説明

結合剤の架橋性コーティングを有するメタリック顔料、コーティング組成物、前記コーティングされたメタリック顔料を調製するためのプロセス、および前記コーティングされたメタリック顔料の使用

本発明は、コーティングされたメタリック顔料に関するが、ここで、そのコーティングが、メタリック顔料を包み込み、化学的に、および/または加熱、IR照射、UV照射、および/または電子照射することによって架橋させることが可能な1種または2種以上の架橋可能なオリゴマー性および/またはポリマー性結合剤を含み、ここで、そのコーティングされたメタリック顔料が190μm未満の平均粒径d50を有する粉末として存在し、硬化させた後でも粉末ベースのワニスの中で腐食に対する安定性を有している。本発明はさらに、コーティング組成物、前記コーティングされたメタリック顔料を製造するためのプロセス、およびその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティングされたメタリック顔料の提供、コーティング組成物、前記コーティングされたメタリック顔料を製造するためのプロセス、およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
メタリック顔料は、ペイント、ワニス、粉末ベースのワニス、印刷インク、プラスチック材料、または化粧品を着色するために広く使用されている。結合剤システムの中にこれらの顔料を組み入れて濡らそうとすると、特に粉末ベースのワニスの場合には、問題が起きることが多い。
【0003】
有機または無機の有色顔料の場合とは異なり、メタリック顔料は、押出し加工に続けてその押出し物を微粉砕する手段によっては、粉末ベースのワニスに組み入れることができないが、その理由は、そのようなことをするとフレーク様の顔料が破壊され、それらの光学上の効果が失われてしまうからである。それに代えて、いわゆるドライブレンド法または結合法が使用される。
【0004】
ドライブレンド法は、単純な混合プロセスであって、粉末ベースのワニス成分、たとえば、結合剤、添加剤などと、メタリック顔料を、互いに乾燥状態で混合させるものと考えてよい。この方法の欠点は、なかんずく、それらの比重と静電的電荷挙動の違いのために、粉末ベースのワニスをコーティングする際に、乾燥混合物の中で、メタリック顔料と結合剤とが分離してしまう点にある。粉末ベースのワニスではリサイクルが可能であるということは基本的に、粉末ベースのワニスシステムの主要な利点の一つであるが、この方法で製造されたメタリック顔料を用いて着色させた粉末ベースのワニスにおいては、リサイクルはもはや不可能である。
【0005】
結合法は、粉末ベースのワニスとメタリック顔料との混合プロセスであって、粉末ベースのワニスのガラス転移温度にまでその混合物を加熱することによって、粉末ベースのワニスの粒子にメタリック顔料粒子を物理的に結合させるものと考えてよい。したがって、結合法を使用すれば、メタリック顔料の、粉末ベースのワニスの粒子の表面への接着が達成される。
【0006】
ドライブレンド法と結合法とに共通した欠点は、メタリック顔料が、結合剤によって包み込まれておらず、そのため、結合剤に包み込まれないままで基材に塗布されるという点にある。それに続く硬化プロセス(一般にはかわかす(焼付け)プロセスである)において、これらの顔料は結合剤によって完全には覆われない。粉末ベースのワニスを硬化させた後、メタリック顔料が結合剤によって完全には包み込まれていないために、腐食に対する安定性が最適とはならない。
【0007】
メタリック顔料が粉末コーティングの表面上または表面の近くに存在する場合には、腐食に対する安定性が特に問題となる。特に粉末ベースのワニスを用いる用途においては、実際のところ、本来的にはリーフィング挙動を示さないメタリック顔料でさえ、リーフィング挙動を示すメタリック顔料がある程度存在する。これらの顔料粒子を、特に強烈な腐食性の環境下や機械的応力下に暴露させると、この場合、硬化させた結合剤を有する薄いまたは不十分なコーティングでは、特に深刻な影響が出る。そのような不十分なコーティングにおける大きな欠点は、かなりの程度でその所望される視覚的効果が損なわれてしまうことである。それに加えて、粉末ベースのワニスコーティングはほとんどの場合単層コーティングなので、クリアワニス仕上げの保護効果が存在しない。しかしながら、特に屋外用途の場合には、堅固さや腐食に対する安定性の効果に関連して、メタリック顔料に期待されるところは非常に大きい。
【0008】
塗布技術の特性を改良したり腐食から顔料を保護したりするために、メタリック顔料をワニスシステムに組み入れる前に、各種の予備工程を用いることにより、メタリック顔料の性能改善を行うことができる。その様な工程としては、顔料の表面に多少なりとも均一なコーティングを付与する化学プロセスが挙げられる。この目的のためには、有機または無機のコーティングを使用することができる。
【0009】
米国特許第4,434,009号には、ポリマーを用いたメタリック顔料のコーティングが記載されている。そのコーティングは、重合可能な二重結合とエポキシ基を有するモノマーから合成されている。
【0010】
また別な、メタリック顔料のポリマーコーティングが、特開昭56−161470号に記載されている。前記コーティングは、スチレン、メタクリロニトリル、またはメタクリル酸モノマーから形成されている。
【0011】
同様のポリマーコーティングされたメタリック顔料は、独国特許出願公開第2526093号に記載されている。
【0012】
合成樹脂メタリック顔料コーティングが、欧州特許第0280749号に記載されている。これらのコーティングには、まず、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する接着剤層が含まれる。次いで、ポリマー合成樹脂が含まれるが、それは、少なくとも3個のエチレン性不飽和結合を有するモノマーから合成される。欧州特許第0280749号において使用されるモノマーは、化学的にその種類が極めて限定される。エチレン性三不飽和モノマーからは、高度に架橋されたポリマー保護層が得られるが、そこからはワニスを合成することはできない。そのようなポリマー層は、ワニスを合成するには脆すぎる。三つ、さらにはそれ以上に高度の架橋が可能なモノマーは、ワニス中では架橋剤としてわずか最高でも3重量%までの量で使用され、それから合成される完全なポリマー層というのは、あり得ない。
【0013】
同様に、独国特許第4030727号または欧州特許第0477433号には、三次元的に架橋されたプラスチックコーティングから製造されたメタリック顔料コーティングが記載されているが、そのコーティングは、顔料の上に予め堆積させておいたシロキサン層に共有結合している。このようにして、水系のワニスにおいて使用するのに適した保護された顔料が得られる。これら2つの特許の教示に従えば、実際にプラスチック樹脂をコーティングするより前に、金属フレークの表面に接着剤を塗布しなければならないが、その理由は、そうしないと効果的なコーティングを達成することが不可能であるからである。
【0014】
従来技術において公知のこれらのポリマーコーティングすべてに共通していることは、それらがもっぱらモノマーから製造されている点にある。これらのモノマーはほとんどの場合、溶媒中に分散させたメタリック顔料の存在下にフリーラジカル重合により重合される。
【0015】
さらに、顔料の上に界面活性剤を堆積させることによる表面修飾によって、その濡れ性および結合剤との結合性を向上させることができる(欧州特許第1084198号)。
【0016】
さらに、特に、粉末ベースのワニスの粒子の表面を、有色顔料またはメタリック顔料を用いてコーティングすることによる、粉末ベースのワニスを製造するための方法を使用することもできる(独国特許出願公開第10058860号)。これらの方法の欠点は、メタリック顔料が、粉末ベースのワニスの粒子の表面に付着し、先に説明したように、粉末ベースのワニスによって包み込まれたり、あるいは、粉末ベースのワニスと結合したりすることがなく、その結果として、塗布した後に腐食を受けるようなメタリック顔料となってしまう。
【0017】
国際公開第98/37154号には、光沢性顔料を含む粉末ベースのワニスを製造するためのプロセスが開示されていて、そこでは超臨界流体が使用されている。この方法はコストが極めて高く、また精密な装置を必要とする。このプロセスにおいては、粉末化した顔料細粒の中に光沢性顔料粒子を分散させる。その欠点は、個々の顔料が効果的にコーティングされない点にある。メタリック顔料を使用する場合、このことが、貯蔵時や塗布後の腐食の問題につながる。
【0018】
粉末ベースのワニスが国際公開第98/46682号に開示されているが、そこでは、粉末ベースのワニスの粒子が、接着性のメタリック顔料の表面に付着している。この方法の欠点の一つは、粉末ベースのワニスが接着性のメタリック顔料の表面に、効果的かつ均一に結合しない点にある。このように粉末ベースのワニスの粒子が均一に付着しないと、そのワニスを塗布したときに、ワニス表面が不均一となってしまう。さらに、そのメタリック顔料粒子が、接着性のメタリック顔料の表面が原因で、粉末ベースのワニス中で容易に集塊および/または凝集してしまう。その上、コーティングによってそのメタリック顔料が効果的に包み込まれることもない。したがって、これらのメタリック顔料は腐食に対する安定性に欠ける。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
従来技術において公知の顔料コーティングでは、得られるメタリック顔料は、無機層または架橋されたポリマー層のいずれかを備えているが、それらの層は典型的な粉末ベースのワニス、または、典型的なウェットワニス結合剤および/または硬化剤との架橋反応にもはや関与することはない。したがって、それらはプラスチックマトリックス中で結合することができず、顔料は、腐食に対して十分に安定化されない。
【課題を解決するための手段】
【0020】
したがって、本発明の目的は、高度に効果的なコーティングによって付与される、高度な化学的および物理的耐久性を有し、塗布媒体中に容易に組み入れることが可能な、メタリック顔料を提供することにある。用いられる領域の例としては、特に、たとえば、ファサードコーティングのような厳しい用途が挙げられるが、そのような用途では一般的には、保護されることなくあらゆる範囲の環境の影響に暴露され、非常に長期間にわたる使用にもちこたえなければならない。
