説明

繊維状ポリペプチドおよび多糖を含む組成物

本発明は、異種の多糖結合ドメインに結合された繊維状ポリペプチドのモノマーをコードするアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチドであって、前記多糖結合ドメインがセルロース結合ドメインではないものを開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いくつかの実施形態において、繊維状ポリペプチドおよび多糖を含む組成物ならびにその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
材料科学において使用される最も広範に研究されている生物学的ポリマーは、豊富な存在量および極めて多様な機械的性質のために多糖類である。
【0003】
多糖のセルロースは地球上における最も一般的なバイオポリマーである。セルロースはほとんどが植物バイオマスにおいて見出されるが、動物、真菌および細菌によっても産生される。セルロースは、グルコースから作製されるセロビオースサブ単位の結晶性集合体である。その結晶性構造のために、セルロースは、大きい引張り強さと、合成炭素繊維の弾性に近い弾性とを有しており、例えば、スチールと比較して、非常に好都合な強度/重量比を有している。植物細胞壁において、セルロースが、他の多糖(例えば、ヘミセルロース、ペプチン、リグニンなど)、酵素および構造タンパク質との複合体として見出される。これらの分子はセルロースのミクロフィブリルをつなぎ、細胞が機械的応力にさらされるときの荷重伝達機構を改善し、一方で、病原体の攻撃に対する物理的保護を高めている。
【0004】
天然のバイオ複合材料の特異な性質により、多くの科学者が、セルロースと合成ポリマーマトリックスとの複合物の製造が促されている。例えば、Favier他[Polymer engineering and science、37(10):1732〜1739]は、ラテックスのゴム状態の3桁以上増大した剪断弾性係数をもたらすセルロース−ラテックス複合物を製造した。そのようなバイオ複合材料は、自動車産業のために、また、生分解性プラスチックの製造のために製造されている。
【0005】
セルロース結合ドメイン(CBD)をセルロース繊維改良のために使用することは、十分に確立された技術である[Shoseyov他、Microbiol Mol Biol Rev、70(2):283〜95]。近年では、CBDが、新規なセルロース−タンパク質複合材料の製造のために使用された。この場合、組換えによるCBDまたはCBDダイマー、すなわち、CBD−CBD融合タンパク質(CCP)が紙に結合し、これにより、改善された機械的性質および撥水性がもたらされた[Levy他、Cellulose、9:91〜98]。さらに、組換えによるCBD−デンプン結合ドメイン(CSCP)では、架橋能が、不溶性または可溶性のデンプンおよびセルロースから構成される種々のモデル系において明らかにされた[Levy他、Cellulose、9:91〜98]。
【0006】
多糖研究に加えて、バイオポリマー研究が、それらの特異な機械的性質のために、近年では繊維状タンパク質に集中している。これらのタンパク質は、機械的強度または柔軟性を与えるそれらの反復アミノ酸配列によって区別される。これらのタンパク質には、哺乳動物のコラーゲンおよびエラスチン、ならびに、節足動物のタンパク質、カイコの絹(Bombyx morii)、クモのしおり糸、および、レシリンが含まれる。それぞれのタンパク質の特異な反復配列により、その機械的性質が与えられる。例えば、クモの糸は極めて強靱であり、一方で、レシリンおよびエラスチンは、ゴム様の性質とともに、極めて大きい弾性および反発弾性を有する。
【0007】
レシリンが、多くの昆虫において、特殊化されたクチクラ領域に、特に、大きい反発弾性および低い剛性が要求される領域に見出されるか、または、エネルギー貯蔵系として見出される。レシリンは、昆虫の飛行、ならびに、ノミおよびアワフキムシの顕著な跳躍能におけるその役割について最も良く知られている。このタンパク質がWeis−Foghによって1960年に初めて特定された。Weis−Foghはこのタンパク質をバッタおよびトンボのクチクラから単離し、このタンパク質をゴム様物質として記載した。
【0008】
レシリンは、可逆的変形と、非常に大きい反発弾性とを併せ持つ特異な機械的性質を示す。レシリンは、知られている最も非常に効率的な弾性物質であることが報告されている。この物質の弾性効率は97%であると主張される;貯蔵されたエネルギーの3%だけが熱として失われる(米国特許出願公開第20070099231号)。レシリンは、類似する機械的性質を脊椎動物の結合組織において産生されるエラスチンと互いに有する。ヒトでは、エラスチンが通常、弾性が要求される部位に、例えば、(多くの場合にはコラーゲンと会合した状態で)皮膚および軟骨などに見出される。エラスチン−コラーゲンの複合物はまた、血管が心臓からの血液の拍動流を途切れない安定した流れに平滑化することを可能にする動脈壁における主要な成分として働く。
【0009】
それらの機能的類似性にもかかわらず、レシリンと、エラスチンとの間での配列相同性は、グリシンが両方のタンパク質において非常に多いということを除いて、非常に低い。それにもかかわらず、両方のタンパク質の弾性が、ランダムコイル化している架橋されたポリペプチド鎖のそれらの構造様式から生じている。レシリンは昆虫の細胞質で合成され、その後、クチクラに分泌され、クチクラにおいて、ペルオキシダーゼ酵素により、ジチロシン/トリチロシン架橋の形成によるその重合が触媒され、これにより、クチクラのキチンとの天然のタンパク質−炭水化物複合物質が組み立てられる。キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の2つのレシリンmRNA変化体が特定されている:それらのキチン結合ドメインの短縮化において異なるCG15920−RAおよびCG15920−RB(図1Aを参照のこと)。注釈が加えられた主要な成分が、17アミノ酸の長さの弾性反復および35アミノ酸の長さのタイプR&Rのキチン結合ドメインである。
【0010】
近年には、Elvin他(2005)[Nature、437:999〜1002]が、合成による短縮化されたレシリン様遺伝子をE.coliにおいて発現および重合させることに成功した。合成遺伝子は生来的遺伝子の17回の反復からなる。このタンパク質は、発現されると、タンパク質をゴム様生体材料に注型する光化学的架橋を受ける。米国特許出願公開第20070099231号は、レシリンおよび構造ポリペプチドを含むハイブリッド型レシリンを開示する。
【0011】
絹タンパク質が様々な昆虫およびクモ形類動物によって産生され、後者が地球上での最も強靱な絹ポリマーを形成する。クモが7種類もの多くの異なる絹糸を吐き、それぞれの糸が性質においてその特定の生物学的機能に最適化されている。しおり糸は、クモの巣の安全線および枠糸として使用されるものであり、引張り強さおよび弾性の組合せを有する優れた材料である。その並外れた性質が、あまり組織化されていない「非晶質」マトリックスに埋め込まれる結晶性領域を含む半結晶性ポリマーとしてのその組成に由来する。結晶性領域が、強度を糸に与える、ポリアラニンの広がりの逆平行βプリーツシートからなり、一方で、非晶質マトリックスの優勢な二次構造が、弾性を提供するグリシンリッチならせんである。ほとんどのしおり糸が、数百kDaまでの分子量を有する少なくとも2つの異なるタンパク質からなる。配列類似性に基づいて、しおり糸のタンパク質がスピドロイン1様(MaSp1)タンパク質およびスピドロイン2様(MaSp2)タンパク質に分類されている。
【0012】
カイコの絹糸とは対照的に、クモからの絹糸の単離は産業的に実行不可能である。クモは少量で絹糸を産生し、また、クモの縄張り行動は、多数のクモが、隣接する1/4ヤードにおいて捕獲されることを妨げている。したがって、組換えDNA技術による絹糸タンパク質の製造が好ましい。そのような目的のために、生来的スピドロイン配列のモノマーコンセンサスに基づく合成遺伝子が幅広く使用される。これらの合成遺伝子は、メチロトロフ(methyltropic)酵母宿主のピキア・パストリス(Pichia pastris)、E.coli、ならびに、タバコ植物およびジャガイモ植物において首尾良く発現されている[Fahnestock SR.およびBedzyk LS、Appl Microbiol biotechnol、47:33〜39(1997);Fahnestock SR.およびBedzyk LS、Appl Microbiol biotechnol、47:23〜32(1997);Sceller J.他、Nature biotechnology、19:573〜577(2001)]。そのような手段により、実験室規模の量の絹様タンパク質粉末を容易に得ることができる。人工絹糸を製造する途上における最終的な障害が、これらの粉末を高性能な繊維に変換することができる適切な紡糸技術の開発にある。タンパク質折り畳みプロセスを迂回した場合、これらのタンパク質がインビトロで凝集しやすい傾向は、機能的な絹糸を首尾良く製造することに向けての著しい制限として作用する。液状の結晶性形態から固体の絹糸へのタンパク質の集合は極めて複雑であり、クモの出糸腺の機能的機能を複製することが依然として大きな課題である。
【0013】
いくつかの試みが、可溶化されたセルロースおよびカイコ絹糸の分子的ブレンドおよび再生によって調製されたセルロース−絹フィブロイン複合物の調製に関して報告されている[Freddi G他(1995)、J Appl Polymer Sci、56:1537〜1545;Yang,G他(2000)、J Membr Sci、210:177〜153]。近年には、Noishiki他[Noishiki Y、Nishiyama Y、Wada M、Kuga S、Magoshi J.(2002)、J Appl Polymer Sci、86:3425〜3429]がセルロース−絹糸の複合フィルムを固体のセルロースウィスカーおよび再生されたカイコ絹糸から調製した。このフィルムは、顕著に改善された機械的強度をもたらし、破断強さおよび極限ひずみが構成成分材料の単独での破断強さおよび極限ひずみの約5倍であった。
【発明の概要】
【0014】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、異種の多糖結合ドメイン(ただし、多糖結合ドメインはセルロース結合ドメインではない)に結合された繊維状ポリペプチドのモノマーをコードするアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドが提供される。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、異種の多糖結合ドメインに結合されたレシリンポリペプチドまたはクモ絹糸ポリペプチドをコードするアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドが提供される。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、異種の多糖結合ドメイン(ただし、多糖結合ドメインはセルロース結合ドメインではない)に結合された繊維状ポリペプチドのモノマーをコードするアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドをコードする核酸配列を含む単離されたポリヌクレオチドが提供される。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、異種の多糖結合ドメインに結合されたレシリンポリペプチドまたはクモ絹糸ポリペプチドをコードするアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドをコードする核酸配列を含む単離されたポリヌクレオチドが提供される。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、レシリンをコードする核酸配列と、レシリンの発現を植物において行わすことができるシス作用調節エレメントとを含む核酸構築物が提供される。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、クモ絹糸をコードする核酸配列と、クモ絹糸の発現を植物において行わすことができるシス作用調節エレメントとを含む核酸構築物が提供される。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、本発明の単離されたポリヌクレオチドを含む核酸構築物が提供される。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、本発明の核酸構築物を含む細胞が提供される。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、本発明の核酸構築物を含む植物細胞が提供される。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、レシリンまたはクモ絹糸である繊維状ポリペプチドと、多糖とを含む単離された複合物が提供される。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、異種の多糖結合ドメインを含む繊維状ポリペプチドと、多糖とを含む、固定化されていない単離された複合物が提供される。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、少なくとも2つの同一でない繊維状ポリペプチドを含む単離された複合物であって、少なくとも2つの同一でない繊維状ポリペプチドのうちの第1の繊維状ポリペプチドが、異種の多糖結合ドメイン(ただし、多糖結合ドメインはセルロース結合ドメインではない)に結合された繊維状ポリペプチドのモノマーをコードするアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドである複合物が提供される。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、少なくとも2つの同一でない繊維状ポリペプチドを含む単離された複合物であって、少なくとも2つの同一でない繊維状ポリペプチドのうちの第1の繊維状ポリペプチドが、異種の多糖結合ドメインに結合されたレシリンポリペプチドまたはクモ絹糸ポリペプチドをコードするアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドである複合物が提供される。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、繊維状ポリペプチドを、繊維状ポリペプチドと、多糖との間での結合を可能にする条件のもとで多糖と接触させて、本発明の単離された複合物を作製することを含む、本発明の単離された複合物を作製する方法が提供される。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、軟骨または骨の疾患または状態を処置するための医薬品の製造のための、本発明の単離された複合物の使用が提供される。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、尿失禁を処置するための医薬品の製造のための、本発明の単離された複合物の使用が提供される。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、本発明の単離された複合物を含む足場が提供される。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、治療効果的な量の本発明の単離された複合物をその必要性のある対象に投与し、それにより、軟骨の疾患または状態を処置することを含む、軟骨または骨の疾患または状態を処置する方法が提供される。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、治療効果的な量の本発明の単離された複合物をその必要性のある対象に投与し、それにより、尿失禁を処置することを含む、尿失禁を処置する方法が提供される。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、本発明の単離された複合物を含む医薬組成物が提供される。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、本発明の単離された複合物を含む美容用組成物が提供される。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態によれば、繊維状ポリペプチドは、レシリン、エラスチン、クモ絹糸、カイコ絹糸、コラーゲンおよびイガイ足糸(mussel byssus)タンパク質からなる群から選択される。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態によれば、繊維状ポリペプチドはレシリンを含む。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態によれば、繊維状ポリペプチドはクモ絹糸を含む。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態によれば、レシリンは、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含む。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態によれば、レシリンは、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含む。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ポリペプチドはさらに、配列番号52または配列番号53に示されるアミノ酸配列を含む。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態によれば、多糖結合ドメインは、キチン結合ドメイン、デンプン結合ドメイン、デキストラン結合ドメイン、グルカン結合ドメイン、キトサン結合ドメイン、アルギン酸結合ドメインおよびヒアルロン酸結合ドメインからなる群から選択される。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態によれば、多糖結合ドメインは、キチン結合ドメイン、セルロース結合ドメイン、デンプン結合ドメイン、デキストラン結合ドメイン、グルカン結合ドメイン、キトサン結合ドメイン、アルギン酸結合ドメインおよびヒアルロン酸結合ドメインからなる群から選択される。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態によれば、単離されたポリペプチドは、配列番号11〜配列番号13および配列番号32〜配列番号36に示される通りである。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態によれば、クモ絹糸は、配列番号16または配列番号26に示されるアミノ酸配列を含む。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ポリヌクレオチドは、配列番号17〜配列番号22、配列番号24、配列番号28および配列番号29からなる群から選択される核酸配列を含む。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態によれば、核酸構築物はさらに、少なくとも1つのシス作用調節エレメントを含む。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態によれば、シス作用調節エレメントは植物プロモーターである。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態によれば、植物プロモーターはrbcS1プロモーターである。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態によれば、核酸構築物はさらに、液胞シグナル配列をコードする核酸配列を含む。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態によれば、シス作用調節エレメントはターミネーター配列である。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ターミネーター配列はrbcS1配列である。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態によれば、細胞は植物細胞である。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態によれば、多糖は、キチン、セルロース、デンプン、デキストラン、グルカン、キトサン、アルギン酸およびヒアルロン酸からなる群から選択される。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態によれば、繊維状ポリペプチドは多糖結合ドメインを含む。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態によれば、多糖結合ドメインは異種の多糖結合ドメインである。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態によれば、多糖結合ドメインは、キチン結合ドメイン、セルロース結合ドメイン、キトサン結合ドメイン、アルギン酸結合ドメイン、デンプン結合ドメイン、デキストラン結合ドメイン、グルカン結合ドメインおよびヒアルロン酸結合ドメインを含む。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態によれば、繊維状ポリペプチドは、イガイ足糸タンパク質、レシリン、カイコ絹糸タンパク質、クモ絹糸タンパク質、コラーゲン、エラスチンまたはそれらのフラグメントからなる群から選択される。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態によれば、単離された複合物はさらに、さらなる繊維状ポリペプチドを含み、ただし、さらなる繊維状ポリペプチドは繊維状ポリペプチドとは異なり、イガイ足糸タンパク質、レシリン、カイコ絹糸タンパク質、クモ絹糸タンパク質、コラーゲン、エラスチンおよびそれらのフラグメントからなる群から選択される。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態によれば、単離された複合物は架橋される。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態によれば、単離された複合物は非架橋である。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態によれば、方法はさらに、複合物を接触後に架橋することを含む。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態によれば、架橋することが、光化学的架橋、酵素的架橋、化学的架橋および物理的架橋からなる群から選択される方法によって達成される。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態によれば、方法はさらに、複合物をさらなる繊維状ポリペプチドにより被覆することを含み、ただし、被覆することが、複合物を架橋した後で達成される。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態によれば、方法はさらに、繊維状ポリペプチドを接触前にさらなる繊維状ポリペプチドと結合することを含む。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態によれば、さらなる繊維状ポリペプチドは、イガイ足糸タンパク質、クモ絹糸タンパク質、コラーゲン、エラスチンおよびフィブロネクチンならびにそれらのフラグメントからなる群から選択される。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態によれば、多糖は、キチン、セルロース、デンプン、デキストラン、グルカン、キトサン、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースおよびヒアルロン酸からなる群から選択される。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態によれば、使用は、軟骨修復、膝修復、半月板修復、膝潤滑剤および椎間板修復のためである。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態によれば、投与することが局所的に達成される。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態によれば、局所的に投与することが関節内投与によって達成される。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態によれば、関節内投与は、膝関節、肘関節、股関節、胸鎖関節、額関節、手根関節、足根関節、手関節、足関節、椎間円板および黄色靱帯からなる群から選択される接合部の中への投与を含む。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態によれば、軟骨の疾患または状態は、変形性関節炎、制限された関節可動性、痛風、リウマチ様関節炎、変形性関節炎、軟骨溶解、強皮症、変性椎間板障害および全身性エリテマトーデスからなる群から選択される。
【0072】
本発明のいくつかの実施形態によれば、投与することが、尿道を取り囲む領域への注入によって達成される。
【0073】
本発明のいくつかの実施形態によれば、組成物は、ゲル、ストリップ、注入物またはフォームとして配合される。
【0074】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的用語および/または科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載される方法および材料と類似または同等である方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、例示的な方法および/または材料が下記に記載される。矛盾する場合には、定義を含めて、本特許明細書が優先する。加えて、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。
【図面の簡単な説明】
【0075】
本明細書では本発明のいくつかの実施形態を単に例示し添付の図面を参照して説明する。特に詳細に図面を参照して、示されている詳細が例示として本発明の実施形態を例示考察することだけを目的としていることを強調するものである。この点について、図面について行う説明によって、本発明の実施形態を実施する方法は当業者には明らかになるであろう。
【0076】
【図1】図1A〜Bは、D.melonogaster由来のレシリン遺伝子のサイズおよび構造を例示する概略図(図1A)およびスキャン(図1B)である。図1Aは、キイロショウジョウバエのレシリン変化体A(CG15920−RA)遺伝子の概略的構造を例示する:S.P.;クチクラシグナルペプチド、ChBD R&R;キチン結合ドメインタイプR&R。変化体B(CG15920−RB)は、短縮されたキチン結合ドメインを含有する。図1Bは、D.melonogasterからのレシリン遺伝子の増幅のRT−PCR結果を例示する。レシリンcDNAが赤色の長方形によって強調される。濃いバンドが、2つのレシリン変化体の存在のために形成された。コントロール反応のレーン(−RT)におけるバンドは、1つのイントロンを含有し、したがって、RT−PCR生成物よりも遅く移動するゲノム遺伝子を示す。
【0077】
【図2】図2は、pHis−parallel3発現ベクター(配列番号54)の多重クローニング部位の概略である。
【0078】
【図3】図3A〜Bは、CBD−レシリン(配列番号18)構築物のPCR結果のスキャンである。図3Aは、CBD配列増幅(左)およびレシリン配列増幅(右)の個別反応の1回目のPCRを例示する。CBD配列は、レシリンと一致する突出部を3’プライムに含有し、一方、レシリンは、CBDと一致する突出部を5’プライムに含有する。図3Bは、1回目の反応から得られる両方の生成物の1μlを混合した後での2回目の反応のPCR結果を例示する。連結された配列の増大した分子量に留意すること。
【0079】
【図4】図4は、細菌において発現させた6H−Res−ChBD(配列番号55)の小規模回分式精製のクーマシーブルー染色SDS−PAGE分析のスキャンである。S:溶解された細胞の可溶性タンパク質画分;IB:封入体;UB:遠心分離によって除かれた非結合画分;W:洗浄;E1、E2:0.4Mイミダゾールによる溶出タンパク質。MW:タンパク質分子量マーカー。
【0080】
【図5】図5は、アフィニティー精製された6H−Res−ChBDタンパク質(配列番号55)を用いたセルロース結合アッセイおよびキチン結合アッセイの結果を例示するクーマシーブルー染色SDS−PAGE分析のスキャンである。T:HIS−Select(登録商標)親和性生成物によって捕らえられたタンパク質;UB:遠心分離によって除かれた非結合画分;W:洗浄画分;B:SDS−PAGE試料適用緩衝液との煮沸によってセルロース/キチンペレットから溶出された結合画分。MW:分子量マーカー。
【0081】
【図6】図6A〜Cは、6H−Res−ChBD(配列番号55)を含む粗抽出物のセルロース結合アッセイおよびキチン結合アッセイの結果を例示するクーマシーブルー染色SDS−PAGE分析のスキャンである。T:粗溶解物;W:洗浄画分;UB:遠心分離によって除かれた非結合画分;B:SDS−PAGE試料適用緩衝液との煮沸によってセルロース/キチンペレットから溶出された結合画分。B1:5:真の初期負荷濃度に対して5倍希釈された結合画分。MW:タンパク質分子量マーカー。
【0082】
【図7】図7は、Res−ChBD(配列番号55)の熱安定性アッセイの結果を例示するSDS−PAGE分析の写真である。UH:非加熱のタンパク質。レーン2〜4:85℃に15分間、30分間、60分間、それぞれ供された試料。MW:タンパク質分子量マーカー。
【0083】
【図8】図8A〜Bは、6H−Res−ChBDの小規模アフィニティー精製を例示する。図8A:Ni−NTAカラムでのRes−ChBDの精製を例示するクロマトグラム。観測されたピークが13.4分において220mMのイミダゾールにより溶出された。図8B:6H−Res−ChBD(配列番号55)の小規模Ni−NTA精製のSDS−PAGE分析。6〜17:ゲルに負荷されたFPLC分画物の番号;FT:カラム素通り。分画物9〜18をさらなる分析のために集めた。
【0084】
【図9】図9は、6H−Res−ChBD(配列番号55)の光化学重合のSDS−PAGE分析のスキャンである。UH:非加熱のアフィニティー精製された6H−Res−ChBD;H:85℃で15分間インキュベーションされた精製6H−Res−ChBD;P:日光暴露前にRu(bpy)Cl・6HOおよび過硫酸アンモニウムにより処理された6H−Res−ChBD。処理により、ゲル内に進入することができず、負荷ウエルに留まった高分子量の生成物(矢印によって示される)が生じた。
【0085】
【図10】図10A〜Bは、6H−Res−ChBD(配列番号55)の中規模アフィニティー精製を例示する。図10A:Ni−NTAカラムでの6H−Res−ChBD精製のクロマトグラム。観測されたタンパク質ピークが22.7分において180mMのイミダゾールにより溶出された。図10B:6H−Res−ChBDの中規模Ni−NTA精製のクーマシーブルー染色SDS−PAGE分析。1〜11:ゲルに負荷されたFPLC分画物の番号;FT:カラム素通り;W:カラム洗浄。
【0086】
【図11】図11は、Ni−NTA精製された組換えレシリン(配列番号56)のクーマシーブルー染色SDS−PAGE分析のスキャンである。レーン1〜8:FPLC分画物;Ft:素通り。分画物4〜7が精製レシリンに対応する。
【0087】
【図12】図12は、細菌溶解後のCBD−レシリン(配列番号57)(矢印によって印が付けられる)のクーマシーブルー染色SDS−PAGE分析のスキャンである。タンパク質がほとんどもっぱら封入体(IB)で検出された。
【0088】
【図13】図13は、アフィニティー精製されたCBD−レシリン(配列番号57)のセルロース結合能のクーマシーブルー染色SDS−PAGE分析のスキャンである。T:Ni−NTA精製されたCBD−レシリン;UB:遠心分離によって除かれた非結合画分;W:洗浄画分;B:SDS−PAGE試料適用緩衝液との煮沸によってセルロース/キチンペレットから溶出された結合画分。
【0089】
【図14】図14は、セルロースに結合する、Aktaprime(商標)Plus FPLC自動リフォールディングシステムによりリフォールディングされたCBD−レシリン(配列番号57)のクーマシーブルー染色SDS−PAGE分析のスキャンである。T:Ni−NTA精製されたCBD−レシリン;B:SDS−PAGE試料適用緩衝液との煮沸によってセルロースペレットから溶出された結合画分;UB:遠心分離によって除かれた非結合画分。
【0090】
【図15】図15は、セルロースと、クモ絹糸との複合物のモデルである。
【0091】
【図16】図16は、Ni−NTA精製された組換えレシリン−CBD(配列番号58)のクーマシー染色SDS−PAGE分析のスキャンである。試料9〜17はFPLC−AKTAprime(商標)プラスの分画物であった。分画物15〜16は、O.D.280nmにおいて観測されるようなレシリン−CBDピークに対応する。
【0092】
【図17】図17は、熱処理およびセルロース結合アッセイの後でのレシリン−CBD(配列番号58)のクーマシー染色SDS−PAGE分析のスキャンである。UH:非加熱のタンパク質;H:85℃で15分間インキュベーションされたタンパク質;T:総タンパク質(アフィニティークロマトグラフィー生成物);B:セルロースペレットをX2SABとともに煮沸することによって溶出された結合画分;UB:遠心分離によって除かれた非結合画分。
【0093】
【図18】図18は、2MのHClにより徐々に行われた滴定の後における異なるpH条件のもとでのレシリン(配列番号56)タンパク質およびレシリン−CBD(配列番号55)タンパク質の溶解性のクーマシー染色SDS−PAGE分析のスキャンである。
【0094】
【図19】図19は、Ru(bpy)3Cl・6HOおよびAPSの存在下(+)または非存在下(−)における異なるpH条件のもとでの光誘導重合に供されたレシリン試料のクーマシー染色SDS−PAGE分析のスキャンである。Res−ChBD(配列番号55)タンパク質のコントロール試料(pH7.4)が、類似する架橋条件に供された。矢印は、架橋剤を含有する試料における高分子量の生成物を指し示す。
【0095】
【図20】図20は、リン酸塩緩衝液または水に基づく反応溶液のどちらかにおけるMCO法によって重合されたレシリンのクーマシー染色SDS−PAGE分析のスキャンである。高分子量の生成物がリン酸塩緩衝液およびHOの両方において形成された。HOにおいて行われた反応により、Hのみとの反応における重合作用が明らかにされた。
【0096】
【図21】図21A〜Bは、本発明の複合物の作製を例示する写真である。図21A−Teflon鋳型を6H−Res−ChBD−セルロース複合物の光化学的架橋の後で開けたとき。図21B−左および中央はそれぞれ、6H−Res−ChBD−セルロースウィスカーの150μl試料および75μ試料の得られた複合物ポリマーであり、一方、右側の試料は、セルロースウィスカーの非存在下で注型された、純粋な6H−Res−ChBDポリマーの150μl試料から得られたものである。
【0097】
【図22】図22A〜Bは、本発明の代表的なクモ絹糸の過剰発現の後でのE.Coliタンパク質のSDS−PAGE分析を例示するスキャンである。図22A−総E.coliタンパク質のクーマシーブルー染色SDS−PAGE分析。タンパク質をクーマシーブルーで染色した。レーン1−タンパク質分子量マーカー、レーン2−非挿入ベクターにより形質転換されたコントロール細菌、レーン3−SpS(配列番号33)発現細菌から集められたタンパク質、レーン4−SpS−CBD発現細菌のタンパク質(配列番号34)。図22B−可溶性(S)および不溶性(IB)のE.coliタンパク質のInstantブルー染色SDS−PAGE分析。タンパク質をクーマシーブルーで染色した。レーン1−タンパク質分子量マーカー、レーン2〜3−SpS(配列番号33)発現細菌のタンパク質(それぞれ、SおよびIB)、レーン4〜5−SpS−CBD(配列番号34)発現細菌のタンパク質(それぞれ、SおよびIB)。
【0098】
【図23】図23A〜Bは、E.Coliにおいて発現するFPLC精製された6H−SpS(配列番号33)および6H−SpS−CBD(配列番号34)のSDS−PAGE分析を例示するスキャンである。図23A−Ni−NTA精製されたSpSタンパク質のFPLC分画物のSDS−PAGE分析。レーン1−タンパク質分子量マーカー、レーン2〜4−非挿入ベクターにより形質転換されたE.Coliコントロール溶解物の可溶性タンパク質、それぞれ、Ni−NTA精製前のSpS(配列番号33)試料およびSpS−CBD(配列番号34)試料。レーン4〜7−コントロールの精製されたタンパク質分画物、それぞれ、Ni−NTA精製後のSpS(配列番号33)、SpS−CBD(配列番号34)。図23B−抗6His抗体を用いた、図17Aに記載されるような同じ試料のウエスタンブロット分析。
【0099】
【図24】図24A〜Cは、6H−SpS(配列番号33)および6H−SpS−CBD(配列番号34)のFPLC精製を例示するグラフである。図24A−Ni−NTAカラムでのコントロールE.coliタンパク質の精製のクロマトグラム。図24B−Ni−NTAカラムでの6H−SpS(配列番号33)の精製のクロマトグラム。図24C−Ni−NTAカラムでの6H−SpS−CBD(配列番号34)の精製のクロマトグラム。
【0100】
【図25】図25は、アフィニティー精製されたSpS(配列番号33)およびSpS−CBD(配列番号34)の定性的なセルロース結合アッセイのSDS−PAGE分析のスキャンである。レーン1−タンパク質分子量マーカー、レーン2〜4−クモ絹糸のセルロース結合アッセイ:レーン2−Ni−NTA精製後のSpS、レーン3−セルロースに結合したタンパク質、レーン4−非結合タンパク質。非結合タンパク質が、レーン2では、タンパク質濃度に対する比較において1:10希釈される。レーン5〜7−SpS−CBDのセルロース結合アッセイ:レーン5−Ni−NTA精製後のSpS−CBD、レーン6−セルロースに結合したタンパク質、レーン7−非結合タンパク質。非結合タンパク質が、レーン5では、タンパク質濃度に対する比較において1:10希釈される。
【0101】
【図26】図26は、吸着/脱着等温線のグラフである。CBDクロストリジウム・セルロボランス(Clostridium cellulovorans)(CBDclos)(配列番号10)、SpS(配列番号33)およびSpS−CBD(配列番号34)を種々の濃度でセルロースに対して平衡点にまで吸着させた(B)。平衡に達した後、最高タンパク質濃度を含有する混合物を、脱着させるために希釈した(R)。
【0102】
【図27】図27A〜Bは、抗CBD抗体を免疫検出のために使用する、CBD−SpS12(配列番号35)発現植物およびSpS6−CBD−SpS6(配列番号36)発現植物の溶解物のウエスタンブロット分析のスキャンである。図27A−CBD−SpS12(配列番号35)をアポプラストにおいて発現および蓄積するタバコ植物。レーン1−タンパク質分子量マーカー、レーン2−野生型タバコ植物の溶解物、レーン3〜8−それぞれ、トランスジェニック植物番号13.1〜同13.6の溶解物。S−可溶性タンパク質、P−不溶性タンパク質。図27B−SpS6−CBD−SpS6(配列番号36)を細胞質において発現するタバコ植物。レーン1−タンパク質分子量マーカー、レーン2−野生型タバコ植物の溶解物、レーン3〜8−それぞれ、トランスジェニック植物番号6.1〜同6.6の溶解物。S−可溶性タンパク質、P−不溶性タンパク質。
【0103】
【図28】図28A〜Bは、抗CBD抗体を免疫検出のために使用する、SpS6−CBD−SpS6(配列番号36)精製手順のウエスタンブロット分析のスキャンである。図28A−レーン1−タンパク質分子量マーカー、レーン2−野生型タバコ植物抽出物の可溶性タンパク質、レーン3−野生型タバコの不溶性タンパク質、レーン4−トランスジェニック植物#6.4の可溶性タンパク質、レーン5−トランスジェニック植物#6.4の不溶性タンパク質、レーン6−#6.4トランスジェニックタバコ植物の不溶性画分から溶出された可溶性タンパク質SpS6−CBD−SpS6(配列番号36)、レーン7−#6.4トランスジェニックタバコ植物の不溶性画分から溶出された不溶性タンパク質SpS6−CBD−SpS6。図28BはSpS6−CBD−SpS6(配列番号36)熱安定性およびpH可溶性を例示する。レーン1−タンパク質分子量マーカー、レーン2−植物抽出物の不溶性画分から溶出される可溶性タンパク質(図24Aのレーン6に示される通り)、レーン3〜6−それぞれ、60℃、70℃、80℃および90℃での熱安定性アッセイ。レーン7〜12−それぞれ、pH=8、7、6、5、4、3のもとでのpH可溶性試験。
【0104】
【図29】図29は、絹糸の金属触媒重合のクーマシー染色SDS−PAGE分析である。レーン1−タンパク質分子量マーカー;レーン2〜5−DDWに対して透析されたSpS(配列番号33)の反応分析:レーン2−HまたはCuClを含まないタンパク質溶液、レーン3−HおよびCuClを含む重合反応、レーン4−Hのみが添加されるタンパク質溶液、レーン5−CuClのみが添加されるタンパク質溶液。レーン6〜9:50mMリン酸ナトリウム(pH7.5)に対して透析されたSpSの反応分析:レーン6−HまたはCuClを含まないタンパク質溶液、レーン7−HおよびCuClを含む重合反応、レーン8−Hのみが添加されるタンパク質溶液、レーン9−CuClのみが添加されるタンパク質溶液。
【0105】
【図30】図30は、SpSスポンジ調製のクーマシー染色SDS−PAGE分析である。レーン1−タンパク質分子量マーカー、レーン2−スポンジ調製手順前の可溶性タンパク質、レーン3−50mMリン酸ナトリウム(pH7.5)に対する透析の後での可溶性タンパク質、レーン4−DDWに対する透析の後での可溶性タンパク質、レーン5−約50mg/mlへの濃縮の後での可溶性タンパク質。試料は、タンパク質の喪失がなかったことを確認するために50倍希釈された。
【0106】
【図31A】図31Aは、SpS−セルロースウィスカースポンジのDSC分析の結果を示す。A−セルロースウィスカースポンジのDSCサーモグラム分析。
【図31B】図31Bは、SpS−セルロースウィスカースポンジのDSC分析の結果を示す。B−SpSスポンジのDSCサーモグラム分析。
【図31C】図31Cは、SpS−セルロースウィスカースポンジのDSC分析の結果を示す。C−70%ウィスカー/30%SpSスポンジのDSCサーモグラム分析。
【発明を実施するための形態】
【0107】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、繊維状ポリペプチドおよび多糖を含む組成物ならびにその使用に関する。繊維状ポリペプチドは、内因性の多糖結合ドメインまたは異種の多糖結合ドメインを含むことができる。
【0108】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳しく説明する前に、本発明は、その適用において、下記の説明に示されるか、または実施例において例示される細部に必ずしも限定されないことを理解しなければならない。本発明は他の実施形態が可能であり、または様々な方法で実施または実行されることが可能である。
【0109】
医学的用途、工業的用途および他の用途における使用において優れた機械的性質を有する新規な複合生体材料を特定するための探索において、本発明者らは、多糖における方向性の結合および重合を可能にする新規な繊維状ポリペプチドを作製している。
【0110】
本発明を実施に移しているとき、本発明者らは、レシリン融合タンパク質およびクモ絹糸融合タンパク質の両方を作製し、精製した。作製された代表的な融合タンパク質には、レシリン−キチン結合ドメイン(Res−ChBD)(図4〜図10、図18および図19)、レシリン−セルロース結合ドメイン(Res−CBD)(図12〜図14、図16〜図17)およびクモ絹糸−セルロース結合ドメイン(図23〜図28)が含まれる。
【0111】
したがって、本発明の1つの態様によれば、異種の多糖結合ドメインに結合された繊維状ポリペプチドのモノマーをコードするアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドが提供される。
【0112】
本明細書中で使用されるとき、語句「繊維状ポリペプチド」は、繊維またはシートを形成するようにマトリックスに配置される複数のモノマー鎖からなるポリペプチドを示す。繊維状タンパク質が、D.Voet&J.G.Voet、“Biochemistry”(第2版、John Wiley&Sons、New York、1995、153頁〜162頁)に記載される(これはこの参照として本明細書中に組み込まれる)。
【0113】
繊維状ポリペプチドの例には、レシリン、エラスチン、クモ絹糸、カイコ絹糸、コラーゲンおよびイガイ足糸タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0114】
本明細書中で使用されるとき、用語「レシリン」は、そのそれぞれのモノマーが、配列番号45に示される配列の少なくとも2つの反復単位を含む、繊維を形成することができる弾性ポリペプチドを示す。1つの実施形態によれば、反復単位は、配列番号8に示される配列を含む。レシリンの限定されない例のGenBankアクセション番号が下記の表1に記載される。本発明のレシリンはまた、ホモログを示す(例えば、設定省略時のパラメーターを使用する、National Center of Biotechnology Information(NCBI)のBlastPソフトウエアを使用して求められるとき、表1に記載されるレシリン配列に対する相同性が、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも87%、少なくとも89%、少なくとも91%、少なくとも93%、少なくとも95%またはそれ以上、例えば、およそ100%であるポリペプチド)。ホモログはまた、その欠失変化体、挿入変化体または置換変化体(アミノ酸置換を含む)、および、その生物学的に活性なポリペプチドフラグメントを示す場合がある。
【0115】
下記の表1はレシリンのNCBI配列番号の例を記載する。
【表1】

