説明

紫外線吸収剤水分散組成物

【課題】塩の存在下においても安定な、ベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤の水分散組成物を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表されるベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤と、ポリグリセリンモノアルキルエステルを含有する紫外線吸収剤水分散組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線吸収剤水分散組成物に関し、さらに詳細には、耐塩性に優れ、塩の存在下においても、ベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤の凝集を抑制し、分散状態を安定的に維持することが可能な紫外線吸収剤水分散組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線は、オゾン層にカットされる200〜280nmのUV−C領域、暴露により皮膚が赤くなる所謂サンバーンを引き起こす280〜320nmのUV−B領域、赤みが引いた後の黒化現象を起こす320〜400nmのUV−A領域に大きく分類することができる。上述したUV−A、Bの肌への有害性だけではなく、最近の研究ではUV−Aが、色素沈着、ドライスキン、肌荒れ、皮膚のたるみにも何らかの影響を及ぼしていると言われ、紫外線の有害性が広く認知されてきている。さらに、オゾン層の破壊など環境的要因も加味され、化粧料に対する紫外線防御機能の要求が高まっている。
【0003】
しかしながら、化粧料に配合される紫外線防御剤のうち、有機系紫外線吸収剤は一般に、(1)化粧品に汎用される油剤、特にシリコーン類への溶解性に劣る、(2)べたつきがあり使用感が好ましくない、(3)光安定性に劣る、(4)経時的に変色や変臭を生じるなどの問題点がある。一方、無機系紫外線散乱剤である微粒子酸化チタンや微粒子酸化亜鉛は、(1)使用性が悪くなる、(2)塗布時に白くなる、(3)光触媒作用を有しているなどの問題点があるため、化粧料への配合量が限定されていた。さらに、単一の紫外線防御剤のみでUV−AおよびBの領域を広く防御する紫外線防御剤がほとんどないのが実情であった。
【0004】
このような状況下、光安定性に優れ、広範囲な紫外線吸収スペクトルを有する、化粧料に汎用される水や油剤に対して不溶性のベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤の製造方法が報告された(特許文献1)。またこれをアルキルポリグルコシドまたはそのエステルの存在下にて、水相成分中に好適な紫外線防御能を示す平均粒子径まで微細化し、処方設計における簡便性を向上する技術が開示されており(特許文献2)、この技術による製品が既に市販されている(TINOSORB(登録商標)M:Ciba(チバ社))。
【0005】
しかしながら、一般的に化粧料には、アミノ酸、キレート剤、緩衝剤などに代表される塩が配合され、特に油中水型乳化化粧料では、乳化安定性を向上させるため、硫酸マグネシウムや塩化ナトリウムなどの塩を処方中に配合する場合が多いが、この技術では、塩の配合によりベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤が凝集し、紫外線防御効果が低下するという欠点があった。
【0006】
また、親水性ブロックと疎水性ブロックからなる両親媒性コポリマーを使用した分散体も開示されている(特許文献3)が、この両親媒性コポリマーも耐塩性に優れた分散剤ではないため、塩の配合によりベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤が凝集し、紫外線防御効果が低下するという欠点が考えられた。
【0007】
【特許文献1】特開平04−290877号公報
【特許文献2】特表2000−501064号公報
【特許文献3】特開2003−137719号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、塩を配合しても、光安定性が高く広範囲な紫外線吸収スペクトルを有するベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤が凝集することなく、微細化した状態で安定に分散させることができ、その紫外線防御効果を有効に発揮することが可能な技術の開発が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
出願人は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、ベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤を、平均重合度が5以上のポリグリセリンモノアルキルエステルにより水中に分散させることによって、塩の存在下でも、ベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤が凝集すること無く、微粒子化した状態で安定に存在することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、
次の成分(A)および(B);
(A)下記一般式(1)
【化2】


[式中、RおよびRは、同一でも異なってもよく、炭素数が1〜4のアルキル基、
炭素数が5〜12のシクロアルキル基およびアリール基よりなる群から選ばれる
1または2以上の基で置換されていてもよい、炭素数が1〜18のアルキル基を
示す]
で表されるベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤
(B)グリセリンの平均重合度が5以上のポリグリセリンモノアルキルエステル
