説明

紫外線吸収剤組成物

【課題】UV-A及びUV-B領域における紫外線吸収能に優れかつ可視域に吸収がなく、耐光性及びその他諸物性を両立する紫外線吸収剤組成物を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表される紫外線吸収剤Aと、下記一般式(2-a)又は(2-b)で表される紫外線吸収剤Bと、一重項酸素捕獲剤、酸化防止剤およびラジカルトラップ剤から選択される少なくとも1種である化合物Cとを含む紫外線吸収剤組成物。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線吸収剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から紫外線吸収剤を種々の樹脂などと共用して紫外線吸収性を付与することが行われている。紫外線吸収剤として無機系紫外線吸収剤と有機系紫外線吸収剤を用いる場合がある。無機系紫外線吸収剤(例えば、特許文献1〜3等を参照。)では、耐候性や耐熱性などの耐久性に優れている反面、吸収波長が化合物のバンドギャップによって決定されるために選択の自由度が少なく、320〜400nmの長波紫外線(UV−A)領域まで吸収できるものはなく、長波紫外線を吸収するものは可視域まで吸収を有するために着色を伴ってしまう。その中でUV−B領域を遮蔽する性質を有する特定のチタン酸表面にUV−A領域を遮蔽する酸化セリウム系の紫外線遮蔽剤を被覆し複合化することで、幅広い紫外線領域を遮蔽できることが知られている(例えば、特許文献4等を参照。)。
これに対して、有機系紫外線吸収剤は、吸収剤の構造設計の自由度が高いために、吸収剤の構造を工夫することによって様々な吸収波長のものを得ることができる。
【0003】
これまでにも様々な有機系紫外線吸収剤を用いた系が検討されており、長波紫外線領域まで吸収する場合には、極大吸収波長が長波紫外線領域にあるものを用いるか、濃度を高くするかの2通りが考えられている。しかし、特許文献5及び6等に記載された極大吸収波長が長波紫外線領域にあるものは、耐光性が悪く、吸収能が時間とともに減少していってしまう。
【0004】
これに対してベンゾフェノン系やベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤は比較的耐光性も良く、濃度や膜厚を大きくすれば長波長領域まで比較的クリアにカットできる(例えば特許文献7及び8等を参照。)。しかし、通常これらの紫外線吸収剤を樹脂等に混ぜて塗布する場合、膜厚は数十μm程度が限界である。この膜厚で長波長領域までカットしようとするとかなり高濃度に紫外線吸収剤を添加する必要がある。しかしながら、単に高濃度に添加しただけでは紫外線吸収剤の析出や長期使用によるブリードアウトが生じるという問題があった。また、極大吸収波長が長波紫外線領域にあったとしても、400nm以上に吸収を有する紫外線吸収剤を用いた場合には黄色味着色を生じ、透過して観察するカラー画像の色相を悪化させてしまう。これは高濃度に添加した場合に顕著な問題となる。
よって紫外線領域を幅広く効果的に遮蔽してなおかつ可視域に吸収がなく、さらに耐光性およびその他の諸物性を両立する紫外線吸収剤が求められていた。
【特許文献1】特開平5−339033号公報
【特許文献2】特開平5−345639号公報
【特許文献3】特開平6−56466号公報
【特許文献4】特開2006−316107号公報
【特許文献5】特開平6−145387号公報
【特許文献6】特開2003−177235号公報
【特許文献7】特表2005−517787号公報
【特許文献8】特開平7−285927号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記の問題点を解決するものであり、UV−AおよびUV−B領域における紫外線吸収能に優れかつ可視域に吸収がなく、さらに耐光性およびその他諸物性を両立する紫外線吸収剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、紫外線領域に吸収を有する化合物を詳細に検討し、紫外線領域を幅広くかつ長波紫外線領域を効果的に遮蔽することと、可視域に吸収を有さないことを両立させるために鋭意検討を重ねた結果、紫外線吸収構造を複数有さない紫外線吸収剤1分子で行うことは容易でないことを見出した。すなわち、紫外線領域全体を幅広く遮蔽することを1分子の紫外線吸収剤で行おうとすると全体に吸収強度が弱いものとなってしまい、効果的に紫外線を遮蔽するためには添加量を多くする必要がある。これはブリードアウトを生じやすくすることにつながり好ましくない。また、幅広い吸収を有する化合物は極大吸収波長を中心としてブロードな吸収スペクトル形状となる。このことは、確実に遮蔽したい波長域と確実に透過したい波長域が近い場合には両方を満足させることができないことを意味する。逆に鋭い吸収を有する化合物は極大吸収波長を中心として狭い領域しか遮蔽することができない。
これらの知見から、長波側は可視域には吸収を有さないが紫外域には十分な吸収を有する、すなわち長波側が急峻なスペクトル形状を有する紫外線吸収剤で長波紫外線領域をカバーする一方、不足する領域を別の紫外線吸収剤を併用してカバーすることで、紫外線領域全体をカバーし、かつ長波紫外線領域を効果的に遮蔽する紫外線吸収剤組成物を提供することができると考えられる。しかし、この考え方を元に、選出してきた適当な紫外線吸収剤を用いた場合、ポリマーに対する相溶性が悪くブリードアウトしたり、溶媒に対する溶解性が悪く、作業効率の悪化の原因となることが問題となっていた。また、それらは光や熱に対する安定性の点でも十分満足できるものではなかった。
【0007】
さらに本発明者らは、上記のようなスペクトル形状を有する紫外線吸収化合物の探索を行った。時田澄男著「化学セミナー9 カラーケミストリー」(丸善、1982年)150〜161ページに示してあるように、スペクトル形状は、電子状態のエネルギー準位だけでなく、振動ならびに回転の準位が常に関連している。そのため分子の振動及び回転の寄与を小さくすれば、吸収体の幅は狭く、スペクトル形状はシャープになることが予想される。しかしながら、振動や回転の寄与が小さい構造であっても、主吸収以外に副吸収が存在し、この強度が大きく主吸収から離れた波長域に存在する場合には、スペクトル形状はブロード化してしまう。紫外線吸収剤として一般に用いられているベンゾトリアゾール系やトリアジン系などは、これらの理由から吸収体の幅が広くブロード化しており、これをシャープ化することは容易ではない。そして、本発明者らは、スペクトル形状をシャープ化するにはこれらの構造から脱却し、振動及び回転の寄与が小さく副吸収が小さい構造の化合物を基本骨格として選択することが必要であると考え、実際にこの考えを満たす一般式(1)で表される化合物を紫外線吸収剤として用いた場合に、特に効果的に前記の吸収の課題を解決できることを見出した。また、溶解性の高い一般式(1)で表される化合物を紫外線吸収剤として用いた場合に、前記のポリマーに対する相溶性及び溶媒に対する溶解性における課題が解決できることを見出した。さらに本発明者らは、詳細に検討を重ねた結果、紫外線安定剤単独で用いた場合にはその紫外線吸収能が長期間持続しないようなものであっても、特定の化合物と合わせて用いることによって、その性能が長期にわたって持続し得ることを見出した。さらに、驚くべきことに溶解性の高い一般式(1)で表される化合物を用いることによりポリマー中からの添加剤のブリードアウトが著しく抑制される効果があることを見出した。
【0008】
なお、特開平8−239509号公報の段落番号[0036]には、後述する一般式(1)で表される化合物を光学用ポリマーフィルムに用いた場合に、必要に応じて、分散剤、蛍光染料、消泡剤、潤滑剤、褪色防止剤、防腐剤等の公知の各種添加剤を用いても良いことが記載されているが、具体的な添加剤の種類や構造については言及されてなく、その効果についても記載されていなかった。また、特開昭62−260152号公報15ページ下段左11〜13行目には、後述する一般式(1)で表される化合物を用いた場合に、画像の堅牢性を向上させる目的やその他の目的で酸化防止剤、消光物質などを含んでもよいと記載されているが、その具体的な構造と得られる効果については記述されていなかった。
本発明は、このような知見に基づきなされるに至ったものである。
本発明の課題は、以下の方法によって達成された。
【0009】
本発明の課題は、以下の方法によって達成された。
<1> 下記一般式(1)で表される紫外線吸収剤Aと、下記一般式(2−a)又は(2−b)で表される紫外線吸収剤Bと、一重項酸素捕獲剤、酸化防止剤およびラジカルトラップ剤から選択される少なくとも1種である化合物Cとを含むことを特徴とする紫外線吸収剤組成物。
【0010】
【化1】

【0011】
〔一般式(1)中、Ra1及びRa2は、互いに独立して水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のヘテロ環基を表す。Ra1とRa2とは互いに結合して窒素原子を含む環を形成してもよい。
a3及びRa4は、各々独立にハメットの置換基定数σp値が0.2以上の置換基を表す。Ra3とRa4とは互いに結合して環を形成してもよい。
a5、Ra6及びRa7は、水素原子または1価の置換基を表す。Ra1、Ra5、Ra6及びRa7のうち任意の2つの基は互いに結合して環を形成してもよい。〕
【0012】
【化2】

【0013】
〔前記一般式(2−a)中、X1及びX2は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、スルホン酸基、置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、又は置換もしくは無置換のアミノ基を表す。s1及びs2は、互いに独立して1〜3の整数を表す。〕
〔前記一般式(2−b)中、X1は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、スルホン酸基、置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、又は置換もしくは無置換のアミノ基を表し、s1は1〜3の整数を表す。
Lgは2価の置換基または単なる結合を表し、wは0又は1を表す。
tbは1又は2を表し、tbが1のときX3は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、スルホン酸基、置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、又は置換もしくは無置換のアミノ基を表す。tbが2のときX3は2価の置換基を表す。〕
<2> 前記化合物Cが下記一般式(3−a)又は(3−b)で表される化合物である、<1>項に記載の紫外線吸収剤組成物。
【0014】
【化3】

【0015】
〔前記一般式(3−a)中、R11は水素原子、脂肪族基、芳香族基、炭素原子で結合する複素環素または加水分解可能な保護基を表し、R12、R13、R14、R15およびR16は各々独立に水素原子または置換基を表し、R11とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R15とR16およびR16とR11は互いに結合して環を形成してもよい。前記一般式(3−b)中、R21は水素原子、脂肪族基、アシル基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシラジカル基またはヒドロキシル基を表し、Qは5員、6員または7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、R22、R23、R24およびR25は各々独立に水素原子、脂肪族基、芳香族基または炭素原子で結合する複素環基を表し、R21とR22、R22とR23、R24とR25およびR21とR24は互いに結合して環を形成してもよい。〕
<3> 前記紫外線吸収剤Aの極大吸収波長が350nm以上400nm以下であり、半値幅が55nm以下であり、極大吸収波長におけるモル吸光係数が50000以上である、<1>又は<2>項に記載の紫外線吸収剤組成物。
<4> 前記紫外線吸収剤Bの極大吸収波長が320nm未満である、<1>〜<3>のいずれか1項に記載の紫外線吸収組成物。
<5> 前記紫外線吸収剤Bの極大吸収波長が320nm〜350nmである、<1>〜<3>のいずれか1項に記載の紫外線吸収組成物。
<6> 前記紫外線吸収剤Aと前記紫外線吸収剤Bとの比率が、1:10〜10:1の範囲である、<1>〜<5>のいずれか1項に記載の紫外線吸収剤組成物。
<7> 前記化合物Cが前記一般式(3−b)で表される化合物である、<2>〜<6>のいずれか1項に記載の紫外線吸収剤組成物。
<8> <1>〜<7>のいずれか1項に記載の紫外線吸収剤組成物を含む紫外線吸収剤分散物。
<9> <1>〜<7>のいずれか1項に記載の紫外線吸収剤組成物を含む紫外線吸収剤溶液。
<10> <1>〜<7>のいずれか1項に記載の紫外線吸収剤組成物を含む高分子材料。
【発明の効果】
【0016】
本発明の紫外線吸収剤組成物は、UV−A及びUV−B領域における紫外線吸収能に優れると同時に可視域に吸収がないという優れた効果を有し、耐光性、その他の諸物性に優れる。さらにポリマーに対する相溶性が高くブリードアウトを防ぐことができ、また、種々溶媒に対する溶解性が高く、作業効率を良化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明における、分光吸収極大波長を測定するための溶液とは、紫外線吸収剤A及びB並びに化合物Cを有機或いは無機の溶媒または水を単独或いはそれらの混合物を用いて溶解したものである。
【0018】
有機溶媒としては、例えばアミド系溶媒(例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン)、スルホン系溶媒(例えばスルホラン)スルホキシド系溶媒(例えばジメチルスルホキシド)、ウレイド系溶媒(例えばテトラメチルウレア)、エーテル系溶媒(例えばジオキサン、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル)、ケトン系溶媒(例えばアセトン、シクロヘキサノン)、炭化水素系溶媒(例えばトルエン、キシレン、n−デカン)、ハロゲン系溶媒(例えばテトラクロロエタン,クロロベンゼン、クロロナフタレン)、アルコール系溶媒(例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、シクロヘキサノール、フェノール)、ピリジン系溶媒(例えばピリジン、γ−ピコリン、2,6−ルチジン)、エステル系溶媒(例えば酢酸エチル、酢酸ブチル)、カルボン酸系溶媒(例えば酢酸、プロピオン酸)、ニトリル系溶媒(例えばアセトニトリル)、スルホン酸系溶媒(例えばメタンスルホン酸)、アミン系溶媒(例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン)が挙げられる。無機溶媒としては、例えば硫酸、リン酸が挙げられる。
【0019】
溶解性を考慮すると紫外線吸収剤に関して、これらのうち好ましくはアミド系溶媒、スルホン系溶媒、スルホキシド系溶媒、ウレイド系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、ハロゲン系溶媒、アルコール系溶媒、エステル系溶媒、ニトリル系溶媒である。濃度は分光吸収の極大波長が測定できる濃度であればよく、好ましくは1×10-7〜1×1013の範囲である。温度は特に限定しないが、好ましくは0℃〜80℃である。
【0020】
測定機器は通常の分光吸収測定装置(例えば、U−4100スペクトロフォトメーター、商品名、日立ハイテクノロジーズ(株)製)を用いることができる。
【0021】
本明細書において脂肪族基はアルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基および置換アラルキル基を意味する。アルキル基は分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。アルキル基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜18であることが更に好ましい。置換アルキル基のアルキル部分は、上記アルキル基と同様である。アルケニル基は分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。アルケニル基の炭素原子数は2〜20であることが好ましく、2〜18であることが更に好ましい。置換アルケニル基のアルケニル部分は、上記アルケニル基と同様である。アルキニル基は分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。アルキニル基の炭素原子数は2〜20であることが好ましく、2〜18であることが更に好ましい。置換アルキニル基のアルキニル部分は、上記アルキニル基と同様である。アラルキル基および置換アラルキル基のアルキル部分は、上記アルキル基と同様である。アラルキル基および置換アラルキル基のアリール部分は下記アリール基と同様である。
【0022】
置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基および置換アラルキル基のアルキル部分の置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。それらは、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)もこのような概念のアルキル基を表す。]、
【0023】
アルケニル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。それらは、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)を包含するものである。]、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)、
【0024】
アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、ヘテロ環基(好ましくは5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、
【0025】
シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、
【0026】
アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアニリノ基、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、
【0027】
アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、
【0028】
アルキル又はアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオ、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、スルホ基、
【0029】
アルキル又はアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、アルキル又はアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4〜30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2−ピリジルカルボニル、2−フリルカルボニル)、
【0030】
アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、アリール又はヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、
【0031】
ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)を表す。
【0032】
上記の官能基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去り更に上記の基で置換されていても良い。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル、アセチルアミノスルホニル、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
【0033】
置換アラルキル基のアリール部分の置換基の例は、下記置換アリール基の置換基の例と同様である。
【0034】
本明細書において芳香族基は、アリール基および置換アリール基を意味する。またこれらの芳香族基は脂肪族環、他の芳香族環または複素環が縮合していてもよい。芳香族基の炭素原子数は6〜40が好ましく、6〜30が更に好ましく、6〜20が更に好ましい。また、その中でもアリール基としてはフェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルが特に好ましい。
【0035】
置換アリール基のアリール部分は、上記アリール基と同様である。置換アリール基の置換基の例としては、先に置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基及び置換アラルキル基のアルキル部分の置換基の例としてあげたものと同様である。
【0036】
本明細書において、複素環基は5員または6員の飽和または不飽和複素環を含むことが好ましい。複素環に脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。複素環のヘテロ原子の例にはB,N,O,S,SeおよびTeが含まれる。ヘテロ原子としてはN,OおよびSが好ましい。複素環は炭素原子が遊離の原子価(一価)を有する(複素環基は炭素原子において結合する)ことが好ましい。好ましい複素環基の炭素原子数は1〜40であり、より好ましくは1〜30であり、更に好ましくは1〜20である。飽和複素環の例には、ピロリジン環、モルホリン環、2−ボラ−1,3−ジオキソラン環および1,3−チアゾリジン環が含まれる。不飽和複素環の例には、イミダゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾセレナゾール環、ピリジン環、ピリミジン環およびキノリン環が含まれる。複素環基は置換基を有していても良い。置換基の例としては、先に置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基及び置換アラルキル基のアルキル部分の置換基の例としてあげたものと同様である。
【0037】
本発明の紫外線吸収剤組成物は、特定の吸収スペクトル形状を有する前記一般式(1)で表される紫外線吸収剤Aと、前記一般式(2−a)又は(2−b)で表される紫外線吸収剤Bと、一重項酸素捕獲剤、酸化防止剤およびラジカルトラップ剤から選択される少なくとも1種である化合物Cとを含むことを特徴とするものである。
【0038】
前記一般式(1)で表される紫外線吸収剤Aと前記一般式(2−a)又は(2−b)で表される紫外線吸収剤Bの混合比率は任意の比率であってよい。紫外線吸収剤Aと紫外線吸収剤Bの比率(A:B)は、0:1と1:0を除く任意の比率であってよい。好ましくは1:10〜10:1である。より好ましくは1:5〜5:1である。特に好ましくは1:4〜4:1であり、最も好ましくは1:2〜2:1である。なお、本発明における混合比率はモル比で表すものとする。紫外線吸収剤の分子量がわかっていればモル比を質量比に変換できるので、当業者は質量比を元に混合することもできる。
【0039】
本発明の紫外線吸収組成物において、紫外線吸収剤Aに相当するものは2種類以下であることが好ましく、1種類のみである場合が特に好ましい。紫外線吸収剤Bに相当するものは3種類以下であることが好ましく、2種類である場合がより好ましく、1種類である場合が特に好ましい。
【0040】
本発明における特定の吸収スペクトル形状を有する紫外線吸収剤について説明する。
前記一般式(1)で表される紫外線吸収剤Aは、極大吸収波長が350nm以上400nm以下であり、好ましくは半値幅が55nm以下であることが好ましい。また、極大吸収波長におけるモル吸光係数が50000以上であることが好ましい。
前記一般式(2−a)又は(2−b)で表される紫外線吸収剤Bは、320nmにおける吸光度が極大吸収波長における吸光度の30%以上であり、極大吸収波長が350nm以下であることが好ましい。中でも紫外線吸収剤Bの320nmにおける吸光度が極大吸収波長における吸光度の50%以上であることが好ましい。
【0041】
紫外線吸収剤Bは320nmにおける吸光度が極大吸収波長における吸光度の30%以上であり、極大吸収波長が350nm以下であるものを表すが、これは、例えば、図1に示すように、極大吸収波長が320nm未満である紫外線吸収剤(B−(1))及び極大吸収波長が320nm〜350nmである紫外線吸収剤(B−(2))に分類できる。図1は、本発明に用いられる紫外線吸収剤A及びBの好ましい吸光スペクトルを示す。
【0042】
本発明において規定される極大吸収波長および半値幅は、当業者が容易に測定することができる。測定方法に関しては、例えば日本化学会編「第4版実験化学講座 7 分光II」(丸善、1992年)180〜186ページなどに記載されている。具体的には、適当な溶媒に試料を溶解し、石英製またはガラス製のセルを用いて、試料用と対照用の2つのセルを使用して分光光度計によって測定される。用いる溶媒は、試料の溶解性と合わせて、測定波長領域に吸収を持たないこと、溶質分子との相互作用が小さいこと、揮発性があまり著しくないこと等が要求される。上記条件を満たす溶媒であれば、任意のものを選択することができる。本発明においては、酢酸エチル(EtOAc)を溶媒に用いて測定を行うこととする。
【0043】
本発明における色素の極大吸収波長および半値幅は、酢酸エチルを溶媒として、濃度約5×10-5mol・dm-3の溶液を調製し、光路長10mmの石英セルを使用して測定した値を使用する。
【0044】
スペクトルの半値幅に関しては、例えば日本化学会編「第4版実験化学講座3 基本操作III」(丸善、1991年)154ページなどに記載がある。なお、上記成書では波数目盛りで横軸を取った例で半値幅の説明がなされているが、本発明における半値幅は波長目盛りで軸を取った場合の値を用いることとし、半値幅の単位はnmである。具体的には、極大吸収波長における吸光度の1/2の吸収帯の幅を表し、吸収スペクトルの形を表す値として用いられる。半値幅が小さいスペクトルはシャープなスペクトルであり、半値幅が大きいスペクトルはブロードなスペクトルである。ブロードなスペクトルを与える紫外線吸収剤は、極大吸収波長から長波側の幅広い領域にも吸収を有するので、黄色味着色がなく長波紫外線領域を効果的に遮蔽するためには、半値幅が小さいスペクトルを有する紫外線吸収剤の方が好ましい。
【0045】
時田澄男著「化学セミナー9 カラーケミストリー」(丸善、1982年)154〜155ページに記載されているように、光の吸収の強さすなわち振動子強度はモル吸光係数の積分に比例し、吸収スペクトルの対称性がよいときは、振動子強度は極大吸収波長における吸光度と半値幅の積に比例する(但しこの場合の半値幅は波長目盛りで軸を取った値である)。このことは遷移モーメントの値が同じとした場合、半値幅が小さいスペクトルを有する化合物は極大吸収波長における吸光度が大きくなることを意味している。このような紫外線吸収剤は少量使用するだけで極大吸収波長周辺の領域を効果的に遮蔽できるメリットがあるが、波長が極大吸収波長から少し離れると急激に吸光度が減少するために、幅広い領域を遮蔽することができない。
【0046】
本発明における紫外線吸収剤Aは極大吸収波長が350nm以上400nmであり、半値幅が55nm以下であることが好ましい。この波長域を吸収する紫外線吸収剤Aを紫外線吸収剤Bと組み合わせ使用することは、紫外線吸収領域をカバーする目的には適うが、組成物に黄色着色の危険性のため、当業者が想起できる内容ではなかった。また、化合物Cを組み合わせて使用することにより耐光性向上は期待できるが、溶解性に問題が生じることが多いため、当業者が想起できる内容ではなかった。
【0047】
続いて、本発明に用いられる下記一般式(1)で表される紫外線吸収剤Aについて説明する。
【化4】

