説明

組成物

本発明は、紙製品の柔軟性を向上するために使用される組成物に関する。組成物は、(i)油、脂肪又はロウと、(ii)少なくとも1つの非イオン性界面活性剤と、(iii)アニオン性微粒子及びアニオン性界面活性剤から選択される少なくとも1つのアニオン性化合物と、(iv)カチオン性、非イオン性又は両性である、少なくとも1つのポリマーを含有し、ここで、前記非イオン性界面活性剤は、前記ポリマーの100重量部あたり約60〜約1000重量部の量で添加される。本発明は、また、前記組成物をセルロース懸濁液に、又は湿潤若しくは乾燥ペーパーウェブに添加することを含む、紙の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙製品における柔軟性を向上するために使用される組成物に関する。本発明は、また、前記組成物をセルロース懸濁液に添加するか、又は湿潤若しくは乾燥ペーパーウェブに適用する、製紙方法に関する。本組成物は、油、ロウ又は脂肪;少なくとも1つのカチオン性、両性又は非イオン性ポリマー;アニオン性界面活性剤及びアニオン性微粒子から選択されるアニオン性化合物;並びに1つ以上の非イオン性界面活性剤を含む。
【背景技術】
【0002】
通常ティッシュ又はペーパーティッシュウェブと呼ばれるペーパーウェブ又はシートは、ペーパータオル、ナプキン、化粧紙及びトイレットペーパーに慣用的に使用されている。そのような紙類の重要な特徴は、柔軟性、吸収性及び強度である。これらの特性を他に深刻な影響を与えることなくそれぞれ改善するために研究が続けられている。
【0003】
従来の圧縮ティッシュペーパー及びそのような紙を作製する方法は、当該技術で知られている。そのような紙は、典型的には、ワイヤ上にセルロース懸濁液を排出し、形成することによって作製される。このセルロース懸濁液は、通常、ペーパーウェブを形成するために、長網抄紙機のワイヤに堆積される前にヘッドボックスの中に含められる。次にこのペーパーウェブを真空脱水により脱水し、圧縮操作により更に乾燥し、ここでウェブは対向する機械部材、例えば円筒ロール又は延長ニッププレスにより発生する圧力に掛けられる。次に脱水ウェブを更に圧縮し、Yankeeシリンダーとして当該技術で既知の蒸気ドラム装置により乾燥する。
【0004】
従来の毛羽及びそのような紙を作製する方法は、当該技術で知られている。そのような紙は、長網抄紙機ワイヤによりペーパーシートを作製し、続いてペーパーシートをベール又はロールで圧縮及び乾燥することによって、作製される。次に乾燥紙をハンマーミル又はピン繊維離解機を使用して繊維を離解して毛羽を形成する。毛羽により作製される典型的な製品は、おむつ及び女性用生理用品である。毛羽を使用して、空気集積紙製品を製造することもできる。
【0005】
柔軟性は、消費者が特定の製品を保持する、皮膚を擦る、又は手の中でしわくちゃにすることにより知覚される触感である。シートの柔軟性は、機械的な方法によって達成することができる。例えば、シートをクレーピングしたときに形成されるクレストを平坦にするために、シートを圧延することができる。シートを、あらゆるざらつきを取り除くために、摩擦的に処理することもできる。しかしこれらの手法は、多くの場合に不十分である。
【0006】
紙を柔軟にする一つの方法は、セルロース懸濁液に軟化化合物を添加することである。この軟化化合物は、製紙過程におけるシート形成の際に起こる天然の繊維−繊維結合を妨げる。この結合の低減は、より柔軟である、又は荒さの少ない、紙のシートをもたらす。
【0007】
特許文献1は、軟化剤を使用する柔軟で吸収性のある紙製品の製造を記載する。軟化剤は、第四級アンモニウム界面活性剤、非イオン性界面活性剤、並びに強度添加剤を含む。この軟化剤は、ペーパーウェブを形成する前にセルロース懸濁液に添加される。
【0008】
軟化化合物を、乾燥又は湿潤ペーパーウェブに、例えば噴霧によって適用することもできる。このペーパーウェブが乾燥している場合、前記軟化化合物を紙に印刷することもできる。
【0009】
特許文献2は、機能性ポリシロキサン軟化剤による柔軟なティッシュペーパーを作製する方法を記載する。この軟化剤は、機能性ポリシロキサン、乳化剤界面活性剤及び非カチオン性の界面活性剤を含む。この軟化剤を、伝熱面によって乾燥ペーパーウェブに移す。次にこの軟化剤を乾燥ペーパーウェブ上で圧縮する。
【0010】
特許文献3は、吸収性紙の柔軟性を増加するために、ローションとして使用される組成物を記載する。この組成物は、好ましくは脂肪アルコール又はロウ状エステルである皮膚軟化剤を含む。この組成物は、また、第四級アンモニウム界面活性剤、並びに1つ以上の非イオン性又は両性乳化剤を含む。
【0011】
セルロース懸濁液に添加されるか又はペーパーウェブに適用される、ほとんどの軟化化合物は、第四級アンモニウム界面活性剤を含有する。製造者及び消費者が環境問題の高まりを経験しているので、第四級アンモニウム界面活性剤が常に許容されるとは限らない。この第四級アンモニウム界面活性剤は、一般に水生生物に対して毒性であり、一般に望ましくない化学薬品と考えられている。
【0012】
紙製品の柔軟性を向上する組成物を提供することが、本発明の目的である。
【0013】
第四級アンモニウム界面活性剤を実質的に含まない組成物を提供することが、本発明の更なる目的である。
【0014】
本発明のなお別の目的は、従来技術で記載されている幾つかの異なる組成物ではなく、セルロース懸濁液への添加に適切であり、湿潤又は乾燥ペーパーウェブに適用するのに適切な単一の組成物を提供することである。
【0015】
