説明

絶縁ゲート電界効果トランジスタのモデル化方法および集積回路

【課題】絶縁ゲート電界効果トランジスタモデルにおいて内側フリンジ容量を適切にモデル化し、当該モデルを集積回路のシミュレーションに反映し、絶縁ゲート電界効果トランジスタを含む集積回路の設計に使用されるシミュレーション精度を向上する。
【解決手段】ゲート・ドレイン間およびゲート・ソース間の内側フリンジ容量に関する基板電荷Qbfおよびゲート電荷Qgfと、ゲート・ドレイン間の内側フリンジ容量に関わるドレイン電荷Qdfと、ゲート・ソース間の内側フリンジ容量に関わるソース電荷Qsfとを考慮し、QbfがQdfとQsfとQgfとに依存して定義され、さらに、Qgfのドレイン端子バイアスによる偏微分項とQdfのゲート端子バイアスによる偏微分項とが一致し、かつQgfのソース端子バイアスによる偏微分項とQsfのゲート端子バイアスによる偏微分項とが一致するように、QgfとQdfとQsfとQbfとを定式化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁ゲート電界効果トランジスタのモデル化方法と集積回路のシミュレーション方法および集積回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路を設計し、仕様どおりに動作させるためには、高精度な回路シミュレーション方法および回路シミュレーション装置が不可欠である。一般に回路シミュレーションでよく使用される絶縁ゲート電界効果トランジスタ(IGFET)のモデルとして、CMC(Compact Model Council)において、国際標準モデルに認定されているBSIM4(非特許文献1)、BSIM3(非特許文献2)、PSP(非特許文献3)がある。これらのモデルは、バイアス条件に応じてIGFETの電流や容量などの電気特性をシミュレートする。
【0003】
これらのIGFETモデルにおいては、ゲート・ドレイン間の容量特性(Cgd特性)は、特許文献1に記載のように、イントリンシック容量成分Cgd’と、オーバーラップ容量Cgdovとで表され、同様にゲート・ソース間の容量特性(Cgs特性)は、イントリンシック容量成分Cgs’と、オーバーラップ容量Cgsovとで表される。CgdovとCgsovには、バイアス依存のない外側フリンジ容量を含む。
【0004】
蓄積・空乏領域においてはイントリンシック容量成分Cgd’とCgs’はほとんどなくなり、Cgd特性はほぼCgdovのみで、Cgs特性はほぼCgsovのみでそれぞれ表される。
【0005】
従来のIGFETモデルでは、オーバーラップ容量のバイアス依存性は、ゲートオーバーラップ領域の空乏化によるものとしてモデル化されており、例えばBSIM4やBSIM3ではCgdovはゲート・ドレイン間バイアスVgd依存性を有し、Cgsovはゲート・ソース間バイアスVgs依存性を有する形でモデル化されている(以降Vxyはx端子バイアスとy端子バイアスとの差、すなわちVx−Vyを示すものとする)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−69629号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】“BSIM4.6.2 MOSFET Model User’s Manual”,<URL:http://www-device.eecs.berkeley.edu/~bsim3/BSIM4/BSIM462/doc/BSIM462_Manual.pdf>
【非特許文献2】“BSIM3v3.3.0 MOSFET Model User’s Manual”,<URL:http://www-device.eecs.berkeley.edu/~bsim3/ftpv330/Mod_doc/b3v33manu.tar>
【非特許文献3】“PSP Documentation”,<URL:http://pspmodel.asu.edu/psp_documentation.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年の微細トランジスタでは、オーバーラップ領域の不純物濃度が高濃度化しているため、オーバーラップ容量のバイアス依存性は小さくなっており、蓄積・空乏領域でのCgd特性およびCgs特性に見られるバイアス依存性の大部分は、オーバーラップ容量によるものではなく、IGFETの内部を通じてゲート・ドレイン間およびゲート・ソース間に存在する内側フリンジ容量のバイアス依存性によるものになっている。内側フリンジ容量は、空乏層を介してゲート・ドレイン間およびゲート・ソース間に存在する容量であるので空乏層幅に依存して変化する。そのため空乏層幅を決める要素であるゲート・基板間バイアスVgbの影響が支配的となる。
【0009】
