説明

粘性摩擦同定装置を備えたモータ制御装置

【課題】モータ速度がノイズを多く含む場合にもノイズの粘性摩擦同定精度に与える影響を除去することができ、微小動作のみで粘性摩擦同定をすることができる粘性摩擦同定装置を備えたモータ制御装置を提供する。
【解決手段】入力指令が複数の周波数成分を含む周期信号であって、粘性摩擦同定装置107が、前記入力指令の複数の周波数成分におけるトルク指令と、前記入力指令の複数の周波数成分における前記モータ位置とに基づいて、粘性摩擦同定値を演算するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械の粘性摩擦を同定する粘性摩擦同定装置を備えたモータ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モータ制御装置には、機械負荷の連結したモータである制御対象を高精度または高応答に駆動する場合、如何にして明確でない制御対象の粘性摩擦値を高精度かつ微少動作で同定し、その同定値に基づいてモータを駆動するか、が必要とされている。
従来の粘性摩擦同定装置を備えたモータ制御装置は、位置指令、位置、速度に基づいて制御対象を駆動するトルク指令により制御対象に入力されるエネルギーである入力エネルギーを算出し、前記入力エネルギーとモータ位置振幅により前記制御対象の粘性摩擦同定をしている(例えば、特許文献1参照)。
図3は、従来の粘性摩擦同定装置である。図において、301は振幅演算器、302は第1入力エネルギー演算器、303は粘性摩擦クーロン摩擦演算器である。振幅演算器301は、前記位置を入力し、その入力信号振幅である位置振幅を出力する。第1入力エネルギー演算器302は、前記速度と前記速度指令を入力し、トルク制御器、電動機、位置検出器を含む開ループ系への入力エネルギーを算出し、出力する。粘性摩擦クーロン摩擦演算器303は、前記位置振幅と前記入力エネルギーを入力し、前記入力エネルギーと前記位置振幅に基づいて粘性摩擦とクーロン摩擦の同定値である摩擦同定値を算出し出力する。
このように、従来の粘性摩擦同定装置を備えたモータ制御装置は、位置振幅と入力エネルギーに基づいて前記摩擦同定値を算出するのである。
【特許文献1】特開2007−20318号公報(第7−9頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の粘性摩擦同定装置を備えたモータ制御装置は、位置指令、位置、速度に基づいて算出した入力エネルギーを用いて粘性摩擦同定する構成となっていて、前記速度がノイズを多く含む場合に前記ノイズの同定精度に与える影響を除去することができず同定精度が落ちるため、前記速度が前記ノイズを多く含む場合においては改善の必要があった。
本発明はこのような改善点に鑑みてなされたものであり、トルク指令の2つの周波数成分とモータ速度の2つの周波数成分の符号の積の1周期間平均値の差に基づいて粘性摩擦同定し、速度がノイズを多く含む場合にもノイズの粘性摩擦同定精度に与える影響を除去することができ、微小動作のみで粘性摩擦同定を同定することができる粘性摩擦同定装置を備えたモータ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記改善点を解決するため、本発明は、次のように構成したのである。
請求項1記載の発明は、
【発明の効果】
【0005】
請求項1乃至4記載の発明によると、トルク指令とモータ速度がノイズを多く含む場合にも高精度に機械負荷の連結したモータの粘性摩擦同定をすることができる。
また、請求項5記載の発明によると、回転型モータの数百分の一程度相当の微小振幅のみで高精度に小ストローク機械負荷の連結したモータの粘性摩擦同定をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【実施例1】
【0007】
