説明

給電装置

【課題】盗難車の発見を容易にするとともに、盗難抑制効果を高めること。
【解決手段】
車両10に対し車両10の外部から電気エネルギを供給する給電装置20において、PLC部202は、車両10に記憶された車両10の固有情報(車両固有情報)を車両10から取得し、サーバ通信部203は、車両固有情報と盗難車情報とを照合するサーバ30から照合結果を取得し、制御部206は、車両固有情報が盗難車情報に一致しない場合、電力出力部204から車両10へ電気エネルギを供給させる一方で、車両固有情報が盗難車情報に一致する場合、車両10に備えられた蓄電池106に蓄積された電気エネルギを蓄電池106から放電させて電力消費部207に消費させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池を備える車両にその車両の外部から電気エネルギを供給する給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の給電装置としては、電力線を介して車両の固有情報を受信し、固有情報と盗難車情報とを照合し、固有情報と盗難車情報とが一致する場合に車両への給電を停止するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−134566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の給電装置(特許文献1)のように盗難車への給電を停止しても、盗難車の蓄電池に十分な電気エネルギが蓄積されている場合には、その盗難車は相当な距離走行可能であるため、上記従来の給電装置を用いても、盗難車の発見が困難になるおそれがあり、盗難抑制効果が不十分である。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、盗難車の発見を容易にするとともに、盗難抑制効果を高めることができる給電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の給電装置は、車両に対し前記車両の外部から電気エネルギを供給する給電装置であって、電気エネルギの供給源である電力出力部と、電気エネルギを受け入れる受入部と、前記車両と通信し、前記車両に記憶された前記車両を一意に特定する固有情報を前記車両から取得する第1通信部と、前記固有情報と盗難車情報とを照合するサーバと通信し、照合結果を前記サーバから取得する第2通信部と、前記照合結果において前記固有情報が前記盗難車情報に一致しない場合、前記電力出力部から前記車両へ電気エネルギを供給させる一方で、前記照合結果において前記固有情報が前記盗難車情報に一致する場合、前記車両に備えられた蓄電池に蓄積された電気エネルギを前記蓄電池から放電させて前記受入部に受け入れさせる制御部と、を具備する構成を採る。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、盗難車の発見を容易にするとともに、盗難抑制効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1に係る給電装置および車両用電源装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態1に係る充放電処理の処理フロー図
【図3】本発明の実施の形態2に係る給電装置および車両用電源装置の構成を示すブロック図
【図4】本発明の実施の形態2に係る充放電処理の処理フロー図
【図5】本発明の実施の形態3に係る給電装置および車両用電源装置の構成を示すブロック図
【図6】本発明の実施の形態3に係る充放電処理の処理フロー図
【図7】本発明の実施の形態4に係る給電装置および車両用電源装置の構成を示すブロック図
【図8】本発明の実施の形態4に係る充電の様子を示すグラフ
【図9】本発明の実施の形態4に係る画像表示例
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0010】
(実施の形態1)
図1に示すように、給電装置20は、サーバ30に接続されている。サーバ30は、複数の盗難車の各盗難車情報を盗難車データベースとして記憶する。また、給電装置20は、車両10に対しその車両10の外部から電気エネルギを供給する。また、給電装置20は、車両10に対して電力供給線を用いて電気エネルギを供給する。
【0011】
給電装置20は、図1に示すように、給電プラグ201、PLC(Power Line Communications)部202、サーバ通信部203、電力出力部204、切替スイッチ205、制御部206、および、電力消費部207を備える。
