継手仮付治具装置
【課題】重ね継手の仮付け溶接を行う場合に熟練者でなくてもTIGトーチを所定の倣い角度位置に容易に位置決めできる継手仮付治具装置を得ること。
【解決手段】コ字状に形成され、相対向する一対の縦壁を有する本体フレーム1と、本体フレームの一方の縦壁の内側に取り付けられた継手仮付治具本体3と、継手仮付治具本体に垂下するよう取り付けられ、先端が本体フレームの下端から突出する棒状の板厚方向ストッパ5と、継手仮付治具本体に、先端電極が薄板の重ね継手15に対して所定の狙い角度位置に設定され、且つ板厚方向ストッパの先端より上方に位置するように取り付けられたTIGトーチ7と、本体フレームの一対の縦壁の下端部に形成され、板厚方向ストッパの先端が重ね継手の上板15aに当接した状態の時に重ね継手の上板と下板15bとの段差部に係合する継手直角方向ストッパ部9とを備えてなる。
【解決手段】コ字状に形成され、相対向する一対の縦壁を有する本体フレーム1と、本体フレームの一方の縦壁の内側に取り付けられた継手仮付治具本体3と、継手仮付治具本体に垂下するよう取り付けられ、先端が本体フレームの下端から突出する棒状の板厚方向ストッパ5と、継手仮付治具本体に、先端電極が薄板の重ね継手15に対して所定の狙い角度位置に設定され、且つ板厚方向ストッパの先端より上方に位置するように取り付けられたTIGトーチ7と、本体フレームの一対の縦壁の下端部に形成され、板厚方向ストッパの先端が重ね継手の上板15aに当接した状態の時に重ね継手の上板と下板15bとの段差部に係合する継手直角方向ストッパ部9とを備えてなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は継手仮付治具装置、更に詳しくはメンブレン構造のLNG船或いはLNGタンクにおけるメンブレン等の薄板の重ね継手の仮付溶接施工を行う場合に使用する継手仮付治具装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に現状のメンブレン等の薄板の重ね継手の仮付施工では、手動TIGを用いているが、熟練技能者が手溶接と同様に、直接TIGトーチを操作しているため、以下の課題がある。
仮付け作業の訓練は3〜4ヶ月の長期間に亘り、多大な訓練コストが必要となる。また、熟練者でも、TIGトーチによるアークでの仮付け時にアークを出すときには遮光板を付けるために一瞬目を離すために、正確にTIGトーチの電極の狙い位置を保持することが困難であるという問題があった。
そこで、薄板の重ね継手の仮付施工の際に、TIGトーチの電極の狙い位置を正確に保持するようにした仮付用の治具に相当するものをを適用した従来例としては以下のようなものがある。
かかる従来の低温貯槽のメンブレン接合方法は、メンブレンの重ね部を粘着テープで仮付け接着し、その後にメンブレンの隅肉部分を本溶接するものである(例えば、特許文献1参照)。
なお、本溶接に関する従来の自動溶接装置としては、コルゲーション上に配置された溶接トーチ移動装置により溶接トーチの向きと位置を調整することにより、コーナープレートとメンブレンシートとを溶接するものがある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平5−245630号公報(第1頁、図1)
【特許文献2】特開平7−256452号公報(第1頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載の従来の低温貯槽のメンブレン接合方法のメンブレンの重ね部を粘着テープで仮付け接着するものでは、施工要領で規定されている許容GAP以下に仮付けすることが困難であると同時に、LNG船の場合、船級の承認を必要とするが、特にコルゲーション部等で塑性変形がある場合などには適用できないため、船級の承認を得ることができないという問題があった。
また、特許文献2に記載の従来の自動溶接装置は仮付け溶接ではなく本溶接に関するものであり、コルゲーション部の本溶接を行うことはできないものであった。
本発明はかかる問題点を解決するためになされたもので、重ね継手の仮付け溶接を行う場合に熟練者でなくてもTIGトーチを所定の倣い角度位置に容易に位置決めでき、仮付溶接を容易に施工できる継手仮付治具装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る継手仮付治具装置は、コ字状に形成され、相対向する一対の縦壁を有する本体フレームと、該本体フレームの一方の縦壁の内側に取り付けられた継手仮付治具本体と、該継手仮付治具本体に垂下するよう取り付けられ、先端が前記本体フレームの下端から突出する棒状の板厚方向ストッパと、前記継手仮付治具本体に、先端電極が薄板の重ね継手に対して所定の狙い角度位置に設定され、且つ板厚方向ストッパの先端より上方に位置するように取り付けられたTIG溶接トーチと、前記本体フレームの一対の縦壁の下端部に形成され、前記板厚方向ストッパの先端が重ね継手の上板に当接した状態の時に重ね継手の上板と下板との段差部に係合する継手直角方向ストッパ部とを備えてなる。
