説明

糖尿病患者を教育し、治療するためのバーチャルペイシェント(仮想患者)ソフトウェアシステム

糖尿病患者の治療の展開に関わる個人を支援するシステムであり、ユーザインターフェイス制御モジュールと、シミュレーションエンジンと、チャート作成(charting)および表示モジュールと、を備える。ユーザインターフェイス制御モジュールは、患者に関連するインプットを受信するとともに、最新のシミュレーションを取得する。シミュレーションエンジンは、インプットを受信し、インプットに基づく最新のシミュレーションまでの患者の複数の血糖測定値(blood glucose readings)を生成し、この複数の血糖測定値を転送する。チャート作成および表示モジュールは、この複数の血糖測定値を受信し、この複数の血糖測定値を表示する。シミュレーションエンジンは、選択された患者モデルに基づいて患者パラメータライブラリ(patient parameter library)から患者パラメータを受信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一般に糖尿病患者へのインシュリン投与を管理する上で、患者と医師を支援する方法および装置に関する。具体的には、本発明は、患者および/またはメディカルプロフェッショナル(medical professional)がインシュリン投与、食物摂取、および運動プログラムのさまざまな局面の変更に応答する血糖値を監視できるようにするバーチャルペイシェント(Virtual Patient)ソフトウェアシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
血糖の代謝は、無数のプロセスによって制御され、主要な効果のインプット、食物、運動の大幅な変動に対しても正常血糖になるように最適化される。疾病は、1つまたは複数の生物学的なプロセスにおける制御不能によって特徴付けられる。疾病管理は、治療できない苦痛に悩まされている患者のための1つの解決策である。換言すると、重要性のあるパラメータを注意深く監視し、インシュリン注射など(毎日複数回のインシュリン注射またはインシュリンポンプによるインシュリンの連続的な皮下注入(subcutaneous insulin infusion))の是正処置を併用することで、効果的な疾病管理が実現する。
【0003】
たとえば、糖尿病患者は内因性の血糖(BG)制御機能がほとんどまたは全くないので、インシュリンの注射または注入を行うことによって血清グルコース(serum glucose)の許容範囲を超える変動を調整する必要がある。糖尿病は深刻な疾病であり、その発生率は過去20〜30年の間に増加してきている。研究によれば、血糖値を厳格に管理することで合併症が飛躍的に削減されることが示されている。血糖値を厳格に管理するには、こうした状態にある患者が、血糖測定値を集中的に監視し、頻繁にインシュリンを注射して血糖値の許容範囲を超える変動に対処し、かつ/またはインシュリンポンプを使用したインシュリンの定期的な注入によって許容可能な血糖値を維持することを必要とする。
【0004】
技術の進歩により、患者はインシュリン注射またはインシュリン注入を自宅で行えるようになり、さらに血糖値を自宅で監視できるようになっている。血糖値の監視には、ユーザが指に刺し傷を付けてフィンガーストリップ(fingerstrip)に血液を絞り出し、血糖メーターを使用して血糖値を測定する家庭用の血糖測定システムが必要である。このようなタイプの測定値では、ユーザは指定された時点での血糖測定値を取得できるが、正確な血糖値が連続的に得られるわけではない。具体例で説明すると、時間の経過に伴う血糖値を表示するグラフでは、フィンガーストリップの測定値を利用する場合は、ユーザの測定値に対応するデータポイントのみが表示され、次回のフィンガースティック(finger sticks)が行われるまでの血糖値の変動は表示されない。したがって、患者だけでなくメディカルプロフェッショナルでも、データポイント間を連結する血糖値曲線の形状を完全な精度で予測することはできない。
【0005】
患者は、患者の皮膚の一部(臀部周辺、臀部右上、腹部付近など)に挿入する皮下グルコースセンサーを(sub-cutaneous glucose sensor)使用して患者の血糖値を測定することもできる。グルコースセンサーは、定期的に血糖値を監視できる。特定の動作条件の下では、グルコースセンサーは連続的に血糖値を監視できる。したがって、より多くの測定値が得られるので、患者の血糖値をより正確に図示できる。
【0006】
こうしたツールによって特定の期間(一定の時間を超える)における患者の血糖値を十分に把握することはできるが、患者またはメディカルプロフェッショナル(たとえば、医師、ナースプラクティショナー(nurse practitioner)、または患者)に対して、特定の摂取または処置が患者の血糖値に及ぼす影響に関するシミュレーション情報を迅速に(リアルタイムで)提供する教示または教育用のツールはない。さらに、患者に対して、特定の摂取または処置が実際の患者の血糖値に及ぼす影響に関するパーソナライズされた情報を、迅速にまたはリアルタイムで提供するツールもない。対話型の糖尿病アドバイザソフトウェア(Interactive Diabetes Advisor software)AIDAを使用すると、システムのユーザは、イントラネットを経由して指定された期間(たとえば24時間)についてユーザの予想される食事、運動スケジュール、および予測されるインシュリン摂取(ボーラス投与(boluses)、注射、および/またはインシュリンポンプによる)を入力できる。AIDAソフトウェアは、ユーザが指定したインプットに基づいて血糖値を予測する。このソフトウェアは、スケジュールを非常に厳格に管理され、常にこれに従うことができる患者には有効と考えられるが、リアルタイムの環境では正確な結果が得られない。AIDAソフトウェアは、リアルタイムまたはリアルタイムに近い対話を実現するようには設計されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、糖尿病患者およびメディカルプロフェッショナルの両方に対して、特定の摂取およびイベントが血糖値に及ぼす影響を説明し、この情報を読みやすく、わかりやすいユーザ用の形式で表示する対話型のビジュアルな教育ツールを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態では、バーチャルペイシェントソフトウェアは、仮想患者のモデルを利用した教育的な方式で利用できる。患者または医師は、バーチャルペイシェントソフトウェアを教育的な方式で利用してもよい。本発明の一実施形態では、患者モデルは患者専用に開発され、患者のインシュリンポンプまたはインシュリンセンサーはバーチャルペイシェントソフトウェアに測定値と情報を提供できるので、バーチャルペイシェントソフトウェアはむしろ実際の患者を管理するツールとして変形することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明について、方法、装置、およびコンピュータプログラム製品の流れ図を参照して以下で説明する。流れ図の各ブロックおよび流れ図の複数ブロックの組合せは、コンピュータプログラムの命令によって実装できる(図面で説明する任意のメニュー画面で可能である)。このようなコンピュータプログラムの命令がコンピュータまたはその他のプログラム可能なデータ処理装置にロードされてマシンを生成し、こうした命令がコンピュータまたはその他のプログラム可能なデータ処理装置上で実行されることによって、流れ図の一ブロックまたは複数ブロックで指定された機能を実装するための命令を作成できる。また、このようなコンピュータプログラムの命令は、コンピュータ可読メモリ内に格納され、コンピュータまたはその他のプログラム可能なデータ処理装置に対して特定の方式で機能するように指示できる。このように、コンピュータ可読メモリ内に格納された命令は、流れ図の一ブロックまたは複数ブロックで指定された機能を実装する命令を含む製品を作成できる。コンピュータプログラムの命令は、コンピュータまたはその他のプログラム可能なデータ処理装置にロードされ、コンピュータまたはその他のプログラム可能なデータ処理装置で一連の動作可能なステップを実行してコンピュータに実装されるプロセスを生成し、コンピュータまたはその他のプログラム可能なデータ処理装置で実行される命令によって、流れ図の一ブロックまたは複数ブロック、および/または本明細書に示すメニューで指定された機能を実装するステップを提供することもできる。
【0010】
図1Aは、本発明の一実施形態によるバーチャルペイシェントソフトウェアプログラムが組み込まれたコンピューティングデバイスを示すブロック図およびデータフロー図である。コンピューティングデバイス100には、バーチャルペイシェントソフトウェア105が組み込まれている。図1Aに示す本発明の実施形態では、バーチャルペイシェントソフトウェア105には、チャート作成および表示モジュール110、ユーザインターフェイス制御モジュール120、食物データライブラリ125、患者パラメータライブラリ115、およびシミュレーションエンジン150が含まれている。本発明の一実施形態では、バーチャルペイシェントソフトウェア105には内蔵シナリオライブラリ(stored scenarios library)130が含まれていてもよい。
【0011】
バーチャルペイシェントソフトウェア105をホストするコンピューティングデバイス100は、デスクトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、サーバー、ネットワークコンピュータ、携帯情報端末(PDA: personal digital assistant)、コンピュータの機能を備える携帯電話、ディスプレイ付きのインシュリンポンプ、ディスプレイ付きのグルコースセンサー、ディスプレイ付きのグルコースメーター、および/またはインシュリンポンプ/グルコースセンサーの組合せのいずれでもよいが、これらに限定はされない。また、コンピューティングデバイス100は、ノートブックコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ネットワークコンピュータ、またはPDAにインストールされたブラウザを使用してアクセスできるインターネット上のサーバーでもよい。
【0012】
本発明の一実施形態では、バーチャルペイシェントソフトウェア105はコンピューティングデバイス100にインストールされていてもよい。ただし、コンピューティングデバイス100にはMicrosoft.NET(登録商標)フレームワークが含まれている。本発明のその他の実施形態では、バーチャルペイシェントソフトウェア105はJava(登録商標)プログラミング言語で記述され、Java(登録商標)対応マシンにインストールされていてもよい。
【0013】
コンピューティングデバイス100上でバーチャルペイシェントソフトウェア105が起動すると、ユーザインターフェイス制御モジュール120によって入力画面が表示され、ユーザは動作モードを選択できる。具体例で説明すると、動作モードには患者シミュレーションモードまたはメディカルプロフェッショナル(たとえば、医師またはナースプラクティショナー)シミュレーションモードを含めてもよい。本発明の別の実施形態では、動作モードには、患者対話モードまたはメディカルプロフェッショナル対話モードを含めてもよい。本発明の一実施形態では、ユーザインターフェイス制御モジュール120は、動作モードごとに異なるWebページまたはアクティブサーバーページにアクセスでき、こうしたページを格納できる。たとえば、ユーザインターフェイス制御モジュール120には、患者シミュレーションモード用の多くのWebページ、アクティブサーバーページ、またはスクリーンショットを含めることができる。あるいは、こうしたWebページ、アクティブサーバーページ、またはスクリーンショットにアクセスできる。ユーザインターフェイス制御モジュール120には、さらにWebページ、アクティブサーバーページ、またはスクリーンショットが相互に対話する方法を指定する情報を含めてもよい。
【0014】
本発明の一実施形態では、医師のモードが選択された場合に(たとえばメディカルプロフェッショナルモード)、ユーザインターフェイス制御モジュール120は、内蔵シナリオライブラリ130にアクセスして選択された患者モデルに該当するシナリオを抽出してもよい。特定の動作条件の下では、内蔵シナリオライブラリ130から提供された情報は、ユーザインターフェイス制御モジュール120に転送される。その他の動作条件の下では、ユーザインターフェイス制御モジュール110は、インプット、イベント、またはアクティビティの入力に応答して内蔵シナリオライブラリ130にアクセスしてもよい。また、患者モードのバーチャルペイシェントソフトウェア105が選択された場合は、以下で説明するように、ユーザインターフェイス制御モジュール120は、内蔵シナリオライブラリ130を利用してバーチャルペイシェントソフトウェアにユーザが選択できるさまざまなシナリオのデータを提供することもできる。
【0015】
このモードが選択されると、ユーザインターフェイス制御モジュール120によって複数の患者代謝モデル(患者モデルと呼ぶこともできる)が表示される。患者モデルを使用すると、さまざまなイベントやアクティビティに対する患者の反応をシミュレートしたり、さまざまなイベントやアクティビティに対する実際の反応を提供したりする。患者パラメータライブラリ115には、さまざまな患者モデルのさまざまなパラメータが格納される。たとえば、6人の患者を選択できる場合は、患者パラメータライブラリ115内に6つの患者パラメータセットを格納できる。患者パラメータライブラリ115内に複数の患者パラメータセットが格納されている場合に、ユーザは多くの代謝モデル(たとえば、低年齢の小児、妊娠性糖尿病の女性、または成人発症型糖尿病の中年男性などに対応するモデル)の中から選択することができる。
【0016】
本発明の実施形態では、患者パラメータは、実際の患者のものでも仮想患者(たとえば特定の特性を備える患者)のものでもよい。糖尿病の治療に使用する多くの代謝モデルが開発されており、当業者に知られている。本発明の一実施形態では、後で説明するように、新しい代謝モデルで患者パラメータライブラリの患者パラメータを利用し、この新しい代謝モデルからシミュレーションエンジンに数学的アルゴリズムを提供することによって、シミュレーションエンジン150で数学的アルゴリズムを実行できるようにしてもよい。
【0017】
Medtronic MiniMed(メドトロニックミニメッド)社のモデルは、最小限の仮定セットに基づいている。インシュリンの一度のボーラス投与に応答する仮定または測定されたインシュリンのプロフィールは、インパルス応答I(t)として求められる。この応答から、任意のインシュリン投与(たとえばインシュリンポンプによる)のプラズマインシュリン濃度(plasma insulin concentration)(Ip(t))は、以下のようにインパルス応答(I(t))と任意のインシュリン投与(ID(t))プロフィールとの畳み込み(convolution)によって記述される。
【0018】
【数1】

【0019】
好ましい実施形態では、I(t)は、以下のように2つの時間遅延(l/αlおよび1/α2、分単位)とスケーリング係数(scaling factor)"A"(インシュリン濃度の単位、通常はμU/mlまたはpmol/L)とで特徴付けられる2を底とする指数曲線(biexponential curve)によって記述される。
【0020】
【数2】

【0021】
