説明

縮合トリアゾールタキキニン受容体アンダニスト

本発明は、ニューロキニン−1(NK−1)受容体アンタゴニスト及びタキキニン(特に、サブスタンスP)の阻害剤として有用な特定の縮合トリアゾール化合物に関する。本発明はまた、前記化合物を活性成分として含む医薬組成物、並びに前記した化合物及び組成物の嘔吐、尿失禁、うつ病及び不安症を含めた特定障害の治療における使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
サブスタンスPはペプチドのタキキニンファミリーに属する天然に存在するウンデカペプチドであり、タキキニンは血管外平滑筋組織に対する迅速な収縮作用のためにそう呼ばれている。タキキニンは保存カルボキシ末端配列により区別される。公知の哺乳動物タキキニンには、サブスタンスPに加えてニューロキニンA及びニューロキニンBが含まれる。現在の命名法はサブスタンスP、ニューロキニンA及びニューロキニンBに対する受容体をそれぞれニューロキニン−1(NK−1)、ニューロキニン−2(NK−2)及びニューロキニン−3(NK−3)と呼んでいる。
【0002】
タキキニン(特に、サブスタンスP)アンタゴニストは、過剰のタキキニン(特に、サブスタンスP)活性の存在を特徴とする臨床状態、例えば中枢神経系の障害、痛覚及び疼痛、胃腸障害、膀胱機能の障害及び呼吸器疾患の治療において有用である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、ニューロキニン−1(NK−1)受容体アンタゴニスト及びタキキニン(特に、サブスタンスP)の阻害剤として有用な特定のヒドロピラノピロール化合物に関する。本発明はまた、前記化合物を活性成分として含む医薬組成物、並びに前記した化合物及び組成物の嘔吐、尿失禁、うつ病及び不安症を含めた特定障害の治療における使用に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
1つの態様で、本発明は、式I
【0005】
【化10】

[式中、
Rは
(1)C1−3アルキル、
(2)フェニル及びナフチルから選択されるアリール、
(3)ヘテロアリールまたはそのN−オキシド(ここで、ヘテロアリールはN、S及びOからなる群から選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5または6原子の芳香族単環である。)、
(4)ヘテロ環式環(ここで、ヘテロ環はN、S及びOからなる群から選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する4、5または6原子の非芳香族環である。)、
(5)シクロヘキサン,
(6)−C1−3アリール、
(7)−C1−3アルキル−ヘテロアリール、
(8)−C1−3アルキル−ヘテロ環、
(9)−C1−3アルキル−シクロヘキサン,
(10)ヒドロキシ、
(11)−C(O)−O−R
(12)C1−3アルキル−C(O)−O−R、及び
(13)AR(ここで、ARは
【0006】
【化11】

から選択される。)
からなる群から選択され、上記(1)〜(8)は場合により
(1)オキソ、
(2)CH
(3)OH、
(4)−CH(OH)CH
(5)−OCH
(5)−C(O)C1−3アルキル、
(6)−C(O)−O−C1−4アルキル、
(7)−C(O)NHCH
(8)C(O)N(CH
(10)−NH
(11)−N(CH
(12)AR’(ここで、AR’は
【0007】
【化12】

から選択される。)
から選択される1または2個の基で置換されており;
は水素またはC1−3アルキルであり;
は水素、ヒドロキシ、メチル、−NHまたは−NHC(O)−O−C1−4アルキルであり;
X、Y及びZは独立して
(1)水素、
(2)ハロ、及び
(3)C1−3アルキル(例えば、メチル)
からなる群から選択される。]
を有する化合物並びにその医薬的に許容され得る塩及びその個々のエナンチオマー及びジアステレオマーに関する。
【0008】
この態様の範囲には、式Ia
【0009】
【化13】

を有する化合物の属並びにその医薬的に許容され得る塩及びその個々のエナンチオマー及びジアステレオマーがある。
【0010】
この態様の範囲には、Rのヘテロ環が上に定義したように置換されていてもよい
【0011】
【化14】

からなる群から選択される化合物の属がある。
【0012】
この態様の範囲には、Rのヘテロアリールが上に定義したように置換されていてもよい
【0013】
【化15】

からなる群から選択される化合物の属がある。
【0014】
この態様の範囲には、Xがフッ素であり、Yが水素であり、Zが水素である化合物の属がある。
【0015】
この態様の範囲には、Xがメチルであり、Yが水素であり、Zが水素である化合物の属がある。
【0016】
この態様の範囲には、Rが
(1)ヘテロアリールまたはそのN−オキシド(ここで、ヘテロアリールはN、S及びOからなる群から選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5または6原子の芳香族単環である。)、
(2)ヘテロ環式環(ここで、ヘテロ環はN、S及びOからなる群から選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する4、5または6原子の非芳香族環である。)、
(3)シクロヘキサン、
(4)−C1−3アルキル−ヘテロアリール、
(5)−C1−3アルキル−ヘテロ環
からなる群から選択され、上記(1)〜(5)は場合により
(1)オキソ、
(2)CH
(3)OH、
(4)−CH(OH)CH
(5)−OCH
(5)−C(O)−CH
(6)−C(O)−O−C−(t−ブチル)、
(7)−C(O)NHCH
(8)C(O)N(CH
(10)−NH
(11)−N(CH
(12)AR’(ここで、AR’は
【0017】
【化16】

からなる群から選択される。)
から選択される1または2個の基で置換されている化合物の属がある。
【0018】
この態様の範囲には、Rが
【0019】
【化17】

である化合物の属がある。
【0020】
本発明の実施態様には、X、Y及びZが水素である化合物が含まれる。本発明の実施態様には、Xがフッ素であり、Yが水素であり、Zが水素である化合物が含まれる。本発明の実施態様には、Xが4−フルオロであり、Yが水素であり、Zが水素である化合物が含まれる。本発明の実施態様には、Xがメチルであり、Yが水素であり、Zが水素である化合物が含まれる。本発明の実施態様には、Xが2−メチルであり、Yが水素であり、Zが水素である化合物が含まれる。
【0021】
本明細書中で使用されている「アルキル」及び接頭語「アルカ」を有する他の基(例えば、アルコキシ、アルカノイル、アルケニル、アルキニル等)は直鎖状、分岐状またはその組み合わせであり得る炭素鎖を意味する。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−及びtert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル等が含まれる。「アルケニル」、「アルキニル」及び他の類似の用語には少なくとも1つの不飽和C−C結合を含有する炭素鎖が含まれる。
【0022】
用語「シクロアルキル」はヘテロ原子を含有しない炭素環を意味し、この中には単環式、二環式及び三環式飽和炭素環並びにその縮合環系が含まれる。前記縮合環系は、縮合環系(例えば、ベンゾ縮合炭素環)を形成するように部分的または完全に不飽和の1つの環(例えば、ベンゼン環)を含んでもよい。シクロアルキルにはスピロ縮合環系のような縮合環系が含まれる。シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、デカヒドロナフタレン、アダマンタン、インダニル、インデニル、フルオレニル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン等が含まれる。また、「シクロアルケニル」はヘテロ原子を含有せず、少なくとも1つの非芳香族C−C二重結合を含む炭素環を意味し、この中には単環式、二環式及び三環式部分飽和炭素環並びにベンゾ縮合シクロアルケンが含まれる。シクロアルケニルの例には、シクロヘキセニル、インデニル等が含まれる。
【0023】
用語「アリール」には、別段の記載がない限り多環系及び単環系(例えば、フェニルまたはナフチル)が含まれる。
【0024】
用語「C0−6アルキル」には、0〜6個の炭素原子を含有するアルキルが含まれる。炭素原子のないアルキルは、アルキルが末端または架橋部分であるかに応じて水素原子置換基または直接結合である。
【0025】
用語「ヘテロ」は、別段の記載がない限り1個以上のO、SまたはN原子を含む。例えば、ヘテロシクロアルキル及びヘテロアリールには環中に1個以上のO、SまたはN原子(前記原子の混合物を含む)を含有する環系が含まれる。ヘテロ原子は環炭素原子を置換している。よって、例えばヘテロシクロCアルキルは0〜5個の炭素原子を含有する5員環である。
【0026】
ヘテロアリールの例には、例えばピリジニル、キノリニル、イソキノリニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピラジニル、キノキサリニル、フリル、ベンゾフリル、ジベンゾフリル、チエニル、ベンゾチエニル、ピロリル、インドリル、ピラゾリル、インダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリルが含まれる。
【0027】
ヘテロ環式基の例には、例えばアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、イミダゾリニル、ピロリジン−2−オン、ピペリジン−2−オン及びチオモルホリニルが含まれる。
【0028】
用語「アミン」には、別段の記載がない限り第1級、第2級及び第3級アミンが含まれる。
【0029】
用語「ハロゲン」にはフッ素、塩素、臭素及びヨウ素原子が含まれる。
【0030】
本発明の具体的実施態様は、本明細書の実施例の化合物からなる群から選択される化合物、並びにその医薬的に許容され得る塩及びその個々のエナンチオマー及びジアステレオマーを含む。
【0031】
本発明化合物は1つ以上の不斉中心を含み得、よってラセミ化合物及びラセミ混合物、単一エナンチオマー、ジアステレオマー混合物及び個々のジアステレオマーとして存在し得る。分子上の各種置換基の種類に応じて追加の不斉中心が存在することがある。各不斉中心により独立して2つの光学異性体が生じ、混合物の形態及び純粋もしくは部分的に精製された化合物としての考えられる光学異性体及びジアステレオマーのすべてが本発明の範囲に含まれると意図される。本発明はこれらの化合物の異性体すべてを包含することを意味する。式Iは好ましい立体化学を示すことなく化合物類の構造を示す。ジアステレオマーの独立合成またはそのクロマトグラフ分離は本明細書中に開示されている方法を適当に修飾することにより当業界で公知のように実施され得る。絶対立体化学は結晶性生成物または所要により公知の絶対配置を有する不斉中心を含む試薬を用いて誘導体化される結晶性中間体のX線結晶学により調べられ得る。所望により、化合物のラセミ混合物は、個々のエナンチオマーが単離されるように分離され得る。この分離は当業界で公知の方法により実施され得、例えば化合物のラセミ混合物をエナンチオマー的に純粋な化合物にカップリングしてジアステレオマー混合物を形成した後、標準的方法(例えば、分別結晶またはクロマトグラフィー)により個々のジアステレオマーに分離し得る。前記カップリング反応はしばしばエナンチオマー的に純粋な酸または塩基を用いる塩の形成である。その後、ジアステレオマー誘導体は付加されたキラル残基を切断することにより純粋なエナンチオマーに変換され得る。また、化合物のラセミ混合物はキラル固定相を用いるクロマトグラフィー方法によっても直接分離され得、この方法は当業界で公知の方法である。或いは、化合物のエナンチオマーは、当業界で公知の方法により公知の立体配置を有する光学的に純粋な出発物質または試薬を用いて立体選択的合成により得られ得る。
【0032】
本明細書中で検討されている化合物の命名には幾つかの方法が認められている。
【0033】
【化18】

