説明

経路検索方法、経路検索システム及び移動端末

【課題】交通機関の乗換え時において経路の再検索が自動的に行えるようにすること。
【解決手段】経路検索システム100は、速度算出部62cによって算出される乗り換え時の移動速度から、乗り換え可能な便を乗り換えが行われる毎に自動的に算出し、この算出によって得られる便が予め検索された検索経路情報52の便と異なる場合には、算出により得られた便に基づいて経路検索を再度行って新たな検索経路情報52を作成し、出力部4にこの内容を表示する。この移動速度は、乗り換え時の乗降場間に設置された複数のタグ13の位置に基づいて算出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路検索方法、経路検索システム及び移動端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、出発地、目的地、出発時刻等を入力すると、電車等の交通機関を用いて出発地から目的地に至る移動経路の検索を行う技術が開発されている。特許文献1には、このような経路検索技術の一例が開示されている。
【特許文献1】特開2004−61298号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、交通機関の運行に遅れが生じた場合や、既に行われた経路検索の結果とは異なる便を誤って利用してしまった場合等には、このような経路検索の結果を交通機関の乗り換え時に用いることは困難となる。このため、上記のような従来の経路検索技術では、経路検索の条件を再入力するなどして再検索の操作を手動で行わなければならない。そこで本発明の目的は、交通機関の乗換え時において経路の再検索が自動的に行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、第1の交通機関から第2の交通機関への乗り換えを含む経路検索を移動端末を用いて行う経路検索方法であって、前記経路検索を行って前記乗り換えに用いる前記第2の交通機関の便を第1の便に特定する経路検索ステップと、前記経路検索ステップの後、前記第1の交通機関を降車する第1の乗降場から前記第2の交通機関に乗車する第2の乗降場まで前記移動端末が移動する間に、該移動端末の複数の位置を該移動端末が取得する位置取得ステップと、前記位置取得ステップにおいて取得された前記移動端末の複数の位置と、該移動端末の位置のそれぞれの取得時刻とを用いて、前記第2の交通機関の便を該移動端末が特定する交通機関特定ステップと、前記交通機関特定ステップにおいて特定された前記第2の交通機関の便が前記第1の便と異なる場合には、この特定された前記第2の交通機関の便に基づいて前記経路検索を再度行う再検索ステップとを有する、ことを特徴とする。
【0005】
そして、前記交通機関特定ステップは、前記位置取得ステップにおいて取得された前記移動端末の複数の位置と、該移動端末の位置のそれぞれの取得時刻とを用いて、前記第2の乗降場への到達予定時刻を前記移動端末が算出する算出ステップと、前記算出ステップにおいて算出された前記到達予定時刻が前記第1の便の出発時刻よりも遅い場合には、該第1の便よりも後の第2の便を前記第2の交通機関の便に前記移動端末が特定し、前記第1の便よりも前の第3の便の出発時刻よりも前記到達予定時刻が早い場合には、該第3の便を前記第2の交通機関の便に前記移動端末が特定する特定ステップとを含み、前記再検索ステップは、前記特定ステップにおいて前記第2の交通機関の便が前記第2又は第3の便に特定された場合、この第2又は第3の便に基づいて前記経路検索を前記移動端末が再度行うのが好ましい。
【0006】
そして、前記算出ステップは、前記位置取得ステップにおいて取得された前記移動端末の複数の位置と、該移動端末の位置のそれぞれの取得時刻とに基づいて、前記移動端末の複数の位置のうち隣接する二つの位置間の移動速度を前記移動端末が算出する速度算出ステップと、前記速度算出ステップにおいて算出された前記移動速度と、該速度算出ステップにおいて前記移動速度の算出に用いられた前記移動端末の位置及び該移動端末の位置の取得時刻と、前記第2の交通機関の乗降場の位置とに基づいて前記到達予定時刻を前記移動端末が算出する到達予定時刻算出ステップとを含むのが好ましい。
【0007】