【発明の効果】
【0005】
本発明に係る継手仮付治具装置においては、コ字状に形成され、相対向する一対の縦壁を有する本体フレームと、該本体フレームの一方の縦壁の内側に取り付けられた継手仮付治具本体と、該継手仮付治具本体に垂下するよう取り付けられ、先端が前記本体フレームの下端から突出する棒状の板厚方向ストッパと、前記継手仮付治具本体に、先端電極が薄板の重ね継手に対して所定の狙い角度位置に設定され、且つ板厚方向ストッパの先端より上方に位置するように取り付けられたTIGトーチと、前記本体フレームの一対の縦壁の下端部に形成され、前記板厚方向ストッパの先端が重ね継手の上板に当接した状態の時に重ね継手の上板と下板との段差部に係合する継手直角方向ストッパ部とを備えてなるので、コンパクトでシンプルな構造であり、通常の手動TIGトーチを利用することができる。
また、薄板重ね継手に仮付溶接を行う場合に、TIGトーチを把持して重ね継手の上板に本体フレームの下端を当て、次に本体フレームに形成されている継手直角方向ストッパ部が重ね継手の上板と下板との段差部に係合するまで該段差部に向けてスライドさせ、該継手直角方向ストッパ部が重ね継手の段差部に係合させると共に本体フレームに取り付け固定された継手仮付治具本体から垂下する棒状の板厚方向ストッパの先端が重ね継手の上板に当接させられるときには、熟練者でなくても継手仮付治具本体に取り付けられた溶接トーチの先端電極が重ね継手に対して所定の狙い角度位置に位置決めされることとなり、その後にTIGトーチで行う仮付溶接を容易に施工でき、安定した仮付施工品を得ることができるという効果がある。
従って、本発明の継手仮付治具装置を使用することにより、仮付技能者の訓練期間の短縮が図られ、経済的効果が期待できるものである。
また、TIGトーチは汎用品を使用でき、継手仮付治具装置以外のコストは発生しないものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る継手仮付治具装置の使用状態を示す構成図、図2は同継手仮付治具装置を別の角度から見た使用状態を示す構成図、図3は同継手仮付治具装置のTIGトーチとスライダ調整機構とを示す構成図、図4は同継手仮付治具装置の板厚方向スライダ機構と継手直角方向スライダ機構を示す構成図、図5は同継手仮付治具装置の板厚方向スライダ機構と継手直角方向スライダ機構を示す別の角度から見た構成図、図6は同継手仮付治具装置の継手直角方向ストッパ部による位置決め状態を示す説明図、図7は同継手仮付治具装置により仮付けされる重ね継手を示す斜視図、図8は同継手仮付治具装置が重ね継手のコルゲーション部を移行する状態を示す断面図、図9は同継手仮付治具装置による位置決め手順を示す説明図である。
【0007】
図1〜図5において、本発明の実施の形態1に係る継手仮付治具装置は、コ字状ステンレス製の本体フレーム1と、本体フレーム1の一方の縦壁に固定された板厚方向直動ガイド機構2と、板厚方向直動ガイド機構2に板厚方向に可動自在に取り付けられ、水平な継手直角方向にスライドする継手仮付治具本体を兼ねる継手直角方向スライダ機構3と、継手直角方向スライダ機構3に直交して取り付けられ、板厚方向にスライドする板厚方向スライダ機構4と、継手直角方向スライダ機構3に垂下して設けられた板厚方向ストッパ5と、板厚方向スライダ機構4の下部にトーチ取付金具6を介して取り付けられたTIGトーチ7と、一端が本体フレーム1の天面に係止され、他端が板厚方向スライダ機構4に係止され、TIGトーチ7を引っ張り上げている引張バネ8とから構成されている。
そのTIGトーチ7はTIG溶接電源(図示省略)につながっている。
【0008】
TIGトーチ7のトーチ把持部7aがトーチ取付金具6を介して板厚方向スライダ機構4の下部に取り付けられ、引張バネ8で本体フレーム1の上方へ引っ張られている。
従って、仮付け操作時以外は、TIGトーチ7のトーチ先端が本体フレーム7内に格納され、トーチ先端及びトーチ先端に取り付けられている電極が破損しないように保護されている。
【0009】
継手直角方向スライダ機構3は、図3〜図5に示すように、1本のネジ10の両端を螺回自在に支持すると共に2本のガイドロッド11の両端を支持するコ字状のスライダ受け部材12と、1本のネジ10に螺回自在に取り付けられると共に2本のガイドロッド11が挿通する共用スライダ13と、1本のネジ10の一端に取り付けられた調整ツマミ14とからなる。
また、板厚方向スライダ機構4も、図3〜図5に示すように、1本のネジ20の両端を螺回自在に支持すると共に2本のガイドロッド21の両端を支持するコ字状のスライダ受け部材22と、1本のネジ20に螺回自在に取り付けられると共に2本のガイドロッド21が挿通する共用スライダ13と、1本のネジ20の一端に取り付けられた調整ツマミ24とからなる。