【0048】
〔一般式(1)中、Ra1及びRa2は、互いに独立して水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のヘテロ環基を表す。Ra1とRa2とは互いに結合して窒素原子を含む環を形成してもよい。
a3及びRa4は、各々独立にハメットの置換基定数σp値が0.2以上の置換基を表す。Ra3とRa4とは互いに結合して環を形成してもよい。
a5、Ra6及びRa7は、水素原子または1価の置換基を表す。Ra1、Ra5、Ra6及びRa7のうち任意の2つの基は互いに結合して環を形成してもよい。〕
【0049】
前記一般式(1)において、Ra1及びRa2は互いに独立して水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のヘテロ環基を表す。アルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられる。アルキル基上の任意の位置に1価の置換基を有していてもよい。
【0050】
1価の置換基としては例えば、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(例えばメチル、エチル)、アリール基(例えばフェニル、ナフチル)、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル)、置換又は無置換のカルバモイル基(例えばカルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル)、アルキルカルボニル基(例えばアセチル)、アリールカルボニル基(例えばベンゾイル)、ニトロ基、置換または無置換のアミノ基(例えばアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ)、アシルアミノ基(例えばアセトアミド、エトキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミド)、イミド基(例えばスクシンイミド、フタルイミド)、イミノ基(例えばベンジリデンアミノ)、ヒドロキシ基、アルコキシ基(例えばメトキシ)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ)、アルキルスルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ)、アリールスルホニルオキシ基(例えばベンゼンスルホニルオキシ)、スルホ基、置換または無置換のスルファモイル基(例えばスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ)、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル)、ヘテロ環基(例えばピリジル、モルホリノ)などを挙げることができる。また、置換基は更に置換されていても良く、置換基が複数ある場合は、同じでも異なっても良い。また置換基同士で結合して環を形成しても良い。
【0051】
アリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。アリール基上の任意の位置に1価の置換基を有していてもよい。1価の置換基としては上述した1価の置換基の例が挙げられる。
【0052】
ヘテロ環基としては、炭素数6〜20のヘテロ環基が好ましく、例えば、ピリジル基、ピペリジノ基、モルホリノ基などが挙げられる。ヘテロ環基上の任意の位置に1価の置換基を有していてもよい。1価の置換基としては上述した1価の置換基の例が挙げられる。
【0053】
a1とRa2とは互いに結合して窒素原子を含む環を形成してもよい。形成する環としては、含窒素5または6員環が好ましい。例えば、ピロリジン環、ピロリン環、イミダゾリジン環、イミダゾリン環、オキサゾリン環、チアゾリン環、ピペリジン環、モルホリン環、ピペラジン環などが挙げられる。これらの環は1価の置換基を有していてもよく、上述の1価の置換基が例として挙げられる。また、芳香環などと共に縮環構造を形成してもよい。
【0054】
a3およびRa4は、各々独立にハメットの置換基定数σp値が0.2以上の置換基を表す。ハメットの置換基定数σ値について説明する。ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年L.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができる。例えば、J.A.Dean編、「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版,1979年(Mc Graw−Hill)や「化学の領域」増刊,122号,96〜103頁,1979年(南光堂)、Chem.Rev.,1991年,91巻,165〜195ページなどに詳しい。本発明におけるハメットの置換基定数σp値が0.2以上の置換基とは電子求引性基であることを示している。σp値として好ましくは0.25以上であり、より好ましくは0.3以上であり、特に好ましくは0.35以上である。
【0055】
a3およびRa4の例としては、シアノ基(0.66)、カルボキシル基(-COOH:0.45)、アルコキシカルボニル基(-COOMe:0.45)、アリールオキシカルボニル基(-COOPh:0.44)、カルバモイル基(-CONH2:0.36)、アルキルカルボニル基(-COMe:0.50)、アリールカルボニル基(-COPh:0.43)、アルキルスルホニル基(-SO2Me:0.72)、またはアリールスルホニル基(-SO2Ph:0.68)などが挙げられる。本明細書において、Meはメチル基を、Phはフェニル基を表す。なお、括弧内の値は代表的な置換基のσp値をChem.Rev.,1991年,91巻,165〜195ページから抜粋したものである。
【0056】
a3とRa4とは互いに結合して環を形成してもよい。なお、環を形成する場合にはRa3、Ra4のσp値を規定することができないが、本発明においてはRa3、Ra4にそれぞれ環の部分構造が置換しているとみなして、環形成の場合のσp値を定義することとする。例えば1,3−インダンジオン環を形成している場合、Ra3、Ra4にそれぞれベンゾイル基が置換したものとして考える。
【0057】
a5、Ra6およびRa7は、水素原子または1価の置換基を表す。1価の置換基の例としては上述した1価の置換基の例が挙げられる。好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基である。
【0058】
a1、Ra5、Ra6およびRa7のうち任意の2つの基は互いに結合して環を形成してもよい。結合する組み合わせはいずれでもよいが、環を形成する場合は、Ra1とRa5またはRa5とRa7の組で環を形成する場合が好ましい。形成する環としては、前記一般式(1)中に既に定義されている炭素原子または窒素原子を含んで4〜8員環を形成する場合がより好ましい。
【0059】
前記一般式(1)で表される紫外線吸収剤は、下記一般式(1−2)又は(1−3)で表される紫外線吸収剤であってもよい。続いて下記一般式(1−2)又は(1−3)で表される紫外線吸収剤について詳細に説明する。
【0060】
【化5】

【0061】
〔一般式(1−2)中、Ra21は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のヘテロ環基を表す。
a31及びRa34は、−CN、−COORa25、−CONRa26a27、−CORa28又は−SO2a29を表す(Ra25、Ra26、Ra27及びRa28は互いに独立して水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のヘテロ環基を表す。Ra26及びRa27は互いに結合して窒素原子を含む環を形成してもよい。Ra29は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のヘテロ環基を表す。)。
a61及びRa71は、水素原子または1価の置換基を表す。Ra61及びRa71は互いに結合して環を形成してもよい。
a1は、炭素原子および窒素原子と一緒になって4〜8員環を形成するのに必要な原子群を表す。〕
【0062】
【化6】

【0063】
〔一般式(1−3)中、Ra12及びRa22は、互いに独立して水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。Ra12とRa22とは互いに結合して窒素原子を含む環を形成してもよい。
a32及びRa42は、−CN、−COORa35、−CONRa36a37、−CORa38又は−SO2a39を表す(Ra35、Ra36、Ra37及びRa38は互いに独立して水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。Ra36及びRa37は互いに結合して窒素原子を含む環を形成してもよい。Ra39はアルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。)。
a62は、水素原子または1価の置換基を表す。
a2は、炭素原子と一緒になって4〜8員環を形成するのに必要な原子群を表す。〕
【0064】
前記一般式(1−2)において、Ra21は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のヘテロ環基を表す。置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、及び置換もしくは無置換のヘテロ環基としては、前記一般式(1)におけるRa1と同義であり、好ましい場合も同じである。
【0065】
a31およびRa41は、−CN、−COORa25、−CONRa26a27、−CORa28、−SO2a29を表す。Ra25、Ra26、Ra27及びRa28は、互いに独立して水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のヘテロ環基を表す。Ra29は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のヘテロ環基を表す。Ra25〜Ra29が表す置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、及び置換もしくは無置換のヘテロ環基の例としては前記一般式(1)におけるRa1と同じであり、好ましい場合も同じである。Ra26およびRa27は互いに結合して窒素原子を含む環を形成してもよく、形成する環としては窒素原子を含む5〜8員環が好ましい。
【0066】
a61およびRa71は、水素原子または1価の置換基を表す。Ra61およびRa71は互いに結合して環を形成してもよい。Ra61及びRa71は前記一般式(1)のRa6およびRa7と同義であり、好ましい場合も同じである。
a1は、炭素原子および窒素原子と一緒になって4〜8員環を形成するのに必要な原子群を表す。例えば、ピロリジン環、ピロリン環、イミダゾリジン環、イミダゾリン環、オキサゾリン環、チアゾリン環、ピペリジン環、モルホリン環、ピペラジン環などが挙げられる。これらの環は1価の置換基を有していてもよく、上述の1価の置換基が例として挙げられる。また、芳香環などと共に縮環構造を形成してもよい。
【0067】
前記一般式(1−3)において、Ra12およびRa22は互いに独立して水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のヘテロ環基を表す。置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、及び置換もしくは無置換のヘテロ環基としては、前記一般式(1)におけるRa1およびRa2と同義であり、好ましい場合も同じである。Ra12とRa22とは互いに結合して窒素原子を含む環を形成してもよい。形成する環としては、前記一般式(1)におけるRa1およびRa2の場合と同義であり、好ましい場合も同じである。
a32およびRa42は、−CN、−COORa35、−CONRa36a37、−CORa38又は−SO2a39を表す。Ra35〜Ra39は、前記一般式(1−2)におけるRa25〜Ra29と同義であり、好ましい場合も同じである。
【0068】
a62は、水素原子または1価の置換基を表す。Ra62の例としては前記一般式(1)のRa6と同義であり、好ましい場合も同じである。
【0069】
a2は、炭素原子と一緒になって4〜8員環を形成するのに必要な原子群を表す。例えば、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、シクロヘプテン環、ピロリン環、イミダゾリン環、オキサゾリン環、チアゾリン環、オキソール環、アジン環、オキサジン環、ジアジン環などが挙げられる。これらの環は1価の置換基を有していてもよく、上述の1価の置換基が例として挙げられる。また、芳香環などと共に縮環構造を形成してもよい。
【0070】
前記一般式(1−3)で表される紫外線吸収剤において、Ra32が−CN、−COORa35又は−SO2a39から選ばれる置換基であり、Ra42が−CN、−COORa35又は−SO2a39から選ばれる置換基であることがより好ましい。但し、Ra32とRa42が、同時に−COORa35である場合と、−CNと−COORa35の組み合わせである場合とを含まない。
また、前記一般式(1−3)で表される紫外線吸収剤において、Ra12およびRa22の少なくとも一方はアリル基、ヒドロキシエチル基、ベンジル基からなる群から選ばれる置換基であることがより好ましい。特にRa31およびRa32の両方がこれらのうちの同じ置換基である場合が好ましい。
【0071】
前記一般式(1)、(1−2)又は(1−3)のいずれかで表される紫外線吸収剤は、公知の特許公報や文献、例えば、特開昭51-56620号公報の6ページ上段右1行目〜8ページ上段右15行目、特開昭53-128333号公報の8ページ左1行目〜右3行目、特開昭62-56957号公報の8ページ上段右10行目〜下段右5行目、特公平1-53455号公報の10ページ20列19行目〜11ページ22列4行目、特開平4-257486号公報の10ページ上段左6行目〜18行目、特表2005-538072号公報の66ページ段落番号0115〜0117、J.Am.Chem.Soc.,1953,75,1247の実験項などを参考にして合成することができる。
【0072】
以下に、本発明で用いられる一般式(1)、(1−2)又は(1−3)のいずれかで表される紫外線吸収剤の具体例を以下に示すが、本発明はこれに限定されない。
【0073】
【化7】

