説明

翻訳システム、翻訳通信システム、機械翻訳方法、および、プログラム

【課題】 携帯端末向け音声翻訳システムにおいて、通信のコストとオーバーヘッドを最小限におさえつつ、ユーザから見た機能拡張を容易に実現する。
【解決手段】 翻訳システム10の翻訳手段決定部16は、入力部12から入力された言語データの翻訳処理を内部の翻訳部13で実行するか、通信制御部15を介し通信線57で接続された外部の翻訳サーバ70で実行するか、また、後者の場合に翻訳サーバ70にどのような処理を依頼するかを決定する。また、翻訳手段決定部16は、対象言語対、通信線57の状況、翻訳システム10と翻訳サーバ70の能力の比較などの情報を用いて、内部での処理内容と翻訳サーバ70での処理内容を柔軟に切り替える。翻訳部13での翻訳結果は出力部14から出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、翻訳システム、翻訳通信システム、機械翻訳方法、および、プログラムに関し、特に、翻訳処理を端末の翻訳部で実行するのか、あるいは、翻訳サーバで実行するのかを決定する翻訳システム、翻訳通信システム、機械翻訳方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
言語間の翻訳には、辞書をはじめとする言語知識データベースのための大容量の記憶装置と、自然言語の曖昧性を解消するための大きな計算能力が要求される。さらに、対象言語を増やそうとすると、辞書をはじめとする追加の計算機資源が必要となる。小型の携帯端末のように、利用可能なリソースが限られた状況でも、翻訳を実行し、あるいは対象言語の追加を可能にするために、従来から様々な考案が行われてきた。
【0003】
翻訳通信に必要な一部の機能しか搭載していない翻訳通信端末1a、翻訳通信端末1b、・・・翻訳通信端末1nと、翻訳通信端末1a〜翻訳通信端末1nどうしで翻訳通信が行えるように、通信回線を介して中継する複合通信処理装置2a、複合通信処理装置2bと、中央翻訳システム3a、中央翻訳システム3b、・・・、中央翻訳システム3nとから構成される翻訳通信システムが開示されている(たとえば、特許文献1)。
【0004】
図11に示すように、特許文献1による翻訳通信システムでは、翻訳通信端末1a〜翻訳通信端末1nが、翻訳通信に先立ち、自身の有する音声翻訳機能に関する構成を複合通信処理装置2a、または、複合通信処理装置2bを介し中央翻訳システム3a〜中央翻訳システム3nに通知する。通知を受けた中央翻訳システム3a〜中央翻訳システム3nは、翻訳通信端末1a〜翻訳通信端末1n単体では音声翻訳に不足している機能を補って翻訳通信を行う。これにより、音声認識機能、翻訳機能、音声合成機能といった音声翻訳の構成要素の一部しか具備しない翻訳通信端末1a〜翻訳通信端末1nの間で音声翻訳通信を行うことを可能にしている。役割分担は、翻訳通信端末1a〜翻訳通信端末1nごとに固定であり、常に中央翻訳システム3a〜中央翻訳システム3nが、翻訳通信端末1a〜翻訳通信端末1nの不足機能を補う形で分担が決まる。このように、特許文献1による翻訳通信システムには、計算機資源が不足しているため一部の機能しか搭載していない翻訳通信端末1a〜翻訳通信端末1nの間でも、音声翻訳の機能すべてを持つ端末と同様の音声翻訳通信が行える利点がある。
【0005】
【特許文献1】特開平1−95650号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した特許文献1による音声翻訳システムには、以下の課題がある。
【0007】
そして、翻訳通信端末1a〜翻訳通信端末1nと中央翻訳システム3a〜中央翻訳システム3nとの処理分担を決定するために、通訳処理の前に、翻訳通信端末1a〜翻訳通信端末1nは事前に複合通信処理装置2a、または、複合通信処理装置2bを介して中央翻訳システム3a〜中央翻訳システム3nに自身の情報を送信する必要がある。また、通訳処理は必ず中央翻訳システム3a〜中央翻訳システム3nを経由して行われる。そのため、通信状態が良好でないと翻訳機能が使えない、通信コストがかさむ、レスポンスが良くない等の欠点がある。
【0008】
翻訳処理における翻訳通信端末1a〜翻訳通信端末1nと中央翻訳システム3a〜中央翻訳システム3nとの処理分担を決定するのは中央翻訳システム3a〜中央翻訳システム3nである。中央翻訳システム3a〜中央翻訳システム3nには、任意の翻訳通信端末1a〜翻訳通信端末1nの組み合わせに対して、その間で音声翻訳機能を提供するにはどのような部分機能が不足するかをあらかじめ決定し、不足する部分機能を自分の責任で補う責任がある。言い換えれば、中央翻訳システム3a〜中央翻訳システム3nは、接続可能な全ての翻訳通信端末1a〜翻訳通信端末1nの任意の組み合わせに対して、対応可能な通訳機能のパーツをあらかじめ保持しておく必要があるため、中央翻訳システム3a〜中央翻訳システム3nの開発、および、メンテナンスに莫大なコストがかかる欠点がある。
【0009】
本発明の目的は、上記欠点を解決する翻訳システム、機械翻訳方法、および、翻訳制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の翻訳システムは、言語間の翻訳処理を行う翻訳部と、通信線を介した1以上の翻訳サーバとの通信を制御する通信制御部と、翻訳処理を前記翻訳部で実行するのか、あるいは、前記通信制御部を介して前記翻訳サーバに翻訳処理を依頼するのかを決定する翻訳手段決定部とを有することを特徴とする。
【0011】
本発明の第2の翻訳システムは、前記第1の翻訳システムであって、前記翻訳手段決定部が、前記翻訳部にて翻訳処理可能な言語対に応じて決定を行うことを特徴とする。
【0012】
本発明の第3の翻訳システムは、前記第1、または、第2の翻訳システムであって、前記翻訳手段決定部が、前記翻訳サーバとの通信状況の情報を用いて決定を行うことを特徴とする。
【0013】
本発明の第4の翻訳システムは、前記第1、第2、または、第3の翻訳システムであって、前記通信線を介した前記翻訳サーバとの通信を制御する前記通信制御部と、前記翻訳サーバに翻訳処理を依頼すると決定する際に、前記翻訳サーバのいずれに翻訳処理を依頼するかをも含めて決定する前記翻訳手段決定部と有することを特徴とする。
【0014】
本発明の第5の翻訳システムは、前記第4の翻訳システムであって、前記翻訳手段決定部は、前記翻訳サーバのいずれに翻訳処理を依頼するかの決定を、前記翻訳サーバと通信することにより前記翻訳サーバから入手した翻訳サーバ情報を用いて行うことを特徴とする。
【0015】
本発明の第6の翻訳システムは、前記第5の翻訳システムであって、前記翻訳サーバ情報として、翻訳可能な言語対、料金、訳質、対応ドメインのうち1ないし複数の情報を用いることを特徴とする。
【0016】
本発明の第7の翻訳システムは、前記第5、または、第6の翻訳システムであって、前記翻訳手段決定部が、前記翻訳サーバ情報として、前記翻訳サーバのネットワーク上のもしくは物理的な位置情報を入手して、前記翻訳サーバの位置情報と自身の位置情報とを比較して翻訳処理を前記翻訳部で実行するのか、あるいは、前記通信制御部を介して前記翻訳サーバに翻訳処理を依頼するのかを決定することを特徴とする。
【0017】
本発明の第8の翻訳システムは、言語間の翻訳処理を行う複数の翻訳部と、通信線を介した1以上の翻訳サーバとの通信を制御する通信制御部と、翻訳処理を前記翻訳部うちのどれで実行するのか、あるいは、前記通信制御部を介して前記翻訳サーバに翻訳処理を依頼するのかを決定する翻訳手段決定部とを有することを特徴とする。
【0018】
本発明の第9の翻訳システムは、前記第8の翻訳システムであって、前記翻訳手段決定部が、複数の前記翻訳部にて翻訳処理可能な言語対に応じて決定を行うことを特徴とする。
【0019】
本発明の第10の翻訳システムは、前記第8、または、第9の翻訳システムであって、前記翻訳手段決定部が、前記翻訳サーバとの通信状況の情報を用いて決定を行うことを特徴とする。
【0020】
本発明の第11の翻訳システムは、前記第8、第9、または、第10の翻訳システムであって、前記通信線を介した前記翻訳サーバとの通信を制御する前記通信制御部と、前記翻訳サーバに翻訳処理を依頼すると決定する際に、前記翻訳サーバのいずれに翻訳処理を依頼するかをも含めて決定する前記翻訳手段決定部と有することを特徴とする。
【0021】
本発明の第12の翻訳システムは、前記第11の翻訳システムであって、前記翻訳手段決定部は、前記翻訳サーバのいずれに翻訳処理を依頼するかの決定を、前記翻訳サーバと通信することにより前記翻訳サーバから入手した翻訳サーバ情報を用いて行うことを特徴とする。
【0022】
本発明の第13の翻訳システムは、前記第12の翻訳システムであって、前記翻訳サーバ情報として、翻訳可能な言語対、料金、訳質、対応ドメインのうち1ないし複数の情報を用いることを特徴とする。
【0023】
本発明の第14の翻訳システムは、前記第12、または、第13の翻訳システムであって、前記翻訳手段決定部が、前記翻訳サーバ情報として、前記翻訳サーバのネットワーク上のもしくは物理的な位置情報を入手して、前記翻訳サーバの位置情報と自身の位置情報とを比較して翻訳処理を前記翻訳部で実行するのか、あるいは、前記通信制御部を介して前記翻訳サーバに翻訳処理を依頼するのかを決定することを特徴とする。
【0024】