【0116】
1つの実施形態によれば、レシリンのポリペプチド配列が配列番号9に示される。
【0117】
本明細書中で使用されるとき、用語「エラスチン」は、そのそれぞれのモノマーが、配列番号46に示される配列の少なくとも2つの反復単位を含む、繊維を形成することができる弾性ポリペプチドを示す。エラスチンの限定されない例のGenBankアクセション番号が下記の表2に記載される。本発明のエラスチンはまた、ホモログを示す(例えば、設定省略時のパラメーターを使用する、National Center of Biotechnology Information(NCBI)のBlastPソフトウエアを使用して求められるとき、表2に記載されるエラスチン配列に対する相同性が、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも87%、少なくとも89%、少なくとも91%、少なくとも93%、少なくとも95%またはそれ以上、例えば、およそ100%であるポリペプチド)。ホモログはまた、その欠失変化体、挿入変化体または置換変化体(アミノ酸置換を含む)、および、その生物学的に活性なポリペプチドフラグメントを示す場合がある。
【0118】
下記の表2はエラスチンのNCBI配列番号の例を記載する。
【表2】

【0119】
本明細書中で使用されるとき、用語「クモ絹糸」は、そのそれぞれのモノマーが、配列番号26に示される配列の少なくとも2つの反復単位を含む、クモ絹糸から構成される繊維を形成することができるポリペプチドを示す。1つの実施形態によれば、ポリペプチド鎖はスピドロイン1のアミノ酸配列を含む。別の実施形態によれば、ポリペプチド鎖はスピドロイン2のアミノ酸配列を含む。1つの実施形態によれば、クモ絹糸はクモ絹糸である。スピドロイン1およびスピドロイン2の限定されない例のGenBankアクセション番号が下記の表3に記載される。本発明のクモ絹糸ポリペプチドはまた、ホモログを示す(例えば、設定省略時のパラメーターを使用する、National Center of Biotechnology Information(NCBI)のBlastPソフトウエアを使用して求められるとき、表3に記載されるクモ絹糸配列に対する相同性が、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも87%、少なくとも89%、少なくとも91%、少なくとも93%、少なくとも95%またはそれ以上、例えば、およそ100%であるポリペプチド)。ホモログはまた、その欠失変化体、挿入変化体または置換変化体(アミノ酸置換を含む)、および、その生物学的に活性なポリペプチドフラグメントを示す場合がある。
【0120】
下記の表3はクモ絹糸のNCBI配列番号の例を記載する。
【表3】

【0121】
1つの実施形態によれば、クモ絹糸ポリペプチドのポリペプチド配列が配列番号16または配列番号38に示される。
【0122】
本明細書中で使用されるとき、用語「カイコ絹糸」は、繊維を形成することができるカイコ由来の絹糸ポリペプチドを示す。カイコ絹糸ポリペプチドの限定されない例のGenBankアクセション番号が下記の表4に記載される。本発明のカイコ絹糸ポリペプチドはまた、ホモログを示す(例えば、設定省略時のパラメーターを使用する、National Center of Biotechnology Information(NCBI)のBlastPソフトウエアを使用して求められるとき、表4に記載されるカイコ絹糸配列に対する相同性が、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも87%、少なくとも89%、少なくとも91%、少なくとも93%、少なくとも95%またはそれ以上、例えば、およそ100%であるポリペプチド)。ホモログはまた、その欠失変化体、挿入変化体または置換変化体(アミノ酸置換を含む)、および、その生物学的に活性なポリペプチドフラグメントを示す場合がある。
【0123】
下記の表4はカイコ絹糸のNCBI配列番号の例を記載する。
【表4】

【0124】
本明細書中で使用されるとき、用語「コラーゲン」は、I型コラーゲンの場合には、2つのα1鎖および1つのα2鎖を含む集合したコラーゲン三量体を示す。コラーゲン繊維は、末端のプロペプチドCおよびプロペプチドNを欠くコラーゲンである。意図されるコラーゲンには、I型、II型、III型、V型、XI型、および、それらに由来する生物学的に活性なフラグメントが含まれる。コラーゲンは、プロコラーゲン、アテロコラーゲンまたはテロコラーゲンから構成される場合がある。本発明のコラーゲンはまた、ホモログを示す(例えば、設定省略時のパラメーターを使用する、National Center of Biotechnology Information(NCBI)のBlastPソフトウエアを使用して求められるとき、表5に記載されるコラーゲン配列に対する相同性が、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも87%、少なくとも89%、少なくとも91%、少なくとも93%、少なくとも95%またはそれ以上、例えば、およそ100%であるポリペプチド)。ホモログはまた、その欠失変化体、挿入変化体または置換変化体(アミノ酸置換を含む)、および、その生物学的に活性なポリペプチドフラグメントを示す場合がある。
【0125】
下記の表5はコラーゲンのNCBI配列番号の例を記載する。
【表5】

【0126】
本明細書中で使用されるとき、語句「イガイ足糸タンパク質」は、コラーゲンドメインおよびエラスチンドメインの両方を含む、イガイの足糸に見出されるポリペプチドを示す(例えば、Col−PまたはCol−D)。本発明のイガイ足糸タンパク質はまた、ホモログを示す(例えば、設定省略時のパラメーターを使用する、National Center of Biotechnology Information(NCBI)のBlastPソフトウエアを使用して求められるとき、NCBI配列番号AAB34042に記載されるイガイ足糸配列に対する相同性が、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも87%、少なくとも89%、少なくとも91%、少なくとも93%、少なくとも95%またはそれ以上、例えば、およそ100%であるポリペプチド)。
【0127】
ホモログはまた、その欠失変化体、挿入変化体または置換変化体(アミノ酸置換を含む)、および、その生物学的に活性なポリペプチドフラグメントを示す場合がある。
【0128】
述べられたように、本発明の単離されたポリペプチドは、異種の多糖結合ドメインに結合された繊維状ポリペプチドのモノマーを含む。
【0129】
本明細書中で使用されるとき、修飾語「異種の」は、本発明の繊維状ポリペプチドの異種の多糖結合ドメインに関連する場合、その異種の多糖結合ドメインが、そのドメインが融合される繊維状ポリペプチドにおいて自然界で見出されないことを示す。
【0130】
語句「多糖結合ドメイン」は、約10μMの最小解離定数(Kd)により多糖と結合するアミノ酸配列を示す[Tomme P、Boraston A、McLean B、Kormos J、Creagh AL、Sturch K、Gilkes NR、Haynes CA、Warren RA、Kilburn DG(1998)、セルロース結合ドメインの特徴づけおよび親和性適用、J Chromatogr B Biomed Sci Appl、715(1):283〜96;Boraston AB、Bolam DN、Gilbert HJ、Davies GJ(2004)、炭水化物結合モジュール:多糖認識を微調整する、Biochem J、382(Pt 3):769〜81]。典型的には、多糖結合ドメインは、ポリサッカリダーゼまたは多糖結合タンパク質の多糖結合ドメインの機能的部分を少なくとも含む。
【0131】
繊維状ポリペプチドは多糖結合ドメインに直接に連結され得るか、または、リンカーを介して連結され得ることが理解される。本発明のために意図される代表的なリンカーのアミノ酸配列が配列番号52および配列番号53に示される。
【0132】
代表的な多糖結合ドメインには、キチン結合ドメイン(その例が配列番号39および配列番号40に示される)、デンプン結合ドメイン(その例が配列番号41に示される)、デキストラン結合ドメイン(その例が配列番号42に示される)、グルカン結合ドメイン、キトサン結合ドメイン(例えば、Chen,HP;Xu,LL(205)、J.of Integrative Plant Biology、47(4):452〜456を参照のこと)、アルギン酸結合ドメイン(その例が配列番号43に示される)およびヒアルロン酸結合ドメイン(その例が配列番号44に示される)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0133】
本発明のこの態様によれば、繊維状ポリペプチドがレシリンまたはクモ絹糸を含むとき、多糖結合ドメインはまた、セルロース結合ドメインである場合がある。
【0134】
下記の表6は、本発明における使用のために意図される多糖結合ドメインの代表的な供給源を記載する。
【表6】


【0135】
下記の表7は、本発明の多糖結合ドメインとして使用するために意図されるキチン結合ドメインを有する酵素の概要を記載する。
【表7】




【0136】
下記の表8は、本発明の多糖結合ドメインとして使用されうる連鎖球菌グルカン結合反復を含むタンパク質(Cplスーパーファミリー)の概要を記載する。
【表8】