本発明のなお更なる目的は、前の製造段階からのアニオン性キャリーオーバーに対して高い耐性を有する組成物を提供することである。したがって、少量の有害物質が前の製造段階で放出される場合、標準的な配合物を湿潤終点で中和することができる。
【0016】
また、セルロース懸濁液に添加したときに、低い破裂強さ、高い湿潤速度、並びに低い繊維離解エネルギーを製造される紙に付与する組成物を提供することが、本発明の目的である。
【0017】
また、セルロース懸濁液に添加したときに、低いもつれ含有量を製品に付与する組成物を提供することが、本発明の更なる目的である。
【特許文献1】WO98/07927
【特許文献2】US5,389,204
【特許文献3】WO97/30217
【発明の開示】
【0018】
本発明は、紙製品、好ましくはティッシュ又は毛羽から調製される製品の柔軟性を向上するために使用される組成物に関する。本組成物を、製紙過程の多様な段階で適用することができる。本組成物を、例えば、セルロース懸濁液の湿潤終点で添加することができる。製品の柔軟性を向上するためにセルロース懸濁液に添加される組成物は、デボンダーと呼ばれる。本組成物を、製品の表面感触、例えば柔軟性を向上するために、ぺーバーウェブに適用することもできる。本組成物を湿潤ペーパーウェブに適用する場合、本組成物は軟化剤と呼ばれる。本組成物を乾燥ペーパーウェブに適用する場合、本組成物はローションと呼ばれる。
【0019】
本発明の組成物は、
(i)油、脂肪又はロウと、
(ii)少なくとも1つの非イオン性界面活性剤と、
(iii)アニオン性微粒子及びアニオン性界面活性剤から選択される少なくとも1つのアニオン性化合物と、
(iv)カチオン性、非イオン性又は両性である、少なくとも1つのポリマーとを含み、ここで前記非イオン性界面活性剤は、前記ポリマーの100重量部あたり約60〜約1000重量部の量で添加される。
【0020】
一つの実施態様によると、本組成物は、第四級アンモニウム界面活性剤を実質的に含まない。「実質的に含まない」とは、5重量%未満の組成物が、第四級アンモニウム界面活性剤から構成されることを意味し、例えば1重量%又は0.5重量%未満である。
【0021】
皮膚軟化剤として機能するいずれの油、脂肪又はロウを本発明に使用することができる。適切な油は、精製及び/又は硬化等級油であり、例えば、ブドウ油、オリーブ油、ヤシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、及びパーム油のような植物油であり、最も好ましくはヤシ油である。本発明に使用できる他の油は、鉱油及びシリコーン油である。
【0022】
製造した紙に油、脂肪又はロウを保持するために、保持助剤として機能するポリマーが必要である。保持剤として又は保持系の一部としての使用に適切なポリマーは、高度に電荷されていてもよい。一つの実施態様によると、前記ポリマーはカチオン性ポリマーである。このポリマーは、天然又は合成供給源から誘導することができ、直鎖、分岐鎖、又は架橋、例えば微粒子の形態であることができる。好ましくは、このポリマーは水溶性又は水分散性である。
【0023】
適切な天然のカチオン性ポリマーの例には、カチオン性多糖類、例えばデンプン、グアーゴム、セルロース誘導体、キチン、キトサン、グリカン、ガラクタン、グルカン、キサンタンガム、ペクチン、マンナン、デキストリンが挙げられ、好ましくはデンプン及びグアーゴムである。適切なデンプンには、ジャガイモ、トウモロコシ、小麦、タピオカ、米、ロウ状トウモロコシ、大麦などが挙げられる。カチオン性連鎖生長反応ポリマーのようなカチオン性の合成有機ポリマーを使用してもよく、例えば、アクリレート−、アクリルアミド−、ビニルアミン−、ビニルアミド−及びアリルアミン系ポリマーのようなカチオン性ビニル付加ポリマー、例えば、ジアリルジアルキルアンモニウムハロゲン化物、例えば、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドに基づいたホモ−及びコポリマー、並びに(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリレートである。更なるポリマーには、カチオン性段階生長反応ポリマーが挙げられ、例えば、カチオン性ポリアミドアミン、ポリエチレンイミン、ポリアミン、例えば、ジメチルアミン−エピクロロヒドリンコポリマー;及びポリウレタンである。適切なカチオン性有機ポリマーの更なる例には、WO02/12626に開示されたものが挙げられる。
【0024】
一つの実施態様によると、前記ポリマーは、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ポリアミン、カチオン性デンプン、両性デンプン、並びにポリアミドアミン−エピクロロヒドリン(PAAE)、ポリエチレンイミン、及びポリビニルアミンからなる群より選択される。
【0025】
本明細書で使用されるとき、用語「段階成長反応ポリマー」は、段階成長重合により得られるポリマーを意味し、また、それぞれ段階反応ポリマー及び段階反応重合と呼ばれる。本明細書で使用されるとき、用語「連鎖成長反応ポリマー」は、連鎖成長重合により得られるポリマーを意味し、また、それぞれ連鎖反応ポリマー及び連鎖反応重合と呼ばれる。
【0026】
本発明のポリマーは、約10000〜約10000000、例えば約15000〜約5000000、又は約40000〜約1000000の分子量を有することができる。
【0027】
一つの実施態様によると、アニオン性微粒子が本組成物に含まれる。適切なアニオン性微粒子の例には、アニオン性コロイドシリカ粒子のようなアニオン性シリカ微粒子、及びスメクタイト粘土が挙げられ、最も好ましくはアニオン性の疎水性変性コロイドシリカ粒子である。このアニオン性微粒子は、好ましくは、約40〜約900、例えば約150〜約600、又は約250〜約400mgの比表面積を有する。