前記PSPモデルにおいては、初期バージョンのPSP100.1ではバイアス依存性を有した内側フリンジ容量が考慮されていた。しかしこのモデル化方法は適切ではなく、内側フリンジ容量に関するゲート電荷、ドレイン電荷、ソース電荷は考慮されているが、内側フリンジ容量に関する基板電荷は考慮されていない。そのため、本来一致すべきである蓄積・空乏領域でのCgdとCdg、およびCgsとCsg、およびCgbとCbgがそれぞれ不一致になり、またVds=0VにおけるCgsとCgdとが不一致になるなどの問題があった(ここで、Cxyはx−y端子間の容量、すなわち、x端子の電荷のy端子のバイアスによる偏微分を表している。g、d、s、bはそれぞれゲート、ドレイン、ソース、基板端子を示す。以降も同様)。そのため後続バージョンのPSP101.0では内側フリンジ容量モデルは削除され、以後PSPモデルでは内側フリンジ容量は考慮されていない。また、前記のBSIM4やBSIM3では、もともと内側フリンジ容量は考慮されていない。
【0010】
このように、従来のIGFETモデルでは内側フリンジ容量が考慮されていないため、通常、蓄積・空乏領域におけるCgd特性のバイアス依存性は、オーバーラップ容量モデルのバイアス依存性を用いて合わせ込まれる。具体的には、図7のVds=0Vのシンボルと実線で示すように、Vds=0V、Vgs<0VのCgd−Vgs特性に対して、オーバーラップ容量モデルが合わせ込まれる。
【0011】
しかし、この方法で微細トランジスタのCgd特性を表そうとすると、前記のように本来は内側フリンジ容量のVgb依存性の影響が支配的であるものを、無理やりVgd依存性支配のオーバーラップ容量モデルで表すことになり、Cgd特性のVds=0VにおけるVgs依存性は再現できても、Vds依存性やVbs依存性は再現できない。例えばVdsが印加された場合には図7のVds=1.2Vのシンボルと点線で示すように、蓄積・空乏領域に限らず、反転領域まで含めて、シミュレーションの方が過少となり、Cgd特性の精度が低下してしまう。
【0012】
本発明は、前記実状に鑑み、IGFETモデルにおいて内側フリンジ容量を適切にモデル化して集積回路のシミュレーションに反映する方法を提供し、IGFETを含む集積回路の設計に使用されるシミュレーション精度を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するため、本発明はIGFETのモデル化方法であって、内側フリンジ容量を、バイアス依存性を有する形で適切にモデル化するために、内側フリンジ容量に関するゲート電荷、ドレイン電荷、ソース電荷、基板電荷を新たに考慮する。特に、内側フリンジ容量に関する基板電荷を考慮する点が本発明の特徴であり、これにより、前記PSP100.1モデルに見られたような問題を生じることなく、バイアス依存性を有する内側フリンジ容量を高精度にモデル化することができる。
【0014】
本発明のIGFETのモデル化方法の一形態は、IGFETのゲート・ドレイン間の内側フリンジ容量Cgdifのモデル化方法であり、Cgdifに関する基板電荷Qbfdとドレイン電荷Qdfとゲート電荷Qgfdとを考慮し、QbfdはQdfとQgfdとに依存して定義される。
【0015】
ここで、CgdifはQgfdのドレイン端子バイアスによる偏微分項として求められるが、CgdifがQdfのゲート端子バイアスによる偏微分項と一致するように、QgfdとQdfとが定式化される。
【0016】
IGFETのトータルのCgdは従来のイントリンシック容量Cgd’およびゲート・ドレイン間オーバーラップ容量Cgdovに、Cgdifを加えて、Cgd=Cgd’+Cgdov+Cgdifで表され、またトータルのCdgは従来のイントリンシック容量Cdg’およびゲート・ドレイン間オーバーラップ容量Cgdovに、Cgdifを加えて、Cdg=Cdg’+Cgdov+Cgdifで表される。
【0017】
本発明のIGFETのモデル化方法の他の一形態は、IGFETのゲート・ソース間の内側フリンジ容量Cgsifのモデル化方法であり、Cgsifに関する基板電荷Qbfsとソース電荷Qsfとゲート電荷Qgfsとを考慮し、QbfsはQsfとQgfsとに依存して定義される。
【0018】
ここで、CgsifはQgfsのソース端子バイアスによる偏微分項として求められるが、CgsifがQsfのゲート端子バイアスによる偏微分項と一致するように、QgfsとQsfとが定式化される。
【0019】
IGFETのトータルのCgsは従来のイントリンシック容量Cgs’およびゲート・ソース間オーバーラップ容量Cgsovに、Cgsifを加えて、Cgs=Cgs’+Cgsov+Cgsifで表され、またトータルのCsgは従来のイントリンシック容量Csg’およびゲート・ソース間オーバーラップ容量Cgsovに、Cgsifを加えて、Csg=Csg’+Cgsov+Cgsifで表される。
【0020】
