説明

細菌菌株、該細菌菌株を含む組成物、およびそのプロバイオティクス使用

細菌混合培養物が提供される。細菌混合培養物はバチルス・リケニホルミスPA(ATCC寄託番号:PTA−5311)の同定特徴のすべてを有する第1の細菌菌株と、枯草菌HE(ATCC寄託番号:PTA−5310)の同定特徴のすべてを有する第2の細菌菌株とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な細菌菌株、該細菌菌株を含む組成物、および、下痢などの胃腸障害のプロバイオティクス処置においてそのような菌株を使用する方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
プロバイオティクスは、宿主の胃腸(GI)系に対する好ましい効果を及ぼす生きた生物として定義される。最も一般的に使用されているプロバイオティクスは乳酸菌(LAB)の菌株であり、特に、ラクトバチルス属、ラクトコックス属およびエンテロコックス属に分類される菌株である。
【0003】
抵抗力が低い期間(例えば、ストレスもしくは疾患のとき、出生時または抗生物質処置後)に、望ましくない微生物が胃腸管で増殖し得ることが広く知られている。従って、正常かつ健康な微生物叢を胃腸(GI)管において維持することはストレスの多い期間のときには重要である。
【0004】
プロバイオティクス治療の目標は、健康を増進させる微生物の数および活性を、正常なGI叢が再び確立されるまで増大させることである。
【0005】
プロバイオティクスの保護的作用を担う機構がいくつか提案されている。これらには、(i)細胞の生存能力を低下させ、細菌の代謝に影響を及ぼし、また、トキシンの産生を低下させることができる阻害性物質(例えば、抗生物質、有機酸、過酸化水素およびバクテリオシン)の産生;(ii)腸上皮表面における細菌接着部位の競合的阻害による接着部位の阻止[Conaway(1987)、J.Dairy Sci.、70:1〜12;Goldin(1992)、Dig.Dis.Sci.、37:121〜128;KleemanおよびKlaenhammer(1982)、J.Dairy Sci.、1982:65:2063〜2069];(iii)栄養分についての競合;(iv)トキシン受容体の分解、これは、S.boulardiiが腸粘膜上のトキシン受容体の分解によってC.difficileの腸疾患から保護する仮定された機構である[Castagliuolo(1996)、Infect.Immun.、64:5225〜5232;Castagliuolo、Infect.Immun.(1999)、67:302〜307;Pothoulakis(1993)、Gastroenterology、104:1108〜1115];および(v)非特異的免疫性の刺激[Fukushima、Int.J.Food Microbiol.(1998)、42:39〜44;Link−Amster、FEMS Immunol.Med.Microbiol.(1994)、10:55〜63;Malin、Ann.Nutr.Metab.(1996)、40:137〜145]が含まれる。
【0006】
下記においてさらに詳述されるように、数多くの研究では、様々な腸障害および腸外障害の処置および防止におけるプロバイオティクスの可能な使用が研究された。
【0007】
急性下痢。腸感染の主要な症状発現は下痢である。水分補給治療が多くの場合において効果的であるが、水分補給治療は排便頻度を減少させず、また、下痢の持続期間を短くしないので、その受け入れは低い。そのうえ、小さい子供では実行することが困難である。
【0008】
下痢のプロバイオティクス処置が試みられているが、成功は限られている。二重盲検偽薬対照研究で行われた小児患者へのS.boulardii投与では、排便回数の著しい減少がもたらされた[Cetina Sauri(1994)、Extrait Ann Pediatrie、41:6]。他方で、コレラ菌および腸毒性大腸菌によって引き起こされる急性の水様下痢における糞便連鎖球菌の治療的効力は全く認められなかった[Mitra(1990)、99:1149〜52]。
【0009】
旅行者の下痢。旅行者の下痢は、開発途上国だけでなく、西洋社会でもまた、健康な旅行者が罹る一般的な症状である。旅行者の下痢の発生率は、旅行者の開始地および旅行先ならびに旅行の様式に依存して、20%から50%に及ぶ。下痢は自己限定的であるが、些細な発病でさえ休日を中断させ、これにより不便かつ不快の原因になり得る。様々な感染性病原体が旅行者の下痢の原因として記載されている。トキシンを産生する大腸菌が最も一般的に単離されている生物である。
【0010】
プロバイオティクスは、生きた酸細菌が危険性のある期間の間に投与されるならば、旅行者の下痢のいくつかの形態を防止することにおいて有益な効果を有することが示されている[Du Pont(1993)、New Eng.J.Med.、328:1821〜7;Van der Waij(1982)、J.Antimicrob.Ther.、10:263〜70;Oksanen(1990)、Ann.Med.、22:53〜6;Salminen(1992)、10:227〜38;Black(1989)、Travel Med.、8:333〜5;Katelaris(1995)、41:40〜7;Kollaritsch(1990)、74〜82]。
【0011】
抗生物質に関連した下痢。軽度または重症の下痢発生が抗生物質治療の非常に一般的な副作用である。正常な微生物叢が抗菌剤治療の期間中に抑制され得ること、および、その結果としての微生物不足が日和見菌株または病原性菌株によって置き換わり得ることが広く明らかにされている[Gismondo(1995)、Chemotherapy、41:281〜8]。微生物叢の変化はまた、耐性菌株の出現にも遭遇し得る。抗生物質関連下痢の少なくとも1/3がクロストリジウム・デフィシルによるものである。
【0012】
プロバイオティクスが、正常な腸内叢を回復し、かつ、正常な腸内叢と入れ替わるために使用できることが提案されている。特に、プロバイオティクスを、老人、入院者または免疫低下者などの高リスク患者において使用することができる。いくつかの臨床試験では、S.boulardii、Lactobacillus spp.およびBifidobacterium spp.が抗生物質関連下痢において使用されている。従って、例えば、入院患者に対するS.boulardiiの投与は抗生物質関連下痢の発生を50%低下させた[Surawicz(1989)、Gastroenterology、96:981〜8;McFarland(1995)、Am.J.Gastroenterol.、90:439〜48]。あるいは、C.difficile大腸炎の患者に対するラクトバチルスGGの投与は、下痢を、再発事例を伴うことなく停止させた[Gorbach(1987)、Lancet、2:1519〜22]。
【0013】
HIVに関連した下痢。下痢はヒト免疫不全症ウイルス(HIV)感染の非常に重篤な結果である。この下痢の病因はしばしば不明であり、効果的な治療様式が存在しない。しかしながら、最近、S.boulardiiが、慢性の下痢を有する33名のHIV患者を処置するために使用された(Born他、Dtsch.Med.Wochenschr.(1993)、118:765;Saint−Marc他(1991)、Ann.Med.Intern.、142:64〜65)。これらの二重盲検研究では、S.boulardiiが与えられている患者の56%が、偽薬が与えられている患者のほんの9%と比較して、下痢の消散を有した。
【0014】
スクラーゼ−イソマルターゼ欠損症。スクラーゼ−イソマルターゼ欠損症は、ヒトにおける最も頻発する根本的なサッカリダーゼ欠損症である。スクラーゼ−イソマルターゼ欠損症は、スクロースの吸収不全を生じさせる遺伝性の状態である。スクロースの微生物発酵が生じることにより、結腸における水素の蓄積がもたらされ、これにより、下痢、腹部の痙攣およびガス貯留が生じる。スクロースを含まない食事により、症状の消失がもたらされる。しかしながら、必ずしもすべての患者がそのような食事に従うわけではない。Harms他[(1987)、N.Engl.J.Med.、316:1306〜1309]は、スクラーゼ−イソマルターゼ欠損症の8人の子供を処置するためにサッカロミセス・セレビジアエを使用した。スクロースが与えられ、その後、S.cerevisiaeが与えられた子供において、その水素呼気試験および胃腸症状の両方における改善(これは、S.cerevisiaeの酵素による酵素的相補によって引き起こされ得ると考えられる)が認められることが明らかにされた。
【0015】
ロタウイルス下痢。ロタウイルスは、特に開発途上国では、乳児の罹患および死亡の主要な原因である[Majamaa他(1995)、J.Pediatr.Gastroenterol.Nutr.、20:333〜338;Middleton他(1997)、Am.J.Dis.Child.、131:733〜737]。主たる処置手段は経口水分補給である。だが、ロタウイルス感染症の健康への影響を劇的に低下させるはずである効果的なワクチンが最近では利用できるようになってきている。
【0016】
ラクトバチルス属は、ロタウイルス感染に対する処置としてある程度有望であることが明らかにされている[Isolauri他(1994)、Dig.Dis.Sci.、39:2595〜2600;Kaila他(1992)、Pediatr.Res.、32:141〜144;Majamaa他(1995)、上掲]。Isolauri他(1991)は、ラクトバチルスGGまたは偽薬のいずれかを用いて下痢の74人の子供(4月齢〜45月齢)を処置した。下痢の子供のほぼ80%がロタウイルスについて陽性であった。研究者らは、下痢の継続期間が、ラクトバチルスGGが投与された患者では(2.4日から1.4日に)著しく短くなったことを明らかにした。この効果は、ロタウイルス陽性患者のみが分析されたときにはさらに一層顕著であった。
【0017】
炎症性腸疾患。病因が不明であるクローン病および潰瘍性大腸炎を含む2つの炎症性腸疾患が腸の微生物叢の乱れに関連づけられている[Fabia他(1993)、Digestion、54:248〜255]。クローン病は、口から肛門にかけて発生する特発性の炎症性腸疾患であるが、回腸終端部が疾患の最も一般的な部位である。潰瘍性大腸炎の最も一般的な臨床的症状発現は結腸の炎症である。特異的な処置がいずれの疾患についても得られていない。非病原性大腸菌のNissle株(血清型O6:K5:H1)が、潰瘍性大腸炎の再発を防止するその能力について調べられた[Kruis(1997)、Aliment.Pharmacol.Ther.、11:853〜858]。予備的結果は有望であるようであり、これは潰瘍性大腸炎の維持療法に対するもう一つの選択肢になり得ることを示唆している。
【0018】
便秘。便秘は、進行した年齢では増大した頻度を伴って発生する一般的な状態である。例えば、英国内では、3百万件のGI診察が毎年、便秘に関連づけられることが推定される[Robinson、便秘:原因および治療、Nurs Times、2003(6月24日〜30日)、99(25):26〜7]。
【0019】
便秘の問題は胃腸の微生物叢の変化に関連することが多い[Colum Dunne Inflammatory Bowel Diseases(2001)、7:136〜145]。プロバイオティクス処置が、腸の運動性を改善し、糞便酵素活性を低下させるために、また、便秘からの回復において効果的であることが提案されている[Ouwehand他、Annals of Nutrition and Metabolism(2002)、46:159〜162]。
【0020】
回腸嚢炎。回腸嚢炎は、慢性的な潰瘍性大腸炎に対する外科的処置を受ける患者の10%〜20%で発生する回腸貯留部手術の合併症である。嚢における細菌の異常増殖により、上皮細胞を覆う粘膜の分解がもたらされる。これにより、出血性下痢、下腹部の痛みおよび発熱をはじめとする炎症および症状がもたらされる。経口投与によるラクトバチルスGGは、粘膜を分解する性質を示さないので、回腸嚢炎に対する効果的な治療剤であることが提案された[Ruseler−Van Embden他(1995)、Microecol.Ther.、23:81〜88]。
【0021】
ガン発生。正常な腸内叢が、発ガン性物質を活性化する様々な酵素を産生することによるガン発生に影響を及ぼし得るという証拠が集まりつつある。これらの酵素には、グリコシダーゼ、β−グルクロニダーゼ、アゾレダクターゼおよびニトロレダクターゼが含まれる。明らかに、選択された微生物により、宿主がこのような発ガン性活性から保護され得る[Orrhage他(1994)、Mutat.Res.、311:239〜248;RowlandおよびGrasso(1975)、Appl.Microbiol.、29:7〜12]。L.acidophilusまたはL.caseiのいずれかが与えられているヒト被験者は、その便試料において、前発ガン性物質を発ガン性物質に変換する酵素の低下したレベルを有する[HayatsuおよびHayatsu(1993)、Appl.Microbiol.、29:7〜12;LeeおよびSalminen(1995)、Trends Food Sci.Technol.、6:241〜245;Lidbeck他(1992)、Eur.J.Cancer Prev.(1992)、1:341〜353]。
【0022】
経腸栄養法に関連した下痢。経鼻胃管栄養法を受けている患者は下痢をしばしば発生する。この下痢の機構は不明であるが、経腸栄養法は、変化した炭水化物代謝およびその後の下痢を生じさせる、正常な細菌叢の変化を引き起こすことが主張されている。2つの別個の研究(ともに偽薬を対照とする二重盲検法)では、S.boulardiiが与えられたとき、下痢の著しい減少がこれらの患者において明らかにされた[Bleichner他(1997)、Intensive Care Med.、23:517〜523;Tempe他(1983)、Sem.Hop.、59:1409〜1412]。
【0023】
泌尿生殖路疾患。子宮感染症、ならびに、子宮頸部、膣および外陰部の感染症が、一般に、ヒトおよび飼育動物において、特に出生後に発生する。子宮内膜(すなわち、子宮粘膜)および下部生殖路における隣接する粘膜表面の典型的な感染性生物には、例えば、β−溶血性連鎖球菌、カンジダ・アルビカンス、肺炎桿菌、大腸菌群の細菌(大腸菌、コリネバクテリウム・ピオゲネスおよびC.vaginaleが含まれる)、様々なカンピロバクター属種またはトリコモナス属種(例えば、T.vaginalisなど)などが含まれる(例えば、米国特許第5667817号を参照のこと)。
【0024】
他の泌尿生殖器病原体には、トラコーマクラミジア、淋菌、単純ヘルペスウイルス、HIV、パピローマウイルスおよび梅毒テレポネーマが含まれるが、これらに限定されない。
【0025】
細菌性膣炎(BV)は、早期破水、早産、または、胎児もしくは新生児の死亡を引き起こす、妊娠における合併症を引き起こし得る。早期破水はまた、BV、尿路感染症、B群連鎖球菌感染症、ならびに、泌尿生殖路におけるウレアプラズマおよびマイコプラズマなどの生物の存在に関連し得る。
【0026】