を含有することを特徴とする紫外線吸収剤水分散組成物である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の水分散組成物は、塩の存在下においてもベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤が凝集することなく微粒子化した状態で安定に分散できるため、処方設計上の自由度が高く様々な処方の化粧料に配合することができ、優れた紫外線防御効果を付与することが可能なものである。さらに、化粧料中に含有する色素の光による退色を防止し、色調を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に用いられる成分(A)は下記式(1)で表されるベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤である。
【化3】

【0013】
式中、RおよびRは、同一でも異なってもよく、炭素数が1〜4のアルキル基、炭素数が5〜12のシクロアルキル基およびアリール基よりなる群から選ばれる1または2以上の基で置換されていてもよい、炭素数が1〜18のアルキル基を示す。
【0014】
上記ベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤は、公知のメチレンビス(ヒドロキシフェニル−ベンゾトリアゾール)誘導体であり、例えば、米国特許第5237071号明細書、米国特許第5166355号明細書、特開平04−290877号公報等に記載の製造方法により製造することができる。
【0015】
上記式(1)中のRとRは、炭素原子数が1〜18の直鎖状または分枝状のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、tert−オクチル基、n−アミル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソ−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、テトラメチルブチル基、テトラデシル基、ヘキシルデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。また、これらの炭素原子数が1〜18のアルキル基は、炭素数が1〜4のアルキル基、炭素数が5〜12のシクロアルキル基およびアリール基よりなる群から選ばれる1または2以上の置換基で置換されていてもよい。炭素原子数が5〜12のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられ、また、同アリール基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。
【0016】
これらの中でも、RとRが、同一であり、かつ、これらの基が、共に、メチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、または、tert−ブチル基であることが好適であり、RとRが、共に、1,1,3,3−テトラメチルブチル基であることが、極めて好適である。この極めて好適な、2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール〕は、上記米国特許第5237071号明細書のEXAMPLE1および特開平04−290877号公報の実施例1〜3等に記載の方法に従って製造することができる。
【0017】
また本発明に用いる成分(B)は、グリセリンの平均重合度が5以上のポリグリセリンモノアルキルエステルである。具体的には、カプリン酸デカグリセリル、ラウリン酸デカグリセリル、ミリスチン酸デカグリセリル、オレイン酸デカグリセリル、ステアリン酸デカグリセリル、イソステアリン酸デカグリセリル、カプリン酸ヘキサグリセリル、ラウリン酸ヘキサグリセリル、ミリスチン酸ヘキサグリセリル、オレイン酸ヘキサグリセリル、ステアリン酸ヘキサグリセリル、イソステアリン酸ヘキサグリセリル、カプリン酸ペンタグリセリル、ラウリン酸ペンタグリセリル、ミリスチン酸ペンタグリセリル、オレイン酸ペンタグリセリル、ステアリン酸ペンタグリセリル、イソステアリン酸ペンタグリセリルなどが例示できる。
【0018】
カプリン酸デカグリセリルの市販品としては、サンソフトQ−10Y、Q−10S(太陽化学社製)が挙げられ、ラウリン酸デカグリセリルの市販品としては、サンソフトQ−12Y、Q−12S、M−12J(太陽化学社製)、NIKKOL Decaglyn 1−L(日光ケミカルズ社製)、リョートーポリグリエステルL−10D、L−7D(三菱化学フーズ社製)等が例示できる。また、ミリスチン酸デカグリセリルの市販品としては、サンソフトQ−14Y、Q−14S(太陽化学社製)、NIKKOL Decaglyn 1−M(日光ケミカルズ社製)、リョートーポリグリエステルM−10D、M−7D(三菱化学フーズ社製)等が例示できる。
【0019】
ステアリン酸デカグリセリルの市販品としては、サンソフトQ−18Y、Q−18S(太陽化学社製)、NIKKOL Decaglyn 1−SV(日光ケミカルズ社製)、リョートーポリグリエステルS−15D(三菱化学フーズ社製)が挙げられ、カプリン酸ヘキサグリセリルの市販品としては、サンソフトQ−81F(太陽化学社製)が挙げられる。またラウリン酸ヘキサグリセリルの市販品としては、NIKKOL Hexaglyn 1−L(日光ケミカルズ社製)、グリサーフ6ML(青木油脂工業社製)、ユニグリGL−106(日本油脂社製)等が挙げらる。
【0020】
ミリスチン酸ヘキサグリセリルの市販品としては、NIKKOL Hexaglyn 1−M(日光ケミカルズ社製)が、ラウリン酸ヘキサグリセリルの市販品としては、NIKKOL Hexaglyn 1−OV(日光ケミカルズ社製)が、ステアリン酸ヘキサグリセリルの市販品としては、NIKKOL Hexaglyn 1−SV(日光ケミカルズ社製)、EMALEXMSG−6K(日本エマルジョン社製)が、イソステアリン酸ヘキサグリセリルの市販品としては、マツネートMI−610(マツモトファインケミカル社製)が例示できる。さらに、カプリン酸ペンタグリセリルとしては、サンソフトA−10Eが、ラウリン酸ペンタグリセリルとしては、サンソフトA12E,A−121Eが、ミリスチン酸ペンタグリセリルとしては、サンソフトA14E,A−141Eが、オレイン酸ペンタグリセリルとしては、サンソフトA−17E,A−171Eが、ステアリン酸ペンタグリセリルとしては、サンソフトA−18E,A−181Eが、イソステアリン酸ペンタグリセリルとしては、サンソフトA−19E(いずれも太陽化学社製)がそれぞれ例示できる。