【0028】
コロイドシリカ粒子は、例えば、沈降シリカ、マイクロシリカ(シリカヒューム)、熱分解法シリカ(ヒュームドシリカ)又は十分に純粋な従来のケイ酸ナトリウムのシリカゲル、及びこれらの混合物から誘導されてもよい。
【0029】
本発明のコロイドシリカ粒子を変性してもよく、粒子及び/又は連続相で存在することができるアミン、アルミニウム及び/又はホウ素のような他の元素を含有することができる。ホウ素変性シリカゾルは、例えばUS2,630,410に記載されている。アルミニウム変性シリカ粒子は、適切には、約0.05〜約3重量%、例えば約0.1〜約2重量%のAl含有量を有する。アルミニウム変性シリカゾルの調製手順は、例えば、”The Chemistry of Silica“、 by Her、 K. Ralph、 pages 407-409、 John Wiley & Sons (1979)及びUS5368833で更に記載されている。
【0030】
前記コロイドシリカ粒子は、適切には、約2〜約150、例えば約3〜約50、又は約5〜約40nmの範囲の平均粒径を有する。適切には、前記コロイドシリカ粒子は、約20〜約1500、例えば約50〜約900、又は約70〜約600mgの比表面積を有する。
【0031】
本発明に使用できるアニオン性界面活性剤は、一般に、約6〜約30個の炭素原子を有する疎水性の「尾」を持つアニオン性界面活性剤である。好ましいアニオン性界面活性剤の例は、鹸化脂肪酸、アルキル(アリール)スルホネート、スルフェートエステル、ホスフェートエステル、アルキル(アリール)ホスフェート、アルキル(アリール)ホスホネート、脂肪酸、ナフタレンスルホネート(NAS)、ホルムアルデヒド重縮合物、ポリスチレンスルホネート、疎水性変性NASである。最も好ましくは、鹸化脂肪酸、アルキル(アリール)スルホネート、スルフェートエステル、ホスフェートエステル、アルキル(アリール)ホスフェート、アルキル(アリール)ホスホネート、及びこれらの混合物である。
【0032】
一つの実施態様によると、前記アニオン性化合物はアニオン性界面活性剤である。
【0033】
本発明に使用できる非イオン性界面活性剤には、一般にエトキシル化又はプロポキシル化された脂肪酸又は脂肪アルコールが挙げられる。このエトキシル化脂肪酸及び脂肪アルコールは、好ましくは、約1〜約30個のエチレンオキシド(EO)又は約4〜約25個のEOでエトキシル化されている。このエトキシル化脂肪酸及び脂肪アルコールは、約6〜約30個の炭素原子、又は約6〜約22個の炭素原子を有することができる。前記プロポキシル化脂肪酸及び脂肪アルコールは、約1〜約30個のプロピレンオキシド(PO)又は約1〜約8個のPOでプロポキシル化されていることができる。このプロポキシル化脂肪酸及び脂肪アルコールは、好ましくは、約6〜約30個の炭素原子、例えば約6〜約22個の炭素原子を有する。プロピレンオキシドの代わりに二酸化炭素を使用することも可能である。
【0034】
前記ポリマーは、適切には、本組成物の乾燥重量に基づいて、約1〜約50、例えば、約5〜約40、又は約10〜約30重量%の量で本組成物に存在する。
【0035】
前記油、脂肪又はロウは、適切には、本組成物の乾燥重量に基づいて、約1〜約95、例えば、約30〜約80、又は約35〜約75重量%の量で本組成物に存在する。
【0036】
前記アニオン性化合物は、適切には、本組成物の乾燥重量に基づいて、約0.1〜約10、例えば、約0.5〜約4、又は約0.6〜約2重量%の量で本組成物に存在する。
【0037】
一つの実施態様によると、前記非イオン性界面活性剤は、前記ポリマーの100重量部あたり約70〜約800、又は約80〜約600、又は約100〜約500、又は約150〜約400重量部の量で存在する。
【0038】
本組成物は、最初に油、脂肪又はロウをアニオン性及び非イオン性界面活性剤と一緒に混合して、皮膚軟化剤−界面活性剤ブレンドをもたらすことによって調製できる。この皮膚軟化剤−界面活性剤ブレンドを約25〜約70℃に加熱することができる。前記ポリマーを含有する水溶液を適切に調製し、溶液中、前記ポリマー含有量は、約0.1〜約50、例えば、約0.5〜約25重量%を構成する。この水溶液を約25〜約70℃に加熱することができる。次に皮膚軟化剤−界面活性剤ブレンドを、静的ミキサー、ultra−turrax高剪断力装置又はホモジナイザーにより、前記ポリマーを含有する水溶液中で乳化することができる。次にこの生成物エマルションを室温に冷却することができる。この冷却は、例えば、熱交換を使用して実施することができる。
【0039】
一つの実施態様によると、前記皮膚軟化剤界面活性剤ミックスを、静的ミキサーにより、ポリマー含有水溶液中で乳化する。
【0040】
本組成物を前もって製造し、次に1つの製品として製紙工場へ送ることができる。本組成物は、製紙工場において、異なる成分からその場で調製することもできる。
【0041】
本組成物に追加の成分を添加することも可能である。本組成物の劣化を避けるために、防腐剤を加えてもよい。幾つかの美容用添加剤も含めることができ、例えば酸化防止剤、例えばトコフェロール及びアロエベラである。
【0042】
本発明は、また、本明細書に記載されている組成物をセルロース懸濁液に添加することを含む、紙を製造する方法に関し、前記方法は、セルロース懸濁液をワイヤ上に排出してペーパーウェブを形成することを更に含む。
【0043】
一つの実施態様によると、本組成物を、乾燥セルロース繊維の約0.1〜約15kg/トンの量で添加することができる。