また、本発明は、第1の交通機関から第2の交通機関への乗り換えを含む経路検索を行う経路検索システムであって、前記第1の交通機関を降車する第1の乗降場から前記第2の交通機関に乗車する第2の乗降場までに設けられた複数のタグと、前記タグと通信可能な移動端末とを備え、前記移動端末は、前記経路検索を行って前記乗り換えに用いる前記第2の交通機関の便を第1の便に特定する経路検索手段と、前記第1の交通機関を降車する第1の乗降場から前記第2の交通機関に乗車する第2の乗降場までの移動の間に、前記複数のタグのそれぞれから該タグの位置を取得する位置取得手段と、前記位置取得手段により取得される前記タグの位置と、該タグの位置の取得時刻とを用いて、前記第2の交通機関の便を特定する交通機関特定手段と、前記交通機関特定手段により特定される前記第2の交通機関の便が前記第1の便と異なる場合には、この特定される前記第2の交通機関の便に基づいて前記経路検索を再度行う再検索手段とを有する、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、第1の交通機関から第2の交通機関への乗り換えを含む経路検索が可能な移動端末であって、前記経路検索を行って前記乗り換えに用いる前記第2の交通機関の便を第1の便に特定する経路検索手段と、前記第1の交通機関を降車する第1の乗降場から前記第2の交通機関に乗車する第2の乗降場までの移動の間に、当該移動端末の通過する複数の位置を取得する位置取得手段と、前記位置取得手段により取得された前記複数の位置と、該複数の位置のそれぞれの取得時刻とを用いて、前記第2の交通機関の便を特定する交通機関特定手段と、前記交通機関特定手段により特定される前記第2の交通機関の便が前記第1の便と異なる場合には、この特定される前記第2の交通機関の便に基づいて前記経路検索を再度行う再検索手段とを備える、ことを特徴とする。
【0009】
第1の交通機関から第2の交通機関への乗り換えの際に、第2の交通機関の乗降場への到着予定時刻が、予め検索された第2の交通機関の第1の便の出発時刻よりも遅い場合や、この第1の便よりも前の第3の便の出発時刻よりも早い場合には、第2の交通機関の便を変更することが必要となる。本発明によれば、このような場合であっても、新たな入力操作を行うことなく、乗り換え後の経路の再検索が自動的に行える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、交通機関の乗換え時において経路の再検索が自動的に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明に係る好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、可能な場合には、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図1は、実施形態に係る経路検索システム100の構成を示す図である。経路検索システム100は、移動端末1及びタグ13を備える。移動端末1は、携帯電話等の端末である。タグ13は、RFIDタグ(RFID:Radio Frequency IDentification)であり、交通機関の駅やターミナルに複数設置されている。
【0012】
移動端末1は、タグリーダ2、入力部3、出力部4、メモリ5及び制御部6を有する。タグリーダ2は、RFIDタグリーダであり、タグ13から発信される無線信号を受信する装置である。入力部3は、データを入力するための複数のキーを有する。入力部3により入力されたデータは、制御部6に出力される。出力部4は、LCD等の表示装置やスピーカ等を有しており、制御部6からの信号を表示装置に表示したり、スピーカから放音したりする。メモリ5は、書き込み/読み出しが自在なメモリであり、スケジュール情報51、検索経路情報52、時刻表情報53及び乗降場位置情報54を格納する。スケジュール情報51は、ユーザが入力部3を介して入力するスケジュールデータに基づいて、後述のスケジュール管理部61によって作成される情報であり、イベント情報51aと移動情報51bとを含む。
【0013】
イベント情報51aは、会議等のイベントの「開催日時(開始・終了)」や「開催場所」、「イベント名」、「イベント内容」等の情報を含む。移動情報51bは、交通機関を用いた移動スケジュールを示しており、「出発日時」、「出発場所(駅名、地名)」、「到着日時」、「到着場所(駅名、地名)」、「乗り換え情報」等の情報を含む。検索経路情報52は、後述の経路検索部62によって作成される情報である。検索経路情報52は、移動情報51bの内容に応じて経路検索部62により行われる経路検索の結果を示す情報である。
