説明

粘着シートおよび粘着テープ

【課題】回収された非粘着性台紙の有効利用を図り、環境面で有利な構造を実現すること。
【解決手段】粘着シート10は、矩形シート状に形成され、積層体11を複数厚さ方向に重ね合わせて構成される。粘着シート10は、例えば、紙材からなる台紙12と、台紙12の一方の表面12a側にコーティングされたシリコン等のコーティング剤からなる非粘着層13と、台紙12の他方の表面12b側に形成されたインク層14と、台紙12の他方の表面12bおよびインク層14上に塗布された粘着剤からなる粘着層15と、を備えたシート状の積層体11を、非粘着層13上に粘着層15が配置されるように厚さ方向に複数重ね合わせた構造からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールラベルに用いられる粘着シートおよび粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、一般に、例えば製品に貼付するラベルや様々な用途に用いられるシールなどのシールラベルとしては、多種多様なものが知られている。このようなシールラベルは、例えば粘着層を介して非粘着性台紙があらかじめ裏張りされた用紙に、特定情報を印刷したものが一般的である。本出願人は、このようなシールラベルのインク層上に剥離層を付与して、非粘着性台紙を剥がして取り除きつつ、ラベル部分を巻き取り、同時に非粘着性台紙を回収することによって、非粘着性台紙のリサイクルを可能にし、ゴミの増加を抑え環境に及ぼす影響が少ないシールラベルの製造方法を提案している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3076871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の方法で回収された非粘着性台紙は、表面にシリコン等のコーティング剤が施してあるため、取り扱いが困難である。
【0005】
本発明は、このような回収された非粘着性台紙の有効利用が可能で、環境面で有利な構造を備える粘着シートおよび粘着テープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る粘着シートは、紙材からなる台紙と、該台紙の一方の表面側にコーティングされたシリコン等のコーティング剤からなる非粘着層と、前記台紙の他方の表面側に形成されたインク層と、前記台紙の他方の表面および該インク層上に塗布された粘着剤からなる粘着層と、を備えたシート状の複数の積層体を前記非粘着層上に前記粘着層が配置されるように重ね合わせてなることを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、回収された非粘着を有する台紙の有効利用が図れ、環境面で有利な構造を実現することができる。
【0008】
また、本発明に係る粘着シートにおいては、前記台紙および前記非粘着層は非粘着性台紙を形成し、前記非粘着性台紙は、あらかじめ前記非粘着性台紙が裏張りされたシールラベルから回収されたものであり、前記インク層は紫外線硬化型インクからなり、前記粘着層は水溶性粘着剤からなる。この場合においても、取り扱いが容易で回収された非粘着性台紙の有効利用が図れるとともに環境面で有利な構造を実現することができる。
【0009】
さらに、本発明に係る粘着シートにおいては、前記台紙は紙またはフィルムであり、前記インクは紫外線硬化型インクまたはグラビアインクであり、前記粘着剤は水溶性粘着剤、ホットメルトおよび溶剤系粘着剤のうちの一つである。
【0010】
本発明に係る粘着テープは、紙材からなる台紙と、該台紙の一方の表面側にコーティングされたシリコン等のコーティング剤からなる非粘着層と、前記台紙の他方の表面側に形成されたインク層と、前記台紙の他方の表面および該インク層上に塗布された粘着剤からなる粘着層と、を備えたテープ状の積層体を前記非粘着層上に前記粘着層が配置されるように巻き取ってなることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、回収された非粘着層を有する台紙の有効利用が図れ、環境面で有利な構造を実現することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、回収された非粘着性台紙の有効利用が図れ、環境面で有利な構造を備える粘着シートおよび粘着テープを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る粘着シートの全体構成の一例を示す外観斜視図である。
【図2】同粘着シートを構成する積層体の構造の一例を示す断面図である。
【図3】同粘着シートを構成する積層体の積層構造の一例を示す断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る粘着テープの全体構成の一例を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明に係る粘着シートおよび粘着テープの実施形態について図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る粘着シートの全体構成の一例を示す外観斜視図である。また、図2は、同粘着シートを構成する積層体の構造の一例を示す断面図である。また、図3は、同粘着シートを構成する積層体の積層構造の一例を示す断面図である。
【0016】
図1に示すように、粘着シート10は、例えば矩形シート状に形成され、積層体11を複数厚さ方向に重ね合わせて構成されている。このような構成の粘着シート10は、図2に示すように、例えば、紙材からなる台紙12と、この台紙12の一方の表面12a側にコーティングされたシリコン(Si)などのコーティング剤からなる非粘着層13と、台紙12の他方の表面12b側に形成されたインク層14と、台紙12の他方の表面12bおよびインク層14上に塗布された粘着剤からなる粘着層15と、を備えたシート状の積層体11を、図3に示すように、非粘着層13上に粘着層15が配置されるように厚さ方向に複数重ね合わせた構造からなる。
【0017】
