説明

結束バンド

【課題】配線や配管の外周に巻きつけられ固定される結束バンドにおいて作業性の向上とバンドロック部の強度が強固な結束バンドを提供する。
【解決手段】バンド本体1とバンドロック部2から成り、バンドロック部2にはバンド挿入孔3がある。バンド挿入孔3にはバンド本体1が挿通することによりお互いに係止する係止手段を有する。バンドロック部2はバンド挿入孔3を形成する周壁の一部が開放された開口部を有する。バンド本体1の一部であり、バンド本体1の幅より狭いバンド細径部6を前記開口部に挿通させることができ、バンド挿入孔3にバンド本体1を通すことができる。したがってバンド結束時、バンドを持ち替える必要がなく、作業性を向上させることができる。バンドロック部2に開放部分が無いため、バンドロック部強度が強固な結束バンドを提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車や電気機器、住宅や一般家庭等の配線や配管の固定に使用する、作業性が良く、ロック部強度が強固な結束バンドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、配線や配管等を固定する結束バンドはバンド部分を配線や配管に巻き付け、バンド部の一端に設けられたバンドロック部の孔にバンド部の先端からバンド部を通し、バンド部の片面に多数列設した歯とバンドロック部の孔に設けられた舌片のラチェットが係止し配線や配管を締め上げ固定している。また、作業性を改善するためにバンド部をバンドロック部の孔に通すのではなく、バンドロック部の周壁の一部を切り欠き、そこからバンド部を通す構造の結束バンドが知られている。
特許文献1ではバンドロック部の周壁の切欠き部から、バンド部の幅が細くなっている部分を通し、バンドロック部の孔の定位置にバンド部がセットされ、バンド部分を引っ張ることにより、バンド部の歯とバンドロック部の舌片の歯が係止し始め、同時にバンド部の歯が設けられた面と対面に設けられた2本の溝にバンドロック部の切欠き部の両端から孔の内面方向に伸びる突起が嵌ることでバンド部がバンドロック部から外れる方向の力に対して抗力を増している。
また、従来の結束バンドは人手締結用の結束バンドと自動機締結用の結束バンドはそれぞれ専用のものであった。特許文献2のように自動機締結用の結束バンドは自動機への連続供給のために、結束バンドと結束バンドを繋げた状態で成形され、配線や配管を結束する時に連結部分を切り離す形態の結束バンドが知られている。
【特許文献1】特表2003−509308号公報
【特許文献2】特開平6−059193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来より、次のような問題点があった。
イ)バンドロック部の周壁に有る切欠きは、常に開放状態であり、バンド部の溝とバンドロック部の突起が嵌合していたとしても、バンド部がバンドロック部から外れる虞があった。
ロ)締結方法により手動締結用と自動機締結用のそれぞれの形態の結束バンドを用意しなければならず、管理が煩雑になったり、コストアップに繋がっていた。
本発明は以上の問題点を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
配線や配管の外周に巻き付けられるバンド本体と、バンド挿入孔を有し該バンド挿入孔内に挿入された前記バンド本体を安定に保持するバンドロック部からなり、該バンドロック部は前記バンド挿入孔により略筒状を呈する。前記略筒状を構成する周壁の一部には前記バンド挿入孔へ前記バンド本体の挿通が可能な開口部が形成されている。
前記バンド本体には長手方向に溝が形成され、前記開口部付近に設けられ前記バンド挿入孔側に突出した突起部と前記溝が嵌合する結束バンドにおいて、前記バンド本体が前記バンド挿入孔に挿通され、結束動作をすることにより、前記突起部が前記溝に案内され、前記突起部と連設している前記開口部を有する周壁が閉じる方向に動作し前記バンドロック部が閉じた筒状を形成することを特徴とする。
【0005】
上記開口部を有する壁に略直交し立設する向かいあう2つの側壁と該側壁を連結する壁である基部を有し、前記側壁と前記基部が接続される角部に可撓性を持たせるための形状を設けた。
【0006】
上記バンド本体には上記開口部の幅より狭く、上記バンドロック部の厚みよりも長いバンド細径部を有する。
【0007】
上記バンドロック部に連設して成る上記バンド本体の一端には、内径が上記バンド本体の幅より僅かに大きい略Cの字形状の切込みを有し、該切込みの非連結部分の幅が上記バンド本体の幅より狭く、該切込みに同形状の他の結束バンドのバンド本体部分を通すことを可能とした。