【0034】
例えば、上記化合物は、“4−{[(6S,7S)−7−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−6−(4−フルオロフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル”または“(6S,7S)−7−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−6−(4−フルオロフェニル)−3−(ピペリジン−4−イルメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジンtert−ブチルカルバメート”と命名され得る。コア構造は通常テトラヒドロトリアゾロピリジン、ペルヒドロトリアゾロピリジン、ヒドロトリアゾロピリジンまたは縮合トリアゾール化合物と称される。
【0035】
当業者には自明のように、本明細書中で使用されているハロまたはハロゲンはフルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを含むと意図される。また、C1−6アルキルの場合のようなC1−6は基を直鎖状または分岐状配置で1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有するものとして同定すると定義され、C1−8アルキルは具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル及びヘキシルを含む。独立して置換基で置換されているとする基は独立して複数個の置換基で置換されていてもよい。
【0036】
用語「医薬的に許容され得る塩」は、無機または有機塩基及び無機または有機酸を含めた医薬的に許容され得る非毒性塩基または酸から製造される塩を指す。無機塩基から誘導される塩にはアルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第一鉄、第二鉄、リチウム、マグネシウム、第一マンガン、第二マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛等が含まれる。アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩及びナトリウム塩が特に好ましい。固体形態の塩は2つ以上の結晶構造で存在し得、水和物の形態でも存在し得る。医薬的に許容され得る有機非毒性塩基から誘導される塩には第1級、第2級及び第3級アミン、天然に存在する置換アミンを含めた置換アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂(例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等)の塩が含まれる。本発明化合物が塩基性の場合、塩は無機及び有機酸を含めた医薬的に許容され得る非毒性酸から製造され得る。前記酸には酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸等が含まれる。クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸、フマル酸及び酒石酸が特に好ましい。本明細書中で使用する場合、本発明化合物への言及は医薬的に許容され得る塩をも含むことを意味すると理解される。
【0037】
本発明の具体化は実施例及び本明細書中に開示されている化合物の使用である。本発明内の具体的化合物には下記実施例に開示されている化合物からなる群から選択される化合物、並びにその医薬的に許容され得る塩及びその個々のジアステレオマーが含まれる。
【0038】
本発明化合物は、過剰のタキキニン(特に、サブスタンスP)活性が存在することを特徴とする各種臨床状態の予防及び治療において有用である。よって、例えば、過剰のタキキニン(特に、サブスタンスP)活性は各種中枢神経系障害に関与している。前記障害には、気分障害、例えばうつ病、より具体的には抑うつ性障害(例:単一エピソードまたは反復性大うつ病性障害及び気分変調性障害)、または双極性障害(例:双極性I障害、双極性II障害及び循環気質障害);不安障害、例えば広場恐怖症を伴うことがあるパニック障害、パニック障害の病歴のない広場恐怖症、特定恐怖症(例:特定動物恐怖症)、社会恐怖症、強迫性障害、ストレス障害(例:外傷後ストレス障害及び急性ストレス障害)、及び全身性不安障害;統合失調症及び他の精神病性障害、例えば統合失調様障害、分裂情動性障害、妄想障害、短期精神病性障害、共有精神病性障害、及び妄想または幻覚を伴う精神病性障害;譫妄、認知症、並びに健忘症及び他の認知及び神経変性障害、例えばアルツハイマー病、老人性認知症、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、及び例えばHIV病、頭部外傷、パーキンソン病、ハンチントン病、ピック病、クロイツフェルトヤコブ病に起因するかまたは複数の病因に起因する他の認知症;パーキンソン病及び他の錐体外路運動障害、例えば薬剤誘発性運動障害(例:神経遮断剤誘発性パーキンソニズム、神経遮断剤誘発性悪性症候群、神経遮断剤誘発性急性ジストニー、神経遮断剤誘発性急性アカシジア、神経遮断剤誘発性遅発性ジスキネジー及び薬剤誘発性体位性振せん);アルコール、アンフェタミン(またはアンフェタミン様物質)、カフェイン、大麻、コカイン、幻覚薬、吸入薬及びエアゾール噴射剤、ニコチン、オピオイド、フェニルグリシジン誘導体、鎮静薬、催眠薬及び抗不安薬の使用により生ずる物質関連障害(この中には依存症及び乱用、中毒、退薬、中毒性譫妄、禁断性譫妄、持続認知症、精神病性障害、気分障害、不安障害、性機能不全及び睡眠障害が含まれる);てんかん;ダウン症候群;脱髄性障害、例えばMS及びALS、並びに他の精神病理的障害(例:糖尿病性及び化学療法誘発性ニューロパシーのような末梢ニューロパシー、治療後神経痛、三叉神経痛、分節性または肋間神経痛、及び他の神経痛);及び急性または慢性脳血管障害(例:脳梗塞、くも膜下出血または脳浮腫)に起因する脳血管障害が含まれる。
【0039】
タキキニン(特に、サブスタンスP)活性は痛覚及び疼痛にも関与する。従って、本発明化合物は、軟組織及び末梢障害、例えば急性外傷、変形性関節症、関節リウマチ、(特に外傷後の)筋骨格痛、脊髄痛、筋筋膜疼痛症候群、頭痛、会陰切開術痛及び火傷;深部内臓痛、例えば心臓痛、筋肉痛、眼痛、口顔痛(例えば、歯痛)、腹痛、婦人科痛(例えば、月経困難痛及び分娩痛);神経及び根損傷に関連する疼痛、例えば末梢神経障害(例:神経エントラップメント及び腕神経叢の裂離、切断、末梢ニューロパシー、疼痛性チック、非定型顔面痛、神経根障害及びクモ膜炎)に関連する疼痛;しばしば癌痛と称されている癌に関連する疼痛;中枢神経系疼痛、例えば脊髄または脳幹損傷に起因する疼痛;腰痛;座骨神経痛;強直性脊椎炎;痛風;及び瘢痕痛を含めた疼痛が顕著な疾患及び状態の予防または治療において使用される。
【0040】
タキキニン(特に、サブスタンスP)アンタゴニストは呼吸器疾患、特に過剰の粘液分泌に関連する呼吸器疾患、例えば慢性閉塞性気道疾患、気管支肺炎、慢性気管支炎、嚢胞性線維症及び喘息、成人呼吸窮迫症候群及び気管支痙攣;炎症性疾患、例えば炎症性腸疾患、乾せん、線維症、変形性関節症、関節リウマチ、掻痒症及び日焼け;アレルギー、例えば湿疹及び鼻炎;過敏性障害、例えばウルシかぶれ;眼科疾患、例えば結膜炎、春季結膜炎等;細胞増殖に関連する眼の状態、例えば増殖性硝子体網膜炎;皮膚疾患、例えば接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、じんま疹及び他の湿疹様皮膚炎の治療においても使用され得る。タキキニン(特に、サブスタンスP)アンタゴニストは、乳癌、神経節芽細胞腫及び小細胞癌(例えば、小細胞肺癌)を含めた新生物の治療においても使用され得る。
【0041】
タキキニン(特に、サブスタンスP)アンタゴニストは胃腸(GI)管の炎症性障害及び疾患、例えば胃炎、胃十二指腸潰瘍、胃癌、胃リンパ腫、内臓のニューロンコントロールに関連する障害、潰瘍性大腸炎、クローン病、過敏性腸症候群、嘔吐(化学療法、放射線、毒素、ウイルスまたは細菌感染、妊娠、前庭障害(例えば、乗物酔い、めまい、眩暈及びメニエル病)、手術、偏頭痛、頭蓋内圧力の変動、胃食道逆流症、胃酸過多、食物または飲料の過剰な無節制飲食、酸性胃、呑酸または逆流、胸焼け(例えば、偶発性、夜間または食事誘発性胸焼け)及び消化不良により誘発される嘔吐のような急性、遅発性または予期性嘔吐を含む)を含めた胃腸(GI)障害の治療においても使用され得る。
【0042】
タキキニン(特に、サブスタンスP)アンタゴニストはストレス関連身体障害;反射交換神経ジストロフィー、例えば肩手症候群;悪い免疫反応(例えば、移植した組織の拒絶)及び免疫強化または抑制に関連する障害(例えば、全身性エリテマトーデス);サイトカイン化学療法により生ずる血漿血管外漏出、切迫尿失禁、緊急性及び頻度の症状を有する過活動膀胱の予防または治療を含めた膀胱機能の障害(例えば、膀胱炎、膀胱排尿筋反射亢進、頻繁の排尿及び尿失禁);線維化コラーゲン疾患(例えば、強皮症及び好酸球性肝蛭症);血管拡張及び血管痙攣性疾患(例えば、狭心症、血管性頭痛、偏頭痛及びレイノー病)に起因する血流の障害;及び上記した状態に起因し得るまたは関連する疼痛または痛覚、特に偏頭痛における疼痛の伝達を含めた各種の他の状態の治療においても使用され得る。本発明化合物は、上記状態の組合せの治療、特に術後疼痛及び術後悪心及び嘔吐の組合せの治療においても価値がある。
【0043】
本発明化合物は、急性、遅発性または予期性嘔吐、例えば化学療法、放射線、毒素、妊娠、前庭障害、運動、手術、偏頭痛及び頭蓋内圧力の変動により誘発される嘔吐を含めた嘔吐の予防または治療において特に有用である。例えば、本発明化合物は、場合により高用量のシスプラチンを含めた中程度〜高度の嘔吐発症性癌化学療法の初期及び反復使用に関連する急性及び遅発性嘔吐及び悪心を予防するために他の制吐剤と一緒に使用される。最も具体的には、本発明化合物は、癌化学療法においてルーチンに使用されているものを含めた抗腫瘍(細胞毒性)剤により誘発される嘔吐、及びロリプラムのような他の薬剤により誘発される嘔吐の治療に使用される。前記化学療法剤の例にはアルキル化剤、例えばエチレンイミン化合物、アルキルスルホネート及びアルキル化作用を有する他の化合物(例:ニトロソ尿素、シスプラチン及びデカルバジン);抗代謝剤、例えば葉酸、プリンまたはピリミジンアンタゴニスト;有糸分裂抑制剤、例えばビンカアルカノイド及びポドフィロトキシン誘導体;及び細胞毒性性抗体が含まれる。化学療法剤の具体例は、例えばD.J.Stewart,Nausea and Vomiting:Recent Research and Clinical Advances,J.Kucharczykら編,米国フロリダ州ボカラトンに所在のCRC Press Inc.(1991)発行,p.177−203、特にp.188に記載されている。一般的に使用されている化学療法剤にはシスプラチン、ダカルバジン(DTIC)、ダクチノマイシン、メクロレタミン、ストレプトゾシン、シクロホスファミド、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、ダウノルビシン、プロカルバジン、マイトマイシン、シタラビン、エトポシド、メトトレキサート、5−フルオロウラシル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ブレオマイシン及びクロラムブシル[R.J.Grallaら,Cancer Treatment Reports(1984),68(1),163−172]が含まれる。本発明の別の態様は、哺乳動物における時間生物学的(日周期リズム相シフト)効果を達成するため及び日周期リズム障害を改善するための本発明化合物の使用を含む。本発明は更に、哺乳動物における光の相シフト効果を遮断するための本発明化合物の使用に関する。