本発明のIGFETのモデル化方法のさらに他の一形態は、IGFETのゲート・ドレイン間の内側フリンジ容量Cgdifおよびゲート・ソース間の内側フリンジ容量Cgsifのモデル化方法であり、CgdifおよびCgsifに関わる基板電荷Qbfおよびゲート電荷Qgfと、Cgdifに関わるドレイン電荷Qdfと、Cgsifに関わるソース電荷Qsfとを考慮し、Qbfが、QdfとQsfとQgfとに依存して定義される。
【0021】
ここで、CgdifはQgfのドレイン端子バイアスによる偏微分項として求められ、CgsifはQgfのソース端子バイアスによる偏微分項として求められる。このときCgdifがQdfのゲート端子バイアスによる偏微分項と一致するように、またCgsifがQsfのゲート端子バイアスによる偏微分項と一致するように、QgfとQdfとQsfとが定式化される。
【0022】
IGFETのトータルのCgdは従来のイントリンシック容量Cgd’およびゲート・ドレイン間オーバーラップ容量Cgdovに、Cgdifを加えて、Cgd=Cgd’+Cgdov+Cgdifで表され、またトータルのCdgは従来のイントリンシック容量Cdg’およびゲート・ドレイン間オーバーラップ容量Cgdovに、Cgdifを加えて、Cdg=Cdg’+Cgdov+Cgdifで表される。
【0023】
同様に、IGFETのトータルのCgsは従来のイントリンシック容量Cgs’およびゲート・ソース間オーバーラップ容量Cgsovに、Cgsifを加えて、Cgs=Cgs’+Cgsov+Cgsifで表され、またトータルのCsgは従来のイントリンシック容量Csg’およびゲート・ソース間オーバーラップ容量Cgsovに、Cgsifを加えて、Csg=Csg’+Cgsov+Cgsifで表される。
【0024】
また、本発明はIGFETを含む集積回路のシミュレーション装置であって、前記のいずれかのIGFETのモデル化方法の形態に従って、IGFETのゲート・ドレイン間の内側フリンジ容量Cgdifとゲート・ソース間の内側フリンジ容量Cgsifとがモデル化されたIGFETモデルを含むシミュレーション装置である。
【0025】
また、本発明はIGFETを含む集積回路であって、前記のいずれかのIGFETのモデル化方法の形態に従って、IGFETのゲート・ドレイン間の内側フリンジ容量Cgdifとゲート・ソース間の内側フリンジ容量Cgsifとがモデル化されたIGFETモデルを含むシミュレーション方法を用いて設計された集積回路である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、IGFETモデルにおいて内側フリンジ容量が適切にモデル化され、そのIGFETモデルがシミュレーション装置に反映されることにより、IGFETを含む集積回路のシミュレーション精度が向上し、IGFET集積回路の設計を高精度に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態1のIGFETのモデル化方法によって新たに考慮される電荷と容量成分を示す模式図である。
【図2】微細デバイスのCgd−Vgs特性について、本発明の実施形態1または実施形態3のIGFETのモデル化方法を使用したIGFETモデルによるシミュレーション結果と実測との比較を概略的に示す図である。
【図3】本発明の実施形態2のIGFETのモデル化方法によって新たに考慮される電荷と容量成分を示す模式図である。
【図4】本発明の実施形態3のIGFETのモデル化方法によって新たに考慮される電荷と容量成分を示す模式図である。
【図5】本発明の実施形態4のシミュレーション装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施形態5の集積回路が設計・製造されるフローを示す図である。
【図7】微細デバイスのCgd−Vgs特性について、従来IGFETのモデル化方法を使用したIGFETモデルによるシミュレーション結果と実測との比較を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0029】
《実施形態1》
本発明の実施形態1はIGFETのモデル化方法であって、図1は本実施形態のIGFETのモデル化方法によって新たに考慮される電荷と容量成分を示す模式図である。図1において、Cgdifはゲート・ドレイン間フリンジ容量、Qgfdはゲート・ドレイン間フリンジ容量に関わるゲート電荷、Qdfはゲート・ドレイン間フリンジ容量に関わるドレイン電荷、Qbfdはゲート・ドレイン間フリンジ容量に関わる基板電荷、Cgbifdはゲート・ドレイン間フリンジ容量に関わる電荷に由来するゲート・基板間容量、Cdbifはゲート・ドレイン間フリンジ容量に関わる電荷に由来するドレイン・基板間容量である。
【0030】
本実施形態のIGFETのモデル化方法においては、従来のIGFETモデルで考慮される、ゲート、ドレイン、ソース、基板の各端子電荷とは別に、ゲート・ドレイン間の内側フリンジ容量に関わる電荷として、図1のような基板電荷Qbfd、ゲート電荷Qgfd、ドレイン電荷Qdfを新たに考慮する。
【0031】
これらの電荷は、
【数1】

