説明

経口用量の薬学的プロダクトにおけるカプセル化のための粒子の流動化

カプセル化された経口用量の薬学的プロダクトが、ホッパー(2)およびドーサター(10)を含むシステム(1)を利用して生産され、ここで該ホッパー(2)は、ドーサター(10)への送達のために、不規則なジオメトリーおよび約100μmよりも大きいサイズ有する粒子を受取る。ホッパー(2)中に配置される粒子床中でのボイドの形成を最小限に抑える又は除去するために、ホッパー(2)中の粒子を流動化するためにガス状の流体が該ホッパー(2)中に注がれる。ホッパー(2)中での該粒子の流動化は、ホッパー(2)からドーサター(10)への実質的に連続的且つ均一な粒子のフローを維持し、これは望ましい重量および粒度分布を有するカプセル化されたプロダクトの形成を結果として生じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
技術分野
本発明は、粒状物質、特に経口用量又は送達のための薬学的プロダクトの製造におけるミクロ粒子及び顆粒をカプセル化するための方法および装置における改良に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の検討
種々の薬学的プロダクトは、個人の体内で薬学的活性組成物の経口用量および徐放のためにカプセルの形態で包装される。経口用量の薬学的カプセルは、典型的にミクロ粒状物質、または寸法が数ミクロ程度(例えば、約100μmより大きい)の顆粒で充填される。カプセル化された粒子は典型的に、1つ以上の不活性な賦形剤材料と共に、選択量の1つ以上の薬学的活性組成物を含む。典型的なカプセル化プロセスにおいて、粒状物質の供給源、即ちカプセル化される粒子は、ホッパーからドーサター(dosator)に重力によって移送され、そこでドーサターは各々のカプセルに添加される粒子の量を決定する。ドーサターは必要量の粒子をオープンカプセル(例えば、カプセルのオープンシェル部分)中に移送し、オープンカプセルは次いでシールされる(例えば、粒子で充填されたオープンシェル部分上にシェルキャップを配置することによって)。
【0003】
経口用量プロダクトのためにカプセル化される粒子の物理的特徴(例えば、粒子サイズのバリエーション、粒状物質の粘着性、粒子表面ジオメトリーにおける不規則性など)に依存して、ホッパーからドーサターへの粒子の移動において問題が発生し得る。カプセル化が困難な薬学的材料を利用する場合、ドーサター中に運ばれた粒子によって以前に占有された位置においてホッパー中でボイドが作られ得、ホッパー中に残存する粒状物質はこのようなボイドを容易に充填しない。これは重大な問題であり得、例えば、カプセル化される粒子が非球形および不規則な幾何学的表面を有する場合、粒子はホッパーからドーサターへ重力によって供給されるので、それは粒子が互いに対して滑るよりもむしろ、摩擦によって互いに接着させる。ホッパー中のボイドの生成は、順にドーサターに、かくして生産される薬学的カプセルに運ばれる粒子量における重大且つ所望されない偏差(deviation)へと導く。カプセル化が困難である粒状物質を有するプロダクトカプセルを調製することおいて、粒子がホッパーからドーサターへ殆どまたは全く運ばれなくなるまで、充填されないボイドのサイズが大きくなりながら、カプセルは生産プロセス中に充填重量(fill weight)が減少する傾向がある。
【0004】
従来の方法を利用する前記の問題を克服する試みは、ホッパー中の更なる微粒子フローの問題、および/または粒子の望ましい特徴の劣化を結果的に生じる。例えば、粒子床中のボイドを除去するための試みにおいてホッパーが振動される場合、粒子は圧縮され得、特にホッパー円周がアウトレットの近辺で減少される場合(例えば、漏斗型(funnel shaped))、ホッパーからドーサター中への粒子のフロー減少又は全く無くなる結果を生じる。ボイドの形成を抑制するための粒子床中の機械的撹拌は、粒子の粉砕へ導き得、これは所望される範囲から粒度を減少し、そして結果として生じる経口用量のカプセルプロダクトのための溶解プロフィールにおける望ましくない偏差を結果として生じる。
【0005】
このように、改良されたシステムおよび方法が、経口用量の薬学的プロダクト、特に約100μmよりも大きい粒子の寸法および不規則且つ非球形のジオメトリーを有するカプセルプロダクトの生産における粒状物質の正確な投薬量を確実にするために望ましい。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的および要旨
