説明

美白剤

【課題】メラニン生成抑制作用を有する美白剤を提供する。
【解決手段】ナス科(Solanaceae)植物の Physalis divaricata 、キク科(Compositae)植物の Senecio chrysanthemoides 、シソ科(Labiatae)植物の Rabdosia coetsa 、カヤツリグサ科(Cyperaceae)植物の Cyperus sp.(ネパール現地名 Namiramjan)、キク科(Compositae)植物の Leontopodium jacotianum 、リンドウ科(Gentianaceae)植物の Swertia alata 、キク科(Compositae)植物の Artemisia roxburghiana 、フトモモ科(Myrtaceae)植物の Callistemon lanceolatus からなる群より選択される1種又は2種以上の植物の抽出物を含むものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は特定の植物抽出物を含む美白剤に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚のしみ・そばかすなどの色素沈着は、ホルモンの異常や紫外線、皮膚局所の炎症が原因となってメラニンが過剰に形成され、これが皮膚内に沈着するものと考えられている。皮膚の色素沈着の原因となるこのメラニンは、表皮基底層にある色素細胞(メラノサイト)内のメラノソームと呼ばれる小器官において生成され、生成したメラニンは周囲角化細胞(ケラチノサイト)に取り込まれる。このメラノサイト内におけるメラニンは、チロシンが酵素チロシナーゼの作用によりドーパキノンを経て酵素的または非酵素的な酸化反応により黒色のメラニンへと変化して生成される。したがって、第一段階の反応であるチロシナーゼの活性を抑制することが、メラニンの生成を抑制するうえで重要である。
上記のような色素異常の予防・改善を目的として美白作用を有する物質、すなわち、メラニン生成を抑制する物質が主に用いられており、例えば、ビタミンCを大量に経口投与する方法、グルタチオン等を注射する方法、あるいは、コウジ酸、ビタミンC及びその誘導体、システイン等を軟膏、クリーム、ローション等の形態で局所に塗布する方法などが知られている。
しかしながら、チロシナーゼの活性を抑制する化合物はハイドロキノンを除いてはその効果の発現がきわめて緩慢であるため、皮膚色素沈着の改善効果が十分でない。一方、ハイドロキノンは効果が認められるが、感作性があるため一般の使用が制限されている。そこでその安全性を向上させるため、高級脂肪酸のモノエステルやアルキルモノエーテルなどにする試み(特許文献1参照)がなされている。
しかしながら、このような高級脂肪酸のモノエステル類は体内の加水分解酵素によって分解されるため必ずしも安全であるとはいい難く、またエーテル類も安全性の面で充分に満足するものが得られていない。
【0003】
【特許文献1】特開昭58−154507号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明者らは種々の植物抽出物についてメラニン生成抑制効果を調べた結果、これまでにかかる効果を有することが知られていなかった特定の植物抽出物が優れたメラニン生成抑制作用を有していることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ナス科(Solanaceae)植物のフィサリス ディバリカタ( Physalis divaricata)(同義語 Physalis minima 、和名 ネパールホオズキ、英名 ground cherry、ネパール現地名 isamgoli, jangali mewa, patpate, golbhede jhar)、キク科(Compositae)植物のセネシオ クリサンセモイデス( Senecio chrysanthemoides )(同義語 Senecio laetus 、ネパール現地名 bijauri phul)、シソ科(Labiatae)植物のラブドシア コエッツァ( Rabdosia coetsa )(ネパール現地名 Thamo sing, jwahane, mirre, chyandre, surchendro)、カヤツリグサ科(Cyperaceae)植物のシペルス エスピー.( Cyperus sp.)(ネパール現地名 Namiramjan)、キク科(Compositae)植物のレオントポディウム ヤコティアヌム( Leontopodium jacotianum )(ネパール現地名 Taa)、リンドウ科(Gentianaceae)植物のスウェルティア アラタ( Swertia alata )(ネパール現地名 Tikta)、キク科(Compositae)植物のアルテミシア ロクスブルギアナ( Artemisia roxburghiana )(ネパール現地名 Patse)、フトモモ科(Myrtaceae)植物のカリステモン ランセオラタス( Callistemon lanceolatus )からなる群より選択される1種又は2種以上の植物の抽出物を含むことを特徴とする美白剤である。
