説明

組み換えタンパク質のマンノース含量を調節するための方法

本発明は、マンノース含量、詳細には組み換え糖タンパク質の高マンノース含量を調節(例えば、減少)する方法に関する。1局面では、本発明は、細胞培養条件を操作することによって、哺乳動物宿主細胞において生成された組み換え糖タンパク質のマンノース含量(すなわち、オリゴサッカライド側鎖上)を調節し、その結果その細胞によって産生される糖タンパク質が低マンノース含量を有するような方法を提供する。一実施形態において、本発明の方法で生成された組成物は、その組成物中の糖タンパク質の約10%未満が、4つを超えるマンノース残基を有する(すなわち、M5以上の種である)。この低マンノース含量は、低浸透圧重量モル濃度(例えば、約600mOsm/Kg未満、または約500mOsm/Kg未満、または約400mOsm/Kg未満、例えば、約380〜250mOsm/Kg)で細胞培養条件を維持することによって達成される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
高等な真核生物は、種々の翻訳後修飾を行い、これには、メチル化、硫酸化、リン酸化、脂質付加およびグリコシル化が挙げられる。このような修飾は、タンパク質の機能にとって決定に重要なものであり得る。分泌されるタンパク質、膜タンパク質、および小胞または特定の細胞内オルガネラに標的されるタンパク質は、グリコシル化される可能性が高い。
【0002】
N連結グリコシル化は、タンパク質中の認識配列(例えば、Asn−X−Ser/Thr)に見出されるアスパラギン残基に対するオリゴサッカライドの付加を含むグリコシル化の形態である。N連結糖タンパク質は、標準的な分枝された構造を含み、この構造は、マンノース(Man)、ガラクトース、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)およびノイラミン酸から構成される。タンパク質のNグリコシル化は代表的には、小胞体(ER)から始まり、ここでドリコール(脂質担体の中間体)上にアセンブルしたN連結したオリゴサッカライド(例えば、GlcManGlcNAc2)が新生タンパク質の適切なアスパラギン(Asn)に移される。これは、全ての真核生物のN連結糖タンパク質に共通の事象である。2つの主要なタイプのN連結サッカライドである:高マンノースオリゴサッカライドおよび複合オリゴサッカライドが存在する。
【0003】
高マンノースオリゴサッカライドは代表的には、多くのマンノース残基(例えば、4より大きい)を有する2つのNアセチルグルコサミンを含む。複合オリゴサッカライドは、それらがほとんど、もとの2つのNアセチルグルコサミンよりも多くを含む、多数の他のタイプのサッカライド(糖類)を含み得るために、そのように名付けられる。タンパク質は、そのタンパク質の種々の部分上の両方のタイプのオリゴサッカライドによってグリコシル化され得る。オリゴサッカライドが高マンノースであるか、または複合体であるかは、ゴルジ体における糖類(サッカライド)修飾タンパク質に対するその接近性に依存すると考えられる。サッカライドが比較的接近し難い場合、それはもとの高マンノース型であり続ける可能性が最も高い。それが接近可能であるならば、多くのマンノース残基は、切断され、そしてサッカライドはさらに、上記で考察されたような他のタイプの基の付加によって修飾される。
【0004】
オリゴサッカライド鎖が、タンパク質に付加された後、3つのグルコースおよび1つのマンノース残基が、固定された順序で3つの異なる酵素によって除去される。この事象は、ERで生じ、そしてタンパク質が、さらなるプロセシングのためにゴルジに輸送され得るシグナルである。ERでのプロセシング後、高マンノース型のオリゴサッカライドが形成される。3つのグルコース残基および1つの特異的なα−1,2−連結したマンノース残基は、ERにおいて特異的なグリコシダーゼおよびα−1,2−マンノシダーゼによって除去され、その結果コアのオリゴサッカライド構造、ManGlcNACが生じる。コアの糖構造を有するタンパク質は、ゴルジ体に輸送され、ここで糖部分は、種々の修飾を受ける。
【0005】
哺乳動物細胞では、糖鎖の修飾は、付加されるタンパク質部分に依存して3つの異なる経路を介して進行する。3つの異なる経路とは以下である:(1)コアの糖鎖は変化しない;(2)コアの糖鎖は、コアの糖鎖におけるマンノースの6位置に対してUDP−N−アセチルグルコサミン(UDP−GlcNac)におけるN−アセチルグルコサミン−1−ホスフェート部分(GlcNac−1−P)を付加すること、続いてGlcNAc部分を取り除いて、糖タンパク質における酸性糖鎖を形成することによって変化される;または(3)コアの糖鎖は、マンノシダーゼIを用いて3マンノース残基を除去することによってManGlcNAcに最初に変換され;ManGlcNAcはさらに、GlcNacを付加すること、およびさらに2つのマンノース残基を除去すること、続いて連続してGlcNAc、ガラクトース(Gal)およびN−アセチルノイラミン酸(シアル酸(NeuNac)とも呼ばれる)を添加して、種々のハイブリッドまたは複合糖鎖を形成することによって修飾される(非特許文献1;非特許文献2)。
【0006】
組み換えタンパク質のオリゴサッカライド含量は、治療用糖タンパク質の安全性および有効性に影響し得る。従って、このような糖タンパク質のオリゴサッカライド含量、特にマンノース含量を制御するための方法は、有益である。
【0007】
糖タンパク質組成物、特に治療用抗体の高マンノース含量は、治療的な使用の間のこのようなタンパク質の安全性および有効性に有意に影響し得る。特定の理論には拘束されないが、高マンノース糖タンパク質が、例えば、マクロファージおよび樹状細胞上のマンノースレセプターに起因して、その低マンノース対応物よりも速く循環から排出されるということが、証拠によって示唆される。さらに、高マンノース糖タンパク質は、より免疫原性であると期待される。従って、治療用糖タンパク質、例えば、低マンノース含量を有する治療抗体などを生成することが所望され得る。
【0008】
本発明者らは、組み換え産生されたタンパク質およびペプチドのマンノース含量を調節する(例えば、制御するかまたは減少させる)ための方法を提供することによって当該分野におけるこの必要性を解決する。
【非特許文献1】R.KornfeldおよびS.Kornfeld,Ann.Rev.Biochem.(1985)54:631〜664
【非特許文献2】Chibaら、J.Biol.Chem.(1998)273:26298〜26304
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、組み換え発現された糖タンパク質のマンノース含量、そして詳細には、高マンノース含量に影響する要因の発見に少なくとも一部は基づく。
【0010】
従って、1局面では、本発明は、細胞培養条件を操作することによって、哺乳動物宿主細胞において生成された組み換え糖タンパク質のマンノース含量(すなわち、オリゴサッカライド側鎖上)を調節し、その結果その細胞によって産生される糖タンパク質が低マンノース含量を有するような方法を提供する。本明細書において用いる場合、「低マンノース含量(low−mannnose content)」という用語は、糖タンパク質組成物であって、その組成物中の糖タンパク質の約10%未満、または約8%未満、または約5%未満(例えば、約4%未満)が、4つを超えるマンノース残基を有する(すなわち、M5以上の種である)糖タンパク質組成物をいう。本明細書において用いる場合、「低マンノース含量(low−mannose content)」という用語はまた、糖タンパク質組成物であって、約10%未満、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満、またはこれらの任意の前述の範囲の間の任意の値、またはゼロでさえある、糖タンパク質組成物をいう。
【0011】
本発明の1実施形態では、低マンノース含量は、低浸透圧重量モル濃度(例えば、約600mOsm/Kg未満、または約500mOsm/Kg未満、または約400mOsm/Kg未満、例えば、約380〜250mOsm/Kg)で細胞培養条件を維持することによって達成される。これによって細胞培養物は、低マンノース含量を有する糖タンパク質、すなわち、糖タンパク質のオリゴサッカライド側鎖上に4以下のマンノース残基を有する糖タンパク質について富化される。従って、特定の実施形態では、本発明は、低マンノース含量を有する組み換え糖タンパク質を産生するための方法を提供し、この方法は、約600mOsm/Kg以下の浸透圧重量モル濃度(約200〜600mOsm/Kg、例えば、約250〜550mOsm/Kg、約250〜500mOsm/Kg、約250〜450mOsm/Kg、約250〜400mOsm/Kg、約250〜380mOsm/Kg、または約250〜350mOsm/Kgの範囲)を有する培地中で、糖タンパク質を発現する哺乳動物宿主細胞を培養する(例えば、培養の増殖期または産生期において)工程を包含する。
【0012】
前述の浸透圧重量モル濃度の範囲は、限定はしないが、細胞培養培地中の塩、ビタミン、糖、ペプトンおよびアミノ酸のうちの1つ以上の濃度を含む、多数の細胞培養パラメーターを操作することによって達成され得る。従って、特定の実施形態では、本発明は、約70mM以下(例えば、約10mM〜約50mM)の濃度のカリウム;および/または約200mM以下(例えば、約50mM〜約100mM)の濃度のナトリウムを含有する培地中で、糖タンパク質を発現する宿主細胞を培養すること、ならびに細胞培養物の浸透圧重量モル濃度を約600mOsm/Kg以下で維持することによって、低マンノース含量を有する組み換え糖タンパク質を産生する方法を提供する。
【0013】
さらに別の実施形態では、本発明は、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸およびグルタミン酸からなる群より選択される1つ以上のアミノ酸を実質的に含まない培地中で糖タンパク質を発現する宿主細胞を培養すること、ならびにこの細胞培養物の浸透圧重量モル濃度を約600mOsm/Kg以下で維持することによって、低マンノース含量を有する組み換え糖タンパク質を産生する方法を提供する。
【0014】
さらに、なお別の実施形態では、この培地は、ビオチン、D−カルシウムパントテン酸塩、塩化コリン、葉酸、i−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサールHCl、ピリドキシンHCl、リボフラビン、ターミン(thamine)HClおよびシアノコバラミンからなる群より選択される1つ以上のビタミンを、約0.00005g/L〜約0.9g/Lの濃度で含んでもよい。さらに別の実施形態では、この培地は、グルコースを約1mM〜約90mMの濃度で含む。さらなる実施形態では、この培地は、酵母抽出物、酵母加水分解物、ダイズペプトン、ダイズ加水分解物、コムギペプトンおよびコムギ加水分解物からなる群より選択される1つ以上のペプトンを、約0.5g/L〜約60g/Lの濃度で含む。
【0015】
本発明のなおさらなる実施形態では、この細胞培養培地は、浸透圧重量モル濃度を所望のレベルで、例えば、約600mOsm/Kg以下で維持するために必要な量で1つ以上の浸透圧維持剤(osmoprotectant)を含んでもよい。適切な浸透圧維持剤は、当該分野で公知であって、そしてこれには例えば、ベタイン、グリシン、L−トレオニン、およびL−プロリン、ならびにその誘導体、例えば、グリシンベタインおよびベタインアルデヒドなどが挙げられる。特定の実施形態では、この浸透圧維持剤(例えば、ベタイン)が、約20mM以上の濃度で細胞培養培地中に存在する。特定の実施形態では、この浸透圧維持剤(例えば、ベタイン)は、約1mM〜約100mM、または約20mM〜約30mMの濃度で存在する。
【0016】
単独で、または本明細書に記載される1つ以上のパラメーターと組み合わせて、制御され得るさらなる細胞培養パラメーターとしては、例えば、細胞が培養される温度および期間が挙げられる。特定の実施形態では、組み換え糖タンパク質を発現する宿主細胞は、約31℃〜約38℃の温度で培養される。特定の他の実施形態では、組み換え糖タンパク質を発現する宿主細胞は、約5日〜約14日の範囲の期間培養される。
【0017】
本発明に従う組み換え糖タンパク質を発現するための適切な宿主細胞は、当該分野で周知であって、本明細書に記載される任意の宿主細胞、例えば、CHO細胞、リンパ球細胞(例えば、NSO細胞)および種々の他の哺乳動物細胞を包含する。
【0018】
本発明は、本明細書に記載されるような低マンノース含量を有する広範な種々の糖タンパク質を産生するために使用され得る。特定の実施形態では、本発明は、低マンノース含量を有する、組み換えモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを産生するために用いられる。適切な抗体としては、例えば、マウス、キメラ、ヒト化および完全ヒト抗体、ならびに当該分野で公知の他の抗体型を挙げることができる。別の特定の実施形態では、この抗体は、IL−15に結合し、これには限定はしないが、その全体が参照によって本明細書に援用される、米国特許出願公開第2003−0138421号に開示される抗体が挙げられる。別の特定の実施形態では、この抗体は、IL−15に結合する完全ヒトモノクローナル抗体であって、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および/または配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、ならびにIL−15に結合する相同な配列(例えば、それぞれ、配列番号4または配列番号2に対して約80、85、90、95%以上同一性のアミノ酸配列を有する)を有する。さらなる特定の実施形態では、この抗体は、IL−15に結合するヒト抗体、またはその抗原結合フラグメントであって、配列番号8〜10に示される1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む軽鎖可変領域、ならびに、IL−15に結合する相同な配列(例えば、それぞれ、配列番号8〜10のいずれかに対して約80、85、90、95%以上の同一性のアミノ酸配列を有する)、および配列番号5〜7に示される1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変領域、ならびに、IL−15に結合する相同な配列(例えば、それぞれ、配列番号5〜7のいずれかに対して約80、85、90、95%以上の同一性のアミノ酸配列を有する)を有する。特定の実施形態では、IL−15に結合するヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントとしては、配列番号8〜10に示される3つ全てのCDRを含む軽鎖可変領域、ならびに配列番号5〜7に示される3つ全てのCDRを含む重鎖可変領域、またはその保存的なアミノ酸置換が挙げられる。
【0019】
さらに別の局面では、本発明は、本明細書に記載される方法によって生成される低マンノース含量を有する組み換え糖タンパク質を提供する。従って、このような糖タンパク質としては、任意の上述の治療用糖タンパク質、例えば、抗体、ホルモン、酵素、ペプチド、および他の糖タンパク質を挙げることができる。
【0020】
また、低マンノース含量を有する任意の前述の糖タンパク質を含む組成物も、本発明によって包含される。特定の実施形態では、この組成物は、低マンノース含量を有する単離された糖タンパク質(例えば、IL−15に結合する単離されたヒトモノクローナル抗体、またはその抗原結合フラグメント)、および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物である。
【0021】
従って、さらに別の局面では、本発明は、ヒトIL−15の過剰発現に関連するか、および/またはヒトIL−15誘発性作用の下方制御もしくは阻害が有益である、障害を処置または予防する方法であって、低マンノース含量を有する単離されたIL−15抗体を被験体に投与することによって提供される方法を提供する。例示的な障害としては限定はしないが、脈管炎、乾癬、多発性硬化症、関節リウマチ、炎症性腸疾患(例えば、クーロン病またはセリアック病)、同種移植拒絶、対宿主性移植片病、T細胞リンパ腫、およびT細胞白血病が挙げられる。