本発明の第1の機械翻訳方法は、原言語データを受けとるステップと、翻訳処理を端末の1以上の翻訳部のどれで行うのか、通信線を介して1以上の翻訳サーバに翻訳処理を依頼するのかを決定するステップと、決定に基づいて前記端末上で原言語データの翻訳処理を行うステップと、決定に基づいて前記翻訳サーバに原言語データの翻訳処理を依頼して結果を受け取るステップと、翻訳結果の目的言語データを出力するステップと、を含むことを特徴とする。
【0025】
本発明の第2の機械翻訳方法は、前記第1の機械翻訳方法であって、前記端末のどの前記翻訳部で翻訳処理を行うのか、または、前記通信線を介して前記翻訳サーバに依頼するのかを決める際に、翻訳対象の言語対の情報を用いることを特徴とする。
【0026】
本発明の第3の機械翻訳方法は、前記第1、第2、または第11の機械翻訳方法であって、前記端末で翻訳処理を行うのか、または、通信線を介して前記翻訳サーバに依頼するのかを決める際に、前記端末と前記翻訳サーバとの通信状況の情報を用いることを特徴とする。
【0027】
本発明の第4の機械翻訳方法は、原言語データを受けとるステップと、端末上で翻訳処理を行うか、通信路を介して接続された外部の複数の翻訳サーバのいずれに翻訳処理を依頼するかを決定するステップと、決定に基づいて端末上で翻訳処理を行うステップと、決定に基づいて外部の翻訳サーバの一つに原言語データの翻訳処理を依頼して結果を受け取るステップと、翻訳結果の目的言語データを出力するステップとを含むことを特徴とする。
【0028】
本発明の第5の機械翻訳方法は、原言語データを受けとるステップと、1以上の翻訳サーバに翻訳サーバ情報を要求し入手するステップと、端末上で翻訳処理を行うか、通信線を介して接続された前記翻訳サーバのいずれに翻訳処理を依頼するかを、入手した翻訳サーバ情報に基づいて決定するステップと、前記の決定に基づいて前記端末上で翻訳処理を行うステップと、前記決定に基づいて外部の翻訳サーバの一つに原言語データの翻訳処理を依頼して結果を受け取るステップと、翻訳結果の目的言語データを出力するステップと、を含むことを特徴とする。
【0029】
本発明の第6の機械翻訳方法は、前記第5の機械翻訳方法であって、1以上の前記翻訳サーバに、翻訳可能な言語対、料金、訳質、対応ドメインの1ないし複数の情報を要求・入手し、これを用いてどこで翻訳処理を行うかを決定することを特徴とする。
【0030】
本発明の第7の機械翻訳方法は、前記第5、または、第6の機械翻訳方法であって、外部の複数の翻訳サーバに、ネット上または物理的な位置情報を要求・入手し、これと端末自身の位置情報を比較として、どこで翻訳処理を行うかを決定することを特徴とする。
【0031】
本発明の第1のプログラムは、原言語データを受けとる処理と、翻訳処理を端末で行うか、通信線を介して翻訳サーバに翻訳処理を依頼するかを決定する処理と、決定に基づいて前記端末で原言語データの1以上の翻訳部で翻訳を実行する処理と、決定に基づいて前記翻訳サーバに原言語データの翻訳処理を依頼して結果を受け取る処理と、翻訳結果の目的言語データを出力する処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0032】
本発明の第2のプログラムは、前記第1のプログラムであって、翻訳対象の言語対の情報を用いて、前記端末上で翻訳処理を行うのか、または、前記通信線を介して前記翻訳サーバに依頼するかを決定する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0033】
本発明の第3のプログラムは、前記第1、または、第2のプログラムであって、前記端末と前記翻訳サーバとの通信状況の情報を用いて、前記端末で翻訳処理を行うのか、または、前記通信線を介して前記翻訳サーバに依頼するのかを決定する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0034】
本発明の第4のプログラムは、原言語データを受けとる処理と、端末上で翻訳処理を行うのか、通信路を介して接続された複数の翻訳サーバのいずれかに翻訳処理を依頼するのかを決定する処理と、決定に基づいて前記端末で翻訳処理を行う処理と、決定に基づいて前記翻訳サーバの一つに原言語データの翻訳処理を依頼して結果を受け取る処理と、翻訳結果の目的言語データを出力する処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0035】
本発明の第5のプログラムは、原言語データを受けとる処理と、複数の翻訳サーバに翻訳サーバ情報を要求し入手する処理と、端末で翻訳処理を行うのか、通信線を介して接続された複数の前記翻訳サーバのいずれに翻訳処理を依頼するのかを、前記の処理で前記翻訳サーバから入手した翻訳サーバ情報に基づいて決定する処理と、前記の決定に基づいて前記端末で翻訳を実行する処理と、前記決定に基づいて前記翻訳サーバの一つに原言語データの翻訳処理を依頼して結果を受け取る処理と、翻訳結果の目的言語データを出力する処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0036】
本発明の第6のプログラムは、前記第5のプログラムであって、前記翻訳サーバに、翻訳可能な言語対、料金、訳質、対応ドメインの一ないし複数の翻訳サーバ情報を要求・入手し、この翻訳サーバ情報を用いてどこで翻訳処理を行うかを決定する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0037】
本発明の第7のプログラムは、前記第5または、第6のプログラムであって、前記翻訳サーバに、ネットワーク上または物理的な位置情報を要求・入手する処理と、この情報と前記端末自身の位置情報とを比較として、どこで翻訳処理を行うかを決定する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
本発明の翻訳通信システムは、1以上の翻訳サーバと、通信線と、
言語間の翻訳処理を行う翻訳部、および、前記通信線を介した前記翻訳サーバとの通信を制御する通信制御部と、翻訳処理を前記翻訳部で実行するのか、あるいは、前記通信制御部を介して前記翻訳サーバに翻訳処理を依頼するのかを決定する翻訳手段決定部を備える翻訳システムとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0038】
本発明の効果は、通信のコストとオーバーヘッドを最小限におさえつつ、ユーザから見た機能拡張を容易に実現することができ、通信状況が良くない場合には、翻訳システム側で可能な代替処理を行うなどして、状況に応じた適切な処理を行うことが可能となることである。
【0039】
その理由は、翻訳処理をローカルシステム単独で実行するか、外部の翻訳サーバに委譲して実行するかの判断を、翻訳システム側の翻訳手段決定部にて行うからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
次に、本発明を実施するための第1の最良の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0041】
図1は、本発明を実施するための第1の最良の形態の構成を示すブロック図である。
【0042】
図1を参照すると、本発明を実施するための第1の最良の形態である翻訳システム10は、入力部12と、翻訳部13と、出力部14と、通信制御部15と、翻訳手段決定部16とから構成されている。入力部12は、外部から翻訳対象となる原言語の入力データを受け取る。翻訳部13は、入力された原言語データから目的言語への翻訳を行う。出力部14は、翻訳結果の目的言語データを出力する。翻訳システム10は、外部の翻訳サーバ70と通信線57を介して通信する機能を有し、通信制御部15が翻訳システム10と翻訳サーバ70との間の通信を制御する。翻訳手段決定部16は、翻訳処理を翻訳部13で行うか、通信線57を介して外部の翻訳サーバ70に処理を委譲するかを決定する。
【0043】
翻訳システム10は、コンピュータで構成可能である。コンピュータは、プロセッサと記憶装置(メモリ、ハードディスク等)とを含む。入力部12、翻訳部13、出力部14、通信制御部15、および、翻訳手段決定部16は、翻訳制御プログラムとして実現可能である。この翻訳制御プログラムは、前記記憶装置に格納され、前記プロセッサにより読み出され実行される。また、入力部12、翻訳部13、通信制御部15、および、翻訳手段決定部16は、出力を前記記憶装置に格納し、その出力を前記記憶装置から読み出して使用することが可能である。すなわち、翻訳システム10は、ハードウェアとソフトウェアとの協働により処理を実施することが可能である。以後、このことは、いちいち記述しない。
【0044】
次に、本発明を実施するための第1の最良の形態の動作について、図面を参照して詳しく説明する。
【0045】
図4は、本発明を実施するための第1の最良の形態の動作を示すフローチャートである。
【0046】
図4を参照すると、まず、ユーザは、入力部12に翻訳したい原言語データを入力する(図4ステップ3−1)。次に、翻訳手段決定部16が、翻訳処理を翻訳部13で行うか、外部の翻訳サーバ70に委譲するかを決定する(ステップ3−2)。翻訳処理を翻訳部13で行うと決定した場合(ステップ3−3でYes)、入力データは翻訳部13に送られ、目的言語への翻訳処理が行われる(ステップ3−4)。翻訳結果は出力部14に送られ、外部に出力される(ステップ3−7)。一方、翻訳手段決定部16が、翻訳処理を翻訳サーバ70に委譲すると決定した場合(ステップ3−3でNo)、通信制御部15が通信線57を介して入力データを翻訳サーバ70に送信し、翻訳処理を依頼する(ステップ3−5)。通信制御部15は、翻訳サーバ70による翻訳結果を通信線57を介して受け取る(ステップ3−6)。翻訳部13による翻訳結果、または翻訳サーバ70より通信制御部15が受け取った翻訳結果は、出力部14に送られ、外部に出力される(ステップ3−7)。
