説明

粘性材料及びその製造方法

複数の反応性化学物質間の反応を最小化する方法であり、第一化学物質を添加し、第一障壁層を添加し、その第一障壁層を前記の第一化学物質の上に積層させ、その後、第二化学物質を添加し、その第二化学物質を前記の第一障壁層の上に積層させ、次に第二障壁層を添加し、その第二障壁層を前記の第二化学物質の上に積層させ、次に更なる化学物質を添加し、その更なる化学物質を前記の第二障壁層の上に積層させ、更に、前記の化学物質及び障壁層を均一に混合し、それにより各々の第一、第二化学物質及び更なる化学製品を均一に分散させた混合物を製造する方法。そこにおいて、化学物質は密度を減少させるために添加される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許仮出願第60/583,672号(出願人:Matthew Piazza、出願日:2004年6月29日)に基づく特許出願である。
【0002】
本発明は、一般に建築用材料、より詳細には建築用材料を製造するための組成物及びその組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
現在用いられている建築用のセメント材料は、重量があり、また強度も制限されたものとなっている。これらの材料は、通常バーミキュライト及び/又は他の繊維質の軽量の材料、水及びセメントを用いて製造される。これらの建築用材料の製造には大量の水が必要である。その理由は、バーミキュライト及び他の繊維質の軽量の材料が高い吸水性を有するため、建築用材料の製造に使用する水の相当な量を吸収することである。バーミキュライト及び他の繊維質の軽量の材料によって吸収される水は、セメントを濡らし、強化するのに必要である。ただし、建築用のセメント材料による水の消費は建築用材料の重量を増加させ、また建築用材料の製造に使用されたとき、建築用のセメント材料の中で生じる凍結・融解を原因とするひび割れを生じされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、建築用材料の製造に要する水を減少させる組成物の提供が望まれる。特に、バーミキュライト及び他の繊維状の軽量の材料と共にセメントに添加することが可能で、最小限の水しか含まない建築用材料の製造に用いられる混和剤の製造が望ましい。更に望ましくは、材料に使用されるバーミキュライト及び他の繊維状の軽量の材料を飽和させる目的で、液体又はゲル状の湿潤剤が添加される建築用材料を製造することであり、それにより水を使用する必要がなくなる。更に望ましくは、特定の幾つかの反応要素を、それらの間で起こるいかなる反応をも最小化又は除去することが可能な態様で組み合わせ、建築用材料に添加することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、建築用材料、より詳細には建築用材料を製造するための組成物及び該組成物の製造方法に関する。上記組成物は、通常望ましくない反応を相互に起こす複数の化学物質を含む。
【0006】
本発明の主要な目的は、建築用材料を製造するための粘性組成物を提供し、従来技術における建築用材料の限界を克服することである。
【0007】
本発明の更なる目的は、混和剤をセメント質材料、ゴム、プラスチックの少なくとも一つと組み合わせて粘性材料を製造することである。
【0008】
本発明の他の目的は、前記混和剤が、そこに含まれる特定の反応要素を、その要素間での反応を減少又は除去する態様にて含む、粘性材料を製造することである。
【0009】
更なる本発明の目的は、混和剤により強度を増加させ、また結果として得られる建築用材料の重量を減少させることが可能な粘性材料を製造することである。
【0010】
更に本発明の他の目的は、混和剤に含まれる各要素が有する特性が、結果として得られる建築用材料に付与されている、粘性材料を製造することである。
【0011】
更に本発明のその他の目的は、得られる建築用材料に更なる特性を付与するための、ナノ粒子及びナノチューブの少なくとも一つを含む、建築用材料を製造することである。
【0012】
更なる本発明の目的は、複数の反応性化学物質間の反応を最小化する方法を提供することである。該方法は、以下の工程を含む。第一化学物質を添加し、第一障壁層を添加し、その第一障壁層を前記第一化学物質の上に積層させる。第二化学物質を添加し、その第二化学物質を前記第一障壁層の上に積層させる。第二化学物質の上に第二障壁層を積層させる。更なる化学物質を加え、その更なる化学組成物を前記第二障壁層の上に積層させる。その後化学物質及び障壁層を均一に混合し、それにより均一に各々の第一、第二及び更なる化学物質が分散された混合液が形成され、そこにおいて密度を減少させるための化学物質が添加される。
【0013】
本発明の他の目的は、第一化学物質及び第二化学物質;並びにその第一化学物質と第二化学物質の間に位置し、そこでそれらの相互作用を防止する少なくとも一つの障壁層を含む、組成物を提供することである。予め定められた手順に従い、各々の前記第一化学物質及び第二化学物質を全体にわたり均一に含む混合液に上記組成物を混合した混合液が製造される。
【0014】
更にその他の本発明の目的は、基材及び注型材料及び混和剤の少なくとも一つを含む組成物を提供することである。前記混和剤は、超可塑剤、自己硬化剤、収縮防止剤及び複数の障壁層を含む。混和剤を製造する際、複数の障壁層のうちの一つを混和剤の各々の隣接した要素の間に添加し、要素間での混合を防止するのが望ましい。これにより、要素間の反応を最小化し、各々の要素がその特性を維持することが可能となる。前記混和剤を基材と配合し、組成物を形成するために混合されると、混和剤は組成物の全体にわたって均一に分散し、基材、注型材料の少なくとも一つ及び混和剤の各々の要素が相互に結合を開始する。
【0015】
更なる本発明の目的は、組成物を製造する方法を提供することである。該方法は、一定量の基材及び注型材料の少なくとも一つを、水及び湿潤剤の少なくとも一つと結合させ、基材及び注型材料の少なくとも一つを飽和させる工程を含む。その後で、飽和した基材及び注型材料と混和剤を結合させる。該混和剤は、超可塑剤、自己硬化剤、収縮防止剤及び複数の障壁層を含む。複数の障壁層のうちの一つは、混和剤の各々の要素の間に存在し、要素間の混合を防止し、それにより各々の要素がそれ自身に関連した特性を維持することができる。該方法は、基材及び注型材料の少なくとも一つ及び混和剤の混合物を連続的に混合し、混和剤の各々の要素が組成物の全体にわたって均一に分散し、それにより混和剤の要素が各々の基材及び注型材料の少なくとも一つと結合を開始し、混和剤の要素が有する特性を付与された組成物を形成する方法を提供する。
【0016】
本発明の他の目的は、使用が簡便な混和剤及び建築用材料を製造することである。
【0017】
更なる本発明の目的は、製造コストの少ない建築用材料を製造することである。
【0018】
更なる本発明の目的は、以下の記載から明らかとなるであろう。
【0019】
