説明

線維芽細胞増殖因子受容体が仲介する障害の処置法

【課題】線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)が仲介する障害、特に8p11骨髄増殖性症候群(EMS)などを有する温血動物の処置法、ならびに、局在的な新軟骨形成を促進する方法、ならびに肝細胞癌腫、肺癌、とりわけ肺腺癌、口部扁平細胞癌腫または食道扁平細胞癌腫、またはこのような疾患の2種またはそれ以上の組み合わせの処置法を提供すること。
【解決手段】式(I)


〔式中、R、R、R、R、X、X、Y、Zおよびnは明細書中に定義の通りである。〕の化合物を投与することにより解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)が仲介する障害、特に8p11骨髄増殖性症候群(EMS)、下垂体腫瘍、網膜芽細胞腫、滑膜肉腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、脂漏性角化症、肥満、糖尿病および関連障害、常染色体優性低リン血症性くる病(ADHR)、X染色体関連低リン血症性くる病(XLH)、腫瘍誘発骨軟化症(TIO)および線維性骨異形成症(FD)を有する温血動物の処置法、ならびに、局在的な新軟骨形成を促進する方法、ならびに肝細胞癌腫、肺癌、とりわけ肺腺癌、口部扁平細胞癌腫または食道扁平細胞癌腫、またはこのような疾患の2種またはそれ以上の組み合わせの処置法に関する。
【背景技術】
【0002】
正常な増殖、ならびに組織修復およびリモデリングは、活性化増殖因子およびそれらの受容体の特異的で繊細な制御を必要とする。線維芽細胞増殖因子(FGF)は、発達的に制御され、広範な組織において発現される20を超える構造的に関連したポリペプチドのファミリーを構成する。FGFは増殖、細胞遊走および分化を刺激し、骨格および肢発達、創傷治癒、組織修復、造血、血管形成および腫瘍発生において重要な役割を有する(Ornitz, Novartis Found Svmp 232: 63-76;discussion 76-80, 272-82 (2001)にレビュー)。
【0003】
W02006/000420は、FGFRキナーゼ活性の阻害剤として、下記に定義の式(I)のウレア誘導体を開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明により、W02006/000420に明示され、定義された通りの式(I)のウレア誘導体が、ここに記載の障害の処置に適することが、判明した。故に、本発明は、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)が仲介する障害、特に8p11骨髄増殖性症候群(EMS)、下垂体腫瘍、網膜芽細胞腫、滑膜肉腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、脂漏性角化症、肥満、糖尿病および関連障害、常染色体優性低リン血症性くる病(ADHR)、X染色体関連低リン血症性くる病(XLH)、腫瘍誘発骨軟化症(TIO)または線維性骨異形成症(FD)を有する温血動物の処置法、または肝細胞癌腫、肺癌、とりわけ肺腺癌、口部扁平細胞癌腫または食道扁平細胞癌腫、またはこのような疾患の2種またはそれ以上の組み合わせの処置法であって、該温血動物に、式(I)
式(I)
【化1】

〔式中、
nは0、1、2、3、4または5であり;
X、YおよびZは各々独立してNまたはC−Rから選択され、ここでX、YおよびZの少なくとも2個がNであり;そして
は酸素であり、
、R、RおよびRは、存在するならば、独立して有機または無機部分から選択され、
ここで、該無機部分は、とりわけハロ、とりわけクロロ、ヒドロキシル、シアノ、アゾ(N=N=N)、ニトロから選択され;そして
該有機部分は、置換または非置換であり、リンカー、−L−を介して結合していてよく、該有機部分はとりわけ水素;低級脂肪族(とりわけC、C、CまたはC脂肪族)、例えば低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル;アミノ;グアニジノ;ヒドロキシグアニジノ;ホルムアミジノ;イソチオウレイド;ウレイド;メルカプト;カルボキシ;スルホ;スルファモイル;カルバモイル;C(O)Hまたは他のアシル;アシルオキシ;置換ヒドロキシ;置換または非置換環状基から選択され、例えば該環状基(置換されていてもいなくても)は、シクロアルキル、例えばシクロヘキシル、フェニル、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソキサゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピリジル、インドール、イソインドール、インダゾール、プリン、インドリジジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、プテリジン、キノリジジン、ピペリジル、ピペラジニル、ピロリジン、モルホリニルまたはチオモルホリニルであってよく、そして、例えば、置換低級脂肪族または置換ヒドロキシはこのような置換または非置換環状基で置換されていてよく、
