説明

紫外線吸収剤包接粘土鉱物及びこれを含有する化粧料

【課題】紫外線吸収剤を粉末成分として化粧料製剤に配合可能とし、広域の紫外線を有効に吸収することができ、包接量、及び包接力の強さに優れた紫外線吸収剤包接粘土鉱物、及びこれを配合した化粧料を提供する。
【解決手段】水膨潤性粘土鉱物の層間に、ポリ塩基と、アニオン性紫外線吸収剤とがインターカレートしていることを特徴とする紫外線吸収剤包接粘土鉱物。ポリ塩基がカチオン化可能な含窒素基を有するポリマーであることが好適である。また、アニオン性紫外線吸収剤が2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、又はヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸、又はそれらのナトリウム塩であることが好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線吸収剤包接粘土鉱物、及びこれを配合した化粧料に関し、特に、紫外線吸収剤包接粘土鉱物の紫外線防御能、及び包接しているアニオン性紫外線吸収剤の包接量、及び包接力の強さの改善に関する。
【背景技術】
【0002】
水膨潤性粘土鉱物は、種々の有機化合物と複合体を形成することが知られている。すなわち、水膨潤性の粘土鉱物は、板状の結晶が積み重なり層間にカチオンや水分子を有した構造をしているため、層間のカチオン又は水分子との交換によって他の分子を包接(インターカレート)し、容易に複合体とすることができる。このように、水膨潤性粘土鉱物は、種々の機能性分子との複合体を形成することによって、様々な機能を付与することが可能となる。
【0003】
ここで、紫外線吸収剤を水膨潤性粘土鉱物に包接(インターカレート)したものが報告されている(特許文献1〜3)。しかし、これらは層間で紫外線吸収剤と粘土鉱物の相互作用が比較的弱い非共有結合的なものであり、希薄溶液中では平衡になると脱離していた。
【0004】
一方、層電荷が正である層状複水酸化物に、アニオン性の紫外線吸収剤をインターカレートしたものが報告されている(特許文献4)。しかしながら、層状複水酸化物は空気中の二酸化炭素で容易に層間に炭酸イオン化されてしまう。そしてさらに、層間の炭酸イオンを硝酸イオンに置換することが、その後のインターカレーション反応に不可欠であることから、多量の酸を使用しなければならないといった欠点がある。
【0005】
また一方で、粘土鉱物層間にポリ塩基・ポリカチオンをインターカレートし、層間の電荷を負から正に転換し、得られた複合体を利用することによる酸性染料のインターカレーションが報告されている(特許文献5、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭60−81124号公報
【特許文献2】特開昭62−181213号公報
【特許文献3】特開平8−239648号公報
【特許文献4】特開2008−1774号公報
【特許文献5】特開2004−331878号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Chemistry of Materials, 19, 79 (2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、包接対象が酸性染料の場合には、紫外線吸収能を殆ど有しておらず、紫外線吸収剤の用途として用いられることはなかった。また、従来より用いられている紫外線吸収剤は液状のものが多く、粉末成分として化粧料製剤として配合することは困難であった。
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、紫外線吸収剤を粉末成分として化粧料製剤に配合可能とし、広域の紫外線を有効に吸収することができる紫外線吸収剤包接粘土鉱物を提供することにある。また、包接量、及び包接力の強さに優れた紫外線吸収剤包接粘土鉱物、及びこれを配合した化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明者等が鋭意検討を行った結果、アニオン性の層電荷を有する水膨潤性粘土鉱物の層間に、ポリ塩基をインターカレートすることによりポリ塩基−無機層状ナノシート複合体の層間にカチオン性点を得、さらにアニオン性水溶性有機紫外線吸収剤を層間にインターカレートすることにより、上記した目的を達し得る紫外線吸収剤包接粘土鉱物が得られることを見出した。
【0010】
すなわち、本発明にかかる紫外線吸収剤包接粘土鉱物は、水膨潤性粘土鉱物の層間に、ポリ塩基と、アニオン性紫外線吸収剤とがインターカレートしていることを特徴とする。
また、本発明にかかる紫外線吸収剤包接粘土鉱物は、ポリ塩基がカチオン化可能な含窒素基を有するポリマーであることが好適である。
また、本発明にかかる紫外線吸収剤包接粘土鉱物は、アニオン性紫外線吸収剤が2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、及びそれらのナトリウム塩から選ばれる1種以上であることが好適である。