そして、スライダ13は継手直角方向スライダ機構3と板厚方向スライダ機構4とで共用されており、継手直角方向スライダ機構3の1本のネジ10及び2本のガイドロッド11と板厚方向スライダ機構4の1本のネジ20及び2本のガイドロッド21とはスライダ13内で直交している。
【0010】
板厚方向ストッパ5とTIGトーチ7との間隔距離を調整したい場合は、継手直角方向スライダ機構3の調整ツマミ14を回すことによりおこなう。即ち、調整ツマミ14を回すと、スライダ13が継手直角方向に移動し、そのスライダ13に取り付けられている板厚方向スライダ機構4が結局は継手直角方向に移動するため、継手直角方向スライダ機構3に固定されているTIGトーチ7に対して板厚方向スライダ機構4に取り付けられているTIGトーチ7が継手直角方向に移動し、板厚方向ストッパ5とTIGトーチ7との間隔の微調整を行うことができる。
また、板厚方向スライダ機構4の調整ツマミ24を回すことにより、スライダ13が板厚方向に移動し、そのスライダ13に取り付けられている継手直角方向スライダ機構3が結局は板厚方向に移動する微調整を行うことができる。
【0011】
そこで、板厚方向スライダ機構4の調整ツマミ24を回し、TIGトーチ7をトーチ取付金具6を介して取り付けている板厚方向スライダ機構4を継手直角方向スライダ機構3に対して板厚方向に移動させ、継手直角方向スライダ機構3に垂下して設けられた板厚方向ストッパ5の先端より、TIGトーチ7の先端に取り付けられた電極先端が重ね継手15のメンブレンシートである下板15b側にくるように調整しておく。
そうすると、板厚方向ストッパ5の先端を重ね継手15のメンブレンシートである上板15aの表面に押し付ければ、TIGトーチ7の電極先端が板厚方向で継手15の下板15b側の位置にくるように位置決めすることができる。このとき、板厚方向ストッパ5は継手15の上板15a側を押すことになるため、重ね継手15のギャップを小さくする作用もある。
【0012】
また、本体フレーム1には図6に示すように、本体フレーム1の相対向する縦壁下端部に、 該下端部を重ね継手15の上板15aと下板15bとの段差分だけ切り欠いて継手直角方向の位置決めを行うための継手直角方向ストッパ部9を形成している。
この本体フレーム1の縦壁の下端部に形成した継手直角方向ストッパ部9を継手15の段差部に係合させることで、継ぎ手直角方向に対し、正確にTIGトーチ7の電極先端を所定の狙い角度位置に位置決めすることができる。
【0013】
図7は本発明の実施の形態1に係る継手仮付治具装置により仮付けされる重ね継手を示し、メンブレンの重ね継ぎ手の仮付け箇所は、図7に示すように平行部17だけでなく、凹凸を伴うコルゲーション部18もある。
また、本発明の継手仮付治具装置ではトーチ把持部7aが本体フレーム1に対して板厚方向直動ガイド機構2に沿って板厚方向に可動可能に移動できるようになっているため、図8に示すように平行部17と同様にコルゲーション部18の凹凸に対しても問題なく位置決めができる。
【0014】
次に、本発明の実施の形態1に係る継手仮付治具装置を用いてTIGトーチ7を位置決めする手順を図9に基づいて説明する。
図9の(a)に示すように、まずTIGトーチ7を把持し、重ね継手15の上板15aに継手仮付治具装置の本体フレーム1の下端を当てて図9の(b)に示す状態にする。
次に、継手垂直方向ストッパ9が重ね継手15の上板15aと下板15bとの段差部に当たるまで当該段差部に向けてスライドさせ、図9の(c)に示すような状態にする。
しかる後に、本体フレーム1を垂直に立てた状態で棒状の板厚方向ストッパ5が上板15aに当たるまでTIGトーチ7を下方に押し付け、図9の(d)に示すような状態にする。
このようにすることにより、TIGトーチ7の電極先端が重ね継手15に対して所定の狙い角度位置に再現性よく位置決めされる。
このように位置決めされたら、TIGトーチ7により仮付溶接を行う。
【0015】
実施の形態2.
図10は本発明の実施の形態2に係る継手仮付治具装置による位置決め手順を示す説明図である。
この実施の形態2は、引張バネ8の設ける位置が実施の形態1と異なるものである。
この実施の形態2では、引張バネ8の一端を継手直角方向スライダ機構3に係止させ、引張バネ8の他端を本体フレーム1の縦壁の下端側に係止させたものである。
次に、本発明の実施の形態2に係る継手仮付治具装置を用いてTIGトーチ7を位置決めする手順を図10に基づいて説明する。
図10の(a)に示すように、まずTIGトーチ7を把持し、重ね継手15の上板15aに板厚方向ストッパ5を押し当てて本体フレーム1の下端が上板15aに当たるまで押し付け、図10の(b)に示す状態にする。
次に、継手垂直方向ストッパ9が上板15aと下板15bとの段差部に当たるまで当該段差部に向けてスライドさせ、図10の(c)に示す状態にする。
このようにすることにより、TIGトーチ7の電極先端が重ね継手15に対してしょていの狙い角度位置に再現性よく位置決めされる。
このように位置決めされたら、TIGトーチ7により仮付溶接を行う。
【0016】
実施の形態3.