本発明の様々な他の目的、特徴及び効果は、そのことを添付の図面を参照しながら考察することにより、更に詳細に理解することができる。そこにおいて、記載される同じ符号は、全図にわたって同一又は類似の部材を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、建築及び建設材料として使用可能である材料を製造するための化学混和剤に関する。得られる材料は、構造体の構造支持のみならず、同様に装飾にも使用可能である。すなわち、化学混和剤は、セメントを主成分とする材料、プラスチック材料及びゴム材料の少なくとも一つと共に使用可能である。また、その混和剤を使用すると、得られる材料は、これまで我々が認識することができなかった特性を持つように改良される。すなわち、得られる材料は、混和剤、バーミキュライト及び材料を所望の形に成型するための基材を含む。以上より、混和剤は以下の説明の全体にわたって示される更なる利点を更なる領域において使用することが可能であるため、以下の説明にかかるセメントベースの建築用材料は限定的に解釈されるべきでない。
【0021】
セメント及びバーミキュライト及び/又は繊維状の軽量の材料を含む建築用材料を製造するときは、バーミキュライト又は軽量の材料を水の付加の前に最初に混合物に添加しなければならない。本発明の化学物質又は混和剤は、軽量の材料と反応しない。混和剤はセメント材料とのみ反応し、したがって、この材料を用いて軽量の混合物を製造するときは、バーミキュライトを最初に水により濡らさなければならない。
【0022】
本発明は、通常、互いに望ましくない形で反応することを理由に、混合してはならないと一般に言われている要素を混合する方法である。この方法は、直接液体又はゲルを混合物中のバーミキュライト又は軽量の材料に添加するときに見出された。
【0023】
上記の方法は、通常標的となる要素と接触することで反応する要素を混ぜ合わせる方法であり、その要素は建築用材料、特にセメントを主な成分とする建築用材料を製造する際に通常用いられる要素である。この方法はまた、互いに接触すると通常反応するその他の化学物質を混合する際にも使用可能である。
【0024】
本発明の方法に使用される、本発明の混和剤の製造に用いられる要素には、以下のものが含まれる:
*超可塑剤としてカルボキシル化ポリエーテル;
*自己硬化剤としてカルボキシル化プロピレン;
*収縮防止剤として脂肪族プロピレン、グリコールエーテル;
*界面活性剤(好ましくは非イオン系界面活性剤)。
【0025】
上記混和剤に更に添加される要素には、以下のものが含まれる:
*減水剤(カルボキシル化ポリエーテル、カルシウム、硝酸塩及びグルコースアミン)の水溶液;
*分離を減らすための粘性調整剤;
*収縮調整剤;
*撥水剤;
*空気連行(AE)剤。
【0026】
上記混和剤に添加される更なる要素には、以下のものが含まれる:
*シリコンベースの酸化物から形成されるナノ粒子;
*シリコンベースの酸化物から形成されるナノチューブ;
*ラテックス;
*イットリウム酸化物、酸化アルミニウム、アルミニウムシリコン酸化物、バリウムシリコン酸化物、バリウムジルコニウム酸化物、酸化セリウム、酸化マグネシウム及び酸化ジルコニウムのうち少なくとも一つ。
【0027】
上記の全ては商標ではなく、個々にセメント混合に添加される際のそれらの機能によって定義される。
【0028】
上記の混和剤は、セメント及びバーミキュライトとともに使用した場合、建築用材料の製造の際に問題が生じる。具体的には、バーミキュライトが水の有意な量を吸収することである。20ポンド(9.07kg)のバーミキュライトは、最高5ガロン(19L)の水を吸収し、湿った砂の粘性を有する組成物となる。すなわち、混和剤の構成要素がバーミキュライトに吸収され、セメント材料を含む混合物内への均一な分散が妨げられるため、直接混和剤をバーミキュライトに添加することは望ましくない。混和剤は、更に水を有するセメントの混合物に添加される。この混和剤の使用により、建築用材料を製造するために加えられる水の量を実質的に減らし、潜在的に水の必要性を除去することとなる。更に、メタカオリン、軽量の繊維を組成物に添加することにより、得られる建築用材料を強化することができる。
【0029】
あるいは、水の代わりに、液体又はゲル状の湿潤剤をバーミキュライトに添加し、水を使用しない形でバーミキュライトを湿らせてもよい。周知の湿潤剤の特性により、バーミキュライト又は/及び繊維状の軽量の材料を飽和させて組成物を製造するのに実質的に必要となる湿潤剤の量はより少ないものとなる。加えて、周知の湿潤剤は水よりも大幅に重量が小さく、ゆえに飽和したバーミキュライト及び繊維状の軽量の材料の重量を減少させる。更に、液体又はゲル状の湿潤剤は、製品を反応させるために必要なあらゆる材料を混合するとき、使用する混和剤に添加してもよい。液体又はゲル状の湿潤剤は、混和剤中の反応性の要素間に層を形成させるために使用してもよく、それにより水量が減少し、ゆえに上記混和剤を使用して生産されるいかなる製品の重量も減少する。
【0030】
したがって、以下に述べるように、本発明の組成物により得られる建築用材料では、通常反応性の要素を本発明の層化工程と組み合わせることにより、要素間のいかなる相互作用も防止することが可能となる。上記組成物は上記混和剤を用いて形成されるが、そこでは水、及び液体又はゲル状の湿潤剤のうちの一つによる層が、要素のうち最も重いものの上に形成され、それに続き次に最も重い一つの要素が添加され、それによりその間での反応が防止される。このように、化学物質の組み合わせがなされる間、水、及び液体又はゲル状の湿潤剤のうちの一つによる層が、それが混和剤に加えられる前と後の要素間に形成される。
【0031】
水の代わりに、液体又はゲル状の湿潤剤をバーミキュライトに添加し、水を使用しない形でバーミキュライトを湿らせてもよい。周知の湿潤剤の特性により、バーミキュライト又は/及び繊維状の軽量の材料を飽和させて組成物を製造するのに実質的に必要となる湿潤剤の量はより少ないものとなる。加えて、周知の湿潤剤は水よりも大幅に重量が小さく、ゆえに飽和したバーミキュライト及び繊維状の軽量の材料の重量を減少させる。更に、液体又はゲル状の湿潤剤は、製品を反応させるために必要なあらゆる材料を混合するとき、使用する混和剤に添加してもよい。液体又はゲル状の湿潤剤は、混和剤中の反応性の要素間に層を形成させるために使用してもよく、それにより水量が減少し、ゆえに上記混和剤を使用して生産されるいかなる製品の重量も減少する。
【0032】
また、水を含まないセメント材料を製造するため、液体又はゲル状の湿潤剤を水の代わりにセメントに添加してもよい。得られるセメント材料は、まるで水と混合したかのような製品の特徴を有する。水の除去のため、セメント材料は、従来のコンクリート混合物より強度が大きい。
【0033】
