説明

組合せ整列システム

【課題】棒状物の整列状態を向上させることにより、容器への充填効率を高め得る整列装置および方法を提供する。
【解決手段】整列装置200は、上筒部11およびその下方のシャッタ2により形成された上整列室10と、上整列室10内に収容された棒状物Mと共に上筒部11全体を揺動させることで、棒状物Mに対し水平方向Hの成分を含む方向に揺動を与える揺動手段40とを備え、シャッタ2の上面において上方に向って突出しシャッタ2の進退方向に延びシャッタ2上に組合せ計量装置からの棒状物Mが落下する際に、棒状物Mの下端部が係合して棒状物Mが倒れるのを防止する上仕切部2dが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は組合せ整列システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、棒状のスナック菓子などの食品においては、多数の棒状物を筒状の容器に縦姿勢で充填したものが販売されている。棒状物は整列状態により、充填効率が著しく異なるので、棒状物を整列させることは重要である。すなわち、整列状態を向上させることで、小さな容器に多くの棒状物を充填することができるようになる。
そこで、棒状物を整列させる整列装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−213409(図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図6に示すように、前記特許文献1の整列装置は、整列室100を水平方向の成分を含む方向に繰り返し振動させて棒状物Mを横方向に揺り動かした後、シャッタ101を開いて、前記棒状物Mを下方に向って落下させている。
【0005】
しかし、柔らかい棒状物M等は、繰り返し揺動されると該棒状物Mが互いに交錯し、一部の棒状物Mが上方に突出したまま整列できない場合がある。また、揺動を繰り返すうちに、棒状物Mの先端が曲がり整列できなくなるおそれがある。
一方、前記整列室100内を縦方向Zに分割する仕切102を設け、棒状物Mを整列した状態で整列室100に落下させることが提案されている。しかし、前記仕切102の上端部に棒状物が当たることで、前記仕切102の上方に棒状物Mが詰まるなどの不具合が発生する。
【0006】
したがって、本発明の目的は、棒状物の整列状態を向上させることにより、容器への充填効率を高め得る整列装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の組合せ整列システムは、複数のホッパに供給された棒状物の重量を組み合わせてホッパの最適組合せを求め、得られた最適組合せのホッパから前記棒状物を落下排出させる組合せ計量装置と、前記落下排出された棒状物を縦姿勢で整列させるための整列装置とを備えた組合せ整列システムであって、前記整列装置は、上筒部およびその下方のシャッタにより形成された上整列室と、前記上整列室内に収容された棒状物と共に前記上筒部全体を揺動させることで、前記棒状物に対し水平方向の成分を含む方向に揺動を与える揺動手段とを備え、前記シャッタの上面において上方に向って突出し前記シャッタの進退方向に延び前記シャッタ上に前記組合せ計量装置からの棒状物が落下する際に、前記棒状物の下端部が係合して棒状物が倒れるのを防止する上仕切部が設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、棒状物が上整列室に落下する際には棒状物の下端が仕切部に係合するから、上整列室内において棒状物が倒れにくくなる。また、整列室内を縦方向に分割する縦の仕切が無いので、前記縦の仕切の上端部において棒状物が詰まるなどの不具合が発生しない。したがって、棒状物の整列状態が向上することにより容器への充填効率が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は本発明の組合せ整列システムの一部を構成する組合せ計量装置を示す概念図である。
【図2】図2(a)は同組合せ整列システムの一部を構成する整列装置を示す概略正面図、図2(b)は同整列装置を示す概略側面図である。
【図3】図3は同整列装置を示す概略正面図である。
【図4】図4は整列装置の動作を示す概略正面図および概略側面図である。