【0044】
本発明は更に、哺乳動物において睡眠の質を高めるまたは向上させるため、並びに睡眠障害及び睡眠異常症を予防及び治療するための本発明化合物またはその医薬的に許容され得る塩の使用に関する。特に、本発明は、睡眠効率を増加させ、睡眠の維持を改善することにより睡眠の質を高めるまたは向上させるための方法を提供する。加えて、本発明は、本発明化合物またはその医薬的に許容され得る塩を投与することを含む哺乳動物における睡眠障害及び睡眠異常症の予防及び治療方法を提供する。本発明は、(特に不安症に関連する)精神障害の結果としての精神生理的原因により、(特に、退薬段階での)薬物及びアルコールの使用及び乱用により生じ得る睡眠の開始及び維持の障害(不眠症)(“DIMS”)、小児発症DIMS、夜間ミオクローヌス、線維筋痛、筋肉痛、睡眠無呼吸及びレストレスレッグ、並びに老化時に見られるような非特異的REM障害を含めた睡眠障害の治療のために有用である。
【0045】
本発明の特に好ましい実施態様は、嘔吐、尿失禁、うつ病または不安症の治療を要する被験者(ヒトまたは動物)に対して本発明化合物を投与することによる嘔吐、尿失禁、うつ病または不安症の治療である。
【0046】
本発明は、本発明化合物を医薬用担体または希釈剤と組み合わせることを含む哺乳動物においてサブスタンスPのその受容体部位での作用を拮抗させるためまたはニューロキニン−1受容体を遮断するための薬剤の製造方法に関する。本発明は更に、本発明化合物を医薬用担体または希釈剤と組み合わせることを含む哺乳動物における過剰のタキキニンに関連する生理的障害の治療用薬剤の製造方法に関する。
【0047】
本発明は、過剰のタキキニン(特に、サブスタンスP)に関連する生理的障害の治療または予防方法をも提供し、その方法は、前記治療を要する患者に対してタキキニン減少量の本発明化合物または本発明化合物を含む組成物を投与することを含む。本明細書中で使用されている用語「治療」または「治療する」は、ここに挙げられている病的状態を患っているかまたはその臨床徴候を呈している被験者(ヒトまたは動物)において前記状態の症状またはその原因を減少、改善または解消するための本発明化合物の投与を指す。用語「予防」または「予防する」は、ここに挙げられている病的状態に罹るかまたは罹りやすい被験者(ヒトまたは動物)において前記状態の発生のリスクまたは可能性を減少、改善または解消するための本発明化合物の投与を指す。
【0048】
本発明化合物は、胃腸障害、中枢神経系障害、炎症性疾患、疼痛または偏頭痛、及び喘息の治療を要する哺乳動物における前記疾患の治療においてタキキニン(特に、サブスタンスP)を拮抗させるために有用である。この活性は以下のアッセイにより立証され得る。
【0049】
COSにおける受容体発現:COSにおいてクローン化ヒトニューロキニン−1受容体(NK1R)を一時的に発現させるために、pCDM8(INVITROGEN)からアンピシリン耐性遺伝子(BLUESCRIPT SK+由来のヌクレオチド1973〜2964)をSacII部位に挿入することにより誘導した発現ベクターpCDM9にヒトNK1RのcDNAをクローン化した。IBI GENEZAPPER(コネチカット州ニューヘーブンに所在のIBI)を用いてトランスフェクション緩衝液(800ul;135mM NaCl、1.2mM CaCl、1.2mM MgCl、2.4mM KHPO、0.6mM KHPO、10mM グルコース、10mM HEPES、pH7.4)中260V及び950uFでエレクトロポレーションすることにより、20ugのプラスミドDNAを1×10個のCOS細胞にトラクスフェクトした。アッセイ前3日間、細胞を10% ウシ胎児血清、2mM グルタミン、100U/ml ペニシリン−ストレプトマイシン及び90% DMEM培地(ニューヨーク州グランドアイランドに所在のGIBCO)において5% CO、37℃でインキュベートした。
【0050】
CHOにおける安定な発現:クローン化ヒトNK1Rを発現する安定な細胞株を樹立させるために、cDNAをベクターpRcCMV(INVITROGEN)にサブクローン化した。IBI GENEZAPPER(IBI)を用いて0.625mg/mlのニシン精子DNAを補充したトランスフェンション緩衝液(800ul)中300V及び950uFでエレクトロポレーションすることにより、20ugのプラスミドDNAをCHO細胞にトラクスフェクトした。コロニーが目に見えるまで、トランスフェクトした細胞をCHO媒体[10% ウシ胎児血清、100U/ml ペニシリン−ストレプトマイシン、2mM グルタミン、1/500 ヒポキサンチン−チミジン(ATCC)、90% IMDM培地(カンザス州レネクサ所在のJRH BTOSCIENCES)、0.7mg/ml G418(GIBCO)]において5% CO、37℃でインキュベートした。各コロニーを分離し、増殖させた。最高数のヒトNK1Rを有する細胞クローンを薬物スクリーニングのようなその後の使用のために選択した。
【0051】
COSまたはCHOを用いるアッセイプロトコル:COSまたはCHO細胞において発現させたヒトNK1Rの結合アッセイは、ヒトNK1Rへの結合のために非標識サブスタンスPまたは他のリガンドと競合する放射標識リガンドとして125I−サブスタンスP(マサチューセッツ州ボストンに所在のDU PONTの125I−SP)を使用することに基づいている。COSまたはCHOの単層細胞培養物を非酵素溶液(ニュージャージ州ラバレッテに所在のSPECIALTY MEDIA)により解離させ、200ulの細胞懸濁液が約10,000cpmの特異的125I−SP結合(約50,000〜200,000個の細胞)を生ずるように適当量の結合緩衝液(50mM トリス(pH7.5)、5mM MnCl、150mM NaCl、0.04mg/ml バシトラシン、0.004mg/ml ロイペプチン、0.2mg/ml BSA、0.01mM ホスホルアミドン)中に再懸濁させた。この結合アッセイでは、20ulの1.5〜2.5nM 125I−SP及び20ulの非標識サブスタンスPまたは他の試験化合物を収容しているチューブに200ulの細胞を添加した。チューブを優しく振とうしながら4℃または室温で1時間インキュベートした。結合放射能を、予め0.1% ポリエチレンイミンで湿らしたGF/Cフィルター(メリーランド州ゲーザーズバーグに所在のBRANDEL)により非結合放射能から分離した。フィルターを3mlの洗浄緩衝液(50mM トリス(pH7.5)、5mM MnCl、150mM NaCl)で3回洗浄し、その放射能をガンマカウンターにより測定した。ホスホリパーゼCのNK1Rによる活性化もヒトNK1Rを発現するCHO細胞においてIPの分解生成物であるイノシトールモノホスフェートの蓄積を測定することにより調べることができる。CHO細胞を12ウェルプレートに250,000細胞/ウエルで接種する。CHO培地において4日間インキュベートした後、一晩インキュベートすることにより細胞に0.025uCi/mlのH−ミオイノシトールを充填する。リン酸緩衝食塩液で洗浄することにより細胞外放射能を除去する。LiClを場合により試験化合物の存在下で0.1mMの最終濃度でウェルに添加し、37℃で15分間インキュベートし続ける。サブスタンスPを0.3nMの最終濃度でウェルに添加して、ヒトNK1Rを活性化する。37℃で30分間インキュベートした後、培地を除去し、0.1N HClを添加する。各ウェルを4℃で音波処理し、CHCl/メタノール(1:1)で抽出する。水性相を1mlのDowex AG 1X8イオン交換カラムにかける。カラムを0.1N ギ酸、次いで0.025M ギ酸アンモニウム−0.1N ギ酸で順次洗浄する。イノシトールモノホスフェートを0.2M ギ酸アンモニウム−0.1N ギ酸で溶離し、ベータカウンターにより定量化した。特に、本発明化合物の固有タキキニン受容体アンタゴニスト活性はこれらのアッセイにより立証され得る。下記実施例の化合物は上記アッセイにおいて0.05nM〜10μMの範囲で活性を有している。本発明化合物の活性は、Leiら,British J.Pharmacol.,105:261−262(1992)に開示されているアッセイによっても立証され得る。
【0052】
追加または代替態様によれば、本発明は体内のタキキニンまたはサブスタンスPの量の減少を要する被験者に対して投与され得る組成物として使用するための本発明化合物を提供する。
【0053】
本明細書中で使用されている用語「組成物」は、特定成分を所定の量または比率で含む製品及び特定量の特定成分の組合せから直接または間接的に生ずる製品を包含すると意図される。医薬組成物に関連してこの用語は、1つ以上の活性成分及び不活性成分からなる任意の担体を含む製品;及び2つ以上の成分の組合せ、複合体化または集合から、1つ以上の成分の解離から、または1つ以上の成分の他のタイプの反応または相互作用から直接または間接的に生ずる製品を包含すると意図される。通常、医薬組成物は、活性成分を液体担体及び/または微細固体担体と均質及び均密に混合し、その後所要により生成物を所望の製剤に成形することにより製造される。医薬組成物中に活性目的化合物は疾患の進行または状態に対して望ましい効果を生じさせるのに十分な量含まれている。従って、本発明の医薬組成物は、本発明化合物及び医薬的に許容され得る担体を混合することにより作成される組成物を包含する。「医薬的に許容され得る」とは、担体、希釈剤または賦形剤が製剤の他の成分と適合性でなければならず且つそのレシピエントにとって有害であってはならないことを意味する。
【0054】
経口用に意図された医薬組成物は医薬組成物の製造のために当業界で公知の方法に従って製造され得、前記組成物は医薬として上品で口に合う製剤を提供するために甘味料、着香料、着色料及び保存料からなる群から選択される1つ以上の物質を含み得る。錠剤は、活性成分を錠剤を製造するのに適した非毒性の医薬的に許容され得る賦形剤と混合して含む。前記賦形剤の例は、不活性希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム;顆粒化剤及び崩壊剤、例えばコーンスターチまたはアルギン酸;結合剤、例えばデンプン、ゼラチンまたはアカシア;滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクであり得る。錠剤はコーティングされていなくても、胃腸管での崩壊及び吸収を遅らせて長時間にわたり持続作用を発揮するように公知技術によりコーティングされていてもよい。経口用組成物は、活性成分が不活性固体希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリン)と混合されている硬ゼラチンカプセル剤、または活性成分が水または油性媒体(例えば、落花生油、流動パラフィンまたはオリーブ油)と混合されている軟ゼラチンカプセル剤としても提供され得る。水性懸濁液剤は水性懸濁液の調製に適した賦形剤と混合して活性物質を含む。油性懸濁液剤は活性成分を適当な油中に懸濁させることにより製剤化され得る。水中油型エマルション剤も使用され得る。水を添加することにより水性懸濁液を調製するのに適した分散性散剤及び顆粒剤は活性成分を分散/湿潤剤、懸濁剤及び1つ以上の保存剤と混合して与える。