【0021】
これらの中でも、HLBが14.5以上のものが好ましく、さらにHLBが15以上のものが好ましい。HLBが14.5未満では水相成分へのベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤の分散時間に長時間を要する場合がある。HLBが14.5以上の平均重合度が5以上のポリグリセリンモノアルキルエステルとしては、カプリン酸デカグリセリル、ラウリン酸デカグリセリル、ミリスチン酸デカグリセリル、オレイン酸デカグリセリル、ステアリン酸デカグリセリル、イソステアリン酸デカグリセリル、ラウリン酸ヘキサグリセリル、ラウリン酸ペンタグリセリル、ミリスチン酸ペンタグリセリル、ステアリン酸ペンタグリセリル、オレイン酸ペンタグリセリルが挙げられ、HLB15以上のものとしては、カプリン酸デカグリセリル、ラウリン酸デカグリセリルが例示される。
【0022】
成分(A)の紫外線吸収剤水分散組成物中の配合量は、10〜50質量%(以下、単に「%」で示す)が好ましく、より好ましくは、30〜50%である。10%未満では、マスターバッチ(中間原料)として化粧料に配合する際に、紫外線防止効果を発揮できる十分な量を配合できない場合があり、50%よりも多いと、微粒子化するのに多量の成分(B)のポリグリセリンモノアルキルエステルを必要とするため、化粧料に配合した際、化粧膜が汗や皮脂等に対し流れやすくなる場合がある。
【0023】
また成分(A)の含有量に対する成分(B)の含有量の質量比率は、0.05〜0.5(成分(B)/成分(A))が好ましく、より好ましくは0.1〜0.3である。0.05未満では、紫外線吸収剤を最適な粒子径まで分散できない場合があり、0.5よりも大きいと、化粧料に配合した際、化粧膜が汗や皮脂等に対し流れやすくなる場合がある。
【0024】
本発明の紫外線吸収剤水分散組成物は、上記成分(A)が、分散剤として作用する成分(B)により分散媒である水に分散して存在するものであり、この水としては、精製水、温泉水、深層水、リンゴ水、梅果実水等の植物から抽出した植物抽出水等が含まれる。また、水には本発明の効果を損なわない範囲において、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、グリセリン、ジグリセリン、1,5−ペンタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールなどの多価アルコール、グルコース、トレハロース、マルトース等の糖、マンニトール、ソルビトール等の糖アルコール、メチルパラベン、フェノキシエタノールなどの防腐剤等の水性成分が含まれていてもよい。
【0025】
本発明の紫外線吸収剤水分散組成物の製造は、上記成分(A)、(B)および水を混合し、これを常法に従って均一に分散・破砕処理することにより得ることができ、使用できる分散装置としては、例えば、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、サンドミル、バケットミル、ホモミキサー、縦型ビーズミル、横型ビーズミル、ピン付きビーズミル、コロイドミル、アトライター、超高圧型ホモジナイザー、超音波分散機等が挙げられる。
【0026】
分散処理後の成分(A)の平均粒子径は、10〜2000nmが好ましく、より好ましくは、20〜1500nmであり、特に好ましくは50〜1000nmの範囲である。10nm未満では、UV−A領域の吸収が低下する場合があり、2000nmよりも大きいと、紫外線防止効果が低下したり、経時的に凝集、沈降が生じる場合がある。なお、本明細書において平均粒子径とは、粒度分布測定機(コールターN4 PLUS;ベックマンコールター社製)により測定した平均粒子径を意味する。
【0027】
かくして得られた紫外線吸収剤水分散組成物は、耐塩性に優れ、ベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤が安定して分散されたものであるため、種々の化粧料に配合し、その紫外線防御効果を付与することができる。本発明の紫外線吸収剤水分散組成物の化粧料に対する配合量は、化粧料中の成分(A)のベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤の含有量が固形分換算で0.1〜10%となる量であることが、化粧料としての使用性が良好で、紫外線防御効果に優れるという点で好ましい。
【0028】
本発明の化粧料には、必要に応じて通常化粧料に配合される成分を適宜配合することができる。例えば、ワセリン、ラノリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、高級脂肪酸、高級アルコールなどの固形・半固形油分,スクワラン、流動パラフィン、エステル油、ジグリセライド、トリグリセライド、シリコーン油、オリーブ油、アボガド油、ミンク油などの流動油分,パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタンなどのフッ素系油剤,水溶性および油溶性ポリマー、界面活性剤、多価アルコール、糖類、金属石けん、レシチン、アミノ酸、コラーゲン、無機及び有機顔料、各種表面処理粉体、タール色素・天然色素など色剤、エタノール、防腐剤、酸化防止剤、増粘剤、PH調整剤、香料、紫外線吸収剤、保湿剤、血行促進剤、冷感剤、殺菌剤、皮膚賦活剤、水などを本発明の効果を損なわない範囲内で配合可能である。
【0029】
その中でも、特に、紫外線吸収剤としてメトキシケイヒ酸オクチルを成分(A)と併用することにより相乗的な紫外線防止効果を得ることができる。このメトキシケイヒ酸オクチルは、淡黄色の透明な液体でわずかに特異臭があり化粧品に使用される汎用的なUV−Bの吸収剤であり、パルソールMCX(DSMニュートリション社製)、ユビナールMC−80(BASF社製)、ノムコートTAB(日清オイリオ社製)等の市販品を使用することができる。さらに、化粧料中に色剤を含有する場合、光による色剤の退色を防止し、良好な外観を維持することができる。
