説明

細胞増殖阻害剤

【課題】MDM2とMDMXの細胞増殖阻害剤を提供。
【解決手段】下記一般式で表される化合物:


(I)R1〜R6は、水素、アルキル基等、R7とR8は、水素等、R9は、水素等、Xは、−NH−等である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質相互作用阻害剤及びこれに基づく増殖性疾患の治療剤に関する。より詳細には、細胞増殖阻害剤ないしMDM2及びMDMX結合性相互作用阻害剤(デュアル阻害剤)並びにこれを含む抗癌剤に関する。
【背景技術】
【0002】
p53腫瘍抑制因子は、細胞の癌化を防ぐ主要な経路を制御する転写因子である。正常細胞ではp53はユビキチン依存性プロテアソーム経路を通じて速やかに分解されるため細胞内でのレベルは低い。MDM2は、このp53に結合してユビキチンE3リガーゼとして働き、p53の代謝回転を調節しているタンパク質である。MDM2の過剰発現はp53の機能を阻害する。ヒト骨原性肉腫、及び柔軟組織の肉腫の凡そ30%では遺伝子増幅によるMDM2の過剰発現が認められる。MDM2によるp53制御モデルから、細胞をMDM2−p53相互作用阻害剤で処理すれば、p53タンパク質の安定化と蓄積、MDM2発現の活性化、他のp53制御遺伝子及びp53経路の活性化が起きると考えられた。
【0003】
p53のMDM2結合領域は、転写活性化領域と重複するため、MDM2の結合はp53の転写活性を抑制し、効果的にその機能を阻害する。このMDM2とp53との相互作用は、MDM2のN末端側(17〜125番目のアミノ酸残基)のSWIBドメインに対して、p53のN末端領域(15〜29番目のアミノ酸残基)が結合していることが知られ、その複合体構造も報告されている(PDB:1YCR)。そして、その複合体の構造解析から、MDM2とp53の相互作用は、タンパク表面の限られた数のアミノ酸残基に依存していることがわかり、このことから、本相互作用が低分子化合物による阻害のターゲットとなる可能性が示された。
【0004】
MDM2とp53との結合を阻害する化合物であるシス−2,4,5−トリフェニル−イミダゾリン類やイソインドリン−1−オン化合物及び腫瘍の処理へのそれらの使用が報告されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0005】
近年見出されたNutlin−3は、p53相互作用部位でMDM2に特異的に結合し、相互作用を阻害する低分子化合物である(特許文献1)。本化合物は、SJSA−1のようなp53が正常な培養癌細胞で、MDM2−p53相互作用を阻害することによってp53タンパク質分解を減少させ、MDM2の量を増加させ、アポトーシスを誘導する。しかし、Nutlin−3は、MDMX−p53相互作用阻害には不活性で、MDMXによる活性制御に影響しない。したがって、JEG3やU2OSのようなMDMX高発現細胞では、Nutlin−3によるp53経路の活性化は、MDMXにより阻害される(非特許文献1及び2)。
【0006】
MDMX(MDM4と称する場合もある)は、MDM2と相同性が高いもう一つのp53結合タンパク質で、p53の転写活性を抑制する。MDM2とは異なり、MDMXはユビキチンE3リガーゼ活性を有さずp53の分解を促進しないが、C末端側のRINGドメインを介してMDM2と相互作用し、MDM2のユビキチン化活性とp53の分解を促進する。
【0007】
本発明者らにより、MDMXは、癌化過程でのp53の不活化に寄与していると考えられることから、腫瘍細胞においてp53を完全に活性化するためには、MDMX−p53相互作用阻害剤が必要であることが見出されている(特願2008−129953)。さらに望ましくは、MDM2とp53との結合及びMDMXとp53との結合の両方を阻害する化合物、すなわちMDM2−p53及びMDMX−p53のデュアル阻害剤(dual inhibitor)が必要となることも見出されている(特許文献3)。
【0008】
一方、従来、タンパク質−タンパク質或いはタンパク質−ペプチド相互作用の検出は表面プラズモン共鳴測定法(Surface Plasmon Resonance、SPR)で、阻害剤のスクリーニングは酵素免疫測定法(Enzyme−linked Immunosorbent Assay、ELISA)で実施されてきた。
【0009】
【特許文献1】特表2005−511766号公報
【特許文献2】WO2006/024837
【特許文献3】WO2008/106507
【非特許文献1】Hu B, et al., Journal of Biological Chemistry, Vol. 281, pp. 33030-33035 (2006)
【非特許文献2】Hu B, et al., Cancer Research, Vol. 67, pp. 8810-8817 (2007)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
MDM2−p53及びMDMX−p53相互作用の場合、タンパク質−タンパク質相互作用の阻害剤は、生物学的機能研究と新規の特異的薬剤開発の両方に有用である。しかしながら、現在までのところ、MDM2−p53、及びMDMX−p53の両者の相互作用をデュアルで阻害する低分子は報告されていない。
【0011】
また、表面プラズモン共鳴測定法や、酵素免疫測定法等の測定法では、タンパク質またはペプチドのセンサーチップ或いはプラスチックプレートへの固定が必要であり、これが立体障害をもたらし、相互作用検出能を著しく減少或いは消滅させることがあった。
【0012】
Nutlin−3は、MDM2高発現細胞においては高い致死性を与える。しかしながら、通常のヒト細胞株においては、細胞中に多量に存在するMDMXが、MDM2に代わって作用することによって、Nutlin−3単独では細胞死を引き起こす活性が弱い。MDMXは、MDM2と同様にp53のN末端領域に結合するが、Nutlin−3によるp53との結合阻害作用は弱い。従って、腫瘍細胞においてp53を完全に活性化するためにはMDM2とMDMXとの両方の阻害剤が必要となる。本発明は、MDMXとp53との相互作用を高感度且つ効率的に検出することによって、これらの相互作用を阻害する化合物をスクリーニングし、細胞増殖の阻害剤を見出すことを目的とする。
【0013】
さらに、MDM2−p53相互作用阻害剤であるNutlin−3の活性は、主としてp53依存的な腫瘍細胞の増殖抑制活性であるため、腫瘍細胞の半数を占める、p53欠損癌細胞に対しては効果がない。本発明のもう一つの課題は、p53欠損癌細胞に対しても効果を発揮し、かつMDM2とp53との結合及びMDMXとp53との結合の両方を阻害する化合物、すなわちMDM2−p53及びMDMX−p53のデュアル阻害剤を見出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明で見出された細胞増殖阻害剤ないしMDM2及びMDMX結合性相互作用阻害剤(特にMDM2−p53及びMDMX−p53デュアル阻害剤)、具体的には2,5−ジオキシチオピロリジン誘導体は、p53欠損癌細胞株に対しても顕著な増殖抑制活性を示す。
【0015】
試料の固相化がタンパク質−タンパク質相互作用研究にもたらす影響を避けて、MDM2−p53及びMDMX−p53ペプチド相互作用阻害剤(デュアル阻害剤)のスクリーニングを行うため、溶液中の分子の並進拡散運動を測定する蛍光相関分光法(Fluorescence Correlation Spectorscopy、FCS)を使用した。FCSは、熱力学的揺らぎにより生じる微少計測領域(共焦点体積)への蛍光分子の出入りにより生じる蛍光強度の揺らぎを検出し解析するものである。共焦点体積中に分子がとどまる並進拡散時間(τD)は、流体力学的半径に依存する。球状粒子の並進拡散時間は、分子量の3乗根に比例する。したがって、プローブ分子の計測領域への出入りにより生じる蛍光強度の揺らぎから自己相関関数を計算し、並進拡散時間を実験的に測定することが出来る。そこで、MDM2及びMDMXとp53との相互作用を蛍光相関分光法で解析する際に、これらの相互作用を阻害する低分子化合物を存在させるとタンパク質間相互作用が抑止され、検出される蛍光強度の揺らぎが変化する。この蛍光強度の揺らぎに基づいてタンパク質間相互作用の有無を検出した。FCSは、溶液中の分子の並進拡散運動を測定するため、試料を固相化するSPRやELISAなどの従来の方法に比べ高感度かつ効率的であり、タンパク質間相互作用阻害剤のスクリーニングには、非常に有用であった。
【0016】
本発明は、第一の視点において、下記一般式I
【0017】
【化1】