【0022】
従って、さらに別の局面では、本発明は、ヒトIL−15の過剰発現に関連するか、および/またはヒトIL−15誘発性作用の下方制御もしくは阻害が有益である、障害を処置または予防する方法であって、低マンノース含量を有する単離されたIL−15抗体を被験体に投与することによって提供される方法を提供する。例示的な障害としては限定はしないが、関節炎、結合組織病、眼科的障害、神経学的障害、胃腸および肝臓の障害、アレルギー障害、血液学的障害、皮膚障害、肺障害、悪性疾患、移植由来障害、内分泌学的障害、血管障害、婦人科的障害および感染性疾患が挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
従って、治療用糖タンパク質、例えば、低マンノース含量を有する治療用抗体などを産生することが所望される。
【0024】
本開示がさらに容易に理解され得るように、特定の用語を最初に規定する。さらなる定義は、詳細な説明全体を通じて説明される。
【0025】
I.定義
炭水化物成分は、本明細書においては、オリゴサッカライドについて通常用いられる命名法を参照して記載される。この命名法を用いる炭水化物化学の概説は、例えば、HubbardおよびIvatt,Ann.Rev.Biochem.50:555〜583(1981)に見出され得る。この命名法としては例えば、以下が挙げられる:Man、これはマンノースを示す;GlcNac、これは2−N−アセチルグルコサミンを示す;Gal、これはガラクトースを示す;そしてGlc,これは、グルコースを示す。シアル酸は、簡易表記に準拠して、5−N−アセチルノイラミン酸についてはNeuNac、そして5−グリコリルノイラミン酸についてはNeuNGcで記載される。
【0026】
「浸透圧重量モル濃度(osmolality)」という用語は、本明細書において用いる場合、水溶液中の溶解した溶質粒子の浸透圧の指標をいう。溶質粒子としては、イオンおよび非イオン化分子の両方が挙げられる。浸透圧重量モル濃度は、1kgの溶液に溶解された浸透圧的に活性な粒子の濃度(すなわち、オスモル)として表わされる(38℃での1mOsm/kgのHOは、19mmHgの浸透圧と等価である)。本明細書において用いる場合、「mOsm」という略号は、「ミリオスモル/溶液のkg(溶液1kgあたりのミリオスモル)(milliosmoles/kg solution)」を意味する。例示的な実施形態では、細胞培養培地の浸透圧重量モル濃度は、約600mOsm/Kg以下、または約550mOsm/Kg以下、または約500mOsm/Kg以下、または約450mOsm/Kg以下、または約400mOsm/Kg以下、または約380mOsm/Kg以下、または約200mOsm/Kg〜約600mOsm/Kg、または約250mOsm/Kg〜約550mOsm/Kg、または約250mOsm/Kg〜約500mOsm/Kg、または約250mOsm/Kg〜約450mOsm/Kg、または約250mOsm/Kg〜約400mOsm/Kg、または約250mOsm/Kg〜約380mOsm/Kg、または約250mOsm/Kg〜約350mOsm/Kgで維持される。
【0027】
本明細書において用いる場合、「糖タンパク質(glycoprotein)」という用語は、ペプチドおよびタンパク質をいい、これは、マンノース残基を含む少なくとも1つのオリゴサッカライド側鎖を有する抗体を包含する。糖タンパク質は、宿主細胞に対して同種であってもよく、または例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)宿主細胞によって産生されるヒト糖タンパク質のように、利用されている宿主細胞に対して異種、すなわち外来であってもよい。このような糖タンパク質は一般に、「組み換え糖タンパク質(recombinant glycoproteins)」と呼ばれる。特定の実施形態では、宿主細胞によって発現される糖タンパク質は直接培地中に分泌される。哺乳動物糖タンパク質の例としては、以下の分子およびそれに対する抗体が挙げられる:サイトカイン、例えば、IL−1〜IL−15、およびそれらのレセプター;ケモカイン、例えば、TNF、TECKおよびそれらのレセプター、例えば、TNFR、CCR9;成長ホルモン、これには、ヒト成長ホルモン、およびウシ成長ホルモンを含む;成長ホルモン放出因子;副甲状腺ホルモン、甲状腺刺激ホルモン;リポタンパク質;α−1−アンチトリプシン;インスリンA鎖;インスリンB鎖;プロインスリン;卵胞刺激ホルモン;カルシトニン;黄体形成ホルモン;グルカゴン;凝固因子、例えば、第VIIIC因子、第IX因子、組織因子、およびフォン・ビルブラント因子;抗凝固因子、例えば、プロテインC;心房性ナトリウム利尿因子;肺サーファクタント;プラスミノーゲン活性化因子、例えば、ウロキナーゼまたはヒトの尿または組織型プラスミノーゲン・アクチベータ(t−PA);ボンベシン;トロンビン;造血成長因子;エンケファリナーゼ:RANTES(活性化正常T細胞発現および分泌に対して調節(regulated on activation normally T−cell expressed and secreted));ヒトマクロファージ炎症性タンパク質(MIP−1−α);血清アルブミン、例えば、ヒト血清アルブミン;ミュラー管抑制物質;レラキシンA鎖;レラキシンB鎖;プロレラキシン;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;微生物タンパク質、例えば、βラクタマーゼ;DNase;インヒビン;アクチビン;血管内皮増殖因子(VEGF);ホルモンまたは成長因子についてのレセプター;インテグリン;プロテインAまたはD;リウマチ因子;神経栄養因子、例えば、ウシ由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン−3、−4、−5または−6(NT−3、NT−4、NT−5またはNT−6)、または神経成長因子、例えば、NGF−β;血小板由来成長因子(PDGF);線維芽細胞成長因子、例えば、aFGFおよびbFGF;上皮細胞成長因子(EGF);トランスフォーミング成長因子(TGF);例えば、TGF−αおよびTGF−β、これには、TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、TGF−β4、またはTGF−β5を含む;インスリン様成長因子−Iおよび−II(IGF−1およびIGF−II);デス(1−3)−IGF−I(脳IGF−I)、インスリン様成長因子結合タンパク質;CDタンパク質、例えば、CD−3、CD−4、CD−8およびCD−19;エリスロポエチン;骨誘導因子;イムノトキシン;骨形態形成タンパク質(BMP);インターフェロン、例えば、インターフェロンα、−β、および−γ;コロニー刺激因子(CSF)、例えば、M−CSF、GM−CSFおよびG−CSF;インターロイキン(IL)、例えば、IL−1〜IL−15;スーパーオキシドジスムターゼ;T細胞受容体;表面膜タンパク質;分解促進因子(decay accelerating factor);ウイルス抗原、例えば、AIDSエンベロープの一部;輸送タンパク質;ホーミング受容体(homing receptor);および調節タンパク質。
【0028】
本明細書において用いる場合、「細胞培養培地(cell culture medium)」および「培養培地(culture medium)」という用語は、以下のカテゴリーのうち1つ以上に由来する少なくとも1つの成分を代表的には提供する、成長中の哺乳動物細胞のために用いられる栄養溶液をいう:1)エネルギー源、通常は、炭水化物の形態、例えば、グルコースなど;2)全ての必須アミノ酸のうちの1つ以上、および通常基本的なセットの20のアミノ酸に加えてシステイン;3)ビタミンおよび/または低濃度で必要な他の有機化合物;4)遊離脂肪酸;および5)微量元素であって、代表的には極めて低濃度で、通常はマイクロモルの範囲で必要である、無機化合物または天然に存在する元素として規定される微量元素。この栄養溶液は必要に応じて、細胞の成長を最適化するためにさらなる成分を補充されてもよい。
【0029】
本発明の哺乳動物細胞培養物は、培養されている特定の細胞に適切な培地中で調製される。特定の細胞タイプを培養するために用いられ得る適切な細胞培養培地は、当業者に明らかである。例示的な市販の培地としては、例えば、HamのF10(SIGMA)、最少必須培地(MEM、SIGMA)、RPMI−1640(SIGMA)、およびダルベッコの改変イーグル培地(DMEM、SIGMA)が挙げられる。任意のこれらまたは他の適切な培地は、必要に応じて、ホルモンおよび/または他の成長因子(例えば、インスリン、トランスフェリン、または上皮成長因子)、塩(例えば、塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウムおよびリン酸塩)、緩衝液(例えば、HEPES)、ヌクレオシド(例えば、アデノシンおよびチミジン)、抗生物質(例えば、ゲンタマイシンTM)、微量元素(マイクロモル範囲の最終濃度で通常存在する無機化合物として規定される)脂質(例えば、リノール酸または他の脂肪酸)、およびそれらの適切なキャリア、およびグルコースまたは等価なエネルギー供給源を補充されてもよいし、そして/または、本明細書に記載されるように改変して低マンノース含量を有する組み換え糖タンパク質の産生を容易にしてもよい。特定の実施形態では、この細胞培養培地は血清を含まない。
【0030】
特定の実施形態では、細胞培養培地は、このような培地中で培養される宿主細胞によって発現される組み換え糖タンパク質の高マンノース含量を調節する(例えば、減少する)ように最適化される。特定の実施形態では、この哺乳動物宿主細胞は、CHO細胞であり、そして適切な培地は、このような培地中で培養されるCHO細胞によって発現される組み換え糖タンパク質の高マンノース含量を調節する(例えば、減少する)ように、例えば、アミノ酸、塩、糖、ペプトンおよびビタミンのような1つ以上の成分の濃度を改変している、DMEM/HAM F−12基礎処方物(based formulation)のような基礎培地成分(basal medium component)を含む。
【0031】
細胞培養の「増殖期(growth phase)」という用語は、指数関数的細胞増殖の期間(すなわち、対数期)をいい、ここではこの細胞は、一般に急速に分裂している。細胞は、約1日の間、または約2日、または約3日、または約4日、または4日より長く、増殖期に維持される。細胞が増殖期で維持される期間は、例えば、細胞のタイプ、および細胞の増殖速度、および培養条件に基づいて変化する。
【0032】
「移行期(transition phase)」という用語は、増殖期と産生期との間の期間をいう。一般には、移行期とは、培養条件が増殖期から産生期へのシフトを支持するように制御され得る時間である。制御され得る種々の細胞培養パラメーターとしては限定はしないが、温度、浸透圧重量モル濃度、ビタミン、アミノ酸、糖、ペプトン、アンモニウムおよび塩のうちの1つ以上が挙げられる。
【0033】
細胞培養の「産生期(production phase)」という用語は、細胞増殖がプラトーに達している期間をいう。対数的な細胞増殖は代表的には、この期の前または間に終わり、そしてタンパク質産生が優勢になる。この段階で所望のタンパク質産生を達成するために、細胞培養培地を補充することが所望される。
【0034】
「哺乳動物宿主細胞(mammalian host cell)」、「宿主細胞(host−cell)」および「哺乳動物細胞(mammalian cell)」という用語は、適切な栄養および増殖因子を含有する培地中で単層培養物または懸濁培養物のいずれかに入れられた場合、増殖かつ生存し得る、哺乳動物由来の細胞株をいう。代表的には、このような細胞は、培養培地中へ目的の特定の糖タンパク質を大量に発現かつ分泌し得る。適切な哺乳動物宿主細胞の例としては限定はしないが、チャイニーズハムスター卵巣細胞/DHFR(UrlaubおよびChasin,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77:4216(1980));dp12CHO細胞(欧州特許第307247号);SV40で形質転換されたサル腎臓CV1株(ATCC CRL 1651);ヒト胚性腎細胞株(懸濁培養物中での増殖のためにサブクローニングされた293または293細胞)(Grahamら、J.Gen Virol.,36:59(1977));ベビーハムスター腎臓細胞(ATCC CCL 10);マウスセルトリ細胞(sertoli cells)(TM4)(Mather,Bibl.Reprod.,23:243〜251(1980));サル腎細胞(ATCC CCL 70);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO−76)(ATCC CRL−1587);ヒト子宮頸癌細胞(HeLa)(ATCC CCL 2);イヌ腎臓細胞(MDCK)(ATCC CCL 34);バッファローラット(buffalo rat)肝臓細胞(BRL 3A)(ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138)(ATCC CCL 75);ヒト肝臓細胞(Hep G2 HB 8065);マウス乳腺腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL51);TRI細胞(Matherら、Annals N.Y.Acad.Sci.383:44〜68(1982));MRC 5細胞;FS4細胞およびヒト肝細胞腫株(HepG2)が挙げられる。
【0035】
「組み換え宿主細胞(recombinant host cell)」(または単に「宿主細胞(host cell)」)という用語は、本明細書において用いられる場合、組み換え発現ベクターが導入されている細胞をいうものとする。このような用語は、特定の被験細胞をいうだけでなく、このような細胞の子孫も指すものであることが理解されるべきである。特定の改変は、変異または環境の影響のいずれかに起因して後継世代に存在し得るので、このような子孫は、実際には、親細胞と同一でなくてもよいが、本明細書において用いられるような「宿主細胞(host cell)」という用語の範囲内にやはり包含される。
【0036】
「発現(expression)」、「発現する(express)」および「発現する(expresses)」という用語は一般に、宿主細胞内で生じる転写および翻訳をいう。宿主細胞における遺伝子産物の発現のレベルは、その細胞に存在する対応するmRNAの量、またはその遺伝子によってコードされるタンパク質の量のいずれかに基づいて決定され得る。例えば、産物の遺伝子から転写されたmRNAは、ノーザンハイブリダイゼーションによって定量され得る。(Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,pp.7.3−7.57,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989))。ある遺伝子によってコードされるタンパク質は、そのタンパク質の生物学的活性についてアッセイすることによって、またはこのような活性と独立したアッセイ、例えば、タンパク質と反応し得る抗体を用いるウエスタンブロット分析またはラジオイムノアッセイなどを使用することによって定量され得る。(Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,pp.18.1〜18.88 Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989))。ある実施形態では、「発現」、「発現する(express)」および「発現する(expresses)」という用語は、本発明の方法によって産生される低マンノース含量を有する組み換えタンパク質について用いられる。
【0037】