【0006】
本発明は、上記の美白剤を用いて肌の美白を行うことを特徴とする美白方法である。
【0007】
本発明は、上記の美白剤を水相または油相に添加して美白用皮膚外用剤を製造することを特徴とする美白用皮膚外用剤の製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の美白剤は、優れたメラニン生成抑制作用を有しており、日焼け後の色素沈着・しみ・そばかす・肝斑等の淡色化、美白に優れた効果を有するものである。
【0009】
また本発明によれば、日焼け後の色素沈着・しみ・そばかす・肝斑等の淡色化、美白に優れた効果を有すると共に、安全性にも優れた美白方法が提供される。
【0010】
さらに、本発明による美白用皮膚外用剤の製造方法によれば、メラニン生成抑制作用を有しており、日焼け後の色素沈着・しみ・そばかす・肝斑等の淡色化、美白に優れた効果を有すると共に、安全性にも優れた美白用皮膚外用剤を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明の最良の実施の形態について説明する。
本発明の美白剤に用いられるナス科(Solanaceae)植物の Physalis divaricata 、キク科(Compositae)植物の Senecio chrysanthemoides 、シソ科(Labiatae)植物の Rabdosia coetsa 、カヤツリグサ科(Cyperaceae)植物の Cyperus sp.(ネパール現地名 Namiramjan)、キク科(Compositae)植物の Leontopodium jacotianum 、リンドウ科(Gentianaceae)植物の Swertia alata 、キク科(Compositae)植物の Artemisia roxburghiana 、フトモモ科(Myrtaceae)植物の Callistemon lanceolatus について、以下に詳述する。これらの植物は、いずれもネパールに生える植物である。
なお本発明の美白剤は、好ましくは実質的に上記植物抽出物のみからなるものであるが、その他の成分を含んでいても良い。
【0012】
ナス科(Solanaceae)植物の Physalis divaricata は、ホオズキ属植物であり、中国名を黄姑娘という。中国では全草または果実(天泡子)を、駆虫、黄疸、利尿、喘息に用いる。またその全草は、骨折、できもの、潰瘍などに用いられる。
キク科(Compositae)植物の Senecio chrysanthemoides は、キオン(セネキオ)属植物であり、中国名を菊葉千里光という。高さ60〜180cmになる大型の多年草で、ヒマラヤ(パキスタンからアッサム)山地、ネパール南部、中国南西部に分布し、アルカロイド(セネキオフィリン:seneciophylline)を含有して家畜には有毒であるが、ネパールでは薬用にする。
シソ科(Labiatae)植物の Rabdosia coetsa は、ヤマハッカ属植物であり、最近ではイソドン Isodon 属に分類される双子葉植物である。眼病に用いられる。
カヤツリグサ科(Cyperaceae)植物の Cyperus sp.(ネパール現地名 Namiramjan)は、カヤツリグサ属植物であり、単子葉植物である。
【0013】
キク科(Compositae)植物の Leontopodium jacotianum は、ウスユキソウ属植物であり、カシミール〜ブータン、ネパール南・南東部の高山帯に分布し、風にさらされた草地や礫地に生育する。茎、葉ともに白い綿毛でおおわれた様子を薄雪にたとえて、属名はつけられた。花序の基部に数枚から十数枚の苞葉が発達し、それらの苞葉は白綿毛によって密におおわれているうえに、放射状に並んでいるために、全体として花のように見える。
リンドウ科(Gentianaceae)植物の Swertia alata は、センブリ属植物であり、双子葉植物の多年草である。
キク科(Compositae)植物の Artemisia roxburghiana は、ヨモギ属植物であり、双子葉植物である。葉は互生し、細かく切れ込み、花は風媒花であり、頭花は小さく、下向きに咲き、花粉の刺が円く、低い。
【0014】
フトモモ科(Myrtaceae)植物の Callistemon lanceolatus は、和名をハナマキ、キンポウジュといい、オーストラリア大陸及びタスマニア島に十数種分布している寒さにやや弱い常緑の低木または高木で、花弁が退化して、梅の花の芯のような、雄しべだけが発達し、花序が瓶や試験管を洗うためのブラシにように見えることから、英語では瓶ブラシの木として知られている。樹高は2mから10mくらいで、葉は被針形で枝に密に付いている。葉には精油を含み、香りのよいものもある。花は初夏に咲き、花序は円柱状で、長さ5〜10cmくらいである。雄しべが密について美しいものと、比較的まばらなものがある。花色は赤か黄色だが、赤紫を帯びたものや、観賞用の花としては珍しい黄緑色のものもある。