調査により、複雑な根本原因が除外されると、唯一の治療的選択肢は抗菌剤である。多くの場合、これは、感染を取り除くことにおいて効果的である。しかしながら、再発、副作用および二次的感染症が頻発する。感染と同時に、膣における正常な共生細菌叢の破壊(主にラクトバチルス属細菌の喪失)が生じる。プロバイオティクスの使用は、Reid(FEMS Immunol.Med.Microbiol.(2001)(2月)、30(1):49〜52)によって記載されるように、泌尿生殖路疾患を処置することにおいて有益であることが示されている。
【0027】
呼吸器疾患。上部気道は、黄色ブドウ球菌、肺炎連鎖球菌、β−溶血性連鎖球菌およびインフルエンザ菌(これらに限定されない)をはじめとする潜在的病原性細菌のすみかとなり得る。数多くの報告では、プロバイオティクスの定期的な摂取は上部気道における潜在的病原性細菌の数を減少させ得ることが示唆される[RoosおよびKolm(2002)、Curr.Infect.Dis.Rep.、4:211〜216]。Guarinoおよび共同研究者ら[Gastroenterol.Int.、1998、11(増刊):91]は、肺炎の重篤度が、偽薬群と比較して、ラクトバチルスGGにより処置された嚢胞性線維症の子供において著しく減少することを記載した。RibeiroおよびVanderhoof[J Pediatr Gastroenterol Nutr、1998、26:561]もまた、保育所に通っている子供へのプロバイオティクスの導入は呼吸器疾患の発生を減少させたことを示した。数多くの機構により、呼吸器疾患に対するプロバイオティクスの効果を説明することができる。Mack他[Am J Physiol、1999、276:G941〜50]はムチン遺伝子のアップレギュレーションをL.plantarumによる細胞培養系において示した。ラクトバチルスGGは、ロタウイルスおよびロタウイルスワクチンの両方に対する抗体反応を選択的に刺激するようであり、これは、ラクトバチルス属細菌のほとんどの他の種の間には有しない性質である。最後に、Jungおよび共同研究者[FASEB J、1999、13:A872]は、ラクトバチルスGGが、偽薬群よりも、ラクトバチルスにより処置された成人において、腸チフスワクチンに対する良好な抗体応答を生じさせたことを示した[Jung他、FASEB J、1999、13:A872]。
【0028】
慢性関節リウマチ。慢性関節リウマチに関連する炎症が、プロバイオティクスを摂取することにより調節されるかもしれないことが理解される[Malin(1996)、Br J Rheumatol.、35:689〜94]。炎症を起こし、かつ、触診可能な胃腸管によって吸収される抗原の正常なプロセシングが、腸の炎症性疾患と、腸管外の炎症性疾患障害との間をつなぐものとして役立っているかもしれない。プロバイオティクスを摂取した結果としての免疫系または変化した腸透過性の調節が、最終的には、これらの障害の一部における重要な一次的治療または補助的治療になるかもしれない。
【0029】
アレルギー。様々なアレルギー性疾患が、おそらくは西洋社会の生活様式(すなわち、衛生状態の改善および低下した家族規模)に関連する低下した微生物刺激のために、この二、三十年の間に増大している。生活様式におけるこれらの変化は、免疫系の低下した刺激をもたらす微生物叢組成の変化を誘導しているかもしれない。様々な腸感染が、サイトカインTh2の初期反応性をサイトカインTh1の反応性の方に変化させるために、従って、アレルギーの発生を減少させるために、新生児段階では重要であることが仮定されている。
【0030】
アトピー性疾患の有病率がより大きい個体に棲む微生物叢の大きな特徴は、Clostridium sspのより大きいカウント数と一緒になったラクトバチルス属およびユーバクテリア属の減少である[Biorksten他、Clin.Exp.Allergy(1999)、29:342〜346]。従って、微生物叢のバランス異常を直し、それによりアトピー性疾患を処置するために、プロバイオティクスを導入することが試みられている。
【0031】
最近では、アトピー性湿疹を防止するためのある種のプロバイオティクスの積極的な活性が報告されている[Isolauri(2001)、Am J Clin Nutr、73:1142S〜1146S]。アトピー性湿疹の処置では、2つの異なる細菌(ビフィドバクテリウム・ラクチスおよびラクトバチルス・ラムノススGG)が対照研究において有効であることが立証されている[Kalliomaki(2001)、Lancet、357:1076〜1079]。
【0032】
プロバイオティクス治療の有効性が数多くの研究によって明らかにされており、従って、今では、数多くの障害に対する好適な治療として受け入れられているが、プロバイオティクス処置は、全身感染、有害な代謝活性、感受性個体における過度な免疫刺激、および遺伝子移入をはじめとする数多くの副作用をもたらし得る[Marteau(2001)、プロバイオティクス製造物の安全性局面、Scand.J.Nutr.、45、1、22〜24]。例えば、L.rhamnosusの2つの事例が、可能なプロバイオティクスの摂取にさかのぼって調べられた[Rautio(1999)、Clin.Infect.Dis.、28:1159〜60;Mackay(1999)、Clin.Microbiol.Infect.、5:290〜292]。13例のサッカロミセス真菌血症が血管カテーテル汚染によって引き起こされ[Hennequin(2000)、Eur.J.Clin.Microbiol.Infect.Dis.、19:16〜20]、また、バチルス感染症が、根本的な疾患を有する患者においてすべて、プロバイオティクス摂取に関連づけられた[Spinosa(2000)、Microb.Ecol.Health Dis.、12:90〜101;Oggioni(1998)、J.Clin.Microbiol.、36:325〜326]。あるいは、エンテロコックス属が院内感染症の重要な原因として出現しつつあり、単離体がますますバンコマイシン耐性になっている。
【0033】
従って、上記の制限を有しないプロバイオティクス微生物菌株が必要であることが広く認められており、また、そのようなプロバイオティクス微生物菌株を有することは非常に好都合である。
【発明の開示】
【0034】
本発明の1つの局面によれば、枯草菌HE株(ATCC寄託番号:PTA−5310)の同定特徴のすべてを有する細菌菌株の生物学的に純粋な培養物が提供される。
【0035】
本発明の別の局面によれば、バチルス・リケニホルミスPA株(ATCC寄託番号:PTA−5311)の同定特徴のすべてを有する細菌菌株の生物学的に純粋な培養物が提供される。
【0036】
本発明のさらに別の局面によれば、バチルス・リケニホルミスPA(ATCC寄託番号:PTA−5311)の同定特徴のすべてを有する第1の細菌菌株と、枯草菌HE(ATCC寄託番号:PTA−5310)の同定特徴のすべてを有する第2の細菌菌株とを含む細菌混合培養物が提供される。
【0037】
本発明のなお別の局面によれば、バイオスポリン培養物よりも大きい抗病原性活性を示す、バチルス・リケニホルミス株および枯草菌株を含む少なくとも2つの細菌菌株を含む細菌混合培養物が提供される。
【0038】
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、バチルス・リケニホルミス株はバチルス・リケニホルミスPA(ATCC寄託番号:PTA−5311)であり、枯草菌株は枯草菌HE(ATCC寄託番号:PTA−5310)である。
【0039】
本発明のさらなる局面によれば、バチルス・リケニホルミスPA(ATCC寄託番号:PTA−5311)の同定特徴のすべてを有する第1の細菌菌株、および/または枯草菌HE(ATCC寄託番号:PTA−5310)の同定特徴のすべてを有する第2の細菌菌株の治療効果的な量と、医薬的に許容され得るキャリアとを含む組成物が提供される。
【0040】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、組成物は1グラムあたり少なくとも10個の生細菌細胞を含む。
【0041】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、組成物は1グラムあたり少なくとも10個の生細菌細胞を含む。
【0042】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、組成物は1グラムあたり少なくとも1010個の生細菌細胞を含む。
【0043】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、組成物はさらに、酵母細胞、糸状菌細胞および細菌細胞からなる群から選択されるプロバイオティクス微生物を含む。
【0044】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、組成物はさらに抗生物質を含む。
【0045】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、組成物はさらに抗真菌剤を含む。
【0046】
本発明のさらなる局面によれば、バチルス・リケニホルミスPA(ATCC寄託番号:PTA−5311)の同定特徴のすべてを有する第1の細菌菌株、および/または枯草菌HE(ATCC寄託番号:PTA−5310)の同定特徴のすべてを有する第2の細菌菌株の効果的な量と、ヒト摂取のために好適なキャリアとを含む食品添加物または食品補助物が提供される。
【0047】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、キャリアは定着キャリアである。
【0048】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、定着キャリアは、糖類、修飾糖類、およびその組合せからなる群から選択される。
【0049】
本発明のさらにさらなる局面によれば、バチルス・リケニホルミスPA(ATCC寄託番号:PTA−5311)の同定特徴のすべてを有する第1の細菌菌株、および/または枯草菌HE(ATCC寄託番号:PTA−5310)の同定特徴のすべてを有する第2の細菌菌株の効果的な量と、動物摂取のために好適なキャリアとを含む飼料添加物または飼料補助物が提供される。
【0050】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、キャリアは、石灰石、糖類および小麦ミド(midds)からなる群から選択される。
【0051】
本発明のなおさらなる局面によれば、バチルス・リケニホルミスPA(ATCC寄託番号:PTA−5311)の同定特徴のすべてを有する第1の細菌菌株、および/または枯草菌HE(ATCC寄託番号:PTA−5310)の同定特徴のすべてを有する第2の細菌菌株の効果的な量を含む食品が提供される。
【0052】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、食品は発酵乳製品である。
【0053】
本発明のさらなる局面によれば、胃腸障害を処置または防止する方法が提供され、この場合、この方法は、バチルス・リケニホルミスPA(ATCC寄託番号:PTA−5311)の同定特徴のすべてを有する第1の細菌菌株、および/または枯草菌HE(ATCC寄託番号:PTA−5310)の同定特徴のすべてを有する第2の細菌菌株の治療効果的な量を、それを必要としている対象に投与することを含む。
【0054】
本発明のさらにさらなる局面によれば、包装材料と、包装材料内に含有されている、胃腸障害を処置または防止するために特定される組成物とを含む製造物が提供され、この場合、組成物は、有効成分として、バチルス・リケニホルミスPA(ATCC寄託番号:PTA−5311)の同定特徴のすべてを有する第1の細菌菌株、および/または枯草菌HE(ATCC寄託番号:PTA−5310)の同定特徴のすべてを有する第2の細菌菌株を含む。
【0055】
本発明のなおさらなる局面によれば、プロバイオティクスによって処置または防止され得る障害を処置または防止する方法が提供され、この場合、この方法は、バチルス・リケニホルミスPA(ATCC寄託番号:PTA−5311)の同定特徴のすべてを有する第1の細菌菌株、および/または枯草菌HE(ATCC寄託番号:PTA−5310)の同定特徴のすべてを有する第2の細菌菌株の治療効果的な量を、それを必要としている対象に投与することを含む。
【0056】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、第1または第2の細菌菌株は、胞子形成した形態で提供される。
【0057】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、第1または第2の細菌菌株は、凍結乾燥された形態で提供される。
【0058】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、投与は、1回の服用において10個〜1010個の生細胞の間での、第1の細菌菌株および/または第2の細菌菌株の濃度で行われる。
【0059】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、障害は、虫垂炎、自己免疫障害、多発性硬化症、アルツハイマー病、慢性関節リウマチ、セリアック病、真性糖尿病、臓器移植、歯周疾患、泌尿生殖器疾患、性感染症、HIV感染、HIV複製、手術に関連した外傷、手術により誘導された転移疾患、敗血症、体重減少、食欲不振、発熱抑制、悪液質、創傷治癒、潰瘍、腸バリア機能、アレルギー、喘息、呼吸器障害、ライノウイルスに関連した疾患、循環器障害、冠状動脈疾患、貧血、血液凝固系の障害、腎臓疾患、中枢神経系の障害、肝臓疾患、便秘、虚血、栄養障害、骨粗鬆症、内分泌障害、表皮障害、乾癬、炭疽病および尋常性ざ瘡からなる群から選択される。
【0060】
本発明は、新規な細菌菌株、新規な細菌菌株を含む組成物、およびそのプロバイオティクス使用を提供することによって、現在知られている形態の欠点を対処することに成功している。
【0061】
本明細書で使用される技術用語と科学用語はすべて、特に断らない限り、本発明の属する技術分野の当業者が共通して理解しているのと同じ意味を持っている。本明細書に記載されているのと類似の又は均等の方法と材料は本発明を実施又は試験するのに使用できるが、適切な方法と材料は以下に述べる。争いが生じた場合、定義を含めて本特許明細書が基準である。さらに、本明細書の材料、方法及び実施例は例示することだけを目的とし本発明を限定するものではない。
【0062】
図面の説明
本明細書では本発明を単に例示し図面を参照して説明する。特に詳細に図面を参照して、示されている詳細が例示として本発明の好ましい実施態様を例示考察することだけを目的としており、本発明の原理や概念の側面の最も有用でかつ容易に理解される説明であると考えられるものを提供するために提示していることを強調するものである。この点について、本発明を基本的に理解するのに必要である以上に詳細に本発明の構造の詳細は示さないが、図面について行う説明によって本発明のいくつもの形態を実施する方法は当業者には明らかになるであろう。
図1a−bはバチルス・リケニホルミスPA(図1a)およびバチルス・スブチリス(枯草菌)HE(図1b)の形態を示す顕微鏡写真であり、栄養寒天上で37℃で18時間培養された後のものが1000倍で示されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
