説明

結晶性カルバペネム化合物及びその製造法

【課題】結晶性カルバペネム化合物及びその製造法の提供。
【解決手段】本発明は結晶性カルバペネム化合物及びその製造法に関するものである。本発明の結晶性カルバペネム化合物は結晶性(4R,5S,6S)−3−[[(3S,5S)−5−[(ジメチルアミノ)カルボニル]−3−ピロリジニル]チオ]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸であり、図2の粉末X線回折パターンによって特徴付けられている。本発明の結晶性カルバペネム化合物は新たな結晶形態であり、抗生物として有効である。しかも、本発明の結晶性カルバペネム化合物は非結晶形態のカルバペネム混合物より安定している。その故に、本発明の結晶性カルバペネム化合物は保存に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカルバペネム化合物及びその製造法に関わり、特に結晶性カルバペネム化合物及びその製造法に関するものである。これは抗生物質として使用でき、しかも、より安定且つ保存に適している。
【背景技術】
【0002】
カルバペネム化合物の構造式は(4R,5S,6S)−3−[[(3S,5S)−5−[(ジメチルアミノ)カルボニル]−3−ピロリジニル]チオ]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸(ここより「化合物A」と呼ぶ)である、
【化1】

抗生物質として有用である。
【0003】
化合物Aは非結晶形態である。即ち、凍結乾燥によって得られたアモルファス粉であり、抗生物質として利用されるのが特許文献1においても報告された。しかし、非結晶形態である化合物Aは十分に安定しておらず、長時間の保存にかけてその抗生効能の減少と共に変質してしまうことがある。
【0004】
特許文献2及び特許文献3では、化合物Aは純度の高い結晶形態で得られている。さらに、結晶形態になっている化合物Aは非結晶形態より安定で、且つ保存に適していることが分かっていた。結晶形態Aは、図1の粉末X線回折パターンによって特徴付けられている。しかも、図1の粉末X線回折パターンは格子の間隔、及び表1に定められた相対強度値を含めている。
【0005】
表1は図1の粉末X線回折パターン(格子の間隔、及び相対強度値を含めている)
【表1】

広範囲にわたる研究の結果として、本発明は、高い純度及び安定に保存できる新たな結晶形態Bをしている化合物Aが成功に獲得できた。
【0006】
【特許文献1】欧州特許第126587A号明細書
【特許文献2】欧州特許第256377号明細書
【特許文献3】米国特許第4888344号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の主要目的は、新しい結晶形態の結晶性カルバペネム化合物及びその製造法を提供することにある。
【0008】
本発明のもう一つの目的は、非結晶形態のカルバペネム化合物より安定している結晶性カルバペネム化合物及びその製造法を提供することにある。
【0009】
本発明にはまた一つの目的がある。それは、保存に適している結晶性カルバペネム化合物及びその製造法を提供することである。
【0010】
本発明の結晶性カルバペネム化合物は以下の構成式を持っている:
結晶性(4R,5S,6S)−3−[[(3S,5S)−5−[(ジメチルアミノ)カルボニル]−3−ピロリジニル]チオ]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸
【化2】

そこに、結晶性(4R,5S,6S)−3−[[(3S,5S)−5−[(ジメチルアミノ)カルボニル]−3−ピロリジニル]チオ]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸(Bからの新しい結晶形態の化合物A)は、仕様の図2の粉末X線回折パターンによって特徴付けられている。
【0011】
本発明の結晶性カルバペネム化合物の製造法は以下の手順を含めている、(1)溶液に加えられてかき混ぜられた活性炭、(4R,5S,6S)−3−[[(3S,5S)−5−[(ジメチルアミノ)カルボニル]−3−ピロリジニル]チオ]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸と水の粗製品を含んでいる溶液。(2)溶液からろ過で除去された活性炭、及び水溶液になるように水で洗い流されたろ過水。(3)逆浸透の濃縮装置で濃縮された水溶液、及び冷却された生成の濃縮物。(4)生成された濃縮物に加えられた種。(5)加えられ、そしてかき混ぜられた溶剤。(6)採集されて洗われ、そして、結晶性(4R,5S,6S)−3−[[(3S,5S)−5−[(ジメチルアミノ)カルボニル]−3−ピロリジニル]チオ]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸(Bからの新しい結晶形態の化合物A)を採るために乾燥された沈殿結晶、この沈殿結晶は図2の粉末X線回折パターンによって特徴付けられている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、以下の構造式を持ち、
結晶性(4R,5S,6S)−3−[[(3S,5S)−5−[(ジメチルアミノ)カルボニル]−3−ピロリジニル]チオ]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸、
【化3】

