説明

組電池の電圧検出装置

【課題】電池ブロックの電圧を測定する機器に異常が発生したことを高精度に検知することが可能な組電池の電圧検出装置を提供する。
【解決手段】各単位電池BT1〜BT4の正極とマルチプレクサ12の各端子T1〜T4とを接続線L1〜L4を介して接続し、更に、この接続線と単位電池との間にスイッチSW11〜SW14を設ける。また、第1〜第4の直列接続回路N1〜N4を設け、各直列接続回路N1〜N4を各接続線L1〜L4に接続して、各接続線L1〜L4に参照電圧を印加する。次いで、各スイッチSW11〜SW14をオフとした状態で、各接続線L1〜L4に参照電圧を印加し、この参照電圧をマルチプレクサ12で選択し、レベルシフトした後にA/D変換器13でディジタル化する。そして、このディジタル化された電圧に基づいて、マルチプレクサ12、レベルシフト回路11、及びA/D変換器13に異常が発生しているか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の単位電池を直列に接続して所定の電圧を出力する組電池において、各単位電池の出力電圧が正常であるか否かを検出する電圧検出装置に係り、特に、電圧測定に係る各種機器が正常に作動しているか否かを診断する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車に搭載される二次電池は、所定の電圧を出力する複数の単位電池を直列に接続し、この直列接続回路の両端に例えば200V等の高電圧を発生させ、この電力を用いて駆動用モータを駆動させる。このような複数の単位電池を直列に接続した組電池は、各単位電池が経年使用により劣化することがあり、劣化した単位電池をいち早く検出して修復するために、従来より組電池に電圧検出装置を設けて、各単位電池の充電電圧が正常であるか否かを検出している。
【0003】
このような従来の電圧検出装置として、例えば、特開2010−58244号公報(特許文献1)に記載されたものが知られている。該特許文献1では、一定の電圧値とされるアナログの基準電圧をA/D変換器でディジタル化し、ディジタル化された電圧データと基準データとを対比し、双方が一致した場合には、A/D変換器は正常であると判別し、一致しない場合にはA/D変換器が異常であると判別することが開示されている。
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載された電圧検出装置では、A/D変換器に異常が発生した場合には、これを検出することができるものの、A/D変換器に至るまでの測定機器にて異常が発生した場合にはこれを検出することができないという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−58244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、特許文献1に記載された電圧検出装置では、組電池を構成する複数の電池セルの電圧を測定する(アナログの電圧信号をディジタル化する)A/D変換器に異常が発生した場合にはこれを検出することができるものの、電池セルからA/D変換器に至るまでに設けられる各種の測定機器に異常が発生した場合には、これを検出することができないという問題が発生していた。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、電池ブロックの電圧を測定する機器に異常が発生したことを高精度に検知することが可能な組電池の電圧検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本願請求項1に記載の発明は、1以上の単位電池からなる電池ブロックを複数個直列接続して、該直列接続の両端に所望の電圧を発生させる組電池の、前記各電池ブロック毎の出力電圧を検出する電圧検出装置において、前記各電池ブロックの正極側端子に接続用配線を介して接続され、前記各正極側端子に生じる電圧に基づいて、前記各電池ブロックの出力電圧を選択する電圧選択手段(例えば、マルチプレクサ12)と、前記各正極側端子と、前記各接続用配線との間にそれぞれ設けられる第1のスイッチ(例えば、第1のスイッチ群15)と、前記電圧選択手段にて選択された出力電圧信号をディジタル化するA/D変換手段(例えば、A/D変換器13)と、前記各接続用配線に、それぞれ異なるレベルの参照電圧を供給する参照電圧出力手段(例えば、直列接続回路N1〜N4)と、前記参照電圧出力手段より出力される参照電圧の、前記各接続用配線への供給、遮断を切り替える第2のスイッチ(例えば、SW21,SW22)と、前記各電池ブロックの出力電圧を検出する際には、前記第1のスイッチを接続し、第2のスイッチを遮断し、前記電圧選択手段及びA/D変換手段の故障診断時には、前記第1