【0012】
また、給電装置20は、切替スイッチ205、PLC部202および給電プラグ201を介して、電力出力部204から車両10へ電気エネルギを供給するとともに、車両10が備える蓄電池106から放電された電気エネルギ(放電エネルギ)を電力消費部207を用いて消費する。
【0013】
PLC部202は、給電プラグ201および蓋部101を介して車両10のPLC部102と電力供給線を介して電力線通信を行い、車両10を一意に特定する固有情報(車両固有情報)を車両10から取得して制御部206に出力するとともに、制御部206によって生成された充放電開始信号を車両10へ送信する。車両固有情報は、制御部206を介してサーバ通信部203に入力される。
【0014】
サーバ通信部203は、サーバ30と通信を行い、車両固有情報をサーバ30へ送信する。また、サーバ通信部203は、サーバ30での照合結果を取得して制御部206に出力する。
【0015】
サーバ30は、サーバ通信部203から受信した車両固有情報と、盗難車データベースの各盗難車情報を照合し、その車両固有情報がいずれかの盗難車情報に一致するか否かの照合結果をサーバ通信部203に送信する。照合結果は、サーバ通信部203を介して制御部206に入力される。
【0016】
ここで、車両固有情報および盗難車情報は、各車両を一意に特定できる情報であればよく、例えば、車台番号、車両の登録番号、または、特定の車両ID等である。
【0017】
電力出力部204は、車両10へ供給される電気エネルギの供給源(電源)である。給電装置20が一般家庭に設置されるものである場合は、電力出力部204は家庭用電源であり、例えば100〜240V程度の交流の電気エネルギを出力する。また、給電装置20が充電スタンドして設置されるものである場合は、電力出力部204は例えば400V程度の直流の電気エネルギを出力する。電力出力部204からの電気エネルギの出力制御(電気エネルギを出力するか否か)は、制御部206によって行われる。
【0018】
電力消費部207は、放電エネルギを受け入れて消費する。電力消費部207は、例えば大きなインピーダンスを持つ抵抗等である。このように、本実施の形態では、電力消費部207が放電エネルギの受け入れ先となる。
【0019】
制御部206は、サーバ通信部203から入力される照合結果に応じて、切替スイッチ205および電力出力部204を制御する。
【0020】
すなわち、制御部206は、車両固有情報がいずれの盗難車情報にも一致しない場合は、切替スイッチ205を電力出力部204側に接続して電力出力部204と給電プラグ201とをPLC部202を介して接続するとともに、電力出力部204から電気エネルギを出力させる。これにより、制御部206は、電力出力部204から、切替スイッチ205、PLC部202および給電プラグ201を介して、車両10へ電気エネルギを供給させる。一方で、車両固有情報がいずれかの盗難車情報に一致する場合は、制御部206は、切替スイッチ205を電力消費部207側に接続して給電プラグ201と電力消費部207とをPLC部202を介して接続するとともに、電力出力部204から電気エネルギを出力させない。これにより、制御部206は、放電エネルギを電力消費部207に受け入れさせて消費させる。
【0021】
一方、車両用電源装置100は、図1に示すように、車両10に搭載されるものである。また、車両用電源装置100は、蓋部101、PLC部102、充電器103、インバータ104、電動機105、蓄電池106、リレー107〜110、制御部111、および、記憶部112を備える。
【0022】
車両用電源装置100は、蓋部101に備えられた電極に車両10の外部から給電プラグ201を挿入されることにより、給電装置20から電気エネルギの供給を受けてこの電気エネルギを蓄電池106に蓄積することが可能になるとともに、放電エネルギを給電装置20へ伝送することが可能になる。また、車両用電源装置100は、蓋部101に備えられた電極に車両10の外部から給電プラグ201を挿入されることにより、給電装置20と電力線通信を行うことが可能となる。
【0023】
蓋部101は、車両10の利用者により脱着、または、開閉可能なものである。車両10の利用者は、車両10への充電を行いたい場合、蓋部101に車両10の外部から給電プラグ201を挿入する。蓋部101は電極を備えており、給電プラグ201を挿入されると給電プラグ201の電極と蓋部101の電極とが接触し、給電装置20から車両10への電気エネルギの供給、車両10から給電装置20への放電エネルギの伝送、および、給電装置20との電力線通信が可能となる。給電装置20から供給された電気エネルギは、PLC部102、充電器103およびリレー109,110を介して、蓄電池106に蓄積される。また、蓄電池106から出力される放電エネルギは、リレー109,110、充電器103、PLC部102および蓋部101を介して、給電装置20へ伝送される。