【0137】
下記の表9は、本発明の多糖結合ドメインとして意図されうる仮想的なβ−1,3グルカン結合ドメインを含むタンパク質を記載する。
【表9】

【0138】
本明細書において使用される用語「ポリペプチド」には、天然のペプチド(分解産物または合成的に合成されたポリペプチドまたは組換えポリペプチドのいずれか)、ペプチド模倣体(典型的には合成的に合成されたポリペプチド)そしてポリペプチドアナログであるペプトイドおよびセミペプトイドが含まれ、これらは、例えば、ポリペプチドを体内でより安定化させる修飾、またはポリペプチドの細胞浸透能力を高める修飾を有し得る。そのような修飾には、N′末端修飾、C′末端修飾、ポリペプチド結合の修飾(CH−NH、CH−S、CH−S=O、O=C−NH、CH−O、CH−CH、S=C−NH、CH=CHまたはCF=CHを含むが、これらに限定されない)、骨格の修飾、および残基の修飾が含まれるが、これらに限定されない。ペプチド模倣体化合物を調製するための方法はこの分野では十分に知られており、例えば、Quantitative Drug Design,C.A.Ramsden Gd.,Chapter 17.2,F.Choplin Pergamon Press(1992)に具体的に記載される(これは、全体が本明細書中に示されるように参考として組み込まれる)。これに関するさらなる詳細が本明細書中下記に示される。
【0139】
ポリペプチド内のポリペプチド結合(−CO−NH−)は、例えば、N−メチル化結合(−N(CH)−CO−)、エステル結合(−C(R)H−C−O−O−C(R)−N−)、ケトメチレン結合(−CO−CH−)、o−アザ結合(−NH−N(R)−CO−)(式中、Rは任意のアルキル(例えば、メチル)である)、カルバ結合(−CH−NH−)、ヒドロキシエチレン結合(−CH(OH)−CH−)、チオアミド結合(−CS−NH−)、オレフィン二重結合(−CH=CH−)、レトロアミド結合(−NH−CO−)、ペプチド誘導体(−N(R)−CH−CO−)(式中、Rは、炭素原子において自然界で示される「通常」の側鎖である)によって置換することができる。
【0140】
これらの修飾は、ポリペプチド鎖に沿った結合の任意のところに存在させることができ、そして同時に数カ所(2カ所〜3カ所)においてさえ存在させることができる。
【0141】
天然の芳香族アミノ酸(Trp、TyrおよびPhe)は、フェニルグリシン、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸(TIC)、ナフチルエラニン(Nol)、Pheの環メチル化誘導体、Pheのハロゲン化誘導体、またはo−メチル−Tyrなどの合成された非天然型の酸に置換することができる。
【0142】
述べられたように、繊維状タンパク質のポリペプチドのアミノ酸配列は、天然に存在する繊維状タンパク質におけるポリペプチドのアミノ酸配列であり得るか、あるいは、同類置換または非同類置換のどちらかを含むアミノ酸配列であり得るかのどちらかである。
【0143】
本明細書中で使用されるとき、用語「同類置換」は、ペプチドにおける生来的配列に存在するアミノ酸が、類似する立体的性質を有する天然に存在するアミノ酸もしくは天然に存在しないアミノ酸またはペプチド模倣体により置き換えられることを示す。置換されることになる生来的アミノ酸の側鎖が極性または疎水性のどちらかである場合、同類置換は、(置換されたアミノ酸の側鎖と同じ立体的性質を有することに加えて)同様に極性または疎水性である天然に存在するアミノ酸、天然に存在しないアミノ酸、または、ペプチド模倣体成分とでなければならない。
【0144】
天然に存在するアミノ酸は典型的には、それらの性質に従って分類されるので、天然に存在するアミノ酸による同類置換は、本発明に従って、立体的に類似する非荷電アミノ酸による荷電アミノ酸の置換が同類置換であると見なされるという事実を念頭に置いて容易に決定することができる。
【0145】
同類置換を、天然に存在しないアミノ酸によって作製するために、当該技術分野において広く知られているアミノ酸アナログ(合成アミノ酸)を使用することもまた可能である。天然に存在するアミノ酸のペプチド模倣体が、当業者に知られている文献には十分に記録されている。
【0146】
同類置換を達成するとき、代わりに使用されるアミノ酸は、元のアミノ酸と同じまたは類似する官能基を側鎖に有しなければならない。
【0147】
本明細書中で使用されるとき、語句「非同類置換」は、元の配列に存在するアミノ酸が、異なる電気化学的性質および/または立体的性質を有する別の天然に存在するアミノ酸または天然に存在しないアミノ酸によって置き換えられることを示す。したがって、代わりに使用されるアミノ酸の側鎖は、置換されることになる生来的アミノ酸の側鎖よりも著しく大きく(または小さく)することができ、および/または、置換されることになるアミノ酸と著しく異なる電子的性質を有する官能基を有することができる。このタイプの非同類置換の例には、アラニンに代わるフェニルアラニンまたはシクロヘキシルメチルグリシンの使用、グリシンに代わるイソロイシンの使用、あるいは、アスパラギン酸に代わる−NH−CH[(−CH−COOH]−CO−の使用が含まれる。本発明の範囲に含まれるそのような非同類置換として、繊維状タンパク質を形成することができるポリペプチドを依然として構成する非同類置換が挙げられる。
【0148】
従って、本明細書において使用される用語「アミノ酸」には、20個の天然に存在するアミノ酸;インビボで多くの場合には翻訳後修飾されたそのようなアミノ酸(例えば、ヒドロキシプロリン、ホスホセリンおよびホスホトレオニンを含む);および他の非通常型アミノ酸(2−アミノアジピン酸、ヒドロキシリシン、イソデスモシン、ノルバリン、ノルロイシンおよびオルニチンを含むが、これらに限定されない)が含まれることが理解される。さらに、用語「アミノ酸」には、この用語が本明細書中で定義されるように少なくとも1つの付加アミノ酸にペプチド結合またはペプチド結合アナログを介して連結されるD−アミノ酸およびL−アミノ酸の両方が含まれる。
【0149】
下記の表10及び表11は、本発明において使用されることができる、天然に存在するアミノ酸(表10)、および非通常型アミノ酸または修飾型アミノ酸(表11)を記載する。
【0150】
【表10】

