説明

紫外線遮断ガラスの改質方法

【課題】紫外線遮断性能を有するガラスについて、特定波長以下の紫外線のみをシャープに遮断する優れた透過特性を維持した上で、アルカリ成分による悪影響を低減することができる新規な改質方法を提供する。
【解決手段】ハロゲン化銅微粒子が全体又は一部に分散し且つSiO2を含有する相を含む分相ガラスを酸溶液に接触させて、該分相ガラス表面の少なくとも一部に高ケイ酸層を形成することを特徴とする紫外線遮断ガラスの改質方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線遮断ガラスの改質方法および該方法により改質されたガラスの用途に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像表示装置などとして、液晶パネルが広く利用されている。現在、画像表示装置には、高画質であることと高照度であることが求められており、そのため光源として高輝度ランプが使用されている。
【0003】
高輝度ランプなどの光源は、強い紫外線を発するので、部品の劣化の原因となる。特に、液晶は、紫外線に対する耐久性が低いので、液晶を紫外線から保護する手段が必要となる。
【0004】
現在、ハロゲン化銅微粒子をガラス中またはガラス表層に拡散させた紫外線ガラスが、ある任意の波長以下の紫外線を遮断し、それ以上の波長の光を透過させる透過特性を有することが知られている。例えば、特許文献1には、ハロゲン化銅を含む着色ガラスが開示されている。
【0005】
しかしながら、上記ガラスを液晶と直接接触する液晶保護用ガラスとして使用すると、ガラスに含まれているアルカリ成分によって、液晶が劣化してしまうという問題点が生じる。
【特許文献1】特許2518749号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、紫外線遮断性能を有するガラスについて、特定波長以下の紫外線のみをシャープに遮断する優れた透過特性を維持した上で、アルカリ成分による悪影響を低減し、更に、その他各種の優れた機能性を付与することができる新規な改質方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、SiO2を含有する相を含む分相ガラス中に紫外線吸収成分としてのハロゲン化銅が分散した紫外線遮断ガラスについて、その表面を酸溶液に接触させることによって紫外線遮断ガラスの表面にアルカリ成分などをほとんど含まない高ケイ酸層を形成でき、処理後のガラスは、良好な紫外線遮断性能を維持した上で優れた機能性を有するものとなることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、下記の紫外線遮断ガラスの改質方法及び該方法により改質されたガラスの用途に係るものである。
1.ハロゲン化銅微粒子が全体又は一部に分散し且つSiO2を含有する相を含む分相ガラスを、酸溶液に接触させて該分相ガラス表面の少なくとも一部に高ケイ酸層を形成することを特徴とする紫外線遮断ガラスの改質方法。
2.高ケイ酸層が、SiO2を80重量%以上含む層である上記項1に記載の紫外線遮断ガラスの改質方法。
3.酸溶液が、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸、酢酸及び過塩素酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸を含む水溶液である上記項1又は2に記載の紫外線遮断ガラスの改質方法。
4.分相ガラスが、SiO220〜85重量%、B2O3 2〜75重量%、Al2O3 15重量%以下、Li2O、Na2O、K2O、Rb2OおよびCs2Oの少なくとも一種30重量%以下、MgO、CaO、ZnO、BaO、SrOおよびPbOの少なくとも一種10重量%以下、Nb2O5、ZrO2、La2O3、Y2O3、Ta2O3およびGd2O3の少なくとも一種10重量%以下、及びハロゲン化銅0.01〜15重量%を含むガラスである上記項1〜3のいずれかに記載の紫外線遮断ガラスの改質方法。
5. 分相ガラスが、SiO2 20〜85重量%、B2O3 2〜75重量%、Al2O315重量%以下、Li2O、Na2O、K2O、Rb2OおよびCs2Oの少なくとも一種30重量%以下、MgO、CaO、ZnO、BaO、SrOおよびPbOの少なくとも一種10重量%以下、Nb2O5、ZrO2、La2O3、Y2O3、Ta2O3およびGd2O3の少なくとも一種10重量%以下、及びCl、Br及びIから選ばれた少なくとも一種のハロゲン成分0.01〜15重量%を含むガラスに、銅イオンを拡散させてハロゲン化銅微結晶を含む層を形成させたガラスである上記項1〜3のいずれかに記載の紫外線遮断ガラスの改質方法。