【0015】
本発明に用いられる植物抽出物は、上記植物の葉、地下茎を含む茎、根、果実、植物全草等を抽出溶媒と共に浸漬または加熱還流した後、濾過し、濃縮して得られる。本発明に用いられる抽出溶媒は、通常抽出に用いられる溶媒であれば何でもよく、特にメタノール、エタノール等のアルコール類、含水アルコール類、アセトン、酢酸エチルエステル等の有機溶媒を単独あるいは組み合わせて用いることができる。本発明の美白剤は好ましくは上記植物抽出物からなるものであり、上記植物を単独で用いた植物抽出物であっても、あるいは混合して用いた植物抽出物であっても良い。
【0016】
本発明に用いられる Physalis divaricata は、地上部を用いるのが好ましいが、他の部位を用いることもできる。
本発明に用いられる Senecio chrysanthemoides は、全草を用いるのが好ましいが、他の部位を用いることもできる。
本発明に用いられる Rabdosia coetsa は、地上部を用いるのが好ましいが、他の部位を用いることもできる。
本発明に用いられる Cyperus sp.(ネパール現地名 Namiramjan)は、全草を用いるのが好ましいが、他の部位を用いることもできる。
本発明に用いられる Leontopodium jacotianum は、全草を用いるのが好ましいが、他の部位を用いることもできる。
本発明に用いられる Swertia alata は、地上部を用いるのが好ましいが、他の部位を用いることもできる。
本発明に用いられる Artemisia roxburghiana は、全草を用いるのが好ましいが、他の部位を用いることもできる。
本発明に用いられる Callistemon lanceolatus は、地上部を用いるのが好ましいが、他の部位を用いることもできる。
【0017】
本発明においては、自生あるいは栽培何れで得られたものでも使用でき、また、上記植物抽出物は2種以上を混合して用いてもよい。
【0018】
このようにして得られた上記植物またはその抽出物は、いずれも優れたメラニン生成抑制効果を有する。このような植物またはその抽出物は、水相または油相に添加することにより、優れた美白効果を奏する美白用皮膚外用剤を製造することができる。
【0019】
上記植物またはその抽出物を皮膚外用剤に配合して用いる場合、外用剤全量中に乾燥重量として0.0005〜20質量%配合するのが好ましく、より好ましくは0.001〜10質量%である。0.0005質量%未満では本発明のメラニン生成抑制効果が十分に発揮され難く、一方、20質量%を超えると製剤化が難しいので好ましくない。また、10質量%を超えて配合してもさほど大きな効果の向上は認められない。
【0020】
上記の皮膚外用剤には、上記必須成分以外に、通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる成分、例えば、その他の美白剤、保湿剤、酸化防止剤、油性成分、紫外線吸収剤、界面活性剤、増粘剤、アルコール類、粉末成分、色材、水性成分、水、各種皮膚栄養剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0021】
その他、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等の金属封鎖剤、カフェイン、タンニン、ベラパミル、トラネキサム酸およびその誘導体、甘草抽出物、グラブリジン、火棘の果実の熱水抽出物、各種生薬、酢酸トコフェロール、グリチルリチン酸およびその誘導体またはその塩等の薬剤、ビタミンC、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、コウジ酸、ルシノール、エラグ酸、カモミラ等の他の美白剤、グルコース、フルクトース、マンノース、ショ糖、トレハロース等の糖類なども適宜配合することができる。
【0022】
本発明の美白剤を配合した皮膚外用剤とは、通常医薬品、医薬部外品、化粧品等の分野で用いられるものを指し、その剤型は本発明の効果が発揮される限り、特に限定されるものではない。例えば、軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、浴用剤等、従来皮膚外用剤に用いられるものであればいずれでもよい。
【実施例】
【0023】
次に実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明する。ここで、配合量は質量%である。
実施例に先立ち、本発明の植物抽出物のメラニン生成抑制効果および美白効果に関する試験方法とその結果について説明する。
【0024】
(試験方法およびその結果)
1.試料の調製
以下に、本実施例で用いた植物抽出物の調製法について述べるが、これらの植物原料はいずれもネパール産の植物を用いた。
(1)Physalis divaricata 抽出液
