縁石一体型側溝ブロックおよびその製造方法
【課題】縁石ブロックと側溝ブロックとを一体化した縁石一体型側溝ブロックにおいて、縁石ブロック部だけを容易に分離することが可能な縁石一体型側溝ブロックおよびその製造方法の提供。
【解決手段】縁石ブロック部2と側溝ブロック部3との境界部分に分離用の板材としての帯状の鉄板4が埋め込まれた縁石一体型側溝ブロック1である。将来縁石ブロック部2が不要になった際には、この境界部分に対して外力を加えると、縁石ブロック部2および側溝ブロック部3から帯状の鉄板4が剥離するので、縁石ブロック部2だけを側溝ブロック部3から容易に分離することが可能である。
【解決手段】縁石ブロック部2と側溝ブロック部3との境界部分に分離用の板材としての帯状の鉄板4が埋め込まれた縁石一体型側溝ブロック1である。将来縁石ブロック部2が不要になった際には、この境界部分に対して外力を加えると、縁石ブロック部2および側溝ブロック部3から帯状の鉄板4が剥離するので、縁石ブロック部2だけを側溝ブロック部3から容易に分離することが可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の端あるいは車道と歩道との境界に配置される縁石ブロックと側溝ブロックとを一体化した縁石一体型側溝ブロックおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路の端あるいは車道と歩道との境界には、歩行者の安全を確保するために縁石ブロックが設けられる。この縁石ブロックは、道路の端に雨水排水設備としての側溝ブロックが設けられる場合、この側溝ブロック上に一部載せた状態で施工される(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図16は従来の縁石ブロックおよび側溝ブロックの施工手順を示す工程図である。
まず、図16の(a)に示すように道路端のアスファルト層30および地盤層31を掘削して、同図(b)に示すように溝32を形成し、同図(c)に示すようにぐり石およびモルタルにより側溝ブロックの基礎33を形成する。そして、同図(d)に示すように、この基礎33上に側溝ブロック34を配設し、同図(e)に示すように車道側の溝32に埋戻し材35の埋戻しを行う。
【0004】
また、同図(f)に示すように歩道側の溝32に埋戻し材35の埋戻しを行い、同図(g)に示すようにこの埋戻し材35の上にぐり石およびモルタルにより縁石ブロックの基礎36を形成する。さらに、同図(h)に示すようにこの基礎36および側溝ブロック34の切欠きの上に縁石ブロック37を配設し、同図(i)に示すようにこの縁石ブロック37の脇に埋戻し材38の埋戻しを行う。最後に埋戻し材38上にアスファルト層39を形成する。
【0005】
上記従来の施工方法では、側溝ブロック34の基礎33の幅およびこの側溝ブロック34の切欠きの上に一部載せた状態で施工される縁石ブロック37の基礎36の幅に応じて掘削を行う必要があるので、掘削量が多い。また、側溝ブロック34を配設した後、途中まで埋戻しを行い、さらに縁石ブロック37の基礎36を形成し、縁石ブロック37を配設した後で、埋戻しを行うので、作業性が悪い。さらに、縁石ブロック37と側溝ブロック34とをそれぞれ製造しなければならないので、型枠投資も大きく、製造時の作業性も悪い。
【0006】
そこで、これらの問題点を解決するものとして、縁石ブロックと側溝ブロックとを一体化した側溝ブロックが開発されている。例えば、特許文献2,3に記載の側溝ブロックは、側溝ブロックの成型時に縁石ブロックを一体成型したものである。
【0007】
【特許文献1】特開平8−109673号公報(図1)
【特許文献2】特開平9−137498号公報
【特許文献3】特開2004−108077号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、将来、道路沿いに住宅や店舗等ができたときには、道路脇の縁石ブロックの段差を車両が乗り越えられないので、この段差をなくした車両乗り入れ部が必要となる。
【0009】
このとき、特許文献1に記載のように、縁石ブロックと側溝ブロックをそれぞれ別々に製造、施工したものは縁石ブロックだけを取り替えれば良いが、縁石ブロックを取り除いた後の基礎のはつり等、基礎をやり直さなければならない。また、特許文献2,3に記載のように、縁石ブロック一体型の側溝ブロックの場合は、縁石ブロック部だけを分離することができないので、側溝ブロック全体を取り替えなければならず、製品代、施工手間ともに、不経済である。
【0010】
そこで、本発明においては、縁石ブロックと側溝ブロックとを一体化した縁石一体型側溝ブロックにおいて、縁石ブロック部だけを容易に分離することが可能な縁石一体型側溝ブロックおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の縁石一体型側溝ブロックは、縁石ブロックと側溝ブロックとが一体化された縁石一体型側溝ブロックであって、縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界部分に分離用の部材が埋め込まれた縁石一体型側溝ブロックである。
【0012】
また、この本発明の縁石一体型側溝ブロックの製造方法は、型枠内の縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界となる部分に分離用の部材を配設し、型枠内に生コンクリートを流し込んで成型することを特徴とする。
【0013】
また、別の本発明の縁石一体型側溝ブロックは、上記分離用の部材に代えて、縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界部分に分離用の空洞部が形成されたものである。この縁石一体型側溝ブロックは、型枠内の縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界となる部分に分離用の空洞部を形成するための抜型を配設し、型枠内に生コンクリートを流し込んで成型する。
【0014】
本発明の縁石一体型側溝ブロックでは、縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界部分に分離用の部材が介在しているので、この境界部分に対して外力を加えると、縁石ブロック部および側溝ブロック部から分離用の部材が剥離する。これにより、縁石ブロック部は分離用の部材とともに側溝ブロック部から分離される。また、縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界部分に分離用の空洞部が形成されたものでは、この境界部分に対して外力を加えると、縁石ブロック部および側溝ブロック部は、空洞部によって2分割され、縁石ブロック部は側溝ブロック部から分離される。