実装しやすいように、式1と式2は以下の連立微分方程式で表すことができる。
【0022】
【数3】

【0023】
ただし、変数Ir(t)はリモートコンパートメント(remote compartment)のインシュリンを表す。
【0024】
インシュリンは、周辺のグルコース吸収率(uptake)を向上させ、内因性のグルコース生成を抑えることによって、グルコース濃度(glucose concentration)の変化に影響を及ぼす。グルコース吸収率はグルコース濃度に比例すると仮定され、内因性のグルコース生成はグルコース濃度に反比例すると仮定される。いずれの場合も、インシュリンの効果は比例の割合(proportional rate)が高くなることである。全体的な効果はプラズマインシュリン濃度の変化と同時には発生しない。好ましい実施形態では、2つの効果の遅延時間は同じであると仮定されており、完了時間(time complete time)プロフィール(X(t))は次の一次微分方程式で表される。
【0025】
【数4】

【0026】
この式で、Ip(t)はプラズマインシュリン濃度(式2)、IBは望ましい基底レベルのグルコース濃度(GB)を維持するために必要な基底インシュリン濃度であり、l/p2はインシュリン処置の時定数(分)を定義し、さらにp3/p2は被験者(subject)のインシュリン感受性(insulin sensitivity)(一般的な単位はmin-1/(μU/ml))を定義する。
【0027】
グルコース濃度は外因性のグルコース出現(食事)に応答して上昇するが、食事の直後にプラズマ空間内のグルコース出現が発生するわけではない。経時変化(time course)は、出現率に影響を及ぼす複数の要因(たとえば脂肪分のパーセンテージ)によって非常に複雑になる可能性がある。この曲線を説明するために、複数のモデルが提案されている(たとえばAIDA)。Medtronic MiniMed社で使用されている好ましい実施形態は、以下のように食事中にインパルス(δ(t))として出現する炭水化物(CHO)の総数量を示し、続いてリモート空間での出現率(RaR)を示し、さらにプラズマ空間での出現率Rap(t)を示すものである。
【0028】
【数5】

【0029】
この式で、p4はリモートコンパートメントでの炭水化物の出現率を表し、p5はリモートコンパートメントからプラズマ空間への転送率を表す(p4はp5と等しい場合もある)。
【0030】
個々の効果およびプロセス(式3〜5)は、それぞれがグルコース濃度(G(t))の変化をもたらす。このような変化を説明する最終的な、または好ましい実施形態は次のようになる。
【0031】
【数6】

【0032】
この実施形態(式6)で、グルコース濃度(G(t)、一般的な単位はmg/dl)は、プラズマのグルコース出現率(Rap(t)、一般的な単位はmg/minに等しい)とグルコース分布容積(V、単位はdl、一般的な推定値は細胞外空間(extracellular space)の65%に等しい)とに基づく効果の規模に応答して上昇する。インシュリンは、現行のグルコース濃度に応じてグルコース濃度を低下させる。パラメータp1は、グルコースの廃棄を増大させ、かつ内因性のグルコース生成を抑えるグルコースそれ自体(per se)の効果を表し、p1GBは、定常状態のプラズマインシュリン濃度(IB、通常は基底または定常状態の絶食条件の下で測定する)で測定されたグルコース分布容積に基づいて正規化された内因性のグルコース出現((mg/min)/dl)を表す。
【0033】
拡張版のモデルには、すべてのパラメータ(p1〜p5、αl、α2、A)を時間依存とし、任意のプロセスまたはすべてのプロセスに複数のグルコースコンパートメントに関する個別の記述を追加し、一部のプロセスまたはすべてのプロセスに非線形性を導入し、さらにさまざまな食事パラメータ(p4、p5)と代謝パラメータ(pl〜p3)とを相互関連付ける機能が組み込まれている。
【0034】
対話モード(患者または医師)が選択され、かつ患者モデルが選択されると、ユーザインターフェイス制御モジュール120によってインプット、アクティビティ、またはイベントをバーチャルペイシェントソフトウェア105に入力することができる。たとえば、患者モードが選択されており、患者の特性がKevinのモデルに似ていることから小児(Kevin)の代謝モデルが選択された場合に、バーチャルペイシェントソフトウェア105のユーザはボーラス投与の単位数、摂取した炭水化物の数量、またはインシュリンポンプのインシュリン基礎注入量を調整するかどうかを入力できる。また、バーチャルペイシェントソフトウェアのユーザは、患者が運動した時刻および継続時間などを入力することもできる。さらに、バーチャルペイシェントソフトウェア105のユーザはセンサーによる測定が実行されたこと、またはフィンガースティックが行われ、血糖値メーターによる測定値が得られたことを指定することもできる。
【0035】
ユーザインターフェイス制御モジュール120は、インプット、アクティビティ、またはイベントを受信する。本発明の一実施形態では、ユーザインターフェイス制御モジュール120は、入力されたインプット、アクティビティ、またはイベントをチャート作成および表示モジュール110に転送し、コンピューティングデバイス100のディスプレイに表示することもできる。ユーザインターフェイス制御モジュール120は、インプットを受信するときにシミュレーションの時刻を取得または確認できる。特定の動作条件の下では、ユーザインターフェイス制御モジュール120はインプットを受信するときにシミュレーションの時刻を(ユーザからの入力として)受信してもよい。本発明の一実施形態では、チャート作成および表示モジュール110は、コンピューティングデバイス100のディスプレイに1つのグラフを表示してもよい。他の動作条件の下では、チャート作成および表示モジュール110は、コンピューティングデバイス100のディスプレイに複数のグラフを表示することもできる。たとえば、チャート作成および表示モジュール110は、炭水化物の摂取量、摂取されたインシュリンの内容、および患者が行った運動の量に関する情報を表示してもよい。
【0036】
インプット、アクティビティ、またはイベントが入力されると、ユーザインターフェイス制御モジュール120は、入力された情報をシミュレーションエンジン150に転送する。特定の動作条件の下では、患者パラメータライブラリ115は、患者のパラメータ(ユーザが選択した患者モデルに基づいてあらかじめ選択されている)をシミュレーションエンジン150に提供する。
【0037】
特定の動作条件の下では、患者パラメータライブラリ115は、ベースラインデータをシミュレーションエンジン150に転送してもよい。この方法では、シミュレーションエンジン150は、ベースラインデータを利用してシミュレートされた血糖測定値を生成してもよい。シミュレーションエンジン150は、入力されたインプット、アクティビティ、またはイベントと患者のパラメータとを受信する。シミュレーションエンジン150は、入力されたインプット、アクティビティ、またはイベントと患者のパラメータとに基づいて選択された患者のシミュレートまたは推定された血糖値を生成する。特定の動作条件の下では、複数の期間についてシミュレートまたは推定された血糖値が生成される。たとえば、バーチャルペイシェントソフトウェアが患者モードで動作しており、60分が経過した場合は(ユーザが1時間経過の(hour advance time)ツールバーを押したことによる)、シミュレーションエンジン150は、60分間のシミュレートされた血糖値またはシミュレートされた血糖測定値を計算できる。たとえば、バーチャルペイシェントソフトウェア105が医師モードまたはメディカルプロフェッショナルモードで動作している場合は、シミュレーションエンジン150は、シミュレートされた血糖測定値または血糖値をシミュレーション全体について計算できる。換言すると、シミュレーションエンジン150は、シミュレーション期間について複数の血糖値を計算する。複数の血糖値または血糖測定値は、血糖データと呼ぶこともある。本発明の一実施形態では、シミュレーションエンジン150は、シミュレーションの残りの時間についてシミュレートされた血糖値を計算することもできる。前述のように、バーチャルペイシェントソフトウェア105は、1つのインプットまたは複数のインプットに基づいて新しいシミュレートされた血糖値を計算し、この新しいシミュレートされた血糖値をさまざまな形式で表示することができる。
【0038】
インプット、アクティビティ、またはイベントによる患者の血糖値への影響は、ある期間にわたって発生するため、このような動作条件の下では、シミュレーションエンジン150は、多くの測定値を計算する。シミュレーションエンジン150は、患者の以前の測定値の少なくとも1つを考慮に入れて患者のシミュレートされた血糖値を計算する。本発明の一実施形態では、これがバーチャルペイシェントソフトウェアで最初に受信されたインプット、イベント、またはアクティビティである場合は、選択された期間についてあらかじめ存在している測定値またはデフォルトの測定値に、シミュレーションエンジン150によって生成された数の測定値を追加または統合してもよい。このような測定値は、統合された(combined)血糖測定値と呼ぶこともできる。以前に生成された数の血糖測定値がすでにシミュレーションエンジン150によって生成されている場合は、以前に生成された数の血糖測定値をシミュレーションエンジン150によって生成された数の測定値に追加して、患者に関する多くの統合された血糖値を作成することもできる。統合された血糖測定値は、統合された血糖データと呼ぶこともある。
【0039】
シミュレーションエンジン150は、この血糖データをチャート作成および表示モジュール110に転送できる。換言すると、シミュレーションエンジン150は、複数の統合された血糖測定値をチャート作成および表示モジュール110に転送できる。具体例で説明すると、バーチャルペイシェントソフトウェア150が患者モードの場合は、シミュレーションエンジン150はシミュレーションで経過した特定の期間についてシミュレートされた血糖測定値のみを転送できる。換言すると、シミュレーションで2時間が経過した場合は、シミュレーションエンジンは、この2時間の測定値のみをチャート作成および表示モジュール110に転送できる。たとえば、バーチャルペイシェントソフトウェアがメディカルプロフェッショナルモードまたは医師モードで動作している場合は、シミュレーションエンジン150は、シミュレーション全体の期間についてシミュレートされた血糖データを転送できる。チャート作成および表示モジュール110は、この血糖データ(すなわち複数の血糖測定値)を受信する。
【0040】
チャート作成および表示モジュール110がコンピューティングデバイス100のディスプレイに表示できる患者の血糖測定値の部分または領域は、ユーザが選択する動作モード(たとえば、患者モードまたは医師モード)によって異なっている。具体例で説明すると、バーチャルペイシェントソフトウェア105が患者モードの場合は、チャート作成および表示モジュール110は、ユーザが選択した期間の統合された血糖測定値のみを表示できる。たとえば、ユーザインターフェイス制御モジュール120で基礎注入量の調整が入力され、シミュレーションエンジンに転送された場合に、シミュレーションエンジン150は、入力された基礎注入量に基づいて多くの血糖測定値を生成する。具体例で説明すると、シミュレーションで60分が経過した場合に、シミュレーションエンジン150は、60分間について複数の血糖測定値を生成する。バーチャルペイシェントソフトウェア105が患者モードで動作している場合は、チャート作成および表示モジュール110は、ユーザがシミュレートした期間までの統合された血糖測定値のみを表示できる。バーチャルペイシェントソフトウェアがメディカルプロフェッショナル(または医師)モードの場合は、チャート作成および表示モジュール110は、シミュレーション期間の複数の血糖測定値を表示できる。メディカルプロフェッショナルモードでは、たとえばチャート作成および表示モジュール110は、初めは3日間の血糖値を表示できる。これは、チャート作成および表示モジュール110がシミュレーションエンジンから新しい血糖データを受信するときに変更することができる。
【0041】
本発明の一実施形態では、シミュレーションエンジン150は、患者について生成された数の血糖測定値のみをチャート作成および表示モジュール110に転送できる。これは、本発明のこの実施形態では、以前に生成された血糖測定値またはデフォルト/あらかじめ存在している血糖測定値が、チャート作成および表示モジュール110に格納されているためである。このように、生成された血糖データのみが、チャート作成および表示モジュール110に転送される。患者モードのバーチャルペイシェントソフトウェアでは、生成された血糖データが、チャート作成および表示モジュール110内に格納された血糖測定値に統合され、チャート作成および表示モジュール110は、ユーザがシミュレーションを実行した期間までについてのみ統合された血糖測定値を表示する。医師モードのバーチャルペイシェントソフトウェアでは、生成された血糖データが、チャート作成および表示モジュール内に格納された血糖測定値に統合され、チャート作成および表示モジュールは、シミュレーションの期間(たとえば3日間)について統合された血糖測定値を表示する。医師モードのバーチャルペイシェントソフトウェアでは、チャート作成および表示モジュール110は、インプット(たとえば、基礎注入量の調整またはボーラス投与)が血糖値に及ぼす影響をシミュレーションの期間について表示する。
【0042】
図1Bは、本発明の一実施形態による、現実または実際の患者のデータを利用するバーチャルペイシェントソフトウェアを示している。バーチャルペイシェントソフトウェア105には、チャート作成および表示モジュール110、ユーザインターフェイス制御モジュール120、現実または実際の患者情報を格納するためのストレージ155、患者パラメータフィットモジュールライブラリ(patient parameter fit module library)160、およびシミュレーションエンジン150が含まれていてもよい。図1Bに示す本発明の実施形態では、バーチャルペイシェントソフトウェア105は、現実または実際の患者のデータを利用している。現実または実際のデータは、インシュリンポンプ、血糖メーター、ユーザが報告した値(たとえば食事のデータ)、および/またはインシュリン皮下注入装置のセンサー(insulin subcutaneous sensor)から受信できる。現実または実際のデータは、バーチャルペイシェントソフトウェア105に入力され、かつ実際の患者情報ストレージ155に格納される。
【0043】