【0074】
【化8】

【0075】
【化9】

【0076】
【化10】

【0077】
【化11】

【0078】
【化12】

【0079】
本発明に用いられる前記一般式(1)、(1−2)又は(1−3)のいずれかで表される紫外線吸収剤は、構造とその置かれた環境によって互変異性体を取り得る。本明細書においては代表的な形の一つで記述しているが、本明細書の記述と異なる互変異性体も本発明に用いられる化合物に含まれる。
【0080】
本発明に用いられる前記一般式(1)、(1−2)又は(1−3)のいずれかで表される紫外線吸収剤は、同位元素(例えば、2H、3H、13C、15N、17O、18Oなど)を含有していてもよい。
【0081】
前記一般式(1)、(1−2)又は(1−3)のいずれかで表される紫外線吸収剤の構造を紫外線吸収性基として繰り返し単位内に含むポリマーも、本発明に好適に使用できる。以下に、前記一般式(1)、(1−2)又は(1−3)のいずれかで表される紫外線吸収剤の構造を含む繰り返し単位の例を示す。
【0082】
【化13】

【0083】
上記の繰り返し単位からなるホモポリマーであってもよいし、2種類以上の繰り返し単位からなるコポリマーであってもよい。さらに他の繰り返し単位を含むコポリマーであってもよい。以下に他の繰り返し単位の例を示す。
【0084】
【化14】

【0085】
なお、紫外線吸収剤構造を繰り返し単位内に含むポリマーについては、特公平1−53455号公報の左39行目〜12ページ右38行目、特開昭61−189530号公報の3ページ上段右8行目〜7ページ目下段左15行目、特開昭62−260152号公報の下段右3行目〜12ページ上段右10行目、特開昭63−53544号公報の上段左1行目〜15ページ下段右19行目、特開昭63−56651号公報の2ページ上段右10行目〜14ページ下段左3行目の各公報および欧州特許27242号明細書の4ページ29行目〜16ページ34行目、国際公開WO2006/009451号パンフレットの3ページ28行目〜26ページ1行目に記載がある。ポリマーを得る方法についてはこれら特許文献の記述を参考にすることができる。
【0086】
本発明における前記一般式(1)、(1−2)又は(1−3)のいずれかで表される紫外線吸収剤Aとしては例示化合物(47)が最も好ましい。
【0087】
本発明の紫外線吸収剤組成物における前記紫外線吸収剤Aの含有量は、5〜85モル%が好ましく、20〜70モル%がより好ましい。
【0088】
続いて、本発明に用いられる下記一般式(2−a)又は(2−b)で表される紫外線吸収剤Bについて説明する。
【0089】
【化15】

【0090】
〔前記一般式(2−a)中、X1及びX2は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、スルホン酸基、置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、又は置換もしくは無置換のアミノ基を表す。s1及びs2は、互いに独立して1〜3の整数を表す。〕
【0091】
〔前記一般式(2−b)中、X1は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、スルホン酸基、置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、又は置換もしくは無置換のアミノ基を表し、s1は1〜3の整数を表す。
Lgは2価の置換基または単なる結合を表し、wは0又は1を表す。
tbは1又は2を表し、tbが1のときX3は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、スルホン酸基、置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、又は置換もしくは無置換のアミノ基を表す。tbが2のときX3は2価の置換基を表す。〕
【0092】
(一般式(2−a))
1及びX2は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、スルホン酸基、置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、又は置換もしくは無置換のアミノ基を表す。X1及びX2として好ましくは、水素原子、塩素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数6〜24の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜24のアリールオキシカルボニル基、スルホン酸基、又は炭素数1〜16の置換もしくは無置換のアミノ基である。X1及びX2として特に好ましくは水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルコキシ基、スルホン酸基、又は炭素数1〜16の置換もしくは無置換のアミノ基である。
【0093】
(一般式(2−b))
tbは1又は2であり、wは0又は1であり、s1は1〜3の整数である。
置換基X1は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、スルホン酸基、置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、又は置換もしくは無置換のアミノ基を表す。
【0094】
1として好ましくは、水素原子、塩素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数6〜24の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜24のアリールオキシカルボニル基、スルホン酸基、又は炭素数1〜16の置換もしくは無置換のアミノ基である。X1として特に好ましくは水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルコキシ基、スルホン酸基、又は炭素数1〜16の置換もしくは無置換のアミノ基である。
【0095】
−Lg−は2価の連結基または単なる結合を表し、wは0〜1の整数を表す。wが0の時はX3がLgを介さずに直接ベンゼン環と結合しているとき、即ち−Lg−が単なる結合を表しているときを表す。
2価の連結基−Lg−について説明する。2価の置換基Lgは、下記一般式(b)で表される2価の置換基である。
一般式(b)
−(Lg1)mg1−(Lg2)mg2−(Lg3)mg3−(Lg4)mg4−(Lg5)mg5
【0096】
一般式(b)中、mg1〜mg5は0〜2の整数を表す。
Lg1〜Lg5は各々独立して、−CO−、−O−、−SO2−、−SO−、−NRgL−、置換もしくは無置換の2価のアルキル基、置換もしくは無置換の2価のアルケニル基、又は置換もしくは無置換の2価のアリール基を表す。RgLは水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基を表す。
【0097】
RgLの具体例としては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。アルキル基上およびアリール基上の任意の位置に1価の置換基を有していてもよい。1価の置換基としては上述した1価の置換基の例が挙げられる。RgLとして好ましくは、炭素数3〜20の置換もしくは無置換のアルキル基、又は炭素数6〜14の置換もしくは無置換のアリール基である。より好ましくは炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアルキル基、又は炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリール基である。
【0098】
即ち2価の置換基−Lg−としては、−O−、−O−CO−C24−CO−O−、−O−C48−O−、−O−CO−C36−、−NH−CO−C36−CO−NH−、−NH−CO−C48−、−CH2−、−C24−、−C36−、−C48−、−C510−、−C816−、−C48−CO−O−、−C64−C64−、−NH−SO2−C36−等が好ましい。
【0099】
tbが1のとき、X3は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、スルホン酸基、置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、又は置換もしくは無置換のアミノ基である。
tbが1のとき、X3として好ましくは、水素原子、ヒドロキシル基、塩素原子、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数6〜24の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜24のアリールオキシカルボニル基、スルホン酸基、又は炭素数1〜16の置換もしくは無置換のアミノ基である。
3として特に好ましくは水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルコキシ基、スルホン酸基、又は炭素数1〜16の置換もしくは無置換のアミノ基である。
【0100】
tbが2のときX3は、2価の置換基を表す。
tbが2のとき、X3の具体例としては、上記の2価の置換基−L−の例が挙げられる。tbが2のときX3として好ましくは、−CH2−、−C48−、−O−C48−O−、−O−CO−C24−CO−O−、又は−NH−CO−C36−CO−NH−である。
【0101】
一般式(2−b)において、tbが1のときが特に好ましい。
即ち、一般式(2−b)の好ましい組み合わせとしては、以下のとおりである。
具体的には、tbが1のとき、
1が水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルコキシ基、スルホン酸基、又は炭素数1〜16の置換もしくは無置換のアミノ基であり、
Lgが−O−、−O−CO−C24−CO−O−、−O−C48−O−、−O−CO−C36−、−NH−CO−C36−CO−NH−、−NH−CO−C48−、−CH2−、−C24−、−C36−、−C48−、−C510−、−C816−、−C48−CO−O−、−C64−C64−、もしくは−NH−SO2−C36−、又は単なる結合であり、
3が水素原子、ヒドロキシル基、塩素原子、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数6〜24の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜24のアリールオキシカルボニル基、スルホン酸基、又は炭素数1〜16の置換もしくは無置換のアミノ基である組み合わせが好ましい。
【0102】
tbが2のとき、
1が水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルコキシ基、スルホン酸基、又は炭素数1〜16の置換もしくは無置換のアミノ基であり、
Lgが−O−、−O−CO−C24−CO−O−、−O−C48−O−、−O−CO−C36−、−NH−CO−C36−CO−NH−、−NH−CO−C48−、−CH2−、−C24−、−C36−、−C48−、−C510−、−C816−、−C48−CO−O−、−C64−C64−、もしくは−NH−SO2−C36−、又は単なる結合であり、
3が−CH2−、−C48−、−O−C48−O−、−O−CO−C24−CO−O−、又は−NH−CO−C36−CO−NH−である組み合わせが好ましい。
【0103】
前記一般式(2−a)又は(2−b)で表される紫外線吸収剤Bの代表例としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−デシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノントリヒドレート、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ジエチルアミノ−2’−ヘキシルオキシカルボニルベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、1,4−ビス(4−ベンジルオキシ−3−ヒドロキシフェノキシ)ブタン等を挙げることができる。
【0104】
前記一般式(2−a)又は(2−b)で表される紫外線吸収剤Bとして更に好ましくは、ヘキシル 2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート、2,2’−ヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、1,4−ビス(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)ブタン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルフォニックアシッド、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンである。
【0105】
更に好ましくは、
(B−1) 2,2’−ヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン
(B−2) 2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
(B−3) 2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン
(B−4) 2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン
(B−5) 2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン
(B−6) 1,4−ビス(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)ブタン
であり、更に好ましくは2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンまたは2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンであり、最も好ましくは2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンである。
【0106】
化合物(B−1)は下記に示す構造であり、商品名Uvinul 3049(BASF社製)として市販されている。
化合物(B−2)は下記に示す構造であり、商品名Visorb 110(共同薬品社製)として市販されている。
化合物(B−3)は下記に示す構造であり、商品名Uvinul 3050(BASF社製)として市販されている。
化合物(B−4)は下記に示す構造であり、商品名Uvinul 3000(BASF社製)として市販されている。
化合物(B−5)は以下に示す構造であり、商品名Chimassorb 81(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)として市販されている。
化合物(B−6)は以下に示す構造であり、商品名Seesorb 151(シプロ化成社製)として市販されている。
【0107】
【化16】

【0108】
紫外線吸収剤Bは、320nmにおける吸光度が極大吸収波長における吸光度の30%以上である特徴を有することが好ましい。より好ましくは50%以上である。極大吸収波長における吸光度が30%以下であると、紫外線領域(250nm〜400nm)の間で紫外線吸収剤Aと紫外線吸収剤Bではカバーしきれない波長帯が生じてしまう。また紫外線吸収剤Bの極大吸収波長は350nm以下であることが好ましい。
【0109】
320nmにおける吸光度が極大吸収波長における吸光度の30%以上であり極大吸収波長が350nm以下である紫外線吸収剤Bは、前述のように極大吸収波長が320nm以下の紫外線吸収剤B−(1)、及び極大吸収波長が320nm以上350nm以下の紫外線吸収剤B−(2)の二通りが考えられるがいずれの場合も好ましい。
【0110】
極大吸収波長が320nm以下であり、320nmにおける吸光度が極大吸収波長における吸光度の30%以上である紫外線吸収剤B−(1)は、プラスチック成型品、ポリマーに練りこむ場合等他に短波紫外線を吸収する要素が存在しない場合に用いることが特に好ましい。プラスチック成型品やポリマー練り込みの場合、他に300nm以下の短波紫外線を吸収する要素が存在しないため、短波紫外領域まで効率よく吸収可能な紫外線吸収剤B−(1)を用いることで新たな短波紫外領域領域吸収フィルタを用いずに、プラスチック成型品自身及びその内容物を紫外線から防ぐことが可能となる。また、前記紫外線吸収剤Aを併用することで、ポリマーに対する相溶性及び光堅牢性が改善されるという予想外の効果が得られる。
【0111】
極大吸収波長が320nm以上350nm以下であり、320nmにおける吸光度が極大吸収波長における吸光度の30%以上である紫外線吸収剤B−(2)はガラス上のフィルム、ポリマーに溶解させて基板に塗布する場合等、他に短波紫外線を吸収する要素が存在する場合に用いることが特に好ましい。紫外線吸収剤B−(2)を用いる場合は320nm付近の遮蔽能力に優れるが、300nm以下の短波紫外領域を効率よく吸収することは可能であるが、困難な場合がある。そのため、短波側を遮蔽するフィルタの役割を果たすポリマー、ガラス基板の上に塗布して使用することが好ましい。また、前記紫外線吸収剤Aを併用することで、溶剤塗布系で塗布膜を用いる際の溶媒(酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン等)に対する溶解性及び光堅牢性が改善されるという予想外の効果が得られる。
【0112】
本発明の紫外線吸収剤組成物における前記紫外線吸収剤Bの含有量は、15〜95モル%が好ましく、30〜80モル%がより好ましい。
【0113】
続いて、本発明に用いられる化合物Cについて詳細に説明する。
本発明に用いられる化合物Cは、一重項酸素捕獲剤、酸化防止剤およびラジカルトラップ剤から選択される少なくとも1種である。本明細書において、用語『一重項酸素捕獲剤』とは、一重項酸素を捕獲する化合物あるいは組成物を意味し、例えば以下の公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用することができる。その具体例としては、特開昭58−175693号、同59−81194号、同60−18387号、同60−19586号、同60−19587号、同60−35054号、同60−36190号、同60−36191号、同60−44554号、同60−44555号、同60−44389号、同60−44390号、同60−54892号、同60−47069号、同63−209995号、特開平4−25492号、特公平1−38680号、及び同6−26028号等の各公報、ドイツ特許350399号明細書、そして日本化学会誌1992年10月号第1141頁などに記載のものを挙げることができる。
本明細書において、用語『酸化防止剤』とは、酸化を防止する化合物あるいは組成物を意味し、例えば技術情報協会編『高分子材料の劣化・変色メカニズムとその安定化技術−ノウハウ−集』(2006年,技術情報協会)42ページから71ページに記載のものなどを使用することができる。
本明細書において用語『ラジカルトラップ剤』とは、種々のラジカルを捕獲する化合物あるいは組成物を意味し、例えば技術情報協会編『最新添加剤全集〜機能性付与のための最適配合・評価〜』(2006年,技術情報協会)23ページから37ページに記載のものなどを使用することができる。
このような化合物Cとしては、例えばSeesorb 612 NH(シプロ(株)製)、Irgastab 2002(チバガイギー(株)製)等の有機ニッケル系化合物、Tinuvin 744(チバガイギー(株)製)等のヒンダードアミン系化合物、Irganox 1076(チバガイギー(株)製)等のフェノール系化合物、Sumilizer 9A(住友化学(株)製)等のアミン系化合物、Sumilizer TPM(住友化学(株)製)等のイオウ系化合物、Sumilizer TPPR(住友化学(株)製)等のリン系化合物等が挙げられる(いずれも商品名)。本発明の組成物はこれらのうち少なくとも1種を含有する。
【0114】
本発明の組成物における化合物Cの含有量は、紫外線吸収剤Aのモル数と紫外線吸収剤Bのモル数との総和に対する化合物Cのモル数の合計の比が0.01〜10が好ましく、更に好ましくは0.02〜7であり、更に好ましくは0.02〜5であり、更に好ましくは0.02〜2である。
【0115】
化合物Cとしては、下記一般式(3−a)又は(3−b)で表される化合物が好ましく、下記一般式(3−b)で表される化合物が特に好ましい。次に、下記一般式(3−a)又は(3−b)で表される化合物について詳細に説明する。
【化17】