【0024】
PLC部102は、蓋部101および給電プラグ201を介して給電装置20のPLC部202と電力線通信を行い、充放電開始信号を給電装置20から取得して制御部111に出力するとともに、制御部111から入力される車両固有情報を給電装置20へ送信する。
【0025】
充電器103は、給電装置20から交流の電気エネルギが供給される場合は、この交流の電気エネルギを直流の電気エネルギに変換して出力する。一方、給電装置20から直流の電気エネルギが供給される場合は、充電器103は、この直流の電気エネルギをそのまま出力する。充電器103から出力された直流の電気エネルギは、リレー109,110を介して蓄電池106に蓄積される。
【0026】
また、充電器103は、給電装置20が交流の電気エネルギを供給するものである場合は、蓄電池106から出力される直流の放電エネルギを交流の放電エネルギに変換し、変換した放電エネルギをPLC部102および蓋部101を介して給電装置20に出力する。一方、給電装置20が直流の電気エネルギを供給するものである場合は、蓄電池106から出力される直流の放電エネルギをそのままPLC部102および蓋部101を介して給電装置20に出力する。
【0027】
電動機105のシャフトは車両10の駆動輪の車軸に連結され、車両10の運動エネルギを電気エネルギに変換して回生制動力を発生させる。電動機105は、電動機105に備えられたロータが外力(車両10の駆動輪の車軸の回転力)により回転させられると発電機となって電気エネルギを発生するため、車軸の回転による運動エネルギが電気エネルギに変換されると、車軸の回転に対する抵抗力である回生制動力が生じる。電動機105は、この電気エネルギをインバータ104に出力する。この電気エネルギは交流の電気エネルギである。
【0028】
インバータ104は、電動機105が出力する交流の電気エネルギを直流の電気エネルギに変換して出力する。変換された直流の電気エネルギは、リレー107〜110を介して蓄電池106に蓄積される。
【0029】
リレー107,108は、制御部111によってオンにされるとインバータ104とリレー109,110とを電気的に接続する一方、制御部111によってオフにされるとインバータ104とリレー109,110とを電気的に切断する。
【0030】
リレー109,110は、制御部111によってオンにされると、充電器103と蓄電池106とを電気的に接続し、また、リレー107,108と蓄電池106とを電気的に接続する。一方で、リレー109,110は、制御部111によってオフにされると、充電器103と蓄電池106とを電気的に切断し、また、リレー107,108と蓄電池106とを電気的に切断する。
【0031】
リレー107,109は蓄電池106の正極側に設けられ、リレー108,110は蓄電池106の負極側に設けられる。
【0032】
蓄電池106は、充電器103が出力する直流の電気エネルギ、および、インバータ104が出力する直流の電気エネルギを蓄積する。また、蓄電池106は、蓄積された電気エネルギを放電することもできる。蓄電池106には、エネルギ密度の高い二次電池(例えば、ニッケル水素充電池、リチウムイオン充電池等)、または、高容量のキャパシタを用いることができる。
【0033】
記憶部112は、車両固有情報を記憶する。
【0034】
制御部111は、記憶部112に記憶された車両固有情報を取得し、取得した車両固有情報をPLC部102から給電装置20へ送信させる。
【0035】
また、制御部111は、蓄電池106の充電率(SOC:State of Charge)を監視する。
【0036】
また、制御部111は、リレー107〜110のオン−オフ制御を行う。制御部111は、車両10が走行可能な状態にあるときは、リレー107〜110のすべてをオンにする。また、制御部111は、車両10が走行不能な状態にあり、かつ、PLC部102から充放電開始信号を入力されない場合は、リレー107〜110のすべてをオフにする。また、制御部111は、車両10が走行不能な状態にあり、かつ、PLC部102から充放電開始信号を入力された場合は、リレー107,108をオフにする一方で、リレー109,110をオンにする。
【0037】