当該結晶性(4R,5S,6S)−3−[[(3S,5S)−5−[(ジメチルアミノ)カルボニル]−3−ピロリジニル]チオ]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸は、仕様の図2の粉末X線回折パターンであることを特徴とする結晶性カルバペネム化合物としている。
請求項2の発明は、結晶性(4R,5S,6S)−3−[[(3S,5S)−5−[(ジメチルアミノ)カルボニル]−3−ピロリジニル]チオ]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸は粉末X線回折パターンによって特徴付けられ、格子の間隔及び相対強度値を含め、その相対強度値は仕様の表2で定められていることを特徴とする請求項1記載の結晶性カルバペネム化合物としている。
請求項3の発明は、以下の手順を含み、
以下の手順を含み、
(1)活性炭が溶液に加えられてかき混ぜられ、該溶液は(4R,5S,6S)−3−[[(3S,5S)−5−[(ジメチルアミノ)カルボニル]−3−ピロリジニル]チオ]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸の粗製品と水を含み、
(2)該活性炭が該溶液からろ過で除去され、及びろ過水が水溶液になるように水で洗い流され、
(3)該水溶液が逆浸透の濃縮装置で濃縮され、該生成された濃縮物が冷却され、
(4)種が生成された該濃縮物に加えられ、
(5)溶剤が加えられ、そして、かき混ぜられ、
(6)沈殿結晶が採集されて洗い流され、乾燥され、結晶性(4R,5S,6S)−3−[[(3S,5S)−5−[(ジメチルアミノ)カルボニル]−3−ピロリジニル]チオ]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸を得る、この沈殿結晶は仕様の図2の粉末X線回折パターンことを特徴とする結晶性カルバペネム化合物の製造法としている。
請求項4の発明は、(4R,5S,6S)−3−[[(3S,5S)−5−[(ジメチルアミノ)カルボニル]−3−ピロリジニル]チオ]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸の粗製品と活性炭の重量比は100:1−30であることを特徴とする請求項3記載の結晶性カルバペネム化合物の製造法としている。
請求項5の発明は、当該水溶液は約5〜20℃で50〜300psiの圧力で手順(3)の逆浸透の濃縮装置で濃縮されたことを特徴とする請求項3記載の結晶性カルバペネム化合物の製造法としている。
請求項6の発明は、当該手順(4)の種は≧95wt%のメロペネムを含めていることを特徴とする請求項3記載の結晶性カルバペネム化合物の製造法としている。
請求項7の発明は、当該手順(5)の溶剤は、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、アセトン、イソプロピルアルコール、1−プロパノール、酢酸メチル、酢酸エチルッメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、及びそれらの混合物の構成から採集されたことを特徴とする請求項3記載の結晶性カルバペネム化合物の製造法としている。
請求項8の発明は、当該手順(5)の溶剤の追加分は−5〜20℃であることを特徴とする請求項3記載の結晶性カルバペネム化合物の製造法としている。
請求項9の発明は、当該かき混ぜる手順は10〜30℃に冷却するためのものであることを特徴とする請求項3記載の結晶性カルバペネム化合物の製造法としている。
請求項10の発明は、当該沈殿結晶はメタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、アセトン、イソプロピルアルコール、1−プロパノール、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、及びそれらの混合物で洗い流されたことを特徴とする手順(6)の請求項3記載の結晶性カルバペネム化合物の製造法としている。
請求項11の発明は、当該手順(6)の沈殿結晶は10〜35℃で乾燥されたことを特徴とする請求項3記載の結晶性カルバペネム化合物の製造法としている。
請求項12の発明は、当該手順(6)の(4R,5S,6S)−3−[[(3S,5S)−5−[(ジメチルアミノ)カルボニル]−3−ピロリジニル]チオ]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸は、粉末X線回折パターンによって特徴付けられ、格子の間隔及び仕様の表2で定められた相対強度値を含めていることを特徴とする請求項3記載の結晶性カルバペネム化合物の製造法としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の結晶性カルバペネム化合物及びその製造法は、新しい結晶形態の結晶性カルバペネム化合物及びその製造法を提供することにある。非結晶形態のカルバペネム化合物より安定している結晶性カルバペネム化合物及びその製造法を提供することにある。それは、保存に適している結晶性カルバペネム化合物及びその製造法を提供することである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の結晶性カルバペネム化合物は、(4R,5S,6S)−3−[[(3S,5S)−5−[(ジメチルアミノ)カルボニル]−3−ピロリジニル]チオ]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸の構成を持っている。構造式は次のとおりである、
【化4】