図1は、本発明の第1実施例を示す粘性摩擦同定装置を備えたモータ制御装置である。図において、101は指令発生器、102はフィードバック制御器、103はフィードフォワード制御器、104は電流制御器、105は制御対象、106はモータ位置検出器、107は粘性摩擦同定装置、108はトルク指令周波数成分分離器、109はモータ速度演算器、110はモータ速度符号演算器、111はトルク指令モータ速度符号乗算値演算器、112はトルク指令モータ速度符号乗算値平均値演算器、113はモータ位置周波数成分分離器、114はモータ位置振幅演算器、115は粘性摩擦演算器である。
【0008】
指令発生器101は、粘性摩擦同定に必要な周波数成分を含む周期的信号である入力指令を出力する。フィードバック制御器102は、前記入力指令とモータ位置とモータ速度を入力しフィードバック制御信号を出力する。フィードフォワード制御器103は前記入力指令を入力しフィードフォワード制御信号を出力する。電流制御器104は、前記フィードバック制御信号と前記フィードフォワード制御信号の加算値であるトルク指令を入力し、モータ電流を出力する。制御対象105は、機械負荷の連結したモータであり、前記モータ電流により駆動されその前記モータ位置はモータ位置検出器106が検出し出力する。粘性摩擦同定装置107は、前記トルク指令と前記モータ位置を入力し、制御対象105の粘性摩擦を同定し、粘性摩擦同定値として出力する。
【0009】
粘性摩擦同定装置107において、トルク指令周波数成分分離器108は、前記トルク指令を入力しその入力信号の含む周波数成分のうち、粘性摩擦同定に利用する周波数成分であるトルク指令周波数成分を出力する。モータ速度演算器109は、前記モータ位置を入力し前記モータ速度を算出し出力する。モータ速度符号演算器110は、前記モータ速度を入力しその入力信号の符号であるモータ速度符号を出力する。トルク指令モータ速度符号乗算値演算器111は、前記トルク指令周波数成分と前記モータ速度符号を入力し、その入力信号の乗算値であるトルク指令モータ速度符号乗算値を算出し出力する。トルク指令モータ速度符号乗算値平均値演算器112は、前記トルク指令モータ速度符号乗算値を入力し、その入力信号の周波数成分ごとの一周期間平均値であるトルク指令モータ速度符号乗算値平均値を算出し出力する。モータ位置周波数成分分離器113は、前記モータ位置を入力し、その入力信号の含む周波数成分のうち粘性摩擦同定に利用する周波数成分であるモータ位置周波数成分を出力する。モータ位置振幅演算器114は、前記モータ位置周波数成分を入力し、その入力信号振幅であるモータ位置振幅を算出し出力する。粘性摩擦演算器115は、前記トルク指令モータ速度符号乗算値平均値と前記モータ位置振幅を入力し、前記粘性摩擦同定値を算出し出力する。
ここで、粘性摩擦同定に利用する周波数成分とは、前記粘性摩擦同定値を算出するために用いる複数の周波数成分であり、その各周波数は10Hz以上離れ且つ制御対象105が柔軟な場合にはその反共振周波数の最も低い値より十分低く(たとえば、1/10程度)設定する。
【0010】
本発明が従来技術と異なる部分は、モータ位置およびモータ速度並びにトルク指令に基づいて機械負荷の粘性摩擦値を同定し出力する粘性摩擦同定装置107を備えた部分であって、粘性摩擦同定装置107は、トルク指令を入力しトルク指令周波数成分を出力するトルク指令周波数成分分離器108と、モータ速度を入力しモータ速度符号を出力するモータ速度符号演算器110と、前記トルク指令周波数成分と前記モータ速度符号を入力しトルク指令モータ速度符号乗算値を出力するトルク指令モータ速度符号乗算値演算器111と、前記トルク指令モータ速度符号乗算値を入力しトルク指令モータ速度符号乗算値平均値を出力するトルク指令モータ速度符号乗算値平均値演算器112、前記モータ位置を入力しモータ位置周波数成分を出力するモータ位置周波数成分分離器113と、前記モータ位置周波数成分を入力しモータ位置振幅を出力するモータ位置振幅演算器114と、前記トルク指令モータ速度符号乗算値平均値と前記モータ位置振幅を入力し粘性摩擦同定値を出力する粘性摩擦演算器115と、を備える部分である。
【0011】
以下、粘性摩擦同定装置107が、粘性摩擦同定値を算出する仕組みの詳細を示す。制御対象105はモータに剛体機械負荷が連結したものとするとその運動方程式は式(1)であらわされる。
【0012】
【数1】