また、本発明にかかる化粧料は、前記紫外線吸収剤包接粘土鉱物を配合したことを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる紫外線吸収剤包接粘土鉱物の製造方法は、ポリ塩基を水相中で水膨潤性粘土鉱物に接触させて層間にインターカレートさせるポリ塩基包接粘土鉱物調製工程と、
得られたポリ塩基包接粘土鉱物と、アニオン性紫外線吸収剤とを水相中で混合して、アニオン性紫外線吸収剤を層間にさらにインターカレートさせる紫外線吸収剤包接粘土鉱物調製工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、水膨潤性粘土鉱物の層間に、ポリ塩基をインターカレートしたポリ塩基包接粘土鉱物を、さらにアニオン性紫外線吸収剤と混合することにより、アニオン性紫外線吸収剤を層間にインターカレートした紫外線吸収剤包接粘土鉱物を得ることができる。この紫外線吸収剤包接粘土鉱物は、液体の紫外線吸収剤を粉末成分として化粧料製剤に配合させることができる。また、上記アニオン性紫外線吸収剤を包接することで、広域の紫外線を有効に吸収することができる。さらに、アニオン性紫外線吸収剤の包接量が多く、包接力の強い紫外線吸収剤包接粘土鉱物、及びこれを配合した化粧料を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明にかかる紫外線吸収剤包接粘土鉱物(実施例1)における、水膨潤性粘土鉱物(Clay)の層間へのポリ塩基(PDDA)及びアニオン性紫外線吸収剤(2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸)のインターカレートに伴う層間距離を示す図、及び水膨潤性粘土鉱物(Clay)の層間へのポリ塩基(PDDA)のインターカレートに伴う層間距離である。
【図2】本発明にかかる紫外線吸収剤包接粘土鉱物(実施例1)における、水膨潤性粘土鉱物(Clay)の層間へのポリ塩基(PDDA)及びアニオン性紫外線吸収剤(ヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム)のインターカレートに伴う層間距離を示す図、及び水膨潤性粘土鉱物(Clay)の層間へのポリ塩基(PDDA)のインターカレートに伴う層間距離である。
【0014】
【図3】本発明にかかる紫外線吸収剤包接粘土鉱物(実施例1)、及び紫外線吸収剤水溶液の紫外線吸収スペクトル図である
【図4】本発明にかかる紫外線吸収剤包接粘土鉱物(実施例2)、及び紫外線吸収剤水溶液の紫外線吸収スペクトル図である
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明にかかる紫外線吸収剤包接粘土鉱物は、水膨潤性粘土鉱物層間に、ポリ塩基を包接したポリ塩基包接粘土鉱物を調製し、これにポリ塩基と正負反対の電荷を有するアニオン性紫外線吸収剤を、静電的な相互作用により吸着・被覆させることにより複合化したものである。
従来知られている技術においては、単に粘土鉱物に紫外線吸収剤をインターカレートしたものであり、電荷を考慮し、アニオン電荷の粘土鉱物に、カチオン電荷のポリ塩基を包接し、さらにアニオン電荷の紫外線吸収剤を包接させたものはこれまで報告されておらず、本発明によって初めてなされたものである。
【0016】
紫外線吸収剤包接粘土鉱物
本発明の紫外線吸収剤包接粘土鉱物について、説明する。
紫外線吸収剤包接粘土鉱物は、水膨潤性粘土鉱物の層間に、ポリ塩基と、アニオン性紫外線吸収剤とをインターカレートさせたものである。
水膨潤性粘土鉱物は一般的にマイナスの表面電荷を有している。また、アニオン性紫外線吸収剤もSO基等のアニオン性基を有している。このため、通常は両者を水中で混合するだけでは、アニオン性紫外線吸収剤は水膨潤性粘土鉱物の層間にインターカレートすることは静電反発を理由に困難であり、粘土鉱物表面にアニオン性紫外線吸収剤が吸着したとしても、洗浄等により容易に離脱してしまう。
【0017】
しかしながら、水膨潤性粘土鉱物の層間にポリ塩基をインターカレートすることにより、アニオン性紫外線吸収剤も層間に容易にインターカレートすることができる。これは、ポリ塩基により水膨潤性粘土鉱物の層間の電荷反転(負→正)が生じたためである。インターカレートしたアニオン性紫外線吸収剤は、洗浄によっても容易に脱着しない。
【0018】
ポリ塩基としては、四級アンモニウム基や、アミン、イミン、ピリジンなどカチオン化可能な含窒素基(塩の形態でもよい)を分子内に複数個有しているポリマーが好適に用いられる。ポリ塩基は、少なくとも水膨潤性粘土鉱物と水相中で接触する際にポリカチオンとなっていることが好適である。ポリ塩基をカチオン化するために、必要に応じて塩酸などの酸を用いてもよい。なお、製造法の観点から、ポリ塩基は鎖状の構造で水溶性であることが好ましい。
【0019】
ポリ塩基として、具体的には、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミンあるいはポリビニルアミン、ポリビニルピリジンなどのアミン及びその塩、ポリジメチルジアリルアンモニウム塩、ポリメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの四級アンモニウム塩、カチオン化セルロース、カチオン化グアガム、カチオン化ローストビーンガム、カチオン化β−1,3−グルカン、カチオン化デンプンなどのカチオン化多糖類などが挙げられる。これらは、ホモポリマーでも、コポリマーであってもよい。塩としては、例えばハロゲン(Cl、Brなど)との塩が挙げられる。