(I)
(式中、R1〜R5は、相互に独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲノアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ヘテロアリール基、スルフォニル基、又はアシルアミノ基であり、R2とR3は互いにまとまって、それらが結合しているベンゼン環とともに縮環となり、インドール環、カルバゾール環などを形成してもよく、
R6は、独立して水素原子、又はハロゲン原子であり、
R7とR8は、独立して水素原子であるか、又はR7とR8は互いにまとまって二重結合を形成し、
R9は、水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアミノ基、ハロゲノアルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルアミノ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アラルキル基、又はヘテロアリール基であり、
Xは、−NH−、又は−S−である)
で表される化合物又はその医薬的に許容し得る塩からなる、細胞増殖阻害剤を提供することができる。
【0018】
また、本発明は、第二の視点において、下記一般式II
【0019】
【化2】

(II)
(式中、R1〜R5は、相互に独立して水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルキルチオ基、ハロゲノアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ヘテロアリール基、スルフォニル基、又はアシルアミノ基であり、R2とR3は互いにまとまって、それらが結合しているベンゼン環とともに縮環となり、インドール環、カルバゾール環などを形成してもよく、
R6は、独立して水素原子、又はハロゲン原子であり、
R7とR8は、独立して水素原子であるか、又はR7とR8は互いにまとまって二重結合を形成し、
R9〜R13は、相互に独立して水素原子、カルボキシル基、アルキル基、アリール基、アリールアミノ基、ハロゲノアルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルアミノ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アラルキル基、又はヘテロアリール基であり、
XとYは、独立して窒素原子、又は炭素原子であり、
R9とR13は、X部分及びY部分のうち何れか又は両者が窒素原子の場合は、存在しなくてもよい)
で表される化合物又はその医薬的に許容し得る塩からなる、細胞増殖阻害剤を提供することができる。
【0020】
また、本発明は、第三の視点において、3−(4H−1,2,4−トリアゾール−3−イルスルファニル)−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピロリジン−2,5−ジオン;
1−(2,5−ジクロロフェニル)−3−(4H−1,2,4−トリアゾール−3−イルスルファニル)ピロリジン−2,5−ジオン;
1−(4−メトキシフェニル)−3−(4H−1,2,4−トリアゾール−3−イルスルファニル)ピロリジン−2,5−ジオン;
1−(2,6−ジメチルフェニル)−3−({5−[(2−フルオロフェニル)アミノ]−1,3,4−チアジアゾール−2−イル}スルファニル)ピロリジン−2,5−ジオン;及び
1−(4−メトキシフェニル)−3−[(5−フェニル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)スルファニル]ピロリジン−2,5−ジオン;
から選ばれる1以上、又はその医薬的に許容し得る塩からなる、細胞増殖阻害剤を提供することができる。
【0021】
本発明において、前記化合物は、MDM2とp53との結合及びMDMXとp53との結合の両方を阻害する作用を有するものである。
【0022】
また、本発明は、第四の視点において、前記記載の阻害剤(本発明の阻害剤)と、医薬的に許容し得る担体と、を含んでなる細胞増殖性疾患の治療のための医薬組成物を提供することができる。
【0023】
本発明において、前記増殖性疾患は好ましくは癌である。
【0024】
さらに、本発明は、第五の視点において、ヒトMDM2タンパク質、そのSWIBドメイン領域、又はSWIBドメイン領域を含むヒトMDM2タンパク質の断片と標識物質との融合タンパク質、及びヒトMDMXタンパク質、そのSWIBドメイン領域、又はSWIBドメイン領域を含むヒトMDMXタンパク質の断片と標識物質との融合タンパク質を用いて、これらと結合する化合物を抗癌剤として選定する抗癌剤のスクリーニング方法を提供することができる。
【0025】
具体的には、以下の工程を含む抗癌剤のスクリーニング方法を提供することができる:
a)ヒトMDM2タンパク質、ヒトMDM2タンパク質、そのSWIBドメイン領域、又はSWIBドメイン領域を含むヒトMDM2タンパク質の断片と標識物質との融合タンパク質を調製し、精製する工程;
b)前記ヒトMDM2タンパク質、ヒトMDM2タンパク質、そのSWIBドメイン領域、又はSWIBドメイン領域を含むヒトMDM2タンパク質の断片と標識物質との融合タンパク質と結合する化合物を選定する工程;
c)ヒトMDMXタンパク質、そのSWIBドメイン領域、又はSWIBドメイン領域を含むヒトMDMXタンパク質の断片と標識物質との融合タンパク質を調製し、精製する工程;及び
d)前記工程b)において選定した化合物のうち、前記ヒトMDMXタンパク質、そのSWIBドメイン領域、又はSWIBドメイン領域を含むヒトMDMXタンパク質の断片と標識物質との融合タンパク質と結合する化合物を抗癌剤として選定ないし認定する工程。
【0026】
さらに、本発明は、第六の視点において、ヒトMDM2タンパク質、そのSWIBドメイン領域、又はSWIBドメイン領域を含むヒトMDM2タンパク質の断片とp53由来で標識物質で標識したペプチドやタンパク質断片との相互作用を阻害し、且つヒトMDMXタンパク質、そのSWIBドメイン領域、又はSWIBドメイン領域を含むヒトMDMXタンパク質の断片とp53由来で標識物質で標識したペプチドやタンパク質断片との相互作用を阻害する化合物を抗癌剤として選定する抗癌剤のスクリーニング方法を提供することができる。
【0027】
具体的には、以下の工程を含む抗癌剤のスクリーニング方法を提供することができる:
a)ヒトMDM2タンパク質、ヒトMDM2タンパク質、そのSWIBドメイン領域、又はSWIBドメイン領域を含むヒトMDM2タンパク質の断片、及びp53由来で標識物質で標識したペプチド又はタンパク質断片を調製し、精製する工程;
b)前記ヒトMDM2タンパク質、ヒトMDM2タンパク質、そのSWIBドメイン領域、又はSWIBドメイン領域を含むヒトMDM2タンパク質の断片とp53由来で標識物質で標識したペプチド若しくはタンパク質断片との相互作用を阻害する化合物を選定する工程;
c)ヒトMDMXタンパク質、そのSWIBドメイン領域、又はSWIBドメイン領域を含むヒトMDMXタンパク質の断片、及びp53由来で標識物質で標識したペプチド又はタンパク質断片を調製し、精製する工程;並びに
d)前記工程b)において選定した化合物のうち、前記ヒトMDMXタンパク質、そのSWIBドメイン領域、又はSWIBドメイン領域を含むヒトMDMXタンパク質の断片とp53由来で標識物質で標識したペプチド又はタンパク質断片との相互作用を阻害する化合物を抗癌剤として選定ないし認定する工程。
【0028】
本発明において、標識物質とは、標識タンパク質又は標識化合物等をさす。標識タンパク質は、GFP等の蛍光タンパク質である。標識化合物は、TAMRA等の蛍光色素をさす。SWIBドメイン領域は、ヒトMDM2タンパク質の場合には、そのアミノ酸残基17−124を含む領域であり、ヒトMDMXタンパク質の場合には、そのアミノ酸残基26−106を含む領域である。なお、ヒトMDM2タンパク質及びヒトMDMXタンパク質の何れも、10アミノ酸残基以下のペプチド配列が付加されていてもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る上記化合物は、MDM2とp53との相互作用を阻害すると共に、MDMXとp53との相互作用をも阻害するため、特にMDM2に加えてMDMXが発現することによってp53の機能が抑制されている腫瘍細胞のp53を活性化し、アポトーシスへ導くことができる。これらはMDM2−p53及びMDMX−p53のデュアル阻害剤(MDM2及びMDMX結合性相互作用阻害剤)であり、p53タンパク質量の増加、p21タンパク質の誘導作用を有し、様々な増殖阻害活性も発揮する。
【0030】
本発明に係るFCSは、溶液中の分子の並進拡散運動を測定するため、試料を固相化するSPRやELISAなどの従来の方法に比べ高感度かつ効率的であり、タンパク質間相互作用阻害剤のスクリーニングには、非常に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
(本発明の細胞増殖阻害剤)
本発明に係る細胞増殖阻害剤は、MDM2及びMDMXの両方の相互作用を阻害する活性に基づくものであり、MDM2及びMDMX結合性相互作用阻害剤である。本明細書において、「MDM2」とは、形質転換したマウス3T3細胞の二重微小染色体において最初に見出されたガン遺伝子mdm−2がコードするタンパク質MDM2をいう。その後、MDM2タンパク質はp53と複合体を形成することが見出された。MDM2タンパク質のヒト相同体タンパク質は、490個のアミノ酸残基からなり、そのアミノ酸配列は、SWISSPROT等の公的データベースに登録番号:Q00987として登録されている。「MDMX」とは、同じくマウスの二重微小染色体に由来し、MDM2と相同性が高く、且つp53と結合するタンパク質である。MDMXのヒト相同体タンパク質は、490個のアミノ酸残基からなり、そのアミノ酸配列はSWISSPROT等の公的データベースに登録番号:O15151として登録されている。
【0032】
本明細書において、「阻害する」又は「阻害剤」とは、上記タンパク質間の相互作用、すなわち複合体の形成を阻害すること、又は哺乳動物由来培養癌細胞株の生存を阻害すること、及びそのような化合物を意味し、しばしば当該活性を50%阻害するような化合物濃度で表される。用語「IC50」は、このような活性の50%を阻害する化合物濃度を意味する。
【0033】
本発明のMDM2及びMDMX結合性相互作用阻害剤、特にMDM2−p53及びMDMX−p53のデュアル阻害剤、又は細胞増殖阻害剤には、下記一般式(I)で表す化合物、下記一般式(II)で表す化合物、或いはその医薬的に許容しうる塩又はその水和物等が含まれる。
【0034】
【化3】

(I)
(式中、R1〜R5は、相互に独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲノアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ヘテロアリール基、スルフォニル基、又はアシルアミノ基であり、R2とR3は互いにまとまって、それらが結合しているベンゼン環とともに縮環となり、インドール環、カルバゾール環などを形成してもよく、
R6は、独立して水素原子、又はハロゲン原子であり、
R7とR8は、独立して水素原子であるか、R7とR8は互いにまとまって二重結合を形成し、
R9は、水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアミノ基、ハロゲノアルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルアミノ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アラルキル基、又はヘテロアリール基であり、
Xは、−NH−、又は−S−である。)
【0035】
【化4】