台紙12は、例えば通常入手可能なタック紙であり、リンテック株式会社製のSS上質タック紙、SSホイルタック紙、SSアートタック紙、SSグロスタック紙、王子タック社製の上質タック紙、ミラコートタック紙、ホイルタック紙、およびアートタック紙などが好適であるが、これらに限定されるものではなく、フィルムを用いてもよい。また、台紙12は、その片面(他の表面12b)にインク層14を形成し得る材質のものであれば特に限定されるものではない。この台紙12は、従来のシールラベルの粘着紙の台紙(すなわち、非粘着性台紙)をリサイクルしたものであってもよい。
【0018】
非粘着層13は、台紙12の一方の表面12a側にコーティングされたシリコンなどの滑り剤(コーティング剤)からなる。なお、上述したようにシールラベルに裏張りされた台紙12を非粘着性台紙として回収した場合は、この非粘着層13と台紙12とで非粘着性台紙を構成する。インク層14は、台紙12の他方の表面12b側に、例えば印刷によって形成され、台紙12の材質に応じて適宜決定されるものであり、例えば鉱油性インク、乾性植物油インク、樹脂性インクなどが好適であるが、紫外線硬化型インクやグラビアインクであってもよい。
【0019】
粘着層15は、この表面12bおよびインク層14上に塗布された少なくとも1種類の粘着剤からなり、例えば水溶性粘着剤が環境面においても好適であり、アクリルエマルション樹脂系粘着剤、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、アクリル樹脂系粘着剤、ウレタン樹脂系粘着剤、シリコン樹脂系粘着剤、ポリビニルエーテル樹脂系粘着剤などが好適である。その他、ホットメルトや溶剤系粘着剤を用いることもできる。
【0020】
このように構成された粘着シート10によれば、従来のシールラベルのように剥離層(剥離紙)や保護層などが不要となる。また、シールラベルに裏張りされた非粘着性台紙をリサイクルして粘着シート10の台紙12(非粘着層13を含む)として使用することができる。このため、回収された非粘着層13を有する台紙12(非粘着性台紙)の有効利用が図れ、環境面で有利な構造を実現することができる。
【0021】
また、この粘着シート10によれば、インク層14が粘着層15と台紙12の表面12bとの間に形成されているため、粘着層15とインク層14との接着力をインク層14と台紙12との接着力より高く(強く)設定すれば、台紙12を貼着物に対して貼り付けた後に、台紙12を貼着物から剥がそうとするとインク層14も破断して剥がれる構造を実現することができる。このため、インク層14によって特定情報(文字や絵柄など)を構成している場合は、いわゆる開封防止ラベルなどの用途で用いることができ、改竄防止などの用途に使用することもできる。
【0022】
図4は、本発明の他の実施形態に係る粘着テープの全体構成の一例を示す外観斜視図である。なお、以降において、既に説明した部分と重複する箇所には同一の符号を付して説明を省略する。図4に示すように、粘着テープ20は、例えばテープ状に形成され、図2に示した積層体11を非粘着層13上に粘着層15が配置されるようにロール芯21を中心に巻き取って構成されている。積層体11の構造については上述した粘着シート10と同様であるためここでは説明を省略する。なお、ロール芯21を用いずに巻き取って構成されていてもよい。
【0023】
このように構成された粘着テープ20によれば、従来のシートラベルのように剥離層(剥離紙)や保護層などが不要となる。また、シールラベルに裏張りされた非粘着性台紙をリサイクルして粘着テープ20の台紙12(非粘着層13を含む)として使用することができる。このため、回収された非粘着層13を有する台紙12(非粘着性台紙)の有効利用が図れ、環境面で有利な構造を実現することができる。また、この粘着テープ20によれば、上記粘着シート10と同様に、いわゆる開封防止ラベルなどの用途で用いることができ、改竄防止などの用途に使用することが可能となる。
【符号の説明】
【0024】
10…粘着シート、11…積層体、12…台紙、13…非粘着層、14…インク層、15…粘着層、20…粘着テープ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙材からなる台紙と、
該台紙の一方の表面側にコーティングされたシリコン等のコーティング剤からなる非粘着層と、
前記台紙の他方の表面側に形成されたインク層と、
前記台紙の他方の表面および該インク層上に塗布された粘着剤からなる粘着層と、を備えたシート状の複数の積層体を前記非粘着層上に前記粘着層が配置されるように重ね合わせてなる
ことを特徴とする粘着シート。
【請求項2】
前記台紙および前記非粘着層は非粘着性台紙を形成し、
前記非粘着性台紙は、あらかじめ前記非粘着性台紙が裏張りされたシールラベルから回収されたものであり、前記インク層は紫外線硬化型インクからなり、前記粘着層は水溶性粘着剤からなることを特徴とする請求項1記載の粘着シート。
【請求項3】
前記台紙は紙またはフィルムであり、
前記インクは紫外線硬化型インクまたはグラビアインクであり、
前記粘着剤は水溶性粘着剤、ホットメルトおよび溶剤系粘着剤のうちの一つであることを特徴とする請求項1または2記載の粘着シート。
【請求項4】
紙材からなる台紙と、
該台紙の一方の表面側にコーティングされたシリコン等のコーティング剤からなる非粘着層と、
前記台紙の他方の表面側に形成されたインク層と、
前記台紙の他方の表面および該インク層上に塗布された粘着剤からなる粘着層と、を備えたテープ状の積層体を前記非粘着層上に前記粘着層が配置されるように巻き取ってなる
ことを特徴とする粘着テープ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−43285(P2010−43285A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−262625(P2009−262625)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3131206号
【原出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(595013656)株式会社マツザキ (6)
【Fターム(参考)】