混和剤の製造に用いられる好適な湿潤剤は、非イオン系界面活性剤である。その界面活性剤は、親水性部分及び疎水性部分を有する化合物である。界面活性剤の化学的作用により物質の表面張力が減少するため、界面活性剤を湿潤剤として使用することが可能である。界面活性剤の親水性部分は、エチレンオキシドのモル数により判断される。エチレンオキシド鎖は、界面活性剤分子の親水性部分を形成する。分子のこの部分が大きくなる程、非イオン性界面活性剤の水への溶解度がより大きくなる。加えて、界面活性剤及びそれらの機能性は、その親水性/親油性バランス(HLB)を表す任意のスケールを使用して判断される。より高いHLB値は高い水溶性を有する界面活性剤であることを表し、一方低いHLB値はより高い油溶性を有する界面活性剤であることを表す。HLB値は、界面活性剤の分子構造に基づいて算出される数値である。理想的には、上記の非イオン性界面活性剤は7〜9の間のHLB値を有する。
【0034】
望ましくは、非イオン性界面活性剤は、オクチルフェノールへのエチレンオキシドの付加によって得られるオクチルフェノールエトキシレートである。得られるオクチルフェノールエトキシレートは、広い温度及びpH範囲において効果的であり、農業分野において低発泡性の湿潤剤として用いられる強力なゲル及び粘性溶液を形成する。しかしながら、それらの化学的性質は、それが本発明の混和剤への用途を考慮したものが望ましい。非イオン性界面活性剤は、付加された材料の層の間、例えば可塑剤及び収縮防止剤の間に位置し、通常それらの間で生じる不必要な相互作用を防止する。添加された際、界面活性剤は混和剤に順番に添加された構成要素の間の障壁層として機能する。全ての添加された構成要素が混合されるとき、界面活性剤が混和剤中にて化合する。
【0035】
あるいは、非イオン性界面活性剤の代わりにラテックスの層を混和剤に添加してもよい。界面活性剤と同様に、ラテックス層は、順次添加された混和剤の構成要素の間に位置し、構成要素間のいかなる尚早な、及び/又は不必要な反応を防止する障壁層として作用する。ラテックスは、混合されると各種成分の分散を補助する輸送媒体として機能する。すなわち、ラテックスも湿潤剤として作用し、従来技術における建築及び建設の材料にて典型的に使用される水の代替となる。
【0036】
混和剤に添加される、更なる強度を与える構成要素は、シリコンベースの酸化物である。シリコンベースの酸化物は、硬化を促進する薬剤として機能する優れた添加物である。加えて、シリコンベースの酸化物は、化合物のかき傷耐性(scratch−resistance)を増加させるために使用される。ケイ酸塩は、硬度及びかき傷耐性を向上させるため、レンガ及び建築用材料の添加物として特異的な有用性を有する。
【0037】
混和剤に添加されるシリコンベースの酸化物は、ナノ粒子又はナノチューブ(例えばNanoProducts社によるPURENANO(登録商標))の形で存在するのが好ましい。これらのシリコンベースの酸化物のナノ粒子は、塊を形成しないナノスケール材料を提供し、それは例えば本発明の請求項に係る混和剤のような混合物に均一に分散させることが可能である。ナノ粒子の強化された特性は、それらの構造による。具体的には、格子のレベルで、一つ以上の金属とシリカの組み合わせにより、機械的、光学的、熱的、表層、構造的及び他の特性が向上している。このように、シリコンベースの酸化物のナノ粒子は、本発明の混和剤のためにテーラーメードすることができる。使用可能なシリコンベースの酸化物の例としては、アルミニウムシリコン酸化物、ジルコニウムシリコン酸化物及び他のマルチ金属シリコン酸化物である。
【実施例】
【0038】
(5ガロン(19L)混合物の製造)
通常の水道水を使用し、超可塑剤混合物を5ガロン(19L)サイズの囲いに注入し、超可塑剤の上にほぼ8分の1インチ(0.32cm)の水/界面活性剤障壁層を設けるのに十分な水を注入する。水/界面活性剤は超可塑剤より軽く、超可塑剤の上に残るため、水/界面活性剤層の層が障壁の役割を果たす。水/界面活性剤層の表面上に次の要素、例えば自己硬化剤(又は自己収縮剤)、を注入しても、混合したり化学反応が生じたりしない。次にその作業を繰り返し、第二層の上に実質的に同じ量の水/界面活性剤の層を配置し、第三の要素(例えば収縮防止剤)を添加する。更に、その作業を繰り返し、混和剤に各々の要素を添加する。
【0039】
上記の典型的な混和剤は、実質的に1+1/4ガロン(4.75L)の超可塑剤、実質的に2.5ガロン(9.5L)の自己硬化剤及び実質的に3/4ガロン(2.85L)の収縮防止剤を含む。更に上記の混和剤は、超可塑剤、自己硬化剤及び収縮防止剤の各々の層間に散在する、実質的に1/2ガロン(1.9L)の水/界面活性剤障壁層を含む。なお、上記における各々の水/界面活性剤障壁層は、実質的に等しい量である。
【0040】
上記は、セメントを含む製品に多くの物質が添加された混和剤の製造方法である。これと同じ方法が、その他の化学物質を混合する際にも使用することができる。上記の方法は、多くの異なる目的に有用であり、通常互いに反応する要素を含む混和剤を製造するために用いてもよい。上記した混和剤の用途は単なる例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載の方法を限定するものではない。
【0041】
あるいは、上記混和剤は、水/界面活性剤障壁層の代わりに水、液体湿潤剤、ゲル湿潤剤及びゲル状の湿潤剤の少なくとも一つを、隣接する添加化学物質の各層の間に設けてもよい。
【0042】
軽量のコンクリート混合材料を製造するとき、バーミキュライト、パーライト(Purlite)、雲母などのような軽量の材料とセメントが通常反応する。しかしながら、これらの材料を用いる場合、これらの軽量の材料における水の吸収性の高さが問題となる。すなわち、そのような混合物は目的の機能を発揮するために大量の水を必要とするが、大量の水とセメントを混ぜ合わせることによりセメントの強度が低下し、また得られるコンクリート製品の重量が増加する。本発明の混和剤は、必要な水量を減らすように機能するため、得られる建築用材料の強度が増加し、同時にその重量が減少する。本発明の混和剤の典型的な組成を、以下の組成物Aとして示す。
【0043】
組成物A
*2部のカルボキシル化ポリエーテル(超可塑剤);
*1部のカルボキシル化プロピレン(自己硬化剤);
*1部の脂肪族プロピレン、グリコールエーテル(収縮防止剤);及び
*1部の界面活性剤
【0044】
組成物Aに列記される要素に加え、他の付加的な化学物質を、付加的な特性を与えるために混和剤に添加してもよい。これらの付加的な要素には、少なくとも1部の空気連行(AE)剤、1部のシリコンベースの酸化物のナノ粒子及び1部のラテックスが含まれる。シリコンベースの酸化物として形成されているナノ粒子に関する記載は飽くまで例示であり、それに関連する望ましい特性を有するいかなる種類のナノ粒子も本発明の混和剤及び/又は粘性材料に使用可能である。
【0045】
上記で列記された化学物質は、混合バットにおいて層状に添加され、隣接する層の間に水及び/又は湿潤剤の層を含む。この層は、本発明の混和剤の構成要素間の不必要で望ましくない相互作用を防止する。
【0046】
あるいは、上記混合物は複数のラテックスを輸送/湿潤剤として利用することができ、上記の各々の構成要素間に位置するように添加される。すなわち、ラテックスは混和剤の層をなす構成要素の一つとして機能し、また、そこに順次添加される構成要素間の障壁層として機能する。