【0015】
ここで、分離用の部材は、平板であることが望ましい。分離用の部材は、縁石ブロック部と側溝ブロック部とを分離する際にのみ機能すれば良く、通常の一体化された状態では縁石ブロック部および側溝ブロック部に何ら影響を与えないことが好ましいので、薄く平らな平板であることが望ましい。また、製造上も、平板であれば容易に入手でき、特別な加工も不要であるため、コストを下げることが可能となる。
【0016】
また、縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界部分の表面には、分割面の目印となるスリットが形成されていることが望ましい。本発明の縁石一体型側溝ブロック部に埋め込まれた分離用の部材または空洞部は、製品状態では内部に含包され、外部には露出していないが、このスリットに沿って外力を加えることにより、この分離用の部材が埋め込まれた境界部分または空洞部が形成された境界部分に的確に外力を加えて縁石ブロック部と側溝ブロック部とを分離することが可能となる。
【0017】
また、縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界部分の表面には、楔を打ち込むための穴が形成されていることが望ましい。前述のように埋め込まれた分離用の部材または空洞部は、製品状態では内部に含包され、外部には露出していないが、この穴に対して楔を打ち込むことにより、分離用の部材が埋め込まれた境界部分または空洞部が形成された境界部分に的確に外力を加えることができることに加え、楔によって縁石ブロック部と側溝ブロック部とが分離する方向に外力が加わるようになる。
【0018】
また、分離用の部材は、側溝ブロック部の補強筋に固定されたものであることが望ましい。分離用の部材が側溝ブロック部の補強筋に固定されていることによって、この分離用の部材を包み込むようにして側溝ブロック部と一体化されている縁石ブロック部が、分離用の部材とともに側溝ブロック部と固定されることになる。
【0019】
また、本発明の縁石一体型側溝ブロックの製造上、分離用の部材が、側溝ブロック部の補強筋の縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界となる部分に固定されていることによって、この補強筋を型枠内にセットし、この型枠内に生コンクリートを流し込んで成型する際、この分離用の部材がずれることがなく、縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界部分に適切に配置された縁石一体型側溝ブロックが得られる。
【発明の効果】
【0020】
(1)縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界部分に分離用の部材が埋め込まれたこと、または分離用の空洞部が形成されたことにより、境界部分に対して外力を加えると、縁石ブロック部が側溝ブロック部から分離されるので、縁石ブロック部だけを容易に分離することが可能となる。したがって、将来縁石ブロック部が不要になった際に側溝ブロック全体を取り替える必要がなく、本発明の縁石一体型側溝ブロックは施工面において簡易で経済的である。
【0021】
(2)縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界部分の表面に、分割面の目印となるスリットが形成されていることにより、このスリットに沿って外力を加えることで、内部に含包され、外部からは確認できない分離用の部材が埋め込まれた境界部分または分離用の空洞部が形成された境界部分に的確に外力を加え、縁石ブロック部と側溝ブロック部とを的確かつ容易に分離することが可能となる。
【0022】
(3)縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界部分の表面に、楔を打ち込むための穴が形成されていることによって、この穴に対して楔を打ち込むことにより、分離用の部材が埋め込まれた境界部分または分離用の空洞部が形成された境界部分に的確に外力を加えることができることに加え、楔によって縁石ブロック部と側溝ブロック部とが分離する方向に外力が加わるようになるので、縁石ブロック部と側溝ブロック部とを的確かつ容易に分離することが可能となる。
【0023】
(4)分離用の部材が、側溝ブロック部の補強筋に固定されたものであることにより、この分離用の部材を包み込むようにして側溝ブロック部と一体化されている縁石ブロック部が、分離用の部材とともに側溝ブロック部と固定されることになるので、縁石ブロック部だけを容易に分離することが可能なだけでなく、使用状態においては縁石ブロック部の強度を増すことが可能となる。また、製造上、分離用の部材が、側溝ブロック部の補強筋の縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界となる部分に固定されていることによって、この補強筋を型枠内にセットし、この型枠内に生コンクリートを流し込んで成型する際、この分離用の部材がずれることがなく、縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界部分に適切に配置された縁石一体型側溝ブロックが得られる。
【0024】
(5)分離用の部材が平板であることによって、通常の一体化された状態では縁石ブロック部および側溝ブロック部への影響を少なくし、縁石ブロック部と側溝ブロック部とを分離する際にのみ有効に機能するようになる。また、製造上も、容易に入手でき、特別な加工も不要であるため、コストを下げることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態における縁石一体型側溝ブロックの施工状態を示す正面図、図2は図1の縁石一体型側溝ブロックの平面図、図3は右側面図、図4は左側面図、図5は断面図、図6は斜視図、図7は補強筋の斜視図である。
【0026】
図1から図7に示すように、本発明の第1の実施の形態における縁石一体型側溝ブロック1は、道路端を掘削して敷設される基礎23上に配設される。基礎23は、例えば、ぐり石23aおよびモルタル23bにより形成される。縁石一体型側溝ブロック1は、縁石ブロック部2と側溝ブロック部3とが一体化されたコンクリート製ブロックである。縁石ブロック部2と側溝ブロック部3との境界部分には、分離用の部材としての帯状の鉄板4が埋め込まれている。なお、鉄板4は平板であれば良く、例えば発泡スチロール等の樹脂製やその他の材質の平板とすることも可能である。
【0027】