図1Bに示す本発明の実施形態では、現実または実際の入力データは、実際の患者入力ストレージ155から患者パラメータフィットモジュール160に転送される。たとえば、血糖センサーの血糖測定値、インシュリン投与(インシュリンポンプおよび/またはインシュリン注射による)、および/または運動データを患者パラメータフィットモジュール160に送信してもよい。つまり、バーチャルペイシェントソフトウェア105は、基盤となる代謝モデルを使用して実際の患者の血糖測定値を最適に近似する。このような動作条件の下では、患者パラメータフィットモジュール160は、患者のグルコースセンサーの測定値が患者について患者モデルで予測される値に対応するかどうか、またはこれに近いかどうかを測定された期間にわたって判断する。換言すると、患者パラメータフィットモジュール160は、実際の患者のデータを受信し、このデータを分析し、患者の数学的なパラメータを決定する。このようにして決定された数学的なパラメータは、シミュレーションエンジン150に転送または提供される。現実または実際の患者の入力データは、実際の患者データストレージ155からユーザインターフェイス制御モジュール120にも転送される。医師モードが選択されている場合は、現実または実際の患者のインプットデータは、ユーザインターフェイス制御モジュール120からチャート作成および表示モジュール110に転送される。チャート作成および表示モジュール110は、この情報(たとえばグラフ)をコンピューティングデバイスのディスプレイに表示する。特定の動作条件の下では、グラフは、時間の経過に伴う血糖値、時間の経過に伴う炭水化物、時間の経過に伴う運動、および時間の経過に伴う患者へのインシュリン投与を表示できる。患者モデルが選択された場合は、シミュレーションが実行されたときまでの現実または実際の患者のインプットデータのみがチャート作成および表示モジュール110によって表示される。
【0044】
バーチャルペイシェントソフトウェア105のユーザは、ユーザインターフェイス制御モジュール110を使用してインプット、イベント、またはアクティビティを変更または修正してもよい。本来、ユーザは、患者が最近摂取した食事を実際に入力する必要がある。ユーザは、チャート作成および表示モジュール110によって表示されたグラフを確認し、インプット、イベント、またはアクティビティ、たとえば患者の炭水化物摂取やインシュリン投与に関する変更を指定することができる。具体例で説明すると、ユーザは、基礎注入量を調整したシナリオを作成するように指定できる。調整すると、バーチャルペイシェントソフトウェア105は、患者の血糖値における応答をシミュレートする。調整されたインプット、イベント、またはアクティビティは、ユーザインターフェイス制御モジュール120からシミュレーションエンジン150に転送される。シミュレーションエンジン150は、調整されたインプット、イベント、またはアクティビティを受信し、調整されたインプット、イベント、またはアクティビティに応答する患者の推定された血糖値を計算する。シミュレーションエンジン150は、患者パラメータフィットモジュール160によって抽出されたパラメータまたは定数を利用して、患者の推定またはシミュレートされた血糖値応答の生成を支援する。血糖値応答は、血糖データと呼ぶこともある。また、特定の期間にわたる多くの、一連の、または複数の血糖測定値と呼ぶこともある。こうした血糖データまたは多くの血糖測定値は、シミュレーションエンジン150からチャート作成および表示モジュール110に転送できる。前述のように、この血糖データはシミュレーションエンジン150によって生成された血糖データでもよい。シミュレーションエンジン150から受信した生成された血糖データは、ここでバーチャルペイシェントソフトウェアのチャート作成および表示モジュール110によってコンピューティングデバイス100のディスプレイに表示される。患者モードのバーチャルペイシェントソフトウェア105では、生成された血糖データは、バーチャルペイシェントソフトウェア105に入力された期間のみについて表示される。具体例で説明すると、ユーザが仮想患者に関するシミュレーションを12:00(正午)までについてのみ実行した場合は、チャート作成および表示モジュール110によって12:00(正午)までの血糖データのみが表示される。本発明の一実施形態では、シミュレーションエンジン150は、12:00(正午)までの期間の血糖測定値のみを計算し、この12:00(正午)までの期間の血糖測定値のみを転送できる。メディカルプロフェッショナルまたは医師モードのバーチャルペイシェントソフトウェア105では、生成された血糖値がチャート作成および表示モジュール110によってシミュレーションの期間(たとえば2〜3日)について表示される。
【0045】
図2は、本発明の一実施形態によるバーチャルペイシェントソフトウェアシステムの初期画面を示している。これは、バーチャルペイシェントソフトウェアの操作を開始するための選択画面であり、ここでバーチャルペイシェントソフトウェアアイコンを選択する。本システムの一実施形態では、ユーザはメインインタラクション(main interaction)ボタン210を選択してバーチャルペイシェントソフトウェアの操作を開始することができる。初期画面のその他のボタンまたはツールバーは、システム管理者が選択した場合に、バーチャルペイシェントソフトウェアの追加機能を追加したり、特定のパラメータを変更したりできる。具体例で説明すると、バーチャルペイシェントソフトウェアに新しいイベントまたは基底のオプションを追加できる。さらに、4つのモデルボタンまたはツールバーを利用してさまざまなモデルを追加することもできる。ユーザは、コンピューティングデバイスのデスクトップ画面に表示されたアイコンを選択してバーチャルペイシェントソフトウェアの操作を開始することもできる。
【0046】
図4Aは、本発明の一実施形態による患者モードのバーチャルペイシェントソフトウェアについての流れ図を示している。本ソフトウェアを起動すると、対話のタイプを選択できる(400)。具体例で説明すると、対話のタイプは医師の対話または患者の対話でもよい。医師の対話が選択された場合は(410)、医師対話タイプのメニューで患者選択画面を選択できる。医師対話タイプの画面は図4Bで説明されている。図5はバーチャルペイシェントソフトウェアの対話選択画面を示している。図5に示す本発明の実施形態では、メイン対話画面500のボタンをクリックすることによって2つのオプションのいずれかを選択できる。この実施形態では、表示される2つのオプションは、"Be the Patient(患者)"オプション(ボタン502をクリックすることによって選択できる)と"Be the Doctor(医師)"オプション(ボタン504をクリックすることによって選択できる)とである。"Be the Patient"のソフトウェアシミュレーションを使用すると、シミュレートされる患者の食事、運動、ボーラス投与、およびサンプル日の経過の確認による応答が表示され、バーチャルペイシェントソフトウェア105のユーザは、グルコースセンサーを利用することによって患者の意思決定をどう改善できるかを理解する機会が提供される。"Be the Doctor"のソフトウェアシミュレーションを使用すると、フィンガースティックによる血糖測定値および/またはグルコースセンサーの測定値に応答するメディカルプロフェッショナルの意思決定が仮想患者に与える効果が表示され、ユーザまたはメディカルプロフェッショナルは、インシュリンポンプによる治療を最適化する方法を理解する機会が提供される。本発明の別の実施形態では、対話選択画面に複数のオプション(たとえば、Be the Patient(患者)、Be the Medical Professional(メディカルプロフェッショナル)、Be the Patient utilizing the patient's own metabolic model(患者、患者自身の代謝モデルを使用)、Be the Doctor utilizing patient's own metabolic model and actual data(医師、患者自身の代謝モデルと実際のデータを使用)など)が表示されてもよい。
【0047】
図4Aの流れ図に戻り、患者の対話タイプが選択されると、患者モデルのタイプを選択できる(420)。特定の動作条件の下では、各個人が一意の特性(代謝率、グルコース生成率(glucose creation rates)、運動に対する応答など)を備えているので、特定のイベントや投薬に対する個人の反応を評価するための複数のモデルが作成されている。本発明の一実施形態では、3人の患者モデルを選択できる。他の動作条件の下では、各個人について、患者モデル、すなわち運動、ボーラス投与、特定の量の炭水化物摂取、またはインシュリンポンプの基礎注入量の調整に対する個人の応答を評価または予測するためにその個人専用に作成されたモデルを割り当てることができる。
【0048】
図6は、本発明の一実施形態によるバーチャルペイシェントソフトウェアの患者選択画面を示している。図6に示す本発明の実施形態では、患者選択画面で3人の患者モデルの1人を選択できる。バーチャルペイシェントソフトウェアのユーザは、個々の特性、たとえば、1)糖尿病のタイプ、2)年齢、3)性別、および4)その他の医学的な条件などに関して、ユーザに最も近いモデルを選択できる。モデルすなわち仮想患者は、それぞれのプロフィール、経歴、ならびに炭水化物(carbs)およびインシュリンに対する応答が異なっている。具体例で説明すると、図6に示す3人の患者モデルをKevin、Stanley、およびMeganとする。Kevinは、タイプ1の糖尿病を患う11才の少年、非常に活発であり、約7年間にわたって自身の状態を認識している。Stanleyは、これもタイプ1の糖尿病を患う57才の男性、体をよく動かしており、約45年間にわたって自身の状態を認識している。Meganは34才の女性で妊娠性糖尿病(自身の妊娠による)と診断されており、現在のところはあまり活動的ではないが、ウォーキングやガーデニングを楽しんでいる。患者選択メニュー600には、Kevinのメニューセレクタもしくはボタン602、Stanleyのメニューセレクタもしくはボタン604、またはMeganのメニューセレクタもしくはボタン606が表示されている。患者選択メニュー600には、バーチャルペイシェントソフトウェアのユーザが容易に対話選択画面に戻って対話モード(たとえば、患者対話モードまたはメディカルプロフェッショナル対話モード)を選択できるやり直し(start over)のボタン、アイコン、またはセレクタが含まれている。
【0049】
図4Aに戻り、患者モデル(たとえばMegan)が選択されると、患者イベント画面を表示できる(430)。本発明の一実施形態では、患者イベント画面の使い方を説明するヘルプボタンが表示されてもよい。これは、バーチャルペイシェントシステムの初期へルプ画面と呼ぶことができる。図7は、本発明の一実施形態による患者モードの操作および表示画面を示している。図7に示す本発明の一実施形態により、患者モードの操作および表示画面700には、時間(timing)ツールバー702、フィンガースティック実行ツールバーまたはセレクタボタン704、ボーラス投与ツールバーまたはセレクタボタン706、基礎注入量調整ツールバーまたはセレクタボタン708、食事または食物摂取ツールバーまたはセレクタボタン710、運動ツールバーまたはセレクタボタン712、およびグラフ表示セクション714が表示されてもよい。患者モードの操作および表示画面700には、さらにセンサー起動ツールバーまたはセレクタボタン716が表示されてもよい。本発明の一実施形態では、モデルとなった個人の写真がペイン720に表示されてもよい。特定の動作条件の下では、異常な症状または問題の可能性のある状態の特定の症状が、モデルになった個人の写真が表示されているペイン720の下の領域722にメッセージとして表示されてもよい。こうした症状または問題の可能性のある状態は、時間に対する血糖値のグラフで、患者が危険性のあると考えられる領域またはレベルに入ったことによって表示されてもよい。
【0050】
図4Aに戻ると、バーチャルペイシェントソフトウェアのユーザは、患者モードの操作および表示画面を使用してさまざまなイベントまたはさまざまなインプットを入力できる。イベントは、バーチャルペイシェントソフトウェアで結果がグラフに表示されるためのアクションとして定義できる。たとえば、イベントには任意の時間ツールバー(たとえば、30分待ち、1時間待ち、2時間待ち)、または"take fingerstick(フィンガースティック実行)"ツールバーもしくはセレクタボタンの選択を含めてもよい。具体例で説明すると、インプットは、"taking bolus(ボーラス投与)"ツールバー、"adjust basal(基礎注入量調整)"ツールバー、"eat(食物)"ツールバー、および"exercise(運動)"ツールバーでもよい。インプットが入力されると、患者モデルは、そのインプットと対話し、出力が生成され、この出力が患者モードの操作および表示画面700のグラフ表示セクション714に表示される。たとえば、個人が運動し、運動ツールバーまたはセレクタボタンを選択して運動のレベルと期間を入力すると、患者モデルは、このインプットを受信し、これが特定の期間にわたって患者モデルの血糖値に及ぼす影響に関する測定値を生成する。図7に示す本発明の実施形態により、さまざまなイベントが入力されると、患者モデルは、モデルデータベースから適切な測定値を抽出し、患者モードの操作および表示画面700のグラフ表示セクション714にこの情報を表示する。たとえば、"take fingerstick"ツールバーまたはセレクタボタンを利用すると、Meganのモデルのプロフィールで指定された特性に基づいてMeganの患者モデルからMeganの測定値が抽出され、この測定値がグラフ表示セクション714に表示される。
【0051】
図8は、本発明の一実施形態によるバーチャルペイシェントソフトウェアの操作および表示画面700を示している。図8に示す操作および表示画面700には、アクティビティログ810が含まれている。アクティビティログ810には、患者モデル(たとえばMeganのモデル)との現在の対話の間にこのモデルに関して発生したイベントまたは入力されたインプットがすべて表示される。具体例で説明すると、フィンガースティックツールバー、ボーラス投与ツールバー、または食事ツールバーが選択されるたびに、アクティビティログ810はこうした情報で更新される。
【0052】
操作および表示画面700のグラフ表示セクション714には、情報を提供する複数のグラフを表示できる。図9は、本発明の一実施形態によるバーチャルペイシェントソフトウェアの操作および表示画面のグラフ表示セクションを示している。具体例で説明すると、バーチャルペイシェントソフトウェアの操作および表示画面700には、2日間にわたるインシュリン投与を示すグラフ825が含まれている。具体例で説明すると、グラフ825は、1日半の間にインシュリンが4回投与されたことを示している。グラフのピークは、患者にたとえば6.5単位のインシュリンが投与されたときのレベルを示している。インシュリンのボーラス投与は、参照番号822、824、826、および828で表されている。参照番号822、826、および828のボーラス投与は、通常のボーラス投与を示している。参照番号824は、デュアルウェーブ(dual wave)のボーラス投与を示している。さらに、方形波(squarewave)のボーラス投与を入力してもよい。グラフ825は、インシュリンポンプまたは連続的なインシュリンソースからのグラフ825のベースライン820によるインシュリン投与を表している。このグラフには、特定の期間830に関する方形波としての運動が表示されている。運動によって、たとえば、食事の炭水化物が吸収または消費されて、血糖値が低下している。さらに、バーチャルペイシェントソフトウェア105では、表示されているイベントまたはインプットの上にカーソルが移動すると、小さなポップアップウィンドウが表示される。具体例で説明すると、図9では、カーソルが運動の方形波830上に置かれた場合にポップアップウィンドウ832が表示され、運動が実行されたこと、運動が実行された時刻、運動を継続した時間、運動実行のレベルが識別される。さらに、カーソルがいずれかのボーラス投与の上に置かれると(たとえば、7:30 amの6.5単位のボーラス投与)、ポップアップウィンドウ834が表示される。
【0053】