次いで、図2を用いて、本実施の形態に係る充放電処理の処理フローについて説明する。
【0038】
図2に示す充放電処理のスタート時には、蓋部101に備えられた電極に給電プラグ201が挿入されて、給電プラグ201の電極と蓋部101の電極とが接触した状態にある。つまり、給電装置20のPLC部202と車両10のPLC部102とが通信可能な状態にある。また、車両10が走行不能な状態にあり、リレー107〜110のすべてが制御部111によってオフにされている。
【0039】
まず、図2のS401において、給電装置20の制御部206が車両10に対して車両固有情報の要求を行う。制御部206は車両固有情報要求を生成し、PLC部202は車両固有情報要求を車両10へ送信する。
【0040】
S301では、車両10のPLC部102が、車両固有情報要求の受信を待つ(S301:NO)。PLC部102は、車両固有情報要求を受信すると(S301:YES)、受信した車両固有情報要求を制御部111に出力する。制御部111は、車両固有情報要求に応じて、記憶部112から車両固有情報を読み出し(S302)、PLC部102は車両固有情報を給電装置20へ送信する(S303)。
【0041】
S402では、給電装置20のPLC部202が、車両固有情報の受信を待つ(S402:NO)。PLC部202は、車両固有情報を受信すると(S402:YES)、受信した車両固有情報を制御部206に出力する。車両固有情報は、制御部206を介してサーバ通信部203に入力される。サーバ通信部203は、サーバ30と通信を行い、車両固有情報をサーバ30へ送信する。サーバ30は、サーバ通信部203から受信した車両固有情報と、盗難車データベースの各盗難車情報とを照合し、照合結果をサーバ通信部203に送信する。照合結果は、サーバ通信部203を介して制御部206に入力される。
【0042】
S403では、給電装置20の制御部206が、サーバ通信部203から入力される照合結果を判断する。
【0043】
制御部206は、車両固有情報がいずれの盗難車情報にも一致しない場合、すなわち、給電装置20に接続された車両10が盗難車でない場合は(S403:NO)、切替スイッチ205を電力出力部204側に接続して電力出力部204と給電プラグ201とをPLC部202を介して接続するとともに、電力出力部204から電気エネルギを出力させる(S404)。一方、車両固有情報がいずれかの盗難車情報に一致する場合、すなわち、給電装置20に接続された車両10が盗難車である場合は(S403:YES)、制御部206は、切替スイッチ205を電力消費部207側に接続して給電プラグ201と電力消費部207とをPLC部202を介して接続するとともに、電力出力部204から電気エネルギを出力させない(S405)。
【0044】
制御部206は、S404またはS405の処理の後、充放電開始信号を生成し、PLC部202は充放電開始信号を車両10へ送信する(S406)。
【0045】
S304では、車両10のPLC部102が、充放電開始信号の受信を待つ(S304:NO)。PLC部102は、充放電開始信号を受信すると(S304:YES)、受信した充放電開始信号を制御部111に出力する。制御部111は、充放電開始信号に応じて、リレー109,110をオンにする(S305)。
【0046】
以上の処理により、給電装置20に接続された車両10が盗難車でない場合は(S403:NO)、給電装置20の電力出力部204から車両10へ電気エネルギが供給され、供給された電気エネルギは車両10の蓄電池106に蓄積されて蓄電池106が充電される(S407)。一方、給電装置20に接続された車両10が盗難車である場合は(S403:YES)、車両10の蓄電池106から電気エネルギが放電され、蓄電池106から出力された放電エネルギは給電装置20の電力消費部207によって受け入れられて消費される(S408)。
【0047】
S306では、車両10の制御部111が蓄電池106の充電率を監視して、充電または放電の完了を待つ(S306:NO)。制御部111は、蓄電池106への充電が行われて充電率が上限の閾値に達したとき、または、蓄電池106からの放電が行われて充電率が下限の閾値に達したときに、充電または放電が完了したと判断し(S306:YES)、充放電完了信号を生成するとともに、リレー109,110をオフにする。PLC部102は、充放電完了信号を給電装置20へ送信する(S307)。
【0048】
ここで、充電率の下限の閾値は、車両10の走行が不可能となる充電率、または、車両10が僅かの距離しか走行できない充電率に設定される。これにより、車両10は、蓄電池106からの放電により、走行不可能、または、僅かの距離しか走行できなくなる。