本発明は、下痢などの胃腸障害のプロバイオティクス処置のために使用されることができる細菌菌株、およびかかる細菌菌株を含む組成物の発明である。
【0064】
本発明の原理および操作は、図面および添付された説明を参照してより良く理解することができる。
【0065】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、下記の説明に示される細部または実施例によって例示される細部に限定されないことを理解しなければならない。本発明は、他の実施形態が可能であり、または様々な方法で実施することができ、または様々な方法で実施される。また、本明細書中で用いられる表現および用語は説明のためであり、従って限定として見なされるべきではないことを理解しなければならない。
【0066】
胃腸の微生物叢は、ヒトおよび動物の胃腸管の機能および全体的な生理学的健康状態のために重要である。しかしながら、抵抗性が低い期間中では、望ましくない微生物(すなわち、病原体)が胃腸管で増殖することができ、それにより、正常な保護的腸内叢に取って代わり、これにより、重篤な胃腸症状の出現がもたらされる。
【0067】
固有細菌の構造および代謝活性を改変するための様々な試みが、主として、宿主の胃腸(GI)系に対する好ましい効果を発揮する生きた微生物であるプロバイオティクスを用いて行われている。今日まで、最も良く知られているプロバイオティクスは、ヨーグルトおよび他の乳製品において広範囲に利用されている乳酸産生細菌(すなわち、ラクトバチルス属およびビフィドバクテリウム属)である。これらプロバイオティクス生物は非病原性かつ非毒性であり、生存能力を貯蔵期間中に保持しており、かつ、胃および小腸を生存して通過する。
【0068】
プロバイオティクスのバイオスポリンは、枯草菌3およびバチルス・リケニホルミス31を含むバチルス属の好気性胞子形成細菌の培養物である。バイオスポリンは、抗生物質耐性微生物をはじめとする広範囲の病原体および条件的病原性微生物[例えば、Salmonella spp.、Shigella spp.、腸病原性大腸菌、Proteus spp.、Klebsiella spp.、S.aureus、Campylobacter spp.、Helicobacter spp.、Yersinia spp.、Candida spp.]に対する拮抗活性によって特徴づけられる。重要なことに、バイオスポリンは、他のプロバイオティクス調製物(例えば、ラクトバチルス属細菌など)と比較してより大きい治療効力を示し、また、大きな投薬量の投与は宿主に対する何らかの好ましくない作用(例えば、全身感染および有害な代謝活性など)をもたらさないので、最小限の細胞毒性を示すだけである[Sorokulova(1997)、Mikrobiol Z.、59(6):43〜9;Smirnov他(1994)、Likarska sprava、5〜6、133〜138;Gracheva他(1996)、Zh.Microbiol.(Moscow)、1、75〜77;Osipova他(1998)、Zh Mikrobiol Epidemiol Immunobiol.、6、68〜70]。そのうえ、バイオスポリンは、カンピロバクター属の病原体に対して効果的である今日までに知られている唯一のプロバイオティクス培養物である[Sorokulova他(1997)、J.Travel.Med.、4:167〜170]。
【0069】
本発明を実行に移しているとき、また、改善されたプロバイオティクス活性を有する細菌菌株を探索しているとき、本発明者らは、バイオスポリン培養物と比較して優れたプロバイオティクス機能を示す新規な細菌菌株を発見した。
【0070】
下記の実施例の節において例示されるように、本発明の細菌菌株は、改善されたカゼイン分解活性およびリゾチーム産生活性についてバイオスポリン培養物を選択することによって発見された。
【0071】
本発明の細菌菌株は、内生胞子を産生することができ、かつ、カタラーゼを産生することができる桿状形態のグラム陽性細菌である(図1a〜図1b)。さらなる生化学的特徴が下記の表1にまとめられる。
【0072】
下記の実施例の節の実施例3および実施例4において例示されるように、本発明の細菌菌株は、体内器官の目視検査および脾臓重量指標評価を使用して明らかにされるように生物学的に安全である(すなわち、全身感染、有害な代謝活性、過度な免疫刺激または遺伝子移入を生じさせない)。
【0073】
重要なことに、本発明の細菌菌株の混合培養物は、元のバイオスポリン培養物の抗菌活性よりも大きい広範囲の抗菌活性を示す(下記の実施例の節の実施例5〜実施例8を参照のこと)。
【0074】
これらの知見は、本発明の細菌菌株が、ヒトおよび動物における胃腸障害を処置および防止するために使用することができる有効なプロバイオティクスであることを示唆している。
【0075】
本発明の1つの局面によれば、バイオスポリン培養物よりも大きい拮抗活性を示す細菌菌株の生物学的に純粋な培養物が提供される(下記の実施例の節の実施例5〜実施例8を参照のこと)。
【0076】
本発明の1つの好ましい実施形態によれば、細菌菌株は、American Type Culture Collection(ATCC)に2003年7月8日に菌株PTA−5310としてブダペスト条約に従って寄託された枯草菌HE株の同定特徴のすべてを有する。
【0077】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、細菌菌株は、American Type Culture Collection(ATCC)に2003年7月8日に菌株PTA−5311としてブダペスト条約に従って寄託されたバチルス・リケニホルミスPA株の同定特徴のすべてを有する。
【0078】
本明細書中で使用される表現「生物学的に純粋な培養物」は、細菌の少なくとも20%が1つの細菌菌株に由来する細菌培養物を示す。本発明のこの局面の好ましい実施形態によれば、培養物は少なくとも30%純粋であり、より好ましくは少なくとも40%純粋であり、さらにより好ましくは少なくとも50%純粋であり、最も好ましくは少なくとも90%純粋である。
【0079】
本明細書中上記で述べられたように、本発明の細菌菌株(すなわち、バチルス・リケニホルミスPAおよび枯草菌HE)の細菌混合培養物は、バイオスポリン培養物と比較して優れた抗菌活性を示し、従って、胃腸障害のプロバイオティクス処置において効果的に使用することができる。
【0080】
従って、本発明のさらに別の局面によれば、バチルス・リケニホルミスPAおよび枯草菌HEの細菌菌株を含む細菌混合培養物が提供される。
【0081】
本明細書中で使用される「細菌混合培養物」は、本明細書中上記で記載された本発明の少なくとも2つの細菌菌株を含む細菌細胞の培養物を示す。
【0082】
本発明の細菌混合培養物は、プロバイオティクス細菌の他の菌株、プロバイオティクス酵母の他の菌株(例えば、サッカロミセス属の他の菌株、米国特許第6524575号)および/またはプロバイオティクス糸状菌の他の菌株(例えば、アスペルギルス属の他の菌株、米国特許第6368591号)を含み得ることが理解される。プロバイオティクス細菌菌株の例には、ラクトバチルス属(これには、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・サリバリウス、ラクトバチルス・デルブルキル、ラクトバチルス・ラムノスス、ラクトバチルス・ブルガリクス、ラクトバチルス・ガセルリ、ラクトバチルス・ジェンセニイおよびラクトバチルス・スポロゲネスが含まれるが、これらに限定されない);エンテロコックス属(これには、エンテロコックス・フェシウムおよびエンテロコックス・サーモフィルスが含まれる);ビフィドバクテリウム属(これには、ビフィドバクテリウム・ロングム、ビフィドバクテリウム・インファンチスおよびビフィドバクテリウム・ビフィダムが含まれる);バチルス属(バチルス・コアグランス、バチルス・サーモフィルス、バチルス・ラテロスポルス、枯草菌、バチルス・メガテリウム、バチルス・リケニホルミス、バチルス・ミコイデス、バチルス・プミルス、バチルス・レンツス、バチルス・セレウスおよびバチルス・サーキュランスが含まれる);シュードモナス属(これには、シュードモナス・エルギノーサ、シュードモナス・プチダ、シュードモナス・セパシア、シュードモナス・フルオレセンスおよびPseudomonas679−2が含まれる);スポロラクトバチルス属;ミクロモノスポラ属;ミクロコックス属;ロードコックス属および大腸菌が含まれるが、これらに限定されない。
【0083】
本発明の細菌菌株(すなわち、バチルス・リケニホルミスPAおよび枯草菌HE)の単離、同定および培養は、標準的な微生物的技術を使用して行うことができる、そのような技術の様々な例が、Gerhardt,P.(編)、Methods for General and Molecular Microbiology(American Society for Microbiology、Washington,D.C.(1994))、および、Lennette,E.H.(編)、Manual of Clinical Microbiology(第3版、American Society for Microbiology、Washington,D.C.(1980))に見出され得る。
【0084】
従って、本発明の細菌菌株は、実施例の節の実施例1に記載されるように、B.subtilis3およびB.licheniformis31に由来し得る。
【0085】
単離は、好ましくは、本明細書中上記に記載される表現型形質(例えば、グラム陽性、内生胞子を好気的に形成することができること)によって特徴づけられる単一コロニーを得るために、また、汚染されている培養物および/または変異を蓄積している培養物を伴う操作の可能性を低下させるために、固体培地(例えば、栄養寒天平板)において試料を画線培養することによって行われる。
【0086】
本発明の細菌菌株は好気的条件下での液体培地で増殖させることができる。
【0087】
本発明の細菌菌株を生育させるための培地は、炭素源、窒素源および無機塩、ならびに、特別に要求される物質(例えば、ビタミン、アミノ酸および核酸など)を含む。
【0088】
本発明の細菌菌株を生育させるために使用することができる好適な炭素源の例には、デンプン、ペプトン、酵母抽出物、アミノ酸、糖(例えば、グルコース、アラビノース、マンノース、グルコサミンおよびマルトースなど);有機酸(例えば、酢酸、フマル酸、アジピン酸、プロピオン酸、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、ピルビン酸およびマロン酸など)の塩;アルコール(例えば、エタノールおよびグリセロールなど);オイルまたは脂肪(例えば、ダイズ油、米ぬか油、オリーブ油、トウモロコシ油、ゴマ油など)が含まれるが、これらに限定されない。添加される炭素源の量は炭素源の種類に従って変化し、典型的には、1リットルの培地について1グラム〜100グラムの間である。好ましくは、グルコース、デンプンおよび/またはペプトンが、主要な炭素源として、0.1%(W/V)〜5%(W/V)の濃度で含有される。
【0089】
本発明の細菌菌株を生育させるために使用することができる好適な窒素源の例には、アミノ酸、酵母抽出物、トリプトン、牛肉抽出物、ペプトン、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、アンモニアまたはそれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。窒素源の量は窒素源に従って変化し、典型的には、1リットルの培地について0.1グラム〜30グラムの間である。
【0090】
無機塩として、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一マンガン、塩化第一マンガン、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、硫酸第二銅、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムを単独または組合せで使用することができる。無機塩の量は無機塩の種類に従って変化し、典型的には、1リットルの培地について0.001グラム〜10グラムの間である。
【0091】
特別に要求される物質の例には、ビタミン、核酸、酵母抽出物、ペプトン、肉抽出物、麦芽抽出物、乾燥酵母およびそれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。
【0092】
培養は、本発明のプロバイオティクス細菌菌株の生育を可能にする温度で、本質的には、28℃〜46℃の間の温度で行われる。好ましい温度範囲は30℃〜37℃である。
【0093】
最適な生育のために、培地は好ましくはpH7.0〜7.4に調節される。
【0094】
市販の培地もまた、本発明の細菌菌株を培養するために使用できることが理解される(例えば、Difco(Detroit、MI)から入手可能なNutrient BrothまたはNutrient Agarなど)。
【0095】
培養時間は、使用される培養培地のタイプおよび主炭素源としての糖の濃度に依存して異なり得ることが理解される。典型的には、培養は、培養物の胞子形成が80%に達するように24時間〜96時間続けられる。
【0096】
このようにして得られた細菌細胞は、この分野で広く知られている方法を使用して単離される。例には、膜ろ過および遠心分離が含まれるが、これらに限定されない。
【0097】
pHは、水酸化ナトリウムなどを使用して調節することができ、また、培養物は、水分含有量が4%以下になるまで凍結乾燥機を使用して乾燥することができる。
【0098】
上記に記載されるプロバイオティクス混合培養物は、本明細書中上記に記載されるようにそれぞれの菌株を増殖させることによって得ることができる。細菌菌株は、適合し得る培養条件が用いられ得るときには一緒に培養され得ることが理解される。あるいは、本発明の細菌菌株は、標準化を容易にするために、別個の培養培地で得ることができる。
【0099】
それぞれの細菌菌株の最終濃度は、好ましくは、組合せ前において約10生物/ml〜1010生物/mlの間である。強化された抗菌活性のためには、バチルス・リケニホルミスPA対枯草菌HEの比率は体積:体積に基づいて1:3の間でなければならない。しかしながら、当業者は、この比率が、使用された培養培地、培養物の相対的な時間、およびそれらの生存能力に依存して変化し得ることを理解する。
【0100】
本発明の細菌菌株の多くは作製されると、好ましくは、品質検定される。そのような検定では、胃の酸性度に対する抵抗性、胆汁酸に対する抵抗性(これはインビボでの胃での生存に相関する)、粘液ならびに/またはヒト上皮細胞および細胞系統に対する接着、潜在的病原性細菌に対する抗菌活性、表面に対する病原体接着を低下させる能力、そして、胆汁塩ヒドロラーゼ活性を試験することが含まれ得る[Conway(1987)、J.Dairy Sci.、70:1〜12]。
【0101】