【0005】
そして−L−は1個、2個、3個、4個または5個の鎖内原子(例えばC、N、OおよびSから選択される)を有し、(i)C、C、CまたはCアルキル(このようなアルキル基は、所望により−O−、−C(O)−または−NR−架橋で中断および/または終了していてよい);−O−;−S−;−C(O)−;シクロプロピル(2個の鎖内原子を有すると見なす)およびそれらの化学的に適切な組み合わせ;ならびに−NR−(ここで、Rは水素、ヒドロキシ、ヒドロカルビルオキシまたはヒドロカルビルであり、ここで、ヒドロカルビルは所望により−O−または−NH−架橋で中断されていてよく、例えば、脂肪族基(例えば1個から7個、例えば1個、2個、3個、または4個の炭素原子を有する)、シクロアルキル、とりわけシクロヘキシル、シクロアルケニル、とりわけシクロヘキセニル、または他の炭素環式基、例えばフェニルであってよく;ここで、該ヒドロカルビル部分は置換または非置換である)から選択され;
【0006】
はまた−X5NR、−X5NRX5NR、−X5NRX5C(O)OR、−X5OR、−X5Rおよび−X5S(O)0−2であってもよく;ここで、X5は結合または所望により1〜2個のC1−6アルキルラジカルで置換されているC1−4アルキレンであり;Rは水素、C1−6アルキル、C6−10アリール−C0−4アルキル、C5−10ヘテロアリール−C0−4アルキル、C3−10シクロアルキル−C0−4アルキルおよびC3−10ヘテロシクロアルキル−C0−4アルキルから選択され;そしてRは水素およびC1−6アルキルから選択されるか;またはRおよびRは、RとRの両方が結合している窒素と一体となってヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルを形成し;
ここで、RまたはRとRの組み合わせ中の任意のアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルは、所望によりハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−置換−アルキル、ハロ−置換−アルコキシ、−X5NR10、−X5OR、−X5NRS(O)10、−X5NRS(O)R10、−X5NRSR10、−X5C(O)NR10、−X5NRC(O)NR10、−X5NRC(O)R10、−X5NRX5NR10、−X5NRX5OR、−X5NRC(=NR)NR10、−X5S(O)0−211、−X5NRC(O)R10、−X5NRC(O)R11、−X5R11、−X5C(O)OR10、−X5S(O)NR10、−X5S(O)NR10および−X5SNR10から独立して選択される1〜3個のラジカルで置換されていてよく;ここで、X5は結合またはC1−4アルキレンであり;RおよびR10は独立して水素およびC1−4アルキルから選択され;そしてR11は所望によりC1−4アルキル、−X5NRX5NR、X5NRX5ORおよび−X5ORから選択される1〜3個のラジカルで置換されているC3−10ヘテロシクロアルキルであり;
ここでRはまた別に水素、C1−4アルキル、C6−10アリール−C0−4アルキル、C5−10ヘテロアリール−C0−4アルキル、C3−10シクロアルキル−C0−4アルキルおよびC3−10ヘテロシクロアルキル−C0−4アルキルであってよく;ここで、Rの任意のアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルは、所望によりハロ、C1−4アルキル、−X5S(O)0−2NR10および−X5ORから選択される1〜3個のラジカルで置換されており;ここで、X5、RおよびR10は上記の通りであり;
