説明

給油所システム

【課題】POS端末が故障した場合でも、自動的に給油を続行することができ、POS端末が復旧した際にデータを容易に復帰させることが可能な給油所システムを提供する。
【解決手段】給油装置10からの給油要求信号を受信して給油許可信号を出力すると共に、給油装置から受信した給油データに基づいて精算処理及び売上げ管理を行うPOS端末60と、POS端末と、給油装置及び油面計42を含む下位機器40とに接続された集中監視装置70とで構成され、POS端末が給油装置からの給油要求信号を受信することができないときに、集中監視装置が給油装置による給油に必要な作業を遂行し、給油装置の給油データを記憶手段に記憶する給油所システム。POS端末の復帰後、集中監視装置で記憶された給油データをPOS端末へ送信することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、POS端末が故障した場合でも自動的に給油を続行することなどが可能な給油所システムに関する。
【背景技術】
【0002】
給油所に設置された給油装置より供給された給油量は、通信回線を介してPOS端末(給油所用販売装置)へ送信され、データ処理を行って精算処理や売上げ管理を行っている。そのためPOS端末が故障すると、POS端末での精算処理が不可能となり、精算業務を手作業に頼らなければならないという問題がある。
【0003】
そこで、本出願人は、特許文献1において、屋内用の販売データ入出力装置が故障した場合でも、屋外用の装置で単独で給油機の制御や、販売データの記憶等を行うことができ、管理業務に支障を来さないようにした給油所用販売データ管理装置を提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭59−52369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記給油所用販売データ管理装置は、屋内用の販売データ入出力装置が故障した場合に有効に機能するが、故障時に屋外用販売データ入出力装置の記憶部を取り外して屋内用販売データ入出力装置に移し替える必要があるため、作業が煩わしいという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記特許文献1に記載のデータ管理装置における問題点に鑑みてなされたものであって、POS端末が故障した場合でも、自動的に給油を続行することができ、POS端末が復旧した際にデータを容易に復帰させることが可能な給油所システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、給油所システムであって、給油装置からの給油要求信号を受信して給油許可信号を出力すると共に、該給油装置から受信した給油データに基づいて精算処理及び売上げ管理を行うPOS端末と、該POS端末と、前記給油装置及び油面計を含む下位機器とに接続された集中監視装置とで構成され、前記POS端末が前記給油装置からの給油要求信号を受信することができないときに、前記集中監視装置が前記給油装置による給油に必要な作業を遂行し、該給油装置の給油データを記憶手段に記憶することを特徴とする。
【0008】
そして、本発明によれば、POS端末が給油装置からの給油要求信号を受信することができないときに、集中監視装置が給油装置による給油に必要な作業を遂行し、給油装置の給油データを記憶手段に記憶するため、POS端末が故障した場合でも、給油作業に支障を来すことなく、給油所システムを継続して運転することができる。
【0009】
上記給油所システムにおいて、前記POS端末の復帰後、前記集中監視装置で記憶された給油データを前記POS端末へ送信することができる。これによって、給油データが途切れることなく、継続して管理することができる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、POS端末が故障した場合でも、自動的に給油を続行することができ、POS端末が復旧した際にデータを容易に復帰させることが可能な給油所システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明にかかる給油所システムの一実施の形態を示す全体構成図である。
【図2】図1に示す給油所システムの各機器の機能ブロック図である。
【図3】図1に示す給油所システムのPOS端末が故障した場合に、POS機能を集中監視装置に切り換える動作を示すフローチャートである。
【図4】図1に示す給油所システムの故障したPOS端末を復帰させる動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明にかかる給油所システムの第1の改変例を示す全体構成図である。
【図6】本発明にかかる給油所システムの第2の改変例を示す全体構成図である。
【図7】本発明にかかる給油所システムの第3の改変例を示す全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明にかかる給油所システム1の一実施の形態を示し、この給油所システム1は、大別して、給油所に設置される給油装置10(10A〜10C)と、液量管理装置40とからなる各給油所機器と、POS端末60と、地下タンク20(20A〜20C)とを集中監視するため、各給油所機器とPOS端末60との間に配置され、両者とデータ送受信可能に接続される集中監視装置70と、集中監視装置70とインターネット等のネットワークを介して接続される集中監視サーバ(以下、「サーバ」と略称する)80とで構成される。
【0014】
図1及び図2に示すように、給油装置10は、燃料油を供給するため、給油ノズルの掛け外しを検出するノズルスイッチ12と、給油量を計数するための流量計に設けられパルス発振器13と、油漏れを検出するピットリークセンサ14等からの信号に基づいて、給油ポンプ15や表示器16等を制御するとともに、給油情報を記憶したり点検報知等の制御を行う給油装置制御装置11等で構成される。