【0021】
さらに、このメタリック顔料化した粉末ベースのワニスがいっそう優れたリサイクル性を有していることは、コーティングキャビネットにおける回収ユニットには望ましいものである。
【0022】
さらに、そのようなメタリック顔料が、粉立ちが少なく、流動性の良好な粉末であるのも望ましいことである。さらに、各種の粉末ベースのワニスシステムおよび液状ワニスシステムにおいてそれらが普遍的に使用できるということも望ましいことである。
【0023】
そのようなメタリック顔料を製造するための、高生産で費用効果的なプロセスを提供することが、本発明のまた別な目的である。そのプロセスは、シンプルであって、メタリック顔料を穏やかに処理できるようなものとすべきである。
【0024】
本発明の目的は、コーティングされたメタリック顔料を提供することによって達成されるが、そこでは、コーティングが、メタリック顔料を包み込み、化学的に、および/または、加熱、IR照射、UV照射、および/または、電子照射することによって、架橋させることが可能な1種または2種以上の架橋可能なオリゴマー性および/またはポリマー性結合剤を含む。ここで、そのコーティングされたメタリック顔料は190μm未満の平均粒径d50を有する粉末として存在し、硬化させた後でも粉末ベースのワニスの中で腐食に対する安定性を有している。
【0025】
好適な展開法は、下位請求項において定義されている。
【0026】
本発明の目的はさらに、粉末ベースのワニスおよびウェットワニスのためのマスターバッチを提供することによっても達成されるが、ここで、前記マスターバッチには、請求項1〜25のいずれか1項に記載のメタリック顔料が含まれる。
【0027】
メタリック顔料を包み込むために使用される結合剤が、粉末ベースのワニス中において結合剤として使用されるものと同一であるのが、好都合である。したがって、本発明の結合剤は、メタリック顔料を含む粉末ベースのワニスを製造するためのマスターバッチまたはコンセントレートとして好適である。
【0028】
粉末ベースのワニスを塗布し硬化させた後にメタリック顔料が化学的に結合される、滑らかなワニス層は、本発明のメタリック顔料をコーティングするためと、粉末ベースのワニスのために、同一の結合剤を使用することによって達成される。そのようなワニス層は、群を抜いた精細な外観と腐食に対する安定性を有している。
【0029】
本発明の目的はさらに、コーティング組成物を提供することによっても達成されるが、ここでそのコーティング組成物には、請求項1〜26のいずれか1項に記載のメタリック顔料が含まれ、そのメタリック顔料は、そのコーティング組成物を硬化させた後に腐食に対する安定性を有する。
【0030】
好ましい実施態様は、下位請求項において与えられている。
【0031】
さらに、本発明の目的は、コーティングされた物を提供することによっても達成されるが、ここでその物は、請求項1〜26のいずれか1項に記載のメタリック顔料を用いるか、または、請求項28〜32のいずれか1項に記載のコーティング組成物を用いることによって、コーティングされている。
【0032】
そのコーティングされた物は、腐食性環境条件、たとえば、自然の気象条件にさらされるような物であるのが好ましい。そのような物としては、たとえば、ファサードタイルや窓枠などのファサード要素、自動車のボディなどの車両ボディ、または自転車またはオートバイなどの車両のフレームなどが挙げられる。
【0033】
本発明の目的はさらに、請求項1〜25のいずれか1項に記載のメタリック顔料を、ペイント、ワニス、粉末ベースのワニス、印刷インク、プラスチック材料、またはマニキュア液に使用することによって達成される。
【0034】
本発明の目的はさらに、マニキュア液を提供することによって達成されるが、ここでこの化粧品には、請求項1〜26のいずれか1項に記載のメタリック顔料が含まれる。
【0035】
したがって、本発明のメタリック顔料は、オリゴマー性またはポリマー性の基礎形態にある架橋可能な結合剤で構成される、包み込みコーティングを有している。それらの個々の化学的性質に応じて、結合剤を、メタリック顔料を包み込んだ後に、加熱、IR、UVおよび/または電子照射の影響下で、または、適切な硬化剤と反応させることによって、重合させることが可能であって、それにより、そのメタリック顔料がポリマー膜の中に埋め込まれる。そのようにして完全に包み込むことによって、メタリック顔料の摩耗に対する安定性および化学的な安定性が実質的に向上される。この方法によって達成される耐候安定性は、従来のメタリック顔料では得ることができなかったものである。
【0036】
本発明の範囲において、「腐食に対する安定性」という用語は、メタリック顔料を粉末ベースのワニスに組み入れた後、この粉末ベースのワニスを塗布し、硬化させた後のメタリック顔料の光学的外観が、長期間、たとえば、数ヶ月や数年後にも損なわれないか、または極めてわずかしか損なわれない、ということを意味していると理解されたい。腐食に対する安定性の測定としては、特に実施例で記載したGSB[Guetegemeinschaft fuer die Stueckbeschichtung von Bauteilen e.V.(Quality Association for Piece Coating of Structural Elements)]の条件に従った、モルタル試験を使用することができる。この極めて過酷な腐食試験に合格することが、メタリック顔料化した粉末ベースのワニスをファサード要素に使用するための、まずは必須条件である。さらに詳しいことは後に述べるが、このモルタル試験に合格するということは、本発明の範囲内で腐食に対する安定性があることを示している。
【0037】
本発明のコーティングされたメタリック顔料は好ましくは粉立ちが少なく、流動性の良好な粉末であるが、それは、有機溶媒および/または水のような溶媒を用いてペースト状とすることも可能である。このように、本発明のメタリック顔料は、その用途において高度なフレキシビリティを有していることを特徴としている。
【0038】
本発明の範囲内において、メタリック顔料とは、フレーク様のメタリック効果顔料と理解すべきである。これらの顔料では、その形状因子、すなわち、それらの長さの平均厚みに対する比が、10より大きく、好ましくは20より大きく、より好ましくは50より大きい。形状因子が50〜1000の範囲であるのがより好ましく、さらにより好ましくは、それが100〜200の範囲である。ここでは、長さは、標準的なレーザー粒度分布測定法によって測定された、累積破過曲線におけるd50値と理解すべきである。長さのd50値は、2μm〜150μm、好ましくは3μm〜75μm、極めて好ましくは5μm〜60μmの範囲である。
【0039】
粉末ベースのワニス塗布においては、メタリック顔料化した粉末ベースのワニスが傑出したリサイクル性を有している。その中に本発明のメタリック顔料が存在している、基材の上で硬化されなかった粉末ベースのワニスの部分は、都合よくリサイクルされ、次回の粉末ベースのワニス塗布において再スプレーすることができる。
【0040】
本発明の範囲において、結合剤とは、DIN55945で与えられる定義のもとで理解すべきである。すなわち、結合剤には、膜形成剤や、さらには非揮発性剤、たとえば、可塑剤や乾燥剤が含まれる。
【0041】
通常、結合剤は、低分子量のオリゴマーおよび/またはポリマーとして存在させる。その分子量は、好ましくは200g/モル〜10,000g/モル、より好ましくは500g/モル〜8,000g/モルの範囲である。使用するオリゴマーおよび/またはポリマーの分子量が小さいことによって、溶解させたモノマー成分または高分子量成分のいずれによっても付与することが不可能なある程度の粘度を付与することが可能となる(P.Nanetti、Coatings Compendien “Lackrohstoffkunde” p.17ff.、Vincentz Verlag、2000を参照されたい)。単純化のために、本発明において使用されるオリゴマー性および/またはポリマー性結合剤は、以後においては単に「結合剤」と呼ぶことにする。
【0042】
硬化剤は一般的には、モノマーの形態で存在させる。元々は熱可塑性の結合剤、または、結合剤と可能であれば硬化剤とを、適当な条件下たとえば高温下で反応させて、熱硬化性材料を形成させる。この時点で、重合、および、硬化剤を使用するならば重縮合またはさらには重付加が起きる。
【0043】
このことによって、本発明のメタリック顔料のコーティングは、従来技術において公知のポリマーコーティングから実質的に区別される。結合剤は、それを用いてメタリック顔料をコーティングした後でも、依然として硬化可能、あるいは重合性がある。溶媒の蒸発を伴うコーティングプロセスの途中でも、結合剤の重合がほんの少し始まるが、完全に硬化するにはいたらない。その一方で、従来技術において公知のメタリック顔料の合成コーティングは、モノマーから形成されていて、それが実質的に定量的に反応して顔料の表面上にポリマー膜を形成する。これらの大部分が硬化されたポリマーは、もはや反応性を有さない。
【0044】
したがって、本発明のメタリック顔料は、反応性の結合剤コーティングを有していて、そのコーティングが、本発明のメタリック顔料を塗布した後に、たとえば、ワニスまたは印刷インクの結合剤と反応することを特異的に可能としている。その中に結合剤が存在しているコーティングされたメタリック顔料のコーティングは、塗布媒体、たとえば、ワニスまたは印刷インクの結合剤と架橋することなく、塗布後に硬化させることができる。このことは、塗布媒体の結合剤と結合剤含有コーティングとの間の、化学的な非融和性が原因で起きるのであろう。
【0045】
粉末ベースのワニスにおいて使用される標準的な結合剤の群から選択される、単一または複数の結合剤が好ましいが、その例を挙げれば以下のようなものがある。
・ カルボキシル基を含むポリエステル、好ましくは、カルボキシル基を含む飽和ポリエステルである。それらは、好ましくは5mg〜100mgのKOH/g、より好ましくは20mg〜70mgのKOH/gの酸価を有する反応性の化合物である。これらの樹脂は、屋外用途、さらには屋外用途ほどには厳しくはない屋内用途に必要とされる腐食に対する安定性のために、適切な硬化剤と組み合わせて、最適化されていてもよい。典型的な樹脂は、ベルギー国のUCB(www.ucb.de)により供給されるCrylcoat340およびCrylcoat632、または、オランダ国のDSM(www.dsm.com.)により供給されるUralac P2200である。