【0014】
スケジュール管理部61によって移動情報51bが作成されると、検索経路情報52は経路検索部62により自動的に作成される。時刻表情報53は、移動端末1のユーザが利用可能な各種交通機関の運行スケジュールである。本実施形態における交通機関とは、例えば、電車、バス、飛行機、船等であるが、運行スケジュールに従って運行される乗り物であればこれに限らない。運行スケジュールには、駅やターミナル等の乗降場、出発時刻及び到着時刻等の情報が交通機関の便毎に網羅されている。乗降場位置情報54は、移動端末1のユーザが利用可能な各種交通機関の乗降場の位置を示す情報であり、緯度及び経度(又は、緯度、経度及び高度)によって表されている。
【0015】
制御部6は、物理的には図示しないCPU、ROM及びRAMを有しており、ROM内に格納された各種プログラムをCPUに実行させることにより、移動端末1を統括的に制御する。制御部6は、機能的には、スケジュール管理部61及び経路検索部62を有する。経路検索部62は、検索部62a(経路検索手段)、位置取得部62b(位置取得手段)、速度算出部62c(交通機関特定手段)、時刻算出部62d(交通機関特定手段)、特定部62e(交通機関特定手段)及び再検索部62f(再検索手段)を含む。
【0016】
このスケジュール管理部61及び経路検索部62は、制御部6のCPUがコンピュータソフトウェアを実行し、移動端末1の構成部を動作させることにより実現される機能である。特に、制御部6のCPUは、スケジュール管理部61及び経路検索部62を用いて、後述の移動端末1の行う処理(図3のフローチャートに示す処理を含む)を実行する。スケジュール管理部61及び経路検索部62の各機能は、後述する経路検索システム100の動作の説明に詳述されている。
【0017】
次に、図2及び図3を参照して経路検索システム100の動作を説明する。図2は、経路検索システム100を用いた乗り換え時の様子を説明するための図であり、図3は、経路検索システム100における乗り換え時の動作を説明するためのフローチャートである。まず、スケジュール管理部61は、交通機関を用いた移動スケジュールを設定するためのデータが入力部3を介して入力されると、この入力されたデータに基づいて移動情報51bを作成する。
【0018】
経路検索部62の検索部62aは、移動情報51bが作成されると、この移動情報51bが作成されたことをトリガとして、この作成された移動情報51bの内容に基づいて検索経路情報52を自動的に作成し、この検索経路情報52をメモリ5に格納する(経路検索ステップ)。以下、この検索経路情報52は、図2に示すような第1の交通機関10aから第2の交通機関10bへの乗り換え情報を含んでいるものとする。この検索経路情報52(移動情報51bが作成されたことをトリガとして自動的に作成された検索経路情報52)に含まれている第1の交通機関10aから第2の交通機関10bへの乗り換え情報には、第1の交通機関10aの便と、この第1の交通機関10aの便から乗り換える第2の交通機関10bの便(以下、第1の便という)とが設定されている。なお、上述の経路検索ステップの処理は、移動端末1の通信ネットワークに設けられた外部サーバが行ってもよい。このような外部サーバの行う経路検索ステップにおいて、経路検索部62の検索部62aは、移動情報51bが作成されると、この移動情報51bが作成されたことをトリガとして、この作成された移動情報51bを外部サーバに送信して移動情報51bの内容に基づく検索経路情報52の作成を外部サーバに自動的に要求し(検索経路情報52の作成要求を外部サーバに送信し)、この後、外部サーバから検索経路情報52が送信されると、この検索経路情報52をメモリ5に格納する。
【0019】
図2には、第1の線路11aを走行する第1の交通機関10aと、この第1の交通機関10aの第1の乗降場12aとが示されており、更に、第2の線路11bを走行する第2の交通機関10bと、第2の交通機関10bの第2の乗降場12bとが示されている。
【0020】
また、図2には、乗り換えのために第1の乗降場12aで降車した移動端末1のユーザが、乗り換え先となる第2の乗降場12bに移動する際に用いる乗り換え経路A1が示されている。移動端末1のユーザは、この乗り換え経路A1を徒歩によって移動する。移動端末1のユーザは、第1の乗降場12aにおいて第1の交通機関10aを降車し、その後、乗り換え経路A1を徒歩によって第2の乗降場12bまで移動し、そして、この第2の乗降場12bにおいて第2の交通機関10bに乗車する。このようにして、移動端末1のユーザは、第1の乗降場12aから第2の乗降場12bへの乗り換えを行う。
