説明

紫外線硬化性樹脂組成物、紫外線硬化性塗料及び塗装物。

【課題】 建築分野をはじめとする様々な分野において、塗料や接着剤等に適用可能な紫外線硬化性樹脂組成物や該紫外線硬化性樹脂組成物を含有する紫外線硬化型塗料及び該紫外線硬化型塗料を塗装した塗装物を提供すること。
【解決手段】 シラノール基および/または加水分解性シリル基、並びに重合性二重結合を有するポリシロキサンセグメント(a1)と、該ポリシロキサンセグメント(a1)以外の重合体セグメント(a2)とを有する複合樹脂(A)及び光開始剤(B)を含有する紫外線硬化性樹脂組成物、該紫外線硬化性樹脂組成物を含有する紫外線硬化性塗料及び該紫外線硬化性塗料を塗装して得られる塗装物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築分野をはじめとする様々な分野において、塗料や接着剤等に適用可能な紫外線硬化性樹脂組成物や該紫外線硬化性樹脂組成物を含有する紫外線硬化型塗料及び該紫外線硬化型塗料を塗装した塗装物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建築外装をはじめとする各種分野からは、耐擦り傷性、耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性等の耐久性に優れた塗膜を形成できる、いわゆる高耐久性塗料の開発が求められている。かかる高耐久性塗料としては、これまでにポリシロキサン系塗料やフルオロオレフィン系塗料等が報告されており、なかでもポリシロキサン系塗料は、ハロゲン原子を有さず、また前記耐久性に加え、撥水性にも優れた塗膜を形成できることから各種分野で好ましく使用されている。
【0003】
前記ポリシロキサン系塗料に用いる樹脂組成物としては、例えば、加水分解性シリル基と加水分解性シリル基以外の官能基とを有する重合体と、珪素原子に結合した水酸基(シラノール基)及び/又は珪素原子に結合した加水分解性基(加水分解性シリル基)を有するポリシロキサンとを縮合反応させて得られる樹脂、及び、硬化剤として該樹脂に含まれる官能基と反応する官能基を有する化合物を含有する硬化性樹脂組成物が開示されている。そして、この硬化性樹脂組成物を用いれば、耐酸性及び耐擦り傷性等に優れた塗膜を形成できることが開示されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
【0004】
前記特許文献1及び特許文献2に開示された硬化性樹脂組成物は前記樹脂と硬化剤との加水分解縮合反応により硬化塗膜を形成する。この加水分解縮合は低温、例えば、0〜30℃程度の温度でも起こる。しかしながら、これらの温度で硬化させるのは例えば塗装後1週間程度放置する必要があり、塗装作業の効率が悪い。その為、該硬化性樹脂組成物を用いて、効率良く硬化塗膜を得るには、例えば、特許文献1の実施例等でも行っているように、被塗布物に塗布後140℃という高温で加熱する。しかしながら、例えば、該硬化性樹脂組成物を含む塗料を建築外装用として使用する場合、建造物の外壁等に塗装した後、塗膜を加熱することが困難であるため、十分に硬化した塗膜を形成させることは困難であった。
【0005】
また、該ポリシロキサン系塗料は、建築外装以外の、例えば自動車部品用塗料への展開が検討されている。かかる自動車部品としては、例えばバンパー、サイドウィンドウ等がある。しかしながら、これら部品の基材としては、一般的に熱に弱いポリプロピレン、ポリカーボネート等のプラスチック類が用いられていることが多い。そのため、例えば、特許文献1及び特許文献2に記載されたポリシロキサン系塗料等を塗装し熱硬化させた場合には、基材の変形や変色を引き起こすという問題もあった。
【0006】
塗膜を硬化させる際に加熱する必要のないポリシロキサン系塗料として、例えば、シロキサン重合体と、側鎖にビニル基を有する重合体ブロックとからなるシロキサン共重合体を含有する塗料が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。該特許文献3に開示された塗料は塗装後に紫外線等を照射することで硬化塗膜を形成できるので加熱硬化させにくい用途、例えば前記建築外装用塗料や、熱に弱い基材に対する塗料として適用可能である。しかしながら、特許文献3に開示されたシロキサン共重合体を含む塗料を塗装して得られた塗膜は、従来の高耐候性塗料(例えば、前記特許文献1及び特許文献2に開示された塗料等)を用いて得られる塗膜に比べ、耐擦り傷性、耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性等の耐候性が十分ではない。
【0007】
ところで、高耐久性塗料としては、地球環境保護等の観点から、有機溶剤系から水系への移行も進められている。水系のポリシロキサン系塗料としては、例えば、ポリシロキサンセグメントと親水性基を有する重合体セグメントとから構成される複合樹脂、及び、硬化剤として該樹脂に含まれる官能基と反応する官能基を有する化合物を含有する硬化性樹脂組成物が、保存安定性、常温硬化性、光沢保持性、及び耐久性等に優れた塗膜を形成できることが報告されている(例えば、特許文献4参照。)。
【0008】
しかしながら、前記特許文献4で開示された硬化性樹脂組成物は、前記複合樹脂と硬化剤との加水分解縮合反応からなる硬化形式であることから、前記した様な優れた塗膜物性が発現されるまでには、前記特許文献1及び特許文献2と同様に塗装後、常温下で、目安として概ね1週間程度放置し硬化させる工程が必要となり、塗装作業の効率が悪い。塗装作業の効率を向上させるための手段として硬化性樹脂組成物を含む塗料を塗装した後に、高温で加熱することにより硬化塗膜の形成を促進する方法があるが、例えば、該硬化性樹脂組成物を含む塗料を建築外装用として使用する場合、建造物の外壁等に塗装した後、塗膜を加熱することが困難であるため、十分に硬化した塗膜を形成させることは困難である。
【0009】
【特許文献1】国際公開第96/035755号パンフレット
【特許文献2】特開平9−025455号公報
【特許文献3】特開2000−34326号公報
【特許文献4】特開平11−279408号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、加熱しなくても、耐擦り傷性、耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性等の耐候性に優れる硬化塗膜を形成できる紫外線硬化性樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは鋭意検討の結果、下記の知見を見出した。
(1)前記特許文献3で開示されているシロキサン共重合体は、ビニル基をシロキサン重合体以外の重合体ブロックに有しているので紫外線照射により架橋反応が進行するのはシロキサン重合体以外の重合体ブロックからなる部分のみである。その為、硬化塗膜の耐擦り傷性、耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性等の耐候性が十分でない。
【0012】
(2)耐候性を向上させるため前記特許文献2で開示されているシロキサン共重合体中のシロキサン重合体間の反応を行おうとしてもシロキサン重合体として実質的にポリジメチルシロキサン等の直鎖状のポリジアルキルシロキサン構造を有しており、直鎖状のポリジアルキルシロキサン構造を有するシロキサン重合体間の反応を進行させることは困難である。
【0013】
(3)ポリシロキサンセグメントと該ポリシロキサンセグメント以外の重合体セグメントとを有する複合樹脂において、該ポリシロキサンセグメント中に重合性二重結合を含有させることによりシロキサンセグメントも紫外線照射により硬化する。従って、硬化塗膜の耐擦り傷性、耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性等の耐候性の向上に貢献する。
【0014】
(4)更に、前記ポリシロキサンセグメントをシラノール基(珪素原子に結合した水酸基)や加水分解性シリル基(珪素原子に結合した加水分解性基)を含有するポリシロキサンセグメントとすることによりシラノール基中の水酸基および/または加水分解性シリル基中の加水分解性基の間で加水分解縮合反応が進行する。この加水分解縮合反応により、前記ポリシロキサン構造の架橋密度が向上する。この架橋密度の向上は、重合性二重結合による硬化と共に耐擦り傷性、耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性等の耐候性の向上に貢献する。また、この加水分解縮合反応による塗膜硬化は前記紫外線照射による塗膜硬化を補佐するものであり、加熱工程を行ってまで加水分解縮合反応を早める必要がない。
(5)前記複合樹脂のポリシロキサンセグメントおよび/またはポリシロキサンセグメント以外の重合体セグメントに親水性基を導入することにより水溶性または水分散性の紫外線硬化性樹脂組成物とすることができる。
本発明は、上記知見に基づき完成したものである。
【0015】
即ち、本発明は、シラノール基および/または加水分解性シリル基、並びに重合性二重結合を有するポリシロキサンセグメント(a1)と、該ポリシロキサンセグメント(a1)以外の重合体セグメント(a2)とを有する複合樹脂(A)及び光開始剤(B)を含有することを特徴とする紫外線硬化性樹脂組成物を提供するものである。
【0016】
また、本発明は、前記紫外線硬化性樹脂組成物を含有することを特徴とする紫外線硬化性塗料を提供するものである。
【0017】
更に本発明は、前記紫外線硬化性塗料を塗装して得られることを特徴とする塗装物を提供するものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物は紫外線硬化、並びに、シラノール基及び/又は加水分解性シリル基の縮合反応による塗膜の架橋密度の向上という2つの硬化機構により耐久性に優れる硬化塗膜が得られる。従って、従来熱硬化型樹脂組成物を用いることが困難だった建築外装用塗料や、熱変形しやすい基材に対する塗料用として好適に使用できる。また、光触媒コーティング剤、インキ、接着剤、及びガスバリアフィルムをはじめとする各種フィルムのバインダー樹脂等にも使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物は、シラノール基および/または加水分解性シリル基、並びに重合性二重結合を有するポリシロキサンセグメント(a1)と、該ポリシロキサンセグメント(a1)以外の重合体セグメント(a2)とを有する複合樹脂(A)及び光開始剤(B)を含有する紫外線硬化性樹脂組成物である。
【0020】
本発明で使用する複合樹脂(A)としては、例えば、前記ポリシロキサンセグメント(a1)が前記重合体セグメント(a2)の側鎖に化学的に結合したグラフト構造を有する複合樹脂、前記重合体セグメント(a2)の末端に前記ポリシロキサンセグメント(a1)が化学的に結合したブロック構造を有する複合樹脂等が挙げられる。
【0021】
前記複合樹脂(A)が有するポリシロキサンセグメント(a1)は、該ポリシロキサンセグメント(a1)中に重合性二重結合を有している。複合樹脂(A)は、後述する光開始剤(B)の存在下で紫外線照射されると、ポリシロキサンセグメント(a1)中の重合性二重結合間で架橋反応が進行し、より架橋密度の高い強固なポリシロキサン構造が形成される。その結果、得られる塗膜は、耐擦り傷性、耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性等の耐久性に優れるものとなる。
【0022】
前記重合性二重結合としては、例えば、ビニル基や(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。重合性二重結合は、ポリシロキサンセグメント(a1)中に2つ以上存在することが好ましく3〜200個存在することがより好ましく、3〜50個存在することが更に好ましい。また、複合樹脂(A)として重合性二重結合が2個以上存在する複合樹脂を使用することによって、得られる塗膜の耐擦り傷性、耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性を向上させることができる。
【0023】
また、ポリシロキサンセグメント(a1)としては、ポリシロキサンセグメントの重量を基準として重合性二重結合を1〜40重量%含有するポリシロキサンセグメントが耐久性に優れる硬化塗膜を得られる紫外線硬化性樹脂組成物が得られることから好ましく、5〜30重量%含有するポリシロキサンセグメントがより好ましい。
【0024】
前記ポリシロキサンセグメント(a1)は、シラノール基および/または加水分解性シリル基を有している。前記紫外線硬化と平行して、シラノール基中の水酸基や加水分解性シリル基中の前記加水分解性基の間で加水分解縮合反応が進行することで、得られる塗膜のポリシロキサン構造の架橋密度が高まり、耐溶剤性などに優れた塗膜を形成することができる。
【0025】
本発明で言うシラノール基とは珪素原子に直接結合した水酸基を有する珪素含有基である。
【0026】
本発明で言う加水分解性シリル基とは珪素原子に直接結合した加水分解性基を有する珪素含有基であり、具体的には、例えば、下記の一般式で表される基が挙げられる。
【0027】
【化1】