Physalis divaricata の地上部0.629gを、室温で1週間メタノール20mLに浸漬し、抽出液をろ過、溶媒を留去し、メタノール抽出物0.078gを得た。この抽出物をDMSOに1質量%溶かし、この溶液を希釈して濃度を調整し、これを用いて以下の実験を行った。
【0025】
(2)Senecio chrysanthemoides 抽出液
Senecio chrysanthemoides の全草4.194gを、室温で1週間メタノール30mLに浸漬し、抽出液をろ過、溶媒を留去し、メタノール抽出物0.583gを得た。抽出物をDMSOに1質量%溶かし、この溶液を希釈して濃度を調整し、これを用いて以下の実験を行った。
【0026】
(3)Rabdosia coetsa 抽出液
Rabdosia coetsa の地上部20.0gを、室温で1週間メタノール200mLに浸漬し、抽出液をろ過、溶媒を留去し、メタノール抽出物1.136gを得た。この抽出物をDMSOに1質量%溶かし、この溶液を希釈して濃度を調整し、これを用いて以下の実験を行った。
【0027】
(4)Cyperus sp.(ネパール現地名 Namiramjan)抽出液
Cyperus sp.(ネパール現地名 Namiramjan)の全草1.289gを、室温で1週間メタノール20mLに浸漬し、抽出液をろ過、溶媒を留去し、メタノール抽出物0.068gを得た。この抽出物をDMSOに1質量%溶かし、この溶液を希釈して濃度を調整し、これを用いて以下の実験を行った。
【0028】
(5)Leontopodium jacotianum 抽出液
Leontopodium jacotianum の全草0.735gを、室温で1週間メタノール20mLに浸漬し、抽出液をろ過、溶媒を留去し、メタノール抽出物0.029gを得た。この抽出物をDMSOに1質量%溶かし、この溶液を希釈して濃度を調整し、これを用いて以下の実験を行った。
【0029】
(6)Swertia alata 抽出液
Swertia alata の地上部0.330gを、室温で1週間メタノール20mLに浸漬し、抽出液をろ過、溶媒を留去し、メタノール抽出物0.063gを得た。この抽出物をDMSOに1質量%溶かし、この溶液を希釈して濃度を調整し、これを用いて以下の実験を行った。
【0030】
(7)Artemisia roxburghiana 抽出液
Artemisia roxburghiana の全草3.970gを、室温で1週間メタノール50mLに浸漬し、抽出液をろ過、溶媒を留去し、メタノール抽出物0.325gを得た。この抽出物をDMSOに1質量%溶かし、この溶液を希釈して濃度を調整し、これを用いて以下の実験を行った。
【0031】
(8)Callistemon lanceolatus 抽出液
Callistemon lanceolatus の地上部2.53gを、室温で1週間メタノール20mLに浸漬し、抽出液をろ過、溶媒を留去し、メタノール抽出物0.23gを得た。抽出物をDMSOに2質量%溶かし、この溶液を希釈して濃度を調整し、これを用いて以下の実験を行った。
【0032】
2.細胞培養法
マウスB16メラノーマ細胞を使用した。イーグルMEMにFBS(10%)とαMSH(10ng/mL)を含む培地を試験培地とした。細胞は75cmフラスコにFBS(10%)を含むイーグルMEM培地を用いてCO2インキュベーター内で培養し、増殖させた。細胞をトリプシン溶液で剥がし、FBS(10%)を含むイーグルMEM培地を加え、1,100rpmで遠心して細胞を集めた。ディシュ(100x20mm)に細胞を300,000になるように播種し、5mLのFBS(10%)を含むイーグルMEM培地で1日間培養後、試験試料を各濃度含む試験培地で3日間培養を続け、以下の方法で細胞あたりのメラニン量の測定を行った。
【0033】
3.メラニン量の測定
細胞を5mLのトリプシン溶液で剥がし、15mLの遠心チューブに移した。デッシュに5mLのPBSを加え、同じ遠心チューブに移した。細胞数をCoulterZ1で測定した後に、1,100rpmで遠心して細胞を集めた。風乾後、2Mの水酸化ナトリウム溶液を100μL/10,000細胞になるように加え、60℃で3分間暖め、攪拌してメラニンを溶解した。その50μLを水150μLで希釈し、マイクロプレートリーダーで500nmの吸光度を測定した。結果は被験植物エキス無添加群に対する抑制率(%)で求めた。その結果を表1に示した。また、参考例として、すでにメラニン生成抑制作用のあることが知られているアルブチンについても上記と同様の試験を行った。その結果を併せて表1に示した。細胞増殖については、試験したすべての試料において「抑制なし」の結果であった。
【0034】
【表1】

【0035】
表1の結果より、Physalis divaricata 、Senecio chrysanthemoides 、Rabdosia coetsa 、Cyperus sp.(ネパール現地名 Namiramjan)、Leontopodium jacotianum 、Swertia alata 、Artemisia roxburghiana 、 Callistemon lanceolatus の抽出物は、細胞増殖に影響を与えることなくメラニンの生成を抑制することがわかり、アルブチンと同様に優れたメラニン生成抑制作用をもつことがわかった。