【0151】
【表11】



【0152】
本発明の例示的ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号11〜13,55,57,58及び配列番号32〜36に記載される。
【0153】
組換え技術は、本発明のポリペプチドを発生するために使用されることが好ましい。なぜならこれらの技術は相対的に長い(例えば20アミノ酸より長い)ポリペプチド及びその多量の発生のためにより適しているからである。かかる組換え技術は、Bitter他(1987)、Methods in Enzymol.、153:516〜544;Studier他(1990)、Methods in Enzymol.、185:60〜89;Brisson他(1984)、Nature、310:511〜514;Takamatsu他(1987)、EMBO J.、6:307〜311;Coruzzi他(1984)、EMBO J.、1671〜1680;およびBrogli他(1984)、Science、224:838〜843;Gurley他(1986)、Mol.Cell.Biol.、6:559〜565;ならびに、Weissbach&Weissbach、1988、Methods for Plant Molecular Biology、Academic Press、、NY、第VIII節、421頁〜463頁によって記載される。
【0154】
本発明のポリペプチドを、組換え技術を使用して作製するために、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは核酸発現ベクターに連結される。この場合、核酸発現ベクターは、ポリヌクレオチド配列を、宿主細胞における本発明のポリペプチドの構成的転写、組織特異的な転写または誘導可能な転写を行わせるために好適なシス調節配列(例えば、プロモーター配列)の転写制御下に含む。
【0155】
レシリンを発現させるために使用することができる単離されたポリヌクレオチドの一例が、配列番号15に示される通りである。クモ絹糸を発現させるために使用することができる単離されたポリヌクレオチド配列の例が、配列番号23および配列番号27に示される通りである。セルロース結合ドメインを発現させるために使用することができる単離されたポリヌクレオチドの一例が、配列番号25に示される。本発明のポリペプチドを発現させるために使用することができる代表的なポリヌクレオチド配列が、配列番号17〜配列番号22、配列番号24、配列番号28および配列番号29に示される。
【0156】
本明細書中で使用される表現「単離されたポリヌクレオチド」は、RNA配列、相補的ポリヌクレオチド配列(cDNA)、ゲノムポリヌクレオチド配列および/または複合ポリヌクレオチド配列(例えば、上記の組合せ)の形態で単離および提供される一本鎖または二本鎖の核酸配列を示す。
【0157】
本明細書中で使用される表現「相補的ポリヌクレオチド配列」は、逆転写酵素または任意の他のRNA依存性DNAポリメラーゼを使用してメッセンジャーRNAの逆転写から生じる配列を示す。そのような配列は続いて、DNA依存性DNAポリメラーゼを使用してインビボまたはインビトロで増幅することができる。
【0158】
本明細書中で使用される表現「ゲノムポリヌクレオチド配列」は、染色体に由来する(染色体から単離される)配列を示し、従って、ゲノムポリヌクレオチド配列は染色体の隣接した一部分を表す。
【0159】
本明細書中で使用される表現「複合ポリヌクレオチド配列」は、少なくとも一部分が相補的であり、かつ、少なくとも一部分がゲノムである配列を示す。複合配列は、本発明のポリペプチドをコードするために要求されるいくつかのエキソン配列、ならびに、エキソン配列の間に介在するいくつかのイントロン配列を含むことができる。イントロン配列は、他の遺伝子のものを含めて、任意の供給源のものが可能であり、典型的には、保存されたスプライシングシグナル配列を含む。そのようなイントロン配列はさらに、シス作用の発現調節エレメントを含むことができる。
【0160】
本発明のポリヌクレオチドはさらに、繊維状ポリペプチドの分泌のためのシグナルペプチドをコードするシグナル配列を含むことができる。(植物トランスフェクションのための)本発明の構築物において使用され得る代表的なシグナル配列が液胞シグナル配列である。
【0161】
発現および分泌の後、シグナルペプチドは典型的には、成熟タンパク質をもたらす前駆体タンパク質から除かれる。
【0162】
本発明のポリヌクレオチドは、本明細書下記の実施例1および実施例7において記載されるようなPCR技術、あるいは、2つの異なるDNA配列の連結のために当該技術分野において知られている何らかの他の方法または手法を使用して調製することができる。例えば、“Current Protocols in Molecular Biology”(Ausubel他編、John Wiley&Sons、1992)を参照のこと。
【0163】
本明細書中上記で述べられたように、本発明のポリヌクレオチド配列は、組換えポリペプチドの発現を可能にするために発現ベクター(すなわち、核酸構築物)に挿入される。本発明の発現ベクターは、このベクターを原核生物または真核生物または好ましくは両方における複製および組込みのために好適にするさらなる配列(例えば、シャトルベクター)を含む。典型的なクローニング用ベクターは、転写開始配列および翻訳開始配列(例えば、プロモーター、エンハンサー)、ならびに、転写ターミネーターおよび翻訳ターミネーター(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含有する。
【0164】
真核生物プロモーターは典型的には、2つのタイプの認識配列(TATAボックスおよび上流側のプロモーター要素)を含有する。TATAボックス(これは転写開始部位の25塩基対〜30塩基対上流側に位置する)は、RNAポリメラーゼに、RNA合成を開始させることに関与していると考えられる。それ以外の上流側のプロモーター要素は、転写が開始される速度を決定する。
【0165】
エンハンサー要素は、転写を、連結された相同的プロモーターまたは異種プロモーターから1000倍まで刺激することができる。エンハンサーは、転写開始部位の下流側または上流側に置かれたとき、活性がある。ウイルスに由来する多くのエンハンサー要素は広い宿主範囲を有しており、様々な組織において活性がある。例えば、SV40の初期遺伝子エンハンサーが多くの細胞タイプについて好適である。本発明のために好適である他のエンハンサー/プロモーター組合せには、ポリオーマウイルス、ヒトまたはマウスのサイトメガロウイルス(CMV)、様々なレトロウイルス(例えば、マウス白血病ウイルス、マウス肉腫ウイルスまたはラウス肉腫ウイルス、およびHIVなど)からの長末端反復に由来するものが含まれる。Enhancers and Eukaryotic Expression(Cold Spring Harbor Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、1983)を参照のこと(これは参考として本明細書中に組み込まれる)。
【0166】
発現ベクターの構築において、プロモーターは好ましくは、その天然の環境における転写開始部位からの距離とほぼ同じ距離で異種の転写開始部位から配置される。しかしながら、当該分野で既知のように、この距離におけるある程度の変動が、プロモーター機能の喪失を伴うことなく受け入れられ得る。
【0167】
既に述べられた要素に加えて、本発明の発現ベクターは、典型的には、クローン化された核酸の発現レベルを増大させるために、または、組換えDNAを有する細胞の特定を容易にするために意図された他の特殊化された要素を含有することができる。例えば、数多くの動物ウイルスは、許容細胞タイプにおけるウイルスゲノムの染色体外の複製を促進させるDNA配列を含有する。このようなウイルスレプリコンを有するプラスミドは、適切な因子が、プラスミドにおいて運ばれる遺伝子によるか、または、宿主細胞のゲノムとともに運ばれる遺伝子によるかのいずれかで提供される限り、エピソームとして複製する。
【0168】
ベクターは真核生物のレプリコンを含んでも、含まなくてもよい。真核生物のレプリコンが存在するならば、ベクターは、適切な選択マーカーを使用して真核生物細胞において増幅可能である。ベクターが真核生物のレプリコンを含まないならば、エピソーム増幅ができない。その代わり、組換えDNAは、操作された細胞のゲノムに組み込まれ、その細胞において、プロモーターが所望の核酸の発現を行わせる。
【0169】
本発明の発現ベクターはさらに、例えば、1つのmRNAからの数個のタンパク質の翻訳を可能にするさらなるポリヌクレオチド配列(例えば、内部リボソーム進入部位(IRES)など)、および、プロモーターキメラポリペプチドのゲノム組み込みのための配列を含むことができる。
【0170】
哺乳動物発現ベクターの例には、Invitrogenから入手可能であるpcDNA3、pcDNA3.l(+/−)、pGL3、pZeoSV2(+/−)、pSecTag2、pDisplay、pEF/myc/cyto、pCMV/myc/cyto、pCR3.1、pSinRep5、DH26S、DHBB、pNMT1、pNMT41、pNMT81、Promegaから入手可能であるpCI、Strategeneから入手可能であるpMbac、pPbac、pBK−RSVおよびpBK−CMV、Clontechから入手可能であるpTRES、ならびに、それらの誘導体が含まれる。
【0171】
真核生物ウイルス(例えば、レトロウイルスなど)に由来する調節要素を含有する発現ベクターもまた使用することができる。SV40系ベクターには、pSVT7およびpMT2が含まれる。ウシパピローマウイルスに由来するベクターには、pBV−1MTHAが含まれ、エプスタイン・バールウイルスに由来するベクターには、pHEBOおよびp2O5が含まれる。他の例示的なベクターには、pMSG、pAV009/A、pMTO10/A、pMAMneo−5、バキュロウイルスpDSVE、および、SV−40初期プロモーター、SV−40後期プロモーター、メタロチオネインプロモーター、マウス乳腫瘍ウイルスプロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ポリヘドリンプロモーター、または、真核生物細胞での発現のために効果的であることが示されている他のプロモーターの指揮下でのタンパク質の発現を可能にする他のベクターが含まれる。
【0172】
ウイルスは、多くの場合において宿主の防御機構を回避するように進化してきた非常に特殊化された感染性因子である。典型的には、ウイルスは特定の細胞タイプに感染し、特定の細胞タイプにおいて増殖する。ウイルスベクターの標的化特異性では、その天然の特異性が、所定の細胞タイプを特異的に標的化し、それにより、組換え遺伝子を感染細胞に導入するために利用される。従って、本発明によって使用されるベクターのタイプは、形質転換された細胞タイプに依存する。
【0173】
組換えウイルスベクターは、側方感染のような利点を提供するので、本発明のポリペプチドの発現のために有用でありうる。側方感染は、例えば、レトロウイルスの生活環において固有のものであり、出芽し、周りの細胞に感染する多くの子孫ビリオンを1個の感染細胞が産生するプロセスである。その結果は、最初のウイルス粒子によってそのほとんどが最初に感染していなかった広い面積が急速に感染することである。これは、感染性因子が娘核種を介してのみ広がる垂直型の感染とは対照的である。横方向に広がることができないウイルスベクターもまた作製することができる。この特徴は、所望する目的が、指定された遺伝子を局在化した多数の標的化された細胞のみに導入することであるならば、有用であり得る。
【0174】
様々な原核生物細胞または真核生物細胞を、本発明のポリペプチドを発現させるための宿主−発現システムとして使用することができる。これらには、微生物、例えば、ポリペプチドコード配列を含有する組換えバクテリオファージDNA発現ベクター、プラスミドDNA発現ベクターまたはコスミドDNA発現ベクターにより形質転換される細菌(例えば、E.coli(これには、BL21(DE3)plysS、BL21(DE3)RPおよびBL21のE.coli株が挙げられるが、これらに限定されない)、および、B.subtilis);ポリペプチドコード配列を含有する組換え酵母発現ベクターにより形質転換される酵母など;ポリペプチドコード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)が感染させられるか、または、ポリペプチドコード配列を含有する組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミドなど)により形質転換される植物細胞システムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0175】
様々な方法を、本発明の発現ベクターをホスト発現系の細胞に導入するために使用することができる。そのような方法が、一般には、Sambrook他、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Springs Harbor Laboratory、New York(1989、1992);Ausubel他、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley and Sons、Baltimore、Md.(1989);Chang他、Somatic Gene Therapy、CRC Press、Ann Arbor、Mich.(1995);Vega他、Gene Targeting、CRC Press、Ann Arbor Mich.(1995);Vectors:A Survey of Molecular Cloning Vectors and Their Uses、Butterworths、Boston Mass.(1988);および、Gilboa他[Biotechniques 4(6):504〜512、1986]に記載され、そのような方法には、例えば、組換えウイルスベクターを用いた安定的トランスフェクションまたは一過性トランスフェクション、リポフェクション、エレクトロポレーションおよび感染が含まれる。加えて、陽性−陰性の選択法については米国特許第5464764号および同第5487992号を参照のこと。
【0176】
ウイルス感染による核酸の導入では、より高いトランスフェクション効率をウイルスの感染性のために得ることができるので、他の方法(例えば、リポフェクションおよびエレクトロポレーションなど)を上回る利点がいくつかもたらされる。
【0177】
1つの実施形態によれば、本発明のポリペプチドは植物において発現される。
【0178】
本明細書中で使用されるとき、用語「植物」は、完全な植物体、植物および植物の一部分(種子、苗条、茎、根(根茎を含む)および植物細胞を含む)の祖先および子孫、組織および器官を包含する。植物は、懸濁培養物、胚、成長点領域、カルス組織、葉、配偶体、胞子体、花粉および小胞子を含めて、任意の形態であり得る。本発明の方法において特に有用である植物には、緑色植物亜界に属する全ての植物が含まれ、具体的には、下記の植物を含むリストから選択される家畜用もしくは飼料用のマメ科植物、観賞植物、食物作物、樹木または灌木を含む単子葉植物および双子葉植物が含まれる:アカシア属(Acacia)spp.、カエデ属(Acer)spp.、マタタビ属(Actinidia)spp.、トチノキ属(Aesculus)spp.、カウリマツ(Agathis australis)、アルビジア・アマラ(Albizia amara)、アルソフィラ・トリカラー(Alsophila tricolor)、ウシクサ属(Andropogon)spp.、ラッカセイ属(Arachis)spp、ビンロウジュ(Areca catechu)、アステリア・フラグランス(Astelia fragrans)、アストラガルス・シセル(Astragalus cicer)、バイキアエア・プルリジュガ(Baikiaea plurijuga)、カバノキ属(Betula)spp.、アブラナ属(Brassica)spp.、オヒルギ(Bruguiera gymnorrhiza)、ブルケア・アフリカナ(Burkea africana)、ツルハナモツヤクノキ(Butea frondosa)、カダバ・ファリノサ(Cadaba farinosa)、ベニゴウカン属(Calliandra)spp、チャノキ(Camellia sinensis)、ダンドク(Canna indica)、トウガラシ属(Capsicum)spp.、カワラケツメイ属(Cassia)spp.、セントロエマ・プベセンス(Centroema pubescens)、カクーメレス属(Chacoomeles)spp.、カシア(Cinnamomum cassia)、アラビアコーヒーノキ(Coffea arabica)、モパネ(Colophospermum mopane)、コロニリア・バリア(Coronillia varia)、コトネアステル・セロチナ(Cotoneaster serotina)、サンザシ属(Crataegus)spp.、キュウリ属(Cucumis)spp.、イトスギ属(Cupressus)spp.、シアテア・デアルバタ(Cyathea dealbata)、マルメロ(Cydonia oblonga)、スギ(Cryptomeria japonica)、オガルカヤ属(Cymbopogon)spp.、シンテア・デアルバタ(Cynthea dealbata)、マルメロ、ダルベルギア・モネタリア(Dalbergia monetaria)、ダバリア・ジバリカタ(Davallia divaricata)、ヌスビトハギ属(Desmodium)spp.、ジクソニア・スクアロサ(Dicksonia squarosa)、ジベテロポゴン・アンプレクテンス(Dibeteropogon amplectens)、ジオクレア属(Dioclea)spp、ドリコス属(Dolichos)spp.、ドリクニウム・レクツム(Dorycnium rectum)、エキノクロア・ピラミダリス(Echinochloa pyramidalis)、エーラフィア属(Ehraffia)spp.、シコクビエ(Eleusine coracana)、エラグレスチス属(Eragrestis)spp.、デイゴ属(Erythrina)spp.、ユーカリプフス属(Eucalypfus)spp.、ユークレア・シンペリ(Euclea schimperi)、ユーラリア・ビロサ(Eulalia vi/losa)、パゴピルム属(Pagopyrum)spp.、フェイジョア・セローラナ(Feijoa sellowlana)、オランダイチゴ属(Fragaria)spp.、フレミンギア属(Flemingia)spp、フレイシネチア・バンクスリ(Freycinetia banksli)、ゲンノウショウコ(Geranium thunbergii)、ギンアゴ・ビロバ(GinAgo biloba)、グリシネ・ジャバニカ(Glycine javanica)、グリリシジア属(Gliricidia)spp、ワタ(Gossypium hirsutum)、グレビレア属(Grevillea)spp.、グイボウルチア・コレオスペルマ(Guibourtia coleosperma)、イワオウギ属(Hedysarum)spp.、ヘマフィア・アルチシマ(Hemaffhia altissima)、ヘテロポゴン・コントフス(Heteropogon contoffus)、オオムギ(Hordeum vulgare)、ヒパレニア・ルファ(Hyparrhenia rufa)、オトギリソウ(Hypericum erectum)、ヒペフェリア・ジソルテ(Hypeffhelia dissolute)、インジゴ・インカマタ(Indigo incamata)、アヤメ属(Iris)spp.、レプタレナ・ピロリホリア(Leptarrhena pyrolifolia)、ハギ属(Lespediza)spp.、レツカ属(Lettuca)spp.、ギンネム(Leucaena leucocephala)、ロウデチア・シンプレクス(Loudetia simplex)、ロトヌス・バイネスリ(Lotonus bainesli)、ミヤコグサ属(Lotus)spp.、マクロチロマ・アクシラレ(Macrotyloma axillare)、リンゴ属(Malus)spp.、キャッサバ(Manihot esculenta)、アルファルファ(Medicago saliva)、メタセコイア(Metasequoia glyptostroboides)、バナナ(Musa sapientum)、ニコチアヌム属(Nicotianum)spp.、オノブリキス属(Onobrychis)spp.、オルニトプス属(Ornithopus)spp.、イネ属(Oryza)spp.、ペルトホルム・アフリカヌム(Peltophorum africanum)、チカラシバ属(Pennisetum)spp.、ペルセア・グラチシマ(Persea gratissima)、ペチュニア属(Petunia)spp.、インゲンマメ属(Phaseolus)spp.、カナリーヤシ(Phoenix canariensis)、ホルミウム・クーキアヌム(Phormium cookianum)、カナメモチ属(Photinia)spp.、カナダトウヒ(Picea glauca)、マツ属(Pinus)spp.、エンドウ(Pisum sativam)、ポドカルプス・トタラ(Podocarpus totara)、ポゴナルトリア・フレキイ(Pogonarthria fleckii)、ポゴナフリア・スクアロサ(Pogonaffhria squarrosa)、ヤマナラシ属(Populus)spp.、プロソピス・シネラリア(Prosopis cineraria)、ベイマツ(Pseudotsuga menziesii)、プテロロビウム・ステラツム(Pterolobium stellatum)、セイヨウナシ(Pyrus communis)、コナラ属(Quercus)spp.、シャリンバイ(Rhaphiolepsis umbellata)、ロパロスチリス・サピダ(Rhopalostylis sapida)、ルス・ナタレンシス(Rhus natalensis)、セイヨウスグリ(Ribes grossularia)、スグリ属(Ribes)spp.、ニセアカシア(Robinia pseudoacacia)、バラ属(Rosa)spp.、キイチゴ属(Rubus)spp.、ヤナギ属(Salix)spp.、シザキリウム・サングイネウム(Schyzachyrium sanguineum)、シアドピチス・ベフィシラタ(Sciadopitys vefficillata)、セコイア(Sequoia sempervirens)、セコイアオスギ(Sequoiadendron giganteum)、モロコシ(Sorghum bicolor)、ホウレンソウ属(Spinacia)spp.、スポロボルス・フィンブリアツス(Sporobolus fimbriatus)、スチブルス・アロペクロイデス(Stiburus alopecuroides)、スチロサントス・フミリス(Stylosanthos humilis)、タデハギ属(Tadehagi)spp、ヌマスギ(Taxodium distichum)、テメダ・トリアンドラ(Themeda triandra)、シャジクソウ属(Trifolium)spp.、コムギ属(Triticum)spp.、アメリカツガ(Tsuga heterophylla)、スノキ属(Vaccinium)spp.、ソラマメ属(Vicia)spp.、ビチス・ビニフェラ(Vitis vinifera)、ワトソニア・ピラミダタ(Watsonia pyramidata)、オランダカイウ(Zantedeschia aethiopica)、トウモロコシ(Zea mays)、アマランサス、チョウセンアザミ、アスパラガス、ブロッコリー、メキャベツ(Brussels sprouts)、キャベツ、カノーラ、ニンジン、カリフラワー、セロリ、コラード若葉、アマ、ケール、レンズマメ、アブラナ、オクラ、タマネギ、ジャガイモ、イネ、ダイズ、ストロー、サトウダイコン、サトウキビ、ヒマワリ、トマト、スクアシュティー(squash tea)、樹木。代替では、藻類および他の非緑色植物亜界植物を本発明の方法のために使用することができる。
【0179】
本発明のポリペプチドを植物において発現させるためには、本発明のポリペプチドをコードする構築物は典型的には、植物発現可能なプロモーターを含むことが理解される。
【0180】
本明細書中で使用されるとき、語句「植物発現可能な」は、植物の細胞、組織または器官における発現を、好ましくは、単子葉植物または双子葉植物の細胞、組織または器官における発現を誘導するか、または与えるか、または活性化するか、または強化することが少なくとも可能であるプロモーター配列(これは、それに結合するか、または、それに含有される何らかのさらなる調節エレメントを含む)を示す。本発明の構築物において有用であり得る1つの代表的なプロモーターが、本明細書中下記の実施例の節において例示されるように、配列番号31に加えて、または、配列番号31の存在下でのどちらかであっても、RbcS1プロモーター(配列番号30)である。留意すべきことに、他の配列もまた、植物発現のために使用することができる(例えば、配列番号48および配列番号50に示される配列など)。
【0181】
本発明のポリペプチドの核酸配列は植物発現のために最適化することができる。そのような配列改変の例には、目的とする植物種において典型的に見出されるG/C含有量により近づけるための変化させたG/C含有量、および、コドン最適化として一般に示される、植物種において典型的に見出されないコドンの除去が挙げられるが、これらに限定されない。
【0182】
語句「コドン最適化」は、目的とする植物におけるコドン使用頻度に近づける、構造遺伝子またはそのフラグメントにおける使用のための適切なDNAヌクレオチドの選択をいう。したがって、最適化された遺伝子または核酸配列は、生来的遺伝子または天然に存在する遺伝子のヌクレオチド配列が、植物における統計学的に好まれるコドンまたは統計学的に好都合であるコドンを利用するために改変されている遺伝子を示す。ヌクレオチド配列は典型的にはDNAレベルで調べられ、植物種における発現のために最適化されたコード領域が、何らかの好適な手法を使用して、例えば、Sardana他(1996、Plant Cell Reports、15:677〜681)に記載されるように決定される。この方法では、コドン使用頻度の標準偏差、すなわち、コドン使用頻度の偏りの尺度を、高発現の植物遺伝子の各コドンに対する生来的遺伝子の各コドンの使用頻度の二乗比例偏差を最初に見出し、その後、平均二乗偏差を計算することによって計算することができる。使用される式が、1SDCU=n=1N[Xn−Yn]/Yn]2/Nであり、この式において、Xnは高発現の植物遺伝子におけるコドンnの使用の頻度を示し、Ynは、目的とする遺伝子におけるコドンnの使用の頻度を示し、Nは、目的とする遺伝子におけるコドンの総数を示す。双子葉植物の高発現遺伝子から得られるコドン使用頻度の表が、Murray他(1989、Nuc Acids Res、17:477〜498)のデータを使用して編集される。
【0183】
核酸配列を特定の植物細胞タイプのための好ましいコドン使用頻度に従って最適化することの1つの方法が、コドン最適化表、例えば、日本のNIAS(独立行政法人農業生物資源研究所)DNAバンクからコドン使用頻度データベース(www.kazusa.or.jp/codon/)においてオンラインで提供されるコドン最適化表などの、何らかの余分な統計学的計算を行うことを伴わない直接的な使用に基づく。このコドン使用頻度データベースは、いくつかの異なる種についてのコドン使用頻度表を含有しており、それぞれのコドン使用頻度表が、Genbankに存在するデータに基づいて統計学的に決定されている。
【0184】
最も好ましいコドンまたは最も好都合であるコドンを特定の種(例えば、イネ)においてそれぞれのアミノ酸について決定するために上記の表を使用することによって、目的とするタンパク質をコードする天然に存在するヌクレオチド配列をその特定の植物種のためにコドン最適化することができる。これが、低い統計学的出現率を特定の種のゲノムにおいて有し得るコドンを、アミノ酸に関して、統計学的により好都合である対応するコドンにより置き換えることによって達成される。しかしながら、1つ以上のあまり好都合でないコドンを、存在する制限部位を欠失するために、または、新しい制限部位を潜在的に有用な接合部(シグナルペプチドカセットまたは終結カセットを加えるための5’末端および3’末端、正しい全長配列を作製するためにセグメントを切断し、一緒にスプライスするために使用されるかもしれない内部部位)において作るために、または、mRNAの安定性もしくは発現に負の影響を及ぼし得るヌクレオチド配列を排除するために選択することができる。
【0185】
天然に存在するコードヌクレオチド配列は既に、何らかの改変に先立って、特定の植物種における統計学的に好都合であるコドンに対応するいくつかのコドンを含有する場合がある。したがって、生来的ヌクレオチド配列のコドン最適化では、どのコドンが、生来的ヌクレオチド配列において、特定の植物に関して統計学的に好都合でないかを決定すること、および、これらのコドンをその特定の植物のコドン使用頻度表に従って改変して、コドン最適化された派生物を作製することを含むことができる。改変されたヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質が、対応する天然に存在する遺伝子または生来的遺伝子によってコードされるタンパク質よりも高いレベルで産生されるならば、改変されたヌクレオチド配列は、植物のコドン使用頻度について完全または部分的に最適化され得る。コドン使用頻度を変更することによる合成遺伝子の構築が、例えば、PCT特許出願公開93/07278号に記載される。
【0186】
したがって、本発明は、本明細書中上記の核酸配列、そのフラグメント、それとのハイブリダイゼーションが可能な配列、その相同的配列、そのオルソロガス配列、異なるコドン使用頻度を有する類似したポリペプチドをコードする配列、変異(例えば、天然に存在するか、または、人為的に誘導されたかのどちらであっても、ランダムまたは標的化された様式のどちらであっても、1つ以上のヌクレオチドの欠失、挿入または置換など)によって特徴づけられる変化した配列を包含する。
【0187】
本発明のポリペプチドを植物において発現させるために使用することができる代表的なポリヌクレオチド配列が配列番号20〜配列番号22に示される。
【0188】
本発明の核酸構築物を用いて、植物細胞を安定的または一過性に形質転換することができる。安定的な形質転換では、本発明の核酸分子は植物のゲノムに組み込まれ、そのため、安定で、かつ、受け継がれる形質を表す。一過性の形質転換では、核酸分子が、形質転換された細胞によって発現されるが、それはゲノムには組み込まれず、そのため、それは一過性の形質を表す。
【0189】
単子葉植物および双子葉植物の両方に外来遺伝子を導入する様々な方法が存在している(Potrykus,I.,Annu.Rev.Plant Physiol.,Plant Mol.Biol.(1991)42:205−225;Shimamotoら,Nature(1989)338:274−276)。
【0190】
外因性DNAの植物のゲノムDNAへの安定した組み込みを起こす原理的な方法としては、2つの主なアプローチが挙げられる:
(i)アグロバクテリウムによって媒介される遺伝子導入:Kleeら(1987).Annu.Rev.Plant Physiol.38:467−486;KleeおよびRogers(1989).Cell Culture and Somatic Cell Genetics of Plants,第6巻,Molecular Biology of Plant Nuclear Genes,pp.2−25,J.SchellおよびL.K.Vasil,編,Academic Publishers,San Diego,Calif.;およびGatenby,(1989).pp.93−112,Plant Biotechnology,S.Kung,およびC.J.Arntzen編,Butterworth Publishers,Boston,Mass.を参照のこと。
(ii)直接DNA取り込み:Paszkowskiら,.Cell Culture and Somatic Cell Genetics of Plants,第6巻,Molecular Biology of Plant Nuclear Genes,J.Schell,およびL.K.Vasil編,Academic Publishers,San Diego,Calif,(1989)p.52−68;およびToriyama,K.ら,(1988).Bio/Technol 6:1072−1074(プロトプラストにDNAを直接取り込むための方法)を参照のこと。また、Zhangら,Plant Cell Rep.(1988)7:379−384;およびFrommら,Nature(1986)319:791−793(植物細胞の短時間の電気的ショックによって誘導されるDNAの取り込み)を参照のこと。また、Kleinら,Bio/Technology(1988)6:559−563;McCabeら,Bio/Technology(1988)6:923−926;およびSanford,Physiol.Plant(1990)79:206−209(粒子衝突による植物細胞または組織へのDNAの注入)を参照のこと。また、Neuhausら,Theor.Appl.Genet.(1987)75:30−36;およびNeuhausおよびSpangenberg,Physiol.Plant(1990)79:213−217(マイクロピペットシステムの使用)を参照のこと。米国特許第5464765号(細胞培養物、胚、またはカルス組織の、ガラス繊維または炭化シリコンウィスカー形質転換)を参照のこと。あるいは、DeWetら,Experimental Manipulation of Ovule Tissue,Chapman,G.P.,Mantell,S.H.及びDaniels,W.編,Longman,London,(1985)pp.197−209;およびOhta,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1986)83:715−719(発芽花粉とのDNAの直接のインキュベーション)を参照のこと。
【0191】
安定的な形質転換が現在好ましいが、葉細胞、分裂組織細胞または植物体全体の一過性の形質転換もまた本発明によって想定される。
【0192】
一過性の形質転換を、上記で記載された直接的なDNA移動方法のいずれかによって、または、改変された植物ウイルスを使用するウイルス感染によって行うことができる。
【0193】
植物宿主の形質転換のために有用であることが示されているウイルスには、CaMV、TMVおよびBVが含まれる。植物ウイルスを使用する植物の形質転換が、米国特許第4855237号(BGV);欧州特許EPA67553(TMV);特開昭63−14693(TMV);欧州特許EPA194809(BV);欧州特許EPA278667(BV);およびGluzman,Y.他(1988)、Communications in Molecular Biology:Viral Vectors,Cold Spring Harbor Laboratory、New York、172頁〜189頁に記載される。外来DNAを、植物を含む多くの宿主において発現させる際に使用するための偽ウイルス粒子が国際特許出願公開WO87/06261に記載される。
【0194】
宿主細胞系とは無関係であるが、(ポリペプチドをコードする)挿入されたコード配列の転写および翻訳のための必要なエレメントを含有すること以外に、本発明の発現構築物はまた、発現ポリペプチドの安定性、産生、精製、収量または活性を最適化するために操作された配列を含むことができることが理解される。
【0195】
形質転換された細胞が、多量の組換えポリペプチドの発現を可能にする効果的な条件のもとで培養される。効果的な培養条件には、タンパク質の産生を可能にする効果的な培地、バイオリアクター、温度、pHおよび酸素条件が挙げられるが、これらに限定されない。効果的な培地は、細胞が、本発明の組換えポリペプチドを産生するために培養される任意の培地を示す。そのような培地には典型的には、同化可能な炭素源、窒素源およびリン酸源、ならびに、適切な塩、ミネラル、金属および他の栄養分(例えば、ビタミンなど)を有する水溶液が含まれる。本発明の細胞は、従来の発酵用バイオリアクター、振とうフラスコ、試験管、マイクロタイターディッシュおよびペトリ皿で培養することができる。培養を、組換え細胞に適切な温度、pHおよび酸素含有量において行うことができる。そのような培養条件は当業者の専門的知識の範囲内である。
【0196】
産生のために使用されるベクターおよび宿主の系に依存して、得られる本発明のポリペプチドは組換え細胞内に留まり得るか、または、発酵培地に分泌され得るか、または、2つの細胞膜の間の空間(例えば、E.coliにおける細胞膜周辺腔など)に分泌され得るか、または、細胞膜もしくはウイルス膜の外側表面に保持され得るかのいずれかである。
【0197】
培養での所定期間の後、組換えポリペプチドの回収が行われる。
【0198】
本明細書中で使用されるとき、語句「組換えポリペプチドを回収する」は、ポリペプチドを含有する発酵培地全体を集めることを示し、分離または精製のさらなる工程を意味する必要はない。
【0199】
したがって、本発明のポリペプチドは、様々な標準的なタンパク質精製技術を使用して、例えば、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ろ過、電気泳動、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、コンカナバリンAクロマトグラフィー、クロマトフォーカシングおよび示差的可溶化など(これらに限定されない)を使用して精製することができる。
【0200】
回収を容易にするために、発現したコード配列は、本発明のポリペプチドと、融合された切断可能な成分(例えば、ヒスチジン)とをコードするように操作することができる。そのような融合タンパク質は、ポリペプチドがアフィニティークロマトグラフィーによって、例えば、切断可能な成分に対して特異的なカラムでの固定化によって容易に単離され得るように設計することができる。実施例3〜実施例5および実施例8は本発明のレシリンポリペプチドおよびクモ絹糸ポリペプチドの精製を記載する。
【0201】
切断部位が、ポリペプチドと、切断可能な成分との間で操作される場合、ポリペプチドは、融合タンパク質をこの部位において特異的に切断する適切な酵素または薬剤による処理によってクロマトグラフィーカラムから遊離させることができる[例えば、Booth他、Immunol.Lett.、19:65〜70(1988);および、Gardella他、J.Biol.Chem.、265:15854〜15859(1990)を参照のこと]。
【0202】
本発明のポリペプチドは好ましくは、「実質的に純粋な」形態で回収される。
【0203】
本明細書中で使用されるとき、語句「実質的に純粋な」は、本明細書中に記載される適用におけるタンパク質の効果的な使用を可能にする純度を示す。
【0204】
宿主細胞において合成可能であることに加えて、本発明のポリペプチドはまた、インビトロ発現システムを使用して合成することができる。これらの方法が当該技術分野では広く知られており、そのようなシステムの構成成分が市販されている。
【0205】
本発明のポリペプチドの発現および最適な精製の後、ポリペプチドは、不溶物を溶液(好ましくは、比較的高い濃度のポリペプチドを有する溶液)から形成するために重合することができる。1つの実施形態によれば、本発明のレシリンポリペプチドの臨界濃度が約50mg/mlである。1つの実施形態によれば、ポリペプチドは限外ろ過によって濃縮される。
【0206】
一般には、タンパク質の架橋を、標準的な架橋剤(例えば、グルタルアルデヒド、ジイソシアナートおよびゲニピンなど)を使用して行うことができる。特定の繊維状ポリペプチドモノマーのための代表的な重合条件が本明細書中下記に示される。
【0207】
レシリンのための架橋条件
好ましい実施形態によれば、架橋は、ジチロシン結合が形成されるように行われる。これらの方法は当業者には広く知られており、MalencikおよびAnderson(Biochemistry、1996、35、4375〜4386)によって議論される(その内容は参照として本明細書中に組み込まれる)。
【0208】
1つの実施形態において、Ru(bpy)3Cl・6HOの存在下での酵素媒介による架橋を用いることができる。レシリンを架橋するために使用することができる代表的なペルオキシダーゼには、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルトロミセス(Arthromyces)ペルオキシダーゼ、線虫(Caenorhabditis elegans)由来のDuoxペルオキシダーゼ、ウニのオボペルオキシダーゼおよび絨毛膜が挙げられるが、これらに限定されない。
【0209】
照射後、Ru(III)イオンが形成され、このRu(III)イオンが、炭素ラジカルをポリペプチド内で、好ましくはチロシン残基において生じさせるための電子引き抜き剤として作用し、したがって、ジチロシン連結の形成を可能にする。この誘導方法は、可溶性のレシリンまたはプロレシリンフラグメントを非常に高分子量の凝集体に定量的に変換することを可能にする。そのうえ、この方法は、組換えレシリンを所望される形状のガラス管に導入し、その中に含有される組換えレシリンに照射することによるバイオエラストマーの好都合な形状化を可能にする。
【0210】
別の実施形態において、UV照射が、本発明のレシリンポリペプチドを架橋するために行われる[Lehrer SS、Fasman GD(1967)、Biochemistry、6(3):757〜67;Malencik DA、Anderson SR(2003)、Amino Acids、25(3−4):233〜47]。だが、この放射線への暴露によりタンパク質を損傷させないように注意しなければならない。UVB放射線による架橋もまた、リボフラビンの存在下または非存在下で着手することができる。リボフラビンの非存在下では、実質的な量の架橋が1時間の暴露のうちに生じる。リボフラビンが存在するならば、架橋時間が実質的に減少する。なおさらに、架橋をクマリンの存在下で紫外光により達成することができ、または、フルオレセインの存在下で白色光によって達成することができる。ジチロシンの分析を、ジチロシン架橋形成の程度を確認するために、従来の方法(例えば、高速液体クロマトグラフィー測定など)を使用して行うことができる。
【0211】
金属イオンおよびHもまた、Fenton反応によるジチロシン形成を誘導するために使用することができる[Ali FE、J Inorg Biochem、98(1):173〜84]。
【0212】
エラスチンのための架橋条件:
転移温度(Tm)を超えて加熱した後で、エラスチンは、下記の酸化剤を使用して架橋することができる:リシルオキシダーゼビス(スルホスクシミジル)スベラート、ピロロキノリンキニン(PQQ)、カテコール/ペルオキシダーゼ試薬、N−ヒドロキシベンゾトリアゾールの存在下での1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBt)、1,6−ジイソシアナトヘキサン(HOBt)、グルタルアルデヒド、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、ゲニピン。
【0213】
エラスチンはγ照射によってもまた架橋することができ、または、メタクリラートによる官能化の後で、エラスチンはまた光架橋することができる。
【0214】
絹糸のための架橋条件:
絹糸ポリペプチド、例えば、クモ絹糸およびカイコ絹糸などは、有機溶媒(例えば、メタノールなど)を使用してβシートに重合することができる。代替では、絹糸ポリペプチドは、βシートを形成させるために、水に可溶化し、続いて、脱水することができる。
【0215】
コラーゲンのための架橋条件:
コラーゲンは、グルタルアルデヒドおよび他の化学的架橋剤によって、または、種々の糖を使用する糖化によって、または、金属イオン(例えば、銅など)を使用するFenton反応によって、または、リシンオキシダーゼによって、または、UV放射線によって架橋することができる。
【0216】
架橋の影響およびモノマー単位あたりの架橋の最適な数を求めるために、架橋ポリマーの反発弾性を、当該技術分野において知られている方法を使用して測定することができる。得られるポリマーが不可欠な弾力性を示すならば、架橋レベルは変化し得る。例えば、架橋がγ照射によるとき、架橋度は照射時間および照射エネルギーの関数である。所望されるレベルの架橋を達成するために要求される時間は、架橋されていないポリマーを放射線源に種々の時間間隔にわたってさらし、得られる架橋物の反発弾性(弾性係数)の程度をそれぞれの時間間隔について求めることによって容易に算定することができる。この実験法によって、特定の適用のために適切なレベルの反発弾性をもたらすために要求される照射時間を決定することが可能である。
【0217】
架橋度を反応の期間中にモニターすることができ、または、一定量の反応物を使用することによって事前に決定することができる。例えば、レシリンポリペプチドの場合、ジチロシン架橋は蛍光性であるので、反応物混合物の蛍光スペクトルを、架橋の程度を任意の特定の時間において求めるために反応の経過期間中にモニターすることができる。所望されるレベルの架橋が達成され(所定の蛍光強度に達することによって示される)と、ペルオキシダーゼにより触媒される反応を、例えば、グルタチオンの添加によって停止させることができる。
【0218】
本発明のポリペプチドはそのまま使用することができ、または、新規な複合材料を作製するために多糖とブレンド配合することができる。
【0219】
したがって、本発明の他の態様によれば、繊維状ポリペプチドと、多糖とを含む単離された複合物が提供される。
【0220】
本明細書中で使用されるとき、用語「複合物」は、2つ以上の異なった材料から構成され、1つが繊維状ポリペプチドであり、それ以外が多糖であり、それらのそれぞれがその同一性(例えば、物理的特徴)を保持し、一方で、望ましい性質を複合物に与える実質的に固体の物を示す。
【0221】
本明細書中で使用されるとき、用語「単離された」は、複合物がそのインビボ環境において他の物質(例えば、他の細胞、タンパク質、核酸など)を実質的に含まないこと(例えば、レシリン−キチンの複合物の場合には、昆虫の他の翼成分から除かれていること)を示す。他の実施形態によれば、複合物はまた、固体支持体から単離される(すなわち、除かれる)(すなわち、固定化されていない)。
【0222】
本発明の複合物のために意図される代表的な多糖には、キチン、セルロース、デンプン、デキストラン、グルカン、キトサン、アルギン酸塩およびヒアルロン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0223】
セルロースは粉末形態であり得る(例えば、Sigmacell、セルロースウィスカー、セルロース糸または3D構造物(例えば、紙または足場など)など)。ウィスカーの調製が典型的には、60%HSOによる60℃での1時間〜6時間のセルロースの加水分解、その後での超音波処理によって行われる。その後、懸濁物は2回蒸留HO(DDW)に希釈され、続いて、酸を除くために、DDWによる再懸濁および遠心分離のサイクルが繰り返される(少なくとも5回)。最後に、ウィスカーペレットが、7に至るまでpHをモニターしながら、DDWに対して透析される。ウィスカーの品質を透過型電子顕微鏡観察(TEM)によってモニターすることができる。