グラフ表示セクション714には、1日のさまざまな時刻に患者が摂取した炭水化物を示すグラフ835が表示されてもよい。たとえば、図9に示すように、1日目の正午頃に患者は60グラムの炭水化物(carb)を摂取している。バーの高さは摂取した炭水化物の量を表している。換言すると、バーが高いほど炭水化物の量も多い。いずれかのバーの上、または隣にカーソルが置かれると、小さなポップアップウィンドウに、食物または食事の摂取に関する情報(食事の種類、摂取したcarb(炭水化物)のグラム数、および吸収率(たとえば"25% slow"))が表示される。
【0054】
グラフ表示セクション714には、特定の期間(たとえば2日間)にわたる患者の血糖値を表すグラフ840を表示できる。本発明の一実施形態では、患者対話モードの画面に情報が入力されない場合に備えて、モデルにあらかじめタイムポイントが指定されている。たとえば、患者モデルとしてMeganが選択され、時刻(たとえば7:00 am)が選択されると、Meganの患者モデルから最初の測定値119が読み出される。"take fingerstick"セレクタツールバーまたはモジュールが選択されると、フィンガースティックの測定値がグラフ840に表示される。本発明のこの実施形態では、患者は自身のフィンガースティックを入力しない。代わりに、バーチャルペイシェントソフトウェアの患者モデルがフィンガースティックの測定値を提供する。グラフ840は2日間にわたる時間の経過として表示される。換言すると、たとえば、患者が目を覚まして時刻を7:00 amに設定すると、グラフ825,835,840は患者モデルから提供されたパラメータに従って表示される。最初に時刻を入力した後で、ユーザは7:30 amの食事、7:30 amの標準のボーラス投与、および4:00 pm頃の運動などのインプットを入力してもよい。グラフ840は、インシュリンおよび炭水化物の摂取に関して調整された患者モデルから提供されたデータの組合せによって形作られる。換言すると、インプットが入力され、これが患者モデル(シミュレーションエンジン)に入力され、患者モデル(シミュレーションエンジン)は、その既知の特性および測定値(患者パラメータ)を利用して、インプットが血糖測定値に及ぼす効果を考慮して血糖測定値を決定する。前述のように、カーソルがいずれかの測定値の上に置かれると(数字が表示されている場合)、小さなポップアップウィンドウが表示され、測定値のタイプおよび測定値の数値が表示される。他の動作条件の下では、小さなポップアップウィンドウ870にシミュレーションの時刻が表示される。この時刻を表示する小さなポップアップウィンドウ870には、現在の血糖測定値、血糖測定値の時刻、および血糖測定値の傾向の指標が表示される。たとえば、図9に示すように、血糖測定値の動向は急激に低下している。本発明の一実施形態では、矢印は真上または真下に向いていてもよい。矢印の数は、下の表に示すように、血糖値の変化の速度に対応してもよい。
【0055】
【表1】

【0056】
本発明の一実施形態では、グルコースセンサーツールバーを選択してグルコースセンサーを起動すると、グルコースセンサーから入力されたのと同様に患者モデルが血糖測定値を提供する。換言すると、本発明のこの実施形態では、患者の実際のグルコースセンサーは、バーチャルペイシェントソフトウェアに接続されておらず、バーチャルペイシェントソフトウェアに測定値を提供していない。
【0057】
図4Aの流れ図に戻ると、バーチャルペイシェントソフトウェアでイベントが選択されたかインプットが選択されたかについて判断が行われている。図4Aでは、イベント(時間入力ツールバーまたはフィンガースティック実行ツールバーなど)が選択されたかどうかについての判断が行われている(450)。図4Aの流れ図は、本ソフトウェアの1つまたは予想されるいくつかのシーケンスフローのみを示していることに留意されたい。他の動作条件の下では、バーチャルペイシェントソフトウェア105は、最初にインプットが受信されたかどうかを判断してもよい。イベントが選択された場合に、バーチャルペイシェントソフトウェアは、イベントの測定値またはアクションを患者対話モード画面のグラフィックモジュールの1つまたは複数のグラフに表示する(460)。たとえば、ユーザが1時間待ち(つまり、患者対話モードで1時間先)を選択した場合に、患者対話モード画面のグラフ表示セクション714に表示されたグラフが更新され、1時間の経過を反映する。バーチャルペイシェントソフトウェア105がイベントの測定値またはアクションをグラフに表示すると、バーチャルペイシェントソフトウェア105は、ステップ450に戻ってさらにイベントまたはインプットが選択されたかどうかの判断を待つ。
【0058】
イベントが選択されていない場合に、バーチャルペイシェントソフトウェア105は、インプットが受信されたかどうか、さらにどのタイプのインプットが受信されたかを判断する(470)。インプットが受信されていない場合に、バーチャルペイシェントソフトウェアは、ステップ450の入力に戻り、インプットまたはイベントのいずれかを待つ。ユーザが基礎注入量の変更を入力した場合は、基礎注入量のインプットが受信され、選択された患者モデルは基礎注入量のインプットの変更に基づいて結果を生成し、この情報がグラフ表示セクション714のグラフ(1つまたは複数)に表示される(480)。具体例で説明すると、基礎注入量が変更された場合に、図9のグラフ825でベースラインの値820を増加または減少することによって、次の期間にグラフ825が変更される。基礎注入量の変更が特定の期間にわたってモデル患者の血糖値に及ぼす影響に基づいて、グラフ840も調整される。
【0059】
バーチャルペイシェントソフトウェアに新しいボーラス投与が入力された場合は、この新しいボーラス投与が受信され、患者モデル(シミュレーションエンジン150)は、この新しいボーラス投与を受信して、この新しいボーラス投与のインプットに基づく血糖値の結果を生成する。さらに、このボーラス投与インプットの情報と患者モデルによって生成された結果とは、患者モードの操作および表示画面のグラフ表示セクション714に表示される(484)。具体例で説明すると、バーチャルペイシェントソフトウェアに新しいボーラス投与が入力された場合は、グラフ825が変更され、ボーラス投与が行われた時刻とボーラス投与の量が表示される。さらに、選択された患者の血糖値を表すグラフ840も変更され、特定の期間にわたるボーラス投与の影響を反映する。
【0060】
バーチャルペイシェントソフトウェアに運動インプットが入力された場合は、この新しい運動インプットが受信され、患者モデル(シミュレーションエンジン150)は、この新しい運動インプットを受信してこの新しい運動インプットに基づく血糖値の結果を生成する。さらに、この運動インプットの情報と患者モデルによって生成された結果は、患者モードの操作および表示画面のグラフ表示セクションに表示される(488)。具体例で説明すると、バーチャルペイシェントソフトウェアで新しい運動インプットが受信された場合は、グラフ825が変更され、患者が行った運動の時刻、期間、およびレベルが表示される。さらに、グラフ840も変更され、特定の期間にわたる患者の運動の影響を反映する。
【0061】
バーチャルペイシェントソフトウェアに新しい食事インプットが入力された場合は、この新しい食事インプットが受信され、患者モデルは、この新しい食事インプットを受信してこの新しい食事インプットに基づく血糖値の結果を生成する。さらに、この食事インプットの情報と患者モデルによって生成された結果とは、患者モードの操作および表示画面のグラフ表示セクションに表示される(492)。さらに、バーチャルペイシェントソフトウェア105は、食事中に摂取した炭水化物の量に対処するために患者に必要となる適切なボーラス投与を算出して提供する。具体例で説明すると、バーチャルペイシェントソフトウェアで新しい食事インプットが受信された場合は、グラフ835が変更され、食事、食事にどれだけの炭水化物量が含まれると推定されるか、その炭水化物がどの程度消化しやすいかが表示される。さらに、グラフ840も変更され、患者が入力された食事を摂取した後、特定の期間にわたる血糖値への影響を反映する。
【0062】
図3Aは、本発明の一実施形態によるボーラス入力ウィンドウおよびボーラスウィザードウィンドウを示している。本発明の一実施形態では、バーチャルペイシェントソフトウェア105のユーザは、ボーラス入力ウィンドウ310でボーラス投与の量(インシュリンの単位数による)を入力できる。バーチャルペイシェントソフトウェア105は、この情報を選択された患者モデル(またはシミュレーションエンジン150)に入力する。入力されたボーラス投与が患者モデルの血糖値に及ぼす効果が計算され、グラフ840に表示される。さらに、インシュリン投与のグラフ825が更新され、新しく追加されたボーラス投与が反映される。特定の動作条件の下では、ユーザが新しい期間を選択すると、グラフ825およびグラフ840が更新される。具体的に言えば、こうした動作条件の下では、11:30 amにボーラス投与が行われ、グラフが11:30 amまでの期間のみを表示している場合は、新しい期間が選択されるまでグラフ825(血糖値)およびグラフ840(インシュリン投与)は更新されない。
【0063】
バーチャルペイシェントソフトウェアのユーザは、ボーラスウィザードウィンドウ320を使用すると、患者が食事の時間に摂取した炭水化物量に基づいて投与または対抗するボーラスの単位数を決定することができる。バーチャルペイシェントソフトウェアのユーザは、ボーラスウィザードウィンドウ320で炭水化物の数量(たとえばグラム数)を入力して"calculate(計算)"セレクタボタンまたは"calculate"ツールバーを押すと、バーチャルペイシェントソフトウェアが決定した炭水化物の摂取に対処するボーラス投与の量が表示される。特定の動作条件の下では、選択された患者モデルは、患者が摂取する炭水化物のグラム数をユーザがたびたび少なく見積もったり多く見積もったりすることを考慮に入れている。
【0064】
図3Bは、本発明の一実施形態による患者モードの操作および表示メニューの運動入力画面を示している。発明の一実施形態では、運動入力画面330は小さなポップアップウィンドウである。運動(Exercise)入力画面330には、運動の期間を入力できる1つの入力ウィンドウ333と運動のレベル(たとえば、低、中、高)を入力できるもう1つの入力ウィンドウ336とが表示される。特定の動作条件の下では、入力ウィンドウ333およびもう1つの入力ウィンドウ336は、ドロップダウンメニューとして実装されてもよい。運動の時間が長いほど、または運動が激しいほど、一般的には運動を実行中または終了後の患者の血糖値が上昇することを意味する。運動入力画面330には、"Exercise(運動)"入力ボタン340も表示されている。"Exercise"入力ボタン340がクリックされた場合または選択された場合に、入力ウィンドウ333およびもう1つの入力ウィンドウ336に入力されたインプットが患者モデル(またはシミュレーションエンジン150)に入力される。患者モデルまたはシミュレーションエンジン150は、入力された運動の期間および激しさが患者の血糖値に及ぼす影響を計算する。入力された運動インプットによる血糖値の変化は、患者モードの操作および表示画面のグラフ表示セクションのグラフ840に表示される。さらに、図3Bに示すように、運動インプットは、インシュリン投与のグラフ825にも緑の矩形342によって表示されている。
【0065】
図3Cは、本発明の一実施形態による患者対話モードの操作および表示画面の基礎注入量調整メニューを示している。本発明の一実施形態では、"adjust basal rate(基礎注入量調整)"メニュー350は、ポップアップメニュー、すなわち患者モードの操作および表示画面上に重ねて表示されるメニューでもよい。"adjust basal rate"メニューでは、基礎注入量の調整を入力ウィンドウ352に入力できるが、"+"または"-"ボタンを押して指定することもできる。適切な基礎注入量が指定された後に、"adjust basal rate(基礎注入量調整)"ボタン354が選択され、基礎注入量が選択された患者モデルに入力される。選択された患者モデルは調整された基礎注入量を受信し、調整された基礎注入量が患者の血糖値に及ぼす影響を計算する。バーチャルペイシェントソフトウェア105は、特定の期間にわたる患者の血糖値への効果を血糖値のグラフ840に表示する。バーチャルペイシェントソフトウェアは、さらにインシュリン投与のグラフ825にも調整された基礎注入量を反映できる。特定の動作条件の下では、基礎注入量が調整された後の期間についてのみ調整された基礎注入量がインシュリン投与のグラフ825に表示される。
【0066】
図3Dは、本発明の一実施形態による炭水化物判定メニューを示す図である。本発明の一実施形態では、ユーザは炭水化物のグラム数がわかっている場合、たとえばあらかじめセットになっている食事を摂取する場合または摂取した場合は、この情報を入力するだけでよい。図3Dに示す本発明の実施形態では、ユーザが患者モードの操作および表示画面の"eat(食物)"ツールバーを選択すると、炭水化物判定メニュー360が表示される。炭水化物判定メニュー360には、さまざまな食事および/または軽食の組合せが表示される。食事および/または軽食の組合せは、予想される多くの標準的な患者の食事を表しており、患者またはユーザは、最近摂取した食事(またはこれから摂取する食事)の炭水化物の数量を判定できる。特定の動作条件の下では、選択した2つの食事の炭水化物の数量は、同じかまたは非常に類似している場合がある。しかし、炭水化物には、消化が遅いものや、患者の血糖値への影響が遅いもの、あるいは早いものがある。食事および/または軽食の組合せを選択すると、バーチャルペイシェントソフトウェアの選択された患者モデルは、炭水化物のグラム数だけでなく炭水化物の作用が遅いか早いかも考慮に入れる。炭水化物の数量を入力するか食事を選択すると、バーチャルペイシェントソフトウェアは、摂取した炭水化物が選択された患者の血糖値に及ぼす影響を判定し、結果の血糖値をグラフ840に表示する。さらに、炭水化物のグラム数がグラフ表示セクションのグラフ835に表示される。
【0067】
図4Bは、本発明の一実施形態による医師対話モードのバーチャルペイシェントソフトウェアを示す流れ図である。医師またはメディカルプロフェッショナルの対話モードが選択されると(540)、患者モデルを選択できる(550)。図4Bに示す本発明の一実施形態では、医師対話モードのメニューが表示され、選択された患者モデルに対応する患者が表示される(560)。患者の情報表示画面には、患者モデルの患者の初期状態の概要が表示され、さらに患者の数日間のデータも表示される。特定の動作環境の下では、患者の初期状態の概要の表示が前面に表示され、患者の数日間のデータは背面に表示される。
【0068】
図10は、本発明の一実施形態による医師対話モードのバーチャルペイシェントソフトウェアで表示する1人の患者(たとえばMegan)の情報表示画面1000を示している。情報表示ポップアップメニュー1010には、患者の統計情報を表示できる。こうした統計情報は、数日間(たとえば3日間)のデータに基づいている。本発明の一実施形態では、統計情報はあらかじめ患者モデルに格納されている。本発明の代替の実施形態では、統計情報を外部のソースから入力できる。患者がストレージ機能付きのグルコースセンサー(Medtronic社のグルコースセンサーなど)を装着している場合は、センサーの数日間の測定値を患者の測定値データベースにロードし、バーチャルペイシェントソフトウェア105の医師対話モードでメディカルプロフェッショナルが患者の実際のデータを利用できるようにしてもよい。統計情報は、表示される期間の平均血糖測定値、HbA1cのパーセンテージ、平均血糖測定値からの偏差、およびMeganの治療が最適な治療からどのくらい外れているかの指標となるコントロールスコア(control score)を含めてもよいが、これらに限定はされない。特定の動作条件の下では、すべての設定が最も効率的に調整された場合の最適なコントロールスコアは100である。患者情報表示メニューには、患者の状態に関する簡単な説明を表示してもよい。
