説明

耐放射線性を有する高透明ポリプロピレンシート形成用組成物、及びそれからなる耐放射線性及び電子線滅菌性に優れた包装体

【課題】適切な押出成形性を有し、放射線照射後の物性や色相変化が抑制されると共に、ブリード白化等の外観不良現象もなく、臭気の少ない、耐放射線性ポリプロピレン組成物を提供する。
【解決手段】(A)ポリプロピレン単独重合体、エチレン含有量が5重量%以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体、又はこれらの樹脂混合物100重量部に対し、(B)リン系酸化防止剤0.01〜0.125重量部、(C)ヒンダードアミン系化合物0.01〜0.1重量部、及び(D)ステアリン酸カルシウム0.01〜0.1重量部を配合し、メルトフローレートが0.5〜10g/10分であることを特徴とするポリプロピレン組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐放射線性に優れ、高透明で良好な熱成形性を有するポリプロピレンシートの製造に好適なポリプロピレン組成物に関する。さらに詳しくは、医療器具、衛生商品、文具等の包装材料として使用されるポリプロピレンシート及びその成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療器具、衛生商品等のキット商品では、容器に内容物を充填し蓋材をシールした後に滅菌をする形態が普及している。その滅菌方法としては、オートクレーブ(OA)滅菌、エチレンオキサイドガス(EOG)滅菌の他にγ線、電子線等の放射線を照射して殺菌することが行われるようになってきている。OA滅菌は耐熱性が必要で、容器変形が問題となることが多く、また、EOG滅菌は、残留ガスの発ガン性が指摘され、減少傾向にあり、γ線若しくは電子線滅菌が注目されている。
【0003】
しかしながら、ポリオレフィン系材料はその分子構造上、放射線により分子鎖が切断されやすく、通常、殺菌線量の目安とされる20kGy程度の放射線照射によって、分解、劣化が著しく進行し、伸びや耐衝撃性等の機械的物性が低下したり、一般的に酸化防止等の目的で添加されている各種安定剤や改質剤等が変質して著しい変色が生じたりするという問題がある。また、これら医療用キット商品、衛生商品包装では、誤投与の防止のために内容物の視認性が求められ、実装材料には、透明性が要求される。併せて、容器形成性は実用上必須の要求事項である。
【0004】
しかし、ポリプロピレンは結晶性樹脂であり、通常は半透明である。透明性を発現させる方法としては、造核剤が添加されるのが一般的である。しかし、造核剤の添加によりポリプロピレンシートの結晶化度が高くなるため、容器形状に賦形する際に賦形しにくくなるという欠点がある。さらに、造核剤には独特の臭いがあるため特に食品容器等では臭気が指摘される。
【0005】
例えば、放射線照射によってポリオレフィン系材料で生ずる問題を解決することを目的として、以下のような種々のポリオレフィン組成物が提案されている。
【0006】
特許文献1には、プロピレン単独重合体又はプロピレン−エチレンランダム共重合体の混合物100重量部に対して、ソルビトール誘導体を0.15〜0.3重量部、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物を0.01〜1.5重量部、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトを0.01〜0.5重量部、及びステアリン酸カルシウムを0.01〜0.5重量部を混合した、透明性に優れた樹脂組成物が開示されている。
【0007】
特許文献2には、特許文献1に類似のポリプロピレン樹脂混合物をラジカル発生剤により減成したもの100重量部に対して、ソルビトール系造核剤0.10〜0.5重量部を混合して、成形性、透明性、耐衝撃性に優れた樹脂組成物が開示されている。
【0008】
特許文献3には、ポリプロピレン樹脂100重量部に対して、ヒンダードアミン系化合物0.01〜3重量部、リン系酸化防止剤0.01〜3重量部、β晶核剤0.05〜5重量部を混合した放射線照射後に剛性や耐熱性、耐衝撃性の低下を抑制する樹脂組成物が開示されている。
【0009】
特許文献4には、ポリオレフィン100重量部に対して、コハク酸とN−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとの縮合物0.05〜0.3重量部、及びリン系酸化防止剤のテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4‘−ビフェニレンジホスホナイト等0.01〜0.3重量部を混合した、放射線殺菌による着色、物性低下、溶出物増加による衛生毒性を改良したポリオレフィン組成物が開示されている。
【0010】
いずれも放射線照射後の物性低下は抑制されるものの、特許文献1、2では透明性発現のためにソルビトール系造核剤を使用しているため、Tダイ成形機でシート状に樹脂組成物を成形した場合に、冷却ロールに付着物が堆積したり、独特の臭気があるため食品容器では臭いを指摘されると共に、造核剤の添加量も0.1重量%以上と多いため色相の悪化も否定できない。また、特許文献2では、酸化防止剤を使用しないため、押出成形時の樹脂劣化が激しく成形品の物性が安定しない。
【0011】