【0044】
前記デボンダーが毛羽の製造に使用される場合、本組成物を、通常、乾燥セルロース繊維の約0.1〜約15、例えば約0.3〜約10kg/トンの量でセルロース懸濁液に添加する。
【0045】
前記デボンダーがティッシュの製造に使用される場合、本組成物を、通常、乾燥セルロース繊維の約0.1〜約15、例えば約0.5〜約4kg/トンの量でセルロース懸濁液に添加する。
【0046】
デボンダーとして本発明の方法に使用する場合、本組成物は、本明細書で既に述べているように、ペーパーウェブを形成する前にセルロース懸濁液に添加される。毛羽及びティッシュを作製するときには、デボンダーの使用は極めて一般的である。このデボンダーは、天然の繊維−繊維結合を妨げるので、強度が低減される。この強度を低減することによって、毛羽及びティッシュ製品の柔軟性が増加する。一つの実施態様によると、本組成物の成分をセルロース懸濁液に別々に添加することができる。好ましくは、前記油、脂肪又はロウと、アニオン性及び非イオン性界面活性剤とのエマルションを、プレブレンドとして加えることができ、ポリマー、例えば水溶液中のポリマーを、別個の成分としてセルロース懸濁液に加えることができる。
【0047】
一つの実施態様によると、各成分を別々に添加する場合、セルロース懸濁液に加えるそれぞれの成分の量は、本明細書に記載されている組成物におけるそれぞれの成分の量に対応する。
【0048】
一つの実施態様によると、毛羽を製造する場合、前記ポリマーは、乾燥セルロース繊維の約0.01〜約6kg/トンの量でセルロース懸濁液に添加できる。一つの実施態様によると、毛羽を製造する場合、前記ポリマーは、乾燥セルロース繊維の約0.025〜約3.5kg/トンの量でセルロース懸濁液に添加できる。一つの実施態様によると、毛羽を製造する場合、前記ポリマーは、乾燥セルロース繊維の約0.05〜約2.5kg/トンの量でセルロース懸濁液に添加できる。
【0049】
一つの実施態様によると、毛羽を製造する場合、前記油、ロウ又は脂肪は、乾燥セルロース繊維の約0.001〜約14kg/トンの量でセルロース懸濁液に添加できる。一つの実施態様によると、毛羽を製造する場合、前記油、ロウ又は脂肪は、乾燥セルロース繊維の約0.03〜約12kg/トンの量でセルロース懸濁液に添加できる。一つの実施態様によると、毛羽を製造する場合、前記油、ロウ又は脂肪は、乾燥セルロース繊維の約0.035〜約11kg/トンの量でセルロース懸濁液に添加できる。
【0050】
一つの実施態様によると、毛羽を製造する場合、前記アニオン性化合物は、乾燥セルロース繊維の約0.001〜約1.5kg/トンの量でセルロース懸濁液に添加できる。一つの実施態様によると、毛羽を製造する場合、前記アニオン性化合物は、乾燥セルロース繊維の約0.003〜約0.6kg/トンの量でセルロース懸濁液に添加できる。一つの実施態様によると、毛羽を製造する場合、前記アニオン性化合物は、乾燥セルロース繊維の約0.004〜約0.3kg/トンの量でセルロース懸濁液に添加できる。
【0051】
一つの実施態様によると、毛羽を製造する場合、前記非イオン性界面活性剤は、適切には、ポリマーの100重量部あたり約70〜約800、例えば約80〜約600、又は約100〜約500、又は約150〜約400重量部の量でセルロース懸濁液に添加される。
【0052】
一つの実施態様によると、毛羽を製造する場合、前記油、ロウ又は脂肪は、乾燥セルロース繊維の約0.001〜約14kg/トンの量で添加され、前記アニオン性化合物は、乾燥セルロース繊維の約0.001〜約15kg/トンの量で添加され、そして前記ポリマーは、乾燥セルロース繊維の約0.01〜約6kg/トンの量で添加される。
【0053】
一つの実施態様によると、ティッシュを製造する場合、前記ポリマーは、乾燥セルロース繊維の約0.01〜約8kg/トンの量でセルロース懸濁液に添加できる。一つの実施態様によると、ティッシュを製造する場合、前記ポリマーは、乾燥セルロース繊維の約0.03〜約6kg/トンの量でセルロース懸濁液に添加できる。一つの実施態様によると、ティッシュを製造する場合、前記ポリマーは、乾燥セルロース繊維の約0.035〜約5.5kg/トンの量でセルロース懸濁液に添加できる。
【0054】
一つの実施態様によると、ティッシュを製造する場合、前記油、ロウ又は脂肪は、乾燥セルロース繊維の約0.001〜約10kg/トンの量でセルロース懸濁液に添加できる。一つの実施態様によると、ティッシュを製造する場合、前記油、ロウ又は脂肪は、乾燥セルロース繊維の約0.03〜約8kg/トンの量でセルロース懸濁液に添加できる。一つの実施態様によると、ティッシュを製造する場合、前記油、ロウ又は脂肪は、乾燥セルロース繊維の約0.035〜約7.5kg/トンの量でセルロース懸濁液に添加できる。
【0055】
一つの実施態様によると、ティッシュを製造する場合、前記アニオン性化合物は、乾燥セルロース繊維の約0.001〜約1kg/トンの量でセルロース懸濁液に添加できる。一つの実施態様によると、ティッシュを製造する場合、前記アニオン性化合物は、乾燥セルロース繊維の約0.003〜約0.4kg/トンの量でセルロース懸濁液に添加できる。一つの実施態様によると、ティッシュを製造する場合、前記アニオン性化合物は、乾燥セルロース繊維の約0.004〜約0.2kg/トンの量でセルロース懸濁液に添加できる。
【0056】
一つの実施態様によると、ティッシュを製造する場合、前記非イオン性界面活性剤は、適切には、ポリマーの100重量部あたり約70〜約800、例えば約80〜約600、又は約100〜約500、又は約150〜約400重量部の量でセルロース懸濁液に添加される。