6. 上記項1〜5の何れかに記載の方法により改質された紫外線遮断ガラスからなる液晶保護用ガラス。
【発明の効果】
【0009】
本発明の改質方法によれば、任意の波長以下の紫外線のみをシャープに遮断する優れた透過特性を維持した上で、アルカリ成分による悪影響を低減し、更に、その他各種の優れた機能性を有する紫外線遮断ガラスを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明において処理対象とするガラスは、ハロゲン化銅が全体又は一部に分散し、且つSiO2を含有する相を含む分相ガラスである。このような分相ガラスとしては、SiO2を含有する相を含むホウケイ酸ガラスを例示できる。
【0011】
該分相ガラスに含まれるハロゲン化銅としては、例えば、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅等を例示でき、これらの1種又は2種以上を混合して用いることができる。ハロゲン化銅は、微結晶として分相ガラス中に分散されているのが好ましい。ハロゲン化銅結晶の大きさは、直径0.1〜10nm程度であることが好ましく、0.5〜5nm程度であることがより好ましい。
【0012】
該分相ガラスにおけるハロゲン化銅の含有量は、目的とする紫外線吸収能を有する範囲で適宜決めればよい。分相ガラス全体にハロゲン化銅が分散されている場合には、分相ガラス全体に対するハロゲン化銅の割合として、0.01〜15重量%程度であることが好ましく、0.05〜5重量%程度であることがより好ましく、0.1〜2重量%程度であることが更に好ましい。
【0013】
また、分相ガラスの一部にハロゲン化銅を分散させる場合には、例えばCl、Br、Iなどのハロゲン成分を通常0.01〜15重量%程度、好ましくは0.1〜2重量%程度含むガラスに銅イオンを拡散させることによって、銅イオンが拡散した部分において、銅イオンとハロゲン成分とが反応し、ハロゲン化銅が分散した紫外線吸収層を形成することができる。
【0014】
本発明方法では、上述した処理対象とする分相ガラスを酸溶液に接触させることによって該分相ガラスの改質を行う。これにより、分相ガラスの酸溶液との接触部分において、アルカリ成分などの可溶成分が溶出して、該分相ガラスの表面に不溶成分であるSiO2を多量に含有する高ケイ酸層が形成される。高ケイ酸層におけるSiO2量については、特に限定はなく、改質後のガラスの使用目的などに応じて適宜決めれば良いが、通常、高ケイ酸層におけるSiO2量が80重量%程度以上であることが好ましく、85重量%程度以上であることがより好ましい。
【0015】
酸溶液を接触させる方法については、特に限定的ではなく、処理対象の分相ガラスと酸溶液とが十分に接触できる方法であればよいが、通常は、酸溶液に分相ガラスの一部又は全体を浸漬させる方法が一般的である。
【0016】
酸溶液を接触させる条件についても特に限定的ではなく、使用する分相ガラスの組成、形状などに応じて、目的とするケイ酸含有量の高ケイ酸層が形成され、且つ分相ガラスの少なくとも一部にハロゲン化銅が残存する条件とすればよい。
【0017】
酸溶液として、例えば、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸、酢酸、過塩素酸等の酸を含有する水溶液を用いることができる。これらの酸は一種単独又は二種以上混合して用いることができる。
【0018】
酸溶液の濃度は、酸の種類などに応じて適宜設定することができるが、通常、0.1規定〜10規定程度、好ましくは0.5規定〜5規定程度とすればよい。
【0019】
酸溶液の温度については、室温でも良いが、処理効率を向上させるためには、50〜100℃程度、好ましくは70℃〜100℃程度に加熱して用いればよい。
【0020】
分相ガラスを酸溶液に接触させる時間は、通常3〜48時間程度、好ましくは6〜24時間程度、より好ましくは12〜24時間程度とすればよい。酸溶液に接触させた後は、水洗などにより、必要に応じて酸溶液を除去すればよい。
【0021】