(II)
(式中、R1〜R5は、相互に独立して水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルキルチオ基、ハロゲノアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ヘテロアリール基、スルフォニル基、又はアシルアミノ基であり、R2とR3は互いにまとまって、それらが結合しているベンゼン環とともに縮環となり、インドール環、カルバゾール環などを形成してもよく、
R6は、独立して水素原子、又はハロゲン原子であり、
R7とR8は、独立して水素原子であるか、R7とR8は互いにまとまって二重結合を形成し、
R9〜R13は、相互に独立して水素原子、カルボキシル基、アルキル基、アリール基、アリールアミノ基、ハロゲノアルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルアミノ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アラルキル基、又はヘテロアリール基であり、
XとYは、独立して窒素原子、又は炭素原子であり、
R9とR13は、X部分及びY部分のうち何れか又は両者が窒素原子の場合は、存在しなくてもよい。)
【0036】
用語「医薬的に許容し得る塩」とは、医薬上許容できる無毒の塩基又は酸から調製される塩を意味する。本発明に係る化合物は、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、又は硝酸塩のような無機酸の塩、又は有機スルホン酸塩若しくは有機カルボン酸塩のような有機酸の塩を含む当該化合物の製薬上許容される塩の形態で提供されてもよい。上記有機スルホン酸塩としては、例えば、メタンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩等が挙げられ、有機カルボン酸塩としては、酢酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマール酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、グルコン酸塩、アスコルビン酸塩、マンデル酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、及びクエン酸塩等が挙げられる。
【0037】
他の場合において、式(I)及び(II)の化合物は1以上の酸性の官能基を含むことができ、それ故、医薬的に許容可能な塩基と医薬的に許容可能な塩を形成することができる。これらの例において、用語「医薬的に許容可能な塩」とは、本発明の化合物の比較的非毒性の無機塩基及び有機塩基付加塩をいう。これらの塩は、投与溶媒中又は剤形の製造工程中のその場で調製することができ、或いは遊離の酸型の精製された本発明の化合物と、医薬的に許容可能な金属カチオンの水酸化物、炭酸塩、又は重炭酸塩のような適切な塩基と、アンモニアと、又は医薬的に許容可能な有機一級アミン、二級アミン若しくは三級アミンとを別個に反応させて調製することができる。塩基付加塩の生成に有用な代表的な有機アミンは、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン等を含む。
【0038】
本発明に係る化合物はまた、プロドラッグの形であってもよい。用語「プロドラッグ」とは、生体内において(例えばpHの変化による)自発的な化学変化により又は生体内に通常存在する酵素により又は生体内に導入ないし操作された酵素により活性となる医薬的に不活性の化合物を意味する。当該技術分野において様々な形のプロドラッグ、例えば、生体内加水分解性エステル又はエーテル等が知られている。このようなプロドラッグは、試験中の化合物を、例えば試験動物に静脈内投与した後、試験動物の体液を調べることによって同定することができる。無機酸エステルとしては、リン酸エステル等が含まれ、有機酸エステルには、脂肪族カルボン酸エステル、芳香族カルボン酸エステル、カルバミン酸エステル等が含まれる。エーテルとしては、アセトキシメチルエーテル、及びピバロイルオキシメシルエーテル等のアシルオキシアルキルエーテル等が含まれるがこれらに限定されない。
【0039】
本発明に係る若干の化合物は、溶媒和の形で、例えば、水和した形で、更には、非溶媒和の形で存在しうるということも理解されるであろう。
【0040】
本発明に係る化合物については、当業者に既知の反応を用いて合成(製造)したものを使用することができるが、また、市販品を購入することで容易に入手することができる。なお、本発明に係る化合物を製造するために採用しうる合成経路はいくつか存在する。
【0041】
(本発明の医薬組成物)
本発明の細胞増殖阻害剤ないしMDM2及びMDMX結合性相互作用阻害剤は、後述する実施例において具体的に示されるように、ヒト腫瘍細胞株の増殖を抑制し、又は死滅させることから、細胞増殖の調節異常によって引き起こされる病気、又はこれと関連した病気の治療薬、特に、抗癌剤として用いることができる。医薬として投与する場合、そのまま又は医薬的に許容される無毒性かつ不活性の担体と共に医薬組成物としてヒトを含む哺乳動物に投与される。
【0042】
「医薬的に許容し得る担体」とは、液体又は固体の賦形剤、希釈液、潤滑剤、又は物質をカプセル化する溶媒のような、医薬的に許容し得る物質、組成物又は媒体を意味する。各担体は、前記製剤の他の成分との適合性があり且つ患者に対し傷害性でないという意味において、「許容し得る」ものでなければならない。医薬的に許容し得る担体として供することが可能な物質の例には、例えば、ラクトース、グルコース及びショ糖のような糖類;コーンスターチ及びジャガイモデンプンのようなデンプン;セルロース、及びナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース及びセルロース酢酸塩のようなその誘導体;粉末のトラガカント;麦芽;ゼラチン;滑石;カカオバター及び坐薬ワックスのような賦形剤類;ピーナッツ油、綿実油、紅花油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及びダイズ油のような油;プロピレングリコールのようなグリコール;グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコールのようなポリオール;オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルのようなエステル;寒天;水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムのような緩衝化剤;アルギン酸;発熱物質を含まない水;等張性生理食塩水;リンゲル溶液;エチルアルコール;水素イオン指数緩衝溶液;ポリエステル、ポリカーボネート及び/又はポリ無水物類;並びにその他の医薬製剤に使用される無毒の適合性物質を含む。
【0043】
本明細書において、「増殖する」又は「増殖」とは、細胞が有糸分裂することをいう。「細胞増殖性疾患」とは、乳癌、卵巣癌、結腸直腸線癌、膵臓癌、膀胱癌、肺癌、胃癌、食道癌、多発性骨髄腫、リンパ腫、白血病及び前立腺癌等の癌;並びに乾癬等の増殖性皮膚疾患を含む。本発明の医薬組成物は、治療の必要のある対象に単剤として又は他の抗癌剤と組み合わせて投与によって、上記各種癌の治療の一部として使用し得る。
【0044】
ある実施形態においては、本発明は、治療の必要のある対象に治療上有効量の上述の医薬組成物を投与することを含む、癌の治療方法に関する。また、ある実施形態において、前記方法は放射線療法又はその他の抗癌化学療法剤と組み合わせて使用される。その他の化学療法剤とは、ゲムシタビン、メトトレキサート、タキソール、メルカプトプリン、チオグアニン、ヒドロキシ尿素、シタラビン、シクロホスファミド、イホスファミド、ニトロソ尿素、シスプラチン、カルボプラチン、マイトマイシン、ダカルバジン、プロカルビジン、エトポシド、プレドニゾロン、デキサメサゾン、シタラビン、カンパセシン類、ブレオマイシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、プリカマイシン、ミトキサントロン、アスパラギナーゼ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、パクリタキセル、及びドセタキセルを含むがこれらに限定されない。
【0045】