各Rは、同一または異なり、有機または無機部分から選択され、例えば、各Rは、同一または異なり、ハロゲン;ヒドロキシ;保護ヒドロキシ、例えばトリアルキルシリルヒドロキシ;アミノ;アミジノ;グアニジン;ヒドロキシグアニジノ;ホルムアミジノ;イソチオウレイド;ウレイド;メルカプト;C(O)Hまたは他のアシル;アシルオキシ;カルボキシ;スルホ;スルファモイル;カルバモイル;シアノ;アゾ;ニトロ;所望により1個以上のハロゲンおよび/またはヒドロキシ、保護ヒドロキシ、例えばトリアルキルシリルヒドロキシ、アミノ、アミジノ、グアニジノ、ヒドロキシグアニジノ、ホルムアミジノ、イソチオウレイド、ウレイド、メルカプト、C(O)Hまたは他のアシル、アシルオキシ、カルボキシ、スルホ、スルファモイル、カルバモイル、シアノ、アゾ、またはニトロから選択される1個もしくは2個の官能基で置換されているC−C脂肪族から選択され;上記ヒドロキシ、アミノ、アミジノ、グアニジノ、ヒドロキシグアニジノ、ホルムアミジノ、イソチオウレイド、ウレイド、メルカプト、カルボキシ、スルホ、スルファモイルおよびカルバモイル基の全て、所望により少なくとも1個のヘテロ原子を、1個、または可能であればそれ以上のC−C脂肪族基で置換されており、ここでラジカルRの1個はまた
【化2】

であってよく、ここで、Lはリンカーであり;mは0、1、2、3、4または5であり;Lはリンカーであり;そしてR16は、存在するならば、各々独立して有機または無機部分から選択され、
ここで、該無機部分は、とりわけハロ、とりわけクロロ、ヒドロキシル、シアノ、アゾ(N=N=N)、ニトロから選択され;そして
【0007】
該有機部分は、置換または非置換であり、リンカー、−L−を介して結合していてよく、該有機部分はとりわけ水素;低級脂肪族(とりわけC、C、CまたはC脂肪族)例えば低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル;アミノ;グアニジン;ヒドロキシグアニジノ;ホルムアミジノ;イソチオウレイド;ウレイド;メルカプト;C(O)Hまたは他のアシル;アシルオキシ;置換ヒドロキシ;カルボキシ;スルホ;スルファモイル;カルバモイル;置換または非置換環状基から選択され、例えば該環状基(置換されていてもいなくても)は、シクロアルキル、例えばシクロヘキシル、フェニル、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソキサゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピリジル、インドール、イソインドール、インダゾール、プリン、インドリジジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、プテリジン、キノリジジン、ピペリジル、ピペラジニル、ピロリジン、モルホリニルまたはチオモルホリニルであってよく、そして、例えば、置換低級脂肪族または置換ヒドロキシはこのような置換または非置換環状基で置換されていてよく、
およびLは各々独立して1個、2個、3個、4個または5個の鎖内原子(例えばC、N、OおよびSから選択される)を有し、所望により(i)C、C、CまたはCアルキル(このようなアルキル基は、所望により−O−、−C(O)−または−NR−結合で中断および/または終了していてよい);−O−;−S−;−C(O)−;シクロプロピル(2個の鎖内原子を有すると見なす)およびそれらの化学的に適切な組み合わせ;ならびに−NR−(ここで、Rは水素、ヒドロキシ、ヒドロカルビルオキシまたはヒドロカルビルであり、ここで、ヒドロカルビルは所望により−O−または−NH−結合で中断されていてよく、例えば、脂肪族基((例えば1個から7個、例えば1個、2個、3個、または4個の炭素原子を有する)、シクロアルキル、とりわけシクロヘキシル、シクロアルケニル、とりわけシクロヘキセニル、または他の炭素環式基、例えばフェニルであってよく;ここで、該ヒドロカルビル部分は置換または非置換である)から選択されるか;または
はラジカル−NHC(O)R45であり、ここで、R45はC6−10アリール−C0−4アルキル、C5−10ヘテロアリール−C0−4アルキル、C3−10シクロアルキル−C0−4アルキルおよびC3−10ヘテロシクロアルキル−C0−4アルキルから選択され;ここで、R45の任意のアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルは、所望によりハロ、ヒドロキシ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロ−置換−C1−4アルキル、ハロ−置換−C1−4アルコキシおよびCヘテロシクロC0−4アルキルから選択されるラジカルで置換されており;ここで、Rの任意のヘテロシクロアルキル置換基は、所望により1〜3個のC1−4アルキルラジカルで置換されている。〕
のウレア誘導体またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、エステル、N−オキシド保護誘導体、個々の異性体および異性体混合物またはそのプロドラッグを、該障害に対する治療的に有効な量で投与することを含む、方法に関する。
【0008】
本明細書において記号およびラジカルの定義に用いる用語は、W02006/000420に記載の通りの意味を有する。