これらの中でも、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド(PDDA)は均一荷電の理想的なポリ強塩基であり、pHによる影響を受けないので特に好ましい。また、PDDAは化粧料における配合可能成分であることから、安全性の点でも好ましいと言える。
【0020】
これらポリ塩基の分子量は種々のものがあり、本発明においては、アニオン性紫外線吸収剤を粘土鉱物中に十分包接し得る電荷を与えることができるものであれば、分子量は特に限定されない。しかしながら、水膨潤性粘土鉱物層間にインターカレートする際に、用いるポリ塩基の分子量が大きい場合には、水膨潤性粘土鉱物が凝集しやすくなる傾向にあると考えられるため、好ましくは平均分子量100万以下、さらには、平均分子量10万以下のものが好適である。
【0021】
ポリ塩基はその高分子鎖が柔軟でかつ塩基点もしくはカチオンサイトの間隔が広いものが、水膨潤性粘土鉱物層間でコイル状のコンフォメーションを取るため有利であり、ポリジアリルジメチルアンモニウムやポリアリルアミン、もしくはこれらとスペーサーとなるアクリルアミドとのコポリマーが望ましい。
ポリ塩基を水膨潤性粘土鉱物にインターカレートさせる際には、通常は、適当な濃度の水溶液として使用する。
【0022】
本発明において使用できるアニオン性紫外線吸収剤としては、ポリ塩基と静電的相互作用で層間に包接できるものであれば、いずれも使用することができる。その中でも、スルホン酸基(−SOH)や、フェノール基(−OH)を有しているものが好ましい。これらアニオン性基は塩基(水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなど)により解離性の塩の形態であってよく、好ましくはアルカリ金属塩、特に好ましくはナトリウム塩である。アニオン性基は少なくともポリ塩基包接粘土鉱物と水中で接触する際にアニオンとなっていることが好適である。
【0023】
スルホン酸型アニオン性紫外線吸収剤としては、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸(ベンゾフェノン−4)、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸;一ナトリウム塩(ベンゾフェノン−5)、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン−3,3’−ジスルホン酸;二ナトリウム(ベンゾフェノン−9)が好適である。
【0024】
フェノール型アニオン性紫外線吸収剤としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−1)、2,2’−4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−2)、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−3)、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−6)、5−クロロ−2−ヒドロキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−7)、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−8)、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン(ベンゾフェノン−10)、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−12)、サリチル酸ホモメンチル(ホモサレート)、2−エチルヘキシリサリチレート(オクチルサリチレート)が好適である。
【0025】
本発明においては、特に、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、又は2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸;一ナトリウム塩(ベンゾフェノン−5)が好適である。
【0026】
2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸は、例えば「ネオ・ヘリパン・ハイドロ(Neo Heliopan Hydro)」(シムライズ(Symrise)社製)、「オーソレックス232(Eusolex232)」(メルク(Merck)社製)等として市販されており、これらを好適に用いることができる。好ましくは、水酸化ナトリウムなどの塩基で中和して、解離性の塩の形態で用いる。
【0027】
また、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸;一ナトリウム塩(ベンゾフェノン−5)は、例えば「ASL−24S」として市販されており、これらを好適に用いることができる。