本発明の医薬組成物を、上記の疾患の治療或いは予防を目的としてヒトに投与する場合は、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、液剤等として経口的に、又は注射剤、坐剤、経皮吸収剤、吸入剤等として非経口的に投与することができる。また、本発明化合物の有効量を、その剤型に適した賦形剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、滑沢剤等の医薬用添加剤を必要に応じて混合し、医薬製剤とすることができる。注射剤の場合には、適当な担体とともに滅菌処理を行って製剤とする。
【0046】
本発明の医薬組成物の投与量は、疾患の状態、投与ルート、患者の年齢、又は体重によっても異なり、最終的には医師の判断に委ねられるが、成人に経口で投与する場合、通常、0.1−100mg/kg/日、好ましくは、1−20mg/kg/日、非経口で投与する場合、通常、0.01−10mg/kg/日、好ましくは、0.1−2mg/kg/日を投与する。これを1回或いは数回に分割して投与すればよい。
【0047】
(本発明のスクリーニング方法)
本発明のスクリーニング方法は、後述する実施例において具体的に示されるように、抗癌剤のスクリーニング方法として使用できる。
【0048】
例えば、候補化合物に対して、以下の工程を含む方法を実施することによって、MDM2及びMDMX結合性相互作用阻害剤のスクリーニングを行うことができる:
MDM2タンパク質を調製し、精製する工程;
MDM2結合性相互作用阻害化合物をスクリーニングする工程
MDMXタンパク質を調製し、精製する工程;及び
前記化合物(MDM2結合性相互作用を阻害する化合物)のMDMX結合性相互作用阻害化合物をスクリーニングする工程)
【0049】
具体的には、例えば、p53由来でTAMRA等の蛍光色素で標識したペプチドやタンパク質断片など、充分濃度のMDM2、適切な濃度の候補化合物を適切なバッファー中で混合し、蛍光粒子の並進拡散速度を測定する。得られた並進拡散時間を、上記遊離標識ペプチドの並進拡散時間と標識ペプチド−MDM2タンパク質複合体の並進拡散時間の二成分に二成分分析し、相互作用している標識ペプチドの存在割合を算出する。MDM2結合性相互作用阻害の有無は、ペプチド−MDM2タンパク質複合体形成の割合が減少するのを確認することで判定することができ、その結果、MDM2結合性相互作用阻害剤の存在をスクリーニングできる。次いで、前記同様に、例えば、p53由来でTAMRA等の蛍光色素で標識したペプチドやタンパク質断片など、充分濃度のMDMX、適切な濃度の候補化合物を適切なバッファー中で混合し、蛍光粒子の並進拡散速度を測定する。得られた並進拡散時間を、上記遊離標識ペプチドの並進拡散時間と標識ペプチド−MDMXタンパク質複合体の並進拡散時間の二成分に二成分分析し、相互作用している標識ペプチドの存在割合を算出する。MDMX結合性相互作用阻害の有無を、ペプチド−MDMXタンパク質複合体形成の割合が減少するのを確認することで判定する。その結果、MDM2及びMDMX結合性相互作用阻害剤の存在をスクリーニングできる。
【実施例1】
【0050】
本実施例では、2,5−ジオキシチオピロリジン誘導体を市販化合物からインシリコスクリーニングにより探索し、これを候補化合物として蛍光相関分光法によるMDM2及びMDMXとp53との相互作用阻害剤のスクリーニングを行なった。
【0051】
[材料及び方法]
1 化合物
本実施例で用いた化合物は、Asinex社、CBI社、ChemBridge社、Enamine社、InterBioScreen社、Labotest社、LifeChemicals社、Maybridge社、Otava社、Pharma Design社、Pharmeks社、VitasM社から購入した。これらの化合物は10mMの濃度でジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解して用いた。
【0052】
2 蛍光相関分光法用蛍光色素
p53との相互作用を検出するために、p53由来15merペプチド(分子量:2.3kDa)のC末側にTAMRA標識したp53N末ペプチド(SQETFSDLWKLLPEN−K−TAMRA)を購入した。
【0053】
[MDM2タンパク質試料の調製]
MDM2(17−124)(13.4kDa)試料の調製は、以下の方法によった。ここで、MDM2断片としては、該タンパク質の17−124アミノ酸残基を含むタンパク質断片でよく、MDM2のC末端側でGFP等のタンパク質と融合したものでもよい。大腸菌無細胞タンパク質合成系(Kigawa et al., FEBS Lett., 442-1: 15-19、 1999)(内液9ml/外液90ml)を用いて30℃、4時間の反応によりタンパク質を発現させた。発現させたタンパク質は、4%PEG8000を含む20mMトリス塩酸(pH8.0)、100mMのNaCl、20mMイミダゾールに対して4℃、一晩透析を行なった。
【0054】
得られたサンプルには、TEVプロテアーゼによる切断部位、及びヒスチジンタグが付加されているため、タグを利用してアフィニティー精製を行なった。サンプルをHisTrapカラムに通し、20mMトリス塩酸(pH8.0)、100mMのNaCl、500mMイミダゾールで溶出した。溶出したサンプルは脱塩カラムにかけ、イミダゾールの除去と、20mMトリス塩酸(pH8.0)、150mMのNaCl、2mMのDTTへのバッファー交換を行なった。このサンプルにTEVプロテアーゼを4000ユニット加え、4℃、一晩、転倒混和し、ヒスチジンタグを切断した。タグを切断したサンプルは、再びHisTrapによるアフィニティー精製を行なうことで、切断したタグと目的のタンパク質に分離した。得られた目的タンパク質は、限外ろ過(Amicon Ultra−15 MWCO 5000)により濃縮した。濃縮した最終サンプルをブラッドフォードの方法を用いて定量した結果、36mg/mlであった。タンパク質液量としては350μl得られた。
【0055】
[MDMXタンパク質試料の調製]
MDMX(26−106)(10.3kDa)試料の調製は、以下の方法によった。ここで、MDMX断片としては、該タンパク質の26−106アミノ酸残基を含むタンパク質断片でよく、MDMXのC末端側でGFP等のタンパク質と融合したものでもよい。上掲の大腸菌無細胞タンパク質合成系を用いて30℃、4時間の反応によりタンパク質を発現させた。発現させたタンパク質は、4%PEG8000を含む20mMトリス塩酸(pH8.0)、100mMのNaCl、20mMイミダゾールに対して4℃、一晩透析を行なった。
【0056】
得られたサンプルには、TEVプロテアーゼによる切断部位、及びヒスチジンタグが付加されているため、タグを利用してアフィニティー精製を行なった。サンプルをHisTrapカラムに通し、20mMトリス塩酸(pH8.0)、100mMのNaCl、500mMイミダゾールで溶出した。溶出したサンプルは脱塩カラムにかけ、イミダゾールの除去と、20mMトリス塩酸(pH8.0)、150mMのNaCl、2mMのDTTへのバッファー交換を行なった。このサンプルにTEVプロテアーゼを4000ユニット加え、4℃、一晩、転倒混和し、ヒスチジンタグを切断した。タグを切断したサンプルは、再びHisTrapによるアフィニティー精製を行なうことで、切断したタグと目的のタンパク質に分離した。得られた目的タンパク質は、限外ろ過(Amicon Ultra−15 MWCO 5000)により濃縮した。濃縮した最終サンプルをブラッドフォードの方法を用いて定量した結果、3mg/mlであった。タンパク質液量としては2ml得られた。
【0057】
[MDM2−p53ペプチド相互作用阻害剤のスクリーニング]
MDM2−p53ペプチド相互作用阻害活性の測定
候補化合物44個について、蛍光相関分光法で、MDM2を結合阻害対象とする阻害剤のスクリーニングを行なった。蛍光相関分光測定用バッファーとしては、FCSバッファー(10mM HEPES−水酸化カリウム(pH7.4)、150mM NaCl、0.005%Tween20)を用い、DMSOの終濃度が0.5%となるように調製したものを反応溶液とした。p53ペプチドは、1nMで一定濃度とし、TAMRA標識をしていないp53ペプチド(15mer)を用いて陽性コントロールとした。1nMp53−TAMRAペプチド、500nMのMDM2、10μM候補化合物をアッセイプレートの最終条件としてスクリーニングを行なった。
【0058】
得られた並進拡散時間を、上記遊離ペプチドの並進拡散時間とタンパク質−ペプチド複合体の並進拡散時間の二成分に二成分分析し、相互作用しているペプチドの存在割合を算出した。その結果、表1に示す7化合物が、MDM2−p53のタンパク質間相互作用を強く阻害することが分かった。
【0059】
【表1】