【0009】
FGF−R座位に関連し、FGR−R1の活性化形態をもたらす染色体転座は8p11骨髄増殖性症候群=好酸球性骨髄増殖性症候群(EMS)の原因であることが報告されている(D. Macdonald et al., Cross NCP (2002)Acta Haernatologica 107: 101-107参照)。
【0010】
酸性線維芽細胞増殖因子(とりわけFGF−1)およびFGFR1はまた、FGF−1との結合により増殖に至る、網膜芽細胞腫における異常なシグナル伝達に関連することも記載されている(例えばS. Siffroi-Fernandez et al., Arch. Ophthalmology 123, 368-376 (2005)参照)。滑膜肉腫の増殖は、線維芽細胞増殖因子シグナル伝達経路の破壊により阻害されることが示されている(例えばT. Ishibe et al., Clin. Cancer Res. 11(7), 2702-2712 (2005)参照)。
【0011】
FGFR、とりわけFGFR1の増加した(とりわけ気管支)発現が、慢性閉塞性肺疾患(COPD)と関連することが報告されている(例えばA. Kranenburg et al., J. Pathol, 206, 28-38 (2005)参照)。
【0012】
FGFR、とりわけFGFR1またはFGFR4に拮抗する方法は、肥満、糖尿病および/またはそれらに関連する障害、例えばメタボリック・シンドローム、心血管疾患、高血圧、異常なコレステロールおよびトリグリセリド濃度、皮膚障害(例えば感染、静脈瘤、黒色表皮腫、湿疹、運動不耐性、2型糖尿病、インスリン抵抗性、高コレステロール血漿、胆石症、整形傷害、血栓塞栓性疾患、冠血管または血管閉塞(例えばアテローム性動脈硬化症)、日中の眠気、睡眠時無呼吸、末期腎臓疾患、胆嚢疾患、痛風、熱障害、障害された免疫応答、障害された呼吸器機能、創傷後の感染、不妊症、肝臓疾患、背下部痛、産科および婦人科合併症、膵炎、卒中、手術合併症、腹圧性尿失禁および/または消化器障害の処置に有用であることも記載されている(例えばWO2005/037235A2参照)。
【0013】
FGFR3および他のFGFR(とりわけ例えば異常なFGF23血清レベル)により促進される疾患の中で、さらに常染色体優性低リン血症性くる病(ADHR)、X染色体関連低リン血症性くる病((XLH)、腫瘍誘発骨軟化症(TIO)、線維性骨異形成症(FD)が記載されている(X. Yu et al., Cytokine & Growth Factor Reviews 16, 221-232 (2005)およびX. Yu et al., Therapeutic Apheresis and Dialysis 9_(4), 308-312 (2005)もまた参照)。
【0014】
ある種のキナーゼ阻害剤を軟骨に局所的に投与することを含む、哺乳動物における軟骨の局在的な新軟骨形成を促進する方法は、WO2006/038112に記載されている。驚くべきことに、ここで定義の式(I)の化合物を同じ方法で使用できることが本発明により判明した。故に、本発明はまた、哺乳動物における軟骨の局在的な新軟骨形成を促進する方法であって、軟骨に局所的に、上記で定義の通りの式(I)のウレア誘導体、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、エステル、N−オキシド保護誘導体、個々の異性体および異性体混合物またはそのプロドラッグを、局在的な新軟骨形成の促進に有効な量で投与することを含む、方法にも関連する。
【0015】
ヒト肝細胞癌腫における線維芽細胞増殖因子受容体3の過発現が記載されている(Qiu, Wei-Hua;Zhou, Bing-Sen;Chu, Peiguo G.;Chen, Wen-Gang;Chung, Christopher;Shih, Jennifer;Hwu, Paul;Yeh, Christopher;Lopez, Richard;Yen, Yun., World Journal of Gastroenterology (2005), 11(34), 5266-5272)。
【0016】
bFGFおよびFGFR1発現が、腫瘍血管形成に重要な役割を有し、bFGFおよびFGFR1発現が肺腺癌の血管形成および転移を促進することを示唆する発見がある(Takanami I;Tanaka F;Hashizume T;Kodaira S, Neoplasma (1997), 44(5), 295-8)。
【0017】
口部扁平細胞癌腫におけるFGFR3、とりわけFGFR3bの構成的活性化が発見されている(Yan Zhang et al., Int. J. Cancer 117, 166-168 (2004))。
