説明

組電池装置

【課題】電圧検出用の配線を備えた組電池において、簡易な構造で端子とともに配線を確実に防水することができる組電池装置を提供する。
【解決手段】複数の電池11A,11Bが並んでなる電池モジュール10を複数備えた組電池と、電池モジュール10の端子15A,15Bが貫通する貫通孔6dを有するバスバープレート6と、一の電池モジュール10の端子15Aと他の電池モジュールの端子とを接続するバスバー7と、バスバープレート6と電池モジュール10との間に設けられ、電池モジュール10の複数の端子をまとめて囲む環状の第1シール部41と、電池モジュール10の隣り合う電池11A,11Bの間から引き出されるとともに、第1シール部41の内側を挿通し、バスバープレート6を貫通するフレキシブル基板30A,30Bと、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組電池装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池自動車などでは、燃料電池の電力を補助する電力源として、複数の電池を組み合わせて高電圧を得るように構成した組電池が種々提案されている。この種の組電池では、ボックス内に収容されており、過度に発熱するのを防止するためにボックス内に外気を導入して冷却することが行われている。このため、電池の内部に水が浸入しないようにするための防水構造が必要になる。例えば、組電池をボックス内に収容し、各端子を端子カバーで覆う技術が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−213976号公報(図4および図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、燃料電池自動車などに搭載される組電池では、組電池の残量を検出する必要があるため、電圧検出用の配線を引き出す必要がある。よって、このようなセンシング用の配線に対する防水構造も必要になる。
しかしながら、特許文献1に記載の構造では、端子カバーで端子全体を覆う構造であるため、電圧検出用の配線を引き出すことができないという問題があった。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、電圧検出用の配線を備えた組電池において、簡易な構造で端子とともに配線を確実に防水することができる組電池装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、複数の電池が並んでなる電池モジュールを複数備えた組電池と、前記組電池の一面側に設けられ、前記各電池モジュールの端子が貫通する貫通孔を有するバスバープレートと、一の前記電池モジュールの端子と他の前記電池モジュールの端子とを接続するバスバーと、前記バスバープレートと前記電池モジュールとの間に設けられ、前記電池モジュールの複数の端子をまとめて囲む環状の第1シール部と、前記各電池の電圧検出用として、前記電池モジュールの隣り合う前記電池の間から引き出されるとともに、前記第1シール部の内側を挿通し、前記バスバープレートを貫通するセンシングラインと、を備えたことを特徴とする。
【0006】
これによれば、電池モジュールの各端子と、センシングラインとを第1シール部の内側に位置するように構成したので、端子とセンシングラインの双方に対して簡易な構造で防水することが可能になる。しかも、センシングラインを電池モジュールの隣り合う電池の間から引き出すようにしているので、バスバープレートに形成するセンシングライン用の孔の数を少なくすることができる。
【0007】
請求項2に係る発明は、前記第1シール部と前記電池モジュールとの間に設けられ、前記電池モジュールと前記バスバープレートとを組み付ける際に生じる荷重を、前記第1シール部の全体に伝達する荷重伝達プレートを備えることを特徴とする。
【0008】
これによれば、電池モジュールをバスバープレートに組み付けたときに、荷重伝達プレートが第1シール部の全体が押圧され、第1シール部を変形することができるので、第1シール部の全体をバスバープレートに密着させることができ、電池モジュールの隣り合う電池間の防水を確実にすることができる。
【0009】
すなわち、電池モジュールの複数の端子をまとめて囲むと、隣り合う電池間には隙間が形成されることになるため、その隙間に対応する第1シール部とバスバープレートとの間のシール性が低下するおそれがある。これに対し、請求項2に係る発明によれば、荷重伝達プレートを介して、電池間に位置している第1シール部にも荷重が伝達されるようになるので、電池間の第1シール部をバスバープレートに対して一層強固に密着させることが可能になる。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記荷重伝達プレートの中心には、前記センシングラインを係止する係止部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
