得る。
【0041】
ATRP、RAFTまたはニトロキシド媒介性技術を使用してポリマーを調製する方法は、国際公開WO 2006/047398の実施例の節に開示される(実施例1〜47を参照のこと)。
【0042】
重合機構および関連化学のより詳細な説明は、Handbook of Radical Polymerization(Krzysztof Matyjaszewski and Thomas P.Davisによって編集,2002,John Wiley and Sons Inc発行(本明細書中以降、「Matyjaszewskiら」といわれる)において、ニトロキシド媒介性重合(第10章,第463〜522頁)、ATRP(第11章,第523〜628頁)およびRAFT(第12章,第629〜690頁)について考察されている。
【0043】
ATRP重合の上記星型ポリマー機構の考察は、Matyjaszewskiらの第524頁の反応スキーム11.1、第566頁の反応スキーム11.4、第571頁の反応スキーム11.7、第572頁の反応スキーム11.8および第575頁の反応スキーム11.9に示される。ATRP重合において、ラジカル機構によって移動され得る基としては、ハロゲン(ハロゲン含有化合物から)または種々のリガンドが挙げられる。移動させられ得る基のより詳細な総説は、米国特許第6,391,996号に、または国際公開WO 2006/047398の段落61〜65に記載される。
【0044】
RAFT重合において、連鎖移動剤(chain transfer agent)は、重要である。適切な連鎖移動剤のより詳細な総説は、国際公開WO 2006/047398の段落[0066]〜[0071]において見いだされる。一実施形態において、適切なRAFT連鎖移動剤としては、2−ドデシルスルファニルチオカルボニルスルファニル−2−メチル−プロピオン酸ブチルエステル、クミルジチオベンゾエートまたはこれらの混合物が挙げられる。RAFT重合の上記星型ポリマー機構の考察は、Matyjaszewskiらの第664〜665頁の節12.4.4に示される。
【0045】
上記星型ポリマーがアニオン性重合技術から調製される場合、開始剤としては、例えば、ヒドロカルビルリチウム開始剤(例えば、アルキルリチウム化合物(例えば、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム)、シクロアルキルリチウム化合物(例えば、シクロヘキシルリチウム)およびアリールリチウム化合物(例えば、フェニルリチウム、l−メチルスチリルリチウム、p−トリルリチウム、リチウムおよびナフチルリチウム(naphyl lithium)および1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウム))が挙げられる。また、有用な開始剤としては、ナフタレンナトリウム、1,4−ジソジオ−1,1,4,4−テトラフェニルブタン、ジフェニルメチルカリウムまたはジフェニルメチルナトリウムが挙げられる。
【0046】
アニオンプロセスから得られる上記星型ポリマーを調製するためのプロセスのより詳細な説明は、国際特許出願WO 96/23012(第3頁第11行目〜第5頁第8行目)に考察される。WO 96/23012の第7頁25行目〜第10頁15行目は、アニオン性重合技術によってポリマーを調製する方法をさらに記載する。アニオン性重合プロセスの詳細な説明は、Textbook of Star Polymer Science(Fred W.Billmeyer Jr.編,第3版,1984,第4章,第88〜90頁)に示される。
【0047】
上記星型ポリマーは、(a)(i)ビニル芳香族モノマー;および(ii)カルボン酸モノマー(代表的には、マレイン酸無水物、マレイン酸、(メタ)アクリル酸、イタコン酸無水物またはイタコン酸またはその誘導体を含むモノマーに由来する星型ポリマー;(b)ポリ(メタ)アクリレート;(c)官能化ポリオレフィン;(d)エチレンビニルアセテートコポリマー;(e)フマレートコポリマー;(f)(i)α−オレフィンおよび(ii)カルボン酸モノマー(代表的には、マレイン酸無水物、マレイン酸、(メタ)アクリル酸、イタコン酸無水物またはイタコン酸)またはこれらの誘導体から得られるコポリマー;あるいは(g)これらの混合物のうちの少なくとも1つを含み得る。一実施形態において、ペンダント基を有する上記星型ポリマーは、ポリメタクリレートまたはその混合物を含む。
【0048】
一実施形態において、上記星型ポリマーは、ポリ(メタ)アクリレート(代表的には、ポリメタクリレート)であり得る。上記星型ポリマーは、以下:
(a)50重量%〜100重量%(または65重量%〜95重量%)のアルキル(メタ)アクリレートであって、ここで上記(メタ)アクリレートの上記アルキル基は、10〜30個、または10〜20個、または12〜18個、または12〜15個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレート、またはこれらの混合物;
(b)0重量%〜40重量%(または5重量%〜30重量%)のアルキル(メタ)アクリレートであって、ここで上記(メタ)アクリレートの上記アルキル基は、1〜9個、または1〜4個の炭素原子(例えば、メチル、ブチル、または2−エチルヘキシル)を有するアルキル(メタ)アクリレート、またはこれらの混合物;および
(c)0重量%〜10重量%(または0重量%〜5重量%、または0.1〜2重量%)の窒素含有モノマー
を含むモノマー組成物から得られ得る。
【0049】
一実施形態において、上記星型ポリマーは、ポリ(メタ)アクリレート(代表的には、ポリメタクリレート)であり得る。上記星型ポリマーは、以下:
(a)65重量%〜95重量%(または65重量%〜94.9重量%)のアルキル(メタ)アクリレートであって、ここで上記(メタ)アクリレートの上記アルキル基は、10〜30個、または10〜20個、または12〜18個、または12〜15個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレート、またはこれらの混合物;
(b)5重量%〜30重量%のアルキル(メタ)アクリレートであって、ここで上記(メタ)アクリレートの上記アルキル基は、1〜9個、または1〜4個の炭素原子(例えば、メチル、ブチル、または2−エチルヘキシル)を有するアルキル(メタ)アクリレート、またはこれらの混合物;および
(c)0重量%〜5重量%(または0.1〜2重量%)の窒素含有モノマー
を含むモノマー組成物から得られ得る。
【0050】
上記アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、飽和アルコールから得られる化合物(例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−メチルペンチル(メタ)アクリレート、2−プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、2−ブチルオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、2−tert−ブチルヘプチル(メタ)アクリレート、3−イソプロピルヘプチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、5−メチルウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2−メチルドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、5−メチルトリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、2−メチルヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、セチルエイコシル(メタ)アクリレート、ステアリルエイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレートおよび/またはエイコシルテトラトリアコンチル(メタ)アクリレート);不飽和アルコールから得られる(メタ)アクリレート(例えば、オレイル(メタ)アクリレート);およびシクロアルキル(メタ)アクリレート(例えば、3−ビニル−2−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートまたはボルニル(メタ)アクリレート)が挙げられる。
【0051】
長鎖アルコール由来の基を有する上記アルキル(メタ)アクリレートは、例えば、(メタ)アクリル酸(直接エステル化によって)またはメチルメタクリレート(エステル交換反応によって)と、長鎖脂肪アルコールとの反応によって、得られ得る。ここでエスエル(例えば、(メタ)アクリレート)の混合物と種々の鎖長のアルキル基との反応が、一般に得られる。これら脂肪アルコールとしては、MonsantoのOxo Alcohol(登録商標) 7911、Oxo Alcohol(登録商標) 7900およびOxo Alcohol(登録商標) 1100;ICIのAlphanol(登録商標) 79;Condea(現Sasol)のNafol(登録商標) 1620、Alfol(登録商標) 610およびAlfol(登録商標) 810;Ethyl CorporationのEpal(登録商標) 610およびEpal(登録商標) 810;Shell AGのLinevol(登録商標) 79、Linevol(登録商標) 911およびDobanol(登録商標) 25 L;Condea Augusta,MilanのLial(登録商標) 125;Henkel KGaA(現Cognis)のDehydad(登録商標)およびLorol(登録商標)、ならびにUgine KuhlmannのLinopol(登録商標) 7−11およびAcropol(登録商標) 91が挙げられる。
【0052】
一実施形態において、上記星型ポリマーは、上記ポリマーアームのコア中で、窒素含有モノマーさらに官能化され得る。上記窒素含有モノマーは、分散性モノマーといわれ得る。上記窒素含有モノマーとしては、ビニル置換された窒素複素環式モノマー、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートモノマー、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドモノマー、三級(メタ)アクリルアミドモノマーまたはこれらの混合物が挙げられ得る。