【0013】
ただし、Jは制御対象105の慣性モーメント、Dは粘性摩擦、Tcはクーロン摩擦、Trefはトルク指令、wは一定トルク外乱、θはモータ位置である。式(1)をモータ速度の符号で乗算すると式(2)を得る。
【0014】
【数2】

【0015】
指令発生器101から発生される指令周波数ω1におけるモータ位置の周波数成分を第1モータ位置周波数成分とすると、前記第1モータ位置周波数成分は式(3)と表される。
【0016】
【数3】

【0017】
ただし、A1は第1モータ位置振幅である。式(3)を式(2)に代入し、周期T1=2π/ω1の間の平均値をとると式(4)を得る。
【0018】
【数4】

【0019】
ただし、Tref1は、指令発生器101から発生される指令周波数ω1におけるトルク指令の周波数成分である第1トルク指令周波数成分である。モータ加速度と前記モータ速度の符号は、位相がπ/4 [rad]ずれているので、式(2)の左辺第1項と右辺第2項の平均値は零となることを利用した。式(4)と同様に、指令発生器101から発生される指令周波数ω2における式(2)の時間T2=2π/ω2の間の平均値は式(5)と表される。
【0020】
【数5】

【0021】
ただし、Tref2は、指令発生器101から発生される指令周波数ω2におけるトルク指令の周波数成分である第2トルク指令周波数成分である。式(4)と式(5)からクーロン摩擦Tcを相殺すると式(6)を得る。
【0022】
【数6】

【0023】
粘性摩擦演算器115は、式(6)を用いて粘性摩擦同定値を算出する。
ここで、本発明における粘性摩擦同定装置107内の各構成が、各入力に対しどのような演算に基づいて各出力を得るのかを整理する。
トルク指令周波数成分分離器108は、トルク指令を入力しFFT(高速フーリエ変換)に基づいて前記トルク指令から制御対象105の反共振周波数のうち最も低いものよりも十分に低い(たとえば1/10程度)周波数における周波数成分を分離して(演算して)トルク指令周波数成分を出力する。
モータ速度符号演算器110は、モータ速度を入力しシグナム関数を適用してモータ速度符号を演算して出力する。なお、シグナム関数は、符号関数とも呼ばれ、「
1219121494643_6
に対しその
1219121494643_7
に応じて1、−1、0のいずれかを返す
1219121494643_8
およびそれを拡張した複素関数」である周知事項である。
トルク指令モータ速度符号乗算値演算器111は、前記トルク指令周波数成分と前記モータ速度符号とを入力しその入力信号を乗算してトルク指令モータ速度符号乗算値を演算して出力する。
トルク指令モータ速度符号乗算値平均値演算器112は、前記トルク指令モータ速度符号乗算値を入力し式(4)および式(5)の左辺に基づいてトルク指令モータ速度符号乗算値平均値を演算して出力する。
モータ位置周波数成分分離器113は、モータ位置を入力しFFTに基づいて前記モータ位置から制御対象105の反共振周波数のうち最も低いものよりも十分に低い(たとえば1/10程度)周波数における周波数成分を分離して(演算して)モータ位置周波数成分を出力する。
モータ位置振幅演算器114は、前記モータ位置周波数成分を入力してその入力信号のピーク値に基づいてモータ位置振幅を演算して出力する。
粘性摩擦演算器115は、前記トルク指令モータ速度符号乗算値平均値と前記モータ位置振幅とを入力し式(6)に基づいて粘性摩擦同定値を演算して出力する。