・ 水酸基を含むポリエステル、好ましくは、水酸基を含む飽和ポリエステルである。そのヒドロキシル価は、好ましくは120mg〜15mgのKOH/g、より好ましくは50mg〜30mgのKOH/gの範囲である。典型的な樹脂は、ベルギー国のUCBにより供給されるCrylcoat E5169である。
・ オランダ国のDSMにより供給されるUranoxの名称で登録されているいわゆるデュアル硬化樹脂である。
・ 好ましくは、粉末ベースのワニスにおいて典型的に使用されるエポキシド樹脂であって、そのエポキシ当量が、好ましくは175〜6000、より好ましくは450〜4000の範囲のものである。
・ 好ましくは、粉末ベースのワニスにおいて典型的に使用されるアクリレート樹脂、および、たとえば、ヒドロキシ官能性、カルボキシ官能性、またはエポキシ官能性を有する官能化アクリレート樹脂である(たとえば、日本国の三井東圧により供給されるもの)。
・ 好ましくは、粉末ベースのワニスにおいて典型的に使用される放射線硬化樹脂、たとえば、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、およびそれらの混合物などのような不飽和アクリレートである。一例を挙げれば、ベルギー国のUCBにより供給されるUVECOAT3001である。
・ シラン系の、高度に熱安定化された結合剤、たとえば、独国のWackerにより供給されるSilres樹脂である。
・ 官能化樹脂、たとえば、エポキシド樹脂、ポリエステル樹脂などで、好ましくはリン酸エステル、ホスホン酸またはそのエステル、スルホン酸塩、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、ウレタン基、イソシアネート基およびキャップ化イソシアネート基を用いて官能化されているものである。
【0046】
使用する硬化剤は好ましくは、樹脂の対応する反応性基に対して化学的に正反対の挙動を示す化合物である。そのような化合物の例を挙げれば以下のようなものがある。
・ β−ヒドロキシアルキルアミドからなる群より選択される化合物、たとえば、スイス国のEms−Primidにより供給されるPrimid XL552である。
・ グリシジル官能性をベースとする化合物、たとえば、トリグリシジルイソシアヌレート(TGICとして知られている)であって、たとえば、スイス国のHuntsmanにより供給されるAraldit PT810またはAraldit PT910である。
・ キャップ化および遊離のイソシアネートをベースとする化合物、たとえば、Degussaにより供給されるVestagon BF1540またはVestagon BF1530である。
・ 有機塩をベースとするエポキシ硬化剤、たとえば、独国のDegussaにより供給されるVestagon B31である。
・ 放射線によって刺激を受ける硬化剤、たとえば、スイス国のCiba Specialty Chemicalsにより供給されるIRGACURE2959およびIRGACURE819である。
・ 上述の樹脂に対して相補的な基を有する樹脂である。
・ アミン硬化剤である。
【0047】
使用するメタリック顔料は、市販されているアルミニウム、銅、黄銅(ゴールデンブロンズ)、鉄、亜鉛、チタン、ニッケル、メタルコアおよび/またはメタリックコーティングを有する干渉顔料であるのが好ましい。
【0048】
顔料はコーティングされていなくてもよいが、逆にプライマー処理されている、すなわち、さらなる保護層を有していてもよい。それらは、たとえば、SiOまたは重合性の高度に架橋されたポリマー層のようなバリヤー層であってもよい。そのようなプライマー処理されたメタリック顔料は、潜在的により高いレベルの腐食に対する安定性を有する。そのような顔料の例としては、PCR(SiOコーティング、独国フュルスのEckartにより供給される)、PCAポリマーコーティング(Eckartにより供給される)またはPCFポリマーコーティング(日本国の東洋アルミニウムにより供給される)などが挙げられる。
【0049】
さらに、着色コーティングを有するメタリック顔料、たとえば、酸化鉄を用いてコーティングした顔料、たとえば、Paliocrom(登録商標)製品(独国ルーヴィッヒハーフェンのBASF AGにより供給される)を、本発明の顔料を製造するための出発顔料として使用することもできる。
【0050】
驚くべきことには、酸化させたメタリック効果顔料、たとえば、化学的ウェットプロセスにより酸化させたアルミニウム顔料を、代わりの出発顔料として使用することもできる。化学的ウェットプロセス酸化は、アルミニウム顔料を着色するために使用することができる。
【0051】
メタリック顔料に対して追加の魅力的な色調を付与する金属酸化物コーティングは、銅および黄銅顔料において、空気中高温で酸化させることによって作り出すことができる。
【0052】
たとえば、魅力的なゴールデンイエローの顔料は、欧州特許第0848735号に開示された方法に従って、アルミニウム顔料を特殊な化学的ウェットプロセス酸化させることによって作り出すことができるが、この特許をここに引用することにより本明細書に組み入れたものとする。このようなゴールデンイエローの顔料は、独国フュルスのEckart GmbH & Co.KGによりAloxal(登録商標)の商標名で販売されている。
【0053】
化学的ウェットプロセス酸化においては、高度に水和されたアルミニウム酸化物/水酸化物の層が、アルミニウムのコアのまわりに形成される。これまでは、そのような化学的ウェットプロセス酸化された顔料を粉末ベースのワニスに使用することは不可能であったが、その理由は、化学的ウェットプロセス酸化されたアルミニウム顔料を含む粉末ベースのワニスは、基材の表面に塗布すると、高品質のコーティングを再現性よく得ることが不可能であったからである。本発明のメタリック顔料の場合には、コーティングされた顔料の表面は、粉末ベースのワニスの中で結合剤粒子の表面で揃えられている。そのために、化学的ウェットプロセス酸化されたアルミニウム顔料をベースとする本発明のメタリック顔料を含む粉末ベースのワニスは、基材の表面に再現性のよい品質レベルで塗布することが、完全に可能となった。
【0054】
本発明のメタリック顔料はさらに、低屈折率の絶縁体層と高屈折率の金属酸化物または金属層とによってコーティングされたメタルコアを有する、干渉顔料であってもよい。Variocrom(登録商標)(BASF AG)またはChromaflair(登録商標)(Flex Products,Inc.)の商標名で販売されている顔料が、この目的のために使用可能な顔料の例である。
【0055】
本発明の展開においては、メタリック顔料の表面と結合剤コーティングとの間の接着性を向上させる物質を用いて、メタリック顔料のプライマー処理をすることが可能である。これらのプライマーコーティングは、たとえば、官能化シラン、官能化ポリマー、および有機リン化合物などであってよい。これらの化合物を、補足的なコーティングの上に堆積させることも可能である。
【0056】
好ましいのは、官能化シランである。
【0057】
この目的のために使用するシランは、一般式(I):(Y)R(4−z)Si(X)のものであるのが好ましい。
【0058】
式(I)のシラン化合物において、zは1〜3の整数であり、Rは、置換または非置換、非分岐または分岐状の1〜12個のC原子を有するアルキル鎖であり、Yは、対応する結合剤の官能性と反応することが可能な官能基であり、そしてXは、ハロゲン基および/またはアルコキシ基を表す。Rは、Siに対して環状に結合されていてもよく、その場合には、zは通常2である。
【0059】
このシランがメタリック顔料の表面に結合し、それに続けてSi(X)基が、メタリック顔料の表面の表面OH基と縮合反応する。その一方で、反応性の官能基Yは、その後に堆積されるオリゴマー性および/またはポリマー性結合剤に対しての結合作用を有している。これらの結合は共有結合であってもよいし、あるいはもっと弱い相互作用たとえば水素ブリッジ結合であってもよい。ここで重要なことは、そのオリゴマー性および/またはポリマー性結合剤が、接着促進剤として機能するシランによってメタリック顔料の表面に十分にしっかりと据え付けられ、スプレーする前に溶媒分散体としたときにも、その大部分がメタリック顔料に結合したままで残っている、ということである。したがってシランは、コーティングの中でメタリック顔料の表面とオリゴマー性および/またはポリマー性結合剤との間の接着促進剤として機能している。
【0060】
官能基Yとしては、イソシアネート、エポキシ、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、アクリレート、またはメタクリレート基が好ましい。これらの基は、オリゴマー性/ポリマー性結合剤の、これらの基に対応する化学的に適合したカウンターパート基と反応する。しかしながら、このプロセスの間においても、結合剤そのものは、完全に硬化することはない、別の言い方をすれば、オリゴマー性/ポリマー性結合剤はその化学的な架橋性または硬化性を保持している。シランの官能基Yは、たとえば、オリゴマー性/ポリマー性結合剤の官能基と反応することができるが、そのオリゴマー性/ポリマー性結合剤の硬化には、全く関与しないか、またはほんの部分的にしか関与しない。オリゴマー性/ポリマー性結合剤の官能基は、たとえば、シランの官能基Yに対して、化学量論的に過剰な状態で存在させておいてもよい。少なくとも1種の式(I)のシラン化合物を用いてプライマー処理をしたメタリック顔料の表面上では、官能基(Y)を、その後に堆積されるオリゴマー性および/またはポリマー性結合剤の対応する化学的に適合した官能性カウンターパート基に対して、常に化学量論的に不足な状態で存在させておく。
【0061】
たとえば、Yをイソシアネートとし、それに対して結合剤がポリオールおよびポリカルボキシ官能性を有するポリエステル成分を含むようにすることができる。室温においても、そのイソシアネート基を、可能であれば触媒の存在下に、結合剤のOH基と反応させることができる。メタリック顔料がコーティングされ、ワニスシステムに組み入れられた後に始めて、そのポリエステルコーティングはそのワニスシステムをかわかす間に完全に硬化させられる。基Yは末端基であるのが好ましいが、その理由は、末端基では立体障害が最も少ないために、反応性が最大になるからである。しかしながら、Y官能基と鎖の末端との間に最大で3個までのC原子が存在するような、末端に近い基であってもよい。