従って、上記を考慮して、そして本発明が完全に説明される時に明らかとなる他の理由のための、本発明の目的は、経口用量の薬学的プロダクト、例えば、不規則且つ非球形の形状のジオメトリーを有する粒子を含むカプセルプロダクトを製造することである。
【0007】
約100μmよりも大きい寸法を有する粒子を含む経口用量の薬学的プロダクトを製造することが、本発明のもう1つの目的である。
【0008】
プロダクトが、所望される又は目的の充填重量から有意に離れず、不規則なジオメトリーを有する粒子を含む、経口用量の薬学的プロダクトを製造することは、本発明の更にもう1つの目的である。
【0009】
変化する不規則な形状およびサイズを有する粒子の実質的に均一なブレンドを含む、経口用量の薬学的プロダクトを製造することは本発明の更なる目的である。
【0010】
前記の目的は、個別的におよび/または組合せで達成され、ここに添付される特許請求の範囲によって明白に必要とされない限り、本発明が、組合される二つ以上の目的を必要とすると解釈されることは意図されない。
【0011】
本発明に従って、ホッパーおよびドーサターを含むシステムを利用して不規則なジオメトリーを有する粒子を含む、経口用量の薬学的プロダクトが生産される。ホッパーは、約0.40以下の真円度値によって定義される不規則なジオメトリーを有する粒子を含む粒状物質を受取る。ガス状の流体は、ホッパー中の少なくとも幾らかの粒子を流動化するためにホッパー中に向けられる。選択された量の粒状物質は、ホッパーからドーサター中へ移送され、経口用量の薬学的プロダクトはドーサターから放出された選択された量の粒状物質から形成される。ホッパー中に置かれた粒子でのボイドの形成は、ドーサターへの送達の前にホッパー中で粒子を流動化することによって防がれ又は最小限に抑えられる。カプセル各々のカプセル重量および粒度分布を所望される範囲内に実質的に維持しながら、不規則なジオメトリーおよび約100μmよりも大きいサイズの粒子を含む、経口用量の薬学的カプセルが、本発明に従って形成される。好ましくは、生産バッチ中のカプセルの大部分は、目的の充填重量から約15%より大きくははずれず、バッチ中の単一カプセルの平均充填重量は、目的の充填重量から約10%より大きくはずれない。
【0012】
上記および本発明の一層更なる目的、特徴および有利な点は、以下の詳細な説明の考慮で明らかとなる。
【0013】
好ましい実施形態の詳細な説明
上記のように、不規則なジオメトリーを有する粒子を含む経口用量の薬学的カプセルプロダクトの製造時、特に、このような粒子の寸法が増加する場合、に問題が起こる。“不規則なジオメトリー”という用語は、ここにおいて使用されるとき、概して非球形のジオメトリーを指す。特に、不規則なジオメトリーを有する粒子が、ドーサター中への送達のためにホッパーのアウトレットへ向かって滑るよりもむしろ、摩擦によって互いにかみ合うことに起因して、ボイドがホッパー中で形成する傾向があり、これは、形成されるカプセルの一貫性のない不均一な投薬量を結果として生じる。
【0014】
本発明は、1つ以上の有効成分および賦形剤を含み、不規則な幾何学的な構造を有する粒状物質を含む、経口用量の薬学的カプセルプロダクトの製造で遭遇する問題に対処する。特に、カプセルプロダクトは、球形または他の非常に丸みがあり滑らかな構造から顕著に離れる真円度を有する粒子を含む。カプセルプロダクトは更に、少なくとも約100μmよりも多きい寸法を有する少なくとも幾らかの粒子を含む。更に、種々の不規則な幾何学的構造および/またはサイズ寸法を含む、カプセルプロダクトが製造される。
【0015】
目的の粒子の真円度は、その縁および角の鋭さによって示される粒子の摩耗度である、真球度(sphericity)について説明され得る。真球度は、粒子の幾つかの縁又は角の平均曲率半径対最大内接球の曲率半径の比率(又は粒子の半分の呼び径に対する)としてWadell(1932)によって表現された。例えば、Betes,R.L. and Jackson, J.A., 1980, Glossary of Geology, 2nd Edition. Falls Church, Virginia, American Geological Institute(その全体の開示が本願において援用される)を参照。特に、真球度の値は、目的の粒子が球形から離れる度合いについての指標を提供することにおいて有用である。例えば、真球度は、目的の粒子と同一の体積を有する球の表面積対目的の粒子の比率として定義され得る。最大の真球度値(例えば、球について)は1であり、真球度の値は、目的の粒子が球形のジオメトリーから離れる程、減少する。本発明に従って製造される薬学的カプセルプロダクトは、好ましくは、約0.7以下の真球度の値を有する大部分の粒子を含む。