【0224】
本発明のこの態様の1つの実施形態によれば、本発明の繊維状ポリペプチドのモノマーは多糖結合ドメイン(例えば、異種の多糖結合ドメイン)を含む。そのような多糖結合ドメインは、多糖と、繊維状ポリペプチドとの間での一方向の結合を規定された接触点において可能にする。さらには、多糖に対する繊維状ポリペプチドの親和性を多糖結合ドメインに従って調節することができる。
【0225】
本発明によって意図される他の複合物には、2つの繊維状ポリペプチドを含む複合物であって、それらの少なくとも1つが異種の多糖結合ドメインを含む複合物が含まれる。
【0226】
そのような複合物はまた、多糖を含むことができる。したがって、2つの繊維状ポリペプチドと、多糖との複合物もまた、本発明によって意図される。
【0227】
本発明の複合物は、構成成分の繊維状ポリペプチドと比較して、強化された特徴(例えば、増大した強度)を含むことが予想される。これは、多糖(例えば、セルロースウィスカー)の平坦かつ整列した表面が、通常の場合には剪断応力および伸長応力を要求する繊維状ポリペプチドの集合のためのテンプレートとして役立ち得るからである。
【0228】
本発明の複合物を作製するために、繊維状ポリペプチドのモノマーの懸濁物および多糖(例えば、セルロースウィスカー)の懸濁物(例えば、およそ2%の固形物含有量)が一緒にブレンド混合される。
【0229】
成分懸濁物の代表的な比率には、100/0、90/10、80/20、70/30、60/40、50/50、40/60、30/70、20/80、10/90および0/100が含まれる。
【0230】
混合された溶液は、好適な鋳型(例えば、Teflonまたはポリスチレン)に注型することができ、その後、適切な組み立ておよび架橋が必要に応じて行われる。
【0231】
上記で述べられたように、架橋のタイプは複合物の繊維状ポリペプチドに依存する。架橋を、本明細書中上記で記載される2つの繊維状ポリペプチド/多糖複合物を作製するために、他の繊維状ポリペプチドの存在下で達成することができる。
【0232】
本発明ではまた、新規な複合物を被覆することが意図される。1つの実施形態によれば、被覆は繊維状ポリペプチドから構成される。この方法では、複合物を架橋した後で、他の繊維状ポリペプチドの溶液における浸漬を行うことができる。被覆における繊維状タンパク質は典型的には、複合物の中に吸収される。被覆後、好適な重合法を、被覆の実際の繊維状ポリペプチドに依存して使用することができる。例えば、セルロース−レシリン複合物を、絹糸モノマーを含有する溶液に浸漬することができる。続いて、複合物を、絹糸βシートの形成を促進させる90%メタノール溶液の中に移すことができ、これにより、セルロース−レシリン−絹糸の複合材料が得られる。
【0233】
本発明の複合物は、材料の分解特性および機械的性質を操作するために、ブレンド配合物および付加物において他のポリマーと組み合わせることができる。事実上任意の生体適合性ポリマーを複合物と組み合わせることができる。好ましい実施形態において、加えられたポリマーは生分解性である。代表的な生分解性ポリマーには、多糖、プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、コラーゲン−GAG、コラーゲン、フィブリンおよび他の細胞外マトリックス成分(例えば、エラスチン、フィブロネクチン、ビトロネクチンおよびラミニンなど)を含めて、様々な天然ポリマーおよびそれらの合成アナログが含まれる。当該技術分野において知られている、加水分解により分解可能なポリマーには、例えば、ある種のポリエステル、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリホスファゼンおよびポリホスホエステルが含まれる。当該技術分野において知られている生分解性ポリマーには、例えば、ある種のポリヒドロキシ酸、ポリプロピルフメラート、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノアート、ポリ(アミド−エナミン)、ポリアミド、ポリ(アミノ酸)、ポリアセタール、ポリエーテル、生分解性ポリシアノアクリラート、生分解性ポリウレタンおよび多糖が含まれる。例えば、本発明において使用することができる具体的な生分解性ポリマーには、ポリリシン、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、PLAおよびPGAのコポリマーおよび混合物(例えば、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)(PLG)、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、ポリ(ラクチド−co−カプロラクトン)(PLC)およびポリ(グリコリド−co−カプロラクトン)(PGC))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0234】
当業者は、これが、生分解性ポリマーの、網羅的ではないが、代表的な列挙であることを認識する。これらのポリマーおよび他のポリマーの性質、ならびに、それらを調製するための方法がさらに、当該技術分野では記載される。例えば、米国特許第6123727号、同第5804178号、同第5770417号、同第5736372号、同第5716404号(Vacanti);同第6095148号、同第5837752号(Shastri);同第5902599号(Anseth);同第5696175号、同第5514378号、同5512600号(Mikos);同第5399665(Barrera);同第5019379号(Domb);同第5010167号(Ron);同第4806621号、同第4638045号(Kohn);同第4946929号(d’Amore)を参照のこと。同様にまた、Wang他、J.Am.Chem.Soc.、123:9480、2001;Lim他、J.Am.Chem.Soc.、123:2460、2001;Langer、Acc.Chen7.Res.、33:94、2000;Langer、J.Control Release、62:7、1999;および、Uhrich他、Chem.Rev.、99:3181、1999を参照のこと。
【0235】
本発明の複合物はまた、非生分解性ポリマーと組み合わせることができる。例えば、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェンおよびそれらの誘導体は、播種された細胞または周りの組織に対するさらなる刺激を提供することができる有用な導電性ポリマーである。代表的な非生分解性ポリマーには、ポリスチレン、ポリエステル、非生分解性ポリウレタン、ポリウレア、ポリ(エチレンビニルアセタート)、ポリプロピレン、ポリメタクリラート、ポリエチレン、ポリカルボナートおよびポリ(エチレンオキシド)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0236】
生体ポリマーに基づく生体材料の重要性が再建医療の分野では一貫して増大し続けている。近年では、この分野の中心が、埋め込みのための不活性な材料を求める探索から、組織と相互作用し、その正しい再生を促進させる、生体材料に基づく材料の開発に変わっている。さらには、合成インプラントは多くの場合、長期生体適合性の試験に合格せず、そのため、その取り替えが患者の生涯の期間中に必要となり、これが大きな欠点となっている。再建医療に関して、多糖およびタンパク質ポリマーが広範囲に研究されている。
【0237】
インビボで、特に、対象(例えば、ヒト患者)の体内で使用されるとき、本発明の複合物が生体適合性であることは重要である。「生体適合性」材料は、変異原性、抗原性、炎症性、発熱性または溶血性を実質的に有しない。さらには、「生体適合性」材料は、実質的な細胞毒性、急性全身毒性または皮内毒性を示してはならないか、あるいは、凝固時間を著しく低下させてはならない。これらの望ましくない生物学的活性についてのインビボ試験およびインビトロ試験が当該技術分野では広く知られている。そのようなアッセイの例が、例えば、米国特許第5527610号に示される(その内容は参照として組み込まれる)。同様にまた、インビボで使用されるとき、材料は生分解性であり得る。
【0238】
毒性または免疫原性が、例えば、関連した複合物において生じる場合、これらの望まれない影響を調節するための方法が当該技術分野では知られている。例えば、複合物を化学物質(例えば、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド)またはメタ過ヨウ素酸塩など)で処理することによる複合物の「タンニング」は、毒性および免疫原性の両方を実質的に低下させる。好ましくは、インビボ使用のためのデバイスを作製するために使用される複合物はまた殺菌可能である。
【0239】
述べられたように、本発明の複合物は、再建医療の分野において、例えば、足場の作製などのために使用することができる。
【0240】
本明細書中で使用されるとき、用語「骨格」は、細胞が培養され得る(すなわち、所定の期間にわたって生存し、好ましくは増殖する)3Dマトリックスを示す。
【0241】
足場は、全体が本発明の複合物から構成され得るか、または、本発明の複合物が重ねられる固体支持体を含むことができる。
【0242】
使用されるような「固体支持体」は、細胞が培養され得る三次元マトリックスまたは平面状表面(例えば、細胞培養プレート)を示す。固体支持体は、天然に存在する物質に由来することができ(すなわち、タンパク質に基づくことができ)、または、合成物質に由来することができる。好適な合成マトリックスが、例えば、米国特許第5041138号、同第5512474号および同第6425222号に記載される。例えば、生分解性の人工ポリマー、例えば、ポリグリコール酸、ポリオルトエステルまたはポリ無水物などを固体支持体のために使用することができる。炭酸カルシウム、アラゴナイトおよび多孔性セラミックス(例えば、高密度ヒドロキシアパタイトセラミックス)もまた、固体支持体における使用のために好適である。ポリプロピレン、ポリエチレングリコールおよびポリスチレンなどのポリマーもまた、固体支持体において使用することができる。
【0243】
細胞の活性を調節する治療用化合物または治療剤もまた、足場複合材またはその一部に取り込むことができる(例えば、足場複合材またはその一部に結合、被覆、包埋または含浸することができる)。加えて、細胞接着、細胞拡大、細胞増殖、細胞分化および/または細胞遊走を足場において増大させるように作用する作用因もまた、足場に取り込むことができる。そのような作用因は生物学的作用因が可能である(例えば、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、DNA、RNA、脂質および/またはプロテオグリカンなど)。
【0244】
本発明と一緒に使用することができる好適なタンパク質には、細胞外マトリックスタンパク質[例えば、フィブリノーゲン、コラーゲン、フィブロネクチン、ビメンチン、微小管会合タンパク質1D、神経突起伸長因子(NOF)、細菌セルロース(BC)、ラミニンおよびゼラチン]、細胞接着タンパク質[例えば、インテグリン、プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、ラミニン、細胞内接着分子(ICAM)1、N−CAM、カドヘリン、テネイシン、ギセリン、RGDペプチドおよび神経傷害誘導タンパク質2(ニンジュリン2)]、増殖因子[上皮増殖因子、トランスフォーミング増殖因子−α、線維芽細胞増殖因子−酸性、骨形態形成タンパク質、線維芽細胞増殖因子−塩基性、エリスロポイエチン、トロンボポイエチン、肝細胞増殖因子、インスリン様増殖因子−I、インスリン様増殖因子−II、インターフェロン−β、血小板由来増殖因子、血管内皮増殖因子およびアンギオペプチン]、サイトカイン[例えば、M−CSF、IL−1β、IL−8、β−トロンボグロブリン、EMAP−II、G−CSFおよびIL−10]、プロテアーゼ[ペプシン、低特異性キモトリプシン、高特異性キモトリプシン、トリプシン、カルボキシペプチダーゼ、アミノペプチダーゼ、プロリンエンドペプチダーゼ、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)V8プロテアーゼ、プロテイナーゼK(PK)、アスパラギン酸プロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、ADAMTS17、トリプターゼ−γおよびマトリプターゼ−2]およびプロテアーゼ基質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0245】
加えて、および/または、代替として、本発明の足場は、抗増殖剤(例えば、ラパマイシン、パクリタキセル、トラニラスト、アトルバスタチンおよびトラピジル)、免疫抑制薬物(例えば、シロリムス、タクロリムスおよびシクロスポリン)、および/または、抗血栓性もしくは接着防止性の物質(例えば、組織プラスミノーゲン活性化因子、レテプラーゼ、TNK−tPA、糖タンパク質IIb/IIIa阻害剤、クロピドグレル、アスピリン、ヘパリンおよび低分子量ヘパリン(例えば、エノキシパリンおよびダルテパリンなど)を含むことができる。
【0246】
本発明の足場は、組織(例えば、結合組織、筋肉組織(例えば、心臓組織など)および膵臓組織など)の再生のために、その必要性のある対象に投与することができる。結合組織の例には、軟骨(弾性のヒアリンおよび線維軟骨を含む)、コラーゲン、脂肪組織、網様結合組織、胚の結合組織(間葉系結合組織および膠様結合組織を含む)、腱、靱帯および骨が挙げられるが、これらに限定されない。
【0247】
したがって、本発明の複合物は、軟骨または骨の疾患または状態を処置するために使用することができる。
【0248】
代表的な軟骨状態には、変形性関節症、制限された関節可動性、痛風、リウマチ様関節炎、変形性関節症、軟骨溶解、強皮症、変性椎間板障害および全身性エリテマトーデスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0249】
本明細書中で使用されるとき、用語「処置する」は、疾患、障害または状態に苦しむか、あるいは、疾患、障害または状態と診断された個体において、疾患、障害または状態の発達を阻害するか、または停止させること、および/あるいは、疾患、障害または状態の軽減、寛解または退行を生じさせることを示す。当業者は、疾患、障害または状態の発達を評価するために使用することができる様々な方法論およびアッセイを知っており、同様に、疾患、障害または状態の軽減、寛解または退行を評価するために使用することができる様々な方法論およびアッセイを知っている。
【0250】
本明細書中で使用されるとき、用語「対象」は哺乳動物を示し、これには、ヒト、イヌおよびウマが挙げられるが、これらに限定されない。
【0251】
本発明の複合物は、組織再生、ならびに、軟骨および骨の疾患を処置することのため以外の無数の医学的使用を含むことが理解され、そのような使用には、尿失禁の処置(例えば、尿道膨張)、火傷患者のための治癒補助物としての使用、および、出血を防止するための包帯材としての使用が挙げられるが、これらに限定されない。
【0252】
加えて、他の医学的適用もまた、本発明の複合物の弾性、生分解性および/または生物学的利用能から利益を受けることができる。例えば、腹部手術の後では、腸および他の腹部器官は互いに、また、腹壁に癒着する傾向がある。この癒着は術後の炎症から生じると考えられ、しかしながら、腹部領域に直接に送達される抗炎症性薬物は急速に消失する。本発明の複合物(例えば、レシリンを含む複合物)を、抗炎症性薬物を腹部領域に送達するために使用することができる。
【0253】
柔軟かつ可撓性の複合物を、例えば、内部器官を切ることなく、したがって、感染を引き起こすことなく、複合物を腹壁に付けることによって、腹壁と、内部器官との間に埋め込むことができる。抗炎症性薬物を数ヶ月間、複合物から放出することができる。以前の研究者が、これらの問題を解決するために、ヒドロゲル、ヒアルロン酸に基づく膜、および、他の材料を使用することを試みているが、そのような材料は、体内では急速に分解する傾向があり、そのため、より長い入院期間が、癒着を防止するために必要である。
【0254】
別の実施形態において、本発明の複合物は、金属性ステントを被覆するために使用することができる。複合物は可撓性にすることができるので、複合物は、破れることなく、ステントとともに広がり、一方で、金属ステントの剛性により、複合物がその以前の形状を弾性的に取ることが防止される。大きい生物学的利用能を有する複合物は、血管を閉塞させ得るか、または、循環問題(脳卒中を含む)を体内の他の所で生じさせ得る血栓を飛ばし得る凝塊または瘢痕組織の形成を防止するためにヘパリンもしくは他の抗凝固剤または抗炎症剤を放出することができる。代替として、または、加えて、血管形成剤を、ステントを取り囲む血管の再構築を促進させるために使用することができる。実際、任意の生体分子、小分子または生物活性剤を本発明の複合物と組み合わせることができる。そのような分子は複合物と共有結合的または非共有結合的に連結され得る。
【0255】
本発明の複合物はまた、「長期」医療デバイスを調製するために使用することができる。典型的な永続的医療デバイスとは異なり、本発明の複合物は時間とともに分解する。例えば、材料は、生分解可能な心臓ステントに製造することができる。好ましくは、複合物は、ステントを製造するために可塑的に成形されるより硬いポリマーと組み合わせられる。代表的なポリマーには、上記で列挙されたポリマー(好ましくは、生分解性ポリマー)のいずれかが含まれる。バイオゴムが、ステントが埋め込み後に、所望される形状に広がることを可能にする可塑剤として作用する。ステントは血管の直径を増大させて、より容易な循環を可能にし、しかし、ステントは生分解性であるので、周りの血管は、血栓症を伴うことなく、または、ステントが、血管を再閉鎖させる瘢痕組織で覆われることなく、直径が増大する。ステントが所定位置に留まり、その形状を分解までに保持する時間は患者毎に異なり、部分的には患者の閉塞量および年齢に依存する(例えば、高齢の患者は、治るまでのより多くの時間を必要とする)。当業者は、分解速度を調節するために、ステントにおける複合物の分子量および架橋密度を容易に調節することができる。被覆されたステントに関して、分解可能なステントは、生体分子、小分子、生物活性剤またはこれらの何らかの組合せをインシトゥーで放出することができる。
【0256】
本発明の複合物はまた、センサーおよびカテーテルをインビボで支えるために使用することができる。複合物は、光ファイバーに基づくセンサーのためのチャンバーに、または、目的とする領域に挿入されるカテーテルのための被覆に構築することができる。センサーにおいて、チャンバーは、目的とする分子に対する、特定の発色団に結合した受容体を含有する。分析物が受容体に結合するとき、発色団は特定の波長で光を放射または吸収する。吸収または放射を、光ファイバーにつながれた装置によって検出することができる。センサーは、短期間の連続モニタリング(例えば、10日間〜15日間)のために使用することができる。同様に、カテーテルを、薬物または他の小分子または生物活性剤を特定の部位または静脈内に周期的に送達するために使用することができる。本発明の生分解性複合物の使用は、2週間を越えて使用されるシャントまたは他のインプラントの周りに通常の場合には形成される瘢痕組織の形成を軽減させる。複合物の分解速度は最適化され、その結果、材料の著しい分解が、複合物が患者の体内に置かれている間に生じることがないようにしなければならない。
【0257】
本発明の複合物はまた、閉じることが困難であるか、または、正常な生理学的機構によって適正に治癒しない他の創傷のために使用することができる。例えば、糖尿病では多くの場合、皮膚傷害(「糖尿病性潰瘍」)が特に下肢において生じるが、これは、循環不良のために、治癒するために長い時間を要するか、または、適正に治癒しない。抗生物質または抗炎症剤をこれらの創傷部に送達するための本発明の複合物の使用は治癒を助け、覆いを創傷部に提供する。
【0258】
本発明の複合物から製造することができる他の埋め込み可能な医療デバイスには、人工血管、流体の除去または患者への流体の送達のためのカテーテルおよび他のデバイス、人工心臓、人工腎臓、整形外科用のピン、プレートおよびインプラント;カテーテルおよび他のチューブ(泌尿器科用チューブおよび胆管用チューブ、気管内チューブ、末梢挿入可能な中心静脈カテーテル、透析カテーテル、長期トンネル化中心静脈カテーテル、末梢静脈カテーテル、短期中心静脈カーテル、動脈カテーテル、肺カテーテル、Swan−Ganzカテーテル、尿道カテーテル、腹腔カテーテルを含む)、泌尿器用デバイス(長期泌尿器用デバイス、組織結合のための泌尿器用デバイス、人工尿道括約筋、尿道拡張器を含む)、シャント(心室シャントまたは動脈−静脈シャントを含む);人工補装具(乳房インプラント、陰茎プロステーシス、血管移植プロステーシス、動脈瘤修復デバイス、心臓弁、人工関節、人工咽頭、耳科用インプラントを含む)、吻合デバイス、血管カテーテルポート、クランプ、塞栓デバイス、創傷ドレーンチューブ、水頭症シャント、ペースメーカー、ならびに、埋め込み可能な除細動器などが含まれる。
【0259】
留意すべきことに、グルコンアセトバクター・キシリヌス(Gluconacetobacter xylinus)によって産生されるセルロースが、医学的適用のために最も適する。これらの細菌によって産生される細菌セルロース(BC)は、そのような細菌セルロースを医学的用途の開発のための魅力的な材料にする無視できる異物応答および炎症性応答と組み合わさった大きい機械的強度を有している。BCは、BCを創傷火傷のための長期被覆材の製造のために、また、人工皮膚の製造のためにさえ好適にする優れた保水性を有している。さらに、BCおよびBC複合物は、ほとんど任意の所望される三次元構造物に形状化することができる。
【0260】
本発明の複合物は医薬組成物および/または美容用組成物として配合することができる。
【0261】
本明細書中で使用されるとき、用語「美容用組成物」は、身体表面を美しくするか、または着色するか、または状態調節するか、または保護するという目的のために、ヒトまたは動物の皮膚、爪または毛髪への外用適用のために配合される組成物を示す。本発明の美容用組成物は、例えば、ゲル、クリーム、ローション、化粧品、着色された美容用配合物、シャンプー、ヘアコンディショナー、洗顔乳液、化粧水、アフターシェーブローション、香水、マニキュア液および爪処理用製造物を含めて、任意の形態が可能である。
【0262】
語句「着色された美容用配合物」は、例えば、アイシャドー、口紅およびグロス、リップペンシルおよびアイペンシル、マスカラおよびほお紅を含めて、顔料を含有する美容品を示す。
【0263】
述べられたように、本発明の複合物はまた、皮膚および毛髪を処置するために美容用薬剤として使用することができる。
【0264】
したがって、本発明では、必要な場合には他の活性な物質(例えば、ビタミン(ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEまたはそれらの混合物)または他の局所活性な物質(これには、アバロール(avarol)、アバロン(avaron)または植物抽出物(例えば、セパエ(Cepae)抽出物またはエキナセアエ(Echinaceae)抽出物など)が挙げられるが、これらに限定されない)との組合せで局所適用することができる物質としての本発明の(例えば、コラーゲンを含む)複合物が意図される。本発明の複合物は、クリーム、軟膏、ローションまたはゲル(例えば、ポリアクリラートに基づくヒドロゲル、または、例えば、水およびユーセリン(Eucerin)から作製されるオレオゲル(oleogel)など)の形態での局所剤として配合することができる。
【0265】
水相および脂肪相の両方を含むオレオゲルは、特にユーセリヌム・アンヒドリクム(Eucerinum anhydricum)(羊毛脂アルコールおよびパラフィンからなる基剤)に基づくものであり、この場合、水および基剤の割合が変化し得る。さらに、稠密度に影響を及ぼすためのさらなる親油性成分を加えることができる(例えば、グリセリン、様々な鎖長のポリエチレングリコール(例えば、PEG400)、植物油(例えば、アーモンド油など)、流動パラフィンおよび天然油など)。本発明のヒドロゲルは、ゲル形成剤および水の使用によって製造することができ、この場合、前者が、特に天然産物から、例えば、セルロース誘導体(例えば、セルロースエステルおよびセルロースエーテルなど、例えば、ヒドロキシエチル−ヒドロキシプロピル誘導体、例えば、チロース(tylose)から、または、同様に、合成産物から、例えば、ポリアクリル酸誘導体(例えば、カルボポール(Carbopol)またはカルボマー(Carbomer)、例えば、P934、P940、P941)などから選択される。本発明のヒドロゲルは、ゲル形成用の基剤を加えることによってアルコール性懸濁物から、知られている規則に基づいて製造または重合することができる。
【0266】
美容用組成物は、例えば、湿潤剤、皮膚軟化剤、オイル(これには、例えば、鉱油が含まれる)、および、光沢増強剤(これには、例えば、ジメチコーンおよびシクロメチコーンが含まれる)を含めて、身体表面を整えることができる他の薬剤を含むことができる。本発明の調整剤は本発明の薬理学的組成物および/または美容用組成物のいずれにも含むことができる。
【0267】
本明細書中で使用される「医薬組成物」は、本明細書中に記載される有効成分の1つまたは複数と、他の化学的成分(例えば、生理学的に好適な担体および賦形剤など)との調製物を示す。医薬組成物の目的は、生物に対する化合物の投与を容易にすることである。
【0268】
本明細書中において、用語「有効成分(活性成分)」は、生物学的効果を説明することができるコラーゲンを示す。
【0269】
本明細書中以降、表現「生理学的に許容され得る担体」および表現「医薬的に許容され得る担体」は、交換可能に使用され得るが、生物に対する著しい刺激を生じさせず、かつ、投与された化合物の生物学的な活性および性質を妨げない担体または希釈剤を示す。アジュバントはこれらの表現に包含される。
【0270】
本明細書中において、用語「賦形剤」は、有効成分の投与をさらに容易にするために医薬組成物に添加される不活性な物質を示す。賦形剤の非限定的な例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖およびデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油およびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0271】
薬物の配合および投与のための技術が「Remington’s Pharmaceutical Sciences」(Mack Publishing Co.、Easton、PA、最新版)に見出されることができ、これは参考として本明細書中に組み込まれる。
【0272】
好適な投与経路には、例えば、経口送達、直腸送達、経粘膜送達、特に経鼻送達、腸管送達、または非経口送達(これには、筋肉内注射、皮下注射および髄内注射、ならびに、クモ膜下注射、直接的な脳室内注射、心内注射(例えば、右心室腔または左心室腔内への注射、共通の冠状動脈内への注射)、静脈内注射、腹腔内注射、鼻内注射または眼内注射が含まれる)が含まれることができる。
【0273】
あるいは、例えば、患者の組織領域に直接的に医薬組成物の注射をすることによって、全身的な方法よりも局所的に医薬組成物を投与することができる。したがって、尿失禁の処置のために、本発明の組成物は、尿道を取り囲む領域に直接に投与することができる。軟骨疾患の処置のために、本発明の組成物は、関節を介する関節内投与によって投与することができる(例えば、膝関節、肘関節、股関節、胸鎖関節、顎関節、手根関節、足根関節、手関節、足関節、椎間円板または黄色靱帯の中に直接に投与することができる)。椎間板置換のために、本発明の医薬組成物はまた、髄質の中に直接に投与することができる。
【0274】
本発明のこの態様の特定の実施形態によれば、本発明の複合物は、人工椎間板置換、人工椎間板髄核置換または椎間板髄核の増強および修復のために椎間板内に直接に投与することができ、あるいは、乳房増強のために乳房内に直接に投与することができる。この実施形態によれば、複合物を、注入可能な架橋されていない配合物に含ませることができる。そのような配合物を注入した後、光重合をインシトゥーで開始することができる。これを、グルタルアルデヒドを含む古典的な架橋技術、または、糖分子を介する架橋を使用して達成することができる。
【0275】
1つの実施形態によれば、注入可能な配合物のインシトゥー架橋を、適切な緩衝液(例えば、PBS、pH7.4)を200μMのCuClおよび10mMのHと一緒に加え、ジチロシン形成を生じさせるようにすることによって達成することができる。
【0276】
別の実施形態によれば、インシトゥー架橋が、本明細書中上記で記載される同じ成分を使用して達成されるが、pHが5.2で維持される。これは、チロシンのDOPAへの修飾をもたらす。材料を注入した後、0.1mM〜0.5mMの過ヨウ素酸ナトリウムを、繊維状ポリペプチドの架橋を生じさせるDOPA−DOPAの架橋を形成するために加えることができる。
【0277】
別の実施形態によれば、インシトゥー架橋が、Hと、注入物へのUVによる照射とを伴うチロシン架橋技術を使用して達成される。
【0278】
本発明の医薬組成物は、この分野で十分に知られているプロセスによって、例えば、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠作製、研和、乳化、カプセル化、包括化または凍結乾燥のプロセスによって製造されることができる。
【0279】
本発明に従って使用される医薬組成物は、医薬品として使用されることができる調製物への有効成分の加工を容易にする賦形剤および補助剤を含む1つまたは複数の生理学的に許容されうるキャリアを使用して従来の様式で配合されることできる。適正な配合は、選ばれた投与経路に依存する。
【0280】
注射の場合、医薬組成物の有効成分は、水溶液において、好ましくは生理学的に適合しうる緩衝液(例えば、ハンクス溶液、リンゲル溶液、または生理学的な食塩緩衝液など)において配合されることができる。経粘膜投与の場合、浸透されるバリヤーに対して適切な浸透剤が配合において使用される。そのような浸透剤はこの分野では一般に知られている。
【0281】
経口投与の場合、医薬組成物は、活性化合物をこの分野でよく知られている医薬的に許容されうるキャリアと組み合わせることによって容易に配合されることができる。
【0282】
口内投与の場合、組成物は、従来の方法で配合された錠剤またはトローチの形態を取ることができる。
【0283】
鼻吸入による投与の場合、本発明による使用のための有効成分は、好適な噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタンまたは二酸化炭素)の使用により加圧パックまたはネブライザーからのエアロゾルスプレー提示物の形態で都合よく送達される。
【0284】
本明細書中に記載される医薬組成物は、例えば、ボーラス注射または連続注入による非経口投与のために配合されることができる。注射用配合物は、場合により保存剤が添加された、例えば、アンプルまたは多回用量容器における単位投薬形態で提供されることができる。組成物は、油性ビヒクルまたは水性ビヒクルにおける懸濁物または溶液剤またはエマルションにすることができ、懸濁化剤、安定化剤および/または分散化剤などの配合剤を含有することができる。
【0285】
非経口投与される医薬組成物には、水溶性形態の活性調製物の水溶液が含まれる。さらに、有効成分の懸濁物は、適切な油性または水性の注射用懸濁物として調製されることができる。好適な親油性の溶媒またはビヒクルとしては、脂肪油(例えば、ゴマ油など)、または合成脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチルなど)、トリグリセリドまたはリポソームが挙げられる。水性の注射用懸濁物は、懸濁物の粘度を増大させる物質、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトールまたはデキストランなどを含有することができる。場合により、懸濁物はまた、高濃度溶液の調製を可能にするために、有効成分の溶解性を増大させる好適な安定化剤または薬剤を含有することができる。
【0286】
あるいは、有効成分は、好適なビヒクル(例えば、無菌の、パイロジェン不含水溶液)を使用前に用いて構成される粉末形態であることができる。
【0287】
本発明の医薬組成物はまた、例えば、カカオ脂または他のグリセリドなどの従来の座薬基剤を使用して、座薬または停留浣腸剤などの直腸用組成物に配合されることができる。
【0288】
本発明に関連した使用のために好適な医薬組成物として、有効成分が、その意図された目的を達成するために有効な量で含有される組成物が含まれる。より具体的には、「治療有効量」は、処置されている対象の障害の症状(例えば、軟骨又は骨の疾患)を予防、緩和あるいは改善するために効果的であるか、または、処置されている対象の生存を延ばすために効果的である、有効成分(複合物)の量を意味する。
【0289】
治療有効量の決定は、特に、本明細書中に与えられる詳細な開示に照らして、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0290】
本発明の方法において使用されるいかなる調製物についても、投与量または治療有効量は、生体外アッセイおよび細胞培養アッセイから最初に推定されることができる。例えば、投与量は、望ましい濃度または力価を達成するために動物モデルにおいて決定されることができる。そのような情報は、ヒトにおける有用な投与量をより正確に決定するために使用されることができる。
【0291】
本明細書中に記載される有効成分の毒性および治療効力は、生体外、細胞培養物、または実験動物における標準的な薬学的手法によって決定されることができる。これらの生体外、細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータは、ヒトにおける使用のための投与量範囲を定めるために使用されることができる。投与量は、用いられる投薬形態および利用される投与経路に依存して変化しうる。正確な配合、投与経路および投与量は、患者の状態を考慮して個々の医師によって選択されることができる(例えば、Finglら、(1975)「The Pharmacological Basis of Therapeutics」,Ch.1 p.1を参照のこと)。
【0292】
投薬量および投薬間隔は、生物学的効果を誘導または抑制するのに十分な有効成分の組織レベル(最小有効濃度、MEC)を提供するために個々に調節されることができる。MECはそれぞれの調製物について変化するが、生体外でのデータから推定されることができる。MECを達成するために必要な投与量は、個体の特性および投与経路に依存する。検出アッセイは、血漿濃度を決定するために使用されることができる。
【0293】
処置される状態の重篤度および応答性に依存して、投薬は、単回または複数回投与で行われることができ、この場合、処置期間は、数日から数週間まで、または治療が達成されるまで、または疾患状態の軽減が達成されるまで続く。
【0294】
投与される組成物の量は、当然のことではあるが、処置されている対象、苦痛の重篤度、投与様式、処方医の判断などに依存するだろう。
【0295】
本発明の組成物は、もし望むなら、有効成分を含有する1つまたは複数の単位投薬形態を含有しうるパックまたはディスペンサーデバイス(例えば、FDA承認キットなど)で提供されることができる。パックは、例えば、金属ホイルまたはプラスチックホイルを含むことができる(例えば、ブリスターパックなど)。パックまたはディスペンサーデバイスには、投与のための説明書が付随しうる。パックまたはディスペンサーデバイスはまた、医薬品の製造、使用または販売を規制する政府当局によって定められた形式で、容器に関連した通知によって適応させることがあり、この場合、そのような通知は、組成物の形態、あるいはヒトまたは動物への投与の当局による承認を反映する。そのような通知は、例えば、処方薬物について米国食品医薬品局によって承認されたラベル書きでありうるか、または、承認された製品添付文書でありうる。医薬的に許容されうるキャリア中に配合された本発明の調製物を含む組成物もまた、上記にさらに詳述されるように、調製され、適切な容器に入れられ、示される状態の処置についてラベル書きされることができる。
【0296】
用語「含む/備える(comprises、comprising、includes、including)」、「有する(having)」、およびそれらの同根語は、「含むが、それらに限定されない(including but not limited to)」ことを意味する。
【0297】
用語「からなる(consisting of)」は、「含み、それらに限定される(including and limited to)」ことを意味する。
【0298】
表現「から本質的になる(consisting essentially of)」は、さらなる成分、工程および/または部分が、主張される組成物、方法または構造の基本的かつ新規な特徴を実質的に変化させない場合にだけ、組成物、方法または構造がさらなる成分、工程および/または部分を含み得ることを意味する。
【0299】
本明細書で使用される場合、単数形態(「a」、「an」および「the」)は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数の参照物を包含する。例えば、用語「化合物(a compound)」または用語「少なくとも1つの化合物」は、その混合物を含めて、複数の化合物を包含し得る。
【0300】
本開示を通して、本発明の様々な態様が範囲形式で提示され得る。範囲形式での記載は単に便宜上および簡潔化のためであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈すべきでないことを理解しなければならない。従って、範囲の記載は、具体的に開示された可能なすべての部分範囲、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値を有すると見なさなければならない。例えば、1〜6などの範囲の記載は、具体的に開示された部分範囲(例えば、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6など)、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値(例えば、1、2、3、4、5および6)を有すると見なさなければならない。このことは、範囲の広さにかかわらず、適用される。
【0301】
本明細書で使用される場合、用語「方法」は、与えられたタスクを達成するための様式、手段、技術および手順を意味し、限定されないが、化学、薬理学、生物学、生物化学、および医学の分野の当業者に知られているかまたはその当業者が既知の様式、手段、技術および手順から容易に開発する方式、手段、技術および手順を含んでいる。
【0302】
明確にするため別個の実施形態の文脈で説明されている本発明の特定の特徴が、単一の実施形態に組み合わせて提供されることもできることは分かるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施形態で説明されている本発明の各種の特徴は別個にまたは適切なサブコンビネーションで、あるいは本発明の他の記載される実施形態において好適なように提供することもできる。種々の実施形態の文脈において記載される特定の特徴は、その実施形態がそれらの要素なしに動作不能である場合を除いては、それらの実施形態の不可欠な特徴であると見なされるべきではない。
【0303】
本明細書中上記に描かれるような、および、下記の請求項の節において特許請求されるような本発明の様々な実施形態および態様のそれぞれは、実験的裏付けが下記の実施例において見出される。
【実施例】
【0304】
上記説明とともに、本発明を非限定的な様式で例示する以下の実施例を参照する。
【0305】
本願で使用される用語と、本発明で利用される実験方法には、分子生化学、微生物学および組み換えDNAの技法が広く含まれている。これらの技術は文献に詳細に説明されている。例えば以下の諸文献を参照されたい:「Molecular Cloning:A laboratory Manual」Sambrookら、(1989);「Current Protocols in Molecular Biology」I〜III巻、Ausubel,R.M.編(1994);Ausubelら、「Current Protocols in Molecular Biology」、John Wiley and Sons、米国メリーランド州バルチモア(1989);Perbal「A Practical Guide to Molecular Cloning」、John Wiley & Sons、米国ニューヨーク(1988);Watsonら、「Recombinant DNA」Scientific American Books、米国ニューヨーク;Birrenら編「Genome Analysis:A Laboratory Manual Series」1〜4巻、Cold Spring Harbor Laboratory Press、米国ニューヨーク(1998);米国特許の第4666828号、同第4683202号、同第4801531号、同第5192659号および同第5272057号に記載される方法;「Cell Biology:A Laboratory Handbook」I〜III巻、Cellis,J.E.編(1994);「Culture of Animal Cells−A Manual of Basic Technique」,Freshney,Wiley−Liss著、ニューヨーク(1994),第3版;「Current Protocols in Immunology」I〜III巻、Coligan,J.E.編(1994);Stitesら編「Basic and Clinical Immunology」(第8版)、Appleton & Lange、米国コネティカット州ノーウォーク(1994);MishellとShiigi編「Selected Methods in Cellular Immunology」、W.H. Freeman and Co.、米国ニューヨーク(1980);利用可能な免疫アッセイ法は、特許と科学文献に広範囲にわたって記載されており、例えば:米国特許の第3791932号、同第3839153号、同第3850752号、同第3850578号、同第3853987号、同第3867517号、同第3879262号、同第3901654号、同第3935074号、同第3984533号、同第3996345号、同第4034074号、同第4098876号、同第4879219号、同第5011771号および同第5281521号;「Oligonucleotide Synthesis」Gait,M.J.編(1984);「Nucleic Acid Hybridization」Hames,B.D.およびHiggins S.J.編(1985);「Transcription and Translation」Hames,B.D.およびHiggins S.J.編(1984);「Animal Cell Culture」Freshney,R.I.編(1986);「Immobilized Cells and Enzymes」IRL Press(1986);「A Practical Guide to Molecular Cloning」Perbal,B.(1984)および「Methods in Enzymology」1〜317巻、Academic Press;「PCR Protocols:A Guide To Methods And Applications」、Academic Press、米国カリフォルニア州サンディエゴ(1990);Marshakら、「Strategies for Protein Purification and Characterization−A Laboratory Course Manual」CSHL Press(1996);これらの文献の全ては、あたかも本願に完全に記載されているように援用するものである。その他の一般的な文献は、本明細書を通じて提供される。それらの文献に記載の方法は当業技術界で周知であると考えられ、読者の便宜のために提供される。それらの文献に含まれるすべての情報は本願に援用するものである。
【0306】
実施例1
レシリンキメラ遺伝子の構築
レシリンcDNAの調製:Elvin他[Nature、437:999〜1002、2005]によれば、レシリンはほとんどがD.melanogasterにおいてさなぎの段階で発現される。したがって、RNAをcDNA調製のためにこの段階から抽出した。RNAを、TRI(登録商標)試薬(Sigma、St.Louis、MO)を使用してD.melanogasterのさなぎから抽出した。レシリンcDNAの逆転写を、製造者の説明書に従って、オリゴ(dT)15プライマーとともにM−MLV RT(H−)(Promega corporation、Madison、WI)により行った。
【0307】
レシリン融合タンパク質の構築:4つのレシリン遺伝子をE.coliにおける発現のために設計した;
1.生来的な推定されるキチン結合ドメインを含む、レシリンの17個の弾性反復(gi|45550440、ヌクレオチド698〜1888)。これはRes−ChBD遺伝子として示される(タンパク質配列:配列番号11、配列番号55;ポリヌクレオチド配列:配列番号17)。
2.Elvin他[Nature、437:999〜1002、2005]と類似する遺伝子のN末端融合および単独発現のための、レシリンの17個の弾性反復および生来的リンカー(ヌクレオチド698〜1666)。これはレシリンとして示される(タンパク質配列:配列番号14、配列番号56;ポリヌクレオチド配列:配列番号15)。
3.レシリンの17個の弾性反復に融合されたクロストリジウム・セルロボランスCBD(CBDclos)。これはCBD−レシリンとして示される(タンパク質配列:配列番号12、配列番号57;ポリヌクレオチド配列:配列番号18)。
4.CBDに融合されたレシリン(遺伝子番号2)。これはレシリン−CBDとして示される(タンパク質配列:配列番号13、配列番号58;ポリヌクレオチド配列:配列番号19)。
【0308】
PCRプライマーを、本明細書中下記の表12に詳しく記載されるように、本明細書中上記の遺伝子を構築するために設計した。標準的なPCR方法を全ての反応のために好適に設計した:94℃で4分間;94℃で1分間を35サイクル、56℃で1分間、72℃で1分間および72℃で4分間。全てのDNA生成物を1%アガロースゲルで分離した。適切なバンドを外科用メスにより切り出し、DNAを、HiYield(商標)Gel/PCR DNA抽出キット(RBC Taipei、台湾)により精製した。
【0309】
【表12】