図11は、本発明の実施の形態3に係る同継手仮付治具装置の電気的構成を示す説明図、図12は同継手仮付治具装置の溶接電源とTIGトーチの回路構成図である。
実施の形態1は、TIGトーチ7の電極先端の位置決め後、トーチスイッチをオンさせてTIGアークをスタートさせるものであるが、 この実施の形態3では、TIGトーチ7の電極先端の位置決め後、自動的にTIGアークをスタートさせるようにしたものである。
実施の形態1と実質的に同様の構成は同一符号を付して重複した構成の説明を省略し相違する構成について説明する。
この実施の形態3では、継手仮付治具装置のステンレス製の板厚方向ストッパ5の先端部は、図11に示すように、途中に絶縁材19を介在させてステンレス製の本体フレーム1と絶縁状態に形成する。こうして、その板厚方向ストッパ5の先端部と本体フレーム1とで接触検知スイッチ41が構成されている。
【0017】
この継手仮付治具装置のTIG溶接電源装置30は、内部に切替スイッチ32を有する切替ボックス31と、昇圧トランス33とを有している。TIG溶接電源装置30の入力端子34には入力ケーブル35が接続され、昇圧トランス33に接続されている出力端子37にはTIG溶接トーチ7と母材側ケーブル38が接続されている。
切替ボックス31の電源側端子31aは入力端子34の一方と昇圧トランス33の一方の入力側に接続され、入力端子34の他方は昇圧トランス33の他方の入力側に接続されている。
また、切替ボックス31のトーチスイッチ側端子31bはトーチスイッチ40と接続され、切替ボックス31の接触検知スイッチ側端子31cは接触検知スイッチを構成する板厚方向ストッパ5の先端部と本体フレーム1に接続されている配線が接続されている。
そして、切替ボックス31の切替スイッチ32によってトーチスイッチ40又は接触検知スイッチ41の切替接続がなされ、切替接続されたトーチスイッチ40又は接触検知スイッチ41のオン・オフによって溶接電源のオン・オフ動作ができるように構成されている。
【0018】
図12に示すように、TIG溶接電源装置30の切替ボックス31で切替スイッチ32が接触検知スイッチ41側に接続されている場合、板厚方向ストッパ5が重ね継手15のメンブレンである上板15aに接触すると、接触検知スイッチ41がオンとなり、溶接電源がオンとなってTIGトーチ7と母材側との間に電圧が印加され、TIGアークによる仮付溶接が自動的に開始される。
このとき、接触検知スイッチ41がオンし続けても所定の時間が経過すれば溶接電源がオフとなるようなタイマをTIG溶接電源装置30に設けておけば、タイマの動作により安定した仮付ビードが得られる。
通常、このような接触検知スイッチ41を使用する場合、チャタリング現象が起こることがあるため、切替ボックス31内にチャタリング防止回路を設けると実用的な装置となる。
なお、接触検知スイッチ41による自動アークスタート機能を使用しない場合は、切替ボックス31で切替スイッチ32がトーチスイッチ40側に接続されるように切り替えておけば、トーチスイッチ40のオンにより、溶接電源がオンとなってTIGトーチ7と母材側との間に電圧が印加され、TIGアークによる仮付溶接が手動操作により開始される。
【0019】
上記実施の形態1〜3では、メンブレンの重ね継手溶接での仮付けを前提としているが、他の薄板の重ね継手溶接でも同様の効果が期待できる。
また、上記実施の形態1〜3、TIG溶接での仮付作業を前提としたが、マニュアルトーチ方式の溶接法であれば、溶接プロセスに依存せず適用できる。
さらに、仮付け時にトーチ先端が適正に位置決めされたことを認識するための接触検知スイッチを板厚方向ストッパ5の先端部と本体フレーム1とで構成しているが、別途近接スイッチやリミットスイッチを用いて実現してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1に係る継手仮付治具装置の使用状態を示す構成図。
【図2】同継手仮付治具装置を別の角度から見た使用状態を示す構成図。
【図3】同継手仮付治具装置のTIGトーチとスライダ調整機構を示す構成図。
【図4】同継手仮付治具装置の板厚方向スライダ機構と継手直角方向スライダ機構を示す構成図。
【図5】同継手仮付治具装置の板厚方向スライダ機構と継手直角方向スライダ機構を示す別の角度から見た構成図。
【図6】同継手仮付治具装置の継手直角方向ストッパ部による位置決め状態を示す説明図。
【図7】同継手仮付治具装置により仮付けされる重ね継手を示す斜視図。
【図8】同継手仮付治具装置が重ね継手のコルゲーション部を移行する状態を示す断面図。
【図9】同継手仮付治具装置による位置決め手順を示す説明図。
【図10】本発明の実施の形態2に係る継手仮付治具装置による位置決め手順を示す説明図。
【図11】本発明の実施の形態3に係る同継手仮付治具装置の電気的構成を示す説明図。
【図12】同継手仮付治具装置の溶接電源とTIGトーチの回路構成図。
【符号の説明】
【0021】
1 本体フレーム、2 板厚方向直動ガイド機構、3 継ぎ手直角方向スライダ機構(継手仮付治具本体、4 板厚方向スライダ機構、5 板厚方向ストッパ、6 トーチ取付金具、7 TIGトーチ、8 引張バネ、9 継手直角方向ストッパ部、15 重ね継手、15a 上板、15b 下板。
【技術分野】
【0001】
本発明は継手仮付治具装置、更に詳しくはメンブレン構造のLNG船或いはLNGタンクにおけるメンブレン等の薄板の重ね継手の仮付溶接施工を行う場合に使用する継手仮付治具装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に現状のメンブレン等の薄板の重ね継手の仮付施工では、手動TIGを用いているが、熟練技能者が手溶接と同様に、直接TIGトーチを操作しているため、以下の課題がある。