のスイッチを遮断し、第2のスイッチを接続する制御を行う切り替え制御手段(例えば、制御器14)と、前記故障診断時には、前記A/D変換手段より出力される電圧信号に基づいて、前記電圧選択手段或いはA/D変換手段に故障が発生しているか否かを判定する故障検出手段(例えば、制御器14)と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記参照電圧出力手段は、前記各接続用配線毎に、2個の抵抗を含む直列接続回路を有し、前記2個の抵抗の中間点は前記接続用配線に接続され、前記各直列接続回路の一端は直流電源に接続され、前記2個の抵抗の抵抗値を適宜設定することにより、前記各接続配線に供給する電圧を設定することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記各直列接続回路は、共通の直流電源に接続されることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記電池ブロックは、1つの単位電池から構成されることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記組電池は、車両に搭載される二次電池であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る組電池の電圧検出装置では、電圧選択手段及びA/D変換手段の診断時においては、各接続線に電圧値が予め決められている参照電圧を印加し、この参照電圧をA/D変換手段でディジタル化し、このディジタル化された電圧信号に基づいて電圧選択手段及びA/D変換手段の診断を行う。従って、電圧の測定に係る測定機器全体の異常を検出することができ、迅速且つ高精度な異常検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る組電池の電圧検出装置の構成を示す回路図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る組電池の電圧検出装置の、処理動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の変形例に係る組電池の電圧検出装置の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る組電池の電圧検出装置、及び該電圧検出装置に接続される組電池の構成を示すブロックである。図1に示すように、組電池51は、例えば電気自動車に設けられる二次電池として用いられ、互いに直列接続された4個の単位電池BT1〜BT4(例えば、リチウムイオン電池)を備えている。なお、本実施形態では、説明を容易にするため4個の単位電池BT1〜BT4を示しているが、単位電池の個数が1個〜3個、或いは5個以上であっても良い。
【0016】
また、図1に示す電圧検出装置は、各単位電池BT1〜BT4の出力電圧を選択するマルチプレクサ(電圧選択手段)12と、該マルチプレクサ12で選択された電圧信号をレベルシフトするレベルシフト回路11と、レベルシフトされた電圧信号をディジタル化するA/D変換器(A/D変換手段)13、及び該A/D変換器13の後段に配置される制御器14を備えている。
【0017】
制御器14は、A/D変換器13より出力される電圧信号に基づき、測定した電圧に異常が発生しているか否かを判断し、電圧異常が発生している場合には後段に設けられる警報装置(図示省略)等に警報信号を出力すると共に、マルチプレクサ12及びA/D変換器13の動作を診断する際には、後述する各スイッチSW1〜SW14(第1のスイッチ)、SW21,SW22(第2のスイッチ)にスイッチ切り替え信号を出力する。
【0018】
即ち、制御器14は、故障診断時には、A/D変換器13より出力される電圧信号に基づいて、マルチプレクサ12或いはA/D変換器13に故障が発生しているか否かを判定する故障検出手段としての機能を備えている。また、制御器14は、各電池ブロック(単位電池BT1〜BT4)の出力電圧を検出する際には、第1のスイッチ(SW11〜SW14)を接続し、且つ第2のスイッチ(SW21,SW22)を遮断し、マルチプレクサ12及びA/D変換器13の故障診断時には、第1のスイッチを遮断し、且つ第2のスイッチを接続する制御を行う切り替え制御手段としての機能を備えている。
【0019】