【発明の効果】
【0008】
配線や配管に結束バンドを装着する際、バンドロック部の孔にバンド部を先端から通すタイプの結束バンドは、孔を通した後バンド部を持ち替えてバンド部を引っ張る必要があったが、バンドロック部の開口部からバンド本体を挿通できる構造の結束バンドはバンド本体を持ち替える必要が無く作業性が良い。
【0009】
また、締め付け時、自動的にバンドロック部の開口部が閉じ、バンドロック部が略筒状となる構造のため配線や配管を強固に固定ができる。
さらにバンド本体に設けた溝をバンド本体中心軸付近に配することにより溝とバンド本体の幅方向端までの距離を多く確保でき、すなわちバンドロック部の突起とバンド本体の幅方向端までの距離を多く確保でき、バンド本体がバンドロック部から外れようとする方向の荷重による変形等に対する余裕を確保することができ、安定的で強固に固定することができる。
【0010】
また、上記開口部からバンド細径部を挿通させることにより、バンドロック部の孔にバンド本体をバンド本体の先端から通す必要が無いので、バンド本体の先端を大きく形成し、締め付け作業時に指が滑りにくく力を加えやすい形状とすることができることから確実な固定ができる。
【0011】
また人手締結、自動機締結を1種類の製品で行えるため、製品の管理が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例に係る結束バンドの平面図である。
【図2】本発明の実施例に係る結束バンドの側面の断面図である。
【図3】本発明の実施例に係る結束バンドの底面図である。
【図4】本発明の実施例に係る結束バンドのバンドロック部を拡大した図である。
【図5】本発明の実施例に係る結束バンドの動作を示す図である。(正面図と平面図の一部を図示)
【図6】本発明の実施例に係る結束バンドの連結状態を示す正面図と断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
本結束バンドは可撓性を有する合成樹脂から成り、図1〜4に示すように、バンド本体(1)は長い帯状で、帯状の一端にはバンドロック部(2)を有し、帯状の他端には帯状の幅よりも狭いバンド細径部(6)を有する。さらにバンド細径部の端にはバンド本体(1)の幅より広い外形を有する握持部(7)が連設されている。
【0014】
バンド本体(1)は帯状の一面に長手方向に沿って列設された多数の歯(8)を有し、前記帯状の一面と背中あわせの他面には長手方向に伸びた溝(9)が形成されている。溝(9)は前記バンド細径部(6)側でバンド本体(1)の外縁に近い位置からバンド本体(1)の中心軸に向って傾斜を持って伸び、その後、該中心軸と平行になるように形成されている。
【0015】
バンドロック部(2)は略中央にバンド挿入孔(3)を有し、四方が壁で構成された略筒状を呈している。バンド本体(1)が連設される第一の壁である基部(50)と、該基部(50)から立設された2つの向かい合わせの側壁(第二の壁(51)、第三の壁(52))と、該側壁と略直角に配された第四の壁(53)からなり、前記第四の壁(53)には、前記バンド細径部(6)が通る程度に開口している開口部(4)を有している。開口部(4)はバンド挿入孔(3)まで通じている。
前記基部(50)と第二の壁(51)および第三の壁(52)との接続部分には、より可撓性を得られやすいように凹形状(12)を設けている。
また前記基部(50)はバンド挿入孔(3)側に頂点を有するように湾曲した湾曲部(54)を有している。
【0016】
前記第四の壁(53)におけるバンド挿入孔(3)側の面には、前記開口部(4)を挟んで両側に前記基部(50)方向に向って突出した突起(5)を有する。
【0017】
前記基部(50)におけるバンド挿入孔(3)側の面には、前記バンド本体(1)に設けられた歯(8)と係止する係止片(11)を有する。前記歯(8)と係止片(11)は、バンド本体(1)を引っ張る方向とは逆方向の力に対して動きを止めるラチェットの構造を有する。
【0018】
バンド細径部(6)の端には指で握持できる機能と同形状の他の結束バンドを連設できる機能をもった握持部(7)を有する。握持部(7)は結束バンドを連設するためにバンド本体の帯状幅と同じか僅かに大きい切欠きを有し、前記切り欠きの入口両側端に凸部を設け、一辺の一部が開放された輪を形成した。この輪をC輪部(10)と呼ぶこととする。
C輪部(10)に同形状の他の結束バンドを通し、同様に繰り返すことで結束バンドを連設することができる。(図6)
【0019】