仮付け作業の訓練は3〜4ヶ月の長期間に亘り、多大な訓練コストが必要となる。また、熟練者でも、TIGトーチによるアークでの仮付け時にアークを出すときには遮光板を付けるために一瞬目を離すために、正確にTIGトーチの電極の狙い位置を保持することが困難であるという問題があった。
そこで、薄板の重ね継手の仮付施工の際に、TIGトーチの電極の狙い位置を正確に保持するようにした仮付用の治具に相当するものをを適用した従来例としては以下のようなものがある。
かかる従来の低温貯槽のメンブレン接合方法は、メンブレンの重ね部を粘着テープで仮付け接着し、その後にメンブレンの隅肉部分を本溶接するものである(例えば、特許文献1参照)。
なお、本溶接に関する従来の自動溶接装置としては、コルゲーション上に配置された溶接トーチ移動装置により溶接トーチの向きと位置を調整することにより、コーナープレートとメンブレンシートとを溶接するものがある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平5−245630号公報(第1頁、図1)
【特許文献2】特開平7−256452号公報(第1頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載の従来の低温貯槽のメンブレン接合方法のメンブレンの重ね部を粘着テープで仮付け接着するものでは、施工要領で規定されている許容GAP以下に仮付けすることが困難であると同時に、LNG船の場合、船級の承認を必要とするが、特にコルゲーション部等で塑性変形がある場合などには適用できないため、船級の承認を得ることができないという問題があった。
また、特許文献2に記載の従来の自動溶接装置は仮付け溶接ではなく本溶接に関するものであり、コルゲーション部の本溶接を行うことはできないものであった。
本発明はかかる問題点を解決するためになされたもので、重ね継手の仮付け溶接を行う場合に熟練者でなくてもTIGトーチを所定の倣い角度位置に容易に位置決めでき、仮付溶接を容易に施工できる継手仮付治具装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る継手仮付治具装置は、コ字状に形成され、相対向する一対の縦壁を有する本体フレームと、該本体フレームの一方の縦壁の内側に取り付けられた継手仮付治具本体と、該継手仮付治具本体に垂下するよう取り付けられ、先端が前記本体フレームの下端から突出する棒状の板厚方向ストッパと、前記継手仮付治具本体に、先端電極が薄板の重ね継手に対して所定の狙い角度位置に設定され、且つ板厚方向ストッパの先端より上方に位置するように取り付けられたTIG溶接トーチと、前記本体フレームの一対の縦壁の下端部に形成され、前記板厚方向ストッパの先端が重ね継手の上板に当接した状態の時に重ね継手の上板と下板との段差部に係合する継手直角方向ストッパ部とを備えてなる。
【発明の効果】
【0005】
本発明に係る継手仮付治具装置においては、コ字状に形成され、相対向する一対の縦壁を有する本体フレームと、該本体フレームの一方の縦壁の内側に取り付けられた継手仮付治具本体と、該継手仮付治具本体に垂下するよう取り付けられ、先端が前記本体フレームの下端から突出する棒状の板厚方向ストッパと、前記継手仮付治具本体に、先端電極が薄板の重ね継手に対して所定の狙い角度位置に設定され、且つ板厚方向ストッパの先端より上方に位置するように取り付けられたTIGトーチと、前記本体フレームの一対の縦壁の下端部に形成され、前記板厚方向ストッパの先端が重ね継手の上板に当接した状態の時に重ね継手の上板と下板との段差部に係合する継手直角方向ストッパ部とを備えてなるので、コンパクトでシンプルな構造であり、通常の手動TIGトーチを利用することができる。
また、薄板重ね継手に仮付溶接を行う場合に、TIGトーチを把持して重ね継手の上板に本体フレームの下端を当て、次に本体フレームに形成されている継手直角方向ストッパ部が重ね継手の上板と下板との段差部に係合するまで該段差部に向けてスライドさせ、該継手直角方向ストッパ部が重ね継手の段差部に係合させると共に本体フレームに取り付け固定された継手仮付治具本体から垂下する棒状の板厚方向ストッパの先端が重ね継手の上板に当接させられるときには、熟練者でなくても継手仮付治具本体に取り付けられた溶接トーチの先端電極が重ね継手に対して所定の狙い角度位置に位置決めされることとなり、その後にTIGトーチで行う仮付溶接を容易に施工でき、安定した仮付施工品を得ることができるという効果がある。
従って、本発明の継手仮付治具装置を使用することにより、仮付技能者の訓練期間の短縮が図られ、経済的効果が期待できるものである。
また、TIGトーチは汎用品を使用でき、継手仮付治具装置以外のコストは発生しないものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る継手仮付治具装置の使用状態を示す構成図、図2は同継手仮付治具装置を別の角度から見た使用状態を示す構成図、図3は同継手仮付治具装置のTIGトーチとスライダ調整機構とを示す構成図、図4は同継手仮付治具装置の板厚方向スライダ機構と継手直角方向スライダ機構を示す構成図、図5は同継手仮付治具装置の板厚方向スライダ機構と継手直角方向スライダ機構を示す別の角度から見た構成図、図6は同継手仮付治具装置の継手直角方向ストッパ部による位置決め状態を示す説明図、図7は同継手仮付治具装置により仮付けされる重ね継手を示す斜視図、図8は同継手仮付治具装置が重ね継手のコルゲーション部を移行する状態を示す断面図、図9は同継手仮付治具装置による位置決め手順を示す説明図である。
【0007】