アニオン性紫外線吸収剤を水膨潤性粘土鉱物にインターカレートさせる際には、通常は、適当な濃度の水溶液として使用する。
【0028】
本発明で用いられる水膨潤性粘土鉱物としては、特に限定されるものではないが、例えば、スメクタイト属の層状ケイ酸塩鉱物が挙げられる。これらのスメクタイト属の層状ケイ酸塩鉱物とは、具体的にはモンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト等であり、天然または合成品のいずれのものも本発明に用いることができる。市販の水膨潤性粘土鉱物では、クニピア、スメクトン(クニミネ工業)、ビーガム(バンダービルト社)、ラポナイト(ラポルテ社)、合成フッ素四珪素雲母(コープケミカル社製、トピー工業社製)などが挙げられる。本発明の実施にあたっては、これらのスメクタイト属の層状ケイ酸塩の内から、1種または2種以上を任意に選択して用いることができる。
【0029】
水膨潤性粘土鉱物は、その一次粒子径が5ミクロン以下であることが好ましく、より好ましくは1ミクロン以下であることが望ましい。
また、水膨潤性粘土鉱物は、カチオン交換容量(CEC)が高いものほど、包接できるポリ塩基、アニオン性紫外線吸収剤の量が多くなるので、より望ましく、60meq/100g clay以上が望ましい。ポリ塩基やアニオン性紫外線吸収剤をインターカレートする場合や、得られた包接粘土鉱物を反対の表面電荷を有する基盤粉体上に被覆する際には、粘土鉱物をゲル化しない程度の濃度で、水中に分散させた分散液の状態で使用する。
【0030】
本発明の紫外線吸収剤包接粘土鉱物中、ポリ塩基は水膨潤性粘土鉱物のカチオン交換容量(CEC)に対して1倍当量以上、さらには1.5倍当量以上であることが好適である。ポリ塩基が少ないと、粘土鉱物の層間が十分に正電荷とならず、アニオン性紫外線吸収剤を粘土鉱物中に十分包接できない場合がある。包接されるポリ塩基の量は、用いる水膨潤性粘土鉱物のCECやポリ塩基のサイズなどで変化する。包接する紫外線吸収剤の量は包接されたポリ塩基の量に比例するので、紫外線吸収剤包接粘土鉱物中のポリ塩基量はその飽和吸着量付近であることが望ましい。
【0031】
また、本発明の紫外線吸収剤包接粘土鉱物中のアニオン性紫外線吸収剤の量は、所望の紫外線吸収効果に応じて適宜設定することができる。通常は、水膨潤性粘土鉱物のカチオン交換容量(CEC)に対して0.1倍当量以上、さらには0.5倍当量以上、特に1倍当量以上であることが好適である。アニオン性紫外線吸収剤が少ないと、紫外線吸収効果が不十分になる場合がある。
【0032】
紫外線吸収剤包接粘土鉱物の調製は、水膨潤性粘土鉱物と、ポリ塩基とを水中で接触させ、さらにアニオン性紫外線吸収剤を水中で接触させることにより行うことができる。例えば、水膨潤性粘土鉱物を、ゲル化しない程度の濃度(例えば、1〜5質量%)で水に十分に分散させ、水懸濁液を調製する。これに、ポリ塩基水溶液(例えば、水膨潤性粘土鉱物のCECに対して1〜10倍当量のポリ塩基を含む水溶液)を混合後、アニオン性紫外線吸収剤水溶液(例えば、水膨潤性粘土鉱物のCECに対して0.1〜10倍当量のポリ塩基を含む水溶液)をさらに混合する。得られた混合液を、必要に応じて固液分離(遠心分離等)、水洗、乾燥、粉砕して、紫外線吸収剤包接粘土鉱物の粉末を得ることができる。ポリ塩基とアニオン性紫外線吸収剤とを混合した水溶液を水膨潤性粘土鉱物水懸濁液に添加することもできるが、好ましくは、ポリ塩基を先に添加して十分にインターカレートさせてから、アニオン性紫外線吸収剤を添加する。
ポリ塩基、アニオン性紫外線吸収剤を水膨潤性粘土鉱物と混合する際の条件は、用いる原料等により適宜決定すればよいが、通常は室温で1〜24時間攪拌する。
【0033】
本発明の紫外線吸収剤包接粘土鉱物は、本発明の効果を損なわない限り、公知の方法により表面処理を行うこともできる。例えば、疎水化する際には、シリコーン処理、フッ素変性アルキル処理、高級脂肪酸、高級アルコール、脂肪酸エステル、金属石鹸、アミノ酸、アルキルフォスフェート、カチオン活性剤、デキストリン脂肪酸エステル等などが挙げられる。また、その他の表面処理も適当可能である。本発明は、このような表面処理された紫外線吸収剤包接粘土鉱物も包含するものである。
【0034】
以上のようにして得られた本発明の紫外線吸収剤包接粘土鉱物は、水膨潤性粘土鉱物にポリ塩基、及びアニオン性紫外線吸収剤を包接した粉体である。また、本発明の紫外線吸収剤包接粘土鉱物は、濾過や遠心分離で容易に固液分離でき、また、凝集性も低いので、簡単な粉砕でそのまま顔料としても使用可能である。また、アニオン性紫外線吸収剤が粘土鉱物の層間にポリ塩基の介在によりインターカレートされた状態で強固に保持されているため、アニオン性紫外線吸収剤の包接量が従来のものより多く、包接力が非常に強い。
また、本発明により得られた紫外線吸収剤包接粘土鉱物は、例えば特許文献5やその他の公知の方法により、当該包接粘土鉱物と反対の表面電荷を有する粉末と複合化して、粉末化することも可能である。「表面電荷」としては、例えば、移動相溶媒として0.1M NaCl水溶液を用い、LEZA60(大塚電子社製)にて測定したゼータ電位(ζ電位)を採用することができる。