【0069】
図11は、本発明の一実施形態による医師対話モードの操作および表示画面を示している。医師対話モードの操作および表示メニューには、表示オリエンテーション(display orientation)メニュー1105、センサー表示(display sensor)チェックボックス1110、インプット変更またはポンプ設定(modify input or pump settings)メニュー1115、実際の調整(actual adjustment)ツールバー1120、イメージプロフィール1125、およびグラフ表示セクション1130が表示される。図11に示す本発明の実施形態では、表示オリエンテーションメニュー1105を使用して、情報のシーケンシャル(たとえば3日間連続)表示と、情報のオーバーレイまたはモーダル表示(たとえば、グラフの範囲を1日とし、3日間のすべての測定値を1日分ずつ重ねて表示)と、情報の食事中心の表示(たとえば、各食事が個別の小さなメニューに表示され、3日間の各食事を中心とするデータが個別の小さなメニューに表示される)とを選択できる。
【0070】
センサー表示チェックボックス1110を選択すると、バーチャルペイシェントシステムのユーザは、センサーの測定値を医師モードの操作および表示画面のグラフ表示セクション1130に連続的または定期的に表示できる。センサー表示チェックボックス1110が選択されていない場合は、フィンガースティックの測定値に対応するデータポイントのみがグラフ表示セクション1130に表示される。イメージプロフィール1125には、選択された患者モデルに対応する患者の写真が表示される。インプット変更またはポンプ設定サブメニュー1115を使用すると、異なる基礎注入量、異なる炭水化物/インシュリンの比率、ならびに特定のボーラス投与の量およびボーラス投与のタイミングを選択できる。実際の調整ツールバー1120を使用すると、1日のさまざまな期間におけるさまざまな基礎注入量の設定と、1日のさまざまな期間におけるさまざまな炭水化物/インシュリンの比率の設定と、さまざまなボーラス投与の量および患者のボーラス投与を行うタイミングの指定とができる。グラフ表示セクション1130には、医師モードの操作および表示メニュー1130の表示オリエンテーションメニューの選択に基づいて、複数のグラフが表示される。
【0071】
図4Bに戻ると、ユーザは医師対話モードのメニューから、"basal profile(基礎プロフィール)"オプションを選択し、さまざまな期間について基礎注入量を調整できる(570)。基礎注入量が調整されると、バーチャルペイシェントソフトウェア105は、調整された基礎注入量(1つまたは複数)が血糖値に及ぼす影響を計算し、調整された基礎注入量の結果と増加または減少した基礎注入量とをグラフ表示セクション1130に表示する(575)。医師対話モードの操作および表示画面で"boluses(ボーラス投与)"オプションを選択すると、ボーラス投与入力画面を表示できる。
【0072】
図12Aは、本発明の一実施形態によるボーラス投与入力画面が表示された医師対話モードのメニューを示している。本発明の一実施形態では、それぞれが食事の時間に対応する3度のボーラス投与が入力されてもよい。ボーラス投与の形状とボーラス投与が行われたタイミングを入力できる。ボーラス投与が特定のタイプである場合は、ユーザがボーラス投与が行われた期間を患者システムに入力できる。
【0073】
図4Bの流れ図に戻ると、バーチャルペイシェントソフトウェアはすでに標準または既存のボーラス投与インプットを備えていてもよいが、バーチャルペイシェントソフトウェアではボーラス投与の形状およびタイミング(食事の前後、食後30分など)を選択できる(580)。バーチャルペイシェントソフトウェアは、入力されたボーラス投与の情報を取得し、この情報を選択された患者モデルに適用し、さらに選択された患者モデルの血糖値が調整された入力ボーラス投与の情報にどう応答するかについて、結果のグラフ(たとえば結果のデータポイント)を生成する。得られたグラフは医師モードの操作および表示画面のグラフ表示セクションに表示される(585)。さらに、調整されたボーラス投与の情報もグラフ表示セクション1130のインシュリン投与のグラフに表示される。
【0074】
医師対話モードの操作および表示画面から、インシュリン/炭水化物の比率を調整することもできる。炭水化物/インシュリンの比率は、さまざまな期間について調整できる。実際の患者のインシュリン/炭水化物の比率は一日のうちで変化する可能性があるため、ポンプ利用者は、インシュリンポンプをプログラムするときにこれに対応する指定が可能である。図12Bは、適切な炭水化物/インシュリンの比率が選択された医師モードの操作および表示画面を示している。本発明の実施形態では、24時間を6時間ごとに分割し、それぞれに異なる炭水化物/インシュリンの比率を指定できる。選択された期間の炭水化物/インシュリンの比率をユーザが調整すると、調整された炭水化物/インシュリンの比率が血糖値に及ぼす効果が、医師モードの操作および表示画面のグラフ表示セクション1130に表示される(595)。さらに、グラフ表示セクションのインシュリン投与のグラフには、炭水化物およびインシュリンが相互に関連して表示される。たとえば、炭水化物/インシュリンの比率が6:1の場合は、72グラムの炭水化物は、インシュリン投与グラフで12単位(Us)のインシュリンと同じ高さである。
【0075】
さらに、バーチャルペイシェントソフトウェア105にはさまざまな表示モードがある(時系列、モーダル、および/または食事中心表示モード)。図14A、図14B、図14Cは、選択により、時系列、モーダル、および/または食事中心の表示モードを示している。ユーザは、表示オリエンテーションメニュー1105でいずれかの選択項目またはオプションを押すことによって表示モードを選択できる。
【0076】
任意のインプット(基礎注入量、ボーラス投与の形状とタイミング、および炭水化物/インシュリンの比率)が調整された後、または表示オリエンテーションが選択または調整された後に、プロセスまたはバーチャルペイシェントソフトウェアはステップ560の出力に戻る。換言すると、たとえば表示モードが変更された後に、バーチャルペイシェントソフトウェアのユーザは基礎注入量の調整に戻ることができる。同様に、ユーザはボーラス投与の形状とタイミングを調整できる。これは、図4Bのボックス560の出力に戻るリンクで示されている。
【0077】
メディカルプロフェッショナルが選択された患者モデルに対して望まれる必要な調整をすべて実行した後で、メディカルプロフェッショナルは、選択された患者モデルに関するラボレポートの実行を要求してもよい(598)。換言すると、メディカルプロフェッショナルは患者の治療に対して行った変更が全体的な統計情報においてどう作用したかを詳細に示すレポートを表示する必要がある。図13は、本発明の一実施形態による医師対話モードの画面に表示されたラボレポートを示している。本発明の一実施形態では、ラボレポートが医師対話モード画面のグラフ表示セクションに表示されるグラフの代わりにポップアップウィンドウとして表示されてもよい。ラボレポートは、選択された患者モデルにユーザ、たとえばメディカルプロフェッショナルが行った最適化(または調整)に関連する患者の最新の成果を示している。特定の動作条件の下では、バーチャルペイシェントソフトウェアの動作中に患者に関する複数のラボレポートを実行できる。ラボレポートは、"lab report(ラボレポート)"選択ボタンが選択され、前回ラボレポートを実行してから設定値の調整または変更があった場合に実行できる。ラボレポートは、メディカルプロフェッショナルが患者モデルに対する最適な処置を決定する上での指針となるコントロールスコアを提供する。
【0078】
図14Aは、本発明の一実施形態による医師対話モードの操作および表示画面に表示された食事中心ビューを示している。図14Aに示す本発明の実施形態では、医師対話モードの操作および表示メニューの食事中心ビューに5つの異なるグラフが表示されている。医師モードの操作および表示メニューの食事中心モードには、"evening/overnight(夜食)"サブメニュー1410、数日間の血糖値(blood glucose multiple day)サブメニュー1420、"breakfast(朝食)"サブメニュー1430、"lunch(昼食)"サブメニュー1440、および"dinner(夕食)"サブメニュー1450が表示されている。夜食サブメニュー1410には、選択された患者の夜間(たとえば10:00 pm〜6:00 am)の血糖値が表示される。数日間の血糖値サブメニュー1420には、数日間(たとえば3日間)の測定値が表示される。測定値には、選択された患者の血糖値、選択された患者へのインシュリン投与、選択された患者の炭水化物摂取、および選択された患者の運動インプットが含まれる。数日間サブメニュー1420は、バーチャルペイシェントソフトウェアの医師モードの操作および表示メニューの時系列ビューに類似している。朝食サブメニュー1430には、数日間の朝食を中心とする期間の血糖値が表示される。朝食サブメニュー1430には、朝食時および朝食を中心とする期間における、選択された患者の炭水化物摂取およびインシュリン投与も表示される。本発明の一実施形態では、炭水化物の総量とこれに対応する(患者の食事または炭水化物摂取による影響に対処するために必要な)ボーラス投与の量が表示される。
【0079】
昼食サブメニュー1440および夕食サブメニュー1450は、朝食サブメニュー1430と同様であるが、これらのメニューにはそれぞれ昼食の期間および夕食の期間を中心とする血糖値、炭水化物摂取量、およびボーラス投与の単位数が表示される。
【0080】
図14Bは、本発明の一実施形態による医師モードの操作および表示画面に表示されたモーダルビューを示している。医師モードの操作および表示画面には、インシュリン投与のグラフ825、炭水化物摂取のグラフ835、および血糖値のグラフ840が表示されている。医師モードの操作および表示画面のモーダルモードのビューでグラフに表示される期間は1日である。医師モードの操作および表示画面に表示される数日分の測定値は、日ごとに異なる色または異なる幅/線種で表示される。具体例で説明すると、ライン1466は月曜日を表し、ライン1468は火曜日を表し、ライン1470は水曜日を表している。このビューにより、医師はバーチャルペイシェントソフトウェアを使用して特定の患者に関する数日分の測定値を表示し、時間帯に固有の問題が発生しているかどうかを判断できる。
【0081】
図14Cは、本発明の一実施形態による医師モードの操作および表示画面に表示された時系列ビューを示している。
【0082】
図15は、本発明の一実施形態によるグルコースセンサー、バーチャルペイシェントソフトウェアを備えるコンピューティングデバイス、およびインシュリンポンプを含む閉ループシステムを示している。図15には、グルコースセンサー1510、バーチャルペイシェントソフトウェアを備えるコンピューティングデバイス(たとえば携帯情報端末(たとえばPDA 1520)、およびインシュリンポンプ1530が個別のデバイスとして示されているが、本発明の代替の実施形態では、3台のデバイスが1台のデバイス(すなわち、バーチャルペイシェントソフトウェア1550を格納し、実行できるメモリと、システムのユーザにグラフを表示できるディスプレイとを備える一体型のグルコースセンサー/インシュリンポンプ)に統合されてもよい。本発明の代替の実施形態では、グルコースセンサー1510とインシュリンポンプ1530とが1台のデバイスとして統合され、バーチャルペイシェントソフトウェア1550は、携帯コンピューティングデバイス、たとえば携帯情報端末(PDA)1520、携帯電話、blackberry、またはノートブックコンピュータにインストールされていてもよい。パラレル、シリアル、またはEthernet(登録商標)通信プロトコルを使用して通信する通信ケーブルを使用して、3台のデバイスを物理的に接続してもよい。本発明の代替の実施形態では、デバイスは、無線通信プロトコル(たとえば、BluetoothまたはいずれかのIEEE 802.11無線通信プロトコル)を使用する無線通信を介して相互に通信してもよい。たとえば、グルコースセンサー1510は、患者のグルコース測定値を携帯情報端末(PDA)1520上のバーチャルペイシェントソフトウェア1550にBluetoothを使用して送信してもよい。バーチャルペイシェントソフトウェア1550には、患者モデル1560およびユーザインターフェイスユニット1540が含まれていてもよい。
【0083】
図16は、本発明の一実施形態によるカスタマイズされたバーチャルペイシェントソフトウェアの動作を示す流れ図である。バーチャルペイシェントソフトウェア105は、選択された患者のセンサー測定値をグルコースセンサーから受信してもよい(1600)。バーチャルペイシェントソフトウェアは、グルコースセンサーの測定値を連続的、定期的(たとえば数時間ごと)、または一括(たとえば数日分の測定値をバーチャルペイシェントソフトウェアにロード)のいずれの方法で受信してもよい。グルコースセンサーの測定値は、通信ケーブル、無線、または移植可能なメモリデバイス(メモリカード、メモリスティック、移植可能なハードドライブ、フロッピー(登録商標)ディスク、CD、DVDなど)のいずれを経由して転送してもよい。本ソフトウェアで仮想患者モデルを作成するには、追加の個人情報(たとえば、体重、糖尿病の期間、患者のライフスタイル、患者の趣味など)が必要である。
【0084】
バーチャルペイシェントソフトウェアは、測定値および個人データを受信した選択された患者モデルに何が「最適」であるかを決定する(1602)。つまり、本ソフトウェア105は、基盤となる代謝モデルを使用して実際の患者の血糖測定値を最適に近似する。このような動作条件の下では、患者モデル(患者パラメータフィットモジュール160)は、患者のグルコースセンサーの測定値がこの患者について、患者モデル(患者パラメータフィットモジュール160)で予測した値に対応するかどうか、またはこれに近いかどうかを測定された期間にわたって判断できる。
【0085】
患者のグルコースのデータに「適合」する代謝モデルがない場合は、バーチャルペイシェントソフトウェア105は、この特定の患者についてグルコースの代謝をシミュレートすることはできない。本発明の代替の実施形態では、患者モデルは、バーチャルペイシェントソフトウェア105の外部でグルコースセンサーの測定値を直接受信し、患者モデルがバーチャルペイシェントソフトウェア105の外部で作成された後で、患者パラメータフィットモジュールに配置された患者パラメータと任意の数学的アルゴリズムまたはロジックとをシミュレーションエンジン150に提供することによって、新しく作成された患者モデルをバーチャルペイシェントソフトウェアにインポートすることもできる。
【0086】
バーチャルペイシェントソフトウェア利用のモードを選択できる(1608)。本発明の一実施形態では、モードには、指導モード(教育モード)または監視モードを含めてもよい。一般的に言えば、指導モードでは、患者またはメディカルプロフェッショナルは、選択された患者モデルについて選択された治療の結果を表示できる。このモードでは、結果は実際に患者のグルコースセンサーに表示されるものではない。代わりに、特定の治療またはイベント(たとえば、基礎注入量または食事摂取の変更)が発生した場合の推定または予測である。