【0021】
また、図2には、第1の乗降場12aから乗り換え経路A1を介して第2の乗降場12bまでの間に設けられた複数のタグ13(第1のタグ13a〜第4のタグ13d)が示されている。第1のタグ13aは第1の乗降場12aに設けられており、第2のタグ13b及び第3のタグ13cは乗り換え経路A1に設けられており、第4のタグ13dは第2の乗降場12bに設けられている。移動端末1は、移動端末1のユーザが第1の乗降場12aから第2の乗降場12bに乗り換え経路A1に沿って移動する間に、第1のタグ13a〜第4のタグ13dから無線通信を順次受信する。第1のタグ13a〜第4のタグ13dからの無線通信は、各第1のタグ13a〜第4のタグ13dの位置を示す情報を含む。
【0022】
次に、第1の交通機関10aから第2の交通機関10bへの乗り換え時に移動端末1の経路検索部62が行う処理を説明する。移動端末1の経路検索部62は、移動端末1が第1の交通機関10aから第2の交通機関10bに乗り換え経路A1に沿って移動する間(ユーザが移動端末1を携帯しながら第1の交通機関10aから第2の交通機関10bに徒歩により移動する間)に、下記ステップS1〜ステップS6の処理を自動的に行う。この処理は、例えば、移動端末1が第1の乗降場12aに設置された第1のタグ13aからの無線通信を受信することをトリガとして行われるものとする。
【0023】
図3に示すように、位置取得部62bは、第1の交通機関10aを降車する第1の乗降場12aから第2の交通機関10bに乗車する第2の乗降場12bまでの移動の間に、第1の乗降場12aから第2の乗降場12bまでに設けられた第1のタグ13a〜第4のタグ13dからの無線通信を用いて、これら第1のタグ13a〜第4のタグ13dの位置を移動端末1の位置として取得する(ステップS1、位置取得ステップ)。以下、ステップS1において、位置取得部62bが、隣接する第1のタグ13a及び第2のタグ13bのそれぞれの位置を移動端末1の位置として取得した場合を考える。ここで、位置取得部62bは、第1のタグ13a〜第4のタグ13dの位置の取得時刻を計時する。
【0024】
ステップS1の後、速度算出部62c、時刻算出部62d及び特定部62eが、ステップS1において移動端末1の位置として位置取得部62bにより取得された第1のタグ13a及び第2のタグ13bのそれぞれの位置(位置L1及び位置L2)と、位置取得部62bにより計時された第1のタグ13a及び第2のタグ13bの位置のそれぞれの取得時刻(時刻T1及び時刻T2)とを用いて、第2の交通機関10bの便を特定する(交通機関特定ステップ)。この交通機関特定ステップは、後述の算出ステップ(ステップS2及びステップS3)と特定ステップ(ステップS4)とを含む。算出ステップでは、速度算出部62c及び時刻算出部62dが、ステップS1において取得された第1のタグ13a及び第2のタグ13bのそれぞれの位置(位置L1及び位置L2)と、第1のタグ13a及び第2のタグ13bの位置のそれぞれの取得時刻(時刻T1及び時刻T2)とを用いて、第2の乗降場12bへの到達予定時刻Taを算出する。
【0025】
この算出ステップを、後述の速度算出ステップ(ステップS2)と到着予定時刻算出ステップ(ステップS3)とに分けて更に詳細に説明する。速度算出ステップでは、ステップS1の後、速度算出部62cが、位置取得部62bにより取得された第1のタグ13aの位置L1及び第2のタグ13bの位置L2と、この位置L1及び位置L2の取得時刻である時刻T1及び時刻T2とに基づいて、第1のタグ13aと第2のタグ13bとの間を移動端末1が図中符号A2の向きに移動する際の移動速度V(移動端末1のユーザの歩行速度)を、下記式:
移動速度V=(位置L2−位置L1)/(時刻T2−時刻T1)
を用いて算出する(ステップS2)。
【0026】
そして、到着予定時刻算出ステップでは、このステップS2の後に、時刻算出部62dが、位置取得部62bにより取得された第2のタグ13bの位置L2と、この位置L2を取得した時刻T2と、速度算出部62cにより算出された移動端末1の移動速度V(移動端末1のユーザの歩行速度)と、乗降場位置情報54とに基づいて、第2の乗降場12bへの到着予定時刻Taを算出する(ステップS3)。
【0027】