(式中、R1はアルキル基、アリール基又はアラルキル基等の1価の有機基を、R2はハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、イミノオキシ基又はアルケニルオキシ基である。またbは0〜2の整数である。)
【0028】
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基等が挙げられる。
【0029】
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−ビニルフェニル基、3−イソプロピルフェニル基等が挙げられる。
【0030】
前記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、ジフェニルメチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
【0031】
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0032】
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、第二ブトキシ基、第三ブトキシ基等が挙げられる。
【0033】
前記アシロキシ基としては、例えば、ホルミルオキシ、アセトキシ、プロパノイルオキシ、ブタノイルオキシ、ピバロイルオキシ、ペンタノイルオキシ、フェニルアセトキシ、アセトアセトキシ、ベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ等が挙げられる。
【0034】
前記アリールオキシ基としては、例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ等が挙げられる。
【0035】
前記アルケニルオキシ基としては、例えば、ビニルオキシ基、アリルオキシ基、1−プロペニルオキシ基、イソプロペニルオキシ基、2−ブテニルオキシ基、3−ブテニルオキシ基、2−ペテニルオキシ基、3−メチル−3−ブテニルオキシ基、2−ヘキセニルオキシ基等が挙げられる。
【0036】
前記ポリシロキサンセグメント(a1)が有する加水分解性シリル基中の加水分解性基としては、例えば、例えばハロゲン原子、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、イミノオキシ基、アルケニルオキシ基等が挙げられ、これらの基が加水分解されることにより加水分解性シリル基はシラノール基となる。そして、このシラノール基の水酸基が脱水縮合に用いられ、ポリシロキサンセグメント(a1)部分の架橋密度が向上する。
【0037】
前記ポリシロキサンセグメント(a1)は、下記一般式(S−2)および/または下記一般式(S−3)で示される構造単位を有するポリシロキサンセグメントが好ましい。下記一般式(S−2)および/または下記一般式(S−3)で示される構造単位を有するポリシロキサンセグメントは三次元網目状のポリシロキサン構造を有する。従って、複合樹脂としてこのようなポリシロキサンセグメントを有する複合樹脂を用いることにより、耐溶剤性などに優れた塗膜を形成できる紫外線硬化型樹脂組成物とすることができる。
【0038】
【化2】

【0039】
【化3】

(前記一般式(S−2)及び(S−3)中、R3、R4及びR5は、それぞれ独立して炭素原子数が1〜6のアルキル基、炭素原子数が3〜8のシクロアルキル基、アリール基または炭素原子数が7〜12のアラルキル基を示す。)
【0040】
前記炭素原子数が1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基等が挙げられる。
【0041】
前記炭素原子数が3〜8のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0042】
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−ビニルフェニル基、3−イソプロピルフェニル基等が挙げられる。
【0043】
前記炭素原子数が7〜12のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、ジフェニルメチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
【0044】
前記一般式(S−2)および/または下記一般式(S−3)で示される構造単位を有するポリシロキサンセグメントとしては、例えば以下の構造を有するもの等が挙げられる。
【0045】
【化4】

【0046】
【化5】

【0047】
【化6】

【0048】
前記複合樹脂(A)が有するポリシロキサンセグメント(a1)以外の重合体セグメント(a2)としては、例えば、アクリル重合体、フルオロオレフィン重合体、ビニルエステル重合体、芳香族系ビニル重合体及びポリオレフィン重合体等のビニル重合体セグメントや、ポリウレタン重合体セグメント、ポリエステル重合体セグメント、ポリエーテル重合体セグメント等の重合体セグメント等が挙げられる。中でも、ビニル重合体セグメントおよび/またはポリウレタン重合体セグメントが好ましい。
【0049】
前記重合体セグメント(a2)は、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて各種官能基を有していても良い。かかる官能基としては、例えばカルボキシル基、ブロックされたカルボキシル基、カルボン酸無水基、3級アミノ基、水酸基、ブロックされた水酸基、シクロカーボネート基、エポキシ基、カルボニル基、1級アミド基、2級アミド、カーバメート基、及び、下記の構造式(S−4)で表される官能基等を使用することができる。
【0050】
【化7】

【0051】
重合体セグメント(a2)として前記官能基を有する重合体セグメントを有する複合樹脂を適宜選択して使用することによって、本発明の紫外線硬化性樹脂組成物に、紫外線硬化以外のその他の硬化系を併用させることが可能である。即ち、紫外線照射することによって得られた硬化塗膜を、さらに加熱したり、大気中に放置することによって、前記官能基間の熱硬化反応等を進行させさらに硬化を促進することにより、得られる塗膜の耐酸性、耐溶剤性、耐アルカリ性を向上させることができる。また、前記重合体セグメント(a2)は、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等の重合性二重結合を有していても良い。
【0052】
本発明で用いる複合樹脂(A)としては、ポリシロキサンセグメント(a1)と重合体セグメント(a2)とが下記構造式(S−5)で表される構造で結合した複合樹脂や下記構造式(S−6)で表される構造で結合した複合樹脂等が挙げられる。中でも、ポリシロキサンセグメント(a1)と重合体セグメント(a2)とが下記構造式(S−5)で表される構造で結合した複合樹脂が耐アルカリ性に優れた塗膜を形成できる紫外線硬化性樹脂組成物を得られることから好ましい。
【0053】
【化8】

構造式(S−5)中、炭素原子は重合体セグメント(a2)を構成する炭素原子であり、2個の珪素原子はポリシロキサンセグメント(a1)を構成する珪素原子である)
【0054】
【化9】