【0057】
前記デボンダーの性能を評価するために、破裂強さ、繊維離解エネルギー及び湿潤速度を測定することができる。低い破裂強さ及び低い繊維離解エネルギーは、繊維−繊維結合が弱いことを示し、これは、次に、向上された柔軟性を持つティッシュの製造を促進する。前記湿潤速度は、最終製品が良好な吸収特性を有することを示す。
【0058】
また、毛羽が気流法(air-laid)用途に使用される場合、もつれの数を最小限にすることが重要である。このもつれは、繊維の集団として説明することができる。数多くのもつれは、空気集積プロセスにおける形成及び作動性能の不良をもたらす可能性がある。
【0059】
組成物が湿潤又は乾燥のいずれかのペーパーウェブに適用される場合、表面感触を改善することができる。表面感触は、消費者により知覚される触感である表面特性として記載することができる。表面感触は、パネル試験において人により評価することができる。そのような特性の例は、柔軟性、滑りやすさ、及び平滑性である。一つの実施態様によると、本組成物は単回の添加でシートに添加される。別の実施態様によると、前記ポリマーは、ウェブの形成の前にセルロース懸濁液に添加することができ、一方、前記油、脂肪又はロウ;アニオン性化合物;及び非イオン性界面活性剤は、湿潤又は乾燥ペーパーウェブに添加される。
【0060】
本発明は、また、本明細書に記載されている本組成物を湿潤ペーパーウェブに適用することを含む、紙の製造方法に関する。本組成物を製紙過程で軟化剤として使用する場合、本組成物は、通常、圧縮セクションの後であるが、Yan keeシリンダーの前に、湿潤ペーパーウェブに噴霧される。本組成物を軟化剤として使用することによって、強度の低下を最小限にした高い表面柔軟性を持つ紙を得ることが可能である。
【0061】
一つの実施態様によると、本組成物がティッシュペーパーの製造で軟化剤として使用される場合、本組成物は、通常、乾燥セルロース繊維の約0.1〜約10、好ましくは約0.3〜約4kg/トンの量で添加される。
【0062】
本発明は、また、本明細書に記載されている本組成物を乾燥ペーパーウェブに適用することを含む、紙の製造方法に関する。
【0063】
本組成物が上記の方法でローションとして使用される場合、通常、乾燥ペーパーウェブに噴霧又は印刷される。このことは、通常、最終ティッシュ製品が形成される、従来の方法で実施される。前記ローションは、適切には、ペーパーウェブ表面に液滴として存在し、軟化剤と同じようには繊維と結合しない。該ローションは、ティッシュの表面特性を変更するが、該ローションは、美容目的でも添加され、それは該ローションが紙から放出され、消費者へ移動するからである。
【0064】
一つの実施態様によると、前記乾燥ペーパーウェブは、少なくとも約50、例えば少なくとも約65又は少なくとも約80重量%の乾燥含有量を有する。
【0065】
一つの実施態様によると、本組成物がティッシュの製造でローションとして使用される場合、本組成物は、通常、乾燥セルロース繊維の約0.1〜約70、例えば約5〜約50kg/トンの量で添加される。
【0066】
本発明により利用されるセルロース繊維には、通常、Kraft、亜硫酸パルプ及び硫酸塩パルプのような化学パルプ、並びに砕木パルプ、サーモメカニカルパルプ及び化学変性サーモメカニカルパルプのような機械パルプを含む木材パルプから誘導される繊維が挙げられる。再生繊維を使用してもよい。これらの再生繊維は、充填剤、印刷インクなどに加えて、上記のパルプを全て含有することができる。しかし、化学パルプが、それから作製されるティッシュシートに優れた柔軟性の感触を付与するので好ましい。ティッシュを作製するための再生繊維の利用は、多くの場合、繊維スラリー及び大部分の充填物質から印刷インクをできる限り除去して、許容される明度及び再生繊維スラリーの抄紙機での許容される作動性能を得るために、脱インキとして知られている加工工程を含む。この脱インキプロセスは、多くの場合、鹸化脂肪酸及び水ガラスのようなアニオン性物質の繊維スラリーへの添加を含む。これらの物質は、時々、抄紙機へ持ち越され、これらの物質はアニオン性であるので、紙料に添加されているカチオン性の化学薬品を不活性化する可能性がある。これらの物質は、アニオン性有害物質、又は「アニオン性屑」と呼ばれる。
【0067】
一つの実施態様によると、更なるなる成分を、ティッシュ又は毛羽を作製するのに使用されるセルロース懸濁液に加えることができる。そのような添加剤は、例えば、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤及び湿潤剤、並びに製造過程で通常使用される他の成分であることができる。一つの実施態様によると、カチオン性、非イオン性又は両性のいずれかである追加のポリマーを、前記セルロース懸濁液に添加することができる。適切には、前記ポリマーは天然のポリマー、例えばデンプンであるか、又は合成のポリマーである。
【0068】
一つの実施態様によると、アニオン性ポリマーが前記セルロース懸濁液に添加され、そのようなアニオン性ポリマーには、アニオン性段階生長反応ポリマー、連鎖生長反応ポリマー、多糖類、天然由来芳香族ポリマー、及びこれらの変性を挙げることができる。
【0069】
本発明を以下の実施例により更に説明するが、本発明が、それにより制限されることを意図しない。
【0070】
実施例1