一方、組電池51を構成する各単位電池BT1〜BT4の正極は、スイッチSW11〜SW14からなる第1のスイッチ群15、及び接続線L1〜L4を介して、マルチプレクサ12の端子T1〜T4に接続されている。即ち、単位電池BT1の正極は、スイッチSW11を介して接続線L1の一端に接続され、この他端はマルチプレクサ12の端子T1に接続されている。単位電池BT2の正極は、スイッチSW12を介して接続線L2の一端に接続され、この他端はマルチプレクサ12の端子T2に接続されている。単位電池BT3の正極は、スイッチSW13を介して接続線L3の一端に接続され、この他端はマルチプレクサ12の端子T3に接続されている。単位電池BT4の正極は、スイッチSW14を介して接続線L4の一端に接続され、この他端はマルチプレクサ12の端子T4に接続されている。また、単位電池BT1の負極はグランドに接続されている。
【0020】
更に、図1に示す電圧検出装置は、直流電源VBに接続されたスイッチSW21、及びグランドに接続されたスイッチSW22を備えており、各スイッチSW21,SW22間には、4系統の直列接続回路(第1〜第4の直列接続回路N1〜N4;参照電圧出力手段)が設けられている。
【0021】
第1の直列接続回路N1は、抵抗Ra1、ダイオードD1,D2、及び抵抗Rb1が直列に接続されている。第2の直列接続回路N2は、抵抗Ra2、ダイオードD1,D2、及び抵抗Rb2が直列に接続されている。第3の直列接続回路N3は、抵抗Ra3、ダイオードD1,D2、及び抵抗Rb3が直列に接続されている。第4の直列接続回路N4は、抵抗Ra4、ダイオードD1,D2、及び抵抗Rb4が直列に接続されている。
【0022】
そして、第1の直列接続回路N1は、ダイオードD1とD2の間の点P1にて、接続線L1に接続されている。従って、スイッチSW21,SW22が共にオンの場合には、直流電源VBの電圧を抵抗Ra1とRb1で分圧した電圧が点P1に印加されることになる。なお、ここではダイオードD1,D2による電圧降下分を無視している。
【0023】
また、第2の直列接続回路N2は、ダイオードD1とD2の間の点P2にて、接続線L2に接続されている。従って、スイッチSW21,SW22が共にオンの場合には、直流電源VBの電圧を抵抗Ra2とRb2で分圧した電圧が点P2に印加されることになる。
【0024】
第3の直列接続回路N3は、ダイオードD1とD2の間の点P3にて、接続線L3に接続されている。従って、スイッチSW21,SW22が共にオンの場合には、直流電源VBの電圧を抵抗Ra3とRb3で分圧した電圧が点P3に印加されることになる。
【0025】
第4の直列接続回路N4は、ダイオードD1とD2の間の点P4にて、接続線L4に接続されている。従って、スイッチSW21,SW22が共にオンの場合には、直流電源VBの電圧を抵抗Ra4とRb4で分圧した電圧が点P4に印加されることになる。
【0026】
次に、上述のように構成された本実施形態に係る電圧検出装置の処理動作を、図2に示すフローチャートを参照して説明する。この処理は、制御器14の制御により実行される。
【0027】
初めに、制御器14は、単位電池BT1〜BT4の電圧監視処理を実行するか、或いは電圧測定機器(マルチプレクサ12からA/D変換器13までの各種機器)の診断処理処理を行うかを判断する(ステップS10)。
【0028】
そして、単位電池BT1〜BT4の電圧監視処理を実行する場合には(ステップS10で「電池電圧の監視」)、第1のスイッチ群15を全てオンとする(ステップS11)。次いで、スイッチSW21,SW22をオフとする(ステップS12)。
【0029】
従って、図1に示す各スイッチSW11〜SW14がオンとなり、各単位電池BT1〜BT4の正極に生じる電圧が各接続線L1〜L4を介してマルチプレクサ12の各端子T1〜T4に供給される。例えば、単位電池BT1の正極の電圧として2.0Vの電圧が端子T1に供給され、単位電池BT2の正極の電圧として4.1Vが端子T2に供給され、単位電池BT3の正極の電圧として6.3Vが端子T3に供給され、単位電池BT4の正極の電圧として8.6Vが端子T4に供給される。
【0030】
また、スイッチSW21,SW22が共にオフとされるので、直流電源VBからの出力電圧は供給されない。また、各直列接続回路N1〜N4には、ダイオードD1,D2が設けられているので、各接続線L1〜L4どうしが直列接続回路N1〜N4を経由して短絡されることは無い。
【0031】
マルチプレクサ12により選択されたアナログの電圧信号は、レベルシフト回路11を介してA/D変換器13に供給される。このA/D変換器13では、各端子T1〜T4に供給される電圧に基づいて、各単位電池BT1〜BT4の出力電圧を測定することができる。具体的には、単位電池BT1の出力電圧は2.0Vであり、単位電池BT2の出力電圧は「4.1−2.0=2.1V」であり、単位電池BT3の出力電圧は「6.3−4.1=2.2V」であり、単位電池BT4の出力電圧は「8.6−6.3=2.3V」であることが測定される。
【0032】
そして、A/D変換器13でディジタル化された各単位電池BT1〜BT4の測定結果が制御器14に出力される(ステップS13)。
【0033】