【0049】
なお、充電率の上限の閾値は、満充電により蓄電池106が劣化してしまわないように、100%より小さい値に設定されてもよい。また、充電率の下限の閾値は、完全放電により蓄電池106が劣化して再利用ができなくなってしまわないように、0%より大きい値に設定されてもよい。
【0050】
S409では、給電装置20のPLC部202が、充放電完了信号の受信を待つ。充放電完了信号がPLC部202によって受信されず、充放電完了信号がPLC部202から制御部206に入力されない間は(S409:NO)、S407またはS408の処理が続行される。一方で、充放電完了信号がPLC部202によって受信され、充放電完了信号がPLC部202から制御部206に入力された場合は(S409:YES)、制御部206は、S407またはS408の処理を終了する。すなわち、制御部206は、S407の処理を行っている間に充放電完了信号を入力された場合は、電力出力部204からの電気エネルギの出力を停止させるとともに、切替スイッチ205を、電力出力部204および電力消費部207のいずれにも接続されない状態にする。また、制御部206は、S408の処理を行っている間に充放電完了信号を入力された場合は、切替スイッチ205を、電力出力部204および電力消費部207のいずれにも接続されない状態にする。
【0051】
このように、本実施の形態によれば、車両10が盗難車である場合は、車両10の蓄電池106から放電させて、蓄電池106の充電率を車両10の走行が不可能となる充電率、または、車両10が僅かの距離しか走行できない充電率まで減少させるため、盗難車は、給電装置20からの走行が不可能、または、給電装置20から僅かの距離しか走行できなくなる。よって、本実施の形態によれば、盗難車の発見を容易にすることができる。また、本実施の形態に係る給電装置20が設置されたことが周知されることにより、盗難抑制効果を高めることができる。
【0052】
なお、上記S408において、制御部206は、さらに、電力消費部207が消費した放電エネルギの量を測定し、測定結果をサーバ通信部203に出力してもよい。この場合、サーバ通信部203は、測定結果を車両固有情報に付随させてサーバ30に送信し、車両固有情報と測定結果とを関連付けてサーバ30に記憶させる。これにより、盗難車である車両10が正規の保有者に返却された後、その保有者が給電装置20を利用して車両10への充電を行う場合に、給電装置20は、サーバ30に記憶された量の放電エネルギ、すなわち、盗難時に車両10から抜き取られた分の電気エネルギを、その保有者に返却することができる。
【0053】
(実施の形態2)
図3に示すように、本実施の形態では、放電エネルギの受け入れ先が、電力消費部207に代えて蓄電部208になる点が実施の形態1(図1)と相違する。なお、図3において図1(実施の形態1)と同一の構成には同一の符合を付し、説明を省略する。以下、実施の形態1との相違点についてのみ説明する。
【0054】
蓄電部208は、放電エネルギを受け入れて蓄積する。蓄電部208は、例えば蓄電池、または、キャパシタ等である。このように、本実施の形態では、蓄電部208が放電エネルギの受け入れ先となる。
【0055】
制御部206は、サーバ通信部203から入力される照合結果に応じて、切替スイッチ205および電力出力部204を制御する。
【0056】
すなわち、制御部206は、車両固有情報がいずれの盗難車情報にも一致しない場合は、切替スイッチ205を電力出力部204側に接続して電力出力部204と給電プラグ201とをPLC部202を介して接続するとともに、電力出力部204から電気エネルギを出力させる。これにより、制御部206は、電力出力部204から、切替スイッチ205、PLC部202および給電プラグ201を介して、車両10へ電気エネルギを供給させる。一方で、車両固有情報がいずれかの盗難車情報に一致する場合は、制御部206は、切替スイッチ205を蓄電部208側に接続して給電プラグ201と蓄電部208とをPLC部202を介して接続するとともに、電力出力部204から電気エネルギを出力させない。これにより、制御部206は、放電エネルギを蓄電部208に受け入れさせて蓄積させる。
【0057】
次いで、図4を用いて、本実施の形態に係る充放電処理の処理フローについて説明する。図4に示すように、本実施の形態では、S408に代えてS410の処理を含む点が実施の形態1(図2)と相違する。なお、図4において図2(実施の形態1)と同一の処理には同一の符合を付し、説明を省略する。以下、実施の形態1との相違点についてのみ説明する。