酸溶液を接触させる部分については、分相ガラスの種類、使用目的などに応じて適宜選択すればよく、例えば、(1)分相ガラス全体にハロゲン化銅を含有する場合に、酸溶液を分相ガラスの両面の表層に接触させて可溶成分を溶出させる方法、(2)分相ガラス全体にハロゲン化銅を含有する場合に、酸溶液を分相ガラスの片面の表層に接触させて可溶成分を溶出させる方法、(3)分相ガラス両面の表層のみにハロゲン化銅を含有する場合に、酸溶液を分相ガラスの片面の表層に接触させて可溶成分を溶出させる方法、(4)分相ガラスが片面の表層のみにハロゲン化銅を含有する場合に、酸溶液を少なくともハロゲン化銅を含有しない面の表層に接触させて可溶相を溶出させる方法、(5)分相ガラスが、ファイバー状であって、ガラス全体にハロゲン化銅を含有する場合に、酸溶液をガラスの表層に接触させて可溶相を溶出させる方法などを例示できる。また、酸処理後に分相ガラスの一部にハロゲン化銅が所望量残存している限り、ガラス全体を酸溶液に浸漬してもよい。
【0022】
上記した方法の内で、例えば、(1)の方法では、板状の分相ガラスの中心部に層状にハロゲン化銅を残存させることができる。上記(2)及び(3)の方法では、例えば、分相ガラスの片面にハロゲン化銅を残存させることができる。上記(4)の方法において、ハロゲン化銅を含有しない面の表層のみに酸溶液を接触させる場合には、酸溶液を接触させていない面において、ハロゲン化銅を残存させることができる。上記(5)の方法では、例えば、ファイバーの中心部分にハロゲン化銅を残存させることができる。
【0023】
残存させるハロゲン化銅の量は、用途に応じて適宜設定することができる。例えば、目的とする紫外線吸収能を有する範囲で適宜設定することができる。
【0024】
酸溶液を接触させたくない箇所については、酸溶液に溶解せず且つ酸溶液と反応しない公知の被覆材料を用いて分相ガラスにシールをしてから、分相ガラスを酸溶液に接触させてもよい。例えば、真空蒸着法や塗布法によってSiO2膜を形成する方法、樹脂シート、塗料などを用いて被覆する方法などを適用できる。
【0025】
本発明方法によれば、酸溶液と接触させて改質された分相ガラスは、その表面が多孔質となっており、可視光線の透過率が低下する場合がある。この様な場合には、酸溶液と接触させた後、熱処理を行うことによって高ケイ酸層を高密度化して可視光線の透過率を向上させることができる。また、熱処理を行うことによって、高ケイ酸層の下層からのアルカリ成分の浸透を抑制して、液晶に対する汚染性を低下させることができ、更に、紫外線遮断ガラスの耐薬品性を向上させることもできる。熱処理条件については、特に限定的ではないが、加熱温度は、400〜900℃程度とすれば良く、700〜900℃程度とすることが好ましい。熱処理時間については、高ケイ酸層の厚さや熱処理温度に応じて、目的とする高密度化が達成されるまでの時間とすれば良く、通常、30分〜200時間程度とすればよい。熱処理雰囲気については、通常、大気中などの含酸素雰囲気とすればよい。
【0026】
分相ガラス
以下、本発明方法の処理対象とする分相ガラスについて、より詳細に説明する。
(1)ハロゲン化銅微粒子が均一に分散した分相ガラス
処理対象とする分相ガラスでは、ハロゲン化銅以外の各成分は、従来からガラスにおいて使用されている各種の成分から選択して使用することができる。
【0027】
この様な分相ガラスの内で、ハロゲン化銅微粒子が均一に分散した分相ガラスとしては、例えば、SiO2 20〜85重量%程度、B2O3 2〜75重量%程度、Al2O3 15重量%程度以下、Li2O、Na2O、K2O、Rb2OおよびCs2Oの少なくとも一種30重量%程度以下、MgO、CaO、ZnO、BaO、SrOおよびPbOの少なくとも一種10重量%程度以下、Nb2O5、ZrO2、La2O3、Y2O3、Ta2O3およびGd2O3の少なくとも一種10重量%程度以下、及びハロゲン化銅0.01〜15重量%程度を含むホウケイ酸ガラスを好適に用いることができる。
【0028】
上記ホウケイ酸ガラスに含まれるSiO2の含有量は、通常20〜85重量%程度、好ましくは30〜70重量%程度、より好ましくは50〜65重量%程度である。
【0029】
上記ホウケイ酸ガラスに含まれるB2O3の含有量は、通常2〜75重量%程度、好ましくは10〜40重量%程度、より好ましくは15〜35重量%程度である。
【0030】
上記ホウケイ酸ガラスに含まれるLi2O、Na2O、K2O、Rb2OおよびCs2Oからなる群から選択される少なくとも一種の成分の含有量は、通常約30重量%以下、好ましくは0.5〜20重量%程度、より好ましくは0.5〜10重量%、特に好ましくは0.5〜5重量%程度である。
【0031】
上記ホウケイ酸ガラスに含まれるMgO、CaO、ZnO、BaO、SrOおよびPbOからなる群から選択される少なくとも一種の成分の含有量は、通常約10重量%以下、好ましくは0.5〜10重量%程度、より好ましくは0.5〜5重量%程度である。
【0032】
上記ホウケイ酸ガラスに含まれるAl2O3の含有量は、通常15重量%程度以下、好ましくは1〜10重量%程度である。
【0033】