これによれば、バスバープレートに形成する貫通孔を小さくできる。しかも、複数のセンシングラインをひとつにまとめられるので、センシングラインをバスバープレートに挿通し易くなり、組み付け性が向上する。
【0012】
請求項4に係る発明は、前記第1シール部と前記電池との間に設けられ、前記電池モジュールの複数の端子を個別に囲む環状の第2シール部を備えることを特徴とする。
【0013】
これによれば、第2シール部により、端子を個別に囲むので、端子のシール性を向上できる。
【0014】
請求項5に係る発明は、前記第2シール部と前記電池との間にリング状のプレートを備え、前記センシングラインは、前記電池と前記プレートとの間を通るとともに、前記プレートの内側を挿通するように構成したことを特徴とする。
【0015】
これによれば、第2シール部が当接する面を平滑することができ、第2シール部と電池との間のシール性を向上できる。
【0016】
請求項6に係る発明は、前記第2シール部と前記電池との間に、前記センシングラインを前記電池の内側に案内する案内溝が形成された案内部材を備えていることを特徴とする。
【0017】
これによれば、案内溝にセンシングラインを通すことにより、第2シール部が当接する面を平滑にできるので、第2シール部と電池との間のシール性を向上できる。
【0018】
請求項7に係る発明は、前記電池の外周面および端面の一部を覆うチューブを備えることを特徴とする。
【0019】
これによれば、電池の端面の一部をチューブで覆うことで、チューブに第2シール部を当接させることが可能になり、電池の端面の表面からの水の浸入を確実に防止できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、電圧検出用の配線を備えた組電池において、簡易な構造で端子とともに配線を確実に防水することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は本実施形態の組電池装置を備えた高圧バッテリを示す斜視図、図2は高圧バッテリを示す分解斜視図、図3はバスバープレートのバスバーの配置を示す平面図、図4は電池モジュールを示す分解斜視図、図5はセンシングラインを示す概略平面図、図6は案内部材を示す拡大斜視図、図7は電池モジュールの端子とは反対側の防水構造を示す断面図であり、(a)は防水加工前、(b)は防水加工後、図8は組電池装置の組み付け前の状態を示す分解斜視図、図9はシール部材を示し、(a)はバスバープレート側から見たときの平面図、(b)は電池モジュール側から見たときの平面図、(c)は側面図、図10は荷重伝達プレートを示し、(a)はバスバープレート側から見たときの平面図、(b)は電池モジュール側から見たときの平面図、(c)は側面図、図11(a)は荷重伝達プレートを示す斜視図、(b)はシール部材を示す斜視図、(c)は荷重伝達プレートをシール部材に組み付けたときの斜視図、図12は組電池装置の主要部を示す断面図である。
【0022】
図1に示すように、高圧バッテリSは、組電池装置1、ECU2などで構成されている。組電池装置1は、ボックス3内に収納され、ボックス3が井桁状に形成されたフレーム4上に固定されている。また、ボックス3の上部には、ECU2が固定されており、このECU2が接続ケーブル2aを介して組電池装置1と接続されている。なお、高圧バッテリSが搭載されるフレーム4は、例えば、燃料電池自動車などの車体のフロアパネル(図示せず)の下側に取り付けられる。
【0023】
図2に示すように、前記ボックス3は、上面を構成する上パネル3a、前面を構成する前パネル3b、側面を構成する右パネル3cおよび左パネル3d、後面を構成する後パネル3eなどで構成されている。右パネル3cおよび左パネル3dには、冷却風の導入口となる吸気口3c1,3d1が形成されている。なお、左パネル3d側には、図示しないファンが設けられ、吸気口3c1,3d1から導入された空気を、ボックス3の下面側に形成された図示しない排気通路を介して外部に排出して、ボックス3内の組電池5を冷却できるようになっている。
【0024】
前記組電池装置1は、組電池5、バスバープレート6、バスバー7、フレキシブル基板30A,30B(図5参照)、シール部材40(図4参照)、荷重伝達プレート50(図4参照)などを備えて構成されている。
【0025】
前記組電池5は、電池11Aと電池11Bとが並んで配置された電池モジュール10を複数備えて構成されている。
【0026】