【0035】
本発明にかかる化粧料は、上記紫外線吸収剤包接粘土鉱物の他、通常化粧料や医薬品に用いられる成分を本発明の効果を損なわない範囲で配合し、常法により製造することができる。例えば、油分としては、ジメチルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサンの他、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油、スクワラン、流動パラフィン、軽質イソパラフィン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、オゾケライト、セレシン等の各種炭化水素油、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸等の高級脂肪酸、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、バチルアルコール等の高級アルコール、セチル−2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、2−オクチルドデシルミリステート、ネオペンチルグリコール−2−エチルヘキサノエート、トリオクタン酸グリセリド、2−オクチルドデシルオレート、イソプロピルミリステート、ミリスチルミリステート、トリイソステアリン酸グリセリド、トリオレイン酸グリセリド、トリヤシ油脂肪酸グリセリド等のエステル類、オリーブ油、アボガド油、ホホバ油、ヒマワリ油、サフラワー油、椿油、シア脂、マカデミアナッツ油、ミンク油、ラノリン、酢酸ラノリン、液状ラノリン、ヒマシ油等の油脂、モクロウ等のロウ類、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロカーボン等のフッ素系油分、トリメチルシロキシケイ酸、MDQレジン等のシリコーンレジン、高分子シリコーンゴム、アクリル変性シリコーン共重合体等の高分子類等である。その他、粉末成分、色材、皮膜形成剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、塩類、防腐剤、増粘剤、保湿剤、香料、水性成分等の他、ビタミン、ホルモン、美白剤、消炎剤等の薬剤等が挙げられる。
【0036】
本発明の化粧料の例としては特に限定されず、たとえば油性ファンデーション、乳化ファンデーション、パウダリーファンデーション、両用ファンデーション、おしろい、頬紅、プレストパウダー、チークカラー、口紅、アイライナー、マスカラ、アイシャドウ、ネールエナメルなどのメーキャップ化粧料や乳液、ローション、クリーム、サンスクリーン、化粧下地などのスキンケア化粧料が挙げられる。
【実施例】
【0037】
以下に具体例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、配合量は特に指定のない限り、質量%で示す。
【0038】
紫外線吸収剤包接粘土鉱物の調製
(実施例1)
ナトリウムフッ素四珪素雲母(ソマシフME−100、コープケミカル製、CEC:120mequv/100g)0.75gを水74.25gに添加し、水中に十分に分散させ、室温で24時間攪拌混合し、クレイ水分散液を得た。対CEC比で5倍当量のポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(PDDA)(Aldrich製 low molecular grade)を含むPDDA水溶液25gを、前記クレイ水分散液に添加し、室温で24時間攪拌混合した。その後、遠心分離(12000rpm×30min)、水洗を2回行った。さらに、75gの水に再分散させ、そこへ、対CEC比で1倍当量の2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸0.165gを含む水酸化ナトリウム水溶液(10N)16.7gを添加し、さらに室温で1日攪拌混合を行った。その後、遠心分離(12000rpm×30min)、水洗を3回、乾燥(70℃)、粉砕して、紫外線吸収剤包接粘土鉱物(232/PDDA/Clay)の粉末を得た。
【0039】
(実施例2)
実施例1において、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸の水酸化ナトリウム水溶液のかわりにヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウムを対CEC比で1倍当量0.198gを含むヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム水溶液16.7gを添加する以外は同様に処理して、紫外線吸収剤包接粘土鉱物(ASL−24S/PDDA/Clay)の粉末を得た。
【0040】
層間距離