のように電荷保存関係を満たす。
【0032】
前記のとおり、内側フリンジ容量は空乏層幅に依存するため、空乏層幅を決める要素であるVgbに依存する。したがって、内側フリンジ容量に関わるQdfはVgbに依存する関数であるf(Vgb)として、
【数2】

のように定義される。
【0033】
f(Vgb)の具体的な式の形としては、例えば、
【数3】

となる。ここに、
【数4】

である。[数3]はQdfが空乏層幅に依存するということに基づき、一般に知られているIGFETの空乏層幅を表す解析式の形から類推されたものである。[数3]、[数4]におけるCIFO、CIFK、δはモデルパラメータであり、任意の値に設定可能である。
【0034】
ゲート・ドレイン間の内側フリンジ容量Cgdifは、Qgfdのドレイン端子バイアスによる偏微分として得られるが、それはQdfのゲート端子バイアスによる偏微分とも一致しなければならない。Qdfすなわちf(Vgb)のゲート端子バイアスによる偏微分項は、[数3]右辺のゲート端子バイアスの偏微分であり、具体的な式の形は省略するが、Vgbに依存する関数となる。これをg(Vgb)で表すと、
【数5】

となる。
【0035】
ここで、もしQbfdが考慮されていない、すなわちQbfd=0だったとすると、[数1]の電荷保存関係よりQgfd=−Qdfとなり、[数5]が満たせなくなり、前記のPSP100.1のようにCgdとCdgとが一致しないという問題に陥ってしまうが、本発明のモデル化方法ではQbfdが考慮されているためQgfd=−(Qdf+Qbfd)であり、Qgfdと−Qdfとが等しくある必要はない。したがって、[数5]の関係を満たすQgfdを、
【数6】

のように定義することができる。
【0036】
また、Qbfdは[数1]、[数2]、[数6]から、
【数7】

のように決定される。
【0037】
最終的に、IGFETのトータルの各端子電荷は、従来のIGFETモデル(例えばBSIM4)で元々考慮されていたドレイン端子電荷Qd0、ゲート端子電荷Qg0、基板端子電荷Qb0に対し、[数2]、[数6]、[数7]で定義された内側フリンジ容量に関わる電荷Qdf、Qgfd、Qbfdをそれぞれ付加することによって表される。すなわち、ドレイン電荷はQd=Qd0+Qdf、ゲート電荷はQg=Qg0+Qgfd、基板電荷はQb=Qb0+Qbfdと表される。
【0038】
IGFETのトータルのCgdは、従来のIGFETモデルで元々考慮されていたイントリンシック容量Cgd’およびゲート・ドレイン間オーバーラップ容量Cgdovに、前記Cgdifを加えて、Cgd=Cgd’+Cgdov+Cgdifで表される。同様にトータルのCdgは、従来のIGFETモデルで元々考慮されていたイントリンシック容量Cdg’およびゲート・ドレイン間オーバーラップ容量Cgdovに、前記Cgdifを加えて、Cdg=Cdg’+Cgdov+Cgdifで表される。なお、蓄積・空乏領域ではCgd’=Cdg’=0であるので、Cgd=Cdg=Cgdov+Cgdifとなり、CgdとCdgとは一致する。
【0039】
また、Qdf、Qgfd、Qbfdを新たに考慮することにより、Cgdifの他にゲート・基板間およびドレイン・基板間に新たな容量成分が発生する。新たなゲート・基板間の容量Cgbifdは、Qgfdの基板端子バイアスによる偏微分またはQbfdのゲート端子バイアスによる偏微分として表されるが、Qgfdを[数6]、Qbfdを[数7]のように定義していることにより、それらは一致し、すなわち、
【数8】

の関係にある。また新たなドレイン・基板間の容量Cdbifは、Qdfの基板端子バイアスによる偏微分またはQbfdのドレイン端子バイアスによる偏微分で表されるが、Qdfを[数2]、Qbfdを[数7]のように定義していることにより、それらは一致し、すなわち、
【数9】

の関係にある。
【0040】
IGFETのトータルのCgbおよびCbgは、従来のIGFETモデルで元々考慮されていたイントリンシック容量Cgb’、Cbg’およびゲート・基板間オーバーラップ容量Cgbovに、それぞれ前記Cgbifdを加えて、Cgb=Cgb’+Cgbov+Cgbifd、およびCbg=Cbg’+Cgbov+Cgbifdで表される。なお、蓄積・空乏領域ではCgb’=Cbg’であるのでCgbとCbgとは一致する。
【0041】
また、IGFETのトータルのCdbおよびCbdは、従来のIGFETモデルで元々考慮されていたイントリンシック容量Cdb’、Cbd’およびドレイン・基板間接合容量Cjdに、それぞれ前記Cdbifを加えて、Cdb=Cdb’+Cjd+Cdbif、およびCbd=Cbd’+Cjd+Cdbifで表される。なお、蓄積・空乏領域ではCdb’=Cbd’であるのでCdbとCbdとは一致する。
【0042】
以上が、実施形態1のIGFETのモデル化方法であり、PSP100.1のような蓄積・空乏領域でCgdとCdgとが不一致になる、あるいはCgbとCbgとが不一致になるなどの問題を起こすことなく、ゲート・ドレイン間の内側フリンジ容量をVgbに依存する関数で表現することができる。これにより、図2のように、Cgd特性のバイアス依存性を従来よりも高精度に再現することができる。
【0043】
《実施形態2》
本発明の実施形態2はIGFETのモデル化方法であって、図3は本実施形態のIGFETのモデル化方法によって新たに考慮される電荷と容量成分を示す模式図である。図3において、Cgsifはゲート・ソース間フリンジ容量、Qgfsはゲート・ソース間フリンジ容量に関わるゲート電荷、Qsfはゲート・ソース間フリンジ容量に関わるソース電荷、Qbfsはゲート・ソース間フリンジ容量に関わる基板電荷、Cgbifsはゲート・ソース間フリンジ容量に関わる電荷に由来するゲート・基板間容量、Csbifはゲート・ソース間フリンジ容量に関わる電荷に由来するソース・基板間容量である。
【0044】
本実施形態のIGFETのモデル化方法においては、従来のIGFETモデルで考慮される、ゲート、ドレイン、ソース、基板の各端子電荷とは別に、ゲート・ソース間の内側フリンジ容量に関わる電荷として、図3のような基板電荷Qbfs、ゲート電荷Qgfs、ソース電荷Qsfを新たに考慮する。
【0045】
これらの電荷は、
【数10】