【0030】
また本発明の化粧料は、その剤形や製品形態が特に限定されるものではなく、油中水型、水中油型、水分散型、粉体型等の剤形とすることができ、また製品形態としては、洗顔フォーム・クリーム、クレンジング、マッサージクリーム、パック、化粧水、乳液、クリーム、美容液、化粧下地、日焼け止めなどの皮膚用化粧料、ファンデーション、白粉、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、アイブロウ、コンシーラー、口紅、リップクリーム等の仕上げ用化粧料、ヘアミスト、シャンプー、リンス、トリートメント、ヘアトニック、ヘアクリーム、ポマード、チック、液体整髪料、セットローション、ヘアスプレー、染毛料等の頭髪用化粧料などを例示することができる。この中でも、日焼け止め、ファンデーション、化粧下地等が本発明の効果が発揮されやすい化粧料である。
【実施例】
【0031】
以下、本発明を実施例等により詳細に説明する。ただし、これらはあくまで例示であり、本発明の技術的範囲がこれらにより、限定的に解釈されるものではない。
【0032】
製 造 例 1
ベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤(2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベ
ンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)
フェノール〕の製造:
1.5bar過圧で試験され、気体吸入チューブ、受け用フラスコをもつ降下冷却器及び真空ポンプへの冷却トラップをもつ真空接続チューブを備え付けた0.75lの二重ジャケットフラスコ(double-jacket flask)に、323.2g(1.0モル)の4−(1,1,3,3−テトラメチル)ブチル−6−ベンゾトリアゾール−2−イルフェノールおよび16.5g(0.55モル)のパラホルムアルデヒドを入れた。
【0033】
20mbarにフラスコを排気し、封じた後、混合物を120℃のジャケット温度で溶融し、その結果、圧力は約270mbarに上がった。その後、24.8g(0.55モル)の気体状ジメチルアミンを容易に攪拌できる溶融物に100〜105℃、30分かけて混入した。最終圧力は900〜1000mbarに上がる。反応混合物を135℃に加熱し、この温度で2ないし4時間、1800mbarに高められた圧力で攪拌する。90℃に冷却後、未反応アミンと一緒に反応水を、減圧し及び、130℃に加熱することにより除去した。圧力は窒素でゆるめ、次いで2.2g(0.04モル)のナトリウムメチレートを触媒として反応塊に添加し、200mbarの減圧にした後、素早く200℃に加熱した。
【0034】
約145〜155℃からジメチルアミンの分離が観察された。200℃及び約200mbarで2ないし4時間攪拌した後、脱アミン反応は終り、反応が完了した。200gのキシレン混合物に溶融物を溶解した後、アルカリ触媒を3.2mlのギ酸(85%)で中和し、溶液を130℃でろ過することにより不純物を除去し、ろ液を75gのキシレン混合物で洗浄した。約0℃に冷却することにより結晶化した。
【0035】
粘性懸濁液を吸引ろ過し、100gのキシレン混合物で洗浄し、生成物を120℃の真空乾燥オーブン中で乾燥して、2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール〕を得た。収量:黄色粉末の形態で294gの生成物(消費されたベンゾトリアゾリルフェノールに基づいて理論値の89.3%)、融点197.6℃、450nmで透過(クロロホルム中5%):96.4%500nmで透過:97.7%。
【0036】
実 施 例 1
200mL容ビーカーに精製水52g、ラウリン酸デカグリセリル8g(HLB:15.5)を加え混合した。これをディスパーミキサー(LR−1型;みづほ工業社製)に投入し撹拌しながら、製造例1で得られた2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール〕を40g加え、5分間撹拌した。次いで、φ1.0mmジルコニアビーズ200gを加え、サンドミル(ペイントコンディショナー;レッドデビル社製)により120分間分散・破砕処理し、2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール〕の水分散組成物を得た。
【0037】
実 施 例 2
200mL容ビーカーに精製水78g、ラウリン酸デカグリセリル2g(HLB:15.5)を加え混合した。これをディスパーミキサーに投入し撹拌しながら、製造例1で得られた製造例1で得られた2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール〕を20g加えディスパーミキサーにて5分間撹拌した。次いで、φ1.0mmジルコニアビーズ200gを加え、サンドミルにより120分間分散・破砕処理し、水分散組成物を得た。
【0038】
実 施 例 3
200mL容ビーカーに精製水89.5g、ラウリン酸デカグリセリル0.5g(HLB:15.5)を加え混合した。これをディスパーミキサーに投入し、撹拌しながら、製造例1で得られた2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール〕を10g加え5分間撹拌した。次いで、φ1.0mmジルコニアビーズ200gを加え、サンドミルにて120分間分散・破砕処理し水分散組成物を得た。
【0039】
実 施 例 4
200mL容ビーカーに精製水45g、カプリン酸デカグリセリル10g(HLB:16.5)を加え混合した。これをディスパーミキサーに投入した。撹拌しながら、製造例1で得られた2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール〕を45g加え5分間撹拌した。次いで、φ1.0mmジルコニアビーズ200gを加え、サンドミルにて120分間分散・破砕処理し水分散組成物を得た。
【0040】
実 施 例 5