【0053】
一実施形態において、ポリマーアームの上記コアは、(メタ)アクリルアミドまたは窒素含有(メタ)アクリレートモノマーをさらに含む。適切な窒素含有ビニルモノマーの例としては、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニルカルボナミド(例えば、N−ビニル−ホルムアミド、ビニルピリジン、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−n−プロピオンアミド、N−ビニルヒドロキシアセトアミド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリジノン、N−ビニルカプロラクタム、ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)、ジメチルアミノブチルアクリルアミド、ジメチルアミノ−プロピルメタクリレート(DMAPMA)、ジメチルアミン−プロピル−アクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0054】
分散性モノマーはまた、酸素含有化合物であり得る。上記酸素含有化合物としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3,4−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオール(メタ)アクリレート)、カルボニル含有(メタ)アクリレート(例えば、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシメチル(メタ)アクリレート、オキサゾリジニルエチル(メタ)アクリレート、N−(メタクリロイルオキシ)ホルムアミド、アセトニル(メタ)アクリレート、N−メタクリロイルモルホリン、N−メタクリロイル−2−ピロリジノン、N−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−ピロリジノン、N−(3−メタクリロイルオキシプロピル)−2−ピロリジノン、N−(2−メタクリロイルオキシペンタデシル)−2−ピロリジノン、N−(3−メタクリロイルオキシヘプタデシル)−2−ピロリジノン);グリコールジ(メタ)アクリレート(例えば、1,4−ブタンジオール(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエトキシメチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、またはこれらの混合物)が挙げられ得る。
【0055】
上記コポリマーに組み込まれ得る適切な非カルボニル酸素含有化合物の他の例としては、エーテルアルコールの(メタ)アクリレート(例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ビニルオキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、1−ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、1−メチル−(2−ビニルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルオキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシメトキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジルオキシメチル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエトキシメチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、アリルオキシメチル(メタ)アクリレート、1−エトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシメチル(メタ)アクリレート、1−エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシメチル(メタ)アクリレート、および代表的には、1〜20個、または2〜8個のエトキシ基を有するエトキシ化(メタ)アクリレート、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0056】
(実質的に線状のポリマー)
本発明の組成物は、45,000以下、または35,000以下、または25,000以下、または8000〜25,000、または12,000〜20,000の重量平均分子量を有する実質的に線状のポリマーを含む。
【0057】
上記実質的に線状のポリマーは、モノマー(i)α−オレフィンおよびモノマー(ii)エチレン性不飽和カルボン酸またはアルコールでエステル化されたその誘導体から得られるユニットを含むコポリマーであり得る。一実施形態において、上記実質的に線状のポリマーは、モノマー(i)1種以上のα−オレフィンおよびモノマー(ii)1種以上のアルキル(メタ)アクリレートエステルから得られるユニットを含むコポリマーであり得る。上記エチレン性不飽和カルボン酸は、上記α−オレフィンとの重合の前またはその後に、アルコールでエステル化され得る。一実施形態において、上記エチレン性不飽和カルボン酸は、上記α−オレフィンで重合する前に、アルコールでエステル化され得る。一実施形態において、上記エチレン性不飽和カルボン酸は、上記α−オレフィンで重合した後にアルコールでエステル化され得る。
【0058】
重合前にエステル化することによって調製される市販のコポリマーは、商品名Ketjenlube(登録商標)3700の下で販売されるAkzo Nobelから入手可能である。上記アルコールは、1〜40個、または1〜30個、または4〜20個、または6〜16個の炭素原子を有し得る。適切なアルコールの例としては、2−エチルヘキサノール、2−ブチルオクタノール、2−ヘキシルデカノール、2−オクチルドデカノール、2−デシルテトラデカノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、エイコサノール、またはこれらの混合物が挙げられる。このタイプのコポリマーは、米国特許第4,526,950号、または同第6,419,714号、または同第6,573,224号、または同第6,174,843号により詳細に記載される。
【0059】
上記エチレン性不飽和カルボン酸は、上記α−オレフィンで重合した後にアルコールでエステル化され得る。このタイプのコポリマーは、実質的に線状のポリマーであり得、上記線状のポリマーは、一実施形態において、(a)モノマー(i)α−オレフィンおよびモノマー(ii)エチレン性不飽和カルボン酸またはβ位またはより高次の位置において分枝状になった一級アルコールでエステル化されたその誘導体から得られるユニットを含むコポリマーであって、ここで上記コポリマーは、代表的には、最大0.2までの低下した比粘度を有するコポリマー、(b)ポリ(メタ)アクリレート、またはこれらの混合物であり得る。
【0060】
上記実質的に線状のポリマーは、上記潤滑組成物のうちの0.1重量%〜50重量%、または2重量%〜40重量%、または5重量%〜30重量%、または8重量%〜20重量%において本明細書に記載される組成物中に存在し得る。特定の実施形態において、上記潤滑組成物は、0.3〜15重量%の星型ポリマーおよび1〜35重量%の実質的に線状のポリマーを含む。他の実施形態において、上記潤滑組成物は、0.45〜5重量%の星型ポリマーおよび2〜25重量%の実質的に線状のポリマーを含む。
【0061】
(線状のポリ(メタ)アクリレート)
一実施形態において、上記実質的に線状のポリマーは、ポリ(メタ)アクリレート、またはその混合物を含む。
【0062】
一実施形態において、上記実質的に線状のポリマーは、(a)上記エステル基のアルコール由来部分において8〜24個、または12〜18個、または15個までの炭素原子、および(b)上記エステル基のアルコール由来部分において6〜11個、または8〜11個、または8個の炭素原子を含むアルキル(メタ)アクリレートエステルモノマーの混合物から得られるユニットを有し、2−(C1−4アルキル)−置換基、ならびに必要に応じて、上記エステル基のアルコール由来部分において1〜7個の炭素原子を含みかつ(メタ)アクリル酸エステル(a)および(b)とは異なる(メタ)アクリル酸エステル、ビニル芳香族化合物(またはビニル芳香族モノマー);および窒素含有ビニルモノマー(例えば、上記で開示されるもの)からなる群より選択される少なくとも1種のモノマーを有するポリ(メタ)アクリレート(代表的には、ポリメタクリレート)を含み;ただし上記エステル基のうちの60重量%以下、または50重量%以下、または35重量%以下は、上記エステル基のアルコール由来部分において多くて10個の炭素原子を含む。このタイプの上記線状のポリマーは、米国特許第6,124,249号またはEP 0 937 769 A1の段落[0019]および[0031]〜[0067]においてより詳細に記載される(上記「アルコール由来部分」とは、実際にアルコールとの反応によって調製されていようがいまいが、R’C(=O)−ORと書かれている場合、エステルの「−OR」部分に言及する)。必要に応じて、上記線状のポリマーは、代のモノマーをさらに含み得る。上記第3のモノマーは、スチレン、またはその混合物であり得る。上記第3のモノマーは、上記ポリマー組成物のうちの0%〜25%、または上記組成物のうちの1%〜15%、上記組成物のうちの2%〜10%、またはさらに上記組成物のうちの1%〜3%の量で存在し得る。
【0063】
代表的には、上記コポリマー中のエステル(a) 対 エステル(b)のモル比は、95:5〜35:65、または90:10〜60:40、または80:20〜50:50の範囲に及ぶ。
【0064】
上記エステルは、通常は、脂肪族エステル(代表的には、アルキルエステル)である。一実施形態において、上記(a)のエステルは、C12−15アルキルメタクリレートであり得、上記(b)のエステルは、2−エチルヘキシルメタクリレートであり得る。
