説明

組織の収縮又は萎縮に関連する成人中枢神経系の疾病又は障害をインスリン投与によって治療する方法

【解決手段】本発明は、成人の中枢神経系の障害又は疾病で、組織の収縮又は萎縮に関連する障害又は疾病の治療又は予防をする薬剤を製造するためにインスリンの使用を提供する。また、前記障害又は疾病を治療する方法であって、内因性インスリンの活性を高めるインスリン又は組成物を、薬剤として有効な量を投与することを含む方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2005年11月11日に出願された米国仮出願第60/735606号について、米国特許法第119条(e)に基づく利益を主張し、その内容全体は引用を以て本願への記載加入とする。
この発明は、部分的には、Centers for Disease Control and Injuryの承認番号R49/CR811509を通じて成されたものである。それゆえ、米国政府は、この発明における権利の一部を有している。
本発明は、広義には、治療法に関する。より具体的には、成人の中枢神経系の疾病又は障害を治療する薬剤を製造するためのインスリンの使用、及び内因性インスリンの活性を高めるインスリン又は組成物を用いて前記疾病又は故障を治療する方法に関する。このような疾病又は障害は、組織の収縮(shrinkage)又は萎縮(atrophy)に関連する。
【背景技術】
【0002】
脳の中に重大な組織の収縮、損失、萎縮又は細胞死のある障害又は疾病に苦しむ人が多い。このような萎縮は、組織の湿重量、乾重量、蛋白質、DNA及び/又は細胞の減少又は損失と関連がある。このような疾病及び障害として、アルツハイマー病、糖尿病及び痴呆症(糖尿病性痴呆症)に関連する脳萎縮、パーキンソン病、ハンチントン病、老人性痴呆症、多発性硬化症、後天性免疫不全症候群(AIDS)に関連する痴呆、ピック病、脳梗塞、精神的外傷、シルダーの汎発性脳硬化症、急性壊死性血性脳脊髄炎、変性症症候群、家族性痴呆症及び進行性核上麻痺が挙げられる。例えば、アルツハイマー病、糖尿病性痴呆症、パーキンソン病、多発性硬化症、AIDSに関連する痴呆、老人性痴呆症又は家族性痴呆症において、脳の質量の減少又は脳の収縮を示すために、MRI又はPETによるスキャンが用いられている。脳梗塞、精神的外傷、アルツハイマー病及び糖尿病性痴呆症では、脳細胞の損失の程度は、インスリンの重症度及び持続時間に応じて変化する。脳のこれらの疾病及び障害については、神経学の様々な教科書の中に多く記載されている。
【0003】
成人の脳重量を正常に規制する因子がより完全に理解されるとすれば、それは臨床学的に有用であろう。そのような因子は、脳組織の萎縮や、組織の湿重量、乾重量、蛋白質及び細胞の減少又は損失がある疾病又は障害を治療するのに有用なことがある。例えば、ある種の神経栄養因子(例えば、神経成長因子(NGF))は脳細胞生存を担うことができることを知ることができる。しかしながら、NGFは、TrkAレセプタ、主として脳内のコリン作用性神経を含む細胞にだけ作用し、NGFの作用は、コリン作用性の脳細胞の小分画に制限される。脳の多くのニューロンタイプにより広く作用した神経栄養因子を特定することが望ましいことは明らかであろう。
【0004】
インスリンが脳に存在することと、インスリンレセプタが脳の全体に亘って広く分配されていることは、知られている。しかしながら、成人哺乳類の脳におけるインスリンについて満腹及び体重の調節を超える役割はあまり理解されていなかった。インスリンの効果について、脳内でのインスリンの分配、摂食行動(feeding behavior)に及ぼす効果、ニューロンの電気的活性及び神経修飾(neuromodulation)などは以前に論じられている[Recio-Pinto and Ishii, 1988]。この文献では、シナプス、ニューロン生存、神経突起伸長、並びに培養胚細胞の蛋白質、RNA及びDNA量に及ぼすインスリンの影響についても論じられている。しかしながら、当該技術において、胚ニューロン及び成人ニューロンは、同じ因子に対して、反応しなかったり、異なる反応をすることがよくあることは認識されている。さらに、細胞培養における反応から、インビボにおける効果を予測できないことは認識されている。インスリンが、特に成人哺乳類において、脳の萎縮又は組織の損失を防止できるかどうか、また、糖尿病性脳障害において脳の重量、萎縮又は組織の損失を直接調節できるかどうかについては、本発明の前までは知られていなかった。
【0005】