【0047】
ステップ3−2における翻訳手段決定部16の判断ロジックは、様々に構成することができる。一例として、判断ロジックは、翻訳対象の言語対が、翻訳部13が対象とする言語対の場合は翻訳部13を選択し、翻訳部13で処理できない言語対の場合は外部の翻訳サーバ70を選択するように構成することができる。これは、可能な限り翻訳部13を利用し、不可能な場合は外部の翻訳サーバ70に処理を委譲するという原則に基づいた構成例である。あるいは、別の一例として、判断ロジックは、可能な限り外部の翻訳サーバ70を利用し、不可能な場合は翻訳部13を利用するという原則に基づいた構成も可能である。この構成に基づいた判断ロジックとしては、例えば、通信線57が安定して確立されているかどうか、通信制御部15を介してチェックを行い、通信線57が安定している場合は外部の翻訳サーバ70に翻訳処理を依頼し、不安定ないし通信線57が確立できない場合は翻訳部13で処理を行う、という判断を行うように構成することができる。もちろん、言語対と通信路の安定性の双方を考慮する、または、それ以外の要因を考慮して判断を行うように構成することも可能である。
【0048】
本発明による翻訳システム10は、従来技術と異なり、翻訳処理をローカルの翻訳システム10単独で実行するか、外部の翻訳サーバ70に委譲して実行するかの判断を、翻訳システム10の翻訳手段決定部16にて行う。例えば、翻訳システム10単体で可能な処理はできるだけ翻訳システム10で行い、翻訳システム10側で不可能な処理のみセンタの翻訳サーバ70に依頼することにより、通信のコストとオーバーヘッドを最小限におさえつつ、ユーザから見た機能拡張を容易に実現することができる。また、通信状況が良くない場合には、翻訳システム側で可能な代替処理を行うなどして、状況に応じた適切な処理を行う翻訳システムを提供することができる。
【0049】
翻訳処理をローカルに行うか外部の翻訳サーバ70上で行うかは、翻訳手段決定部16が自動的に判断するため、ユーザはこの判断を行う必要がなく、ユーザの負担を軽減できる。また、翻訳システム10の翻訳手段決定部16は、翻訳システム10自身および複数の翻訳サーバ70から最適なものを選択して翻訳処理を実行・依頼するため、翻訳システム10自身と複数の外部の翻訳サーバ70の能力、品質、コスト等を勘案して、最適な翻訳手段を選択し利用することができる。逆に、外部の翻訳サーバ70は、全てのローカルシステムの要求に対応する必要はなく、自分が対応可能なリクエストのみに応答して翻訳処理を引き受ければよい。このため、センタシステムの開発と維持のコストを低減できる。また、外部の翻訳サーバ70を、複数のサービス提供者が提供し、互いに競争することにより、サービスの内容の進歩、コストの低下、ユーザにメリットのある新サービスの提供など、ユーザにとっての利便性がさらに高まることも期待できる。
【0050】
例えば、通常よく使用する言語対の翻訳機能は翻訳システム10に保持しておき、それ以外の言語対の翻訳機能が必要になった場合は、外部の翻訳サーバ70に翻訳処理を依頼する。すなわち、翻訳手段決定部16は、翻訳を要求された言語対に応じて、翻訳システム10単体で可能なら翻訳システム10で翻訳処理を行い、不可能なら外部の翻訳サーバ70にて翻訳処理を行うという判断処理を行う。これにより、ユーザからは、翻訳システム10上にない言語対の翻訳機能が、必要になった時点で自動的に拡張されたように見える。外部の翻訳サーバ70への委譲の判断は、翻訳手段決定部16が自動的に行うため、ユーザへの負担はない。すなわち、ユーザにとって、必要な機能拡張が容易に行える利点がある。また、必要なぶんだけセンタの翻訳サーバ70に翻訳処理を依頼すればよいので、拡張機能全体を翻訳システム10に追加する場合と比べ、コストも抑えられる。一方、通信状況が不良で、外部の翻訳サーバ70と通信できない場合でも、翻訳システム10単体に搭載した翻訳機能は問題なく利用できるため、通信できない場合に全く使用できなくなることはなく、状況に応じて、翻訳システム10で適切な処理を行うことが可能になる。これは、翻訳手段決定部16を翻訳システム10に有する本発明の利点である。
【0051】
あるいは、翻訳手段決定部16の別の実現方法として、可能な限り外部の翻訳サーバ70で翻訳処理を行い、通信状況が悪い等何らかの理由で外部の翻訳サーバ70に処理を委譲できなければ翻訳システム10で翻訳処理を行うように実現することもできる。例えば、翻訳システム10の翻訳部13としては、単語の辞書引き程度の簡便な翻訳機能を設けておき、通信状況がよければ、外部の翻訳サーバ70に接続して質のよい翻訳処理を行い、通信状況が悪ければ、翻訳システム10の翻訳部13で簡便な翻訳処理を行う。これにより、サーバベースの翻訳システム10の利点を残しつつ、通信状況が悪い時にも、その状況に応じたなりの翻訳結果をユーザに提供できる利点がある。これも、翻訳システム10が翻訳手段決定部16を持つ本発明に特有の利点である。
【0052】
次に、本発明を実施するための第2の最良の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0053】
図2は、本発明を実施するための第2の最良の形態の構成を示すブロック図である。
【0054】
図2を参照すると、本発明を実施するための第2の最良の形態である翻訳システム10は、入力部12と、第1の翻訳部17と、第2の翻訳部18と、出力部14と、通信制御部15と、翻訳手段決定部16とから構成されている。翻訳システム10は、通信線57を介して、外部の翻訳サーバ70と通信を行う機能を持ち、通信制御部15が翻訳システム10と翻訳サーバ70との間の通信を制御する。
【0055】
本発明を実施するための第2の最良の形態の翻訳システム10は、本発明を実施するための第1の最良の形態の翻訳システム10と同様に、ハードウェアとソフトウェアとの協働により処理を実施することが可能である。以後、このことは、いちいち記述しない。
【0056】
次に、本発明を実施するための第2の最良の形態の動作について、図面を参照して説明する。
【0057】
図5は、本発明を実施するための第2の最良の形態の動作を示すフローチャートである。
【0058】
図5を参照すると、まず、ユーザは、入力部12に翻訳対象の原言語データを入力する(図5ステップ4−1)。次に、翻訳手段決定部16が、翻訳処理を第1の翻訳部17で実行するか、第2の翻訳部18で実行するか、あるいは外部の翻訳サーバ70に処理を依頼するかを決定する(ステップ4−2)。翻訳処理を第1の翻訳部17で行うと決定した場合(ステップ4−3で、「第1の翻訳部17を選択」)、入力データは第1の翻訳部17に送られ、目的言語への翻訳処理が行われる(ステップ4−4)。翻訳処理を第2の翻訳部18で行うと決定した場合(ステップ4−3で、「第2の翻訳部18を選択」)、入力データは第2の翻訳部18に送られ、目的言語への翻訳処理が行われる(ステップ4−6)。翻訳処理を外部の翻訳サーバ70に依頼すると決定した場合(ステップ4−3で、「センタの翻訳サーバ70を選択」)、通信制御部15の制御のもとに、翻訳システム10は原文を通信線57を介して翻訳サーバ70に送り、翻訳処理を依頼する(ステップ4−5)。翻訳サーバ70による翻訳処理後、通信制御部15がその結果を通信線57を介して受信する(ステップ4−7)。こうして得られた翻訳結果は出力部14より出力される(ステップ4−8)。
【0059】
このように、本発明を実施するための第2の最良の形態では、翻訳手段決定部16の決定に従って、第1の翻訳部17、第2の翻訳部18、または、外部の翻訳サーバ70で翻訳処理が実行される。
【0060】
次に、第1の翻訳部17、第2の翻訳部18について図面を参照してさらに詳細に説明する。
【0061】
図7は、本発明を実施するための第2の最良の形態の第1の翻訳部17の構成を示すブロック図である。
【0062】
図7を参照すると、第1の翻訳部17は、形態素解析部31、構文・意味解析部32、言語変換部33、構文生成部34、形態素生成部35、日英・英日翻訳用辞書36、および、記憶装置37から構成されており、日本語から英語へ、および、英語から日本語へと機械翻訳を行う機能を持つ。まず、形態素解析部31は入力された原文を形態素に分割し、形態素列を記憶装置37に格納する。構文・意味解析部32は、記憶装置37からこの形態素列を読み出し構文解析および意味解析を行い、解析結果を前記記憶装置に格納する。言語変換部33は、記憶装置37から解析結果を読み出し構造変換を行い記憶装置37に再度格納する。構文生成部34は、記憶装置37から構造変換後の解析結果を読み出し目的言語の統語構造へと変換し、記憶装置37に格納する。次に、形態素生成部35が、記憶装置37から目的言語の統語構造を読み出し活用形など形態素レベルの微調整を行い、訳文を出力する。すべての処理ステップにおいて、必要に応じて日英・英日翻訳用辞書36が参照される。
【0063】
また、形態素解析部31〜形態素生成部35間の受け渡しに、記憶装置37を使用せず、直接の受け渡しを行う構成も可能である。
【0064】
図8は、本発明を実施するための第2の最良の形態の第2の翻訳部18の構成を示すブロック図である。
【0065】