本発明の組成物は、最初にヤシ油を、パラ置換アルキルベンジルスルホン酸(約C12)(アニオン性界面活性剤)及び5個のEOでエトキシル化されている、炭素原子16〜18個の不飽和脂肪アルコール(非イオン性界面活性剤)と混合することによって調製した。各成分の含有量は、油が50重量%、アニオン性界面活性剤が25重量%、及び非イオン性界面活性剤が25重量%であった。次に油−界面活性剤ブレンドを50℃に加熱した。ポリマー水溶液を調製した。該水溶液中のポリマーの濃度は1〜4重量%であった。各成分のポリマー濃度を下記に示す。該ポリマー水溶液を別に50℃に加熱した。次に油−界面活性剤ブレンドを、高剪断力ultra−turraxにより、ポリマー水溶液中で乳化した。次に該組成物を水浴で室温に冷却した。この油−界面活性剤ブレンドと水溶液の重量比は15:85であった。
【0071】
組成物C1〜C6を調製するときに使用されるポリマー及び水溶液中のその濃度を、下記に提示する。
C1:ポリ−DADMAC(SNF No. FL45DL) 1重量%
C2:ポリ−DADMAC(SNF No. FL45DL)3.4重量%
C3:ポリ−DADMAC(SNF No. FL45DL) 4重量%
C4:ポリ−DADMAC(SNF No. FL45C) 1重量%
C5:ポリ−DADMAC(SNF No. FL45C) 4重量%
C6:ポリアミン 1重量%
比較のために、名称Berocell(登録商標)で市販されているデボンダー組成物を使用した。2つのデボンダー組成物、参照1及び参照2の含有物を下記に示す。
参照1:Berocell−589、水素化牛脂ベンジルジメチルアンモニウムクロリド;脂肪アルコール、C16〜C18、不飽和、5個のEOでエトキシル化されている
参照2:Berocell−509、脱水素化牛脂ジメチルアンモニウムクロリド;脂肪アルコール、C16〜C20、不飽和、6個のEOでエトキシル化されている;脂肪酸、C12〜C18,6個のPOでプロポキシル化されている
【0072】
乾燥ペーパーシートは、化学マツ硫酸塩パルプ15gを、水又は汚染白濁水750mlまでと混合することによって調製した。この組成物をパルプ懸濁液に加え、続いて10分間撹拌した。その後、これらのシートを、標準PFI−シート作製機(A4シート)で調製した。次にシートを圧縮し、乾燥し、標準化法SCAN C26:76に従って調湿した。
【0073】
実施例2
実施例1の組成物C2及びC5を、実施例1で記載された参照1(Berocell−589)と比較した。これらの組成物を、乾燥セルロース繊維に基づいて3.0kg/トンの量でセルロース懸濁液に添加した。
【0074】
次に乾燥ペーパーシートを実施例1で記載されたように調製した。これらのペーパーシートをストリップに切断し、次にピン繊維離解機の助けを借りて繊維を離解した。このピン繊維離解機を積算電力計に接続し、これにより、紙1kgあたりのエネルギー消費量、繊維離解エネルギーを測定することが可能になる。これらの結果を表1に示す。
【0075】
【表1】

【0076】
繊維離解エネルギーが低いほど、高い柔軟度を製品に付与する。表1において、本発明の組成物C3及びC5は、より低い繊維離解エネルギーを付与することが明確に示されており、このことは、従来技術の組成物、参照1と比較して向上した柔軟性を示す。
【0077】
実施例3
実施例1の組成物C1、C3、C4、C5及びC6を、実施例1の参照1と比較した。これらの組成物を、乾燥セルロース繊維に基づいて3.0kg/トンの量でセルロース懸濁液に添加した。
【0078】
次に乾燥ペーパーシートを実施例1に従って調製した。湿潤速度を、標準化法SCAN−C33:80に従って、乾燥ペーパーシートで測定した。これらの結果を表2で見ることができる。
【0079】
【表2】

【0080】
低い湿潤速度は、ティッシュと毛羽の製品の両方にとって有益である。表2において、本発明の組成物C1、C3、C4、C5及びC6は、従来技術の組成物、参照1と比較して低い湿潤速度を製造された紙に付与することが明確に示されている。
【0081】
実施例4
実施例1の組成物C2を実施例1の参照2と比較した。セルロース組成物に添加した組成物の量を、乾燥セルロース繊維に基づいて0.5〜4.0kg/トンに変えた。
【0082】
乾燥ペーパーシートを、実施例1で記載されたように、セルロース懸濁液から調製した。この破裂強さを、標準化法ISO 2758−2001に従って測定した。これらの結果を表3で見ることができる。
【0083】
【表3】

【0084】
低い破裂強さは製品に柔軟性を付与する。表3において、本発明の組成物C2は、従来技術の組成物、参照2と比較して、組成物への異なる添加量で低い破裂強さを有することが明確に示されている。
【0085】
実施例5
実施例1の組成物C2を実施例1の参照2と比較した。セルロース懸濁液に添加した本組成物の量を、乾燥セルロース繊維に基づいて1〜2kg/トンに変えた。
【0086】
もつれ含有量を、標準化法SCAN−CM37を使用して測定した。これらの結果を表4で見ることができる。
【0087】
【表4】

【0088】
多数のもつれは、作動性能及び形成の不良をもたらす可能性がある。したがって、低いもつれ含有量が有益である。表4において、本発明の組成物C2は、参照1と比較して、少ない数のもつれを有することが明白に示されている。
【0089】
実施例6
油−界面活性剤ブレンドは、最初にヤシ油を、アニオン性界面活性剤アルキルベンジルスルホン酸(約C12)及び2つの非イオン性界面活性剤、(1)15個のEOでエトキシル化されているヒマシ油、(2)5個のEOでエトキシル化されているC16〜C18の不飽和脂肪アルコールと混合することによって調製した。次にこの油−界面活性剤ブレンドを水中で乳化して油エマルションを形成した。水100mlに対して、前記油−界面活性剤ブレンド0.3gを使用した。ポリDADMACを含有するポリマー水溶液を、ポリマー濃度0.08重量%で調製した。