【0018】
さらにaFGFとFGFR−1の共発現が、食道扁平細胞癌腫の患者の悪い予後の前兆であることも発見されている(Sugiura, Koichi;Ozawa, Soji;Kitagawa, Yuko;Ueda, Masakazu;Kitajima, Masaki, Oncology Reports (2007), 17(3), 657-564)。
【0019】
確立された試験モデルにより、式(I)の化合物が、ここに記載の障害の処置に適することが示され得る。当業者は、前記および後記の治療適応および有利な効果を確認するための適切な試験モデルまたは試験設計を選択することが十分に可能である適当な試験モデルおよび試験設計は、例えば、ここに引用の刊行物に記載され、その内容は引用により本明細書に包含させる。
【0020】
ここで使用する用語“処置する方法”または“処置法”はまた、ここに記載の障害の予防法、すなわち式(I)の化合物を含む医薬組成物を、ここに記載の障害の少なくとも1つの発症を予防するために、健康な患者に予防的に投与することにも関連する。
【0021】
ここに記載の障害の処置のための適当な医薬組成物は、WO2006/000420に記載されている。
【0022】
用いる式(I)の化合物の用量範囲は、温血動物種、体重および年齢、投与形態、用いる具体的物質および処置する疾患を含む、当業者に既知の因子に依存する。特記しな限り、式(I)の化合物は、好ましくは1日1〜2回、約10〜1000mg/日の投与量で投与する。
【0023】
本発明はまた、ここに記載の障害の一つの処置に使用するための薬剤の製造のための胃式(I)の化合物の使用、ならびに該疾患または障害の処置において使用するための医薬組成物にも関する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
8p11骨髄増殖性症候群(EMS)、下垂体腫瘍、網膜芽細胞腫、滑膜肉腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、脂漏性角化症、肥満、糖尿病および関連障害、常染色体優性低リン血症性くる病(ADHR)、X染色体関連低リン血症性くる病(XLH)、腫瘍誘発骨軟化症(TIO)および線維性骨異形成症(FD)から選択される線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)が仲介する障害を有する温血動物の処置法、または肝細胞癌腫、肺癌、とりわけ肺腺癌、口部扁平細胞癌腫または食道扁平細胞癌腫、またはこのような疾患の2種またはそれ以上の組み合わせの処置法であって、該温血動物に、式(I)
【化1】

〔式中、
nは0、1、2、3、4または5であり;
X、YおよびZは各々独立してNまたはC−Rから選択され、ここでX、YおよびZの少なくとも2個がNであり;そして
は酸素であり、
、R、RおよびRは、存在するならば、独立して有機または無機部分から選択され、
ここで、該無機部分は、とりわけハロ、とりわけクロロ、ヒドロキシル、シアノ、アゾ(N=N=N)、ニトロから選択され;そして
該有機部分は、置換または非置換であり、リンカー、−L−を介して結合していてよく、該有機部分はとりわけ水素;低級脂肪族(とりわけC、C、CまたはC脂肪族)、例えば低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル;アミノ;グアニジノ;ヒドロキシグアニジノ;ホルムアミジノ;イソチオウレイド;ウレイド;メルカプト;カルボキシ;スルホ;スルファモイル;カルバモイル;C(O)Hまたは他のアシル;アシルオキシ;置換ヒドロキシ;置換または非置換環状基から選択され、例えば該環状基(置換されていてもいなくても)は、シクロアルキル、例えばシクロヘキシル、フェニル、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソキサゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピリジル、インドール、イソインドール、インダゾール、プリン、インドリジジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、プテリジン、キノリジジン、ピペリジル、ピペラジニル、ピロリジン、モルホリニルまたはチオモルホリニルであってよく、そして、例えば、置換低級脂肪族または置換ヒドロキシはこのような置換または非置換環状基で置換されていてよく、