図8を参照すると、第2の翻訳部18は、原文から単語を抽出する単語抽出部81、辞書検索部82、検索結果出力部83、辞書検索部82の検索対象辞書である日韓辞書84a、日中辞書84b、日仏辞書84c、日英辞書84d、日西辞書84e、韓日辞書84f、中日辞書84g、仏日辞書84h、英日辞書84i、および、西日辞書84jから構成されている。単語抽出部81は、単語間のスペース、文字種等の情報を使って検索対象となる単語(一般に複数)を切り出す。単語の切り出しには、単語辞書を使った形態素解析処理を行っても良い。辞書検索部82は、切り出された検索対象の単語を入力し指定された言語対に対応する辞書を検索し検索結果を出力する。例えば、日本語→英語の言語対が指定され、日本語文が入力された場合は、辞書検索部82は、切り出された日本語の単語をキーとして、日英辞書84dを検索する。検索結果出力部83は、検索結果を入力し第2の翻訳部18の外部に出力する。第1の翻訳部17は、文、または、それより大きな単位を対象とする機械翻訳処理を行うのに対し、第2の翻訳部18は、単語を対象とする辞書引きのみを行う。第2の翻訳部18の処理のほうが、第1の翻訳部17の処理よりも軽く、翻訳部自体の作成も容易であり、比較的低コストで多数の言語対に対応可能であるため、第1の翻訳部17と比較して、より多くの言語対に対応したものを翻訳システム10に搭載可能である。ただし、単語単位の辞書引きであるため、表現や文レベルで正しい訳が得られるわけではなく、この点は第1の翻訳部17に劣る。
【0066】
図9は、本発明を実施するための第2の最良の形態の翻訳手段決定部16の動作を説明するフローチャートである。
【0067】
図9を参照すると、翻訳手段決定部16は、まず、翻訳対象言語対が、第1の翻訳部17で翻訳処理可能な言語対であるかどうかチェックする(ステップ6−1)。図7に示す構成では、第1の翻訳部17が翻訳可能な言語対は、日本語→英語、および、英語→日本語なので、翻訳手段決定部16は、指定言語対がこのいずれかであるかどうかをチェックする。翻訳手段決定部16は、第1の翻訳部17で処理可能な言語対である場合(ステップ6−1でYes)、第1の翻訳部17で翻訳処理を実行すると決定する(ステップ6−4)。そうでない場合(ステップ6−1でNo)、翻訳手段決定部16は、翻訳サーバ70との通信が安定しているかどうかをチェックする(ステップ6−2)。翻訳サーバ70との通信が安定している場合(ステップ6−2でYes)、翻訳手段決定部16は、翻訳対象の言語対が、翻訳サーバ70の処理対象としている言語対かどうかをチェックする(ステップ6−3)。
【0068】
翻訳対象言語対が、翻訳サーバ70の対象としている言語対である場合(ステップ6−3でYes)、翻訳手段決定部16は、翻訳サーバ70で翻訳処理を実行すると決定する(ステップ6−5)。一方、翻訳サーバ70との通信が安定していないと判断した場合(ステップ6−2でNo)、または、翻訳対象の言語対が翻訳サーバ70の処理対象でない場合(ステップ6−3でNo)、翻訳手段決定部16は、第2の翻訳部18で翻訳処理を実行すると決定する(ステップ6−6)。
【0069】
このように、ローカルシステムで翻訳処理が可能なら優先して実行し、そうでなければ、外部の翻訳サーバ70に処理を委譲し、それもかなわない場合は、ローカルに別の翻訳処理を行うことにより、状況に応じた適切なサービスをユーザに提供することができる。
【0070】
例えば、日英の翻訳処理が指示された場合は、第1の翻訳部17で翻訳可能な言語対なので、ステップ6−1でYesとなり、第1の翻訳部17が翻訳処理を実行する。日仏の翻訳処理が指示された場合は、第1の翻訳部17では翻訳できないので、ステップ6−1でNoとなり、翻訳手段決定部16は、ステップ6−2で翻訳サーバ70との通信が安定しているかどうかをチェックする。通信が安定していれば、ステップ6−2でYesとなり、翻訳手段決定部16は、翻訳サーバ70が日仏の言語対を翻訳処理の対象としているかどうかをチェックする。対象としていれば、ステップ6−3でYesとなり、日仏翻訳を翻訳サーバ70が実行する。一方、ステップ6−2で翻訳サーバ70との通信が安定して確立できていない場合は、第2の翻訳部18が翻訳処理を実行する。第2の翻訳部18は、日本語から仏語への辞書引き処理を行って、辞書引きの結果を出力する。
【0071】
翻訳システム10において、例えば、第1の翻訳部17は一般的な機械翻訳部として構成し、第2の翻訳部18は、第1の翻訳部17が対象としないできるだけ多数の言語に対する辞書引き機能として構成可能である。翻訳手段決定部16は、第1の翻訳部17で翻訳可能な言語対に対しては第1の翻訳部17を選択し、それ以外の言語対に対しては外部の翻訳サーバ70に翻訳処理を委譲する。しかし、通信状態が悪く外部の翻訳サーバ70と通信できない、外部の翻訳サーバ70が混雑のため処理を受け付けられない、対象言語対でないため翻訳できない等、何らかの事情で外部の翻訳サーバ70が翻訳処理できない場合は、翻訳手段決定部16は、第2の翻訳部18に処理を委譲することが可能である。第2の翻訳部18は、多くの言語対に対する辞書引き機能を有して構成されているため、たいていの場合に、辞書引き結果をユーザに返すことができる。こうして、第1の翻訳部17では翻訳が行えず、さらに何らかの理由で外部の翻訳サーバ70に翻訳処理を委譲できない場合でも、翻訳の参考となる情報をユーザに提示することができる。言い換えれば、翻訳手段決定部16が、第1の翻訳部17、外部の翻訳サーバ70、第2の翻訳部18に対して、状況に応じて最適な使い分けの判断を下すため、幅広い状況で、ユーザに適切な情報を提示できる効果がある。
【0072】
次に、本発明を実施するための第3の最良の形態の動作について、図面を参照して説明する。
【0073】
図3は、本発明を実施するための第3の最良の形態を示すブロック図である。
【0074】
図3を参照すると、本発明を実施するための第3の最良の形態である翻訳システム10は、入力部12と、翻訳部13と、出力部14と、通信制御部15と、翻訳手段決定部16とから構成されている。さらに、翻訳システム10は、通信線57を介して、外部にある第1の翻訳サーバ71、および、第2の翻訳サーバ90と通信を行う機能を持ち、通信制御部15は、翻訳システム10と第1の翻訳サーバ71、および、第2の翻訳サーバ90との間の通信を制御する。
【0075】
次に、本発明を実施するための第3の最良の形態の動作について図面を参照して詳しく説明する。
【0076】
図6は、本発明の第3の実施形態の動作を示すフローチャートである。
【0077】
図6を参照すると、入力部12より原文が入力されると(ステップ5−1)、翻訳手段決定部16が、翻訳部13、外部の第1の翻訳サーバ71、または、第2の翻訳サーバ90のいずれかを選択する(ステップ5−2)。翻訳部13が選択された場合(ステップ5−3で「翻訳部13を選択」)、翻訳部13が、入力部12からの原文の翻訳処理を実行する(ステップ5−4)。第1の翻訳サーバ71が選択された場合(ステップ5−3で「第1翻訳サーバ71を選択」)、通信制御部15が、第1の翻訳サーバ71に原文を送信して、翻訳処理を依頼する。第2の翻訳サーバ90が選択された場合(ステップ5−3で「第2の翻訳サーバ90を選択」)、通信制御部15が、第2の翻訳サーバ90に原文を送信して、翻訳処理を依頼する。第1の翻訳サーバ71、または、第2の翻訳サーバ90に翻訳処理が依頼された場合、通信制御部15が、ステップ5−7にて翻訳結果を受信する。こうして得られた翻訳結果は、出力部14が出力する(ステップ5−8)。
【0078】
図10は、本発明を実施するための第3の最良の形態において、翻訳手段決定部16が利用する翻訳手段を決定する動作(ステップ5−2)の詳細を説明するフローチャートである。
【0079】
まず、通信制御部15が、通信線57を介して、ネットワークに対して翻訳処理のリクエストをブロードキャストする(図10ステップ7−1)。このブロードキャストには、言語対の指定をはじめ、第1の翻訳サーバ71、および、第2の翻訳サーバ90に対する要求を格納しておく。ブロードキャストを受け取った第1の翻訳サーバ71、および、第2の翻訳サーバ90は、格納された要求に対応できることを確認して、通信線57を介して翻訳システム10に応答を返す(ステップ7−2)。この応答には、翻訳サービスのコストなど、第1の翻訳サーバ71、または、第2の翻訳サーバ90が提供可能な翻訳サービスの内容に関する情報が含まれている。この応答を受け取った翻訳システム10の翻訳手段決定部16は、内部の翻訳部13の能力と、第1の翻訳サーバ71、および、第2の翻訳サーバ90からの応答とを比較検討し、まず、翻訳処理を翻訳部13で行うべきか、応答を返した第1の翻訳サーバ71、または、第2の翻訳サーバ90のいずれかに処理を委譲すべきかを判断する(ステップ7−3)。翻訳手段決定部16は、翻訳部13で処理を行うべきと判断した場合(ステップ7−3でYes)、その判断を翻訳手段決定部16の最終判断として(ステップ7−8)、処理を完了する。一方、翻訳手段決定部16が、翻訳部13ではなく、応答を返した第1の翻訳サーバ71、または、第2の翻訳サーバ90のいずれかで翻訳処理を行うべきと判断した場合(ステップ7−3でNo)、実際の翻訳処理を、具体的に第1の翻訳サーバ71、第2の翻訳サーバ90のどちらに依頼するかを選択する(ステップ7−4)。翻訳手段決定部16は、この選択に、第1の翻訳サーバ71、第2の翻訳サーバ90からの応答に含まれるサービスに関する情報を利用する。翻訳手段決定部16が、選択すると、通信制御部15が、選択された第1の翻訳サーバ71(または、第2の翻訳サーバ90)に、通信線57を介して、実際の利用開始のリクエストを送信する(ステップ7−5)。通信制御部15は、送信したサーバからのレスポンスを待ち(ステップ7−6)、利用開始リクエストが受理されたことを確認する(ステップ7−7)。受理が確認されたら(ステップ7−7でYes)、翻訳手段決定部16の最終判断として、選択した第1の翻訳サーバ71(または、第2の翻訳サーバ90)を利用することを決定し(ステップ7−9)、処理を完了する。一方、選択された第1の翻訳サーバ71(または、第2の翻訳サーバ90)が利用開始リクエストを受理しなかった場合、処理の最初に戻り、ステップ7−1から処理をやりなおす。以上、ローカルの翻訳部13と、ネットワーク上の複数の第1の翻訳サーバ71、第2の翻訳サーバ90から、対応する言語対やコストなど様々な要因を考慮のうえ、翻訳処理を行うのに最適な手段を選択することができる。