【0116】
〔前記一般式(3−a)中、R11は水素原子、脂肪族基、芳香族基、炭素原子で結合する複素環素または加水分解可能な保護基を表し、R12、R13、R14、R15およびR16は各々独立に水素原子または置換基を表し、R11とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R15とR16およびR16とR11は互いに結合して環を形成してもよい。
前記一般式(3−b)中、R21は水素原子、脂肪族基、アシル基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシラジカル基またはヒドロキシル基を表し、Qは5員、6員または7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、R22、R23、R24およびR25は各々独立に水素原子、脂肪族基、芳香族基または炭素原子で結合する複素環基を表し、R21とR22、R22とR23、R24とR25およびR21とR24は互いに結合して環を形成してもよい。〕
【0117】
前記一般式(3−a)中、R11で表される加水分解可能な保護基とは、シリル基、リン酸エステル基または下記一般式(4)で表される基である。
【0118】
一般式(4)
111−Y111−Z111
〔式中、R111は脂肪族基、芳香族基または炭素原子で結合する複素環基を表し、Y111は単結合、−O−、−S−、−N(R112)−、−C−およびこれらの結合したものを表す。ここでR112は水素原子、脂肪族基、芳香族基、炭素原子で結合する複素環基、アシル基またはスルホニル基を表す。Z111は−CO−又は−SO2−を表す。〕
【0119】
11として好ましくは水素原子、炭素数1〜20の脂肪族基、炭素数6〜20の芳香族基、炭素数2〜20の炭素原子で結合する複素環基、又は炭素数1〜20の加水分解可能な保護基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数1〜10の加水分解可能な保護基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜8の脂肪族基、炭素数1〜10のシリル基、炭素数1〜10のリン酸エステル基、炭素数1〜10のカルボニル基で連結する加水分解可能な保護基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜4の脂肪族基、炭素数3〜6のシリル基、炭素数2〜8のリン酸エステル基、炭素数1〜8のカルボニル基で連結する加水分解可能な保護基であり、更に好ましくは水素原子、トリメチルシリル基、ジメチルまたはジエチルリン酸エステル基、ベンゾイルまたはアセチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
【0120】
12、R13、R14、R15およびR16として好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基またはシリル基であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイルオキシ基、アルキルチオ基であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アシルアミノ基であり、最も好ましくは水素原子またはアルキル基である。またR12およびR16の一方または両方が3級アルキル基であることが好ましい。
【0121】
前記一般式(3−b)中、R21は、好ましくは水素原子、炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数2〜10のアシル基、オキシラジカルまたはヒドロキシル基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数2〜7のアシル基、オキシラジカルまたはヒドロキシル基であり、更に好ましくは水素原子、アセチル基、オキシラジカルまたはヒドロキシル基であり、最も好ましくは水素原子である。R22、R23、R24およびR25として好ましくは水素原子または炭素数1〜10の脂肪族基であり、更に好ましくは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、更に好ましくは水素原子または炭素数1〜2のアルキル基であり、最も好ましくはR22〜R25全てがメチル基である場合である。Qとして好ましくは炭素原子、水素原子、酸素原子、イオウ原子、窒素原子から構成される5〜7員環を形成する場合であり、更に好ましくは炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子から構成される5〜7員環を形成する場合であり、更に好ましくは炭素原子、水素原子、窒素原子から構成される5〜7員環を形成する場合であり、最も好ましくはピペリジン環を形成する場合である。
【0122】
以下に前記一般式(3−a)又は(3−b)で表される化合物Cの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0123】
【化18】