【0047】
また、シリコンベースの酸化物から形成されるナノ粒子は、二つの湿潤剤の層の間に位置する形で独立した層として順次添加されてもよい。あるいは、上記ナノ粒子を、順次添加される上記の別の構成要素の層中に配合してもよい。更に、上記ナノ粒子は、注型プロセスの間、あるいはそれに先行して、混合物及び/又は組成物に直接添加してもよい。上記ナノ粒子は、少なくとも一つの固有の特性を有し、それが建築用材料を製造するための組成物に付与される。そのような特性としては、強度の増加、耐久性の増加、熱膨張の減少、色彩の増加、硬度の増加が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0048】
上記の混和剤を、特に以下の図3及び4に記載の本発明の方法と組み合わせることにより、本発明の建築用材料が製造される。混合することにより、コンクリートの全ての特性を有し、欠点の存在しないキャスティング可能なセメント混合物を製造することが可能である。得られる建築用材料は、実質的に重量が減少し、柔軟性が増し、従来のコンクリートの4倍以上の抗張強度を有するものとなる。例えば、従来のコンクリートは通常最高200ポンド(90.7kg)の柔軟強度を有するが、本発明の建築用材料は650〜850ポンド(294.8〜385.6kg)の柔軟強度を有する。
【0049】
本発明の建築用材料は、下記の表1に示すような材料の組み合わせを含む。これらの材料は、通常、乾燥粉末状の材料であって、建築用材料の製造の際に上記の組成物Aとして表される混和剤と結合される。
【0050】
表1:材料
・セメント
・砂又はシリカ
・メタカオリン−ポゾラン(metakatolin−apozzo−lanie)材料
・バーミキュライト又は置換パーライト(Purlite)、雲母等
・繊維
・ポリプロピレン
・ポリエチレン
・ガラス繊維又はその他の繊維材料
・ナノチューブ及びナノ粉末の少なくとも一つ
【0051】
本発明の建築用材料の製造に使用する上記材料の量は、ユーザー毎の用途に伴い変化させることができる。
【0052】
本発明の建築用材料の製造における、組成物Aを含む表1の特定の材料の典型的な組み合わせを、以下の組成物Bに示す。組成物Bは以下のものを含む。
組成物B:
・1袋のセメント(約94ポンド(約43kg))
・50ポンド(22.7kg)の砂
・20ポンド(9.1kg)のバーミキュライト
・5ポンド(2.27kg)のメタカオリン(metakatolin)
・1/4ポンド(113g)のポリプロピレン微小繊維
・1ポンド(453g)のポリプロピレン構造繊維
・1クォート(0.95L)の組成物Aの混和剤
・8ガロン(30.4L)の水
【0053】
上記の材料により、組成物Aの混和剤と結合して完全に安定に統一された粘着性セメント混合物が製造され、様々なセメント製品の製造に使用可能である。得られる建築用材料は、引張強度及び柔軟強度が増加し、重量の減少したコンクリート材料である。
【0054】
加えて、水を農業分野で通常使用する液体又はゲル状の湿潤剤に置換し、混合物への水添加を減少させることにより、得られるセメント材料の強度を増加させ、重量を減少させることが可能となる。これはまた、セメントの過剰な湿潤という課題を克服し、安定かつ均一な混合物の製造を可能にする。更に、セメント混合物にバーミキュライトのように吸収特性を有する軽量の材料を使用する際、軽量の材料内に包含される水分は、通常のコンクリートより長い期間にわたりセメント材料に連続的に放出され、セメント材料を強化する。これは、セメント材料の水和が安定に保たれ、それにより材料の硬化がより強固になり、安定することによる。
【0055】
上記した混和剤及び方法はまた、グラウト、スタッコ及び他のいかなるセメント混合物の混合にも使用可能である。
【0056】
更に、上記の混合技術を、ゴム及びプラスチック材料の形成と組み合わせて用いることもできる。例えば、酢酸塩、PVC、ポリエチレン繊維及びポリプロピレン繊維から形成される粘着性組成物が、混合工程の間に各々の要素の間に位置するように添加されたゲルエマルジョン障壁層を用いることにより製造することができる。これは、混合前の要素間の反応を防止する。更に、前記のナノ粒子、ナノ粉末及びナノチューブの少なくとも一つを、同様の方法で混合物に添加することもできる。
【0057】
添付の図を用い、本願明細書において示される発明の方法、及び本発明の方法を使用して製造される本発明の組成物を説明する。
【0058】
図1は、本発明の混和剤を製造する方法、又は通常互いに反応する要素から形成される混合物を製造する方法を例示するフローチャートである。この図から明らかなように、ステップS2において、混和剤は一定量の超可塑剤のようなカルボキシル化ポリエーテルを添加することから行われる。次に、水、液体湿潤剤又はゲル湿潤剤の少なくとも一つの層が、ステップS4において、超可塑剤の上に配置され、その上に障壁層を形成する。水、液体湿潤剤又はゲル湿潤剤の少なくとも一つによる層の上に、自己硬化剤であるカルボキシル化プロピレンの層が、ステップS6にて配置される。通常、カルボキシル化ポリエーテルがカルボキシル化プロピレンと結合する際、例えば発泡のような化学反応が生じる。しかしながら、水、液体湿潤剤又はゲル湿潤剤の少なくとも一つによる障壁層をそれらの間に位置させることにより、カルボキシル化ポリエーテル及びカルボキシル化プロピレンの間のいかなる反応も最小化又は除去することが可能となる。また、水、液体湿潤剤又はゲル湿潤剤の少なくとも一つから形成される他の障壁層をステップS8においてカルボキシル化プロピレンの層の上に配置することができる。また、脂肪族プロピレン、グリコールエーテルの層を、収縮防止剤としてステップS10においてカルボキシル化プロピレンの上に配置することができる。これらの要素の組み合わせにより形成される混和剤は、建築用材料の製造の際、要素間でのいかなる反応も生じさせずに混合することが可能である。
【0059】
ステップS12において、空気連行剤のような付加的な要素を、最初に水、液体湿潤剤又はゲル湿潤剤の少なくとも一つによる更なる障壁層を配置することにより、混合物に添加することができる。ステップS16において、水、液体湿潤剤又はゲル湿潤剤の少なくとも一つによる更なる障壁層を、更に障壁層の上にカルボキシル化ポリエーテル、カルシウム、硝酸塩及びグルコースアミンのような減水剤の水溶液の層を添加する前に、ステップS14において空気連行剤の上に配置することができる。最後の層と更なる層(例えばステップS18の自己収縮剤、ステップS20の収縮調整剤及びステップS22の減水剤)の間に、障壁層を配置することができる。
【0060】