実際のところ、インスリンが脳に及ぼす直接的効果の理解に対する概念上の障害が、この分野における発展を妨げていた。糖尿病の場合、1型及び2型の糖尿病患者の両方とも、MRIは脳の収縮又は萎縮を示している[Lunetta et al., 1994; Dejgaard et al., 1991; Araki et al., 1994]。そのような萎縮は、脳血管障害から独立している[Araki et al., 1994]。糖尿病患者における神経学的合併症は、高血糖症(高血糖値)によることは臨床医によって広く信じられている。それゆえ、インスリンを用いた治療、つまり膵臓からの放出を増やすか又は体内のインスリン有効性を高める治療は、高血糖(hyperglycemia)を低下させることによって、神経学的合併症を防止すると考えられている。しかしながら、この考え方は、そのような治療により2つの変数が変化するという事実を無視している。インスリンによる糖尿病治療又はインスリンの放出又は有効性を高める経口薬により糖尿病治療は、インスリンレセプタを通る信号伝達を高めることができる。信号伝達がこのように高められると、糖尿病における高血糖が低下する。しかしながら、そのようなインスリンレセプタの信号伝達が向上すると、同時に、グルコース調節に無関係なインスリン応答性遺伝子又はプロセスの発現が変化する。それゆえ、インスリン治療の結果、2つの変数が変化する。インスリンが、高血糖から独立して脳の萎縮を直接防止できる可能性については、これまで、研究されていなかった。
【0006】
学習/記憶の低下が極めて深刻になると、セルフケア能力を喪失する。糖尿病性痴呆[Ott et al., 1999]、老人性痴呆、AIDS痴呆又はアルツハイマー病の患者は、衣服を着たり、食事したり、自分で入浴したり、自分の家へ戻ることができなくなる。養護施設における患者の略半分は、痴呆を有している。糖尿病ラットは、脳萎縮及び学習/記憶低下に関連する脳病又は脳障害のモデルである[Lupien et al., 2003]。これは、ヒトの糖尿病性その他の痴呆で観察される細胞損失に関連する脳萎縮と同様である。アルツハイマー病が、脳インスリン量の低下及びインスリン信号伝達の低下を伴う脳インスリン抵抗性に関連性があることは特に興味深い[Craft et al., 1998; Frolich et al., 1998]。このように、アルツハイマー病は、糖尿病脳萎縮、痴呆及びインスリン信号伝達の低下を有するが、高血糖を有しない。
【0007】
それゆえ、成人の中枢神経系の疾病又は障害で、組織の収縮又は萎縮に関連する中枢神経系の疾病又は障害を治療する効果的な方法の必要性が存在する。
【発明の開示】
【0008】
本発明は、成人の中枢神経系の障害又は疾病で、組織の収縮又は萎縮に関連する障害又は疾病を治療又は予防する薬剤の製造にインスリンを使用することにある。
【0009】
本発明はまた、成人の中枢神経系に関する障害又は疾病で、組織の収縮又は萎縮に関連する障害又は疾病を治療又は予防する方法に関するものである。この方法は、成人患者に対して、薬剤として有効な量のインスリンを投与することを含んでいる。
【0010】
本発明はまた、成人の中枢神経系に関する障害又は疾病で、組織の収縮又は萎縮に関連する障害又は疾病を治療又は予防する方法に関するものであって、約0.001ユニット、より具体的には、体重1kg当たり1日約0.001国際単位(IU)から、約10ユニット、より具体的には、体重1kg当たり1日約10IUまでの量のインスリンを、頭蓋内又は髄腔内に投与するものである。
【0011】
本発明はまた、成人の中枢神経系に関する障害又は疾病で、組織の収縮又は萎縮に関連する障害又は疾病を治療又は予防する方法に関するものであり、成人患者に対して、内因性インスリンの活性を向上させる組成物を、薬剤として有効な量を投与することを含んでいる。
【0012】
当該分野の専門家であれば、図面に関連した本発明の望ましい実施例に関する以下の詳細な記述を参照することにより、本発明の前記及びその他の利点は明らかなものとなるであろう。
【0013】
本発明は、成人の中枢神経系に関する障害又は疾病の治療用又は予防用薬剤の製造のためにインスリンを使用することに関する。また、内因性インスリンの活性を向上させるインスリン又は組成物を用いて、組織の収縮又は萎縮に関連する前記障害又は疾病を治療する方法に関するものである。
【0014】
本発明の一実施例では、成人の中枢神経系に関する障害又は疾病で、組織の収縮又は萎縮に関連する障害又は疾病の治療又は予防用薬剤の製造のためにインスリンの使用を提供するものである。そのような障害又は疾病の具体例として、アルツハイマー病、糖尿病に関連する脳萎縮、パーキンソン病、ハンチントン病、老人性痴呆症、多発性硬化症、後天性免疫不全症候群(AIDS)に関連する痴呆、ピック病、脳梗塞、精神的外傷、シルダーの汎発性脳硬化症、急性壊死性血性脳脊髄炎、変性症症候群、家族性痴呆症及び進行性核上麻痺が挙げられる。
【0015】