【0124】
【化19】

【0125】
【化20】

【0126】
【化21】

【0127】
【化22】

【0128】
本発明では、これらのうち、好ましくは例示化合物(C−48)又は(C−52)であり、最も好ましくは例示化合物(C−48)である。
【0129】
前記一般式(3−a)又は(3−b)で表される化合物の合成法は、英国特許第1,326,889号明細書、同第1,354,313号明細書、同第1,410,846号明細書、米国特許第3,336,135号明細書、同第4,268,593号明細書、同第4,558,131号明細書、同第4,584,265号明細書、特公昭51−1420号公報、同52−6523号公報、特開昭58−114036号公報、同59−5246号公報、同61−73152号公報、同61−86750号公報、同61−90155号公報、同61−90156号公報、同61−172246号公報等に記載されている方法、もしくはそれに準ずる方法で合成することができる。
【0130】
本発明に用いられる紫外線吸収剤A及びB並びに化合物Cは、それぞれ単独で存在していてもよいが、あらかじめあるいは組成物中で結合を形成することで、互いに連結していてもよい。また、それぞれ重合性基を結合させることでモノマーとし、これを重合させることで紫外線吸収剤A及びB並びに化合物Cを単位構造に含む共重合体となってもよい。紫外線吸収剤A及びB並びに化合物Cが結合していない別のモノマーを併用して共重合体となってもよい。好ましくは、それぞれ単量体として組成物になっていたものが、所望の時に重合を行って共重合体を形成する場合である。
【0131】
本発明の紫外線吸収剤組成物は、いずれの形態のものであってもよい。例えば、液体分散物、溶液、高分子材料などが挙げられる。また、本発明の紫外線吸収剤組成物は、前記紫外線吸収剤A及びB並びに化合物Cの他に、目的に応じてその他の成分として適宜任意の化合物を含有することができる。
【0132】
本発明の紫外線吸収剤組成物は、分散媒体に分散された分散物の状態が好適である。以下、本発明の紫外線吸収剤分散物について説明する。
本発明の紫外線吸収剤組成物を分散する媒体はいずれのものであってもよい。例えば、水、有機溶剤、樹脂、樹脂の溶液などが挙げられる。これらを単独で用いてもよいし、組み合わせて使用してもよい。
【0133】
本発明に用いられる分散媒体の有機溶剤としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタンなどの炭化水素系、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテルなどのエーテル系、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、メチルエチルケトンなどのケトン系、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのアミン系、酢酸、プロピオン酸などのカルボン酸系、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン系、テトラヒドロフラン、ピリジンなどのヘテロ環系、などが挙げられる。これらを任意の割合で組み合わせて使用することもできる。
【0134】
本発明に用いられる分散媒体の樹脂としては、従来公知の各種成形体、シート、フィルム等の製造に従来から使用されている熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリロニトリル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体、エチレン−ビニルアルコール系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、液晶ポリエステル樹脂(LCP)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリカーボネート樹脂、およびポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)等が挙げられ、これらは一種または二種以上のポリマーブレンドあるいはポリマーアロイとして使用される。また、これらの樹脂は、ナチュラル樹脂にガラス繊維、炭素繊維、半炭化繊維、セルロース系繊維、ガラスビーズ等のフィラーや難燃剤等を含有させた熱可塑性成形材料としても使用される。また、必要に応じて従来使用されている樹脂用の添加剤、例えば、ポリオレフィン系樹脂微粉末、ポリオレフィン系ワックス、エチレンビスアマイド系ワックス、金属石鹸等を単独であるいは組み合わせて使用することもできる。
【0135】
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられ、これらはナチュラル樹脂のほかガラス繊維、炭素繊維、半炭化繊維、セルロース系繊維、ガラスビーズ等のフィラーや難燃剤を含有させた熱硬化性成形材料としても使用することができる。
【0136】
本発明の紫外線吸収剤分散物には、分散剤、泡防止剤、保存剤、凍結防止剤、界面活性剤などを合わせて用いることもできる。その他に任意の化合物を合わせて含んでいてもよい。例えば、染料、顔料、赤外線吸収剤、香料、重合性化合物、ポリマー、無機物、金属などが挙げられる。
【0137】
本発明の紫外線吸収剤分散物を得るための装置として、大きな剪断力を有する高速攪拌型分散機、高強度の超音波エネルギーを与える分散機などを使用できる。具体的には、コロイドミル、ホモジナイザー、毛細管式乳化装置、液体サイレン、電磁歪式超音波発生機、ポールマン笛を有する乳化装置などがある。本発明で使用するのに好ましい高速攪拌型分散機は、ディゾルバー、ポリトロン、ホモミキサー、ホモブレンダー、ケデイーミル、ジェットアジターなど、分散作用する要部が液中で高速回転(500〜15,000rpm。好ましくは2,000〜4,000rpm)するタイプの分散機である。本発明で使用する高速攪拌型分散機は、ディゾルバーないしは高速インペラー分散機とも呼ばれ、特開昭55−129136号公報にも記載されているように、高速で回転する軸に鋸歯状のプレートを交互に上下方向に折り曲げたインペラーを着装して成るものも好ましい一例である。
【0138】
疎水性化合物を含む乳化分散物を調製する際には、種々のプロセスに従うことができる。例えば、疎水性化合物を有機溶媒に溶解するときは、高沸点有機物質、水非混和性低沸点有機溶媒または水混和性有機溶媒の中から任意に選択された一種、又は二種以上の任意の複数成分混和物に溶解し、次いで界面活性化合物の存在化で、水中あるいは親水性コロイド水溶液中に分散せしめる。疎水性化合物を含む水不溶性相と水性相との混合方法としては、攪拌下に水性相中に水不溶性相を加えるいわゆる順混合法でも、その逆の逆混合法でもよい。
【0139】
本発明の紫外線吸収剤分散物中における前記紫外線吸収剤組成物の含有量は、使用目的と使用形態によって異なるため一義的に定めることはできないが、使用する目的に応じて任意の濃度であってよい。好ましくは紫外線吸収剤分散物の全量に対して0.001〜50質量%であり、より好ましくは0.01〜20質量%である。
【0140】
また、本発明の紫外線吸収剤組成物は、液体状の媒体に溶解された溶液の状態が好適である。以下、本発明の紫外線吸収剤溶液について説明する。
本発明の紫外線吸収剤組成物を溶解する液体はいずれのものであってもよい。例えば、水、有機溶剤、樹脂、樹脂の溶液などが挙げられる。有機溶剤、樹脂、樹脂の溶液の例としては、上述の分散媒体として記載したものが挙げられる。これらを単独で用いてもよいし、組み合わせて使用してもよい。
【0141】
本発明の紫外線吸収剤組成物の溶液は、その他に任意の化合物を合わせて含んでいてもよい。例えば、染料、顔料、赤外線吸収剤、香料、重合性化合物、ポリマー、無機物、金属などが挙げられる。本発明の紫外線吸収剤組成物以外は必ずしも溶解していなくてもよい。
【0142】
本発明の紫外線吸収剤溶液における前記紫外線吸収剤組成物の含有量は、使用目的と使用形態によって異なるため一義的に定めることはできないが、使用する目的に応じて任意の濃度であってよい。好ましくは溶液の全量に対して0.001〜50質量%である。本発明の紫外線吸収剤A及び紫外線吸収剤Bはいずれも溶解性の高い化合物であるため、10質量%〜50質量%などの濃い濃度においても使用可能である。
あらかじめ高濃度で溶液を作製しておき、所望の時に希釈して使用することもできる。希釈溶媒としては上述の溶媒から任意に選択できる。
【0143】
本発明の高分子材料の調製には、その高分子組成物が用いられる。本発明に用いられる高分子組成物は、後述する高分子物質に本発明の紫外線吸収剤組成物を添加してなる。
本発明の紫外線吸収剤組成物は、様々な方法で高分子物質に含有させることができる。本発明の紫外線吸収剤組成物が高分子物質との相溶性を有する場合は、本発明の紫外線吸収剤組成物を高分子物質に直接添加することができる。高分子物質との相溶性を有する補助溶媒に、本発明の紫外線吸収剤組成物を溶解し、その溶液を高分子物質に添加してもよい。本発明の紫外線吸収剤組成物を高沸点有機溶媒やポリマー中に分散し、その分散物を高分子物質に添加してもよい。
【0144】
高沸点有機溶媒の沸点は、180℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがさらに好ましい。高沸点有機溶媒の融点は、150℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがさらに好ましい。高沸点有機溶媒の例には、リン酸エステル、ホスホン酸エステル、安息香酸エステル、フタル酸エステル、脂肪酸エステル、炭酸エステル、アミド、エーテル、ハロゲン化炭化水素、アルコールおよびパラフィンが含まれる。リン酸エステル、ホスホン酸エステル、フタル酸エステル、安息香酸エステルおよび脂肪酸エステルが好ましい。
本発明の紫外線吸収剤組成物の添加方法については、特開昭58−209735号、同63−264748号、特開平4−191851号、同8−272058号の各公報および英国特許第2016017A号明細書を参考にできる。
【0145】
本発明の紫外線吸収剤溶液における前記紫外線吸収剤組成物の含有量は、使用目的と使用形態によって異なるため一義的に定めることはできないが、使用する目的に応じて任意の濃度であってよい。好ましくは高分子材料中0.001〜10質量%であり、より好ましくは0.01〜5質量%である。
【0146】
また、本発明の紫外線吸収剤組成物は、高分子材料に好ましく用いられる。以下、本発明の高分子材料について説明する。
本発明においては、本発明の紫外線吸収剤組成物のみで実用的には十分な紫外線遮蔽効果が得られるものの、更に厳密を要求する場合には隠蔽力の強い白色顔料、例えば酸化チタンなどを併用してもよい。また、外観、色調が問題となる時、あるいは好みによって微量(0.05質量%以下)の着色剤を併用することができる。また、透明あるいは白色であることが重要である用途に対しては蛍光増白剤を併用してもよい。蛍光増白剤としては市販のものや特開2002−53824号公報記載の一般式[1]や具体的化合物例1〜35などが挙げられる。
【0147】
前記高分子組成物に用いられる高分子物質について説明する。高分子物質としては、天然又は合成ポリマーもしくはコポリマーである。例えば以下のものが挙げられる。
<1> モノオレフィン及びジオレフィンのポリマー、例えばポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテ−1−エン、ポリ−4−メチルペンテ−1−エン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリイソプレン又はポリブタジエン、並びにシクロオレフィン、例えばシクロペンテン又はノルボルネンのポリマー、ポリエチレン(所望により架橋され得る)、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)、高密度及び高分子量ポリエチレン(HDPE−HMW)、高密度及び超高分子量ポリエチレン(HDPE−UHMW)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、(VLDPE)及び(ULDPE)。
【0148】
ポリオレフィン、すなわち前の段落において例示したモノオレフィンのポリマー、好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンは、異なる方法によりそしてとりわけ以下の方法により調製され得る:
a)ラジカル重合(通常は高圧下において及び高められた温度において)。
b)通常、周期表のIVb、Vb、VIb又はVIII群の金属の一つ又はそれ以上を含む触媒を使用した触媒重合。これらの金属は通常、一つ又はそれ以上の配位子、典型的にはπ−又はσ−配位し得るオキシド、ハロゲン化物、アルコレート、エステル、エーテル、アミン、アルキル、アルケニル及び/又はアリールを有する。これらの金属錯体は遊離形態であるか、又は基材に、典型的には活性化塩化マグネシウム、チタン(III)クロリド、アルミナ又は酸化ケイ素に固定され得る。これらの触媒は、重合媒体中に可溶又は不溶であり得る。該触媒は重合においてそのまま使用され得、又は他の活性化剤、典型的には金属アルキル、金属ヒドリド、金属アルキルハライド、金属アルキルオキシドまたは金属アルキルオキサンであって、該金属が周期表のIa、IIa及び/又はIIIa群の元素であるものが使用されることができる。該活性化剤は、他のエステル、エーテル、アミン又はシリルエーテル基で都合良く変性され得る。これらの触媒系は、通常、フィリップス、スタンダード・オイル・インディアナ、チグラー(−ナッタ)、TNZ(デュポン)、メタロセン又はシングルサイト触媒(SSC)と命名される。
【0149】
<2> 前記<1>項で言及されたポリマーの混合物、例えばポリプロピレンとポリイソブチレン、ポリプロピレンとポリエチレン(例えば、PP/HDPE、PP/LDPE)の混合物、及び異なる型のポリエチレンの混合物(例えば、LDPE/HDPE)。
【0150】
<3> モノオレフィン及びジオレフィンの互いの又は他のビニルモノマーとのコポリマー、例えばエチレン/プロピレンコポリマー、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)及びそれの低密度ポリエチレン(LDPE)との混合物、プロピレン/ブテ−1−エンコポリマー、プロピレン/イソブチレンコポリマー、エチレン/ブテ−1−エンコポリマー、エチレン/ヘキセンコポリマー、エチレン/メチルペンテンコポリマー、エチレン/ヘプテンコポリマー、エチレン/オクテンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキサンコポリマー、エチレン/シクロオレフィンコポリマー(例えば、COC(Cyclo-Olefin Copolymer)のようなエチレン/ノルボルネン)、1−オレフィンが現場で生成されるエチレン/1−オレフィンコポリマー、プロピレン/ブタジエンコポリマー、イソブチレン/イソプレンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキセンコポリマー、エチレン/アルキルアクリレートコポリマー、エチレン/アルキルメタクリレートコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー又はエチレン/アクリル酸コポリマー及びそれらの塩(アイオノマー)、ならびにエチレンとプロピレン及びへキサジエン、ジシクロペンタジエン又はエチリデン−ノルボルネンのようなジエンとのターポリマー;及びそのようなコポリマーの互いの及び1)で上述したポリマーとの混合物、例えばポリプロピレン/エチレン−プロピレンコポリマー、LDPE/エチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)、LDPE/エチレン−アクリル酸コポリマー(EAA)、LLDPE/EVA、LLDPE/EAA及び交互の又はランダムのポリアルキレン/一酸化炭素コポリマー及びそれらの他のポリマー、例えばポリアミドとの混合物。
【0151】
<4> 水素化変性物(例えば粘着付与剤)を含む炭化水素樹脂(例えば炭素原子数5ないし9)及びポリアルキレン及びデンプンの混合物。
【0152】
前記<1>ないし<4>項のホモポリマー及びコポリマーは、シンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミ−アイソタクチック又はアタクチックを含むいずれの立体構造をも有し得;アタクチックポリマーが好ましい。ステレオブロックポリマーもまた含まれる。
【0153】
<5> ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)。
【0154】
<6> スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンの全ての異性体、とりわけp−ビニルトルエン、エチルスチレン、プロピルスチレン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン、及びビニルアントラセンの全ての異性体、及びそれらの混合物を含む芳香族ビニルモノマーから誘導された芳香族ホモポリマー及びコポリマー。ホモポリマー及びコポリマーはシンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミ−アイソタクチック又はアタクチックを含むいずれの立体構造をも有し得;アタクチックポリマーが好ましい。ステレオブロックポリマーもまた含まれる。
【0155】
<6a> エチレン、プロピレン、ジエン、ニトリル、酸、マレイン酸無水物、マレイミド、酢酸ビニル及び塩化ビニル又はそのアクリル誘導体及び混合物から選択される上述された芳香族ビニルモノマー及びコモノマーを含むコポリマー、例えば、スチレン/ブタジエン、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/エチレン(共重合体)、スチレン/アルキルメタクリレート、スチレン/ブタジエン/アルキルアクリレート、スチレン/ブタジエン/アルキルメタクリレート、スチレン/マレイン酸無水物、スチレン/アクリロニトリル/メチルアクリレート;スチレンコポリマー及び他のポリマー、例えばポリアクリレート、ジエンポリマー又はエチレン/プロピレン/ジエンターポリマーの高耐衝撃性の混合物;及びスチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプレン/スチレン、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン又はスチレン/エチレン/プロピレン/スチレンのようなスチレンのブロックコポリマー。
【0156】
<6b> 前記<6>項で言及されたポリマーの水素化から誘導された水素化芳香族ポリマー、とりわけアタクチックポリスチレンを水素化することにより調製され、しばしばポリビニルシクロヘキサン(PVCH)として言及されるポリシクロヘキシルエチレン(PCHE)を含む。
【0157】
<6c> 前記<6a>項で言及されたポリマーの水素化から誘導された水素化芳香族ポリマー。
【0158】
ホモポリマー及びコポリマーはシンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミ−アイソタクチック又はアタクチックを含むいずれの立体構造をも有し得;アタクチックポリマーが好ましい。ステレオブロックポリマーもまた含まれる。
【0159】
<7> スチレン又はα−メチルスチレンのような芳香族ビニルモノマーのグラフトコポリマー、例えばポリブタジエンにスチレン、ポリブタジエン−スチレン又はポリブタジエン−アクリロニトリルコポリマーにスチレン;ポリブタジエンにスチレン及びアクリロニトリル(又はメタクリロニトリル);ポリブタジエンにスチレン、アクリロニトリル及びメチルメタクリレート;ポリブタジエンにスチレン及びマレイン酸無水物;ポリブタジエンにスチレン、アクリロニトリル及びマレイン酸無水物又はマレイミド;ポリブタジエンにスチレン及びマレイミド;ポリブタジエンにスチレン及びアルキルアクリレート又はメタクリレート;エチレン/プロピレン/ジエンターポリマーにスチレン及びアクリロニトリル;ポリアルキルアクリレート又はポリアルキルメタクリレートにスチレン及びアクリロニトリル;アクリレート/ブタジエンコポリマーにスチレン及びアクリロニトリル、並びにそれらの前記<6>項に列挙されたコポリマーとの混合物、例えばABS、SAN、MBS、ASA又はAESポリマーとして既知であるコポリマー混合物。
【0160】
<8> ポリクロロプレン、塩素化ゴム、イソブチレン−イソプレンの塩素化及び臭素化コポリマー(ハロブチルゴム)、塩素化又はスルホ塩素化ポリエチレン、エチレン及び塩素化エチレンのコポリマー、エピクロロヒドリンホモ−及びコポリマー、とりわけハロゲン含有ビニル化合物のポリマー、例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ボリフッ化ビニリデン、ならびに塩化ビニル/塩化ビニリデン、塩化ビニル/酢酸ビニル又は塩化ビニリデン/酢酸ビニルコポリマーのようなそれらのコポリマー、のようなハロゲン含有ポリマー。
【0161】
<9> α,β−不飽和酸及びから誘導されたポリマー、及びポリアクリレート及びポリメタクリレートのようなその誘導体;ブチルアクリレートで耐衝撃改善されたポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド及びポリアクリロニトリル。
【0162】
<10> 前記<9>項で言及されたモノマーの互いの又は他の不飽和モノマーとのコポリマー、例えばアクリロニトリル/ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル/アルキルアクリレートコポリマー、アクリロニトリル/アルコキシアルキルアクリレート又はアクリロニトリル/ビニルハライドコポリマー又はアクリロニトリル/アルキルメタクリレート/ブタジエンターポリマー。
【0163】
<11> 不飽和アルコール及びアミンから誘導されたポリマー又はそれらのアシル誘導体又はアセタール、例えばポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルステアレート、ポリビニルベンゾエート、ポリビニルマレエート、ポリビニルブチラール、ポリアリルフタレート又はポリアリルメラミン;ならびに前記<1>項で言及されたオレフィンとそれらのコポリマー。
【0164】
<12> ポリアルキレングリコール、ボリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドまたはビスグリシジルエーテルとそれらのコポリマーのような環式エーテルのホモポリマー及びコポリマー。
【0165】
<13> ポリオキシメチレン及びコモノマーとしてエチレンオキシドを含むポリオキシメチレンのようなポリアセタール;アクリレートまたはMBSで変性されたポリアセタール。
【0166】
<14> ポリフェニレンオキシド及びスルフィド、及びポリフェニレンオキシドとスチレンポリマー又はポリアミドとの混合物。
【0167】
<15> ジアミシとジカルボン酸から及び/又はアミノカルボン酸又は対応するラクタムから誘導されたポリアミド及びコポリアミド、例えばポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド6/6、6/10、6/9、6/12、4/6、12/12、ポリアミド11、ポリアミド12、m−キシレンジアミン及びアジピン酸から開始した芳香族ポリアミド;へキサメチレンジアミン及びイソフタル酸及び/又はテレフタル酸から及び変性剤としてのエラストマーを用いて又は用いずに調製されたポリアミド、例えばポリ−2,4,4−トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド又はポリ−m−フェニレンイソフタルアミド:及び上述されたポリアミドとポリオレフィン、オレフィンコポリマー、アイオノマー又は化学的に結合されたか又はグラフトされたエラストマーとのブロックコポリマー;又は例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリテトラメチレングリコールのようなポリエーテルとのブロックコポリマー;ならびにEPDM又はABSで変性されたポリアミド又はコポリアミド;及び加工の間に縮合されたポリアミド(RIMポリアミド系)。
【0168】
<16> ポリ尿素、ポリイミド、ポリアミド−イミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリヒダントイン及びポリベンズイミダゾール。
【0169】
<17> ジカルボン酸とジオールから及び/又はヒドロキシカルボン酸又は対応するラクトンから誘導されたポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−ジメチロールシクロヘキサンテレフタレート、ポリアルキレンナフタレート(PAN)及びポリヒドロキシベンゾエート、ならびにヒドロキシル末端ポリエーテルから誘導されたブロックコポリエーテルエステル;及びまたポリカーボネート又はMBSで変性されたポリエステル。米国特許第5,807,932号明細書(2欄、53行)で定義されたようなポリエステル及びポリエステルコポリマーは、参照としてここに組込まれる。
【0170】
<18> ポリカーボネート及びポリエステルカーボネート。
【0171】
<19> ポリケトン。
【0172】
<20> ポリスルホン、ポリエーテルスルホン及びポリエーテルケトン。
【0173】
<21> 一成分としてのアルデヒドと他成分としてのフェノール、尿素及びメラミンとから誘導された架橋ポリマー、例えばフェノール/ホルムアルデヒド樹脂、尿素/ホルムアルデヒド樹脂及びメラミン/ホルムアルデヒド樹脂。
【0174】
<22> 乾性及び非乾性アルキド樹脂。
【0175】
<23> 飽和及び不飽和ジカルボン酸と多価アルコールと架橋剤としてのビニル化合物とから誘導された不飽和ポリエステル樹脂、及び更に低燃性のそのハロゲン含有変性体。
【0176】
<24> 置換アクリレート、例えばエポキシアクリレート、ウレタンアクリレート又はポリエステルアクリレートから誘導された架橋性アクリル樹脂。
【0177】
<25> メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアネート、イソシアヌレート、ポリイソシアネート又はエポキシ樹脂を用いて架橋されたアルキド樹脂、ポリエステル樹脂及びアクリレート樹脂。
【0178】
<26> 脂肪族、脂環式、複素環式又は芳香族グリシジル化合物から誘導された架橋エポキシ樹脂、例えば、促進剤を用いて又は用いずに、無水物又はアミンのような慣例の硬化剤で架橋されている、ビスフェノールA及びビスフェノールFのグリシジルエーテル生成物。
【0179】
<27> 天然ポリマー、例えばセルロース、ゴム、ゼラチン及び化学的に変性されたそれらの同族列の誘導体、例えばセルロースアセテート、セルロースプロピオネート及びセルロースブチレート、又はセルロースエーテル、例えばメチルセルロース;並びにロジン及びそれらの誘導体。