「低マンノース(low−mannnose)」、および「低マンノース含量(low−mannose content)」という用語は、本明細書において用いる場合、糖タンパク質組成物であって、その組成物の約10%以下が、4マンノース残基より多く、すなわちM5またはそれ以上の種を有する糖タンパク質組成物をいう。逆に、高マンノース含量(high−mannnose content)」とは、糖タンパク質組成物であって、その組成物の約10%より多くが、4マンノース残基より多くを有する糖タンパク質を含む糖タンパク質組成物をいう。「低マンノース」、および「低マンノース含量」という用語はまた、糖タンパク質組成物であって、その組成物の約90%より多く、または約95%より多くが4以下のマンノース残基を含む糖タンパク質を有する、糖タンパク質組成物を指しても用いられる。
【0038】
「低マンノース含量を有する糖タンパク質(a glycoprotein having low−mannnose content)」という用語は、組み換え糖タンパク質組成物であって、宿主細胞を培養することによって生成される場合、限定はしないが、その組成物中の糖タンパク質の約4%以下、約5%以下、約4%〜約5%以下、約6%以下、約5%〜6%以下、約7%以下、約6%〜7%以下、約8%以下、約7%および8%以下、約9%以下、約8%〜9%以下、約10%以下、または約9%〜10%以下が4より大きい(すなわち、M5またはそれ以上の種)マンノース残基を有する糖タンパク質組成物を指して用いられる。従って、「低マンノース含量を有する糖タンパク質(a glycoprotein having low−mannnose content)」という用語は、組み換え糖タンパク質組成物であって、宿主細胞を培養することによって生成される場合、その組成物中の糖タンパク質の約90%より多く、または約95%より多くが4以下のマンノース残基(すなわち、0〜4のマンノース残基)を有する糖タンパク質組成物をいう。
【0039】
高マンノース含量は、例えば、Wuhrerら(Journal of Chromatography B第825巻:124〜133、2005)およびDellら(Science第291巻:2351〜2356)に記載されるように、当該分野で周知の1つ以上の方法、ならびに本明細書に記載される方法、例えば、糖タンパク質のN−グリカンマッピングのための分析方法を含む方法によって測定され得る。要するに、N−グリカンは、組み換え糖タンパク質、例えば、組み換えモノクローナル抗体から酵素的に除去され、そして還元末端で蛍光タグ(2−アミノベンズアミド)で標識される。蛍光N−グリカンは、高pH陰イオン交換クロマトグラフィー(HPAEC)によって分離され、そして蛍光検出を用いて検出される。天然のNグリカンの分離は一般に、Nグリカン構造における複雑性の増大に基づく。荷電されたN−グリカンの分離は、シアル酸、硫酸塩の数およびタイプ、または電荷数が由来し得る存在する他の改変に基づく。試験サンプルのこれらのグリカンプロフィールは、適切な標準に対して視覚的に比較される。
【0040】
高マンノース含量はまた、本明細書に直ちに開示される方法を用いて測定されてもよい:限定はしないが抗体またはそのフラグメント、例えば、真核生物宿主細胞で発現される場合、Fabフラグメント、Fcフラグメントおよびペプチボディ(peptibody)を含む融合タンパク質を含む、糖タンパク質の高マンノース含量を検出および/または定量するためのハイスループットの方法。抗体は代表的には、Fc領域上に単一のN連結グリカンを有する。グリカンの部分的に包埋された構造のせいで、これはしばしば部分的にしかプロセシングされず、その結果、過剰の高マンノースおよびハイブリッドタイプが生じる。クローン選択、細胞の変異もしくは他の遺伝子操作、または細胞培養操作によって、その細胞によって産生されるグリカンのタイプを変更し得る。多数の条件/細胞が調査され、従って多くのグリカン試験がスクリーニングの間に必要である。伝統的なグリカンマッピングは、遅くかつ、労働集約的であり、何日も要する。本発明の高マンノース/ハイブリッドグリカンアッセイによって、かなり少ないオペレーターの労力で、かなり迅速にグリカンタイプの比が得られる。
【0041】
詳細には、本発明は、糖タンパク質を含有するサンプルまたは組成物中の糖タンパク質の高マンノース含量を検出および/または定量するための方法を提供し、この方法は、糖タンパク質を含有するサンプルまたは組成物をエンドグリコシダーゼ消化に供する工程と、還元剤(必要であれば)を用いてこの消化された糖タンパク質を還元する工程と、この消化された糖タンパク質を変性電気泳動によって分離し、それによって高マンノース/ハイブリッドタイプのグリカンの比を、脱グリコシル化重鎖の画分(エンドグリコシダーゼ消化後のピーク)から非グリコシル化重鎖の画分(エンドグリコシダーゼ処理なしのピーク画分)を差引きすることによって決定する工程とを包含する。この非グリコシル化重鎖画分またはエンドグリコシダーゼ処理なしのピーク画分は、同じサンプルまたは組成物を、エンドグリコシダーゼがそこに存在しないこと以外は同じ消化条件に供することによって生成される。この工程は、エンドグリコシダーゼ消化工程と同時に行われても、または別々に行われてもよい。
【0042】
コアグリカン上のGlcNAcとGlcNAc2との間で高マンノースおよびハイブリッドのグリカンを選択的に切断する(またはタンパク質上で短いグリカンを生成する)が、複雑なN連結グリカンをインタクトなままで残す任意のエンドグリコシダーゼが本発明において用いられ得る。適切な定量のために、エンドグリコシダーゼは、限られた量であってはならない。酵素の濃度、インキュベーション温度および消化時間を含む、エンドグリコシダーゼ消化を行うための特定の状態は、用いられるエンドグリコシダーゼのタイプに依存する。本発明に関連するエンドグリコシダーゼの例としては、限定はしないが、エンドグリコシダーゼHおよびエンドグリコシダーゼF1が挙げられる。本発明の1実施形態では、糖タンパク質を含むサンプルを、エンドグリコシダーゼHを用いて37℃で約2時間処理し、βメルカプトエタノールで還元し、そしてCE−SDS分析に供する。
【0043】
グリコシル化糖タンパク質、例えば、グリコシル化抗体から、脱グリコシル化糖タンパク質、例えば、脱グリコシル化抗体を分離するための例示的な方法としては限定はしないが、以下の2つの方法が挙げられる:
1)還元条件下のCE−SDS。グリコシル化糖タンパク質、例えば、抗体は、SDSおよび還元剤で変性され、そしてグリカンを有するその重鎖(HC)は、キャピラリー電気泳動−SDS(CE−SDS)によって切断HC(脱グリコシル化HC)から分離される。エレクトロフェログラム(electropherogram)はUVシグナルで生成される。ピーク下面積は、相対的な量に対して比例する。従って、高マンノース/ハイブリッド型の量は、早期に脱グリコシル化HC位置で溶出する画分から決定される。GlcNAc−HCは、脱グリコシル化HCと同時に泳動するので、未消化のサンプルからの脱グリコシル化HCの%が消化されたサンプルのプレ−ピークから差引きされて、高マンノース値%が得られる。分離には、立体配置次第で、15〜30分を要する。
【0044】
2)マイクロ流体(微小流体)ベースのCE−SDS。糖タンパク質は、1)においてと同様に、ただしCaliperによるLC90のような「ラボ・オン・チップ(lab on a chip)」装置を用いて分離される。同じ原理をこのアッセイおよび分離で用いるが、タンパク質を検出するためには蛍光色素を用いる。分離時間は、1アッセイあたり約30秒に短縮され、そしてマイクロタイタープレートからサンプリングされ得る。
【0045】
上記されるような本発明の方法は、精製されたタンパク質でおこなわれても、ただし粗細胞培養サンプルでも行われてもよい。組み換え抗体を用いれば、このシグナルは、精製が必要ないほど強力である。
【0046】
特定の実施形態では、4を超えるマンノース残基を有する糖タンパク質は、5〜9のマンノース残基を有する糖タンパク質(すなわち、種M5〜M9)を包含する。特定の理論で拘束されることは望まないが、当業者は、宿主細胞によって発現される糖タンパク質組成物が、種々の数のマンノース残基を有する糖タンパク質を含むということを理解する。例えば、低マンノース糖タンパク質は、4個以下のマンノース残基(例えば、0〜4個のマンノース残基)を有し、そして高マンノース糖タンパク質は、4を超えるマンノース残基を有する(例えば、M5種またはそれ以上)。
【0047】
本発明の特定の実施形態では、低マンノース含量を有する糖タンパク質は、組み換え抗体またはその抗原結合フラグメントである。本発明の別の特定の実施形態では、低マンノース含量を有する組み換え糖タンパク質は、IL−15に結合するヒトモノクローナル抗体、またはその抗原結合フラグメントである。
【0048】
「実質的に含まない(substabtially free)」という用語は、本明細書において用いる場合、一般には、細胞培養培地の調製物であって、特定の成分を含まないかまたはその量が減少している(未改変の培養培地に対して)調製物をいう。例えば、1実施形態では、低マンノース含量を有する組み換え糖タンパク質を産生するために用いられる培養培地は、特定のアミノ酸(例えば、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸およびグルタミン酸からなる群より選択される1つ以上のアミノ酸)を実質的に含まない。ある実施形態では、1つ以上の成分を実質的に含まない培養培地は、未修飾の培養培地に対して1つ以上のこのような成分の約1%未満、または約3%未満、または約5%未満、または約10%未満を含むように改変される。
【0049】
「IL−15」、「IL−15抗原」および「インターロイキン15」という用語は、本明細書において交換可能に用いられ、そして細胞によって天然に発現される任意の改変体またはアイソフォーム(イソ型)を含む。
【0050】
本明細書において言及されるような「抗体(antibody)」という用語は、抗体全体、および任意の抗原結合フラグメント(すなわち、「抗原−結合部分(antigen−binding portion)」)またはその単鎖を包含する。「抗体(antibody)」とは、ジスルフィド結合によって内部連結された少なくとも2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖を含む糖タンパク質、またはその抗原結合部位をいう。各々の重鎖は、重鎖可変領域(本明細書においてはVと略称される)および重鎖定常領域からなる。その重鎖定常領域は、3つのドメインCH1、CH2およびCH3から構成される。各々の軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書においてはVと略称される)および軽鎖定常領域からなる。その軽鎖定常領域は、1つのドメインCLから構成される。このVおよびV領域はさらに、フレームワーク領域(FR)と名付けられる、さらに保存的な領域が散在している、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変の領域に小分割され得る。各々のVおよびVは、以下の順序でアミノ末端からカルボキシ末端に配列された3つのCDRおよび4つのFRから構成される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫系の種々の細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的な補体系の第一成分(Clq)を含む、宿主の組織または因子に対する免疫グロブリンの結合を媒介し得る。
【0051】
本明細書において用いる場合、抗体の「抗原結合部分(antigen−binding portion)」および「抗原結合フラグメント(antigen−binding fragment)」(または単に「抗体部分(antibody portion)」という用語は、抗原(例えば、IL−15)に選択的に結合する抗体の1つ以上のフラグメントをいう。抗体の抗原結合機能は、全長抗体のフラグメントによって果たされ得ることが示されている。抗体の「抗原結合部分」という用語内に包含される抗原結合フラグメントの例としては、(i)V、V、CLおよびCH1ドメインからなる単価フラグメントである、Fabフラグメント;(ii)ヒンジ領域でジスルフィド結合によって連結される2つのFabフラグメントを含む二価フラグメントであるF(ab’)フラグメント;(iii)VおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント;(iv)抗体の単独アームのVおよびVドメインからなるFvフラグメント、(v)Vドメインからなる、dAbフラグメント(Wardら、Nature 341:544〜546(1989));および(vi)単離された相補性決定領域(CDR)、または(vii)合成リンカーによって必要に応じて連結され得る2つ以上の単離されたCDRの組み合わせ、が挙げられる。さらに、Fvフラグメントの2つのドメインであるVおよびVは別の遺伝子によってコードされるが、それらは、VおよびV領域が対になって単価分子(単鎖Fv(scFV)として公知である;例えば、Birdら、Science 242:423〜426(1988);およびHustonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879〜5883(1988)を参照のこと)を形成する、単一のタンパク質鎖としてそれらを作成し得る合成リンカーによって、組み換え方法を用いて連結されてもよい。このような単鎖抗体はまた、抗体の「抗原結合部分」および「抗原結合フラグメント」という用語内に包含されるものとする。これらの抗体フラグメントは、当業者に公知の従来の技術を用いて得られ、そしてそのフラグメントは、インタクトな抗体と同じ方式で有用性についてスクリーニングされる。
【0052】
本明細書において用いる場合、「モノクローナル抗体(monoclonal antibody)」という用語は、特定のエピトープについての単一の結合特異性および親和性を示す抗体を指す。従って、「ヒトモノクローナル抗体(human monoclonal antibody)」という用語は、単一の結合特異性を示し、そしてヒト生殖系列免疫グロブリン配列由来の可変領域および定常領域を有する抗体をいう。1実施形態では、ヒトモノクローナル抗体は、不死化細胞に融合されたヒト重鎖導入遺伝子および軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有する、トランスジェニック非ヒト動物、例えば、トランスジェニックマウスから得られたB細胞を含むハイブリドーマによって生成される。
【0053】
本明細書において用いる場合、「組み換えヒト抗体(recombinant human antibody)」という用語は、組み換え手段によって調製、発現、作製または単離される全てのヒト抗体、例えば(a)ヒト免疫グロブリン遺伝子またはそれから調製されたハイブリドーマについてトランスジェニックまたはトランスクロモゾーマル(transchromosomal)である動物(例えば、マウス)から単離された抗体、(b)抗体を発現するように形質転換された宿主細胞から、例えば、トランスフェクトーマ(transfectoma)から単離された抗体、(c)組み換え、コンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離された抗体、および(d)他のDNA配列に対するヒト免疫グロブリン遺伝子配列のスプライシングを含む任意の他の手段によって調製、発現、作製または単離された抗体を包含する。このような組み換えヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列由来の可変領域および定常領域を有する。しかし、特定の実施形態では、このような組み換えヒト抗体は、インビトロの突然変異誘発(または、ヒトIg配列に関してトランスジェニックな動物が用いられる場合、インビボの体細胞突然変異誘発)に供されてもよく、従って、組み換え抗体のVおよびV領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VおよびV配列に由来し、かつそれに関連するが、インビボにおいてヒト抗体生殖系列レパートリー内には天然には存在し得ない配列である。