のように電荷保存関係を満たす。
【0046】
内側フリンジ容量に関わるQsfは、実施形態1におけるQdfと同様、Vgbに依存する関数であるf(Vgb)として、
【数11】

のように定義される。f(Vgb)は実施形態1の[数3]、[数4]で表されたものと同じ関数である。
【0047】
ゲート・ソース間の内側フリンジ容量Cgsifは、Qgfsのソース端子バイアスによる偏微分として得られるが、それはQsfのゲート端子バイアスによる偏微分とも一致しなければならない。Qsfすなわちf(Vgb)のゲート端子バイアスによる偏微分項は、実施形態1で述べたようにg(Vgb)と表されるので、
【数12】

となる。
【0048】
ここで、もしQbfsが考慮されていない、すなわちQbfs=0だったとすると、[数10]の電荷保存関係よりQgfs=−Qsfとなり、[数12]が満たせなくなり、前記のPSP100.1のようにCgsとCsgとが一致しないという問題に陥ってしまうが、本発明のモデル化方法ではQbfsが考慮されているためQgfs=−(Qsf+Qbfs)であり、Qgfsと−Qsfとが等しくある必要はない。したがって、[数12]の関係を満たすQgfsを、
【数13】

のように定義することができる。
【0049】
また、Qbfsは[数10]、[数11]、[数13]から、
【数14】

のように決定される。
【0050】
最終的に、IGFETのトータルの各端子電荷は、従来のIGFETモデルで元々考慮されていたソース端子電荷Qs0、ゲート端子電荷Qg0、基板端子電荷Qb0に対し、[数11]、[数13]、[数14]で定義された内側フリンジ容量に関わる電荷Qsf、Qgfs、Qbfsをそれぞれ付加することによって表される。すなわち、ソース電荷はQs=Qs0+Qsf、ゲート電荷はQg=Qg0+Qgfs、基板電荷はQb=Qb0+Qbfsと表される。
【0051】
また、IGFETのトータルのCgsは、従来のIGFETモデルで元々考慮されていたイントリンシック容量Cgs’およびゲート・ソース間オーバーラップ容量Cgsovに、前記Cgsifを加えて、Cgs=Cgs’+Cgsov+Cgsifで表される。同様にトータルのCsgは、従来のIGFETモデルで元々考慮されていたイントリンシック容量Csg’およびゲート・ソース間オーバーラップ容量Cgsovに、前記Cgsifを加えて、Csg=Csg’+Cgsov+Cgsifで表される。なお、蓄積・空乏領域ではCgs’=Csg’であるので、Cgs=Csg=Cgsov+Cgsifとなり、CgsとCsgとは一致する。
【0052】
また、Qsf、Qgfs、Qbfsを新たに考慮することにより、Cgsifの他にゲート・基板間およびソース・基板間に新たな容量成分が発生する。新たなゲート・基板間の容量Cgbifsは、Qgfsの基板端子バイアスによる偏微分またはQbfsのゲート端子バイアスによる偏微分として表されるが、Qgfsを[数13]、Qbfsを[数14]のように定義していることにより、それらは一致し、すなわち、
【数15】

の関係にある。また新たなソース・基板間の容量Csbifは、Qsfの基板端子バイアスによる偏微分またはQbfsのソース端子バイアスによる偏微分で表されるが、Qsfを[数11]、Qbfsを[数14]のように定義していることにより、それらは一致し、すなわち、
【数16】