そして−L−は1個、2個、3個、4個または5個の鎖内原子(例えばC、N、OおよびSから選択される)を有し、(i)C、C、CまたはCアルキル(このようなアルキル基は、所望により−O−、−C(O)−または−NR−架橋で中断および/または終了していてよい);−O−;−S−;−C(O)−;シクロプロピル(2個の鎖内原子を有すると見なす)およびそれらの化学的に適切な組み合わせ;ならびに−NR−(ここで、Rは水素、ヒドロキシ、ヒドロカルビルオキシまたはヒドロカルビルであり、ここで、ヒドロカルビルは所望により−O−または−NH−架橋で中断されていてよく、例えば、脂肪族基(例えば1個から7個、例えば1個、2個、3個、または4個の炭素原子を有する)、シクロアルキル、とりわけシクロヘキシル、シクロアルケニル、とりわけシクロヘキセニル、または他の炭素環式基、例えばフェニルであってよく;ここで、該ヒドロカルビル部分は置換または非置換である)から選択され;
はまた−X5NR、−X5NRX5NR、−X5NRX5C(O)OR、−X5OR、−X5Rおよび−X5S(O)0−2であってもよく;ここで、X5は結合または所望により1〜2個のC1−6アルキルラジカルで置換されているC1−4アルキレンであり;Rは水素、C1−6アルキル、C6−10アリール−C0−4アルキル、C5−10ヘテロアリール−C0−4アルキル、C3−10シクロアルキル−C0−4アルキルおよびC3−10ヘテロシクロアルキル−C0−4アルキルから選択され;そしてRは水素およびC1−6アルキルから選択されるか;またはRおよびRは、RとRの両方が結合している窒素と一体となってヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルを形成し;
ここで、RまたはRとRの組み合わせ中の任意のアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルは、所望によりハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−置換−アルキル、ハロ−置換−アルコキシ、−X5NR10、−X5OR、−X5NRS(O)10、−X5NRS(O)R10、−X5NRSR10、−X5C(O)NR10、−X5NRC(O)NR10、−X5NRC(O)R10、−X5NRX5NR10、−X5NRX5OR、−X5NRC(=NR)NR10、−X5S(O)0−211、−X5NRC(O)R10、−X5NRC(O)R11、−X5R11、−X5C(O)OR10、−X5S(O)NR10、−X5S(O)NR10および−X5SNR10から独立して選択される1〜3個のラジカルで置換されていてよく;ここで、X5は結合またはC1−4アルキレンであり;RおよびR10は独立して水素およびC1−4アルキルから選択され;そしてR11は所望によりC1−4アルキル、−X5NRX5NR、X5NRX5ORおよび−X5ORから選択される1〜3個のラジカルで置換されているC3−10ヘテロシクロアルキルであり;
ここでRはまた別に水素、C1−4アルキル、C6−10アリール−C0−4アルキル、C5−10ヘテロアリール−C0−4アルキル、C3−10シクロアルキル−C0−4アルキルおよびC3−10ヘテロシクロアルキル−C0−4アルキルであってよく;ここで、Rの任意のアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルは、所望によりハロ、C1−4アルキル、−X5S(O)0−2NR10および−X5ORから選択される1〜3個のラジカルで置換されており;ここで、X5、RおよびR10は上記の通りであり;
各Rは、同一または異なり、有機または無機部分から選択され、例えば、各Rは、同一または異なり、ハロゲン;ヒドロキシ;保護ヒドロキシ、例えばトリアルキルシリルヒドロキシ;アミノ;アミジノ;グアニジン;ヒドロキシグアニジノ;ホルムアミジノ;イソチオウレイド;ウレイド;メルカプト;C(O)Hまたは他のアシル;アシルオキシ;カルボキシ;スルホ;スルファモイル;カルバモイル;シアノ;アゾ;ニトロ;所望により1個以上のハロゲンおよび/またはヒドロキシ、保護ヒドロキシ、例えばトリアルキルシリルヒドロキシ、アミノ、アミジノ、グアニジノ、ヒドロキシグアニジノ、ホルムアミジノ、イソチオウレイド、ウレイド、メルカプト、C(O)Hまたは他のアシル、アシルオキシ、カルボキシ、スルホ、スルファモイル、カルバモイル、シアノ、アゾ、またはニトロから選択される1個もしくは2個の官能基で置換されているC−C脂肪族から選択され;上記ヒドロキシ、アミノ、アミジノ、グアニジノ、ヒドロキシグアニジノ、ホルムアミジノ、イソチオウレイド、ウレイド、メルカプト、カルボキシ、スルホ、スルファモイルおよびカルバモイル基の全て、所望により少なくとも1個のヘテロ原子を、1個、または可能であればそれ以上のC−C脂肪族基で置換されており、ここでラジカルRの1個はまた
【化2】