本発明の細菌菌株の広範囲かつ大きい抗菌活性(実施例の節の実施例5〜実施例8を参照のこと)により、様々な胃腸障害を処置または防止することにおけるその使用が示唆される。
【0102】
従って、本発明のさらに別の局面によれば、対象における胃腸障害を処置または防止する方法が提供される。
【0103】
この方法は、その必要性のある対象に本発明のプロバイオティクス細菌菌株の治療効果的な量を投与することによって行われる。生細胞のほかに、非生存細胞(例えば、本発明のプロバイオティクス細菌によって発現された有益な因子を含有する死菌培養物または死菌組成物など)もまた投与することができる。これには、加熱により殺された細胞、または、変化したpHにさらされることにより殺された細菌細胞、または、圧力にさらされることにより殺された細菌細胞が含まれ得る。非生存細菌の産物を含む組成物は作製および貯蔵がより簡便であることが理解される。
【0104】
本明細書中で使用される用語「処置する」は、胃腸障害に関連する症状を緩和または軽減することを示す。好ましくは、処置することにより、胃腸障害に関連する症状が治療され、例えば、胃腸障害に関連する症状が実質的に除かれる。
【0105】
本発明の細菌培養物により処置され得る対象には、ヒト、および、プロバイオティクス処置から利益を受けることができる動物が含まれる。例には、哺乳動物、ハ虫類、鳥類および魚類などが含まれるが、これらに限定されない。
【0106】
本発明のプロバイオティクス菌株を使用して処置され得る胃腸障害の例には、急性の下痢、旅行者の下痢、ラクトース不耐症、HIVに関連した下痢、スクロースイソマルターゼ欠損症、炎症性腸疾患、回腸嚢炎、ガン発生、経腸栄養法に関連した下痢、抗生物質に関連した下痢、小腸での細菌の異常増殖、過敏性腸症候群、および、腸病原体(ヘリコバクター・ピロリ、カンピロバクター・ジェジュニ、カンピロバクター・コリ、黄色ブドウ球菌、スタフィロコックス・エピデルミディス、化膿連鎖球菌、肺炎連鎖球菌、エンテロコックス・フェカリス、インフルエンザ菌、大腸菌、肺炎桿菌、エンテロバクター・クロアカエ、シトロバクター・フロインデイ、セラチア・マルセセンス、シュードモナス・エルギノーサおよびシュードモナス・マルトフィリア、Salmonella sp.、ウイルス(例えば、ロタウイルスなど)および菌類(例えば、カンジダ・アルビカンスおよアスペルギルス・フミガツスなど)、および、これらの種の組合せ)に関連する障害が含まれるが、これらに限定されない(背景の節を参照のこと)。
【0107】
“Merck’s Veterinary Manual”は、本発明のこの局面に従って処置され得る動物の胃腸障害の詳細な記述を提供する。例には、下記が含まれるが、それらに限定されない:ウマバエ属の種(例えば、G.intestinalis、G.haemorrhiodalisおよびG.nasalisなど)によって引き起こされるウマの病原体に関連する疾患(ウマボッツ症、口唇ボッツ症またはのどボッツ症を含む)、ハブロネマ属の種(例えば、H.muscaeまたはH.microstoma mulusなど)によって引き起こされる胃虫、クラシア属の種(例えば、C.mepastomaなど)によって引き起こされる胃虫、毛様線虫属の種(例えば、T.axeiなど)によって引き起こされる胃虫、パラスカリス属の種(例えば、P.eciuorumなど)によって引き起こされる回虫(white worm)、円虫属の種(例えば、S.vulcraris、S.epuinusまたはS.edentatusなど)によって引き起こされる円虫(blood worm、palisade worm、red wormまたはsclerostome)、トリオドントホルス属の種(例えば、T.tenuicollisなど)によって引き起こされる盲腸および結腸の小さいストロンギルス、蟯虫属の種(例えば、O.eauiなど)によって引き起こされる蟯虫、ストロンギギロイデス・ウエステリによって引き起こされる腸のストロンギロイデス感染、裸頭条虫属の種(例えば、A.macmaおよびA.perfoliataなど)によって引き起こされる条虫、ならびに、乳頭条虫によって引き起こされる条虫。
【0108】
様々な他の病原体が、捻転胃虫属の種によって引き起こされる捻転胃虫(またはbarber’s pole wormまたはlarge stomach worm)をはじめとする反芻動物(典型的には、ウシ)における疾患を引き起こす。非反芻動物(典型的には、ブタ)において引き起こされる病原体には、紅色毛様線虫属の種によって引き起こされる胃虫が含まれる。
【0109】
さらなる病原体が、様々な動物宿主に感染することが知られており、従って、本発明の方法による処置のための標的である。例えば、様々な胃腸病原体が様々な動物に感染し、これらには、イヌにおいて食道虫を引き起こすスピロセルカ属の種(例えば、S.lupiなど)、ならびに、イヌおよびネコにおいて胃虫を引き起こすフィソロプテラ属の種が含まれ得る。
【0110】
本発明の細菌菌株は、プロバイオティクスによって処置され得る他の疾患または障害(すなわち、腸管外の疾患または障害)を処置するために使用され得ることが理解される。
【0111】
本発明の細菌菌株が、他の生物における細菌感染症、菌類感染症またはウイルス感染症を処置することができることは、潜在的病原体の移行を阻害することができ、従って、血流および他の組織または器官の感染を防止することができる非免疫学的な腸管防御バリアの促進を含む多重防御機構を刺激することの結果である[Isolauri(2001)、Am.J.Clin.Nut.、73:444S〜450Sによって総説される]。別の防御機構は、免疫学的バリアの改善、特に、腸の免疫グロブリンを介した改善(腸安定化作用をもたらす腸の炎症性応答の応答および緩和)であり、また、免疫調節によるのと同様に、特に、前炎症性サイトカインおよび抗炎症性サイトカインの均衡制御を介した改善である。
【0112】
本発明のプロバイオティクス培養物で処置されることができる腸管外の疾患の例は以下のものを含むがそれらに限定されない:虫垂炎、自己免疫障害、多発性硬化症、アルツハイマー病、慢性関節リウマチ、セリアック病、糖尿病、臓器移植、歯周疾患、泌尿生殖器(膣、尿道および会陰)疾患、性感染症、HIV感染、HIV複製、手術に関連した外傷、手術により誘導された転移疾患、敗血症、体重減少、食欲不振、発熱抑制、悪液質、創傷治癒、潰瘍、腸バリア機能、アレルギー、喘息、呼吸器障害、ライノウイルスに関連した疾患(例えば中耳炎、静脈洞炎、喘息、および肺疾患)、循環器障害、冠状動脈疾患、貧血、血液凝固系の障害、腎臓疾患、中枢神経系の障害、肝臓疾患(例えば肝性脳障害)、便秘、虚血、栄養障害、骨粗鬆症、内分泌障害、表皮障害、乾癬、炭疽病および/または尋常性ざ瘡(米国特許出願第20030113306号の実施例5〜8、Rolfe(2000)Journal of Nutrition 130:396S−402Sおよび背景セクションを参照のこと)。
【0113】
本発明のこの局面に従って投与されるプロバイオティクス微生物の典型的な濃度範囲は1日あたり10個〜1013個である。好ましくは、1日あたり少なくとも約10個の細胞、少なくとも約10個、少なくとも約10個の細胞がプロバイオティクス投与において使用される(米国特許第6221350号および同第6410305号を参照のこと)。しかしながら、投与される細菌の量は、対象の大きさ、障害のタイプおよび症状の重篤度をはじめとする数多くのパラメーターに従って変化することが理解される。
【0114】
本発明の細菌培養物は栄養学的組成物(例えば、食品、食品添加物または飼料添加物)に配合することができる。例えば、本発明の細菌菌株は、米国特許第6156320号などに記載される発酵乳製品(すなわち、栄養補助食品)に含めることができる。
【0115】
あるいは、本発明の細菌菌株は、本発明の細菌菌株が、意図された使用に従って選択された、任意のタイプの投与経路のための医薬的に許容され得るキャリアと混合されている医薬組成物に配合することができる。
【0116】
本明細書中において、用語「有効成分」は、生物学的効果を説明することができる細菌調製物を示す。
【0117】
本明細書中で使用される「医薬組成物」は、本明細書中に記載される有効成分の1つまたは複数と、他の化学的成分(例えば、生理学的に好適なキャリアおよび賦形剤)との調製物を示す。医薬組成物の目的は、生物に対する調合物の投与を容易にすることである。
【0118】
以降、表現「生理学的に許容され得るキャリア」および表現「医薬的に許容され得るキャリア」は交換可能に使用することができ、生物に対する著しい刺激を生じさせず、かつ、投与された調合物の生物学的活性および生物学的性質を阻害しないキャリアまたは希釈剤を示す。佐剤がこれらの表現に含まれる。医薬的に許容され得るキャリアに含まれる成分の1つが、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、すなわち、有機媒体および水性媒体の両方において広範囲の溶解性を有する生体適合性ポリマーであり得る。
【0119】
本明細書中において、用語「賦形剤」は、有効成分の投与をさらに容易にするために医薬組成物に添加される不活性な物質を示す。賦形剤の非限定的な例には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖およびタイプのデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油およびポリエチレングリコールが含まれる。
【0120】
薬物の配合および投与のための様々な技術が“Remington’s Pharmaceutical Sciences”(Mack Publishing Co.、Easton、PA、最新版)(これは参考として本明細書中に組み込まれる)に見出され得る。
【0121】
キャリアに加えて、本発明の医薬組成物または栄養学的組成物はまた、定着キャリア、栄養物、抗生物質、抗真菌剤、抗酸化剤、植物抽出物、緩衝剤、着色剤、矯味矯臭剤、ビタミンおよびミネラルを含むことができ、これらは、意図された使用および用いられる投与経路に従って選択される。
【0122】
定着キャリア。本発明の組成物は、プロバイオティクス微生物を大腸または胃腸管の他の領域に輸送する定着キャリアを含むことができる。典型的には、このようなキャリアは、アミロース、イヌリン、ペプチン、グアールガム、キトサン、デキストラン、シクロデキストリンおよびコンドロイチン硫酸などの糖類である[ChourasiaおよびJain(2003)、J.Pharm.Pharmaceut.Sci.、6:33〜66]。
【0123】
好ましくは、修飾型および/または非修飾型の抵抗性デンプンが定着キャリアとして使用される(米国特許第6221350号を参照のこと)。
【0124】
表現「抵抗性デンプン」は、Brown、McNaughtおよびMoloney(1995)、Food Australia、47:272〜275において定義されるような、RS1、RS2、RS3およびRS4として定義されるデンプンの形態である。典型的には、抵抗性デンプンは大腸に達するまでは本質的には分解されないので、抵抗性デンプンがプロバイオティクス組成物において使用される。従って、抵抗性デンプンは、プロバイオティクス微生物が大腸に達すると、プロバイオティクス微生物による発酵のための理想的に利用可能な基質を提供する。好ましくは、抵抗性デンプンは高アミロースデンプンであり、これには、限定されないが、アミロース含有量が50%w/w以上(特に80%w/w以上)であるトウモロコシデンプン、アミロース含有量が27%w/w以上であるコメデンプンおよびコムギデンプンが含まれ、また、50%以上のアミロース含有量および強化された抵抗性デンプン含有量を有する特定の粒状サイズ範囲のデンプンが含まれる。これらのデンプンには、トウモロコシ、オオムギ、コムギおよびマメ科植物が含まれる。バナナまたは他の果実タイプ(すなわち、ジャガイモなどの塊茎)などの供給源に由来する他の形態の抵抗性デンプン、およびその混合物または組合せもまた本発明に従って使用することができる。
【0125】
そのようなデンプンを、微生物と抵抗性デンプンとの間での結合適合性を強化するために、顆粒および/または顆粒表面の荷電、密度または疎水性を変更することなどによって化学的に修飾することが好都合であり得ることが理解される。エーテル化、エステル化および酸性化などの化学的修飾がこの分野では広く知られており、これらは、デンプンを修飾するために利用することができる。あるいは、様々な修飾を、米国特許第6221350号などに記載されるように物理的または酵素的に誘導することができる。
【0126】
定着キャリアはまたオリゴ糖であり得る。オリゴ糖は、胃腸管におけるプロバイオティクス微生物の数を増大させることが知られている。定着キャリアとして使用することができる市販のオリゴ糖の例には、フルクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、キシロオリゴ糖、パラチノースオリゴ糖、ダイズオリゴ糖(ラフィノースおよびスタキオースを含む)、キトオリゴ糖、アガロオリゴ糖、ネオアガロオリゴ糖、α−グルコオリゴ糖、β−グルコオリゴ糖、シクロイヌロオリゴ糖、グリコシルスクロース、ラクツロース、ラクトスクロースおよびキシルスクロースが含まれるが、これらに限定されない。
【0127】
オリゴ糖は約0.01%(w/w)〜10%(w/w)の濃度で組成物において使用することができる。好ましくは、オリゴ糖の濃度は約0.05%〜5%である。
【0128】
好ましくは、デンプンおよびオリゴ糖の組合せが本発明のこの局面の定着用因子として使用することができる。
【0129】
抗生物質。本発明の組成物は、治療効果的な量の、好ましくは広い作用スペクトルの抗生物質を含むことができる。様々な対策が、本発明の細菌菌株に影響しない抗生物質またはその濃度を含むために取られる(下記の表4を参照のこと)。例えば、本発明の細菌菌株は治療的用量の抗生物質(例えば、セファロスポリン系抗生物質ファミリーのセフロキシムなど)と組み合わせることができる。しかしながら、他の抗生物質もまた本発明のこの局面に従って使用することができる[Fursikova T.M.、Sorokulova I.B.、Sergiychuk M.G.、Sichkar S.V.、Smirnov V.V.(2000)、マウス腸内細菌叢に対する抗生物質およびプロバイオティクスとのそれらの組合せの影響、Microbiologichny Zhurnal、62、N3、26〜35]。
【0130】
本発明の治療的組成物は組成物の1ユニットあたり約1mg〜250mgの選択された抗生物質を含有することができる。
【0131】
抗真菌剤。本発明の組成物は治療効果がある量の抗真菌剤を含むことができる。利用することができる典型的な抗真菌剤には、クロトリマゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、ナイスタチン、テルビナフィン、テルコナゾールおよびチオコナゾールなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0132】