(4R,5S,6S)−3−[[(3S,5S)−5−[(ジメチルアミノ)カルボニル]−3−ピロリジニル]チオ]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸(新結晶形態Bの化合物A)は図2の粉末X線回折パターンによって特徴付けられている。その上、図2の粉末X線回折パターンは格子の間隔、及び表2で定められた相対強度値を含めている。
【0015】
表2は図2の粉末X線回折パターン(格子の間隔、及び表2で定められた相対強度値を含めている)。
【表2】

【0016】
本発明の結晶性カルバペネム化合物の製造法は以下の手順(図3に示されるように)を含めている、
以下の手順を含み、
(S1)活性炭が溶液に加えられてかき混ぜられ、該溶液は(4R,5S,6S)−3−[[(3S,5S)−5−[(ジメチルアミノ)カルボニル]−3−ピロリジニル]チオ]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸の粗製品と水を含み、
(S2)該活性炭が該溶液からろ過で除去され、及びろ過水が水溶液になるように水で洗い流され、
(S3)該水溶液が逆浸透の濃縮装置で濃縮され、該生成された濃縮物が冷却され、
(S4)種が生成された該濃縮物に加えられ、
(S5)溶剤が加えられ、そして、かき混ぜられ、
(S6)沈殿結晶が採集されて洗い流され、乾燥され、結晶性(4R,5S,6S)−3−[[(3S,5S)−5−[(ジメチルアミノ)カルボニル]−3−ピロリジニル]チオ]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸(新結晶形態Bの化合物A)を得る、この沈殿結晶は図2の粉末X線回折パターンによって特徴付けられている。
【0017】
手順(1)のかき混ぜる時間は1〜3時間である。(4R,5S,6S)−3−[[(3S,5S)−5−[(ジメチルアミノ)カルボニル]−3−ピロリジニル]チオ]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸と活性炭の重量比は100:1−30である。
【0018】
手順(3)において逆浸透の濃縮装置で濃縮された水溶液はおよそ5〜20℃の50〜300psiの圧力を受けている。生成された濃縮物は手順(3)において0〜15℃に冷却された。種は≧95wt%のメロペネムを含めている。手順(5)の溶剤は、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、アセトン、イソプロピル、アルコールと1−プロパノール、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、及びそれらの混合物の構成から採集された。追加した手順(5)は−5〜20℃である。手順(5)のかき混ぜる作業は5〜30℃で3時間以上に続けられた。手順(6)では、沈殿結晶はろ過で採られ、そして、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、アセトン、イソプロピルアルコール及び1−プロパノール、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びそれらの混合物で洗い流された。そして、手順(6)においてもまた、沈殿結晶は10〜35℃で3〜6時間をかけて乾燥される。
【0019】
(4R,5S,6S)−3−[[(3S,5S)−5−[(ジメチルアミノ)カルボニル]−3−ピロリジニル]チオ]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸(含有量95%、200g)の粗製品は20℃の水(大体20L)に溶かされ、それに活性炭(10g)が加えられ、そして、1時間程度かき混ぜられた。活性炭がろ過で除去された後、そのろ過水は水で洗い流された。その水溶液は、約10〜20℃、120psiの圧力で、逆浸透の濃縮装置で濃縮された。それで生成された濃縮物(6.7L)は0〜10℃に冷却された。そして、種(98%含有量のメロペネム、1g)はその生成された濃縮物に加えられた。それから、(20.1L)テトラヒドロフランは0〜10℃のそれに加えられ、続いて0〜5℃で6時間かき混ぜ続けられた。沈殿結晶はろ過から採集されてアセトンで洗い流され、そして30℃、3時間で乾燥され、本発明の結晶性カルバペネム化合物(新結晶形態Bの化合物A)が180.5g獲得できた。