【0054】
本明細書において用いる場合、「異種抗体(heterologous antibody)」とは、このような抗体を産生するトランスジェニック非ヒト生物体に関して規定される。この用語は、トランスジェニック非ヒト動物から構成されない生物体で見出されるものに対応するアミノ酸配列またはコードする核酸配列を有する抗体であって、そして一般には、トランスジェニック非ヒト動物のものとは異なる種に由来する抗体を指す。
【0055】
「単離された抗体(isolated antibody)」とは、本明細書において用いる場合、異なる抗原性特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体をいう(例えば、IL−15に特異的に結合する単離された抗体とは、IL−15以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。しかし、IL−15のエピトープに特異的に結合する単離された抗体とは、他の関連のサイトカインに対して、または異なる種由来の他のIL−15タンパク質に対して交差反応性を有してもよい。しかし、この抗体は好ましくは常にヒトIL−15に結合する。さらに、単離された抗体は代表的には、他の細胞物質および/または化学物質を実質的に含まない。特定の実施形態では、異なるIL−15特異性を有する「単離された(isolated)」モノクローナル抗体の組み合わせは、十分に規定された組成物中で組み合わされる。
【0056】
本明細書において用いる場合、「特異的な結合(specific binding)」、「選択的な結合(selective binding)」および「選択的に結合する(selectively binds)」とは、予め決められた抗原に対して結合する抗体またはそのフラグメントをいう。例えば、1実施形態では、この抗体は、組み換えヒトIL−15を分析物として、そしてその抗体をリガンドとして用いて、BIACORE 3000装置で表面プラズモン共鳴(SPR)技術によって決定される場合、ほぼ10−7M未満、例えば、ほぼ10−8M、10−9Mもしくは10−10M未満、またはさらに低い親和性(K)でさえ結合し、そして予め決められた抗原に対して、その予め決められた抗原または密接に関連する抗原以外の非特異的抗原(例えば、BSA、カゼイン)に対する結合についての親和性よりも少なくとも2倍大きい親和性で結合する。「抗原を認識する抗体」および「抗原に特異的な抗体」という句は、「抗原に選択的に結合する抗体」という句と交換可能に用いられる。
【0057】
本明細書において用いる場合、「K」という用語は、特定の抗体−抗原相互作用の解離平衡定数をいうものとする。
【0058】
本明細書において用いる場合、「アイソタイプ(isotype)」とは、重鎖定常領域遺伝子によってコードされる抗体クラス(例えば、IgMまたはIgG1)をいう。
【0059】
本明細書において用いる場合、「アイソタイプ・スイッチ(isotype switching)」とは、抗体のこのクラスまたはアイソタイプが、あるIgクラスから1つの他のIgクラスに変化するという現象をいう。
【0060】
本明細書において用いる場合、「ノン・スイッチ・アイソタイプ(non−switched isotype)」とは、アイソタイプのスイッチが起こっていないときに生成される重鎖のアイソタイプクラスをいう;ノン・スイッチ・アイソタイプをコードするCH遺伝子は代表的には、機能的に再配列されたVDJ遺伝子からすぐ下流の最初のCH遺伝子である。アイソタイプのスイッチは、古典的または非古典的なアイソタイプ・スイッチと分類されている。古典的なアイソタイプ・スイッチは、導入遺伝子における少なくとも1つのスイッチ配列に関与する組み換え事象によって起こる。非古典的なアイソタイプ・スイッチは、例えば、ヒトσμとヒトΣμ(δ関連欠失)との間の相同組み換えによって生じ得る。別の非古典的なスイッチ機構、例えば、とりわけ、導入遺伝子間および/または染色体間の組み換えが生じてアイソタイプ・スイッチを達成してもよい。
【0061】
本明細書において用いる場合、「スイッチ配列(switch sequence)」という用語は、スイッチ組み換えを担うDNA配列を指す。「スイッチ・ドナー(switch donor)」配列は代表的には、μのスイッチ領域であって、スイッチ組み換えの間に欠失されるべき構築領域の5’(すなわち、上流)である。「スイッチ・アクセプター(switch acceptor)」領域は、欠失されるべき構築領域と置換定常領域(例えば、γ、εなど)との間である。組み換えが常に生じる非特異的な部位が存在するので、最終の遺伝子配列は代表的には、構築物からは予測可能ではない。
【0062】
本明細書において用いる場合、「グルコシル化パターン(glycosylation patter)」とは、タンパク質に対して、さらに詳細には免疫グロブリンタンパク質に対して共有結合される炭水化物単位のパターンとして規定される。導入遺伝子のCH遺伝子が由来する種に対してよりも非ヒトトランスジェニック動物の種におけるグリコシル化パターンとさらに類似しているとして、当業者が異種抗体のグリコシル化のこのパターンを認識する場合、異種抗体のグリコシル化パターンは、非ヒトトランスジェニック動物の種によって生成される抗体上に天然に存在するグリコシル化パターンと実質的に同様であるとして特徴付けられ得る。
【0063】
ある物体に適用する場合、「天然に存在する(naturally−occurring)」という用語は、本明細書において用いる場合、ある物体が天然に見出され得る事実をいう。例えば、ある供給源から天然に単離され得る生物体(ウイルスを含む)に存在し、かつ実験室でヒトによって故意に改変されていないポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列は、天然に存在している。
【0064】
「再配列された、再配置された(rearranged)」という用語は本明細書において用いる場合、重鎖または軽鎖の免疫グロブリン遺伝子座の構成(配置)であって、それぞれ、本質的に完全なVまたはVドメインをコードする構成であるD−JまたはJセグメントにすぐ隣接してVセグメントが配置されている構成をいう。再配列された免疫グロブリン遺伝子座は、生殖系列DNAに比較することによって決定され得;再配列された遺伝子座は、少なくとも1つの組み換えのヘプタマー/ノナマーの相同なエレメントを有する。
【0065】
「再配列されていない、再配置されていない(unrearranged)」または「生殖系列構成(germline configuration)」という用語はVセグメントに関して本明細書において用いる場合、このVセグメントが、DまたはJセグメントに直ちに隣接するように再組み換えされていない構成(配置)をいう。
【0066】
「核酸分子(nucleic acid molecule)」という用語は、本明細書において用いる場合、DNAおよびRNA分子をいう。核酸分子は、一本鎖であってもまたは二本鎖であってもよいが、好ましくは二本鎖DNAである。
【0067】
「単離された核酸分子(isolated nucleic acid molecule)」という用語は、IL−15に選択的に結合する抗体または抗体の一部(例えば、V、V、CDR3)をコードする核酸について本明細書において用いる場合、この抗体または抗体部分をコードするヌクレオチド配列が、IL−15以外の抗原に結合する抗体または抗体部分をコードする他のヌクレオチド配列を含ない核酸分子であって、他の配列がヒトゲノムDNAにおける核酸に天然に隣接してもよい、核酸分子をいう。配列番号1〜4は、ヒト抗IL−15抗体の重鎖(V)および軽鎖(V)の可変領域を含むヌクレオチドおよびアミノ酸配列に相当する。詳細には、配列番号1および2は、この抗体のVに相当し、そして配列番号3および4は、この抗体のVに相当する。
【0068】
特定の実施形態では、IL−15に結合するヒトモノクローナル抗体、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号8〜10に示される1つ以上のそして好ましくは3つ全てのCDRを含む軽鎖可変領域、ならびに配列番号5〜7に示される1つ以上のそして好ましくは3つ全てのCDRを含む重鎖可変領域を包含する。
【0069】
特定の実施形態では、本発明はまた、配列番号1〜10に示される配列の「保存的配列改変(conservation sequence modifications)」または「保存的配列置換(conservation sequence substitutions)」、すなわち、このヌクレオチド配列によってコードされる抗体の結合特徴にも含有するアミノ酸配列にも、有意に影響することも変更することもないヌクレオチドおよびアミノ酸の配列の改変を包含する。このような保存的配列改変としては、ヌクレオチドおよびアミノ酸の置換、付加および欠失が挙げられる。改変は、当該分野で公知の標準的な技術、例えば、部位特異的突然変異誘発およびPCR媒介性突然変異誘発によって配列番号1〜10に導入され得る。保存的アミノ酸置換としては、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換されている置換が挙げられる。同様の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該分野で規定されている。これらのファミリーとしては、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、β分枝側鎖を有するアミノ酸(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が挙げられる。従って、ヒト抗IL−15抗体における予想される非必須アミノ酸残基は好ましくは、同じ側鎖ファミリー由来の別のアミノ酸残基で置換される。
【0070】
あるいは、別の実施形態では、変異は、例えば、飽和突然変異誘発によって抗IL−15抗体コード配列の全てまたは一部にそって無作為に導入されてもよく、そして得られた改変抗IL−15抗体は、結合活性についてスクリーニングされ得る。
【0071】
従って、本明細書に開示される(重鎖および軽鎖可変領域)ヌクレオチド配列によってコードされるか、および/または本明細書に開示される(重鎖および軽鎖可変領域)アミノ酸配列(すなわち、配列番号1〜4)を含有する抗体としては、保存的に改変されている類似の配列によってコードされるか、またはその類似の配列を含む実質的に同様の抗体が挙げられる。さらに、このような実質的に類似の抗体が、配列番号1〜4のように本明細書に開示される部分的(すなわち、重鎖および軽鎖可変領域の)配列に基づいて生成され得る方法についての考察は下に提供される。
【0072】
核酸について、「実質的な相同性(substituted homology)」という用語は、2つの核酸またはその命名された配列が、必要に応じて整列および比較される場合、適切なヌクレオチドの挿入または欠失によって、そのヌクレオチドの少なくとも約80%、通常は少なくとも約90%〜95%、そしてさらに好ましくはそのヌクレオチドの少なくとも約98%〜99.5%が同一であることを意味する。あるいは、実質的な相同性は、そのセグメントが選択的なハイブリダイゼーション条件下で、その鎖の相補体とハイブリダイズする場合に、存在する。
【0073】
アミノ酸配列については、「相同性(homology)」という用語は、2つのアミノ酸配列の間の同一性の程度であって、適切な挿入または欠失と最適に配列および比較される場合の同一性の程度を示す。
【0074】
2つの配列の間の同一性パーセントは、その配列によって共有される同一の位置の数の関数であり(すなわち、相同性%=一致する位置の数/位置の総数×100)、これはこの2つの配列の最適配列のために導入するのに必要であるギャップの数および各々のギャップの長さを考慮している。2つの配列の間の配列の比較および同一性パーセントの決定は、数学的なアルゴリズムを用いて達成され得る。
【0075】
2つのヌクレオチド配列の間の同一性パーセントは、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comで入手可能)におけるGAPプログラムを用い、NWSgapdna.CMPマトリックスならびに40、50、60、70または80というギャップウェイト、および1、2、3、4、5または6という長さウェイトを用いて決定され得る。2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列の間の同一性パーセントはまた、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれているE.MeyersおよびW.Miller(CABIOS,4:11〜17(1989))のアルゴリズムを用い、PAM120ウェイト残基表(weight residue table)、12というギャップ長ペナルティー、および4というギャップペナルティーを用いて決定され得る。さらに、2つのアミノ酸配列の間の同一性パーセントは、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comで入手可能)においてGAPプログラムに組み込まれているNeedlemanおよびWunsch(J.Mol.Biol.(48):444〜453(1970))のアルゴリズムを用い、Blossum62マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれか、そして16、14、12、10、8、6または4というギャップウェイト、および1、2、3、4、5または6という長さウェイトを用いて決定され得る。
【0076】
本発明の核酸およびタンパク質配列はさらに、例えば、関連の配列を特定するために、公的なデータベースに対する検索を行うための「クエリー(問い合わせ)配列(query sequence)」として用いられてもよい。このような検索は、Altschulら、J.Mol.Biol.215:403〜10(1990)のNBLASTおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)を用いて行われてもよい。BLASTヌクレオチド検索は、本発明の核酸分子に対するヌクレオチド配列相同性を得るために、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12を用いて行われ得る。BLASTタンパク質検索は、本発明のタンパク質分子に対するアミノ酸配列相同性を得るために、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3を用いて行われてもよい。比較目的のためのギャップのあるアラインメントを得るために、ギャップ化(Gapped)BLASTを、Altschulら、Nucleic Acids Res.25(17):3389〜3402(1997)に記載のように利用してもよい。BLASTおよびギャップ化BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラムのデフォールトパラメーター(例えば、XBLASTおよびNBLAST)を用いてもよい。(http://www.ncbi.nlm.nih.govを参照のこと)。
【0077】
核酸は、細胞全体に存在してもよいし、細胞溶解物に存在してもよいし、または部分的に精製されるかもしくは実質的に精製された形態であってもよい。核酸は、他の細胞成分または他の混入物、例えば、他の細胞の核酸またはタンパク質から、アルカリ/SDS処理、CsClバンド形成(banding)、カラムクロマトグラフィー、アガロースゲル電気泳動および当該分野で周知のその他の技術を含む標準的な技術によって、精製されている場合、「単離される(isolated)」かまたは「実質的に純粋である(substantially pure)」。F.Ausubelら編、Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing and Wiley Insterscience,New York(1987)を参照のこと。