抗酸化剤、緩衝剤、植物抽出物、着色剤、矯味矯臭剤、ビタミンおよびミネラル。本発明の組成物は、抗酸化剤、緩衝剤、植物抽出物および他の薬剤(例えば、着色剤、矯味矯臭剤、ビタミンまたはミネラルなど)を含むことができる。例えば、本発明の組成物は下記ミネラルの1つまたは複数を含むことができる:クエン酸カルシウム(15mg〜350mg);グルコン酸カリウム(5mg〜150mg);クエン酸マグネシウム(5mg〜15mg);およびピコリン酸クロム(5μg〜200μg)。加えて、様々な塩を利用することができ、これらには、クエン酸カルシウム、グルコン酸カリウム、クエン酸マグネシウムおよびピコリン酸クロムが含まれる。様々な化学物質が、Spectrum Quality Products,Inc.(Gardena、Calif.)、Sigma Chemicals(St.Louis、Mo.)、Seltzer Chemicals,Inc.(Carlsbad、Calif.)およびJarchem Industries,Inc.(Newark、N.J.)から市販されている。本発明に従って使用することができる植物抽出物の例には、FDAにより承認されているカモミル、センダングサ、オトギリソウ、ジンジャー、および他の承認された植物抽出物が含まれるが、これらに限定されない[総説については、O’Hara M、Kiefer D、Farrell K、Kemper K、Arch Fam Med.(1998)11月−12月、7(6):523〜36;Modesto A、Lima KC、de Uzeda M、ASDC J Dent Child.(2000)9月−10月、67(5):338〜44、302;Lee KG、Shibamoto T、J Agric Food Chem.(2002)8月14日、50(17):4947〜52を参照のこと]。
【0133】
増粘剤。増粘剤を組成物に加えることができる(例えば、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールまたはカルボキシメチルセルロースなど)。
【0134】
キャリア。本発明の組成物の活性な薬剤(例えば、細菌細胞)は、組成物が投与される生物種の組織と生理学的に適合し得る(すなわち、ヒトの摂取または動物の摂取のために好適である)キャリアと組み合わされる。本発明のこの局面によるキャリアは、錠剤形態、カプセル形態または粉末化形態に配合するための固体に基づく乾燥物であり得る。あるいは、キャリアは、液体形態またはゲル形態への配合のための液体またはゲル型物質であり得る。キャリアの具体的なタイプ、ならびに最終的な配合は、部分的には、選択された投与経路に依存する。
【0135】
乾燥配合物のための典型的なキャリアには、トレハロース、マルトデキストリン、コメ粉、微結晶セルロース(MCC)、ステアリン酸マグネシウム、イノシトール、フルクトオリゴ糖(FOS)、グルコオリゴ糖(GOS)、デキストロースおよびスクロースなどが含まれるが、これらに限定されない。組成物が乾燥状態であり、組成物を固まらせることができる(すなわち、成分の胞子、塩、粉末およびオイルの接着を引き起こし得る)蒸発油を含む場合、成分を分配し、かつ固化を妨げる乾燥フィラーを含むことが好まれる。例示的な固化防止剤には、MCC、タルク、珪藻土、非晶質シリカ、ゼラチン、サッカロース、脱脂粉乳およびデンプンなどが含まれ、これらは典型的には重量比で約1%〜95%の量で加えられる。乾燥配合物はその後に再水和される(例えば、液体配合物)か、または乾燥状態(例えば、咀嚼オブラート、ペレットまたは錠剤)で与えられるので、乾燥配合物が、最初に水和された配合物よりも好まれることが理解される。乾燥配合物(例えば、粉末)は、市販の食品(例えば、液体の処方物、裏ごし食品または飲料水供給物)を補うために加えることができる。
【0136】
好適な液体キャリアまたはゲル型キャリアには、水および生理学的な塩溶液;尿素;アルコールおよび誘導体(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール);グリコール(例えば、エチレングリコールおよびプロピレングリコールなど)が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、水系キャリアは中性のpH値(すなわち、pH7.0)を有する。
【0137】
保存剤もまた、キャリアに含められることがあり、保存剤には、メチルパラベン、プロピルパラベン、ベンジルアルコールおよびエチレンジアミン四酢酸塩が含まれる。本発明の組成物はまた、グリセロールまたはポリエチレングリコール(好ましい分子量はMW=800〜20000である)などの可塑剤を含むことができる。キャリアの組成は、有効成分の薬理学的活性または本発明の細菌菌株の生存能力を著しく妨害しない限り変化させることができる。本発明のこの局面に従って使用することができる他のタイプのキャリアが本明細書中下記に記載される。
【0138】
胞子発芽阻害剤。胞子を含有する液体型組成物が提供されるとき、長期間の貯蔵を促進させるために胞子発芽阻害剤を含むことが望ましい。任意の胞子発芽阻害剤を使用することができる。好ましい阻害剤には、過塩性キャリア、メチルパラベン、グアールガム、ポリソルベートおよび保存剤などが含まれる。
【0139】
栄養補助物。本発明の組成物の栄養補助物成分には、ビタミン、ミネラル、必須アミノ酸および非必須アミノ酸、炭水化物、脂質、食品および食事補助物などをはじめとするこの分野で広く知られている様々な栄養学的因子のいずれかが含まれ得る。従って、本発明の組成物は、繊維、酵素および他の栄養素を含むことができる。好ましい繊維には、オオバコ種子、米ぬか、オートブラン、トウモロコシブラン、ふすまおよび果実繊維などが含まれるが、これらに限定されない。食事性酵素および補助的酵素(例えば、ラクターゼ、アミラーゼ、グルカナーゼおよびカタラーゼなど)もまた含めることができる。本発明の組成物において使用されるビタミンには、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、葉酸、ビタミンKおよびナイアシンなどが含まれる。典型的なビタミンは、毎日の摂取のために、かつ、1日あたりの推奨量(RDA)で勧められるビタミンである。
【0140】
本発明の薬学的組成物は、意図される用途に応じて配合されることができる。伝統的な配合技術の総説は、例えば「The Theory and Practice of Industrial Pharmacy」(Lachman L.ら編、1986)またはLaulund(1994)に見出すことができる。
いずれの場合においても、好適な投与経路には、例えば、局所的送達、膣内送達、経尿道送達、経口送達、直腸送達、経粘膜送達、経皮送達(特に経鼻送達)、腸管送達または非経口送達(これには、筋肉内注射、皮下注射および髄内注射、ならびに、クモ膜下注射、直接的な脳室内注射、静脈内注射、腹腔内注射、鼻内注射または眼内注射が含まれる)が含まれ得る。
【0141】
注射の場合、本発明の活性成分は、水溶液において、好ましくは生理学的に適合し得る緩衝液(例えば、ハンクス溶液、リンゲル溶液、または生理学的な生理的食塩水緩衝液など)において配合することができる。
経粘膜投与の場合、浸透剤が配合において使用される。そのような浸透剤はこの分野では一般に知られている。
【0142】
経口投与の場合、化合物は、活性な化合物を、この分野で十分に知られている薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせることによって容易に配合することができる。そのようなキャリアにより、本発明の化合物は、患者によって経口摂取される錠剤、ピル、糖衣錠、カプセル、液剤、ゲル、シロップ、スラリー剤、懸濁物などとして配合することが可能になる。経口使用される薬学的調製物は、錠剤または糖衣錠コアを得るために、固体の賦形剤を使用し、得られた混合物を場合により粉砕し、そして所望する場合には好適な補助剤を添加した後、顆粒の混合物を加工して作製することができる。好適な賦形剤は、具体的には、ラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールを含む糖などの充填剤;セルロース調製物、例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボメチルセルロースなど;および/またはポリビニルピロリドン(PVP)などの生理学的に受容可能なポリマーである。所望する場合には、架橋型ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩(アルギン酸ナトリウムなど)などの崩壊剤を加えることができる。
【0143】
糖衣錠コアには、好適なコーティングが施される。この目的のために、高濃度の糖溶液を使用することができ、この場合、糖溶液は、場合により、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、二酸化チタン、ラッカー溶液および好適な有機溶媒または溶媒混合物を含有し得る。色素または顔料が、活性な化合物の量を明らかにするために、または活性な化合物の量の種々の組合せを特徴づけるために、錠剤または糖衣錠コーティングに添加され得る。
【0144】
経口使用され得る薬学的組成物には、ゼラチンから作製されたプッシュ・フィット型カプセル、ならびにゼラチンおよび可塑剤(グリセロールまたはソルビトールなど)から作製された軟密閉カプセルが含まれる。プッシュ・フィット型カプセルは、充填剤(ラクトースなど)、結合剤(デンプンなど)、滑剤(タルクまたはステアリン酸マグネシウムなど)および場合により安定化剤と混合された有効成分を含有し得る。軟カプセルでは、活性な化合物を好適な液体(脂肪油、流動パラフィンまたは液状のポリエチレングリコールなど)に溶解または懸濁させることができる。さらに、安定化剤を加えることができる。経口投与される配合物はすべて、選ばれた投与経路に好適な投薬形態でなければならない。
本発明の組成物は腸溶性被覆された徐放性のカプセルまたは錠剤中に包入されることができることは理解されるであろう。腸溶性被覆は、カプセル/錠剤が胃腸管を通過して小腸に到達するまでの間、無傷で(即ち溶解せずに)あることを可能にする。
【0145】
口内投与の場合、組成物は、従来の様式で配合された錠剤またはトローチの形態を取ることができる。
【0146】
鼻腔吸入による投与の場合、本発明に従って使用される有効成分は、好適な噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタンまたは二酸化炭素)の使用により加圧パックまたはネブライザーからのエアロゾルスプレー提示物の形態で都合よく送達される。加圧されたエアロゾルの場合、投薬量単位は、計量された量を送達するためのバルブを提供することによって決定され得る(米国特許第6448224号参照)。吸入器または吹き入れ器で使用される、例えば、ゼラチン製のカプセルおよびカートリッジで、化合物と好適な粉末基剤(ラクトースまたはデンプンなど)との粉末混合物を含有するカプセルおよびカートリッジを配合することができる。
本明細書で記述される調製物は非経口投与、例えばボーラス注射または連続点滴のために配合されることができる。
生きた細菌細胞の非経口投与の多数の例がこの分野で公知である(例えば、Tjuvajev(2001)J.Control Release 74(1−3):313−5.Rosenberg(2002)J.Immunother.25:218−25;Sheil(2004)Gut 53(5):694−700;およびMatsuzaki(2000)Immunol.Cell Biol.78(1):67−73参照)。本発明の細菌細胞は、免疫応答を調節するために弱毒化された形態で投与されることもできることは理解されるであろう(Matsuzaki(2000)Immunol.Cell Biol.78(1):67−73)。
注射のための配合は、単位用量形態(例えばアンプルまたは多用量コンテナ)で提供されることができ、これらには所望により保存剤が添加されている。組成物は懸濁物、溶液または油性もしくは水性ビヒクル中のエマルションであることができ、懸濁剤、安定化剤および/または分散剤の如き配合剤を含むことができる。
【0147】
非経口投与される薬学的組成物には、水溶性形態における活性な調製物の水溶液が含まれる。さらに、活性な化合物の懸濁物を、適切なオイル状のまたは水ベースの注射用懸濁物として調製することができる。好適な親油性の溶媒またはビヒクルには、脂肪油(ゴマ油など)、または合成脂肪酸エステル(オレイン酸エチルなど)、トリグリセリドまたはリポソームが含まれる。水性の注射用懸濁物は、懸濁物の粘度を増大させる物質、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトールまたはデキストランなどを含有し得る。場合により、懸濁物はまた、高濃度の溶液の調製を可能にするために化合物の溶解性を増大させる好適な安定化剤または薬剤を含有し得る。
【0148】
あるいは、有効成分は、使用前に好適なビヒクル(例えば、滅菌されたパイロジェン非含有水)を用いて構成される粉末形態にする。
本発明の調製物はまた、例えば、カカオ脂または他のグリセリドなどの従来の座薬基剤を使用して、座薬または停留浣腸剤などの直腸用組成物に配合することができる。
生殖器適用のための好適な配合は、クリーム、軟膏、ローション、ゼリー、溶液、エマルション、スプレーまたはフォーム配合を含む。
【0149】
本発明の医薬組成物は、この分野で十分に知られている様々なプロセスによって、例えば、混合、溶解、造粒、糖衣錠作製、研和、乳化、カプセル化、包括化または凍結乾燥の従来のプロセスによって製造することができる。
【0150】
膣投与のために好適な配合物は、適切であることがこの分野では知られているような膣坐薬、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、ゼリー、フォームまたはスプレー剤、あるいは水性または油性の懸濁物、溶液またはエマルジョン(すなわち、液体配合物)、あるいは、キャリアを含有するフィルムとして提供され得る(詳しくは米国特許第5756681号に記載される)。
【0151】
膣への適用のために好適な組成物が、米国特許第2149240号、同第2330846号、同第2436184号、同第2467884号、同第2541103号、同第2623839号、同第2623841号、同第3062715号、同第3067743号、同第3108043号、同第3174900号、同第3244589号、同第4093730号、同第4187286号、同第4283325号、同第4321277号、同第4368186号、同第4371518号、同第4389330号、同第4415585号、同第4551148号、同第4999342号、同第5013544号、同第5227160号、同第5229423号、同第5314917号、同第5380523号および同第5387611号に開示される。
【0152】