【0180】
<28> 上述のポリマーの配合物(ポリブレンド)、例えばPP/EPDM、ポリアミド/EPDM又はABS、PVC/EVA、PVC/ABS、PVC/MBS、PC/ABS、PBTP/ABS、PC/ASA、PC/PBT、PVC/CPE、PVC/アクリレート、POM/アクリレート、POM/MBS、PPO/HIPS、PPO/PA6.6及びコポリマー、PA/HDPE、PA/PP、PA/PPO、PBT/PC/ABS又はPBT/PET/PC。
【0181】
<29> 純粋なモノマー状化合物又は前記化合物の混合物である天然及び合成有機材料、例えば鉱油、動物及び植物脂肪、油及びワックス、又は合成エステル(例えばフタレート、アジペート、ホスフェート又はトリメリテート)をベースとする油、脂肪及びワックス、及び更に何れかの質量比の合成エステルと鉱油との混合物、代表的には繊維紡糸組成物として使用される混合物、並びに前記材料の水性エマルジョン。
【0182】
<30> 天然又は合成ゴムの水性エマルジョン、例えば天然ラテックス又はカルボキシル化スチレン/ブタジエンコポリマーのラテックス。
【0183】
<31> ポリシロキサン類、例えば、アメリカ合衆国特許第4259467号明細書に記載された軟質、親水性のポリシロキサン、及び、例えば、アメリカ合衆国特許第4355147号明細書に記載された硬質ポリオルガノシロキサン。
【0184】
<32> 不飽和アクリルポリアセトアセテート樹脂と又は不飽和アクリル樹脂と組み合わせたポリケチミン。前記不飽和アクリル樹脂はウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ペンダント不飽和基を持つビニル若しくはアクリルコポリマー、及びアクリル化されたメラミンを包含する。前記ポリケチミンは、酸触媒の存在下で、ポリアミンとケトンから製造される。
【0185】
<33> エチレン性不飽和モノマー又はオリゴマー及び多不飽和脂肪族オリゴマーを含む輻射線硬化性組成物。
【0186】
<34> LSE−4103[商品名、モンサント(Monsanto)社製]のようなエポキシ官能性の共エーテル化された高固形分メラミン樹脂により架橋された光安定化エポキシ樹脂のようなエポキシメラミン樹脂。
【0187】
本発明に用いられる高分子物質は、合成ポリマーである場合が好ましく、ポリオレフィン、アクリル系ポリマー、ポリエステル、ポリカーボネート、セルロースエステルがより好ましい。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン)、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、トリアセチルセルロースが特に好ましい。
本発明に用いられる高分子物質は、熱可塑性樹脂であることが好ましい。
【0188】
本発明の高分子材料は、上記の高分子物質および本発明の紫外線吸収剤組成物に加えて、必要に応じて加工安定剤、老化防止剤、相溶化剤等の任意の添加剤を適宜含有してもよい。
【0189】
本発明の高分子材料は前記高分子物質を用いてなる。本発明の高分子材料は、前記高分子物質のみから形成されたものでもよく、また、前記高分子物質を任意の溶媒に溶解して形成されたものでもよい。
本発明の高分子材料は、合成樹脂が使用される全ての用途に使用可能であるが、特に日光又は紫外線を含む光に晒される可能性のある用途に特に好適に使用できる。具体例としては、例えばガラス代替品とその表面コーティング材、住居、施設、輸送機器等の窓ガラス、採光ガラス及び光源保護ガラス用のコーティング材、住居、施設、輸送機器等の内外装材及び内外装用塗料、蛍光灯、水銀灯等の紫外線を発する光源用部材、精密機械、電子電気機器用部材、各種ディスプレイから発生する電磁波等の遮断用材、食品、化学品、薬品等の容器又は包装材、農工業用シート又はフィルム材、印刷物、染色物、染顔料等の退色防止剤、日焼け止めクリーム、シャンプー、リンス、整髪料等の化粧品、スポーツウェア、ストッキング、帽子等の衣料用繊維製品及び繊維、カーテン、絨毯、壁紙等の家庭用内装品、プラスチックレンズ、コンタクトレンズ、義眼等の医療用器具、光学フィルタ、プリズム、鏡、写真材料等の光学用品、テープ、インク等の文房具、標示板、標示器等とその表面コーティング材等を挙げることができる。
【0190】
本発明の高分子材料の形状としては、平膜状、粉状、球状粒子、破砕粒子、塊状連続体、繊維状、管状、中空糸状、粒状、板状、多孔質状などのいずれの形状であってもよい。
【0191】
本発明の高分子材料は、本発明の紫外線吸収剤組成物を含有しているため、優れた耐光性(紫外光堅牢性)を有しており、紫外線吸収剤の析出や長期使用によるブリードアウトが生じることがない。また、本発明の高分子材料は、優れた長波紫外線吸収能を有するので、紫外線吸収フィルタや容器として用いることができ、紫外線に弱い化合物などを保護することもできる。例えば、前記高分子物質を押出成形又は射出成形などの任意の方法により成形することで、本発明の高分子材料からなる成形品(容器等)を得ることができる。また、別途作製した成形品に前記高分子物質の溶液を塗布・乾燥することで、本発明の高分子材料からなる紫外線吸収膜がコーティングされた成形品を得ることもできる。
【0192】
本発明の高分子材料を紫外線吸収フィルタや紫外線吸収膜として用いる場合、高分子物質は透明であることが好ましい。透明高分子材料の例としては、セルロースエステル(例、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリスチレン(例、シンジオタクチックポリスチレン)、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン)、ポリメチルメタクリレート、シンジオタクチックポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミドおよびポリオキシエチレンなどが挙げられる。好ましくはセルロースエステル、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリオレフィン、アクリル樹脂である。本発明の高分子材料は透明支持体として用いることもでき、透明支持体の透過率は80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。
【0193】
本発明の紫外線吸収剤組成物を含む包装材料について説明する。本発明の紫外線吸収剤組成物を含む包装材料は、前記の紫外線吸収剤A及びB並びに化合物Cを含むものであればいずれの種類の高分子から成る包装材料であってもよい。例えば、特開平8-208765号公報に記載の熱可塑性樹脂、特開平8-151455号公報に記載のポリビニルアルコール、特開平8-245849号公報に記載のポリ塩化ビニル、特開平10-168292号公報、特開2004-285189号公報に記載のポリエステル、特開2001-323082号公報に記載の熱収縮性ポリエステル、特開平10-298397号公報に記載のスチレン系樹脂、特開平11-315175号公報、特開2001-26081号公報、特開2005-305745号公報に記載のポリオレフィン、特表2003-524019号公報に記載のROMPなどが挙げられる。例えば特開2004-50460号公報、特開2004-243674号公報に記載の無機物の蒸着薄膜層を有する樹脂であってもよい。例えば特開2006-240734号公報に記載の紫外線吸収剤を含む樹脂を塗布した紙であってもよい。
【0194】
本発明の紫外線吸収剤組成物を含む包装材料は、食料品、飲料、化粧品、個人ケア用品等いずれのものを包装するものであってもよい。例えば、特開平11-34261号公報、特開2003-237825号公報に記載の食品包装、特開平7-287353号公報に記載の写真感光材料包装、特開2000-56433号公報に記載の写真フィルム包装、特開2005-178832号公報に記載の紫外線硬化型インク用包装、特開2003-200966号公報、特開2006-323339号公報に記載のシュリンクラベルなどが挙げられる。
【0195】
本発明の紫外線吸収剤組成物を含む包装材料は、例えば特開2004-51174号公報に記載の透明包装体であってもよいし、例えば特開2006-224317号公報に記載の遮光性包装体であってもよい。
【0196】
本発明の紫外線吸収剤組成物を含む包装材料は、例えば特開2001-26081号公報、特開2005-305745号公報に記載のように紫外線遮蔽性を有するだけでなく、他の性能を合わせて持っていても良い。例えば特開2002-160321号公報に記載のガスバリヤー性を合わせて有するものや、例えば特開2005-156220号公報に記載の酸素インジケータを内包するものや、例えば特開2005-146278号公報に記載の紫外線吸収剤と蛍光増白剤を組み合わせるものなどが挙げられる。
【0197】
本発明の紫外線吸収剤組成物を含む包装材料は、いずれの方法を用いて製造してもよい。例えば特開2001-323082号公報、特開2005-305745号公報に記載の紫外線吸収剤を含有した樹脂を溶融押出し積層する方法、例えば特開平9-157626号公報に記載の接着剤に紫外線吸収剤を分散する方法などが挙げられる。
【0198】
本発明の紫外線吸収剤組成物を含む容器について説明する。本発明の紫外線吸収剤組成物を含む容器は、前記の紫外線吸収剤A及びB並びに化合物Cを含むものであればいずれの種類の高分子から成る容器であってもよい。例えば、特開平8-324572号公報に記載の熱可塑性樹脂容器、特開2001-48153号公報、特開2005-105004号公報、特開2006-1568号公報に記載のポリエステル製容器、特開2000-238857号公報に記載のポリエチレンナフタレート製容器、特開2001-88815号公報に記載のポリエチレン製容器、特開平7-216152号公報に記載の環状オレフィン系樹脂組成物製容器、特開2001-270531号公報に記載のプラスチック容器、特開2004-83858号公報に記載の透明ポリアミド容器などが挙げられる。例えば特開2001-114262号公報、特開2001-213427号公報に記載の樹脂を含む紙容器であってもよい。例えば特開平7-242444号公報、特開平8-133787号公報、特開2005-320408号公報に記載の紫外線吸収層を有するガラス容器であってもよい。
【0199】
本発明の紫外線吸収剤組成物を含む容器の用途は食料品、飲料、化粧品、個人ケア用品、シャンプー等いずれのものを入れるものであってもよい。例えば特開平5-139434号公報に記載の液体燃料貯蔵容器、特開平7-289665号公報に記載のゴルフボール容器、特開平9-295664号公報、特開2003-237825号公報に記載の食品用容器、特開平9-58687号公報に記載の酒用容器、特開平8-324572号公報、特開2006-298456号公報に記載の飲料容器、特開平9-86570号公報に記載の油性食品用容器、特開平9-113494号公報に記載の分析試薬用溶液容器、特開平9-239910号公報に記載の即席麺容器、特開平11-180474号公報、特開2002-68322号公報、特開2005-278678号公報に記載の耐光性化粧料容器、特開平11-290420号公報に記載の高純度薬品液用容器、特開2001-106218号公報に記載の液剤用容器、特開2005-178832号公報に記載の紫外線硬化型インク用容器、WO04/93775号パンフレットに記載のプラスチックアンプルなどが挙げられる。
【0200】
本発明の紫外線吸収剤組成物を含む容器は、例えば特開平5-305975号公報、特開平7-40954号公報に記載のように紫外線遮断性を有するだけでなく、他の性能を合わせて持っていてもよい。例えば特開平10-237312号公報に記載の抗菌性容器、特開2000-152974号公報に記載の可撓性容器、特開2002-264979号公報に記載のディスペンサー容器、例えば特開2005-255736号公報に記載の生分解性容器などが挙げられる。
【0201】
本発明の紫外線吸収剤組成物を含む容器はいずれの方法を用いて製造してもよい。例えば特開2002-370723号公報に記載の二層延伸ブロー成形による方法、特開2001-88815号公報に記載の多層共押出ブロー成形方法、特開平9-241407号公報に記載の容器の外側に紫外線吸収層を形成させる方法、特開平8-91385号公報、特開平9-48935号公報、特表平11-514387号公報、特開2000-66603号公報、特開2001-323082号公報、特開2005-105032号公報、WO99/29490号パンフレットに記載の収縮性フィルムを用いた方法、特開平11-255925号公報に記載の超臨界流体を用いる方法などが挙げられる。
【0202】
本発明の紫外線吸収剤組成物を含む塗料および塗膜について説明する。本発明の紫外線吸収剤組成物を含む塗料は、前記の紫外線吸収剤A及びB並びに化合物Cを含むものであればいずれの成分からなる塗料であってもよい。例えば、アクリル樹脂系、アミノアルキッド樹脂系、エポキシ樹脂系、シリコーン樹脂系、フッ素樹脂系などが挙げられる。これらの樹脂は主剤、硬化剤、希釈剤、レベリング剤、はじき防止剤などを任意に配合することができる。
【0203】
例えば、透明樹脂成分としてシリコンアクリル樹脂を選んだ場合には、硬化剤としてポリイソシアネートなどを、希釈剤としてトルエン、キシレンなどの炭化水素系溶剤、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、酢酸アミルなどのエステル系溶剤、イソプロピルアルコール、ブチルアルコールなどのアルコール系を用いることができる。なおこの場合のポリイソシアネートとはトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。透明樹脂成分としては、他にも例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチルスチレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等が挙げられる。更にこれら成分に加えアクリル樹脂、シリコーン樹脂などのレベリング剤、シリコーン系、アクリル系等のはじき防止剤等を必要に応じて配合することができる。
【0204】
本発明の紫外線吸収剤組成物を含む塗料の使用目的としてはいずれの用途であってもよい。例えば特開平7-26177号公報、特開平9-169950号公報、特開平9-221631号公報、特開2002-80788号公報に記載の紫外線遮蔽塗料、特開平10-88039号公報に記載の紫外線・近赤外線遮断塗料、特開2001-55541号公報に記載の電磁波遮蔽用塗料、特開平8-81643号公報に記載のクリアー塗料、特開2000-186234号公報に記載のメタリック塗料組成物、特開平7-166112号公報に記載のカチオン電着塗料、特開2002-294165号公報に記載の抗菌性および無鉛性カチオン電着塗料、特開2000-273362号公報、特開2001-279189号公報、特開2002-271227号公報に記載の粉体塗料、特開2001-9357号公報に記載の水性中塗り塗料、水性メタリック塗料、水性クリヤー塗料、特開2001-316630号公報に記載の自動車、建築物、土木系品に用いられる上塗り用塗料、特開2002-356655号公報に記載の硬化性塗料、特開2004-937号公報に記載の自動車バンパー等プラスチック材等に使用される塗膜形成組成物、特開2004-2700号公報に記載の金属板用塗料、特開2004-169182号公報に記載の硬化傾斜塗膜、特開2004-107700号公報に記載の電線用塗装材、特開平6-49368号公報に記載の自動車補修塗料、特開2002-38084号公報、特開2005-307161号公報に記載のアニオン電着塗料、特開平5-78606号公報、特開平5-185031号公報、特開平10-140089号公報、特表2000-509082号公報、特表2004-520284号公報、WO2006/097201号パンフレットに記載の自動車用塗料、特開平6-1945号公報に記載の塗装鋼板用塗料、特開平6-313148号公報に記載のステンレス用塗料、特開平7-3189号公報に記載のランプ用防虫塗料、特開平7-82454号公報に記載の紫外線硬化型塗料、特開平7-118576号公報に記載の抗菌性塗料、特開2004-217727号公報に記載の眼精疲労防止用塗料、特開2005-314495号公報に記載の防曇塗料、特開平10-298493号公報に記載の超耐候性塗料、特開平9-241534号公報に記載の傾斜塗料、特開2002-235028号公報に記載の光触媒塗料、特開2000-345109号公報に記載の可剥塗料、特開平6-346022号公報に記載のコンクリート剥離用塗料、特開2002-167545号公報に記載の防食塗料、特開平8-324576号公報に記載の保護塗料、特開平9-12924号公報に記載の撥水性保護塗料、特開平9-157581号公報に記載の板ガラス飛散防止用塗料、特開平9-59539号公報に記載のアルカリ可溶型保護塗料、特開2001-181558号公報に記載の水性一時保護塗料組成物、特開平10-183057号公報に記載の床用塗料、特開2001-115080号公報に記載のエマルション塗料、特開2001-262056号公報に記載の2液型水性塗料、特開平9-263729号公報に記載の1液性塗料、特開2001-288410号公報に記載のUV硬化性塗料、特開2002-69331号公報に記載の電子線硬化型塗料組成物、特開2002-80781号公報に記載の熱硬化性塗料組成物、特表2003-525325号公報に記載の焼付ラッカー用水性塗料、特開2004-162021号公報に記載の粉体塗料およびスラリー塗料、特開2006-233010号公報に記載の補修用塗料、特表平11-514689号公報に記載の粉体塗料水分散物、特開2001-59068号公報、特開2006-160847号公報に記載のプラスチック用塗料、特開2002-69331号公報に記載の電子線硬化型塗料などが挙げられる。
【0205】
本発明の紫外線吸収剤組成物を含む塗料は一般に塗料(透明樹脂成分を主成分として含む)および紫外線吸収剤から構成されるが、好ましくは樹脂を基準に考えて紫外線吸収剤0〜20質量%の組成である。塗布する際の厚さは、好ましくは2〜1000μmであるが、更に好ましくは5〜200μmの間である。これら塗料を塗布する方法は任意であるが、スプレー法、ディッピング法、ローラーコート法、フローコーター法、流し塗り法などがある。塗布後の乾燥は塗料成分によって異なるが概ね室温〜120℃で10〜90分程度行うことが好ましい。
【0206】
本発明の紫外線吸収剤組成物を含む塗膜は、前記の紫外線吸収剤A及びB並びに化合物Cを含む塗膜であり、上記の本発明の紫外線吸収剤組成物を含む塗料を用いて形成された塗膜である。
【0207】
本発明の紫外線吸収剤組成物を含むインクについて説明する。本発明の紫外線吸収剤組成物を含むインクは、前記の紫外線吸収剤A及びB並びに化合物Cを含むものであればいずれの形態のインクであってもよい。例えば、染料インク、顔料インク、水性インク、油性インクなどが挙げられる。また、いずれの用途に用いられてもよい。例えば、特開平8-3502号公報に記載のスクリーン印刷インク、特表2006-521941号公報に記載のフレキソ印刷インク、特表2005-533915号公報に記載のグラビア印刷インク、特表平11-504954号公報に記載の平版オフセット印刷インク、特表2005-533915号公報に記載の凸版印刷インク、特開平5-254277号公報に記載のUVインク、特開2006-30596号公報に記載のEBインクなどが挙げられる。また例えば、特開平11-199808号公報、WO99/67337号パンフレット、特開2005-325150号公報、特開2005-350559号公報、特開2006-8811号公報、特表2006-514130号公報に記載のインクジェットインク、特開2006-257165号公報に記載のフォトクロミックインク、特開平8-108650号公報に記載の熱転写インク、特開2005-23111号公報に記載のマスキングインク、特開2004-75888号公報に記載の蛍光インク、特開平7-164729号公報に記載のセキュリティインク、特開2006-22300号公報に記載のDNAインクなども挙げられる。
【0208】
本発明の紫外線吸収剤組成物を含む繊維について説明する。本発明の紫外線吸収剤組成物を含む繊維は、前記の紫外線吸収剤A及びB並びに化合物Cを含むものであればいずれの種類の高分子から成る繊維であってもよい。例えば、特開平5-117508号公報、特開平7-119036号公報、特開平7-196631号公報、特開平8-188921号公報、特開平10-237760号公報、特開2000-54287号公報、特開2006-299428号公報、特開2006-299438号公報に記載のポリエステル繊維、特開2002-322360号公報、特開2006-265770号公報に記載のポリフェニレンサルファイド繊維、特開平7-76580号公報、特開2001-348785号公報、特開2003-41434号公報、特開2003-239136号公報に記載のポリアミド繊維、WO03/2661号パンフレットに記載のエポキシ繊維、特開平10-251981号公報に記載のアラミド繊維、特開平6-228816号公報に記載のポリウレタン繊維、特表2005-517822号公報に記載のセルロース繊維などが挙げられる。
【0209】
本発明の紫外線吸収剤組成物を含む繊維はいずれの方法で製造してもよい。例えば特開平6-228818号公報に記載のように前記の紫外線吸収剤A及びB並びに化合物Cをあらかじめ含んだ高分子を繊維状に加工してもよいし、例えば特開平5-9870号公報、特開平8-188921号公報、特開平10-1587号公報に記載のように繊維状に加工したものに対して前記の紫外線吸収剤A及びB並びに化合物Cを含む溶液などを用いて処理をおこなってもよい。特開2002-212884号公報、特開2006-16710号公報に記載のように超臨界流体を用いて処理をおこなってもよい。
【0210】
本発明の紫外線吸収剤組成物を含む繊維は各種用途に用いることができる。例えば、特開平5-148703号公報に記載の衣料、特開2004-285516号公報に記載の裏地、特開2004-285517号公報に記載の肌着、特開2003-339503号公報に記載の毛布、特開2004-11062号公報に記載の靴下、特開平11-302982号公報に記載の人工皮革、特開平7-289097号公報に記載の防虫メッシュシート、特開平10-1868号公報に記載の工事用メッシュシート、特開平5-256464号公報に記載のカーペット、特開平5-193037号公報に記載の透湿・防水性シート、特開平6-114991号公報に記載の不織布、特開平11-247028号公報に記載の極細繊維、特開2000-144583号公報に記載の繊維からなるシート状物、特開平5-148703号公報に記載の清涼衣料、特開平5-193037号公報に記載の透湿防水性シート、特開平7-18584号公報に記載の難燃性人工スエード状構造物、特開平8-41785号公報に記載の樹脂ターポリン、特開平8-193136号公報に記載の膜剤、外壁材剤、農業用ハウス、特開平8-269850号公報に記載の建築資材用ネット、メッシュ、特開平8-284063号公報に記載のフィルター基材、特開平9-57889号公報に記載の防汚膜剤、特開平9-137335号公報に記載のメッシュ織物、陸上ネット、特開平10-165045号公報に記載の水中ネット、特開平11-247027号公報、特開平11-247028号公報に記載の極細繊維、特開平7-310283号公報、特表2003-528974号公報に記載の防織繊維、特開2001-30861号公報に記載のエアバッグ用基布、特開平7-324283号公報、特開平8-20579号公報、特開2003-147617号公報に記載の紫外線吸収性繊維製品などが挙げられる。
【0211】
本発明の紫外線吸収剤組成物を含む建材について説明する。本発明の紫外線吸収剤組成物を含む建材は、前記の紫外線吸収剤A及びB並びに化合物Cを含むものであればいずれの種類の高分子から成る建材であってもよい。例えば、特開平10-6451号公報に記載の塩化ビニル系、特開平10-16152号公報に記載のオレフィン系、特開2002-161158号公報に記載のポリエステル系、特開2003-49065号公報に記載のポリフェニレンエーテル系、特開2003-160724号公報に記載のポリカーボネート系などが挙げられる。
【0212】
本発明の紫外線吸収剤組成物を含む建材はいずれの方法で製造してもよい。例えば特開平8-269850号公報に記載のように前記の紫外線吸収剤A及びB並びに化合物Cを含む材料を用いて所望の形に形成してもよいし、例えば特開平10-205056号公報に記載のように前記の紫外線吸収剤A及びB並びに化合物Cを含む材料を積層して形成してもよいし、例えば特開平8-151457号公報に記載のように前記の紫外線吸収剤A及びB並びに化合物Cを用いた被覆層を形成させてもよいし、例えば特開2001-172531号公報に記載のように前記の紫外線吸収剤A及びB並びに化合物Cを含有する塗料を塗装して形成してもよい。
【0213】
本発明の紫外線吸収剤組成物を含む建材は各種用途に用いることができる。例えば、特開平7-3955号公報、特開平8-151457号公報、特開2006-266042号公報に記載の外装用建材、特開平8-197511号公報に記載の建材用木質構造体、特開平9-183159号公報に記載の建材用屋根材、特開平11-236734号公報に記載の抗菌性建築資材、特開平10-205056号公報に記載の建材用基材、特開平11-300880号公報に記載の防汚建材、特開2001-9811号公報に記載の難燃性材料、特開2001-172531号公報に記載の窯業系建材、特開2003-328523号公報に記載の装飾用建材、特開2002-226764号公報に記載の建材用塗装物品、特開平10-6451号公報、特開平10-16152号公報、特開2006-306020号公報に記載の化粧材、特開平8-269850号公報に記載の建築資材用ネット、特開平9-277414号公報に記載の建材用透湿防水シート、特開平10-1868号公報に記載の建築工事用メッシュシート、特開平7-269016号公報に記載の建材用フィルム、特開2003-211538号公報に記載の表装用フィルム、特開平9-239921号公報、特開平9-254345号公報、特開平10-44352号公報に記載の建材用被覆材料、特開平8-73825号公報に記載の建材用接着剤組成物、特開平8-207218号公報に記載の土木建築構造物、特開2003-82608号公報に記載の歩行路用塗装材、特開2001-139700号公報に記載のシート状光硬化性樹脂、特開平5-253559号公報に記載の木材用保護塗装、特開2005-2941780号公報に記載の押釦スイッチ用カバー、特開平9-183159号公報に記載の接合シート剤、特開平10-44352号公報に記載の建材用基材、特開2000-226778号公報に記載の壁紙、特開2003-211538号公報に記載の表装用ポリエステルフィルム、特開2003-211606号公報に記載の成形部材表装用ポリエステルフィルム、特開2004-3191号公報に記載の床材などが挙げられる。
【0214】