【0090】
乾燥ペーパーシートは、化学マツ硫酸塩パルプ15gを、水750mlまでと混合することによって調製した。油エマルションをパルプ懸濁液に加えた。次にこの懸濁液を8分間撹拌した。次にポリマー溶液を加え、そこでこの懸濁液を2分間撹拌した。その後、シートを、標準PFI−シート作製機(A4シート)で調製した。次にこれらのシートを圧縮し、乾燥し、標準化法SCAN C26:76に従って調湿した。それぞれの試験で添加された各成分の重量を表5に提示する。
【0091】
【表5】

【0092】
非イオン性界面活性剤とポリマーの比率は、ポリマー100重量部あたりの非イオン性界面活性剤の重量部として計算した。この繊維離解エネルギーを、実施例2に従って測定した。本組成物の添加量は、乾燥セルロース繊維の1kg/トン及び3kg/トンであった。これらの結果を表6に提示する。
【0093】
【表6】

【0094】
繊維離解エネルギーが低いほど、高い柔軟度を製品に付与する。表6において、この繊維離解エネルギーは、非イオン性界面活性剤とポリマーの重量比が増加すると減少することを明白に見ることができる。
【0095】
実施例7
2つの油エマルションE1及びE2は、ヤシ油を、2つの非イオン性界面活性剤、(1)15個のEOでエトキシル化されているヒマシ油、(2)5個のEOでエトキシル化されているC16〜C18の不飽和脂肪アルコールと混合することによって調製した。エマルションE1において、ヤシ油と、非イオン性界面活性剤(1)と、非イオン性界面活性剤(2)の重量比は、5:2.5:2.5であり、エマルションE2において、対応する比率は7:1.5:1.5であった。この油エマルションは、油−界面活性剤ブレンド15gを、ultra−turraxにより、比表面積525m/gを有するシリカゾル0.353重量%分散体85gの中で乳化することによって形成した。ポリDADMACを含有するポリマー水溶液も、濃度0.08重量%で調製した。
【0096】
乾燥ペーパーシートは、化学マツ硫酸塩パルプ15gを、水750mlまでと混合することによって調製した。この油エマルションをパルプ懸濁液に加え、そこで8分間撹拌した。次に前記ポリマー溶液を加え、そこで該懸濁液を2分間撹拌した。その後、シートを、標準PFI−シート作製機(A4シート)で調製した。次にこれらのシートを圧縮し、乾燥し、標準化法SCAN C26:76に従って調湿した。試験3において、実施例1で参照1と呼ばれる従来のデボンダーBerocell 589を比較のために使用した。シートを作製するときに、従来のデボンダーを加え、次に前記懸濁液を10分間撹拌した。その繊維離解エネルギーを、実施例2に従って測定した。これらの結果を表7に提示する。
【0097】
【表7】

【0098】
繊維離解エネルギーが低いほど、高い柔軟度を製品に付与する。表7において、本発明の組成物E1及びE2は、従来のデボンダー、参照1よりも低い繊維離解エネルギーを提示することを明確に見ることができる。
【0099】
実施例8
表5における番号5と同じ油−界面活性剤ブレンド及びポリマー溶液を、実施例6に従って調製した。試験1において、この油−界面活性剤ブレンドをポリマー溶液中で乳化して、単一の組成物を形成した。
【0100】
ペーパーシートは、化学マツ硫酸塩パルプ15gを、水750mlまでと混合することによって調製した。次にこのパルプ懸濁液を10分間撹拌した。試験2において、前記ポリマーを、8分間の撹拌の後で加えた。試験1及び3では、該パルプ懸濁液への添加は行わなかった。その後、シートを、標準PFI−シート作製機(A4シート)で調製した。次にこれらのシートを4.85バールで5分間圧縮して、約50重量%の乾燥含有量を得た。
【0101】
実験1において、本組成物を、乾燥セルロース繊維の1及び3kg/トンの量でこれらのシートに噴霧した。実験2において、油−界面活性剤ブレンドを含有する油エマルションを、パルプ懸濁液中のポリマーと一緒の総添加量が、乾燥セルロース繊維の1及び3kg/トンであるようにシートに噴霧した。
【0102】
試験3において、実施例1で参照1と呼ばれる従来のデボンダーBerocell 589を比較のために使用した。従来のデボンダーを、乾燥セルロース繊維の1及び3kg/トンの量でシートに噴霧した。
【0103】
次にこれらのシートを4.85バールで2分間圧縮し、続いてドラムにより80℃で2時間乾燥した。乾燥した後、これらのシートを、試験の前に、23℃及び相対湿度50%で少なくとも24時間調湿した。
【0104】
次に繊維離解エネルギーを実施例2に従って測定し、もつれ含有量を標準化法SCAN−CM37に従って測定し、湿潤速度を標準化法SCAN−C33:80に従って測定した。これらの結果を表8に提示する。
【0105】
【表8】

【0106】
実験1及び実験2で使用された組成物は、従来のデボンダーを使用した実験3と比較して、繊維離解エネルギー、もつれ含有量、及び湿潤速度で明確な改善を示す。
【0107】
実施例9
油−界面活性剤ブレンドは、最初にヤシ油を、アニオン性界面活性剤アルキルベンジルスルホン酸(約C12)及び2つの非イオン性界面活性剤、(1)15個のEOでエトキシル化されているヒマシ油、(2)5個のEOでエトキシル化されているC16〜C18の不飽和脂肪アルコールと混合することによって調製した。次にこの油−界面活性剤ブレンドを水中で乳化して油エマルションを形成した。水100mlに対して、この油−界面活性剤ブレンド0.3gを使用した。カチオン性デンプンAmylofax PWを含有する水溶液を、0.08重量%の濃度で調製した。
【0108】