【0062】
Yと反応する結合剤の官能性は、場合によっては、結合剤の硬化の際にポリマーを合成するためのものと同じであってもよい。既に先に説明したように、このことが可能となる理由は、Yと反応することが可能なオリゴマー性/ポリマー性結合剤の官能基は、顔料の表面の上に官能基Yに対して化学量論的に常に過剰な状態で存在しているので、反応性基Yとオリゴマー性/ポリマー性結合剤との間の反応が起きた後でも、架橋または硬化を起こさせるのに十分な量の官能基が、オリゴマー性および/またはポリマー性結合剤の上に依然として残っているからである。反応性基Yと反応するオリゴマー性/ポリマー性結合剤の官能基は、場合によっては、結合剤の硬化に関与する官能基(1種または複数種)とは別なものであってもよい。
【0063】
対応する官能基を有する、表面修飾剤として好適な有機官能性シランは、市販されている。そのようなシランの例としては、ラインフェルデンのDegussaにより商標名Dynasylan(登録商標)で製造販売されている製品、OSi Specialtiesにより製造されているSilquest(登録商標)シラン、およびWackerにより製造されているGENOSIL(登録商標)シランなどが代表的なものである。
【0064】
具体例を示せば、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(Dynasylan MEMO、Silquest A−174NT)、3−メルカプトプロピルトリエトキシ(またはメトキシ)シラン(Dynasylan MTMOまたは3201、Silquest A−189)、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(Dynasylan GLYMO、Silquest A−187)、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート(Silquest Y−11597)、ガンマ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(Silquest A−189)、ベータ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(Silquest A−186)、ガンマ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン(Silquest A−Link35、Genosil GF40)、(メタクリロキシメチル)トリメトキシシラン(Genosil XL33)、イソシアナトメチル)トリメトキシシラン(Genosil XL43)、アミノプロピルトリメトキシシラン(Dynasylan AMMO、Silquest A−1110)、アミノプロピルトリエトキシシラン(Dynasylan AMEO)またはN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(Dynasylan DAMO、Silquest A−1120)またはN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、トリアミノ官能性トリメトキシシラン(Silquest A−1130)、ビス(ガンマ−トリメトキシシリルプロピル)アミン(Silquest A−1170)、N−エチル−ガンマ−アミノイソブチルトリメトキシシラン(Silquest A−Link15)、N−フェニル−ガンマ−アミノプロピルトリメトキシシラン(Silquest Y−9669)、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリメトキシシラン(Silquest Y−11637)、(N−シクロヘキシルアミノメチル)トリエトキシシラン(Genosil XL926)、(N−フェニルアミノメチル)トリメトキシシラン(Genosil XL973)、およびそれらの混合物などがある。
【0065】
シラン、好ましくは式(I)のシランは、メタリック顔料のメタリック表面の上に直接堆積させることができる。好適な展開においては、メタリック顔料は、SiOコーティングを有しており、好ましくはSiOコーティングにより包み込まれており、シランは前記SiOコーティングの上に堆積されている。次いでオリゴマー性および/またはポリマー性結合剤を、そのようにプライマー処理したメタリック顔料の上に堆積させる。
【0066】
本発明の展開においては、有機または無機の有色顔料、さらには着色剤を、コーティング中に存在させ、それによって、着色メタリック顔料が得られるようにすることができる。この手段によって、特に、高度な腐食に対する安定性を示す着色効果顔料を製造することが可能となる。
(a)有色顔料
i)有機有色顔料
有機有色顔料の例としては、市販されている顔料の、モノアゾ、ビスアゾ、アントラキノン、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ペリレン、ペリノン顔料、インジゴ、チオインジゴ、インドリノン、イソインドリノン顔料、キナクリドン、ピロロピロリドン、ジオキサジン顔料のタイプ、および金属錯体顔料、たとえば、銅アゾメチンイエロー、さらには他のタイプのもの、およびHerbstとHungerにより、Industrielle org.Pigmente、VCH Verlagsgesellschaft mbH、独国ワインハイム(1987)の中にリストアップされている顔料などが挙げられる。
ii)無機有色顔料
無機有色顔料としては、酸化鉄顔料、クロム酸鉛顔料、酸化クロム顔料、ウルトラマリン顔料、錯体無機有色顔料、紺青顔料、カドミウム顔料、バナジウム酸ビスマス顔料、硫化セリウム顔料、ならびに市販されている二酸化チタンおよび硫化亜鉛ホワイト顔料、さらには他のタイプのもの、およびHartmut Endrissにより、Aktuelle anorg.Buntpigmente、Vincentz−Verlagの中にリストアップされている顔料などが挙げられる。
(b)染料
使用に適した移行に安定な染料の例としては、アゾリガンドを用いて錯体化した重金属塩、および少なくとも1個のアゾ基および/または発色団基を有し、使用される媒体に可溶な有機金属化合物、具体的には、スイス国バーゼルのClariantから入手可能な、Solvent Yellow 79、Solvent Red 8、Solvent Blue 45およびSolvent Black 45などが挙げられる。
【0067】
本発明の展開においては、コーティングの中に腐食防止剤を存在させてもよい。これらの腐食防止剤は、陽極効果、陰極効果のいずれを有していてもよく、また場合によっては、両方の効果が混合されていてもよい。腐食防止剤として腐食に対して安定化された顔料を使用することもできる。そのようなものの例としては、ストロンチウム亜鉛ホスホシリケート、亜鉛アルミニウムポリホスフェート水和物、亜鉛カルシウムアルミニウムストロンチウムホスフェートシリケート水和物、亜鉛カルシウムストロンチウムオルトホスフェートシリケート水和物、ストロンチウムアルミニウムポリホスフェート水和物、カルシウムアルミニウムポリホスフェートシリケート水和物、およびモリブデン酸のナトリウムおよび/またはカルシウムおよび/または亜鉛の塩および/またはホスホモリブデン酸塩および/またはリン酸亜鉛錯体、またはそれらの混合物などが挙げられる。
【0068】
好ましいのは、平均粒径が0.1μm〜10μm、好ましくは0.15μm〜5μmの範囲である、腐食に対して安定化された顔料である。
【0069】
腐食に対する安定化はさらに、二酸化ケイ素、金属酸化物、有機リン化合物、好ましくはリン酸エステルおよび/またはホスホン酸化合物、および/またはポリマーを用いてメタリック顔料をプライマー処理することにより、付与あるいは向上させることができる。
【0070】
本発明の他の展開においては、その他の標準的なワニスおよび粉末ベースのワニス添加剤を、コーティングの中に存在させて、本発明のメタリック顔料が塗布媒体中でオーダーメードの塗布特性を有するようにすることも可能である。
【0071】
補助剤は、添加剤、充填剤、脱気剤、膜形成剤、難燃剤、接着促進剤、腐食防止剤、光安定化剤、艶消し剤、光重合開始剤、重合防止剤、重合開始剤、ラジカル阻害剤、固結防止剤、スリップ剤、放射線硬化反応性シンナー、熱により架橋しうる反応性シンナー、UV吸収剤、平坦化剤、架橋触媒、ワックス、およびそれらの混合物、からなる群より選択されるのが好ましい。
【0072】
本発明のメタリック顔料はさらに、コーティング組成物中、マスターバッチ中、または粉末ベースのワニス中において他の顔料と組み合わせて使用してもよい。好ましい実施態様によれば、本発明のメタリック顔料は、真珠光沢顔料と組み合わせて使用することができる。真珠光沢顔料は腐食することがなく、そのため、自然の気象のような腐食性の条件に暴露されるコーティングに適している。したがって、本発明のメタリック顔料と真珠光沢顔料との混合物は、ファサード要素、車両のボディ、車両のフレームなどのための粉末ベースのワニスコーティングに使用される、粉末ベースのワニスシステムに適したものである。
【0073】
本発明のメタリック顔料における結合剤含量は、好ましくは20〜85重量%、好ましくは52〜75重量%、より好ましくは55〜60重量%であるが、いずれも、コーティングされたメタリック顔料の全重量を基準にしたものである。
【0074】
結合剤は、メタリック顔料のコーティングの間またはコーティングの後でも、重合しないかまたは実質的に重合しないのが好ましい。本発明のメタリック顔料を塗布媒体に添加した後で、仕上がったワニスをかわかす前には、メタリック顔料を取り囲んでいる結合剤の重合は起きないのが好ましい。この場合、熱重合を起こす。
【0075】
しかしながら、フリーラジカル重合によって重合するような結合剤の場合には、UVまたはIR照射による硬化を起こさせることもまた可能である。この場合、ワニス中の結合剤とコーティング中の結合剤との両方が重合して、ワニス中の結合剤が、コーティング中の結合剤と架橋されるのが好ましい。