【0015】
上記給油装置制御装置11は、パルス発振器13からの流量パルスを計数することで得られる給油量、ノズルスイッチ12のオン・オフを計数することで得られる給油回数等の機器稼働に関する情報を記憶する給油情報記憶手段と、給油機構等を制御するための給油制御プログラム等で構成される。
【0016】
液量管理装置40は、燃料油を貯留する地下タンク20の液面を検知する油面計42(42A〜42C)と、燃料油の温度を検知する温度センサ43と、検知データ等を表示するための表示器44と、これらを制御するとともに、地下タンク20の仕様、液量、変化量を記憶したり、漏れ状況を検知する制御を行う液量管理制御装置41とで構成される。
【0017】
上記液量管理制御装置41は、地下タンク20の油種及び量を記憶するタンク情報記憶手段と、地下タンク20における漏れの発生を報知する点検報知手段と、地下タンク20毎のタンク仕様を記憶するタンクテーブルと、油面計42からの液位信号をタンクテーブルに基づいて液量に変換する液位−液量変換手段と、液量制御のための液量制御プログラムとで構成される。
【0018】
POS端末60は、クレジットカード等を読み取るカードリーダ62と、データ入力のためのキーボード63と、伝票を印字するプリンタ64と、入力データ等を表示するための表示器65と、これらを制御するPOS制御装置61とで構成され、給油装置10からの給油要求信号を受信して給油許可信号を出力すると共に、給油装置10から受信した給油データに基づいて精算処理及び売上げ管理を行う。
【0019】
上記POS制御装置61は、売上げデータ、タンク残量等の機器状況に関する情報を記憶するPOS情報記憶手段と、各部を制御するためのPOS制御プログラムとを有する。
【0020】
集中監視装置70は、データを記憶するデータ記憶部と、給油装置10、液量管理装置40を含む下位機器に接続されると共に、POS端末60及びサーバ80とデータ通信可能に接続される通信制御部とで構成され、POS端末60が給油装置10からの給油要求信号を受信することができないときに、給油装置10による給油に必要な作業を遂行し、給油装置10の給油データをデータ記憶部に記憶する。
【0021】
サーバ80は、集中監視装置70とデータ送受信可能に接続される通信制御部と、日付及び日時管理を行うためのカレンダー部と、在庫管理情報等の報告書を作成する帳票作成部と、給油装置10の販売量を油種毎に集計して各情報を閲覧可能に表示する集計・表示部とで構成される。
【0022】
次に、上記構成を有する給油所システム1において、POS端末60が故障した場合に、POS機能を集中監視装置70に切り換える動作について、図3を参照しながら説明する。
【0023】
ステップS1において、POS端末60は、正常動作時に、予め定められた給油装置10、液量管理装置40等の下位機器の接続リストに従って、下位機器にポーリング信号POLを常時送信している。また、ステップS2において、集中監視装置70は、POS端末60からポーリング信号POLに基づいて、データ記憶部70aに記憶する下位機器の接続リストを自動作成する。POS端末60の正常動作時には、集中監視装置70は給油に関するデータは保存せず、データを中継するだけである。
【0024】
ステップS3において、すべての機器へのポーリング信号POLがt1時間(例えば10分間)停止したか否かを判断し、t1時間停止していない場合(ステップS3;No)には、ステップS2に戻って、集中監視装置70は、下位機器の接続リストを自動作成する。
【0025】
一方、すべての機器へのポーリング信号POLがt1時間停止した場合(ステップS3;Yes)には、ステップS4において、POS端末60が故障したと判断し、集中監視装置70は、上位機機であるPOS端末60からの受信を無視して、データ記憶部70aに作成した下位機器の接続リストを読み出してPOS端末60に代わってポーリング信号POLを送信する。
【0026】
次に、ステップS5において、集中監視装置70は、すべての給油装置10から転送が終了したことを示す転送終了信号EOTを受信したか否かを判断し、すべての給油装置10からの転送終了信号EOTを受信しなければ(ステップS5;No)、受信するまで待機し、すべての給油装置10からの転送終了信号EOTを受信すると(ステップS5;Yes)、ステップS6において、いずれかの給油装置10から「ノズル外れ」信号を受信したか否かを判断する。
【0027】
いずれかの給油装置10から「ノズル外れ」信号を受信しなければ(ステップS6;No)、受信するまで待機し、いずれかの給油装置10から「ノズル外れ」信号を受信した場合には、ステップS7において、その給油装置10に給油許可信号を送信する。
【0028】
次に、ステップS8において、給油装置10からの「給油終了」信号が送信されるまで待機し、「給油終了」信号を受信した場合には、ステップS9において、その「給油終了」信号を保存すると共に、積算計にデータ要求信号を送信し、その応答を保存し、ステップS4に戻る。
【0029】
次に、POS端末60を復帰させる動作について、図4を参照しながら説明する。
【0030】
ステップS11において、集中監視装置70のメカニカルスイッチをメンテナンスモードに切り換え、ステップS12において、POS端末60のメカニカルスイッチをメンテナンスモードに切り換えた後、再立上げする。
【0031】
次に、ステップS13において、給油装置10の給油データと、積算データと、油面計の在庫データをPOS端末60に送信する。給油データは、表1〜3に示すように、給油毎の給油データに加え、1日に1回の積算計データ及び油面計の在庫データである。
【0032】
【表1】