【0065】
一実施形態において、エステル(a)における上記エステル基は、分枝状アルキル基を含む。上記エステル基は、分枝状アルキル基を有する上記エステル基のうちの2〜65%、または5〜60%を構成し得る。
【0066】
上記C1−4アルキル置換基は、メチル、エチル、ならびにプロピルおよびブチルの任意の異性体であり得る。
【0067】
上記ポリ(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、45,000以下、または35,000以下、または25,000以下、または8000〜25,000、または12,000〜20,000であり得る。
【0068】
((i)α−オレフィンおよび(ii)エチレン性不飽和カルボン酸またはその誘導体のコポリマー)
一実施形態において、上記実質的に線状のポリマーは、モノマー(i)α−オレフィンおよびモノマー(ii)エチレン性不飽和カルボン酸またはβ位もしくはより高次の位置において分枝状になった一級アルコールでエステル化されたその誘導体から得られるユニットを含むコポリマーであって、上記コポリマーは、代表的には、最大0.2まで、または最大0.15まで、または最大0.10まで、または最大0.08までの低下した比粘度を有するコポリマーを含む。一実施形態において、上記低下した比粘度は、最大0.08まで(または0.02〜0.08(または0.02〜0.07、0.03〜0.07または0.04〜0.06))であり得る。
【0069】
上記コポリマー(またはインターポリマー(例えば、交互コポリマー))の分子量と相関する測定値は、ポリマー物質の分枝サイズを表す認識された手段である、上記コポリマーの「低下した比粘度」の観点から表され得る。本明細書で使用される場合、上記低下した比粘度(RSVと省略される)は、代表的には、式RSV=(相対粘度−1)/濃度に従って得られる値であり、ここで上記相対粘度は、希釈粘度計によって、100cmのアセトンおよび30℃でのアセトンの粘度において上記ポリマーの1.6gの溶液の粘度を測定することによって決定される。上記式による計算の目的で、上記濃度は、100cmのアセトンあたり1.6gの上記コポリマーに調節される。上記低下した比粘度(比粘度としても公知)のより詳細な考察、ならびにコポリマーの平均分子量に対するその関係は、Paul J.Flory,Principles of Polymer Chemistry,(1953 Edition) 第308頁以下参照において現れる。
【0070】
一実施形態において、上記コポリマーは、モノマー(i)α−オレフィンおよびモノマー(ii)エチレン性不飽和カルボン酸またはその誘導体から得られ得、
ここで上記カルボン酸ユニットのうちの0.1〜99.89%は、β位またはより高次の位置において分枝状になった一級アルコールでエステル化され、
上記カルボン酸ユニットのうちの0.1〜99.89%は、直線状のアルコールまたはα−分枝アルコール(例えば、二級アルコール)でエステル化され、
上記カルボン酸ユニットのうちの0.01〜10%は、アミノ基、アミド基および/またはイミド基のうちの少なくとも1つを有し、そして
上記コポリマーは、最大0.08までの低下した比粘度(エステル化する前)を有する。
【0071】
一実施形態において、上記コポリマーは、モノマー(i)α−オレフィンおよびモノマー(ii)エチレン性不飽和カルボン酸またはその誘導体から得られ得、
上記カルボン酸ユニットのうちの0.1〜99.89%は、β位またはより高次の位置において分枝状になった一級アルコールでエステル化され、
上記カルボン酸ユニットのうちの0.1〜99.9%は、直線状のアルコールまたはα−分枝アルコールでエステル化され、
上記カルボン酸ユニットのうちの0〜10%は、アミノ基、アミド基および/またはイミド基のうちの少なくとも1つを有し、
上記コポリマーは、最大0.08までの低下した比粘度を有する。
【0072】
直線状のアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ノナデカノール、エイコサノール、またはこれらの混合物が挙げられ得る。一実施形態において、上記直線状のアルコールは、6〜30個、または8〜20個、または8〜15個の炭素原子(代表的には、8〜15個の炭素原子)を含む。
【0073】
上記直線状のアルコールは、市販の材料(例えば、MonsantoのOxo Alcohol(登録商標) 7911、Oxo Alcohol(登録商標) 7900およびOxo Alcohol(登録商標) 1100;ICIのAlphanol(登録商標) 79;Condea(現Sasol)のNafol(登録商標) 1620、Alfol(登録商標) 610およびAlfol(登録商標) 810;Ethyl Corporation(現Afton)のEpal(登録商標) 610およびEpal(登録商標) 810;Shell AGのLinevol(登録商標) 79、Linevol(登録商標) 911およびDobanol(登録商標) 25 L;Condea Augusta,MilanのLial(登録商標) 125;Henkel KGaA(現Cognis)のDehydad(登録商標)およびLorol(登録商標)、ならびにUgine KuhlmannのLinopol(登録商標) 7−11およびAcropol(登録商標) 91)を含む。
【0074】
一実施形態において、上記コポリマーは、モノマー(i)α−オレフィンおよびモノマー(ii)エチレン性不飽和カルボン酸またはその誘導体から得られ得、
ここで上記カルボン酸ユニットのうちの5〜15%は、β位またはより高次の位置において分枝状になった一級アルコールでエステル化され、
上記カルボン酸ユニットのうちの0.1〜95%は、直線状のアルコールまたはα−分枝アルコールでエステル化され、
上記カルボン酸ユニットのうちの0〜2%未満は、アミノ基、アミド基および/またはイミド基のうちの少なくとも1つを有し、
上記コポリマーは、最大0.08までの低下した比粘度を有する。
【0075】
一実施形態において、上記コポリマーは、モノマー(i)α−オレフィンおよびモノマー(ii)エチレン性不飽和カルボン酸またはβ位もしくはより高次の位置において分枝状になった一級アルコールでエステル化されたその誘導体から得られるユニットを含む。特定の実施形態において、上記コポリマーは、以下の式によって表され得る。β位またはより高次の位置において分枝状になった遺丘アルコール由来部分を有するエステル基または他の基は、以下の式:
【0076】
【化1】


式(I)
において示される( )内で表され得、ここで
式(I)は、コポリマー骨格(BB)および示されるように、1個以上のペンダント基を含み得、ここでBBは、(i)α−オレフィンおよび(ii)エチレン性不飽和カルボン酸またはその誘導体(代表的には、フマル酸、マレイン酸無水物、マレイン酸、(メタ)アクリル酸、イタコン酸無水物またはイタコン酸)のコポリマーから得られ得;
Xは、(i)炭素および少なくとも1個の酸素もしくは窒素原子(例えば、エステル、またはアミド、またはイミド結合)を含むか、または(ii)上記コポリマー骨格および( )内に含まれる分枝状ヒドロカルビル基をつなぐ1〜5個の炭素原子(代表的には、−CH−)を有するアルキレン基である官能基であり得る(代表的には、Xは、(i)炭素および少なくとも1個の酸素または窒素原子のいずれかを含む官能基であり得る);
wは、2〜2000、または2〜500、または5〜250の範囲にあり得る、上記コポリマー骨格に結合されるペンダント基の数であり得;
yは、0、1、2または3であり得るが、ただし上記ペンダント基のうちの少なくとも1モル%において、yはゼロではなく;ただしyがゼロである場合、Xは、Xの結合価を満たすために十分な様式で末端基に結合され、ここで上記末端基は、水素、アルキル、アリール、金属(代表的には、エステル反応の中和の間に導入される)から選択される。適切な金属としては、カルシウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、ナトリウム、カリウムまたはリチウム)またはアンモニウムカチオン、およびこれらの混合物が挙げられ;
pは、1〜15(または1〜8、または1〜4)の範囲にある整数であり得;そして
R’およびR”は、独立して、直線状または分枝状のヒドロカルビル基であり得、R’およびR”に存在する炭素原子の合わせた総数は、少なくとも12(または少なくとも16、または少なくとも18または少なくとも20)であり得る。
【0077】
異なる実施形態において、ペンダント基を有する上記コポリマーは、0.10%〜100%、または0.5%〜20%、または0.75%〜10%の、ペンダント基の総数のパーセンテージとして表される上記式の( )内の基によって表される分枝状ヒドロカルビル基を含む(式(1)のペンダント基はまた、語句「β位またはより高次の位置において分枝状になった一級アルコールでエステル化される」によって上記に定義さえるように、上記エステル基を定義するために使用され得る)。
【0078】
異なる実施形態において、上記式のXによって定義される官能基は、−CO−、−C(O)N=または−(CH−のうちの少なくとも1つを含み得、ここでvは、1〜20、または1〜10、または1〜2の範囲中の整数である。
【0079】
一実施形態において、Xは、エチレン性不飽和カルボン酸またはその誘導体から得られ得る。適切なカルボン酸またはその誘導体の例としては、代表的には、マレイン酸無水物、マレイン酸、(メタ)アクリル酸、イタコン酸無水物またはイタコン酸が挙げられる。一実施形態において、上記エチレン性不飽和カルボン酸またはその誘導体は、マレイン酸無水物またはマレイン酸のうちの少なくとも一方であり得る。
【0080】
一実施形態において、Xは、上記コポリマー骨格および上記分枝状ヒドロカルビル基をつなぐ、アルキレン以外のものである。
【0081】
異なる実施形態において、上記ペンダント基は、エステル化、アミド化、またはイミド化された官能基であり得る。
【0082】
一実施形態において、上記ペンダント基は、エステル化および/またはアミド化された官能基から得られ得る。
【0083】