特許文献3では、造核剤を添加しているがβ晶核剤であるため、透明性の改良効果は認められない。特許文献4では、リン系酸化防止剤のテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4‘−ビフェニレンジホスホナイトを使用しているが、これは加水分解により臭気の原因物質を生成することが知られており、医療容器には不適である。また、安定剤として使用されるヒンダードアミン系化合物は成形品表面への移行性が高いものがあり、所謂ブリード白化の発生による外観不良が指摘されることがある。
【0012】
また、γ線滅菌及び電子線滅菌は内容物を充填し、シールした後、さらには最終包装を施した後においても簡単に内容物を滅菌できる手法である。包装資材としては、γ線、電子線下でも劣化しない放射線適性、誤投与や誤使用を防止するため、内容物を視認できる透明性、開封時の力の入れすぎによる内容物の落下や、怪我をせずに簡単に開封できる易開封性、さらにはソフト感が要求される。これまで、上記要求を満たすプラスチック材料として、比較的耐放射線性に優れたポリ塩化ビニル(PVC)やポリエチレンテレフタレート(PET)のみが用いられていた。しかし、ポリ塩化ビニルは廃棄時の塩素系ガスの発生問題がありその需要は減少傾向にある。またポリエチレンテレフタレート系資材は剛性が高く、容器エッジで怪我をしやすいという問題がある。このように、どちらも満足な易開封性を発現させるものはなかった。またポリプロピレン(PP)も、その使用を検討されてはきたが耐放射線性が悪く、劣化による黄変、衝撃適性の低下、溶出物等が問題となるとともに透明性も満足のいくものができず実用には至っていない。
【0013】
【特許文献1】特許第2770201号公報
【特許文献2】特許第3339033号公報
【特許文献3】特開平7−149967号公報
【特許文献4】特開昭63−29892号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は上述の問題に鑑みなされたものであり、Tダイから押し出された溶融ポリプロピレンを、金属ベルト、ロール等に接触させ両面から急冷する、若しくは水槽等を用いて両面から急冷する押出成形法により生産される、医療器具、衛生商品、文具等の包装材料として使用される高透明ポリプロピレンシートに好適に用いることができる、適切な押出成形性を有し、放射線照射後の物性や色相変化が抑制されると共に、ブリード白化等の外観不良現象もなく、臭気の少ない、耐放射線性ポリプロピレン組成物を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、上記耐放射線性ポリプロピレン組成物を成形してなるシートを含む包装体、特に包装後にγ線滅菌等が施される医療用容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究を行い、γ線や電子線等の放射線照射後に認められる物性や色相変化量は、特定の添加剤とその添加量に対応することを見出した。そして、特定の物性を有するプロピレン系重合体に、安定剤としてリン系酸化防止剤、ヒンダードアミン系化合物及びステアリン酸カルシウムを特定の割合で配合したポリプロピレン組成物を、シート成形時にベルト急冷法を用いることにより、透明性を発現させると共に、低結晶状態に制御し、熱成形性を改善することができ、放射線照射後の物性や色相変化が少なく、ブリード白化等の外観不良現象もなく、臭気の少ない、耐放射線性ポリプロピレンシートを生産することができることを見出し、本発明を完成させた。
また、多層化することにより、蓋材との易シール化・イージーピール化も可能になることも見出した。
【0016】
本発明によれば、下記のポリプロピレン組成物及びそれからなる各種成形品を提供することができる。
1.(A)ポリプロピレン単独重合体、エチレン含有量が5重量%以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体、又はこれらの樹脂混合物100重量部に対し、
(B)リン系酸化防止剤0.01〜0.125重量部、
(C)ヒンダードアミン系化合物0.01〜0.1重量部、及び
(D)ステアリン酸カルシウム0.01〜0.1重量部
を配合し、メルトフローレートが0.5〜10g/10分であることを特徴とするポリプロピレン組成物。
2.さらに(E)有機過酸化物を配合してなることを特徴とする上記1に記載のポリプロピレン組成物。
3.上記1又は2に記載のポリプロピレン組成物を溶融してTダイから押し出し、両面から急冷しながらシート状に成形されたことを特徴とするポリプロピレンシート。
4.前記両面からの急冷が、前記溶融ポリプロピレンを金属ベルト、ロール等に接触させるか、又は水槽を用いることを特徴とする上記3に記載のポリプロピレンシート。
5.前記成分(A)〜(D)を混合した後、(E)有機過酸化物を添加し、溶融混練することを特徴とする、上記3又は4に記載のポリプロピレンシート。
6.0.3mm厚シートでのγ線の照射線量25kGy、3時間の滅菌後の黄色度(YI値)の変化率が滅菌前の30%以内であることを特徴とする、上記3〜5のいずれかに記載のポリプロピレンシート。
7.γ線照射による滅菌後の0℃におけるデュポン衝撃強度の変化率が滅菌前の40%以内であることを特徴とする、上記3〜6のいずれかに記載のポリプロピレンシート。
8.シート厚みt(mm)に対する霞度y=1375t−487.5t+62.5t以下であることを特徴とする、上記3〜7のいずれかに記載のポリプロピレンシート。
9.固体密度が895kg/m以下であることを特徴とする、上記3〜5のいずれかに記載のポリプロピレンシート。
10.少なくとも、蓋材と接着する層と、
上記3〜9のいずれかに記載のポリプロピレンシートからなる基材層と、
を含むことを特徴とする多層構造を有する積層体。
11.前記蓋材と接着する層が、上記3〜9のいずれかに記載のポリプロピレンシートからなることを特徴とする積層体。