【0016】
粒子の真円度を決定するためのもう1つの有用な技術は、目的の粒子とKrumbeinらによって開発された一連の真円度の等級との視覚的な比較を必要とする。例えば、Krumbein, W.C. and L.L.Sloss(1951) Stratigraphy and Sedimentation. 2nd. Ed. W.H. Freeman and Company, London(この開示全体が本願において援用される)を参照。真円度値の範囲は、これらの真円度の等級に対応するように更に開発されてきた。例えば、Bates, R.L.and Jackson, J.A., 1980, Glossary of Geology, 2nd Edition. Falls Church, Virginia, American Geological Instituteを参照。特に、Krumbeinらによって開発された真円度のクラスは、以下の等級を含む:十分に丸みがある(well-rounded)(0.60〜1.00の真円度値)、丸みがある(rounded)(0.40〜0.60の真円度値)、亜円形の(subrounded)(0.25〜0.40の真円度値)、角のとれた(subangular)(0.15〜0.25の真円度値)および角のある/非常に角のある(0.0〜0.15の真円度値)。本発明に従って製造される薬学的カプセルプロダクトは、好ましくは、約0.4以下の真円度値を有する大部分の粒子を含む(即ち、亜円形の〜角のある/非常に角のある)。最も好ましくは、薬学的カプセルプロダクトは、約0.25以下の真円度を有する大部分の粒子を含む(即ち、角のとれた〜角のある/非常に角のある)。
【0017】
本発明に従って製造される経口用量の薬学的カプセルプロダクトは、好ましくは、少なくとも約100μmの寸法を有する大部分の粒子を含む。より好ましくは、カプセルプロダクトは、約125μm〜約1000μm(1mm)の範囲の寸法を有する大部分の粒子を含む。最も好ましくは、カプセルプロダクトは、約185μm〜約400μmの範囲の寸法を有する大部分の粒子を含む。
【0018】
ホッパーの粒子床中でのボイドの発生、およびカプセル製造に伴う結果的な問題は、ホッパーを通ったドーサターへの実質的に一様且つ均一な粒子のフローを促進するために、ホッパー中で不規則な形状またはジオメトリーを有する粒子(例えば、0.40以下の真円度値を有する粒子)の少なくとも幾らかを流動化することによる本発明に従って最小限の抑えられ又は除去される。好ましくは、ホッパー中での粒子の流動化は、少なくとも1つのガス状の流体(例えば、空気又は窒素などの不活性ガス)を1つ以上の適切な方向(例えば、向流および/または直交流(cross flow)で重力によって供給されるホッパー中の粒子床を通って、粒子床の選択された位置の一つ以上の粒子群が、ホッパー中の高密度の流体に類似する方法で流動化される又は流れることを引き起こすように、向けることによって達成される。粒子床中の不規則な形状の粒子の少なくとも幾らかの流動化は、粒子床中のボイドの形成を防ぐために、結果として、ホッパーから出る粒子によって以前に占められた部分を充填する粒子となる。特に、選択された粒子上で働く流体によって起こされた抗力(drag force)が、粒子上で働く重力の力に対して釣り合いをとり、結果として選択された粒子の流動化を生じるように、粒子床を通って向けられるガス状の流体の最小流動化速度を確立することが望ましい。最小流動化速度は、例えば、粒子の真球度、粒子の寸法、および粒子並びに流体の密度などの、粒子およびガス状流体の多くの物理的なパラメーターに依存する。最小流動化速度並びに充填層を通った一般的フロー特性は、McCabe, Smith and Harriott, Chemical Engineering Series 5th ed.:Unit Operation of Chemical Engineering, McGraw Hill, 1933(その開示全体が本願において援用される)に詳細に説明される。