【0076】
本発明のメタリック顔料の大きな利点は、なかんずく、メタリック顔料がワニス中の結合剤に対して、一段と向上された結合性を有する点にある。このことは特に、顔料をコーティングするための結合剤が、塗布媒体として使用されるものと同一である場合に達成される。
【0077】
フレーク様の構造を有しているために、メタリック顔料は常にワニスのコーティングを傷める傾向があり、そのため、ワニスのコーティングまたは膜に対してその機械的安定性を低下させてしまう。しかしながら、本発明のメタリック顔料はコーティングを硬化させる際に、コーティング中でほぼ完全に配向させることができ、その結果、コーティングの機械的および化学的安定性が向上する。
【0078】
したがって、本発明のメタリック顔料がその中に存在している硬化された粉末ベースのワニスは、特に、従来からの粉末ベースのワニスコーティングよりも、かなり良好な摩耗に対する安定性を有していることが見出された。驚くべきことには、本発明の硬化された粉末ベースのワニスコーティングは、新規で魅力的な効果を有している。本発明の粉末ベースのワニスを用いてコーティングした基材の表面は、空間的に深みのある金属のような印象を見る者に与える。メタリック顔料が粉末ベースのワニスコーティングに対して良好な結合性を有していることが、これらの有利な特性をもたらしていると考えられる。本発明のメタリック顔料は、リーフィング特性が無視できる程度、または全く示さないメタリック顔料の含有量を有している。
【0079】
驚くべきことには、本発明の結合剤によって包み込まれた顔料を、粉末ベースのワニスにおけるマスターバッチとして使用することも可能であることが見出された。マスターバッチにおいては、結合剤含量は、好ましくは50〜85重量%、より好ましくは55〜80重量%、極めて好ましくは60〜75重量%の範囲である。
【0080】
マスターバッチは、プラスチック材料中において通常使用される。この場合、マスターバッチは高度に顔料化された合成材料であって、それを、押出機中のプラスチック材料組成物に添加する。
【0081】
粉末ベースのワニスにおいては、従来の結合法によって製造されたメタリック顔料は、一種のマスターバッチの予備成形物を意味する。しかしながら、メタリック顔料を用いた場合には、たった約8%の顔料化レベルが、達成可能な最大値である。
【0082】
本発明のコーティングされたメタリック顔料を用いると、実質的により高いメタリック顔料濃度を達成することができるので、この場合には真の意味でマスターバッチと呼ぶことができる。このことが特にあてはまるのは、メタリック顔料を、同一の結合剤システム、すなわち、その中で後ほどになってメタリック顔料が組み入れられて加工される粉末ベースのワニスを用いてコーティングするような場合である。
【0083】
本発明においては、最も有利には、金属含量が好ましくは0.5〜15重量%、より好ましくは1〜12重量%、極めて好ましくは2〜8重量%であるマスターバッチまたはコーティング組成物を調製することが可能であるが、この場合、いずれも、マスターバッチまたはコーティング組成物の全重量を基準にしたものである。
【0084】
マスターバッチの、およびコーティング組成物の、顔料化レベルを高くすることが、本発明によって可能となったために、全く新規な可能性が開けてくる。高度に顔料化された、または高度に濃縮されたマスターバッチを使用することは、たとえば、輸送の面からも大きな利点となる。マスターバッチの濃度がより高くなることによって、たとえば、粉末ベースのワニスに同一の最終濃度を与えるために必要な量が少なくなり、それに伴い、輸送を必要とする量も少なくすることができる。
【0085】
コーティング組成物においては、メタリック顔料の濃度をより高くすることによって、従来の粉末ベースのワニスシステムで可能であったよりも、メタリック顔料を用いてコーティングされる基材のより良好な被覆を達成することが可能となった。
【0086】
さらに、本発明の目的は、請求項1〜26のいずれか1項に記載のメタリック顔料を製造するためのプロセスを提供することにより達成される。このプロセスは以下の工程を含む:
a)有機溶媒の中でオリゴマー性および/またはポリマー性結合剤の溶液または分散体を調製する工程、
b)前記結合剤を用いてメタリック顔料をコーティングする工程であって:
i)メタリック顔料を、a)で製造した溶液または分散体の中に分散させ、次いでそれを噴霧する工程か、または
ii)a)で製造した溶液または分散体を、ガス流中で流動化させたメタリック顔料の上にスプレーする工程、
c)結合剤を用いてコーティングされたメタリック顔料を、乱流ガス流中で乾燥させる工程。
【0087】
言うまでもないことであるが、別な方法として、メタリック顔料を最初に有機溶媒の中に分散させておいてから、オリゴマー性および/またはポリマー性結合剤(溶解させた形態でも非溶解の形態でもよい)を添加し、それによって、メタリック顔料および結合剤の分散体または結合剤の溶液を作り、その分散体を次いで工程b)i)のようにして噴霧することも可能である。
【0088】
本発明のプロセスの好適な展開法は、下位請求項において与えられている。本発明のメタリック顔料またはコーティング組成物に関連して述べられていることは、本発明のプロセスの説明に対しても同様に適用される。
【0089】
メタリック顔料は有機溶媒には不溶であって、溶媒と分散体を形成するか、または溶媒中に溶解している化合物と分散体を形成する。結合剤ならびに、使用される可能性のある他の補助剤および/または助剤たとえば硬化剤は、有機溶媒に溶解性があるのが好ましい。しかしながら、それらが有機溶媒に不溶性の場合には、それらが分散体として存在していてもよい。
【0090】
その他の補助剤および/または助剤を、溶媒の中に溶解または分散させたオリゴマー性および/またはポリマー性結合剤に添加してから、結合剤をメタリック顔料と接触させるのが好ましい。
【0091】
使用するのに好適な補助剤および/または助剤については、すでに先に列挙した。前記補助剤および/または助剤を、ポリマー性またはオリゴマー性結合剤の溶液または分散体の中に組み入れる際には、メタリック顔料に塗布するコーティングの中で前記補助剤および/または助剤を均質に分散させておくのが好ましい。
【0092】
補助剤および/または助剤としては、たとえば、硬化剤、光重合開始剤、および/または、重合開始剤などが挙げられる。さらなる補助剤および/または助剤としては腐食防止剤も挙げられるが、好ましいのは腐食に対して安定化された顔料である。補助剤および/または助剤については既に、詳しく列挙した。
【0093】
水、有機溶媒、または含水有機溶媒を、溶媒として使用することができる。水含量が、好ましくは2重量%未満、より好ましくは1重量%未満、極めて好ましくは0.5重量%未満の有機溶媒が好ましい。ここでの重量%は、使用する溶媒の全重量を基準にしたものである。
【0094】
本発明のプロセスのまた別な好ましい実施態様においては、顔料に対して親和性を示す結合剤を、メタリック顔料のコーティングにおいて使用することができる。顔料に対して親和性を示す結合剤とは、接着促進剤として機能する基を有し、顔料/結合剤分散体の中に存在している場合においても、メタリック顔料に結合する結合剤と理解すべきである。そのような結合剤の例としては、エポキシド樹脂、エポキシド樹脂修飾リン酸エステル、たとえば、UCB Surface Specialitiesにより供給されるResydrol VAX5538w/50WA、カルボキシ官能化樹脂、ホスホン酸塩官能化樹脂、ホスホン酸エステル官能化樹脂、およびスルホン酸塩官能化樹脂などが挙げられる。そのような樹脂は、顔料が溶媒中に分散されている間にも、メタリック顔料の表面に結合する。
【0095】
シラン処理剤、たとえば、先に述べたシラン処理剤を使用する場合には、前記処理剤は、オリゴマー性および/またはポリマー性結合剤の溶液または分散体を製造するのに使用する有機溶媒と同一の有機溶媒の中で、メタリック顔料の表面上に堆積させるのが好ましい。メタリック顔料のシラン処理は、高温で振盪または撹拌することによって達成することができるが、さらに場合によっては、水および/または触媒を添加してもよい。わずかに揮発性の有機塩基、たとえば、アンモニア、わずかに揮発性のアミンなどを触媒として用いるのが好ましい。
【0096】
球状の二次的な沈降物がほとんどない、向上されたコーティング品質は、メタリック顔料分散体を次いでスプレーする際に得られる。スプレーに先だって結合剤を用いてメタリック顔料に包括的にプライマー処理をすることが、まだメタリック顔料に結合していない残存の結合剤を有する向上されたコーティングをもたらす、と考えられる。顔料親和性を示す結合剤によって、分散体中ですでに達成されているプライマー処理が、ある種の核形成を引き起こし、それが、その分散体をスプレーしている間に、さらに一層滑らかなコーティングをもたらすことになるのであろう。
【0097】
溶媒の除去、またはコーティングされたメタリック顔料の乾燥は、コーティングされたメタリック顔料を、同時にまたは後から流動化処理することによって達成されるのが好ましい。
【0098】
コーティングされたメタリック顔料を流動化処理することにより、いかなるメタリック顔料の凝集または集塊も、効果的に防止できる。ワニスの塗布されたコーティング中におけるメタリック顔料は無数の微少な鏡に匹敵するような機能を発揮するので、コーティングの光学的外観を損なわないようにするために、メタリック顔料の集塊が起きることを避けなければならない。
【0099】
好ましいのは、このプロセスの第一の変法においては、工程(bi)と(c)とを組み合わせることであって、コーティングされたメタリック顔料のスプレーと溶媒の除去とをスプレードライによって達成する。
【0100】
本発明の乾燥させたメタリック顔料における残存湿分は、いずれも本発明のメタリック顔料の全重量を基準にして、好ましくは4重量%未満、より好ましくは2重量%未満、極めて好ましくは1.2重量%未満である。残存湿分含量が高いほど、コーティングされた顔料の表面が粘着性となって、望ましくない集塊および/または凝集を引き起こすという欠陥がある。
【0101】
スプレードライは特にコスト的に有利な乾燥方法であると同時に、高い処理能力を得ることもできる。スプレードライにおいては、バッチ運転モード、さらには連続運転モードのいずれを使用することもできる。本発明のメタリック顔料を製造するには、スプレードライ方法を用いるのが好ましい。