前記バスバープレート6は、組電池5を所定の位置に取り付けるためのベース部材であり、後面側が開放する2つに仕切られた凹部6a,6bを有している(図3参照)。なお、バスバープレート6は、後パネル3eによってシール部材(不図示)を介して塞がれることにより、バスバープレート6と後パネル3eとの間のシール性が確保されている。
【0027】
前記バスバー7は、凹部6a,6b内において突出した一の電池モジュール10の端子15A(図3参照)と隣り合う他の電池モジュール10の端子15B(図3参照)とを電気的に接続する金属板である。
【0028】
図3に示すように、各電池モジュール10の端子15A,15Bが凹部6a,6b内に突出しており、一の電池モジュール10の端子15A(15B)と他の電池モジュール10の端子15B(15A)とがバスバー7を介して接続されている。これにより、バスバープレート6の凹部6a,6bのそれぞれの側において、各電池11A,11Bがすべて直列に接続される。なお、凹部6a内の一方の端部の端子15Aは、外部に取り出されるプラス端子であり、他の端子15Bは、凹部6b内の一方の端子15Aと、図示しない導通部材を介して接続され、凹部6b内の他方の端子15Bは、外部に取り出されるマイナス端子である。これにより、各電池11A,11Bのすべてが電気的に直列に接続され、高電圧が得られるようになっている。
【0029】
図4に示すように、電池モジュール10は、電池11A,11B、端子ベース14,14、端子15A,15B、案内部材16,16、プレート17,17、導通部材18、キャップ19、およびチューブ20,20(図7、図12参照)などで構成されている。
【0030】
前記電池11A,11Bは、それぞれ2本の単電池11a,11aが直列に接続されるとともに軸方向が一致するように配置されている。また、電池11Aと電池11Bは並んで配置され、電池11Aの極と電池11Bの極とが互いに逆向きとなるように配置されている。また、電池11A,11Bは、単電池11aと単電池11aとの間を、金属製の連結部材(不図示)を溶接することによって連結固定されている。なお、それぞれの単電池11aは、いずれも円柱状の充放電可能なリチウムイオン二次電池から構成されているが、円柱状のものに限定されず、角型のものであってもよい。
【0031】
図5に示すように、各単電池11aのプラス極側の端部には、合成樹脂製のタブカバー13が取り付けられている。このタブカバー13は舌部13aを有し、単電池11aに対して回動自在に取り付けられている。電池11A,11Bには、電圧検出用のセンシングラインとして帯状のフレキシブル基板30A,30Bが取り付けられている。このフレキシブル基板30A,30Bは、電池11A,11Bに沿って延び,舌部13aの位置において、それぞれ単電池11aのマイナス極と導通させるための金属タブ31が設けられている。この金属タブ31を溶接によって単電池11aのマイナス極に溶接した後に、タブカバー13を回動させることによって、金属タブ31が舌部13aによって覆われる。このように、金属タブ31を舌部13aで覆うことにより、溶接部分によって後記するチューブが損傷するといったことを防止できる。
【0032】
なお、図5では、説明の便宜上、フレキシブル基板30A,30Bが見えるように図示しているが、実際には、電池11Aと電池11Bとの間において、フレキシブル基板30Aとフレキシブル基板30Bとが対向するように配設されている。
【0033】
図4に戻って、前記端子ベース14は、金属製のものであり、単電池11aの径より若干小径の円板部14aと、この円板部14aの周縁部に端子15A,15B側に一体に折り曲げ形成された複数の爪部14bとで構成されている。一方の端子ベース14は、溶接によって電池11Aの単電池11aのプラス極側に接合され、他方の端子ベース14は、溶接によって電池11Bの単電池11aのマイナス極側に接合される。
【0034】
前記端子15Aは、前記端子ベース14と嵌合する円盤状の基部15a1と、中心にねじ穴15a2が形成された突起部15a3とで構成されている。同様に、端子15Bは、端子ベース14と嵌合する円盤状の基部15b1と、中心にねじ穴15b2が形成された突起部15b3とで構成されている。
【0035】
なお、突起部15a3は、図3に示すように、電池モジュール10における電池11A,11Bの並び方向の面15a4,15a4が平面となり、前記面15a4,15a4を除く側の面15a5,15a5が曲面となっている。また、突起部15b3は、突起部15a3とは逆に、電池11A,11Bの並び方向の面15b4,15b4が曲面となり、前記面15b4,15b4を除く側の面15b5,15b5が平面となっている。
【0036】