【0078】
本発明の核酸組成物は、しばしば天然の配列(修飾された制限部位などを除いて)中で、cDNA、ゲノムまたはその混合物のいずれかから標準的な技術に従って、遺伝子配列を得るように変異され得る。コーディング配列については、これらの変異は、必要に応じて、アミノ酸配列に影響し得る。詳細には、天然のV、D、J、定常、スイッチおよび他の本明細書で記載されるこのような配列に対して実質的に相同であるか、またはそれに由来する、DNA配列が考慮される(ここで「由来する(derived)」とは、ある配列が、別の配列と同一であるかまたはそれから改変されることを示す)。
【0079】
核酸は、別の核酸配列と機能的な関係におかれる場合、「作動可能に連結される(operably linked)」。例えば、プロモーターまたはエンハンサーは、コード配列の転写に影響する場合、そのコード配列に対して作動可能に連結されている。転写制御配列に関して、作動可能に連結されるとは、連結されているそのDNA配列が、連続しており、そして2つのタンパク質コード領域に連結する必要がある場合、連続してかつリーディングフレームにあるということを意味する。スイッチ配列については、作動可能に連結されるとは、この配列がスイッチ組み換えを達成し得るということを示す。
【0080】
「ベクター(vector)」という用語は、本明細書において用いる場合、別の核酸を輸送し得る核酸分子であって、その別の核酸に連結されている核酸分子をいうものとする。1つのタイプのベクターは、「プラスミド(plasmid)」であって、これは、細胞の二本鎖DNAループであって、そこにさらなるDNAセグメントが連結され得るDNAループをいう。別のタイプのベクターはウイルスベクターであり、ここでさらなるDNAセグメントがそのウイルスゲノムに連結されてもよい。特定のベクターは、それらが導入される宿主細胞において自律的に複製し得る(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクターおよびエピソームの哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入の際に宿主細胞のゲノムに組み込まれ得、それによって宿主ゲノムとともに複製される。さらに、特定のベクターは、それらが作動可能に連結される遺伝子の発現を指示し得る。このようなベクターは、本明細書において、「組み換え発現ベクター(recombinant expression vectors」(または単に、「発現ベクター(expression vectors)」と呼ばれる。一般には、組み換えDNA技術において有用である発現ベクターとはしばしば、プラスミドの形態である。本明細書において、「プラスミド(plasmid)」および「ベクター(vector)」は交換可能に用いられ得る。なぜなら、プラスミドは、ベクターの最も一般的に用いられる形態であるからである。しかし、本発明は、等価な機能を果たす、ウイルスベクター(例えば、組み換え欠損レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)のような、このような他の形態の発現ベクターを含むものとする。
【0081】
本明細書において用いる場合、「被験体(subject)」という用語は、任意のヒトまたは非ヒト動物を包含する。例えば、本発明の方法および組成物は、炎症性疾患、例えば、関節炎、例えば、間接リウマチのような炎症性疾患を有する被験体を処置するために用いられてもよい。「非ヒト動物(non−human animal)」という用語は、全ての脊椎動物、例えば、哺乳動物および非ヒト哺乳動物、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類などを包含する。
【0082】
本発明の種々の局面は、以下の小区分にさらに詳細に記載される。
【0083】
II.マンノース含量に影響する要因
(a)浸透圧重量モル濃度
種々の細胞培養パラメーターが、哺乳動物細胞培養物で発現される組み換え糖タンパク質のマンノース含量に影響し得る。詳細には、細胞培養培地の浸透圧重量モル濃度が高いほど、4マンノース残基より多く(すなわち、M5の種またはそれ以上)を有する組成物中の糖タンパク質の割合が高くなることが本発明の方法によって発見された。従って、本発明の1実施形態では、細胞培養培地の浸透圧重量モル濃度は、発現される糖タンパク質のマンノース含量を減少または制御するために、約600mOsm/Kg未満(例えば、約250mOsm/Kg〜約600mOsm/Kg)に維持される。
【0084】
哺乳動物細胞培養のためには、細胞培養培地の浸透圧重量モル濃度は、約550mOsm/Kg未満で、または約500mOsm/Kg未満で、または約450mOsm/Kg未満で、または約400mOsm/Kg未満で、または約380mOsm/Kg未満で、または約200mOsm/Kg〜約600mOsm/Kgで、または約250mOsm/Kg〜約550mOsm/Kgで、または約250mOsm/Kg〜約500mOsm/Kgで、または約250mOsm/Kg〜約450mOsm/Kgで、または約250mOsm/Kg〜約400mOsm/Kgで、または約250mOsm/Kg〜約380mOsm/Kgで、または約250mOsm/Kg〜約350mOsm/Kgで維持される。
【0085】
浸透圧重量モル濃度を所望の範囲で達成するために、培養培地中の種々の成分の濃度が調節され得る。例えば、培養培地に対してその浸透圧重量モル濃度を増大するために添加され得る溶質としては、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、加水分解された動物のタンパク質、例えば、ペプトン、代謝されないポリマー、ビタミン、イオン、塩、糖、代謝産物、有機酸、脂質などが挙げられる。しかし、培養培地中の他の成分の濃度が、所望の浸透圧重量モル濃度を達成するために改変されてもよいことが理解される。
【0086】
他の実施形態では、浸透圧重量モル濃度は、培養培地に1つ以上の浸透圧維持剤を添加することによって、上述の範囲に調節され得る。例示的な浸透圧維持剤は、当該分野で周知であって、限定はしないが、ベタイン、グリシン、L−トレオニン、L−プロリンおよびその誘導体が挙げられ、これには限定はしないが、グリシン、ベタイン、ベタインアルデヒドが挙げられる。特定の実施形態では、細胞培養培地は、ベタインを約20mM以上、または約1mM〜約100mM、そして最も好ましくは約20mM〜約30mMの濃度で含む。
【0087】
浸透圧重量モル濃度は、当該分野で周知の任意の手段および本明細書に記載される任意の手段によって測定され得る。例えば、浸透圧計、例えば、Fisher Scientific,Pittsburgh,PAによって、ブランド名OSMETTEとして販売されるような浸透圧計が、細胞培養培地の浸透圧重量モル濃度を測定するために用いられ得る。あるいは、Osmetteモデル2007(Precision System,Inc.,Natick,MA)が用いられてもよい。
【0088】
本発明の他の実施形態では、浸透圧重量モル濃度は、細胞培養培地中の塩、糖、ペプトン、アミノ酸およびアンモニウムのうちの1つ以上の濃度を改変することによって調節され得る。
【0089】
さらに他の実施形態では、浸透圧重量モル濃度に影響する上述のパラメーターは、細胞がマンノース含量を調節(例えば、減少)するように培養され得る、温度および期間の操作と、組み合されてもよい。従って、本明細書に記載される種々の細胞培養パラメーターは、組み換え糖タンパク質のマンノース含量を調節するように、単独でまたは組み合わせて調節されてもよいことが理解されるべきである。
【0090】
(i)カリウムおよびナトリウムの濃度
本発明の準備となる実験では、培養培地中のカリウム(K+)濃度の増大が、糖タンパク質の高マンノース含量に寄与することが実証された。従って、1実施形態では、本発明は、約70mM以下のK+濃度(例えば、約10mM〜約50mM)を有する細胞培養培地を使用する。
【0091】
上記で考察されるとおり、細胞培養培地単独のカリウム濃度が制御されてもよいし、または浸透圧重量モル濃度に影響する本明細書に記載される1つ以上の他の要因と組み合わせて制御されてもよい。特定の実施形態では、この培養培地はさらに、約200mM以下(例えば、約50mM〜約100mM)のナトリウム濃度を含む。
【0092】
(ii)アミノ酸
細胞培養培地の浸透圧重量モル濃度に影響するか、および/または組み換え発現されるタンパク質の高マンノース含量に寄与することが発見された他の要因は、培地中のアミノ酸の濃度およびタイプである。例えば、特定の実施形態では、培地中の20全てのアミノ酸の濃度を倍にすれば、マンノース含量が増大する。従って、本発明の特定の実施形態では、細胞培養培地は、アミノ酸濃度が低下するように調節される。特定の培地では、アミノ酸濃度は、約半分まで減らされる。
【0093】
別の特定の実施形態では、細胞培養培地は、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸およびグルタミン酸からなる群より選択される1つ以上のアミノ酸を実質的に含まない。
【0094】
(iii)糖
細胞培養培地の浸透圧重量モル濃度に影響するか、および/または組み換え発現されるタンパク質の高マンノース含量に寄与することが発見された他の要因は、培地中の糖の濃度およびタイプである。特定の実施形態では、細胞培養培地は、グルコースを、約1mM〜約90mMの濃度で含む。
【0095】
(iv)アンモニウム
細胞培養培地の浸透圧重量モル濃度に影響し得るか、および/または組み換え発現されるタンパク質の高マンノース含量に寄与し得る別の要因は、約30mM以下の濃度のアンモニウムである(例えば、約0mM〜約10mM)。1実施形態では、アンモニウム濃度は、約10mM以下である。
【0096】
(v)ペプトン
細胞培養培地の浸透圧重量モル濃度に影響するか、および/または組み換え発現されるタンパク質の高マンノース含量に寄与することが発見された他の要因は、培地中で用いられるペプトンの濃度およびタイプである。ペプトンは、加水分解された動物のタンパク質から生成される培地補充物である。ペプトンの供給源は、当該分野で周知であり、そして例えば、動物の副産物、ゼラチンおよび植物性物質を包含する。ペプトンの例としては、限定はしないが、酵母抽出物、酵母加水分解産物、ダイズペプトン、ダイズ加水分解産物、コムギペプトン、およびコムギ加水分解産物が、約0.5g/L〜約60g/Lの濃度で挙げられる。
【0097】
(vi)ビタミン
細胞培養培地の浸透圧重量モル濃度に影響するか、および/または組み換え発現されるタンパク質の高マンノース含量に寄与することが発見された他の要因は、培地中で用いられるビタミンの濃度およびタイプである。特定の実施形態では、細胞培養培地は、ビオチン、D−カルシウム、パントテン酸塩、塩化コリン、葉酸、i−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサールHCl、ピリドキシンHCl、リボフラビン、チアミンHCl、シアノコバラミンからなる群より選択される1つ以上のビタミンを、約0.00005g/L〜約0.9g/Lの濃度で含む。
【0098】
(b)温度
組み換え発現されるタンパク質の高マンノース含量に寄与することが発見された別の要因は、細胞培養物が維持される温度である。従って、本発明の別の実施形態では、宿主細胞が培養される温度はまた、組み換え発現される糖タンパク質のマンノース含量を調節する(例えば、減少する)ために、単独でまたは前述の因子と組み合わせて調節される(例えば、細胞培養のタイミングおよび浸透圧重量モル濃度に影響する因子の調節)。特定の実施形態では、宿主細胞は、約31℃で、または約32℃で、または約33℃で、または約34℃で、または約35℃で、または約36℃で、または約37℃で、または約38℃で培養される。
【0099】
III.細胞培養手順
本発明の方法に従って、宿主細胞は、低マンノース含量を有する組み換え糖タンパク質の発現を可能にする培地中で培養される。適切な細胞培養手順および条件は、当該分野で周知である。宿主細胞(例えば、CHOおよびNSO細胞)は、広範な種々の形式および培養容器中で培養されてもよい。例えば、宿主細胞は、糖タンパク質の大規模生産または小規模生産のために設計された方式で培養されてもよい。さらに、宿主細胞は培養フラスコまたはディッシュの底に接着して培養されてもよく、またはそれらは、攪拌フラスコ、バイオリアクターまたはローラーボトル培養において懸濁液中であってもよい。特定の実施形態では、商業的な量で組み換え糖タンパク質を生成するために、宿主細胞をバイオリアクター中で、そして好ましくは、約2リットル以上、または約5リットル以上、または約10リットル以上、または約50リットル以上、または約100リットル以上、または約500リットル以上、または約1000リットル以上、または約1500リットル以上、または約2000リットル以上の容量を有するバイオリアクター中で増殖してもよい。
【0100】
特定の実施形態では、宿主細胞は、液体培地中で培養(例えば、維持および/または増殖)されてもよく、そして好ましくは、静置培養、試験管培養、振盪培養(例えば、ロータリー振盪培養、振盪フラスコ培養など)、曝気攪拌(エアレーション・スピンナー)(aeration spinner)培養または発酵などの従来の培養方法によって、連続して、または間欠的に培養される。特定の実施形態では、宿主細胞は、振盪フラスコで培養される。さらに他の実施形態では、宿主細胞は、発酵槽中で(例えば、発酵・プロセスで)培養される。発酵・プロセスとしては、限定はしないが、バッチ、流加培養(fed−batch)および連続方法が挙げられる。「バッチ・プロセス(batch process)」および「バッチ・発酵(batch fermentation)」という用語は、閉鎖系であって、培地、栄養物、補充添加物などの組成が発酵の開始でセットされて、発酵の間の変更には供されない閉鎖系をいう;ただし、過度の培地酸性化および/または微生物の死亡を妨げるためにpHおよび酸素濃度のような因子を制御する試みはなされてもよい。「流加培養プロセス(fed−batch process)」および「流加培養(fed−batch)」発酵という用語は、1つ以上の基質または補充物が添加される(例えば、段階的にまたは連続して)か、または細胞培養条件が発酵の進行につれて変化されることを除く、バッチ発酵をいう。「連続的プロセス(continuous process)」および「連続発酵(continuous fermentation)」という用語は、規定の発酵培地が発酵槽に連続して添加され、そして等量の用いられるかまたは「馴化された(conditioned)」培地が、所望の産物(例えば、組み換え糖タンパク質)の回収のために連続して取り出される系をいう。種々のこのようなプロセスが開発されており、そして当該分野で周知である。
【0101】
特定の実施形態では、IL−15に結合する組み換えヒトモノクローナル抗体を発現する宿主細胞は、ローラーボトル、2リットルのスピナー・フラスコ(spinner−flask)、または別の適切な培養系において増殖される。
【0102】
IV.糖タンパク質の回収
ポリペプチド産生期の後、本発明の組み換え糖タンパク質は、当該分野で十分確立されている技術を用いて培養培地から回収され得る。目的の糖タンパク質は好ましくは、別個のポリペプチドとして培養培地から回収されるが、それはまた宿主細胞溶解物から回収されてもよい。
【0103】