層を形成する要素を含むバットの断面図を図2(以下参照番号10)に示す。この図から明らかなように、水、液体湿潤剤又はゲル湿潤剤の少なくとも一つの障壁層28は、各々の要素を切り離し、このことにより混和剤の中での要素間のいかなる反応も減少又は防止される。この図から明らかなように、混和剤は、カルボキシル化ポリエーテル(例えば最下層を形成している超可塑剤12)の一定量と共に形成される。自己硬化剤のようなカルボキシル化プロピレン14の層は、カルボキシル化ポリエーテル14の上に、それらの間に水、液体湿潤剤又はゲル湿潤剤の少なくとも一つによる障壁層28を伴って、配置される。水、液体湿潤剤又はゲル湿潤剤の少なくとも一つによる他の障壁層28は、カルボキシル化プロピレンの層の上に配置され、更に脂肪族プロピレン、グリコールエーテル16(例えば収縮防止剤)の層が上記障壁層の上に配置される。すなわち、これらの要素の組み合わせにより形成される混和剤は、建築用材料を製造する際、要素の間でのいかなる反応も生じさせずに混合することができる。
【0061】
空気連行剤18のような添加剤は、脂肪族プロピレン、グリコールエーテル16の層の上に最初に水、液体湿潤剤又はゲル湿潤剤の少なくとも一つによる更なる障壁層28を配置することにより、混合物に添加することができる。水、液体湿潤剤又はゲル湿潤剤の少なくとも一つによる更なる障壁層28は、更に空気連行剤の上に配置することができ、減水剤としてのカルボキシル化ポリエーテル、カルシウム、硝酸塩及びグルコースアミンの水溶液の層20を上記障壁層の上に配置することができる。更に、障壁層を最後の層及び更なる層(例えば自己収縮剤22、収縮調整剤24及び減水剤26)の間に位置することができる。要素を添加する順序を、例として示す。実際には、混和剤の製造のために混合されるまで、水又は湿潤剤により形成される層が層間に位置し、層間の分離を維持することが可能であれば、これらの要素はいかなる順に添加されてもよい。
【0062】
図3は、上記図1及び2に係る混和剤を使用して建築用材料を調製する方法を示すダイヤグラムである。本発明の建築用材料を製造するため、ステップS100において、バーミキュライトのような軽量の充填材の所望の量を、実質的にバーミキュライトを飽和させることが可能な量の水及び湿潤剤の少なくとも一つと配合する。更に、必要に応じて微小繊維をバーミキュライトに添加してもよい。ステップS102において、次に秤量したセメントを飽和したバーミキュライト及び微小繊維に添加する。セメントに加えて、砂、シリカ、並びにガラス繊維又は他の繊維のような他の要素を添加することができる。上記混和剤は、ステップS104にて、セメント及びバーミキュライト/微小繊維の混合物に添加される。この点において、ステップS106において、メタカオリン(metakatolin)(例えばポゾラン材料)を必要に応じて組成物に添加することができる。更に、ステップS108において構造繊維を適当量添加することができる。必要に応じ、又は所望の粘性を得るために、110と表示される矢印によって示されるように、メタカオリン(metakatolin)及び構造繊維を連続的に添加してもよい。この全プロセスは、混合器内で行われ、全工程の間、常に混合される。セメントの添加後、更に水又は湿潤剤を添加する必要性も考えられる。
【0063】
あるいは、このプロセスは図4に示すように静止型混合器400においても実行可能である。この図から明らかなように、建築用材料を製造する際に必要な要素402を静止型混合器400の上部/煙突404から添加し、その中のトラック406、408に沿って連続的に進ませ、要素を常に混合することができる。本発明の混和剤、水又は湿潤剤414の一定量を、その上に配置されるパイプ410を通してミキサーに添加し、バーミキュライトのような軽量の充填材を飽和させ、セメントを湿潤させる。混和剤は、別々、又はセメントに提供される水又は湿潤剤と混合して添加してもよい。混和剤、並びに水又は湿潤剤はタンクのポンプに貯蔵され、圧力により静止型混合器400に供給され、セメントと反応し、糊のような粘着性の織物状の物質が製造される。組成物の要素402が静止型混合器400を通過する間、それらは均質な混合物を形成するように常に混合される。圧力418を静止型混合器400に配置される要素402に印加し、それにより、要素を静止型混合器400に移動させ、要素402全体を押す。圧力418は、例えば窒素又は空気のように、十分な圧力を発生させることが可能ないかなるものにより印加してもよい。更に、静止型混合器400の底部にて、上記の混合組成物から圧力を生じさせる物質を除去する。
【0064】
本発明の混和剤により、欠点のない、成型コンクリートの全ての特徴を有する軽量の材料を製造ことができる。上記の混和剤及び上記方法を使用して製造される材料は、軽量で、コンクリートよりも高い強度を有し、割れにくい特徴を有する。上記方法は、材料を特有の方法により添加することにより新規な物質を構成させる。コンクリート、砂、メタカオリン(metakatolin)、バーミキュライト、繊維、その他の材料は、混和剤と結合されるとこれらの要素間で結合を形成するが、それは通常形成されない結合であり、それにより従来のコンクリートの圧縮による柔軟・引張強度よりも実質的に大きい圧縮による柔軟・引張強度を有するマトリックスを有する製品が得られる。
【0065】
混和剤は、優れた接着性の構成要素を生産するほか、多量のメタカオリン(metakatolin)(混合物へのポゾラン材料)の添加を可能にする。そのようなことは従来は不可能であった。ポゾランとは、ポルトランドセメントの水和から放出される石灰分と反応する、天然の又は工業的に生成された材料である。この反応で、メタカオリン(metakatolin)の添加により、効果的にフリーな石灰が除去され、最終材料を安定なセメント製品に変換する。ポゾランも、セメントペーストの透過性を減少させる。これにより、溶液中の反応性を高める物質の進入の防止に役立ち、また低い透過性により、セメント混合物が硫酸塩、酸、凍結−融解条件、凍結防止用の塩及び海水による攻撃に対し、半永久的に耐久性となる。更に、バーミキュライトのような軽量の充填材が混合物に添加されることにより、最終製品の重量が減少するのみならず、液体及び水の吸収にも役立つ。上記材料は、混合物中の水を徐々に蒸発させるバーミキュライトの存在により、徐々に連続的に硬化する。このように、最終的なセメント製品は絶えず液体を供給され、それにより崩壊する可能性が最小化し、最終製品の強化につながる。
【0066】
加えて、特許請求された本発明の混和剤を、少なくとも一つのナノ粒子及びナノチューブをその中に含む第二の混合物と結合し、セメント材料を製造することができる。ナノ粒子及び/又はナノチューブは、得られる材料の強度を増加させる。更に、得られるセメント材料の重量は、実質的に従来のセメント材料より少ない。あるいは、特に図5及び6にて後述するように、本発明の建築用材料はナノ粒子及び/又はナノチューブを含み、混合工程の間、混合物の全体に均一に分散される。
【0067】