【0080】
図11(a)は、ブロードキャストメッセージ(図10ステップ7−1)に含まれる、第1の翻訳サーバ71、および、第2の翻訳サーバ90に対する要求条件の例を示す説明図である。
【0081】
この例では、LANGは翻訳言語対、COSTは翻訳コスト、QUALは翻訳品質に対する要求事項であることを表す。LANGに対する要求は、翻訳対象の言語対としては日本語→フランス語、および、フランス語→日本語を含むこと、翻訳コストは一文あたり0.01ドル以下であること、および、翻訳品質は10段階評価で8以上であることを要求している。翻訳品質は、訳質の目安を表すために第1の翻訳サーバ71、第2の翻訳サーバ90に保持された数値であり、ユーザのフィードバックや第3者による評価など、何らかの手段で与えられているものとする。
【0082】
図11(b)は、このリクエストに対する第1の翻訳サーバ71の応答に含まれる提供サービス情報の例を示す説明図である。
【0083】
翻訳言語対は、日本語→フランス語、および、フランス語→日本語であり、一文あたりの翻訳コストは0.008ドル、翻訳品質は10段階評価で8であることを示している。
【0084】
図11(c)は、同じリクエストに対する第2の翻訳サーバ90の応答に含まれる提供サービス情報の例を示す説明図である。
【0085】
翻訳言語対は、日本語→フランス語、および、フランス語→日本語であり、一文あたりの翻訳コストは0.09ドル、翻訳品質は10段階評価で8であることを示している。
【0086】
次に、翻訳システム10に対してユーザが日仏翻訳を指示し、翻訳部13が日仏翻訳の機能を持たない場合の翻訳手段決定部16の動作を詳しく説明する。
【0087】
まず、翻訳リクエストのブロードキャスト(ステップ7−1)には、図11(a)に示す情報が格納される。ネットワーク上の第1の翻訳サーバ71、第2の翻訳サーバ90は、自分の翻訳可能な言語対と、コスト、訳質とブロードキャストされた要求とを比較し、要求を満足できると判断すれば、翻訳システム10に対するレスポンスを返す。第1の翻訳サーバ71は、図11(b)に示す内容を返し、第2の翻訳サーバ90は、図11(c)に示す内容を返す(ステップ7−2)。次に、翻訳手段決定部16は、ステップ7−3で、翻訳処理を翻訳部13で行うかどうかを判断するが、ここでは、翻訳部13は、日仏の翻訳機能を持たないと想定しているため、ステップ7−3の判断は、Noとなる。次に、翻訳手段決定部16は、ステップ7−4にて、第1の翻訳サーバ71、第2の翻訳サーバ90のどちらを利用するのかを選択する。第1の翻訳サーバ71と第2の翻訳サーバ90とでは、翻訳可能な言語対、および、翻訳品質には差がないが、コストは、第1の翻訳サーバ71が1文あたり0.008ドルであり、第2の翻訳サーバ90が1文あたり0.009ドルであり、第1の翻訳サーバ71のほうが安価である。このため、ステップ7−4では、第1の翻訳サーバ71が選択されたものとする。この後、翻訳システム10は、第1の翻訳サーバ71に利用開始リクエストを送信し(ステップ7−5)、受理を確認する(ステップ7−6の後、ステップ7−7でYes)。翻訳手段決定部16は、ステップ7−9にて、第1の翻訳サーバ71で翻訳処理を行うことを最終的に決定し、処理を完了する。
【0088】
本発明を実施するための第3の最良の形態における翻訳システム10において、翻訳手段決定部16が用いる、第1の翻訳サーバ71、第2の翻訳サーバ90、・・・、第nの翻訳サーバからの応答に含まれるサービス条件としては、上述した言語対、コスト、翻訳品質以外にも、様々な項目を設定・利用することが可能である。例えば、得意とする翻訳対象分野の情報を第1の翻訳サーバ71、第2の翻訳サーバ90、・・・、第nの翻訳サーバから返すようにすることが可能である。これにより、例えば翻訳システム10を携帯してレストラン内で利用する場合は、レストラン分野の翻訳を得意とする第1の翻訳サーバ71〜第nの翻訳サーバのどれかを選択・利用することが可能であり、医者に行って利用する場合、医療分野の翻訳を得意とする第1の翻訳サーバ71〜第nの翻訳サーバを選択・利用することが可能であり、使い分けが可能となる。具体的には、ユーザが利用分野をあらかじめ指定しておき、第1の翻訳サーバ71〜第nの翻訳サーバからの返答に含まれる得意分野がこの指定分野を含む場合、その第1の翻訳サーバ71〜第nの1つを優先して選択するように、翻訳手段決定部16の動作のステップ7−4を構成すればよい。もちろん、コストや翻訳品質を指定しない条件設定も可能である。あるいは、条件指定ではなく、特定の情報を返すように要求して、返された情報を元に、利用する第1の翻訳サーバ71〜第nの翻訳サーバのどれかを選択するように構成することもできる。例えば、コストや翻訳品質の条件を具体的な数値として指定するのではなく、コストや翻訳品質の情報を返すことだけを要求して、得られた情報を組み合わせて、例えばコストと翻訳品質のバランスを考慮して選択するように構成することもできる。コストや翻訳品質以外に第1の翻訳サーバ71〜第nの翻訳サーバのどれか選択に利用できる情報の一例として、翻訳手段決定部16が判断を行う際に、第1の翻訳サーバ71〜第nの翻訳サーバの位置情報を利用するように、翻訳手段決定部16を構成することもできる。ここで、位置情報としては、コンピュータネットワーク上の仮想的な位置を用いることもできるし、経度・緯度のような物理的な位置情報を用いることもできる。前者の例として、位置情報としてIPアドレスを利用するように、翻訳手段決定部16を構成することができる。例えば、第1の翻訳サーバ71〜第nの翻訳サーバのIPアドレスと、翻訳システム10のIPアドレスとを比較し、翻訳システム10と同じLAN上に存在している第1の翻訳サーバ71〜第nの翻訳サーバがあれば、これを優先して選択するように構成する。
【0089】
これにより、例えば、翻訳システム10が持ち運び可能に構成されている場合、移動先に第iの翻訳サーバが設置されていれば、それを優先的に選択し利用できるという利点が得られる。具体的には、例えば、ホテルやデパートに、サービスや商品に関する語彙を強化し、そこで交わされる会話を対象とした場合の翻訳品質を高めた専用の第iの翻訳サーバを設けておく。それらのホテルやデパートには、建物の中から接続できる無線LANアクセスポイントを設け、顧客の持っている翻訳システム10は、この無線LANと接続可能になっており、前記専用の第iの翻訳サーバもこの無線LANと同じLANに接続されているように構成する。ユーザがこれらのホテルやデパートで本発明の翻訳システム10を利用すると、これらその店舗に専用の第iの翻訳サーバが優先的に選択される。そのため、ユーザは、これらのホテルやデパートで交わされる会話に対して、より品質の高い翻訳結果を利用することができる。
【0090】
位置情報としてIPアドレスを利用する構成について、図面を参照してさらに詳しく説明する。
【0091】
図12は、位置情報としてIPアドレスを利用する構成の例を示すブロック図である。
【0092】
図12を参照すると、店舗A20には店舗内LAN23が設置されている。店舗内LAN23には、第1の翻訳サーバ71、ゲートウェイサーバ22、無線LANルータ21が接続されている。店舗内LAN23には、プライベートIPアドレスが割り当てられており、第1の翻訳サーバ71のIPアドレスは10.0.1.10、ゲートウェイサーバ22の店舗内LAN23側のIPアドレスは10.0.1.1が割り当てられている。また、翻訳システム10は、店舗内に存在し、無線LANにより無線LANルータ21を経由して店舗内LAN23に接続されている。翻訳システム10には、DHCPによりIPアドレスが自動的に割り当てられており、そのIPアドレスは10.0.1.20である。一方、ゲートウェイサーバ22は、もう一つのネットワークインターフェースを介して、インターネット41上のゲートウェイルータ40に接続されている。ゲートウェイサーバ22のインターネット41側のIPアドレスは、グローバルアドレスである202.247.3.157である。ゲートウェイルータ40は、グローバルIPアドレス210.57.21.130を持つ。また、インターネット41上には、IPアドレス10.57.21.131を持つ第2の翻訳サーバ90も設置されている。
【0093】