【0087】
指導モードが選択されており、バーチャルペイシェントソフトウェアがグルコースセンサーからセンサーの測定値を受信した場合は、バーチャルペイシェントソフトウェアは、あらかじめ指定された期間に対応するセンサーの測定値を表示できる(1610)。本発明の一実施形態では、バーチャルペイシェントソフトウェア105は、最近3日間のセンサー測定値を、患者について入力されたイベントまたはインプット(たとえば、食事の摂取、インシュリン投与、インシュリン注射)と共に表示できる。特定の動作条件の下では、バーチャルペイシェントソフトウェア105は、インシュリンポンプから情報(たとえば基礎注入量などの情報について)を受信してもよい。本発明のいくつかの実施形態では、グルコースセンサーの血糖測定値は、バーチャルペイシェントソフトウェアに提供される唯一の情報の可能性もあるので、操作および表示メニューのグラフ表示セクション714には血糖値のグラフ(たとえばグラフ840)のみを表示し、他の2つのグラフは表示しなくてもよい(患者モデルには患者の炭水化物摂取のデータもインシュリン投与のデータも提供されていないため)。
【0088】
特定の動作条件の下では、バーチャルペイシェントソフトウェアの表示オリエンテーションまたは表示モードの変更を指定できる(1612)。具体例で説明すると、デフォルトで時系列モードを選択できるが、ユーザは、この表示モードを食事中心モードまたはモーダルモード(選択された日のそれぞれについて24時間のグラフ順に重ねて表示される)に変更できる。
【0089】
バーチャルペイシェントソフトウェアにはイベントが入力されてもよい。あるいは、基礎注入量、食事、またはボーラス投与などのインプットがバーチャルペイシェントソフトウェア105に入力されてもよい(1614)。イベントがインプットの場合は、バーチャルペイシェントソフトウェア105はこうしたイベントに対応する。イベントが時間の入力(たとえば、操作および表示画面の時間入力ツールバーを使用して)の場合は、バーチャルペイシェントソフトウェア105は、データグラフ表示セクション714に表示された情報を、前回選択された期間のデータから新しい選択された期間のみを組み込むように変更できる。たとえば、新しい時間(たとえば3:00 pm)が選択され、前回選択された時間が12:00(正午)だった場合は、バーチャルペイシェントソフトウェアは12:00(正午)から3:00 pmまでの3時間の情報のみが表示される。具体例で説明すると、これは患者モードで使用される。
【0090】
特定の動作条件の下では、これは指導モードなので、時間ツールバーを無効にできる。指導モードは、教育用のツールとして構築されており、リアルタイムの監視には利用できないためである。
【0091】
本発明の一実施形態では、入力されるイベントは、"take fingerstick(フィンガースティック実行)"イベント(ユーザ/患者が実際にフィンガースティックの測定を実行する)でもよい。グルコースセンサーも患者の血糖値の測定に利用されるので、フィンガースティック実行イベントを使用してグルコースセンサーをキャリブレーションしてもよい。換言すると、バーチャルペイシェントソフトウェア105は、ユーザにフィンガースティックの測定値を要求し、それを受信し、このグルコースセンサーの測定値と比較することもできる。この比較に基づいて、バーチャルペイシェントソフトウェアは、グルコースセンサーに対して03 mg/dlのキャリブレーションを実行し、フィンガースティックの測定値に合わせるように指示することもできる。本発明の代替の実施形態では、バーチャルペイシェントソフトウェアは、コンピューティングデバイスの画面にユーザに対してキャリブレーションの実行を指示するメッセージを表示することもできる。本発明の代替の実施形態では、バーチャルペイシェントソフトウェア105は、キャリブレーションのメッセージまたはコマンドをグルコースセンサー1510に直接送信してもよい。
【0092】
バーチャルペイシェントソフトウェア105は、患者の治療を改善するために患者が必要と考えるインプットを受信することもできる。指導モードでは、こうしたインプットは基本的にテストインプットであり、患者モデルのテストインプットに対する応答を表示する。たとえば、ユーザは、提案された基礎注入量の変更をバーチャルペイシェントソフトウェア105に入力してもよい。バーチャルペイシェントソフトウェア105は、調整されたインプットおよび/またはイベントを受信し、こうしたインプットを患者モデルに入力する。これで、インプットおよび/またはイベント基づいて新しい測定されたパラメータの新しい値が計算される。これで、バーチャルペイシェントソフトウェア105によって更新された推定情報が表示され(1616)、患者は提案されたインプットが選択された患者モデルに及ぼす影響を理解できる。患者は、バーチャルペイシェントソフトウェア105を使用して多くの提案された変更をシミュレートし、こうしたインプットが患者の実際の測定データに及ぼす影響を確認できる。多くの変更をシミュレートする機能は、ステップ1616に戻る矢印で説明されている。多くの提案されたインプットの変更またはイベントにより、患者のためのまたは患者による試験的な治療を設定できる。患者はこの試験的な治療を保存または印刷でき、後でこれを利用することができる。こうした提案されたインプットの変更または提案されたイベントは、テストインプット(または試験的な治療)にすぎず、患者に対して実施された実際のインプットではないため、患者モデルの基盤となる測定値または患者モデル自体には影響しないことに留意されたい。このモードでは、特定の処置が患者モデルにどう影響するかを患者またはメディカルプロフェッショナルに教示することが重要である。
【0093】
バーチャルペイシェントソフトウェアの監視モードが選択されている場合は、監視モードの開始時刻が入力される(1618)。これで、開始時刻すなわち患者またはメディカルプロフェッショナルがバーチャルペイシェントソフトウェアと対話する時間が設定される。具体例で説明すると、患者またはメディカルプロフェッショナルが患者の監視を7:00 amに開始する場合は、開始時刻7:00 amが入力され、患者モデルは選択された患者の測定値を表示する。この情報は、バーチャルペイシェントソフトウェア105のグラフ表示セクション714に表示される。本発明の一実施形態では、グルコースセンサー1510は、患者の血糖値(入力された期間より前の値)をバーチャルペイシェントソフトウェア1550に提供している。本発明の一実施形態では、インシュリンポンプ1530は、患者の基礎注入量(入力された期間より前の値)をバーチャルペイシェントソフトウェア1550に提供している。特定の動作条件の下では、その他のインプット(食事および/またはボーラス投与など)があらかじめ提供されている。バーチャルペイシェントソフトウェア1550は、提供されたいかなる情報(入力された期間より前の値)も、操作および表示メニューのグラフ表示セクション714に表示する。
【0094】
本発明の一実施形態では、バーチャルペイシェントソフトウェアのユーザ(患者またはメディカルプロフェッショナル)は、イベントまたはインプットを入力できる(1620)。ユーザは、イベント(フィンガースティックの測定値と実行時刻など)を入力してもよい。ユーザがグルコースセンサーを利用している場合は、前述のようにフィンガースティックの測定値を使用してグルコースセンサーのキャリブレーションを実行してもよい。インプットが食事(たとえば炭水化物の量を入力)およびこれに伴うボーラス投与の場合は、ユーザが炭水化物のグラム数およびボーラス投与の単位数の他にインプットの時刻(たとえば9:30 am)を入力する。
【0095】
イベントまたはインプットと時刻の入力に基づいて、バーチャルペイシェントソフトウェア1550は、イベントまたはインプットの入力時刻での最新の結果を表示する。バーチャルペイシェントソフトウェア1550は、測定されたパラメータ(血糖値、炭水化物摂取、インシュリン投与)について入力された時刻までの測定値をグラフ表示セクションに表示する。具体例で説明すると、60グラムの炭水化物摂取に伴って14.0単位のボーラス投与を行った場合に、バーチャルペイシェントソフトウェアは、食物摂取をグラフ835(炭水化物のグラフ)に表示し、これに伴う14.0単位のボーラス投与をインシュリン投与のグラフ825に表示する。バーチャルペイシェントソフトウェアは、血糖測定値のグラフ840も入力された時刻または選択された時刻までに更新する。本発明の一実施形態では、バーチャルペイシェントソフトウェアは、グルコースセンサーからの入力を受信し、こうした入力を血糖値のグラフに表示することができる。本発明の一実施形態では、バーチャルペイシェントソフトウェアは、(グルコースセンサーから入力が提供されない場合)、最新のフィンガースティックの測定値を挿入し、患者の代謝の特性に関する知識を利用して患者の血糖値を算出し、前回の時刻から今回入力された時刻までの患者の血糖値を推定する。この推定値は、グラフ表示セクションの血糖値のグラフ840に表示される。
【0096】
前述のように、バーチャルペイシェントソフトウェアでは、ユーザが複数のイベントおよび/またはインプットを入力できる。これは、ステップ1622からステップ1620に進む矢印で表される。特定の動作条件の下では、ユーザは、バーチャルペイシェントソフトウェア1550を使用して、患者の治療によって患者の糖尿病がどうコントロールされるかを監視し続ける。コンピューティングデバイスが動作可能である限り、バーチャルペイシェントソフトウェア1550は実行を継続する。監視モードでは、(指導モードとは異なり)、バーチャルペイシェントソフトウェア1550は、すべての測定値、イベント、およびインプットを格納できる。患者はバーチャルペイシェントソフトウェアをリアルタイムの環境で利用しているので、データの保守は重要である。本発明の実施形態では、コンピューティングデバイスの電源が切断されている場合でも、バーチャルペイシェントソフトウェアは、バーチャルペイシェントソフトウェアが終了し、動作していない期間の測定値を、起動時に受信する。本発明の実施形態では、バーチャルペイシェントソフトウェアは、バーチャルペイシェントソフトウェアが動作していないときの、たとえばグルコースセンサーおよび/またはインシュリンポンプから受信できない情報を入力するように指示する。
【0097】
また、バーチャルペイシェントソフトウェアは、患者の治療の成果を記述するラボレポートを生成することもできる(1626)。前述のように、ラボレポートは、選択された患者モデルにユーザ、たとえばメディカルプロフェッショナルが行った最適化(または調整)に関連する患者の最新の成果を示している。このレポートは、教育または指導モードでは特に重要である。
【0098】
図17Aないし図17Hは、本発明の一実施形態による患者モードのバーチャルペイシェントソフトウェアの使用例を示している。図17Aは、患者モデル(たとえばKevin)が選択された患者モードの操作および表示メニューを示している。バーチャルペイシェントソフトウェアで図17Aの画面を表示するには、ユーザは、患者モードを選択し、次に患者モデル(Kevin)を選択する。ユーザは、さらに時間エントリ(30分、1時間、2時間)の1つを選択する。この最初の選択を行うと、アクティビティサブメニュー1720に時刻および発生したイベント(たとえば、"woke up hungry(起床、空腹)")も表示される。本発明の代替の実施形態では、患者モデルが選択されると、アクティビティサブメニュー1720に最初の時刻が自動的に表示されてもよい。操作および表示画面には、選択された患者の写真を表示することもできる。
【0099】
図17Bは、本発明の一実施形態による患者モードのバーチャルペイシェントソフトウェアで複数のフィンガースティック測定値が受信された後の操作および表示画面を示している。図17Bでは、ユーザは、"take fingerstick(フィンガースティック実行)"セレクタボタンを2度選択し、2つのフィンガースティック測定値(たとえば148と151)が、操作および表示画面の血糖値のグラフ840(図8を参照)に表示される。本発明の一実施形態では、こうしたフィンガースティック測定値がアクティビティサブメニュー1720にも表示されてもよい。
【0100】
図17Cは、本発明の一実施形態によるバーチャルペイシェントソフトウェアの食物入力画面を示している。食物入力画面1725を表示するには、バーチャルペイシェントソフトウェアの操作および表示画面で、ユーザが"eat(食事)"ツールバーを選択する必要がある。食物入力画面では、ユーザは、自身が摂取した食事、または予定している食事に完全に一致するもの、またはその食事に近いものを選択できる。ユーザは、選択する食事の上にカーソルを移動してenterキーを押すことによって食事を選択できる。たとえば、図17Cではサラダの昼食(炭水化物(carbs)は28グラム)が選択されている。適切な食事を選択してから(図では四角で囲まれている)、"eat"ボタンまたはツールバーを選択または押下する。"eat"ボタンまたはツールバーが選択されると、選択された食事(たとえば28グラムの炭水化物)が操作および表示メニュー(具体的には炭水化物摂取のグラフ835)に表示される。
【0101】
患者は、食事を摂取した後に、この食事で摂取した炭水化物に対処するためのボーラス投与を行うのが一般的である。図17Dは、本発明の一実施形態によるボーラスウィザードサブメニューまたはポップアップメニューを示している。ボーラスウィザードサブメニューは、入力された炭水化物の量を対応するボーラス投与の単位数に変換する。たとえば、選択された患者モデルでは、図17Dに示すように、28グラムの炭水化物は、4.7単位のインシュリンに対応する。ボーラス投与の単位数が計算された後で、"take bolus(ボーラス投与)"ボタンまたはツールバーを選択する。"take bolus"ボタンまたはツールバーを選択すると、図17Eに示すように、バーチャルペイシェントソフトウェアの操作および表示メニューで、入力されたボーラス投与の単位数がインシュリン投与のグラフ825に表示される。
【0102】
図17Eは、本発明の一実施形態による操作および表示画面で、食事インプットおよびボーラス投与インプットを入力してから2時間後を示している。バーチャルペイシェントソフトウェア1550のユーザは、シミュレーションで2時間を経過させる(時間エントリツールバーの1つを押下)。ユーザは、システムに"take fingerstick"イベントを入力してもよい。それに応じて、バーチャルペイシェントソフトウェア1550の操作および表示メニューには、たとえば推定またはシミュレートされた血糖値(たとえば100)が10:00 amまで経過した血糖値のグラフ840に表示される。ボーラス投与インプット(たとえば4.7単位)はインシュリン投与のグラフの8:00 amに表示され、さらに食事インプット(28グラムの炭水化物)も炭水化物摂取のグラフ835の8:00 amに表示される。10:00 amに表示された血糖測定値は、食事の摂取量およびボーラス投与の単位数の両方を考慮している。換言すると、食事の摂取量およびボーラス投与の単位数がシミュレーションエンジン150で使用され、10:00 amの血糖測定値が計算されている。
【0103】
図17Fは、本発明の一実施形態による基礎注入量の調整を示している。"basal rate(基礎注入量)"サブメニューまたはドロップダウンメニューでは、1時間あたり1/10単位ずつ調整できる。基礎注入量が調整された後で、ユーザが"adjust basal(基礎注入量の調整)"ボタンまたはツールバーを選択すると、調整された基礎注入量がバーチャルペイシェントソフトウェアに入力される。