構造式(S−6)中、炭素原子は重合体セグメント(a2)を構成する炭素原子であり、珪素原子はポリシロキサンセグメント(a1)を構成する珪素原子である)
【0055】
本発明で用いる複合樹脂(A)中のポリシロキサンゼグメント(a1)の含有率としては、複合樹脂(A)の重量を基準として10〜95重量%の範囲が優れた耐久性を有する硬化塗膜を形成することが可能な紫外線硬化性樹脂組成物を得ることができることから好ましく、30〜95重量%がより好ましく、30〜75重量%が更に好ましい。
【0056】
本発明で用いる複合樹脂(A)は、種々の方法で製造できるが、なかでも下記(1)〜(3)に示す方法で製造することが好ましい。
【0057】
(1)前記重合体セグメント(a2)の原料として、シラノール基および/または加水分解性シリル基を含有する重合体セグメント(a2−1)を予め調製しておき、この重合体セグメント(a2−1)と、シラノール基および/または加水分解性シリル基、並びに重合性二重結合を併有するシラン化合物を含有するシラン化合物とを混合し、加水分解縮合反応を行う方法。
【0058】
(2)前記重合体セグメント(a2)の原料として、シラノール基および/または加水分解性シリル基を含有する重合体セグメント(a2−1)を予め調製する。また、シラノール基および/または加水分解性シリル基、並びに重合性二重結合を併有するシラン化合物を含有するシラン化合物を加水分解縮合反応してポリシロキサン(a1−1)も予め調製しておく。そして、重合体セグメント(a2−1)とポリシロキサン(a1−1)とを混合し、加水分解縮合反応を行う方法。
【0059】
(3)前記重合体セグメント(a2−1)と、シラノール基および/または加水分解性シリル基、並びに重合性二重結合を併有するシラン化合物を含有するシラン化合物と、ポリシロキサン(a1−1)とを混合し、加水分解縮合反応を行う方法。
【0060】
前記(1)〜(3)で示す複合樹脂(A)の製造工程における加水分解縮合反応は、種々の方法で反応を進行させることができるが、前記製造工程で水と触媒とを供給することで反応を進行させる方法が簡便で好ましい。
【0061】
なお、前記加水分解縮合反応とは、前記加水分解性基の一部が水などの影響で加水分解され水酸基を形成し、次いで該水酸基同士、あるいは該水酸基と加水分解性基との間で進行する進行する縮合反応をいう。
【0062】
前記シラノール基および/または加水分解性シリル基を含有する重合体セグメント(a2−1)としては、例えば、シラノール基および/または加水分解性シリル基を含有するアクリル重合体、シラノール基および/または加水分解性シリル基を含有するフルオロオレフィン重合体、シラノール基および/または加水分解性シリル基を含有するビニルエステル系重合体、シラノール基および/または加水分解性シリル基を含有する芳香族ビニル重合体やシラノール基および/または加水分解性シリル基を含有するポリオレフィン重合体等のシラノール基および/または加水分解性シリル基を含有するビニル重合体や、シラノール基および/または加水分解性シリル基を含有するポリウレタン重合体、シラノール基および/または加水分解性シリル基を含有するポリエステル重合体、シラノール基および/または加水分解性シリル基を含有するポリエーテル重合体等を使用することができる。特に、シラノール基および/または加水分解性シリル基を含有するビニル重合体やシラノール基および/または加水分解性シリル基を含有するポリウレタン重合体を使用することが好ましく、シラノール基および/または加水分解性シリル基を含有するアクリル重合体を使用することがより好ましい。
【0063】
前記シラノール基および/または加水分解性シリル基を含有する重合体セグメント(a2−1)をとしてアクリル重合体を用いる場合、該アクリル樹脂は、例えば、シラノール基および/または加水分解性シリル基を含有するビニル系単量体と必要に応じて他のビニル系単量体とを重合することにより得ることができる。
【0064】
前記シラノール基および/または加水分解性シリル基を含有するビニル系単量体としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリ(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、2−トリメトキシシリルエチルビニルエーテル、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリクロロシラン等が挙げられる。中でも、加水分解反応を容易に進行でき、また反応後の副生成物を容易に除去することができることからビニルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
【0065】
必要に応じて用いる他のビニル系単量体としては、例えば、アクリル系単量体等が挙げられる。具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の炭素原子数が1〜22のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート類;ベンジル(メタ)アクリレート、2−フェニルエチル(メタ)アクリレート等のアラルキル(メタ)アクリレート類;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート類;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、4−メトキシブチル(メタ)アクリレート等のω−アルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;スチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル系単量体類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;クロトン酸メチル、クロトン酸エチル等のクロトン酸のアルキルエステル類;ジメチルマレート、ジ−n−ブチルマレート、ジメチルフマレート、ジメチルイタコネート等の不飽和二塩基酸のジアルキルエステル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン等のフルオロオレフィン類;エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のシクロアルキルビニルエーテル類;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−ビニルピロリドン等の3級アミド基含有単量体類等が挙げられる。
【0066】
前記重合体セグメント(a2−1)としてビニル重合体を用いる場合、該ビニル系重合体は、例えば、塊状ラジカル重合法、溶液ラジカル重合法、非水分散ラジカル重合法等の種々の重合法によって重合させることにより製造することができる。本発明の紫外線硬化性樹脂組成物として複合樹脂(A)及び後述する光開始剤(B)を有機溶剤に溶解させて紫外線硬化性樹脂組成物とする場合は、有機溶剤中で前記ビニル単量体をラジカル重合させてビニル重合体とした後、そこに光開始剤(B)を添加することにより容易に有機溶剤に溶解した紫外線硬化性樹脂組成物とすることができるので好ましい。
【0067】
前記有機溶剤としては、例えばn−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂肪族系又は脂環族系の炭化水素類;トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、n−ブタノール、エチレングルコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸n−アミル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングルコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn−アミルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のポリアルキレングリコールジアルキルエーテル類;1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド又はエチレンカーボネートを単独で使用又は2種以上を併用して使用することができる。
【0068】
また、ラジカル重合法で前記ビニル単量体を重合させる際には、必要に応じて重合開始剤を使用することができる。かかる重合開始剤としては、例えば2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ化合物類;tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート等の過酸化物類等を使用することができる。
【0069】
前記重合体セグメント(a2−1)としては、数平均分子量で500〜200,000の重合体セグメントが好ましく、数平均分子量で700〜100,000の重合体セグメントがより好ましく、数平均分子量で1,000〜50,000の重合体セグメントが特に好ましい。かかる範囲内の数平均分子量を有する重合体セグメント(a2−1)を使用することによって、前記複合樹脂(A)を製造する際の増粘やゲル化を防止でき、且つ耐久性に優れた塗膜が得られる紫外線硬化性樹脂組成物を得ることができる。
【0070】
本発明で使用する複合樹脂(A)を構成する重合体セグメント(a2)として重合性二重結合基を有する重合体セグメントを用いることによりより耐久性のある硬化塗膜を有する紫外線硬化性樹脂組成物を得ることができる。重合性二重結合を有する重合体セグメントは、例えば、重合体セグメント(a2−1)としてカルボキシル基を有する重合体セグメントを用い、ここに重合性二重結合とエポキシ基とを併有する化合物、例えばグリシジルメタアクリレートを添加・反応させる方法により得ることができる。
【0071】
前記方法(1)で用いるシラノール基および/または加水分解性シリル基、並びに重合性二重結合を併有するシラン化合物を含有するシラン化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリ(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、2−トリメトキシシリルエチルビニルエーテル、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリクロロシラン等が挙げられる。
【0072】
前記シラノール基および/または加水分解性シリル基、並びに重合性二重結合を併有するシラン化合物としては、加水分解縮合反応が容易に進行し、また反応後の副生成物を容易に除去することが可能なことから、ビニルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランを使用することが好ましい。
【0073】
前記方法(1)で用いるシラン化合物には必要に応じて、前記シラノール基および/または加水分解性シリル基、並びに重合性二重結合を併有するシラン化合物以外の他のシラン化合物を併用しても良い。
【0074】
前記他のシラン化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、iso−ブチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等の各種のオルガノトリアルコキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルシクロヘキシルジメトキシシランもしくはメチルフェニルジメトキシシラン等の、各種のジオルガノジアルコキシシラン類;メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシランもしくはジフェニルジクロロシラン等のクロロシラン類が挙げられる。
【0075】
前記他のシラン化合物としては、加水分解反応が容易に進行し、また反応後の副生成物を容易に除去することが可能なオルガノトリアルコキシシランやジオルガノジアルコキシシランが好ましい。
【0076】
また、前記他のシラン化合物として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランもしくはテトラn−プロポキシシランなどの4官能アルコキシシラン化合物や該4官能アルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物を、本発明の効果を損なわない範囲で併用することもできる。前記4官能アルコキシシラン化合物又はその部分加水分解縮合物を併用する場合には、前記ポリシロキサンセグメント(a1)を構成する全珪素原子に対して、該4官能アルコキシシラン化合物の有する珪素原子が、20モル%を超えない範囲となるように併用することが好ましい。
【0077】
また、前記シラン化合物には、ホウ素、チタン、ジルコニウムあるいはアルミニウムなどの珪素原子以外の金属アルコキシド化合物を、本発明の効果を損なわない範囲で併用することもできる。例えば、ポリシロキサンセグメント(A)を構成する全珪素原子に対して、上述の金属アルコキシド化合物の有する金属原子が、25モル%を超えない範囲で、併用することが好ましい。
【0078】
また、前記方法(2)や(3)のようにシラノール基および/または加水分解性シリル基、並びに重合性二重結合を併有するシラン化合物を含有するシラン化合物予め加水分解縮合反応させて得られる部分加水分解縮合物又は加水分解縮合物、即ちポリシロキサン(a−1)を予め調製しておき、これと重合体セグメント(a2−1)と混合し加水分解縮合反応を行って複合樹脂(A)調製することができる。
【0079】
前記ポリシロキサン(a−1)は、例えば、例えば、シラノール基および/または加水分解性シリル基、並びに重合性二重結合を併有するシラン化合物を含有するシラン化合物を、必要により他のシラン化合物と共に加水分解縮合反応を行うことにより得ることができる。シラノール基および/または加水分解性シリル基、並びに重合性二重結合を併有するシラン化合物としては、例えば、前記製法(1)で用いるシラノール基および/または加水分解性シリル基、並びに重合性二重結合を併有するシラン化合物が挙げられる。また他のシラン化合物としては、例えば、前記製法(1)で必要に応じて用いる他のシラン化合物等が挙げられる。
【0080】
前記製法(1)〜(3)において重合体セグメント(a2−1)と、シラン化合物および/またはポリシロキサン(a1−1)との加水分解縮合反応を行う際に触媒を用いることもできる。触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、燐酸等の無機酸類;p−トルエンスルホン酸、燐酸モノイソプロピル、酢酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム等の無機塩基類;テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタン酸エステル類;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリ−n−ブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、モノエタノールアミン、イミダゾール、1−メチルイミダゾール等の各種の塩基性窒素原子を含有する化合物類;テトラメチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、ジラウリルジメチルアンモニウム塩等の各種の4級アンモニウム塩類であって、対アニオンとして、クロライド、ブロマイド、カルボキシレートもしくはハイドロオキサイドなどを有する4級アンモニウム塩類;ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、オクチル酸錫又はステアリン酸錫など錫カルボン酸塩等が挙げられる。触媒は単独で使用しても良いし、2種以上併用しても良い。
【0081】
前記触媒は、シラン化合物および/またはポリシロキサン(a1−1)の全量に対して、0.0001〜10重量%の範囲で使用することが好ましく、0.0005〜3重量%の範囲で使用することがより好ましく、0.001〜1重量%の範囲で使用することが特に好ましい。
【0082】
また、前記製法(1)〜(3)において加水分解縮合反応を進行させる際に反応系に水を加えても良い。添加する水の量は前記シラン化合物等が有する加水分解性基及び水酸基の1モルに対して、0.05モル以上が適切であり、好ましくは、0.1モル以上が適切であり、特に好ましくは、0.5モル以上が適切である。
【0083】
前記触媒及び水は、一括供給でも逐次供給であってもよく、触媒と水とを予め混合したものを供給しても良い。
【0084】
前記製法(1)〜(3)において重合体セグメント(a2−1)と、シラン化合物および/またはポリシロキサン(a1−1)との加水分解縮合反応を行う際の反応温度は、0℃〜150℃の範囲が適切であり、好ましくは、20℃〜100℃の範囲内である。また、反応の圧力としては、常圧、加圧下又は減圧下の、いずれの条件においても行うことができる。
【0085】