特に、インスリンは、ヒトインスリン、ウシインスリン、ブタインスリン又は魚インスリンがある。本発明に有用なインスリンの具体例として、レギュラー(速効型)可溶性インスリン、リスプロインスリン、中性プロタミンハゲドーン(neutral protamine Hagedorn(NPH))(中間型)インスリン、レンテインスリン、ウルトラレンテ(持続型)インスリン、プロタミン亜鉛インスリン又はグラルギンインスリンが挙げられる。さらに具体的には、上記薬剤は、薬剤用の賦形剤(excipient)又は補助剤(adjuvant)をさらに含むことができる。これら賦形剤又は補助剤として、例えば、アセテート、亜鉛、プロタミン、マンニトール、グリシン又はシトレート(citrate)が挙げられる。また、インスリンの投与量は、約0.001ユニット、より具体的には、体重1kg当たり1日約0.001国際単位(IU)から、約10ユニット、より具体的には、体重1kg当たり1日約10IUまでの量である。頭蓋内又は髄腔内に投与する場合、インスリン量は、約0.001ユニット、より具体的には、体重1kg当たり1日約0.001IUから、約5ユニット、より具体的には、体重1kg当たり1日約5IUまでの量が好ましい。
【0016】
本発明の他の実施例では、成人の中枢神経系に関する障害又は疾病で、組織の収縮又は萎縮に関連する障害又は疾病を治療又は予防する方法を提供するものである。この方法は、成人患者に対して、薬剤として有効な量のインスリンを投与することを含んでいる。そのような障害又は疾病の具体例として、アルツハイマー病、糖尿病に関連する脳萎縮、パーキンソン病、ハンチントン病、老人性痴呆症、多発性硬化症、後天性免疫不全症候群(AIDS)に関連する痴呆、ピック病、脳梗塞、精神的外傷、シルダーの汎発性脳硬化症、急性壊死性血性脳脊髄炎、変性症症候群、家族性痴呆症及び進行性核上麻痺が挙げられる。
【0017】
特に、インスリンは頭蓋内又は髄腔内に投与され、その投与量は、約0.001ユニット、より具体的には、体重1kg当たり1日約0.001IUから、体重1kg当たり1日約10IU乃至体重1kg当たり約5IUまでの量である。投与単位は、0.001IU乃至10IUであり、体重1kg当たり1日30ナノグラム乃至0.3ミリグラムのインスリンと略同じである。高純度のインスリンの場合25〜30IU/mgだからである。
【0018】
国際単位(IU)は機能アッセイに基づいており、Bangham et al.(1978)を参照することによって規定される。基本的には、IUは、所定重量のラビット又はマウスにおいてグルコースを所定時間内に所定レベル以下に減じることのできるインスリンの量である。それは機能単位であるので、ブタインスリンの1IUは、他の種のインスリン1IUと同じ活性を有している。インスリンの製造者は、インスリンの強さをIU/mlで表示する。
【0019】
インスリン製剤は、単位当たりに必要なミリグラム数で変化するのでIUで規定される。また、患者におけるインスリンの条件は、例えば、体重、年齢、性別、運動のレベル、食事回数、及び病気、外科処置、精神外傷又は感情的強迫によるストレスに基づいて変化する。インスリン製剤が、頭蓋内、髄腔内又はその他の方法で中枢神経系に直接送られる状況の場合、好ましい投与量は、患者が体内で1日当たり利用又は産生されるインスリンユニットの合計の1日の量の約0.1%〜6%であろう。
【0020】
頭蓋内投与の場合、カテーテルを通して脳の側脳室にインスリンを供給するのにポンプが用いられる。髄腔内投与の場合、インスリンは、脊髄のくも膜下腔又は大槽に送達される。
【0021】
或いはまた、インスリンは鼻腔内に投与することも可能であり、その投与量は、1日当たり、約30ユニット、より具体的には約30IUから、約600ユニット、より具体的には約600IUである。このような鼻腔内送達の場合、インスリンの投与は、中枢神経系の血液−中枢神経系−関門(B−CNS−B)へ輸送することにより、又は嗅覚神経経路ではなく局部鼻循環系を通じて行われる。
【0022】
インスリンの投与は上記ルートの他に、インスリン遺伝子を含むベクターを中枢神経系に注入することもできる。この場合、細胞にインスリン遺伝子をトランスフェクトし、トランスフェクトされた細胞を中枢神経系に移植(transfer)することにより、又はインスリンをリポソームの中に封入し、次にリポソームを中枢神経系に送達することにより、又はマトリックスの中でインスリンを調製し、マトリックスを中枢神経系に移植することによって行なうことができる。インスリン製剤は、単一種の製剤として、又は混合物として用いられることができるし、及び/又は、インスリンの投与は連続的でも間欠的でもよい。
【0023】
インスリンの具体例として、レギュラー可溶性インスリン、リスプロインスリン、中性プロタミンハゲドーン(NPH)インスリン、レンテインスリン、ウルトラレンテインスリン、プロタミン亜鉛インスリン又はグラルギンインスリンが挙げられる。
【0024】