縁石ブロック部2は、略台形断面の棒状部である。鉄板4は、この縁石ブロック部2の略台形断面の長辺に沿って、縁石ブロック部2と側溝ブロック部3との境界の長手方向に埋め込まれている。なお、鉄板4は、縁石一体型側溝ブロック1内に包み込まれており、外部には露出していない。鉄板4が埋め込まれた縁石ブロック部2と側溝ブロック部3との境界部分の側方表面には、鉄板4と平行にスリット5が形成されている。スリット5はV字状の溝であり、縁石ブロック部2と側溝ブロック部3との分割面の目印となる。また、このスリット5には、所定間隔ごとに楔を打ち込むための穴6が形成されている。
【0028】
側溝ブロック部3は、中空部7を有する筒状部である。側溝ブロック部3の上面には、縁石ブロック部2の側面下端に沿って部分的に開口部8が設けられている。開口部8は側溝ブロック部3の上面と中空部7とを連通させている。また、側溝ブロック部3の側面上方には、中空部7と連通された排水孔9が複数箇所設けられている。なお、図3および図4に示されている溝部10は、隣接して配設される縁石一体型側溝ブロック1を連結具(図示せず。)により連結するためのものである。
【0029】
側溝ブロック部3内には、図7に示す補強筋としての鉄筋11が組み込まれている。鉄板4は、この鉄筋11の縁石ブロック部2と側溝ブロック部3との境界となる部分に溶接により固定されている。なお、鉄板4の位置は、側溝ブロック部3の道路側の上面3aと同じ面ではなく、この上面3aよりも若干下、例えば車道に敷設されるアスファルト層の下面と同じ程度(約50〜60cm)に設定されている。
【0030】
次に、上記構成の縁石一体型側溝ブロック1の施工手順について説明する。図8は図1の縁石ブロック一体型側溝ブロックの施工手順を示す工程図である。
【0031】
まず、図8の(a)に示すように道路端のアスファルト層20および地盤層21を掘削して、同図(b)に示すように溝22を形成し、同図(c)に示すようにぐり石23aおよびモルタル23bにより基礎23を形成する。そして、同図(d)に示すように、この基礎23上に縁石一体型側溝ブロック1を配設し、同図(e)に示すように車道側および歩道側の両方の溝22に埋戻し材24の埋戻しを行い、この上にアスファルト層25を形成する。
【0032】
上記構成の縁石一体型側溝ブロック1では、縁石ブロック部2と側溝ブロック部3との境界部分に帯状の鉄板4が介在している。したがって、将来縁石ブロック部2が不要になった際には、この境界部分に対して外力を加えると、縁石ブロック部2および側溝ブロック部3から帯状の鉄板4が剥離するので、縁石ブロック部2だけを側溝ブロック部3から容易に分離することが可能である。
【0033】
すなわち、本実施形態における縁石一体型側溝ブロック1では、将来縁石ブロック部2が不要になった際に、縁石ブロック部2の背面側のアスファルト層20および埋戻し材24を数十cm幅で浅く掘削するだけで済み、従来の縁石ブロック37のように基礎36をはつることも不要である。また、縁石ブロック部2と側溝ブロック部3との分割面は、道路側の上面3aよりも若干下に設定されているので、分割後はこの分割面に単に敷きモルタルを施工するだけで良い。
【0034】
表1は本実施形態における縁石一体型側溝ブロック1と、従来の縁石ブロックと側溝ブロックとを別々に施工する構造のものとを施工性について比較したものである。
【表1】
【0035】
また、帯状の鉄板4は、縁石一体型側溝ブロック1の内部に含包され、外部に露出していないが、この縁石一体型側溝ブロック1では、縁石ブロック部2と側溝ブロック部3との境界部分の表面に、分割面の目印となるスリット5が形成されているので、このスリット5に沿って外力を加えることにより、帯状の鉄板4が埋め込まれた境界部分に的確に外力を加えて縁石ブロック部2と側溝ブロック部3とを的確かつ容易に分離することが可能である。
【0036】
また、この縁石ブロック部2と側溝ブロック部3との境界部分の表面には、楔を打ち込むための穴6が形成されているので、この穴6に対して楔を打ち込むことにより、帯状の鉄板4が埋め込まれた境界部分に的確に外力を加えることができることに加え、楔によって縁石ブロック部2と側溝ブロック部3とが分離する方向に外力が加わるようになるので、縁石ブロック部2と側溝ブロック部3とを的確かつ容易に分離することが可能である。
【0037】
また、帯状の鉄板4が、側溝ブロック部2の鉄筋11に固定されていることによって、この帯状の鉄板4を包み込むようにして側溝ブロック部3と一体化されている縁石ブロック部2が、帯状の鉄板4とともに側溝ブロック部2と固定されることになるので、縁石ブロック部2だけを容易に分離することが可能なだけでなく、使用状態においては縁石ブロック部2の強度を増すことが可能である。
【0038】
また、本発明の縁石一体型側溝ブロック1の製造上、帯状の鉄板4が、側溝ブロック部2の鉄筋11の縁石ブロック部2と側溝ブロック部3との境界となる部分に固定されていることによって、この鉄筋11を型枠(図示せず。)内にセットし、この型枠内に生コンクリートを流し込んで成型する際、この帯状の鉄板4がずれることがなく、縁石ブロック部2と側溝ブロック部3との境界部分に適切に配置された縁石一体型側溝ブロック1が得られる。
【0039】
(実施の形態2)
図9は本発明の第2の実施の形態における縁石一体型側溝ブロックの施工状態を示す正面図、図10は図9の縁石一体型側溝ブロックの断面図、図11は左側面図、図12は斜視図である。
【0040】
図9から図12に示すように、本発明の第2の実施の形態における縁石一体型側溝ブロック1aでは、第1実施形態における縁石一体型側溝ブロック1の鉄板4に代えて、分離用の空洞部4aが形成されている。空洞部4aは、鉄板4とほぼ同じ位置に形成されているが、第1実施形態と異なるのは空洞部4aが縁石ブロック部2と側溝ブロック部3との境界部分の側方表面まで開口されている点である。したがって、縁石一体型側溝ブロック1aに第1実施形態におけるスリット5は形成されておらず、空洞部4aが第1実施形態における鉄板4とスリット5の両方の機能を有することになる。
【0041】
また、第1実施形態においては、縁石ブロック部2と側溝ブロック部3との境界の長手方向に1枚の鉄板4が埋め込まれているが、第2実施形態における空洞部4aは鉄板4のように連続的ではなく、非連続的(部分的)に形成されている。これにより、隣接する空洞部4aの間および縁石一体型側溝ブロック1aの長手方向の両端部に開口されることなく残された部分4bが柱の役割を果たすことになり、縁石ブロック部2上に加わる荷重を支えることができる。なお、第1実施形態における鉄板4についても、空洞部4aと同様に部分的に埋め込む構成とすることも可能である。
【0042】
この第2実施形態における縁石一体型側溝ブロック1aでは、縁石ブロック部2と側溝ブロック部3との境界部分に分離用の空洞部4aが形成されたことにより、境界部分に対して外力を加えると、空洞部4aが上下に広げられることにより、縁石ブロック部2が側溝ブロック部3から分離されるので、第1実施形態と同様、縁石ブロック部2だけを容易に分離することが可能である。