経尿道投与のために、組成物は、1つまたは複数の選択されたキャリア、賦形剤(例えば、水、シリコーン、ワックス、ワセリン、ポリエチレングリコール(PEG)、プロピレングリコール(PG)、リポソーム、糖(例えば、マンニトールおよびラクトースなど)および/または様々な他の物質など)をポリエチレングリコールおよびその誘導体とともに含有する。医薬組成物は1つまたは複数の経尿道浸透促進剤(すなわち、選択された薬物が尿道膜を通り抜ける速度を増大させるように作用する化合物)を含有することが好まれる。好適な浸透促進剤の例には、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、デシルメチルスルホキシド、ポリエチレングリコールモノラウラート(PEGML)、グリセロールモノラウラート、レシチン、1−置換アザシクロヘプタン−2−オン(特に、1−n−ドデシルシクラザ−シクロヘプタン−2−オン[これはAzoneRTMの商標でNelson Research & Development Co.(Irvine、Calif.)から入手可能である]、SEPARTM[これはMacrochem Co.(Lexington、Mass.)から入手可能である])、アルコール(例えば、エタノール)、界面活性剤(これには、例えば、TergitolRTM、Nonoxynol−9RTMおよびTWEEN−80RTMが含まれる)、および低級アルカノール(例えば、エタノールなど)が含まれる。国際特許出願公開WO91/16021に開示されるように、薬剤の経尿道投与は多数の異なる方法で行うことができる。例えば、薬剤を、柔軟なチューブ、スクイーズボトル、ポンプまたはエアロゾルスプレーから尿道内に導入することができる。薬剤はまた、尿道内で吸収、融解または生体侵食される被覆物、ペレットまたは坐薬に含有させることができる。特定の実施形態において、薬剤は陰茎挿入体の外側表面における被覆物に含まれる。
【0153】
本発明に関連した使用のために好適な医薬組成物には、有効成分が、意図された目的を達成するために効果的な量で含有される組成物が含まれる。より具体的には、治療効果がある量は、処置されている対象の疾患の症状を防止、軽減または改善するために、あるいは、処置されている対象の生存を延ばすために効果的な有効成分の量を意味する。
【0154】
治療効果がある量の決定は十分に当業者の範囲内である。
【0155】
典型的には、本発明の細菌種(すなわち、有効成分)は、最終組成物の1重量%〜90重量%(より好ましくは5重量%〜90重量%、さらにより好ましくは10重量%〜90重量%)を構成し、なおさらに好ましくは、投与に好適な配合物に含有される重量比で15%〜88%を構成する。あるいは、本発明の組成物は組成物の1回の服用について少なくとも10個(より好ましくは少なくとも10個、さらにより好ましくは少なくとも1010個)の生細菌を含有することができる。
【0156】
本明細書中に記載される有効成分の毒性および治療効力は、インビトロ、細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手法によって明らかにすることができる(下記の実施例の節の実施例1〜実施例4を参照のこと)。これらのインビトロアッセイおよび細胞培養アッセイならびに動物研究から得られたデータは、ヒトへの使用のための投薬量範囲を定める際に使用することができる。投薬量は、用いられる投薬形態物および利用される投与経路に依存して変化し得る。正確な配合、投与経路および投薬量は、患者の状態を考慮して個々の医師によって選ぶことができる(例えば、Fingl他、1975、“The Pharmacological Basis of Therapeutics”(第1章、1頁)を参照のこと)。
【0157】
処置される状態の重篤度および応答性に依存して、投薬は単回投与または多回投与が可能であり、処置の経過が、数日から数週間まで、あるいは、治癒が達成されるまで、または、疾患状態の縮小が達成されるまで続く。
【0158】
投与される組成物の量は、当然のことではあるが、処置されている対象、苦痛の重篤度、投与様式、主治医の判断などに依存する。
【0159】
適合し得る医薬用キャリアに配合された本発明の調製物を含む組成物はまた、適応状態の処置のために調製し、適切な容器に入れ、表示することができる。
【0160】
本発明の組成物は、所望される場合には、活性成分を含有する一つ以上の単位投薬形態物を含有し得る、FDA承認キットなどのパックまたはディスペンサーデバイスで提供され得る。パックは、例えば、金属箔またはプラスチック箔を含むことができ、例えば、ブリスターパックなどである。パックまたはディスペンサーデバイスには、投与のための説明書が添付され得る。パックまたはディスペンサーにはまた、医薬品の製造、使用または販売を規制する政府当局により定められた形式で容器に付けられた通知が伴い得る。この場合、そのような通知は、組成物の形態またはヒトもしくは動物への投与の当局による承認を反映する。そのような通知は、例えば、処方薬物についての米国食品医薬品局により承認されたラベル書きであり得るか、または承認された製品添付文書であり得る。
【0161】
本明細書中上記で述べられたように、本発明の細菌菌株は、胞子形成された形態で本発明の組成物に含めることができる。胞子を生じさせる様々な方法がこの分野では広く知られている。あるいは、細菌菌株は、凍結乾燥(乾燥)された細胞塊の形態で組成物に含めることができる。
【0162】
胞子は、高温(例えば、90℃で10分間)に対する抵抗性を示すので、例えば、熱水を用いて溶解または混合される任意のタイプの乾燥製造物または凍結乾燥製造物に配合することができる。細菌胞子は、調製時に、製造物の製造者によって、または消費者によって乾燥製造物または凍結乾燥製造物に配合され得ることが理解される。これらの乾燥製造物または凍結乾燥製造物には、ティーバッグ、コーヒー(例えば、“フリーズドライ”または豆挽きのコーヒー)、甘味料(例えば、合成甘味料(NutraSweetRTM)および天然甘味料);ホットシリアル(例えば、オートミール、およびCream of WheatRTMなど)、ならびに、熱い飲み物の調味料/香味料およびクリームなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0163】
あるいは、胞子は乾燥製造物または凍結乾燥製造物として利用することができ、あるいは、虫歯、歯肉炎、および、他の形態の歯周疾患、または、酵母、単純ヘルペスIにより引き起こされる経口感染症(および、口内病原体により引き起こされる様々な他の感染症)の形成を阻害するために、咀嚼錠剤、練り歯磨き、口腔洗浄剤および経口滴剤などに配合するができる。
【0164】
細菌細胞または細菌胞子は、プロバイオティクス細菌を(浣腸などを介して)結腸に直接に投与するために水溶液(例えば、生理学的食塩水)に配合され得ることが理解される。
【0165】
本明細書中上記で述べられたように、本発明のプロバイオティクス組成物は、この分野で広く知られている方法を使用して動物に与えることができる。
【0166】
典型的には、プロバイオティクス組成物は、飼料食に加えられる飼料添加物を介して動物の胃腸管に導入される。代わりの投与方法は、液体摂取、ペーストまたはゲルの摂取、ボーラスおよび、動物の体表面への粉末散布などである。
【0167】
プロバイオティクス細菌細胞に加えて、飼料添加物は、例えば、キャリア物質(例えば、石灰石および小麦ミド(midds)など)を含むことができる(米国特許第6410305号を参照のこと)。飼料添加物は動物飼料1トンについて0.01ポンド〜10ポンド(好ましくは約0.5ポンド〜2.5ポンド)の添加物の割合で動物の規定食に加えることができる。
【0168】
飼料添加物は約0.3重量%〜約20重量%のプロバイオティクス細菌細胞を含有することができる。好ましくは、飼料添加物は7重量%〜15重量%のプロバイオティクスプレミックスを含有し、最も好ましくは約10重量%〜約13重量のプロバイオティクスプレミックスを含有する。
【0169】
本発明のプロバイオティクス微生物は腸上皮に接着しないことがさらに理解される。従って、反復投薬がない場合、細菌は最大で約3日〜5日の期間にわたって胃腸管に留まり、一時的な細菌叢であると見なされる。バチルス・コアグランスの比較的速い胃腸クリアランス時間および胃腸上皮に接着できないことは、例えば、免疫低下者におけるその後での菌血症の発生を防止するという利点を有する。
【0170】
本発明の細菌菌株および/または組成物は、特定の障害(例えば、上記のような障害など)を処置するために特定された製造物に含めることができる。典型的には、製造物は、細菌細胞または細菌細胞を含む組成物の形態であるか、または、包装材料との組合せでの包装物の形態である。包装材料は、細菌の生存能力を保持するように選択され、また、例えば、包装物の成分の使用のための標識または説明書を含む。説明書により、本発明の方法または組成物について本明細書中に記載されるような包装されている成分の意図された使用、内容物(例えば、属、種、菌株表示)、保存期限終了時における生細菌の最少数、適正な貯蔵条件、および、消費者情報に対する企業の契約詳細が示される。標識はまた、製造物の鮮度に関連する情報を提供し得る。この情報には、製造日、「販売」期限または「賞味期限」が含まれる。「販売」期限は、そのような日時までに製造物が消費者に販売されていなければならないことを指定する。「賞味」期限は、そのときまでに製造物が供給業者または消費者によって処理されなければならないことを指定する。あるいは、または、さらに、「積極的な標識表示」を使用することができる。例えば、米国特許第4292916号、同第5053339号、同第5446705号および同第5633835号には、傷みやすい製造物の保存期限をモニターするための色変化デバイスが記載される。このようなデバイスは、反応が開始するように反応層を物理的に接触させることによって起動させられ、この作用は好都合には包装時に行うことができるだけである。この方法は、流通網全体を通して鮮度を失う食品の劣化をモニターするために好適である。米国特許第5555223号には、製造したまさにそのときにタイマークロックを設定する工程を含む、包装に対する計時インジケーターを取り付けるためのプロセスが記載される。
【0171】
意図された使用に依存して、製造物は、必要に応じて、下記成分の1つまたは複数を、一体として、または別個の包装で含有することができる:定着キャリア、矯味矯臭剤、キャリア、および同様な成分。例えば、製造物は、プロバイオティクスを治療的方法における使用のために処方物と組み合わせるための説明書と一緒に、従来の液体製造物との組合せで使用するための胞子を含むことができる。
【0172】
本発明の細菌菌株はまた、医薬送達システムとして使用することができる。そのような送達システムは本質的には、乳児、高齢者、および、免疫機能が損なわれている個体を含むヒトにおける弱毒化病原体の使用よりも安全である[Grangette(2001)、Infect.Immun.、69:1547〜1553]。
【0173】
本発明の細菌菌株はまた、この分野では広く知られている発現システムを使用して異種の発現産物を発現させるために改変することができる。この方法は、IL−10を分泌するL.lactis株を胃内に投与されたマウスにおいて大腸炎を軽減させるために使用された[Steidler(2000)、Science、289:1352〜1355]。
【0174】
本発明の追加の目的、利点及び新規な特徴は、下記実施例を考察すれば、当業技術者には明らかになるであろう。なおこれら実施例は本発明を限定するものではない。さらに、先に詳述されかつ本願の特許請求の範囲の項に特許請求されている本発明の各種実施態様と側面は各々、下記実施例の実験によって支持されている。
【実施例】
【0175】
上記説明とともに、以下の実施例を参照して本発明を例示する。なおこれら実施例によって本発明は限定されない。
【0176】
本願で使用される用語と、本発明で利用される実験方法には、分子生化学、微生物学及び組み換えDNAの技法が広く含まれている。これらの技法は文献に詳細に説明されている[例えば以下の諸文献を参照されたい。「Molecular Cloning:A laboratory Manual」Sambrookら1989年;Ausubel, R.M.編1994年「Current Protocols in Molecular Biology」I〜III巻;Ausubelら著1989年「Current Protocols in Molecular Biology」John Wiley and Sons,米国メリーランド州バルチモア;Perbal著「A Practical Guide to Molecular Cloning」John Wiley & Sons,米国ニューヨーク1988年;Watsonら、「Recombinant DNA」Scientific American Books、米国ニューヨーク;Birrenら編「Genome Analysis:A Laboratory Manual Series」1〜4巻、Cold Spring Harbor Laboratory Press、米国ニューヨーク1998年;米国特許の4666828号、4683202号、4801531号、5192659号及び5272057号に記載される方法;Cellis, J.E.編「Cell Biology:A Laboratory Handbook」I〜III巻1994年;Coligan, J.E.編「Current Protocols in Immunology」I〜III巻1994年;Stitesら編「Basic and Clinical Immunology」(第8版)、Appleton & Lange、米国コネティカット州ノーウォーク1994年;MishellとShiigi編「Selected Methods in Cellular Immunology」、W.H. Freeman and Co.、米国ニューヨーク1980年;また利用可能な免疫検定法は、例えば以下の特許と科学文献に広範囲にわたって記載されている。米国特許の3791932号、3839153号、3850752号、3850578号、3853987号、3867517号、3879262号、3901654号、3935074号、3984533号、3996345号、4034074号、4098876号、4879219号、5011771号及び5281521号;Gait,M.J.編「Oligonucleotide Synthesis」1984年;Hames, B.D.及びHiggins S.J.編「Nucleic Acid Hybridization」1985年;Hames,B.D.及びHiggins S.J.編「Transcription and Translation」1984年;Freshney, R.I.編「Animal Cell Culture」1986年;「Immobilized Cells and Enzymes」IRL Press 1986年;Perbal, B.著「A Practical Guide to Molecular Cloning」1984年及び「Methods in Enzymology」1〜317巻、Academic Press;「PCR Protocols:A Guide To Methods And Applications」、Academic Press、米国カリフォルニア州サンディエゴ1990年;Marshakら、「Strategies for Protein Purification and Characterization−A Laboratory Course Manual」、CSHL Press、1996年;なおこれらの文献類は、あたかも本願に完全に記載されているように援用するものである]。その外の一般的な文献は、本明細書を通じて提供される。本明細書に記載の方法は当業技術界で周知であると考えられ、読者の便宜のために提供される。本明細書に含まれるすべての情報は本願に援用するものである。