翻訳システム10は、図6のフローチャートに沿って翻訳手段を選択する。ステップ5−2では、第1の翻訳サーバ71と第2の翻訳サーバ90のうち、ネットワーク上の距離が近いほうを選択する。ネットワーク上の距離としては、IPアドレスが上位から連続して一致するビット数が多い場合に、距離がより短い、と定義する。図12の構成では、翻訳システム10と第1の翻訳サーバ71のIPアドレスである10.0.1.10と10.0.1.20とは、上位から一致するビット数が26である。翻訳システム10と第2の翻訳サーバ90とのIPアドレスである10.0.1.10と210.57.21.131とは、上位から一致するビット数が0である。したがって、第1の翻訳サーバ71のほうが、第2の翻訳サーバ90よりも翻訳システム10にネットワーク上で近い。第1の翻訳サーバ71は、店舗A20の店舗内LAN23に接続され、店舗内に設置されており、店舗A20で販売している商品の名称や、その特徴を説明する文など、店舗A20内での商品販売に有用な語彙・表現の翻訳能力を強化してある。翻訳手段決定部16は、まず、最も近い第1の翻訳サーバ71〜第nの翻訳サーバの1つを優先的に選択し、第1の翻訳サーバ71〜第nの翻訳サーバが選択できなかった場合は翻訳部13を選択するように構成する。こうした構成の下で、翻訳システム10は、店舗A20の中にある場合、第1の翻訳サーバ71を自動的に選択することになる。そのため、翻訳システム10のユーザは、利用場面に応じた適切な翻訳サービスを受けることができる。
【0094】
このような実現形態をとる場合、翻訳システム10は、ネットワークに接続できて、あるスレッショルド以内の距離に第1の翻訳サーバ71〜第nの翻訳サーバが見つかれば、これを優先して利用するように構成しておく。一方、翻訳システム10が店舗A20の外におり、どの店舗のLANとも無線LANで接続できない場合は、翻訳部13が選択され、店舗に特化しない汎用の翻訳結果を得るのである。
【0095】
同様に、翻訳手段決定部16が判断を行う際に、翻訳システム10の物理的な位置情報と、第1の翻訳サーバ71〜第nの翻訳サーバの物理的な位置情報を利用するように、翻訳手段決定部16を構成することもできる。第1の翻訳サーバ71〜第nの翻訳サーバの位置情報は、例えば、経度・緯度の形で、あらかじめ入力しておくことが可能である。翻訳システム10の位置情報は、GPS等を用いて動的に取得してもよいし、ユーザが適宜調べて入力するのでもよい。これも上記と同様に、物理的に近接した位置にある第1の翻訳サーバ71〜第nの翻訳サーバを優先して選択することにより、移動先に最も適した翻訳が行えるものが利用できる利点がある。この場合も、翻訳システム10が、ネットワークに接続できない場合、または、最も近い第1の翻訳サーバ71〜第nの翻訳サーバが、あるスレッショルドを超えて遠くにあるような場合は、翻訳システム10自身の持つ翻訳部13で翻訳を行うように構成しておく。それ以外のケースでは、見つかった外部の第1の翻訳サーバ71〜第nの翻訳サーバを優先して翻訳処理を依頼する。
【0096】
なお、本発明を実施するための第1〜第3の最良の形態において、翻訳部13は、テキスト翻訳部に限らず、音声翻訳部として構成してもよい。入力部12は原言語の音声データを入力し、翻訳部13は原言語から目的言語への音声翻訳を行い、出力部14は目的言語の音声データを出力するように構成すればよい。外部の第1の翻訳サーバ71〜第nの翻訳サーバは音声翻訳の機能を持つものとして構成する。その場合でも、本発明の構成、動作、効果は上述の通りである。また、音声翻訳の主要な構成要素である音声認識部、機械翻訳部、音声合成部に関して、翻訳システム10上での処理と、外部の第1の翻訳サーバ71〜第nの翻訳サーバでの処理を組み合わせて音声翻訳処理を実行させてもよい。その場合、翻訳手段決定部16は、各構成要素をそれぞれどこで実行するかを判断するように構成する。
【0097】
ネットワーク上に、翻訳機能を提供する複数の第1の翻訳サーバ71〜第nの翻訳サーバがある場合、最適な機能を提供する第iの翻訳サーバを適切に選択して処理を委譲することができる。例えば、第1の翻訳サーバ71は第1の言語対に対する翻訳機能を提供し、第2の翻訳サーバ90はこれと異なる第2の言語対に対する翻訳機能を提供しているものとする。翻訳システム10を、処理対象の言語対が第1の言語対であれば第1の翻訳サーバ71に翻訳処理を委譲し、処理対象の言語対が第2の言語対であれば第2に翻訳サーバ90に翻訳処理を委譲するように構成することにより、特定の翻訳サーバ70の提供するサービスの内容に限定されることなく、多彩なサービスをユーザに提供できる利点がある。
【0098】
また、翻訳システム10は、複数の外部の第1の翻訳サーバ71〜第nの翻訳サーバから、対象言語対、コスト、翻訳品質、対応ドメイン、ネットワーク上の位置あるいは物理的位置など、第1の翻訳サーバ71〜第nの翻訳サーバに関する情報をあらかじめ入手し、翻訳手段決定部16は、外部の第1の翻訳サーバ71〜第nの翻訳サーバに翻訳処理を委譲すると決定する際に、これらの情報を利用して、これら複数のサーバのいずれに翻訳処理を委譲するかを決定する。より低コストでより高品質の翻訳を提供するサーバを、翻訳システム10が主体的に選択し処理を委譲できる利点がある。
【0099】
翻訳システム10がどの第1の翻訳サーバ71〜第nの翻訳サーバを利用するかを主体的かつ動的に選択する。このため、ネットワーク上の複数の第1の翻訳サーバ71〜第nの翻訳サーバの間で、翻訳サービスに関する競争が発生して、競争に伴うサービス向上によって、ユーザにとっての利便性がさらに高まることも期待できる。特定の中央システムが固定的に翻訳機能を提供する場合には得られない効果である。また、センタの第1の翻訳サーバ71〜第nの翻訳サーバは、処理できるリクエストを限定して、それにのみ応えればよいため、センタの第1の翻訳サーバ71〜第nの翻訳サーバの開発と維持のコストが従来技術と比べて大きく軽減される。
【0100】
次に、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。
【0101】
図13は、本発明の実施例の構成を示すブロック図である。
【0102】
本実施例は、本発明を、音声から音声への音声翻訳機能を持つ携帯翻訳端末701として実施した例である。
【0103】
図13を参照すると、本発明の実施例の携帯翻訳端末701は、システムバス716と、マイク702と、スピーカ703と、マイク702及びスピーカ703と端末のシステムバス716とを結合するA/D&D/A変換器704と、CPU705と、メモリ706と、無線LAN制御LSI712と、アンテナ713と、タッチパネル制御LSI714と、タッチパネル制御LSI714に駆動されるタッチパネル715とから構成されている。また、無線LAN基地局720と有線LANで音声翻訳サーバ721とが接続されている。携帯翻訳端末701と無線LAN基地局720とは無線LANによる通信線730で結ばれている。
【0104】
メモリ706中には、本発明の構成部分に対応するモジュールがコンピュータプログラムとして格納されている。具体的には、音声翻訳プログラム700(翻訳部13に対応)、通信制御プログラム710(通信制御部15に対応)、および、全体制御プログラム711(翻訳手段決定部16に対応)がメモリ706内部に格納されている。音声翻訳プログラム700は、音声認識プログラム707、機械翻訳プログラム708、および、音声合成プログラム709のサブプログラムから構成されている。これらのサブプログラムは、お互いに結合され、音声翻訳プログラム700として、音声から音声への音声翻訳機能を提供している。CPU705は、各サブプログラムの制御の下に、各種の演算、メモリ706の読み書き、システムバス716とそこに結合されたLSIの制御を行って処理を進める。
【0105】
本実施例の携帯翻訳端末701は、全体制御プログラム711の制御の下に、概略以下のように動作する。
【0106】
まず、携帯翻訳端末701単体で音声翻訳を実行する場合を説明する。
【0107】
マイク702から音声が入力されると、A/D&D/A変換器704によりデジタルデータへと変換が行われ、デジタルデータがシステムバス716に載せられる。デジタル音声データは音声翻訳プログラム700に渡される。デジタルデータは、まず、音声認識プログラム707によりテキストへと変換され、機械翻訳プログラム708に渡される。機械翻訳プログラム708は、渡されたテキストを目的言語のテキストへと翻訳し、音声合成プログラム709に渡す。音声合成プログラム709は、渡されたテキストに対応する読み上げ音声のデジタルデータを生成する。以上で音声翻訳プログラム700の処理が完了し、音声翻訳プログラム700は、得られた読み上げ音声のデジタルデータを、システムバス716を介してA/D&D/A変換器704に渡す。A/D&D/A変換器704は、渡された読み上げ音声のデジタルデータをアナログデータへと変換し、スピーカ703から出力する。以上の一連の音声翻訳処理は、全体制御プログラム711によりコントロールされる。
【0108】
音声入力の開始・終了のタイミングの指示や、翻訳言語対の指定、翻訳方向の指定など、ユーザによる種々の指示は、タッチパネル715を通して行われる。ユーザがタッチパネル715上で行った操作は、位置と操作の種類のデータとして、タッチパネル制御LSI714を通じてシステムバス716に送られる。送られた位置と操作の種類のデータは、全体制御プログラム711により解釈され、適切な内部状態や表示内容の変化となってユーザの指示が実行される。また、音声認識結果や機械翻訳の結果としてのテキスト情報は、全体制御プログラム711によりタッチパネル715に送られて表示される。
【0109】
次に、翻訳処理を音声翻訳サーバ721上で行う場合の動作を説明する。
【0110】