図6に示すように、前記案内部材16は、合成樹脂で形成され、端子15A,15Bの基部15a1,15b1(図4参照)の周囲を覆う円筒部16aと、円筒部16aの上端部から径方向中心に向けて延びるリング部16bとを有している。リング部16bの中心は、端子15A,15Bの突起部15a3,15b3が挿通される孔部16cとなっており、孔部16cの開口縁部が、リング部16bの外寄りの上面よりも一段突出した段差部16dとなっている。なお、この孔部16cの開口形状は、前記した端子15A,15Bの突起部15a3,15b3の周面に倣う形状を呈しており、対向する一方の面16c1,16c1が平面状に形成され、対向する他方の面16c2,16c2が曲面状に形成されている。
【0037】
また、案内部材16は、リング部16bの上面に、フレキシブル基板30A,30Bの幅に対応した案内溝16b1が径方向に向けて段差部16dの途中まで延びて90度間隔で形成されている。また、この案内溝16b1の深さは、フレキシブル基板30A,30Bが載せられたときに、フレキシブル基板30A,30Bがリング部16bの表面から突出しない深さとなるように形成されている。なお、4箇所の案内溝16b1のうち、互いに対向する2つの案内溝16b1,16b1の段差部16dに位置する部分に、案内部材16の厚み方向に貫通する連通孔16b2が形成されている。
【0038】
図4に戻って、前記プレート17は、合成樹脂製でリング状に形成されている。また、プレート17は、前記案内部材16のリング部16bの周方向に沿って形成される面の幅とほぼ同じに形成されている。また、プレート17の厚みは、プレート17をリング部16b上に載置したときに、プレート17の表面が段差部16dから突出しない厚みで形成されている。
【0039】
図7に示すように、前記導通部材18は、電池11Aと電池11Bとを電気的に接続するための金属板であり、1枚の金属板で形成されたベース板18aと、ベース部18aよりも薄く形成された1枚の金属板で形成された溶接板18bとが溶接によって張り合わされて構成されている。また、ベース板18aには、電池11A,11Bに対応する位置に溶接板18bの一部が露出する開口部18a1,18a1が形成されている。
【0040】
前記キャップ19は、合成樹脂で形成され、電池11A,11B側が開放した凹部19aを有している。この凹部19aは、導通部材18の周面に倣う形状であり(図4参照)、導通部材18の周面よりも若干余裕を持って大きく形成されている。また、凹部19aの深さは、導通部材18とともに電池11A,11Bの端部が収まる深さで形成されている。
【0041】
図8に示すように、電池11A,11Bにフレキシブル基板30A,30Bを取り付けた状態において(図5参照)、フレキシブル基板30A,30Bを案内部材16A,16Bの案内溝16b1,16b1に沿って外周から内周を通るように配設し、フレキシブル基板30A,30Bの上からプレート17,17を被せて接着固定する。
【0042】
このように、電池11A,11Bに、端子ベース14,14、端子15A,15B、案内部材16,16およびプレート17,17が取り付けられた状態において、熱収縮性のチューブ20を電池11A,11Bに被せて、所定温度の温風を当てることによって、チューブ20を熱収縮させる。これにより、チューブ20,20が電池11A,11Bの周面に密着した状態となる。
【0043】
前記チューブ20は、ポリオレフィン樹脂などで形成され、熱収縮したときに、電池11A,11Bの外周面と、電池11A,11Bの端面の一部を覆うことができる長さで形成されている。なお、ここでの端面とは、端子15A,15B側においてはプレート17の面を意味し、キャップ19側においては、電池11Aの単電池11aの面および電池11Bの単電池11aの面を意味している。
【0044】
そして、チューブ20で覆われた電池11A,11Bには導通部材18が当てられて、各開口部18a1から溶接機器が挿入され、溶接板18bを介して導通部材18が電池11A,11Bに接合される。電池11Aと電池11Bとが導通部材18を介して接続されることにより、電池モジュール10のすべての単電池11aが電気的に直列に接続される。
【0045】
さらに、キャップ19の凹部19aに所定のポッティング材Pを所定量流し込み(図7(a)参照)、導通部材18で接続された電池11A,11Bを凹部19a内に押圧挿入して硬化させることによって、導通部材18と電池11A,11Bとの境界を含む電池11,11Bの端部がポッティング材Pで封止される(図7(b)参照)。これにより、キャップ19が取り付けられた電池11A,11B側からの水などの浸入が防止される。また、それぞれチューブ20で覆われた電池11Aと電池11Bは、軸方向の中央部において連結固定部材8を介して互いに固定される(図2参照)。
【0046】
前記のようにして構成された電池モジュール10は、荷重伝達プレート50がはめ込まれたシール部材40を介してバスバープレート6に取り付けられる(図8参照)。