上記ホウケイ酸ガラスに含まれるNb2O5、ZrO2、La2O3、Y2O3、Ta2O3およびGd2O3からなる群から選択される少なくとも一種の成分の含有量は、通常10重量%程度以下、好ましくは0.5〜5重量%程度である。
【0034】
上記ホウケイ酸ガラスにはAs2O3、Sb2O3及びSnOからなる群から選択される少なくとも1種の成分が含まれていても良く、その含有量は、通常1重量%程度以下とすればよい。これらの成分は清澄剤として有用である。
【0035】
上記ホウケイ酸ガラスは、Fe、Ni、Mn、Co、V、Cr、Cu、Pd、Ce、希土類元素(Sc、Ti、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等)等の酸化物を含んでいてもよい。これら酸化物は、1種単独でもよく、又は2種以上を含んでいてもよい。これらの酸化物の含有量は、特に制限されないが、通常約15重量%以下、好ましくは5〜10重量%程度、より好ましくは0.1〜5重量%程度とすればよい。これらの酸化物を含むガラスでは、一定波長以下の紫外線をほぼ完全に遮断すると共に、それ以上の波長については、含まれる酸化物の種類に応じた特有の吸収特性を示すものとなる。
【0036】
本発明において処理対象とする分相ガラスは、公知の方法により製造することができる。例えば、上述したホウケイ酸ガラスは、特許2518749号公報、特許2645923号公報、特許2852462号公報などに開示されている公知の方法により製造することができる。即ち、所定の組成となるように原料を配合し、従来行われているガラス製造法に従って処理すればよい。より具体的には、所定の組成になるように原料を調合し、1200〜1500℃程度の温度で溶融し、撹拌し、清澄し、型に流し込み、冷却中又は冷却後、450〜700℃程度の温度で0.1〜5時間程度熱処理を行い、切断、研磨などの加工をすることなどにより、所望の形態のガラス製品を得ることができる。
【0037】
上記の製造過程において、ガラス中にハロゲン化銅の微粒子を混入させるには、ハロゲン化銅を、或いはその原料となる銅源としての酸化銅、ハロゲン化銅などの銅化合物と該銅源とともにハロゲン化銅をつくり得るハロゲン源としてのハロゲン化リチウム、ハロゲン化ナトリウム、ハロゲン化カリウム、ハロゲン化ルビジウム、ハロゲン化セシウムなどのハロゲン化アルカリ化合物とを、所定の組成となるように他の原料と配合すればよい。またハロゲン化銅以外の成分としては、結果として所定の成分となり得る酸化物、炭酸塩、水酸化物などの従来のガラス原料をそのまま使用することができる。
【0038】
なお、上記の冷却過程は、ガラスに熱的歪みが生じないように、10〜100℃/hr程度、好ましくは30〜50℃hr程度、また加熱は、10〜300℃/hr程度、好ましくは30〜100℃/hr程度のゆっくりとした速度で行うことが望ましい。これらの加熱速度および加熱時間によって、ハロゲン化銅の結晶の大きさが決定される。溶融工程は、酸化雰囲気でも良いが、Cuイオンが、その間Cu-となるように、中性又は還元雰囲気中で行うのが好ましい。また、清澄工程において清澄剤としてAs2O3、Sb2O3、SnOなどを使用してもよい。
(2)ハロゲン化銅微粒子が一部に分散した分相ガラス
本発明方法の処理対象とする分相ガラスの内で、ハロゲン化銅微粒子が一部に分散した分相ガラスとしては、ハロゲンを含む母材ガラスに銅イオンを拡散させてハロゲン化銅を生成させた分相ガラスを用いることができる。このような方法において用いる母材ガラスとしては、SiO2 20〜85重量%、B2O32〜75重量%、Al2O315重量%以下、Li2O、Na2O、K2O、Rb2OおよびCs2Oの少なくとも一種30重量%以下、MgO、CaO、ZnO、BaO、SrOおよびPbOの少なくとも一種10重量%以下、Nb2O5、ZrO2、La2O3、Y2O3、Ta2O3およびGd2O3の少なくとも一種10重量%以下、及びCl、Br及びIから選ばれた少なくとも一種のハロゲン成分0.01〜15重量%を含むガラスを例示できる。
【0039】
上記母材ガラスに含まれるSiO2の含有量は、通常20〜85重量%程度、好ましくは30〜85重量%程度、より好ましくは40〜82重量%程度である。
【0040】
上記母材ガラスに含まれるB2O3の含有量は、通常2〜75重量%程度、好ましくは12〜50重量%程度である。
【0041】
上記母材ガラス含まれるLi2O、Na2O、K2O、Rb2OおよびCs2Oからなる群から選択される少なくとも一種の成分の含有量は、通常約30重量%以下、好ましくは2〜20重量%程度、より好ましくは5〜20重量%、特に好ましくは15重量%程度である。
【0042】