【0036】
4.美白効果試験
(4−1)美白剤配合皮膚外用剤の調製
美白剤を各試料として、下記の処方に調製した。調製方法は常法に従いアルコール相および水相を調製して行った。
(アルコール相)
99%エタノール 70.0 質量%
「表2」記載の美白剤 「表2」記載の量
(水相)
グリセリン 5.0
イオン交換水 残余
【0037】
(4−2)試験方法
紫外線を曝露したパネル(n=5)の皮膚を対象として、紫外線を曝露した日の14日後より、各処方液を1日1回ずつ8週間塗布した。塗布終了後、紫外線照射によって誘導される色素沈着に対して抑制効果があるかどうかを試験終了時に4段階の評価基準で調べた。結果を表2に示す。
(評価基準)
4:著効
3:有効
2:やや有効
1:効果なし
【0038】
【表2】

【0039】
表2より明らかなように、紫外線を曝露したパネルに対する Physalis divaricata 、Senecio chrysanthemoides 、Rabdosia coetsa 、Cyperus sp.(ネパール現地名 Namiramjan)、Leontopodium jacotianum 、Swertia alata 、Artemisia roxburghiana を添加した処方液には美白効果が認められた。
【0040】
以下に、本発明の美白剤を配合した皮膚外用剤の実施例を挙げる。配合した美白剤は上記で調製したものを用いた。配合量は質量%を表す。実施例1〜16で得られた皮膚外用剤はいずれも美白効果試験において効果が認められた。
【0041】
実施例1 クリーム
(処方)
ステアリン酸 5.0 質量%
ステアリルアルコール 4.0
イソプロピルミリステート 18.0
グリセリンモノステアリン酸エステル 3.0
プロピレングリコール 10.0
Physalis divaricata エタノール抽出物 0.01
苛性カリ 0.2
亜硫酸水素ナトリウム 0.01
防腐剤 適量
香料 適量
イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水にプロピレングリコールと Physalis divaricata エタノール抽出物 エタノール抽出物と苛性カリを加え溶解し、加熱して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を徐々に加え、全部加え終わってからしばらくその温度に保ち反応を起こさせる。その後、ホモミキサーで均一に乳化し、よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0042】
実施例2 クリーム
(処方)
ステアリン酸 2.0 質量%
ステアリルアルコール 7.0
水添ラノリン 2.0
スクワラン 5.0
2−オクチルドデシルアルコール 6.0
ポリオキシエチレン(25モル)セチルアルコールエーテル 3.0
グリセリンモノステアリン酸エステル 2.0
プロピレングリコール 5.0
Senecio chrysanthemoides ヘキサン抽出物 0.05
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
エチルパラベン 0.3
香料 適量
イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水にプロピレングリコールを加え、加熱して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を加え予備乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化した後、よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0043】
実施例3 クリーム
(処方)
固形パラフィン 5.0 質量%
ミツロウ 10.0
ワセリン 15.0
流動パラフィン 41.0
グリセリンモノステアリン酸エステル 2.0
ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタンモノラウリン酸エステル 2.0
石けん粉末 0.1
硼砂 0.2
Rabdosia coetsa アセトン抽出物 0.05
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
エチルパラベン 0.3
香料 適量
イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水に石けん粉末と硼砂を加え、加熱溶解して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相をかきまぜながら徐々に加え反応を行う。反応終了後、ホモミキサーで均一に乳化し、乳化後よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0044】