一実施形態において、上記コポリマーは、エステル化されたペンダント基を含む。上記ペンダント基は、Guerbetアルコールから得られ得る。上記Guerbetアルコールは、10〜60個、または12〜60個、または16〜40個の炭素原子を含み得る。一実施形態において、本明細書で記載されるβ位またはより高次の位置で分枝状になった上記一級アルコールは、Guerbetアルコールであり得る。Guerbetアルコールを調製する方法は、米国特許第4,767,815号(第5欄39行目〜第6欄32行目を参照のこと)に開示される。
【0084】
上記で定義される式のR’およびR”に適切な基の例としては、以下が挙げられる:
1)C15−16ポリメチレン基を含むアルキル基(例えば、2−C1−15アルキル−ヘキサデシル基(例えば、2−オクチルヘキサデシル)および2−アルキル−オクタデシル基(例えば、2−エチルオクタデシル、2−テトラデシル−オクタデシルおよび2−ヘキサデシルオクタデシル));
2)C13−14ポリメチレン基を含むアルキル基(例えば、1−C1−15アルキル−テトラデシル基(例えば、2−ヘキシルテトラデシル、2−デシルテトラデシルおよび2−ウンデシルトリデシル)および2−C1−15アルキル−ヘキサデシル基(例えば、2−エチル−ヘキサデシルおよび2−ドデシルヘキサデシル));
3)C10−12ポリメチレン基を含むアルキル基(例えば、2−C1−15アルキル−ドデシル基(例えば、2−オクチルドデシル)および2−C1−15アルキル−ドデシル基(2−ヘキシルドデシルおよび2−オクチルドデシル)、2−C1−15アルキル−テトラデシル基(例えば、2−ヘキシルテトラデシルおよび2−デシルテトラデシル));
4)C6−9ポリメチレン基を含むアルキル基(例えば、2−C1−15アルキル−デシル基(例えば、2−オクチルデシル)および2,4−ジ−C1−15アルキル−デシル基(例えば、2−エチル−4−ブチル−デシル基));
5)C1−5ポリメチレン基を含むアルキル基(例えば、2−(3−メチルヘキシル)−7−メチル−デシルおよび2−(1,4−ジメチルブチル)−5,7,7−トリメチル−オクチル基);ならびに
6)2種以上の分枝状アルキル基の混合物(例えば、プロピレンオリゴマー(ヘキサマーからウンデカマーまで)に対応するオキソアルコールのアルキル残基、エチレン/プロピレン(モル比16:1〜1:11)オリゴマー、イソブテンオリゴマー(ペンタマーからオクタマーまで)、C5−17α−オレフィンオリゴマー(ダイマーからヘキサマーまで)。
【0085】
上記ペンダント基は、12〜60、または14〜50、または16〜40、または18〜40、または20〜36の範囲中の、R’およびR”の炭素原子の組み合わせ総数を含み得る。
【0086】
R’およびR”の各々は、個々に、5〜25、または8〜32個、または10〜18個のメチレン炭素原子を含み得る。一実施形態において、各R’およびR”基の炭素原子数は、10〜24であり得る。
【0087】
β位またはより高次の位置において分枝状になった適切な一級アルコールの例としては、2−エチルヘキサノール、2−プロピルヘプタノール、2−ブチルオクタノール、2−ヘキシルデカノール、2−オクチルドデカノール、2−デシルテトラデカノール、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0088】
上記エチレン性不飽和カルボン酸またはその誘導体は、酸もしくは無水物またはそれらの誘導体であり得、これらは、完全にエステル化され得るか、部分的にエステル化され得るか、またはその混合物であり得る。部分的にエステル化される場合、他の官能基は、酸、これらの塩または混合物を含む。適切な塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはこれらの混合物が挙げられる。上記塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムまたはこれらの混合物が挙げられる。上記不飽和カルボン酸またはその誘導体としては、アクリル酸、メチルアクリレート、メタクリル酸、マレイン酸もしくは無水物、フマル酸、イタコン酸もしくは無水物、またはこれらの混合物、あるいは置換されたこれらの等価物が挙げられる。
【0089】
上記エチレン性不飽和カルボン酸またはその誘導体の適切な例としては、イタコン酸無水物、マレイン酸無水物、メチルマレイン酸無水物、エチルマレイン酸無水物、ジメチルマレイン酸無水物またはこれらの混合物が挙げられる。
【0090】
一実施形態において、上記エチレン性不飽和カルボン酸またはその誘導体は、マレイン酸無水物またはその誘導体を含む。
【0091】
α−オレフィンの例としては、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、またはこれらの混合物が挙げられる。有用なα−オレフィンの例は、1−ドデセンである。上記α−オレフィンは、分枝状α−オレフィン、またはこれらの混合物であり得る。上記α−オレフィンが分枝状である場合、上記α−オレフィンの炭素原子数は、4〜32個、または6〜20個、または8〜16個の範囲に及び得る。
【0092】
一実施形態において、本発明のコポリマーは、窒素含有基(例えば、上記で開示されるもの)をさらに含む。上記窒素含有基は、共重合化の間に組み込まれ得る窒素含有化合物に由来し得る。一実施形態において、本発明のコポリマーは、代表的には、上記コポリマー骨格をキャップするために、上記官能化コポリマー骨格と反応し得る窒素含有基をさらに含む。上記キャップ形成は、エステル基、アミド基、イミド基、またはアミン基を有する上記コポリマーを生じ得る。上記窒素基は、PCT特許出願番号PCT/US09/052028(Price,Barton,Visgerにより2009年7月29日に出願、標題「Novel Copolymers and Lubricating Compositions Thereof」)の段落[0069]〜[0087]により詳細に記載される。
【0093】
一実施形態において、上記コポリマーは、モノマー(i)α−オレフィンおよびモノマー(ii)エチレン性不飽和カルボン酸またはその誘導体から得られるユニットを含み、上記コポリマーは、酸化制御をさらに提供するために、アミンとさらに反応させられ得る。代表的には、酸化制御を有する上記コポリマーは、アミン含有化合物(例えば、モルホリン、ピロリジノン、イミダゾリジノン、アセトアミド、β−アラニンアルキルエステル、またはこれらの混合物)の組み込まれた残基を含む。適切な窒素含有化合物の例としては、3−モルホリン−4−イル−プロピルアミン、3−モルホリン−4−イル−エチルアミン、β−アラニンアルキルエステル(代表的には、アルキルエステルは、1〜30個、または6〜20個の炭素原子を有する)、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0094】
一実施形態において、イミダゾリジノン、環式カルバメートまたはピロリジノンに基づく化合物は、一般構造:
【0095】
【化2】

【0096】
の化合物から得られ得、ここで
X=−OHまたはNHであり;
Hy”は、水素、またはヒドロカルビル基(代表的には、アルキル、またはC1−4−アルキルまたはC−アルキル)であり得;
Hyは、ヒドロカルビレン基(代表的には、アルキレン、またはC1−4−アルキレンまたはC−アルキレン)であり得;
Q=>NH、>NR、>CH、>CHR、>CR、または−O−(代表的には、>NH、または>NR)であり、そして
Rは、C1−4アルキルであり得る。
【0097】
一実施形態において、上記イミダゾリジノンとしては、1−(2−アミノ−エチル)−イミダゾリジン−2−オン(アミノエチルエチレンウレアともいわれ得る)、1−(3−アミノ−プロピル)−イミダゾリジン−2−オン、1−(2−ヒドロキシ−エチル)−イミダゾリジン−2−オン、1−(3−アミノ−プロピル)−ピロリジン−2−オン、1−(3−アミノ−エチル)−ピロリジン−2−オン、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0098】
一実施形態において、上記コポリマーは、モルホリン、イミダゾリジノン、およびこれらの混合物から選択されるアミン含有化合物と反応させられ得る。
【0099】
(潤滑粘度の油)
上記潤滑組成物は、潤滑粘度の油を含む。このような油としては、天然および合成の油、水素化分解、水素化、および水素化仕上げ、未精製の、精製の、および再精製の油、ならびにこれらの混合物から得られる油が挙げられる。未精製の、精製の、および再精製の油のより詳細な説明は、国際公開WO2008/147704、段落[0054]〜[0056]に提供される(同様の開示は、米国特許出願2010/197536([0072]〜[0073]を参照のこと)に提供される)。天然および合成の潤滑油のより詳細な説明は、それぞれ、WO2008/147704の段落[0058]〜[0059]に記載される(同様の開示は、米国特許出願2010/197536([0075]〜[0076]を参照のこと)に提供される)。合成の油はまた、Fischer−Tropsch反応によって生成され得、代表的には、水素異性化されたFischer−Tropsch炭化水素またはワックスであり得る。一実施形態において、油は、Fischer−Tropsch GTL(ガス−トゥ−リキッド(gas−to−liquid))合成手順、ならびに他のGTLオイルによって調製され得る。
【0100】
潤滑粘度の油はまた、2008年4月バージョンの「Appendix E−API Base Oil Interchangeability Guidelines for Passenger Car Motor Oils and Diesel Engine Oils」、セクション1.3 副題1.3.「Base Stock Categories」に特定されるように定義され得る。一実施形態において、上記潤滑粘度の油は、APIグループIIまたはグループIIIの油であり得る。一実施形態において、上記潤滑粘度の油は、APIグループIII基油(代表的には、水素化分解され/水素異性化された基油を含む)であり得る。
【0101】
存在する上記潤滑粘度の油の量は、代表的には、100重量%から、本発明の化合物および他の性能添加剤の量の合計を差し引いた後に残る差分である。
【0102】