【0019】
経口用量の薬学的カプセルを製造するための例証的なシステムが図1に描かれる。システム1はホッパー2、ホッパーから移送される粒子を受取りそして個々のカプセルに分配される粒子の量を制御するためにホッパーの下に配置されるドーサター10および、カプセルを粒子で充填することを促進するために、複数のカプセルをドーサターの1つ以上のアウトレットに選択的に向きを定めるカプセルステーション30を含む。ホッパー、ドーサターおよびカプセルステーションは、如何なる従来型の又は他の適切なタイプのカプセル化装置(Romaco(ニュージャージー)から商業的に入手可能なCD−5エンカプスレータユニットを含むがこれに限定されない)から入手し得る。
【0020】
ホッパーは、粒状物質を受け取るホッパーの入口として働く上部のオープニングを有する上部の円筒形部分3を含む。上部の円筒形部分から延びるのは、ホッパーの下端に位置されるスパウト5への横向きの寸法を減少するテーパー状又はファンネル部分4である。スパウトは、ドーサター10へのインレットと整列したイグジットポートを含む。
【0021】
ドーサターは、以下に説明されるようにピストンメカニズムを利用してホッパーから移送される選択された量の粒状物質を分配する。詳細には、ドーサター10は、ホッパーから重力供給される粒子を受取るために、ドーサターインレットと整列する第一チャンバ12、およびドーサターインレットからオフセットであり第一チャンバに隣接して配置される第二チャンバ14を含み、ここで第一および第二チャンバは、分離壁13によって隔てられる。第一および第二チャンバは更に、分離壁の上端およびドーサターのハウジング壁の間で明確にされるチャンネル経由で互いに連通する。狭まった又はテーパー状の部分15は、第二チャンバの下端から伸び、そして選択された投薬量の粒子をドーサターからカプセルに移送するためのイグジットポートを含む。ドーサターは、与えられた時間に、任意の適切な数のカプセルへの選択された投薬量を充填することを成し遂げるために、任意の選択された数の適切なイグジットポートを含み得ることが更に示される。
【0022】
第一チャンバ内に配置されるのは、システムの作動時に第一チャンバの容量を制御するために第一チャンバ中で垂直に調節可能であるストッパー17を含む、ピストン16である。ピストンストッパーは、第一チャンバに入る粒子がストッパーを越えて移動することを防ぐバリアを提供するために、分離壁13および第一チャンバの反対側のハウジング壁の間を伸びる。ピストンは、第一チャンバ中で投薬量の粒子を充填すること、および第一チャンバから第二チャンバ中へドーサターのイグジットポートを通って粒子を追い出すことを促進するために、モーター又は他のピストン制御機構(示されていない)によって、選択された時間のサイクルで垂直に動くことができる。詳細には、ピストンのサイクルはホッパーからドーサター中に流動する粒子を受取ること及び保持することのため、第一チャンバ中の選択された容量を曝すために、ストッパー17を第一チャンバ12中の選択された位置に垂直に動かすこと、続いて粒子を第一チャンバから第二チャンバ中へ2つのチャンバ間で明確にされる通路を経由して追い出すために、ストッパーをドーサターインレットへ向けて垂直に動かすことを含む。第二チャンバ中に追い出された粒子は、以下に説明されるように、ドーサターイグジットポート通って、カプセルステーションに配置され、且つイグジットポートと整列した、1つ以上のオープンカプセル中に継続して降下する。
【0023】
カプセルステーション30は、図1において部分的に描かれるように、可動のカプセルテーブル32を含み、オープンカプセル31のイグジットポートと整列した位置への移動を促進し(矢印33で一般的に示されるように)、ここでドーサターからの粒子で充填するためのオープンカプセル31の移動は、上記に説明されるようにピストンのサイクルと調整される。各々のオープンカプセルは、好ましくは、そのドーサターに対して上向き方向を向いている開口した末端とカプセルテーブル上で整列したオープンシェルを含む。カプセルテーブルは、一連のカプセルの位置決めおよび充填をなすために、回転する又は直線の動きのためにデザインされ得る。