【0058】
給電装置20に接続された車両10が盗難車でない場合は(S403:NO)、給電装置20の電力出力部204から車両10へ電気エネルギが供給され、供給された電気エネルギは車両10の蓄電池106に蓄積されて蓄電池106が充電される(S407)。一方、給電装置20に接続された車両10が盗難車である場合は(S403:YES)、車両10の蓄電池106から電気エネルギが放電され、蓄電池106から出力された放電エネルギは給電装置20の蓄電部208によって受け入れられて蓄積される(S410)。
【0059】
このように、本実施の形態では、放電エネルギを蓄積する蓄電部208を備えるため、蓄積した放電エネルギを再利用することができる。
【0060】
なお、上記S410において、制御部206は、さらに、車両10から蓄電部208に蓄積された放電エネルギの量を測定し、測定結果をサーバ通信部203に出力してもよい。この場合、サーバ通信部203は、測定結果を車両固有情報に付随させてサーバ30に送信し、車両固有情報と測定結果とを関連付けてサーバ30に記憶させる。これにより、盗難車である車両10が正規の保有者に返却された後、その保有者が給電装置20を利用して車両10への充電を行う場合に、給電装置20は、サーバ30に記憶された量の放電エネルギ、すなわち、盗難時に車両10から抜き取られた分の電気エネルギを、その保有者に返却することができる。
【0061】
(実施の形態3)
図5に示すように、本実施の形態は、実施の形態1と実施の形態2とを組み合わせたものである。なお、図5において図1(実施の形態1)または図3(実施の形態2)と同一の構成には同一の符合を付し、説明を省略する。以下、実施の形態1および実施の形態2との相違点についてのみ説明する。
【0062】
制御部206は、車両固有情報がいずれかの盗難車情報に一致する場合は、切替スイッチ205を切替スイッチ209側に接続して給電プラグ201と切替スイッチ209とをPLC部202を介して接続するとともに、電力出力部204から電気エネルギを出力させない。
【0063】
また、制御部206は、蓄電部208の充電率を監視し、充電率に応じて、切替スイッチ209を、電力消費部207側または蓄電部208側のいずれか一方に接続する。
【0064】
次いで、図6を用いて、本実施の形態に係る充放電処理の処理フローについて説明する。図6に示すように、本実施の形態では、S602の処理を新たに含み、S405に代えてS601の処理を含む点が実施の形態1(図2)および実施の形態2(図4)と相違する。なお、図6において図2(実施の形態1)または図4(実施の形態2)と同一の処理には同一の符合を付し、説明を省略する。以下、実施の形態1および実施の形態2との相違点についてのみ説明する。
【0065】
切替スイッチ205が切替スイッチ209側に接続された状態で(S601)、制御部206は、蓄電部208への充電が可能か否か判断する(S602)。
【0066】
制御部206は、蓄電部208の充電率が閾値未満であるときは、蓄電部208への充電が可能であると判断し(S602:YES)、切替スイッチ209を蓄電部208側に接続する。これにより、制御部206は、放電エネルギを蓄電部208に受け入れさせて蓄積させる(S410)。
【0067】
一方で、制御部206は、蓄電部208の充電率が閾値以上であるときは、蓄電部208への充電が可能でないと判断し(S602:NO)、切替スイッチ209を電力消費部207側に接続する。これにより、制御部206は、放電エネルギを電力消費部207に受け入れさせて消費させる(S408)。
【0068】
ここで、蓄電部208の充電率の閾値は、蓄電部208の満充電に相当する充電率に設定される。
【0069】
つまり、本実施の形態では、制御部206は、蓄電部208の充電率が閾値未満のときは放電エネルギを蓄電部208に受け入れさせて蓄積させ、蓄電部208の充電率が閾値以上のときは放電エネルギを電力消費部207に受け入れさせて消費させる。
【0070】
このように、本実施の形態では、蓄電部208の充電率に応じて放電エネルギの受け入れ先を電力消費部207または蓄電部208に決定する。これにより、蓄電部208にて蓄積した放電エネルギを再利用することができるとともに、蓄電部208に放電エネルギを充電できない場合でも、電力消費部207を備えるため、車両10が有する蓄電池106からの放電を継続させることができる。よって、放電エネルギの再利用性を高めつつ盗難車の発見を容易にすることができる。
【0071】
(実施の形態4)