特定の実施形態では、培養培地または溶解液を、粒子状の細胞細片を除去するために遠心分離する。その後、糖タンパク質を混入した可溶性タンパク質およびポリペプチドから、適切な精製手順を用いて精製する。例示的な精製手順としては、限定はしないが、免疫親和性またはイオン交換カラムでの分画;エタノール沈殿;逆相HPLC;シリカゲルでのまたは陽イオン交換樹脂、例えばDEAEでのクロマトグラフィー;等電点電気泳動;SDS−PAGE;硫酸アンモニウム沈殿;例えば、SephadexG−75を用いるゲル濾過;ならびにIgGのような混入物を除去するためのプロテインA Sepharoseカラムが挙げられる。プロテアーゼインヒビター、例えば、フェニル・メチル・スルホニル・フルオライド(PMSF)がまた、精製の間タンパク質分解性の分解を阻害するために有用であり得る。当業者は、目的の組み換え糖タンパク質に適切な精製方法は、組み換え細胞の培養における発現の際に糖タンパク質の特徴における変化を相殺するために改変を要するかもしれないということを理解する。
【0104】
本発明の特定の実施形態では、本発明の方法を用いて発現される組み換え糖タンパク質は、ヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントである。一般には、この抗体は、ELISAによって最初に特徴付けられる。例えば、マイクロタイタープレートは、例えば、PBS中におけるIL−15のような精製抗原でコーティングされ、次いで、PBS中に希釈されたウシ血清アルブミン(BSA)のような関係のないタンパク質でブロックされ得る。培養された細胞由来の抽出物の希釈物を各々のウェルに添加して、1〜2時間37℃でインキュベートする。そのプレートをPBS/Tween20で洗浄し、次いで、アルカリホスファターゼに結合体化されたヤギ抗ヒトIgG Fc特異的ポリクローナル試薬とともに37℃で1時間インキュベートする。洗浄後、そのプレートをABTS基質で発色させ、405のODで分析する。
【0105】
本発明の方法によって生成される抗体が固有のエンベロープに結合するか否かを決定するために、各々の抗体を市販の試薬(Pierce,Rockford,IL)を用いてビオチン化してもよい。ビオチン化MAb結合は、ストレプトアビジン標識プローブで検出され得る。精製された抗体のアイソタイプを決定するために、アイソタイプELISAを、当該分野で認識される技術を用いて行ってもよい。例えば、10μg/mlの抗ヒトIgを用いてマイクロタイタープレートのウェルを4℃で一晩コーティングしてもよい。5%のBSAを用いるブロッキング後、そのプレートを10μg/mlの抗体または精製されたアイソタイプコントロールと、周囲温度で2時間、反応させる。次いで、そのウェルをヒトIgG1または他のヒトアイソタイプ特異的な結合体化プローブと反応させてもよい。プレートを発色させて、上記のように分析する。
【0106】
特定の実施形態では、本発明の方法を用いて生成される組み換え糖タンパク質は、IL−15に結合するヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントである。IL−15を発現する生きた細胞に対するIL−15モノクローナル抗体の結合を試験するために、フローサイトメトリーを用いてもよい。要するに、膜結合したIL−15を発現する細胞株および/またはヒトPBMC(標準的な増殖条件下で増殖)を、0.1%のBSAおよび0.01%のNaN3を含有するPBS中で、種々の濃度のモノクローナル抗体とともに4℃で1時間混合する。洗浄後、その細胞を、一次抗体染色と同じ条件下でフルオレセイン標識抗ヒトIgG抗体と反応させる。そのサンプルを、単一細胞上のゲートに対する光および側方散乱特性を用いてFACScan装置によって分析し、そして標識抗体の結合を決定する。蛍光顕微鏡を用いる代替的アッセイを、フローサイトメトリーアッセイ(に加えて、またはその代わりに)用いてもよい。細胞は、正確に上記のように染色され、そして蛍光顕微鏡によって試験され得る。この方法によって、個々の細胞の可視化が可能になるが、ただし抗原の密度に依存して感度は低下しているかもしれない。
【0107】
抗IL−15ヒトIgGは、ウエスタンブロッティングによってIL−15抗原との反応性についてさらに試験され得る。要するに、IL−15を発現する宿主細胞由来の細胞抽出物を、調製して、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動に供してもよい。電気泳動後、その分離された抗原は、ニトロセルロース膜に転写されて、20%のマウス血清でブロックされ、そして試験されるべきモノクローナル抗体でプローブされる。ヒトIgG結合は、抗ヒトIgGアルカリホスファターゼを用いて検出され、そしてBCIP/NBT基質錠剤(Sigma Chem.Co.,St.Louis,MO)を用いて発色され得る。
【0108】
V.薬学的組成物
別の局面では、本発明は、低マンノース含量を有する組み換え糖タンパク質の1つまたは組み合わせを含有する、組成物、例えば、薬学的組成物を提供する。特定の実施形態では、この薬学的組成物は、低マンノース含量を有する少なくとも1つの治療用タンパク質、例えば、低マンノース含量を有する治療用抗体、またはその抗原結合フラグメント(例えば、IL−15に結合するヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント)を含む。別の特定の実施形態では、本発明の薬学的組成物は、薬学的に受容可能なキャリアと一緒に処方された、低マンノース含量を有する1つ以上の組み換え糖タンパク質を含む。
【0109】
本発明の薬学的組成物はまた、併用療法で、すなわち、他の因子と組み合わせて投与されてもよい。例えば、併用療法としては、本発明の組成物と、少なくとも1つ以上のさらなる治療剤、例えば、抗炎症剤、DMARD(疾患修飾性抗リウマチ薬)、免疫抑制剤、化学療法剤、および乾癬剤との組み合わせをあげることができる。本発明の薬学的組成物はまた、放射線療法と組み合わせて投与され得る。他の抗体、例えば、CD4特異的抗体およびIL−2特異的抗体との同時投与も、本発明によって包含される。CD4特異的抗体またはIL−2特異的抗体とのこのような組み合わせは、自己免疫疾患および移植片拒絶を処置するために特に有用とみなされる。
【0110】
本明細書において用いる場合、「薬学的に受容可能なキャリア(pharmaceutically acceptable carrier)」としては、生理学的に適合する、任意のかつ全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張化剤および吸収遅延剤などが挙げられる。好ましくはこのキャリアは、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、非経口的投与、脊髄投与、または表皮投与(例えば、注射または注入による)に適切である。投与の経路に依存して、組み換え糖タンパク質、例えば、抗体、二価特異的および多価特異的分子は、酸の作用およびこの化合物を不活性化し得る他の天然の条件からこの化合物を防御するために物質中でコーティングされてもよい。
【0111】
「薬学的に受容可能な塩(pharmaceutically acceptable salt)」とは、親の化合物の所望の生物学的活性を保持し、そして所望されない毒性学的影響を与えない塩をいう(例えば、Berge,S.M.ら、J.Pharm.Sci.66:1〜19(1977)を参照のこと)。このような塩の例としては、酸付加塩、および塩基付加塩が挙げられる。酸付加塩としては、非毒性の無機酸、例えば、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜リン酸など由来の酸付加塩、ならびに非毒性の有機酸、例えば、脂肪族モノカルボン酸およびジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、芳香族酸、脂肪酸、および芳香族スルホン酸など由来の酸付加塩が挙げられる。塩基付加塩としては、アルカリ土類金属、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなど由来の塩基付加塩、ならびに非毒性有機アミン、例えば、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、N−メチルグルカミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカインなど由来の塩基付加塩が挙げられる。
【0112】
本発明の組成物は、当該分野で公知の種々の方法によって投与され得る。当業者によって理解されるとおり、投与の経路および/または方式は、所望の結果に依存して変化する。活性化合物は、インプラント(移植物)、経皮パッチおよび微小カプセル化送達システムを含む徐放性処方物のように、急速な放出に対して化合物を保護するキャリアとともに調製され得る。生体分解性の生体適合性ポリマー、例えば、エチレン・ビニル・アセテート、ポリ無水物(polyanhydrides)、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸が用いられてもよい。このような処方の調製のための多くの方法は、特許されるかまたは当業者に一般に公知である。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems、J.R.Robinson編、Marcel Dekker,Inc.,New York,1978を参照のこと。
【0113】
特定の投与経路によって本発明の化合物を投与するためには、この化合物を、その不活性化を妨げるための物質でコーティングするか、またはその物質とこの化合物を同時投与することが必要であり得る。例えば、この化合物は、適切なキャリア、例えば、リポソームまたは希釈剤中で被験体に投与され得る。薬学的に受容可能な希釈剤としては、生理食塩水および水性緩衝溶液が挙げられる。リポソームとしては、水中油中水型(water−in−oil−in−water)CGFエマルジョン、および従来のリポソームが挙げられる(Strejanら、J.Neuroimmunol.7:27(1984))。
【0114】
薬学的に受容可能なキャリアとしては、滅菌水溶液または分散、および滅菌注射用溶液または分散の即時調整のための滅菌粉末が挙げられる。薬学的に活性な物質のためのこのような媒体および薬剤の使用は当該分野で公知である。任意の従来の培地または因子が活性化合物と不適合である場合を除いて、本発明の薬学的組成物においてその使用が考慮される。補充される活性な化合物もその組成物に組み込まれてもよい。
【0115】
治療組成物は代表的には、製造および貯蔵の条件のもとで無菌かつ安定でなければならない。その組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、リポソームまたは高い薬物濃度に適切な他の規則的な構造として処方され得る。そのキャリアは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)およびその適切な混合物を含有する溶媒または分散媒体であってもよい。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングの使用によって、分散の場合には必要な粒子サイズの維持によって、およびサーファクタントの使用によって維持され得る。多くの場合に、等張剤、例えば、糖、ポリアルコール、例えば、マンニトール、ソルビトール、または塩化ナトリウムを組成物中に含むことが好ましい。注射用組成物の吸収の遅延は、吸収を遅らせる因子、例えば、モノステアレート塩およびゼラチンを組成物中に含むことによってもたらされ得る。
【0116】
滅菌注射溶液は、上記に列挙された成分の1つまたは組み合わせを含む適切な溶媒中に必要な量で活性化合物を組み込むこと、必要に応じて、続いて滅菌マイクロフィルトレーションによって、調製され得る。一般には、分散は、塩基性分散媒体および上記で列挙されたものに由来する必要な他の成分を含む滅菌ビヒクルにこの活性化合物を組み込むことによって、調製される。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉末の場合、調製の好ましい方法は、真空乾燥および凍結乾燥(freeze−drying)(凍結乾燥(lyophilization))であって、これによって活性成分に加えて、以前に滅菌濾過されたその溶液由来のさらなる所望の成分の粉末、を生じる。
【0117】
投薬レジメンは、最適の所望の応答(例えば、治療応答)を得るように調節される。例えば、単回ボーラスが投与されてもよいし、数回分割用量が経時的に投与されてもよいし、または用量は治療状況の危急によって指示される場合は比例して減少されるかもしくは増大されてもよい。例えば、本発明のヒト抗体は、毎週1〜2回皮下注射されてもよいし、または毎月1〜2回皮下注射されてもよい。投与の容易さおよび投薬量の均一性のために、非経口組成物を単位剤形で処方することが特に有利である。本明細書において用いられる単位剤形とは、処置されるべき被験体の単位投薬量に適切な物理的に別個の単位をいい;各々の単位は、必要な薬学的なキャリアと組み合わせて所望の治療効果を生じるように計算された、予め決定された量の活性化合物を含む。本発明の単位剤形についての仕様は、(a)活性化合物の固有の特徴、および達成されるべき特定の治療効果、ならびに(b)個体における感度の処置のためにこのような活性化合物を配合するという当該分野に固有の制限によって決められ、かつそれに直接依存する。
【0118】
薬学的に受容可能な抗酸化剤の例としては以下が挙げられる:(1)水溶性抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸、システイン塩酸塩、硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど;(2)油溶性抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸パルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、αトコフェノールなど;ならびに(3)金属キレート剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸など。
【0119】
治療組成物のためには、本発明の処方物は、経口、経鼻、局所(口腔および舌下を含む)、直腸、膣および/または非経口の投与に適切な処方物を含む。この処方物は、単位剤形で適宜与えられてもよいし、そして薬学の当該分野で公知の任意の方法によって調製されてもよい。単位剤形を生成するためにキャリア物質と組合され得る活性成分の量は、処置されている被験体、および特定の投与方式に依存して変化する。単回剤形を生成するためにキャリア物質と組合され得る活性成分の量は一般には、治療効果を生じる組成物の量である。一般には、100パーセントのうち、この量は、活性成分の約0.001%〜約90%、好ましくは、約0.005%〜約70%、最も好ましくは約0.01%〜約30%におよぶ。
【0120】
膣投与に適切である本発明の処方物としてはまた、ペッサリー(膣坐薬)、タンポン、クリーム、ジェル(ゲル)、ペースト、泡状物または噴霧の処方物であって、適切であることが当該分野で公知であるようなキャリアを含む処方物が挙げられる。本発明の組成物の局所投与または経皮投与のための剤形としては、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル(ジェル)、溶液、パッチおよび吸入薬が挙げられる。活性化合物は、滅菌条件下で、薬学的に受容可能なキャリアと、そして必要であり得る任意の防腐剤、緩衝液または噴霧剤と混合されてもよい。
【0121】
本明細書において用いる場合、「非経口投与(parenteral administration)」および「非経口的に投与される(administered parenterally)」という句は、通常は、注射による、腸内および局所投与以外の投与の方式を意味し、そしてこれには限定はしないが、静脈内、筋肉内、動脈内、クモ膜下腔内に、嚢内に(intracapsular)、眼窩内に、心臓内に、皮内に、腹腔内に、経器官的に、皮下に、表皮下に、関節内に、被膜下、クモ膜下、脊髄内、硬膜外および胸骨内の注射および注入が挙げられる。
【0122】