【0310】
Res−ChBDの構築:Res−ChBDが、cDNAから直接に構築された最初の遺伝子であり、それ以外のレシリン遺伝子の全てをクローン化するためのPCRテンプレートとして役立った。PCRを本明細書中下記の表13に従って行った。Ex Taq(商標)(Takara、Madison、WI)は、TAクローニングのために好適な校正機能酵素である。
【0311】
【表13】

【0312】
1200塩基対の生成物(図1B)を精製し、pGEM−T Easyベクター(Promega Corporation、Madison、WI)にクローン化した。レシリン−ChBDの存在を配列決定によって確認した。配列決定を、pGEM−T Easyベクターに対して相補的であるT7プライマーおよびSp6プライマーを使用して行った。配列決定の結果により、ArdelllおよびAnderson[Insect Biochem Mol Biol、31:965〜70、2002]による2つのレシリン変化体のクローン化が確認された。変化体Aをさらなる研究のために選んだ。
【0313】
最後に、Res−ChBDをNcoI制限酵素およびNotI制限酵素で消化し、所望される場合にはNi−NTAカラムでのタンパク質の精製およびHisタグの除去を可能にするN末端HisタグおよびrTev切断部位を含有するpHis−parallel3ベクター(図2)にクローン化した。
【0314】
CBD−レシリンの構築:この遺伝子をPCR−融合法によって構築した[Hobert O.(2002)、Biotechniques、32:728〜30]。pET−CSCPベクター[Levy他、2004、Biomaterials、25:1841〜1849]をPCRによるCBD増幅のためのテンプレートとして使用し、本明細書中上記のRes−ChBD生成物をレシリン増幅のためのテンプレートとして使用した。最初の反応では、2つの別個のPCRを行った。CBDを、プライマーNo.4&プライマーNo.5を使用して増幅した。レシリンをプライマー6&プライマー7により増幅した。最初の増幅を、Deep Vent DNAポリメラーゼ(NEB Inc.、Ipswich、MA)により行った。反応の終了によって、1μlのそれぞれの生成物(図3A)を、第2工程のPCRのためのテンプレートとして役立たせるために混合した。この工程では、プライマー4およびプライマー7を使用した。PCRを、TAクローニングを可能にするために、Ex Taq(商標)(Takara、Madison、WI)の使用を除いて同じ条件のもとで行った。1600塩基対の生成物を精製し、pBluescriptSK+(Ferments、MD)にクローン化した(図3B)。CBD−レシリンの存在を、T7プライマーおよびT3プライマーを用いた配列決定によって確認した。完全な遺伝子をNcoI酵素およびNotI酵素で消化し、pHis−parallel3ベクターにクローン化した。
【0315】
レシリン−CBDおよびレシリン(遺伝子2&遺伝子4)の構築:レシリン遺伝子を、プライマーNo1.およびプライマーNo.3を使用して増幅した。増幅のために使用された酵素がPfuTurbo(登録商標)(Stratagene corporation、LA Jolla、CA)であった。レシリン−CBDおよびレシリン(遺伝子2および遺伝子4)をコードするDNAを作製するために使用されたPCR混合物が本明細書中下記の表14に記載される。
【0316】
【表14】

【0317】
本明細書中上記のPCR反応の後、7μlの10×Taqポリメラーゼ反応緩衝液、1μlのTaqポリメラーゼ(Bio−lab、イスラエル)、1μlのdNTP混合物、および、100μlの体積になるまでの滅菌蒸留水を反応チューブに加えた。その後、AヌクレオチドをPCR生成物に加えるために、チューブを72℃で30分間インキュベーションした。最終生成物を精製し、pGEM−T Easyベクター(Promega corporation、Madison、WI)にクローン化した。レシリン遺伝子の存在を上記のように配列決定によって確認した。
【0318】
レシリン−CBD遺伝子の構築のために、レシリンフラグメントをNcoIおよびBamHIで消化し、CBDclos遺伝子の上流側においてpET3d(Novagen、EMD Chemicals,Inc.、CA)にクローン化し、その後、レシリン−CBDをNcoIおよびEcoRIで消化し、同じ酵素で消化されたpHis−parallel3ベクターにクローン化した。
【0319】
レシリン発現ベクター(遺伝子2)を、NcoIおよびNotIによるpGEM−T Easy−レシリンの消化によって構築した。この方法では、停止コドンが、その直接的な発現を可能にした遺伝子に付加された。遺伝子を続いて、同じ酵素で消化されたpHis−parallel3にクローン化した。
【0320】
実施例2
レシリンキメラ遺伝子の発現
全4つのベクターをBL21(DE3)(Novagen、EMD Chemicals,Inc.、CA)に形質転換した。5mlの一晩培養物を、回転式振とう機において37℃で、100mg/Lのアンピシリンを含むLB培地で成長させた。これらの開始培養物を、1/100の開始培養物/培養体積の比率で、100mg/Lのアンピシリンを含む250ml〜350mlのLBへの接種のために使用した。0.8〜0.9のO.D.600において、発現を1mMのIPTGにより誘導した。誘導後4時間で、細菌を遠心分離によって集めた。6H−Res−ChBDのペレットを最初の分析のために50mlのアリコートに分け、ペレットを−80℃で貯蔵した。
【0321】
実施例3
レシリン−ChBDの精製およびその特徴づけ
6H−Res−ChBDの小規模回分精製:50mlの細菌ペレットを2mlの100mM Tris(pH7.5)/0.1%Triton(登録商標)X−100/Complete(商標)(Roche、Basel、スイス)に再懸濁した。細菌を、氷上での2分間のパルス化バーストを伴う超音波処理によって溶解した。可溶物および細菌沈殿物を4℃で10分間の15000RPMでの遠心分離によって分離した。SDS−PAGE分析により、Res−ChBD生成物はほとんどが可溶性画分に見出されることが明らかにされた(図4、レーン1、レーン2)。500μlの溶解物を、75μlの事前に平衡化されたHIS−Select(登録商標)ニッケル親和性ゲル(Sigma、St.Louis、MO)を含有する1.5mlのエッペンドルフチューブに加えた。精製を製造物マニュアルに従って行った。最後の溶出を、0.4Mのイミダゾールを含有する100μlの溶出緩衝液により2回繰り返した。
【0322】
セルロースおよびキチンに対する精製6H−Res−ChBDの結合アッセイ:25mgのキチン(Sigma)および50mgのセルロース(Sigmacell)を2つの別個の1.5mlエッペンドルフチューブに加えた。これらの物質をPBSにより洗浄し、その後、50μlのアフィニティー精製されたタンパク質溶液を加えた。450μlのPBSをそれぞれのチューブに加え、500μlの総反応体積にした。タンパク質を含有した実用規格のキチン(Sigma、カタログNo.C7170)が使用されたので、キチンのみを含有する第3のチューブには、500μlのPBSが陰性コントロールとして補われた。チューブを、穏やかな回転のもと、RTで30分間インキュベーションし、その後、遠心分離した。上清を取り出し(非結合画分)、ペレットを500μlのPBSにより3回洗浄した。最終ペレットを50μlの2×試料適用緩衝液(SAB)とともに煮沸した。それぞれのチューブから得られる非結合画分および洗浄画分の試料もまた、SABとともに煮沸した。試料を12.5%SDS−PAGEゲルに負荷した。
【0323】
セルロースおよびキチンに対する6H−Res−ChBDの粗抽出物の結合アッセイ:細菌溶解物を上記のように50mlのペレットから作製した。セルロース結合アッセイおよびキチン結合アッセイを、2mlのエッペンドルフチューブにおいて、下記の表15に記載されるような3つの増大する溶解物体積により行った。
【0324】
【表15】