特に、ピストンが、ドーサターの第一チャンバから投薬量の粒子を第二チャンバ中にドーサターイグジットポートを通って分配するために、垂直に動かされる時、一つ以上のオープンカプセルは、粒子を受取るためにイグジットポートと整列する。第一チャンバ中でホッパーから更なる容量の粒子を受取るためにピストンが垂直に動かされる時、テーブル32は、カプセルの更なる充填を促進するために更なる1つ以上のオープンカプセルがドーサターのイグジットポートと整列する位置に移動される。システムは、与えられた時間枠で、選択された投薬量の粒子で充填される選択された数の経口用量のカプセルを製造するために更に設定される。各々のオープンカプセルを選択された投薬量の粒子で充填すると、各々の充填されたカプセルはカプセルを閉じそしてシールするためにさらに加工される(例えば、シェルキャップとカプセルのオープンシェルを結合することによって)。充填されたカプセルを閉じることは、例えば、ドーサター充填ステップから直ぐ下流の位置において起こり得る。
【0024】
上記に説明されるように不規則なジオメトリー及び/又は大きなサイズを有する賦形剤および薬学的有効成分を含むミクロ粒子を利用する場合、ボイドがホッパー中で発生し得、これは粒子のドーサター中への連続した分配およびフローを妨げ、次に結果として一貫性のない粒子の充填重量を有するカプセルを生じる。特に、問題の部分(図1において括弧8で示される)は、ファンネル部分4において、ホッパー2中で明確にされる。例えば、この位置に配置された不規則な形状の粒子は、空間、即ち粒子がホッパーを通ってドーサター中に移動した結果として形成されるボイドを充填するよりもむしろ、摩擦によって互いに付着する傾向がある。この問題を克服するために、少なくとも1つの流体フローライン25がホッパー2の壁部分を通って、好ましくはスパウト5において挿入される。流体フローラインは、圧力をかけられた流体(例えば、圧縮空気)のフローを、粒子の重力によるフローの方向と反対の方向(矢印27によって一般的に示される)でホッパー中に向ける。流体フロー制御装置26は、流体のために選択された速度(例えば、最小流動化速度)を達成するための流体の速度を制御するために流体フローライン上に配置される。制御装置は、システム作動時にホッパー中への連続的および/またはパルス状の(pulsated)ガス状流体のフローを生成するために更に選択的に制御され得る。フローライン25からホッパー中に流動するガス状流体は、問題の部分8に配置される粒子の少なくとも幾らかを流動化し、ホッパーを通る連続的な粒子のフローを実質的に維持し、そしてホッパー中で形成される粒子床中のボイドの形成を実質的に防ぐ又は除去する。従って、実質的に連続的且つ均一な粒子のフローがドーサター10中およびカプセルステーション30に配置されるオープンカプセル31に送達される。図1には1つの流体フローラインだけが描かれるが、特定のカプセル生産シナリオに依存して、このようなシナリオに基づいたホッパー中に存在し得る1つ以上の異なる問題の部分を標的とするために、ホッパー中の任意の適切な位置に任意の2つ以上の流体フローラインが備えられ得る。
【0025】
上記に説明されるシステムは、不規則な形状および様々なサイズを有する粒子のホッパーおよびドーサターを通り、実質的に均一なブレンドおよび許容される目的の範囲内に収まる投薬量を有する、経口用量の薬学的カプセルを生産するための、実質的に連続的且つ均一なフローを促進する。特に、本発明に従って、バッチ中の大部分又はすべてのカプセルが、所望される又は目的の充填重量から約15%より大きく離れず、バッチ中の単一のカプセルについての平均充填重量が目的の充填重量の約10%内である粒子を含む経口用量のカプセルの製造バッチが形成される。“目的の充填重量(target fill weight)”という用語は、ここで使用されるように、各々のカプセル又は他の経口用量プロダクト中に充填される粒状物質のための実質的に均一な重量を確立することを指す。
【0026】