水膨潤性粘土鉱物の層間に、ポリ塩基PDDA、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、及びヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウムがインターカレートしているか否かを調べるため、XRD分析(JDX−3500、日本電子製)により層間隔を示すピークを調べると共に、層間距離を測定した。なお、実施例1及び実施例2において、アニオン性紫外線吸収剤を添加する前の混合液を一部サンプリングして得られたPDDA/Clay粉体(PDDA/Clay)も同様に測定した。結果を図1、及び図2に示す。
【0041】
図1から、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸を包接後では、d(001)面に帰属されるピークが低角度側にシフトしていることが確認された。また、d値が2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸のインターカレーション前後で19.7Å(PDDA/Clay)から22.0Å(232/PDDA/Clay)に拡大しており、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸の層間へのインターカレーションが確認された。
【0042】
また、アニオン性紫外線吸収剤としてヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウムを用いたケースでも、(001)面に帰属されるピークのd値がヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウムのインターカレーション前後で18.6Å(PDDA/Clay)から21.6Å(ASL−24S/PDDA/Clay)に拡大しており、層間にヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウムがインターカレートされていることが分かった。
また、何れのケースにおいても洗浄による層間距離の変化はほとんど認められず、ポリ塩基PDDAとアニオン性紫外線吸収剤は何れも水膨潤性粘土鉱物の層間に強固に包接されているものと考えられた。
【0043】
元素分析
得られた粉体について、CHN元素分析を2400II CHNS/O(パーキンエルマー社製)により行った。結果を表1に示す。
【0044】
【表1】

【0045】
表1から解るように、232/PDDA/Clay、及びASL−24S/PDDA/Clayでは炭素量がPDDA/Clayよりも増大しており、ポリ塩基PDDAとアニオン性紫外線吸収剤とが層間にインターカレートされているという、上記XRD分析結果を支持する結果であった。
【0046】
吸光度測定
上記実施例1の232/PDDA/Clay、及びオーソレックス232(2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸)水酸化ナトリウム中和液の紫外線吸収スペクトル(溶媒:水、濃度10ppm、光路長1cm)を分光光度計(日本分光株式会社製V−560)にて測定した。結果を図3に示す。
同様に、実施例2のASL−24S/PDDA/Clay、及びASL−24S(ヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム)水溶液の紫外線吸収スペクトルを測定した。その結果を図4に示す。
【0047】
図3より明らかなように、アニオン性紫外線吸収剤である2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸の最大吸収波長が301nmであったにも関わらず、その2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸を水膨潤性粘土鉱物の層間に包接した232/PDDA/Clayでは、その最大吸収波長が311nmへ推移した。そして、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸のみであると、約340nm付近では吸収能を示さなかったが、232/PDDA/Clayについては400nmに至ってもある程度の吸収能を示した。
【0048】
また、図4からも明らかなように、アニオン性紫外線吸収剤であるヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウムを包接したASL−24S/PDDA/Clayは、そのヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム単体よりも、その最大吸収波長が284nmから287nmに推移していた。そして、高波長である350〜400nm付近ではより優れた吸収能を示した。
従って、以上の結果より、本発明にかかる紫外線吸収剤包接粘土鉱物は、広範囲に優れた紫外線吸収能を発揮することが認められた。
【0049】
化粧料
以下に、本発明に係る紫外線吸収剤包接粘土鉱物を配合した化粧料の代表的な配合例を示す。これら化粧料は、広範囲の紫外線領域において紫外線吸収効果を発揮し得るものである。
【0050】
配合例1 両用ファンデーション
シリコーン処理タルク to 100
シリコーン処理セリサイト 20
シリコーン処理マイカ 10
シリコーン処理酸化チタン 10
シリコーン処理ベンガラ 0.8
シリコーン処理黄酸化鉄 3
シリコーン処理黒酸化鉄 0.2