【0047】
図9(a)および図11(b)に示すように、前記シール部材40は、ゴムなどの弾性部材で形成され、電池11A,11Bの端面を含む形状に沿って略8の字状に形成されている。また、シール部材40には、電池11A,11Bに対向する位置に、略円形の挿通孔40a,40bが形成されている。
【0048】
また、シール部材40のバスバープレート6側の面40sには、周縁部に沿って延びる第1シール部41が環状に形成されている。すなわち、第1シール部41は、挿通孔40aと挿通孔40bとがバスバープレート6に対して第1シール部41の内側において繋がるように構成されている。
【0049】
また、図9(b)に示すように、シール部材40の電池モジュール10側の面40tには、挿通孔40a,40bの開口縁部に沿って略円形の第2シール部42A,42Bがそれぞれ環状に形成されている。なお、電池モジュール10側の面40tは、挿通孔40aと挿通孔40bとが繋がる結合面40t1を有している。
【0050】
また、図9(c)に示すように、シール部材40のバスバープレート6側の面40sと電池モジュール10側の面40tとの間には、荷重伝達プレート50の周縁部50vが嵌め込まれる周溝43が形成されている。
【0051】
図10(a)および図11(a)に示すように、荷重伝達プレート50は、合成樹脂や金属などの剛性を有する部材で形成され、外周縁部が前記シール部材40の形状に倣い、かつ、シール部材40よりも若干小さ目に形成されている。また、荷重伝達プレート50には、端子15A,15Bが挿通される挿通孔50a,50bが形成されるとともに、挿通孔50aと挿通孔50bとの間に、四角形状の小孔50c,50dが挿通孔50a,50b寄りに形成されている。
【0052】
また、荷重伝達プレート50のバスバープレート6側の面50sには、フレキシブル基板30A,30Bが係止(仮止め)される2つの係止部51が形成されている。この係止部51は、側面視でL字型に形成された係止片51a,51bからなり、係止片51a,51bの裏側にフレキシブル基板30A,30Bを通すことができるようになっている。また、係止片51aと係止片51bとの間は、フレキシブル基板30A,30Bを共に引き出すことができる隙間が形成されている。また、荷重伝達プレート50の面50sには、係止部51の近傍に、荷重伝達プレート50とバスバープレート6との相対位置を決める位置決めピン54が形成されている(図10(c)参照)。
【0053】
また、図10(b)に示すように、荷重伝達プレート50の電池モジュール10側の面50tには、3本の鉤状の係合部52,52、53が電池モジュール10側に突出して形成されている。なお、一対の係合部52,52は、挿通孔50aを挟んで両側に位置し、係合部53は、挿通孔50bを挟んで小孔50dの反対側に位置している。
【0054】
図11(c)に示すように、荷重伝達プレート50の周縁部50vを、シール部材40の周溝43に挿入することによって、挿通孔50a,50b、小孔50c,50d、係止部51、位置決めピン54、係合部53(係合部52は不図示)が、シール部材40の内側から露出した状態で組み付けられる。また、荷重伝達プレート50の形状(大きさ)は、図11(c)を平面視したときに、第1シール部41および第2シール部42A,42Bよりも外側に大きくなるように形成されている。
【0055】
図8および図12に示すように、電池モジュール10の端子15Aを挿通孔50aに挿通し、端子15Bを挿通孔50bに挿通する。またこのとき、電池モジュール10から延びるフレキシブル基板30Aを小孔50cに挿通し、係止片51aの下側を通して、係止片51aと係止片51bとの間から引き出す。また、フレキシブル基板30Bを小孔50dに挿通し、係止片51bの下側を通して、係止片51aと係止片51bとの間から引き出す。さらに、フレキシブル基板30A,30Bを纏めた状態において、バスバープレート6に形成された孔6cに挿通される。なお、孔6cの大きさは、フレキシブル基板30A,30Bの先端に形成されたコネクタC,C(図8参照)が挿通可能な大きさとする。なお、コネクタC,Cは、バスバープレート6内に設けられた基板と接続されている。
【0056】
そして、端子15A,15Bが挿通孔50a,50bに挿通され、バスバープレート6に形成された貫通孔6d,6dに挿入される。このとき、シール部材40の第1シール部41がバスバープレート6の下面6eに当接し(図12参照)、シール部材40の第2シール部42A,42B(図9(b)参照)がプレート17,17上に覆われたチューブ20の表面に当接する(図12参照)。そして、バスバー7に形成されたねじ挿通孔7a,7aにボルト9,9を挿通し、端子15Aと、この端子15Aと隣り合う別の電池モジュール10の端子15Bにボルト9,9を螺着する。これにより、電池モジュール10は、バスバープレート6に対して片持ち状態で固定される。