握持部(7)の末端部は握った時、指が引っかかり易いようにバンド細径部(6)側の厚みよりもわずかに厚くしている。もちろん更に指が引っかかり易いように表面に凸凹などを設けても良い。
尚、バンド本体(1)をバンド挿入孔(3)に通すためには、バンド細径部(6)を開口部(4)から挿通させれば良く、握持部(7)をバンド挿入孔(3)に通す必要がないため、握持部(7)は上記形状に固定されることなく、自由な形状に形成することができる。
【0020】
使用時における動作に関して図5を使って説明する。
バンド本体(1)を電線または配管等の被結束物(100)に巻き付けるようにし、バンドロック部(2)の開口部(4)からバンド細径部(6)を挿通させバンド挿入孔(3)の所定位置にバンド本体(1)がセットされた後、被結束物(100)を結束する方向にバンド本体(1)を引っ張る動作をすることで、突起(5)が前記バンド本体(1)の溝(9)と嵌合する。(図4−▲1▼〜▲2▼の状態)
【0021】
さらにバンド本体(1)を引っ張ることにより突起(5)が溝(9)に案内されるように、バンド本体(1)の中心軸方向に移動する。バンドロック部(2)の周壁は、突起(5)を有する第四の壁(53)と、それが接続されている第二の壁(51)および第三の壁(52)と基部(51)から構成され、第二の壁(51)および第三の壁(52)と基部(50)の接続部が可撓性を持っているので前記突起(5)の動きに追従し、中心軸方向に移動することで開口部(4)が閉じる動作をする。(図4−▲3▼の状態)
【0022】
開口部(4)が閉じた後、バンド本体(1)をさらに引っ張ると、バンド本体(1)に設けられた歯(8)と基部のバンド挿入孔(3)側に設けられた係止片(11)が係合し、被結束物を結束する。この時、基部(50)は非結束物(100)と接し、基部(50)に連設されたバンド本体(1)が引っ張られることにより、基部(50)の前記湾曲部(54)が平らになろうとするため、基部(50)に連設する第二の壁(51)と第三の壁(52)が連動しバンドロック部(2)の開口部(5)を閉じる方向に補助的に力が加わり、より強固に開口部(5)を閉じることができる。(図4−▲4▼の状態)
【符号の説明】
【0023】
1 バンド本体
2 バンドロック部
3 バンド挿入孔
4 開口部
5 突起
6 バンド細径部
7 握持部
8 歯
9 溝
10 C輪部
11 係止片
12 凹形状
50 基部
51 第二の壁
52 第三の壁
53 第四の壁
54 湾曲部
100 被結束物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線や配管の外周に巻き付けられるバンド本体と、バンド挿入孔を有し該バンド挿入孔内に挿入された前記バンド本体を安定に保持するバンドロック部からなり、該バンドロック部は前記バンド挿入孔により略筒状を呈し、前記略筒状を構成する周壁の一部には前記バンド挿入孔へ前記バンド本体の挿通が可能な開口部が形成され、前記バンド本体には長手方向に溝が形成され、前記開口部付近に設けられ前記バンド挿入孔側に突出した突起部と前記溝が嵌合する結束バンドにおいて、前記バンド本体が前記バンド挿入孔に挿通され、結束動作をすることにより、前記突起部が前記溝に案内され、前記突起部と連設している前記開口部を有する周壁が閉じる方向に動作し前記バンドロック部が閉じた筒状を形成することを特徴とする結束バンド。
【請求項2】
前記開口部を有する壁に略直交し立設する向かいあう2つの側壁と該側壁を連結する壁である基部を有し、前記側壁と前記基部が接続される角部に可撓性を持たせるための形状を設けたことを特徴とする請求項1記載の結束バンド。
【請求項3】
前記バンド本体には前記開口部の幅より狭く、前記バンドロック部の前記バンド挿入孔の貫通方向厚みよりも長い部分を有することを特徴とする請求項1乃至請求項2記載の結束バンド。
【請求項4】
前記バンドロック部に連設して成る上記バンド本体の一端には、内径が前記バンド本体の幅より僅かに大きい略Cの字形状の切込みを有し、該切込みの非連結部分の幅が前記バンド本体の幅より狭く、該切込みに同形状の他の結束バンドのバンド本体部分を通すことを可能としたことを特徴とする請求項1乃至3記載の結束バンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−104552(P2013−104552A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−265244(P2011−265244)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000226507)株式会社ニックス (96)
【Fターム(参考)】