【0055】
本発明の医薬組成物は滅菌の注射用水性または油性懸濁液剤の形態をとり得る。本発明化合物は直腸内投与用座剤の形態でも投与され得る。局所的に使用するために、本発明化合物を含有するクリーム剤、軟膏剤、ゼリー剤、溶液剤または懸濁液剤等が使用され得る。本発明化合物を吸入投与のために製剤化してもよい。本発明化合物を当業界で公知の方法により経皮パッチによって投与してもよい。
【0056】
本発明化合物を含む組成物は単位投与形態で提供され得、製薬業界で公知の方法により製造され得る。用語「単位投与形態」は、患者または患者に対して薬物を投与する人が全用量が収容されている1つの容器またはパッケージを開けるだけで、2つ以上の容器またはパッケージから成分を混合する必要がないようにすべての活性成分及び不活性成分が適当な系において組み合わされている1回用量を意味すると解釈される。単位投与形態の典型例は経口投与用錠剤またはカプセル剤、注射のための1回用量バイアルまたは直腸内投与用座剤である。この単位投与形態のリストは決して限定的と意図されず、製薬業界での単位投与形態の典型例を示しているにすぎない。本発明化合物を含む組成物は、活性または不活性成分、担体、希釈剤等であり得る2つ以上の成分が患者または患者に対して薬物を投与する人が実際の剤形を調製するための説明書と共に含まれているキットとしても提供され得る。前記キットでは、必要な材料及び成分のすべてがそこに収容されていても、患者または患者に対して薬物を投与する人が独立して入手しなければならない材料または成分を使用または調製するための説明書が添付されていてもよい。
【0057】
「医薬的に許容され得る」とは、担体、希釈剤または賦形剤が製剤の他の成分と適合性でなければならず且つそのレシピエントにとって有害であってはならないことを意味する。
【0058】
用語「化合物の投与」または「化合物を投与する」は、治療を要する個人に対して本発明化合物を治療上有用な形態、治療有効量で個人の身体に導入し得る形態で与えることを意味すると理解されるべきである。前記形態には経口用剤形、例えば錠剤、カプセル剤、シロップ剤、懸濁液剤等;注射用剤形、例えばIV、IMまたはIP等;経皮剤形、例えばクリーム剤、ゼリー剤、散剤またはパッチ剤;口腔内剤形;吸入用散剤、スプレー剤、懸濁液剤等;及び直腸内用座剤が含まれるが、これらに限定されない。用語「治療有効量」は、挙げられている病的状態を治療または予防するために適当な組成物及び適当な剤形での十分な量の本発明化合物を指す。
【0059】
本発明化合物は、本発明のタキキニン及びサブスタンスP阻害剤に対して相補的作用を有する別の物質と一緒に投与され得る。従って、嘔吐の予防または治療において、本発明化合物は他の制吐剤、特に5HT受容体アンタゴニスト(例えば、オンダンセトロン、グラニセトロン、トロピセトロン、パレノセトロン及びザチセトロン)、コルチコステロイド(例えば、デキサメタゾン)またはGABA受容体アゴニスト(例えば、バクロフェン)と一緒に使用され得る。また、偏頭痛を予防または治療するためには、本発明化合物は他の抗偏頭痛薬(例えば、エルゴタミン)または5HTアゴニスト、特にスマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルマトリプタンまたはリザトリプタンと一緒に使用され得る。
【0060】
うつ病または不安症を治療するためには、本発明化合物は他の抗うつ薬または抗不安薬、例えばノルエピネフリン再取り込み阻害剤、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、モノアミンオキシダーゼの可逆的阻害剤(RIMA)、セロトニン及びノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)、α−アドレナリン受容体アンタゴニスト、非定型抗うつ剤、ベンゾジアゼピン、5−HT1Aアゴニストまたはアンタゴニスト(特に、5−HT1A部分アゴニスト)、コルチコトロピン放出因子(CRF)アンタゴニスト及びその医薬的に許容され得る塩と一緒に使用され得ると認識される。肥満、神経性過食症及び強迫性摂食障害を含めた摂食障害を治療または予防するためには、本発明化合物は他の食欲抑制薬と一緒に使用され得る。疼痛または痛覚或いは炎症性疾患を治療または予防するためには、本発明化合物は抗炎症または鎮痛剤(例えば、アヘン剤アゴニスト)、リポキシゲナーゼ阻害剤(例えば、5−リポキシゲナーゼ阻害剤)、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(例えば、シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤)、インターロイキン阻害剤(例えば、インターロイキン−1阻害剤)、NMDAアンタゴニスト、一酸化窒素抑制剤または一酸化窒素合成の抑制剤、非ステロイド抗炎症剤またはサイトカイン抑制抗炎症剤と一緒に使用され得ると認識される。
【0061】
本明細書に記載されている組合せを用いるとき、本発明化合物及び他の活性物質は患者に対して妥当な期間内に投与されると認識される。これらの化合物は同一の医薬的に許容され得る担体中に配合され得、従って同時に投与され得る。これらの化合物を別々の医薬用担体中、例えば同時に服用する慣用の経口剤形の形態で存在させ得る。用語「組合せ」は、化合物を別々の剤形中に配合し、順次投与する場合も指す。従って、例えば1つの活性成分を錠剤として投与した後、妥当な期間内に第2の活性成分を錠剤のような経口剤形としてまたは急速に溶解する経口剤形として投与してもよい。「急速に溶解する経口剤形」とは、患者の舌の上に置いたとき約10秒以内に溶解する経口デリバリー形態を意味する。「妥当な期間」とは約1時間を超えない期間を意味する。例えば、第1の活性成分を錠剤として与える場合、第2の活性成分は1時間以内に同一タイプの剤形でまたは薬剤を効果的にデリバリーする別の剤形で投与されなければならない。
【0062】
本発明化合物は、治療を要する患者(動物及びヒト)に対して最適の薬効を与える用量で投与され得る。特定の用途で使用するのに必要な用量は患者毎に異なり、選択した特定の化合物または組成物のみならず、投与ルート、治療対象の状態の種類、患者の年齢及び状態、併用する薬物、その後患者が従う特別食、及び当業者が認識している他の要因によっても異なり、適当な用量は最終的には担当医の裁量であると認識される。
【0063】
過剰のタキキニンに関連する状態の治療において、本発明化合物またはその医薬的に許容され得る塩の適当な用量レベルは約0.001〜50mg/kg/日、特に約0.01〜約25mg/kg/日(例えば、約0.05〜約10mg/kg/日)である。用量範囲は通常約0.5〜1000mg/患者/日であり、これを1回または複数回で投与し得る。用量範囲は、好ましくは約0.5〜500mg/患者/日、より好ましくは約0.5〜200g/患者/日、更に好ましくは約5〜50mg/患者/日である。本発明化合物またはその医薬的に許容され得る塩の投与のための具体的用量には1mg、5mg、10mg、30mg、100mg及び500mgが含まれる。本発明の医薬組成物は約0.5〜1000mgの活性成分を含む製剤、より好ましくは約0.5〜500mgの活性成分、または0.5〜250mgの活性成分、または1〜100mgの活性成分を含む製剤で提供され得る。過剰タキキニンを治療または予防するための具体的医薬組成物は約1mg、5mg、10mg、30mg、100mg及び500mgの活性成分を含む。
【0064】
本発明化合物を製造するための幾つかの方法を下記実施例に例示する。出発物質及び必要な中間体は幾つかの場合では市販されており、または文献に記載されている手順に従ってまたは本明細書中に例示されているように製造され得る。H NMRスペクトルはいずれも400または500MHzの磁場強度で計器を用いて得た。
【0065】
下記実施例は更に説明する目的で提示する。これらの実施例は本発明を限定するつもりはない。
【実施例1】
【0066】
(3S,4S)−4−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−3−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−1−カルボン酸tertブチル
ステップA3−(4−フルオロフェニル)−4−オキソピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
アルゴン充填バルーンを備えた丸底フラスコにN−BOC 4−ピペリドン(5.0g,25.1ミリモル)、ナトリウムtert−ブトキシド(2.89g,30.1ミリモル)、酢酸パラジウム(0.056g,0.30ミリモル)及び2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2’−メチルビフェニル(0.183g,0.5ミリモル)を装入した。THF(150mL)を添加した後、4−フルオロ−1−ブロモベンゼンを添加した。排気/アルゴンサイクルを5回実施した後、反応物を80℃に24時間加熱した。周囲温度まで冷却した後、反応混合物を飽和(水性)塩化アンモニウム溶液でクエンチし、セライトパッドを介して濾過し、パッドを多量の酢酸エチルで濯いだ。層を分離した後、有機相をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、真空中で濃縮し、シリゲル(1〜15% EtOAc/ヘキサンの直線勾配、次いで15% EtOAc/ヘキサン)を用いて精製した。こうして、3.1gの標記化合物を得た。H−NMR(CDCl):δ 1.53(s,9H),2.54−2.64(m,2H),3.40−3.60(m,2H),3.64−3.76(m,1H),4.18−4.40(m,2H),7.07(dd,2H,J=9,9Hz),7.17(dd,2H,J=6,9Hz)ppm。
【0067】
ステップBトランス−3−(4−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
実施例1のステップAからの中間体(4.61g,15.7ミリモル)をジエチルエーテル(200mL)中に含む溶液を冷却(−78℃)し、ここに(THF中)1.0M LAH溶液を添加した。反応物をこの温度で7時間撹拌した。その後、HO(0.72mL)、5N NaOH(0.72mL)及びHO(2.16mL)を順次添加することにより反応物をクエンチした。混合物を一晩で周囲温度まで加温した。次いで、反応混合物をセライトパッドを介して濾過し、多量のEtOAcで濯ぎ、真空中で濃縮し、粗な残渣をシリゲル(10〜40% EtOAc/ヘキサンの直線勾配で溶離)を用いて精製して、3.71gのより極性のトランス−ジアステレオマーを得た。或いは、粗な残渣を20% EtOAc/ヘキサンから再結晶化すると、純粋なトランス−ジアステレオマーが生じ得る。H−NMR(CDCl):δ 1.50(s,9H),2.05−2.12(m,1H),2.58−2.66(m,1H),2.70−3.00(m,3H),3.85(ddd,1H,J=5,11,11Hz),4.00−4.30(m,2H),7.05−7.12(m,2H),7.24−7.30(m,2H)ppm。
【0068】
ステップC(1S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル2,2,2−トリクロロエタンイミドエート