前記加水分解縮合反応において生成しうる副生成物であるアルコールや水は、得られる紫外線硬化性樹脂組成物の安定性等を低下させる場合には、蒸留などの方法により除去してもよい。
【0086】
本発明で用いる複合樹脂(A)は親水性基を有するものが好ましい。親水性基を有することにより水性媒体中に溶解又は分散することができ、複合樹脂(A)として親水性基を有する複合樹脂と光開始剤とを含有する紫外線硬化性水性樹脂組成物とすることができる。更にこの紫外線硬化性水性樹脂組成物用いることにより水性塗料を調製することができる。
【0087】
前記親水性基としては、例えば、アニオン性基、カチオン性基、ノニオン性基等が挙げられる。中でも、アニオン性基が好ましい。
【0088】
前記アニオン性基としては、例えば、塩基性化合物で中和されたカボキシル基、塩基性化合物で中和された燐酸基、塩基性化合物で中和された酸性燐酸エステル基、塩基性化合物で中和された亜燐酸基、塩基性化合物で中和されたスルホン酸基、塩基性化合物で中和されたスルフィン酸基、塩基性化合物で中和されたカルボン酸無水物等を好ましくあげることができる。中でも複合樹脂(A)に導入しやすいことから、塩基性化合物で中和されたカルボキシル基がより好ましい。
【0089】
前記中和に用いる塩基性化合物としては、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、2−アミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール等の有機アミン類;アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基性化合物;テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムハイドロオキサイド、トリメチルベンジルアンモニウムハイドロオキサイドの四級アンモニウムハイドロオキサイド等を使用することができる。なかでも有機アミン類および/またはアンモニアが好ましい。
【0090】
前記カチオン性基としては、例えば、酸性化合物で中和された1級アミノ基、酸性化合物で中和された2級アミノ基、酸性化合物で中和された3級アミノ基、酸性化合物で中和されたアンモニウムヒドロオキシド基等が挙げられる。中でも複合樹脂(A)に導入しやすいことから、酸性化合物で中和された3級アミノ基が好ましい。
【0091】
前記中和に用いる酸性化合物としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸等のカルボン酸類;燐酸モノメチルエステル、燐酸ジメチルエステル等の燐酸のモノエステル類またはジエステル類;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸類;塩酸、硫酸、硝酸または燐酸等の無機酸類等が挙げられる。なかでもカルボン酸類を使用することが好ましい。
【0092】
前記ノニオン性基としては、例えば、ポリエーテル骨格を有するセグメント等が挙げられる。かかるポリエーテル骨格を有するセグメントとしては、例えば、ポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖、ポリオキシブチレン鎖等のポリオキシアルキレン鎖;ポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)鎖等の前記したオキシアルキレン部分がランダムに共重合されたもの;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン鎖等の相異なるポリオキシアルキレン鎖がブロック状に結合したもの等が挙げられる。中でも、ポリオキシアルキレン鎖が好ましく、ポリオキシエチレン鎖がより好ましく、ポリオキシエチレン鎖のなかでもオキシエチレン単位及び/又はオキシプロピレン単位を必須の繰り返し単位として含有するものが好ましい。
【0093】
前記親水性基は、前記複合樹脂(A)が水性媒体中に分散してなる分散液および/または水性媒体中に溶解してなる水溶液の良好な保存安定性を維持する観点から、前記複合樹脂(A)を構成する重合体セグメント(a2)中に存在していることが好ましい。
【0094】
複合樹脂(A)に親水性基を導入するには、例えば、以下の方法が挙げられる。
1.複合樹脂(A)を製造する前記方法(1)〜(3)において重合体セグメント(a2−1)としてアクリル系重合体を調製する際に、酸基を含有するアクリル系単量体をシラノール基および/または加水分解性シリル基を含有するアクリル系単量体と併用して酸基含有アクリル系重合体を重合し、この酸基含有アクリル系重合体を用いて複合樹脂(A)を調製した後、塩基性化合物で該複合樹脂を中和する
【0095】
2. 複合樹脂(A)を製造する前記方法(1)〜(3)において重合体セグメント(a2−1)としてアクリル系重合体を調製する際に、塩基を含有するアクリル系単量体をシラノール基および/または加水分解性シリル基を含有するアクリル系単量体と併用して塩基含有アクリル系重合体を重合し、この塩基含有アクリル系重合体を用いて複合樹脂(A)を調製した後、酸性化合物で該複合樹脂を中和する
【0096】
前記酸基を含有するアクリル系単量体としては、例えば、カルボキシル基を有するビニル系単量体やカルボン酸無水基を有するビニル系単量体等が挙げられる。カルボキシル基を有するビニル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等等の不飽和カルボン酸類;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノ−n−ブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノ−n−ブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノ−n−ブチル等の飽和ジカルボン酸類と、飽和1価アルコール類との各種のモノエステル類(ハーフエステル類);アジピン酸モノビニル、コハク酸モノビニル等の飽和ジカルボン酸のモノビニルエステル類;無水コハク酸、無水グルタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸等の飽和ポリカルボン酸の無水物類と、前記炭素原子に結合した水酸基を含有するビニル系単量体類との付加反応生成物;前記カルボキシル基含有単量体類と、ラクトン類とを付加反応せしめて得られる各種の単量体類等が挙げられる。また、前記カルボキシル基は、ブロックされていても良い。ブロックされたカルボキシル基を有するビニル系単量体としては、例えば、トリメチルシリル(メタ)アクリレート、ジメチル−tert−ブチルシリル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルクロトネート等のシリルエステル基含有ビニル系単量体類;1−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシ−2−(メタ)アクリロイルオキシプロパン、2−(メタ)アクリロイルオキシテトラヒドロフラン等のヘミアセタールエステル基ないしはヘミケタールエステル基含有単量体類;tert−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチルクロトネート等のtert−ブチルエステル基含有単量体類等が挙げられる
【0097】
前記カルボン酸無水基を有するビニル系単量体としては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和ポリカルボン酸の無水物類;無水アクリル酸、無水メタクリル酸等の不飽和モノカルボン酸の無水物類;アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸と、酢酸、プロピオン酸、安息香酸などの飽和カルボン酸との混合酸無水物等が挙げられる。
【0098】
前記塩基を含有するアクリル系単量体としては、例えば、3級アミノ基を有するビニル系単量体等が挙げられる。前記3級アミノ基を有するビニル系単量体としては、例えば、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジ−n−プロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、4−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エチルモルホリン等の3級アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルキノリン等の3級アミノ基含有芳香族ビニル系単量体類;N−(2−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジ−n−プロピルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド等の3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド類;N−(2−ジメチルアミノ)エチルクロトン酸アミド、N−(4−ジメチルアミノ)ブチルクロトン酸アミド等の3級アミノ基含有クロトン酸アミド類;2−ジメチルアミノエチルビニルエーテル、2−ジエチルアミノエチルビニルエーテル、4−ジメチルアミノブチルビニルエーテル等の3級アミノ基含有ビニルエーテル類等が挙げられる。
【0099】
前記親水性基含有複合樹脂(A)は、アニオン性基、カチオン性基、ノニオン性基等の親水性基のうち、いずれか単独を有していてもよく、アニオン性基またはカチオン性基と、ノニオン性基との併用であってもよい。なお、アニオン性基とカチオン性基とは、前記複合樹脂(A)が水性媒体中に分散してなる分散液および/または水性媒体中に溶解してなる水溶液の保存安定性を低下させない範囲内で併用することができる。
【0100】
前記親水性基は、前記複合樹脂(A)が水性媒体中に分散してなる分散液および/または水性媒体中に溶解してなる水溶液の良好な保存安定性を維持する観点から、前記複合樹脂(A)の全体に対して、0.1〜20重量%の割合で存在していることが好ましい。
【0101】
本発明で用いる光開始剤(B)としては、例えば、アセトフェノン類、ベンジルケタール類、ベンゾフェノン類からなる群から選ばれる一種以上を好ましく用いることができる。前記アセトフェノン類としては、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン等が挙げられる。前記ベンジルケタール類としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。前記ベンゾフェノン類としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル等が挙げられる。前記ベンゾイン類等としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等が挙げられる。光開始剤(B)は単独で使用しても良いし、2種以上を併用してもよい。
【0102】
前記光開始剤(B)の使用量は、前記複合樹脂(A)100重量部に対して、1〜15重量部が好ましく、2〜10重量部がより好ましい。
【0103】
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物には、必要に応じて多官能(メタ)アクリレートや熱硬化性樹脂を含有するのが好ましい。多官能アクリレートとしては、例えば、1,2−エタンジオールジアクリレート、1,2−プロパンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(2−アクリロイルオキシ)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレート、ジ(ペンタエリスリトール)ペンタアクリレート、ジ(ペンタエリスリトール)ヘキサアクリレート等の1分子中に2個以上の重合性2重結合を有する多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート等も多官能アクリレートとして例示することができる。これらは単独で使用しても良いし、2種以上併用しても良い。
【0104】
前記多官能アクリレート(C)を用いる場合の使用量としては、前記複合樹脂(A)100重量部に対して1〜200重量部が好ましく、20〜100重量部がより好ましい。前記多官能アクリレートを前記範囲内で使用することによって、得られる塗膜の硬度等の塗膜物性を改善することができる。
【0105】
また、本発明の紫外線硬化性樹脂組成物には、前記複合樹脂(A)以外の紫外線硬化性樹脂を併用できるだけでなく、熱硬化性樹脂を併用することも可能である。熱硬化性樹脂としては、ビニル系樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、エポキシエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、石油樹脂、ケトン樹脂、シリコン樹脂あるいはこれらの変性樹脂等が挙げられる。
【0106】
本発明で使用する複合樹脂(A)は、紫外線硬化しうる重合性二重結合を有するポリシロキサンセグメント(a1)を有している。その為、塗膜の表面滑性等を向上させることが可能なシリコン樹脂と、重合性二重結合を有する紫外線硬化性樹脂のいずれとも比較的相溶しやすい。その為、本発明で使用する複合樹脂(A)は、前記シリコン樹脂と紫外線硬化性樹脂とを相溶性を向上させることも可能である。
【0107】
更に、本発明の紫外線硬化性樹脂組成物には、必要に応じて有機溶剤、無機顔料、有機顔料、体質顔料、粘土鉱物、ワックス、界面活性剤、安定剤、流動調整剤、染料、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、又は可塑剤等の種々の添加剤等を使用することもできる。
【0108】
前記有機溶剤としては、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂肪族系又は脂環族系の炭化水素類;トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、n−ブタノール、エチレングルコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸n−ブチル、酢酸n−アミル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングルコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn−アミルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のポリアルキレングリコールジアルキルエーテル類;1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド又はエチレンカーボネートを単独で使用又は2種以上を併用して使用することができる。
【0109】
更に本発明の紫外線硬化性水性樹脂組成物には、必要に応じて硬化剤を併用することにより、紫外線硬化以外のその他の硬化系を併用させることが可能である。即ち、紫外線照射することによって得られた硬化塗膜を、さらに加熱したり、大気中に放置することによって、熱硬化反応等を進行させ、さらに硬化を促進させることにより、得られる塗膜の耐溶剤性、耐酸性、塗膜硬度等を向上させることができる。その際に使用可能な硬化剤としては、
前記複合樹脂(A)が親水性基を含有する場合は該親水性基と反応しうる官能基を有する硬化剤を使用することが好ましい。本発明の紫外線硬化性水性樹脂組成物が硬化塗膜を形成した際に、親水性基が残存していることは、硬化塗膜の耐水性や耐溶剤性を低下させる恐れがあることから、使用する用途など等によっては好ましくない場合がある。そのため、硬化剤として、前記親水性基と反応しうる官能基と反応しうる官能基を有する硬化剤を使用することにより、硬化塗膜中に残存する親水性基量を低減し、耐水性等の低下を防止することが可能となる。
【0110】
前記硬化剤としては、例えば、イソシアネート基、ブロックされたイソシアネート基、エポキシ基、オキサゾリン基、カーボジイミド基、ヒドラジノ基、珪素原子に結合した水酸基、珪素原子に結合した加水分解性基、N−ヒドロキシメチルアミノ基もしくはN−アルコキシメチルアミノ基などを有する硬化剤等を使用することができる。
【0111】
前記硬化剤が有する前記官能基は、前記複合樹脂(A)中に含まれる官能基の種類に応じて適宜選択できるが、例えば前記複合樹脂(A)が親水性基としてカルボキシル基または中和されたカルボキシル基である複合樹脂である場合には、前記硬化剤としてエポキシ基含有化合物やポリオキサゾリン化合物を使用することが好ましく、親水性基として水酸基を有する場合には、前記硬化剤としてイソシアネート基含有化合物やアミノ樹脂を使用することが好ましい。
【0112】
前記硬化剤としては、例えばシラノール基及び/又は加水分解性シリル基を有する化合物、一分子中にエポキシ基と加水分解性シリル基とを併有する化合物、ポリイソシアネート、ブロックポリイソシアネート、ポリエポキシ化合物、ポリオキサゾリン化合物、アミノ樹脂或いは多官能ヒドラジド化合物などを使用することができ、これらを単独で使用又は2種以上を併用して使用することができる。