本発明のさらに他の実施例では、成人の中枢神経系に関する障害又は疾病で、組織の収縮又は萎縮に関連する障害又は疾病を治療又は予防する方法を提供するものである。この方法は、インスリンは頭蓋内又は髄腔内に投与され、その投与量は、約0.001ユニット、より具体的には、体重1kg当たり1日約0.001IUから、約10ユニット、より具体的には、体重1kg当たり1日約10IUまでの量であり、好ましくは、約0.001ユニット、より具体的には、体重1kg当たり1日約0.001IUから、約5ユニット、より具体的には、体重1kg当たり1日約5IUまでの量である。
【0025】
本発明のさらに他の実施例では、成人の中枢神経系に関する障害又は疾病で、組織の収縮又は萎縮に関連する障害又は疾病を治療又は予防する方法を提供するものである。この方法は、成人患者に対して、成人患者に対して、内因性インスリンの活性を向上させる組成物を、薬剤として有効な量を投与することを含んでいる。そのような障害又は疾病の具体例として、アルツハイマー病、糖尿病に関連する脳萎縮、パーキンソン病、ハンチントン病、老人性痴呆症、多発性硬化症、後天性免疫不全症候群(AIDS)に関連する痴呆、ピック病、脳梗塞、精神的外傷、シルダーの汎発性脳硬化症、急性壊死性血性脳脊髄炎、変性症症候群、家族性痴呆症及び進行性核上麻痺が挙げられる。さらに、例えば、トルブタミド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリブリド、グリピザイド、グリクラジド、グリメピリド及びメトホルミン等の分子も本発明に適している。
【0026】
本発明の検討により、インスリンが広く作用する神経栄養因子であり、組織の収縮、萎縮及び脳又は脊髄部の損失を含む脳又は脊髄の疾病又は障害を治療できることを初めて明らかにしたものである。そのような障害又は疾病の具体例として、アルツハイマー病、糖尿病に関連する脳萎縮、パーキンソン病、ハンチントン病、老人性痴呆症、多発性硬化症、後天性免疫不全症候群(AIDS)に関連する痴呆、ピック病、脳梗塞、精神的外傷、シルダーの汎発性脳硬化症、急性壊死性血性脳脊髄炎、変性症症候群、家族性痴呆症及び進行性核上麻痺が挙げられる。脳又は脊髄の組織内のインスリン濃度が高められるようにインスリンを投与することによって脳又は脊髄の疾病又は障害を治療する薬剤を製造するために、インスリンを用いることができることがデータに示されている。糖尿病でない患者の場合、末梢循環に投与されたインスリンは、望ましくなくかつ潜在的に危険な低血糖症(hypoglycemia)を引き起こし、意識混濁、昏睡、痙攣の症状を呈し、死に至る可能性もある。低血糖症の危険を回避又は最少にできるようにインスリンを脳へ投入するルートは、脳の萎縮及び脳の質量減少を伴う脳疾患又は障害をもつ動物モデルを用いて研究した。
【0027】
また、本発明の検討により、脳組織の萎縮又は損失がある様々な条件下での脳の疾病又は障害を予防又は改善するのにインスリンが有効であることを明らかにした。そのような障害又は疾病の具体例として、アルツハイマー病、糖尿病に関連する脳萎縮、パーキンソン病、ハンチントン病、老人性痴呆症、多発性硬化症、後天性免疫不全症候群(AIDS)に関連する痴呆、ピック病、脳梗塞、精神的外傷、シルダーの汎発性脳硬化症、急性壊死性血性脳脊髄炎、変性症症候群、家族性痴呆症及び進行性核上麻痺が挙げられる。
【0028】
例えば、脳梗塞は、脳血管障害又は低酸素性・虚血性発作によるものである。脳の萎縮又は退化に関連する疾病として、脳葉萎縮、小頭症、水頭症、ウェルニッケ・コルサコフ症候群、ニーマン・ピック病、ゴーシェ病、白質ジストロフィー、ファブリ病が挙げられる。
【0029】
本発明の検討により、痴呆の動物モデルを治療するのにインスリンが有効であることが明らかになり、これは、痴呆(糖尿病性痴呆、アルツハイマー病、パーキンソン病、AIDS痴呆、脳梗塞や精神的外傷に関連する学習及び記憶障害を含む)に関連する組織又は細胞の損失である脳の疾病又は障害を治療するのにインスリンを用いることができることを示唆している。
【0030】
インスリンは、組み換えDNA技術によって作ることができる。ヒト、ウシ、ブタ及び魚を含む様々な種(species)からのインスリンの完全アミノ酸配列は知られている。動物インスリンは、組織から精製することができるし、組み換えcDNAから作ることもできる。