図1〜図5において、本発明の実施の形態1に係る継手仮付治具装置は、コ字状ステンレス製の本体フレーム1と、本体フレーム1の一方の縦壁に固定された板厚方向直動ガイド機構2と、板厚方向直動ガイド機構2に板厚方向に可動自在に取り付けられ、水平な継手直角方向にスライドする継手仮付治具本体を兼ねる継手直角方向スライダ機構3と、継手直角方向スライダ機構3に直交して取り付けられ、板厚方向にスライドする板厚方向スライダ機構4と、継手直角方向スライダ機構3に垂下して設けられた板厚方向ストッパ5と、板厚方向スライダ機構4の下部にトーチ取付金具6を介して取り付けられたTIGトーチ7と、一端が本体フレーム1の天面に係止され、他端が板厚方向スライダ機構4に係止され、TIGトーチ7を引っ張り上げている引張バネ8とから構成されている。
そのTIGトーチ7はTIG溶接電源(図示省略)につながっている。
【0008】
TIGトーチ7のトーチ把持部7aがトーチ取付金具6を介して板厚方向スライダ機構4の下部に取り付けられ、引張バネ8で本体フレーム1の上方へ引っ張られている。
従って、仮付け操作時以外は、TIGトーチ7のトーチ先端が本体フレーム7内に格納され、トーチ先端及びトーチ先端に取り付けられている電極が破損しないように保護されている。
【0009】
継手直角方向スライダ機構3は、図3〜図5に示すように、1本のネジ10の両端を螺回自在に支持すると共に2本のガイドロッド11の両端を支持するコ字状のスライダ受け部材12と、1本のネジ10に螺回自在に取り付けられると共に2本のガイドロッド11が挿通する共用スライダ13と、1本のネジ10の一端に取り付けられた調整ツマミ14とからなる。
また、板厚方向スライダ機構4も、図3〜図5に示すように、1本のネジ20の両端を螺回自在に支持すると共に2本のガイドロッド21の両端を支持するコ字状のスライダ受け部材22と、1本のネジ20に螺回自在に取り付けられると共に2本のガイドロッド21が挿通する共用スライダ13と、1本のネジ20の一端に取り付けられた調整ツマミ24とからなる。
そして、スライダ13は継手直角方向スライダ機構3と板厚方向スライダ機構4とで共用されており、継手直角方向スライダ機構3の1本のネジ10及び2本のガイドロッド11と板厚方向スライダ機構4の1本のネジ20及び2本のガイドロッド21とはスライダ13内で直交している。
【0010】
板厚方向ストッパ5とTIGトーチ7との間隔距離を調整したい場合は、継手直角方向スライダ機構3の調整ツマミ14を回すことによりおこなう。即ち、調整ツマミ14を回すと、スライダ13が継手直角方向に移動し、そのスライダ13に取り付けられている板厚方向スライダ機構4が結局は継手直角方向に移動するため、継手直角方向スライダ機構3に固定されているTIGトーチ7に対して板厚方向スライダ機構4に取り付けられているTIGトーチ7が継手直角方向に移動し、板厚方向ストッパ5とTIGトーチ7との間隔の微調整を行うことができる。
また、板厚方向スライダ機構4の調整ツマミ24を回すことにより、スライダ13が板厚方向に移動し、そのスライダ13に取り付けられている継手直角方向スライダ機構3が結局は板厚方向に移動する微調整を行うことができる。
【0011】
そこで、板厚方向スライダ機構4の調整ツマミ24を回し、TIGトーチ7をトーチ取付金具6を介して取り付けている板厚方向スライダ機構4を継手直角方向スライダ機構3に対して板厚方向に移動させ、継手直角方向スライダ機構3に垂下して設けられた板厚方向ストッパ5の先端より、TIGトーチ7の先端に取り付けられた電極先端が重ね継手15のメンブレンシートである下板15b側にくるように調整しておく。
そうすると、板厚方向ストッパ5の先端を重ね継手15のメンブレンシートである上板15aの表面に押し付ければ、TIGトーチ7の電極先端が板厚方向で継手15の下板15b側の位置にくるように位置決めすることができる。このとき、板厚方向ストッパ5は継手15の上板15a側を押すことになるため、重ね継手15のギャップを小さくする作用もある。
【0012】
また、本体フレーム1には図6に示すように、本体フレーム1の相対向する縦壁下端部に、 該下端部を重ね継手15の上板15aと下板15bとの段差分だけ切り欠いて継手直角方向の位置決めを行うための継手直角方向ストッパ部9を形成している。
この本体フレーム1の縦壁の下端部に形成した継手直角方向ストッパ部9を継手15の段差部に係合させることで、継ぎ手直角方向に対し、正確にTIGトーチ7の電極先端を所定の狙い角度位置に位置決めすることができる。
【0013】
図7は本発明の実施の形態1に係る継手仮付治具装置により仮付けされる重ね継手を示し、メンブレンの重ね継ぎ手の仮付け箇所は、図7に示すように平行部17だけでなく、凹凸を伴うコルゲーション部18もある。
また、本発明の継手仮付治具装置ではトーチ把持部7aが本体フレーム1に対して板厚方向直動ガイド機構2に沿って板厚方向に可動可能に移動できるようになっているため、図8に示すように平行部17と同様にコルゲーション部18の凹凸に対しても問題なく位置決めができる。
【0014】
次に、本発明の実施の形態1に係る継手仮付治具装置を用いてTIGトーチ7を位置決めする手順を図9に基づいて説明する。
図9の(a)に示すように、まずTIGトーチ7を把持し、重ね継手15の上板15aに継手仮付治具装置の本体フレーム1の下端を当てて図9の(b)に示す状態にする。
次に、継手垂直方向ストッパ9が重ね継手15の上板15aと下板15bとの段差部に当たるまで当該段差部に向けてスライドさせ、図9の(c)に示すような状態にする。
しかる後に、本体フレーム1を垂直に立てた状態で棒状の板厚方向ストッパ5が上板15aに当たるまでTIGトーチ7を下方に押し付け、図9の(d)に示すような状態にする。
このようにすることにより、TIGトーチ7の電極先端が重ね継手15に対して所定の狙い角度位置に再現性よく位置決めされる。
このように位置決めされたら、TIGトーチ7により仮付溶接を行う。
【0015】
実施の形態2.