【0104】
図17Gは、基礎注入量が調整された後の期間の操作および表示画面を示している。バーチャルペイシェントソフトウェア105は、基礎注入量が調整されても、自動的にまたは直ちにインシュリン投与のグラフ825を変更しないことに留意されたい。特定の動作条件の下では、シミュレーションで時間を経過させた後に基礎注入量の調整が表示される。図17Gに示すように、ユーザは12:00(正午)の基礎注入量の調整を入力し、シミュレーションを1時間経過させる。基礎注入量の調整は12:00(正午)に行われたとして示されているが、シミュレーションを経過させると(この場合は1:00 pmまで)より明確に表示される。
【0105】
図17Hは、グルコースセンサーのシミュレーション機能が有効にされた後の操作および表示画面を示している。図17Hに示す本発明の実施形態では、ユーザは"use sensor(センサー使用)"チェックボックスを選択している。"use sensor"チェックボックスが選択されると、操作および表示メニューの血糖値のグラフ840に、グルコースセンサーから受信されているのと同様に連続的な血糖測定値が表示される。したがって、バーチャルペイシェントソフトウェアのユーザは患者の血糖値に関する連続的なデータポイントセットを参照できるので、この機能は特に有効である。バーチャルペイシェントソフトウェア1550、具体的にはシミュレーションエンジン150は、シミュレーションが1分経過するたびに血糖測定値を計算する。この多くの測定値(たとえば1時間分の60個)により、センサーの測定値を表す曲線をなめらかに表示できる。操作および表示メニューには、シミュレーションの現在時刻の血糖測定値をその他の情報と共に示す小さなポップアップウィンドウも表示されている。
【0106】
図18A〜18Eは、本発明の一実施形態による医師(またはメディカルプロフェッショナル)対話モードの使用例を示している。図18Aは、本発明の一実施形態による医師モードの初期操作および表示画面を示している。医師モードの操作および表示メニューは、時系列スタイルで表示される。つまり、数日間の患者データが横方向に連続して表示される。医師モードの操作および表示画面は、ユーザが医師モードを選択し、さらに患者モデル(たとえば、この場合はMeghan)を選択した後で表示される。
【0107】
図18Bは、本発明の一実施形態による基礎注入量が調整された後の操作および表示画面を示している。図18Bに示すように、実際の入力ツールバーで、シミュレーションを行う日ごとに6:00 amから正午までの期間の基礎注入量を増し、シミュレーションを行う日ごとに正午から6:00 pmまでの期間の基礎注入量を減らし、さらにシミュレーションを行う日ごとに6:00 pmから午前0時までの期間の基礎注入量を増すことによって調整を行う。図18Bに示すように、こうした基礎注入量の調整によってシミュレートされた患者の血糖値の変化が生成される。たとえば、シミュレートされた日ごとの血糖値のグラフに表示される2番目のデータポイントは(9:00 am前後の血糖値を表す)大きく低下している。たとえば、シミュレートされた日ごとの血糖値のグラフに表示される5番目のデータポイントは(6:00 pmの血糖測定値を表す)調整前の測定値に比べて上昇している。
【0108】
図18Cは、本発明の一実施形態によるバーチャルペイシェントソフトウェアの操作および表示画面に表示される炭水化物/インシュリンの比率の調整および結果のグラフを示している。本来、炭水化物/インシュリンの比率を表すスライダーは、1日4分割したインジケータの下に表示されている(たとえば、図18Cでは"noon to 6:00 pm(正午〜6:00 pm)"のスライダーが表示されている)。図18Cに示すように、"midnight to 6:00 am(午前0時〜6:00 am)"の期間と"6:00 am to 12 noon(6:00 am〜正午)"の期間では、炭水化物/インシュリンの比率が高く設定されている。"6:00 pm to midnight(6:00 pm〜午前0時)"の期間は、炭水化物/インシュリンの比率が低く設定されている。血糖値に及ぼす影響は図18Cに示されている。さまざまな期間について炭水化物/インシュリンの比率が変更されると、インシュリン投与のグラフ825は再計算されることに留意されたい。具体例で説明すると、図18Cに示すように、炭水化物/インシュリンの比率が高い期間では、インシュリン投与が大きく低下している。
【0109】
図18Dは、本発明の一実施形態による医師モードのバーチャルペイシェントソフトウェアで"use sensor"チェックボックスが選択された状態の操作および表示画面を示している。"use sensor"チェックボックスが選択されると、操作および表示メニューの血糖値のグラフには、患者のシミュレートされた連続的な血糖測定値が表示される。前に表示されたデータポイントとの間の測定値および動向が表示されるので、連続的な血糖測定値と共に患者の血糖値の動向に関する適切な推定が医師に示される。本発明の一実施形態では、シミュレーションエンジンは、シミュレーションが1分経過するたびに血糖測定値を生成する。
【0110】
図18Eは、本発明の一実施形態によるモーダル表示モードの操作および表示画面を示している。モーダル表示モードでは、ユーザは数日分のデータを相互に重ね合わせて参照できる。これは、患者の傾向を把握し、1昼夜の間に患者が望ましい血糖値を維持しにくい時間帯があるかどうかを確認しようとする場合に便利である。血糖値のグラフ840に表示される曲線は、それぞれが1日のシミュレーションを表している。多くの動作条件の下では、モーダル表示モードのグラフに表示される期間は1日(24時間)である。
【0111】
以上の説明は、本発明の特定の実施形態に関連するが、本発明の精神を逸脱しないさまざまな変更が可能であることは言うまでもない。添付の特許請求の範囲が意図するところにより、こうした変更は本発明の真の範囲と精神を逸脱しないものとみなされる。したがって、本明細書で開示された実施形態は、あらゆる点で説明を目的としており、限定的なものではないと考えられる。また、以上の説明ではなく添付の特許請求の範囲に示される本発明の範囲、ならびに特許請求の範囲と同等の意味および範囲内のすべての変更は、本発明に含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1A】本発明の一実施形態によるバーチャルペイシェントソフトウェアプログラムが組み込まれたコンピューティングデバイスを示すブロック図とデータフロー図である。
【図1B】本発明の一実施形態によるバーチャルペイシェントソフトウェアで現実または実際の患者のデータを利用する方法を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態によるバーチャルペイシェントソフトウェアシステムの初期画面を示す図である。
【図3A】本発明の一実施形態によるボーラス入力ウィンドウおよびボーラスウィザードウィンドウを示す図である。
【図3B】本発明の一実施形態による患者モードの操作および表示メニューの運動入力画面を示す図である。
【図3C】本発明の一実施形態による患者対話モードの操作および表示画面の基礎注入量調整(basal adjustment rate)メニューを示す図である。
【図3D】本発明の一実施形態による炭水化物判定(carbohydrate determination)メニューを示す図である。
【図4A】本発明の一実施形態による患者モードのバーチャルペイシェントソフトウェアを示す流れ図である。
【図4B】本発明の一実施形態による医師対話モデルのバーチャルペイシェントソフトウェアを示す流れ図である。
【図5】バーチャルペイシェントソフトウェアの対話選択画面を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態によるバーチャルペイシェントソフトウェアの患者選択画面を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態による患者モードの操作および表示画面を示す図である。
【図8】発明の一実施形態によるバーチャルペイシェントソフトウェアの操作および表示画面700を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態によるバーチャルペイシェントソフトウェアの操作および表示画面のグラフ表示セクションを示す図である。
【図10】本発明の一実施形態による医師対話モードのバーチャルペイシェントソフトウェアで表示する1人の患者(たとえばMegan)の情報表示(presenting)画面1000を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態による医師対話モードの操作および表示画面を示す図である。
【図12A】本発明の一実施形態によるボーラス投与入力画面が表示された医師対話モードのメニューを示す図である。
【図12B】炭水化物/インシュリンの比率の調整が選択された医師モードの操作および表示画面を示す図である。
【図13】本発明の一実施形態による患者対話モードの画面に表示されたラボレポート(lab report)を示す図である。
【図14A】本発明の一実施形態による医師対話モードの操作および表示画面に表示された食事中心(around meals)ビューを示す図である。
【図14B】本発明の一実施形態による医師モードの操作および表示画面に表示されたモーダルビュー(modal view)を示す図である。
【図14C】本発明の一実施形態による医師モードの操作および表示メニューに表示された時系列(longitudinal)ビューを示す図である。
【図15】本発明の一実施形態によるグルコースセンサー、バーチャルペイシェントソフトウェアを備えるコンピューティングデバイス、およびインシュリンポンプを含む閉ループシステムを示す図である。
【図16】本発明の一実施形態によるカスタマイズされたバーチャルペイシェントソフトウェアの動作を示す流れ図である。
【図17A】本発明の一実施形態による患者モードのバーチャルペイシェントソフトウェアの使用例を示す図である。
【図17B】本発明の一実施形態による患者モードのバーチャルペイシェントソフトウェアの使用例を示す図である。
【図17C】本発明の一実施形態による患者モードのバーチャルペイシェントソフトウェアの使用例を示す図である。
【図17D】本発明の一実施形態による患者モードのバーチャルペイシェントソフトウェアの使用例を示す図である。
【図17E】本発明の一実施形態による患者モードのバーチャルペイシェントソフトウェアの使用例を示す図である。
【図17F】本発明の一実施形態による患者モードのバーチャルペイシェントソフトウェアの使用例を示す図である。
【図17G】本発明の一実施形態による患者モードのバーチャルペイシェントソフトウェアの使用例を示す図である。
【図17H】本発明の一実施形態による患者モードのバーチャルペイシェントソフトウェアの使用例を示す図である。
【図18A】本発明の一実施形態による医師モードのバーチャルペイシェントソフトウェアの使用例を示す図である。
【図18B】本発明の一実施形態による医師モードのバーチャルペイシェントソフトウェアの使用例を示す図である。
【図18C】本発明の一実施形態による医師モードのバーチャルペイシェントソフトウェアの使用例を示す図である。
【図18D】本発明の一実施形態による医師モードのバーチャルペイシェントソフトウェアの使用例を示す図である。
【図18E】本発明の一実施形態による医師モードのバーチャルペイシェントソフトウェアの使用例を示す図である。
【符号の説明】
【0113】
100 コンピューティングデバイス
105 バーチャルペイシェントソフトウェア
110 チャート作成および表示モジュール
115 患者パラメータライブラリ
120 ユーザインターフェイス制御モジュール
125 食物データライブラリ
130 内蔵シナリオライブラリ
150 シミュレーションエンジン
155 実際の患者データストレージ
160 患者パラメータフィットモジュール
202 メイン対話ボタン
310 ボーラス入力ウィンドウ
320 ボーラスウィザードウィンドウ
330 運動入力画面
333 運動の期間入力ウィンドウ
336 運動のレベル入力ウィンドウ
340 運動入力ボタン
350 基礎注入量調整メニュー
352 基礎注入量入力ウィンドウ
354 基礎注入量調整ボタン
360 炭水化物判定メニュー
500 メイン対話画面
502 患者ボタン
504 医師ボタン
600 患者選択メニュー
602 Kevinのメニューセレクタまたはボタン
604 Stanleyのメニューセレクタまたはボタン
606 Meganのメニューセレクタまたはボタン
700 患者モードの操作および表示画面
702 時間ツールバー
704 フィンガースティック実行ツールバーまたはセレクタボタン
706 ボーラス投与ツールバーまたはセレクタボタン
708 基礎注入量調整ツールバーまたはセレクタボタン
710 食事または食物摂取ツールバーまたはセレクタボタン
712 運動ツールバーまたはセレクタボタン
714 グラフ表示セクション
810 アクティビティログ
820 ボーラス投与ベースライン
822 ボーラス投与
824 ボーラス投与(デュアルウェーブ)
825 インシュリン投与のグラフ
826 ボーラス投与
828 ボーラス投与
830 運動の方形波
832 運動のポップアップウィンドウ
834 ボーラス投与のポップアップウィンドウ
835 炭水化物摂取のグラフ
840 血糖値のグラフ
870 ポップアップウィンドウ(シミュレーションの時刻)
1000 患者の情報表示画面(Megan)
1010 情報表示ポップアップメニュー
1105 表示オリエンテーションメニュー
1110 センサー表示チェックボックス
1115 インプット変更またはポンプ設定メニュー
1120 実際の調整ツールバー
1125 イメージプロフィール
1130 グラフ表示セクション
1410 夜食サブメニュー
1420 数日間の血糖値サブメニュー
1430 朝食サブメニュー
1440 昼食サブメニュー
1450 夕食サブメニュー
1466 月曜日のグラフ
1468 火曜日のグラフ
1470 水曜日のグラフ
1510 グルコースセンサー
1520 携帯情報端末(PDA)
1530 インシュリンポンプ
1540 インターフェイスユニット
1550 バーチャルペイシェントソフトウェア
1560 患者モデル
1720 アクティビティサブメニュー
1725 食物入力画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の糖尿病の治療の展開に関わる個人を支援するシステムであって、
前記患者に関連するインプットを受信し、かつシミュレーションの経過時間を受信するユーザインターフェイス制御モジュールと、
前記インプットを受信し、前記インプットに基づいて前記シミュレーションの経過時間までの前記患者に対する複数の血糖測定値を生成し、かつ前記複数の血糖測定値を転送するシミュレーションエンジンと、
前記複数の血糖測定値を受信し、かつ前記複数の血糖測定値を表示するチャート作成および表示モジュールと、を具備することを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記シミュレーションエンジンは、選択された患者モデルに基づいて患者パラメータライブラリから患者パラメータを受信することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