上記母材ガラスに含まれるMgO、CaO、ZnO、BaO、SrOおよびPbOからなる群から選択される少なくとも一種の成分の含有量は、通常10重量%以下、好ましくは0.5〜10重量%程度である。
【0043】
上記母材ガラスに含まれるAl2O3の含有量は、通常約15重量%程度以下、好ましくは1〜10重量%程度である。
【0044】
上記母材ガラスに含まれるNb2O5、ZrO2、La2O3、Y2O3、Ta2O3およびGd2O3からなる群から選択される少なくとも一種の成分の含有量は、通常10重量%程度以下、好ましくは0.5〜10重量%程度である。
【0045】
上記母材ガラスに含まれるCl、Br及びIから選ばれた少なくとも一種のハロゲン成分の含有量は、通常、0.01〜15重量%程度、好ましくは0.1〜2重量%程度である。
【0046】
上記母材ガラスにはAs2O3、Sb2O3及びSnOからなる群から選択される少なくとも1種の成分が含まれていても良く、その含有量は、通常1重量%程度以下とすればよい。これらの成分は清澄剤として有用である。
【0047】
上記母材ガラスは、Fe、Ni、Mn、Co、V、Cr、Cu、Pd、Ce、希土類元素(Sc、Ti、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等)等の酸化物を含んでいてもよい。これら酸化物は、1種単独でもよく、又は2種以上を含んでいてもよい。これらの酸化物の含有量は、特に制限されないが、通常約15重量%以下、好ましくは5〜10重量%程度、より好ましくは0.1〜5重量%程度とすればよい。これらの酸化物を含むガラスでは、一定波長以下の紫外線をほぼ完全に遮断すると共に、それ以上の波長については、含まれる酸化物の種類に応じた特有の吸収特性を示すものとなる。
【0048】
ハロゲンを含む母材ガラスに銅イオンを拡散させてハロゲン化銅微粒子が一部に分散した分相ガラスを製造する方法としては、例えば、特許3049379号公報などに開示されている公知の方法を適用することができる。銅イオンを拡散させる方法は、特に限定されるものではなく、母材の表面に銅金属又は銅化合物を含有する皮膜を形成した後熱処理をする方法、銅塩の溶融槽に母材を浸漬する方法等を例示することができる。
【0049】
母材の表面に銅金属又は銅化合物を含有する皮膜を形成する方法としては、例えば、銅化合物を含有するペーストを塗布し乾燥する方法、銅アルコキシド溶液を用いるゾルゲル法によって皮膜を形成する方法、真空蒸着法、CVD法(化学気相堆積法)、イオン蒸着法、スパッタリング法、溶射法等の方法で銅又は銅化合物の皮膜を形成する方法等を挙げることができる。銅金属又は銅化合物を含有する皮膜の厚さは、形成すべき紫外線遮断ガラスの特性に応じて適宜決めればよいが、通常0.1〜2mm程度の厚さとすればよい。皮膜を形成した後の熱処理は、400〜900℃程度の温度で10分〜200時間程度行えばよい。その後、水洗することによって、ハロゲン化銅の微結晶層を形成した紫外線遮断機能を有する分相ガラスを得ることができる。
【0050】
これらの方法のなかで、銅化合物を含有するペーストを塗布し乾燥する方法について、より具体的に説明する。銅化合物を含有するペーストとしては、特に限定はなく、母材上に塗布し得る適度な粘度を有し、熱処理により母材中に銅イオンを拡散させることのできる銅化合物を含有するペースト状物であればいずれも用いることができる。この様な銅化合物としては、CuSO4、CuCl、CuCl2、CuBr、CuBr2、Cu2O、CuO、Cu(NO3)・3H2O、CuS等を挙げることができる。ペースト中における銅化合物の含有量は、特に限定されないが、通常20〜70重量%程度、好ましくは30〜60重量%程度とすればよい。該ペーストには、通常、バインダー成分が含まれるが、バインダー成分としては、熱処理工程において分解して、水洗により容易に除去される樹脂成分を用いることが好ましい。この様なペーストとしては、通常、ガラスの着色用ペーストとして市販されているものを用いることができ、その一例として、硫酸銅40〜60重量%、硫酸ソーダ5〜15重量%程度、アルコールなどの溶剤15〜25重量%程度、樹脂成分1〜5重量%程度からなるガラス着色用ペースト等を挙げることができる。ペーストを塗布した後の乾燥の条件は、特に限定はなく、溶剤成分が充分除去される様に乾燥すればよく、通常150℃〜300℃程度で5〜15分程度乾燥すれば、効率よく乾燥することができる。
【0051】