の関係にある。
【0053】
IGFETのトータルのCgbおよびCbgは、従来のIGFETモデルで元々考慮されていたイントリンシック容量Cgb’、Cbg’およびゲート・基板間オーバーラップ容量Cgbovに、それぞれ前記Cgbifsを加えて、Cgb=Cgb’+Cgbov+Cgbifs、およびCbg=Cbg’+Cbgov+Cgbifsで表される。なお、蓄積・空乏領域ではCgb’=Cbg’であるのでCgbとCbgとは一致する。
【0054】
また、IGFETのトータルのCsbおよびCbsは、従来のIGFETモデルで元々考慮されていたイントリンシック容量Csb’、Cbs’およびソース・基板間接合容量Cjsに、それぞれ前記Csbifを加えて、Csb=Csb’+Cjs+Csbif、およびCbs=Cbs’+Cjs+Csbifで表される。なお、蓄積・空乏領域ではCsb’=Cbs’であるのでCsbとCbsとは一致する。
【0055】
以上が、実施形態2のIGFETのモデル化方法であり、PSP100.1のような蓄積・空乏領域でCgsとCsgとが不一致になる、あるいはCgbとCbgとが不一致になるなどの問題を起こすことなく、ゲート・ソース間の内側フリンジ容量をVgbに依存する関数で表現することができる。これにより、Cgs特性のバイアス依存性を従来よりも高精度に再現することができる。
【0056】
《実施形態3》
本発明の実施形態3はIGFETのモデル化方法であって、図4は本実施形態のIGFETのモデル化方法によって新たに考慮される電荷と容量成分を示す模式図である。図4において、Cgdifはゲート・ドレイン間フリンジ容量、Cgsifはゲート・ソース間フリンジ容量、Qgfはゲート・ドレイン間およびゲート・ソース間フリンジ容量に関わるゲート電荷、Qdfはゲート・ドレイン間フリンジ容量に関わるドレイン電荷、Qsfはゲート・ソース間フリンジ容量に関わるソース電荷、Qbfはゲート・ドレイン間およびゲート・ソース間フリンジ容量に関わる基板電荷、Cdbifはゲート・ドレイン間フリンジ容量に関わる電荷に由来するドレイン・基板間容量、Csbifはゲート・ソース間フリンジ容量に関わる電荷に由来するソース・基板間容量、Cgbifはゲート・ドレイン間およびゲート・ソース間フリンジ容量に関わる電荷に由来するゲート・基板間容量である。
【0057】
実施形態3のIGFETのモデル化方法においては、従来のIGFETモデルで考慮されるゲート、ドレイン、ソース、基板の各端子電荷とは別に、ゲート・ソース間およびゲート・ドレイン間の内側フリンジ容量に関わる電荷として、図4のような基板電荷Qbf、ゲート電荷Qgf、ドレイン電荷Qdf、ソース電荷Qsfを新たに考慮する。
【0058】
これらの電荷は、
【数17】

のように電荷保存関係を満たす。
【0059】
各電荷の具体的な定義としては、Qdfは実施形態1の[数2]の定義と同じく、Qsfは実施形態2の[数11]の定義と同じく、Qgfは実施形態1の[数6]および実施形態2の[数13]を用いて、
【数18】

とすると、Qbfは実施形態1の[数7]および実施形態2の[数14]を用いて、
【数19】

と表される。
【0060】
以上のように定義した新たな電荷により、ゲート・ドレイン間の内側フリンジ容量Cgdifは、Qgfのドレイン端子バイアスによる偏微分として得られるが、それは[数18]および[数6]の定義からQgfdのドレイン端子バイアスによる偏微分に等しく、結局Cgdifは実施形態1と同様に[数5]の関係で表される。またゲート・ソース間の内側フリンジ容量Cgsifは、Qgfのソース端子バイアスによる偏微分として得られるが、それは[数18]および[数13]の定義からQgfsのソース端子バイアスによる偏微分に等しく、結局Cgsifは実施形態2と同様に[数12]の関係で表される。
【0061】
最終的に、IGFETのトータルの各端子電荷は、従来のIGFETモデルで元々考慮されていたドレイン端子電荷Qd0、ソース端子電荷Qs0、ゲート端子電荷Qg0、基板端子電荷Qb0に対し、[数2]、[数11]、[数18]、[数19]で定義された内側フリンジ容量に関わる電荷Qdf、Qsf、Qgf、Qbfをそれぞれ付加することによって表される。すなわち、ドレイン電荷はQd=Qd0+Qdf、ソース電荷はQs=Qs0+Qsf、ゲート電荷はQg=Qg0+Qgf、基板電荷はQb=Qb0+Qbfと表される。
【0062】
IGFETのトータルのCgd、Cdg、Cgs、Csgは、実施形態1および実施形態2と同様にCgd=Cgd’+Cgdov+Cgdif、Cdg=Cdg’+Cgdov+Cgdif、Cgs=Cgs’+Cgsov+Cgsif、Csg=Csg’+Cgsov+Cgsifと表される。なお、蓄積・空乏領域ではCgd’=Cdg’=Cgs’=Csg’=0であるので、CgdとCdgとは一致し、またCgsとCsgとは一致する。また、本実施形態の定義では[数5]と[数12]からCgdif=Cgsifであり、Vds=0ではCgsov=Cgdovであるので、Vds=0における蓄積・空乏領域ではCgdとCdgとCgsとCsgとはすべて一致する。
【0063】
また、Qdf、Qsf、Qgf、Qbfを新たに考慮することにより、Cgdif、Cgsifの他にゲート・基板間およびドレイン・基板間およびソース・基板間にも新たな容量成分が発生する。新たなゲート・基板間の容量Cgbifは、Qgfの基板端子バイアスによる偏微分またはQbfのゲート端子バイアスによる偏微分として表されるが、Qgfを[数18]、Qbfを[数19]のように定義していることにより、それらは一致し、すなわち、
【数20】

の関係にある。また、新たなドレイン・基板間の容量Cdbifは、Qdfの基板端子バイアスによる偏微分またはQbfのドレイン端子バイアスによる偏微分で表されるが、Qdfを[数2]、Qbfを[数19]のように定義していることにより、それらは一致し、すなわち、
【数21】

の関係にある。また、新たなソース・基板間の容量Csbifは、Qsfの基板端子バイアスによる偏微分またはQbfのソース端子バイアスによる偏微分で表されるが、Qsfを[数11]、Qbfを[数19]のように定義していることにより、それらは一致し、すなわち、
【数22】