【0177】
実施例1
プロバイオティクス菌株の枯草菌HEおよびバチルス・リケニホルミスPAの単離
プロバイオティクス微生物の枯草菌HEおよびバチルス・リケニホルミスPAを、ミルク寒天での連続した移動およびリゾチーム産生についての選択によって枯草菌3およびB.licheniformis31(すなわち、バイオスポリン)から一緒に単離した。
【0178】
実験手順
カゼイン分解活性におけるクローンの選択。ミルク寒天を、50mlの蒸留水に5gのスキムミルク粉末(Medallion Milk Co Ltd、10−59 Scurfield Blvd、Winnipeg、Manitoba、カナダ;The Carbery Group、Ballineen Co.Cork、アイルランド)を含むミルク溶液と、50mlの蒸留水に1gの寒天(Oxoid、Laboratory Preparations)を含む寒天溶液とを調製することによって作製した。それぞれの溶液を121℃で20分間オートクレーブ処理し、放置して45℃に冷却した。オートクレーブ処理された溶液を混合し、ペトリ皿(Falcon)に注いだ。細菌を、単離されたコロニーとしてミルク寒天上に生育させた。カゼイン分解活性が大きいコロニーをミルク寒天上で新たに移動するために選択した。手順を5回繰り返し、その後、選択されたクローンをリゾチーム産生のために選択した。
【0179】
リゾチーム産生クローンの選択。それぞれの細菌培養物を、栄養寒天[Difco、Detroit、MI]を含むペトリ皿に置床し、37℃で24時間培養して、単離されたコロニーを得た。各コロニーを別の平板に移して、その平板をベルジャーに入れ、飽和クロロホルム蒸気環境下に20分間さらすことによって親となった平板における細菌を死滅させた[Harasawa他(1980)、Antimicrob.Agents Chemother.、18:58〜62]。その後、生細菌を有する平板を、Micrococcus luteus CCM1423(10CFU/ml)を含む0.8%の栄養寒天の薄い層で覆い、37℃で24時間〜48時間インキュベーションした。Micrococcus luteusの生育阻害域が観測され、高いリゾチーム産生を示すクローンを次回の選択のために選択した。合計で7回の選択操作を行った。
【0180】
実施例2
プロバイオティクス菌株の枯草菌HEおよびバチルス・リケニホルミスPAの特長づけ
材料および実験手順
内生胞子形成。細菌菌株を、マンガンを含有する栄養寒天(牛肉抽出物、3g;ペプトン、5g;水和硫酸マンガン、5mg;寒天、15g;蒸留水、1000ml;pH6.8)において37℃で24時間〜72時間生育させた。生理的食塩水中の細菌の懸濁物をスライドガラスに載せ、カバーガラスで覆った。胞子を、位相差顕微鏡を使用して観察した。
【0181】
カタラーゼ活性。栄養寒天の斜面培地において1日間または2日間生育させた細菌培養物を10%過酸化水素0.5mlに浸し、ガス生成を以前の記載[Sneath、P.H.A.(1986)、胚性胞子を形成するグラム陽性の桿菌および球菌、Sneath、P.H.A.、Mair、N.S.、Sharpe,M.E.およびHolt,J.G.(編)、Bergey’s Manual of Systematic Bacteriology、第2巻、Lippincott Williams&Wilkins、Baltimore、1104頁〜1207頁]のように測定した。
【0182】
卵黄培養液の調製およびレシチナーゼの産生。トリプトン(10g)、リン酸水素二ナトリウム(5g)、リン酸二水素カリウム(1g)、塩化ナトリウム(2g)、硫酸マグネシウム・7HO(0.1g)、グルコース(2g)、蒸留水(1000ml)を含む基礎培地(pH7.6)を調製し、121℃でオートクレーブ処理し、20分間冷却した。無菌的に吸引された1.5mlの卵黄(または、製造者の説明書に従って使用されるその無菌の市販調製物)を100mlの基礎培地に加えた。培地を4℃で一晩静置した。上清を2.5mlずつ無菌チューブに分注した。卵黄が加えられていない基礎培地を同様に分注した。細菌をコントロール培養液のチューブおよび卵黄培養液のチューブに接種した。卵黄含有培地中または卵黄含有培地表面における重い白色沈殿物の出現を、37℃で1日間、3日間、5日間および7日間のインキュベーション後に観察した。
【0183】
嫌気的成長。細菌培養物を、小さい(外径、1.5mm)ループ量の栄養培養液培養物を用いて、75mmの深さの嫌気的寒天(トリプチケース、20g;グルコース、10g;塩化ナトリウム、5g;寒天、15g;チオグリコール酸ナトリウム、2g;ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシラート、1g;蒸留水、1リットル;pH7.2)を有するチューブに接種した。これは、培養チューブの底にまで穿刺することによって形成された。細菌を37℃でインキュベーションし、生育を3日目および7日目に記録した。
【0184】
窒素生成。細菌培養物を、ペプトン(5g)、牛肉抽出物(3g)、硝酸カリウム(1g)、蒸留水(1000ml)を含む硝酸塩培養液(pH7.0)で生育させた。培地を、逆さにしたダーラム管を含有する試験管に注ぎ、121℃で20分間のオートクレーブ処理によって滅菌した。窒素の蓄積を3日間または7日間の37℃でのインキュベーションの後で観察した。
【0185】
プロピオン酸塩の利用。細菌培養物を、プロピオン酸塩利用培地(プロピオン酸ナトリウム、2g;硫酸マグネシウム・7HO、1.2g;リン酸水素二アンモニウム、0.5g;塩化カリウム、1g;微量元素溶液(下記参照)、40ml;寒天、15g;蒸留水、920ml;フェノールレッドの0.04%(w/v)溶液、20ml;pH6.8)の斜面培地に接種し、37℃で14日間インキュベーションした。赤色の発色はプロピオン酸塩の利用を示した。
【0186】
溶血素の産生。細菌培養物をヒツジ血液寒天(下記参照)に接種し、37℃で24時間〜72時間インキュベーションした。溶血素の産生が、溶血活性から生じる細菌コロニーを取り囲む透明域の形成によって検出された。溶血活性がないときには、透明域が存在しなかったことに留意すること。
【0187】
ヒツジ血液寒天。5%の無菌の脱線維素化されたヒツジ血液を、製造者の説明書に従って調製し、45℃〜50℃に冷却された血液寒天基礎培地(Difco)に無菌的に加えた。溶液を十分に混合し、無菌のペトリ皿に分注した。
【0188】
アルギニンジヒドロラーゼの産生。Sherris培地を含むチューブ、およびコントロールチューブ(すなわち、アルギニンを含まない)に一晩おいた細菌培養物を接種し、これに無菌のワセリン油を加えた。チューブを37℃で5日間インキュベーションした。アルギニンジヒドロラーゼの産生が、アルギニンを含む培地における紫色の出現によって検出された。
【0189】
Sherris培地。ペプトン、1g;牛肉抽出物、5g;ピリドキシン、0.005g;グルコース、0.5g;L−アルギニン一塩酸塩、10g;ブロムクレゾールパープル、0.01g;クレゾールロット、0.005g;蒸留水、1000ml。
【0190】
ポリβ−ヒドロキシ酪酸の合成。細菌培養物を、1%のグルコースが補充された栄養寒天に接種した。37℃で24時間のインキュベーションの後、培養物を伴うスライド片を調製し、クリスタルバイオレットで染色し、顕微鏡で調べた。ポリβ−ヒドロキシ酪酸の小球が非染色粒子として観察されたことに留意すること。
【0191】
結果
細菌分類試験により、枯草菌HEおよびバチルス・リケニホルミスPAが、内生胞子を形成することができ、かつ、カタラーゼを産生することができる桿状形状のグラム陽性細菌(図1a〜図1b)であることが見出された。いずれの菌株も、ポリβ−ヒドロキシ酪酸を形成することができず、卵巣レシチナーゼも、また、溶血素も産生することができない。
【0192】
これらの菌株は異なる生化学的特徴を示した。下記の表1にまとめられているように、バチルス・リケニホルミスPA株は、枯草菌HE株とは対照的に、嫌気条件下で生育することができ、アルギニンジヒドロラーゼを産生することができ、硝酸塩からガスを形成することができ、また、プロピオン酸塩を利用することができた。
【0193】
まとめると、これらの特徴から、枯草菌HE株はB.subtilisであり、バチルス・リケニホルミスPA株はB.licheniformisであることが確認された。枯草菌HE株およびバチルス・リケニホルミスPA株の16S rDNAは、配列番号1および配列番号2にそれぞれ示される通りである。
【表1】

【0194】
実施例3
プロバイオティクス菌株の枯草菌HEおよびバチルス・リケニホルミスPAの急性毒性および慢性毒性の影響
実験手順
急性毒性。マウスを7日間にわたって実験条件下で慣らし、その後、それぞれが10匹からなる21の異なる群に無作為に割り当てた。細菌培養物を、5x10CFU/マウス、5x10CFU/マウス、5x10CFU/マウスの異なるレベルで静脈内および腹腔内に投与し、また、5x10CFU/マウス、5x10CFU/マウス、2x1011CFU/マウスで経口投与した。コントロール群のマウスには、無菌の生理的食塩水が与えられた。動物を7日間観察した。この期間中、各マウスの活動、行動および毛のつやを毎日記録した。1日後および7日後に、各群からの5匹の動物を過剰量のエーテルによって安楽死させ、体内の器官を肉眼で観察した。肝臓、腎臓、肺、脾臓、腸、腸間膜リンパ節、脳、胸腺、および咽頭周囲の組織(経口投与により処置された群について)を含む種々の器官および組織のサンプルを組織学的分析のために採取した。
【0195】
慢性毒性の研究。慢性毒性の研究を、マウスおよびウサギを使用して行った。各動物種の10匹の動物(各細菌菌株について)に下記の用量で細菌培養物を経口接種した:マウス、1x10CFU/日;ウサギ、1x10CFU/日。コントロール群における各動物種の10匹の動物には、無菌の生理的食塩水が与えられた。処置を10日間続け、その期間中に、各動物の活動および行動を観察した。11日目に、すべての動物を、苦痛を与えることなく安楽死させ、体内の器官を肉眼で観察した。種々の器官および組織のサンプルを組織学的分析のために採取した(肝臓、腎臓、肺、脾臓、腸、腸間膜リンパ節、脳、胸腺、および咽頭周囲の組織)。
【0196】
さらなる実験において、20羽のウサギ(各細菌菌株について10羽)に1x10CFU/日の用量で細菌菌株を30日間にわたって経口接種した。10羽のコントロールウサギには、無菌の生理的食塩水が与えられた。31日目に、すべての動物を、苦痛を与えることなく安楽死させ、血液ならびに種々の器官および組織のサンプルを採取した。
【0197】
結果
全実験期間中、動物のいずれにおいても活動および行動における認められる変化はなかった。すべての動物は臨床的に健康であった。すなわち、下痢、または、処置に関連した他の病気もしくは死亡が記録されなかった。
【0198】
肉眼検査で明らかにされるような実験群およびコントロール群の動物の間での内臓器官の外見における違いはなかった。そのうえ、下記の表2に示されるように、コントロールマウスおよび経口接種マウスの脾臓重量指標(SWI)には著しい違いがなかった。
【表2】

【0199】
顕微鏡観察では、マウスにおける急性毒性の研究、ならびに、マウスおよびウサギにおける慢性毒性の研究の両方の期間中、すべての分析された期間および組織において病変の徴候がないことが見出された。
【0200】
病変が、急性毒性研究および慢性毒性研究の期間中、マウスの器官および組織のいずれにおいても、そして同様に、マウスおよびウサギの器官および組織のいずれにおいてもそれぞれ認められなかった。
【0201】
さらに、下記の表3に示されるように、コントロールウサギの血液、および、本発明の細菌菌株が30日間にわたって経口投与された処置ウサギの血液で測定される血液学的指標における違いはなかった。
【表3】

【0202】
実施例4
プロバイオティクス菌株の枯草菌HEおよびバチルス・リケニホルミスPAの抗生物質耐性
菌株に対する耐性記録を、the National Committee for Clinical Laboratory Standardsの勧告(1997)に従ったディスク拡散法によって得た。LB(これは、バクトトリプトン(10g)、バクト酵母抽出物(5g)、塩化ナトリウム(5g)、水(1000ml)を含む;pH7.0±0.2;Difco Laboratories、Detroit、MI)において37℃で生育させた後の試験菌株の一晩培養液培養物をMueller−Hinton平板に綿棒によって播種した。抗生物質を含浸させたディスク(6mmの直径、BBL、Sensi−Disc感受性試験ディスク;BD BBL Sensi−Disc抗菌ディスク)を平板に置き、生育阻害域を37℃での18時間のインキュベーションの後で測定した。
【0203】
下記の表4に示されるように、試験された菌株は、現在使用されている抗生物質のほとんど(例えば、チカルシリン、カルベニシリン、イミペネム、アミノグリコシド系抗生物質など)に対して感受性であることが見出された。興味深いことに、バイオスポリン由来の菌株(すなわち、枯草菌HEおよびバチルス・リケニホルミスPA)は、数多くの抗生物質に対するその感受性が異なっていた。このように、例えば、バチルス・リケニホルミスPAはメチシリンおよびオキサシリンに対して耐性であり、これに対して、枯草菌HEはこれらの抗生物質に対して感受性であった。この同じ違いが、アンピシリン、ベンジルペニシリン、セフタジジム、クリンダマイシンおよびポリミキシンEについて明らかであった。両菌株はアズトレオナムおよびセフロキシムに対して耐性であった。
【表4】

【0204】
実施例5
プロバイオティクス菌株の枯草菌HEおよびバチルス・リケニホルミスPAの拮抗活性
材料および実験手順
細菌の調製。ロットI。プロバイオティクス菌株のB.subtilis HEおよびB.licheniformis PAを、37℃で24時間〜48時間、栄養寒天で別個に生育させた。すべての培養物を生理的食塩水に集め、10CFU/mlの密度に希釈した。B.subtilis HEおよびB.licheniformis PAをそれぞれ3:1の比率で混合した。1%のゼラチンおよび4%のサッカロースを含む安定化剤を加え、混合物をアンプルに注ぎ、凍結乾燥した。
【0205】
ロットII。プロバイオティクス菌株のB.subtilis HEおよびB.licheniformis PAを上記のように生育させ、集め、1010CFU/mlの密度に希釈した。
【0206】
ロットIII。プロバイオティクス菌株のB.subtilis HEおよびB.licheniformis PAを上記のように生育させ、集め、1011CFU/mlの密度に希釈した。
【0207】