乾燥ペーパーシートは、化学マツ硫酸塩パルプ15gを、水500mlまでと混合することによって調製した。この油エマルションを0時にパルプ懸濁液に加え、続いて10分間撹拌した。カチオン性デンプンを、8分後に添加した。その後、シートを、標準PFI−シート作製機(A4シート)で調製した。次にこれらのシートを圧縮し、乾燥し、標準化法SCAN C26:76に従って調湿した。カチオン性デンプンを、乾燥セルロース繊維の2.5kg/トンの量で加えた。油エマルションの添加を、乾燥セルロース繊維の0〜3kg/トンの量に変えた。繊維離解エネルギーを、実施例2に従って測定した。これらの結果を表9に提示する。
【0109】
【表9】

【0110】
繊維離解エネルギーが低いほど、高い柔軟度を製品に付与する。表9において、繊維離解エネルギーは、油エマルションの量が増加すると減少することを明確に見ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)油、脂肪又はロウと、
(ii)少なくとも1つの非イオン性界面活性剤と、
(iii)アニオン性微粒子及びアニオン性界面活性剤から選択される少なくとも1つのアニオン性化合物と、
(iv)カチオン性、非イオン性又は両性である、少なくとも1つのポリマーと、を含み、前記非イオン性界面活性剤が、前記ポリマーの100重量部あたり約60〜約1000重量部の量で添加される組成物。
【請求項2】
前記組成物が、第四級アンモニウム界面活性剤を実質的に含まない、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリマーがカチオン性ポリマーである、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
前記カチオン性ポリマーが、連鎖生長反応ポリマーである、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
前記カチオン性ポリマーが、段階生長反応ポリマーである、請求項3記載の組成物。
【請求項6】
前記油が植物油である、請求項1〜5のいずれか1項記載の組成物。
【請求項7】
前記油がヤシ油である、請求項1〜6のいずれか1項記載の組成物。
【請求項8】
前記非イオン性界面活性剤が、前記ポリマーの100重量部あたり約70〜約800重量部の量で添加される、請求項1〜7のいずれか1項記載の組成物。
【請求項9】
前記非イオン性界面活性剤が、エトキシル化又はプロポキシル化された脂肪酸又は脂肪アルコールである、請求項1〜8のいずれか1項記載の組成物。
【請求項10】
前記アニオン性界面活性剤が、鹸化脂肪酸、アルキル(アリール)スルホネート、スルフェートエステル、ホスフェートエステル、アルキル(アリール)ホスフェート、アルキル(アリール)ホスホネート及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1〜9のいずれか1項記載の組成物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項記載の組成物をセルロース懸濁液に添加することを含む、紙を製造する方法であって、前記セルロース懸濁液をワイヤ上に排出してペーパーウェブを形成することを更に含む、方法。
【請求項12】
前記組成物が乾燥セルロース繊維の約0.1〜約15kg/トンの量で添加される、請求項11記載の紙を製造する方法。
【請求項13】
(i)油、脂肪又はロウと、
(ii)少なくとも1つの非イオン性界面活性剤と、
(iii)アニオン性微粒子及びアニオン性界面活性剤から選択される少なくとも1つのアニオン性化合物と、
(iv)カチオン性、非イオン性又は両性である、少なくとも1つのポリマーとを、セルロース懸濁液に添加することを含む、紙を製造する方法であって、前記セルロース懸濁液をワイヤ上に排出してペーパーウェブを形成することを更に含み、前記非イオン性界面活性剤が、前記ポリマーの100重量部あたり約60〜約1000重量部の量で添加される、方法。
【請求項14】
前記油、ロウ又は脂肪が、乾燥セルロース繊維の約0.001〜約14kg/トンの量で添加され、前記アニオン性化合物が、乾燥セルロース繊維の約0.001〜約15kg/トンの量で添加され、そして前記ポリマーが、乾燥セルロース繊維の約0.01〜約6kg/トンの量で添加される、請求項13記載の紙を製造する方法。
【請求項15】
請求項1〜10のいずれか1項記載の組成物を湿潤ペーパーウェブに適用することを含む、紙を製造する方法。
【請求項16】
前記組成物が乾燥セルロース繊維の約0.1〜約10kg/トンの量で適用される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
請求項1〜10のいずれか1項記載の組成物を乾燥ペーパーウェブに適用することを含む、紙を製造する方法。
【請求項18】
前記組成物が乾燥セルロース繊維の約0.1〜約70kg/トンの量で適用される、請求項17記載の方法。

【公表番号】特表2008−527072(P2008−527072A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−549315(P2007−549315)
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【国際出願番号】PCT/SE2005/001927
【国際公開番号】WO2006/071175
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(595024087)アクゾ ノーベル エヌ.ブイ. (38)
【Fターム(参考)】