本発明紫外線吸収剤包接粘土鉱物 3
流動パラフィン 4
ワセリン 4
ソルビタンセスキイソステアレート 0.8
防腐剤 適量
酸化防止剤 適量
香料 適量
【0051】
(製法)
粉末成分と油相成分をヘンシェルミキサーにて混合し、パルペライザーで2回粉砕した後、容器(樹脂製中皿)内に充填し、常法により乾式プレス成型した。
【0052】
配合例2 単用ファンデーション
タルク to 100
セリサイト 20
マイカ 10
酸化チタン 10
ベンガラ 0.8
黄酸化鉄 3
黒酸化鉄 0.2
本発明紫外線吸収剤包接粘土鉱物 3
流動パラフィン 4
ワセリン 4
ソルビタンセスキイソステアレート 0.8
防腐剤 適量
酸化防止剤 適量
香料 適量
【0053】
(製法)
配合例1と同様にして調製した。
【0054】
配合例3 おしろい
マイカ 10
タルク to 100
酸化亜鉛 5
微粒子酸化チタン 3
本発明紫外線吸収剤包接粘土鉱物 0.1
フッ素金雲母 10
ワセリン 1
スクワラン 2
エステル油 1
防腐剤 適量
酸化防止剤 適量
香料 適量
【0055】
(製法)
配合例1と同様にして調製した。
【0056】
配合例4 プレメークローション
油相部
デカメチルシクロペンタシロキサン to 100
ポリエーテル変性シリコーン 3
シリコーン処理した本発明紫外線吸収剤包接粘土鉱物 3
トリメチルシロキシケイ酸 2
水相部
1,3−ブチレングリコール 5
ダイナマイトグリセリン 2
防腐剤 0.5
精製水 30
【0057】
(製法)
70℃に加熱した油相部に水相部を添加して乳化機により十分に乳化する。乳化後、かき混ぜながら冷却し、35℃以下になったところで容器に流し込み放冷して、目的とするプレメークローションを得た。
【0058】
配合例5 アイシャドー
(1)タルク 残余
(2)セリサイト 7
(3)マイカ 15
(4)球状PMMA粉末 3
(5)本発明紫外線吸収剤包接粘土鉱物 10
(6)硫酸バリウム 4
(7)酸化鉄 1.5
(8)スクワラン 2
(9)ジメチルポリシロキサン 2
(10)モノオレイン酸ソルビタン 0.5
(11)防腐剤 適量
(12)香料 適量
【0059】
(製法)
粉末成分と油成分をヘンシェルミキサーにて混合し、パルペライザーで2回粉砕した後、容器(樹脂製中皿)内に充填し、常法により乾式プレス成型した。
【0060】
配合例6 油性スティック
(1)カルナバロウ 1
(2)キャンデリラロウ 2
(3)セレシン 10
(4)スクワラン 残余
(5)トリイソオクタン酸グリセリン 9
(6)ジイソステアリン酸グリセリン 13
(7)ジメチルポリシロキサン 5
(粘度:90,000mPa・s at 25℃)
(8)ジメチルポリシロキサン 5
(粘度:1,000mPa・s at 25℃)
(9)シリコーン樹脂 8
(10)ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン 1
(11)マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル 3.5
(12)合成ケイ酸ナトリウムマグネシウム 0.5
(13)疎水性シリカ 0.5
(14)精製水 2
(15)球状シリコーン樹脂粉末被覆マイカ 3
(16)シリコーン処理した本発明紫外線吸収剤包接粘土鉱物 5
(17)硫酸バリウム 3
(18)色剤 適量
(19)防腐剤 適量
(20)香料 適量
【0061】
(製法)
60℃に加熱した11に12〜13を分散させ、これに均一溶解した10と14を加えて十分に攪拌する。別に加熱溶解させておいた1〜9に、これを加えて十分撹伴し、さらに15〜20を加えて分散攪拌し、その後容器に充填して油性スティックを得た。
【0062】
配合例7 クリーム
油相部
(1)デカメチルシクロペンタシロキサン 10.5
(2)ジメチルポリシロキサン(6CS/25℃) 4.0
(3)ステアリルアルコール 1.5
(4)ワセリン 5.0
(5)スクワラン 1.0
(6)ビタミンEアセテート 0.01
(7)本発明紫外線吸収剤包接粘土鉱物 5.0
(8)ポリエーテル変性シリコーン 2.0
水相部
(9)防腐剤 0.2
(10)1,3−ブチレングリコール 17.0
(11)精製水 残余
【0063】
(製法)
常法により、クリームを調製した。
【0064】
配合例8 日焼け止めローション
油相部
(1)ジメチルポリシロキサン(6CS/25℃) 5.0
(2)ジメチルポリシロキサン(1.5CS/25℃) 13.0
(3)フェニル変性メチルフェニルポリシロキサン 3.0
(4)本発明紫外線吸収剤包接粘土鉱物 5.0
(5)ポリエーテル変性シリコーン 2.0
水相部
(6)塩化ナトリウム 9.0
(7)香料 0.2
(8)防腐剤 0.2
(9)エタノール 5.0
(10)精製水 残余
【0065】
(製法)
常法により、日焼け止めローションを調製した。
【0066】
配合例9 液状乳化型ファンデーション
油相部
(1)デカメチルシクロペンタシロキサン 残余
(2)トリメチルシロキシケイ酸 3.0
(3)ジメチルポリシロキサン 5.0
(4)ジメチルポリシロキサン
ポリオキシアルキレン共重合体 2.5