【0325】
6H−Res−ChBDの熱安定性アッセイ:15μlのアフィニティー精製されたタンパク質を3つの0.5mlエッペンドルフチューブに加えた。チューブを、15分間、30分間、60分間、85℃でインキュベーションした。インキュベーションの終了によって、チューブを氷に移し、14000rpmで10分間遠心分離した。続いて、試料を2×SABとともに煮沸し、12.5%SDS−PAGEゲルに負荷した。
【0326】
6H−Res−ChBDの小規模FPLC精製:細菌溶解物を上記のように50mlのペレットから作製した。溶解物を、使用者マニュアルに従って事前に平衡化されたHisTrap(商標)HP(GE、Uppsala、スウェーデン)Ni−NTAの1mlのカラムでのFPLC(GE、Uppsala、スウェーデン)精製のために0.45μmのシリンジフィルターでろ過した。
【0327】
精製プログラムは下記のように処理された:
結合緩衝液;20mM NaHPO、0.5M NaCl、10mMイミダゾール
溶出緩衝液;20mM NaHPO4、0.5M NaCl、0.5Mイミダゾール
1.1ml/分での5カラム体積(CV)の結合緩衝液
2.溶解物の、1ml/分での5mlの注入
3.結合緩衝液による5CVの洗浄
4.溶出緩衝液による0.7ml/分での10分間の、500mMイミダゾールまでの直線勾配
5.1ml/分での5CVの結合緩衝液による平衡化。
溶出タンパク質をO.D.280において検出した。400μlの分画物を集め、SABとともに煮沸された10μlの試料を12.5%SDS−PAGEゲルに負荷した。
【0328】
可溶性の高分子量6H−res−ChBDの作製。FPLCの分画物9〜分画物18を集めて、2mlの総体積にし、イミダゾールを200mlの重合緩衝液(15mM NaHPO、150mM NaCl、pH7.5)に対する3回の透析によって除いた。500μlの透析されたタンパク質を85℃で10分間インキュベーションし、その後、4℃で一晩インキュベーションした。重合を、重合緩衝液に溶解された20μlの40mM過硫酸アンモニウムおよび20μlの0.5mM Ru(bpy)3Cl・6HO(Sigma)を、40μlの精製タンパク質を含有するEppendorfチューブに加えることによって行った。試料を日光に5分間さらし、その後、2×SABとともに煮沸した。試料を12.5%SDS−PAGEゲルに負荷した。
【0329】
6H−Res−ChBDの中規模FPLC精製:200mlの培養物からの細菌ペレットを上記のように15mlの溶解緩衝液に再懸濁した。細菌を、氷浴における5分間のパルス化バーストを伴う超音波処理によって溶解した。可溶物および細菌沈殿物を4℃で10分間の15000RPMでの遠心分離によって分離した。精製を、上記と同じ方法を使用してFPLCにより行った。溶出タンパク質をO.D.280において検出した。400μlの分画物を集め、SABとともに煮沸された10μlの試料を12.5%SDS−PAGEゲルに負荷した。
【0330】
固体6H−Res−ChBDの作製。本明細書中上記の中規模FPLC精製の後、分画物を2つの異なる透析バッグに集めた:濃縮された分画物のNo.4〜No.7(6ml)および希釈された分画物のNo.3、No.8〜No.12。透析を上記のように行った。濃縮ピークの濃度が、O.D.280nmの測定によって10mg/mlであった。試料をVivaspin6の10000MWCO(Sartorius Stedim Biotech、Aubagne、フランス)限外ろ過チューブに負荷し、5000gで40分間遠心分離した。最終生成物は、タンパク質濃度が160mg/mlである500μl前後をもたらした。40μlの濃縮タンパク質を、4μlの150mM過硫酸アンモニウムおよび1μlの0.5mM Ru(bpy)Cl・6HOが加えられたエッペンドルフチューブにピペットで加えた。チューブを日光にさらした直後に、固体ポリマーがチューブ内で形成した。それ以上の重合が観測できなくなったとき、反応を、ポリマーを水により洗浄することによって5分後に停止させた。
【0331】
結果
6H−Res−ChBDの小規模回分精製:精製が、図4のレーン3〜レーン7に例示されるように達成された。
【0332】
セルロースおよびキチンに対する精製6H−Res−ChBDの結合アッセイ:タンパク質のクーマシーブルー染色により、6H−Res−ChBDがキチンおよびセルロースの両方に結合し、キチンに対する親和性がより大きいことが明らかにされた(図5)。非結合画分におけるタンパク質の存在が、Res−ChBDタンパク質による飽和キチン/セルロースのために説明される。
【0333】
セルロースおよびキチンに対する6H−Res−ChBDの粗抽出物の結合アッセイ:ゲルのクーマシーブルー染色により、セルロースの結合が、6H−Res−ChBDを含む粗溶解物において検出されなかったが明らかにされた(図6A、図6B、レーン2〜レーン5)。これは、アフィニティークロマトグラフィーによるAC精製の後での結合結果と対照をなすものであった。それにもかかわらず、キチンに対するタンパク質の親和性は、粗溶解物の結果によって示されるように、依然として高いままであった。50μlおよび125μの粗溶解物が25mgのキチンに負荷された場合、タンパク質のほぼ100%が沈殿し、タンパク質が非結合画分にはほとんど残らなかった(図6Bのレーン7〜レーン10、図6Cのレーン2〜レーン5)。250μlの溶解物が加えられたときには、結合タンパク質の量が増大し続け、しかし、より大きいバンドが、おそらくは結合部位の飽和のために、非結合画分において検出された(図6Cのレーン6〜レーン9)。
【0334】
6H−Res−ChBDの熱安定性アッセイ:熱処理は、6H−Res−ChBDが85℃で1時間にわたって安定であることを示した(図7)。材料および方法において示されるように、タンパク質は、熱処理後、氷に直ちに移された。これにより、ゲルにおいて観測されるバンド移動がコアセルベーションプロセスの開始に起因することが説明され得る。
【0335】
6H−Res−ChBDの小規模回分精製:精製プロセスの結果が図8A〜図8Bに例示される。
【0336】
可溶性の高分子量6H−Res−ChBDの作製。可溶化プロセスの結果が図9に例示される。
【0337】
6H−Res−ChBDの中規模FPLC精製:精製プロセスの結果が図10A〜図10Bに例示される。
【0338】
実施例4
多糖結合ドメイン(PBD)を何ら有しない6H−レシリン−17弾性反復(配列番号56)の発現および精製
配列番号56のレシリンをE.coliにおいて発現させた後、可溶性タンパク質を、図11に例示されるようにNi−NTAカラムで精製した。加えて、このタンパク質は、熱安定性であることが見出され、また、レシリン−ChBDと同じ様式で固体レシリンに重合させられた。
【0339】
実施例5
CBD−レシリン(配列番号57)の精製およびその特徴づけ
細菌におけるCBD−レシリンの発現の後、CBD−レシリンは、封入体で発現されることが見出された(図12)。
【0340】
細胞を、0.1%Triton(登録商標)X−100/Complete(商標)(Roche、Basel、スイス)における超音波処理によって溶解した。
不溶性画分を遠心分離によって沈殿させた。
【0341】
上清を除き、封入体を下記のように洗浄した:
1.穏やかな振とうとともに30分間、PBS緩衝液/1%Triton(登録商標)X−100/1mM EDTAによる再懸濁、その後、遠心分離。
2.穏やかな振とうとともに30分間、PBS緩衝液/1%Triton(登録商標)X−100による再懸濁、その後、遠心分離。
3.穏やかな振とうとともに30分間、PBS緩衝液による再懸濁、その後、遠心分離。
【0342】
その段階から、封入体の精製を2つの方法のうちの1つによって行った。
1.変性条件下でのNi−NTA精製。IBを、20mMリン酸塩緩衝液(pH7.5)/20mMイミダゾール/0.5M NaCl/6M GuHClにおいて可溶化した。タンパク質を、事前に平衡化されたNi−NTAカラムに負荷し、タンパク質を、20mMリン酸塩緩衝液(pH7.5)/0.5Mイミダゾール/0.5M NaCl/6M GuHClの直線勾配により溶出した。O.D.280nmにおいて検出されたピークを含有する分画物を集め、50mMのTris(pH7.5)緩衝液に対する透析によってリフォールディングさせた。タンパク質をSDS−PAGEによって分析した。タンパク質のリフォールディングをセルロース結合アッセイによってアッセイした(図13)。
2.洗浄されたIBを、20mMリン酸塩緩衝液(pH7.5)/20mMイミダゾール/0.5M NaCl/6M GuHClにおいて可溶化した。その後、タンパク質を、Ni−NTAカラムが装着されたAKTAprime(商標)plus(GE Healthcare、Uppsala、スウェーデン)に注入し、装置においてプログラム化される自動リフォールディングプロトコルを使用して精製した。リフォールディングされたタンパク質を含有する分画物を集め(図14)、その後、セルロース結合アッセイを行った。自動化されたリフォールディングを受けたCBD−レシリンタンパク質はほとんどが、6MのGuHClまたは8Mの尿素の存在下で精製された試料の透析を伴う標準的プロトコルによってリフォールディングされたタンパク質と同様な結合画分において見出された。これは、この方法は非常に効率的かつ時間節約であるので、この方法が適用され得ることを示している。
【0343】
実施例6
レシリン−CBD(配列番号58)のクローン化および発現
レシリン−17弾性反復および推定されるレシリンリンカーをコードするDNAフラグメントを、CBDを含有するベクターに上流側にクローン化して、配列番号19のポリヌクレオチドを作製した。正しい挿入を配列によって確認し、その後、この遺伝子をタンパク質発現のためにpHis−parallel3にクローン化した。発現を、他の全タンパク質と同様にBL21細菌において行った。タンパク質発現の後、細菌を遠心分離し、CBD−レシリンについて記載されるように溶解した。可溶性画分および不溶性画分を遠心分離によって分離した。SDS−PAGE分析により、組換えタンパク質の約50%が可溶性画分に見出されたことが明らかにされた。セルロース結合アッセイをレシリン−CBDの粗溶解物に対して直接に行った。これは、レシリン−CBDがセルロースに高い親和性で結合することをもたらした(図17を参照のこと)。
【0344】
実施例7
レシリン−CBD(配列番号58)の精製
レシリン−CBDの発現の後、BL21細菌を遠心分離し、他のタンパク質について記載されるように溶解した。可溶性画分および不溶性画分を遠心分離によって分離した。溶解物を0.45μmのシリンジフィルターでろ過した。その後、タンパク質を、事前に平衡化されたNi−NTAカラムに負荷し、20mMリン酸塩緩衝液(pH7.5、0.5Mイミダゾール、0.5M NaCl)の直線勾配により溶出した。O.D.280nmにおいて検出されたピークを含有する分画物をプールし、リン酸塩緩衝剤生理的食塩水(PBS)に対して3回透析して、イミダゾールを除いた。タンパク質をX2試料適用緩衝液(SAB)とともに煮沸し、クーマシーブルー染色されたSDS−PAGEによって分析した(図16)。
【0345】
本明細書中下記の表16には、本明細書中に記載されるクローン化されたレシリンタンパク質がまとめられている。
【表16】

【0346】
実施例8
レシリン−CBD(配列番号58)の耐熱性およびセルロース結合アッセイ
精製されたレシリン−CBDタンパク質を含有する試料溶液を85℃で15分間インキュベーションし、その後、14000rpmで15分間遠心分離した。50μlの加熱されたタンパク質溶液を、実施例3に記載されるようなセルロース結合アッセイのために30mgのセルロース粉末(Sigmacell)に加えた。セルロース結合アッセイはまた、非加熱のレシリン−CBD溶液をコントロールとして行われた。図17に示されるように、レシリン−CBDタンパク質は、耐熱性と、熱処理によって損なわれなかったセルロースに対する効率的な結合能との両方を示す。
【0347】
実施例9
異なるpHの溶液におけるレシリンタンパク質の溶解性
材料および方法
酵素的酸化反応または金属触媒酸化(MCO)反応から生じる反応性酸素化学種(ROS)により誘導される酸化ストレスが大きな影響をタンパク質の側鎖および全体的特性に及ぼし得るという証拠がますます増大している。チロシンは、タンパク質におけるROS感受性が非常に大きい残基の1つである。その酸化生成物には、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)、ドーパミン、ドーパミンキニン、ジチロシン(DT)およびisoDTが含まれる。加えて、DOPAはチロシンのヒドロキシルラジカル処理の主生成物である(Ali F.E.他、Journal of inorganic biochemistry、2004、98、173〜184)。Ali他(2004)によれば、様々なpHの溶液におけるチロシンのMCOは、様々な生成物、例えば、ジチロシンおよび3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)などを生じさせる。
【0348】
MCOシステムを使用して、各種レシリンタンパク質に対するこれらの修飾を達成するために、そのようなpHのもとでのそれらの安定性を分析した。
【0349】
レシリンおよびレシリン−CBDのタンパク質溶液(pH、約7.5)を、pH5.6またはpH5.4にまで2MのHClにより穏やかに滴定した。滴定期間中に、開始点と、最終pHとの間において異なるpHを表す200μlの試料を採取した。試料を4℃で72時間インキュベーションして、タンパク質を沈殿させ、その後、14000rpで15分間遠心分離した。可溶性タンパク質をクーマシー染色されたSDS−PAGEで検出した。
【0350】
結果
両方の場合において、大量のタンパク質沈殿がおよそpH5で観測された。図18に例示されるように、タンパク質が、5.6および5.4に至るまでのpHの溶液にそれぞれ残留した。このことから、これらの組換えタンパク質の溶解性のpH範囲が明らかにされる。これらの基本的な決定により、レシリン側鎖に対するMCOの影響を調べることができる。
【0351】
実施例10
異なるpHにおけるレシリンタンパク質生成物の光誘導重合
材料および方法
0.5mMのRu(bpy)3Cl・6HOおよび2.5mMの過硫酸アンモニウム(APS)を含有する、様々なpHでのレシリンタンパク質溶液およびレシリン−ChBDタンパク質溶液(50μl)を日光に10分間さらし、その後、タンパク質を分離し、クーマシー染色されたSDS−PAGEで検出した。Ru(bpy)3Cl・6HOおよびAPSを含まないタンパク質試料をコントロールとして使用した。
【0352】
結果
Ru(bpy)3Cl・6HOおよびAPSを含有する全試料で、高分子量の生成物が形成された。それにもかかわらず、外見的に架橋された生成物のパターンはpHに従って異なった(図19、矢印を参照のこと)。
【0353】
実施例11
レシリンの金属触媒重合
材料および方法
精製されたレシリンを50mMリン酸塩緩衝液(pH7.5)または脱イオン水のどちらかに対して3回透析した。透析後、タンパク質を85℃で15分間インキュベーションし、続いて、10000rpmで30分間遠心分離した。一般には、重合を、Kato他(2001)(Kato Y、Kitamoto N、Kawai Y、Osawa T(2001)、他の金属触媒酸化システムではなく、過酸化水素/銅イオンシステムはタンパク質結合型ジチロシンをもたらす、Free Radical Biology&Medicine、31(5)、624〜632)、および、Ali他(Ali FE、Barnham KJ、Barrow CJ、Separovic F(2004)、銅/過酸化水素の種々の酸化システムによるチロシン残基の金属触媒酸化、J Inorg Biochem、98(1):173〜84)によって報告されるMCO法に従って行った。全反応を1.5mlのエッペンドルフチューブにおいて250μlの最終体積で行った。MCO重合を、4mmolのH(30%Hの1μl)および200μMのCuCl(HOに溶解された20mM CuClの2.5μl)を加え、その後、37℃での一晩のインキュベーションを行うことによって行った。タンパク質溶液のみのチューブ、HのみまたはCuClのみを伴うタンパク質溶液のチューブを陰性コントロールとして使用した。反応を、1mMのEDTAを加えることによって停止させた。最後に、試料をX2 SABにおいて煮沸し、SDS−PAGEによって分析した。
【0354】
結果
重合が、図20に示されるように、リン酸塩緩衝液および水の両方において達成された。これらの結果のさらなる分析が進行中である。
【0355】
実施例12
組換えレシリン−セルロースウィスカー複合物の調製
材料および方法
10mg/mlの6H−Res−ChBD(配列番号55)を含有するHisタグ精製されたタンパク質溶液を、10kDaカットオフのVivaspin遠心分離濃縮器(Sartorius、英国)に載せ、6000rpmで遠心分離して、100mg/mlの濃度にした。この段階で、200μlの試料をその後の分析のために取り出し、貯蔵し、その一方で、溶液の残りをさらに濃縮して、200mg/mlの濃度にした。
【0356】
6H−Res−ChBD−セルロースウィスカーの複合物を、等体積の200mg/mlの6H−Res−ChBD−セルロースウィスカー溶液およびセルロースウィスカー溶液(これは、Bondeson D、Mathew A、Oksman M(2006)、Cellulose、13:171〜180に記載されるように調製された)を150μlおよび75μlのTeflon鋳型に注ぎ、100mg/mlの最終的なタンパク質濃度を得ることによって作製した。100mg/mlの純粋な6H−Res−ChBD溶液の150μlを、コントロールとして、類似する鋳型に注いだ。続いて、250μMのRu(bpy)および2.5mMの過硫酸アンモニウム(APS)をそれぞれの試料溶液に加えた。混合物をピペッティングによって鋳型内で均質化し、その後、重合を、500Wのタングステン灯に5秒間さらすことによる誘導架橋によって行った。
【0357】
結果
150μlの6H−Res−ChBD試料(図21B−右端)、ならびに、75μlおよび150μlの6H−Res−ChBD−セルロースウィスカー試料複合物(図21B−それぞれ、中央および左)を鋳型から取り出し、さらなる分析のために示差走査熱量測定法(DSC)に送った。
【0358】
実施例13
クモ絹糸−CBD融合遺伝子の構築
材料および方法
クモ絹糸(SpS)は、E.coliにおける発現のために最適化された合成遺伝子(配列番号23)である。その配列は、ジョロウグモ(Nephila clavipes)のスピドロイン1配列の生来的配列(アクセションP19837)に由来するモノマーコンセンサスの15回反復を設計したものである。
【0359】
SpS合成遺伝子が、所望される場合にはNi−NTAカラムでのタンパク質の精製と、N末端のHisタグの除去とを可能にするN末端およびC末端のHisタグと、エンテロキナーゼ切断部位とを含有するpET30aベクターにおいて提供された。
【0360】
E.coliにおける発現のためのSpS−CBD融合遺伝子の構築:クロストリジウム・セルロボランスのCBD(CBDclos)(配列番号25)をクモ絹糸の合成遺伝子の3’に融合した。融合遺伝子はSpS−CBDとして示される(配列番号24)。
【0361】
PCRプライマーを、本明細書中下記の表17に要約されるように、SpS−CBD融合遺伝子を構築するために設計した。PCRプライマーにより、N末端のSpeI制限部位およびC末端のXhoI制限部位がCBDclos遺伝子テンプレートに付加される。
【0362】
【表17】

【0363】
CBDclos遺伝子は、融合遺伝子のクローニングのためのPCRテンプレートとして役立った。標準的なPCRを、TAクローニングのために好適な校正機能酵素であるEx Taq(商標)(Takara、Madison、WI)を使用して行った。PCR生成物を1%アガロースゲルから精製し、pGEM−T Easyベクター(Promega Corporation、Madison、WI)にクローン化した。SpeI−CBDclos−XhoIの存在を配列決定によって確認した。
【0364】
SpS−CBDのクローニング:SpeI−CBDclos−XhoIをpET30a−SpSベクターにおいてSpeI制限部位およびXhoI制限部位にクローン化した。
【0365】
タバコ植物における発現のために最適化されたクモ絹糸遺伝子の構築:合成されたしおり糸遺伝子(GENEART GmbH、Regensburg、ドイツ、配列番号27)は、ニワオニグモ(Arenaus diadematus)のADF−3遺伝子の生来的配列(アクセションU47855)に由来するコンセンサス(GPGGQGPYGPGASAAAAAAGGYGPGYGQQGPGQQGPGQQ)(配列番号26)に基づいて選択された反復単位から構成される。この反復をコードするマルチマーを、縮合法の使用[Lewis他、Protein Expression and Purification、7、400〜406(1996)]によって開発した。合成遺伝子は、pUC19ベクターにおける別の特有の制限部位(AatII)の助けによるマルチマーの開発のために使用されたSmaI制限部位およびNaeI制限部位によって制限されるモノマーの配列を含む。
【0366】
クモ絹糸モノマー配列の端部には、ADF−3しおり糸遺伝子の3’非反復配列が付加されている。この配列は、タンパク質の溶解性に寄与することが示された[Lazaris他、Science、295:472〜476(2002)]。絹糸モノマーの5’には、合成CBDclos遺伝子の部分配列が本明細書中下記のように付加された。
【0367】
6モノマー(6mer)クモ絹糸遺伝子の構築:6merクモ絹糸遺伝子を構築するために、二重消化を下記のように行った:
1.SmaIおよびAatIIによる合成モノマー(配列番号26)の消化。
2.NaeIおよびAatIIによる合成モノマー(配列番号26)の消化。
これらのDNA生成物を1%アガロースゲルで精製し、精製されたフラグメントの連結により、2merクモ絹糸遺伝子を得た。続いて、2mer体の縮合を行って、4mer遺伝子を作製し、そして、4mer体および2mer体を縮合して、6mer遺伝子を形成した。
【0368】
6mer−CBDclos融合遺伝子の構築:CBDclosの配列をタバコ植物における発現のために最適化した。CBDの合成DNAを絹糸モノマーの5’に融合した。全長のCDBclos−6mer融合物を構築するために、部分的なCDB−6mer遺伝子および全長の非合成CBDclosにおけるBclI制限部位およびNcoI制限部位の消化を行った。
【0369】
6mer遺伝子へのCBDの融合を2つの配向で行った:
1.2つの6mer反復をCBDclosの3’末端に融合して、CBDclos−SpS12(配列番号28)を作製した。2つの6mer体の縮合を上記のように行った。
2.CBDclosを2つの6mer反復の中央において融合した。融合遺伝子はSpS6−CBD−SpS6として示される(配列番号29)。2つの6mer体のクローニングを、1つのCDB−6merプラスミドのSmaIおよびNaeIによる二重消化、ならびに、もう一方のStuIによる消化によって行った。フラグメントを精製し、連結して、SpS6−CBD−SpS6を形成した。
【0370】
CBD−12merおよびSpS6−CBD−SpS6の両方をpBINPLUSバイナリーベクターにおけるRubiscoの小サブ単位カセット(これは、調節エレメント(例えば、Chrysanthemum sp.からクローン化されたプロモーター、ターミネーター、5’および3’の非翻訳領域など)を含む)にクローン化した(配列番号30および配列番号31)。使用された別の発現カセットは、融合タンパク質をアポプラストに分泌するための細胞シグナルペプチドを含む。このシグナルを、Rubiscoの小サブ単位遺伝子の5’UTRの前において融合遺伝子の5’に融合した。
【0371】
表18には、本明細書中に記載されるクローン化されたクモ絹糸タンパク質がまとめられている。
【表18】

【0372】
実施例14
SpS−CBD融合遺伝子の発現および精製
材料および方法
E.coliにおけるSpSタンパク質およびSpS−CBDclosタンパク質の発現:pET30a−SpSベクターおよびpET30a−SpS−CBDclosベクターをBL21(DE3)(Novagen、EMD Chemicals,Inc.、CA)に形質転換した。5mlの一晩培養物を、回転式振とう機において37℃で、50mg/lのカナマイシンを含むLB培地で成長させた。これらの開始培養物を、1/100の開始培養物/培養体積の比率で、50mg/lのカナマイシンを含む250ml〜350mlのLBへの接種のために使用した。0.6〜0.9のO.D.600において、発現を1mMのIPTGにより誘導した。誘導から4時間後、細菌を遠心分離によって集めた。1つのペレットを最初の分析のために50mlのアリコートに分け、ペレットを−80℃で貯蔵した。
【0373】
6H−SpSおよび6H−SpS−CBDのFPLC精製:300mlの細菌ペレットを5mlの100mM Tris(pH7.5)/0.1%Triton(登録商標)X−100/Complete(商標)(Roche、Basel、スイス)に再懸濁した。細菌を、氷浴における5分間のパルス化バーストを伴う超音波処理によって溶解した。可溶物および細菌沈殿物を4℃で10分間の15000rpmでの遠心分離によって分離した。タンパク質の可溶性画分を、使用者マニュアルに従って事前に平衡化されたHisTrap(商標)HP(GE、Uppsala、スウェーデン)Ni−NTAの1mlのカラムでのFPLC(GE、Uppsala、スウェーデン)精製のために0.45μmのシリンジフィルターでろ過した。
【0374】
精製プログラムは下記のように処理された:
結合緩衝液;20mM NaHPO、0.5M NaCl、10mMイミダゾール
溶出緩衝液;20mM NaHPO、0.5M NaCl、0.5Mイミダゾール
1.1ml/分での5カラム体積(CV)の結合緩衝液
2.溶解物の、1ml/分での5mlの注入
3.結合緩衝液による10CVの洗浄
4.溶出緩衝液による1ml/分での15分間の、500mMイミダゾールまでの直線勾配
5.1ml/分での10CVの結合緩衝液による平衡化。
溶出タンパク質をO.D.280において検出した。500μlずつの分画物を集め、SABとともに煮沸された20μlの試料を10%SDS−PAGEゲルに負荷した。
【0375】
タバコ植物におけるCBD−SpS12タンパク質およびSpS6−CBD−SpS6タンパク質の発現
タバコ植物の形質転換:Rubisco発現カセットおよび融合遺伝子を含むバイナリー型pBINPLUSベクターを、植物形質転換のためのA.tumefaciens LBA4404株に導入した。リーフディスク形質転換を、以前に記載されたように、N.tabacum−SR1植物を用いて行った(DeBlock他、1984、The EMBO Journal、第3巻、第8号、1681頁〜1689頁、1984)。15個を超える独立したタバコ形質転換体をそれぞれの構築物について作製し、インビトロで増殖させ、温室に移した。導入遺伝子の存在を、Rubiscoカセットのターミネーター/プロモーターについての特異的なプライマーを使用するゲノムDNAに対するPCRによって確認した。形質転換体の自家受粉によって得られたT1種子を集め、カナマイシン(300mgl−1)を含有する発芽培地でさらに選抜した。滅菌処理は、70%エタノールにおいて30秒間、その後で、2.5%NaOClにおいて5分間であった。
【0376】
T1ホモ接合植物によるCBD−SpS12およびSpS6−CBD−SpS6の発現:タンパク質の抽出を、tissueLyser(Retch Mixer Mill Type MM301/220−240V 50/60HZ、cat#20.741.0001)において、90mgのトランスジェニックタバコの葉を冷却された抽出緩衝液(50mM Tris−HCL(pH=7.5)、「完全」プロテアーゼ阻害剤カクテル錠剤、Roche−Cat#1697498)とともに粉砕することによって行った。可溶性画分および不溶性画分の分離を4℃における10分間の15000rpmでの遠心分離によって行った。可溶性画分および不溶性画分をSABとともに煮沸した。
【0377】
トランスジェニックタバコ植物からのCBD−SpS12およびSpS6−CBD−SpS6の精製:40mlの精製緩衝液(50mM Tris−HCL(pH=7.5)、10mM DTT、0.5grのセルロース(Sigmacell20)、1mM PMSF)における20mgのトランスジェニック葉を、均一な混合物が得られるまでブレンダーにおいて粉砕した。可溶性画分および不溶性画分の分離を4℃における15分間の14000rpmでの遠心分離によって行った。結合したCBD融合タンパク質を含む不溶性画分を、2回、それぞれ30mlの抽出緩衝液で徹底的に洗浄した。結合したタンパク質を、振とうローターにおける1時間の溶出緩衝液(50mM Tris−HCL(pH=12.5)、10mM DTT、0.1%Triton)での懸濁によってセルロースペレットから溶出した。溶出されたCBD融合タンパク質を含む可溶性画分の分離を4℃における15分間の14000RPMでの遠心分離によって達成した。
【0378】
SpS6−CBD−SpS6のさらなる精製:上記で詳述された手順から得られる溶出された可溶性タンパク質を5リットルの熱安定性試験緩衝液(50mMリン酸ナトリウム(pH=8)、10mM DTT)に対して一晩透析した。その後、試料を、4℃で10分間、14000RPMで遠心分離した。可溶性タンパク質を10分間の60℃〜90℃における熱処理に供し、その後、氷上に20分間置き、最大速度で10分間遠心分離した。可溶性タンパク質はまた、8〜2の広範囲のpHにおけるその溶解性について試験された。熱安定性試験緩衝液のpHを、溶液のpHがpH=2に達するまで2MのHCLにより調節した。全pH変数について、試料を分析のために取り、4℃で一晩インキュベーションした。可溶物を不溶物から分離するために、試料を最大速度で10分間遠心分離した。可溶性タンパク質をSDS−PAGE試料適用緩衝液(SAB)とともに煮沸した。
【0379】
セルロースに対する、精製されたSpSおよびSpS−CBDの定性的な結合アッセイ:30mgのセルロース(Sigmacell)を1.5mlのエッペンドルフチューブに加えた。この物質をPBSにより洗浄し、その後、50μlのアフィニティー精製されたタンパク質溶液を加えた。450μlのPBSをそれぞれのチューブに加えて、500μlの総反応体積にした。チューブを、穏やかな回転のもと、RTで30分間インキュベーションし、その後、遠心分離した。上清を取り出し(非結合画分)、ペレットを500μlのPBSにより3回洗浄した。最終ペレットを50μlのSABとともに煮沸した。それぞれのチューブからの非結合画分の試料もまた、SABとともに煮沸した。試料を10%SDS−PAGEゲルに負荷した。
【0380】
セルロースに対する、精製されたCBDclos、SpSおよびSpS−CBDclosの定量的な結合可逆性アッセイ:500μLのPBSにおける100μg〜600μgのSpSタンパク質およびSpS−CBDタンパク質を、25℃で30分間、30mgの事前に洗浄されたセルロース(Sigmacell)に吸着させた。セルロースからの脱着を行い、一方で、最大濃縮タンパク質:セルロース混合物(600μg+30mgセルロース)を個々の試験チューブにおいて希釈して、600μgから100μgにまで及ぶ最終タンパク質量にし、その後、さらに30分間混合した。10分間の13000gでの遠心分離の後、結合タンパク質の濃度をLowry法によってアッセイした(LowryのA液におけるNaOHにより、結合タンパク質がセルロースペレットから溶出する)。
【0381】
結果
E.coliにおけるSpSタンパク質およびSpS−CBDclosタンパク質の発現:SpSタンパク質およびSpS−CBDタンパク質がE.coliにおいて首尾良く発現した(図22A)。可溶性タンパク質および不溶性(IB含有物)タンパク質のSDS−PAGE分析では、SpSタンパク質産物が可溶性画分に見出され、これに対して、SpS−CBDタンパク質産物はほとんどが不溶性の封入体(IB)画分に見出されることが明らかにされた(図22B)。
【0382】
6H−SpSおよび6H−SpS−CBDのFPLC精製:SpSタンパク質およびSpS−CBDタンパク質がNi−NTAカラムで首尾良く精製された(図23A)。精製されたSpSおよびSpS−CBDが抗6HIS抗体によって特定された(図23B)。Ni−NTAでの精製のクロマトグラム(図24A〜図24C)を見たとき、非特異的なタンパク質ピークがコントロール操作では認められ得る(図24A)。溶出されたこのタンパク質はSlyDとして文献によって特定される。SlyDは融合タンパク質に先だって溶出するので、これはSpSおよびSpS−CBDの精製を妨害しない(図24A、レーン5〜レーン7)。
【0383】
セルロースに対する、精製された15merおよび15mer−CBDの定性的な結合アッセイ:クーマシブルー染色により、SpS−CBDがセルロースに結合したことが示され、明らかなタンパク質が非結合画分においてクーマシブルーによって明らかにされなかった(図25、レーン5〜レーン7)。SpSはほとんどが結合手順の後では非結合画分に見出される(図26、レーン2〜レーン4)。結合画分に見出されるSpSタンパク質はセルロースに非特異的に吸着される。この現象は、下記でさらに明らかにされるように、固体/液体境界でのタンパク質吸着の機構によって説明することができる[Haynes他、Colloids and Surfaces B,Biointerfaces、2:517〜566(1994)]。
【0384】
セルロースに対する、精製されたCBDclos、SpSおよびSpS−CBDclosの定量的な結合可逆性アッセイ:吸着/脱着実験は、吸着の可逆性を調べるための非常に重要な試験である。吸着平衡からの逸脱が無限小であるならば、可逆的な吸着プロセスが定義され、その結果、可逆的プロセス(脱着)では、系の状態を特徴づける変数が逆の順序で同じ値に戻る。したがって、可逆的な吸着プロセスでは、等温線の上行き線(溶液における増大する濃度)および下行き線(溶液における低下する濃度)が重ならなければならない。等温線の上行き線および下行き線が重ならないならば、そのプロセスは不可逆として定義され、上行き線と、下行き線との間のずれがヒステリシスとして定義される[Haynes他、Colloids and Surfaces B,Biointerfaces、2:517〜566(1994)]。CBDclosおよびSpS−CBDの脱着実験では、新しい平衡が希釈後に確立され、この平衡は同じ等温線の上になかったことが明らかにされた(図26)。これらの結果は、上行き等温線および下行き等温線が重ならないことを証明する(これが不可逆的な結合のための前提条件である)。これらの結果は、試験された条件のもとでは、CBDclosおよびSpS−CBDclosが類似する吸着挙動を示し、ほとんど不可逆的にセルロースに結合することを明らかにする。これらの結果はまた、SpS等温線の上行き線および下行き線がほぼ重なることを明らかにしており、したがって、セルロースに対するSpSの吸着が可逆的ではなく、むしろ、固体/液体境界でのタンパク質吸着に起因することを確かに理解することができる。本明細書中下記の表19には、定量的な結合可逆性アッセイの結果がまとめられている。
【0385】
【表19】