【0057】
なお、電池モジュール10と荷重伝達プレート50の左右の向きを逆向きにした場合には、係合部52,52,53が案内部材16の連通孔16b2が形成されていない案内溝16b1に当接して、係合部52,52,53が電池モジュール10に取り付けられないようになっている。これにより、電池モジュール10と荷重伝達プレート50との互いの向きが保障される。
【0058】
また、孔6cには、その一の角部に位置決めピン54が挿入される切欠部6c1が形成されている(図8参照)。これにより、荷重伝達プレート50をバスバープレート6に取り付ける祭、バスバープレート6と荷重伝達プレート50との互いの向きが保障される。
【0059】
以上説明したように、本実施形態の組電池装置1によれば、端子15A,15Bおよびフレキシブル基板30A,30Bが第1シール部41の内側に位置しているので、電圧検出用のフレキシブル基板30A,30Bが設けられた組電池装置1であっても、電池モジュール10の防水とともに、センシングラインの主導通部以外のサブ導通部の防水が可能になる。しかも、フレキシブル基板30A,30Bを電池モジュール10の隣り合う電池11A,11Bの間から引き出すようにしているので、バスバープレート6に形成する孔6cの数を少なくすることができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、第1シール部41の全体が荷重伝達プレート50上に設けられているので、電池11Aと電池11Bとの間の荷重が作用し難い領域Q(図12参照)にも十分な荷重を与えることができるようになり、シール性をさらに向上できる。
【0061】
また、本実施形態によれば、荷重伝達プレート50にフレキシブル基板30A,30Bを係止する係止部51が設けられているので、バスバープレート6に形成される孔6cを小さくできる。しかも、フレキシブル基板30A,30Bを1箇所に集めることにより、フレキシブル基板30A,30Bを孔6cに通す作業が簡単になり、組み付け性が向上する。
【0062】
また、本実施形態によれば、電池モジュール10の複数の端子15A,15Bを個別に囲む環状の第2シール部42A,42Bが設けられているので、電池モジュール10の端子15A,15Bにおけるシール性を向上できる。シール性が向上することにより、防水だけではなく、埃などの浸入を効果的に防止できる。
【0063】
また、本実施形態によれば、リング状のプレート17を設けることにより、第2シール部42A,42Bが当接する面を平滑することができる。これにより、第2シール部42A,42Bとチューブ20とのシール性を高めることができる。
【0064】
また、本実施形態によれば、案内部材16にフレキシブル基板30A,30Bが案内される案内溝16b1が形成されているので、第2シール部42A,42Bが当接する面をさらに平滑にでき、電池11A,11Bの端面(プレート17を覆うチューブ20の表面)におけるシール性を向上できる。
【0065】
なお、プレート17と案内溝16b1とを組み合わせることにより、電池11A,11Bの端面におけるシール性をさらに向上できる。
【0066】
また、本実施形態によれば、チューブ20によって電池11A,11Bの外周面だけではなく端面の一部が覆われるので、電池11A,11Bを容易に防水することができる。さらに、チューブ20の表面に第2シール部が当接するので、電池モジュール10との境界面におけるシール性を向上できる。
【0067】
また、本実施形態では、キャップ19にポッティング材Pを流し込んで硬化させているので、U字型の電池モジュール10の長さ寸法の精度に関係なく、容易に防水することが可能になる。また、ポッティング材Pの量を常に最小にでき、装置の重量を低減することが可能になる。
【0068】
また、本実施形態では、電池11A,11Bを覆うチューブ20,20の端面部にのみポッティングや第2シール部42A,42Bを用いているので、部品形状を小さくすることができ、高い信頼性を得ることが可能になる。また、電池モジュール10の片側に締め付け部を集めて、電池11A,11Bの軸ずれに影響されない面シールを施すことにより、簡単な構造で防水を確保できる。また、電池モジュール10単位で防水されているので、電池モジュール10の周囲に防水構造が不要となり、コストダウンおよび軽量化が可能であるとともに、電池本数の変更などの仕様変更にも対応可能となる
【0069】