(1S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノール(25.82g,100ミリモル)を乾燥ジエチルエーテル(200mL)中に含む溶液を窒素雰囲気下で氷水浴を用いて冷却した。反応フラスコにニートなDBU(3mL,20ミリモル,0.2当量)を添加した後、混合物を0℃で10分間撹拌した。トリクロロアセトニトリル(15mL,150ミリモル,1.5当量)を15分間かけて1滴ずつゆっくり添加した。反応物を0℃で2時間撹拌した。この間に色は深黄色になった。揮発物を冷浴(<35℃)を用いて真空下で除去すると、淡褐色流動性液体が生じた。これをシリゲル(3”×10”パッド)を用い、ヘキサン/EtOAc(9/1)、次いでヘキサン/EtOAc(4/1)で溶離させるカラムクロマトグラフィーにより精製した。生成物フラクションを合わせ、溶媒を真空下で除去して、37.5gの標記化合物を淡黄色油状物として得た。H−NMR(CDCl):δ 1.74(d,3H,6.5Hz),6.07(q,1H,6.5Hz),7.82(s,1H),7.86(s,2H),8.40(br.s,1H)ppm。
【0069】
ステップD(3S,4S)−4−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−3−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
ステップBからのトランス−ラセミアルコール(9.0g,30.05ミリモル)をシクロヘキサン−1,2−ジクロロエタンの2:1混合物(360mL)中に含む溶液を冷却(−5℃)し、ここに(1S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル−2,2,2−トリクロロエタンイミドエート(24.53g,61.0ミリモル)を添加した後、(ジエチルエーテル中)54% HBF(0.5mL)を添加した。18時間後、更にHBF(0.5mL)を添加し、反応物を−5℃で更に6時間維持した。その後、反応混合物をEtOAcで希釈した。有機物を飽和NaHCO溶液、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。粗な残渣をシリゲル(1〜15% EtOAc/ヘキサンの直線勾配を用いて溶離)を用いて精製した。こうして、3gの所望ジアステレオマー及び4gの出発アルコールを得た。H−NMR(CDCl):δ 1.35(d,3H,J=7Hz),1.50(s,9H),1.56−1.64(m,1H),2.16−2.24(m,1H),2.66−2.90(m,3H),3.39(ddd,1H,J=5,11,11Hz),3.90−4.40(m,2H),4.54(q,1H,J=7Hz),6.92(dd,2H,J=9,9Hz),7.01(dd,2H,J=6,9Hz),7.30(s,2H),7.73(s,1H)ppm。
【0070】
ステップE(4S,5S)−4−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−5−(4−フルオロフェニル)−2−オキソピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
過ヨウ素酸ナトリウム(1.13g,5.29ミリモル)をHO(20mL)中で激しく撹拌した後、RuO水和物(29mg,0.22モル)を5分間で添加した。実施例1のステップDからの中間体(567mg,1.05ミリモル)をEtOAc(10mL)中に含む溶液を1滴ずつ添加した。反応物を更に3時間撹拌した。反応混合物をEtOAcで抽出し、合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。粗な残渣をシリゲル(15〜35% EtOAc/ヘキサンの直線勾配で溶離)を用いて精製した。こうして、300mgの標記化合物を得た。
【0071】
ステップF(4S,5S)−4−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−5−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−2−オン
実施例1のステップEからの中間体をEtOAc(5mL)中に溶解した後、(EtOAc中)飽和HCl溶液を添加した。混合物を周囲温度で3時間エージングした。揮発物を真空中で除去し、粗な残渣をシリゲル(1〜10% メタノール/DCMの直線勾配で溶離)を用いて精製した。こうして、220mgの標記化合物を得た。H−NMR(CDOD):δ 1.34(d,3H,J=7.0Hz),2.48(dd,1H,J=9,18Hz),2.96(dd,1H,J=6,18Hz),3.06(ddd,1H,J=7,10,10Hz),3.30−3.34(m,2H),3.92(ddd,1H,J=6,8,10Hz),4.71(q,1H,J=7Hz),6.91(dd,2H,J=9,9Hz),7.14(dd,2H,J=6,9Hz),7.52(s,2H),7.78(s,1H)。
【0072】
ステップG(3S,4S)−4−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−3−(4−フルオロフェニル)−6−メトキシ−2,3,4,5−テトラヒドロピリジン
実施例1のステップFからの中間体(30mg,0.066ミリモル)をDCM(2mL)中に溶解した後、トリメチルオキソニウムテトラフルオロボレート(11mg,0.075ミリモル)を添加した。反応物を2時間エージングした。揮発物を真空中で除去し、生成物を精製することなく使用した。
【0073】
ステップH(6S,7S)−7−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−6−(4−フルオロフェニル)−3−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン
実施例1のステップGからの中間体をEtOH(2mL)中に溶解した後、酢酸ヒドラジド(15mg,0.202ミリモル)を添加した。反応物を75℃に一晩加熱した。揮発物を真空中で除去し、粗な残渣をシリゲル(5% メタノール/DCM)を用いて精製した。こうして、標記化合物を得た。H−NMR(CDOD):δ 1.38(d,3H,J=7Hz),2.37(s,3H),2.97(dd,1H,J=9,17Hz),3.41(ddd,1H,J=6,11,11Hz),3.60(dd,1H,J=5,17Hz),3.99(dd,1H,J=11,13Hz),4.09(ddd,1H,J=6,9,9Hz),4.20(dd,1H,J=6,13Hz),4.80(q,1H,J=7Hz),6.94(dd,2H,J=9,9Hz),7.17(dd,2H,J=6,9Hz),7.54(s,2H),7.80(s,1H)。MS(M+H) 488。
【実施例2】
【0074】
(6S,7S)−7−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−6−(4−フルオロフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3(2H)−オン
ステップA(4S,5S)−4−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−5−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−2−チオン
実施例1のステップFからの中間体(272mg,0.6058ミリモル)をTΗF(10mL)中に含む溶液にBelleau試薬(385mg,0.7269ミリモル)を添加した。混合物を周囲温度でエージングした。反応物をHOでクエンチした。水性層をEtOAcで数回抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、ガラス漏斗を介して濾過した。揮発物を真空中で除去し、粗な残渣をシリゲル(10〜30% EtOAc/ヘキサンで溶離)を用いて精製した。こうして、165mgの標記化合物を得た。MS(M+H) 466。
【0075】
ステップB(3S,4S)−4−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−3−(4−フルオロフェニル)−6−(メチルチオ)−2,3,4,5−テトラヒドロピリジン
実施例2のステップAからの中間体(165mg,0.3548ミリモル)をTHF(5mL)中に含む溶液に水素化ナトリウムの油中60%分散物(28mg,0.7097ミリモル)を添加した。20分後、ヨードメタン(100mg,0.7097ミリモル)を添加した。揮発物を真空中で除去し、粗な残渣を更に精製せずに使用した。
【0076】
ステップC(6S,7S)−7−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−6−(4−フルオロフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3(2H)−オン
実施例2からの中間体(0.3548ミリモル)をEtOH(2.5mL)中に含む溶液にエチルカルバゼート(1.42ミリモル)を添加した。混合物を周囲温度で2時間エージングした後、18時間還流加熱した。揮発物を真空中で除去し、粗な残渣をシリゲル(EtOAcで溶離)を用いて精製した。こうして、標記化合物を得た。H−NMR(CDCl):δ 1.43(d,3H,J=7Hz),2.85(dd,1H,J=7,17Hz),3.04(dd,1H,J=5,17Hz),3.31(ddd,1H,J=6,8,8Hz),3.76(dd,1H,J=8,13Hz),3.83(ddd,1H,J=5,8,8Hz),4.05(dd,1H,J=6,13Hz),4.63(q,1H,J=7Hz),7.00−7.15(m,2H),7.20−7.24(m,2H)7.51(s,2H),7.83(s,1H),9.37(bs,1H)。MS(M+H) 490。
【実施例3】
【0077】
(6S,7S)−7−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−6−(4−フルオロフェニル)−3−(ピロリジン−1−イルメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン
ステップA(6S,7S)−7−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−3−(クロロメチル)−6−(4−フルオロフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン
実施例1のステップFからの中間体(97mg,0.2156ミリモル)をDCM(5mL)中に含む溶液にトリメチルオキソニウムテトラフルオロボレート(48mg,0.3233ミリモル)を添加した。反応物を5時間エージングした。揮発物を真空中で除去し、生成物を更に精製せずに使用した。粗な残渣をEtOH(5mL)中に溶解した後、ヒドラジン水和物(55mg,1.0780ミリモル)を添加した。反応物を周囲温度で放置した。揮発物を真空中で除去した。トルエンを用いる共沸除去により過剰のヒドラジンを除去した。粗な残渣を精製せずに使用した。粗なアミジンをアセトニトリル(5mL)中に溶解した後、クロロアセチルクロリド(49mg,0.4312ミリモル)を添加した。反応混合物を75℃に15時間加熱した。周囲温度まで冷却した後、反応物をDCMで希釈し、飽和NaHCO溶液及びブラインで順次洗浄した。有機フラクションをNaSOで乾燥し、濾過用漏斗を介して濾過し、真空中で濃縮した。粗な残渣をシリゲル(1〜10% メタノール/DCMの勾配溶離)を用いて精製した。こうして、65mgの標記化合物を得た。