以下の実施例1〜3において、上記で説明され、そして図1において図示されるシステムと同様のカプセル化システムが大量のカプセルを調製するために利用された。具体的には、カプセル化システムは、ホッパー中の粒子の少なくとも幾らかの流動化を確立するための十分な速度で、フローラインを通ってホッパー中に向けられる圧縮空気を利用した。これらの実施例は、約0.40以下の真円度値及びサイズが、メッシュ18よりも小さい(即ち、約1000μmよりも大きい)〜メッシュ35よりも大きい(即ち、約500μmよりも小さい)を有する不規則な形状の粒子配合物を含む。これら実施例の各々の処方物は、組成において異なるが、各々は、約3重量%の活性のある薬学的成分を含んだ。実施例各々の処方のための目的充填重量は、210mg±7%であった。カプセル化の後、各々のカプセルは、Shionogi & Co., LTD(ニュージャージー)から入手可能なCWI−40ユニットを使用して重量について検査され、このユニットは、5つの計量ステーションを含み各々のステーションはミクロ−分析天秤を含む。実施例各々の重量検査の結果は以下に提供される:
実施例1−処方 PD0138−97A
【0027】
【表1】

【0028】
この実施例について上記に示されるデータによって示されるように、全部で1563個のカプセルが重量について検査され、1394個のカプセルが目的の充填重量範囲内であり、169個のカプセルがこの範囲外であった。従って、この実施例について許容可能なカプセルの総収率は、約89%であった。
【0029】
実施例2−処方 PD0138−97B
【0030】
【表2】

【0031】
この実施例について上記に示されるデータによって示されるように、全部で1304個のカプセルが重量について検査され、966個のカプセルが目的の充填重量の範囲内であり、338個のカプセルがこの範囲外であった。従って、この実施例についての許容可能なカプセルの総収率は、約74%であった。
【0032】
実施例3−処方 PD0138−97C
【0033】
【表3】

【0034】
この実施例について上記に示されるデータによって示されるように、全部で1133個のカプセルが重量について検査され、926個のカプセルが目的充填重量の範囲内であり、207個のカプセルがこの範囲外であった。従って、この実施例について許容可能なカプセルの総収率は、約82%であった。
【0035】
比較例において、同一のカプセル化システムを利用するが、ホッパー中の粒子床の粒子を流動化するための圧力をかけられた流体を使用しないで、上記の3つの実施例の処方各々をカプセル化する試みがなされた。流動化が使用されなかった場合、カプセルの充填重量における変化は非常に高く、カプセルの充填重量は、粒子床中に形成されるボイドの結果、時間の経過と共に、加工されたカプセルの充填が全く無くなるまで減少した。このように、先の実施例は、許容可能な充填重量を有する経口用量の薬学的カプセルプロダクトを形成するために、上記に説明されるように不規則な形状及びサイズを有する粒子のホッパー及びドーサターを通った実質的に連続的なフローを確立するための本発明のシステム及び方法の有効性を実証する。
【0036】
実施例4
バッチ生産過程におけるカプセル化時に、製造時間の増加に伴って、元のブレンドの分離が起こり得る。特に、分離は粒度分布(PSD)が、元のブレンドのものから顕著に離れる場合に起こり得、カプセル化したプロダクトと元のブレンドを比較すると、各々のメッシュのサイズ内で25%以上のPSDにおける違いを結果として生じる。以下の実施例は、本発明のシステム及び方法が、処方物ブレンドの分離が、製造時間の増加に伴って起こるのを防ぐ能力を実証する。
【0037】
この実施例において、薬学的有効成分塩化トロスピウム(処方 PD0151−112)は、上記に説明され図1において描かれるシステムに実質的に類似のシステムを利用してカプセル化された。不規則なジオメトリー及び約0.40以下の真円度値を有し、粒度寸法が約250μm以下〜少なくとも約600μmの範囲である粒子でカプセルは充填された。カプセル製造プロセスは、適切な数のカプセルを含むバッチを生産するのに十分な時間枠で実施された。バッチからのカプセルは、PSD対時間データを作るために異なる時間枠で分析された。具体的には、選択された数のカプセルが、システムによって生産された100個のカプセルの一連のセット各々から分析され、選択された数のカプセルのカプセル粒子の内容を一連のメッシュの篩を通してフィルタリングし、各々の篩中並びに最後の篩の下に含まれた粒状物質の量並びに準備されたパン(pan)を計量することによってPSDデータは作られた。さらに、ホッパー中に提供された元のブレンドのPSDもまたカプセルデータと比較するために分析された。
【0038】