であってよく、ここで、Lはリンカーであり;mは0、1、2、3、4または5であり;Lはリンカーであり;そしてR16は、存在するならば、各々独立して有機または無機部分から選択され、
ここで、該無機部分は、とりわけハロ、とりわけクロロ、ヒドロキシル、シアノ、アゾ(N=N=N)、ニトロから選択され;そして
該有機部分は、置換または非置換であり、リンカー、−L−を介して結合していてよく、該有機部分はとりわけ水素;低級脂肪族(とりわけC、C、CまたはC脂肪族)例えば低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル;アミノ;グアニジン;ヒドロキシグアニジノ;ホルムアミジノ;イソチオウレイド;ウレイド;メルカプト;C(O)Hまたは他のアシル;アシルオキシ;置換ヒドロキシ;カルボキシ;スルホ;スルファモイル;カルバモイル;置換または非置換環状基から選択され、例えば該環状基(置換されていてもいなくても)は、シクロアルキル、例えばシクロヘキシル、フェニル、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソキサゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピリジル、インドール、イソインドール、インダゾール、プリン、インドリジジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、プテリジン、キノリジジン、ピペリジル、ピペラジニル、ピロリジン、モルホリニルまたはチオモルホリニルであってよく、そして、例えば、置換低級脂肪族または置換ヒドロキシはこのような置換または非置換環状基で置換されていてよく、
およびLは各々独立して1個、2個、3個、4個または5個の鎖内原子(例えばC、N、OおよびSから選択される)を有し、所望により(i)C、C、CまたはCアルキル(このようなアルキル基は、所望により−O−、−C(O)−または−NR−結合で中断および/または終了していてよい);−O−;−S−;−C(O)−;シクロプロピル(2個の鎖内原子を有すると見なす)およびそれらの化学的に適切な組み合わせ;ならびに−NR−(ここで、Rは水素、ヒドロキシ、ヒドロカルビルオキシまたはヒドロカルビルであり、ここで、ヒドロカルビルは所望により−O−または−NH−結合で中断されていてよく、例えば、脂肪族基((例えば1個から7個、例えば1個、2個、3個、または4個の炭素原子を有する)、シクロアルキル、とりわけシクロヘキシル、シクロアルケニル、とりわけシクロヘキセニル、または他の炭素環式基、例えばフェニルであってよく;ここで、該ヒドロカルビル部分は置換または非置換である)から選択されるか;または
はラジカル−NHC(O)R45であり、ここで、R45はC6−10アリール−C0−4アルキル、C5−10ヘテロアリール−C0−4アルキル、C3−10シクロアルキル−C0−4アルキルおよびC3−10ヘテロシクロアルキル−C0−4アルキルから選択され;ここで、R45の任意のアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルは、所望によりハロ、ヒドロキシ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロ−置換−C1−4アルキル、ハロ−置換−C1−4アルコキシおよびCヘテロシクロC0−4アルキルから選択されるラジカルで置換されており;ここで、Rの任意のヘテロシクロアルキル置換基は、所望により1〜3個のC1−4アルキルラジカルで置換されている。〕
のウレア誘導体またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、エステル、N−オキシド保護誘導体、個々の異性体および異性体混合物またはそのプロドラッグを、該障害に対する治療的に有効な量で投与することを含む、方法。
【請求項2】
哺乳動物における軟骨の局在的な新軟骨形成を促進する方法であって、軟骨に局所的に、請求項1で定義の通りの式(I)のウレア誘導体、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、エステル、N−オキシド保護誘導体、個々の異性体および異性体混合物またはそのプロドラッグを、局在的な新軟骨形成の促進に有効な量で投与することを含む、方法。

【公開番号】特開2008−31169(P2008−31169A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−191687(P2007−191687)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】