本発明の紫外線吸収剤組成物を含む記録媒体について説明する。本発明の紫外線吸収剤組成物を含む記録媒体は、前記の紫外線吸収剤A及びB並びに化合物Cを含むものであればいずれのものであってもよい。例えば、特開平9-309260号公報、特開2002-178625号公報、特開2002-212237号公報、特開2003-266926号公報、特開2003-266927号公報、特開2004-181813号公報に記載のインクジェット被記録媒体、特開平8-108650熱転写インク用受像媒体、特開平10-203033号公報に記載の昇華転写用受像シート、特開2001-249430号公報に記載の画像記録媒体、特開平8-258415号公報に記載の感熱記録媒体、特開平9-95055号公報、特開2003-145949号公報、特開2006-167996号公報に記載の可逆性感熱記録媒体、特開2002-367227号公報に記載の光情報記録媒体などが挙げられる。
【0215】
本発明の紫外線吸収剤組成物を含む画像表示装置について説明する。本発明の紫外線吸収剤組成物を含む画像表示装置は前記の紫外線吸収剤A及びB並びに化合物Cを含むものであればいずれのものであってもよい。例えば、特開2006-301268号公報に記載のエレクトロクロミック素子を用いた画像表示装置、特開2006-293155号公報に記載のいわゆる電子ペーパーと呼ばれる画像表示装置、特開平9-306344号公報に記載のプラズマディスプレー、特開2000-223271号公報に記載の有機EL素子を用いた画像表示装置などが挙げられる。本発明の紫外線吸収剤組成物は、例えば特開2000-223271号公報に記載の積層構造中に紫外線吸収層を形成させるものでもよいし、例えば特開2005-189645号公報に記載の円偏光板など必要な部材中に紫外線吸収剤を含むものを用いてもよい。
【0216】
本発明の紫外線吸収剤組成物を含む太陽電池用カバーについて説明する。本発明における適用する太陽電池は、結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、色素増感太陽電池などいずれの形式の素子からなる太陽電池であってもよい。結晶シリコン太陽電池やアモルファスシリコン太陽電池において、特開2000-174296号公報に記載のように防汚や耐衝撃性、耐久性を付与する保護部材としてカバー材が用いられている。また色素増感太陽電池において、特開2006-282970号公報に記載のように光(特に紫外線)に励起されて活性となる金属酸化物系半導体を電極材料として用いるため、光増感剤として吸着させた色素が劣化し、光発電効率が徐々に低下する問題があり、紫外線吸収層を設けることが提案されている。
【0217】
本発明の紫外線吸収剤組成物を含む太陽電池用カバーはいずれの種類の高分子から成るものであってもよい。例えば特開2006-310461号公報に記載のポリエステル、特開2006-257144号公報に記載の熱硬化性透明樹脂、特開2006-210906号公報に記載のα−オレフィンポリマー、特開2003-168814号公報に記載のポリプロピレン、特開2005-129713号公報に記載のポリエーテルサルホン、特開2004-227843号公報に記載のアクリル樹脂、特開2004-168057号公報に記載の透明フッ素系樹脂等が挙げられる。
【0218】
本発明の紫外線吸収剤組成物を含む太陽電池用カバーはいずれの方法で製造してもよい。例えば特開平11-40833号公報に記載の紫外線吸収層を形成してもよいし、特開2005-129926号公報に記載のそれぞれ紫外線吸収剤を含む層を積層してもよいし、特開2000-91611号公報に記載の充填材層の樹脂に含まれていてもよいし、特開2005-346999号公報に記載の紫外線吸収剤を含む高分子からフィルムを形成してもよい。
【0219】
本発明の紫外線吸収剤組成物を含む太陽電池用カバーはいずれの形状であってもよい。特開2000-91610号公報、特開平11-261085号公報に記載のフィルム、シート、例えば特開平11-40833号公報に記載の積層フィルム、特開平11-214736号公報に記載のカバーガラス構造などが挙げられる。特開2001-261904号公報に記載の封止材に紫外線吸収剤を含むものであってもよい。
【0220】
また、その他使用例としては特開平8-102296号公報、特開2000-67629号公報、特開2005-353554号公報に記載の照明装置用光源カバー、特開平5-272076号公報、特開2003-239181号公報に記載の人工皮革、特開2006-63162号公報に記載のスポーツゴーグル、特開2007-93649号公報に記載の偏向レンズ、特開2001-214121号公報、特開2001-214122号公報、特開2001-315263号公報、特開2003-206422号公報、特開2003-25478号公報、特開2004-137457号公報、特開2005-132999号公報に記載の各種プラスチック製品向けハードコート、特開2002-36441号公報に記載の窓外側貼り付け用ハードコート、特開平10-250004号公報に記載の窓張りフィルム、特開2002-36452号公報に記載の高精細防眩性ハードコートフィルム、特開2003-39607号公報に記載の帯電防止性ハードコートフィルム、特開2004-114355号公報に記載の透過性ハードコートフィルム、特開2002-113937号公報に記載の偽造防止帳表、特開2002-293706号公報に記載の芝の紫斑防止剤、特開2006-274179号公報に記載の樹脂フィルムシート接合用シール剤、特開2005-326761号公報に記載の導光体、特開2006-335855号公報に記載のゴム用コーティング剤、特開平10-34841号公報、特開2002-114879号公報に記載の農業用被覆材、特表2004-532306号公報、特表2004-530024号公報に記載の染色ろうそく、特表2004-525273号公報に記載の布地リンス剤組成物、特開平10-194796号公報に記載の合わせガラス、特開平10-287804号公報に記載のプリズムシート、特開2000-71626号公報に記載の保護層転写シート、特開2001-139700号公報に記載の光硬化性樹脂製品、特開2001-159228号公報に記載の床用シート、特開2002-127310号公報に記載の水滴付着防止性及び熱線遮断性を有するガラス板、特開2002-189415号公報に記載の遮光性印刷ラベル、特開2002-130591号公報に記載の給油カップ、特開2002-307619号公報に記載の硬質塗膜塗工物品、特開2002-307845号公報に記載の中間転写記録媒体、特開2006-316395号公報に記載の人工毛髪、WO99/29490号パンフレット、特開2004-352847号公報に記載のラベル用低温熱収縮性フィルム、特開2000-224942号公報に記載の釣り用品、特開平8-208976号公報に記載のマイクロビーズ、特開平8-318592号公報に記載のプレコート金属板、特開2005-504735号公報に記載の薄肉フィルム、特開2005-105032号公報に記載の熱収縮性フィルム、特開2005-37642号公報に記載のインモールド成形用ラベル、特開2005-55615号公報に記載の投影スクリーン、特開平9-300537号公報、特開2000-25180号公報、特開2003-19776号公報、特開2005-74735号公報に記載の化粧シート、特開2001-207144号公報に記載のホットメルト接着剤、特表2002-543265号公報、特表2002-543266号公報、米国特許第6225384号明細書に記載の接着剤、特開2004-352783号公報に記載の電着コート、ベースコート、特開平7-268253号公報に記載の木材表面保護、特開2003-253265号公報、特開2005-105131号公報、特開2005-300962号公報、特許第3915339号公報に記載の調光材料、調光フィルム、調光ガラス、特開2005-304340号公報に記載の防蛾灯、特開2005-44154号公報に記載のタッチパネル、特開2006-274197号公報に記載の樹脂フィルムシート接合用シール剤、特開2006-89697号公報に記載のポリカーボネートフィルム被覆、特開2000-231044号公報に記載の光ファイバテープ、特表2002-527559号公報に記載の固形ワックスなどが挙げられる。
【0221】
次に、高分子材料の耐光性を評価する方法について説明する。高分子材料の耐光性を評価する方法として、「高分子の光安定化技術」(株式会社シーエムシー,2000年)85ページ〜107ページ、「高機能塗料の基礎と物性」(株式会社シーエムシー,2003年)314ページ〜359ページ、「高分子材料と複合材製品の耐久性」(株式会社シーエムシー,2005年)、「高分子材料の長寿命化と環境対策」(株式会社シーエムシー,2000年)、H.Zweifel編「Plastics Additives Handbook 5th Edition」(Hanser Publishers)238ページ〜244ページ、葛良忠彦著「基礎講座2 プラスチック包装容器の科学」(日本包装学会,2003年)第8章などの記載を参考にできる。
また各々の用途に対する評価としては下記の既知評価法により達成できる。
高分子材料の光による劣化は、JIS-K7105:1981、JIS-K7101:1981、JIS-K7102:1981、JIS-K7219:1998、JIS-K7350-1:1995、JIS-K7350-2:1995、JIS-K7350-3:1996、JIS-K7350-4:1996の方法およびこれを参考にした方法によって評価することができる。
【0222】
包装・容器用途として用いられる場合の耐光性は、JIS-K7105の方法およびこれを参考にした方法によって評価することができる。その具体例としては、特開2006-298456号公報に記載のボトル胴体の光線透過率、透明性評価、キセノン光源を用いた紫外線暴露後のボトル中身の官能試験評価、特開2000-238857号公報に記載のキセノンランプ照射後のヘーズ値評価、特開2006-224317号公報に記載のハロゲンランプ光源としたヘイズ値評価、特開2006-240734号公報に記載の水銀灯暴露後のブルーウールスケールを用いた黄変度評価、特開2005-105004号公報、特開2006-1568号公報に記載のサンシャインウェザーメーターを用いたヘーズ値評価、着色性目視評価、特開平7-40954号公報、特開平8-151455号公報、特開平10-168292号公報、特開2001-323082号公報、特開2005-146278号公報に記載の紫外線透過率評価、特開平9-48935号公報、特開平9-142539号公報に記載の紫外線遮断率評価、特開平9-241407号公報、特開2004-243674号公報、特開2005-320408号公報、特開2005-305745号公報、特開2005-156220号公報に記載の光線透過率評価、特開2005-178832号公報に記載のインク容器内インキの粘度評価、特開2005-278678号公報に記載の光線透過率評価、日光暴露後の容器内サンプル目視、色差ΔE評価、特開2004-51174号公報に記載の白色蛍光灯照射後の紫外線透過率評価、光透過率評価、色差評価、特開2004-285189号公報に記載の光線透過率評価、ヘーズ値評価、色調評価、特開2003-237825号公報に記載の黄色度評価、特開2003-20966号公報に記載の遮光性評価、L*a*b*表色系色差式を用いた白色度評価、特開2002-68322号公報に記載のキセノン光を分光した後の波長ごとの暴露後サンプルにおける色差ΔEa*b*を用いた黄ばみ評価、特開2001-26081号公報に記載の紫外線暴露後、紫外線吸収率評価、特開平10-298397号公報に記載のサンシャインウェザーメーターを用いた暴露後のフィルム引っ張り伸び評価、特開平10-237312号公報に記載のキセノンウェザーメーター暴露後の抗菌性評価、特開平9-239910号公報に記載の蛍光灯照射後の包装内容物褪色性評価、特開平9-86570号公報に記載のサラダ油充填ボトルに対する蛍光灯暴露後の油の過酸化物価評価、色調評価、特開平8-301363号公報に記載のケミカルランプ照射後の吸光度差評価、特開平8-208765号公報に記載のサンシャインウェザーメーターを用いた暴露後の表面光沢度保持率、外観評価、特開平7-216152号公報に記載のサンシャインウェザロメーターを用いた暴露後の色差、曲げ強度評価、特開平5-139434号公報に記載の遮光比評価、灯油中の過酸化物生成量評価などがあげられる。
【0223】
塗料・塗膜用途として用いられる場合の長期耐久性は、JIS-K5400、JIS-K5600-7-5:1999、JIS-K5600-7-6:2002、JIS-K5600-7-7:1999、JIS-K5600-7-8:1999、JIS-K8741の方法およびこれを参考にした方法によって評価することができる。その具体例としては、特表2000-509082号公報に記載のキセノン耐光試験機およびUVCON装置による暴露後の色濃度およびCIE L*a*b*色座標における色差ΔEa*b*、残留光沢を用いた評価、特表2004-520284号公報に記載の石英スライド上フィルムに対するキセノンアーク耐光試験機を用いた暴露後の吸光度評価、ロウにおける蛍光灯、UVランプ暴露後の色濃度およびCIE L*a*b*色座標における色差ΔEa*b*を用いた評価、特開2006-160847号公報に記載のメタルウェザー耐候性試験機を用いた暴露後の色相評価、特開2005-307161号公報に記載のメタルハイドランプを用いた暴露試験後の光沢保持率評価および色差ΔEa*b*を用いた評価、サンシャインカーボンアーク光源を用いた暴露後光沢感の評価、特開2002-69331号公報に記載のメタルウェザー耐候性試験機を用いた暴露後の色差ΔEa*b*を用いた評価、光沢保持率、外観評価、特開2002-38084号公報に記載のサンシャインウェザオメーターを用いた暴露後の光沢保持率評価、特開2001-59068号公報に記載のQUV耐候性試験機を用いた暴露後の色差ΔEa*b*を用いた評価、光沢保持率評価、特開2001-115080号公報、特開平6-49368号公報、特開2001-262056号公報に記載のサンシャインウェザオメーターを用いた暴露後光沢保持率評価、特開平8-324576号公報、特開平9-12924号公報、特開平9-169950号公報、特開平9-241534号公報、特開2001-181558号公報に記載の塗装板に対するサンシャインウェザオメーターを用いた暴露後の外観評価、特開2000-186234号公報に記載のサンシャインウェザオメーターを用いた暴露後の光沢保持率、明度値変化評価、特開平10-298493号公報に記載の塗膜に対するデューサイクルWOM暴露後の塗膜劣化状態の外観評価、特開平7-26177号公報に記載の塗膜の紫外線透過率評価、特開平7-3189号公報、特開平9-263729号公報に記載の塗膜の紫外線遮断率評価、特開平6-1945号公報に記載のサンシャインウェザーオーメーターを用いた塗膜の光沢保持率80%となる時間比較評価、特開平6-313148号公報に記載のデューパネル光コントロールウェザーメーターを用いた暴露後の錆発生評価、特開平6-346022号公報に記載の屋外暴露後の塗装済み型枠に対するコンクリートの強度評価、特開平5-185031号公報に記載の屋外暴露後の色差ΔEa*b*を用いた評価、碁盤目密着評価、表面外観評価、特開平5-78606号公報に記載の屋外暴露後の光沢保持率評価、特開2006-63162号公報に記載のカーボンアーク光源を用いた暴露後の黄変度(ΔYI)評価等があげられる。
【0224】
インク用途として用いられる場合の耐光性は、JIS-K5701-1:2000、JIS-K7360-2、ISO105-B02の方法およびこれを参考にした方法によって評価することができる。具体的には特表2006-514130号公報に記載の事務所用蛍光灯、褪色試験機を用いた暴露後の色濃度およびCIE L*a*b*色座標の測定による評価、特開2006-22300号公報に記載のキセノンアーク光源を用いた紫外線暴露後の電気泳動評価、特開2006-8811号公報に記載のキセノンフェードメーターによる印刷物の濃度評価、特開2005-23111号公報に記載の100Wケミカルランプを用いたインク抜け性評価、特開2005-325150号公報に記載のウェザーメーターによる画像形成部位の色素残存率評価、特開2002-127596号公報に記載のアイスーパーUVテスターを用いた印刷物のチョーキング評価、および変色評価、特開平11-199808号公報、特開平8-108650号公報に記載のキセノンフェードメーター暴露後の印刷物についてCIE L*a*b*色座標における色差ΔEa*b*を用いた評価、特開平7-164729号公報に記載のカーボンアーク光源を用いた暴露後の反射率評価などが挙げられる。
【0225】
太陽電池モジュールの耐光性は、JIS-C8917:1998、JIS-C8938:1995の方法およびこれを参考にした方法によって評価することができる。具体的には、特開2006-282970号公報に記載のキセノンランプに太陽光シミュレーション用補正フィルタを装着した光源による暴露後のI-V測定光発電効率評価、特開平11-261085号公報、特開2000-144583号公報に記載のサンシャインウェザーメーター、フェードメータを用いた暴露後の変褪色グレースケール等級評価、色、外観密着性評価などがあげられる。
【0226】
繊維および繊維製品の耐光性は、JIS-L1096:1999、JIS-A5905:2003、JIS-L0842、JIS-K6730、JIS-K7107、DIN75.202、SAEJ1885、SN-ISO-105-B02、AS/NZS4399の方法およびこれを参考にした方法によって評価することができる。特開平10-1587号公報、特開2006-299428号公報、特開2006-299438号公報に記載の紫外線透過率評価、特開平6-228816号公報、特開平7-76580号公報、特開平8-188921号公報、特開平11-247028号公報、特開平11-247027号公報、特開2000-144583号公報、特開2002-322360号公報、特開2003-339503号公報、特開2004-11062号公報に記載のキセノン光源、カーボンアーク光源を用いた暴露後のブルースケール変褪色評価、特開2003-147617号公報に記載のUVカット率評価、特開2003-41434号公報に記載の紫外線遮断性評価、特開平11-302982号公報に記載のドライクリーニング後のカーボンアーク光源を用いた暴露後ブルースケール変褪色評価、特開平7-119036号公報、特開平10-251981号公報に記載のフェードオメーターを用いた暴露後の明度指数、クロマティクネス指数に基づく色差ΔE*評価、特開平9-57889号公報、特開平9-137335号公報、特開平10-1868号公報、特開平10-237760号公報に記載のUVテスター、サンシャインウェザーメーターを用いた暴露後の引っ張り強度評価、特開平8-41785号公報、特開平8-193136号公報に記載の全透過率評価、強力保持率評価、特表2003-528974号公報、特表2005-517822号公報、特開平8-20579号公報に記載の紫外線保護係数(UPF)評価、特開平6-228818号公報、特開平7-324283号公報、特開平7-196631号公報、特開平7-18584号公報に記載の高温フェードメーターを用いた暴露後の変褪色グレースケール評価、特開平7-289097号公報に記載の屋外暴露後の外観評価、特開平7-289665号公報に記載の紫外線暴露後の黄色度(YI)、黄変度(ΔYI)評価、特表2003-528974号公報に記載の規約反射率評価等があげられる。
【0227】
建材の耐光性は、JIS-A1415:1999の方法およびこれを参考にした方法によって評価することができる。具体的には、特開2006-266402号公報に記載のサンシャインウェザオメーターを用いた暴露後の表面色調評価、特開2004-3191号公報、特開2006-306020号公報に記載のカーボンアーク光源を用いた暴露後の外観評価、アイスーパーUVテスターを用いた暴露後の外観評価、暴露後の吸光度評価、暴露後の色度、色差評価、メタルハイドランプ光源を用いた暴露後のCIE L*a*b*色座標における色差ΔEa*b*を用いた評価、光沢保持率評価、特開平10-44352号公報、特開2003-211538号公報、特開平9-239921号公報、特開平9-254345号公報、特開2003-211606号公報に記載のサンシャインウェザーメーターを用いた暴露後のヘーズ値変化評価、暴露後の引張試験機を用いた伸度保持率評価、特開2002-161158号公報に記載の溶媒浸漬後の紫外線透過率評価、アイスーパーUVテスターを用いた暴露後の外観目視評価、特開2002-226764号公報に記載のQUV試験後の光沢率変化評価、特開2001-172531号公報に記載のサンシャインウェザオメーターを用いた暴露後の光沢保持率評価、特開平11-300880号公報に記載のブラックライトブルー蛍光灯を用いた紫外線暴露後の色差ΔEa*b*を用いた評価、特開平10-205056号公報に記載のコーブコン促進試験機を用いた暴露後の密着保持率評価、紫外線遮断性評価、特開平8-207218号公報、特開平9-183159号公報に記載の屋外暴露(JIS-A1410)後の外観評価、全光透過率評価、ヘイズ変化評価、引張せん断接着強さ評価、特開平8-151457号公報に記載のキセノンウェザーメーターを用いた暴露後の全光線透過率評価、ヘイズ評価、黄変度評価、特開平7-3955号公報に記載のサンシャインウェザオメーターを用いた暴露後の黄変度(ΔYI)、紫外線吸収剤残存率評価等が挙げられる。
【0228】
記録媒体用途として用いられる場合の耐光性はJIS-K7350の方法およびこれを参考にした方法によって評価することができる。具体的には、特開2006-167996号公報に記載の蛍光灯照射後の印字部位における地肌色差変化評価、特開平10-203033号公報、特開2004-181813号公報に記載のキセノンウェザーメーターを用いた暴露による画像濃度残存率評価、特開2002-207845号公報に記載のキセノンウェザーメーターを用いた暴露による光学反射濃度変化評価、特開2003-266926号公報に記載のサンテストCPS光褪色試験機を用いた暴露後のL*a*b*評価形による黄変度評価、特開2003-145949号公報に記載のフェードメーターを用いた暴露後の褪色評価、特開2002-212237号公報に記載のキセノンフェードメーターを用いた暴露後の褪色目視評価、特開2002-178625号公報に記載の室内太陽光暴露後の色濃度保持率評価、キセノンウェザーメーターを用いた暴露後の色濃度保持率評価、特開2002-367227号公報に記載のフェードメーターを用いた暴露後のC/N評価、特開2001-249430号公報に記載の蛍光灯暴露後のかぶり濃度評価、特開平9-95055号公報に記載の蛍光灯を用いた暴露後の光学反射濃度評価、消去性評価、特開平9-309260号公報に記載のアトラスフェードメーターを用いた暴露後の色差ΔE*評価、特開平8-258415号公報に記載のカーボンアークフェードメーターを用いた暴露後の褪色目視評価、特開2000-223271号公報に記載の有機EL素子色変換特性保持率評価、特開2005-189645号公報に記載のキセノン褪色試験機による暴露後の有機ELディスプレイ輝度測定評価などが挙げられる。
【0229】
その他の評価法としてはJIS-K7103、ISO/DIS9050の方法およびこれを参考とした方法によって評価できる。具体的には、特開2006-89697号公報に記載のポリカーボネート被覆フィルムのUVテスターによる暴露後の外観評価、特開2006-316395号公報に記載の人工毛髪における紫外線暴露後のブルースケール評価、特開2006-335855号公報に記載の促進耐候性試験機を用いた暴露後の評価用処理布水接触角評価、特開2005-55615号公報に記載の耐候試験機を用いた暴露後の投影スクリーンに映し出された映像目視評価、特開2005-74735号公報に記載のサンシャインウェザーメーター、メタルウェザーメーターを用いた暴露後の試験体表面劣化、意匠性変化目視評価、特開2005-326761号公報に記載の金属ランプリフレクターを用いた点灯暴露後の外観目視評価、特開2002-189415号公報、特開2004-352847号公報に記載のボトル用ラベルの光線透過率評価、特開2003-19776号公報に記載のキセノンウェザーメーターを用いた湿度条件下、暴露後のポリプロピレン劣化評価、特開2002-36441号公報、特開2003-25478号公報に記載のサンシャインウェザオメーターを用いたハードコートフィルムの劣化評価、基材の劣化評価、親水性評価、耐擦傷性評価、特開2003-239181号公報に記載のキセノンランプ光源を用いた暴露後の人工皮革のグレースケール色差評価、特開2003-253265号公報に記載の水銀灯を用いた暴露後の液晶デバイス特性評価、特開2002-307619号公報に記載のサンシャインウェザオメーターを用いた暴露後の密着性評価、特開2002-293706号公報に記載の芝の紫斑度合い評価、特開2002-114879号公報に記載のキセノンアーク光源を用いた暴露後紫外線透過率評価、引張強度評価、特開2001-139700号公報に記載のコンクリート密着速度評価、特開2001-315263号公報に記載のサンシャインウェザオメーターを用いた暴露後外観評価、および塗膜密着性評価、特開2001-214121号公報、特開2001-214122号公報に記載のカーボンアーク光源を用いた暴露後の黄変度、密着性評価、特開2001-207144号公報に記載の紫外線フェードメーターを用いた接着性能評価、特開2000-67629号公報に記載の照明点灯時における昆虫類飛来抑制評価、特開平10-194796号公報に記載のアイスーパーUVテスターを用いた合わせガラスの黄変度(ΔYI)評価、特開平8-318592号公報に記載のQUV照射、耐湿テストを行った後の表面外観評価、光沢保持率評価、特開平8-208976号公報に記載のデューパネル光コントロールウェザーメーターを用いた経時色差評価、特開平7-268253号公報に記載のキセノンウェザロメーターを用いた暴露後の木材基材塗布状態における光沢度(DI)、黄色度指数(YI)評価、特表2002-5443265号公報、特表2002-543266号公報に記載の紫外線照射、暗闇を繰り返した後の紫外線吸収率評価、特表2004-532306号公報に記載の紫外線暴露後の染料褪色色差ΔE評価等が挙げられる。
【実施例】
【0230】
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0231】
実施例1
(紫外線吸収剤組成物試料の調製)
下記表のように紫外線吸収剤A及びB並びに化合物Cを組み合わせた紫外線吸収剤組成物試料1〜7を調製した。なお、下記表1−1中、紫外線吸収剤Aと紫外線吸収剤Bと化合物Cとの比率(A:B:C)は、モル比で表してある。
なお、紫外線吸収剤Aとして用いた例示化合物(47)について濃度約5×10-5mol・dm-3の酢酸エチル溶液を調製し、1cm石英セルにて島津製作所製分光光度計UV−3600(商品名)を用いてUVスペクトルを測定した。得られたスペクトルチャートから極大吸収波長、半値幅、極大吸収波長に対する320nmにおける吸光度を算出したところ、極大吸収波長は369nm、半値幅は34nm、極大吸収波長におけるモル吸光係数が50000以上であった。また、紫外線吸収剤Bとして用いた化合物についても同様にして極大吸収波長を測定した。結果を下記表1−2に示す。
【0232】
【表1−1】