【0113】
前記シラノール基及び/又は加水分解性シリル基を有する化合物としては、例えば、前記複合樹脂(A)を製造する際に使用可能なものとして例示したものと同様のシラン化合物;これらのシラン化合物の部分加水分解縮合物;またはこれらのシラン化合物の2種以上の混合物の部分加水分解縮合反応によって得られる部分共加水分解縮合物等を使用することができる。
【0114】
前記一分子中にエポキシ基と加水分解性シリル基とを併有する化合物としては、例えば3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等や、これらのシラン化合物を部分加水分解縮合させることによって得られる部分加水分解縮合物、これらのシラン化合物の2種以上の部分加水分解縮合によって得られる部分共加水分解縮合物、または、エポキシ基と加水分解性シリル基を併有するビニル系共重合体類等を使用することができる。
【0115】
前記ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類;メタ−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチル−メタ−キシリレンジイソシアネート等のアラルキルジイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、1,3−ビスイソシアナートメチルシクロヘキサン、2−メチル−1,3−ジイソシアナートシクロヘキサン、2−メチル−1,5−ジイソシアナートシクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族ないしは脂環式ジイソシアネート類等を使用することができる。
【0116】
また、前記ポリイソシアネートを、多価アルコール類と付加反応させて得られる、イソシアネート基を有する各種のプレポリマー類、前記ポリイソシアネートを環化三量化させることによって得られる、イソシアヌレート環を有するプレポリマー類、前記ポリイソシアネートと水とを反応させて得られる、ビウレット構造を有するポリイソシアネート、2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートまたは(メタ)アクリロイルイソシアネート等のイソシアネート基を有するビニル単量体を必須成分として含有するビニル系単量体類から得られる、イソシアネート基を含有するビニル系共重合体類なども使用することができる。
【0117】
なお、前記したポリイソシアネートとしては、種々のブロック剤でブロック化された、いわゆるブロックポリイソシアネート化合物を使用することもできる。
【0118】
前記ブロック剤としては、例えばメタノール、エタノール、乳酸エステル等のアルコール類;フェノール、サリチル酸エステル等のフェノール性水酸基含有化合物類;ε−カプロラクタム、2−ピロリドン等のアマイド類;アセトンオキシム、メチルエチルケトオキシム等のオキシム類;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等の活性メチレン化合物類等を使用することができる。
【0119】
前記ポリエポキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、ヘキサンジオ−ル、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、水添ビスフェノールA等の脂肪族又は脂環式ポリオールのポリグリシジルエーテル類;ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF等の芳香族系ジオールのポリグリシジルエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル類;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレ−トのポリグリシジルエーテル類;アジピン酸、ブタンテトラカルボン酸、フタル酸またはテレフタル酸等の脂肪族又は芳香族ポリカルボン酸のポリグリシジルエステル類;シクロオクタジエン、ビニルシクロヘキセン等の炭化水素系ジエン類のビスエポキシド類;ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート等の脂環式ポリエポキシ化合物;2個以上のエポキシ基を含有するビニル系共重合体類等を使用することができる。
【0120】
前記ポリオキサゾリン化合物としては、例えば2,2’−p−フェニレン−ビス−(1,3−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレン−ビス−(1,3−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)等の低分子量のポリ(1,3−オキサゾリン)化合物;2−イソプロペニル−1,3−オキサゾリン等の1,3−オキサゾリン基含有ビニル系単量体の単独重合体もしくはこれと共重合可能なビニル系単量体とを共重合させて得られる、1,3−オキサゾリン基を含有するビニル系重合体等を使用することができる。
【0121】
前記アミノ樹脂としては、例えば、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、尿素またはグリコウリル等のアミノ基含有化合物をホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等のアルデヒド化合物(又はアルデヒド供給物質)と反応させることによって得られるアルキロール基を有する種々のアミノ樹脂を使用することができる。また、前記アルキロール基を有するアミノ樹脂と、メタノール、エタノール、n−ブタノールまたはiso−ブタノール等の低級アルコールとを反応させて得られる、アルコキシアルキル基含有アミノ樹脂等を使用することもできる。
【0122】
前記多官能ヒドラジド化合物としては、例えばシュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド等の有機酸のジヒドラジド化合物を使用することができる。
【0123】
本願発明の紫外線硬化性樹脂組成物を水系で用いる際は、前記硬化剤としては、水性媒体に対して溶解又は分散可能なレベルの親水性を有するものを使用することが、硬化剤が均一に分散又は溶解した水性の紫外線硬化性樹脂組成物を得ることができるため好ましい。しかし、前記硬化剤が十分なレベルの親水性を有していない場合であっても、機械乳化法などにより本発明の紫外線硬化性樹脂組成物中に強制的に分散させる方法や、前記複合樹脂(C)と前記硬化剤とを予め混合したものを、水性媒体中に溶解又は分散させる方法により、前記硬化剤が均一に分散又は溶解した紫外線硬化性水性樹脂組成物を得ることが可能となる。
【0124】
本発明の紫外線硬化性水性樹脂組成物に、前記硬化剤を使用する場合、硬化剤が、シラノール基および/または加水分解性シリル基を有する化合物である場合には、前記複合樹脂(A)の100重量部に対して、硬化剤の固形分量が、0.1〜200重量部の範囲内となるように硬化剤を用いるのが好ましく、0.5〜150重量部の範囲内となるように硬化剤を用いるのがより好ましく、1〜100重量部の範囲内となるように硬化剤を用いるのが特に好ましい。
【0125】
また、硬化剤が、一分子中にエポキシ基と加水分解性シリル基とを併有する化合物又はポリエポキシ化合物である場合には、前記複合樹脂(A)の中に含まれる、エポキシ基と反応する官能基の1当量に対して、硬化剤中に含まれるエポキシ基の量が、0.2〜5.0当量の範囲内となるように硬化剤を用いるのが好ましく、0.5〜3.0当量の範囲内となるように硬化剤を用いるのがより好ましく、0.7〜2.0当量の範囲内となるように硬化剤を用いるのが特に好ましい。
【0126】
また、硬化剤が、前記ポリイソシアネートまたはブロックポリイソシアネートである場合には、前記複合樹脂(A)中に含まれる、イソシアネート基またはブロックイソシアネート基と反応する官能基の1当量に対して、硬化剤中に含まれる、イソシアネート基またはブロックイソシアネート基の量が0.1〜10当量の範囲内となるように硬化剤を用いるのが好ましく、0.3〜5.0当量の範囲内となるように硬化剤を用いるのが好ましくより好ましく、0.5〜2.0当量の範囲内となるように硬化剤を用いるのが好ましくが特に好ましい。
【0127】
硬化剤が、アミノ樹脂である場合には、前記複合樹脂(A)の100重量部に対して、アミノ樹脂の固形分量が、0.1〜200重量部の範囲内となるように硬化剤を用いるのが好ましく、0.5〜150重量部の範囲内となるように硬化剤を用いるのが好ましく、1〜100重量部の範囲内となるように硬化剤を用いるのが特に好ましい。
【0128】
硬化剤が、ポリオキサゾリン化合物である場合には、前記複合樹脂(A)の中に含まれる、オキサゾリン基と反応する官能基の1当量に対して、硬化剤中に含まれるオキサゾリン基の量が、0.2〜5.0当量の範囲内となるように硬化剤を用いるのが好ましく、0.5〜3.0当量の範囲内となるように硬化剤を用いるのがより好ましく、0.7〜2.0当量の範囲内となるように硬化剤を用いるのが特に好ましい。
【0129】
また、硬化剤が、多官能ヒドラジド化合物である場合には、前記複合樹脂(A)の中に含まれる、ヒドラジノ基と反応する官能基の1当量に対して、硬化剤中に含まれるヒドラジノ基の量が、0.2〜5.0当量の範囲内となるように硬化剤を用いるのが好ましく、0.5〜3.0当量の範囲内となるように硬化剤を用いるのがより好ましく、0.7〜2.0当量の範囲内となるように硬化剤を用いるのが特に好ましい。
【0130】
前記硬化剤を前記範囲内で使用することによって、得られる塗膜の耐溶剤性、硬度等の塗膜物性を向上させることができる。
【0131】
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物は種々の形状にて使用することができる。具体的には、例えば、有機溶剤に溶解した溶液、有機溶剤に分散した分散体、水に溶解した溶液、水に分散した分散体、溶剤、水等を用いない溶液、粉体等が挙げられる。
【0132】
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物はこのままで紫外線硬化性塗料として用いることができる。また、前記した有機顔料、無機顔料等の添加剤を加え紫外線硬化性塗料とすることができる。
【0133】
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物や本発明の紫外線硬化性塗料を硬化させることができる紫外線は、例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、アルゴンレーザー、ヘリウム・カドミウムレーザー等によって発生させることができる。これらを用いて、約180〜400nmの波長の紫外線を、紫外線硬化性樹脂組成物の塗布面に照射することによって、塗膜を硬化させることが可能である。
【0134】
紫外線の照射量としては、使用される光開始剤(B)の種類及び量によって適宜選択される。
【0135】
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物や本発明の紫外線硬化性塗料を用いて形成される塗膜の膜厚は、特に制限はないが、硬化塗膜に生じうるクラックを抑制でき、優れた耐久性を有する硬化塗膜を形成することができることから0.1〜100μmであることが好ましく、1〜50μmであることがより好ましい。
【0136】
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物や本発明の紫外線硬化性塗料を基材上に塗布し、紫外線を照射することにより、耐久性に優れる硬化塗膜を有する塗装物を得ることができる。
【0137】
前記基材としては、種々のものが使用できるが、例えば金属基材、無機質基材、プラスチック基材、紙、木質系基材等を使用することができる。
【0138】
前記金属基材のとしては、例えば、鉄、ニッケル、アルミニウム、銅、鉛、等の金属類や、ステンレススチール等の各種金属の合金類、さらには、それらの表面にメッキや化成処理などが施されたものを使用することができる。
【0139】
前記無機質基材としては、例えば、セメント系、珪酸カルシウム等の珪酸塩系、石膏系あるいはセラミックス系等で代表される無機質の材料を主成分とするものを使用することができ、例えば、現場施工(湿式)基材として、打放しコンクリート、セメントモルタル、石膏プラスター、ドロマイトプラスターあるいは漆喰等を使用することができ、現場生産品(乾式)基材として、軽量気泡コンクリート(ALC)、石綿セメント、ガラス繊維強化の珪酸カルシウム、石膏ボード、タイル等の粘土の焼成物あるいはガラス等を使用することができる。
【0140】
前記プラスチック基材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン類;ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル類;ナイロン1、ナイロン11、ナイロン6、ナイロン66、ナイロンMX−Dなどのポリアミド類;ポリスチレン、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体(ABS樹脂)等のスチレン系重合体;ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート・エチルアクリレート共重合体等のアクリル系重合体;ポリカーボネート等を使用することができる。前記プラスチック基材は、単層又は2層以上の積層構造を有するものであってもよい。また、これらのプラスチック基材は、未延伸、一軸延伸、二軸延伸されていてもよい。
【0141】
また、前記プラスチック基材には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、公知の帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、結晶核剤、滑剤等の公知の添加剤が含まれていても良い。
【0142】
前記プラスチック基材は、本発明の紫外線硬化性樹脂組成物との密着性を更に向上させるために、基材表面に公知の表面処理が施されていてもよく、かかる表面処理としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、フレームプラズマ処理、電子線照射処理、紫外線照射処理等が挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせた処理を行ってもよい。
【0143】
前記基材の形状は、特に制限がなく、例えば、シート状、板状、球状、フィルム状ないしは大型の構築物又は複雑なる形状の組立物あるいは成形物であってもよい。
【0144】
前記基材の表面は、予め下塗り塗料等により被覆されていてもよく、また、その被覆部分が劣化していても、本発明の紫外線硬化性樹脂組成物を塗布することは可能である。
【0145】
前記下塗り塗料としては、公知の水溶解型又は水分散型塗料や有機溶剤型又は有機溶剤分散型塗料、粉体塗料等を使用することができる。具体的には、アクリル樹脂系塗料、ポリエステル樹脂系塗料、アルキド樹脂系塗料、エポキシ樹脂系塗料、脂肪酸変性エポキシ樹脂系塗料、シリコン樹脂系塗料、ポリウレタン樹脂系塗料、フルオロオレフィン系塗料またはアミン変性エポキ樹脂塗料などのような各種のタイプのものを使用することができる。
【0146】
また、前記下塗り塗料は、顔料を含まないクリヤー塗料であってもよいし、前記顔料を含むエナメル系塗料あるいはアルミニウムフレーク等を含有するメタリック塗料であってもよい。
【0147】
前記基材に本発明の紫外線硬化性樹脂組成物や本発明の紫外線硬化性塗料を塗布する方法としては、例えば刷毛塗り法、ローラー塗装法、スプレー塗装法、浸漬塗装法、フロー・コーター塗装法、ロール・コーター塗装法もしくは電着塗装法などの公知慣用の塗装方法を適用することが可能である。
【0148】
前記塗装方法により前記基材表面に本発明の紫外線硬化性樹脂組成物を塗布した後、該塗布面に前記した方法によって紫外線を照射することにより、耐溶剤性、耐酸性及び耐アルカリ性に優れ、優れた硬度を有する塗膜を有する塗装物を得ることができる。
【0149】
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物を用いて得られる塗装物としては、例えば、自動車、自動二輪車、電車、自転車、船舶、飛行機等の輸送関連機器類及びそれらに使用される各種の部品類;テレビ、ラジオ、冷蔵庫、洗濯機、クーラー、クーラー室外機またはコンピュータ等の家電製品類及びそれらに使用される各種の部品類;無機質系の瓦、金属製の屋根材、無機質系外壁材、金属製の壁材、金属製の窓枠、金属製あるいは木製のドアまたは内壁材等の建材類;道路、道路標識、ガードレール、橋梁、タンク、煙突またはビルディング等の屋外構築物;ポリエステル樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、フッ素樹脂フィルム等からなるフィルムに塗装した各種の被覆フィルム等の包装材類;プラスチックボトル、金属缶等の容器類;その他、前記基材類からなる楽器類、事務用品類、スポーツ用品類、玩具類等が挙げられる。