【0043】
(実施の形態3)
図13は本発明の第3の実施の形態における縁石一体型側溝ブロックの施工状態を示す正面図、図14は図13の縁石一体型側溝ブロックの断面図、図15は斜視図である。
【0044】
図13から図15に示すように、本発明の第3の実施の形態における縁石一体型側溝ブロック1bでは、第1実施形態における縁石一体型側溝ブロック1aの鉄板4に代えて、分離用の空洞部4cが形成されている。空洞部4cは、円柱を円の中心で2分割した形状であり、その分割面が鉄板4とほぼ同じ位置に配置されるように形成されている。空洞部4cについては、縁石一体型側溝ブロック1bの長手方向の端から端まで連続的に形成されている。なお、第3実施形態における縁石一体型側溝ブロック1bには第1実施形態と同様にスリット5が形成されている。
【0045】
このような構成の縁石一体型側溝ブロック1bについても、縁石ブロック部2と側溝ブロック部3との境界部分に分離用の空洞部4cが形成されたことにより、境界部分のスリット5に対して外力を加えると、この外力が空洞部4cの半円状断面の角部に集中し、縁石ブロック部2が側溝ブロック部3から分離されるので、第1実施形態と同様、縁石ブロック部2だけを容易に分離することが可能である。
【0046】
なお、第2および第3実施形態における縁石一体型側溝ブロック1a,1bを製造する際には、型枠内の縁石ブロック部2と側溝ブロック部3との境界となる部分に第1実施形態における鉄板4に代えて分離用の空洞部4a,4cを形成するための抜型を配設し、型枠内に生コンクリートを流し込んで成型する。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の縁石一体型側溝ブロックは、道路の端あるいは車道と歩道との境界に配置される側溝ブロックとして有用である。特に、縁石ブロックと側溝ブロックとが一体化され、縁石ブロック部だけを容易に分離することが可能であるため、将来縁石ブロック部が不要になった際に側溝ブロック全体を取り替える必要がなく、施工面において簡易で経済的な側溝ブロックとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1の実施の形態における縁石一体型側溝ブロックの施工状態を示す正面図である。
【図2】図1の縁石一体型側溝ブロックの平面図である。
【図3】図1の縁石一体型側溝ブロックの右側面図である。
【図4】図1の縁石一体型側溝ブロックの左側面図である。
【図5】図1の縁石一体型側溝ブロックの断面図である。
【図6】図1の縁石一体型側溝ブロックの斜視図である。
【図7】図1の縁石一体型側溝ブロックの補強筋の斜視図である。
【図8】図1の縁石一体型側溝ブロックの施工手順を示す工程図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態における縁石一体型側溝ブロックの施工状態を示す正面図である。
【図10】図9の縁石一体型側溝ブロックの断面図である。
【図11】図1の縁石一体型側溝ブロックの左側面図である。
【図12】図1の縁石一体型側溝ブロックの斜視図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態における縁石一体型側溝ブロックの施工状態を示す正面図である。
【図14】図9の縁石一体型側溝ブロックの断面図である。
【図15】図1の縁石一体型側溝ブロックの斜視図である。
【図16】従来の縁石ブロックおよび側溝ブロックの施工手順を示す工程図である。
【符号の説明】
【0049】
1,1a,1b 縁石一体型側溝ブロック
2 縁石ブロック部
3 側溝ブロック部
4 鉄板
4a,4c 空洞部
5 スリット
6 穴
7 中空部
8 開口部
9 排水孔
10 溝部
11 鉄筋
20 アスファルト層
21 地盤層
22 溝
23 基礎
23a ぐり石
23b モルタル
24 埋戻し材
25 アスファルト層
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の端あるいは車道と歩道との境界に配置される縁石ブロックと側溝ブロックとを一体化した縁石一体型側溝ブロックおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路の端あるいは車道と歩道との境界には、歩行者の安全を確保するために縁石ブロックが設けられる。この縁石ブロックは、道路の端に雨水排水設備としての側溝ブロックが設けられる場合、この側溝ブロック上に一部載せた状態で施工される(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図16は従来の縁石ブロックおよび側溝ブロックの施工手順を示す工程図である。
まず、図16の(a)に示すように道路端のアスファルト層30および地盤層31を掘削して、同図(b)に示すように溝32を形成し、同図(c)に示すようにぐり石およびモルタルにより側溝ブロックの基礎33を形成する。そして、同図(d)に示すように、この基礎33上に側溝ブロック34を配設し、同図(e)に示すように車道側の溝32に埋戻し材35の埋戻しを行う。
【0004】
また、同図(f)に示すように歩道側の溝32に埋戻し材35の埋戻しを行い、同図(g)に示すようにこの埋戻し材35の上にぐり石およびモルタルにより縁石ブロックの基礎36を形成する。さらに、同図(h)に示すようにこの基礎36および側溝ブロック34の切欠きの上に縁石ブロック37を配設し、同図(i)に示すようにこの縁石ブロック37の脇に埋戻し材38の埋戻しを行う。最後に埋戻し材38上にアスファルト層39を形成する。
【0005】
上記従来の施工方法では、側溝ブロック34の基礎33の幅およびこの側溝ブロック34の切欠きの上に一部載せた状態で施工される縁石ブロック37の基礎36の幅に応じて掘削を行う必要があるので、掘削量が多い。また、側溝ブロック34を配設した後、途中まで埋戻しを行い、さらに縁石ブロック37の基礎36を形成し、縁石ブロック37を配設した後で、埋戻しを行うので、作業性が悪い。さらに、縁石ブロック37と側溝ブロック34とをそれぞれ製造しなければならないので、型枠投資も大きく、製造時の作業性も悪い。
【0006】
そこで、これらの問題点を解決するものとして、縁石ブロックと側溝ブロックとを一体化した側溝ブロックが開発されている。例えば、特許文献2,3に記載の側溝ブロックは、側溝ブロックの成型時に縁石ブロックを一体成型したものである。
【0007】
【特許文献1】特開平8−109673号公報(図1)
【特許文献2】特開平9−137498号公報