抗菌活性アッセイ。本発明の細菌菌株の抗菌活性を、Sorokulova他(1997)、J.Travel Med.4、167〜170、および、Pinchuk(2001)、Antimicrob Agents Chemother、45(11):3156〜61に記載されるようにアッセイした。簡単に記載すると、各プロバイオティクス菌株をMueller Hinton寒天平板(Difco Laboratories、Detroit、MI)の表面にスポット(約5mm〜10mm)として接種した。30℃で72時間後、細菌を、本明細書中上記で記載されたようにクロロホルムの蒸気にさらすことによって死滅させた。試験培養物の接種物を、約10CFU/mlを含有するために調製した。これらの懸濁物をバチルス菌のスポットの境界から平板の端まで画線により置床した。平板を好気的に37℃で24時間インキュベーションした。プロバイオティクスの拮抗活性が試験培養物の阻害域の存在によって示された。
【0208】
結果
下記の表5は、バイオスポリンとの比較で、本発明のプロバイオティクス菌株の抗病原性活性を示す。明らかであるように、本発明のプロバイオティクス菌株は、バイオスポリン(10CFU/ml)と比較して、病原性微生物および潜在的病原性微生物に対してより大きい拮抗活性を媒介した。
【表5】

【0209】
実施例6
大腸菌O157:H7の腸病原性菌株に対するプロバイオティクス菌株の枯草菌HEおよびバチルス・リケニホルミスPAの拮抗活性
実験手順
上記実施例5に記載される通り。
【0210】
結果
下記の表6に示されるように、大腸菌O157:H7の腸病原性菌株に対する本発明のプロバイオティクス菌株のより大きい抗病原性活性が、バイオスポリンと比較して検出された。バイオスポリンと比較した場合、大腸菌O157:H7の10株に対する本発明の細菌菌株の活性が1.6倍大きいことに留意すること。
【表6】

【0211】
実施例7
大腸菌O157:H7の腸病原性菌株に対するプロバイオティクス菌株の枯草菌HEおよびバチルス・リケニホルミスPAのインビボでの拮抗活性
実験手順
ロットI〜ロットIIIの拮抗活性を、大腸菌O157:H7の実験的感染を有するマウスで調べた。マウスを大腸菌O157:H7(菌株212)(1x10CFU/マウス)で腹腔内処置した。大腸菌O157:H7の感染後1日目に、マウスを4日間(1日に1回)プロバイオティクスで経口処置した。コントロールマウスには生理的食塩水が投与された。
【0212】
結果
【表7】

【0213】
実施例8
炭疽菌のワクチン株に対するプロバイオティクス菌株の枯草菌HEおよびバチルス・リケニホルミスPAの拮抗活性
背景および結果
炭疽病は、細菌の炭疽菌を取り込む動物の間において自然に発生する疾患である。この疾患は、炭疽菌が動物に存在する農業地域では極めて一般的である。これらには、南アメリカおよび中央アメリカ、南ヨーロッパおよび東ヨーロッパ、アジア、アフリカ、カリブ諸国ならびに中東が含まれる。炭疽病にヒトが冒されるとき、通常の場合、感染した動物またはその産物に対する職業的暴露が原因である。死亡した動物、および、炭疽病がより一般的である他の国からの動物産物にさらされる作業者は炭疽菌に感染する場合がある(産業的炭疽病)。野生の家畜における炭疽病が合衆国では発生している。
【0214】
炭疽菌感染は、皮膚(肌)、吸入および胃腸の3つの形態で生じ得る。炭疽菌の胞子は土壌中で何年間も生き続けることができ、ヒトは、感染した動物からの産物を取り扱うことによって、または、汚染された動物産物から炭疽菌の胞子を吸入することによって炭疽菌に感染し得る。炭疽菌はまた、汚染動物に由来する加熱調理が不十分な食事を食べることによって拡大し得る。感染した動物を合衆国において発見することは希である。
【0215】
疾患の症状は、この疾患にどのようにして罹ったかに依存して様々である、しかし、通常の場合には7日以内に症状が発生する。
【0216】
皮膚。ほとんど(約95%)の炭疽菌感染が、感染動物の汚染された羊毛、皮革、なめし革または毛製品(特にヤギの毛)を取り扱うときなどに、細菌が皮膚の切り傷または擦り傷から進入したときに発生する。皮膚感染は、昆虫の咬傷に似る隆起した痒い腫れとして始まるが、1日〜2日のうちに小水疱に発達し、その後、特徴的な黒色の壊死(乾燥)領域が中心部に存在する痛みのない潰瘍(通常の場合には直径が1cm〜3cmである)に発達する。隣接領域におけるリンパ節が腫大することがある。皮膚炭疽病の未処置事例の約20%が死をもたらす。適切な抗菌剤治療により、死者は希である。
【0217】
吸入。初期症状は普通の風邪と類似し得る。数日後、症状は重篤な呼吸障害およびショックに進行し得る。吸入による炭疽病は通常の場合には致命的である。
【0218】
腸管。炭疽病の腸疾患形態は、汚染された食事を摂取した後に起こることがあり、腸管の急性炎症を特徴とする。吐き気、食欲喪失、嘔吐、発熱の初期徴候の後に、腹痛、吐血および重篤な下痢が続く。腸炭疽病は25%〜60%の場合で死をもたらす。
【0219】
炭疽病ワクチンを取り巻く議論は極めて幅広い。その危険性は利益より重いだけでなく、作製者(BioPort of Lansing、Michigan)は大きな製造違反のためにFDAによって差し止められている。合衆国軍部は最近、接種に関連づけられる病気および死亡のために、そのワクチン接種努力を停止した。従って、ワクチンは、いつでもすぐに実行可能な一般集団に対する選択肢ではない。
【0220】
炭疽菌のワクチン株に対する本発明のプロバイオティックス培養物の拮抗活性を実施例4に記載されるように調べた。
【0221】
結果が下記の表8にまとめられる。
【表8】

【0222】
これらの結果は、プロバイオティクスを使用して、炭疽病を処置することができ、そのため、プロバイオティクスが現在利用可能なワクチンの有益な代替物になり得ることを初めて示している。
【0223】
明確にするため別個の実施態様で説明されている本発明の特定の特徴は単一の実施態様に組み合わせて提供することもできることは分かるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施態様で説明されている本発明の各種の特徴は別個にまたは適切なサブコンビネーションで提供することもできる。
【0224】
本発明はその特定の実施態様によって説明してきたが、多くの別法、変更及び変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更及び変形すべてを包含するものである。本願で挙げた刊行物、特許及び特許願はすべて、個々の刊行物、特許及び特許願が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用又は確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0225】
【図1a】バチルス・リケニホルミスPAの形態を示す顕微鏡写真である。
【図1b】バチルス・スブチリスHEの形態を示す顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枯草菌HE株(ATCC寄託番号:PTA−5310)の同定特徴のすべてを有する細菌菌株の生物学的に純粋な培養物。
【請求項2】
バチルス・リケニホルミスPA株(ATCC寄託番号:PTA−5311)の同定特徴のすべてを有する細菌菌株の生物学的に純粋な培養物。
【請求項3】
バチルス・リケニホルミスPA(ATCC寄託番号:PTA−5311)の同定特徴のすべてを有する第1の細菌菌株と、枯草菌HE(ATCC寄託番号:PTA−5310)の同定特徴のすべてを有する第2の細菌菌株とを含む細菌混合培養物。
【請求項4】
バイオスポリン培養物よりも大きい抗病原性活性を示す、バチルス・リケニホルミス株および枯草菌株を含む少なくとも2つの細菌菌株を含む細菌混合培養物。
【請求項5】
前記バチルス・リケニホルミス株はバチルス・リケニホルミスPA(ATCC寄託番号:PTA−5311)であり、前記枯草菌株は枯草菌HE(ATCC寄託番号:PTA−5310)である請求項4に記載の細菌混合培養物。
【請求項6】
バチルス・リケニホルミスPA(ATCC寄託番号:PTA−5311)の同定特徴のすべてを有する第1の細菌菌株、および/または枯草菌HE(ATCC寄託番号:PTA−5310)の同定特徴のすべてを有する第2の細菌菌株の治療効果的な量と、医薬的に許容され得るキャリアとを含む組成物。
【請求項7】
1グラムあたり少なくとも10個の生細菌細胞を含む請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
1グラムあたり少なくとも10個の生細菌細胞を含む請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
1グラムあたり少なくとも1010個の生細菌細胞を含む請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
前記第1または第2の細菌菌株は、胞子形成した形態で提供される請求項6に記載の組成物。
【請求項11】
前記第1または第2の細菌菌株は、凍結乾燥された形態で提供される請求項6に記載の組成物。
【請求項12】
酵母細胞、糸状菌細胞および細菌細胞からなる群から選択されるプロバイオティクス微生物をさらに含む請求項6に記載の組成物。
【請求項13】
抗生物質をさらに含む請求項6に記載の組成物。
【請求項14】
抗真菌剤をさらに含む請求項6に記載の組成物。
【請求項15】
バチルス・リケニホルミスPA(ATCC寄託番号:PTA−5311)の同定特徴のすべてを有する第1の細菌菌株、および/または枯草菌HE(ATCC寄託番号:PTA−5310)の同定特徴のすべてを有する第2の細菌菌株の効果的な量と、ヒト摂取のために好適なキャリアとを含む食品添加物または食品補助物。
【請求項16】
前記キャリアは定着キャリアである請求項15に記載の食品添加物。
【請求項17】
前記定着キャリアは、糖類、修飾糖類、およびその組合せからなる群から選択される請求項16に記載の食品添加物。
【請求項18】
前記第1または第2の細菌菌株は、胞子形成した形態で提供される請求項15に記載の食品添加物。
【請求項19】
前記第1または第2の細菌菌株は、凍結乾燥された形態で提供される請求項15に記載の食品添加物。
【請求項20】
バチルス・リケニホルミスPA(ATCC寄託番号:PTA−5311)の同定特徴のすべてを有する第1の細菌菌株、および/または枯草菌HE(ATCC寄託番号:PTA−5310)の同定特徴のすべてを有する第2の細菌菌株の効果的な量と、動物摂取のために好適なキャリアとを含む飼料添加物または飼料補助物。
【請求項21】
前記キャリアは、石灰石、糖類および小麦ミドからなる群から選択される請求項20に記載の飼料添加物。
【請求項22】
前記第1または第2の細菌菌株は、胞子形成した形態で提供される請求項20に記載の飼料添加物。
【請求項23】
前記第1または第2の細菌菌株は、凍結乾燥された形態で提供される請求項20に記載の飼料添加物。
【請求項24】
バチルス・リケニホルミスPA(ATCC寄託番号:PTA−5311)の同定特徴のすべてを有する第1の細菌菌株、および/または枯草菌HE(ATCC寄託番号:PTA−5310)の同定特徴のすべてを有する第2の細菌菌株の効果的な量を含む食品。
【請求項25】
発酵乳製品である請求項24に記載の食品。
【請求項26】
前記第1または第2の細菌菌株は、胞子形成した形態で提供される請求項24に記載の食品。
【請求項27】
前記第1または第2の細菌菌株は、凍結乾燥された形態で提供される請求項24に記載の食品。
【請求項28】
胃腸障害を処置または防止する方法であって、バチルス・リケニホルミスPA(ATCC寄託番号:PTA−5311)の同定特徴のすべてを有する第1の細菌菌株、および/または枯草菌HE(ATCC寄託番号:PTA−5310)の同定特徴のすべてを有する第2の細菌菌株の治療効果的な量を、それを必要としている対象に投与することを含む方法。
【請求項29】
前記第1または第2の細菌菌株は、胞子形成した形態で提供される請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第1または第2の細菌菌株は、凍結乾燥された形態で提供される請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記投与は、1回の服用において10個〜1010個の生細胞の間での、前記第1の細菌菌株および/または前記第2の細菌菌株の濃度で行われる請求項28に記載の方法。
【請求項32】
包装材料と、前記包装材料内に含有されている、胃腸障害を処置または防止するために特定される組成物とを含む製造物であって、有効成分として、バチルス・リケニホルミスPA(ATCC寄託番号:PTA−5311)の同定特徴のすべてを有する第1の細菌菌株、および/または枯草菌HE(ATCC寄託番号:PTA−5310)の同定特徴のすべてを有する第2の細菌菌株を含む製造物。
【請求項33】
前記第1または第2の細菌菌株は、胞子形成した形態で提供される請求項32に記載の製造物。
【請求項34】
前記第1または第2の細菌菌株は、凍結乾燥された形態で提供される請求項32に記載の製造物。
【請求項35】
プロバイオティクスによって処置または防止され得る障害を処置または防止する方法であって、バチルス・リケニホルミスPA(ATCC寄託番号:PTA−5311)の同定特徴のすべてを有する第1の細菌菌株、および/または枯草菌HE(ATCC寄託番号:PTA−5310)の同定特徴のすべてを有する第2の細菌菌株の治療効果的な量を、それを必要としている対象に投与することを含む方法。
【請求項36】
前記第1または第2の細菌菌株は、胞子形成した形態で提供される請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記第1または第2の細菌菌株は、凍結乾燥された形態で提供される請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記投与は、1回の服用において10個〜1010個の生細胞の間での、前記第1の細菌菌株および/または前記第2の細菌菌株の濃度で行われる請求項35に記載の方法。
【請求項39】
障害は、虫垂炎、自己免疫障害、多発性硬化症、アルツハイマー病、慢性関節リウマチ、セリアック病、真性糖尿病、臓器移植、歯周疾患、泌尿生殖器疾患、性感染症、HIV感染、HIV複製、手術に関連した外傷、手術により誘導された転移疾患、敗血症、体重減少、食欲不振、発熱抑制、悪液質、創傷治癒、潰瘍、腸バリア機能、アレルギー、喘息、呼吸器障害、ライノウイルスに関連した疾患、循環器障害、冠状動脈疾患、貧血、血液凝固系の障害、腎臓疾患、中枢神経系の障害、肝臓疾患、便秘、虚血、栄養障害、骨粗鬆症、内分泌障害、表皮障害、乾癬、炭疽病および尋常性ざ瘡からなる群から選択される請求項35に記載の方法。

【図1a】
image rotate

【図1b】
image rotate


【公表番号】特表2007−518394(P2007−518394A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523213(P2006−523213)
【出願日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/024372
【国際公開番号】WO2005/019417
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(506053076)ザ バイオ バランス コーポレイション (3)
【Fターム(参考)】