全体制御プログラム711の制御に従って、マイク702から入力された音声がA/D&D/A変換器704により音声のデジタルデータに変換されてシステムバス716に送出される。音声の入力と並行して、通信制御プログラム710の制御に応じて、無線LAN制御LSI712がアンテナ713、通信線730を介して外部の無線LAN基地局720との間に無線LAN接続を確立する。接続確立のタイミングは、音声翻訳指示の後でもよいし、指示の前にあらかじめ確立しておいてもよい。音声のデジタルデータは、通信制御プログラム710の制御に基づいて、アンテナ713、無線LANの通信線730、無線LAN基地局720を介して音声翻訳の依頼として、音声翻訳サーバ721に送られる。音声翻訳サーバ721は、携帯翻訳端末701の依頼に応じて音声翻訳を実行し、翻訳結果の合成音声を、無線LAN基地局720、通信線730を介して送り返す。この音声データは、アンテナ713により受信され、無線LAN制御LSI712の制御により、システムバス716を経由し、D/A変換器704によりアナログデータに変換されて、スピーカ703から出力される。以上は、メモリ706中の全体制御プログラム711をはじめとするプログラム群の制御のもとに、CPU705が動作することで処理が進められる。
【0111】
翻訳手段決定部16の機能、すなわち、具体的には、翻訳処理を携帯翻訳端末701上で行うか、音声翻訳サーバ721上で行うかの決定は、全体制御プログラム711が行う。判断の材料としては、ユーザによる翻訳対象の言語対の指定、機械翻訳プログラム708が処理できる言語対の一覧、または、通信制御プログラム710を介してチェックした無線LAN接続の通信線730の安定性などが用いられる。
【0112】
図14は、全体制御プログラム711が、翻訳処理の手段をどのように決定するかを示すフローチャートである。
【0113】
図14を参照すると、まず、全体制御プログラム711は、タッチパネル715からユーザが翻訳対象言語対として何を指定したかの情報を取得する(図14ステップ8−1)。次に、全体制御プログラム711は、この指定の言語対が、機械翻訳プログラム708で翻訳処理可能な言語対かどうかをチェックする(ステップ8−2)。チェック結果がYesであれば、音声翻訳処理は携帯翻訳端末701上で行うものと決定し(ステップ8−3)、翻訳手段決定の処理を終了する。ステップ8−2のチェック結果がNoであれば、ステップ8−4にて通信制御プログラム710、無線LAN制御LSI712が、通信の安定度をチェックする。その結果、音声翻訳サーバ721との間に安定した接続が確立されていると判断されれば(ステップ8−5でYes)、全体制御プログラム711は、音声翻訳処理は外部の音声翻訳サーバ721に依頼すると決定し(ステップ8−6)、翻訳手段の決定処理を終了する。一方、ステップ8−5でNoと判断された場合、全体制御プログラム711は、音声翻訳処理は携帯翻訳端末701の上で行うと決定し(ステップ8−7)、翻訳手段決定処理を終了する。つまり、全体制御プログラム711は、携帯翻訳端末701末上の音声翻訳プログラム700が指定の言語対を扱えず、かつ携帯翻訳端末701と音声翻訳サーバ721との間に安定した接続が確立している場合にのみ音声翻訳サーバ721を呼び出して音声翻訳処理を行う。なお、ステップ8−7を通った場合、機械翻訳プログラム708が対象言語対を扱えない状況で、端末単独で翻訳処理を行うことになるため、音声辞書引きや例文検索など他の処理を試みるように実装を行う。
【0114】
なお、翻訳手段決定部16の動作としては、上述したもの以外にもいろいろなやり方が考えられる。例えば、翻訳処理実行の前に音声翻訳サーバ721に対して問い合わせを行い、その結果を考慮して動作を変えることも可能である。例えば、必要な翻訳処理が、携帯翻訳端末701でも音声翻訳サーバ721でも可能な場合、音声翻訳サーバ721に翻訳処理の精度を問い合わせて、携帯翻訳端末701の精度と比較し、良いほうで処理を行うように制御することも容易である。この場合、音声翻訳サーバ721に、精度の問い合わせに応答する機能を用意しておく。あるいは、複数の音声翻訳サーバ721に精度を問い合わせて、良いほうに実際の翻訳処理を依頼するような制御も容易である。問い合わせ内容は、精度に限定されるものではなく、速度、コストなど様々な内容の問い合わせを行い、回答に応じて処理を変えることが可能である。
【0115】
また、音声翻訳サーバ721は、専用のものであってもよいし、インターネット41上に配置される一般のコンピュータであって、公開のプロトコルを介して翻訳リクエストを受け取り、翻訳処理を行うように構成してもよい。後者の構成をとる場合、携帯翻訳端末701のリクエストは、特定の音声翻訳サーバ721に向けて行うのではなく、インターネット41上に広くブロードキャストして、不定の音声翻訳サーバ721が受け取れる構成とすることができる。携帯翻訳端末701は、リクエストに応じてレスポンスを返してきた音声翻訳サーバ721の中から、精度、速度やコストなどの条件を勘案して最適なものを選定し、実際の翻訳処理を依頼すればよい。このような柔軟な処理は、翻訳処理の補完方法が、中央システム側で決定される特許文献1の技術では実現できない。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明は、機械翻訳機能や音声翻訳機能を持つ携帯端末や、一般的なコンピュータの上で機械翻訳機能や音声翻訳機能を実現するコンピュータプログラムに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明を実施するための第1の最良の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明を実施するための第2の最良の形態の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明を実施するための第3の最良の形態の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明を実施するための第1の最良の形態の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明を実施するための第2の最良の形態の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明を実施するための第3の最良の形態の動作を示すフローチャートである。
【図7】図2の第1の翻訳部の構成を示すブロック図である。
【図8】図2の第2の翻訳部の構成を示すブロック図である。
【図9】図2の翻訳手段決定部の動作を示すフローチャートである。
【図10】図3の翻訳手段決定部の動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明を実施するための第3の最良の形態における翻訳リクエスト、レスポンスの内容の例を示す説明図である。
【図12】本発明を実施するための第3の最良の形態における位置情報としてIPアドレスを利用する構成の例を示すブロック図である。
【図13】本発明の実施例の構成を示すブロック図である。
【図14】図13の全体制御プログラムにおける翻訳手段決定処理の動作を示すフローチャートである。
【図15】従来技術の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0118】
10 翻訳システム
12 入力部
13 翻訳部
14 出力部
15 通信制御部
16 翻訳手段決定部
17 第1の翻訳部
18 第2の翻訳部
20 店舗A
21 無線LANルータ
22 ゲートウェイサーバ
23 店舗内LAN
31 形態素解析部
32 構文・意味解析部
33 言語変換部
34 構文生成部
35 形態素生成部
36 日英・英日翻訳用辞書
37 記憶装置
40 ゲートウェイルータ
41 インターネット
57 通信線
70 翻訳サーバ
71 第1の翻訳サーバ
90 第2の翻訳サーバ
81 単語抽出部
82 辞書検索部
83 検索結果出力部
84a 日韓辞書
84b 日中辞書
84c 日仏辞書
84d 日英辞書
84e 日西辞書
84f 韓日辞書
84g 中日辞書
84h 仏日辞書
84i 英日辞書
84j 西日辞書
701 携帯翻訳端末
702 マイク
703 スピーカ
704 A/D&D/A変換器
705 CPU
706 メモリ
700 音声翻訳プログラム
707 音声認識プログラム
708 機械翻訳プログラム
709 音声合成プログラム
710 通信制御プログラム
711 全体制御プログラム
712 無線LAN制御LSI
713 アンテナ
714 タッチパネル制御LSI
715 タッチパネル
716 システムバス
720 無線LAN基地局
721 音声翻訳サーバ
730 通信線
1a 翻訳通信端末
1b 翻訳通信端末
1n 翻訳通信端末
2a 複合通信処理装置
2b 複合通信処理装置
3a 中央翻訳システム
3b 中央翻訳システム
3n 中央翻訳システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
言語間の翻訳処理を行う翻訳部と、通信線を介した1以上の翻訳サーバとの通信を制御する通信制御部と、翻訳処理を前記翻訳部で実行するのか、あるいは、前記通信制御部を介して前記翻訳サーバに翻訳処理を依頼するのかを決定する翻訳手段決定部とを有することを特徴とする翻訳システム。
【請求項2】
前記翻訳手段決定部が、前記翻訳部にて翻訳処理可能な言語対に応じて決定を行うことを特徴とする請求項1記載の翻訳システム。
【請求項3】