【0020】
(4R,5S,6S)−3−[[(3S,5S)−5−[(ジメチルアミノ)カルボニル]−3−ピロリジニル]チオ]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸(含有量95%、200g)の粗製品は水(約20L)に溶かされ、それに活性炭(10g)加えられ、そして、1時間程度かき混ぜられた。活性炭がろ過で除去された後、そのろ過水は水で洗い流された。その水溶液は逆浸透の濃縮装置で5〜15℃で、200psi程度の圧力で濃縮された。生成された濃縮物(6.7L)は0〜10℃に冷却された。種(含有量98%のメロペネム、1g)は生成された濃縮物に加えられ、そして、アセトン(20.1L)はそれに加えられた。続いては−5〜−15℃、8時間でかき混ぜ続けられた。沈殿結晶はろ過で採集されてテトラヒドロフランで洗い流され、そして、15〜25℃で2時間をかけて乾燥され、本発明の結晶性カルバペネム化合物が175.5g獲得できた。
【0021】
(4R,5S,6S)−3−[[(3S,5S)−5−[(ジメチルアミノ)カルボニル]−3−ピロリジニル]チオ]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸(含有量95%、200g)の粗製品は水(約20L)に溶かされ、それに活性炭(10g)が加えられて1時間をかけてかき混ぜられた。活性炭がろ過で除去された後、そのろ過水は水で洗い流された。水溶液は逆浸透の濃縮装置で15〜20℃で150psiの圧力で濃縮された。それで生成された濃縮物(6.7L)は10℃程度に冷却された。種(98%含有量のメロペネム、1g)は生成されたその濃縮物に加えられ、そして、それにイソプロピルアルコール(20.1L)が入れられた。続いては−5〜−15℃で4時間をかけてかき混ぜられた。沈殿結晶ろ過で採集されてテトラヒドロフランで洗い流され、そして、25〜30℃で5時間をかけて乾燥され、本発明の結晶性カルバペネム化合物が170.5g獲得できた。
【0022】
(4R,5S,6S)−3−[[(3S,5S)−5−[(ジメチルアミノ)カルボニル]−3−ピロリジニル]チオ]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸(含有量95%、200g)の粗製品は水(約20L)に溶かされ、それに活性炭(10g)が加えられて1時間かき混ぜられた。活性炭がろ過で除去された後、そのろ過水は水で洗い流された。水溶液は15〜20℃で50psiの圧力で逆浸透の濃縮装置で濃縮された。生成された濃縮物(6.7L)は15℃程度に冷却された。種(98%含有量のメロペネム、1g)は生成されたその濃縮物に加えられ、そして、それに1−プロパノール(20.1L)が加えられた。続いて−10〜20℃で4時間をかけてかき混ぜられた。沈殿結晶はろ過で採集されてアセトンで洗い流され、20〜35℃で6時間をかけて乾燥され、本発明の結晶性カルバペネム化合物が168.5g獲得できた。
【0023】
以上によると、本発明は以下の特徴を持っている、
1.本発明の結晶性カルバペネム化合物は新結晶形態で抗生物質に利用できる。
2.本発明の結晶性カルバペネム化合物は非結晶形態のカルバペネム化合物に比べてより安定している。
3.本発明の結晶性カルバペネム化合物は保存に適している。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】従来の化合物Aにおける結晶形態Aになっているカルバペネム化合物の粉末X線回折パターンである。
【図2】本発明の結晶性カルバペネム化合物の粉末X線回折パターンである。
【図3】本発明の結晶性カルバペネム化合物の製造法に関する流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造式を持ち、
結晶性(4R,5S,6S)−3−[[(3S,5S)−5−[(ジメチルアミノ)カルボニル]−3−ピロリジニル]チオ]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸、
【化1】