図5は、他の実施例に係る混和剤の製造方法を示すダイヤグラムである。図1と同様に、超可塑剤をステップS500に示すようにバットに添加する。その後、ステップS502で述べるように障壁層を形成させることが重要である。しかしながら、図1において製造される混和剤と異なり、ステップS502において形成される障壁層は、7〜9の間のHLB値を有する非イオン性界面活性剤である湿潤剤から形成される。その後、ステップS504に示すように、収縮調整剤の一定量を、第一の障壁層の上に添加する。非イオン性界面活性剤による上記の第一障壁層は、超可塑剤と収縮調整剤が互いに反応するのを防止する。第二障壁層を、ステップS506に示すように、収縮調整剤及び超過疎剤の層の上に非イオン性界面活性剤を添加することにより形成する。次に、シリコンベースの酸化物から形成されるナノ粒子の層を、ステップS508に示すように第二障壁層の上に添加する。ナノ粒子状のシリコンベースの酸化物は、混和剤において硬度及び支持構造の強度を増強させ、その後セメント材料と結合し、最終的な混合物が製造される。非イオン性界面活性剤による第三の障壁層は、ステップS510のように、ナノ粒子の材料、収縮調整剤及び超可塑剤の層の上に添加される。次に、ステップS512は、ラテックス材の層が混和剤の第三の非イオン性界面活性剤による障壁層の上に添加されることが必要である。最後の第四の非イオン性界面活性剤による障壁層が、ステップS514において、必要に応じてラテックスの層の表面に添加される。以上で、特許請求された本発明の混和剤の、他の実施態様が完成する。その後、ステップS516で、完全に層をなした混和剤が上記のセメント材料と結合され、それにより、増加した引張応力及び硬度を有する建築用材料を製造するための混合物を得ることができ、同時に優れた構造特性を有する建築及び建設用の材料の製造が可能となる。
【0068】
あるいは、ステップS502、S506、S510及びS514において、超可塑剤、収縮調整剤及びナノ粒子間に位置する障壁層として、ラテックスを使用してもよい。更に、シリコン酸化物から形成されるナノ粒子の層を、混和剤の他の層内に散在させてもよい。具体的には、ナノ粒子は、本発明の混和剤におけるラテックス、超可塑剤及び収縮調整剤の少なくとも一つと配合してもよい。
【0069】
本発明の混和剤の製造に使用する各々の構成要素の比率は、多様に変更可能である。しかしながら、各々の要素の量を変更することにより、最終製品の特性(例えば重量、強さ、耐久性及び硬度)が変化する。したがって、生産される製品を、所望の特性になるように変化させることが可能である。本発明の混和剤と共に使用される構成要素のこのような組成の調整は、以下に説明するようなセメント材料を含む最終的な混合物にも適用することができる。構成要素の比率を調整することにより、得られる建築又は建設用材料の特性は変化する。このように、建築又は建設用材料に求められる特性に基づいて、上記の材料を製造することができる。
【0070】
図6は、本発明の他の実施態様に係る混和剤を有するバット600の断面図である。各々の超可塑剤の層602は、バット600の底部に配置される。また、バットは収縮調整剤の層608、シリコンベースの酸化物のナノ粒子の層610及びラテックス材の層612を含む。602、608、610、612各々の層の間に位置するのは、非イオン性界面活性剤から形成される障壁層604である。それは、本発明の建築用材料の製造の際、セメント材料との組み合わせの前に混和剤の個々の構成要素の不必要な混合を予防するため、障壁層を配置することは重要である。要素を隔離した状態に維持し、セメント材料が存在する場合にのみそれらを化合させることは、建築用材料を製造する際に各々の要素が均一に混合されることを確実にするために重要である。この均一な混合により、各々の要素が有する各々の特性が、結果として生じる混合物にも付与され得る。
【0071】
あるいは、シリコンベースの酸化物のナノ粒子の層を取り除き、少なくともラテックス材の層612及び非イオン性界面活性剤の層604と配合してもよい。
【0072】
図5及び6に記載されている混和剤は、特に図3及び4に係る上記の方法のセメント材料と組み合わせることが可能である。発明の混和剤は、シリコンベースの酸化物のナノ粒子を有するため、一度上記のセメント材料と混合されると、それによる優れた強度及び硬度を有する建築又は建設用材料が製造される。シリコンベースの酸化物のナノ粒子(結晶格子のレベルで予め定められた金属を有する)をセメント材料と結合させてもよく、これにより得られる混合物の硬度及び構造的支持力が強化される。更に、非イオン性界面活性剤を包含させることにより、それの強度の維持と共に、得られる建築用材料の重量が顕著に減少する。
【0073】
本発明の混和剤によって、成型コンクリートの全ての特徴を有し、いかなる欠点もない軽量の材料を製造することが可能となる。混和剤を使用し、上で述べられる方法により製造された材料は、通常のコンクリートより軽量であり、より強度が高く、崩壊しにくい。上記方法は、材料を特有の方法にて組み合わせることにより、新規な物質を提供する。コンクリート、砂、メタカオリン(metakatolin)、バーミキュライト、繊維、その他の材料は、混和剤と結合されるとこれらの要素間で結合を形成するが、それは通常形成されない結合であり、それにより、実質的に従来のコンクリートの圧縮による柔軟・引張強度よりも数倍大きい圧縮による柔軟・引張強度のマトリックスを有する製品が得られる。本発明の混和剤を用い、上記方法により製造される混合材料は、新規な最終製品の製造を可能にする。例えば、上記混合材料は、軽量の薄いパネルの製造に使用可能であり、非常に安価でフォーム、金属及び/又は木材を被覆し、非常に高価な切り石、大理石、石灰岩、木などの外観を与える用途に使用可能である。すなわち、得られる混合物がシリコンベースの酸化物のナノ粒子を含むことは、その材料が有する強化されたかき傷耐性が均一に与えられる意味で重要である。かき傷耐性の強化により、上記材料は、建築用材料を崩壊させ、その構造的完全性に影響を及ぼしかねないような、他の物体との突発的及び故意の接触に対して、顕著な抵抗力を有する。
【0074】
加えて、本発明の混和剤は、バーミキュライト、ナノ粒子、ナノチューブ及び繊維材料の少なくとも一つの添加が可能な態様で、材料の調製において粘性を様々に調整してもよい。この粘性は、粘度調整剤の添加により更に増加させてもよく、組成物の粘性を異なる用途に向けて多様に調整することを可能にする。このように、この混和剤は、プラスチックと同様、セメント材料を含む多くの分野に適用することができる。
【0075】
上記の、及びそれに関連した課題を解決するために、本発明は添付の図面において例示される態様で実施するのが望ましい。但し、それらの図面は飽くまで例示に過ぎず、添付の請求の範囲で記載した範囲内にて、上記で例示及び記載された特定の建設用途に応じて変更することができる。
【0076】
上記の要素の各々、又はその二つ以上を合わせたものを用い、上記とタイプが異なる他の方法における有用な応用法が発見可能であると考えられる。
【0077】
本発明の特定の新しい特徴が添付の請求の範囲において開示、記載及び示されているが、それは上記の詳細な説明に限定されることを意味するものではない。なぜなら、当業者であれば、本発明の思想から逸脱しないあらゆる形で、例示される装置の形及びその詳細、並びにそのための操作方法に対する様々な省略、変更、置換及び変化を加えることが可能であると考えられるからである。