【0233】
【表1−2】

【0234】
化合物X−1は下記に示す構造であり、商品名TINUVIN 329(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)として市販されている。
化合物X−2は下記に示す構造であり、商品名TINUVIN 460(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)として市販されている。
【0235】
【化23】

【0236】
実施例2
(塗料サンプルの調製)
ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA樹脂) 10g、酢酸エチル:2−ブタノン=1:1混合液 80g、試料1 20gを混合し、撹拌溶解させ、塗料1を得た。また、試料1を試料2〜10に置き換えた以外は同様にして塗料2〜10を得た。
【0237】
(評価−1 塗料ポットライフ)
得られた塗料1〜10を室温にて1週間静置した。その後、目視にて塗液の色味、析出物を観察した。結果を表2に示す。作製直後(フレッシュ)及び室温経時後について、変色や析出物が見られない場合を○、見られた場合を×と判定した。
【0238】
(塗膜作製)
塗料1を、コイルバー(#3)を用いて厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗工した。得られた塗膜を80℃で1分乾燥し、塗膜1を作製した。また、試料1を試料2〜10に置き換えた以外は同様にして塗膜2〜10を作製した。
【0239】
(評価−2 塗膜面状)
得られた塗膜1〜10を室温にて1週間静置した。その後、目視にて面状を観察した。結果を表2に示す。作成直後(フレッシュ)及び室温経時後について、面状がクリアな場合を○、ブリードアウトなど面状不良が見られた場合を×と判定した。
【0240】
【表2】

【0241】
表2から明らかなように、本発明の紫外線吸収剤組成物を用いた塗料および塗膜(試料1〜7)は、塗料のポットライフおよび塗膜の面状ともに良好であることがわかった。一方、本発明の好ましい様態ではない化合物を紫外線吸収剤Bとして用いた場合(試料8、9)は、塗料を長時間置くことにより析出物が見られ、化合物Cを添加していない場合(試料10)では、変色が起こり、ポットライフ、塗膜の面状ともに劣っていた。
【0242】
(評価−3 塗膜透過率、耐光性)
作製した塗膜1〜10について、面状がクリアな部分を切り取り、分光光度計(U−4100スペクトロフォトメーター、商品名、日立ハイテクノロジーズ(株)製)を用いて透過率スペクトルを測定した。320nmおよび390nmにおける透過率が1%未満の場合を○、1%以上の場合を×と判定した。
さらにキセノンランプ(イーグルエンジニアリング製)で照度17万ルクスにて光照射(WG320フィルター装備、ショット社製)し、10時間照射後の塗膜の透過率スペクトルを測定した。照射前および照射後について390nmの透過率0.5%以下の場合を○、0.5%より大きい場合を×と判定した。
結果を表3に示す。
【0243】
【表3】

【0244】
表3から明らかなように、本発明の紫外線吸収剤組成物を用いた場合は透過率、耐光性ともに良好であることが分かった(塗膜1〜7)。一方、本発明の好ましい様態ではない化合物を紫外線吸収剤Bとして用いた場合(試料8、9)は、320nm付近の透過率が劣ることが分かった。また、化合物Cを添加していない場合(試料10)は、耐光性が劣り、キセノンランプ照射試験後に390nm付近の透過率が悪化していることが分かった。
【0245】
以上の結果から、本発明の紫外線吸収剤組成物は、幅広い波長域における紫外線吸収能と、高い耐光性を併せ持っていることが分かった。さらに、塗料として使用した場合にはポットライフ性能が著しく向上し、塗膜にした場合には紫外線吸収剤のブリードアウトが抑えられることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0246】
【図1】図1は、本発明に用いられる紫外線吸収剤A及びBの好ましい吸光スペクトルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される紫外線吸収剤Aと、下記一般式(2−a)又は(2−b)で表される紫外線吸収剤Bと、一重項酸素捕獲剤、酸化防止剤およびラジカルトラップ剤からなる群から選択される少なくとも1種の化合物Cとを含むことを特徴とする紫外線吸収剤組成物。
【化1】

〔一般式(1)中、Ra1及びRa2は、互いに独立して水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のヘテロ環基を表す。Ra1とRa2とは互いに結合して窒素原子を含む環を形成してもよい。
a3及びRa4は、各々独立にハメットの置換基定数σp値が0.2以上の置換基を表す。Ra3とRa4とは互いに結合して環を形成してもよい。
a5、Ra6及びRa7は、水素原子または1価の置換基を表す。Ra1、Ra5、Ra6及びRa7のうち任意の2つの基は互いに結合して環を形成してもよい。〕
【化2】

〔前記一般式(2−a)中、X1及びX2は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、スルホン酸基、置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、又は置換もしくは無置換のアミノ基を表す。s1及びs2は、互いに独立して1〜3の整数を表す。〕
〔前記一般式(2−b)中、X1は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、スルホン酸基、置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、又は置換もしくは無置換のアミノ基を表し、s1は1〜3の整数を表す。
Lgは2価の置換基または単なる結合を表し、wは0又は1を表す。
tbは1又は2を表し、tbが1のときX3は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、スルホン酸基、置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、又は置換もしくは無置換のアミノ基を表す。tbが2のときX3は2価の置換基を表す。〕
【請求項2】
前記化合物Cが下記一般式(3−a)又は(3−b)で表される化合物である、請求項1記載の紫外線吸収剤組成物。
【化3】

〔前記一般式(3−a)中、R11は水素原子、脂肪族基、芳香族基、炭素原子で結合する複素環素または加水分解可能な保護基を表し、R12、R13、R14、R15およびR16は各々独立に水素原子または置換基を表し、R11とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R15とR16およびR16とR11は互いに結合して環を形成してもよい。前記一般式(3−b)中、R21は水素原子、脂肪族基、アシル基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシラジカル基またはヒドロキシル基を表し、Qは5員、6員または7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、R22、R23、R24およびR25は各々独立に水素原子、脂肪族基、芳香族基または炭素原子で結合する複素環基を表し、R21とR22、R22とR23、R24とR25およびR21とR24は互いに結合して環を形成してもよい。〕
【請求項3】
前記紫外線吸収剤Aの極大吸収波長が350nm以上400nm以下であり、半値幅が55nm以下であり、極大吸収波長におけるモル吸光係数が50000以上である、請求項1又は2に記載の紫外線吸収剤組成物。
【請求項4】
前記紫外線吸収剤Bの極大吸収波長が320nm未満である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の紫外線吸収組成物。
【請求項5】
前記紫外線吸収剤Bの極大吸収波長が320nm〜350nmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の紫外線吸収組成物。
【請求項6】
前記紫外線吸収剤Aと前記紫外線吸収剤Bとの比率が、1:10〜10:1の範囲である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の紫外線吸収剤組成物。
【請求項7】
前記化合物Cが前記一般式(3−b)で表される化合物である、請求項2〜6のいずれか1項に記載の紫外線吸収剤組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の紫外線吸収剤組成物を含む紫外線吸収剤分散物。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の紫外線吸収剤組成物を含む紫外線吸収剤溶液。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の紫外線吸収剤組成物を含む高分子材料。

【図1】
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【公開番号】特開2009−270062(P2009−270062A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−123714(P2008−123714)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】