図10は本発明の実施の形態2に係る継手仮付治具装置による位置決め手順を示す説明図である。
この実施の形態2は、引張バネ8の設ける位置が実施の形態1と異なるものである。
この実施の形態2では、引張バネ8の一端を継手直角方向スライダ機構3に係止させ、引張バネ8の他端を本体フレーム1の縦壁の下端側に係止させたものである。
次に、本発明の実施の形態2に係る継手仮付治具装置を用いてTIGトーチ7を位置決めする手順を図10に基づいて説明する。
図10の(a)に示すように、まずTIGトーチ7を把持し、重ね継手15の上板15aに板厚方向ストッパ5を押し当てて本体フレーム1の下端が上板15aに当たるまで押し付け、図10の(b)に示す状態にする。
次に、継手垂直方向ストッパ9が上板15aと下板15bとの段差部に当たるまで当該段差部に向けてスライドさせ、図10の(c)に示す状態にする。
このようにすることにより、TIGトーチ7の電極先端が重ね継手15に対してしょていの狙い角度位置に再現性よく位置決めされる。
このように位置決めされたら、TIGトーチ7により仮付溶接を行う。
【0016】
実施の形態3.
図11は、本発明の実施の形態3に係る同継手仮付治具装置の電気的構成を示す説明図、図12は同継手仮付治具装置の溶接電源とTIGトーチの回路構成図である。
実施の形態1は、TIGトーチ7の電極先端の位置決め後、トーチスイッチをオンさせてTIGアークをスタートさせるものであるが、 この実施の形態3では、TIGトーチ7の電極先端の位置決め後、自動的にTIGアークをスタートさせるようにしたものである。
実施の形態1と実質的に同様の構成は同一符号を付して重複した構成の説明を省略し相違する構成について説明する。
この実施の形態3では、継手仮付治具装置のステンレス製の板厚方向ストッパ5の先端部は、図11に示すように、途中に絶縁材19を介在させてステンレス製の本体フレーム1と絶縁状態に形成する。こうして、その板厚方向ストッパ5の先端部と本体フレーム1とで接触検知スイッチ41が構成されている。
【0017】
この継手仮付治具装置のTIG溶接電源装置30は、内部に切替スイッチ32を有する切替ボックス31と、昇圧トランス33とを有している。TIG溶接電源装置30の入力端子34には入力ケーブル35が接続され、昇圧トランス33に接続されている出力端子37にはTIG溶接トーチ7と母材側ケーブル38が接続されている。
切替ボックス31の電源側端子31aは入力端子34の一方と昇圧トランス33の一方の入力側に接続され、入力端子34の他方は昇圧トランス33の他方の入力側に接続されている。
また、切替ボックス31のトーチスイッチ側端子31bはトーチスイッチ40と接続され、切替ボックス31の接触検知スイッチ側端子31cは接触検知スイッチを構成する板厚方向ストッパ5の先端部と本体フレーム1に接続されている配線が接続されている。
そして、切替ボックス31の切替スイッチ32によってトーチスイッチ40又は接触検知スイッチ41の切替接続がなされ、切替接続されたトーチスイッチ40又は接触検知スイッチ41のオン・オフによって溶接電源のオン・オフ動作ができるように構成されている。
【0018】
図12に示すように、TIG溶接電源装置30の切替ボックス31で切替スイッチ32が接触検知スイッチ41側に接続されている場合、板厚方向ストッパ5が重ね継手15のメンブレンである上板15aに接触すると、接触検知スイッチ41がオンとなり、溶接電源がオンとなってTIGトーチ7と母材側との間に電圧が印加され、TIGアークによる仮付溶接が自動的に開始される。
このとき、接触検知スイッチ41がオンし続けても所定の時間が経過すれば溶接電源がオフとなるようなタイマをTIG溶接電源装置30に設けておけば、タイマの動作により安定した仮付ビードが得られる。
通常、このような接触検知スイッチ41を使用する場合、チャタリング現象が起こることがあるため、切替ボックス31内にチャタリング防止回路を設けると実用的な装置となる。
なお、接触検知スイッチ41による自動アークスタート機能を使用しない場合は、切替ボックス31で切替スイッチ32がトーチスイッチ40側に接続されるように切り替えておけば、トーチスイッチ40のオンにより、溶接電源がオンとなってTIGトーチ7と母材側との間に電圧が印加され、TIGアークによる仮付溶接が手動操作により開始される。
【0019】
上記実施の形態1〜3では、メンブレンの重ね継手溶接での仮付けを前提としているが、他の薄板の重ね継手溶接でも同様の効果が期待できる。
また、上記実施の形態1〜3、TIG溶接での仮付作業を前提としたが、マニュアルトーチ方式の溶接法であれば、溶接プロセスに依存せず適用できる。
さらに、仮付け時にトーチ先端が適正に位置決めされたことを認識するための接触検知スイッチを板厚方向ストッパ5の先端部と本体フレーム1とで構成しているが、別途近接スイッチやリミットスイッチを用いて実現してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1に係る継手仮付治具装置の使用状態を示す構成図。
【図2】同継手仮付治具装置を別の角度から見た使用状態を示す構成図。
【図3】同継手仮付治具装置のTIGトーチとスライダ調整機構を示す構成図。
【図4】同継手仮付治具装置の板厚方向スライダ機構と継手直角方向スライダ機構を示す構成図。
【図5】同継手仮付治具装置の板厚方向スライダ機構と継手直角方向スライダ機構を示す別の角度から見た構成図。
【図6】同継手仮付治具装置の継手直角方向ストッパ部による位置決め状態を示す説明図。
【図7】同継手仮付治具装置により仮付けされる重ね継手を示す斜視図。