【0386】
T1ホモ接合植物によるCBD−SpS12およびSpS6−CBD−SpS6の発現:上昇したタンパク質発現を有する4つのホモ接合T1植物を単離した:
1.CBD−SpS12を発現し、アポプラストに分泌する、CBD−SpS12 No.13.7およびNo.13.8の2つの植物が特定された。これらは本明細書中では13.7および13.8としてそれぞれ示される。
2.6mer−CDB−SpS6を細胞質において発現する、SpS6−CBD−SpS6 No.6.4およびNo.6.8の2つの植物が特定された。これらは本明細書中では6.4および6.8としてそれぞれ示される。
【0387】
タンパク質抽出物のSDS−PAGE分析では、CBD−SpS12およびSpS6−CBD−SpS6の両方がセルロースと結合し、したがって、ほとんどが不溶性画分に見出されたことが明らかにされた(図27A〜図27B)。必要以上のセルロースを抽出手順に加えることにより、可溶性画分のCBD融合タンパク質の全てがセルロースと結合した。
【0388】
トランスジェニックタバコ植物からのCBD−SpS12およびSpS6−CBD−SpS6の精製:CBD−SpS12およびSpS6−CBD−SpS6の精製は、植物の細胞壁に対する融合CBDタンパク質の独特な結合に基づく。この特異的な結合は、CBDが活性であることを裏付けており、精製の第1工程として役立つ(図28A)。CBD含有タンパク質は、細胞壁と結合し、細胞抽出物の不溶性画分と一緒に沈殿することが示された。その後、ペレットを溶出緩衝液で処理した。これにより、この溶出プロセスの可溶性画分へのCBD含有タンパク質の放出がもたらされた(図28A、レーン6)。SpS6−CBD−SpS6のさらなる精製は、広範囲のpHにおけるクモ絹糸の特有の熱安定性および溶解性に基づく。SDS−PAGE分析から、SpS6−CBD−SpS6が広範囲のpHにおいて熱安定性かつ可溶性であることが明らかである(図28B)。
【0389】
実施例14
クモ絹糸の金属触媒重合
材料および方法
精製されたSpSタンパク質(実施例8)(これは15個のチロシン残基を含有する)を50mMリン酸塩緩衝液(pH7.5)または脱イオン水のどちらかに対して4回透析した。透析後、タンパク質を13000rpmで10分間遠心分離した(図29、レーン2、レーン3、レーン4)。重合反応を、Kato他(2001)(Kato Y、Kitamoto N、Kawai Y、Osawa T(2001)、他の金属触媒酸化システムではなく、過酸化水素/銅イオンシステムはタンパク質結合型ジチロシンをもたらす、Free Radical Biology&Medicine、31(5)、624〜632)、および、Ali他(Ali FE、Barnham KJ、Barrow CJ、Separovic F(2004)、銅/過酸化水素の種々の酸化システムによるチロシン残基の金属触媒酸化、J Inorg Biochem、98(1):173〜84)によって報告されるMCO法に従って行った。全反応を1.5mlのエッペンドルフチューブにおいて250μlの最終体積で行った。MCO重合を、4mmolのH(30%Hの1μl)および200μMのCuCl(HOに溶解された20mM CuClの2.5μl)を加え、その後、37℃での一晩のインキュベーションを行うことによって行った。タンパク質溶液のみのチューブ、HのみまたはCuClのみを伴うタンパク質溶液のチューブを陰性コントロールとして使用した。反応を、1mMのEDTAを加えることによって停止させた。最後に、試料をX2 SABにおいて煮沸し、クーマシー染色されたSDS−PAGEによって分析した。
【0390】
結果
重合が、図29のレーン3およびレーン7に示されるように、リン酸塩緩衝液および水の両方において達成された。
【0391】
実施例15
CBD含有/非含有のクモ絹糸およびセルロースウィスカーのスポンジを調製するための方法
材料および方法
タンパク質水溶液(5wt%)をTeflon鋳型においてセルロースウィスカーと混合した。均質な溶液を得た後、100%メタノールを15%の最終濃度にタンパク質−ウィスカー混合物に加えた(撹拌を手によって行った)。鋳型を−80℃の冷凍庫に1時間以上置いた。タンパク質−ウィスカーの凍結溶液を凍結乾燥して、スポンジを作製した。この方法は、Nazarov R他、再生絹フィブロインからの多孔性3D足場、Biomacromolecules(2004)、5、718〜726に基づく。
【0392】
実施例16
組換えクモ絹糸−セルロースウィスカーのスポンジの調製
精製されたSpSタンパク質を、水を4回交換しながら18時間にわたって水に対して透析した(最初の交換が12時間後であり、その後の3回の交換が2時間毎であった)。透析後、タンパク質水溶液を5wt%に濃縮した(図30、レーン5に対してレーン2およびレーン4)。その後、濃縮されたSpSタンパク質をTeflon鋳型においてセルロースウィスカーと混合して、100/0%、30/70%、0/100%の所望される比率をそれぞれ得た。
【0393】
実施例17
絹糸−ウィスカー複合物のTmの決定
材料および方法
実施例15および実施例16に記載される方法に従って作製されたスポンジを示差走査熱量測定法(DSC)によって分析した。それぞれの操作について、約5mgの試料を使用し、サーモグラムを、窒素下、5℃/分の加熱速度で0℃から300℃まで記録した。
【0394】
結果
DSC分析(図31A〜図31C)は3つの異なるサーモグラムプロフィルを示す。クモ絹糸−セルロースウィスカーの複合物のサーモグラムにおいて、クモ絹糸およびセルロースウィスカー単独の転移温度ピーク2が消失し、より高いピークが243.69℃に現れた。表20には、ウィスカー、絹糸および70%ウィスカー/30%絹糸スポンジのDSCサーモグラムから得られる転移温度ピークがまとめられている。この分析は、絹糸−ウィスカーの組合せがウィスカーの転移温度ピーク2における著しい増大をもたらすことを明らかにする。表20には、ウィスカー、絹糸および70%ウィスカー/30%絹糸スポンジのDSCサーモグラムから得られる転移温度ピークがまとめられている。
【0395】
【表20】

【0396】
本発明はその特定の実施態様によって説明してきたが、多くの別法、変更および変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更および変形すべてを包含するものである。
【0397】
本明細書で挙げた刊行物、特許および特許出願はすべて、個々の刊行物、特許および特許出願が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用または確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。節の見出しが使用されている程度まで、それらは必ずしも限定であると解釈されるべきではない。
【配列表フリーテキスト】
【0398】
配列番号1〜7,37及び47は、一本鎖DNAオリゴヌクレオチドの配列である。
配列番号8は、レシリンの弾性反復単位の配列である。
配列番号9は、ショウジョウバエ由来の最小レシリンポリペプチド配列である。
配列番号10は、Clostridium cellulovorans由来のセルロース結合ドメイン(CBD)の配列である。
配列番号11は、天然の仮想的なキチン結合ドメインを含むレシリン17弾性反復(Res−CHBD)の配列である。
配列番号12は、レシリン17弾性反復に融合されたClostridium cellulovoransのCBD(CBDclos)(CBD−レシリン)の配列である。
配列番号13は、リンカーポリペプチドを介してCBDに融合されたレシリンの配列である。
配列番号14は、C′リンカーポリペプチド(Elvin)に融合されたレシリンの配列である。
配列番号15は、リンカーポリペプチド配列に融合されたレシリンの配列である。
配列番号16は、15spsクモ絹糸ポリペプチドの配列である。
配列番号17は、天然の仮想的なキチン結合ドメインを含むレシリン17弾性反復(Res−CHBD)のポリヌクレオチド配列である。
配列番号18は、レシリン17弾性反復に融合されたClostridium cellulovoransのCBD(CBDclos)(CBD−レシリン)のポリヌクレオチド配列である。
配列番号19は、リンカーコード配列を介してCBDに融合されたレシリンの配列である。
配列番号20及び21は、植物中での発現のためにコドン最適化されたCBD−レシリン融合構築物の配列である。
配列番号22は、植物中での発現のためにコドン最適化された、天然の仮想的なキチン結合ドメインを含むレシリンのポリヌクレオチド配列である。
配列番号23は、15spsクモ絹糸の合成遺伝子の配列である。
配列番号24は、CBDポリヌクレオチド配列に融合された15spsクモ絹糸の配列である。
配列番号25は、Clostridium cellulovoransのCBD(CBDclos)ポリヌクレオチド配列である。
配列番号26は、クモ絹糸の反復単位の配列である。
配列番号27は、合成クモ絹糸の反復単位(GENEART)のポリヌクレオチド配列である。
配列番号28は、12spsクモ絹糸ポリヌクレオチド配列に融合されたCBDclosの配列である。
配列番号29は、クモ絹糸6sps−CBD−6sps構築物のポリヌクレオチド配列である。
配列番号30は、プロモーター及び5′UTRを含むルビスコの小サブユニットカセットの配列である。
配列番号31は、3′UTR及びターミネーターを含むルビスコの小サブユニットカセットの配列である。
配列番号32は、CBDに融合された15spsクモ絹糸の配列である。
配列番号33は、6Hisタグ化された15spsクモ絹糸ポリペプチドの配列である。
配列番号34は、6Hisタグ化された15spsクモ絹糸CBD融合ポリペプチドの配列である。
配列番号35は、CBDclos 12spsクモ絹糸融合ポリペプチドの配列である。
配列番号36は、6sps−CBD−6sps融合ポリペプチドの配列である。
配列番号38は、合成クモ絹糸の反復単位(GENEART)のポリペプチド配列である。
配列番号39は、レシリンキチン結合ドメインの配列である。
配列番号40は、塩基性エンドキチナーゼBキチン結合ドメインの配列である。
配列番号41は、グルコアミラーゼデンプン結合ドメインの配列である。
配列番号42は、デキストラン結合ドメインの配列である。
配列番号43は、アルギン酸結合ドメインの配列である。
配列番号44は、ヒアルロン酸結合ドメインの配列である。
配列番号45は、レシリンにおける反復アミノ酸配列である。
配列番号46は、エラスチンにおける反復アミノ酸配列である。
配列番号48は、液胞区分けシグナルコードポリヌクレオチドの配列である。
配列番号49は、液胞区分けシグナルポリペプチドの配列である。
配列番号50は、アポプラスト区分けシグナルコードポリヌクレオチドの配列である。
配列番号51は、アポプラスト区分けシグナルポリペプチドの配列である。
配列番号52及び53は、CBDとレシリンとの間のリンカーとして使用されるポリペプチドの配列である。
配列番号54は、Lacオペレーター、6XHisタグ、スペーサー領域、rTEV切断部位及び多数のクローニング部位を含むpHIS−Parallel3フラグメントの配列である。
配列番号55は、6H−Res−ChBDの配列である。
配列番号56は、6H−レシリンの配列である。
配列番号57は、6H−CBD−レシリンの配列である。
配列番号58は、6H−レシリン−CBDの配列である。
配列番号59は、6H−Res−ChBDの発現配列である。
配列番号60は、6H−レシリンの発現配列である。
配列番号61は、6H−CBD−レシリンの発現配列である。
配列番号62は、6H−レシリン−CBDの発現配列である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異種の多糖結合ドメインに結合された繊維状ポリペプチドのモノマーをコードするアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチドであって、前記多糖結合ドメインがセルロース結合ドメインではない、単離されたポリペプチド。
【請求項2】
異種の多糖結合ドメインに結合されたレシリンポリペプチドまたはクモ絹糸ポリペプチドをコードするアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチド。
【請求項3】
前記繊維状ポリペプチドは、レシリン、エラスチン、クモ絹糸、カイコ絹糸、コラーゲンおよびイガイ足糸タンパク質からなる群から選択される、請求項1に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項4】
前記繊維状ポリペプチドはレシリンを含む、請求項3に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項5】
前記繊維状ポリペプチドはクモ絹糸を含む、請求項3に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項6】
前記レシリンは、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含む、請求項4に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項7】
前記レシリンは、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含む、請求項6に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項8】
配列番号52または配列番号53に示されるアミノ酸配列をさらに含む、請求項7に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項9】
前記多糖結合ドメインは、キチン結合ドメイン、デンプン結合ドメイン、デキストラン結合ドメイン、グルカン結合ドメイン、キトサン結合ドメイン、アルギン酸結合ドメインおよびヒアルロン酸結合ドメインからなる群から選択される、請求項1に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項10】
前記多糖結合ドメインは、キチン結合ドメイン、セルロース結合ドメイン、デンプン結合ドメイン、デキストラン結合ドメイン、グルカン結合ドメイン、キトサン結合ドメイン、アルギン酸結合ドメインおよびヒアルロン酸結合ドメインからなる群から選択される、請求項2に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項11】
配列番号11〜配列番号13および配列番号32〜配列番号36に示される通りである、請求項1に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項12】
前記クモ絹糸は、配列番号16または配列番号26に示されるアミノ酸配列を含む、請求項5に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項13】
請求項1に記載のポリペプチドをコードする核酸配列を含む、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項14】
請求項2に記載のポリペプチドをコードする核酸配列を含む、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項15】
配列番号17〜配列番号22、配列番号24、配列番号28および配列番号29からなる群から選択される核酸配列を含む、請求項13または14に記載の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項16】
レシリンをコードする核酸配列と、前記レシリンの発現を植物において行わすことができるシス作用調節エレメントとを含む核酸構築物。
【請求項17】
クモ絹糸をコードする核酸配列と、前記クモ絹糸の発現を植物において行わすことができるシス作用調節エレメントとを含む核酸構築物。
【請求項18】
請求項13または14に記載の単離されたポリヌクレオチドを含む核酸構築物。
【請求項19】
少なくとも1つのシス作用調節エレメントをさらに含む、請求項18に記載の核酸構築物。
【請求項20】
前記シス作用調節エレメントは植物プロモーターである、請求項19に記載の核酸構築物。
【請求項21】
前記植物プロモーターはrbcS1プロモーターである、請求項20に記載の核酸構築物。
【請求項22】
液胞シグナル配列をコードする核酸配列をさらに含む、請求項20に記載の核酸構築物。
【請求項23】
前記シス作用調節エレメントはターミネーター配列である、請求項19に記載の核酸構築物。
【請求項24】
前記ターミネーター配列はrbcS1配列である、請求項23に記載の核酸構築物。
【請求項25】
請求項18に記載の核酸構築物を含む細胞。
【請求項26】
植物細胞である、請求項25に記載の細胞。
【請求項27】
請求項16または17に記載の核酸構築物を含む植物細胞。
【請求項28】
レシリンまたはクモ絹糸である繊維状ポリペプチドと、多糖とを含む、単離された複合物。
【請求項29】
異種の多糖結合ドメインを含む繊維状ポリペプチドと、多糖とを含む、固定化されていない単離された複合物。
【請求項30】
前記多糖は、キチン、セルロース、デンプン、デキストラン、グルカン、キトサン、アルギン酸およびヒアルロン酸からなる群から選択される、請求項28または29に記載の単離された複合物。
【請求項31】
前記繊維状ポリペプチドは多糖結合ドメインを含む、請求項28に記載の単離された複合物。
【請求項32】
前記多糖結合ドメインは異種の多糖結合ドメインである、請求項31に記載の単離された複合物。
【請求項33】
前記多糖結合ドメインは、キチン結合ドメイン、セルロース結合ドメイン、キトサン結合ドメイン、アルギン酸結合ドメイン、デンプン結合ドメイン、デキストラン結合ドメイン、グルカン結合ドメインおよびヒアルロン酸結合ドメインを含む、請求項29または31に記載の単離された複合物。
【請求項34】
前記繊維状ポリペプチドは、イガイ足糸タンパク質、レシリン、カイコ絹糸タンパク質、クモ絹糸タンパク質、コラーゲン、エラスチンまたはそれらのフラグメントからなる群から選択される、請求項29に記載の単離された複合物。
【請求項35】
追加の繊維状ポリペプチドをさらに含み、前記追加の繊維状ポリペプチドは前記繊維状ポリペプチドとは異なり、イガイ足糸タンパク質、レシリン、カイコ絹糸タンパク質、クモ絹糸タンパク質、コラーゲン、エラスチンおよびそれらのフラグメントからなる群から選択される、請求項28または29に記載の単離された複合物。
【請求項36】
架橋されている、請求項28または29に記載の単離された複合物。
【請求項37】
非架橋である、請求項28または29に記載の単離された複合物。
【請求項38】
少なくとも2つの同一でない繊維状ポリペプチドを含む、単離された複合物であって、前記少なくとも2つの同一でない繊維状ポリペプチドのうちの第1の繊維状ポリペプチドが、請求項1に記載の単離されたポリペプチドである複合物。
【請求項39】
少なくとも2つの同一でない繊維状ポリペプチドを含む、単離された複合物であって、前記少なくとも2つの同一でない繊維状ポリペプチドのうちの第1の繊維状ポリペプチドが、請求項2に記載の単離されたポリペプチドである複合物。
【請求項40】
前記繊維状ポリペプチドを、前記繊維状ポリペプチドと、多糖との間での結合を可能にする条件のもとで多糖と接触させて、請求項28または29に記載の単離された複合物を作製することを含む、請求項28または29に記載の単離された複合物を作製する方法。
【請求項41】
前記接触後に前記複合物を架橋することをさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記架橋することが、光化学的架橋、酵素的架橋、化学的架橋および物理的架橋からなる群から選択される方法によって達成される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記複合物を追加の繊維状ポリペプチドにより被覆することをさらに含み、前記被覆することが、前記複合物を架橋した後で達成される、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記繊維状ポリペプチドを前記接触前に追加の繊維状ポリペプチドと結合することをさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
前記追加の繊維状ポリペプチドは、イガイ足糸タンパク質、クモ絹糸タンパク質、コラーゲン、エラスチンおよびフィブロネクチンならびにそれらのフラグメントからなる群から選択される、請求項43または44に記載の方法。
【請求項46】
前記多糖は、キチン、セルロース、デンプン、デキストラン、グルカン、キトサン、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースおよびヒアルロン酸からなる群から選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項47】
軟骨または骨の疾患または状態を処置するための医薬品の製造のための、請求項28〜39のいずれかに記載の単離された複合物の使用。
【請求項48】
軟骨修復、膝修復、半月板修復、膝潤滑剤および椎間板修復のための請求項47に記載の使用。
【請求項49】
尿失禁を処置するための医薬品の製造のための、請求項28〜39のいずれかに記載の単離された複合物の使用。
【請求項50】
請求項28〜39のいずれかに記載の単離された複合物を含む足場。
【請求項51】
治療効果的な量の請求項28〜39のいずれかに記載の単離された複合物をその必要性のある対象に投与し、それにより、軟骨の疾患または状態を処置することを含む、軟骨または骨の疾患または状態を処置する方法。
【請求項52】
前記投与することが局所的に達成される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記局所的に投与することが関節内投与によって達成される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記関節内投与は、膝関節、肘関節、股関節、胸鎖関節、額関節、手根関節、足根関節、手関節、足関節、椎間円板および黄色靱帯からなる群から選択される接合部の中への投与を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記軟骨の疾患または状態は、変形性関節炎、制限された関節可動性、痛風、リウマチ様関節炎、変形性関節炎、軟骨溶解、強皮症、変性椎間板障害および全身性エリテマトーデスからなる群から選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項56】
治療効果的な量の請求項28〜39のいずれかに記載の単離された複合物をその必要性のある対象に投与し、それにより、尿失禁を処置することを含む、尿失禁を処置する方法。
【請求項57】
前記投与することが、尿道を取り囲む領域への注入によって達成される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
請求項28〜39のいずれかに記載の単離された複合物を含む医薬組成物。
【請求項59】
請求項28〜39のいずれかに記載の単離された複合物を含む美容用組成物。
【請求項60】
ゲル、ストリップ、注入物またはフォームとして配合される、請求項58または59に記載の医薬組成物または美容組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31A】
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【図31B】
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【図31C】
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【公表番号】特表2011−504374(P2011−504374A)
【公表日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535508(P2010−535508)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【国際出願番号】PCT/IL2008/001542
【国際公開番号】WO2009/069123
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(309038764)イッサム リサーチ ディベロップメント カンパニー オブ ザ ヘブリュー ユニバーシティー オブ エルサレム リミテッド (6)
【出願人】(510146399)コルプラント リミテッド (1)
【Fターム(参考)】