上記潤滑組成物は、濃縮物および/または完全に処方された潤滑剤の形態にあり得る。本発明の潤滑組成物(本明細書中上記で開示される添加剤を含む)が、濃縮物の形態(これは、さらなる油と合わされて、全体としてまたは一部として、最終の潤滑剤を形成し得る))にある場合、これら添加剤 対 上記潤滑粘度の油および/または対 希釈油の比は、重量で1:99〜99:1の範囲、または重量で80:20〜10:90の範囲を含む。
【0103】
(他の性能添加剤)
本明細書に記載されるコポリマーおよび/または潤滑組成物から得られる組成物は、必要に応じて、他の性能添加剤をさらに含む。他の性能添加剤としては、金属不活性化剤、清浄剤、分散剤、粘度調整剤、摩擦調整剤、腐食防止剤、分散粘度調整剤、耐摩耗剤、極圧剤、抗スカフィング剤(antiscuffing agent)、酸化防止剤、消泡剤、抗乳化剤、流動点降下剤、シール膨潤剤(seal swelling agent)、およびこれらの混合物のうちの少なくとも1種が挙げられる。代表的には、完全に処方された潤滑油は、これら性能添加剤のうちの少なくとも1種以上を含む。
【0104】
(分散剤)
分散剤は公知であり、例えば、N−置換された長鎖アルケニルスクシンイミド、Mannich塩基、またはこれらの混合物が挙げられる。N−置換された長鎖アルケニルスクシンイミドの例としては、ポリイソブチレンスクシンイミドが挙げられ、ここで上記ポリイソブチレンスクシンイミドが由来するポリイソブチレンは、350〜5000、または500〜3000、または750〜1150の範囲の数平均分子量を有する。
【0105】
上記分散剤はまた、種々の薬剤のうちのいずれかとの反応による従来の方法によって後処理され得る。これらの中には、ホウ素化合物(例えば、ホウ酸)、尿素、チオ尿素、ジメルカプトチアジアゾール、二硫化炭素、アルデヒド、ケトン、カルボン酸(例えば、テレフタル酸)、炭化水素置換されたコハク酸無水物、マレイン酸無水物、ニトリル、エポキシド、およびリン化合物がある。一実施形態において、上記後処理された分散剤は、ホウ酸処理される。一実施形態において、上記後処理された分散剤は、ジメルカプトチアジアゾールと反応させられる。
【0106】
(清浄剤)
清浄剤は公知であり、中性清浄剤および過塩基化清浄剤(すなわち、当該分野で公知の従来のプロセスによって調製されるもの)が挙げられる。適切な清浄剤基質としては、フェネート、硫黄含有フェネート、スルホネート、サリキサレート、サリチレート、カルボン酸、リンの酸(phosphorus acid)、アルキルフェノール、硫黄結合アルキルフェノール化合物、またはサリゲニンが挙げられる。一実施形態において、上記清浄剤は、スルホン酸マグネシウムまたはスルホン酸カルシウム、またはこれらの混合物を含む。
【0107】
(酸化防止剤)
抗酸化化合物は公知であり、硫化オレフィン、ジフェニルアミン(例えば、ジノニルジフェニルアミン)、ヒンダードフェノール、ジチオカルバミン酸モリブデン、およびこれらの混合物が挙げられる。抗酸化化合物は、単独でまたは組み合わせて使用され得る。
【0108】
上記ヒンダードフェノール酸化防止剤は、しばしば、立体障害基として、二級ブチルおよび/または三級ブチル基を含む。上記フェノール基は、しばしば、ヒドロカルビル基および/または第2の芳香族基に連結する架橋基でさらに置換される。適切なヒンダードフェノール酸化防止剤の例としては、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4−メチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4−エチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4−プロピル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノールまたは4−ブチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、または4−ドデシル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノールが挙げられる。一実施形態において、上記ヒンダードフェノール酸化防止剤は、エステルであり得、例えば、Ciba製のIrganoxTM L−135が挙げられ得る。酸化防止剤として使用され得るジチオカルバミン酸モリブデンの適切な例としては、R.T.Vanderbilt Co.,Ltd.のVanlube 822TMおよびMolyvanTM A、ならびにAsahi Denka Kogyo K.K製のAdeka Sakura−LubeTM S−100、S−165およびS−600のような商品名の下で販売される市販の材料、ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0109】
(粘度調整剤)
本発明の一部として本明細書で記載されるポリマーに加えて、上記潤滑組成物は、必要に応じて、他の公知の粘度調整剤をさらに含み得る。上記粘度調整剤は、水素化スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンコポリマー、水素化スチレン−イソプレンポリマー、水素化ジエンポリマー、ポリアルキルスチレン、ポリオレフィン、マレイン酸無水物のエステル−スチレンコポリマー、またはこれらの混合物であり得る。
【0110】
(耐摩耗剤)
上記潤滑組成物は、必要に応じて、少なくとも1種の耐摩耗剤をさらに含む。適切な耐摩耗剤の例としては、リン化合物の油溶性アミン塩、硫化オレフィン、金属ジヒドロカルビルジチオホスフェート(例えば、ジアルキルジチオリン酸亜鉛)、チオカルバメート含有化合物(例えば、チオカルバメートエステル、チオカルバメートアミド、チオカルバミンエーテル(thiocarbamic ether)、アルキレンカップリングしたチオカルバメート、およびビス(S−アルキルジチオカルバミル)ジスルフィド)が挙げられる。
【0111】
一実施形態において、上記油溶性リンアミン塩耐摩耗剤は、リンの酸のエステル(phosphorus acid ester)のアミン塩またはその混合物を含む。上記リンの酸のエステル(phosphorus acid ester)のアミン塩としては、リン酸エステルおよびそのアミン塩;ジアルキルジチオリン酸エステルおよびそのアミン塩;亜リン酸のアミン塩;ならびにリン含有カルボン酸エステル、エーテル、およびアミドのアミン塩;ならびにこれらの混合物が挙げられる。リンの酸のエステル(phosphorus acid ester)のアミン塩は、単独でまたは組み合わせて使用され得る。
【0112】
一実施形態において、上記油溶性リンアミン塩としては、部分的アミン塩−部分的金属塩化合物またはその混合物が挙げられる。一実施形態において、上記リン化合物は、上記分子中に硫黄原子をさらに含む。一実施形態において、上記リン化合物のアミン塩は、無灰分(すなわち、金属を含まない(他の成分と混合される前に)であり得る。
【0113】
上記アミン塩として死闘するのに適切であり得るアミンとしては、一級アミン、二級アミン、三級アミン、およびこれらの混合物が挙げられる。上記アミンは、少なくとも1個のヒドロカルビル基、または特定の実施形態において、2個または3個のヒドロカルビル基を有するものを含む。上記ヒドロカルビル基は、2〜30個の炭素原子、または他の実施形態において、8〜26個、または10〜20個、または13〜19個の炭素原子を含み得る。
【0114】
一級アミンとしては、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、オクチルアミン、およびドデシルアミン、ならびにn−オクチルアミン、n−デシルアミン、n−ドデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−オクタデシルアミンおよびオレイルアミン(oleyamine)のような脂肪アミンが挙げられる。他の有用な脂肪アミンとしては、市販の脂肪アミン(例えば、「Armeen(登録商標)」アミン(Akzo Chemicals,Chicago,Illinoisから入手可能な製品)(例えば、Armeen C、Armeen O、Armeen OL、Armeen T、Armeen HT、Armeen SおよびArmeen SD)が挙げられ、ここで文字による呼称は、脂肪基(例えば、ココ、オレイル、タロウ、またはステアリル基)に関する。
【0115】
適切な二級アミンの例としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、メチルエチルアミン、エチルブチルアミンおよびエチルアミルアミンが挙げられる。上記二級アミンは、環式アミン(例えば、ピペリジン、ピペラジンおよびモルホリン)であってもよい。
【0116】
上記アミンはまた、三級脂肪族一級アミンであり得る。この場合の脂肪基は、2〜30個、または6〜26個、または8〜24個の炭素原子を含むアルキル基であり得る。三級アルキルアミンとしては、モノアミン(例えば、tert−ブチルアミン、tert−ヘキシルアミン、1−メチル−1−アミノ−シクロヘキサン、tert−オクチルアミン、tert−デシルアミン、tert−ドデシルアミン、tert−テトラデシルアミン、tert−ヘキサデシルアミン、tert−オクタデシルアミン、tert−テトラコサニルアミン、およびtert−オクタコサニルアミン)が挙げられる。
【0117】
一実施形態において、上記リンの酸のアミン塩(phosphorus acid amine salt)は、C11〜C14三級アルキル一級基を有するアミンまたはこれらの混合物を含む。一実施形態において、上記リンの酸のアミン塩(phosphorus acid amine salt)は、C14〜C18三級アルキル一級アミンを有するアミンまたはこれらの混合物を含む。一実施形態において、上記リンの酸のアミン塩(phosphorus acid amine salt)は、C18〜C22三級アルキル一級アミンを有するアミンまたはこれらの混合物を含む。
【0118】
アミンの混合物はまた、本発明において使用され得る。一実施形態において、アミンの有用な混合物は、「Primene(登録商標) 81R」および「Primene(登録商標) JMT」である。Primene(登録商標) 81RおよびPrimene(登録商標) JMT(ともにRohm & Haasによって製造販売される)は、それぞれ、C11〜C14三級アルキル一級アミンおよびC18〜C22三級アルキル一級アミンの混合物である。