図7に示すように、本実施の形態では、給電装置20が表示部210をさらに備え、車両10が表示部113をさらに備える点が実施の形態1(図1)と相違する。なお、図7において図1(実施の形態1)と同一の構成には同一の符合を付し、説明を省略する。以下、実施の形態1との相違点についてのみ説明する。
【0072】
車両10の蓄電池106の放電時には、蓄電池106の充電率は、例えば図8に示すように、時間の経過とともに徐々に減少する。ここで、盗難車の犯人が給電装置20によって車両10に充電しようと意図しているのに反し、給電装置20によって車両10から電気エネルギが抜き取られていることがその犯人に気付かれてしまうと、放電完了前に犯人が車両10を走行させて逃亡してしまうおそれがある。
【0073】
そこで、本実施の形態では、給電装置20の制御部206は、車両固有情報がいずれかの盗難車情報に一致する場合は、蓄電池106の充電率が減少しているにもかかわらず、図9に示すような、電気エネルギが車両10の蓄電池106に時間の経過とともに徐々に蓄積されて、蓄電池106の充電率が時間の経過とともに徐々に増加するように見せ掛ける画像、すなわち、電気エネルギが車両10の蓄電池106に蓄積されている旨の疑似画像を表示部210に表示させる。さらに、制御部206は、PLC部202、給電プラグ201、蓋部101、PLC部102および制御部111を介して、図9に示す疑似画像を車両10の表示部113に表示させてもよい。
【0074】
なお、給電装置20および車両10は、疑似画像を表示する上記表示部に代えて、疑似音声を出力する音声出力部を備えてもよい。すなわち、制御部206は、車両固有情報がいずれかの盗難車情報に一致する場合は、蓄電池106の充電率が減少しているにもかかわらず、蓄電池106の充電率が時間の経過とともに徐々に増加する旨を伝える音声、すなわち、電気エネルギが蓄電池106に蓄積されている旨の疑似音声を音声出力部に出力させてもよい。
【0075】
つまり、本実施の形態では、制御部206は、車両固有情報がいずれかの盗難車情報に一致する場合、蓄電池106の充電率が減少しているにもかかわらず、上記疑似画像または上記疑似音声により、電気エネルギが蓄電池106に蓄積されている旨の疑似報知を行う。
【0076】
このように、車両10から電気エネルギが抜き取られているにもかかわらず図9に示すような疑似報知を行うことにより、盗難車の犯人に、車両10への充電が行われていると思い込ますことができる。よって、本実施の形態によれば、放電途中での車両10を用いて犯人が給電装置20から逃亡することを防ぐことができる。
【0077】
また、盗難車の犯人は、図9に示すような疑似報知を受けることにより、車両10への充電が行われていると思い込むため、給電装置20付近での犯人の滞在時間を長くすることができる。よって、本実施の形態によれば、犯人逮捕の確率を高めることができる。
【0078】
なお、制御部206は、上記疑似報知を行うときに、蓄電池106に蓄積された電気エネルギを蓄電池106から放電させている旨を、サーバ通信部203を介してサーバ30に報知してもよい。このようにして、蓄電池106から電気エネルギを放電させている旨をサーバ30に報知することにより、盗難車の犯人が車両10への充電が行われていると思い込んでいる間に、盗難車に関する情報を然るべき機関(例えば、警察)に報知可能となる。
【0079】
なお、本実施の形態と実施の形態2または実施の形態3とを組み合わせて実施することも可能である。
【0080】
以上、本発明の実施の形態について説明した。
【0081】
なお、上記実施の形態では、安全性を高めるために、リレー107〜110を蓄電池106の正極側と蓄電池106の負極側の双方に備える構成を説明したが、リレーを蓄電池106の正極側または負極側のいずれか一方にのみ備えてもよい。蓄電池106の充電または放電を止めるためには、蓄電池106の正極側または負極側のいずれか一方を電気的に切断すれば足りるからである。
【0082】
また、給電装置20と車両10との間の電気エネルギの受け渡しは、電磁誘導を用いた非接触充電によって行ってもよい。すなわち、給電装置20は、車両10に対して電磁誘導により車両10と非接触で電気エネルギを供給するものであってもよい。この場合、給電プラグ201および蓋部101は不要になるとともに、PLC部202およびPLC部102を無線による近距離通信が可能な通信部に代えればよい。
【0083】
また、上記実施の形態では、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明はハードウェアとの連携においてソフトウェアでも実現することも可能である。