【図5】図5は整列装置の動作を示す概略正面図および概略側面図である。
【図6】図6は従来の整列装置を示す概略斜視図である。
【図7】図7は組合せ計量装置の他の運転方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明において、前記上筒部には前記シャッタが前記上筒部の下端に沿って進退する際に前記上仕切部が通るスリットが形成されているのが好ましい。
前記細いスリットを形成することにより、スリットから棒状物の破片が落ちにくくなるので、装置を清潔な状態に保つことができる。
【0011】
本発明において、前記上整列室の下に近接ないし連接して配置され、下筒部および受け部により形成された下整列室を更に備え、前記下筒部が受け部に対し水平方向に相対移動可能であるのが好ましい。
かかる態様によれば、下整列室による更なる整列効果が期待できる。
【0012】
本発明において、前記シャッタの下面において下方に向って突出し前記シャッタの進退方向に延び、前記下整列室において整列状態の棒状物よりも上方に突出した棒状物の上端を蹴ることが可能な下仕切部が更に設けられているのが好ましい。
かかる態様によれば、シャッタが進退する際に下仕切部によって下整列室において上方に突出した棒状物が押し込まれるので、下整列室における棒状物の重なりを抑制することができる。
【0013】
本発明において、前記下整列室の下筒部は複数個設けられ、かつ、前記複数の下筒部が前記上筒部の下方の第1の位置と前記第1の位置の横の第2の位置とを交互に移動可能で、前記第2の位置において前記下整列室内の棒状物が下方に落下されてもよい。
かかる態様によれば、1つの下筒部が水平に移動して第2の位置において棒状物を落下させると共に、第1の位置に移動した別の下筒部に当該移動後に直ちに棒状物を落下させることができる。
【実施例1】
【0014】
以下、本発明の一実施例を図面にしたがって説明する。
全体構成:
本組合せ整列システムは、図1に示す組合せ計量装置400と、図2(a)および図3に示す整列装置200とを備えている。前記整列装置200は、図1に示す組合せ計量装置400の下方に設けられている。
【0015】
組合せ計量装置400は、たとえば、棒状のスナック菓子のような食品からなる棒状物Mを組み合わせて排出するものである。
【0016】
図2(a)に示す整列装置200は、組合せ計量装置400から排出された棒状物Mを縦方向Zに沿った縦姿勢で整列させた後、排出口14から下方に排出するものである。整列装置200から排出された棒状物Mは、たとえば、図示しないテーパ円筒状の容器(包材)内に充填され、次の工程に移送される。
【0017】
組合せ計量装置400:
前記組合せ計量装置400の一般的な機構および動作について簡単に説明する。
図1に示すように、搬送コンベヤ300は、被計量物である棒状物Mを組合せ計量装置400の分散フィーダ401の中央へ落下させる。
【0018】
前記分散フィーダ401および各供給トラフ3iは、それぞれ図示しない加振装置の駆動により振動することで、分散フィーダ401上の棒状物Mを、各供給トラフ3iの下流に設けられた多数のプールホッパ本体4iに供給する。これら各プールホッパ本体4iには、ゲート5iが設けられ、前記各供給トラフ3iから供給されて受け取った棒状物Mを一時的に収容して貯留する。前記各プールホッパ本体4iの下流には計量ホッパ本体6iが設けられている。これら各計量ホッパ本体6iには、前記プールホッパ本体4iから棒状物Mが投入される。投入された棒状物Mの重量は重量検出器7iで検出される。計量ホッパ本体6iの下方にはゲート8iが設けられている。ゲート8iの下方には大きな集合排出シュート9が設けられており、前記各重量検出器7iで検出された棒状物Mの重量を組み合わせることで、棒状物Mを一まとめにして目標値もしくは目標値に近い値とし、図2(a)に示す整列装置200に棒状物Mを落下させる。
【0019】
整列装置200:
前記整列装置200は、図4および図5に示すように、組合せ計量装置400(図3)から排出された棒状物Mを縦方向Zに整列させるものであり、棒状物Mを貯留して整列させるための上整列室10および一対の下整列室20を備えている。
【0020】
上整列室10:
図2(b)に示すように、前記上整列室10は、上筒部11と該上筒部11の下方に設けられたシャッタ2により構成されている。
前記シャッタ2は図4(b)に示す閉状態と、図4(c)に示す開状態とに進退自在に設けられている。図4(b)に示すように、前記シャッタ2は閉状態において、上筒部11の下端部を閉塞し、棒状物Mを上整列室10内に貯留する。一方、図4(c)に示すように、前記シャッタ2は、上筒部11の下端に沿って開方向に移動することで、上筒部11内に貯留された棒状物Mを下整列室20内に落下させる。
【0021】
上仕切部2u:
図4(b)および図4(c)に示すように、前記シャッタ2の上面には、上方に向って突出し該シャッタ2の進退方向に延びる上仕切部2uが形成されている。図4(a)および図4(b)に示すように、前記上仕切部2uは、前記シャッタ2上に組合せ計量装置400(図1)からの棒状物Mが落下する際に、棒状物Mの下端部が係合して棒状物Mが倒れるのを防止するものである。
なお、図2(b)に示す上筒部11の下端部には、前記シャッタ2が上筒部11の下端に沿って進退する際に前記上仕切部2uが通るスリットS1が形成されている。
【0022】
揺動手段40:
図4(b)および図4(c)に示すように、前記上整列室10には、揺動手段40が設けられている。前記揺動手段40は、上筒部11全体を揺動(振動)させることで、棒状物Mに対して水平方向Hの成分を含む方向に棒状物Mを揺動させて縦方向Zに整列させるものである。
揺動手段40は、上筒部11の外周面に固定された振動板41を備えており、モータ42によって振動板41を水平に振動させることにより、上整列室10を水平方向Hに揺動させる。揺動手段40としては、たとえば、特開2001−213409に記載の揺動装置を採用することができる。
【0023】
下整列室20:
図2(a)に示す下整列室20は、一対の下筒部21A,21Bと、該下筒部21A,21Bの下方に設けられた固定底15および該固定底15の両端に設けられた一対の受け部12,12により構成されている。後述するように、一対の下筒部21A,21Bが水平に移動することで、いずれか一方の下整列室20が、前記上整列室10の真下に近接して配置される。
【0024】
下仕切部2d:
前記シャッタ2の下面には、図5(b)および図5(c)に示すように、下方に向って突出し、該シャッタ2の進退方向に延びる下仕切部2dが形成されている。前記下仕切部2dは、下整列室20において整列状態の棒状物Mよりも上方に突出した棒状物Mの上端を蹴ることが可能な程度に下方向に突出して設けられている。
なお、図2(b)に示すように、下筒部21A,21Bの上端部には、前記シャッタ2が該下筒部21A,21Bの上端に沿って進退する際に前記下仕切部2dが通るスリットS2がそれぞれ形成されている。
したがって、図4(b)および図5(c)に示すように、シャッタ2には、その上方と下方とに、それぞれ、上仕切部2uおよび下仕切部2dが形成されている。
【0025】
受け部12:
図2(a)に示す前記受け部12は、第2のシャッタの機能を有しており、図5(b)に示す閉状態と、図5(c)の矢印で示す開方向に移動する開状態に進退可能に設定されている。前記受け部12は閉状態において、下筒部21A,21Bの下端部を閉塞し、棒状物Mを下整列室20内に貯留する。一方、受け部12が、前記開状態に移動されると、下整列室20内に貯留された棒状物Mが、整列された状態で図3に示すシュート13を通り排出口14から排出される。
【0026】
下整列室20:
図2(a)に示すように、前記下筒部21A,21Bは略水平方向Hに並列に2組設けられている。図2(a)および図3に示すように、前記下整列室20の下筒部21A,21Bは、上筒部11の真下の第1の位置P1と、前記第1の位置P1の横の第2の位置P2とを交互に移動することが可能に設定されている。
前記下整列室20は、前記第1の位置P1において、その下端部が固定底15によって閉塞される。一方、下整列室20は前記第2の位置P2において、その下端部が受け部12上に位置する。
【0027】
棒状物Mの整列方法:
図1に示す組合せ計量装置400は、棒状物Mの重量を組み合わせることで、棒状物Mを一まとめにして目標値もしくは目標値に近い値とし、集合排出シュート9から図2(a)に示す整列装置200の上整列室10内に棒状物Mを落下させる。この際、図4(a)および図4(b)に示すように、前記シャッタ2は、閉状態に設定されている。