リスプロは、、アミノ酸残基がB28とB29で入れ替わっているヒトインスリンのアナログである。アスパルトインスリンは、アスパラギン酸がB28でプロリンと置換されているヒトインスリンのアナログでもある。中性プロタミンハゲドーンは、NPHインスリンであり、イソフェンインスリン懸濁としても知られている。レンテインスリンは、インスリン亜鉛懸濁である。ウルトラレンテは結晶化されているが、セミレンテは酢酸緩衝液での非晶質インスリンである。プロタミン亜鉛は、プロタミンと亜鉛を含む複合体で、インスリンの半減期を延長させる。グラルギンインスリンは、2つのアルギニン残基がB鎖のC末端に加えられ、A鎖のA21位置でグリシンがアスパラギンと置換したヒトインスリンである。インスリンの作用時間を変えるために、作用時間が長いインスリン製剤及び短いインスリン製剤を種々混合することもできる。これらのヒトインスリン及び動物インスリンは商業的に入手可能であり、これまでヒト患者の治療に用いられており、これらの精製及び調製方法については当該分野で知られている。インスリン製剤は、インスリン含有薬剤を安定化させ、緩衝作用を行ない、半減期を延長させ、その他性能改善を行なうために、様々な医薬品賦形剤又は補助剤を含めることができる。賦形剤又は補助剤として、例えば、アセテート、亜鉛、プロタミン、マンニトール、グリシン又はシトレートが挙げられる。健康でやせた成人における通常のインスリン産生量は、体重1kg当たり1日約0.5IUであり、これに対し、2型肥満の糖尿病患者は、インスリン抵抗により、体重1kg当たり1日約2IUを必要とする。
【0031】
本発明において、インスリンの好ましい投与ルートは、中枢神経系の中に有効量のインスリンを送達すること、その際好ましくない低血糖症が起こらないようにすることを目的としている。インスリン(例えば、インスリンの製造又はインスリン遺伝子を含むベクター)は、血液−中枢神経系−関門(B−CNS−B)を通ることができ、また存在しなければならない。また、インスリン遺伝子を含むベクターの場合、そのようなインスリン遺伝子は、病気を治療するのに十分な量が患部に発現されなければならない。また、患部へ送達されるインスリン量又は患部で発現するインスリン量は、毒性を避けるために、過剰であってはならない。インスリンが過剰で存在するときの毒性として、死に到る可能性のある低血糖症がある。
【0032】
インスリンを用いて中枢神経系の障害及び疾病を治療するのに、様々な投与ルートを用いることができる。例えば、頭蓋内投与の場合、インスリンを、機械的力又は浸透力によって駆動するポンプに接続されたカテーテルから側脳室へ注入することができる。また、脊髄を治療する場合、クモ膜下腔の中へ注入することもできる。他の投与ルートとして、インスリン遺伝子を、適当なプロモータの制御下で適当なベクターにクローニングし、脳又は脊髄へベクターを直接注入することができる。或いはまた、インスリン遺伝子を含むベクターを最初に細胞(患者の細胞を含む)の中へトランスフェクトし、中枢神経系の中でインスリンを長期間産生するために、トランスフェクトされた細胞を脳又は脊髄へ移植することもできる。他の投与ルートとして、インスリンをマトリックスの中で調製し、該マトリックスを中枢神経系の中に移植して、インスリンをゆっくりと放出させることもできる。或いはまた、インスリンをリポソームの中に封入し、次にリポソームを注入してインスリンを血液−中枢神経系−関門(B−CNS−B)を通って送達することもできる。なお、血液−中枢神経系−関門(B−CNS−B)は、血液−脳−関門(BBB)又は血液−脊髄−関門(B−SC−B)でもよい。さらに可能な他のルートとして、インスリンを鼻腔内に投与することもできる。この場合、高度に血管化された鼻腔の区画部の中で局所濃度が高いインスリンが、血液−脳−関門を通って脳血管の流体へ効率良く送達されることができる。鼻腔内のインスリンは、体循環中に希釈されるため、低血糖症が回避される。鼻腔内のインスリンは、液体、懸濁液又は粉末として調製されることができる。鼻腔内に投与する場合、摂取を完全に行なうことができないので、全部頭蓋内又は髄腔内への送達の場合よりもインスリンを多く投与する必要がある。好ましい効果的な投与量は、1日あたり約30〜約600IUであり、3〜4回に分けて投与する。
【0033】
なお、インスリンの皮下投与ルート又は筋肉内投与ルートは好ましくない。これらの投与ルートでは、全身のグルコース濃度を低下させるので、特に糖尿病でない高齢患者に低血糖症を引き起こす可能性がある。
【0034】
前述した好ましい投与ルートを通じて、内因性インスリンの活性を高める小組成物を中枢神経系に投与することにより、中枢神経系の疾病又は障害における萎縮、収縮又は組織損失を防止することができる。このような小分子として、トルブタミド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリブリド、グリピザイド、グリクラジド、グリメピリド及びメトホルミンを挙げることができる。これらの分子は、商業的に製造され、その製造方法は知られている。このような小分子は、1型糖尿病に関連する糖尿病性痴呆に用いるべきではない。この障害で産生されるインスリン量はあまりにも不十分であるため、これら小分子を有効にすることができないからである。しかしながら、このような小分子は、糖尿病でない高齢患者や2型糖尿病患者には使用可能である。