【0084】
また、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0085】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用してもよい。
【0086】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、蓄電池に蓄積された電気エネルギで駆動する車両に電気エネルギを供給する給電装置等に好適である。
【符号の説明】
【0088】
10 車両
20 給電装置
30 サーバ
201 給電プラグ
202 PLC部
203 サーバ通信部
204 電力出力部
205,209 切替スイッチ
206 制御部
207 電力消費部
208 蓄電部
210 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に対し前記車両の外部から電気エネルギを供給する給電装置であって、
電気エネルギの供給源である電力出力部と、
電気エネルギを受け入れる受入部と、
前記車両と通信し、前記車両に記憶された前記車両を一意に特定する固有情報を前記車両から取得する第1通信部と、
前記固有情報と盗難車情報とを照合するサーバと通信し、照合結果を前記サーバから取得する第2通信部と、
前記照合結果において前記固有情報が前記盗難車情報に一致しない場合、前記電力出力部から前記車両へ電気エネルギを供給させる一方で、
前記照合結果において前記固有情報が前記盗難車情報に一致する場合、前記車両に備えられた蓄電池に蓄積された電気エネルギを前記蓄電池から放電させて前記受入部に受け入れさせる制御部と、
を具備する給電装置。
【請求項2】
前記給電装置は、前記車両に対して電力供給線を用いて電気エネルギを供給するものであり、
前記第1通信部は、前記車両と前記電力供給線を介して電力線通信を行う、
請求項1記載の給電装置。
【請求項3】
前記給電装置は、前記車両に対して電磁誘導により前記車両と非接触で電気エネルギを供給するものであり、
前記第1通信部は、前記車両と無線による近距離通信を行う、
請求項1記載の給電装置。
【請求項4】
前記受入部は、前記蓄電池から放電された放電エネルギを受け入れて消費し、
前記制御部は、前記固有情報が前記盗難車情報に一致する場合、前記放電エネルギを前記受入部に消費させる、
請求項1記載の給電装置。
【請求項5】
前記第2通信部は、前記受入部によって消費された前記放電エネルギの量を前記固有情報に付随させて前記サーバに記憶させる、
請求項4記載の給電装置。
【請求項6】
前記受入部は、前記蓄電池から放電された放電エネルギを受け入れて蓄積し、
前記制御部は、前記固有情報が前記盗難車情報に一致する場合、前記放電エネルギを前記受入部に蓄積させる、
請求項1記載の給電装置。
【請求項7】
前記第2通信部は、前記受入部に蓄積された前記放電エネルギの量を前記固有情報に付随させて前記サーバに記憶させる、
請求項6記載の給電装置。
【請求項8】
前記受入部は、
前記蓄電池から放電された放電エネルギを受け入れて消費する消費部と、
前記放電エネルギを受け入れて蓄積する蓄電部と、を具備し、
前記制御部は、
前記蓄電部の充電率が閾値未満のときは、前記放電エネルギを前記蓄電部に蓄積させ、
前記蓄電部の充電率が閾値以上のときは、前記放電エネルギを前記消費部に消費させる、
請求項1記載の給電装置。
【請求項9】
前記第2通信部は、前記蓄電部に蓄積された前記放電エネルギの量を前記固有情報に付随させて前記サーバに記憶させる、
請求項8記載の給電装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記固有情報が前記盗難車情報に一致する場合、電気エネルギが前記蓄電池に蓄積されている旨の疑似報知を行う、
請求項1記載の給電装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記疑似報知を行うときに、蓄電池に蓄積された電気エネルギを前記蓄電池から放電させている旨を前記サーバに報知する、
請求項10記載の給電装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−213297(P2012−213297A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78238(P2011−78238)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】