200mL容ビーカーに精製水62g、ラウリン酸ペンタグリセリル8g(HLB:14.5)を加え混合した。これをディスパーミキサーに投入し、撹拌しながら、製造例1で得られた2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール〕を30g加え5分間撹拌した。次いで、φ1.0mmジルコニアビーズ200gを加え、サンドミルにて120分間分散・破砕処理し水分散組成物を得た。
【0041】
比 較 例 1
200mL容ビーカーに精製水52g、デシルグルコシド8g加え混合した。これをディスパーミキサーに投入し、撹拌しながら、製造例1で得られた2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール〕40g加え5分間撹拌した。次いで、φ1.0mmジルコニアビーズ200gを加え、サンドミルにて120分間分散・破砕処理し水分散組成物を得た。
【0042】
比 較 例 2
200mL容ビーカーに精製水52g、ポリソルベート20 8g(HLB:16.7)加え混合した。これをディスパーミキサーに投入し、撹拌しながら製造例1で得られた2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール〕を40g加え5分間撹拌した。次いで、φ1.0mmジルコニアビーズ200gを加え、サンドミルにて120分間分散・破砕処理し水分散組成物を得た。
【0043】
比 較 例 3
200mL容ビーカーに精製水52g、ポリソルベート80 8g(HLB:15.0)加え混合した。これをディスパーミキサーに投入し、撹拌しながら製造例1で得られた2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール〕を40g加え5分間撹拌した。次いで、φ1.0mmジルコニアビーズ200gを加え、サンドミルにて120分間分散・破砕処理し水分散組成物を得た。
【0044】
比 較 例 4
200mL容ビーカーに精製水52g、ジイソステアリン酸デカグリセリル8g(HLB:11.1)加え混合した。これをディスパーミキサーに投入し撹拌しながら、製造例1で得られた2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール〕を40g加え5分間撹拌した。次いで、φ1.0mmジルコニアビーズ200gを加えサンドミルにて120分間分散・破砕処理し、水分散組成物を得た。
【0045】
比 較 例 5
200mL容ビーカーに精製水52g、ジラウリン酸デカグリセリル8g(HLB:12.0)を加え混合した。これをディスパーミキサーに投入し撹拌しながら、製造例1で得られた2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール〕を40g加えディスパーミキサーにて5分間撹拌した。次いで、φ1.0mmジルコニアビーズ200gを加えサンドミルにて120分間分散・破砕処理し、水分散組成物を得た。
【0046】
試 験 例 1
平均粒子径の測定:
実施例1〜5および比較例1〜5で得られた水分散組成物を50℃にて1ヶ月間保管し2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール〕濃度が0.01%になるよう精製水にて希釈し、粒度分布測定機(コールターN4PLUS;ベックマンコールター社製)にて平均粒子径(D50)を測定した。結果を表1に示す。
【0047】
試 験 例 2
安定性試験:
実施例1〜5および比較例1〜5で得られた水分散組成物を50℃にて1ヶ月間保管し2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール〕の挙動を下記基準により評価した。結果を表1に示す。
【0048】
<沈降評価>
◎:変化なし
○:上層が若干分離
△:紫外線吸収剤が沈降
×:下部に紫外線吸収剤がケーキング
【0049】
試 験 例 3
耐塩性試験:
実施例1〜5および比較例1〜5で得られた水分散組成物を2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール〕濃度が0.5%となるよう精製水で希釈し、これに塩化ナトリウム0.5%を加え、50℃に7日間静置し2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール〕の挙動を上記沈降評価基準により評価した。
【0050】
【表1】

【0051】
試験例1より、実施例1〜5、および比較例1〜3は、2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール〕の微粒状態での安定性が優れているのに対し、比較例4,5は、非常に大きな粒径となり、ポリグリセリンジアルキルエステルは、この紫外線吸収剤の分散剤としては適しないことがわかった。更に、試験例2、3より、実施例1〜5は、優れた安定性、耐塩性を示したのに対し、比較例4、5は、水分散組成物としての経時安定性に劣り、比較例1〜3は耐塩性に劣るという結果を示した。
【0052】
実 施 例 6〜7および比 較 例 6〜9
W/O型サンスクリーンクリーム
実施例1および比較例1、2で調製した水分散組成物を用い、下記表2に示す組成のW/O型サンスクリーンクリームを下記製法により調製し、トランスポアテープ(3M社製)に試料を2mL/cm均一に塗布した後15分間自然乾燥させ、SPFアナライザー(UV−1000S;Labsphere社製)にてin−vitro SPF測定を行った。結果を表2に併せて示す。
【0053】
( 製 法 )
加熱溶解した油相部(1)〜(8)に(9)を加え、撹拌機にて均一に分散する。これに、別の容器に加熱溶解した水相部(10)〜(15)を加え乳化後、室温まで冷却し、目的のサンスクリーンクリームを得た。
【0054】
【表2】

【0055】
表2から明らかなように、本発明の実施例6は、水分散組成物を配合していない比較例6と比較し高い紫外線防御能を示した。また、メトキシケイヒ酸オクチルとを併用した実施例7に関しても、水分散組成物を配合していない比較例7と比較し、高い相乗効果が確認できた。一方、比較例1の水分散組成物を用いた比較例8およびメトキシケイヒ酸オクチルと併用した比較例9は、若干、紫外線防御能は向上しているものの本発明品には劣る結果を示した。以上より、実施例6、7は紫外線防御能に優れたW/O型サンスクリーンクリームであった。