【0078】
更に検討するまでもなく、以上より本発明の要旨が明確となり、それにより第三者が、公知技術を利用して、従来技術の見地から、本発明の一般的又は特殊な態様における本質的特徴の大部分を構成する特徴を省略することなく様々な用途にそれら応用し得ると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】混和剤の製造方法を例示するフローチャートである。
【図2】混合する前の、混和剤を構成する要素が階層化しているバットを示す断面図である。
【図3】混和剤を含む建築用材料を製造する方法を示すダイヤグラムである。
【図4】建築用材料を構成する要素を混合する際に使用する静止型混合器の斜視図である。
【図5】本発明の他の実施態様に係る混和剤の製造方法を例示するフローチャートである。
【図6】他の実施態様に係る混和剤の層を示す断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の反応性化学物質間の反応を最小化する方法であり、以下の工程:
a)第一化学物質を添加する工程;
b)第一障壁層を添加し、その第一障壁層を前記の第一化学物質の上に積層させる工程;
c)第二化学物質を添加し、その第二化学物質を前記の第一障壁層の上に積層させる工程;
d)第二障壁層を添加し、その第二障壁層を前記の第二化学物質の上に積層させる工程;
e)更なる化学物質を添加し、その更なる化学組成物を前記の第二障壁層の上に積層させる工程;
f)上記の組成物及び障壁層を均一に混合し、それにより第一、第二及び更なる化学物質の各々を均一に分散させて混合物を形成し、そこにおいてそれらの化学物質が密度の減少を目的として添加される工程;
を含む方法。
【請求項2】
前記の添加工程が、化学物質を静止型混合器に添加する工程である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ナノ粒子を添加する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
予め定められた型に混合物を注型するための注型剤を添加する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
建設用材料及び建築用材料の少なくとも一つを製造するために、セメント材料及びバーミキュライトを添加する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
建設用材料及び建築用材料の少なくとも一つを製造するために、プラスチック材料及びバーミキュライトを添加する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
建設用材料及び建築用材料の少なくとも一つを製造するために、ゴム材料及びバーミキュライトを添加する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
a)第一化学物質;
b)第二化学物質;及び
c)前記の第一化学物質及び第二化学物質の相互作用を防止するためにそれらの間に配置される少なくとも一つの障壁層;
からなる組成物であり、予め定められた規則に従って混合することにより、全体にわたり均一に前記の第一化学物質及び第二化学物質の各々が分散された混合物が製造される、前記組成物。
【請求項9】
前記組成物が、建設用材料を製造する前にその選択的な注型を可能とする注型剤を更に含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
ナノ粒子を含む第三の化学組成物を更に含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
前記の第一化学物質及び前記の第二化学物質の少なくとも一つ、並びに前記の障壁層の少なくとも一つが、ナノ粒子を更に含み、共に一体的に形成される、請求項8に記載の組成物。
【請求項12】
前記注型剤がナノ粒子を更に含み、共に一体的に形成される、請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
前記の少なくとも一つの障壁層が、水、界面活性剤、水と界面活性剤の混合物及び湿潤剤の少なくとも一つである、請求項8に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物が、少なくとも一つの基材及び注型材料を製造するための複数の材料と選択的に配合することが可能である、請求項8に記載の組成物。
【請求項15】
バーミキュライト、セメント、パーライト、砂、シリカ、プラスチック、ゴム、メタカオリン−ポゾラン材料、雲母、ポリプロピレン、ポリエチレン、ガラス繊維及び他の繊維状材料の少なくとも一つを更に含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記第一化学物質が、超可塑剤、自己硬化剤、収縮防止剤及び空気連行剤の少なくとも一つを含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項17】
前記第二化学物質が、超可塑剤、自己硬化剤、収縮防止剤及び空気連行剤の少なくとも一つを含み、前記第一化学物質が前記第二化学物質と異なる、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
第三化学物質を更に含み、前記第三化学物質が、前記第三化学物質と第二化学物質との間の位置に、複数の障壁層のうちの一つを有する、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記第三化学物質が、超可塑剤、自己硬化剤、収縮防止剤及び空気連行剤の少なくとも一つを含み、前記第三化学物質が前記第一化学物質及び前記第二化学物質の各々と異なる、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
a)少なくとも一つの基材及び注型材料;並びに、
b)混和剤
を含む組成物であり、前記の混和剤が、
(i)超可塑剤、
(ii)自己硬化剤、
(iii)収縮防止剤、及び
(iv)複数の障壁層
を含み、そこにおいて、前記の混和剤を製造するときに、前記の複数の障壁層のうちの一つが、前記の混和剤の各々の隣接した要素の間に配置され、それらが混合するのを防止し、それにより前記の要素の間で生じる反応が最小化され、それらに関連する各々の特性が維持され、
前記の混和剤が前記の基材と配合され、前記の組成物を形成するために混合されるとき、前記の混和剤は前記の組成物の全体にわたって均一に分散され、それにより、前記の基材及び注型材料の少なくとも一つと、前記の混和剤の各々の要素が互いに結合する、前記組成物。
【請求項21】
前記障壁層の各々の一つが、水、界面活性剤、水と界面活性剤の混合物及び湿潤剤の少なくとも一つである、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記湿潤剤が、液体湿潤剤及びゲル湿潤剤の少なくとも一つである、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記超可塑剤が、カルボキシル化ポリエーテルである、請求項20に記載の組成物。