また、銅塩の溶融槽に母材を浸漬する方法では、300〜700℃程度の温度であって母材の屈伏点以下の温度に加熱した銅塩の溶融槽中に、母材を10分〜20時間程度浸漬した後、溶融槽から引き上げて水洗すればよく、この様な方法によって、母材に銅イオンが拡散して該母材の表面にハロゲン化銅の微結晶層を形成することができる。溶融槽に浸漬する方法で用いる銅塩としては、特に限定はなく、母材中に銅イオンが拡散が可能な銅化合物であればよく、例えば、CuSO4、CuCl、CuCl2、CuBr、CuBr2、Cu2O、CuO、Cu(NO3)・3H2O、CuS等を挙げることができ、融点が上記した温度範囲を上回る化合物の場合には、適宜組み合わせて融点を上記温度範囲として用いればよい。また、銅塩以外の成分としてNaNO3、Na2SO4、NaCl等を5〜50重量%程度含有する溶融塩を用いることによって、銅イオンの拡散を促進することも可能である。
【0052】
上記した方法などにより、母材ガラスに銅イオンを拡散させることによって、母材ガラス中のハロゲンと結合して、母材ガラスの表面付近にハロゲン化銅の微結晶層からなる紫外線吸収層が形成される。
【0053】
このような方法で分相ガラスを製造する際には、更に、銅イオンの交換反応を行った後、ガラスの転移点以上の温度であって、屈伏点以下の温度で、0.5〜10時間程度の熱処理を行うことによって、所期の吸収波長以下の波長域の紫外線について若干の透過がある場合に、これをほぼ完全に吸収することが可能になる。
【0054】
また、該分相ガラスを製造する場合には、母材の片面にのみ銅金属又は銅化合物を含有する皮膜を形成して熱処理する方法や、ガラスの片面を溶融塩によって侵されない公知の被覆材料でシールドして溶融塩槽に浸漬する方法などにより、簡単に母材の片面にのみハロゲン化銅の微結晶層を形成することができる。
改質ガラスの用途
本発明方法によって改質されたガラスは、優れた紫外線遮断性能を有すると同時に、その表面の少なくとも一部にアルカリ成分をほとんど含まない高ケイ酸層が形成されている。このため、液晶と直接接触する液晶保護用ガラスとして使用する場合に、ガラスに含まれているアルカリ成分によって液晶が劣化することがなく、液晶保護用ガラスとして好適に用いることができる。液晶保護用ガラスとして使用する場合には、高ケイ酸層の厚みを0.01mm以上程度とすることが好ましく、0.05mm以上程度とするのがより好ましく、0.1mm〜0.6mm程度とするのが最も好ましい。ハロゲン化銅が0.01〜15重量%程度含まれる層の厚みは、光源から発せられる紫外線の強度などに応じて適宜設定することができるが、約0.01mm程度以上とすることが好ましく、0.1mm程度以上とすることがより好ましい。液晶保護用ガラスとして使用する場合には、少なくとも液晶と接触する面が、高ケイ酸層となるよう設置すればよい。
【0055】
更に、本発明の方法により改質されたガラスは、薬品類、アルコール類、各種飲料水などの容器用ガラスとしても有用である。容器用ガラスとして使用する場合には、高ケイ酸層の厚みを0.01mm以上程度とすることが好ましく、0.05mm以上程度とするのがより好ましく、0.1mm〜0.6mm程度とするのが最も好ましい。ハロゲン化銅が0.01〜15重量%程度含まれる層の厚みは、内容物の紫外線に対する耐久性に応じて適宜設定することができるが、0.01mm程度以上とすることが好ましく、0.1mm程度以上とすることがより好ましい。容器用ガラスとして用いる場合には、高ケイ酸層が、薬品、アルコール、各種飲料などの内容物と接触するように容器を製造することにより、内容物がアルカリ成分により変質することを防ぐことができる。
【0056】
更に、本発明の方法により改質されたガラスは、屈折率の異なる二つの部分を有するので、光ファイバ−、光導波路などとしても好適に用いることができる。例えば、ファイバー状などの形状とした分相ガラスについて、表層に酸溶液を接触させることにより可溶成分を溶出させ、ファイバーの中心部にハロゲン化銅を残存させたガラスは、光ファイバーとして好適に用いることができる。
【0057】
光ファイバーとして使用する場合には、高ケイ酸層の厚みが、約0.001mm以上であることが好ましく、0.002〜0.1mm程度であることがより好ましい。光ファイバーとして使用する場合には、中心部にあるハロゲン化銅を含有する部分の直径は、約0.001mm以上であることが好ましく、0.002〜1mm程度であることがより好ましい。
【実施例】
【0058】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0059】
実施例1