【0056】
実 施 例8および比 較 例10
シャンプー
実施例1で調製した水分散組成物を用い、下記表4に示す組成のシャンプーを下記製法により調製し、太陽暴露下での退色性試験を行った。即ち、シャンプーを室外に置き経日での光によるシャンプーの色調変化を下記評価基準に基づき目視評価した。その結果を表3に併せて示す。
【0057】
( 製 法 )
(1)〜(13)を加熱し、撹拌溶解する。室温まで冷却し、(14),(15)を加え撹拌後、目的のシャンプーを得た。
【0058】
<色調の目視評価基準>
暗所にて25℃で保管したサンプルと比較して評価した。
○:変化なし
△:やや退色
×:著しく退色
【0059】
【表3】

【0060】
表3に示したように、実施例8の本発明のシャンプーは、調製時の色を保持していた。しかし、比較例10のシャンプーは退色が認められ、調製時の色を保持していなかった。これらの結果から、本発明の水分散組成物を化粧料に添加することにより、紫外線に対して耐光性が高く、経時的な退色が防止されたシャンプーが得られることが分かった。
【0061】
実 施 例 9
W/O乳化型ファンデーション
下記処方のW/O乳化型ファンデーションを下記製法により調製した。
(組 成) (%)
(1)スクワラン 4.0
(2)メトキシケイヒ酸オクチル 4.0
(3)ジメチルポリシロキサン(6cs) 2.0
(4)デカメチルシクロペンタシロキサン 12.8
(5)ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体(HLB=4.5) 4.0
(6)防腐剤 適 量
(7)抗酸化剤 適 量
(8)精製水 残 余
(9)1,3−ブチレングリコール 5.0
(10)実施例1の水分散組成物 10.0
(11)酸化チタン 5.0
(12)セリサイト 5.0
(13)色材 適 量
【0062】
( 製 法 )
油相部(1)〜(7)に、予めヘンシェルミキサーにて撹拌混合した粉体部(11)〜(13)を加え、撹拌機にて均一に分散する。これに別の容器に混合した(8)〜(10)を加え乳化後、室温まで冷却し、W/O乳化型ファンデーションを得た。
【0063】
得られたW/O乳化型ファンデーションは、in−vitroSPF値が30.5であり、紫外線のダメージから皮膚を守る効果に優れ、皮膚に塗布した場合、べたつかず、のびが軽く、化粧持続性に優れたものであった。
【0064】
実 施 例 10
乳液
下記組成の乳液を下記製法により調製した。
(組 成) (%)
(1)スクワラン 3.0
(2)ジメチルポリシロキサン(100cs) 0.2
(3)ジカプリン酸ネオペンチルグリコール 1.0
(4)POE(60)水添ヒマシ油 1.0
(5)カルボキシビニルポリマー 0.2
(6)ヒアルロン酸ナトリウム 1%水溶液 3.0
(7)クインスシードエキス 2%水溶液 5.0
(8)水酸化カリウム 0.1
(9)1,3−ブチレングリコール 6.0
(10)実施例2の水分散組成物 3.0
(11)精製水 残 余
(12)防腐剤 適 量
(13)キレート剤 適 量
【0065】
( 製 法 )
(1)〜(4)を混合し加熱する。別の容器に(5)〜(13)を混合し加熱する。(5)〜(13)に(1)〜(4)を加え乳化を行い、室温まで冷却し乳液を得た。
【0066】
得られた乳液は、in−vitroSPF値が3.2であり、紫外線のダメージから皮膚を守る効果に優れ、また皮膚に塗布した場合、べたつかず、のびが軽く、若干厚みがあるためしっとりした感触の紫外線に対して変色などを生じない安定性に優れた乳液であった。
【0067】
実 施 例 11
O/Wサンスクリーンクリーム
下記組成のO/Wサンスクリーンクリームを下記製法により調製した。
(組 成) (%)
(1)アルキル変性カルボキシビニルポリマー 0.4
(2)1,3−ブチレングリコール 4.0
(3)グリセリン 2.0
(4)実施例1の水分散組成物 5.0
(5)防腐剤 適 量
(6)キレート剤 適 量
(7)ヒアルロン酸ナトリウム1%水溶液 5.0
(8)精製水 83.1
(9)水酸化カリウム 0.2
(10)イソステアリン酸PEG-40水添ヒマシ油 0.3
(11)ジカプリン酸ネオペンチルグリコール 3.0
(12)メトキシケイヒ酸オクチル 3.0
【0068】
( 製 法 )
(10)〜(12)を混合し加熱する。別の容器に(1)〜(9)を混合し加熱する。(1)〜(9)に(10)〜(12)を加え乳化を行い、室温まで冷却しクリームを得た。
【0069】
得られたO/Wサンスクリーンクリームは、in−vitroSPF値が16であり、紫外線のダメージから皮膚を守る効果に優れ、皮膚に塗布した場合、べたつかず、のびが軽く、若干厚みがあるためしっとりした感触のO/Wサンスクリーンクリームであった。
【0070】
実 施 例 12
アミノ酸系洗顔フォーム
下記組成の洗顔フォームを下記製法により調製した。
(組 成) (%)
(1)ラウロイルグルタミン酸Na 35.0
(2)ラウリン酸カリウム 3.5
(3)コカミドメチルMEA 1.0
(4)セテアレス−60ミリスチルグリコール 1.0
(5)1,3−ブチレングリコール 20.0
(6)精製水 残 余
(7)PCA−Na 50%水溶液 5.0
(8)実施例3の水分散組成物 5.0
(9)防腐剤 適 量
(10)青色1号 適 量
(11)抗酸化剤 適 量
【0071】
( 製 法 )
(1)〜(11)を加熱混合し均一に溶解させる。撹拌しながら30℃まで冷却し、アミノ酸系洗顔フォームを得た。
【0072】
得られた洗顔フォームは、紫外線による変色などを生じず製剤の安定性に優れたものであった。
【0073】
実 施 例 13
アイライナー
下記組成のアイライナーを下記製法により調製した。
(組 成) (%)
(1)セスキオレイン酸ソルビタン 0.3
(2)モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン 0.1
(20E.O.)