【0102】
スプレードライにおいては、適切なスプレー圧の下、装置内の包囲された空間の中に分散体を噴霧、あるいは中で霧状化する。外部条件、たとえば、固形分含量、スプレーする分散体の粘度、反応器の内部温度、溶媒のタイプなどに応じて、スプレー圧を調節するが、それは当業者ならば容易に決めることができる。たとえば空気または窒素ガス流の中で噴霧するのが好ましい。表面積が高度に増加するために、形成された小滴では溶媒の蒸発が急速に進むが、これはキャリヤー空気の温度を上げればさらに加速させることができる。この目的のためには、温度を選択して、メタリック顔料の上の反応性コーティングが実質的に重合または硬化しないようにする。
【0103】
スプレードライにおいては、霧状化は、加圧ノズル、二流体ノズル、またはスピンノズルなどを備えた、ネブライザーディスクまたはネブライザーホイールのような遠心ネブライザーを用いることによって達成することができる。ガス流は、装置の中で並流または向流のいずれで流してもよい。混合流動パターンを用いたスプレードライでは、ノズルを乾燥塔の下部に設け、スプレーを噴水のように上向きする。ガス流からの製品の分離は、スプレー塔の下で行うが、それにはサイクロンやフィルターを使用する。
【0104】
さらには、いわゆる流動化スプレー乾燥機を含めた組合せ法を、スプレーした懸濁液を乾燥させるために使用することもできる。この方法は、微細な液滴のスプレードライと、流動床乾燥の利点を組み合わせたものである。所望により、他のスプレードライ方法を使用することも可能であるのは、言うまでもない。
【0105】
また別な好ましい実施態様においては、工程(bii)と(c)とを組み合わせて、メタリック顔料のコーティングと乾燥を流動層または流動床の中で行わせるが、そこでは、溶媒の中に溶解または分散させたオリゴマー性および/またはポリマー性結合剤を注入し、流動層または流動床中で流動化させながら、溶媒を除去する。
【0106】
この変法は、流動層コーティングと同じである。この目的のためには、顔料を包囲されたスプレードライ装置の中に導入し、加圧空気または加圧窒素を吹き込むことによって流動化させる。加圧空気または加圧窒素の量を調節して、穏やかで乱れのない表面が得られるようにする。次いで、ノズルを通して結合剤の溶液または分散体をその撹拌されている流動層の中にスプレーする。次いで溶媒を、このプロセスの第一の変法と同様にして、たとえば、加熱することにより除去することができ、それによって、本発明のメタリック顔料を乾燥させることができる。
【0107】
スプレードライのための顔料/結合剤/溶媒の分散体、または流動層コーティングのための結合剤の溶液または分散体は、たとえば、次の有機溶媒:アルコール、エーテル、エステル、ケトン、さらには沸点130℃未満の脂肪族および芳香族炭化水素を用いて製造することができる。特に好ましいのは、アセトンおよび酢酸エチルである。しかしながら、上述の有機溶媒を混合して使用してもよい。水または水−溶媒混合物もまた使用できる。
【0108】
分散体が十分な流動性を有していて、問題なくノズルを通してスプレーできるようにしておくのが好ましい。好ましくは、分散体の中の溶媒含量は、いずれも分散体の全重量を基準にして、50〜97重量%、好ましくは50〜85重量%、より好ましくは50〜75重量%である。
【0109】
装置の中に加圧空気または窒素を導入する際の圧力は、好ましくは1〜5バール、より好ましくは2〜4バールである。
【0110】
溶媒を蒸発させるための温度は実質的には、その溶媒の性質に依存する。好ましい温度範囲は0〜130℃、特に好ましい温度範囲は20〜80℃である。
【0111】
温度は、溶媒が十分に蒸発し、かつ結合剤コーティングが少ししか重合しない、好ましくは全く重合しないように選択するのが好ましい。しかしながら、結合剤が少し重合する程度ならば許され、結合剤の反応性が依然として十分に残っているようであれば、大きな問題はない。
【0112】
プロセスの二つの変法に従って製造される本発明のメタリック顔料は、流動性が良好で、粉立ちが少ない粉末で、そのd50粒径は190μmよりも小さく、好ましくは100μmよりも小さい。d50粒径が少なくとも5μmであるのが好ましい。したがって、このメタリック顔料は顆粒状ではない。顆粒とは一般に、その粒径がミリメートルの範囲のものを言う。
【0113】
製造プロセスの後で、本発明のメタリック顔料を分離または篩別して、製品としての所定の粒径分布とすることができる。
【0114】
本発明のメタリック顔料粉末を適切な流体相、好ましくは溶媒を用いて処理して、ペーストとして調製することも可能である。そのペーストの顔料含量は、ペーストの全重量を基準にして、30〜80重量%とするのが好ましい。
【0115】
ペーストを製造するために使用する溶媒は、水または有機溶媒、たとえば、脂肪族炭化水素(ホワイトスピリット)、芳香族炭化水素(溶媒ナフサ)、アルコール、エステル、ケトン、アルデヒド、エーテル、もしくはそれらの混合物であるのが好ましい。
【0116】
この目的のためには、メタリック顔料から結合剤を遊離させてしまうことがない溶媒のみしか使用してはならない。脂肪族および/または芳香族炭化水素が好ましい。
【0117】
本発明のコーティングされたメタリック顔料は、好ましくは、ペイント、ワニス、粉末ベースのワニス、印刷インク、プラスチック材料、および化粧品を製造するために使用される。
【0118】
以下の実施例および図面により本発明を説明するが、それらは本発明を限定するものではない。
【0119】
実施例1:
125gの酸価70の飽和ポリエステル(Crylcoat340、ベルギー国のUCBにより供給)および125gのエポキシ当量750のエポキシ樹脂(Araldit GT6063ES、スイス国のVanticoにより供給)を、1800gのアセトンに溶解させ、250gのStandart Spezial PCR501(d50=20μm)(独国フュルスのEckartから入手可能)を混ぜ込んだ。その2300gの分散体を、スプレー乾燥機の中に、速度30g/分、スプレー圧2.5バールで、温度55℃の加熱空気流中へスプレーした。顔料の収量は483gであった。
【0120】
図1は、本発明の実施例1のコーティングされたメタリック顔料の、走査型電子顕微鏡画像を示す。
図2は、出発顔料を示す(比較例6)。
これら二つの図を比較すると、本発明のメタリック顔料が結合剤のコーティングによって完全に包み込まれていることが判る。
【0121】
実施例2:
125gの酸価70の飽和ポリエステル(Crylcoat340、ベルギー国のUCBにより供給)および125gのエポキシ当量750のエポキシ樹脂(Araldit GT6063ES、スイス国のVanticoにより供給)を、1800gのアセトンの中に溶解させ、300gのDorolan Reichbleichgold 10/0(Eckartにより供給)を混ぜ込んだ。その2300gの分散体を、スプレー乾燥機の中に、速度30g/分、スプレー圧2.5バールで、温度55℃の加熱空気流中へスプレーした。顔料の収量は537gであった。
【0122】
実施例3:
125gの酸価70の飽和ポリエステル(たとえば、Crylcoat340、ベルギー国のUCBにより供給)および125gのエポキシ当量750のエポキシ樹脂(たとえば、Araldit GT6063ES、スイス国のVanticoにより供給)を、1800gのアセトンの中に溶解させ、50gのStandart Spezial PCR501を混ぜ込んだ。その2100gの分散体を、スプレー乾燥機の中に、速度30g/分、スプレー圧2.5バールで、温度55℃の加熱空気流中へスプレーした。顔料の収量は288gであった。
【0123】
実施例4:
実施例1を繰り返したが、ただし、アルミニウム顔料として、Standart212(d50=50μm;Eckart)を使用した。この顔料はプライマー処理されていないものであった。
【0124】
比較例5:
市販のSTANDARTアルミニウム粉末Spezial PCR501(Eckart)。
【0125】
比較例6:
市販のSTANDARTゴールデンブロンズ粉末Dorolan Reichbleichgold 10/0(Eckart)。
【0126】
比較例7:
市販のSTANDART PCA501(d50=20μm)(Eckart)。
【0127】
比較例8:
市販のPCF7130(d50=20μm;日本国の東洋アルミニウムにより供給)。これは(モノマーから重合させた)三次元架橋したポリマー層を有するアルミニウム顔料である。
【0128】
比較例9:
乾燥形状の、市販のStandart Aluminumpigment 212(STAPA(登録商標)Metallux212;d50=50μm)(Eckart)。
【0129】
実施例10:
実施例1を繰り返したが、ただし、出発物質として、市販のAloxal3010(d50=18μm、Eckart)を使用した。
【0130】
比較例11:
市販のAloxal3010(d50=18μm、Eckart)(乾燥はさせたが、追加のコーティングを塗布していないもの)。以下において記載する塗布では、不均質なスプレーパターンを示した。
【0131】
以下のような適合性検査において、本発明のコーティングされたメタリック顔料が、塗布において安定性が向上されていることが判る(単層ワニスコーティング、すなわち、クリアワニス層無し):
・各種の酸および塩基に対する抵抗性試験;
・凝縮水/一定気候試験(DIN50017による);
・モルタル試験、GSB(Guetegemeinschaft fuer die Stueckbeschichtung von Bauteilen e.V.[Quality Association for Piece Coating of Structural Elements]、独国D−73525、Schwaebisch−Gmuend)の条件に従ったもの。
【0132】
各種の酸および塩基に対する抵抗性試験においては、以下に示すようにして、本発明の実施例または比較例の各種の粉末ベースのワニスを用いて試験片をコーティングし、各種の濃度の塩酸および硫酸、ならびに水酸化ナトリウムの液滴に暴露させた。それぞれの試験片の上で液滴を、5分〜3時間かけて反応させた。酸または塩基を洗い流してから、それぞれの液滴領域の灰色の変色の程度を下記の基準に従って評点を与えた:
0点=腐食なし
1点=ほとんど判らない程度の腐食
2点=はっきりと判る腐食
3点=完全に灰色に変色
【0133】
14滴の液滴領域についての合計から、総合評点(0〜42点)を計算した。
【0134】
GSB[Quality Association for Piece Coating of Structural Elements]モルタル試験を、顔料化されたファサードコーティング(粉末ベースのワニス)でコーティングした試験片の上で実施した。AAMA603−7−1976またはAAMA2604−98の条件に従って、所定の量の石灰石モルタルを試験片に塗布した(AAMA;American Architectural Manufacturers Association)。その後直ちに、その試験片を、相対湿度100%、温度40℃の環境に24時間暴露させた。
【0135】
この試験に合格するためには、24時間後に、コーティングした表面からモルタルが容易に除去され、かつすべての残留物が濡れ雑巾で容易に除去されることが可能でなければならない。さらに、粉末ベースのワニス膜における接着性の損失が認められてはならず、また、裸眼で見て試験した表面の外観に変化があってはならない。湿潤状態のモルタルにおけるpHは通常11〜12の範囲であるため、この試験は、極端に過酷な化学試験である。一般的には、アルミニウム顔料を含む単層ワニスコーティングにおいては、負荷をかけた表面がかなりの程度の好ましくない灰色の変色をする。それにも関わらず、損傷を受けていない状態に少なくとも近似したワニスコーティングのメタリックな外観が明白とならなければならない。特に、アルミニウム顔料に対しては、この試験は過酷な要求をしているので、現在商業的に入手可能なシステムでは、未だにその要求を満たすものはない。
【0136】
このモルタル試験は視覚的に評点付けをされるが、耐候性試験ゾーンにおける灰色の変色の程度を、各種実施例についてDIN53230に記載のシステムに従って0〜5の目盛で評価する。参照標準は、試験片の中の耐候性試験を受けていないゾーンまたは耐候性試験を受けていない試験片である。
【0137】
【表1】

【0138】
負荷試験においては、粉末ベースのワニスを、市販されているポリエステル/Primidシステム(独国エッセンバッハのDuPontから入手可能)に塗布した。本発明の実施例における顔料化レベルは、初期にはコーティングされたメタリック顔料の5重量%または10重量%であるが、これは、アルミニウム含量を基準にすれば、それぞれ2.5重量%および5重量%である。比較例では、1重量%までの範囲でしか顔料化されていない。一般的に、そのように顔料化レベルが低いと、負荷試験においてはよい結果が得られるが、その理由は、この場合、コーティングの結合剤が、メタリック顔料の安定性を向上させるからである。
【0139】
【表2】

【0140】
この結果から、本発明のコーティングした顔料を塗布すると、従来からの顔料を塗布した場合よりも、酸および塩基からの損傷を明らかに受けにくいということが判る。
【0141】
同様にして、本発明のコーティングした顔料を塗布すると、従来からのメタリック顔料を塗布した場合よりも、凝縮水/一定気候試験における耐久性が実質的に向上することも判る。
【0142】
モルタル試験においては、これまでに試験をした従来からのアルミニウム顔料はすべて、表面の外見にかなりの変色、すなわち、モルタルを堆積させた部分の周囲が灰色変色を示した。これは比較例9にもあてはまるが、この比較例はその他の負荷試験では好成績であった。
【0143】
実施例1〜3の本発明のコーティングされたメタリック顔料においては、表面の変化はほとんど認められない。したがって、本発明のコーティングされたアルミニウム顔料は、この試験に合格するので、ファサードシステム、たとえば、ファサードタイルのための粉末ベースのワニスに使用するのに重要な要件を満たしていることになる。
【0144】
粉末ベースのワニス塗布の場合に、本発明のコーティングされたメタリック顔料が利点となるリサイクル性を有することは、それらのワニスを3回サイクロン回収した後で判る。従来からのメタリック顔料(比較例6)をサイクロン回収した後に塗布すると、メタリック顔料と粉末ベースのワニスの部分的な脱混合のために顕著な変色を示したのに対して、本発明のコーティングされたメタリック顔料の塗布では何の変化も認められなかった。
【0145】
メタリックな光沢に加えて、本発明のメタリック顔料を含む硬化された粉末ベースのワニスは、そのようなコーティングが並々ならぬ空間的に深みのある印象を見る者に与える。さらに、本発明の硬化された粉末ベースのワニスは、極めて優れた摩耗に対する安定性を有している。その摩耗に対する安定性は、いわゆる「Tesa試験」によって確認できるが、その試験では、接着剤の条片をワニス塗布した基材の表面に貼り付けてから、それを引きはがす。本発明の硬化された粉末ベースのワニスの場合には、ワニスは全く剥がれない。
【0146】
本発明のコーティングされたメタリック顔料のまた別な利点は、粉末コーティングの際のすぐれた加工特性にも表れている。メタリック顔料と粉末ベースのワニス結合剤とでは、静電的電荷特性がまったく異なっているために、スプレーガンの中で集塊が起きる。そのために、スプレー塗布の際に顔料の塊状物ができてしてしまうことになる。この塊状物の生成について、DIN53230に記載の下記の尺度に従って視覚的に評点を与える:
評点0:塊状物の生成なし
評点1:視覚的に認識可能な塊状物生成
評点2:低程度の塊状物生成
評点3:中程度の塊状物生成
評点4;高程度の塊状物生成
評点5;極めて高程度の塊状物生成
【0147】
比較のために、一般的には結合させるのが困難な、極めて大きなアルミニウム顔料を試験した。比較例9のコーティングしていないアルミニウム顔料を、ドライブレンドとして、および結合された粉末ベースのワニスとして、塗布した。その一方で、本発明の実施例4のものを単純なドライブレンドとして塗布した。
【0148】
結果;
実施例4:0〜1
比較例9(ドライブレンド);3
比較例9(結合粉末);1〜2
【0149】
本発明のコーティングされたアルミニウム顔料を用いた場合、単純なドライブレンド調製法であったとしても、本発明による結合剤を用いてプライマー処理していない結合されたアルミニウム顔料を用いた場合よりも、実質的に改良された塗付が達成される。
【0150】
ウェットワニスシステムにおける使用に関しては、市販されているMischlacksilber(ヴュルツブルクのBASFにより供給)水系のワニスシステムと同一の条件下でガス試験を実施したが、それでは、それぞれの場合について得られた水素量を測定した。この試験では、30日後に得られる水素ガスが22mL未満であれば合格とみなされる。
【0151】
実施例1:30日後12mL
比較例6:2日後に>19mL
【0152】
比較例6の場合には、水素の発生があまりにも多いので2日後で試験を止めた。
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】本発明の実施例1のコーティングされたメタリック顔料の、走査型電子顕微鏡画像を示す。
【図2】出発顔料を示す(比較例6)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティングを有するメタリック顔料であって、前記コーティングが、前記メタリック顔料を包み込み、化学的に架橋可能であるかおよび/または加熱、赤外線照射、紫外線照射、および/または電子照射することによって架橋可能であるオリゴマー性および/またはポリマー性結合剤を含み、コーティングされたメタリック顔料が、粒径d50が190μm未満である粉末の形態で存在し、粉末ベースのワニス中で硬化の後にも腐食に対する抵抗性を有することを特徴とする、メタリック顔料。
【請求項2】
前記コーティングされたメタリック顔料の粒径d50が、5μm〜100μmの範囲であることを特徴とする、請求項1に定義されたメタリック顔料。
【請求項3】
前記メタリック顔料が、コーティングされたメタリック顔料の全重量を基準にして、20〜85重量%のオリゴマー性および/またはポリマー性結合剤を含むことを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に定義されたメタリック顔料。
【請求項4】
前記コーティングが、前記結合剤に加えて、補助剤および/または助剤をさらに含むことを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に定義されたメタリック顔料。
【請求項5】
前記補助剤および/または助剤が、有機および/または無機の有色顔料および/または染料を含むことを特徴とする、請求項4に定義されたメタリック顔料。
【請求項6】
前記補助剤および/または助剤が、硬化剤、光重合開始剤および/または重合開始剤を含むことを特徴とする、請求項4に定義されたメタリック顔料。
【請求項7】
前記補助剤および/または助剤が、さらなるワニス成分、好ましくは、充填剤、脱気剤、膜形成助剤、防炎剤、接着促進剤、光安定化剤、艶消し剤、重合開始剤、ラジカル阻害剤、固結防止剤、スリップ剤、放射線硬化反応性希釈剤、紫外線吸収剤、流動調節剤、架橋触媒、および/またはワックスを含むことを特徴とする、請求項4に定義されたメタリック顔料。
【請求項8】
前記メタリック顔料が、前記結合剤を用いた前記コーティングの塗布の前に、追加の1層の好ましくは架橋された層を用いるか、または追加の複数の好ましくは架橋された層を用いてプライマー処理されていることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に定義されたメタリック顔料。
【請求項9】
前記メタリック顔料が、二酸化ケイ素、金属酸化物、有機リン化合物、好ましくはリン酸エステルおよび/またはホスホン酸化合物、および/またはポリマーを用いてプライマー処理されていることを特徴とする、請求項8に定義されたメタリック顔料。
【請求項10】
前記メタリック顔料が、結合剤コーティングのための接着促進剤、好ましくは官能化シラン、官能化ポリマーおよび/または有機リン化合物、好ましくはリン酸エステルおよび/またはホスホン酸化合物を用いてプライマー処理されていることを特徴とする、請求項8に定義されたメタリック顔料。
【請求項11】