【0150】
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物や本発明の紫外線硬化性塗料は、とりわけ、耐溶剤性、耐酸性及び耐アルカリ性に優れ、優れた硬度を有する硬化塗膜を形成できることから、主として、自動車上塗り用塗料、建築外装用塗料、建材用塗料等に利用することができ、さらには、光触媒コーティング剤用、接着剤用、インク用、ガスバリアコーティング剤用、繊維・紙の含浸剤用ならびに表面処理剤などとして、広範囲なる用途にも、利用することが出来る。
【実施例】
【0151】
次に、本発明を、実施例及び比較例により具体的に説明をする。例中断りのない限り「部」「%」は重量基準である。
【0152】
合成例1〔複合樹脂(A)の調製例〕
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、フェニルトリメトキシシラン(PTMS)191gを仕込んで、120℃まで昇温した。次いで、メチルメタクリレート(MMA)169g、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(MPTS)11g、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(TBPEH)18gからなる混合物を、前記反応容器中へ4時間かけて滴下した。その後、同温度で16時間撹拌し、トリメトキシシリル基を有するビニル重合体(a2−1−1)を調製した。
【0153】
次いで、前記反応容器の温度を80℃に調整し、メチルトリメトキシシラン(MTMS)131g、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(APTS)226g、ジメチルジメトキシシラン(DMDMS)116gを、前記反応容器中へ添加した。その後、「A−3」〔堺化学(株)製の、iso−プロピルアシッドホスフェート〕6.3gと脱イオン水97gとの混合物を、5分間で滴下し、同温度で2時間撹拌することにより、加水分解縮合反応させ、反応生成物を得た。反応生成物を、1H−NMRで分析したところ、前記ビニル重合体(a2ー1ー1)が有するトリメトキシシリル基のほぼ100%が加水分解していた。その後、前記反応生成物を、10〜300mmHgの減圧下で、40〜60℃の条件で2時間蒸留することにより、生成したメタノール及び水を除去することで、不揮発分が99.4%であるポリシロキサンセグメント(a1)とビニル重合体セグメント(a2)からなる複合樹脂(A1)を600g得た。
【0154】
合成例2(同上)
合成例1と同様の反応容器に、PTMS 191gを仕込んで、120℃まで昇温した。次いで、MMA 175g、MPTS 5g、TBPEH 5.4gからなる混合物を、前記反応容器中へ4時間で滴下した。その後、同温度で16時間撹拌し、トリメトキシシリル基を有するビニル重合体(a2−1−2)を調製した。
【0155】
次いで、前記反応容器の温度を80℃に調整し、MTMS 131g、APTS 226g、DMDMS 116gを、前記反応容器中へ添加した。その後、「A−3」 6.3gと脱イオン水 97gとの混合物を、5分間で滴下し、同温度で2時間撹拌することにより、加水分解縮合反応させ、反応生成物を得た。反応生成物を、1H−NMRで分析したところ、前記ビニル重合体(a2−1−2)が有するトリメトキシシリル基のほぼ100%が加水分解していた。その後、前記反応生成物を、10〜300mmHgの減圧下に、40〜60℃の条件で2時間蒸留することにより、生成したメタノール及び水を除去し、次いで、酢酸ブチル(BuAc) 400gを添加することで、不揮発分が99.6%であるポリシロキサンセグメント(a1)とビニル重合体セグメント(a2)からなる複合樹脂(A2)を600g得た。
【0156】
合成例3(同上)
合成例1と同様の反応容器に、PTMS 264gを仕込んで、120℃まで昇温した。次いで、MMA 169g、MPTS 11g、TBPEH 18gからなる混合物を、前記反応容器中へ4時間で滴下した。その後、同温度で16時間撹拌し、トリメトキシシリル基を有するビニル重合体(a2−1−3)を調製した。
【0157】
次いで、前記反応容器の温度を80℃に調整し、MTMS 181g、APTS 226gを、前記反応容器中へ添加した。その後、「A−3」 6.0gと脱イオン水 100gとの混合物を、5分間で滴下し、同温度で2時間撹拌することにより、加水分解縮合反応させ、反応生成物を得た。反応生成物を、1H−NMRで分析したところ、前記ビニル重合体(a2−1−3)が有するトリメトキシシリル基のほぼ100%が加水分解していた。その後、前記反応生成物を、10〜300mmHgの減圧下に、40〜60℃の条件で2時間蒸留することにより、生成したメタノール及び水を除去し、次いで、BuAc 400gを添加することで、不揮発分が60.3質量%であるポリシロキサンセグメント(a1)とビニル重合体セグメント(a2)からなる複合樹脂(A3)の溶液 1000gを得た。
【0158】
合成例4(同上)
合成例1と同様の反応容器に、PTMS 250gを仕込んで、120℃まで昇温した。次いで、MMA 169g、MPTS 11g、TBPEH 18gからなる混合物を、前記反応容器中へ4時間で滴下した。その後、同温度で16時間撹拌し、トリメトキシシリル基を有するビニル重合体(a2−1−4)を調製した。
【0159】
その後、前記反応容器の温度を80℃に調整し、MTMS 172g、APTS 113g、DMDMS 151gを、前記反応容器中へ添加した。その後、「A−3」 6.9gと脱イオン水 105gとの混合物を、5分間で滴下し、同温度で2時間撹拌することにより加水分解縮合反応させ、反応生成物を得た。反応生成物を、1H−NMRを用いて分析したところ、前記ビニル重合体(a2−1−4)が有するトリメトキシシリル基のほぼ100%が加水分解していた。その後、前記反応生成物を、10〜300mmHgの減圧下に、40〜60℃の条件で2時間蒸留することにより、生成したメタノール及び水を除去し、次いで、BuAc 400gを添加することで、不揮発分が60.0質量%であるポリシロキサンセグメント(a1)とビニル重合体セグメント(a2)からなる複合樹脂(A4)の溶液 1000gを得た。
【0160】
合成例5(同上)
合成例1と同様の反応容器に、PTMS 191gを仕込んで、120℃まで昇温した。次いで、MMA 169g、MPTS 11g、TBPEH 18gからなる混合物を、前記反応容器中へ4時間で滴下した。その後、同温度で16時間撹拌を行ない、トリメトキシシリル基を有するビニル重合体(a2−1−5)を調製した。
【0161】
次いで、前記反応容器の温度を80℃に調整し、MTMS 131g、MPTS 221g、DMDMS 116gを、前記反応容器中へ添加した。その後、「A−3」 6.3gと脱イオン水 97gとの混合物を、5分間で滴下し、同温度で2時間撹拌することにより、加水分解縮合反応させ、反応生成物を得た。反応生成物を、1H−NMRで分析したところ、前記ビニル重合体(a2−1−5)が有するトリメトキシシリル基のほぼ100%が加水分解していた。その後、前記反応生成物を、10〜300mmHgの減圧下に、40〜60℃の条件で2時間蒸留することにより、生成したメタノール及び水を除去し、次いで、BuAc 416gを添加することで、不揮発分が59.6%であるポリシロキサンセグメント(a1)とビニル重合体セグメント(a2)からなる複合樹脂(A5)の溶液 1000gを得た。
【0162】
合成例6(同上)
合成例1と同様の反応容器に、PTMS 218gを仕込んで、120℃まで昇温した。次いで、MMA 113g、MPTS 7g、TBPEH 12gからなる混合物を、前記反応容器中へ4時間で滴下した。その後、同温度で16時間撹拌し、トリメトキシシリル基を有するビニル系重合体(a2−1−6)を調製した。
【0163】
次いで、前記反応容器の温度を80℃に調整し、MTMS 150g、APTS 258g、DMDMS 132gを、前記反応容器中へ添加した。その後、「A−3」 7.2gと脱イオン水 111gとの混合物を、5分間で滴下し、同温度で2時間撹拌することにより加水分解縮合反応させ、反応生成物を得た。反応生成物を、1H−NMRを用いて分析したところ、前記ビニル重合体(a2−1−6)が有するトリメトキシシリル基のほぼ100%が加水分解していた。その後、前記反応生成物を、10〜300mmHgの減圧下に、40〜60℃の条件で2時間蒸留することにより、生成したメタノール及び水を除去し、次いで、BuAc 400gを添加することで、不揮発分が60.1質量%であるポリシロキサンセグメント(a1)とビニル重合体セグメント(a2)からなる複合樹脂(A6)の溶液 1000gを得た。
【0164】
合成例7(同上)
合成例1と同様の反応容器に、PTMS 164gを仕込んで、120℃まで昇温した。次いで、MMA 226g、MPTS 14g、TBPEH 24gからなる混合物を、前記反応容器中へ4時間で滴下した。その後、同温度で16時間撹拌し、トリメトキシシリル基を有するビニル重合体(a2−1−7)を調製した。
【0165】
次いで、前記反応容器の温度を80℃に調整し、MTMS 113g、APTS 194g、DMDMS 99gを、前記反応容器中へ添加した。その後、「A−3」 5.4gと脱イオン水 83gとの混合物を、5分間で滴下し、同温度で2時間撹拌することにより、加水分解縮合反応させ、反応生成物を得た。反応生成物を、1H−NMRを用いて分析したところ、前記ビニル重合体(a2−1−7)が有するトリメトキシシリル基のほぼ100%が加水分解していた。その後、前記反応生成物を、10〜300mmHgの減圧下に、40〜60℃の条件で2時間蒸留することにより、生成したメタノール及び水を除去し、次いで、BuAc 400gを添加することで、不揮発分が59.8質量%であるポリシロキサンセグメント(a1)とビニル重合体セグメント(a2)からなる複合樹脂(A7)の溶液 1000gを得た。
【0166】
合成例8(同上)
合成例1と同様の反応容器に、PTMS 191gを仕込んで、120℃まで昇温した。次いで、MMA 121g、アクリル酸(AA) 33g、MPTS 10g、TBPEH 16gからなる混合物を、前記反応容器中へ4時間で滴下し、その後、同温度で20時間撹拌した。次いで、3−グリシジルメタクリレート(GMA) 16g、2−メチルイミダゾール(2−MIZ) 0.8gを添加し、同温度で2時間撹拌することにより、トリメトキシシリル基及びメタクリロイルを有するビニル重合体(a2−1−8)を調製した。
【0167】
次いで、前記反応容器の温度を80℃に調整し、MTMS 131g、APTS 226g、DMDMS 116gを、前記反応容器中へ添加した。その後、「A−3」 6.3gと脱イオン水 98gとの混合物を、5分間で滴下し、同温度で2時間撹拌することにより、加水分解縮合反応させ、反応生成物を得た。反応生成物を、1H−NMRを用いて分析したところ、前記ビニル重合体(a2−1−8)が有するトリメトキシシリル基のほぼ100%が加水分解していた。その後、前記反応生成物を、10〜300mmHgの減圧下に、40〜60℃の条件で2時間蒸留することにより、生成したメタノール及び水を除去し、次いで、BuAc 400gを添加することで、不揮発分が59.8質量%であるポリシロキサンセグメント(a1)とビニル重合体セグメント(a2)からなる複合樹脂(A8)の溶液 1000gを得た。
【0168】
合成例9(ポリシロキサンの調製)
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、MTMS 415g、MPTS 756gを仕込んで、60℃まで昇温した。次いで、「A−3」 0.1gと脱イオン水 121gからなる混合物を5分間で滴下した。滴下終了後、反応容器中を80℃まで昇温し、4時間撹拌することにより加水分解縮合反応を行い、反応生成物を得た。得られた反応生成物中に含まれるメタノール及び水を、10〜300mmHgの減圧下、40〜60℃の条件で除去することにより、数平均分子量が1000で、有効成分が75.0%であるポリシロキサン(PS−1) 1000gを得た。なお、「有効成分」とは、使用したシランモノマーのメトキシ基が全て加水分解縮合反応した場合の理論収量(重量部)を、加水分解縮合反応後の実収量(重量部)で除した値、即ち[シランモノマーのメトキシ基が全て加水分解縮合反応した場合の理論収量(重量部)/縮合反応後の実収量(重量部)]の式により算出したものである。
【0169】
合成例10(同上)
合成例1と同様の反応容器に、MTMS 440g、APTS 756gを仕込んで、60℃まで昇温した。次いで、「A−3」 0.1gと脱イオン水 128gからなる混合物を5分間で滴下した。滴下終了後、反応容器中を80℃まで昇温し、4時間撹拌することにより加水分解縮合反応を行い、反応生成物を得た。得られた反応生成物中に含まれるメタノール及び水を、10〜300mmHgの減圧下、60℃で除去することにより、数平均分子量が1000で、有効成分が75.0%であるポリシロキサン(PS−2) 1000gを得た。
【0170】
合成例11(同上)
合成例1と同様の反応容器に、MTMS 1421gを仕込んで、60℃まで昇温した。次いで、「A−3」 0.17gと脱イオン水 207gからなる混合物を5分間で滴下した。滴下終了後、反応容器中を80℃まで昇温し、4時間撹拌して加水分解縮合反応を行い、反応生成物を得た。得られた反応生成物中に含まれるメタノール及び水を、10〜300mmHgの減圧下、40〜60℃の条件で除去することにより、数平均分子量が1000で、反応液中の有効成分が70.0%であるポリシロキサン(PS−3) 1000gを得た。
【0171】
合成例12〔複合樹脂(A)調製〕
合成例1と同様の反応容器に、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(PnP) 80g、イソプロピルアルコール(IPA) 36g、PTMS 54g、DMDMS 33gを仕込んで、80℃まで昇温した。次いで、MMA 113g、ブチルメタクリレート(BMA) 92g、ブチルアクリレート(BA) 52g、AA 16g、MPTS 8g、IPA 14g、TBPEH 14gからなる混合物を、前記反応容器中へ4時間かけて滴下し重合反応を行った。滴下終了の2時間後、「A−3」 0.9gと脱イオン水 24gとの混合物を、5分間で滴下し、その後、同温度で16時間撹拌し、加水分解縮合反応を行った。
【0172】
次いで、トリエチルアミン(TEA) 18g、ポリシロキサン(PS−1) 87gを、前記反応容器中へ添加し、次いで、脱イオン水 550gを添加した。その後、「BYK−020」〔ビックケミー・ジャパン(株)製のポリシロキサン系消泡剤〕 0.4質量部を添加して反応生成物を得た。前記反応生成物を、10〜300mmHgの減圧下で、40〜60℃の条件で2時間蒸留することにより、IPA、生成したメタノール及び水を除去し、不揮発分が40.0%である、ポリシロキサンセグメント(a1)とビニル重合体セグメント(a2)からなる親水性基含有複合樹脂(A9)の水分散体 1000gを得た。
【0173】
合成例13(同上)
合成例1と同様の反応容器に、PnP 65g、IPA 29g、PTMS 44g、DMDMS 26gを仕込んで、80℃まで昇温した。次いで、MMA 92g、BMA 64g、BA 43g、AA 25g、MPTS 7g、IPA 11g、TBPEH 11gからなる混合物を、前記反応容器中へ4時間かけて滴下し重合反応を行った。滴下終了の2時間後、「A−3」 0.6gと脱イオン水 16gとの混合物を、5分間で滴下し、その後、同温度で16時間撹拌し、加水分解縮合反応を行った。
【0174】
次いで、GMA 23g、TEA 15g、ポリシロキサン(PS−1) 76gを前記反応容器中へ添加し、次いで、脱イオン水 593gを添加した。その後、「BYK−020」 0.3gを添加して反応生成物を得た。前記反応生成物を、10〜300mmHgの減圧下で、40〜60℃の条件で2時間蒸留することにより、IPA、生成したメタノール及び水を除去し、不揮発分が34.8%である、ポリシロキサンセグメント(a1)とビニル重合体セグメント(a2)からなる親水性基含有複合樹脂(A10)の水分散体 1000gを得た。
【0175】
合成例14(同上)
合成例1と同様の反応容器に、PnP 67g、IPA 30g、PTMS 45g、DMDMS 27gを仕込んで、80℃まで昇温した。次いで、MMA 94g、BMA 77g、BA 44g、AA 13g、MPTS 7g、IPA 12g、TBPEH 12gからなる混合物を、前記反応容器中へ4時間かけて滴下し重合反応を行った。滴下終了の2時間後、「A−3」 0.7gと脱イオン水 20gとの混合物を、5分間で滴下し、その後、同温度で16時間撹拌し、加水分解縮合反応を行なった。
【0176】
次いで、TEA 19g、ポリシロキサン(PS−1) 72gを、前記反応容器中へ添加し、次いで、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA) 67gを添加した。その後、脱イオン水 533gを添加した。その後、「BYK−020」 0.3gを添加して反応生成物を得た。前記反応生成物を、10〜300mmHgの減圧下で、40〜60℃の条件で2時間蒸留することにより、IPA、生成したメタノール及び水を除去し、不揮発分が40.3%である、ポリシロキサンセグメント(a1)とビニル重合体セグメント(a2)からなる親水性基含有複合樹脂(A11)の水分散体 1000gを得た。