【0119】
一実施形態において、リン化合物の油溶性アミン塩としては、リン含有化合物の硫黄非含有アミン塩が挙げられ、これは、アミンと、(i)リン酸のヒドロキシ置換されたジエステル、または(ii)リン酸のリン酸化ヒドロキシ置換されたジエステルまたはトリエステルのいずれかとを反応させる工程を包含するプロセスによって得られ得る/得ることが可能であり得る。このタイプの化合物のより詳細な説明は、国際出願PCT/US08/051126(または米国出願第11/627405号に等価なもの)に開示されている。
【0120】
一実施形態において、上記アルキルリン酸エステルのヒドロカルビルアミン塩は、C14〜C18アルキル化リン酸と、C11〜C14三級アルキル一級アミンの混合物であるPrimene 81RTM(Rohm & Haasによって製造販売される)との反応生成物である。
【0121】
ジアルキルジチオリン酸エステルのヒドロカルビルアミン塩の例としては、イソプロピル、メチル−アミル(4−メチル−2−ペンチルまたはこれらの混合物)、2−エチルヘキシル、ヘプチル、オクチルまたはノニルジチオリン酸と、エチレンジアミン、モルホリン、またはPrimene 81RTM、およびこれらの混合物との反応生成物が挙げられる。
【0122】
一実施形態において、上記ジチオリン酸は、エポキシドまたはグリコールと反応させられ得る。この反応生成物は、リンの酸(phosphorus acid)、無水物または低級エステルとさらに反応させられる。上記エポキシドは、脂肪族エポキシドまたはスチレンオキシドを含む。有用なエポキシドの例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブテンオキシド、オクテンオキシド、ドデセンオキシド、およびスチレンオキシドが挙げられる。一実施形態において、上記エポキシドは、プロピレンオキシドであり得る。上記グリコールは、1〜12個、または2〜6個、または2〜3個の炭素原子を有する脂肪族グリコールであり得る。上記ジチオリン酸、グリコール、エポキシド、無機リン試薬およびこれらを反応させる方法は、米国特許第3,197,405号および同第3,544,465号に記載される。得られる酸は、次いで、アミンと塩形成され得る。適切なジチオリン酸の例は、58℃においてリンペントキシド(約64g)を45分間にわたって、514gのヒドロキシプロピル O,O−ジ(4−メチル−2−ペンチル)ホスホロジチオエート(ジ(4−メチル−2−ペンチル)−ホスホロジチオ酸と、1.3モルのプロピレンオキシドとを25℃において反応させることによって調製される)に添加することによって調製される。上記混合物は、75℃において2.5時間にわたって加熱され得、珪藻土と混合され得、70℃において濾過され得る。上記濾液は、11.8重量% リン、15.2重量% 硫黄、および酸価87(プロモフェノール・ブルー)を含む。
【0123】
上記ジチオカルバメート含有化合物は、ジチオカルバミン酸または塩と、不飽和化合物とを反応させることによって調製され得る。上記ジチオカルバメート含有化合物はまた、アミン、二硫化炭素、および不飽和化合物を同時に反応させることによって調製され得る。一般に、上記反応は、25℃〜125℃の温度において起こる。
【0124】
上記硫化オレフィンを形成するために硫化され得る適切なオレフィンの例としては、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、ウンデシル、トリデセン、テトラデセン、ペンタデセン、ヘキサデセン、ヘプタデセン、オクタデセン、オクタデセネン(octadecenene)、ノノデセン(nonodecene)、エイコセンまたはこれらの混合物が挙げられる。一実施形態において、ヘキサデセン、ヘプタデセン、オクタデセン、オクタデセネン、ノノデセン、エイコセンまたはこれらの混合物、ならびにこれらのダイマー、トリマーおよびテトラマーは、特に有用なオレフィンである。あるいは、上記オレフィンは、ジエン(例えば、1,3−ブタジエン)および不飽和エステル(例えば、ブチルアクリレート)のDiels−Alder付加物であり得る。
【0125】
硫化オレフィンの別のクラスは、脂肪酸およびそれらのエステルを含む。上記脂肪酸は、しばしば、植物性油または動物性油から得られ;そして代表的には、4〜22個の炭素原子を含む。適切な脂肪酸およびそれらのエステルの例としては、トリグリセリド、オレイン酸、リノール酸、パルミトオレイン酸またはそれらの混合物が挙げられる。しばしば、上記脂肪酸は、ラード油、トール油、ラッカセイ油、大豆油、綿実油、ひまわり種子油、またはこれらの混合物から得られる。一実施形態において、脂肪酸および/またはエステルは、オレフィンと混合される。
【0126】
代替の実施形態において、上記無灰分耐摩耗剤は、ポリオールおよび脂肪族カルボン酸、しばしば、12〜24個の炭素原子を含む酸のモノマーであり得る。しばしば、ポリオールおよび脂肪族カルボン酸の上記モノエステルは、ひまわり油などとの混合物の形態にあり、これらは、上記混合物のうちの5〜95重量%、いくつかの実施形態においては、10〜90重量%、または20〜85重量%、または20〜80重量%まで摩擦改変混合物中に存在し得る。上記エステルを形成する上記脂肪族カルボン酸(特に、モノカルボン酸)は、代表的には、12〜24個、または14〜20個の炭素原子を含むそれらの酸である。カルボン酸の例としては、ドデカン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ベヘン酸、およびオレイン酸が挙げられる。
【0127】
ポリオールとしては、ジオール、トリオール、およびより多くの数のアルコール性OH基を有するアルコールが挙げられる。多価アルコールとしては、エチレングリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、およびテトラエチレングリコールが挙げられる);プロピレングリコール(ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、およびテトラプロピレングリコールが挙げられる);グリセロール;ブタンジオール;ヘキサンジオール;ソルビトール;アラビトール;マンニトール;スクロース;フルクトース;グルコース;シクロヘキサンジオール;エリスリトール;およびペンタエリスリトール(ジペンタエリスリトールおよびトリペンタエリスリトールが挙げられる)が挙げられる。しばしば、上記ポリオールは、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセロール、ソルビトール、ペンタエリスリトールまたはジペンタエリスリトールである。
【0128】
「グリセロールモノオレエート」として公知の市販のモノエステルは、上記化学種であるグリセロールモノオレエート 60±5重量%とともに、35±5% グリセロールジオレエート、および5%未満 トリオレエートおよびオレイン酸を含むと考えられる。上記モノエステルの量は、任意のこのような混合物中に存在するポリオールモノエステルの実際の、較正された量に基づいて計算される。
【0129】
(極圧剤)
上記油中に可溶性である極圧(EP)剤としては、硫黄含有EP剤および塩化硫黄(chlorosulphur)含有EP剤、塩素化炭化水素EP剤およびリンEP剤が挙げられる。このようなEP剤の例としては、塩素化ワックス;硫化オレフィン(例えば、硫化イソブチレン)、有機スルフィド、およびポリスルフィド(例えば、ジベンジルジスルフィド、ビス−(クロロベンジル)ジスルフィド、ジブチルテトラスルフィド、オレイン酸の硫化メチルエステル、硫化アルキルフェノール、硫化ジペンテン、硫化テルペン、および硫化Diels−Alder付加物);リン硫化炭化水素(例えば、硫化リンとテルペンチンまたはメチルオレエートとの反応生成物);リンエステル(例えば、上記ジヒドロカーボンホスファイトおよびトリヒドロカーボンホスファイト(例えば、亜リン酸ジブチル、亜リン酸ヘプチル、亜リン酸ジシクロヘキシル、亜リン酸ペンチルフェニル);亜リン酸ジペンチルフェニル、亜リン酸トリデシル、亜リン酸ジステアリル、およびポリプロピレン置換された亜リン酸フェノール);金属チオカルバメート(例えば、ジオクチルジチオカルバミン酸亜鉛およびヘプチルフェノール二酸バリウム);アルキルリン酸およびジアルキルリン酸のアミン塩または誘導体(例えば、ジアルキルジチオリン酸とプロピレンオキシドとの反応生成物のアミン塩、およびその後続いて、Pとのさらなる反応を含む);ならびにこれらの混合物(米国特許第3,197,405号に記載されるとおり)が挙げられる。
【0130】
本発明の組成物において有用であり得る腐食防止剤は、脂肪アミン、オクチルオクタンアミド、ドデセニルコハク酸または無水物および脂肪酸(例えば、オレイン酸)とポリアミンとの縮合生成物を含む。
【0131】
本発明の組成物において有用であり得る消泡剤は、エチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレートおよび必要に応じてビニルアセテートのコポリマー;抗乳化剤(トリアルキルホスフェート、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドおよび(エチレンオキシド−プロピレンオキシド)ポリマーが挙げられる)を含む。
【0132】
本発明の組成物において有用であり得る流動点降下剤は、ポリα−オレフィン、マレイン酸無水物のエステル−スチレンコポリマー、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアクリレートまたはポリアクリルアミドを含む。
【0133】
本発明の組成物において有用であり得る摩擦調整剤は、脂肪酸または脂肪アルキル誘導体(例えば、アミン、エステル、エポキシド、脂肪イミダゾリン、カルボン酸およびポリアルキレン−ポリアミンおよびアルキルリン酸のアミン塩の縮合生成物)を含む。他の摩擦調整剤は、ヒドロキシルカルボン酸の脂肪誘導体(例えば、酒石酸ジアルキル、アルキル酒石酸イミド(tartrimide)、またはクエン酸エステル)を含む。