【0078】
ステップB(6S,7S)−7−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−6−(4−フルオロフェニル)−3−(ピロリジン−1−イルメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン
ステップAからの中間体(20mg,0.0383ミリモル)をエタノール(3mL)中に含む溶液にピロリジン(5当量,14mg,0.1916ミリモル)を添加した。反応物を75℃に2時間加熱した。反応物を周囲温度まで冷却し、EtOAcで希釈した。混合物を飽和NaHCO溶液で洗浄した。水性層をEtOAcで抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過用漏斗を介して濾過し、真空中で濃縮した。粗な残渣をシリゲル(0〜4% メタノール/DCMの勾配溶離)を用いて精製した。こうして、標記化合物を得た。MS(M+H) 557。
【実施例4】
【0079】
5−[(6S,7S)−7−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−6−(4−フルオロフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イル]ピロリジン−2−オン
ステップA5−[(6S,7S)−7−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−6−(4−フルオロフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イル]ピロリジン−2−オン
実施例3のステップAからの中間体(27mg,0.0582ミリモル)にEDC(34mg,0.1746ミリモル)、DMAP(7mg,0.0582ミリモル)及びピログルタミン酸(23mg,0.1746ミリモル)を添加した。混合物をDCM(2.0mL)中に溶解した。反応物を15時間エージングした。混合物をDCMで希釈し、1M HCl、飽和NaHCO溶液及びブラインで順次洗浄した。有機抽出物をNaSOで乾燥し、濾過用漏斗を介して濾過し、真空中で濃縮した。粗な残渣をシリゲル(0〜4% メタノール/DCMの勾配溶離)を用いて精製した。こうして、7mgの標記化合物を得た。H−NMR(CDOD):δ 1.40(d,3H,J=6Hz),2.30−2.70(m,4H),3.02(dd,1H,J=9,17Hz),3.44(dddd,1H,J=6,6,11,11Hz),3.67(ddd,1H,J=2,5,17Hz),4.02−4.18(m,2,H),4.33(ddd,1H,J=6,13,19Hz),4.84(q,1H,J=6Hz),4.80−5.50(m,1H),6.80−7.03(m,2H),7.15−7.25(m,2H),7.58(s,2H),7.82(s,1H)。MS(M+H) 557。
【実施例5】
【0080】
(6S,7S)−3−(1−アセチルピペリジン−4−イル)−7−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−6−(4−フルオロフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン
ステップA1−アセチルピペリジン−4−カルボン酸メチル
1−アセチル−4−ピペリジンカルボン酸(1.71g,10ミリモル)をジエチルエーテル(20mL)中に含む溶液に過剰の2.0M トリメチルシリルジアゾメタンを添加した。揮発物を真空中で除去した。粗な残渣をジエチルエーテルと高純度まで摩砕した。
【0081】
ステップB1−アセチルピペリジン−4−カルボヒドラジド
ステップAからの中間体(950mg,5.13ミリモル)をメタノール(20mL)中に含む溶液にヒドラジン(10.26ミリモル)を添加した。反応物を2日間還流加熱した。揮発物を真空中で除去した。粗な残渣をジエチルエーテルと高純度まで摩砕した。H−NMR(CDOD):δ 1.55−1.85(m,4H),2.12(s,3H),2.45(dddd,1H,J=4,4,12,12Hz),2.69(ddd,1H,J=3,13,13Hz),3.16(ddd,1H,J=3,12,15Hz),3.80−4.02(m,1H),4.50−4.58(m,1H)。
【0082】
ステップC(6S,7S)−3−(1−アセチルピペリジン−4−イル)−7−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−6−(4−フルオロフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン
実施例1のステップGからの中間体を実施例1のステップHに記載されている一般プロトコルに従ってステップBからの中間体で処理した。H−NMR(CDOD):δ 1.39(d,3H,J=6Hz),1.58−2.06(m,5H),2.10−2.13(m,3H),2.72−2.80(m,1H),2.95−3.02(m,1H),3.05−3.15(m,1H),3.18−3.27(m,1H),3.38−3.46(m,1H),3.60−3.68(m,1H),3.80−4.25(m,2H),4.26−4.32(m,1H),4.50−4.62(m,1H),4.78−4.86(m,1H),6.94−6.99(m,2H),7.16−7.22(m,2H),7.56(s,2H),7.82(s,1H)。MS(M+H) 599。
【実施例6】
【0083】
1−{5−[(6S,7S)−7−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−6−(4−フルオロフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イル]ピペリジン−2−イル}エタノール
ステップA6−クロロニコチン酸メチル
6−クロロニコチン酸(2.5g,15.9ミリモル)をメタノール(50mL)中に含む溶液に過剰の2.0M トリメチルシリルジアゾメタンを添加した。揮発物を真空中で除去した。粗な残渣をシリゲル(10〜20% EtOAc/ヘキサンで溶離)を用いて精製した。こうして、2.4gの標記化合物を得た。
【0084】
ステップB6−アセチルニコチン酸メチル
ステップAからの中間体(2.4g,14ミリモル)をClPd(PhP)(493mg,0.70ミリモル)と合わせ、トルエン(50mL)中に溶解した後、トリブチル(1−エトキシビニル)錫(6.34g,17.5ミリモル)を添加した。反応物を105℃に6時間加熱した。反応混合物を周囲温度まで冷却した後、セライトパッドを介して濾過した。揮発物を真空中で除去した後、粗なエノール−エーテルをメタノール/濃HClの2:1混合物(15mL)で処理し、4時間エージングした。反応混合物をEtOAc及びHOで希釈し、固体NaCOをゆっくり添加することにより塩基性とした。層を分離し、水性相をEtOAcで数回抽出した。合わせた有機抽出物をNaSOで乾燥し、濾過用漏斗を介して濾過し、真空中で濃縮した。粗な残渣をシリゲル(5〜20% EtOAc/ヘキサン)を用いて精製した。こうして、標記化合物を得た。
【0085】
ステップC6−(1−ヒドロキシエチル)ピペリジン−1,3−ジカルボン酸1−tert−ブチル3−メチル
実施例24のステップBからの中間体(100mg,0.5556ミリモル)をメタノール(5mL)中で10% Pd/C(100mg)及びジカルボン酸ジ−tert−ブチル(363mg,1.6667ミリモル)と合わせた。反応物を1気圧の水素下で2日間撹拌した。粗な反応混合物をセライトパッドを介して濾過し、真空中で濃縮した。粗な残渣をシリゲル(70% EtOAc/ヘキサンで溶離)を用いて精製した。こうして、標記化合物を得た。
【0086】
ステップD1−{5−[(6S,7S)−7−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−6−(4−フルオロフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イル]ピペリジン−2−イル}エタノール
ステップCからの中間体を、実施例5のステップB及びCに記載されているアシルヒドラジドの製造及びトリアゾールへの更なる変換に関する一般的反応にかけた。MS(M+H) 601。
【実施例7】
【0087】
(6S,7S)−7−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−6−(4−フルオロフェニル)−3−(4−ピロリジン−1−イルシクロヘキシル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン
ステップA4−ピロリジン−1−イルシクロヘキサンカルボン酸エチル
ピロリジン(267mg,3.67ミリモル)をDCE(10mL)中に溶解した後、4Å モレキュラーシーブ、4−オキソシクロヘキサンカルボン酸エチル(500mg,2.94ミリモル)、触媒量の酢酸及びトリアセトキシホウ水素化ナトリウム(2500mg,11.76ミリモル)を添加した。反応物を周囲温度で24時間エージングした。反応物を飽和NaHCOでクエンチし、DCMで数回抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、ガラス漏斗を介して濾過し、真空中で濃縮した。生成物に精製を施さなかった。H−NMR(CDOD):δ 1.20−1.30(m,3H),1.40−1.70(m,3H),1.70−2.40(m,9H),2.60−2.92(m,2H),3.10−3.20(m,4H),4.08−4.20(m,2H)。
【0088】
ステップB:(6S,7S)−7−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−6−(4−フルオロフェニル)−3−(4−ピロリジン−1−イルシクロヘキシル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン
ステップAからの中間体を、実施例5のステップB及びCに記載されているアシルヒドラジドの製造及びトリアゾールへの更なる変換に関する一般的反応にかけた。MS(M+H) 625。
【実施例8】
【0089】
4−[(6S,7S)−7−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−6−(4−フルオロフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イル]−N−メチルピペリジン−1−カルボキサミド
ステップA1−[(メチルアミノ)カルボニル]ピペリジン−4−カルボン酸メチル
4−ピペリジンカルボン酸メチル(300mg,2.1ミリモル)をDCM(10mL)中に溶解した後、イソシアン酸メチル(180mg,3.2ミリモル)を添加した。反応物を周囲温度で24時間エージングした。反応物を飽和ΝaHCOでクエンチし、DCMで数回抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、ガラス漏斗を介して濾過し、真空中で濃縮した。粗な残渣をシリゲル(1〜8% メタノール/DCM)を用いて精製した。こうして、347mgの標記化合物を得た。H−NMR(CDOD):δ 1.56(dddd,2H,J=5,12,12,12Hz),1.85−1.94(m,2H),2.58(dddd,1H,J=4,4,11,11Hz),2.72(s,3H),2.88−2.93(m,2H),3.67(s,3H),3.89−3.93(m,2H)。