【0177】
合成例15(同上)
合成例1と同様の反応容器に、PnP 67g、IPA 30g、PTMS 45g、DMDMS 27gを仕込んで、80℃まで昇温した。次いで、MMA 94g、BMA 77g、BA 44g、AA 13g、MPTS 7g、IPA 12g、TBPEH 12gからなる混合物を、前記反応容器中へ4時間かけて滴下し重合反応を行った。滴下終了の2時間後、「A−3」 0.7gと脱イオン水 20gとの混合物を、5分間で滴下し、その後、同温度で16時間撹拌し、加水分解縮合反応を行なった。
【0178】
次いで、TEA 19g、ポリシロキサン(PS−2) 72gを、前記反応容器中へ添加し、次いで、DPHA 67gを添加した。その後、脱イオン水 533gを添加した。その後、「BYK−020」 0.3gを添加して反応生成物を得た。前記反応生成物を、10〜300mmHgの減圧下で、40〜60℃の条件で2時間蒸留することにより、IPA、生成したメタノール及び水を除去し、不揮発分が39.3%である、ポリシロキサンセグメント(a1)とビニル重合体セグメント(a2)からなる親水性基含有複合樹脂(A12)の水分散体 1000gを得た。
【0179】
合成例16(同上)
合成例1と同様の反応容器に、PnP 105g、IPA 75g、PTMS 88g、DMDMS 53gを仕込んで、80℃まで昇温した。次いで、MMA 40g、BMA 84g、2−エチルヘキシルメタクリレート(2−EHMA) 51g、AA 19g、MPTS 6g、TBPEH 10gからなる混合物を、前記反応容器中へ4時間かけて滴下し重合反応を行った。滴下終了の2時間後、「A−3」 1.4gと脱イオン水 40gとの混合物を、5分間で滴下し、その後、同温度で16時間撹拌し、加水分解縮合反応を行なった。
【0180】
次いで、TEA 26g、ポリシロキサン(PS−1) 147gを、前記反応容器中へ添加し、次いで、脱イオン水 469gを添加した。その後、「BYK−020」 0.6gを添加して反応生成物を得た。前記反応生成物を、10〜300mmHgの減圧下で、40〜60℃の条件で2時間蒸留することにより、IPA、生成したメタノール及び水を除去して、不揮発分が39.9%である、ポリシロキサンセグメント(a1)とビニル重合体セグメント(a2)からなる親水性基含有複合樹脂(A13)の水分散体 1000gを得た。
【0181】
合成例17(同上)
合成例1と同様の反応容器に、PnP 84g、IPA 60g、PTMS 71g、DMDMS 43gを仕込んで、80℃まで昇温した。次いで、MMA 32g、BMA 67g、2−EHMA 41g、AA 15g、MPTS 5g、TBPEH 8gからなる混合物を、前記反応容器中へ4時間かけて滴下し重合反応を行った。滴下終了の2時間後、「A−3」 1.1gと脱イオン水 32gとの混合物を、5分間で滴下し、その後、同温度で16時間撹拌し、加水分解縮合反応を行なった。
【0182】
次いで、TEA 21g、ポリシロキサン(PS−1) 110gを、前記反応容器中へ添加し、次いで、DPHA 80gを添加した。その後、脱イオン水 495gを添加した。その後、「BYK−020」 0.5gを添加して反応生成物を得た。前記反応生成物を、10〜300mmHgの減圧下で、40〜60℃の条件で2時間蒸留することにより、IPA、生成したメタノール及び水を除去して、不揮発分が40.3%である、ポリシロキサンセグメント(a1)とビニル重合体セグメント(a2)からなる親水性基含有複合樹脂(A14)の水分散体 1000gを得た。
【0183】
合成例18(同上)
合成例1と同様の反応容器に、PnP 70g、IPA 50g、PTMS 59g、DMDMS 36gを仕込んで、80℃まで昇温した。次いで、MMA 27g、BMA 56g、2−EHMA 34g、AA 12g、MPTS 4g、TBPEH 7gからなる混合物を、前記反応容器中へ4時間かけて滴下し重合反応を行った。滴下終了の2時間後、「A−3」 1gと脱イオン水 27gとの混合物を、5分間で滴下し、その後、同温度で16時間撹拌し、加水分解縮合反応を行なった。
【0184】
次いで、TEA 17g、ポリシロキサン(PS−1) 98gを、前記反応容器中へ添加し、次いで、DPHA 133gを添加した。その後、脱イオン水 513gを添加した。その後、「BYK−020」 0.4gを添加して反応生成物を得た。前記反応生成物を、10〜300mmHgの減圧下で、40〜60℃の条件で2時間蒸留することにより、IPA、生成したメタノール及び水を除去して、不揮発分が40.2%である、ポリシロキサンセグメント(a1)とビニル重合体セグメント(a2)からなる親水性基含有複合樹脂(A15)の水分散体 1000gを得た。
【0185】
合成例19(同上)
DPHA 133質量部に変えて、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA) 133質量部を使用する以外は、合成例18と同様の操作を行ない、不揮発分が40.1%であるポリシロキサンセグメント(a1)とビニル重合体セグメント(a2)からなる親水性基含有複合樹脂(A16)の水分散体(d−8) 1000部を得た。
【0186】
合成例20(同上)
DPHA 133gに変えて、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA) 133gを使用する以外は、合成例18と同様の操作を行ない、不揮発分が40.1%である、ポリシロキサンセグメント(a1)とビニル重合体セグメント(a2)からなる親水性基含有複合樹脂(A17)の水分散体 1000gを得た。
【0187】
合成例21(同上)
合成例1と同様の反応容器に、PnP 70g、IPA 50g、PTMS 59g、DMDMS 36gを仕込んで、80℃まで昇温した。次いで、MMA 27g、BMA 56g、2−EHMA 34g、AA 12g、MPTS 4g、TBPEH 7gからなる混合物を、前記反応容器中へ4時間かけて滴下し重合反応を行った。滴下終了の2時間後、「A−3」 1gと脱イオン水 27gとの混合物を、5分間で滴下し、その後、同温度で16時間撹拌し、加水分解縮合反応を行なった。
【0188】
次いで、TEA 17g、ポリシロキサン(PS−2) 99gを、前記反応容器中へ添加し、次いで、DPHA 133gを添加した。その後、脱イオン水 513gを添加した。その後、「BYK−020」 0.4gを添加して反応生成物を得た。前記反応生成物を、10〜300mmHgの減圧下で、40〜60℃の条件で2時間蒸留することにより、IPA、生成したメタノール及び水を除去して、不揮発分が40.3%である、ポリシロキサンセグメント(a1)とビニル重合体セグメント(a2)からなる親水性基含有複合樹脂(A18)の水分散体 1000gを得た。
【0189】
合成例22(同上)
合成例1と同様の反応容器に、PTMS 70g、DMDMS 43gを仕込んで、100℃まで昇温した。次いで、MMA 59g、AA 16g、MPTS 5g、TBPEH 8gからなる混合物を、前記反応容器中へ4時間かけて滴下し、その後、同温度で16時間撹拌した。
【0190】
次いで、前記反応容器中の温度を80℃に設定し、MPTS 66gを添加し重合反応を行った。添加後、「A−3」 1.6gと脱イオン水 23.2gとの混合物を、5分間で滴下し、その後、同温度で16時間撹拌し、加水分解縮合反応を行なった。次いで、PnP 100gを添加し、10〜300mmHgの減圧下で、40〜60℃の条件で2時間蒸留することにより、生成したメタノール及び水を除去した。次いで、DPHA 100g、2−ジメチルアミノエタノール(DMAE) 20gを添加し、脱イオン水 580gを添加することにより、不揮発分が30.5%である、ポリシロキサンセグメント(a1)とビニル重合体セグメント(a2)からなる親水性基含有複合樹脂(A19)の水分散体 1000gを得た。
【0191】
合成例23(同上)
合成例1と同様の反応容器に、PTMS 53g、DMDMS 61gを仕込んで、90℃まで昇温した。次いで、MMA 59g、AA 16g、MPTS 5g、TBPEH 8gからなる混合物を、前記反応容器中へ4時間かけて滴下し、その後、同温度で16時間撹拌した。
【0192】
次いで、前記反応容器中の温度を80℃に設定し、MPTS 66gを添加した。添加後、「A−3」 1.7gと脱イオン水 24gとの混合物を、5分間で滴下し、その後、同温度で16時間撹拌し、加水分解縮合反応を行なった。次いで、PnP 100gを添加し、10〜300mmHgの減圧下で、40〜60℃の条件で2時間蒸留することにより、生成したメタノール及び水を除去した。次いで、DPHA 100g、DMAE 20gを添加し、脱イオン水 580gを添加することにより、不揮発分が30.4%である、ポリシロキサンセグメント(a1)とビニル重合体セグメント(a2)からなる親水性基含有複合樹脂(A20)の水分散体 1000gを得た。
【0193】
合成例24(同上)
合成例1と同様の反応容器に、PnP 130g、PTMS 60g、DMDMS 99gを仕込んで、80℃まで昇温した。次いで、MMA 26g、BMA 25g、BA 18g、AA 16g、MPTS 3g、PnP 4g、TBPEH 4gからなる混合物を、前記反応容器中へ4時間かけて滴下し重合反応を行った。滴下終了の2時間後、反応容器中の温度を120℃に設定し、同温度で2時間保持した。その後、反応容器中の温度を80℃に設定し、「A−3」 0.016gと脱イオン水 45gとの混合物を、5分間で滴下し、その後、同温度で16時間撹拌し、加水分解縮合反応を行なった。
【0194】
次いで、ポリシロキサン(PS−3) 173g、MPTS 47gを前記反応容器中へ添加し、次いで、脱イオン水 40gを添加し、反応容器中の温度80℃で4時間保持した。次いで、前記反応生成物を、10〜300mmHgの減圧下で、40〜60℃の条件で2時間蒸留することにより、生成したメタノール及び水を除去した。その後、TEA 18g、脱イオン水 498gを添加することにより、不揮発分が35.6%である、ポリシロキサンセグメント(a1)とビニル重合体セグメント(a2)からなる親水性基含有複合樹脂(A21)の水分散体 1000gを得た。
【0195】
合成例25(同上)
合成例1と同様の反応容器に、PnP 107.9g、PTMS 50g、DMDMS 83gを仕込んで、80℃まで昇温した。次いで、MMA 22g、BMA 21g、BA 15g、AA 14g、MPTS 2g、PnP 4g、TBPEH 4gからなる混合物を、前記反応容器中へ4時間かけて滴下し重合反応を行った。滴下終了の2時間後、反応容器中の温度を120℃に設定し、同温度で2時間保持した。その後、反応容器中の温度を80℃に設定し、「A−3」 0.014gと脱イオン水 38gとの混合物を、5分間で滴下し、その後、同温度で16時間撹拌し、加水分解縮合反応を行なった。
【0196】
次いで、ポリシロキサン(PS−3) 145g、MPTS 39gを前記反応容器中へ添加し、次いで、脱イオン水 33gを添加し、反応容器中の温度80℃で4時間保持して反応生成物を得た。次いで、前記反応生成物を、10〜300mmHgの減圧下で、40〜60℃の条件で2時間蒸留することにより、生成したメタノール及び水を除去した。その後、DPHA 58g、PnP 18g、TEA 19g、脱イオン水 520gを添加することにより、不揮発分が34.6%である、ポリシロキサンセグメント(a1)とビニル重合体セグメント(a2)からなる親水性基含有複合樹脂(A22)の水分散体 1000gを得た。
【0197】
合成例26(同上)
合成例1と同様の反応容器に、PnP 54g、IPA 25g、PTMS 36g、DMDMS 22gを仕込んで、80℃まで昇温した。次いで、MMA 76g、BMA 53g、BA 36g、AA 20g、MPTS 6g、IPA 9g、TBPEH 9gからなる混合物を、前記反応容器中へ4時間かけて滴下し重合反応を行った。滴下終了の2時間後、「A−3」 0.5gと脱イオン水 13gとの混合物を、5分間で滴下し、その後、同温度で16時間撹拌し、加水分解縮合反応を行なった。
【0198】
次いで、GMA 19g、TEA 12g、ポリシロキサン(PS−1) 63g、DPHA 58gを、前記反応容器中へ添加し、次いで、脱イオン水 550gを添加した。その後、「BYK−020」 0.3gを添加して反応生成物を得た。前記反応生成物を、10〜300mmHgの減圧下で、40〜60℃の条件で2時間蒸留することにより、IPA、生成したメタノール及び水を除去して、不揮発分が35.0%であるポリシロキサンセグメント(a1)とビニル重合体セグメント(a2)からなる親水性基含有複合樹脂(A23)の水分散体 1000gを得た。
【0199】
合成例27〔比較対照用複合樹脂(A´1)の調製〕
合成例1と同様の反応容器に、PTMS 191gを仕込んで、120℃まで昇温した。次いで、MMA 169g、MPTS 11g、TBPEH 18gからなる混合物を、前記反応容器中へ4時間で滴下した。その後、同温度で16時間撹拌することにより、トリメトキシシリル基を有するビニル重合体(a2−1−8)を調製した。
【0200】
次いで、前記反応容器の温度を80℃に調整し、MTMS 454g、DMDMS 116gを添加した。その後、「A−3」 8.4gと脱イオン水 134gとの混合物を、5分間で滴下し、同温度で2時間撹拌することにより、加水分解縮合反応させ、反応生成物を得た。反応生成物を、1H−NMRを用いて分析したところ、前記ビニル重合体(a2−1−8)が有するトリメトキシシリル基のほぼ100%が加水分解していた。その後、前記反応生成物を、10〜300mmHgの減圧下に、40〜60℃の条件で2時間蒸留することにより、生成したメタノール及び水を除去し、次いで、BuAc 400gを添加することで、不揮発分が60.1%である重合性二重結合を有さないポリシロキサンセグメント(a´1)とビニル重合体セグメント(a2)からなる比較対照用複合樹脂(A´1)の溶液 1000gを得た。
【0201】
合成例28(同上)
合成例1と同様の反応容器に、トルエン 400gを仕込んで、80℃まで昇温した。次いで、MMA 200g、AA 25g、メタクリロイルポリジメチルシロキサン[サイラプレンFM−0721:MW(質量平均分子量)5000、 チッソ株式会社製] 50g、TBPEH 18gからなる混合物を、前記反応容器中へ4時間で滴下し、その後、同温度で20時間撹拌を行なった。次いで、GMA 50g、2−MIZ 2.5gを添加し、同温度で4時間撹拌を行ない、不揮発分が44.2質量%からなるポリジメチルシロキサングラフト樹脂の溶液 725gを得た。以下、これを比較対照用複合樹脂(A´2)の溶液と略記する。
【0202】
合成例29(同上)
合成例1と同様の反応容器に、PnP 105g、IPA 75g、PTMS 88g、DMDMS 53gを仕込んで、80℃まで昇温した。次いで、MMA 40g、BMA 84g、2−EHMA 51g、AA 19g、MPTS 6g、TBPEH 10gからなる含有する混合物を、前記反応容器中へ4時間かけて滴下し重合反応を行った。滴下終了の2時間後、「A−3」 1.4gと脱イオン水 40gとの混合物を、5分間で滴下し、その後、同温度で16時間撹拌し、加水分解縮合反応を行なった。
【0203】
次いで、TEA 26g、ポリシロキサン(PS−3) 157gを、前記反応容器中へ添加し、次いで、脱イオン水 469gを添加した。その後、「BYK−020」 0.6gを添加して反応生成物を得た。前記反応生成物を、10〜300mmHgの減圧下で、40〜60℃の条件で2時間蒸留することにより、IPA、生成したメタノール及び水を除去して、不揮発分が40.2%である、重合性二重結合を有さないポリシロキサンセグメント(a´1)とビニル重合体セグメント(a2)からなる親水性基含有複合樹脂(A´3)の水分散体 1000gを得た。
【0204】
合成例30(同上)
合成例1と同様の反応容器に、PnP 36g、IPA 80g、PTMS 54g、DMDMS 32gを仕込んで、80℃まで昇温した。次いで、MMA 112g、BMA 92g、BA 52g、AA 16g、MPTS 8g、PnP 14g、TBPEH 14gからなる混合物を、前記反応容器中へ4時間かけて滴下し重合反応を行った。滴下終了の2時間後、「A−3」 0.9gと脱イオン水 24gとの混合物を、5分間で滴下し、その後、同温度で16時間撹拌し、加水分解縮合反応を行なった。
【0205】
次いで、TEA 18g、ポリシロキサン(PS−3) 93gを、前記反応容器中へ添加し、次いで、脱イオン水 550gを添加した。その後、「BYK−020」 0.4gを添加して反応生成物を得た。前記反応生成物を、10〜300mmHgの減圧下で、40〜60℃の条件で2時間蒸留することにより、IPA、生成したメタノール及び水を除去して、不揮発分が40.0%である重合性二重結合を有さないポリシロキサンセグメント(a´1)とビニル重合体セグメント(a2)からなる親水性基含有複合樹脂(A´4)の水分散体 1000gを得た。
【0206】
合成例1〜30について、表1〜8にまとめる。
【0207】
【表1】