【0134】
(産業上の利用可能性)
本発明の方法および潤滑組成物は、冷蔵潤滑剤(refrigeration lubricant)、グリース、ギアオイル、アクセルオイル、ドライブシャフトオイル、トラクションオイル、マニュアルトランスミッションオイル、オートマチックトランスミッションオイル、金属加工油剤(metal working fluid)、油圧オイル、または内燃機関オイルに適切であり得る。
【0135】
一実施形態において、本発明の方法および潤滑組成物は、ギアオイル、アクセルオイル、ドライブシャフトオイル、トラクションオイル、マニュアルトランスミッションオイルまたはオートマチックトランスミッションオイルのうちの少なくとも1つに適切であり得る。一実施形態において、本発明は、マニュアルトランスミッションを潤滑する方法を提供する。
【0136】
オートマチックトランスミッションとしては、連続可変トランスミッション(CVT)、無限可変トランスミッション(infinitely variable transmission)(IVT)、トロイダルトラスミッション、連続スリッピングトルクコンバータークラッチ(CSTCC)、ギヤ式オートマチックトランスミッション(stepped automatic transmission)またはデュアルクラッチトランスミッション(DCT)が挙げられる。
【0137】
本明細書に記載される使用(方法としても言及され得る)およびコポリマー組成物は、受容可能なまたは改善された剪断安定性、受容可能なまたは改善された粘度指数制御、受容可能なまたは改善された酸化制御、および受容可能なまたは改善された低温粘性のうちの少なくとも1つ(または少なくとも2つ、またはすべて)を有する潤滑剤を提供し得る。上記コポリマーは、他の基油の存在下または非存在下で潤滑粘度の油として使用され得る。
【0138】
ペンダント基を有する上記コポリマーは、窒素含有化合物をさらに含む場合、上記コポリマーは、受容可能な/改善された分散性特性(清浄性)および酸化制御をさらに有し得る。
【0139】
上記内燃機関は、2ストロークエンジンまたは4ストロークエンジンであり得る。適切な内燃機関としては、船舶用ディーゼルエンジン、航空用ピストンエンジン、低負荷ディーゼルエンジン、ならびに自動車エンジンおよびトラックエンジンが挙げられる。
【0140】
いくつかの実施形態において、適切な潤滑組成物は、以下の表に示される範囲で存在する(活性物質ベースで)上記コポリマーを含む:
【0141】
【表1】

脚注:上記星型ポリマーおよび上記実質的に線状のポリマーは、本発明の一部として本明細書に記載されるものである。
【0142】
上記星型ポリマーおよび上記実質的に線状のポリマーの重量%はまた、以下の範囲にあり得る:本明細書で開示される潤滑組成物のうちの5重量%〜20重量%の星型ポリマーおよび5重量%〜15重量%の上記実質的に線状のポリマー。上記星型ポリマーおよび上記実質的に線状のポリマーの重量%はまた、以下の範囲にあり得る:本明細書で開示される潤滑組成物のうちの8重量%〜15重量%の星型ポリマーおよび5重量%〜10重量%の上記実質的に線状のポリマー。
【0143】
上記星型ポリマー 対 上記実質的に線状のポリマーの重量比はまた、6:1〜1:1、または4:1〜1.1、または3:1から、2:1より大きく変動し得る。2:1に近い比になり始めると、2:1より大きい比より低い剪断安定になり得る。他の実施形態において、上記比は、0.02:1〜18:1であり得、なお他の実施形態において、上記比は、0.04:1〜9:1または0.1:1〜4:1または0.2:1〜2:1であり得る。以下の実施例は、本発明の例示を提供する。これら実施例は、網羅的ではなく、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【実施例】
【0144】
星型ポリマー1〜13(SP1〜SP13):ポリマーは、モノマーB(WO 2006/047393の表9に示されるとおり)がメチルメタクリレートであることを除いて、それぞれ、国際公開WO 2006/047393(米国公開2009−0118150に等価)の第32頁段落[0100]に開示されるものと同じである。
【0145】
45,000以下の重量平均分子量を有する実質的に線状のポリマー1〜8(SLP1〜SLP8)は、それぞれ、国際出願PCT/US09/052028(2009年7月29日出願、Bartonらによる、現WO2010/014655)に開示される;段落[0140]および[0141]における例Cpp1およびCpp8を参照のこと。
【0146】
比較実施例1(CE1)は、APIグループIII基油に基づき、0.45重量%の1種以上の腐食防止剤、0.75重量%の1種以上の酸化防止剤、0.68重量%の1種以上の耐摩耗剤、0.62重量%の1種以上の清浄剤、1.5重量%の1種以上の分散剤、1重量%の1種以上の流動点降下剤、0.02重量%の1種以上の消泡剤、および20重量%の上記コポリマーSLP1をさらに含む、マニュアルトランスミッション潤滑剤である。
【0147】
比較実施例2(CE2)は、これが16重量%の上記ポリマーSP11を含むことを除いて、CE1に類似のマニュアルトランスミッション潤滑剤である。
【0148】
本発明の潤滑剤1(INVL1)は、上記コポリマーSLP1が11重量%において存在し、上記ポリマーSP13が10重量%において存在することを除いて、CE1に類似のマニュアルトランスミッション潤滑剤である。
【0149】
上記マニュアルトランスミッション潤滑剤は、以下の試験手順を使用して評価される:ASTM D445(40℃および100Cでの動粘度(KV)、ASTM D2983(ブルックフィールド粘度(BV)は、−40℃において決定される)、D2270(粘度指数(VI))、KRLテーパードベアリング剪断安定性試験(KRL試験)、およびエネルギー損失試験。
【0150】
上記潤滑組成物を、CEC DIN 51350 Part 6試験手順に使用されるとおり、4ボール摩耗試験機器を使用して、KRLテーパードベアリング剪断安定性試験によって決定される場合に、剪断に供する。上記機器を、20時間にわたって、5000N 負荷で、140℃および1450rpmにおいて作動させる。上記試験から得られた粘度データは、ASTM法D445において記載される。
【0151】
エネルギー損失データおよびギアボックスの最高温度を、以下に記載されるように測定する。横置き5速ギアボックスを、ギア作動装置を4番目のギアにロックすることによって改変した。上記ギアボックス入力を、電気モーターによって駆動し、上記出力負荷を、ダイナモメーターによって印加した;各々のサイズは、上記試験プロフィールに適切であるはずである。上記ギアボックスを、温度を−7℃に維持し得る温度制御した環境の中に取り付ける。上記ギアボックスを、−7℃において少なくとも60分間にわたって予め浸しておく。低出力NEDC試験サイクルを、上記試験全体を通して使用する。上記NEDCサイクルの入力速度を計算して、利用可能なタイヤ直径およびギア比を使用して、正確な速度/負荷速度を適合させる。類似の様式において、上記印加された負荷を、ミディアムセクター乗用車(medium sector passenger car)、タイヤ直径、およびギア比の仮定を使用して上記NEDC試験サイクルから計算する。上記試験からの出力は、油受け温度と各段階の終わりに吸収されるエネルギーである。これらは、上記ギアボックス油受けにおける熱電対および入力/出力トルク変換器を介する尺度である。上記試験を、三連で行う。報告される結果は、3回の作動に基づく平均である。代表的には、よりよい結果が、段階5の終わりにより低い温度を有するサンプルについて、およびより低いエネルギー損失値を有するサンプルについて得られる。
【0152】
粘度測定評価について得られた結果は、以下である:
【0153】
【表2】

エネルギー損失および最高温度(℃)について得られる結果は、以下である:
【0154】
【表3】

上記結果は、本発明の実施例が、上記比較実施例のいずれと比較しても、改善された剪断安定性を有し、より低いエネルギーを損失し、作動温度を低下させたことを示す。
【0155】
上記に記載される材料のうちのいくつかは、最終処方物中で相互作用し得、その結果、上記最終処方物の成分は、最初に加えられるものとは異なり得ることは、公知である。それによって形成される生成物(その意図される使用において、本発明の潤滑組成物を使用する際に形成される生成物を含む)は、容易な記載が可能ではない可能性がある。にもかかわらず、すべてのこのような改変および反応生成物は、本発明の範囲内に含まれる;本発明は、上記に記載される成分を混合することによって調製される潤滑剤を含む。
【0156】
上記に言及される文書の各々は、本明細書に参考として援用される。実施例も、他に明示的に示される箇所も除いて、材料、反応条件、分子量、炭素原子数などの量を特定するこの説明中のすべての数量は、語句「約」が修飾すると理解されるべきである。別段示されなければ、本明細書で言及される各化学物質または組成物は、商業的グレードの物質であると解釈されるべきである。上記商業的グレードの物質は、上記異性体、副生成物、誘導体、および商業的グレードで存在することが通常理解される他のこのような物質を含み得る。しかし、各化学成分の量は、任意の溶媒も希釈油も除いて示される。これらは、別段示されなければ、市販の物質に習慣的に存在し得る。本明細書に示される上限量および下限量、範囲、および比の限定は、独立して組み合わされ得ることが理解されるべきである。同様に、本発明の各要素の範囲および量は、他の要素のうちのいずれかの範囲または量と一緒に使用され得る。
【0157】
本明細書で使用される場合、用語「(メタ)アクリル」および関連する用語は、アクリル基およびメタクリル基の両方を含む。
【0158】
本明細書で使用される場合、用語「β位またはより高次の位置において分枝状になった一級アルコール」は、2位またはより高次の位置(例えば、3位、または4位、または5位、または6位、または7位など)において分枝状になっているアルコールに関する。
【0159】
本明細書で使用される場合、本発明のポリマーのエステル基に存在する炭素原子数は、上記エステル基のアルコール由来部分の炭素原子のみを含むように計上される。具体的には、炭素原子数は、上記エステルのカルボニル炭素を排除する。