(3)ポリオキシエチレン変性シリコーン(HLB=4.5) 0.5
(4)デカメチルシクロペンタシロキサン 29.4
(5)軽質流動イソパラフィン 17.5
(6)パルミチン酸デキストリン 2.0
(7)有機変性ベントナイト 1.0
(8)黒酸化鉄 14.0
(9)防腐剤 適 量
(10)精製水 残 余
(11)1,3−ブチレングリコール 7.0
(12)実施例5の水分散組成物 5.0
【0074】
( 製 法 )
(1)〜(7)を加熱し均一に溶解する。その後(8)を加え、均一に分散させる。別の容器に(9)〜(12)を加熱溶解する。(1)〜(8)に(9)〜(12)を加え乳化後、室温まで冷却し、アイライナーを得た。
【0075】
得られたアイライナーは、紫外線による変色などを生じず安定性に優れたアイライナーであった。
【0076】
実 施 例 14
マスカラ
下記組成のマスカラを下記製法により調製した。
(組 成) (%)
(1)精製水 26.0
(2)ポリビニルピロリドン 2.0
(3)1,3−ブチレングリコール 2.0
(4)カチオン化セルロース1%水溶液 10.0
(5)ベントナイト 0.5
(6)トリエタノールアミン 1.7
(7)タルク 3.7
(8)黄酸化鉄 0.9
(9)ベンガラ 0.9
(10)黒酸化鉄 4.8
(11)カルナウバロウ 5.5
(12)ミツロウ 9.0
(13)ステアリン酸 2.0
(14)自己乳化型ステアリン酸グリセリル 2.0
(15)ステアリン酸プロピレングリコール 2.0
(16)水添ポリイソブテン 2.0
(17)デカメチルシクロペンタシロキサン 4.0
(18)実施例3の水分散組成物 1.0
(19)防腐剤 適 量
(20)抗酸化剤 適 量
(21)アクリル酸アルキル共重合体エマルション 20.0
【0077】
( 製 法 )
水相部(1)〜(6)に予めヘンシェルミキサーにて撹拌混合した粉体部(7)〜(10)を加え、撹拌機にて均一に分散する。別の容器に(11)〜(20)を加熱溶解する。(1)〜(10)に(11)〜(20)を加え乳化後、40℃まで冷却し、(21)を加え、室温まで冷却し、マスカラを得た。
【0078】
得られたマスカラは、紫外線のダメージから睫毛を守る効果に優れ、適度なツヤ感を有し、睫毛への付き、製剤の安定性に優れたものであった。
【0079】
実 施 例 15
トリートメント
下記組成のトリートメントを下記製法により調製した。
(組 成) (%)
(1)セタノール 3.0
(2)スクワラン 1.0
(3)2−エチルヘキサン酸グリセリル 2.0
(4)塩化セチルトリメチルアンモニウム 5.5
(5)ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.2
(6)クエン酸 0.1
(7)実施例3の水分散組成物 1.0
(8)精製水 残 余
(9)防腐剤 適 量
(10)キレート剤 適 量
【0080】
( 製 法 )
(1)〜(4)を混合し加熱する。別の容器に(5)〜(10)を混合し加熱する。(5)〜(10)に(1)〜(4)を加え乳化を行い、室温まで冷却しトリートメントを得た。
【0081】
得られたトリートメントは、紫外線のダメージから髪を守る効果に優れ、毛髪にツヤ感を保持させ、痛んだ毛髪のパサツキを抑制ししっとりと柔軟感を付与することができるものであった。
【0082】
実 施 例 16
ヘアスタイリングクリーム
下記組成のヘアスタイリングクリームを下記製法により調製した。
(組 成) (%)
(1)イソパラフィン 7.9
(2)ジメチルポリシロキサン(500cs) 7.0
(3)ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 1.5
(HLB=4.5)
(4)イソノナン酸イソトリデシル 1.0
(5)アクリル樹脂アルカノールアミン液 3.0
(6)イソステアリン酸 0.1
(7)精製水 残 余
(8)グリセリン 3.0
(9)実施例4の水分散組成物 5.0
(10)エタノール 6.0
(11)硫酸マグネシウム 1.0
(12)ポリエチレングリコール(分子量10000) 2.0
(13)防腐剤 適 量
【0083】
( 製 法 )
(1)〜(6)を加熱し均一に分散する。別の容器に(7)〜(13)を加熱溶解する。(1)〜(6)に(7)〜(13)を加え乳化後、室温まで冷却し、ヘアスタイリングクリームを得た。
【0084】
得られたヘアスタイリングクリームは、紫外線のダメージから髪を守る効果に優れ、毛髪に塗布した場合、しっとりとした感触を有し、べたつかず、のびが軽い、スタイリング保持性に優れたヘアスタイリングクリームであった。
【0085】
実 施 例 17
ヘアミスト
下記組成のヘアミストを下記製法により調製した。
(組 成) (%)
(1)精製水 残 余
(2)グリコシルトレハロース 0.1
(3)グリセリン 1.5
(4)1,3−ブチレングリコール 1.0
(5)防腐剤 適 量
(6)加水分解シルク 0.1
(7)加水分解ヒアルロン酸 0.3
(8)実施例1の水分散組成物 0.5
(9)エタノール 10.0
【0086】
( 製 法 )
(1)〜(9)を加熱し均一に分散する。室温まで冷却し、ヘアミストを得た。
【0087】
得られたヘアミストは、紫外線のダメージから髪を守る効果に優れ、べとつかないヘアミストあった。
【0088】
実 施 例 18
乳化アイシャドウ