【請求項24】
前記自己硬化剤が、カルボキシル化プロピレンである、請求項20に記載の組成物。
【請求項25】
前記収縮防止剤が、脂肪族プロピレン及びグリコールエーテルの少なくとも一つである、請求項20に記載の組成物。
【請求項26】
障壁層の上に配置される減水剤の層を更に含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項27】
前記減水剤が、一定量のカルボキシル化されたポリエーテル、カルシウム、硝酸塩及びグルコースアミンを含む水溶液である、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
障壁層の上に配置される自己充填剤を更に含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項29】
一定量の自己充填剤を更に含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項30】
一定量の収縮調整剤を更に含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項31】
一定量の収縮調整剤を更に含む、請求項29に記載の組成物。
【請求項32】
一定量の撥水剤を更に含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項33】
一定量の撥水剤を更に含む、請求項31に記載の組成物。
【請求項34】
前記混和剤が、一定量のナノ粒子を更に含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項35】
前記混和剤が、一定量のナノ粒子を更に含む、請求項33に記載の組成物。
【請求項36】
前記組成物が、一定量のナノ粒子を含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項37】
前記の基材及び注型材料の少なくとも一つが、セメント、バーミキュライト、プラスチック及びゴムの少なくとも一つを含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項38】
前記の基材及び注型材料の少なくとも一つが、パーライトを更に含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
前記基材及び注型材料の少なくとも一つが、雲母を更に含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項40】
前記基材及び注型材料の少なくとも一つが、砂及びシリカの少なくとも一つを更に含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項41】
前記基材及び注型材料の少なくとも一つが、メタカオリンを更に含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項42】
前記基材及び注型材料の少なくとも一つが、ポリプロピレン微小繊維を更に含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項43】
前記基材及び注型材料の少なくとも一つが、ポリプロピレン構造繊維を更に含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項44】
前記混和剤が、空気連行剤、粘度調整剤及び非イオン系界面活性剤の少なくとも一つを更に含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項45】
a)一定量の基材及び注型材料の少なくとも一つを、水及び湿潤剤の少なくとも一つと配合し、基材及び注型材料の少なくとも一つを飽和させる工程;
b)混和剤を前記の飽和した基材及び注型材料と配合する工程
(ここで、前記の混和剤が、
(i)超可塑剤;
(ii)自己硬化剤;
(iii)収縮防止剤;及び
(iv)複数の障壁層
を含み、前記の複数の障壁層のうちの一つが、前記の混和剤の各々の要素の間に配置され、要素の間での混合が防止され、これにより各々の要素において、それに関連する特性が維持される);
c)基材、注型材料及び混和剤の少なくとも一つによる混合物を連続的に混合する工程;及び
d)組成物を形成する工程であり、そこにおいて前記の混和剤の各々の要素が組成物の全体にわたり均一に分散され、前記の混和剤の要素が基材及び注型材料の少なくとも一つの各々と結合し、前記の混和剤の要素と関連した特性を有する、工程;
を含む、組成物の製造方法。
【請求項46】
基材及び注型材料の少なくとも一つが、セメント、バーミキュライト、プラスチック及びゴムの少なくとも一つである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
砂、シリカ及び繊維状ガラスの少なくとも一つを、前記の混合物と配合する工程を更に含む、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
メタカオリンを前記の混合物と配合する工程を更に含む、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
微小繊維状材料を前記の混合物と配合する工程を更に含む、請求項45に記載の方法。
【請求項50】
前記の方法が、静止型混合器において行われる、請求項45に記載の方法。
【請求項51】
前記混和剤を結合する前記工程が、そこへ一定量のナノ粒子を配合する工程を更に含む、請求項45に記載の方法。
【請求項52】
ナノ粒子を前記混合物と配合する工程を更に含む、請求項45に記載の方法。
【請求項53】
前記混和剤を配合する前記工程が、空気連行剤、粘度調整剤及び非イオン系界面活性剤の少なくとも一つをそこに配合する工程を更に含む、請求項45に記載の方法。
【請求項54】
前記障壁層の各々の一つが、水、界面活性剤、水と界面活性剤の混合物及び湿潤剤の少なくとも一つである、請求項45に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2008−504987(P2008−504987A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−519382(P2007−519382)
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/023049
【国際公開番号】WO2006/004813
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(507002088)カーペンタークリート エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】