複数のシナリオを格納し、前記シナリオのそれぞれは前記選択された患者モデルに対する多数の測定値を表す、内蔵シナリオライブラリをさらに具備し、
前記複数のシナリオのうちの1つは、前記患者モデルの選択と共に選択されることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
複数の食事インプットを格納する食物データライブラリをさらに具備し、
前記インプットは、前記複数の食事インプットのうちの1つから選択されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記ユーザインターフェイス制御モジュールは、前記食事インプットを前記チャート作成および表示モジュールに転送し、
前記チャート作成および表示モジュールは、前記食事インプットのグラフを表示することを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記食事インプットは、炭水化物の数量として入力されることを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
実際の患者データを利用した患者の糖尿病の治療の展開に関わる個人を支援するシステムであって、
インプットへの調整を受信し、前記インプットは前記治療に関連する、ユーザインターフェイス制御モジュールと、
前記インプットへの前記調整を受信し、前記インプットへの前記調整に基づいてシミュレーション期間にわたる前記患者に対する複数の血糖測定値を生成し、かつ前記複数の血糖測定値を転送するシミュレーションエンジンと、
前記複数の血糖測定値を受信し、かつ現在表示されている血糖測定値の表示を前記受信した複数の血糖測定値に基づいて変更するチャート作成および表示モジュールを具備することを特徴とするシステム。
【請求項8】
実際の患者データを格納するストレージをさらに具備し、
前記実際の患者データは、前記ユーザインターフェイス制御モジュールに転送されることを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記実際の患者データは、前記ユーザインターフェイス制御モジュールから前記チャート作成および表示モジュールに転送され、
前記チャート作成および表示モジュールは、前記入力された実際の患者データの少なくとも一部をコンピューティングデバイスのディスプレイに表示することを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
実際の患者データを格納するストレージと、前記シミュレーションエンジンで使用する数学的パラメータを決定する患者パラメータフィットモジュールと、をさらに具備し、
前記入力された実際の患者データは、前記患者パラメータフィットモジュールに転送され、
前記患者パラメータフィットモジュールは、前記数学的パラメータを決定することを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記シミュレーションエンジンは、前記インプットへの前記調整と共に前記数学的パラメータを使用して前記複数の血糖測定値を生成することを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記実際の患者データは、グルコースセンサーおよびインシュリンポンプのうちの少なくとも1つから前記システムの前記ストレージに送信されることを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記実際の患者データは、無線通信を利用して送信されることを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
シミュレーションの実行によって患者に対する糖尿病管理を助ける治療の展開に関わる個人を支援する方法であって、
患者モードにおいて前記患者の前記糖尿病管理に関連するインプットまたはイベントを受信し、かつ前記シミュレーションの第1時間を取得するステップと、
前記受信したインプットまたはイベントに基づいて、前記患者に対する前記シミュレーションの前記第1時間までのシミュレートされた複数の血糖測定値を計算するステップと、
前記患者に対する前記シミュレートされた複数の血糖測定値を表示するステップと、を有することを特徴とする方法。
【請求項15】
前記シミュレートされた複数の血糖測定値を表示するステップは、前記インプットまたはイベントを受信するステップの直後に実行されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
操作する患者モデルを選択した後に画面上にヘルプを表示するステップをさらに有することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記糖尿病管理のための前記治療の展開における前記患者の成果を詳細に記述するラボレポートを生成および表示するステップをさらに有することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項18】
第1インプットのグラフを前記シミュレートされた複数の血糖測定値の表示とは異なる表示領域に表示するステップをさらに有することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項19】
第2インプットまたはイベントを受信し、かつ前記シミュレーションの第2時間を取得するステップと、
前記受信した第2インプットまたはイベントに基づいて、前記シミュレーションの前記第1時間から前記シミュレーションの前記第2時間までの期間について、前記患者に対する第2のシミュレートされた複数の血糖測定値を計算するステップと、
前記シミュレーションの前記第1時間から前記シミュレーションの前記第2時間までの期間について、前記第2のシミュレートされた複数の血糖測定値を表示するステップと、をさらに有することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項20】
コンピュータ可読の記憶媒体と、
前記コンピュータ可読の記憶媒体に格納されたコンピュータ可読のプログラムコードと、を具備し、前記コンピュータ可読のプログラムコードは、実行された場合にコンピューティングデバイスに、
患者モードにおいて前記患者の前記糖尿病管理に関連するインプットまたはイベントを受信し、かつシミュレーションの第1時間を取得するステップと、
前記受信したインプットまたはイベントに基づいて、前記患者に対する前記シミュレーションの前記第1時間までのシミュレートされた複数の血糖測定値を計算するステップと、
前記患者に対する前記シミュレートされた複数の血糖測定値を表示するステップと、を実行させる命令を有することを特徴とするプログラムコード記憶装置。
【請求項21】
前記シミュレートされた複数の血糖測定値を表示するステップは、前記インプットまたはイベントを受信するステップ直後に実行されることを特徴とする請求項20に記載のプログラムコード記憶装置。
【請求項22】
前記コンピュータ可読のプログラムコードは、実行された場合に前記コンピューティングデバイスに、操作する前記患者モデルを選択した後に画面上にヘルプを表示させる命令を有することを特徴とする請求項20に記載のコンピュータプログラムコード記憶装置。
【請求項23】
前記コンピュータ可読のプログラムコードは、実行された場合に前記コンピューティングデバイスに、前記糖尿病管理のための治療の展開における前記患者の成果を詳細に記述するラボレポートを生成および表示させる命令を有することを特徴とする請求項20に記載のコンピュータプログラムコード記憶装置。
【請求項24】
前記コンピュータ可読のプログラムコードは、実行された場合に前記コンピューティングデバイスに、第1インプットのグラフを前記シミュレートされた複数の血糖測定値の表示とは異なる表示領域に表示させる命令を有することを特徴とする請求項20に記載のコンピュータプログラムコード記憶装置。
【請求項25】
前記コンピュータ可読のプログラムコードは、実行された場合に前記コンピューティングデバイスに、
第2インプットまたはイベントを受信し、かつ前記シミュレーションの第2時間を取得するステップと、
前記受信した第2インプットまたはイベントに基づいて、前記シミュレーションの前記第1時間から前記シミュレーションの前記第2時間までの期間について、前記患者に対する第2のシミュレートされた複数の血糖測定値を計算するステップと、
前記シミュレーションの前記第1時間から前記シミュレーションの前記第2時間までの期間について、前記患者に対する前記第2のシミュレートされた複数の血糖測定値を表示するステップと、を実行させる命令を有することを特徴とする請求項20に記載のコンピュータプログラムコード記憶装置。
【請求項26】
シミュレーションの実行によって患者の糖尿病管理のための治療の展開に関わる医師を支援する方法であって、
医師モードにおいて前記患者の前記糖尿病管理に関連するインプットを受信するステップと、
前記受信したインプットに基づいて、前記患者に対する前記シミュレーションの期間についてシミュレートされた複数の血糖測定値を計算するステップと、
前記シミュレーションの期間の前記シミュレートされた複数の血糖測定値をディスプレイ上に表示するステップと、を有することを特徴とする方法。
【請求項27】
前記シミュレートされた複数の血糖測定値を表示するステップは、前記インプットを受信するステップの直後に実行されることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
第2インプットを受信するステップと、
前記受信した第2インプットに基づいて、前記シミュレーションの期間について、前記患者に対する第2のシミュレートされた複数の血糖測定値を計算するステップと、
前記第2のシミュレートされた複数の血糖測定値を前記ディスプレイ上に表示するステップと、をさらに有することを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項29】
コンピュータ可読の記憶媒体と、
前記コンピュータ可読の記憶媒体に格納されたコンピュータ可読のプログラムコードと、を具備し、前記コンピュータ可読のプログラムコードは、実行された場合にコンピューティングデバイスに、
医師モードにおいて前記患者の前記糖尿病管理に関連するインプットを受信するステップと、
前記受信したインプットに基づいて、前記患者に対するシミュレーションの期間についてシミュレートされた複数の血糖測定値を計算するステップと、
前記シミュレーションの期間について前記シミュレートされた複数の血糖測定値をディスプレイ上に表示するステップと、を実行させる命令を有することを特徴とするプログラムコード記憶装置。
【請求項30】
前記シミュレートされた複数の血糖測定値を表示するステップは、前記インプットを受信するステップの直後に実行されることを特徴とする請求項29に記載のプログラムコード記憶装置。
【請求項31】
前記コンピュータ可読のプログラムコードは、実行された場合にコンピューティングデバイスに、
第2インプットを受信するステップと、
前記受信した第2インプットに基づいて、前記シミュレーションの期間について、前記患者に対する第2のシミュレートされた複数の血糖測定値を計算するステップと、
前記第2のシミュレートされた複数の血糖測定値を前記ディスプレイ上に表示するステップと、を実行させる命令をさらに有することを特徴とする請求項29に記載のプログラムコード記憶装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3(a)】
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【図3(b)】
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【図3(c)】
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【図3(d)】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図12(b)】
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【図13】
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【図14(a)】
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【図14(b)】
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【図14(c)】
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【図15】
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【図16】
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【図17(a)】
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【図17(b)】
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【図17(c)】
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【図17(d)】
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【図17(e)】
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【図17(f)】
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【図17(g)】
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【図17(h)】
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【図18(a)】
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【図18(b)】
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【図18(c)】
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【図18(d)】
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【図18(e)】
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【公表番号】特表2008−545489(P2008−545489A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−514839(P2008−514839)
【出願日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2006/021225
【国際公開番号】WO2006/132899
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(507028398)メドトロニック・ミニメッド・インコーポレーテッド (23)
【Fターム(参考)】