【特許文献3】特開2004−108077号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、将来、道路沿いに住宅や店舗等ができたときには、道路脇の縁石ブロックの段差を車両が乗り越えられないので、この段差をなくした車両乗り入れ部が必要となる。
【0009】
このとき、特許文献1に記載のように、縁石ブロックと側溝ブロックをそれぞれ別々に製造、施工したものは縁石ブロックだけを取り替えれば良いが、縁石ブロックを取り除いた後の基礎のはつり等、基礎をやり直さなければならない。また、特許文献2,3に記載のように、縁石ブロック一体型の側溝ブロックの場合は、縁石ブロック部だけを分離することができないので、側溝ブロック全体を取り替えなければならず、製品代、施工手間ともに、不経済である。
【0010】
そこで、本発明においては、縁石ブロックと側溝ブロックとを一体化した縁石一体型側溝ブロックにおいて、縁石ブロック部だけを容易に分離することが可能な縁石一体型側溝ブロックおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の縁石一体型側溝ブロックは、縁石ブロックと側溝ブロックとが一体化された縁石一体型側溝ブロックであって、縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界部分に分離用の部材が埋め込まれた縁石一体型側溝ブロックである。
【0012】
また、この本発明の縁石一体型側溝ブロックの製造方法は、型枠内の縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界となる部分に分離用の部材を配設し、型枠内に生コンクリートを流し込んで成型することを特徴とする。
【0013】
また、別の本発明の縁石一体型側溝ブロックは、上記分離用の部材に代えて、縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界部分に分離用の空洞部が形成されたものである。この縁石一体型側溝ブロックは、型枠内の縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界となる部分に分離用の空洞部を形成するための抜型を配設し、型枠内に生コンクリートを流し込んで成型する。
【0014】
本発明の縁石一体型側溝ブロックでは、縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界部分に分離用の部材が介在しているので、この境界部分に対して外力を加えると、縁石ブロック部および側溝ブロック部から分離用の部材が剥離する。これにより、縁石ブロック部は分離用の部材とともに側溝ブロック部から分離される。また、縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界部分に分離用の空洞部が形成されたものでは、この境界部分に対して外力を加えると、縁石ブロック部および側溝ブロック部は、空洞部によって2分割され、縁石ブロック部は側溝ブロック部から分離される。
【0015】
ここで、分離用の部材は、平板であることが望ましい。分離用の部材は、縁石ブロック部と側溝ブロック部とを分離する際にのみ機能すれば良く、通常の一体化された状態では縁石ブロック部および側溝ブロック部に何ら影響を与えないことが好ましいので、薄く平らな平板であることが望ましい。また、製造上も、平板であれば容易に入手でき、特別な加工も不要であるため、コストを下げることが可能となる。
【0016】
また、縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界部分の表面には、分割面の目印となるスリットが形成されていることが望ましい。本発明の縁石一体型側溝ブロック部に埋め込まれた分離用の部材または空洞部は、製品状態では内部に含包され、外部には露出していないが、このスリットに沿って外力を加えることにより、この分離用の部材が埋め込まれた境界部分または空洞部が形成された境界部分に的確に外力を加えて縁石ブロック部と側溝ブロック部とを分離することが可能となる。
【0017】
また、縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界部分の表面には、楔を打ち込むための穴が形成されていることが望ましい。前述のように埋め込まれた分離用の部材または空洞部は、製品状態では内部に含包され、外部には露出していないが、この穴に対して楔を打ち込むことにより、分離用の部材が埋め込まれた境界部分または空洞部が形成された境界部分に的確に外力を加えることができることに加え、楔によって縁石ブロック部と側溝ブロック部とが分離する方向に外力が加わるようになる。
【0018】
また、分離用の部材は、側溝ブロック部の補強筋に固定されたものであることが望ましい。分離用の部材が側溝ブロック部の補強筋に固定されていることによって、この分離用の部材を包み込むようにして側溝ブロック部と一体化されている縁石ブロック部が、分離用の部材とともに側溝ブロック部と固定されることになる。
【0019】
また、本発明の縁石一体型側溝ブロックの製造上、分離用の部材が、側溝ブロック部の補強筋の縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界となる部分に固定されていることによって、この補強筋を型枠内にセットし、この型枠内に生コンクリートを流し込んで成型する際、この分離用の部材がずれることがなく、縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界部分に適切に配置された縁石一体型側溝ブロックが得られる。
【発明の効果】
【0020】
(1)縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界部分に分離用の部材が埋め込まれたこと、または分離用の空洞部が形成されたことにより、境界部分に対して外力を加えると、縁石ブロック部が側溝ブロック部から分離されるので、縁石ブロック部だけを容易に分離することが可能となる。したがって、将来縁石ブロック部が不要になった際に側溝ブロック全体を取り替える必要がなく、本発明の縁石一体型側溝ブロックは施工面において簡易で経済的である。
【0021】
(2)縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界部分の表面に、分割面の目印となるスリットが形成されていることにより、このスリットに沿って外力を加えることで、内部に含包され、外部からは確認できない分離用の部材が埋め込まれた境界部分または分離用の空洞部が形成された境界部分に的確に外力を加え、縁石ブロック部と側溝ブロック部とを的確かつ容易に分離することが可能となる。
【0022】