実施例4 乳液
(処方)
ステアリン酸 2.5 質量%
セチルアルコール 1.5
ワセリン 5.0
流動パラフィン 10.0
ポリオキシエチレン(10モル)モノオレイン酸エステル 2.0
ポリエチレングリコール1500 3.0
トリエタノールアミン 1.0
カルボキシビニルポリマー 0.05
Cyperus sp.(ネパール現地名 Namiramjan)酢酸エチルエステル抽出物 0.01
亜硫酸水素ナトリウム 0.01
エチルパラベン 0.3
香料 適量
イオン交換水 残余
(製法)
少量のイオン交換水にカルボキシビニルポリマーを溶解する(A相)。残りのイオン交換水にポリエチレングリコール1500とトリエタノールアミンを加え、加熱溶解して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を加え予備乳化を行い、A相を加えホモミキサーで均一乳化し、乳化後よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0045】
実施例5 乳液
(処方)
マイクロクリスタリンワックス 1.0 質量%
密ロウ 2.0
ラノリン 20.0
流動パラフィン 10.0
スクワラン 5.0
ソルビタンセスキオレイン酸エステル 4.0
ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタンモノオレイン酸エステル 1.0
プロピレングリコール 7.0
Leontopodium jacotianum 水抽出物 10.0
亜硫酸水素ナトリウム 0.01
エチルパラベン 0.3
香料 適量
イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水にプロピレングリコールを加え、加熱して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し、加熱融解して70℃に保つ(油相)。油相をかきまぜながらこれに水相を徐々に加え、ホモミキサーで均一に乳化する。乳化後よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0046】
実施例6 ゼリー
(処方)
95%エチルアルコール 10.0 質量%
ジプロピレングリコール 15.0
ポリオキシエチレン(50モル)オレイルアルコールエーテル 2.0
カルボキシビニルポリマー 1.0
苛性ソーダ 0.15
L−アルギニン 0.1
Swertia alata 50%エタノール水溶液抽出物 7.0
2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム 0.05
エチレンジアミンテトラアセテート・3ナトリウム・2水 0.05
メチルパラベン 0.2
香料 適量
イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水にカルボキシビニルポリマーを均一に溶解し、一方、95%エタノールにSwertia alata 50%エタノール水溶液抽出物、ポリオキシエチレン(50モル)オレイルアルコールエーテルを溶解し、水相に添加する。次いで、その他の成分を加えたのち苛性ソーダ、L−アルギニンで中和させ増粘する。
【0047】
実施例7 美容液
(処方)
(A相)
エチルアルコール(95%) 10.0 質量%
ポリオキシエチレン(20モル)オクチルドデカノール 1.0
パントテニールエチルエーテル 0.1
Artemisia roxburghiana エタノール抽出物 1.5
メチルパラベン 0.15
(B相)
水酸化カリウム 0.1
(C相)
グリセリン 5.0
ジプロピレングリコール 10.0
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
カルボキシビニルポリマー 0.2
精製水 残余
(製法)
A相、C相をそれぞれ均一に溶解し、C相にA相を加えて可溶化する。次いでB相を加えたのち充填を行う。
【0048】
実施例8 パック
(処方)
(A相)
ジプロピレングリコール 5.0 質量%
ポリオキシエチレン(60モル)硬化ヒマシ油 5.0
(B相)
Callistemon lanceolatus エタノール抽出物 0.01
オリーブ油 5.0
酢酸トコフェロール 0.2
エチルパラベン 0.2
香料 0.2
(C相)
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
ポリビニルアルコール 13.0
(ケン化度90、重合度2,000)
エタノール 7.0
精製水 残余
(製法)
A相、B相、C相をそれぞれ均一に溶解し、A相にB相を加えて可溶化する。次いでこれをC相に加えたのち充填を行う。
【0049】
実施例9 固形ファンデーション
(処方)
タルク 43.1 質量%