【実施例】
【0035】
以下の実施例は、発明の様々な実施例を説明するために提示されるもので、いかなる意味でも発明を限定するものと解すべきではない。
【0036】
<材料及び方法>
成人ラットをランダムにグループ分けし、1つのグループについて、糖尿病を誘発させるために、ストレプトゾトシンで処理した(非糖尿病12ラット;糖尿病9ラット)。ストレプトゾトシンは、膵臓のベータ細胞と結合して破壊するので、インスリンの産生ができなくなる。12週間後、ラットを安楽死させ、1本のナイフを用いて小脳の吻端部を摘出した。湿重量を求め、脳を緩衝剤の中で均質化処理し、液体窒素の中で急速冷凍し、−70℃で保存した。標本を凍結乾燥機の中で乾燥し、乾重量を求めた。色素結合アッセイを用いて、標本から脳当たりの蛋白質量を求めた。脳当たりのDNA量は、ヘキスト染色33258及び蛍光光度法(標準濃度曲線にサーモン精子DNAを用いた)を用いて求めた。値はグループ平均である。CSSスタティスティカ・ソフトウエア・パッケージを用いて、平均についてNewman-Keuhls多重比較を計算した。
【0037】
表1は、痴呆に関連した脳萎縮をもつラットモデルにおいて、脳の湿重量、乾重量、DNA及び蛋白質減少が有意であったことを示している。組織の乾重量は、DNA、RNA、蛋白質、脂質及び小分子を含む組織の非水系成分全部から成る。脳の萎縮は、脳の蛋白質量及び脳のDNA量の有意の減少と関連があることがさらに示されている。ラットの脳には、約1000億の細胞がある。脳DNAの9%つまり90億の細胞の減少は、細胞減少が有意であることを示している。同様に処理されたラットは、水迷路学習能試験(Morris Water Maze)[Lupien et al., 2003]において、糖尿病ラットは非糖尿病ラットに比べて学習及び記憶が有意に損なわれていることがわかった。このように、脳の疾病及び障害をもつこのモデルでは、脳の萎縮は、認知機能の低下と関係がある。
【0038】
【表1】

【0039】
<脳萎縮の治療におけるインスリンの効果>
成人ラットをランダムに処理グループの分けて、そのうちの幾つかのグループについて、糖尿病を誘発するために、ストレプトゾトシンで処理した。アルゼット浸透圧ポンプ(ポンピング率0.5μl/hour)をカテーテルに接続し、該カテーテルを通して、人工脳脊髄液(D+aCSF)又は1日体重1kgあたり0.3Uインスリン(D+インスリン)を、糖尿病ラットの側脳室に10週間送達した。ポンプは2週間毎に交換した。脳を取り除いて、湿重量を測定した。水の重さは、脳の湿重量と乾重量との差として計算した。結果を図1A乃至図1Cに示しており、値は、平均±SEM(N=7ラット/グループ)である。CSSスタティスティカ・ソフトウエア・パッケージを用いて、平均についてNewman-Keuhls多重比較を計算した。
【0040】
D+aCSFグループに対する非糖尿病ラットグループの*P<0.01は、糖尿病ラットにおける脳萎縮が有意であったことを示している。D+aCSFグループに対するD+インスリングループのP<0.02は、インスリンが脳萎縮(脳の湿重量及び乾重量の減少を含む)を防止したことを示している(図1A〜図1Cを参照)。さらに、インスリンの投与量が少なすぎたため、高血糖を低下させることはできなかった(図2A参照)。
【0041】
図1A乃至図1Cと同じ実験において、ラットの体重を測定し、安楽死の前に、10周目で尾部の血液を採取してグルコースアッセイを行なった。値は、平均±SEMである。CSSスタティスティカ・ソフトウエア・パッケージを用いて、平均についてNewman-Keuhls多重比較を計算した。図2A及び図2Bを参照すると、前述のインスリン処理は高血糖症には効果がなかったが、それでも、部分的には、体重の減少を防止した。図2Aは、血清のグルコースレベルを示している。D+aCSF又はD+インスリンのラットに対して非糖尿病ラットの*P<0.01は、糖尿病ラットの両グループとも高血糖が有意であることを示している。D+aCSFラットに対するD+インスリンの有意でないp値は、インスリン治療では高血糖が低下しなかったことを示している。図2Bはラットの体重を示している。D+aCSFグループに対する非糖尿病ラットの*P<0.01、及びD+aCSFグループに対するD+インスリンがP<0.02は、インスリンが、高血糖から独立して体重の減少を部分的に防止できることを示している。
【0042】
脳内のインスリンの濃度が高くなると糖尿病ラットの脳重量を完全に正常化させた。脳脊髄液(CSF)の中のインスリンは、上矢状洞(superior saggital sinus)を出て、循環系に放出されて希釈される。それゆえ、脳の外部で存在するインスリンは、極く低濃度である。このような低濃度のインスリンは、部分的にだけ、体重の減少を防止したが(図2B参照)、高血糖を低下させるには不十分であった(図2A参照)。