【0060】
ヒット化合物の分析
得られたヒット化合物について、H−核磁気共鳴測定(1H NMR)と質量分析(MS)で分析した。分析データを以下に示す。
【0061】
化合物番号1;
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) : δ 2.93 (1H, dd, J = 18.3, 4.4 Hz), 3.45 (1H, dd, J = 18.3, 9.5 Hz), 4.70-4.75 (1H, m), 7.59-7.62 (2H, m), 7.75-7.86 (2H, m), 8.63 (1H, s), 14.3 (1H, s).
MS (m/z) : 343 ([M+H]+).
【0062】
化合物番号2;
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) : δ 2.95-3.01 (1H, m), 3.38-3.50 (1H, m), 4.80-4.84 (1H, m), 7.30-7.34 (1H, m), 7.67 (1H, d, J = 8.8 Hz), 8.03 (1H, dd, J = 8.8, 2.2 Hz), 8.28-8.35 (2H, m), 8.55-8.64 (1H, m), 13.7 (1H, br s).
MS (m/z) : 408 ([M+H]+).
【0063】
化合物番号3;
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) : δ 1.37 (3H, t, J = 6.9 Hz), 2.78-2.94 (1H, m), 3.56-3.68 (1H, m), 4.20 (2H, q, J = 6.9 Hz), 4.84-5.03 (1H, m), 7.30-7.35 (1H, m), 7.51-7.70 (5H, m), 7.92-7.95 (1H, m), 13.3 (1H, s).
MS (m/z) : 417 ([M+H]+).
【0064】
化合物番号4;
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) : δ 2.90 (1H, dd, J = 18.3, 4.4 Hz), 3.43 (1H, dd, J = 18.3, 9.5 Hz), 4.68-4.72 (1H, m), 7.31 (1H, dd, J = 8.4, 2.2 Hz), 7.54 (1H, d, J = 2.2 Hz), 7.82 (1H, d, J = 8.4 Hz), 8.63 (1H, s), 14.3 (1H, s).
MS (m/z) : 343 ([M+H]+).
【0065】
化合物番号5;
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) : δ 2.89 (1H, dd, J = 18.3, 5.1 Hz), 3.40 (1H, dd, J = 18.3, 9.5 Hz), 3.79 (3H, s), 4.62-4.66 (1H, m), 7.03 (2H, d, J = 8.4 Hz), 7.16 (2H, d, J = 8.4 Hz), 8.63 (1H, s), 14.3 (1H, br s).
MS (m/z) : 305 ([M+H]+).
【0066】
化合物番号6;
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) : δ 2.06 (6H, s), 3.25 (1H, dd, J = 18.3, 5.9 Hz), 3.55 (1H, dd, J = 18.3, 9.5 Hz), 5.01-5.06 (1H, m), 7.03-7.10 (1H, m), 7.15-7.32 (5H, m), 8.26-8.33 (1H, m), 10.3 (1H, s).
MS (m/z) : 429 ([M+H]+).
【0067】
化合物番号7;
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) : δ 2.99-3.08 (1H, m), 3.45 (1H, dd, J = 18.3, 9.5 Hz), 4.67-4.74 (1H, m), 7.00 (2H, d, J = 8.4 Hz), 7.15 (2H, d, J = 8.4 Hz), 7.47-7.54 (3H, m), 7.88-7.91 (2H, m), 14.7 (1H, br s).
MS (m/z) : 381 ([M+H]+).
【0068】
[MDMX−p53ペプチド相互作用阻害剤のスクリーニング]
MDMX−p53ペプチド相互作用阻害活性の測定
MDM2−p53のタンパク質間相互作用阻害活性が認められた上記7化合物について、上掲の蛍光相関分光法で、MDMXを結合阻害対象とする阻害剤のスクリーニングを行なった。蛍光相関分光測定用バッファーとしては、FCSバッファー(10mM HEPES−水酸化カリウム(pH7.4)、150mM NaCl、0.005%Tween20)を用い、DMSOの終濃度が0.5%となるように調製したものを反応溶液とした。p53ペプチドは、1nMで一定濃度とし、TAMRA標識をしていないp53−ペプチド(15mer)を用いて陽性コントロールとした。1nMのp53−TAMRAペプチド、500nMのMDMX、10μM候補化合物をアッセイプレートの最終条件としてスクリーニングを行なった。
【0069】
得られた並進拡散時間を、上記遊離ペプチドの並進拡散時間とタンパク質−ペプチド複合体の並進拡散時間の二成分に二成分分析し、相互作用しているペプチドの存在割合を算出した。その結果、表2に示すように、7化合物全て、MDMX−p53のタンパク質間相互作用阻害活性を示した。これらのうち、5種類の化合物(化合物番号1、4、5、6及び7)については、特に強い阻害活性が示された。
【0070】
【表2】