【0160】
本明細書で使用される場合、用語「ヒドロカルビル置換基」または「ヒドロカルビル基」は、当業者に周知のその通常の意味において使用される。具体的には、これは、上記分子の残りに直接結合された炭素原子を有し、主に炭化水素特徴を有する基に言及する。ヒドロカルビル基の例としては、以下が挙げられる:本発明の状況において、上記置換基の主に炭化水素性質を変化させない炭化水素置換基(脂肪族、脂環式、および芳香族の置換基が挙げられる);置換された炭化水素置換基(すなわち、非炭化水素基を含む置換基);およびヘテロ置換基(すなわち、主に炭化水素特徴を同様に有するが、環または鎖中に炭素以外を含む置換基)。用語「ヒドロカルビル置換基」または「ヒドロカルビル基」のより詳細な定義は、国際公開WO2008147704の段落[0118]〜[0119]に記載される(ヒドロカルビルの類似の説明はまた、米国出願公開2010−0197536の段落[0137]〜[0141]に記載される)。
【0161】
本発明は、その好ましい実施形態に関連して説明されてきたが、その種々の実施形態が、本明細書を読めば当業者に明らかになることが理解されるべきである。従って、本明細書で開示される発明は、添付の特許請求の範囲内に入るような改変を網羅することが意図されることは理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)潤滑粘度の油、(b)星型ポリマー、および(c)45,000以下の重量平均分子量を有する実質的に線状のポリマーを含む、潤滑組成物。
【請求項2】
前記実質的に線状のポリマーは、35,000以下、または25,000以下、または8000〜25,000の重量平均分子量を有する、請求項1に記載の潤滑組成物。
【請求項3】
前記実質的に線状のポリマーは、12,000〜20,000の重量平均分子量を有する、請求項1に記載の潤滑組成物。
【請求項4】
前記実質的に線状のポリマーは、モノマー(i)α−オレフィンおよびモノマー(ii)エチレン性不飽和カルボン酸またはアルコールでエステル化されたその誘導体から得られるユニットを含むコポリマーである、前記請求項のいずれかに記載の潤滑組成物。
【請求項5】
前記実質的に線状のポリマーは、モノマー(i)α−オレフィンおよびモノマー(ii)エチレン性不飽和カルボン酸またはその誘導体から得られるコポリマーであり、
該カルボン酸ユニットのうちの0.1〜99.89%は、β位またはより高次の位置において分枝状になった一級アルコールでエステル化され、
該カルボン酸ユニットのうちの0.1〜99.89%は、直線状アルコールまたはα−分枝アルコールでエステル化され、
該カルボン酸ユニットのうちの0.01〜10%は、アミノ基、アミド基および/またはイミド基のうちの少なくとも1つを有し、そして
該コポリマーは、最大0.08までの低下した比粘度を有する、
前記請求項のいずれかに記載の潤滑組成物。
【請求項6】
前記実質的に線状のポリマーは、モノマー(i)α−オレフィンおよびモノマー(ii)エチレン性不飽和カルボン酸またはβ位またはより高次の位置で分枝状になった一級アルコールでエステル化されたその誘導体から得られるユニットを含むコポリマーであり、該コポリマーは、エステル化する前に、最大0.2まで、または最大0.15まで、または最大0.10まで、または最大0.08までの低下した比粘度を有する、前記請求項のいずれかに記載の潤滑組成物。
【請求項7】
前記実質的に線状のポリマーは、モノマー(i)α−オレフィンおよびモノマー(ii)エチレン性不飽和カルボン酸またはβ位またはより高次の位置で分枝状になった一級アルコールでエステル化されたその誘導体から得られるユニットを含むコポリマーであり、該コポリマーは、エステル化する前に、0.02〜0.07、0.03〜0.07または0.04〜0.06の低下した比粘度を有する、前記請求項のいずれかに記載の潤滑組成物。
【請求項8】
前記実質的に線状のポリマーは、ポリ(メタ)アクリレートポリマー、代表的には、ポリメタクリレートである、前記請求項のいずれかに記載の潤滑組成物。
【請求項9】
前記ポリ(メタ)アクリレートは、(a)前記エステル基の前記アルコール由来の位置において、8〜24個、または12〜18個、または15個までの炭素原子、および(b)該エステル基の該アルコール由来の位置において、6〜11個、または8〜11個、または8個の炭素原子、を含むアルキル(メタ)アクリレートエステルモノマーの混合物から得られるユニットを有し、2−(C1−4アルキル)置換基、ならびに必要に応じて、該エステル基の該アルコール由来の位置において1〜7個の炭素原子を含みかつ(メタ)アクリル酸エステル(a)および(メタ)アクリル酸エステル(b)とは異なる(メタ)アクリル酸エステル、ビニル芳香族化合物(またはビニル芳香族モノマー);および窒素含有ビニルモノマーからなる群より選択される少なくとも1個のモノマーを有し;ただし、該エステルのうちの60重量%以下、または50重量%以下、または35重量%以下は、該エステル基のアルコール由来の位置において10個以下の炭素原子を含む、請求項8に記載の潤滑組成物。
【請求項10】
前記実質的に線状のポリマーは、前記潤滑組成物のうちの2重量%〜40重量%、または5重量%〜30重量%、または8重量%〜20重量%において存在する、前記請求項のいずれかに記載の潤滑組成物。
【請求項11】
前記実質的に線状のポリマーは、モノマー(i)α−オレフィンおよびモノマー(ii)エチレン性不飽和カルボン酸またはβ位もしくはより高次の位置において分枝状になった一級アルコールでエステル化されたその誘導体から得られるユニットを含むコポリマーであり;該実質的に線状のポリマーは、前記潤滑組成物のうちの2重量%〜40重量%、または5重量%〜30重量%、または8重量%〜20重量%において存在する、前記請求項のいずれかに記載の潤滑組成物。
【請求項12】
前記星型ポリマーは、ランダム構造、テーパード構造、ジブロック構造、トリブロック構造、またはマルチブロック構造を有する、前記請求項のいずれかに記載の潤滑組成物。
【請求項13】
前記星型ポリマーは、RAFT重合プロセスまたはATRP重合プロセスから得られる、前期請求項のいずれかに記載の潤滑組成物。
【請求項14】
前記星型ポリマーは、ポリメタクリレートまたはその混合物である、前記請求項のいずれかに記載の潤滑組成物。
【請求項15】
前記星型ポリマーは、ポリ(メタ)アクリレート(代表的には、ポリメタクリレート)であり、該星型ポリマーは、以下:
(a)50重量%〜100重量%のアルキル(メタ)アクリレートであって、ここで該(メタ)アクリレートの該アルキル基は、10〜30個、または10〜20個、または12〜18個、または12〜15個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレート、またはこれらの混合物;
(b)0重量%〜40重量%のアルキル(メタ)アクリレートであって、ここで該(メタ)アクリレートの該アルキル基は、1〜9個、または1〜4個の炭素原子(例えば、メチル、ブチル、または2−エチルヘキシル)を有するアルキル(メタ)アクリレート、またはこれらの混合物;および
(c)0重量%〜10重量%の窒素含有モノマー
を含むモノマー組成物から得られる、前記請求項のいずれかに記載の潤滑組成物。
【請求項16】
前記星型ポリマーは、ポリ(メタ)アクリレート(代表的には、ポリメタクリレート)であり、該星型ポリマーは、以下:
(a)65重量%〜95重量%のアルキル(メタ)アクリレートであって、ここで該(メタ)アクリレートの該アルキル基は、12〜18個、または12〜15個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレート、またはこれらの混合物;
(b)5重量%〜30重量%のアルキル(メタ)アクリレートであって、ここで該(メタ)アクリレートの該アルキル基は、1〜9個、または1〜4個の炭素原子(例えば、メチル、ブチル、または2−エチルヘキシル)を有するアルキル(メタ)アクリレート、またはこれらの混合物;および
(c)0重量%〜5重量%の窒素含有モノマー
を含むモノマー組成物から得られる、前記請求項のいずれかに記載の潤滑組成物。
【請求項17】
前記星型ポリマーは、ポリメタクリレートであり、前記潤滑組成物のうちの2重量%〜30重量%、または5重量%〜20重量%、または8重量%〜15重量%において存在する、前記請求項のいずれかに記載の潤滑組成物。
【請求項18】
前記星型ポリマーは、ポリメタクリレートであり、前記潤滑組成物のうちの0.5〜10重量%において存在する、請求項1〜17のいずれかに記載の潤滑組成物。
【請求項20】
前記潤滑組成物は、0.3重量%〜15重量%の前記星型ポリマーおよび1重量%〜35重量%の前記実質的に線状のポリマーを含む、前記請求項のいずれかに記載の潤滑組成物。
【請求項21】
前記潤滑組成物は、0.45重量%〜5重量%の前記星型ポリマーおよび2重量%〜25重量%の前記実質的に線状のポリマーを含む、前記請求項のいずれかに記載の潤滑組成物。
【請求項22】
機械的デバイス(代表的には、マニュアルトランスミッションのような動力伝達系デバイス)を潤滑する方法であって、該方法は、該デバイスに、請求項1〜21のいずれかに記載の潤滑組成物を供給する工程を包含する、方法。

【公表番号】特表2013−512313(P2013−512313A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541150(P2012−541150)
【出願日】平成22年11月23日(2010.11.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/057709
【国際公開番号】WO2011/066242
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(591131338)ザ ルブリゾル コーポレイション (203)
【氏名又は名称原語表記】THE LUBRIZOL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】29400 Lakeland Boulevard, Wickliffe, Ohio 44092, United States of America
【Fターム(参考)】