下記処方のアイシャドウを下記製法により調製した。
(組 成) (%)
(1)タルク 10.0
(2)ラウロイルリシン 2.0
(3)色材 5.0
(4)雲母チタン 15.0
(5)ステアリン酸 3.0
(6)イソステアリン酸オクチルドデシル 8.0
(7)スクワラン 2.0
(8)メトキシケイヒ酸オクチル 2.0
(9)モノラウリン酸プロピレングリコール 3.0
(10)精製水 残 余
(11)実施例1の水分散組成物 5.0
(12)1,3−ブチレングリコール 6.0
(13)トリエタノールアミン 1.2
(14)防腐剤 適 量
(15)キレート剤 適 量
【0089】
( 製 法 )
水相部(1)〜(4)に、予めヘンシェルミキサーにて撹拌混合した粉体部を(5)〜(9)を加え、撹拌機にて均一に分散する。別の容器に(10)〜(15)を加熱溶解する。(10)〜(15)に(1)〜(4)及び(5)〜(9)を加え乳化後、室温まで冷却し、乳化アイシャドウを得た。
【0090】
得られた乳化アイシャドウは、紫外線防止効果に優れ、製剤の安定性に優れたものであった。
【0091】
実 施 例 19
水性ジェル
下記処方の水性ジェルを下記製法により調製した。
(組 成) (%)
(1)カルボキシビニルポリマー 0.2
(2)キサンタンガム 0.1
(3)精製水 残 余
(4)トリエタノールアミン 0.1
(5)イソステアリン酸POE(50)水添ヒマシ油 0.3
(6)香料 適 量
(7)エタノール 10.0
(8)グリセリン 5.0
(9)ジプロピレングリコール 5.0
(10)ポリオキシエチレンメチルグルコシド 5.0
(11)酸化亜鉛 2.0
(12)酸化チタン 2.0
(13)ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸 2.0
(14)実施例1記載の水分散組成物 8.0
【0092】
( 製 法 )
(1)〜(4)を均一に混合膨潤する。別の容器に(5)〜(7)を均一に混合する。(8)〜(13)をホモジナイザーにて均一に分散する。(1)〜(4)に(5)〜(7)、(8)〜(13)、(14)を加え均一に分散し、水性ジェル得た。
【0093】
得られた水性ジェルは、皮膚に塗布した場合、べたつかず、のびが軽く、さっぱりとした感触の水性ジェルであった。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明の水分散組成物は、塩の存在下においても、ベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤の凝集を抑制し安定した分散状態を維持することが可能なものであるため、化粧料に配合することにより、その紫外線吸収作用を発揮させるとともに、含有する色素の光による退色を防止し、良好な色調を維持することができる。したがって、このものは、化粧料用の組成物として極めて有用なものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)および(B);
(A)下記一般式(1)
【化1】


[式中、RおよびRは、同一でも異なってもよく、炭素数が1〜4のアルキル基、
炭素数が5〜12のシクロアルキル基およびアリール基よりなる群から選ばれる
1または2以上の基で置換されていてもよい、炭素数が1〜18のアルキル基を
示す]
で表されるベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤
(B)グリセリンの平均重合度が5以上のポリグリセリンモノアルキルエステル
を含有することを特徴とする紫外線吸収剤水分散組成物。
【請求項2】
成分(A)の平均粒子径が10nm〜2000nmである請求項1記載の紫外線吸収剤水分散組成物。
【請求項3】
成分(A)の前記一般式(1)中のRおよびRが、ともに1,1,3,3−テトラメチルブチル基である請求項1または2に記載の紫外線吸収剤水分散組成物。
【請求項4】
成分(A)の含有量が10〜50質量%である請求項1ないし3のいずれかの項記載の紫外線吸収剤水分散組成物。
【請求項5】
成分(B)のHLBが14.5以上である請求項1ないし4のいずれかの項記載の紫外線吸収剤水分散組成物。
【請求項6】
HLBが14.5以上である成分(B)が、カプリン酸デカグリセリルまたはラウリン酸デカグリセリルである請求項5記載の紫外線吸収剤水分散組成物。
【請求項7】
成分(A)の含有量に対する成分(B)の含有量の質量比率が0.05〜0.5である請求項1ないし6のいずれかの項記載の紫外線吸収剤水分散組成物。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかの項記載の紫外線吸収剤水分散組成物を含有する化粧料。
【請求項9】
さらに、メトキシケイヒ酸オクチルを含有するものである請求項8記載の化粧料。

【公開番号】特開2009−120638(P2009−120638A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−293190(P2007−293190)
【出願日】平成19年11月12日(2007.11.12)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【出願人】(591119750)岩瀬コスファ株式会社 (16)
【Fターム(参考)】