SiO2 55.3重量%、Na2B4O722.3重量%、H3BO310.2重量%、Al(OH)34.2重量%、K2CO31.3重量%、ZnO 0.9重量%、NaBr 4.6重量%、Cu2O 0.5重量%、SiZrO4 0.7重量%およびNb2O5 0.1重量%を混合することによって、ガラス原料を調製した。ガラス原料を溶融し、成形および徐冷した後、600℃において50分間熱処理することによって、ハロゲン化銅微粒子がガラス全体に均一に分散したSiO2を含有する相を含む分相ガラスを得た。その後、ひずみがなくなるまで徐冷し、研磨加工することによって、15mm×15mm×1.1mmの分相ガラスを三枚得た。得られた分相ガラスの組成を表1に、No.1として示す。表中の数値の単位は、重量%である。また、図1に、分相ガラスの透過率測定の結果を示す。図1から明らかなように、分相ガラスは、紫外線のみを遮断している。
【0060】
次に、三枚の分相ガラスを一枚ずつガラス容器に入れ、それぞれの容器を1規定、2規定または3規定に調整した硝酸水溶液(原液の濃度:60%、比重:1.38)で満たした。それぞれの容器をオイルバスを用いて加熱し、98℃において12時間酸処理を行うことによって、分相ガラス表面に高ケイ酸層を形成させた。酸処理後、ガラスを水洗し、乾燥した。
【0061】
得られた3枚のガラスについて透過率の測定を行った。結果を図2に示す。ガラス表面が多孔質となったために生じる光散乱と吸着した水分のために、可視広域において透過率の低下が見られたが、紫外線遮断特性に変化は見られなかった。
【0062】
次に、1規定の硝酸水溶液を用いて酸処理した高ケイ酸層を有する分相ガラスを、500℃において5時間熱処理し、透過率を測定した。結果を図3に示す。多孔質であった高ケイ酸層が、加熱処理によって高密度となり、光散乱が抑制されたために、可視領域における透過率は、酸処理前と同程度となった。また、紫外線遮断特性に変化は見られなかった。
【0063】
さらに、得られたガラスについてエネルギー分散型X線分光測定を行い、SiO2の濃度分布図を得た。得られた結果を図4に示す。図4では、ガラス中のSiO2が黒で示されている。図4から、酸処理によってSiO2以外の成分が溶出し、ガラス表面に厚さ0.13mm程度の高ケイ酸層が形成されていることが判る。
【0064】
実施例2
SiO2 44.2重量%、Na2B4O717.4重量%、H3BO39.4重量%、Al(OH)311.9重量%、K2CO31.7重量%、Li2CO32.9重量%、ZnO 2.4重量%、NaBr 9.2重量%およびSiZrO4 0.6重量%を混合することによって、ガラス原料を調製した。ガラス原料を溶融、成形および徐冷したのち、15mm×15mm×3mmに研磨加工することによって、Brを含む母材ガラスを得た。母材ガラスの組成を表1中に、No.2として示す。表中の数値の単位は、重量%である。
【0065】
次に、CuSO4 55重量%、Na2SO410重量%、アクリル樹脂15重量%、セルロース樹脂10重量%及び溶剤(ターピネオール)10重量%からなるペーストを、研磨加工した母材ガラスの片面上に厚さ1mmとなるように塗布し、200℃において30分乾燥した。その後、510℃において48時間熱処理することによって、銅イオンを拡散させてハロゲン化銅微結晶を含む層を形成させた。その後、ひずみがなくなるまで徐冷を行い、水洗し、乾燥した。得られた分相ガラスの透過率を測定したところ、実施例1(図1)と同様の結果が得られ、紫外線のみを遮断していることを確認した。
【0066】
次に、分相ガラスをガラス容器に入れ、実施例1と同様にして、1N、2Nまたは3Nに調整した硝酸水溶液を用いて酸処理を行うことによって、分相ガラス表面に高ケイ酸層を形成させ、水洗し、乾燥した。
【0067】
得られた3種のガラスについて透過率の測定を行ったところ、実施例1(図2)と同様の結果が得られた。即ち、可視広域において透過率の低下が見られたが、紫外線遮断特性に変化は見られなかった。
【0068】
次に、1規定の硝酸水溶液を用いて酸処理した高ケイ酸層を有する分相ガラスを、500℃において5時間熱処理し、得られたガラスの透過率を測定した。得られた結果は、実施例1(図3)と同様であった。即ち、可視領域における透過率は、酸処理前と同程度であり、紫外線遮断特性に変化は見られなかった。
【0069】
また、得られたガラスについてエネルギー分散型X線分光測定を行ったところ、図4と同様のSiO2の濃度分布図が得られた。即ち、酸処理によってSiO2以外の成分が溶出し、ガラス表面に高ケイ酸層が形成されていることが判った。
【0070】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】実施例1において用いたハロゲン化銅微粒子が分散し、SiO2を含有する相を含む分相ガラスの透過率を示す図である。