(5)セスキイソステアリン酸ソルビタン 2.0
粉体部
(6)シリコーン処理タルク 5.0
(7)シリコーン処理二酸化チタン 5.0
(8)本発明紫外線吸収剤包接粘土鉱物 5.5
(9)シリコーン処理ナイロンパウダー 4.0
(10)シリコーン処理着色顔料 2.0
水相部
(11)1,3−ブチレングリコール 3.0
(12)エタノール 13.0
(13)精製水 10.0
【0067】
(製法)
油相部を70℃に加熱、攪拌後、粉末部を添加後、70℃でホモミキサーで攪拌分散し、室温まで冷却し、水相添加後、ホモミキサーで乳化して、液状ファンデーションを調製した。
【0068】
配合例10 クリーム状乳化型ファンデーション
油相部
(1)デカメチルシクロペンタシロキサン 残余
(2)トリメチルシロキシケイ酸 3.0
(3)ジメチルポリシロキサン 5.0
(4)セスキイソステアリン酸ソルビタン 2.0
(5)ジメチルポリシロキサン
ポリオキシアルキレン共重合体 3.5
(6)ジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト 2.0
粉体部
(7)シリコーン処理タルク 5.0
(8)シリコーン処理二酸化チタン 5.0
(9)シリコーン処理した本発明紫外線吸収剤包接粘土鉱物 2.0
(10)シリコーン処理ナイロンパウダー 4.0
水相部
(11)1,3−ブチレングリコール 3.0
(12)エタノール 20.0
(13)精製水 20.0
【0069】
(製法)
配合例9に準じて、クリーム状ファンデーションを調製した。
【0070】
配合例11 ネールエナメル
ニトロセルロースHIG1/2秒 10
ニトロセルロースHIG1/4秒 5
アルキッド樹脂 10
クエン酸アセチルトリブチル 5
酢酸エチル 25
酢酸n−ブチル to 100
n−ブチルアルコール 5
本発明紫外線吸収剤包接粘土鉱物 2
【0071】
(製法)
常法により、ネールエナメルを調製した。
【0072】
配合例12 化粧水
(1)イオン交換水 残余
(2)エタノール 10
(3)ジプロピレングリコール 10
(4)PEG1500 5
(5)POE(20)オレイルアルコールエーテル 0.5
(6)メチルセルロース 0.3
(7)防腐剤 0.2
(8)キレート剤 0.01
(9)香料 適量
(10)本発明紫外線吸収剤包接粘土鉱物 0.01
【0073】
(製法)
3,4,6,8を1の一部に分散させた後、これに、2に溶解させた5,7,9を添加した。10を1の残余に分散させて、透明になるまで攪拌して得られた液を前記混合液に添加して調色後、ろ過して化粧水を得た。
【0074】
配合例13 乳液
油分
ジメチコン 5
シクロメチコン 5
流動パラフィン 5
保湿剤
グリセリン 4
1,3−ブチレングリコール 5
高分子
カルボキシビニルポリマー 0.1
アクリル酸・メタクリル酸アクリル共重合体 0.1
中和剤
水酸化カリウム 適量
本発明紫外線吸収剤包接粘土鉱物 0.01
防腐剤 適量
酸化防止剤 適量
香料 適量
イオン交換水 残余
【0075】
(製法)
イオン交換水の一部に保湿剤部と防腐剤と本発明紫外線吸収剤包接粘土鉱物を加熱溶解したものと高分子部を加えて室温で溶解する。これに中和剤を加えたものを水相部とする。これに室温で均一混合した油分、酸化防止剤、香料を添加して、ホモミキサーを用いて乳化する。その後、脱気、ろ過を行い乳液を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水膨潤性粘土鉱物の層間に、ポリ塩基と、アニオン性紫外線吸収剤とがインターカレートしていることを特徴とする紫外線吸収剤包接粘土鉱物。
【請求項2】
請求項1記載の紫外線吸収剤包接粘土鉱物において、ポリ塩基がカチオン化可能な含窒素基を有するポリマーであることを特徴とする紫外線吸収剤包接粘土鉱物。
【請求項3】
請求項1又は2のいずれかに記載の紫外線吸収剤包接粘土鉱物において、アニオン性紫外線吸収剤が2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、及びそれらのナトリウム塩から選ばれる1種以上であることを特徴とする紫外線吸収剤包接粘土鉱物。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の紫外線吸収剤包接粘土鉱物を配合したことを特徴とする化粧料。
【請求項5】
ポリ塩基を水相中で水膨潤性粘土鉱物に接触させて層間にインターカレートさせるポリ塩基包接粘土鉱物調製工程と、
得られたポリ塩基包接粘土鉱物と、アニオン性紫外線吸収剤とを水相中で混合して、アニオン性紫外線吸収剤を層間にさらにインターカレートさせる紫外線吸収剤包接粘土鉱物調製工程と、
を備えることを特徴とする紫外線吸収剤包接粘土鉱物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−132216(P2011−132216A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255481(P2010−255481)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】