前記(1種または複数種の)結合剤が、ポリエステル樹脂、エポキシド樹脂、ポリウレタン樹脂、UV硬化システム、アクリレート、およびそれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に定義されたメタリック顔料。
【請求項12】
前記ポリエステル樹脂が、OH基を含み、ヒドロキシル価が30〜150mgのKOH/gの間である飽和ポリエステル樹脂、酸価が25〜70mgのKOH/gの間である飽和カルボキシル基含有ポリエステル樹脂、およびそれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする、請求項11に定義されたメタリック顔料。
【請求項13】
前記エポキシド樹脂が、2個以上のエポキシド環と、好ましくは400〜2500のエポキシ当量(EEW)を有するものからなる群より選択されることを特徴とする、請求項11に定義されたメタリック顔料。
【請求項14】
前記ポリウレタン樹脂が、ブロックされたおよび/またはブロックされていないポリイソシアネートを含む、OH官能性ポリエステル樹脂またはポリアクリレート樹脂、およびそれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする、請求項11に定義されたメタリック顔料。
【請求項15】
前記UV硬化システムが、1個の不飽和および/または複数個の不飽和二重結合を有する化合物であることを特徴とする、請求項11に定義されたメタリック顔料。
【請求項16】
前記硬化剤が、ヒドロキシアルキルアミン含有化合物、グリシジル基含有化合物、エポキシ基含有化合物、トリグリシジルイソシアヌレート、およびそれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする、請求項6〜15のいずれか1項に定義されたメタリック顔料。
【請求項17】
前記(1種または複数種の)結合剤の架橋、および存在しているいずれかの硬化剤の架橋が、熱的に誘導できることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に定義されたメタリック顔料。
【請求項18】
前記結合剤を含む前記コーティングが腐食防止剤を含むことを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に定義されたメタリック顔料。
【請求項19】
前記腐食防止剤が、陽極性および/または陰極性の腐食防止剤であることを特徴とする、請求項18に定義されたメタリック顔料。
【請求項20】
前記腐食防止剤が、腐食に対して安定化された顔料、好ましくはストロンチウム亜鉛ホスホシリケート、亜鉛アルミニウムポリホスフェート水和物、亜鉛カルシウムアルミニウムストロンチウムホスフェートシリケート水和物、亜鉛カルシウムストロンチウムオルトホスフェートシリケート水和物、ストロンチウムアルミニウムポリホスフェート水和物、カルシウムアルミニウムポリホスフェートシリケート水和物、およびモリブデン酸のナトリウムおよび/またはカルシウムおよび/または亜鉛の塩および/またはホスホモリブデン酸塩および/またはリン酸亜鉛錯体、ならびにそれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする、請求項18または請求項19に定義されたメタリック顔料。
【請求項21】
前記腐食に対して安定化された顔料が、0.1〜10μm、好ましくは0.15〜5μmの範囲の平均粒径を有することを特徴とする、請求項18〜20のいずれか1項に定義されたメタリック顔料。
【請求項22】
前記メタリック顔料が、アルミニウム、銅、鉄、チタン、ニッケル、亜鉛、および黄銅顔料、ならびにそれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜21のいずれか1項に定義されたメタリック顔料。
【請求項23】
前記メタリック顔料が、酸化されたメタリック顔料、好ましくは酸化された銅および/または黄銅顔料であることを特徴とする、請求項1〜22のいずれか1項に定義されたメタリック顔料。
【請求項24】
前記メタリック顔料が、化学的ウェットプロセス酸化されたアルミニウム顔料であることを特徴とする、請求項1〜22のいずれか1項に定義されたメタリック顔料。
【請求項25】
前記メタリック顔料が、メタルコアおよび/またはメタルコーティングを有するメタル含有干渉顔料であることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に定義されたメタリック顔料。
【請求項26】
前記粉末が、液相、好ましくは有機溶媒と組み合わされてペーストとして存在していることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に定義されたメタリック顔料。
【請求項27】
粉末ベースのワニスのためのマスターバッチであって、前記マスターバッチが、請求項1〜25のいずれか1項に定義されたメタリック顔料を含むことを特徴とする、マスターバッチ。
【請求項28】
コーティング組成物であって、前記コーティング組成物が、請求項1〜26のいずれか1項に定義されたメタリック顔料を含み、前記メタリック顔料が、コーティング組成物を硬化させた後に、腐食抵抗性を有することを特徴とする、コーティング組成物。
【請求項29】
前記コーティング組成物が、粉末ベースのワニスを含むことを特徴とする、請求項28に定義されたコーティング組成物。
【請求項30】
前記コーティング組成物が、コーティング組成物の全重量を基準にして、0.5〜15重量%、好ましくは1〜12重量%の金属含量を有することを特徴とする、請求項28または請求項29に定義されたコーティング組成物。
【請求項31】
前記コーティング組成物が、2〜8重量%の金属含量を有することを特徴とする、請求項30に定義されたコーティング組成物。
【請求項32】
前記粉末ベースのワニスと、前記メタリック顔料のコーティングとが同一の結合剤を含むことを特徴とする、請求項29〜31のいずれか1項に定義されたコーティング組成物。
【請求項33】
コーティングされた物であって、前記物が、請求項1〜26のいずれか1項に定義されたメタリック顔料を用いるか、または請求項28〜32のいずれか1項に定義されたコーティング組成物を用いてコーティングされていることを特徴とする、コーティングされた物。
【請求項34】
コーティングされた物であって、前記物が、ファサード要素、好ましくは、ファサードタイルや窓枠、車両ボディ、好ましくは、自動車のボディ、または車両、好ましくは、自転車またはオートバイのフレームであることを特徴とする、コーティングされた物。
【請求項35】
請求項1〜26のいずれか1項に定義されたメタリック顔料を製造するためのプロセスであって:
a)有機溶媒の中でオリゴマー性および/またはポリマー性結合剤の溶液または分散体を調製する工程;
b)前記結合剤を用いてメタリック顔料をコーティングする工程であって
i)工程a)で製造した溶液または分散体の中にメタリック顔料を分散させ、それに続いて、それを噴霧する工程か、または
ii)工程a)で製造した溶液または分散体を、ガス流中で流動化させたメタリック顔料の上に噴霧する工程;
c)結合剤を用いてコーティングされたメタリック顔料を、乱流ガス流中で乾燥させる工程;を含む、プロセス。
【請求項36】
前記結合剤を用いてコーティングされた前記メタリック顔料を、工程c)に続けて、さらに分粒にかけることを特徴とする、請求項35に定義されたメタリック顔料を製造するためのプロセス。
【請求項37】
溶媒の中に溶解または分散させた前記オリゴマー性および/またはポリマー性結合剤に、好ましくはそれをメタリック顔料と接触させるより前に、補助剤および/または助剤をさらに添加することを特徴とする、請求項35または請求項36に定義されたプロセス。
【請求項38】
前記補助剤および/または助剤が、硬化剤、光重合開始剤および/または重合開始剤を含むことを特徴とする、請求項37に定義されたプロセス。
【請求項39】
前記補助剤および/または助剤が、腐食防止剤および好ましくは腐食に対して安定化された顔料を含むことを特徴とする、請求項37に定義されたプロセス。
【請求項40】
使用する前記溶媒が、水、有機溶媒、または含水有機溶媒であることを特徴とする、請求項35〜39のいずれか1項に定義されたプロセス。
【請求項41】
前記工程(bi)および(c)を組み合わせて、前記コーティングされたメタリック顔料の噴霧と溶媒の除去とを、スプレードライによって実施することを特徴とする、請求項35〜40のいずれか1項に定義されたプロセス。
【請求項42】
前記工程(bii)および(c)を組み合わせて、前記メタリック顔料のコーティングと乾燥とを、流動層または流動床の中で実施し、そこで、溶媒の中に溶解または分散させた前記オリゴマー性および/またはポリマー性結合剤をスプレー注入して、前記溶媒を流動層または流動床の中での乱流混合により除去することを特徴とする、請求項35〜40のいずれか1項に定義されたプロセス。
【請求項43】
ペイント、ワニス、粉末ベースのワニス、印刷インク、プラスチック材料、またはマニキュア液における、請求項1〜25のいずれか1項に定義されたメタリック顔料の使用。
【請求項44】
ファサードをコーティングするための高度に耐久性のある粉末ベースのワニス中における、請求項1〜25のいずれか1項に定義されたメタリック顔料の使用。
【請求項45】
マニキュア液であって、請求項1〜26のいずれか1項に定義されたメタリック顔料を含むことを特徴とする、マニキュア液。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−515534(P2007−515534A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546074(P2006−546074)
【出願日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014663
【国際公開番号】WO2005/063897
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(502099902)エッカルト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (48)
【Fターム(参考)】