【0024】
式(6)は一定トルク外乱wを含まないので、重力によるトルクが制御対象105のモータに掛かる場合にもその影響を受けず粘性摩擦同定できる。また、式(6)はモータ位置振幅A1とA2およびトルク指令の周波数成分Tref1とTref2を用いるので、それ以外の周波数成分の影響を受けず非線形ダイナミクス、過渡応答などが存在する場合にも精度よく粘性摩擦同定ができる。また、式(6)はモータ位置の周波数成分を抽出して同定計算するので、モータ位置検出器106の分解能が低く検出したモータ位置の波形が粗い場合にも、同定に用いる周波数成分は波形が滑らかになり、モータ位置検出器106が低分解能(たとえば15[bit])で前記機械負荷の可動範囲が限定される場合にも精度よく粘性摩擦同定できる。また、式(6)は平均値を用いるので前記トルク指令がノイズを含む場合にも前記ノイズの影響を除去でき高精度に粘性摩擦同定が実施できる。また、フィードフォワード制御器103のゲインが0である場合にも粘性摩擦同定できる。
【0025】
以下、本発明のシミュレーション結果を示す。シミュレーションに用いた数値は以下のとおりである。
J=5.80×10^−5[kg・m^2]、D*=7.5×10^−4[N・m・s/rad]、Tc=7.8×10^−4[N・m]、Kp=120[s^−1]、Kv=120(2π)[s^−1]、J0=0.116×10^−4[kg・m^2]、Kvj=Kv*J0,Ti=4/Kv、T=125×10^−6[s]、Trat=0.637[N・m]、b=17[bit]、ω1=30(2π)[rad/s]、ω2=60(2π)[rad/s]、r0=0.005[rad]、d=0.1*Trat
ただし、Jは制御対象105の慣性モーメント、D*は粘性摩擦真値、Tcはクーロン摩擦、Kpは位置比例制御ゲイン、Kvは正規化速度比例制御ゲイン、J0は公称慣性モーメント、Kvjは速度比例制御ゲイン、Tiは速度制御積分時定数、Tは制御周期、Tratは定格トルク、bはモータ位置検出器106の分解能、ω1は第1同定周波数、ω2は第2同定周波数、r0は指令振幅、dはノイズ振幅である。
【0026】
ここで、公称慣性モーメントJ0は、速度比例制御ゲインKvjを正規化するのに利用する慣性モーメント値であり、第1同定周波数および第2同定周波数は、本発明の粘性摩擦同定に利用する周波数である。前記第1同定周波数と前記第2同定周波数は、10[Hz]以上離れるように設定すると式(6)の分母が小さくなりすぎず、式(6)の分子の計算誤差が増幅されることなく高精度に粘性摩擦同定ができる。更に、式(6)は剛体機械負荷を仮定して導出したので、制御対象105が多慣性系機械である場合は、前記第1同定周波数と前記第2同定周波数を制御対象105の反共振周波数のうち、一番低い周波数のものより十分低く選択することにより、柔軟振動モードの影響を受けず高精度に粘性摩擦同定ができる。また更に、前記トルク指令がノイズを多く含む場合にも本発明が有効であることを示すため、前記トルク指令にノイズ振幅dの振幅を持つ白色雑音を加える。
【0027】
図2は、本発明の第1実施例を示すシミュレーションにおける一定トルク外乱を変化させた場合の粘性摩擦同定誤差である。図において、一定トルク外乱を定格トルクの0[%]から50[%]まで変化させた場合、式(7)によって算出した粘性摩擦同定誤差eD[%]は常に−2.3[%]以内であった。
【0028】
【数7】