具体的には、時刻算出部62dは、乗降場位置情報54から第2の乗降場12bの位置Laを取得し、この位置Laと、第2のタグ13bの位置L2と、この位置L2を取得した時刻T2と、移動速度Vとを下記式:
到着予定時刻Ta=(位置La−位置L2)/移動速度V+時刻T2
に適用することによって到着予定時刻Taを算出する。なお、第2の乗降場12bに設置された第4のタグ13dの位置を、第2の乗降場12bの位置Laに替えて用いてもよい。
【0028】
ステップS3の後、特定部62eは、時刻算出部62dにより算出された到着予定時刻Taが予め検索部62aによって検索された第2の交通機関10bの第1の便の出発時刻T3よりも遅い場合には(出発時刻T3<到着予定時刻Ta)、この第1の便よりも後の第2の便を第2の交通機関10bの便に特定する。また、特定部62eは、時刻算出部62dにより算出された到着予定時刻Taが第1の便よりも前の第3の便の出発時刻T4よりも早い場合には(出発時刻T4>到着予定時刻Ta)、この第3の便を第2の交通機関10bの便に特定する(ステップS4、特定ステップ)。
【0029】
ステップS4の後、再検索部62fは、特定部62eにより特定された第2の交通機関10bの便が第1の便と異なっているか否かを判定する(ステップS5)。特定部62eにより特定された第2の交通機関10bの便が第1の便と異なっている場合、すなわち、第2の交通機関10bの便を上記の第2又は第3の便に特定部62eが特定した場合(ステップS5;Yes)、この第2又は第3の便に基づいて、この乗り換え後の経路検索を検索部62aに再度行わせ、この検索結果を出力部4の表示装置に表示し、この検索結果に基づいて検索経路情報52の内容を変更する(ステップS6、再検索ステップ)。特定部62eにより特定された第2の交通機関10bの便が第1の便と同じ場合(ステップS5;No)、上記の経路検索ステップにおいて検索部62aにより予め検索された検索経路情報52は変更されない。
【0030】
経路検索部62は、移動端末1が、第2のタグ13bと第3のタグ13cとの間を移動端末1が図中符号A3の向きに移動する時、及び、第3のタグ13cと第4のタグ13dとの間を移動端末1が図中符号A4の向きに移動する時においても、上述したステップS1〜ステップS6の処理をそれぞれ自動的に行う。
【0031】
以上説明した経路検索システム100は、速度算出部62cによって算出される乗り換え時の移動速度から、乗り換え可能な便を乗り換えが行われる毎に自動的に算出し、この算出によって得られる便が予め検索された検索経路情報52の便と異なる場合には、算出により得られた便に基づいて経路検索を再度行って新たな検索経路情報52を作成し、出力部4にこの内容を表示する。そして、この自動的に算出される移動速度は、乗り換え時の乗降場間(第1の乗降場12aから第2の乗降場12bまでの間)に設置された複数のタグ13(第1のタグ13a〜第4のタグ13d)の位置に基づいて算出される。このような、経路検索システム100によれば、第1の交通機関10aから第2の交通機関10bへの乗り換えの際に、新たな入力操作を行うことなく、乗り換え後の経路の再検索が自動的に行える。
【0032】
なお、実施形態に係る経路検索システム100に替えて、経路検索システム100aを用いてもよい。経路検索システム100aは、GPS信号受信部7を有する移動端末1aを備える。図4に経路検索システム100aの構成を示す。移動端末1において、位置取得部62bは、第1のタグ13a〜第4のタグ13dから第1のタグ13a〜第4のタグ13dの位置(例えば、第1のタグ13aの位置L1及び第2のタグ13bの位置L2)を移動端末1の位置として取得し、速度算出部62c及び時刻算出部62dは、第1のタグ13a〜第4のタグ13dの位置と、この位置の取得時刻(例えば、第1のタグ13aの位置L1の取得時刻T1及び第2のタグ13bの位置L2の取得時刻T2)とを用いて第2の乗降場12bへの到達時刻Ta等を算出するが、移動端末1aにおいて、位置取得部62bは、GPS信号受信部7により受信されるGPS信号に基づいて移動端末1の位置を取得し、速度算出部62c及び時刻算出部62dは、GPS信号に基づいて取得された移動端末1の位置と、この位置の取得時刻とを用いて、到達時刻Taを算出する。
【0033】