【0028】
前記集合排出シュート9から排出された棒状物Mは、上整列室10内に落下投入される。
前記棒状物Mは上整列室10内に落下すると、該棒状物Mの下端がシャッタ2の上仕切部2uに係合し、上整列室10内において棒状物Mが倒れにくくなる。前記棒状物Mは上整列室10内に落下した後、所定のタイミングで揺動手段40により上整列室10が水平方向Hに繰り返し揺動(振動)されることにより該棒状物Mの姿勢が縦姿勢に近づく。
【0029】
その後、図4(c)に示すように、シャッタ2が開かれることにより、図5(a)および図5(b)に示すように、棒状物Mは第1の位置P1の下整列室20内に落下する。なお、下整列室20の下端部は固定底15によって閉塞されている。
この落下後、図5(c)に示すように、シャッタ2が閉方向に移動されることにより、下整列室20内において上下の2段となった棒状物Mは、該シャッタ2の下仕切部2dによって下整列室20内に押し込まれ、下整列室20における重なりが抑制される。
【0030】
その後、図2(a)に示す一方の第1下筒部21Aからなる下整列室20が、第1の位置P1から固定底15および閉状態の受け部12上を図3に示す第2の位置P2に移動される。この移動により、上整列室10の真下には他方の第2下筒部21Bからなる下整列室20が第1の位置P1に移動される。
前記移動後、第1下筒部21Aからなる下整列室20内の棒状物Mは、受け部12が開くことにより、シュート13を通り、排出口14から排出される。
前記排出後、受け部12が閉じられる。
【0031】
一方、図4(a)〜図4(c)に示すように、上整列室10内に次の棒状物Mが導入された後、次の新たな棒状物Mが図5(a)および図5(b)に示すように、他方の第2下筒部21B内に導入される。
その後、前記第2下筒部21Bからなる下整列室20が、図3に示す第1の位置P1から、図2(a)に示す第2の位置P2に移動され、上整列室10の下部には、前記第1下筒部21Aからなる下整列室20が第1の位置P1に位置される。
前記移動後、第2下筒部21Bからなる下整列室20内の棒状物Mは、受け部12が開くことにより、シュート13を通り、排出口14から排出される。
前記排出後、受け部12が閉じられる。
【0032】
このように、前記下整列室20の下筒部21A,21Bが、一対設けられ、かつ、前記複数の下筒部21A,21Bが上筒部11の下方の第1の位置P1と、前記第1の位置P1の横の第2の位置P2とを互いに連動されて交互に移動される。そのため、一方の下筒部21A(21B)が水平方向Hに移動して第2の位置P2において棒状物Mを落下させた後、第1の位置P1に移動した他方の下筒部21B(21A)に直ちに棒状物Mを落下させることができる。
【0033】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施形態を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、下整列室は1個であってもよいし、3個以上であってもよい。
また、図5(b)および図5(c)に示すように、シャッタ2が閉方向に移動する際に、下筒部21A,21Bが揺動(振動)されてもよい。
【0034】
なお、組合せ計量装置400や整列装置200などの機器に、以下に述べるような機能を付加してもよい。
図1に示す組合せ計量装置400では、計量ホッパ本体6iに棒状物Mの供給量が不足していると判断された場合、各プールホッパ本体4iへの該棒状物Mの供給量を適正な値になるまで増加させている。前記棒状物Mの供給量を増加させるには、棒状物Mの分散重量や、振幅強度、振幅時間、供給トラフ3iの振幅強度や時間等を過去の計算結果に基づいて制御している。
【0035】
ところで、分散フィーダ401から供給トラフ3i上に供給された棒状物Mが、その棒状物Mの形状や分散フィーダ401の形状などの影響によってブリッジ(たとえば、きれいに棒状物Mが積み重なった場合など)を生じる場合がある。かかるブリッジが生じた場合には、供給不良と判断し、それまで良好な稼働率を保っていた棒状物Mの分散重量、分散フィーダ401および供給トラフ3iの振幅強度・時間を適正な値に変化させる制御がなされる。