の関係にある。
【0064】
IGFETのトータルのCgbおよびCbgは、従来のIGFETモデルで元々考慮されていたイントリンシック容量Cgb’、Cbg’およびゲート・基板間オーバーラップ容量Cgbovに、それぞれ前記Cgbifを加えて、Cgb=Cgb’+Cgbov+Cgbif、およびCbg=Cbg’+Cgbov+Cgbifで表される。なお、蓄積・空乏領域ではCgb’=Cbg’であるので、Cgb=Cbg=Cgbov+Cgbifとなり、CgbとCbgとは一致する。
【0065】
また、IGFETのトータルのCdbおよびCbdは、実施形態1と同様にCdb=Cdb’+Cjd+Cdbif、およびCbd=Cbd’+Cjd+Cdbifで表される。なお、蓄積・空乏領域ではCdb’=Cbd’であるのでCdbとCbdとは一致する。
【0066】
また、IGFETのトータルのCsbおよびCbsは、実施形態2と同様にCsb=Csb’+Cjs+Csbif、およびCbs=Cbs’+Cjs+Csbifで表される。なお、蓄積・空乏領域ではCsb’=Cbs’であるのでCsbとCbsとは一致する。
【0067】
以上が、実施形態3のIGFETのモデル化方法であり、PSP100.1のような蓄積・空乏領域でCgdとCdgとが不一致になる、CgsとCsgとが不一致になる、あるいはCgbとCbgとが不一致になるなどの問題を起こすことなく、ゲート・ドレイン間およびゲート・ソース間の内側フリンジ容量を表現することができる。これにより、図2のようにCgd特性のバイアス依存性を従来よりも高精度に再現し、またCgs特性のバイアス依存性も従来よりも高精度化できる。
【0068】
《実施形態4》
本発明の実施形態4はシミュレーション装置であり、図5は本実施形態のシミュレーション装置の構成を示すブロック図である。本実施形態のシミュレーション装置は、ネットリストを入力データとし、回路シミュレーション実行部101を備え、シミュレーション対象である集積回路の電気的特性計算結果を出力する。回路シミュレーション実行部101は、SPICEに代表される回路シミュレータの本体である。回路シミュレーション実行部101は、IGFETモデル計算部102を備えており、IGFETモデル計算部102の内部に内側フリンジ容量計算部103を備えており、内側フリンジ容量計算部103においては、内側フリンジ容量に関わるドレイン電荷Qdf、ソース電荷Qsf、ゲート電荷Qgf、基板電荷Qbfと、ゲート・ドレイン間およびゲート・ソース間の内側フリンジ容量Cgdif、Cgsifとが計算される。
【0069】
これらの計算は例えば実施形態3の方法に基づいて行われ、内側フリンジ容量に関わる各電荷は、前記の[数2]、[数11]、[数18]、[数19]により計算され、内側フリンジ容量は前記の[数5]、[数12]により計算される。またQdf、Qsf、Qgf、Qbfを考慮することによりゲート・基板間およびドレイン・基板間およびソース・基板間に新たに容量成分Cgbif、Cdbif、Csbifが発生するが、それらは前記の[数20]、[数21]、[数22]により計算される。
【0070】
計算された電荷Qdf、Qsf、Qgf、QbfはIGFETの各端子電荷にそれぞれ加えられ、容量Cgdif、Cgsif、Cgbif、Cdbif、CsbifがIGFETの各端子間容量に加えられることでIGFETの電気特性に反映される。
【0071】
以上のように、本実施形態のシミュレーション装置では内側フリンジ容量を考慮してIGFETの電気特性が高精度に表現されるため、IGFETを含む集積回路のシミュレーション精度を向上させることができる。
【0072】
《実施形態5》
本発明の実施形態5は集積回路であり、図6は、本実施形態の集積回路が設計・製造されるフローを示す図である。本実施形態の集積回路が設計・製造されるフローについて図6を用いて説明する。なお、本実施形態の集積回路は少なくとも1つのIGFETを含むものとする。
【0073】
まず、目的の集積回路の仕様に基づいて、回路設計・検証工程201において回路設計および動作検証がなされる。このとき回路シミュレーション装置104が回路設計および動作検証に用いられる。ここで回路シミュレーション装置104は実施形態4に記載のシミュレーション装置であり、内側フリンジ容量計算部103を備えたIGFETモデル計算部102を含む回路シミュレーション実行部101を有している。回路設計・検証工程201において仕様を満足する回路が設計できたら、続いてレイアウト設計工程202において、当該回路のレイアウトが設計される。次に、レイアウト設計工程202で作成された当該回路のレイアウトデータに基づいて、集積回路製造工程203において集積回路204が製造される。製造された集積回路204は、仕様どおりの動作をするかを確認され、仕様どおり正しく動作すればそこで終了となる。しかし、もし仕様どおりの動作をしなかった場合、再び回路設計・検証工程201に立ち戻って回路設計・検証のやり直しが必要となる。
【0074】
通常は、やり直しが発生しないように、予め回路設計・検証工程201において、シミュレーション誤差、あるいは集積回路製造工程203で発生するIGFETの特性ばらつきなどに起因する回路特性の変動を考慮のうえで、回路の動作マージンを確保した設計がなされる。しかし、それは回路設計者の技量による部分もあり、回路設計やり直しのリスクは常に存在する。
【0075】