制御器14は、検出された各単位電池BT1〜BT4の電圧情報を後段に設けられる表示装置、警報装置等(図示省略)に出力する(ステップS14)。こうして、操作者は各単位電池BT1〜BT4の出力電圧を認識することができ、出力電圧に異常が発生している場合には、これに対処することができる。
【0034】
一方、例えば、電源の投入時、或いは所定時間の経過毎に、電圧検出装置の回路診断処理が実行される。この場合に、ステップS10の処理で「回路診断」となる。
【0035】
回路診断が選択されると、制御器14は、第1のスイッチ群15を全てオフとする(ステップS15)。次いで、スイッチSW21,SW22を共にオンとする(ステップS16)。
【0036】
その結果、点P1には、直流電源VBの出力電圧を抵抗Ra1とRb1で分圧した電圧が印加される。同様に、点P2には、直流電源VBの出力電圧を抵抗Ra2とRb2で分圧した電圧が印加され、点P3には、直流電源VBの出力電圧を抵抗Ra3とRb3で分圧した電圧が印加され、点P4には、直流電源VBの出力電圧を抵抗Ra4とRb4で分圧した電圧が印加されることになる。
【0037】
この際、各抵抗Ra1〜Ra4、及び各抵抗Rb1〜Rb4の大きさを適宜設定することにより、各点P1〜P4に発生する電圧値を所望の値に設定することができる。例えば、点P1に電圧2Vを発生させ、点P2に電圧4Vを発生させ、点P3に電圧6Vを発生させ、点P4に電圧8Vを発生させること等が可能となる。これらの電圧は、直流電源VBより出力される電圧を分圧して生成しているので、極めて高い精度で発生させることができる。
【0038】
そして、各点P1〜P4に発生した電圧は、マルチプレクサ12の端子T1〜T4に供給されるので、該マルチプレクサ12では、各点間(P1〜グランド間、P2〜P1間、P3〜P2間、P4〜P3間)の電圧を選択し、レベルシフトした後、A/D変換器13に出力して各電圧信号をディジタル化する。このディジタル化された電圧信号は制御器14にて取得される(ステップS17)。
【0039】
制御器14は、取得した参照電圧が正常であるか否かを判断し(ステップS18)、正常であれば(ステップS18でYES)、電圧測定機器(マルチプレクサ12からA/D変換器13までの機器)は正常に動作しているものと判断して回路診断処理を終了する。他方、参照電圧が正常でなければ(ステップS18でNO)、電圧測定機器に異常が発生しているものと判断して、警報装置(図示省略)等に警報信号を出力し(ステップS19)、操作者に対して異常の発生を報知する。こうして、操作者は、電圧測定機器に異常が発生していることを即時に認識することができるのである。
【0040】
このようにして、本実施形態に係る組電池の電圧検出装置では、各単位電池BT1〜BT4の出力電圧を測定する場合には、第1のスイッチ群15を全てオンとし、且つスイッチSW21,SW22をオフとして電圧測定処理を行う。
【0041】
また、回路診断時には、第1のスイッチ群15を全てオフとし、且つスイッチSW21,SW22をオンとすることにより、各接続線L1〜L4に所望の参照電圧を印加し、マルチプレクサ12の各端子T1〜T4に参照電圧を供給する。そして、この参照電圧がA/D変換器13でディジタル化された後、制御器14に供給されるので、制御器14では、各端子T1〜T4間の電圧に基づいて、電圧測定機器(マルチプレクサ12からA/D変換器13までの機器)が正常に作動しているか否かを判断することができる。その結果、マルチプレクサ12、及びA/D変換器13のいずれかに異常が発生していることを認識することができ、電圧測定機器についての総括的な異常検出が可能となる。
【0042】
また、各直列接続回路N1〜N4には、それぞれダイオードD1,D2が設けられているので、第1のスイッチ群15がオンで、スイッチSW21,SW22がオフとされているときに、各接続線L1〜L4間で電流が回り込むことを防止できる。
【0043】
更に、各点P1〜P4に生じる電圧は、抵抗Ra1〜Ra4、及び抵抗Rb1〜Rb4による分圧比を決めることにより任意に設定することができるので、電圧設定の汎用性が向上する。また、各直列接続回路N1〜N4は、同一の直流電源VBに接続されて参照電圧を生成するので、直流電源VBの出力電圧が変動した場合でも、各点P1〜P4に生じる電圧は相対的に変動するので、全体的には電圧変動の影響を受けることなく、電圧測定機器の診断処理を実行することができる。
【0044】
また、車両に搭載されるリチウムイオン電池等の単位電池に対して本実施形態に係る診断機能を適用することにより、電圧測定機器(マルチプレクサ12からA/D変換器13までの機器)に故障が発生していることをいち早く認識することができ、二次電池の過充電、過放電に至る前の時点で確実にこれを回避することができる。
【0045】