前記翻訳手段決定部が、前記翻訳サーバとの通信状況の情報を用いて決定を行うことを特徴とする請求項1、または、2記載の翻訳システム。
【請求項4】
前記通信線を介した前記翻訳サーバとの通信を制御する前記通信制御部と、前記翻訳サーバに翻訳処理を依頼すると決定する際に、前記翻訳サーバのいずれに翻訳処理を依頼するかをも含めて決定する前記翻訳手段決定部と有することを特徴とする請求項1、2、または、3記載の翻訳システム。
【請求項5】
前記翻訳手段決定部は、前記翻訳サーバのいずれに翻訳処理を依頼するかの決定を、前記翻訳サーバと通信することにより前記翻訳サーバから入手した翻訳サーバ情報を用いて行うことを特徴とする請求項4記載の翻訳システム。
【請求項6】
前記翻訳サーバ情報として、翻訳可能な言語対、料金、訳質、対応ドメインのうち1ないし複数の情報を用いることを特徴とする請求項5記載の翻訳システム。
【請求項7】
前記翻訳手段決定部が、前記翻訳サーバ情報として、前記翻訳サーバのネットワーク上のもしくは物理的な位置情報を入手して、前記翻訳サーバの位置情報と自身の位置情報とを比較して翻訳処理を前記翻訳部で実行するのか、あるいは、前記通信制御部を介して前記翻訳サーバに翻訳処理を依頼するのかを決定することを特徴とする請求項5、または、6に記載の翻訳システム。
【請求項8】
言語間の翻訳処理を行う複数の翻訳部と、通信線を介した1以上の翻訳サーバとの通信を制御する通信制御部と、翻訳処理を前記翻訳部うちのどれで実行するのか、あるいは、前記通信制御部を介して前記翻訳サーバに翻訳処理を依頼するのかを決定する翻訳手段決定部とを有することを特徴とする翻訳システム。
【請求項9】
前記翻訳手段決定部が、複数の前記翻訳部にて翻訳処理可能な言語対に応じて決定を行うことを特徴とする請求項8記載の翻訳システム。
【請求項10】
前記翻訳手段決定部が、前記翻訳サーバとの通信状況の情報を用いて決定を行うことを特徴とする請求項8、または、9記載の翻訳システム。
【請求項11】
前記通信線を介した前記翻訳サーバとの通信を制御する前記通信制御部と、前記翻訳サーバに翻訳処理を依頼すると決定する際に、前記翻訳サーバのいずれに翻訳処理を依頼するかをも含めて決定する前記翻訳手段決定部と有することを特徴とする請求項8、9、または、10記載の翻訳システム。
【請求項12】
前記翻訳手段決定部は、前記翻訳サーバのいずれに翻訳処理を依頼するかの決定を、前記翻訳サーバと通信することにより前記翻訳サーバから入手した翻訳サーバ情報を用いて行うことを特徴とする請求項11記載の翻訳システム。
【請求項13】
前記翻訳サーバ情報として、翻訳可能な言語対、料金、訳質、対応ドメインのうち1ないし複数の情報を用いることを特徴とする請求項12記載の翻訳システム。
【請求項14】
前記翻訳手段決定部が、前記翻訳サーバ情報として、前記翻訳サーバのネットワーク上のもしくは物理的な位置情報を入手して、前記翻訳サーバの位置情報と自身の位置情報とを比較して翻訳処理を前記翻訳部で実行するのか、あるいは、前記通信制御部を介して前記翻訳サーバに翻訳処理を依頼するのかを決定することを特徴とする請求項12、または、13記載の翻訳システム。
【請求項15】
原言語データを受けとるステップと、
翻訳処理を端末の1以上の翻訳部のどれで行うのか、通信線を介して1以上の翻訳サーバに翻訳処理を依頼するのかを決定するステップと、
決定に基づいて前記端末上で原言語データの翻訳処理を行うステップと、
決定に基づいて前記翻訳サーバに原言語データの翻訳処理を依頼して結果を受け取るステップと、
翻訳結果の目的言語データを出力するステップと、
を含むことを特徴とする機械翻訳方法。
【請求項16】
前記端末のどの前記翻訳部で翻訳処理を行うのか、または、前記通信線を介して前記翻訳サーバに依頼するのかを決める際に、翻訳対象の言語対の情報を用いることを特徴とする請求項15記載の機械翻訳方法。
【請求項17】
前記端末で翻訳処理を行うのか、または、通信線を介して前記翻訳サーバに依頼するのかを決める際に、前記端末と前記翻訳サーバとの通信状況の情報を用いることを特徴とする請求項15、16、または11記載の機械翻訳方法。
【請求項18】
原言語データを受けとるステップと、
端末上で翻訳処理を行うか、通信路を介して接続された外部の複数の翻訳サーバのいずれに翻訳処理を依頼するかを決定するステップと、
決定に基づいて端末上で翻訳処理を行うステップと、
決定に基づいて外部の翻訳サーバの一つに原言語データの翻訳処理を依頼して結果を受け取るステップと、
翻訳結果の目的言語データを出力するステップと
を含むことを特徴とする機械翻訳方法。
【請求項19】
原言語データを受けとるステップと、
1以上の翻訳サーバに翻訳サーバ情報を要求し入手するステップと、
端末上で翻訳処理を行うか、通信線を介して接続された前記翻訳サーバのいずれに翻訳処理を依頼するかを、入手した翻訳サーバ情報に基づいて決定するステップと、
前記の決定に基づいて前記端末上で翻訳処理を行うステップと、
前記決定に基づいて外部の翻訳サーバの一つに原言語データの翻訳処理を依頼して結果を受け取るステップと、
翻訳結果の目的言語データを出力するステップと、
を含むことを特徴とする機械翻訳方法。
【請求項20】
1以上の前記翻訳サーバに、翻訳可能な言語対、料金、訳質、対応ドメインの1ないし複数の情報を要求・入手し、これを用いてどこで翻訳処理を行うかを決定することを特徴とする請求項19記載の機械翻訳方法。
【請求項21】
外部の複数の翻訳サーバに、ネット上または物理的な位置情報を要求・入手し、これと端末自身の位置情報を比較として、どこで翻訳処理を行うかを決定することを特徴とする請求項19、または、20記載の機械翻訳方法。
【請求項22】
原言語データを受けとる処理と、
翻訳処理を端末で行うか、通信線を介して翻訳サーバに翻訳処理を依頼するかを決定する処理と、
決定に基づいて前記端末で原言語データの1以上の翻訳部で翻訳を実行する処理と、
決定に基づいて前記翻訳サーバに原言語データの翻訳処理を依頼して結果を受け取る処理と、
翻訳結果の目的言語データを出力する処理と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項23】
翻訳対象の言語対の情報を用いて、前記端末上で翻訳処理を行うのか、または、前記通信線を介して前記翻訳サーバに依頼するかを決定する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項22記載のプログラム。
【請求項24】
前記端末と前記翻訳サーバとの通信状況の情報を用いて、前記端末で翻訳処理を行うのか、または、前記通信線を介して前記翻訳サーバに依頼するのかを決定する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項22、または、23記載のプログラム。
【請求項25】
原言語データを受けとる処理と、
端末上で翻訳処理を行うのか、通信路を介して接続された複数の翻訳サーバのいずれかに翻訳処理を依頼するのかを決定する処理と、
決定に基づいて前記端末で翻訳処理を行う処理と、
決定に基づいて前記翻訳サーバの一つに原言語データの翻訳処理を依頼して結果を受け取る処理と、
翻訳結果の目的言語データを出力する処理と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項26】
原言語データを受けとる処理と、
複数の翻訳サーバに翻訳サーバ情報を要求し入手する処理と、
端末で翻訳処理を行うのか、通信線を介して接続された複数の前記翻訳サーバのいずれに翻訳処理を依頼するのかを、前記の処理で前記翻訳サーバから入手した翻訳サーバ情報に基づいて決定する処理と、
前記の決定に基づいて前記端末で翻訳を実行する処理と、
前記決定に基づいて前記翻訳サーバの一つに原言語データの翻訳処理を依頼して結果を受け取る処理と、
翻訳結果の目的言語データを出力する処理と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項27】
前記翻訳サーバに、翻訳可能な言語対、料金、訳質、対応ドメインの一ないし複数の翻訳サーバ情報を要求・入手し、この翻訳サーバ情報を用いてどこで翻訳処理を行うかを決定する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項26記載のプログラム。
【請求項28】
前記翻訳サーバに、ネットワーク上または物理的な位置情報を要求・入手する処理と、この情報と前記端末自身の位置情報とを比較として、どこで翻訳処理を行うかを決定する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項26または、27記載のプログラム。
【請求項29】
1以上の翻訳サーバと、通信線と、
言語間の翻訳処理を行う翻訳部、および、前記通信線を介した前記翻訳サーバとの通信を制御する通信制御部と、翻訳処理を前記翻訳部で実行するのか、あるいは、前記通信制御部を介して前記翻訳サーバに翻訳処理を依頼するのかを決定する翻訳手段決定部を備える翻訳システムとを有することを特徴とする翻訳通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−99296(P2006−99296A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−282866(P2004−282866)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】