当該結晶性(4R,5S,6S)−3−[[(3S,5S)−5−[(ジメチルアミノ)カルボニル]−3−ピロリジニル]チオ]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸は、仕様の図2の粉末X線回折パターンであることを特徴とする結晶性カルバペネム化合物。
【請求項2】
結晶性(4R,5S,6S)−3−[[(3S,5S)−5−[(ジメチルアミノ)カルボニル]−3−ピロリジニル]チオ]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸は粉末X線回折パターンによって特徴付けられ、格子の間隔及び相対強度値を含め、その相対強度値は仕様の表2で定められていることを特徴とする請求項1記載の結晶性カルバペネム化合物。
【請求項3】
以下の手順を含み、
(1)活性炭が溶液に加えられてかき混ぜられ、該溶液は(4R,5S,6S)−3−[[(3S,5S)−5−[(ジメチルアミノ)カルボニル]−3−ピロリジニル]チオ]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸の粗製品と水を含み、
(2)該活性炭が該溶液からろ過で除去され、及びろ過水が水溶液になるように水で洗い流され、
(3)該水溶液が逆浸透の濃縮装置で濃縮され、該生成された濃縮物が冷却され、
(4)種が生成された該濃縮物に加えられ、
(5)溶剤が加えられ、そして、かき混ぜられ、
(6)沈殿結晶が採集されて洗い流され、乾燥され、結晶性(4R,5S,6S)−3−[[(3S,5S)−5−[(ジメチルアミノ)カルボニル]−3−ピロリジニル]チオ]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸を得る、この沈殿結晶は仕様の図2の粉末X線回折パターンことを特徴とする結晶性カルバペネム化合物の製造法。
【請求項4】
(4R,5S,6S)−3−[[(3S,5S)−5−[(ジメチルアミノ)カルボニル]−3−ピロリジニル]チオ]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸の粗製品と活性炭の重量比は100:1−30であることを特徴とする請求項3記載の結晶性カルバペネム化合物の製造法。
【請求項5】
当該水溶液は約5〜20℃で50〜300psiの圧力で手順(3)の逆浸透の濃縮装置で濃縮されたことを特徴とする請求項3記載の結晶性カルバペネム化合物の製造法。
【請求項6】
当該手順(4)の種は≧95wt%のメロペネムを含めていることを特徴とする請求項3記載の結晶性カルバペネム化合物の製造法。
【請求項7】
当該手順(5)の溶剤は、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、アセトン、イソプロピルアルコール、1−プロパノール、酢酸メチル、酢酸エチルッメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、及びそれらの混合物の構成から採集されたことを特徴とする請求項3記載の結晶性カルバペネム化合物の製造法。
【請求項8】
当該手順(5)の溶剤の追加分は−5〜20℃であることを特徴とする請求項3記載の結晶性カルバペネム化合物の製造法。
【請求項9】
当該かき混ぜる手順は10〜30℃に冷却するためのものであることを特徴とする請求項3記載の結晶性カルバペネム化合物の製造法。
【請求項10】
当該沈殿結晶はメタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、アセトン、イソプロピルアルコール、1−プロパノール、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、及びそれらの混合物で洗い流されたことを特徴とする手順(6)の請求項3記載の結晶性カルバペネム化合物の製造法。
【請求項11】
当該手順(6)の沈殿結晶は10〜35℃で乾燥されたことを特徴とする請求項3記載の結晶性カルバペネム化合物の製造法。
【請求項12】
当該手順(6)の(4R,5S,6S)−3−[[(3S,5S)−5−[(ジメチルアミノ)カルボニル]−3−ピロリジニル]チオ]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸は、粉末X線回折パターンによって特徴付けられ、格子の間隔及び仕様の表2で定められた相対強度値を含めていることを特徴とする請求項3記載の結晶性カルバペネム化合物の製造法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−215270(P2009−215270A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−63468(P2008−63468)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(508079038)展旺生命科技股▲ふん▼有限公司 (4)
【Fターム(参考)】