本発明の薬学的組成物に使用され得る適切な水性および非水性のキャリアの例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、など)、およびその適切な混合物、植物油、例えば、オリーブオイル、および注射用有機エステル、例えば、オレイン酸エチルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティング物質の使用によって、分散の場合には必要な粒子サイズの維持によって、そしてサーファクタントの使用によって、維持され得る。
【0123】
これらの組成物はまた、アジュバント、例えば、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、および分散剤を含んでもよい。微生物の存在の防止は、前出の滅菌手順によって、そして種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などを含むことによって、確実にされ得る。組成物中に、等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウムなどを含むことも所望され得る。さらに、注射用の薬学的形態の長期にわたる吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンのような吸収を遅延する因子の包含によって達成され得る。
【0124】
本発明の化合物が、ヒトおよび動物に対する薬剤として投与される場合、それらは、単独で与えられてもよいし、または薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて、例えば、0.001〜90%(さらに好ましくは、0.005〜70%、例えば、0.01〜30%)の活性成分を含む薬学的組成物として与えられてもよい。
【0125】
選択される投与の経路にかかわらず、本発明の化合物は、適切な水和型で用いられてもよいし、そして/または本発明の薬学的組成物は、当業者に公知の従来の方法によって薬学的に受容可能な剤形に処方される。
【0126】
本発明の薬学的組成物における活性成分の正確な投薬量レベルは、患者に対する毒性なしに、特定の患者、組成物および投与方式について所望の治療応答を達成するために有効である活性成分の量を得るために変更されてもよい。選択された投薬レベルは、使用される本発明の特定の組成物、またはそのエステル、塩もしくはアミドの活性、投与の経路、投与の時間、使用されている特定の化合物の排出速度、処置の期間、使用される特定の組成物と組み合わせて用いられる他の薬物、化合物および/または物質、処置されている患者の年齢、性別、体重、状態、一般的健康状態および以前の病歴、などの医学分野で周知の要因を含む種々の薬物動態学的な要因に依存する。当該分野で通常の技術を有する医師または獣医師は必要な薬学的組成物の有効量を容易に決定および規定し得る。例えば、医師または獣医師は、所望の治療効果を達成するのに必要であるより低レベルで、薬学的組成物中で使用される本発明の組成物の用量を開始して、所望の効果が達成されるまでその投薬量を徐々に増大する。一般には、本発明の組成物の適切な1日量は、治療効果を得るのに有効な最低用量である化合物の量である。このような有効用量は一般に、上記の要因に依存する。投与は静脈内、筋肉内、腹腔内または皮下であることが好ましく、好ましくは標的の部位に近位に投与される。所望の場合、治療用組成物の有効1日量は、必要に応じて単位剤形で、1日にわたって適切な間隔で、2、3、4、5、6またはそれ以上の別々に投与される小用量として投与されてもよい。本発明の化合物は単独で投与されることが可能であるが、その化合物は薬学的処方物(組成物)として投与されることが好ましい。
【0127】
治療組成物は、当該分野で公知の医学的デバイスを用いて投与され得る。例えば、好ましい実施形態では、本発明の治療組成物は、ニードルレス皮下注射デバイス(needleless hypodermic injection device)、例えば、米国特許第5,399,163号、同第5,383,851号、同第5,312,335号、同第5,064,413号、同第4,941,880号、同第4,790,824号または同第4,596,556号に開示されるデバイスを用いて投与されてもよい。本発明において有用な周知のインプラントおよびモジュールの例としては以下が挙げられる:制御された速度で医薬を分配するための注射用マイクロ注入ポンプを開示する、米国特許第4,487,603号;皮膚を通じて医薬を投与するための治療用デバイスを開示する米国特許第4,486,194号;正確な注入速度で医薬を送達するための医薬注入ポンプを開示する、米国特許第4,447,233号;連続的薬物送達のための可変流量移植可能注入装置(variable flow implantable infusion apparatus)を開示する米国特許第4,447,224号;マルチ・チャンバ区画(multi−chamber compartment)を有する浸透圧薬物送達システムを開示する、米国特許第4,439,196号;ならびに浸透圧薬物送達システムを開示する米国特許第4,475,196号。多くのこのような移植物、送達系およびモジュールが当業者に公知である。
【0128】
特定の実施形態では、本発明の治療用糖タンパク質は、インビボにおいて適切な分布を確実にするように処方され得る。例えば、血液脳関門(BBB)は、多くの高親水性化合物を排除する。本発明の治療用化合物がBBB(所望の場合)を横切ることを確実にするために、それらは例えば、リポソーム中に処方され得る。リポソームを製造する方法については、例えば、米国特許第4,522,811号;同第5,374,548号;同第5,399,331号を参照のこと。リポソームは、選択的に特定の細胞または器官に輸送され、従って標的薬物送達を増強する1つ以上の部分を含んでもよい(例えば、V.V.Ranade J.Clin.Pharmacol.29:685(1989)を参照のこと。例示的な標的部分としては、葉酸塩またはビオチン(例えば、Lowの米国特許第5,416,016号を参照のこと);マンノシド(Umezawaら、Biochem.Biophys.Res.Commun.153:1038(1988));抗体(P.G.Bloemanら、FEBS Lett.357:140(1995);M.Owaisら、Antimicrob.Agents Chemother.39:180(1995));サーファクタントタンパク質Aレセプター(Briscoeら、Am.J.Physiol.1233:134(1995))、本発明の処方物を含み得る種々の種、および本発明の分子の成分;p120(Schreierら、Biol.Chem.269:9090(1994))が挙げられる;また、K.Keinanen;M.L.Laukkanen FEBS Lett.346:123(1994);J.J.Killion;I.J.Fidler Immunomethods 4:273(1994)も参照のこと。本発明の1実施形態では、本発明の治療化合物は、リポソーム中に処方され;より好ましい実施形態では、このリポソームは、標的部分を含む。最も好ましい実施形態では、リポソーム中の治療用化合物は、腫瘍または感染に対して近位である部位へのボーラス注射によって送達される。この組成物は、容易に注射可能になる程度まで液体でなければならない。これは、製造および貯蔵の条件下で安定でなければならず、そして細菌および真菌のような微生物の混入の作用に対して保存されなければならない。
【0129】
さらなる実施形態では、本発明の組み換え糖タンパク質は、胎盤を横切った輸送を妨げるかまたは減少するように処方され得る。これは、当該分野で公知の方法によって、例えば、抗体のPEG化(PEGylation)によって、またはF(ab)2’フラグメントの使用によって、おこなわれ得る。さらなる参照は、「Cunningham−Rundles C,Zhou Z,Griffith B,Keenan J.(1992)Biological activities of polyethylene−glycol immunoglobulin conjugates」、Resistance to enzymatic degradation.J Immunol Methods.152:177〜190に対して;そしてLandor M.(1995)Maternal−fetal transfer of immunoglobulins,Ann Allergy Asthema Immunol 74:279〜283に対して、なされ得る。これは、糖タンパク質が反復自然流産を処置または予防するために用いられる抗体である場合は特に関係する。
【0130】
関節リウマチの「治療有効用量(therapeutically effective dosage)」は好ましくは、患者においてACR20という改善の予備的定義(Preliminary Definition of Improvement)を、さらに好ましくはACR50というPreliminary Definition of Improvement、そしてさらにより好ましくは、ACR70というPreliminary Definition of Improvementを生じる。
【0131】
ACR20という改善の予備的定義は以下のように規定される:以下における20%以上の改善:圧痛のある関節カウント(Tender Joint Count)(TCJ)および腫れた関節カウント(Swollen Joint Count)(SWJ)、そして以下の5つの評価のうちの3つにおける20%以上の改善:患者疼痛評価(Patient Pain Assessment)(VAS)、患者の全体的な評価(Patient Global Assessment)(VAS)、医師の全体的な評価(Physician Global Assessment)(VAS)、患者の自己評価した障害(Patent Self−Assessed Disability)(HAQ)、急性期反応物(Acute Phase Reactant)(CRPまたはESR)。
【0132】
ACR50およびACR70は、同じ方法で、それぞれ50%以上および70%以上の改善があると規定される。さらに詳細については、Felsonら、American College of Rheumatology Preliminary Definition of Improvement in Rheumatoid Arthritis;Arthritis Rheumatism 38:727〜735(1995)を参照のこと。
【0133】
ある化合物がガンを阻害する能力は、ヒト腫瘍における有効性を予想する動物モデル系で評価され得る。あるいは、ある組成物のこの特性は、この化合物が阻害する能力を検査することによって評価され得、このようなインビトロにおける阻害は、当業者に公知のアッセイによる。治療化合物の治療上有効な量とは、腫瘍のサイズを減少するか、そうでなければ被験体における症状を改善し得る。当業者は、被験体のサイズ、被験体の症状の重篤度、および選択される特定の組成物または投与経路のような要因に基づいてこのような量を決定し得る。
【0134】
抗体が乾癬を処置または予防する能力はまた、当該分野で周知の方法に従って評価され得る。
【0135】
この組成物は、無菌であって、かつこの組成物がシリンジで送達可能である程度まで液体でなければならない。水に加えて、キャリアは、等張性緩衝化生理食塩水溶液、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの適切な混合物であってもよい。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングの使用によって、分散の場合には必要な粒子サイズの維持によって、そしてサーファクタントの使用によって維持され得る。多くの場合に、等張剤、例えば、糖、ポリアルコール、例えば、マンニトールまたはソルビトール、および塩化ナトリウムを組成物中に含むことが好ましい。注射用組成物の長期間の吸収は、吸収を遅らせる因子、例えば、モノステアリン酸アルミニウムまたはゼラチンを組成物中に含むことによって達成され得る。
【0136】
上記のように、活性化合物が適切に保護される場合、その化合物は、例えば、不活性希釈液または同化可能な食用キャリアとともに経口投与されてもよい。
【0137】
本発明の他の実施形態は、以下の実施例に記載されるが、この実施例はさらなる限定として解釈されるべきではない。本出願全体にわたって引用される、配列表、図面および全ての引用文献、特許および公開された特許出願の内容は、参照によって明らかに本明細書に援用される。
【実施例】
【0138】
下に考察される全ての実施例では、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を有するIL−15に結合する、完全ヒトモノクローナル抗体は、例示的な組み換え糖タンパク質(「例示的な組み換え糖タンパク質」として実施例に言及される)として用いられた。しかし、任意の組み換え糖タンパク質のマンノース含量が、本明細書に考察されるように調整され得るということは当業者に明らかである。
【0139】
実施例1:浸透圧重量モル濃度は組み換え糖タンパク質のマンノース含量に影響する
糖タンパク質のマンノース含量に対する浸透圧重量モル濃度の影響を検討するために、例示的な組み換え糖タンパク質のマンノース含量を、シェーカーフラスコおよびバイオリアクター培養の両方において浸透圧重量モル濃度を変化させて分析した。図1に実証されるように、高マンノース含量は、培地の浸透圧重量モル濃度が約500〜約580mOsmo/Kgと増大するにつれて、約14%〜約24%に増大した。
【0140】
さらなる実験では、20mMの浸透圧維持剤、ベタインを細胞培養物に添加して、浸透圧重量モル濃度と高マンノース含量との間の関係に関するさらなる証拠を提供する。以下の表は、このような実験の結果をまとめている。
【0141】
【表1】

高マンノース含量と浸透圧重量モル濃度との間の関係についてのさらなる証拠を図2に示す。細胞培養培地に対する約20mMのベタインの添加は、例示的な組み換え糖タンパク質の高マンノース含量を劇的に低下した。例えば、浸透圧重量モル濃度が約300mOsm/Kgであった場合、高マンノース含量は、約0mMのベタインでの約9.5%から20mMのベタインの添加の際の約4.5%まで低下した(すなわち、高マンノース含量において約5%の低下)。同様に、浸透圧重量モル濃度が約400mOsm/Kgであった場合、高マンノース含量は、約0mMのベタインでの約16.5%から20mMのベタインの添加の際の約7.5%まで低下した(すなわち、高マンノース含量において約9%の低下)。さらに、約500mOsm/Kgの浸透圧重量モル濃度では、高マンノース含量は、約0mMのベタインでの約25%から約20mMのベタインの添加の際の約9.5%まで低下した(すなわち、高マンノース含量において約15.5%の低下)。
【0142】
実施例2:培養物中のK+の濃度は、組み換え糖タンパク質のマンノース含量を調節するために制御され得る
さらなる実験では、細胞培養培地における1つ以上の塩の濃度を制御して、例示的な組み換え糖タンパク質のマンノース含量(例えば、高マンノース含量)を調節(例えば、減少)した。例示的な実験では、細胞培養培地におけるK+の濃度を制御して、マンノース含量、そして詳細には例示的な組み換え糖タンパク質の高マンノース含量に影響することが示された。詳細には、糖タンパク質を15mMまたは45mMのいずれかで発現する宿主細胞を培養することによって生成される、例示的な組み換え糖タンパク質の高マンノース含量(すなわち、M5種またはそれ以上)を検査した。
【0143】
図3および4に示されるとおり、高マンノース含量のパーセンテージは、浸透圧重量モル濃度において混入物の増大につれて約3%〜約13%に増大した。約370〜約500mOsm/Kgの間の浸透圧重量モル濃度によって、糖タンパク質組成物の10%を超える高マンノース含量の増大がもたらされた。
【0144】
さらなる実験では、図5に示されるように、細胞培養培地におけるK+濃度についての最適濃度は、組み換え糖タンパク質の高マンノース含量の割合を10%未満に維持するために約0mM〜約70mMであるということが実証された。
【0145】
実施例3:細胞培養培地におけるNa+の濃度は、組み換え糖タンパク質のマンノース含量を調節するために制御され得る