この場合、位置取得部62bは、移動端末1が第1の交通機関10aを降車したタイミングで移動端末1の位置を所定時間(例えば10秒)毎にGPS信号から取得する。そして、ステップS1〜ステップS6の処理において、実施形態において位置取得部62bにより取得される第1のタグ13a〜第4のタグ13dの位置と、この位置の取得時刻とは、位置取得部62bにより所定時間毎にGPS信号から取得される移動端末1の位置と、この位置の取得時刻とにそれぞれ替えて用いられる。ここで、移動端末1が第1の交通機関10aを降車したタイミングは、例えば、第1の乗降場12aに設けられた第1のタグ13aとタグリーダ2とが通信を行ったタイミング等である。
【0034】
なお、位置取得部62bは、検索経路情報52を参照して第1の交通機関10aが第1の乗降場12aに到着する(或いは、到着後に降車する)予定時刻に至ったか否かを判定し、予定時刻に至ったと判定した場合に、この判定時をトリガとして移動端末1の位置をGPS信号に基づいて取得してもよい(以下、GPS信号に基づいて取得された移動端末1の経度緯度を位置P1という)。この場合、位置取得部62bは、第1の乗降場12aの位置(乗降場位置情報54に予め含まれている経度緯度であり、以下、位置P2という)と位置P1との間の直線距離(距離Lnという)を算出し、この算出した距離Lnが所定の基準距離Lp(例えば、数百メートルであり、メモリ5に予め格納されている)より大きいか否かを判定する。位置取得部62bは、距離Lnが基準距離Lpより大きいと判定した場合、基準時間Tnの後に、位置P1を新たに取得し、この新たに取得した位置P1を用いて距離Lnを新たに算出する。位置取得部62bは、距離Lnが基準距離Lp以下に至るまで、位置P1の取得を繰り返す。
ここで、基準時間Tnは、下記式:
Tn=Ln/Vn
によって算出される。Vnは、第1の交通機関10aの速度(平均速度又は最高速度)であり、第1の交通機関10aの名称やID等に紐付けされて移動端末1のメモり5に予め格納されている。位置P2は、乗降場位置情報54に予め含まれている。
【0035】
また、移動端末1が乗車券や定期券としての機能を有する場合(具体的には、乗車券や定期券として用いるIC乗車券を移動端末1が具備する場合、又は、移動端末1のタグリーダ2が、乗車券や定期券として用いるパッシブ型のタグとしての機能を有している場合)、位置取得部62bは、移動端末1が自動改札機を通過した時(改札を通過した旨の情報を移動端末1が自動改札機から取得した時)をトリガとして位置P1を取得してもよい。また、移動端末1のユーザが、第1の乗降場12aに至った時に(或いは、到着後に降車した時に)、移動端末1のキー操作(例えば、一つのキー操作)を行って、位置P1の取得を移動端末1に指示してもよい。この場合、位置取得部62bは、このキー操作に応じて位置P1を取得する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施形態に係る経路検索システムの構成を示す図である。
【図2】実施形態に係る経路検索システムを用いた乗り換え時の様子を説明するための図である。
【図3】実施形態に係る経路検索システムにおける乗り換え時の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】実施形態に係る他の経路検索システムの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
L1,L2,La…位置、A1…乗り換え経路、T1,T2,T3,T4…時刻、Ta…到着予定時刻、V…移動速度、1,1a…移動端末、10a…第1の交通機関、10b…第2の交通機関、100,100a…経路検索システム、11a…第1の線路、11b…第2の線路、12a…第1の乗降場、12b…第2の乗降場、13…タグ、13a…第1のタグ、13b…第2のタグ、13c…第3のタグ、13d…第4のタグ、2…タグリーダ、3…入力部、4…出力部、5…メモリ、51…スケジュール情報、51a…イベント情報、51b…移動情報、52…検索経路情報、53…時刻表情報、54…乗降場位置情報、6…制御部、61…スケジュール管理部、62…経路検索部、62a…検索部、62b…位置取得部、62c…速度算出部、62d…時刻算出部、62e…特定部、62f…再検索部、7…GPS信号受信部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の交通機関から第2の交通機関への乗り換えを含む経路検索を移動端末を用いて行う経路検索方法であって、
前記経路検索を行って前記乗り換えに用いる前記第2の交通機関の便を第1の便に特定する経路検索ステップと、