この実施例から得られたデータは、図2中に描かれた棒グラフに表示される(ここで棒は、元のブレンドおよび分析のために選択された各々のセットのカプセルについて、各々のメッシュ篩中およびパンに分離された粒子の重量百分率を示す。具体的には、10本の棒は、グラフ中の各々のメッシュサイズユニットに関連し、(グラフ中のボックスによって示されるように)以下に対応する:元のブレンド、生産バッチのカプセル1〜10、生産バッチのカプセル100〜110、生産バッチのカプセル200〜210、生産バッチのカプセル300〜310、生産バッチのカプセル500〜510、生産バッチのカプセル600〜610、生産バッチのカプセル700〜710、生産バッチのカプセル800〜810、生産バッチのカプセル900〜910。図2中に示されるデータから、変化するサイズおよび本発明に従って生産される粒子のブレンドを含むカプセルのPSDは、元のブレンドのPSDから顕著に異ならないことが見られ得る。この実施例について、PSDにおける最も大きな変化は、メッシュ30の篩によって捕らえられたより大きな粒子についてであった(即ち、約600μmよりも大きい粒子)。しかし、各々のカプセルのセットにおいてメッシュ40、50、および60の篩によって捕らえられた粒子の重量百分率は、元のブレンドのものと非常に近いままであった。このように、この実施例は、カプセルの生産時にカプセル中の実質的に均一な粒子のブレンドを維持することにおける、本発明の有効性を実証する。
【0039】
上記に説明され図面に中に図示される実施形態は、システムを実行する多くの方法、および経口用量の薬学的プロダクトにおけるカプセル化のための粒子の流動化のための対応する方法のほんの少しを示すことが理解される。
【0040】
該システムは、ホッパー又はドーサターへの粒子を受取りそして移動する他の適切なデバイスを含む経口用量の薬学的プロダクトを生産するための任意の適切なタイプであり得る。ドーサターは、サイズが約100μmよりも大きい粒状物質をプロセシングすることが可能な任意の適切なタイプであり得る。ドーサターは、与えられた時間において、任意の選択された数のカプセル(例えば、1つ以上)を充填するための任意の適切な数のアウトレット又はイグジットポート、或いは容器(receptacles)を含み得る。カプセルステーションは、ドーサターアウトレットからカプセルをシールするための選択された場所へのオープンカプセルの移動を促進するための任意の適切なタイプであってもよい。該システムは更に、一定の時間枠で所望される量の経口用量の薬学的プロダクトの生産を促進するための任意の選択された数のホッパー、ドーサターおよび/又はカプセルステーションを含み得る。
【0041】
粒子床中のボイドの形成を最小限に抑え又は除去し、ホッパーからドーサターへの粒子の実質的に連続的且つ均一なフローを維持するために、ホッパー中に形成される粒子床中に、例えば圧縮空気または他の適切なガスなどの1つ以上の流体のストリームを送達するために、任意の選択される数の流体フローラインが備えられ得る。例えば、2つ以上の流体フローラインが、ホッパー中の粒子床中の2以上の場所において粒子を流動化するために提供され得る。
【0042】
本発明に従って生産される経口用量の薬学的プロダクトは、好ましくは、カプセル化されたプロダクトであるが、カプセル化されない他の経口用量のプロダクトもまた形成され得ることが示される。例えば、個々への粒状物質の経口送達を促進するために、プロダクトの使用前に粒状物質を貯蔵し、使用時に開けられる、包装の場合、経口用量プロダクトは、カプセルよりもむしろ、他の包装形態においてシールされ得る。
【0043】
新規且つ改良されたシステム及び、経口用量の薬学的プロダクトにおけるカプセル化のための粒子の流動化のための対応する方法の好ましい実施形態が説明されたが、他の改良、変化、および変更は、ここにおいて説明される教示を考慮して当業者に示唆されると考えられる。従って、全てのこのような変化、改良、変更は、添付の特許請求の範囲によって明確にされる本発明の範囲内に収まると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、本発明に従って、経口用量の薬学的カプセルを粒子で充填するためのカプセル化システム断面の例証的実施形態を描写する。
【図2】図2は、本発明に従って製造される塩化トロスピウムカプセル(Formula PD0150−112)のための粒度分布に対する時間の影響を図示するグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホッパーのアウトレットの近傍に配置されるドーサター(dosator)及びホッパーを含むシステムを利用して経口用量の薬学的プロダクトを生産する方法であり、該方法は以下を含む:
(a) 約0.40以下の真円度値によって定義される不規則なジオメトリーを有する粒子を含む粒状物質を該ホッパー中に供給すること;
(b) 該ホッパー中で該粒子の少なくとも幾らかを流動化するために、該ホッパー中にガス状の流体を向けること;
(c) 選択された量の該粒状物質を該ドーサター中に移送すること;および
(d) 該ドーサター中に移送された該選択された量の粒状物質から経口用量の薬学的プロダクトを形成すること。
【請求項2】
該経口用量の薬学的プロダクトが、該選択された量の該粒状物質を含むカプセルを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(d)が以下を含む、請求項2に記載の方法:
(d.1) 該選択された量の粒状物質を該ドーサターから該カプセル中に向けること。
【請求項4】
不規則なジオメトリーを有する該粒子が、約0.25以下の真円度値を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
不規則なジオメトリーを有する該粒子が、約100μmよりも大きい寸法を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
不規則なジオメトリーを有する該粒子が、約125μm〜約1,000μmの範囲の寸法を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
不規則なジオメトリーを有する該粒子が、約185μm〜約400μmの範囲の寸法を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
(e)複数の経口用量の薬学的プロダクト(ここで、形成されるプロダクトの大部分が、目的の充填重量から約15%よりも大きくはずれない重量を有する)を形成するために、ステップ(c)および(d)を反復すること;
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法によって形成される、カプセル化された経口用量の薬学的プロダクト。
【請求項10】
請求項1に記載の方法によって形成される、カプセル化された経口用量の薬学的プロダクトのバッチ。
【請求項11】
約0.40以下の真円度値によって定義される不規則なジオメトリーを有する粒子を含む粒状物質を受取るためのホッパー;
該ホッパー中で少なくとも幾らかの該粒子を流動化させるために、選択された速度で該ホッパー中にガス状の流体を向けるための流体供給源;
該ホッパーから選択された量の粒状物質を受取るために該ホッパーのアウトレット付近に方向付けられるドーサター(ここで、該ドーサターは、約100μmより大きい寸法を有する粒子を受取りそして投薬量に分ける(dose)ために適切に大きさにされる);
該ドーサターのアウトレット近傍に配置され、そして該カプセルの充填を促進するために該ドーサターアウトレットと整列するようにカプセルステーションによって選択的に移動可能な複数のオープンカプセルを含むカプセルステーション;
を備えた、カプセル化された経口用量の薬学的プロダクトを生産するためのシステム。
【請求項12】
該システムが、不規則なジオメトリーを有する粒子を含み、該プロダクトの大部分が、目的の充填重量から約15%よりも大きくはずれない重量を有する、カプセル化された経口用量の薬学的プロダクトを生産するために配置される、請求項11に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−525921(P2006−525921A)
【公表日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−513374(P2006−513374)
【出願日】平成16年5月12日(2004.5.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/013008
【国際公開番号】WO2004/103815
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(500125076)シャイア ラボラトリーズ,インコーポレイテッド (9)
【Fターム(参考)】