さらなる実験では、Na+の濃度は、例示的な組み換え糖タンパク質の高マンノース含量を調節する(例えば、減少する)ように制御した。例示的な実験では、細胞培養培地におけるNa+濃度の増大は、例示的な組み換え糖タンパク質の高マンノース含量の割合の増大に寄与することが示された。
【0146】
図6は、高マンノース含量の割合を10%未満に維持するためには、Na+の最適濃度範囲が約0mM〜約200mMであることを示す。
【0147】
実施例4:アミノ酸は、組み換え糖タンパク質の高マンノース含量に寄与する
別の実験では、細胞培養培地に存在するアミノ酸の影響を、例示的な組み換え糖タンパク質の高マンノース含量に対して検査した。図7に示されるように、組み換え糖タンパク質の高マンノース含量の割合は、供給培地における20アミノ酸の濃度を倍にすることによって約4%から約10%に増大する。この実験によって、アミノ酸の富化された培地は、このような培地で培養される宿主細胞によって発現される高マンノース糖タンパク質の含量の増大を生じることが実証された。
【0148】
実施例5:供給培地組成物の全体的な組成は、組み換え糖タンパク質の高マンノース含量に寄与し得る
この実験では、種々のタイプの供給培地の影響を、例示的な組み換え糖タンパク質の高マンノース含量に対して検査した。詳細には、アミノ酸、Lアラニン、LアルギニンHCL、Lアスパラギン酸およびLグルタミン酸を実質的に含まず、かつ未改変の培地に対して低濃度のCaCl、MgCl、KClおよびピルビン酸ナトリウムを有する改変供給培地の効果を、例示的な組み換え糖タンパク質の高マンノース含量に対して検討した。図8に示されるとおり、高マンノース含量は、改変された供給培地が用いられる場合、約4%であって、そしてこの割合は、この未改変の供給培地が用いられる場合、約13%まで増大した。
【0149】
実施例6:高マンノース含量に対する温度の影響
高マンノース含量に対する4つの異なる温度の影響を、2つの異なる供給培地を用いて検査した。表IIの下のデータは、高マンノース含量の割合が温度の増大につれて増大したということを示す。
【0150】
【表2】

本明細書は、参照によって本明細書に援用される、本明細書内に援用される引用文献の教示を参照してほとんど完全に理解される。本明細書内の実施形態は、本開示における実施形態の例示を提供しており、その範囲を限定すると解釈されるべきではない。当業者は、多くの他の実施形態が本開示に包含されることを容易に認識する。引用される全ての刊行物および特許、ならびに本開示におけるアクセッション番号またはデータベース引用番号によって特定される配列は、その全体が参照によって援用される。参照によって援用される材料が本明細書と矛盾するかまたは一致しない程度までは、本明細書は、任意のこのような材料に優先する。本明細書における任意の引用文献の引用は、このような引用文献が本開示に対する先行技術であると承認するものではない。
【0151】
他に示さない限り、特許請求の範囲を含む本明細書に用いられる成分、細胞培養物、処理条件などの量を表す全ての数は、全ての場合に「約(about)」という用語によって修飾されていると理解されるべきである。従って、逆に示さない限り、数的なパラメーターは、近似であって、本発明によって得られると考えられる所望の特性に依存して変化してもよい。他に示さない限り、一連の要素に先行する「少なくとも(at least)」という用語は、その一連におけるあらゆる要素を指すと理解されるべきである。当業者は、単なる慣用的な実験を用いて、本明細書に記載される本発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を認識するか、または確定することができる。このような等価物は、添付の特許請求の範囲によって包含されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】図1は、シェーカーのコントロール(50mL)およびバイオリアクター(150Lおよび500L)において、抗体を発現する細胞を培養することによって産生されたIL−15に結合する完全ヒトモノクローナル抗体の浸透圧重量モル濃度と高マンノース含量との間の相関を示すグラフである。
【図2】図2は、浸透圧維持剤、ベタインの添加と、IL−15に結合する完全ヒトモノクローナル抗体の高マンノース含量との間の相関を示すグラフである。
【図3】図3は、培養培地の浸透圧重量モル濃度と、K+濃度との間の相関を示すグラフである。
【図4】図4は、15mMまたは45mMのいずれかのKClを含有する培地中で細胞を培養することによる、IL−15に結合する完全ヒトモノクローナル抗体の高マンノース含量と浸透圧重量モル濃度との間の相関を示すグラフである。
【図5】図5は、K+濃度と高マンノース含量との間の相関のグラフ表示であって、これは、高マンノース含量を10%より低く維持するためのK+の最適濃度が約0〜約70mMであるということを示している。
【図6】図6は、Na+濃度と高マンノース含量との間の相関を示すグラフであって、これは、高マンノース含量を10%より低く維持するためのNa+の最適濃度が約0mM〜約200mMであるということを示している。
【図7】図7は、アミノ酸濃度と高マンノース含量との間の相関を示すグラフである。
【図8】図8は、用いられる供給培地のタイプと高マンノース含量との間の相関を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低マンノース含量を有する組み換え糖タンパク質の組成物を生成する方法であって、約600mOsm/Kg以下の浸透圧重量モル濃度を有する培養培地中において、該組み換え糖タンパク質を発現する宿主細胞を培養する工程を包含する、方法。
【請求項2】
低マンノース含量を有する、組み換え抗体、またはその抗原結合フラグメントの組成物を生成する方法であって、約600mOsm/Kg以下の浸透圧重量モル濃度を有する培養培地中において、該組み換え抗体、またはその抗原結合フラグメントを発現する宿主細胞を培養する工程を包含する、方法。
【請求項3】
IL−15に結合する、組み換えヒトモノクローナル抗体、またはその抗原結合フラグメントの組成物を生成する方法であって、約600mOsm/Kg以下の浸透圧重量モル濃度を有する培養培地中において、該抗体、またはその抗原結合フラグメントを発現する宿主細胞を培養する工程を包含し、該抗体またはその抗原結合フラグメントが、配列番号4に示されるアミノ酸配列またはその保存的アミノ酸置換を含む軽鎖可変領域と、配列番号2に示されるアミノ酸配列またはその保存的アミノ酸置換を含む重鎖可変領域とを含む、方法。
【請求項4】
前記培養培地の浸透圧重量モル濃度が約250mOsm/Kgと約600mOsm/Kgとの間である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記培養培地の浸透圧重量モル濃度が約250mOsm/Kgと約500mOsm/Kgとの間である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記培養培地の浸透圧重量モル濃度が約250mOsm/Kgと約380mOsm/Kgとの間である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記培養培地が、約70mM以下の濃度のカリウム、約200mM以下の濃度のナトリウム、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される塩を含む、請求項1〜3に記載の方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、前記培養培地が、
(a)約10mM〜約50mMの濃度のカリウム;
(b)約50mM〜約100mMの濃度のナトリウム;ならびに
(c)(a)および(b)の組み合わせ
からなる群より選択される塩を含む、方法。
【請求項9】
前記培養培地が、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸およびグルタミン酸からなる群より選択される1つ以上のアミノ酸を実質的に含まない、請求項1〜3に記載の方法。
【請求項10】
前記培養培地が、ビオチン、D−カルシウムパントテン酸塩、塩化コリン、葉酸、i−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサールHCl、ピリドキシンHCl、リボフラビン、チアミンHClおよびシアノコバラミンからなる群より選択される1つ以上のビタミンを、約0.00005g/L〜約0.9g/Lの濃度で含む、請求項1〜3に記載の方法。
【請求項11】
前記培養培地が、グルコースを約1mM〜約90mMの濃度で含む、請求項1〜3に記載の方法。
【請求項12】
前記培養培地が、酵母抽出物、酵母加水分解物、ダイズペプトン、ダイズ加水分解物、コムギペプトンおよびコムギ加水分解物からなる群より選択される1つ以上のペプトンを、約0.5g/L〜約60g/Lの濃度で含む、請求項1〜3に記載の方法。
【請求項13】
前記培養培地が、約600mOsm/Kg以下の浸透圧重量モル濃度を維持するために必要な量で少なくとも1つの浸透圧維持剤を含む、請求項1〜3に記載の方法。
【請求項14】
前記浸透圧維持剤が、ベタイン、グリシン、L−トレオニン、L−プロリンおよびその誘導体からなる群より選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記浸透圧維持剤が、約1mM〜約100mMの濃度のベタインである、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記ベタインが、約20mM〜約30mMの濃度で存在する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記宿主細胞が、約5〜約14日間培養される、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記宿主細胞が、約31℃〜約38℃の温度で培養される、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記宿主細胞が哺乳動物細胞である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記哺乳動物宿主細胞がCHO細胞である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
請求項1に記載の方法によって生成される組み換え糖タンパク質の組成物。
【請求項22】
請求項2の方法によって生成される組み換え抗体またはその抗原結合フラグメントの組成物。
【請求項23】
請求項3に記載の方法によって生成される、IL−15に結合する、ヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントの組成物。
【請求項24】
低マンノース含量を有する、単離された抗体またはその抗原結合フラグメントを含む、組成物。
【請求項25】
低マンノース含量を有する、IL−15に結合する単離されたヒトモノクローナル抗体、またはその抗原結合フラグメントを含む、組成物。
【請求項26】
低マンノース含量を有する、ヒトモノクローナル抗体の組成物であって、該抗体が、配列番号4に示されるアミノ酸配列、またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一性のアミノ酸配列、またはその保存的アミノ酸置換を含む軽鎖可変領域と、配列番号2に示されるアミノ酸配列、またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一性のアミノ酸配列、またはその保存的アミノ酸置換を含む重鎖可変領域とを含む、ヒトモノクローナル抗体の組成物。
【請求項27】
低マンノース含量を有する、ヒトモノクローナル抗体の組成物であって、該抗体が、配列番号8〜10に示されるアミノ酸配列、またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一性のアミノ酸配列、またはその保存的アミノ酸置換を含む1つ以上のCDRを含む軽鎖可変領域と、配列番号5〜7に示されるアミノ酸配列、またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一性のアミノ酸配列、またはその保存的アミノ酸置換を含む1つ以上のCDRを含む重鎖可変領域とを含む、ヒトモノクローナル抗体の組成物。
【請求項28】
薬学的に受容可能なキャリアをさらに含む、請求項25に記載の組成物。
【請求項29】
ヒトIL−15の過剰発現に関連するか、および/またはヒトIL−15誘発性作用の下方制御もしくは阻害が有益である、障害を処置または予防する方法であって、請求項3に記載の方法によって生成される単離された抗体を被験体に投与する工程を包含する、方法。
【請求項30】
前記障害が、脈管炎、乾癬、多発性硬化症、関節リウマチ、炎症性腸疾患、同種移植拒絶、対宿主性移植片病、T細胞リンパ腫、およびT細胞白血病からなる群より選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記障害が、炎症性腸疾患である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記炎症性腸疾患がクローン病またはセリアック病である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記障害が、関節炎、結合組織病、眼科的障害、神経学的障害、胃腸および肝臓の障害、アレルギー障害、血液学的障害、皮膚障害、肺障害、悪性疾患、移植由来障害、内分泌学的障害、血管障害、婦人科的障害および感染性疾患からなる群より選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記組成物中の前記抗体の約10%以下がM5またはそれ以上を含む、請求項26または27に記載の組成物。
【請求項35】
前記組成物中の前記抗体の約5%以下がM5またはそれ以上を含む、請求項26または27に記載の組成物。
【請求項36】
前記組成物中の前記抗体の約4%がM5またはそれ以上を含む、請求項26または27に記載の組成物。
【請求項37】
サンプル中の糖タンパク質の高マンノース含量を検出、および/または定量する方法であって、該方法は、該サンプルをエンドグリコシダーゼ消化に供する工程、続いて該消化された糖タンパク質を電気泳動によって分離する工程を包含する、方法。
【請求項38】
前記エンドグリコシダーゼは、エンドグリコシダーゼHを含み、かつ前記消化が37℃で約2時間行われる、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記電気泳動が、変性キャピラリー電気泳動を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記分離工程の前に、前記消化されたサンプルが還元剤を用いて還元される、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記還元剤が、βメルカプトエタノールを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記糖タンパク質が、ハイブリドーマまたは真核生物宿主細胞から産生される抗体を含む、請求項37に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−523450(P2009−523450A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551482(P2008−551482)
【出願日】平成19年1月23日(2007.1.23)
【国際出願番号】PCT/US2007/002007
【国際公開番号】WO2007/087384
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(500203709)アムジェン インコーポレイテッド (76)
【Fターム(参考)】