カオリン 15.0
セリサイト 10.0
亜鉛華 7.0
二酸化チタン 3.8
黄色酸化鉄 2.9
黒色酸化鉄 0.2
スクワラン 8.0
イソステアリン酸 4.0
モノオレイン酸POEソルビタン 3.0
オクタン酸イソセチル 2.0
Physalis divaricata エタノール抽出物 1.0
防腐剤 適量
香料 適量
(製法)
タルク〜黒色酸化鉄の粉末成分をブレンダーで十分混合し、これにスクワラン〜オクタン酸イソセチルの油性成分、Physalis divaricata エタノール抽出物、防腐剤、香料を加え良く混練した後、容器に充填、成型する。
【0050】
実施例10 乳化型ファンデーション(クリームタイプ)
(処方)
(粉体部)
二酸化チタン 10.3 質量%
セリサイト 5.4
カオリン 3.0
黄色酸化鉄 0.8
ベンガラ 0.3
黒色酸化鉄 0.2
(油相)
デカメチルシクロペンタシロキサン 11.5
流動パラフィン 4.5
ポリオキシエチレン変性ジメチルポリシロキサン 4.0
(水相)
精製水 50.0
1,3−ブチレングルコール 4.5
Senecio chrysanthemoides エタノール抽出物 1.5
ソルビタンセスキオレイン酸エステル 3.0
防腐剤 適量
香料 適量
(製法)
水相を加熱攪拌後、十分に混合粉砕した粉体部を添加してホモミキサー処理する。更に加熱混合した油相を加えてホモミキサー処理した後、攪拌しながら香料を添加して室温まで冷却する。
【0051】
実施例11 クリーム
(処方)
ステアリン酸 5.0 質量%
ステアリルアルコール 4.0
イソプロピルミリステート 18.0
グリセリンモノステアリン酸エステル 3.0
プロピレングリコール 10.0
Rabdosia coetsa エタノール抽出物 0.01
苛性カリ 0.2
亜硫酸水素ナトリウム 0.01
防腐剤 適量
香料 適量
イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水にプロピレングリコールと Rabdosia coetsa エタノール抽出物と苛性カリを加え溶解し、加熱して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を徐々に加え、全部加え終わってからしばらくその温度に保ち反応を起こさせる。その後、ホモミキサーで均一に乳化し、よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0052】
実施例12 クリーム
(処方)
ステアリン酸 2.0 質量%
ステアリルアルコール 7.0
水添ラノリン 2.0
スクワラン 5.0
2−オクチルドデシルアルコール 6.0
ポリオキシエチレン(25モル)セチルアルコールエーテル 3.0
グリセリンモノステアリン酸エステル 2.0
プロピレングリコール 5.0
Cyperus sp. ヘキサン抽出物 0.05
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
エチルパラベン 0.3
香料 適量
イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水にプロピレングリコールを加え、加熱して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を加え予備乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化した後、よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0053】
実施例13 クリーム
(処方)
固形パラフィン 5.0 質量%
ミツロウ 10.0
ワセリン 15.0
流動パラフィン 41.0
グリセリンモノステアリン酸エステル 2.0
ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタンモノラウリン酸エステル 2.0
石けん粉末 0.1
硼砂 0.2
Leontopodium jacotianum アセトン抽出物 0.05
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
エチルパラベン 0.3
香料 適量
イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水に石けん粉末と硼砂を加え、加熱溶解して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相をかきまぜながら徐々に加え反応を行う。反応終了後、ホモミキサーで均一に乳化し、乳化後よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0054】
実施例14 乳液
(処方)
ステアリン酸 2.5 質量%
セチルアルコール 1.5
ワセリン 5.0
流動パラフィン 10.0
ポリオキシエチレン(10モル)モノオレイン酸エステル 2.0