【図8】同継手仮付治具装置が重ね継手のコルゲーション部を移行する状態を示す断面図。
【図9】同継手仮付治具装置による位置決め手順を示す説明図。
【図10】本発明の実施の形態2に係る継手仮付治具装置による位置決め手順を示す説明図。
【図11】本発明の実施の形態3に係る同継手仮付治具装置の電気的構成を示す説明図。
【図12】同継手仮付治具装置の溶接電源とTIGトーチの回路構成図。
【符号の説明】
【0021】
1 本体フレーム、2 板厚方向直動ガイド機構、3 継ぎ手直角方向スライダ機構(継手仮付治具本体、4 板厚方向スライダ機構、5 板厚方向ストッパ、6 トーチ取付金具、7 TIGトーチ、8 引張バネ、9 継手直角方向ストッパ部、15 重ね継手、15a 上板、15b 下板。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コ字状に形成され、相対向する一対の縦壁を有する本体フレームと、
該本体フレームの一方の縦壁の内側に取り付けられた継手仮付治具本体と、
該継手仮付治具本体に垂下するよう取り付けられ、先端が前記本体フレームの下端から突出する棒状の板厚方向ストッパと、
前記継手仮付治具本体に、先端電極が薄板の重ね継手に対して所定の狙い角度位置に設定され、且つ板厚方向ストッパの先端より上方に位置するように取り付けられたTIGトーチと、
前記本体フレームの一対の縦壁の下端部に形成され、前記板厚方向ストッパの先端が重ね継手の上板に当接した状態の時に重ね継手の上板と下板との段差部に係合する継手直角方向ストッパ部と、
を備えてなることを特徴とする継手仮付治具装置。
【請求項2】
前記本体フレームに板厚方向直動ガイド機構を取り付け、該板厚方向直動ガイド機構に前記継手仮付治具本体を板厚方向に可動自在に取り付け、前記本体フレームと前記継手仮付治具本体との間に前記本体フレーム内に前記TIG溶接トーチが常時は収納されるようにバネを張設したことを特徴とする請求項1記載の継手仮付治具装置。
【請求項3】
前記継手仮付治具本体に、継手直角方向と板厚方向にスライド調整可能なスライド機構を介して前記TIGトーチが取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の継手仮付治具装置。
【請求項4】
前記板厚方向ストッパは途中に絶縁材を介して先端部が本体フレームと絶縁状態に形成され、該板厚方向ストッパの先端部と本体フレームとで接触検知スイッチを構成していることを特徴とする請求項1〜3記載の継手仮付治具装置。
【請求項5】
前記溶接トーチ及び母材側ケーブルと、これらに溶接電源を供給する溶接電源装置との間にトーチスイッチ又は前記接触検知スイッチを介在させるよう切替ることができる切替ボックスを設けたことを特徴とする請求項4記載の継手仮付治具装置。
【請求項1】
コ字状に形成され、相対向する一対の縦壁を有する本体フレームと、
該本体フレームの一方の縦壁の内側に取り付けられた継手仮付治具本体と、
該継手仮付治具本体に垂下するよう取り付けられ、先端が前記本体フレームの下端から突出する棒状の板厚方向ストッパと、
前記継手仮付治具本体に、先端電極が薄板の重ね継手に対して所定の狙い角度位置に設定され、且つ板厚方向ストッパの先端より上方に位置するように取り付けられたTIGトーチと、
前記本体フレームの一対の縦壁の下端部に形成され、前記板厚方向ストッパの先端が重ね継手の上板に当接した状態の時に重ね継手の上板と下板との段差部に係合する継手直角方向ストッパ部と、
を備えてなることを特徴とする継手仮付治具装置。
【請求項2】
前記本体フレームに板厚方向直動ガイド機構を取り付け、該板厚方向直動ガイド機構に前記継手仮付治具本体を板厚方向に可動自在に取り付け、前記本体フレームと前記継手仮付治具本体との間に前記本体フレーム内に前記TIG溶接トーチが常時は収納されるようにバネを張設したことを特徴とする請求項1記載の継手仮付治具装置。
【請求項3】
前記継手仮付治具本体に、継手直角方向と板厚方向にスライド調整可能なスライド機構を介して前記TIGトーチが取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の継手仮付治具装置。
【請求項4】
前記板厚方向ストッパは途中に絶縁材を介して先端部が本体フレームと絶縁状態に形成され、該板厚方向ストッパの先端部と本体フレームとで接触検知スイッチを構成していることを特徴とする請求項1〜3記載の継手仮付治具装置。
【請求項5】
前記溶接トーチ及び母材側ケーブルと、これらに溶接電源を供給する溶接電源装置との間にトーチスイッチ又は前記接触検知スイッチを介在させるよう切替ることができる切替ボックスを設けたことを特徴とする請求項4記載の継手仮付治具装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−229686(P2008−229686A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−74421(P2007−74421)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(502116922)ユニバーサル造船株式会社 (172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(502116922)ユニバーサル造船株式会社 (172)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]