次に、上述した実施形態の変形例について説明する。図3は、変形例に係る組電池の電圧検出装置の構成を示す回路図である。図3に示すように、変形例に係る電圧検出装置では、複数の単位電池を直列に接続した電池ブロックBT11,BT12,BT13,BT14を直列接続して組電池51aを構成し、各電池ブロックBT11〜BT14に対してそれぞれ電圧を測定する。そして、各電圧ブロックBT11〜BT14の正極に接続された接続線L11〜L14上の点P11,P12,P13,P14にそれぞれ直流電源VBの出力電圧を分圧した参照電圧を印加して、電圧測定機器の診断処理を実行する。
【0046】
そして、このような構成においても、マルチプレクサ12,及びA/D変換器13が正常に作動しているか否かを診断することができる。なお、図3に示した各電池ブロックBT11〜BT14に設けられる単位電池の個数は同一であっても良いし、同一で無くても良い。
【0047】
以上、本発明の組電池の電圧検出装置を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。例えば、上述した実施形態では、組電池51,51aとして電気自動車に搭載される二次電池を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、電気自動車以外に用いられる組電池についても適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、組電池に設けられる各単位電池の出力電圧が正常に測定されているか否かを判定することに用いることができる。
【符号の説明】
【0049】
11 レベルシフト回路
12 マルチプレクサ(電圧選択手段)
13 A/D変換器(A/D変換手段)
14 制御器
15 第1のスイッチ群
L1〜L4 接続線
T1〜T4 端子
SW11〜SW14 スイッチ(第1のスイッチ)
SW21,SW22 スイッチ(第2のスイッチ)
BT1〜BT4 単位電池
BT11〜BT14 電池ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の単位電池からなる電池ブロックを複数個直列接続して、該直列接続の両端に所望の電圧を発生させる組電池の、前記各電池ブロック毎の出力電圧を検出する電圧検出装置において、
前記各電池ブロックの正極側端子に接続用配線を介して接続され、前記各正極側端子に生じる電圧に基づいて、前記各電池ブロックの出力電圧を選択する電圧選択手段と、
前記各正極側端子と、前記各接続用配線との間にそれぞれ設けられる第1のスイッチと、
前記電圧選択手段にて選択された出力電圧信号をディジタル化するA/D変換手段と、
前記各接続用配線に、それぞれ異なるレベルの参照電圧を供給する参照電圧出力手段と、
前記参照電圧出力手段より出力される参照電圧の、前記各接続用配線への供給、遮断を切り替える第2のスイッチと、
前記各電池ブロックの出力電圧を検出する際には、前記第1のスイッチを接続し、且つ前記第2のスイッチを遮断し、前記電圧選択手段及びA/D変換手段の故障診断時には、前記第1のスイッチを遮断し、且つ第2のスイッチを接続する制御を行う切り替え制御手段と、
前記故障診断時には、前記A/D変換手段より出力される電圧信号に基づいて、前記電圧選択手段或いはA/D変換手段に故障が発生しているか否かを判定する故障検出手段と、
を備えたことを特徴とする組電池の電圧検出装置。
【請求項2】
前記参照電圧出力手段は、前記各接続用配線毎に、2個の抵抗を含む直列接続回路を有し、前記2個の抵抗の中間点は前記接続用配線に接続され、前記各直列接続回路の一端は直流電源に接続され、前記2個の抵抗の抵抗値を適宜設定することにより、前記各接続配線に供給する電圧を設定することを特徴とする請求項1に記載の組電池の電圧検出装置。
【請求項3】
前記各直列接続回路は、共通の直流電源に接続されることを特徴とする請求項2に記載の組電池の電圧検出装置。
【請求項4】
前記電池ブロックは、1つの単位電池から構成されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の組電池の電圧検出装置。
【請求項5】
前記組電池は、車両に搭載される二次電池であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の組電池の電圧検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−21868(P2012−21868A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159443(P2010−159443)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】