しかし、前記制御がなされることにより、各計量ホッパ本体6iへの被計量物Mの供給バランスが崩れてしまうおそれが生じる。
また、制御によっては、棒状物Mの分散重量の変化が無い為、分散フィーダ401からの追加供給が行われなかった時、供給トラフ3i上の棒状物Mも全てプールホッパ本体4iに投入されてしまった以降は、軽量(いわゆる空打ち)状態となり、稼働率が下がってしまう。
【0036】
そこで、本組合せ計量装置400は、各プールホッパ本体4iの供給量の変化と、プールホッパ本体4iの重量変化の有無との関係から、一定条件に達した場合には、一時的に(たとえば、数サイクルの間に)振幅強度を上げて、再び以前の状態に戻すように設定している。かかる制御により、棒状物Mのブリッジ状態を回避させることができる。
【0037】
かかる制御について図7のフローチャートを用いて説明する。
組合せ計量装置400の運転が開始されると、ステップS1において、各供給トラフ3iへの棒状物Mの投入量が減少し、棒状物Mの供給不足状態(全く投入されない状態)が数サイクル続き、かつ、分散重量が殆ど変化がない状態の場合、ステップS2に進む。ステップS2では、分散フィーダ401上には棒状物Mがあるが、ブリッジしている為に通常の振幅ではこの状態が崩されず、供給トラフ3iへの供給が出来ていない状態であると判断され、ステップS3に進む。ステップS3では、分散フィーダ401の振幅を数サイクルの間だけ上げ、その後、元の振幅に戻す。
これにより、ブリッジ状態が崩され、再び分散フィーダ401から供給トラフ3iに棒状物Mの供給が開始される。
【0038】
一方、ステップS1において分散重量に変化がないと判断された場合には、ステップS4に進む。ステップS4では、通常稼働状態を保持すると判断され、従来の制御であるステップS5に進む。ステップS5では、分散フィーダ401のAFD制御(自動制御)が継続される。
【0039】
したがって、従来の制御では、供給トラフ3iや分散フィーダ401の振幅強度・時間および分散重量が変化した場合、元の最適値に戻るまでに数サイクルを要する。これに対し本制御によれば、棒状物Mのブリッジが解消されると、直ちに、棒状物Mがブリッジする前の値に戻されるので、逸早く稼働率を安定した状態に戻すことができる。これにより、棒状物Mの軽量やオーバースケールなどの不良数を減少させることができる。
【0040】
ところで、図1に示す前記組合せ計量装置400では、供給された被計量物Mを分散さけて各プールホッパ本体4iに供給することを目的として供給トラフ(分散フィーダ)3iが配置されている。これら各々の供給トラフ3iによる被計量物Mの送り量(フィーダ送力)は記憶装置に記憶される。組合せ計量装置400が稼働されると、該組合せ計量装置400の稼働状態に合わせてオペレータの手動または自動で、前記フィーダ送力がその都度調整され、前記記憶装置に逐次、更新記憶される。
【0041】
スナック菓子等の被計量物Mを計量するために、組合せ計量装置400を稼働させる場合には、稼働時間が経過するに伴い、供給トラフ3iの搬送面に前記被計量物Mに含まれる油分やフレーバ(添加物など)、商品自体の粉が付着してフィーダ搬送量の低下が生じる。
そのため、前記フィーダ搬送量の低下量を補うために、オペレータの手動あるいは自動制御によってフィーダ送力を高める必要が生じる。特に、長時間の連続稼働においては初期運転状態と比較し大きくフィーダ送力の設定値を変更する必要がある。
【0042】
一方、前記被計量物Mの品質維持や、被計量物Mの種類を変更した場合の混在防止を目的として、生産工程では、フィーダ搬送面への前記付着物の除去(清掃)が行われる。この清掃作業の結果、フィーダ搬送量は初期の状態に復帰する。
しかし、前述したように、長時間の稼働によって大きな値となったフィーダ送力の設定値が記憶部に記憶されたままになる。そのため、次回稼働開始時には、記憶部から読み出された前回の設定値に基づき、要求される被計量物Mの搬送量よりも遙に多い搬送量で組合せ計量装置400が稼働することになり、その結果、不良率が増加して稼働率の低下を招く。
【0043】
そこで、フィーダ送力の記憶領域を同一予約に対して複数個設ける。具体的には、前記記憶領域に、「初期稼働時」、「安定稼働(初期)」および「安定稼働(後期)」等、時系列順に記憶させ、稼働回数によって記憶する領域を自動、またはオペレータの手動で変更できるように設定する。これらの記憶内容は、予約変更時あるいは稼働時に自由に選択または変更できることを可能とし、また、随時、記憶させることができるように設定する。