【0071】
以上から、表1及び2に示す7化合物が、MDM2−p53及びMDMX−p53のタンパク質間相互作用を阻害する、すなわちMDM2−p53及びMDMX−p53のデュアル阻害剤であることが分かった。これらの化合物を、表3に示す。
【0072】
【表3】



【実施例2】
【0073】
[ヒット化合物のIC50の測定]
本実施例では、上記7種類の化合物の中で、特に強い結合阻害活性を示した2化合物(化合物番号4及び6)について、上記で調製したMDM2タンパク質を用いて、蛍光相関分光法によりMDM2−p53相互作用の50%阻害濃度IC50を測定した。
【0074】
蛍光相関分光測定用バッファーとしては、FCSバッファー(10mMHEPES−水酸化カリウム(pH7.4)、150mMNaCl、0.005%Tween20)を用い、DMSOの最終濃度が0.5%となるように調製したものを反応溶液とした。MDM2濃度を80nM(IC50測定時のMDM2タンパク質濃度としては、常法に従い、該相互作用アッセイ系において、MDM2タンパク質のp53ペプチドに対するK値の2倍を用いた)とし、最終濃度30、10、3、1、0.3、0.1μMの各種化合物と25℃、1時間インキュベートした。p53ペプチドは、p53のMDM2及びMDMXとの相互作用部位であるN末端から15〜29残基に相当するペプチドSQETFSDLWKLLPEN(15mer)を合成し、そのC末端を蛍光色素TAMRAで標識し、1nMで添加した。調製したサンプル30μlを用い、蛍光相関分光法により蛍光色素の並進拡散時間を測定した。測定は励起波長543nmで10秒、5回行った。
【0075】
その結果から実施例1と同様に複合体形成の割合を算出し、IC50を決定した。その結果を表4に示す。表4に示されたように、高い相互作用阻害活性が得られた。
【0076】
【表4】