【0090】
ステップB4−[(6S,7S)−7−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−6−(4−フルオロフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イル]−N−メチルピペリジン−1−カルボキサミド
ステップAからの中間体を、実施例5のステップB及びCに記載されているアシルヒドラジドの製造及びトリアゾールへの更なる変換に関する一般的反応にかけた。H−ΝMR(CDOD):δ 1.38(d,3H,J=7Hz),1.67(dddd,1H,J=4,13,13,13Hz),1.79(dddd,1H,J=4,13,13,13Hz),1.92(dd,2H,J=15,15Hz),2.72(s,3H),2.75−3.05(m,4H),3.41(ddd,1H,J=6,11,11Hz),3.62(dd,1H,J=6,17Hz),4.00−4.14(m,4H),4.27(dd,1H,J=4,13Hz),4.81(q,iH,J=7Hz),6.95(dd,2H,J=9,9Hz),7.18(dd,2H,J=6,9Hz),7.55(s,2H),7.81(s,1H)。MS(M+H) 614。
【実施例9】
【0091】
4−[(6S,7S)−7−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−6−(4−フルオロフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イル]−N,N−ジメチルピペリジン−1−カルボキサミド
ステップA1−[(ジメチルアミノ)カルボニル]ピペリジン−4−カルボン酸メチル
4−ピペリジンカルボン酸メチル(300mg,2.1ミリモル)をDCM(10mL)中に溶解した後、トリエチルアミン(636mg,6.3ミリモル)及びジメチルカルバモイルクロリド(271mg,2.5ミリモル)を添加した。反応物を周囲温度で24時間エージングした。反応物を飽和NaHCOでクエンチし、DCMで数回抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、ガラス漏斗を介して濾過し、真空中で濃縮した。粗な残渣をシリゲル(1〜8% メタノール/DCM)を用いて精製した。こうして、367mgの標記化合物を得た。
【0092】
ステップB4−[(6S,7S)−7−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−6−(4−フルオロフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イル]−N,N−ジメチルピペリジン−1−カルボキサミド
ステップAからの中間体を、実施例5のステップB及びCに記載されているアシルヒドラジドの製造及びトリアゾールへの更なる変換に関する一般的反応にかけた。H−NMR(CDOD):δ 1.38(d,3H,J=7Hz),1.70−2.00(m,4H),2.80−3.05(m,10H),3.42(ddd,1H,J=6,11,11Hz),3.62(dd,1H,J=6,17Hz),3.73(dd,2H,J=10,10Hz),4.06(dd,1H,J=13,13Hz),4.12(ddd,1H,J=6,10,10Hz),4.28(dd,1H,J=6,13Hz),4.82(q,iH,J=6Hz),6.95(dd,2H,J=9,9Hz),7.18(dd,2H,J=5,9Hz),7.55(s,2H),7.81(s,1H)。MS(M+H) 628。
【実施例10】
【0093】
1−{5−[(6S,7S)−7−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−6−(4−フルオロフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イル]ピリジン−2−イル}エタノール
ステップA6−(1−ヒドロキシエチル)ニコチン酸メチル
実施例6のステップBからの中間体(220mg,1.22ミリモル)をメタノール(10mL)中に溶解した後、ホウ水素化ナトリウム(55mg,1.47ミリモル)を一度に添加した。反応物を周囲温度で1時間エージングした。反応物を飽和HOでクエンチし、EtOAcで数回抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、ガラス漏斗を介して濾過し、真空中で濃縮した。粗な残渣をシリゲル(1〜8% メタノール/DCM)を用いて精製した。こうして、367mgの標記化合を得た。H−NMR(CDCl):δ 1.56(d,3H,J=7Hz),3.99(s,3H),4.06(bs,1H),4.98(q,1H,J=7Hz),4.12(d,1H,J=8Hz),8.33(dd,1H,J=2,8Hz),9.17(d,1H,J=4Hz)。
【0094】
ステップB1−{5−[(6S,7S)−7−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−6−(4−フルオロフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イル]ピリジン−2−イル}エタノール
ステップAからの中間体を、実施例5のステップB及びCに記載されているアシルヒドラジドの製造及びトリアゾールへの更なる変換に関する一般的反応にかけた。MS(M+H) 595。
【実施例11】
【0095】
(6S,7S)−7−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−6−(4−フルオロフェニル)−3−(5−ピロリジン−1−イルピラジン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン
ステップA5−クロロピラジン−2−カルボン酸メチル
2−ヒドロキシ−5−ピラジンカルボン酸(500mg,3.6ミリモル)をトルエン(20mL)中に含む懸濁液に数滴のDMF及び塩化チオニル(1.7g,14.3ミリモル)を順次添加した。反応物を2時間還流加熱した。反応物を周囲温度まで冷却した後、メタノール(4mL)を添加した。反応物を15時間エージングした。反応物を1:1 ヘキサン/EtOAcで希釈した。褐色固体を濾過し、揮発物を真空中で除去した。こうして、472mgの標記化合物を得た。H−NMR(CDCl):δ 4.08(bs,3H),8.74(s,1H),9.12(s,1H)。
【0096】
ステップB5−ピロリジン−1−イルピラジン−2−カルボン酸メチル
ステップAからの中間体(200mg,1.16ミリモル)をTHF(8mL)中に溶解した後、トリエチルアミン(234mg,2.32ミリモル)及びピロリジン(413mg,5.8ミリモル)を順次添加した。反応物を周囲温度で2時間エージングした。揮発物を真空中で除去し、粗な残渣をシリゲル(50% EtOAc/ヘキサンで溶離)を用いて精製した。H−NMR(CDCl):δ 2.00−2.20(m,4H),3.40−3.80(m,4H),3.98(s,3H),7.93(s,1H),8.84(s,1H)。
【0097】
ステップC(6S,7S)−7−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−6−(4−フルオロフェニル)−3−(5−ピロリジン−1−イルピラジン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン
実施例46のステップAからの中間体を、実施例5のステップB及びCに記載されているアシルヒドラジドの製造及びトリアゾールへの更なる変換に関する一般的反応にかけた。MS(M+H) 621。
【実施例12】
【0098】
(6S,7S)−7−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−6−(4−フルオロフェニル)−3−(1−ピリミジン−4−イルピペリジン−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン
ステップA1−(2−クロロピリミジン−4−イル)ピペリジン−4−カルボン酸メチル
2,4−ジクロロピリミジン(1170mg,7.86ミリモル)をメタノール(30mL)中に含む懸濁液にトリエチルアミン(1908mg,8.01ミリモル)及び4−ピペリジンカルボン酸メチル(900mg,6.3ミリモル)を順次添加した。反応物を15時間還流加熱した。反応物を周囲温度まで冷却し、HOとEtOAcに分配した。層を分離し、水性相をEtOAcで抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、ガラス漏斗を介して濾過し、真空中で濃縮した。粗な残渣をシリゲル(30% EtOAc/ヘキサンで溶離)を用いて精製した。こうして、930mgの標記化合物を得た。H−NMR(CDCl):δ 1.72−1.83(m,2H),2.00−2.07(m,2H),2.65(dddd,1H,J=4,4,12,12Hz),3.14(ddd,2H),J=3,12,14Hz),3.74(s,3H),6.42(d,1H,J=7Hz),8.05(d,1H,J=7Hz)。
【0099】
ステップB1−ピリミジン−4−イルピペリジン−4−カルボン酸メチル
ステップAからの中間体(200mg,1.16ミリモル)をメタノール(20mL)中で10% Pd/C(200mg)と合わせた。反応物を1気圧の水素下で2時間撹拌した。反応物をセライトを介して濾過し、メタノールで濯いだ。揮発物を真空中で除去し、粗な残渣をジエチルエーテルと摩砕した。こうして、750mgの標記化合物を得た。
【0100】
ステップC(6S,7S)−7−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−6−(4−フルオロフェニル)−3−(1−ピリミジン−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン
ステップBからの中間体を、実施例5のステップB及びCに記載されているアシルヒドラジドの製造及びトリアゾールへの更なる変換に関する一般的反応にかけた。H−NMR(CDOD):δ 1.38(d,3H,J=7Hz),1.70−1.90(m,2H),2.00−2.80(m,2H),2.98(dd,1H,J=9,17Hz),3.02−3.12(m,2H),3.16(dddd,1H,J=4,4,12,12Hz),3.42(ddd,1H,J=6,10,10Hz),3.63(dd,1H,J=5,12Hz),4.04−4.15(m,2H),4.31(dd,1H,J=6,13Hz),4.82(q,1H,J=7Hz),6.80(d,1H,J=7Hz),6.96(dd,2H,J=9,9Hz),7.19(dd,2H,J=6,9Hz),7.55(s,2H),7.82(s,1H),8.10(d,1H,J=7Hz),8.44(s,1H)。MS(M+H) 635。
【0101】
上記した手順に類似の手順を用いて、表に示す以下の実施例をキラルクロマトグラフィーにより分離することによりラセミ化合物形態(混合物)または単一エナンチオマーとして製造した。
【0102】
【化19】