(3)縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界部分の表面に、楔を打ち込むための穴が形成されていることによって、この穴に対して楔を打ち込むことにより、分離用の部材が埋め込まれた境界部分または分離用の空洞部が形成された境界部分に的確に外力を加えることができることに加え、楔によって縁石ブロック部と側溝ブロック部とが分離する方向に外力が加わるようになるので、縁石ブロック部と側溝ブロック部とを的確かつ容易に分離することが可能となる。
【0023】
(4)分離用の部材が、側溝ブロック部の補強筋に固定されたものであることにより、この分離用の部材を包み込むようにして側溝ブロック部と一体化されている縁石ブロック部が、分離用の部材とともに側溝ブロック部と固定されることになるので、縁石ブロック部だけを容易に分離することが可能なだけでなく、使用状態においては縁石ブロック部の強度を増すことが可能となる。また、製造上、分離用の部材が、側溝ブロック部の補強筋の縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界となる部分に固定されていることによって、この補強筋を型枠内にセットし、この型枠内に生コンクリートを流し込んで成型する際、この分離用の部材がずれることがなく、縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界部分に適切に配置された縁石一体型側溝ブロックが得られる。
【0024】
(5)分離用の部材が平板であることによって、通常の一体化された状態では縁石ブロック部および側溝ブロック部への影響を少なくし、縁石ブロック部と側溝ブロック部とを分離する際にのみ有効に機能するようになる。また、製造上も、容易に入手でき、特別な加工も不要であるため、コストを下げることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態における縁石一体型側溝ブロックの施工状態を示す正面図、図2は図1の縁石一体型側溝ブロックの平面図、図3は右側面図、図4は左側面図、図5は断面図、図6は斜視図、図7は補強筋の斜視図である。
【0026】
図1から図7に示すように、本発明の第1の実施の形態における縁石一体型側溝ブロック1は、道路端を掘削して敷設される基礎23上に配設される。基礎23は、例えば、ぐり石23aおよびモルタル23bにより形成される。縁石一体型側溝ブロック1は、縁石ブロック部2と側溝ブロック部3とが一体化されたコンクリート製ブロックである。縁石ブロック部2と側溝ブロック部3との境界部分には、分離用の部材としての帯状の鉄板4が埋め込まれている。なお、鉄板4は平板であれば良く、例えば発泡スチロール等の樹脂製やその他の材質の平板とすることも可能である。
【0027】
縁石ブロック部2は、略台形断面の棒状部である。鉄板4は、この縁石ブロック部2の略台形断面の長辺に沿って、縁石ブロック部2と側溝ブロック部3との境界の長手方向に埋め込まれている。なお、鉄板4は、縁石一体型側溝ブロック1内に包み込まれており、外部には露出していない。鉄板4が埋め込まれた縁石ブロック部2と側溝ブロック部3との境界部分の側方表面には、鉄板4と平行にスリット5が形成されている。スリット5はV字状の溝であり、縁石ブロック部2と側溝ブロック部3との分割面の目印となる。また、このスリット5には、所定間隔ごとに楔を打ち込むための穴6が形成されている。
【0028】
側溝ブロック部3は、中空部7を有する筒状部である。側溝ブロック部3の上面には、縁石ブロック部2の側面下端に沿って部分的に開口部8が設けられている。開口部8は側溝ブロック部3の上面と中空部7とを連通させている。また、側溝ブロック部3の側面上方には、中空部7と連通された排水孔9が複数箇所設けられている。なお、図3および図4に示されている溝部10は、隣接して配設される縁石一体型側溝ブロック1を連結具(図示せず。)により連結するためのものである。
【0029】
側溝ブロック部3内には、図7に示す補強筋としての鉄筋11が組み込まれている。鉄板4は、この鉄筋11の縁石ブロック部2と側溝ブロック部3との境界となる部分に溶接により固定されている。なお、鉄板4の位置は、側溝ブロック部3の道路側の上面3aと同じ面ではなく、この上面3aよりも若干下、例えば車道に敷設されるアスファルト層の下面と同じ程度(約50〜60cm)に設定されている。
【0030】
次に、上記構成の縁石一体型側溝ブロック1の施工手順について説明する。図8は図1の縁石ブロック一体型側溝ブロックの施工手順を示す工程図である。
【0031】
まず、図8の(a)に示すように道路端のアスファルト層20および地盤層21を掘削して、同図(b)に示すように溝22を形成し、同図(c)に示すようにぐり石23aおよびモルタル23bにより基礎23を形成する。そして、同図(d)に示すように、この基礎23上に縁石一体型側溝ブロック1を配設し、同図(e)に示すように車道側および歩道側の両方の溝22に埋戻し材24の埋戻しを行い、この上にアスファルト層25を形成する。
【0032】
上記構成の縁石一体型側溝ブロック1では、縁石ブロック部2と側溝ブロック部3との境界部分に帯状の鉄板4が介在している。したがって、将来縁石ブロック部2が不要になった際には、この境界部分に対して外力を加えると、縁石ブロック部2および側溝ブロック部3から帯状の鉄板4が剥離するので、縁石ブロック部2だけを側溝ブロック部3から容易に分離することが可能である。
【0033】
すなわち、本実施形態における縁石一体型側溝ブロック1では、将来縁石ブロック部2が不要になった際に、縁石ブロック部2の背面側のアスファルト層20および埋戻し材24を数十cm幅で浅く掘削するだけで済み、従来の縁石ブロック37のように基礎36をはつることも不要である。また、縁石ブロック部2と側溝ブロック部3との分割面は、道路側の上面3aよりも若干下に設定されているので、分割後はこの分割面に単に敷きモルタルを施工するだけで良い。
【0034】
表1は本実施形態における縁石一体型側溝ブロック1と、従来の縁石ブロックと側溝ブロックとを別々に施工する構造のものとを施工性について比較したものである。
【表1】
【0035】
また、帯状の鉄板4は、縁石一体型側溝ブロック1の内部に含包され、外部に露出していないが、この縁石一体型側溝ブロック1では、縁石ブロック部2と側溝ブロック部3との境界部分の表面に、分割面の目印となるスリット5が形成されているので、このスリット5に沿って外力を加えることにより、帯状の鉄板4が埋め込まれた境界部分に的確に外力を加えて縁石ブロック部2と側溝ブロック部3とを的確かつ容易に分離することが可能である。
【0036】