【実施例3】
【0077】
[ヒット化合物のIC50の測定]
本実施例では、上記7種類の化合物の中で、特に強い結合阻害活性を示した2化合物(化合物番号4及び6)について、上記実施例1で調製したMDMXタンパク質を用いて、蛍光相関分光法によりMDMX−p53相互作用の50%阻害濃度IC50を測定した。
【0078】
蛍光相関分光測定用バッファーとしては、FCSバッファー(10mMHEPES−水酸化カリウム(pH7.4)、150mMNaCl、0.005%Tween20)を用い、DMSOの最終濃度が0.5%となるように調製したものを反応溶液とした。MDMX濃度を120nM(IC50測定時のMDMXタンパク質濃度としては、常法に従い、該相互作用アッセイ系において、MDMXタンパク質のp53ペプチドに対するK値の2倍を用いた)とし、最終濃度30、10、3、1、0.3、0.1μMの各種化合物と25℃、1時間インキュベートした。p53ペプチドは、p53のMDM2及びMDMXとの相互作用部位であるN末端から15〜29残基に相当するペプチドSQETFSDLWKLLPEN(15mer)を合成し、そのC末端を蛍光色素TAMRAで標識し、1nMで添加した。調製したサンプル30μlを用い、蛍光相関分光法により蛍光色素の並進拡散時間を測定した。測定は励起波長543nmで10秒、5回行った。
【0079】
その結果から上記実施例1と同様に複合体形成の割合を算出し、IC50を決定した。その結果を表5に示す。表5に示すように、高い相互作用阻害活性が得られた。
【0080】
【表5】

【実施例4】
【0081】
[ヒット化合物の癌細胞増殖阻害活性の測定]
上記7種類の化合物を用いて、2種類のヒト由来培養癌細胞SJSA−1(骨肉腫細胞で野生型p53を発現し、且つMDM2を高発現するNutlin−3高感受性株)及びJEG3(絨毛癌細胞で野生型p53を発現し、且つMDMXを高発現している細胞株)に対する細胞増殖阻害活性を測定した。
【0082】
細胞株
2種類のヒト由来培養癌細胞SJSA−1(骨肉腫細胞で野生型p53を発現し、且つMDM2を高発現するNutlin−3高感受性株)、及びJEG3(絨毛癌細胞で野生型p53を発現し、且つMDMXを高発現している細胞株)はATCCより購入した。
【0083】
炭酸インキュベーター内(37℃、5%CO)で培養した上記細胞を回収し、96ウェルプレートに1ウェルに1000個播種した。24時間培養後に化合物を最終濃度0〜50μMとなるように添加して炭酸インキュベーター内(37℃、5%CO)で培養し、3日目に、WST−8試薬(ナカライテスク製:生細胞数測定試薬SF)を1ウェルに10μl加え炭酸インキュベーター内(37℃、5%CO)で1時間培養し反応後、マイクロプレートリーダーPOWERSCAN HT(DSファーマバイオメディカル製)にて450nm、620nmの吸光度差を測定した。培養液のみのウェルの吸光度をブランクとしサンプルのウェルの値から差し引いた後、0.5%DMSOのみが入っているウェルの値を100%としてサンプルの生存率(Viability)を計算した。1化合物につき3ウェルずつ測定を行い(triplicate)その平均値を用いた。
【0084】
その結果、表6に示すように、これらの化合物は、化合物番号2及び3を除く5種類の化合物(化合物番号1、4、5、6及び7)がSJSA−1細胞株に対して強い細胞増殖阻害効果を示した。さらに、本5化合物は、Nutlin−3とは異なり、MDMX高発現株であるJEG3細胞株にも効果を示し、強力なMDM2−p53及びMDMX−p53のデュアル阻害剤である可能性が示唆された。
【0085】
【表6】

【実施例5】
【0086】
[ヒット化合物の癌細胞増殖阻害活性IC50の検討]
本実施例では、上記5種類の化合物の中で、特に細胞増殖阻害効果が強かった化合物番号4及び6の化合物を用いて、ヒト由来培養癌細胞SJSA−1及びJEG3に対する細胞増殖阻害活性IC50を測定した。
【0087】
細胞株
2種類のヒト由来培養癌細胞SJSA−1(骨肉腫細胞で野生型p53を発現し、且つMDM2を高発現するNutlin−3高感受性株)及びJEG3(絨毛癌細胞で野生型p53を発現し、且つMDMXを高発現している細胞株)はATCCより購入した。
【0088】
炭酸インキュベーター内(37℃、5%CO)で培養した上記細胞を回収し、96ウェルプレートに1ウェルに1000個播種した。24時間培養後に化合物を最終濃度0〜25μMとなるように添加して炭酸インキュベーター内(37℃、5%CO)で培養し、3日目に、WST−8試薬(ナカライテスク製:生細胞数測定試薬SF)を1ウェルに10μl加え炭酸インキュベーター内(37℃、5%CO)で1時間培養し反応後、マイクロプレートリーダーPOWERSCAN HT(DSファーマバイオメディカル製)にて450nm、620nmの吸光度差を測定した。培養液のみのウェルの吸光度をブランクとしサンプルのウェルの値から差し引いた後、0.5%DMSOのみが入っているウェルの値を100%としてサンプルの生存率(Viability)を計算した。1化合物につき3ウェルずつ測定を行い(triplicate)その平均値を用いた。
【0089】
その結果、図1に示す通り、SJSA−1細胞に対するIC50は、化合物番号4が10μM、化合物番号6が5μM、JEG3細胞に対するIC50は、化合物番号4が5μM、化合物番号6が3μMという高い活性を示した。この時、Nutlin−3は、非特許文献1と同様に、SJSA−1細胞に対してはIC50が3μMの増殖阻害活性を示し、JEG3細胞に対しては顕著な阻害活性を示さなかった。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明により、タンパク質相互作用阻害剤、特に、MDM2及びMDMX結合性相互作用阻害剤を提供することができる。
【0091】
また、前記阻害剤を使用(配合)して、特に抗癌剤を、容易かつ簡便に製造することができる。さらに、本発明によりこれらの相互作用を阻害する化合物をスクリーニングし、細胞増殖の阻害剤を見出すことができ、本発明は、このようなスクリーニング方法を利用することにより、ヒト及び動物に対する抗癌剤開発に資することができる。したがって、本発明は特に医薬又は製薬分野において、工業的に極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】MDM2−p53及びMDMX−p53のデュアル阻害剤について、SJSA−1細胞株及びJEG3細胞株に対する細胞増殖阻害活性IC50(阻害剤添加後3日目)を測定した結果である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式I
【化1】