【0043】
少量のインスリンが、高血糖は無理でも、体重の減少を部分的に防止することができる能力は、おそらく、インスリンが遺伝子を直接調節できる能力を有することによる。患者のグルコースレベルが一定に維持されるグルコースクランプ実験では、遺伝子チップアレイ実験での筋生検において、700を超える異なる遺伝子の発現を調節できることが見出された。その結果、インスリンは、グルコースから独立して体内で遺伝子の発現を調節することができる。本発明の検討において、脳は高血糖から独立したインスリン応答性器官でもあることがわかった。インスリンは、脳重量を維持するために、大量の遺伝子の発現を調節することもできる。
【0044】
<考察>
本発明は、インスリンが哺乳類の脳重量を直接調節できることを初めて明らかにしたものであり、糖尿病における脳萎縮は、インスリンの脳に対する直接活性の喪失によるものであることを示唆している。アルツハイマー病の脳萎縮は、今では、脳のインスリン信号伝達の低下の結果によるものと理解されることができる。老化において、インスリン抵抗性の発達が遅延すると、脳の収縮及び老人性痴呆の遅延に寄与することになる。本発明では、インスリン治療により、脳の収縮又は萎縮を防止することができ、さらには、脳劣化の進展を防止することができる。
【0045】
脳萎縮の防止及び脳細胞の維持作用を有するインスリンの能力について説明したが、脊髄におけるインスリン効果を考察する実験については、高血糖を低下させない条件下で、インスリンを成人糖尿病ラットの髄腔内から脊髄の中へ注入することによって行なうこともできる。脊髄の疾病又は障害を治療するには、体重1kg当たり1日約0.001IUから、体重1kg当たり1日約10IUまでの量が有効であると考えられる。考察結果では、糖尿病ラットの脊髄萎縮には、乾重量、DNA及び蛋白質に減少又は損失のあることがわかった。インスリンは、高血糖から独立して、そのような脊髄萎縮、組織収縮、組織損失を防止できることがわかった。本発明の範囲から逸脱することなく、インスリンは、精神的外傷及び筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis)を含む脊髄疾病又は障害を治療するのに用いられることができる。
【0046】
本発明の幾つかの態様について説明したが、本発明はそれらに限定されるものではなく、当該分野の専門家であれば、特許請求の範囲から逸脱することなく様々な変形をなすことはできるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1A、図1B及び図1Cは、本発明に係るもので、インスリンが脳の萎縮を防止することを示すグラフである。
【図2】図2A及び図2Bは、図1A乃至図1Cに示すインスリンの治療について、高血糖への影響は全くないこと、及び体重の減少を部分的に防止することを示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成人の中枢神経系の障害又は疾病を治療又は予防する薬剤であって、前記障害又は疾病は組織の収縮又は萎縮に関連するものである薬剤の製造へのインスリンの使用。
【請求項2】
障害又は疾病は、アルツハイマー病、糖尿病に関連する脳萎縮、パーキンソン病、ハンチントン病、老人性痴呆症、多発性硬化症、後天性免疫不全症候群(AIDS)に関連する痴呆、ピック病、脳梗塞、精神的外傷、シルダーの汎発性脳硬化症、急性壊死性血性脳脊髄炎、変性症症候群、家族性痴呆症又は進行性核上麻痺である請求項1の使用。
【請求項3】
薬剤は、医薬品に用いられる賦形剤又は補助剤をさらに含んでいる請求項1の使用。
【請求項4】
賦形剤又は補助剤は、アセテート、亜鉛、プロタミン、マンニトール、グリシン又はシトレートである請求項3の使用。
【請求項5】
インスリンは、ヒトインスリン、ウシインスリン、ブタインスリン又は魚インスリンである請求項1乃至請求項4の何れかの使用。
【請求項6】
インスリンは、レギュラー可溶性インスリン、リスプロインスリン、中性プロタミンハゲドーン(NPH)インスリン、レンテインスリン、ウルトラレンテインスリン、プロタミン亜鉛インスリン又はグラルギンインスリンである請求項1乃至請求項4の何れかの使用。
【請求項7】
薬剤は、体重1kg当たり1日約0.001IUから、体重1kg当たり1日約10IUまでの量のインスリンを投与する形である請求項1乃至請求項4の何れかの使用。
【請求項8】
薬剤は、体重1kg当たり1日約0.001IUから、体重1kg当たり1日約5IUまでの量のインスリンを投与する形である請求項1乃至請求項4の何れかの使用。
【請求項9】
成人の中枢神経系の障害又は疾病であり、組織の収縮又は萎縮に関連するものである障害又は疾病を治療する方法であって、成人患者に対し、薬剤として有効な量のインスリンを投与することを含んでいる、方法。