【0044】
このように、記憶領域を設定することにより、同一予約において、運転初期、中期および後期のそれぞれに対して、適切なフィーダ送力の設定値を記憶することができるので、稼働時間の経過に対するフィーダ送力の設定値を時系列的に最適化して記憶させることが可能となる。したがって、組合せ計量装置400の稼働開始から生産終了まで安定した稼働を実現することができ、生産性の向上を図り得る。
【0045】
ところで、前記組合せ計量装置400においては、供給された被計量物Mを分散させ、各プールホッパ本体4iに供給する目的として、供給トラフ(分散フィーダ)3iが配置されている。従来より、これら各々の供給トラフ3iのフィーダ送力を自動で調整し、稼働状況に応じて最適な値とする装置が提案されている(特開2004−177375、特開2005−55187および特開2005−249457参照)。
【0046】
ここで、従来より、組合せ計量装置400には、従来より、供給トラフ3iの送力の制御範囲を制限する為に定めた上下限値が記憶されている。前記上下限値は、以下に示すフィーダ送力制御が発散してしまうといった不都合を防止する為に設けられている。
すなわち、たとえば、前工程からの商品の供給が一部の供給トラフ3iに対して途絶えた状態である場合には、プールホッパへの供給量を増大させる為に供給トラフ3iのフィーダ送力を増大し続けるように制御される。
一方、被計量物Mの供給量が多すぎて供給トラフ3iを停止させても被計量物Mが供給されてしまう状態である場合には、フィーダ送力を減少し続けるように制御される。
そのため、前記上下限値は、フィーダ送力の設定値が大きくなりすぎないように、あるいは小さくなりすぎないように、その上下限を規制する値に設定されている。
【0047】
しかし、前記上下限値の設定は手動で行われており、オペレータの経験や勘に頼り、適正な値を設定するためには試行錯誤を繰り返す必要がある。そのため、適切な上下限値を設定するのが難しく、その結果、フィーダ送力が不適切な値にまで上昇または下降し、安定稼働出来ない状態となる不都合が生じることがあった。
【0048】
そこで、運転中(フィーダ送力制御中)のフィーダ送力(RF強度)を参照し、操作量の中央値(平均値に近似した値)に対して、割合(%)で定義された上下限値を求め、その間で制御を行う。平均値でなく中央値を採用するのは、平均値であれば、発散を開始したRF強度が全体の平均値を引き上げる(または、引き下げる)ことから、発散の抑制としては十分でないので、中央値算出方法については、全RF強度からの中央値抽出で行う。
【0049】
このように、設定することにより、オペレータに頼ることなく、自律的に上下限値を持つ事ができるから、発散を抑制し、安定稼働が可能となる。その結果、稼働開始から生産終了まで安定した稼働を実現できることにより、生産性の向上を実現できる。
【0050】
ところで、従来より組合せ計量装置400や整列装置200等のアクセスレベルを制限する方法としては、パスワードや、IDカード、キー(ダラスキー)などが用いられている。一方、一般に、機械産業では運転開始や停止等の操作にはハードスイッチが用いられることが多い。
しかし、運転者を特定してアクセスを制限する方法と、運転開始や停止などの方法が異なる操作であるので合理的でない。
【0051】
そこで、たとえば、操作者情報、駆動内容および画面ショートカット情報等を予め記憶させたスティック状のUSBメモリ等からなる記憶部を有するキーを用意し、以下のように機器を操作する。
前記USBメモリには、前記記憶内容と共に、操作レベルや駆動内容を記憶させる。前記USBメモリに前記記憶内容を記憶させるには、パーソナルコンピュータや組合せ計量装置400や整列装置200等の操作パネル等から行う。
前記USBメモリを組合せ計量装置400や整列装置200に形成された鍵穴状のUSBソケットに差し込み、該USBメモリを回す。前記USBメモリを回すことで、該USBメモリに記憶された情報に応じた機能による駆動が可能となる。
【0052】