(I)
(式中、R1〜R5は、相互に独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲノアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ヘテロアリール基、スルフォニル基、又はアシルアミノ基であり、R2とR3は互いにまとまって、それらが結合しているベンゼン環とともに縮環となり、インドール環、カルバゾール環を形成してもよく、
R6は、独立して水素原子、又はハロゲン原子であり、
R7とR8は、独立して水素原子であるか、又はR7とR8は互いにまとまって二重結合を形成し、
R9は、水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアミノ基、ハロゲノアルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルアミノ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アラルキル基、又はヘテロアリール基であり、
Xは、−NH−、又は−S−である)
で表される化合物又はその医薬的に許容し得る塩からなる、細胞増殖阻害剤。
【請求項2】
下記一般式II
【化2】

(II)
(式中、R1〜R5は、相互に独立して水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルキルチオ基、ハロゲノアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ヘテロアリール基、スルフォニル基、又はアシルアミノ基であり、R2とR3は互いにまとまって、それらが結合しているベンゼン環とともに縮環となり、インドール環、カルバゾール環を形成してもよく、
R6は、独立して水素原子、又はハロゲン原子であり、
R7とR8は、独立して水素原子であるか、又はR7とR8は互いにまとまって二重結合を形成し、
R9〜R13は、相互に独立して水素原子、カルボキシル基、アルキル基、アリール基、アリールアミノ基、ハロゲノアルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルアミノ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アラルキル基、又はヘテロアリール基であり、
XとYは、独立して窒素原子、又は炭素原子であり、
R9とR13は、X部分及びY部分のうち何れか又は両者が窒素原子の場合は、存在しなくてもよい)
で表される化合物又はその医薬的に許容し得る塩からなる、細胞増殖阻害剤。
【請求項3】
3−(4H−1,2,4−トリアゾール−3−イルスルファニル)−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピロリジン−2,5−ジオン;
1−(2,5−ジクロロフェニル)−3−(4H−1,2,4−トリアゾール−3−イルスルファニル)ピロリジン−2,5−ジオン;
1−(4−メトキシフェニル)−3−(4H−1,2,4−トリアゾール−3−イルスルファニル)ピロリジン−2,5−ジオン;
1−(2,6−ジメチルフェニル)−3−({5−[(2−フルオロフェニル)アミノ]−1,3,4−チアジアゾール−2−イル}スルファニル)ピロリジン−2,5−ジオン;及び
1−(4−メトキシフェニル)−3−[(5−フェニル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)スルファニル]ピロリジン−2,5−ジオン;
から選ばれる1以上、又はその医薬的に許容し得る塩からなる、細胞増殖阻害剤。
【請求項4】
前記化合物がMDM2とp53との結合及びMDMXとp53との結合の両方を阻害する作用を有する、請求項1〜3何れか記載の細胞増殖阻害剤。
【請求項5】
請求項1〜4何れか記載の細胞増殖阻害剤と、医薬的に許容し得る担体と、を含んでなる細胞増殖性疾患の治療のための医薬組成物。
【請求項6】
前記増殖性疾患が癌である請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
以下の工程を含む抗癌剤のスクリーニング方法:
a)ヒトMDM2タンパク質、ヒトMDM2タンパク質、そのSWIBドメイン領域、又はSWIBドメイン領域を含むヒトMDM2タンパク質の断片と標識物質との融合タンパク質を調製し、精製する工程;
b)前記ヒトMDM2タンパク質、ヒトMDM2タンパク質、そのSWIBドメイン領域、又はSWIBドメイン領域を含むヒトMDM2タンパク質の断片と標識物質との融合タンパク質と結合する化合物を選定する工程;
c)ヒトMDMXタンパク質、そのSWIBドメイン領域、又はSWIBドメイン領域を含むヒトMDMXタンパク質の断片と標識物質との融合タンパク質を調製し、精製する工程;及び
d)前記工程b)において選定した化合物のうち、前記ヒトMDMXタンパク質、そのSWIBドメイン領域、又はSWIBドメイン領域を含むヒトMDMXタンパク質の断片と標識物質との融合タンパク質と結合する化合物を抗癌剤として選定ないし認定する工程。
【請求項8】
以下の工程を含む抗癌剤のスクリーニング方法:
a)ヒトMDM2タンパク質、ヒトMDM2タンパク質、そのSWIBドメイン領域、又はSWIBドメイン領域を含むヒトMDM2タンパク質の断片、及びp53由来で標識物質で標識したペプチド又はタンパク質断片を調製し、精製する工程;
b)前記ヒトMDM2タンパク質、ヒトMDM2タンパク質、そのSWIBドメイン領域、又はSWIBドメイン領域を含むヒトMDM2タンパク質の断片とp53由来で標識物質で標識したペプチド若しくはタンパク質断片との相互作用を阻害する化合物を選定する工程;
c)ヒトMDMXタンパク質、そのSWIBドメイン領域、又はSWIBドメイン領域を含むヒトMDMXタンパク質の断片、及びp53由来で標識物質で標識したペプチド又はタンパク質断片を調製し、精製する工程;並びに
d)前記工程b)において選定した化合物のうち、前記ヒトMDMXタンパク質、そのSWIBドメイン領域、又はSWIBドメイン領域を含むヒトMDMXタンパク質の断片とp53由来で標識物質で標識したペプチド又はタンパク質断片との相互作用を阻害する化合物を抗癌剤として選定ないし認定する工程。
【請求項9】
前記ヒトMDM2タンパク質のSWIBドメイン領域が、10アミノ酸残基以下のペプチド配列が付加されていてもよい前記ヒトMDM2タンパク質のアミノ酸残基17−124を含む領域であり、前記ヒトMDMXタンパク質のSWIBドメイン領域が、10アミノ酸残基以下のペプチド配列が付加されていてもよい前記ヒトMDMXタンパク質のアミノ酸残基26−106を含む領域である請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記標識物質が、標識タンパク質又は標識化合物である請求項7又は8に記載の方法。
【請求項11】
前記標識タンパク質が、蛍光タンパク質であり、前記標識化合物が、蛍光色素である請求項10に記載の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−105992(P2010−105992A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282181(P2008−282181)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度文部科学省、科学技術試験研究委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受けるもの
【出願人】(503359821)独立行政法人理化学研究所 (1,056)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【出願人】(500386563)株式会社ファルマデザイン (9)
【Fターム(参考)】