また、この縁石ブロック部2と側溝ブロック部3との境界部分の表面には、楔を打ち込むための穴6が形成されているので、この穴6に対して楔を打ち込むことにより、帯状の鉄板4が埋め込まれた境界部分に的確に外力を加えることができることに加え、楔によって縁石ブロック部2と側溝ブロック部3とが分離する方向に外力が加わるようになるので、縁石ブロック部2と側溝ブロック部3とを的確かつ容易に分離することが可能である。
【0037】
また、帯状の鉄板4が、側溝ブロック部2の鉄筋11に固定されていることによって、この帯状の鉄板4を包み込むようにして側溝ブロック部3と一体化されている縁石ブロック部2が、帯状の鉄板4とともに側溝ブロック部2と固定されることになるので、縁石ブロック部2だけを容易に分離することが可能なだけでなく、使用状態においては縁石ブロック部2の強度を増すことが可能である。
【0038】
また、本発明の縁石一体型側溝ブロック1の製造上、帯状の鉄板4が、側溝ブロック部2の鉄筋11の縁石ブロック部2と側溝ブロック部3との境界となる部分に固定されていることによって、この鉄筋11を型枠(図示せず。)内にセットし、この型枠内に生コンクリートを流し込んで成型する際、この帯状の鉄板4がずれることがなく、縁石ブロック部2と側溝ブロック部3との境界部分に適切に配置された縁石一体型側溝ブロック1が得られる。
【0039】
(実施の形態2)
図9は本発明の第2の実施の形態における縁石一体型側溝ブロックの施工状態を示す正面図、図10は図9の縁石一体型側溝ブロックの断面図、図11は左側面図、図12は斜視図である。
【0040】
図9から図12に示すように、本発明の第2の実施の形態における縁石一体型側溝ブロック1aでは、第1実施形態における縁石一体型側溝ブロック1の鉄板4に代えて、分離用の空洞部4aが形成されている。空洞部4aは、鉄板4とほぼ同じ位置に形成されているが、第1実施形態と異なるのは空洞部4aが縁石ブロック部2と側溝ブロック部3との境界部分の側方表面まで開口されている点である。したがって、縁石一体型側溝ブロック1aに第1実施形態におけるスリット5は形成されておらず、空洞部4aが第1実施形態における鉄板4とスリット5の両方の機能を有することになる。
【0041】
また、第1実施形態においては、縁石ブロック部2と側溝ブロック部3との境界の長手方向に1枚の鉄板4が埋め込まれているが、第2実施形態における空洞部4aは鉄板4のように連続的ではなく、非連続的(部分的)に形成されている。これにより、隣接する空洞部4aの間および縁石一体型側溝ブロック1aの長手方向の両端部に開口されることなく残された部分4bが柱の役割を果たすことになり、縁石ブロック部2上に加わる荷重を支えることができる。なお、第1実施形態における鉄板4についても、空洞部4aと同様に部分的に埋め込む構成とすることも可能である。
【0042】
この第2実施形態における縁石一体型側溝ブロック1aでは、縁石ブロック部2と側溝ブロック部3との境界部分に分離用の空洞部4aが形成されたことにより、境界部分に対して外力を加えると、空洞部4aが上下に広げられることにより、縁石ブロック部2が側溝ブロック部3から分離されるので、第1実施形態と同様、縁石ブロック部2だけを容易に分離することが可能である。
【0043】
(実施の形態3)
図13は本発明の第3の実施の形態における縁石一体型側溝ブロックの施工状態を示す正面図、図14は図13の縁石一体型側溝ブロックの断面図、図15は斜視図である。
【0044】
図13から図15に示すように、本発明の第3の実施の形態における縁石一体型側溝ブロック1bでは、第1実施形態における縁石一体型側溝ブロック1aの鉄板4に代えて、分離用の空洞部4cが形成されている。空洞部4cは、円柱を円の中心で2分割した形状であり、その分割面が鉄板4とほぼ同じ位置に配置されるように形成されている。空洞部4cについては、縁石一体型側溝ブロック1bの長手方向の端から端まで連続的に形成されている。なお、第3実施形態における縁石一体型側溝ブロック1bには第1実施形態と同様にスリット5が形成されている。
【0045】
このような構成の縁石一体型側溝ブロック1bについても、縁石ブロック部2と側溝ブロック部3との境界部分に分離用の空洞部4cが形成されたことにより、境界部分のスリット5に対して外力を加えると、この外力が空洞部4cの半円状断面の角部に集中し、縁石ブロック部2が側溝ブロック部3から分離されるので、第1実施形態と同様、縁石ブロック部2だけを容易に分離することが可能である。
【0046】
なお、第2および第3実施形態における縁石一体型側溝ブロック1a,1bを製造する際には、型枠内の縁石ブロック部2と側溝ブロック部3との境界となる部分に第1実施形態における鉄板4に代えて分離用の空洞部4a,4cを形成するための抜型を配設し、型枠内に生コンクリートを流し込んで成型する。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の縁石一体型側溝ブロックは、道路の端あるいは車道と歩道との境界に配置される側溝ブロックとして有用である。特に、縁石ブロックと側溝ブロックとが一体化され、縁石ブロック部だけを容易に分離することが可能であるため、将来縁石ブロック部が不要になった際に側溝ブロック全体を取り替える必要がなく、施工面において簡易で経済的な側溝ブロックとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1の実施の形態における縁石一体型側溝ブロックの施工状態を示す正面図である。
【図2】図1の縁石一体型側溝ブロックの平面図である。
【図3】図1の縁石一体型側溝ブロックの右側面図である。
【図4】図1の縁石一体型側溝ブロックの左側面図である。
【図5】図1の縁石一体型側溝ブロックの断面図である。
【図6】図1の縁石一体型側溝ブロックの斜視図である。
【図7】図1の縁石一体型側溝ブロックの補強筋の斜視図である。
【図8】図1の縁石一体型側溝ブロックの施工手順を示す工程図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態における縁石一体型側溝ブロックの施工状態を示す正面図である。
【図10】図9の縁石一体型側溝ブロックの断面図である。
【図11】図1の縁石一体型側溝ブロックの左側面図である。
【図12】図1の縁石一体型側溝ブロックの斜視図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態における縁石一体型側溝ブロックの施工状態を示す正面図である。
【図14】図9の縁石一体型側溝ブロックの断面図である。
【図15】図1の縁石一体型側溝ブロックの斜視図である。
【図16】従来の縁石ブロックおよび側溝ブロックの施工手順を示す工程図である。
【符号の説明】
【0049】
1,1a,1b 縁石一体型側溝ブロック
2 縁石ブロック部
3 側溝ブロック部
4 鉄板