【図2】実施例1において、酸処理を施すことにより高ケイ酸層を形成させたガラスの透過率を示す図である。
【図3】実施例1において、得られたガラスの透過率を示す図である。用いたガラスは、1Nの硝酸水溶液を用いて酸処理を施し、更に加熱処理を施すことによって得られたガラスである。
【図4】実施例1において得られたガラス断面について、SiO2濃度分布を示す図である。ガラスは、1Nの硝酸水溶液を用いて酸処理を施し、更に加熱処理を施したガラスであり、測定は、エネルギー分散型X線分析装置を用いて行った。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハロゲン化銅微粒子が全体又は一部に分散し且つSiO2を含有する相を含む分相ガラスを酸溶液に接触させて、該分相ガラス表面の少なくとも一部に高ケイ酸層を形成させることを特徴とする紫外線遮断ガラスの改質方法であって、
ハロゲン化銅が0.01〜15重量%含まれる層の厚みが0.01mm以上であり、且つ、高ケイ酸層の厚みが0.1〜0.6mmとなるよう該分相ガラスを酸溶液に接触させる、紫外線遮断ガラスの改質方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法により改質された紫外線遮断ガラスからなる液晶保護用ガラス。
【請求項3】
請求項1に記載の方法により改質された紫外線遮断ガラスからなる容器用ガラス。
【請求項4】
ハロゲン化銅微粒子が全体又は一部に分散し且つSiO2を含有する相を含むファイバー状の分相ガラスの表層を酸溶液に接触させて、該分相ガラス表面に高ケイ酸層を形成させることを特徴とする紫外線遮断ガラスの改質方法であって、
ハロゲン化銅が0.01〜15重量%含まれる中心部の直径が0.002〜1mmであり、且つ、高ケイ酸層の厚みが0.002〜0.1mmとなるよう該分相ガラスを酸溶液に接触させる、紫外線遮断ガラスの改質方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法により改質された紫外線遮断ガラスからなる光ファイバー。
【請求項6】
高ケイ酸層が、SiO2を80重量%以上含む層である請求項1又は4に記載の紫外線遮断ガラスの改質方法。
【請求項7】
酸溶液が、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸、酢酸及び過塩素酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸を含む水溶液である請求項1、4及び6のいずれかに記載の紫外線遮断ガラスの改質方法。
【請求項8】
分相ガラスが、SiO220〜85重量%、B2O3 2〜75重量%、Al2O315重量%以下、Li2O、Na2O、K2O、Rb2OおよびCs2Oの少なくとも一種30重量%以下、MgO、CaO、ZnO、BaO、SrOおよびPbOの少なくとも一種10重量%以下、Nb2O5、ZrO2、La2O3、Y2O3、Ta2O3およびGd2O3の少なくとも一種10重量%以下、及びハロゲン化銅0.01〜15重量%を含むガラスである請求項1、4、6及び7のいずれかに記載の紫外線遮断ガラスの改質方法。
【請求項9】
分相ガラスが、SiO220〜85重量%、B2O3 2〜75重量%、Al2O315重量%以下、Li2O、Na2O、K2O、Rb2OおよびCs2Oの少なくとも一種30重量%以下、MgO、CaO、ZnO、BaO、SrOおよびPbOの少なくとも一種10重量%以下、Nb2O5、ZrO2、La2O3、Y2O3、Ta2O3およびGd2O3の少なくとも一種10重量%以下、及びCl、Br及びIから選ばれた少なくとも一種のハロゲン成分0.01〜15重量%を含む母材ガラスに、銅イオンを拡散させてハロゲン化銅微結晶を含む層を形成させたガラスである請求項1、4、6及び7のいずれかに記載の紫外線遮断ガラスの改質方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−105941(P2008−105941A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−287549(P2007−287549)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【分割の表示】特願2002−115066(P2002−115066)の分割
【原出願日】平成14年4月17日(2002.4.17)
【出願人】(591110654)五鈴精工硝子株式会社 (19)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】