前記経路検索ステップの後、前記第1の交通機関を降車する第1の乗降場から前記第2の交通機関に乗車する第2の乗降場まで前記移動端末が移動する間に、該移動端末の複数の位置を該移動端末が取得する位置取得ステップと、
前記位置取得ステップにおいて取得された前記移動端末の複数の位置と、該移動端末の位置のそれぞれの取得時刻とを用いて、前記第2の交通機関の便を該移動端末が特定する交通機関特定ステップと、
前記交通機関特定ステップにおいて特定された前記第2の交通機関の便が前記第1の便と異なる場合には、この特定された前記第2の交通機関の便に基づいて前記経路検索を再度行う再検索ステップと
を有する、ことを特徴とする経路検索方法。
【請求項2】
前記交通機関特定ステップは、
前記位置取得ステップにおいて取得された前記移動端末の複数の位置と、該移動端末の位置のそれぞれの取得時刻とを用いて、前記第2の乗降場への到達予定時刻を前記移動端末が算出する算出ステップと、
前記算出ステップにおいて算出された前記到達予定時刻が前記第1の便の出発時刻よりも遅い場合には、該第1の便よりも後の第2の便を前記第2の交通機関の便に前記移動端末が特定し、前記第1の便よりも前の第3の便の出発時刻よりも前記到達予定時刻が早い場合には、該第3の便を前記第2の交通機関の便に前記移動端末が特定する特定ステップと
を含み、
前記再検索ステップは、
前記特定ステップにおいて前記第2の交通機関の便が前記第2又は第3の便に特定された場合、この第2又は第3の便に基づいて前記経路検索を前記移動端末が再度行う
ことを特徴とする請求項1に記載の経路検索方法。
【請求項3】
前記算出ステップは、
前記位置取得ステップにおいて取得された前記移動端末の複数の位置と、該移動端末の位置のそれぞれの取得時刻とに基づいて、前記移動端末の複数の位置のうち隣接する二つの位置間の移動速度を前記移動端末が算出する速度算出ステップと、
前記速度算出ステップにおいて算出された前記移動速度と、該速度算出ステップにおいて前記移動速度の算出に用いられた前記移動端末の位置及び該移動端末の位置の取得時刻と、前記第2の交通機関の乗降場の位置とに基づいて前記到達予定時刻を前記移動端末が算出する到達予定時刻算出ステップと
を含む、ことを特徴とする請求項2に記載の経路検索方法。
【請求項4】
第1の交通機関から第2の交通機関への乗り換えを含む経路検索を行う経路検索システムであって、
前記第1の交通機関を降車する第1の乗降場から前記第2の交通機関に乗車する第2の乗降場までに設けられた複数のタグと、
前記タグと通信可能な移動端末と
を備え、
前記移動端末は、
前記経路検索を行って前記乗り換えに用いる前記第2の交通機関の便を第1の便に特定する経路検索手段と、
前記第1の交通機関を降車する第1の乗降場から前記第2の交通機関に乗車する第2の乗降場までの移動の間に、前記複数のタグのそれぞれから該タグの位置を取得する位置取得手段と、
前記位置取得手段により取得される前記タグの位置と、該タグの位置の取得時刻とを用いて、前記第2の交通機関の便を特定する交通機関特定手段と、
前記交通機関特定手段により特定される前記第2の交通機関の便が前記第1の便と異なる場合には、この特定される前記第2の交通機関の便に基づいて前記経路検索を再度行う再検索手段と
を有する、ことを特徴とする経路検索システム。
【請求項5】
第1の交通機関から第2の交通機関への乗り換えを含む経路検索が可能な移動端末であって、
前記経路検索を行って前記乗り換えに用いる前記第2の交通機関の便を第1の便に特定する経路検索手段と、
前記第1の交通機関を降車する第1の乗降場から前記第2の交通機関に乗車する第2の乗降場までの移動の間に、当該移動端末の通過する複数の位置を取得する位置取得手段と、
前記位置取得手段により取得された前記複数の位置と、該複数の位置のそれぞれの取得時刻とを用いて、前記第2の交通機関の便を特定する交通機関特定手段と、
前記交通機関特定手段により特定される前記第2の交通機関の便が前記第1の便と異なる場合には、この特定される前記第2の交通機関の便に基づいて前記経路検索を再度行う再検索手段と
を備える、ことを特徴とする移動端末。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−98073(P2009−98073A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−271708(P2007−271708)
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】