【0103】
【表2】












【0104】
本発明を特定の具体的実施態様を参照して記載し、説明してきたが、当業者は本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく手順及びプロトコルに各種の改変、変化、修飾、置換、削除または付加を加え得ることを認識している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

[式中、
Rは
(1)C1−3アルキル、
(2)フェニル及びナフチルから選択されるアリール、
(3)ヘテロアリールまたはそのN−オキシド(ここで、ヘテロアリールはN、S及びOからなる群から選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5または6原子の芳香族単環である。)、
(4)ヘテロ環式環(ここで、ヘテロ環はN、S及びOからなる群から選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する4、5または6原子の非芳香族環である。)、
(5)シクロヘキサン,
(6)−C1−3アリール、
(7)−C1−3アルキル−ヘテロアリール、
(8)−C1−3アルキル−ヘテロ環、
(9)−C1−3アルキル−シクロヘキサン,
(10)ヒドロキシ、
(11)−C(O)−O−R
(12)C1−3アルキル−C(O)−O−R、及び
(13)AR(ここで、ARは
【化2】

から選択される。)
からなる群から選択され、上記(1)〜(8)は場合により
(1)オキソ、
(2)CH
(3)OH、
(4)−CH(OH)CH
(5)−OCH
(5)−C(O)C1−3アルキル、
(6)−C(O)−O−C1−4アルキル、
(7)−C(O)NHCH
(8)C(O)N(CH
(10)−NH
(11)−N(CH
(12)AR’(ここで、AR’は
【化3】

から選択される。)
から選択される1または2個の基で置換されており;
は水素またはC1−3アルキルであり;
は水素、ヒドロキシ、メチル、−NHまたは−NHC(O)−O−C1−4アルキルであり;
X、Y及びZは独立して
(1)水素、
(2)ハロ、及び
(3)C1−3アルキル
からなる群から選択される。]
を有する化合物並びにその医薬的に許容され得る塩及びその個々のエナンチオマー及びジアステレオマー。
【請求項2】
式Ia
【化4】

を有する請求項1に記載の化合物並びにその医薬的に許容され得る塩及びその個々のエナンチオマー及びジアステレオマー。
【請求項3】
Rのヘテロ環が
【化5】

からなる群から選択される請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Rのヘテロアリールが
【化6】

からなる群から選択される請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
Xがフッ素であり、Yが水素であり、Zが水素である請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
Xがメチルであり、Yが水素であり、Zが水素である請求項2に記載の化合物。
【請求項7】
Rが、
(1)ヘテロアリールまたはそのN−オキシド(ここで、ヘテロアリールはN、S及びOからなる群から選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5または6原子の芳香族単環である。)、
(2)ヘテロ環式環(ここで、ヘテロ環はN、S及びOからなる群から選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する4、5または6原子の非芳香族環である。)、
(3)シクロヘキサン、
(4)−C1−3アルキル−ヘテロアリール、
(5)−C1−3アルキル−ヘテロ環
からなる群から選択され、前記(1)〜(5)は場合により
(1)オキソ、
(2)CH
(3)OH、
(4)−CH(OH)CH
(5)−OCH
(5)−C(O)−CH
(6)−C(O)−O−C−(t−ブチル)、
(7)−C(O)NHCH
(8)C(O)N(CH
(10)−NH
(11)−N(CH
(12)AR’(ここで、AR’は
【化7】

からなる群から選択される。)
から選択される1または2個の基で置換されている請求項2に記載の化合物。
【請求項8】
Rが
【化8】

からなる群から選択される請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
【化9】

【表1】












からなる群から選択される化合物。
【請求項10】
不活性担体及び請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容され得る塩を含む医薬組成物。
【請求項11】
請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容され得る塩を医薬用担体または希釈剤と組み合わせることを含む哺乳動物においてサブスタンスPのその受容体部位での作用を拮抗させるためまたはニューロキニン−1受容体を遮断するための薬剤の製造方法。
【請求項12】
請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容され得る塩を医薬用担体または希釈剤と組み合わせることを含む哺乳動物における過剰のタキキニンに関連する生理的障害の治療用製剤の製造方法。

【公表番号】特表2009−523170(P2009−523170A)
【公表日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−550357(P2008−550357)
【出願日】平成19年1月5日(2007.1.5)
【国際出願番号】PCT/US2007/000434
【国際公開番号】WO2007/081897
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】