そのリスクに対し、本実施形態の集積回路は、回路設計・検証工程201において、IGFETのゲート・ドレイン間およびゲート・ソース間の内側フリンジ容量Cgdif、Cgsifを考慮しIGFETの電気特性を高精度に表現可能な回路シミュレーション装置104を用いて、高精度なシミュレーションによって回路設計および動作検証がなされている。そのため、シミュレーション誤差に起因する動作不具合発生および、それに伴う回路設計・検証のやり直しのリスクが少なくてすむ。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、内側フリンジ容量を適切にモデル化することが可能であり、IGFETを含む集積回路のシミュレーション精度が向上するという効果を有するため、IGFET集積回路を設計するためのシミュレーションを高精度に行う上で有用である。
【符号の説明】
【0077】
101 回路シミュレーション実行部
102 IGFETモデル計算部
103 内側フリンジ容量計算部
104 回路シミュレーション装置
201 回路設計・検証工程
202 レイアウト設計工程
203 集積回路製造工程
204 集積回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁ゲート電界効果トランジスタのモデル化方法であって、前記絶縁ゲート電界効果トランジスタの内側フリンジ容量を確定し、前記内側フリンジ容量に関わる基板電荷を考慮に入れることを特徴とするモデル化方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記基板電荷はゲート・ドレイン間の内側フリンジ容量に関する基板電荷である方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記基板電荷はゲート・ソース間の内側フリンジ容量に関する基板電荷である方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記基板電荷はゲート・ドレイン間およびゲート・ソース間の内側フリンジ容量に関する基板電荷である方法。
【請求項5】
請求項2に記載の方法であって、ゲート・ドレイン間の内側フリンジ容量に関わるドレイン電荷と、ゲート・ドレイン間の内側フリンジ容量に関わるゲート電荷とを考慮し、前記ゲート・ドレイン間の内側フリンジ容量に関する基板電荷は、前記ドレイン電荷と前記ゲート電荷とに依存して定義されるモデル化方法。
【請求項6】
請求項3に記載の方法であって、ゲート・ソース間の内側フリンジ容量に関わるソース電荷と、ゲート・ソース間の内側フリンジ容量に関わるゲート電荷とを考慮し、前記ゲート・ソース間の内側フリンジ容量に関する基板電荷は、前記ソース電荷と前記ゲート電荷とに依存して定義されるモデル化方法。
【請求項7】
請求項4に記載の方法であって、ゲート・ドレイン間の内側フリンジ容量に関わるドレイン電荷と、ゲート・ソース間の内側フリンジ容量に関わるソース電荷と、ゲート・ドレイン間およびゲート・ソース間の内側フリンジ容量に関わるゲート電荷とを考慮し、前記ゲート・ドレイン間およびゲート・ソース間の内側フリンジ容量に関する基板電荷は、前記ドレイン電荷と前記ソース電荷と前記ゲート電荷とに依存して定義されるモデル化方法。
【請求項8】
請求項5に記載の方法であって、前記ドレイン電荷のゲート端子バイアスによる偏微分と前記ゲート電荷のドレイン端子バイアスによる偏微分とが一致する方法。
【請求項9】
請求項6に記載の方法であって、前記ソース電荷のゲート端子バイアスによる偏微分と前記ゲート電荷のソース端子バイアスによる偏微分とが一致する方法。
【請求項10】
請求項7に記載の方法であって、前記ドレイン電荷のゲート端子バイアスによる偏微分と前記ゲート電荷のドレイン端子バイアスによる偏微分とが一致し、かつ前記ソース電荷のゲート端子バイアスによる偏微分と前記ゲート電荷のソース端子バイアスによる偏微分とが一致する方法。
【請求項11】
集積回路のシミュレーション装置であって、
請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法に従ってモデル化された絶縁ゲート電界効果トランジスタモデルを含み、前記絶縁ゲート電界効果トランジスタの内側フリンジ容量に関わる基板電荷およびゲート電荷およびドレイン電荷およびソース電荷と、前記絶縁ゲート電界効果トランジスタの内側フリンジ容量との計算手段を備えたシミュレーション装置。
【請求項12】
少なくとも1つの絶縁ゲート電界効果トランジスタを含む集積回路であって、
請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法に従ってモデル化された絶縁ゲート電界効果トランジスタモデルを含み、前記絶縁ゲート電界効果トランジスタの内側フリンジ容量に関わる基板電荷およびゲート電荷およびドレイン電荷およびソース電荷と、前記絶縁ゲート電界効果トランジスタの内側フリンジ容量との計算手段を備えたシミュレーション方法を用いて設計された集積回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−287659(P2010−287659A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−139161(P2009−139161)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】