【0033】
【表2】

【0034】
【表3】

【0035】
さらに、ステップS14において、POS端末60及び集中監視装置70のメカニカルスイッチを通常モードに戻し、ステップS15において、集中監視装置70の電源を再投入してPOS端末60の復帰動作が終了する。
【0036】
次に、本発明にかかる給油所システムの他の構成例(改変例)について、図5〜図7を参照しながら説明する。
【0037】
図5に示す第1の改変例は、集中監視装置70に、POS端末60と、セルフ給油を行う際に用いられるSSC(セルフサービスコンソール)90とを一体に組み込んだものである。尚、SSC90をPOS端末60に一体化することもできる。
【0038】
図6に示す第2の改変例は、集中監視装置70に、給油所でローリーの運転者が単独で荷卸しを行うために使用するDCDユニット100を一体に組み込んだものである。DCDユニット100は、単独荷卸しに必要な地下タンクの在庫量や、油種等の各データからデジタル油面計から通信ユニットを介してローリー車の車載コンピュータへ伝送し、安全、確実に荷卸しを行うシステムである。
【0039】
図7に示す第3の改変例は、集中監視装置70に、POS端末60、SSC90及びDCDユニット100のすべてを一体に組み込んだものである。
【0040】
近年、POS端末60の配下にメーカー独自の仲介装置を設置するケースが増えているため配線工事が複雑で結線ミス等の問題が発生すると共に、個々の装置の設置スペースの確保も困難になっていることから、上記図5〜図7に示した構成により、これらの装置を集約して1台にまとめることで、設置工事を容易に行うことができ、省スペースを図ることもできる。
【符号の説明】
【0041】
1 給油所システム
10(10A〜10C) 給油装置
11 給油装置制御装置
12 ノズルスイッチ
13 パルス発振器
14 ピットリークセンサ
15 給油ポンプ
16 表示器
20(20A〜20C) 地下タンク
40 液量管理装置
41 液量管理制御装置
42(42A〜42C) 油面計
43 温度センサ
44 表示器
60 POS端末
61 POS制御装置
62 カードリーダ
63 キーボード
64 プリンタ
65 表示器
70 集中監視装置
80 集中監視サーバ
90 SSC
100 DCDユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給油装置からの給油要求信号を受信して給油許可信号を出力すると共に、該給油装置から受信した給油データに基づいて精算処理及び売上げ管理を行うPOS端末と、
該POS端末と、前記給油装置及び油面計を含む下位機器とに接続された集中監視装置とで構成され、
前記POS端末が前記給油装置からの給油要求信号を受信することができないときに、前記集中監視装置が前記給油装置による給油に必要な作業を遂行し、該給油装置の給油データを記憶手段に記憶することを特徴とする給油所システム。
【請求項2】
前記POS端末の復帰後、前記集中監視装置で記憶された給油データを前記POS端末へ送信することを特徴とする請求項1に記載の給油所システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−45117(P2013−45117A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180091(P2011−180091)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000151346)株式会社タツノ (167)
【Fターム(参考)】