【0208】
【表2】

【0209】
【表3】

【0210】
【表4】

【0211】
【表5】

【0212】
【表6】

【0213】
【表7】

【0214】
【表8】

【0215】
第1表〜第8表の脚注
「PTMS」:フェニルトリメトキシシラン
「MTMS」:メチルトリメトキシシラン
「DMDMS」:ジメチルジメトキシシラン
「APTS」:3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン
「MPTS」:3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン
「MMA」:メチルメタクリレート
「AA」:アクリル酸
「GMA」:グリシジルメタクリレート
「TBPEH」:tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート
「BuAc」:酢酸ブチル
「BMA」:ブチルメタクリレート
「2−EHMA」:2−エチルヘキシルメタクリレート
「BA」:ブチルアクリレート
「DPHA」:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
「TMPTA」:トリメチロールプロパントリアクリレート
「TPGDA」:トリプロピレングリコールジアクリレート
「FM−0721」:チッソ株式会社製のメタクリロイルポリジメチルシロキサンであるサイラプレンFM−0721(重量平均分子量5000)
【0216】
表中の「保存安定性」は、合成例で得た複合樹脂、複合樹脂の溶液、複合樹脂の水分散体をそれぞれ40℃の環境下で30日間放置した後の粘度(経時粘度)を、30日間放置する前の粘度(初期粘度)で除した値であり、概ね1.0〜3.0程度であれば、塗料などとして使用可能である。
【0217】
実施例1
合成例1で得られた複合樹脂A1の30重量部、DPHAの30重量部、イルガキュア184[光重合開始剤 チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製]の2.4重量部を混合後、よく撹拌することによって紫外線硬化性樹脂組成物1(透明の紫外線硬化性塗料1)を得た。この紫外線硬化性樹脂組成物1を用いて硬化塗膜を調製し、得られた硬化塗膜のゲル分率、塗膜外観、鉛筆硬度、耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性の下記方法にて評価を行った。
【0218】
「ゲル分率」:紫外線硬化性樹脂組成物1を、ポリプロピレン板上に、硬化塗膜の膜厚が20μmとなるように塗装し、80℃の環境下で2分間乾燥させた後、80W/cm2の高圧水銀灯下、約2000mJの照射量で、塗膜を硬化させた。次いで、得られた硬化塗膜をポリプロピレン板から剥離し、重量(初期質量)を測定した。測定後、該硬化塗膜をアセトン中に25℃で24時間浸漬させ、浸漬後の重量(経時重量)を測定した。求めた重量を用いてゲル分率を(経時質量/初期質量)×100の値で評価した。なお、紫外線硬化性水性樹脂組成物のゲル分率は、使用目的等によってことなるものの、例えば紫外線硬化性水性樹脂組成物を塗料に使用する場合には、概ね70%以上であることが好ましい。
【0219】
「塗膜外観」:紫外線硬化性樹脂組成物1を、ガラス板上に硬化塗膜の膜厚が20μmとなるように塗装し、80℃の環境下で2分間乾燥させた後、80W/cm2の高圧水銀灯下、約2000mJを照射して硬化塗膜を得た。硬化塗膜の状態を目視で観察し、全く白化していないものを(○)、若干の白化が見られるものを(△)、白化のみられるものを(×)として判定した。
【0220】
「鉛筆硬度」、「耐溶剤性」、「耐酸性」に用いる硬化塗膜は日本ルートサービス(株)製の電着中塗り水研ぎ板(ポリエステル・メラミン系塗料が塗装された塗装鋼板を水研ぎして得られた塗板)上に硬化塗膜の膜厚が20μmとなるように塗装し、80℃の環境下で2分間乾燥させた後、80W/cm2の高圧水銀灯下、約2000mJを照射して得られた硬化塗膜を用いて行った。
【0221】
「鉛筆硬度」:JIS K−5600−5−4に基づいて測定した。
【0222】
「耐溶剤性」:メチルエチルケトンを浸み込ませたフェルトで、硬化塗膜上を往復50回ラビングしたのちの硬化塗膜の状態を、指触及び目視により判定した。評価基準は下記の通りである。
○:軟化及び光沢低下が認められない。
△:若干の軟化又は光沢低下が認められる。
×:著しい軟化又は光沢低下が認められる。
【0223】
「耐酸性」:前記硬化塗膜の一部を5重量%硫酸水溶液に浸し、25℃で24時間放置した。放置後の硬化塗膜を水洗いし、乾燥した後の、該硬化塗膜の表面状態を目視により評価した。評価基準は下記の通りである。
○:エッチング跡なし。
△:若干エッチング跡あり。
×:エッチング著しい。
【0224】
「耐アルカリ性」:前記硬化塗膜の一部を5重量%水酸化ナトリウム水溶液に浸し、25℃で24時間放置した。放置後の硬化塗膜を水洗いし、乾燥した後の、該硬化塗膜の表面状態を目視により評価した。評価基準は下記の通りである。
○:エッチング跡なし。
△:若干エッチング跡あり。
×:エッチング著しい。
【0225】
(実施例2〜34及び比較例1〜4)
第9表〜第16表に示した配合に基づき、実施例1と同様の方法で、それぞれ紫外線硬化性樹脂組成物2〜34及び比較対照用紫外線硬化性樹脂組成物1´〜4´を調製した。実施例1と同様にして評価を行い、その結果を第9表〜第16表に示す。
【0226】
【表9】

【0227】
【表10】

【0228】
【表11】

【0229】
【表12】

【0230】
【表13】

【0231】
【表14】

【0232】
【表15】

【0233】
【表16】

【0234】
「DPHA」:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
「イルガキュア184」:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製の光開始剤
「GPTS」:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
「デコナールEX−614B」:ナガセケムテックス株式会社製のエポキシ化合物
【産業上の利用可能性】
【0235】
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物は紫外線硬化、並びに、シラノール基及び/又は加水分解性シリル基の縮合反応による塗膜の架橋密度の向上という2つの硬化機構により耐久性に優れる硬化塗膜が得られる。従って、従来熱硬化型樹脂組成物を用いることが困難だった建築外装用塗料や、熱変形しやすい基材に対する塗料用として好適に使用できる。また、光触媒コーティング剤、インキ、接着剤、及びガスバリアフィルムをはじめとする各種フィルムのバインダー樹脂等にも使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シラノール基および/または加水分解性シリル基、並びに重合性二重結合を有するポリシロキサンセグメント(a1)と、該ポリシロキサンセグメント(a1)以外の重合体セグメント(a2)とを有する複合樹脂(A)及び光開始剤(B)を含有することを特徴とする紫外線硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
前記ポリシロキサンセグメント(a1)が下記一般式(S−2)および/または下記一般式(S−3)で表される構造単位を有するポリシロキサンセグメントである請求項1記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
【化1】

【化2】

(前記一般式(S−2)及び(S−3)中、R3、R4及びR5は、それぞれ独立して炭素原子数が1〜6のアルキル基、炭素原子数が3〜8のシクロアルキル基、アリール基または炭素原子数が7〜12のアラルキル基を示す。)
【請求項3】
前記ポリシロキサンセグメント(a1)が重合性二重結合をポリシロキサンセグメントの重量を基準として1〜40重量%含有するポリシロキサンセグメントである請求項1記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記ポリシロキサンセグメント(a1)の含有率が、前記複合樹脂(A)に対して10〜95重量%である、請求項1記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
前記重合体セグメント(a2)がビニル重合体セグメントおよび/またはポリウレタン重合体セグメントである請求項1記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
前記複合樹脂(A)が、ポリシロキサンセグメント(a1)と重合体セグメント(a2)とが下記の構造式(S−5)で示される構造で結合する複合樹脂である請求項1記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
【化3】

(式中、炭素原子は重合体セグメント(a2)を構成する炭素原子であり、2個の珪素原子はポリシロキサンセグメント(a1)を構成する珪素原子である)
【請求項7】
更に有機溶剤を含有する請求項1記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
更に多官能(メタ)アクリレートを含有する請求項1記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
【請求項9】
前記複合樹脂(A)が、アニオン性基を有する複合樹脂である請求項1記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
【請求項10】
前記アニオン性基が中和されたカルボキシル基である請求項9記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
【請求項11】
前記アニオン性基の含有率が前記複合樹脂(A)の重量を基準として0.1〜20重量%である請求項9記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
【請求項12】
更に水を含有する請求項9記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
【請求項13】
更に多官能(メタ)アクリレートを含有する請求項9記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
【請求項14】
前記光開始剤(B)がアセトフェノン類、ベンジルケタール類、ベンゾフェノン類およびベンゾイン類からなる群から選ばれる一種以上の光開始剤である請求項1記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
【請求項15】
前記光開始剤(B)の含有率が複合樹脂(A)及び光開始剤(B)の合計に対して0.1〜20重量%である請求項14記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれかに記載の紫外線硬化性樹脂組成物を含有することを特徴とする紫外線硬化性塗料。
【請求項17】
請求項16に記載の紫外線硬化性塗料を塗装して得られることを特徴とする塗装物。

【公開番号】特開2006−328354(P2006−328354A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−57803(P2006−57803)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(000002886)大日本インキ化学工業株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】