【請求項10】
障害又は疾病は、アルツハイマー病、糖尿病に関連する脳萎縮、パーキンソン病、ハンチントン病、老人性痴呆症、多発性硬化症、後天性免疫不全症候群(AIDS)に関連する痴呆、ピック病、脳梗塞、精神的外傷、シルダーの汎発性脳硬化症、急性壊死性血性脳脊髄炎、変性症症候群、家族性痴呆症又は進行性核上麻痺である請求項9の方法。
【請求項11】
インスリンは頭蓋内又は髄腔内に投与され、投与量は、体重1kg当たり1日約0.001IUから、体重1kg当たり1日約10IUまでの量である請求項9の方法。
【請求項12】
インスリンは頭蓋内又は髄腔内に投与され、投与量は、体重1kg当たり1日約0.001IUから、体重1kg当たり1日約5IUまでの量である請求項11の方法。
【請求項13】
インスリンはポンプによって頭蓋内に投与され、インスリンはカテーテルを通して成人の脳の側脳室に送られる請求項11又は請求項12の方法。
【請求項14】
インスリンは髄腔内に投与され、成人の脊髄のくも膜下腔又は大槽の中へ投与される請求項11又は請求項12の方法。
【請求項15】
インスリンは鼻腔内に投与され、投与量は、1日につき約30IU〜約600IUである請求項9の方法。
【請求項16】
インスリンの鼻腔内への投与は、インスリンを、成人の中枢神経系の血液−中枢神経系−関門(B−CNS−B)の中へ、又は局部鼻循環系を通して輸送することによって行われる請求項15の方法。
【請求項17】
インスリンは、インスリン遺伝子を含むベクターを、成人の中枢神経系に注入することによって投与される請求項9の方法。
【請求項18】
インスリンの投与は、細胞にインスリン遺伝子をトランスフェクトし、トランスフェクトされた細胞を成人の中枢神経系に移植することによって行われる請求項9の方法。
【請求項19】
インスリンの投与は、インスリンをリポソームの中に封入し、封入されたリポソームを成人の中枢神経系に送達することによって行われる請求項9の方法。
【請求項20】
インスリンの投与は、マトリックスの中でインスリンを調製し、マトリックスを成人の中枢神経系に移植することによって行なわれる請求項9の方法。
【請求項21】
インスリンは、ヒトインスリン、ウシインスリン、ブタインスリン又は魚インスリンである請求項9の方法。
【請求項22】
インスリンは、レギュラー可溶性インスリン、リスプロインスリン、中性プロタミンハゲドーン(NPH)インスリン、レンテインスリン、ウルトラレンテインスリン、プロタミン亜鉛インスリン又はグラルギンインスリンである請求項9の方法。
【請求項23】
成人の中枢神経系の障害又は疾病で、組織の収縮又は萎縮に関連する障害又は疾病を治療又は予防する方法であって、成人患者に対し、体重1kg当たり1日約0.001IUから、体重1kg当たり1日約10IUまでの量のインスリンを、頭蓋内又は髄腔内に投与することを含んでいる、方法。
【請求項24】
インスリンの投与量は、体重1kg当たり1日約0.001IUから、体重1kg当たり1日約5IUまでの量である請求項23の方法。
【請求項25】
成人の中枢神経系の障害又は疾病で、組織の収縮又は萎縮に関連する障害又は疾病を治療又は予防する方法であって、内因性インスリンの活性を高める組成物を、成人患者に対し、薬剤として有効な量を投与することを含んでいる、方法。
【請求項26】
障害又は疾病は、アルツハイマー病、糖尿病に関連する脳萎縮、パーキンソン病、ハンチントン病、老人性痴呆症、多発性硬化症、後天性免疫不全症候群(AIDS)に関連する痴呆、ピック病、脳梗塞、精神的外傷、シルダーの汎発性脳硬化症、急性壊死性血性脳脊髄炎、変性症症候群、家族性痴呆症又は進行性核上麻痺である請求項25の方法。
【請求項27】
組成物は、トルブタミド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリブリド、グリピザイド、グリクラジド、グリメピリド及びメトホルミンである請求項25の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−515885(P2009−515885A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540195(P2008−540195)
【出願日】平成18年11月10日(2006.11.10)
【国際出願番号】PCT/US2006/043667
【国際公開番号】WO2007/058902
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(304033041)オーロゲン インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】