4a,4c 空洞部
5 スリット
6 穴
7 中空部
8 開口部
9 排水孔
10 溝部
11 鉄筋
20 アスファルト層
21 地盤層
22 溝
23 基礎
23a ぐり石
23b モルタル
24 埋戻し材
25 アスファルト層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縁石ブロックと側溝ブロックとが一体化された縁石一体型側溝ブロックであって、縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界部分に分離用の部材が埋め込まれた縁石一体型側溝ブロック。
【請求項2】
前記分離用の部材は、前記側溝ブロック部の補強筋に固定されたものである請求項1記載の縁石一体型側溝ブロック。
【請求項3】
前記分離用の部材は、平板である請求項1または2に記載の縁石一体型側溝ブロック。
【請求項4】
縁石ブロックと側溝ブロックとが一体化された縁石一体型側溝ブロックであって、縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界部分に分離用の空洞部が形成された縁石一体型側溝ブロック。
【請求項5】
前記縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界部分の表面に、分割面の目印となるスリットが形成された請求項1から4のいずれかに記載の縁石一体型側溝ブロック。
【請求項6】
前記縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界部分の表面に、楔を打ち込むための穴が形成された請求項1から5のいずれかに記載の縁石一体型側溝ブロック。
【請求項7】
縁石ブロックと側溝ブロックとが一体化された縁石一体型側溝ブロックの製造方法であって、型枠内の縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界となる部分に分離用の部材を配設し、前記型枠内に生コンクリートを流し込んで成型することを特徴とする縁石一体型側溝ブロックの製造方法。
【請求項8】
前記分離用の部材は、前記側溝ブロック部の補強筋の前記縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界となる部分に固定することを特徴とする請求項7記載の縁石一体型側溝ブロックの製造方法。
【請求項9】
縁石ブロックと側溝ブロックとが一体化された縁石一体型側溝ブロックの製造方法であって、型枠内の縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界となる部分に分離用の空洞部を形成するための抜型を配設し、前記型枠内に生コンクリートを流し込んで成型することを特徴とする縁石一体型側溝ブロックの製造方法。
【請求項1】
縁石ブロックと側溝ブロックとが一体化された縁石一体型側溝ブロックであって、縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界部分に分離用の部材が埋め込まれた縁石一体型側溝ブロック。
【請求項2】
前記分離用の部材は、前記側溝ブロック部の補強筋に固定されたものである請求項1記載の縁石一体型側溝ブロック。
【請求項3】
前記分離用の部材は、平板である請求項1または2に記載の縁石一体型側溝ブロック。
【請求項4】
縁石ブロックと側溝ブロックとが一体化された縁石一体型側溝ブロックであって、縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界部分に分離用の空洞部が形成された縁石一体型側溝ブロック。
【請求項5】
前記縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界部分の表面に、分割面の目印となるスリットが形成された請求項1から4のいずれかに記載の縁石一体型側溝ブロック。
【請求項6】
前記縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界部分の表面に、楔を打ち込むための穴が形成された請求項1から5のいずれかに記載の縁石一体型側溝ブロック。
【請求項7】
縁石ブロックと側溝ブロックとが一体化された縁石一体型側溝ブロックの製造方法であって、型枠内の縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界となる部分に分離用の部材を配設し、前記型枠内に生コンクリートを流し込んで成型することを特徴とする縁石一体型側溝ブロックの製造方法。
【請求項8】
前記分離用の部材は、前記側溝ブロック部の補強筋の前記縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界となる部分に固定することを特徴とする請求項7記載の縁石一体型側溝ブロックの製造方法。
【請求項9】
縁石ブロックと側溝ブロックとが一体化された縁石一体型側溝ブロックの製造方法であって、型枠内の縁石ブロック部と側溝ブロック部との境界となる部分に分離用の空洞部を形成するための抜型を配設し、前記型枠内に生コンクリートを流し込んで成型することを特徴とする縁石一体型側溝ブロックの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【図16】
【図6】
【図7】
【図12】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【図16】
【図6】
【図7】
【図12】
【図15】
【公開番号】特開2006−144261(P2006−144261A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−332071(P2004−332071)
【出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【出願人】(000138314)株式会社ヤマウ (15)
【出願人】(396002987)大協コンクリート株式会社 (2)
【出願人】(500305380)株式会社シーマコンサルタント (30)
【出願人】(504253681)株式会社ダイシ (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【出願人】(000138314)株式会社ヤマウ (15)
【出願人】(396002987)大協コンクリート株式会社 (2)
【出願人】(500305380)株式会社シーマコンサルタント (30)
【出願人】(504253681)株式会社ダイシ (2)
【Fターム(参考)】
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