ポリエチレングリコール1500 3.0
トリエタノールアミン 1.0
カルボキシビニルポリマー 0.05
Swertia alata エチルエステル抽出物 0.01
亜硫酸水素ナトリウム 0.01
エチルパラベン 0.3
香料 適量
イオン交換水 残余
(製法)
少量のイオン交換水にカルボキシビニルポリマーを溶解する(A相)。残りのイオン交換水にポリエチレングリコール1500とトリエタノールアミンを加え、加熱溶解して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を加え予備乳化を行い、A相を加えホモミキサーで均一乳化し、乳化後よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0055】
実施例15 乳液
(処方)
マイクロクリスタリンワックス 1.0 質量%
密ロウ 2.0
ラノリン 20.0
流動パラフィン 10.0
スクワラン 5.0
ソルビタンセスキオレイン酸エステル 4.0
ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタンモノオレイン酸エステル 1.0
プロピレングリコール 7.0
Artemisia roxburghiana 抽出物 10.0
亜硫酸水素ナトリウム 0.01
エチルパラベン 0.3
香料 適量
イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水にプロピレングリコールを加え、加熱して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し、加熱融解して70℃に保つ(油相)。油相をかきまぜながらこれに水相を徐々に加え、ホモミキサーで均一に乳化する。乳化後よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0056】
実施例16 ゼリー
(処方)
95%エチルアルコール 10.0 質量%
ジプロピレングリコール 15.0
ポリオキシエチレン(50モル)オレイルアルコールエーテル 2.0
カルボキシビニルポリマー 1.0
苛性ソーダ 0.15
L−アルギニン 0.1
Callistemon lanceolatus 50%エタノール水溶液抽出物 7.0
2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム 0.05
エチレンジアミンテトラアセテート・3ナトリウム・2水 0.05
メチルパラベン 0.2
香料 適量
イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水にカーボポール940を均一に溶解し、一方、95%エタノールに Callistemon lanceolatus 50%エタノール水溶液抽出物、ポリオキシエチレン(50モル)オレイルアルコールエーテルを溶解し、水相に添加する。次いで、その他の成分を加えたのち苛性ソーダ、L−アルギニンで中和させ増粘する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナス科(Solanaceae)植物のフィサリス ディバリカタ( Physalis divaricata )、キク科(Compositae)植物のセネシオ クリサンセモイデス( Senecio chrysanthemoides )、シソ科(Labiatae)植物のラブドシア コエッツァ( Rabdosia coetsa )、カヤツリグサ科(Cyperaceae)植物のシペルス エスピー.( Cyperus sp.)(ネパール現地名 Namiramjan)、キク科(Compositae)植物のレオントポディウム ヤコティアヌム( Leontopodium jacotianum )、リンドウ科(Gentianaceae)植物のスウェルティア アラタ( Swertia alata )、キク科(Compositae)植物のアルテミシア ロクスブルギアナ( Artemisia roxburghiana )、フトモモ科(Myrtaceae)植物のカリステモン ランセオラタス( Callistemon lanceolatus )からなる群より選択される1種又は2種以上の植物の抽出物を含むことを特徴とする美白剤。
【請求項2】
請求項1に記載の美白剤を用いて肌の美白を行うことを特徴とする美白方法。
【請求項3】
請求項1に記載の美白剤を水相または油相に添加して美白用皮膚外用剤を製造することを特徴とする美白用皮膚外用剤の製造方法。

【公開番号】特開2008−150314(P2008−150314A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−339530(P2006−339530)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【出願人】(598041566)学校法人北里学園 (180)
【Fターム(参考)】