なお、本実施形態では、2本の単電池11aからなる電池11A,11Bを組み合わせた電池モジュール10を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、1本または3本以上の単電池11aからなる電池を複数組み合わせた電池モジュールとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1は本実施形態の組電池装置を備えた高圧バッテリを示す斜視図である。
【図2】高圧バッテリを示す分解斜視図である。
【図3】バスバープレートのバスバーの配置を示す平面図である。
【図4】電池モジュールを示す分解斜視図である。
【図5】センシングラインを示す概略平面図である。
【図6】案内部材を示す拡大斜視図である。
【図7】電池モジュールの端子とは反対側の防水構造を示す断面図であり、(a)は防水加工前、(b)は防水加工後である。
【図8】組電池装置の組み付け前の状態を示す分解斜視図である。
【図9】シール部材を示し、(a)はバスバープレート側から見たときの平面図、(b)は電池モジュール側から見たときの平面図、(c)は側面図である。
【図10】荷重伝達プレートを示し、(a)はバスバープレート側から見たときの平面図、(b)は電池モジュール側から見たときの平面図、(c)は側面図である。
【図11】(a)は荷重伝達プレートを示す斜視図、(b)はシール部材を示す斜視図、(c)は荷重伝達プレートをシール部材に組み付けたときの斜視図である。
【図12】組電池装置の主要部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0071】
1 組電池装置
2 ECU
5 組電池
6 バスバープレート
7 バスバー
10 電池モジュール
11a 単電池
11A,11B 電池
13 タブカバー
15A,15B 端子
16 案内部材
16b1 案内溝
17 プレート
18 導通部材
19 キャップ
20 チューブ
30A,30B フレキシブル基板(センシングライン)
31 金属タブ
41 第1シール部
42A,42B 第2シール部
50 荷重伝達プレート
51 係止部
S 高圧バッテリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池が並んでなる電池モジュールを複数備えた組電池と、
前記組電池の一面側に設けられ、前記各電池モジュールの端子が貫通する貫通孔を有するバスバープレートと、
一の前記電池モジュールの端子と他の前記電池モジュールの端子とを接続するバスバーと、
前記バスバープレートと前記電池モジュールとの間に設けられ、前記電池モジュールの複数の端子をまとめて囲む環状の第1シール部と、
前記各電池の電圧検出用として、前記電池モジュールの隣り合う前記電池の間から引き出されるとともに、前記第1シール部の内側を挿通し、前記バスバープレートを貫通するセンシングラインと、
を備えたことを特徴とする組電池装置。
【請求項2】
前記第1シール部と前記電池モジュールとの間に設けられ、前記電池モジュールと前記バスバープレートとを組み付ける際に生じる荷重を、前記第1シール部の全体に伝達する荷重伝達プレートを備えることを特徴とする請求項1に記載の組電池装置。
【請求項3】
前記荷重伝達プレートの中心には、前記センシングラインを係止する係止部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の組電池装置。
【請求項4】
前記第1シール部と前記電池との間に設けられ、前記電池モジュールの複数の端子を個別に囲む環状の第2シール部を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の組電池装置。
【請求項5】
前記第2シール部と前記電池との間にリング状のプレートを備え、
前記センシングラインは、前記電池と前記プレートとの間を通るとともに、前記プレートの内側を挿通するように構成したことを特徴とする請求項4に記載の組電池装置。
【請求項6】
前記第2シール部と前記電池との間に、前記センシングラインを前記電池の内側に案内する案内溝が形成された案内部材を備えていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の組電池装置。
【請求項7】
前記電池の外周面および端面の一部を覆うチューブを備えることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の組電池装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−15906(P2010−15906A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−176183(P2008−176183)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】