【0029】
本シミュレーションにおいて、モータ位置振幅は0.0069[rad](1/910回転)であり、トルク指令の振幅は定格トルクの2.2[%]以下であったので、本発明によると微小動作のみで粘性摩擦同定が高精度に実施でき、モータに連結する負荷の慣性モーメントが更に大きい場合にも適用可能であることが示された。また、制御対象105をTHK社製KR4620A+540Lスライダと安川電機社製SGDS−02A01Aモータを酒井製作所社製UA−35Cカップリングで連結し、安川電機社製SGMAS−02ACA21ドライバで駆動した検証実験において、特許文献1の従来技術によると−23%の同定誤差が発生するのに対し、本発明では−4%の同定誤差の高精度な粘性摩擦同定結果が得られた。
【0030】
したがって、本発明は、従来技術に比べてノイズの多い環境下での粘性摩擦同定に有効である。ただし、前記検証実験において粘性摩擦真値D*は複数の一定速度指令を用いた最小二乗法により求めた。最小二乗法は、制御対象105の動作振幅が大きくなるが、微小動作のみで同定する本発明よりその同定精度はやや高いので粘性摩擦真値D*を求めるのに用いた。
このように、本発明によると、ノイズの多い場合にも機械負荷の連結したモータの粘性摩擦を一定トルク外乱、過渡応答、非線形効果の影響を抑制し微小動作のみで高精度に同定できる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
モータ速度の符号と、トルク指令の2つの周波数成分と、その乗算値の1周期間平均値に基づいて粘性摩擦同定することによって、トルク指令とモータ速度がノイズを多く含む場合にも、微小動作のみで制御対象の粘性摩擦同定をすることができるので、ノイズの多い環境下で使用される小ストローク産業用装置、半導体製造装置、干渉系メカなど一般産業用機械の制御ゲイン設定たとえばフィードフォワード制御パラメータ設定などに広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1実施例を示す粘性摩擦同定装置を備えたモータ制御装置
【図2】本発明の第1実施例を示すシミュレーションにおける一定トルク外乱を変化させた場合の粘性摩擦同定誤差
【図3】従来の粘性摩擦同定装置を備えたモータ制御装置
【符号の説明】
【0033】
101 指令発生器
102 フィードバック制御器
103 フィードフォワード制御器
104 電流制御器
105 制御対象
106 モータ位置検出器
107 粘性摩擦同定装置
108 トルク指令周波数成分分離器
109 モータ速度演算器
110 モータ速度符号演算器
111 トルク指令モータ速度符号乗算値演算器
112 トルク指令モータ速度符号乗算値平均値演算器
113 モータ位置周波数成分分離器
114 モータ位置振幅演算器
115 粘性摩擦演算器
301 振幅演算器
302 第1入力エネルギー演算器
303 粘性摩擦クーロン摩擦演算器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械負荷の連結したモータである制御対象を駆動するモータ制御装置であって、入力指令と検出器による検出値であるモータ位置またはモータ速度とに基づいて、前記モータ位置または前記モータ速度が前記入力指令に追従するように制御するフィードバック制御器と、前記制御対象の粘性摩擦を同定し粘性摩擦同定値を算出する粘性摩擦同定装置と、を備え、前記粘性摩擦同定値を用いて前記制御対象を駆動するモータ制御装置において、
前記入力指令が複数の周波数成分を含む周期信号であって、
前記粘性摩擦同定装置が、前記入力指令の複数の周波数成分におけるトルク指令と、前記入力指令の複数の周波数成分における前記モータ位置とに基づいて前記粘性摩擦同定値を演算することを特徴とする粘性摩擦同定装置を備えたモータ制御装置。
【請求項2】
前記粘性摩擦同定装置が、前記トルク指令と前記モータ位置との複数の周波数成分から、FFT(高速フーリエ変換)を用いて特定の2つの周波数成分を抽出することを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項3】
前記粘性摩擦同定装置が、前記特定の2つの周波数成分のモータ位置に基づいて前記モータ速度の符号であるモータ速度符号をそれぞれ演算し、
前記特定の2つの周波数成分のトルク指令と、その同一周波数成分における前記モータ速度符号とをそれぞれ乗算して、その乗算値の一周期間の平均値をそれぞれ演算し、
その平均値に基づいて前記粘性摩擦同定値を演算することを特徴とする請求項2に記載の粘性摩擦同定装置を備えたモータ制御装置。
【請求項4】
前記粘性摩擦同定装置は、前記トルク指令を入力しその入力信号の含む周波数成分のうち粘性摩擦同定に利用する周波数成分であるトルク指令周波数成分を出力するトルク指令周波数成分分離器と、
前記モータ速度を入力しその入力信号の符号であるモータ速度符号を出力するモータ速度符号演算器と、
前記トルク指令周波数成分と前記モータ速度符号を入力しその入力信号の乗算値であるトルク指令モータ速度符号乗算値を算出し出力するトルク指令モータ速度符号乗算値演算器と、
前記トルク指令モータ速度符号乗算値を入力しその入力信号の周波数成分ごとの一周期間平均値であるトルク指令モータ速度符号乗算値平均値を算出し出力するトルク指令モータ速度符号乗算値平均値演算器と、
前記モータ位置を入力しその入力信号の含む周波数成分のうち粘性摩擦同定に利用する周波数成分であるモータ位置周波数成分を出力するモータ位置周波数成分分離器と、
前記モータ位置周波数成分を入力しその入力信号振幅であるモータ位置振幅を算出し出力するモータ位置振幅演算器と、
前記トルク指令モータ速度符号乗算値平均値と前記モータ位置振幅を入力し前記粘性摩擦同定値を算出し出力する粘性摩擦演算器と、を備えることを特徴とする請求項1記載の粘性摩擦同定装置を備えたモータ制御装置。
【請求項5】
前記入力指令の振幅が、回転型モータの数百分の一回転程度相当の微小振幅であることを特徴とする請求項1記載の粘性摩擦同定装置を備えたモータ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−51048(P2010−51048A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−210453(P2008−210453)
【出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】