なお、前記USBメモリ(キー)を抜いても機器はその機能を有するように設定してもよい。その場合、前記キーを抜いた時点で操作レベルは最下位となり、停止キーのみを有効とするようにしてもよい。また、安全確保のために、停止するためのキーだけは別途用意しておいてもよい。
【0053】
たとえば、前記USBメモリ(キー)に記憶された駆動内容を「運転」に設定しておくと、そのキーが運転のスタート・ストップキーとなり、操作者のレベルに応じた運転ができるように設定される。
また、USBメモリに操作者情報を記憶させることにより、操作パネルを操作できるオペレータを特定することができる。
さらに、オペレータが作業を行っている間、オペレータ名等を記録して機器の使用状況をレポートに纏めることも可能となる。
【0054】
また、キーを回すことでスタート・ストップを行うので、直観的に機器の駆動や停止を行うことができるから、操作感に違和感が生じない。
また、別途、USBメモリに電話番号(たとえば、110番等)を記憶させ、携帯電話に接続すると所定の電話番号に電話できるようにしてもよい。これは、子どもの防犯ベルとは逆の発想であり、該防犯ベルはキーを回すと鳴るという構成であるが、防犯ベルは周囲の誰かに気付いてもらわなければ何の意味もない。これに対し、本構成では、警察や連絡したい人に電話連絡を簡便に行うことができるので、より効果的な安全確保が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は組合せ整列システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0056】
2:シャッタ
2d:下仕切部
2u:上仕切部
4i:プールホッパ本体
10:上整列室
11:上筒部
12:受け部
20:下整列室
21A,21B:下筒部
40:揺動手段
200:整列装置
400:組合せ計量装置
H:水平方向
M:棒状物
P1:第1の位置
P2:第2の位置
S1,S2:スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のホッパに供給された棒状物の重量を組み合わせてホッパの最適組合せを求め、得られた最適組合せのホッパから前記棒状物を落下排出させる組合せ計量装置と、
前記落下排出された棒状物を縦姿勢で整列させるための整列装置とを備えた組合せ整列システムであって、
前記整列装置は、
上筒部およびその下方のシャッタにより形成された上整列室と、
前記上整列室内に収容された棒状物と共に前記上筒部全体を揺動させることで、前記棒状物に対し水平方向の成分を含む方向に揺動を与える揺動手段とを備え、
前記シャッタの上面において上方に向って突出し前記シャッタの進退方向に延び前記シャッタ上に前記組合せ計量装置からの棒状物が落下する際に、前記棒状物の下端部が係合して棒状物が倒れるのを防止する上仕切部が設けられている組合せ整列システム。
【請求項2】
請求項1において、前記上筒部には前記シャッタが前記上筒部の下端に沿って進退する際に前記上仕切部が通るスリットが形成されている組合せ整列システム。
【請求項3】
請求項1もしくは2において、前記上整列室の下に近接ないし連接して配置され、下筒部および受け部により形成された下整列室を更に備え、前記下筒部が受け部に対し水平方向に相対移動可能である組合せ整列システム。
【請求項4】
請求項3において、前記シャッタの下面において下方に向って突出し前記シャッタの進退方向に延び、前記下整列室において整列状態の棒状物よりも上方に突出した棒状物の上端を蹴ることが可能な下仕切部が更に設けられた組合せ整列システム。
【請求項5】
請求項3もしくは4において、前記下整列室の下筒部は複数個設けられ、かつ、前記複数の下筒部が前記上筒部の下方の第1の位置と前記第1の位置の横の第2の位置とを交互に移動可能で、
前記第2の位置において前記下整列室内の棒状物が下方に落下される組合せ整列システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−195433(P2010−195433A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−43575(P2009−43575)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】