12.上記3〜11のいずれかに記載のポリプロピレンシートを含むことを特徴とする成形体。
13.上記3〜11のいずれかに記載のポリプロピレンシートを含むことを特徴とする包装体。
14.上記3〜11のいずれかに記載のポリプロピレンシートを含むことを特徴とする医療用容器。
【発明の効果】
【0017】
本発明のポリプロピレン組成物は、適切な押出成形性を有し、これを溶融して、Tダイから押し出し、金属ベルト、ロール等に接触させ両面から急冷する、若しくは水槽等を用いて両面から急冷する押出成形法に適用することにより、放射線照射後の物性や色相変化が抑制されると共にブリード白化等の外観不良現象もなく、臭気の少ない成形品を与えることができる。
【0018】
本発明のポリプロピレン組成物は、医療器具、衛生商品、文具等の包装材料向けに使用される高透明ポリプロピレンシートの生産に好適に用いることができる。
【0019】
本発明のポリプロピレン組成物から成形された成形品は、放射線照射後の物性や色相変化が抑制されていると共にブリード白化等の外観不良現象もなく、臭気が少ない。それ故、医療器具、衛生商品、文具等の包装材料、特に医療用容器として好適に用いることができる。
【0020】
本発明のポリプロピレンシートは、耐γ線、電子線等の放射線滅菌適性に優れ、ポリ塩化ビニルやポリエチレンテレフタレート系資材に比べソフト感を有し、さらには易成形性を兼ね備えており、包装体として有用である。また、廃棄時には塩素ガス等の有毒ガスを発生させることがなく、環境適性にも優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を詳細に説明する。
I.ポリプロピレン組成物
本発明のポリプロピレン組成物(以下、「本発明の組成物」ということがある)は、
(A)ポリプロピレン単独重合体、エチレン含有量が5重量%以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体、又はこれらの樹脂混合物(以下、まとめて「プロピレン系重合体」ということがある)100重量部に対し、
(B)リン系酸化防止剤0.01〜0.125重量部、
(C)ヒンダードアミン系化合物0.01〜0.1重量部、及び
(D)ステアリン酸カルシウム0.01〜0.1重量部
を配合してなり、メルトフローレート(以下、「MFR」ということがある)が0.5〜10g/10分であることを特徴とする。
上記成分(B)、(C)及び(D)は、添加剤として配合される成分である。
【0022】
各成分について説明する。
(A)プロピレン系重合体
本発明に用いる(A)成分であるプロピレン系重合体は、プロピレン単独重合体、エチレン含有量が5重量%以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体、又はこれらの樹脂混合物である。
【0023】
また、プロピレン−エチレンランダム共重合体のエチレン含有量は5重量%以下であることが必要である。エチレン含有量が5重量%を超えると、成形されたシートの粘着性が増すため、冷却ロールに接触したシートが剥がれ難くなり、ひどい場合には冷却ロールにシートが巻きつく現象が発生するとともに十分な剛性が得られない。好ましいエチレン含有量は3〜5重量%である。
【0024】
本発明に用いる(A)プロピレン系重合体の製造方法には特に制限はなく、スラリー重合法、バルク重合法、気相重合法で得られるものであってもよい。重合法は一段で重合してもよくまた多段であってもよい。
【0025】
(B)リン系酸化防止剤
本発明の組成物には、(A)プロピレン系重合体100重量部に対して、安定剤としてリン系酸化防止剤を、0.01〜0.125重量部配合することが必要であり、0.05〜0.125重量部配合することが好ましく、
0.05〜0.1重量部配合することが特に好ましい。(B)リン系酸化防止剤の配合割合が0.01重量部未満であると、押出機内で著しい劣化を起こすため、適切な押出成形性を得られないおそれがある。一方、0.125重量部を超えると、放射線照射後に色相の悪化が顕著となるおそれがある。
【0026】
リン系酸化防止剤は特に限定されず、公知の、当該分野で一般的に用いられているものから1種又は複数種を組み合わせて使用できる。具体的には、ジステアリルペンタエリスリト−ルジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリト−ルジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニルホスファイト)、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト、2,2′−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フルオロホスファイト、トリスノニルホスファイト、トリスフェニルホスファイト、トリストリデシルホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ、ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,5−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス[2−(1,1−ジメチルプロピル)フェニル]ホスファイト、トリス[2,4−ジ−(1,1−ジメチルプロピル)フェニル]ホスファイト、トリス(2−シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、トリスフェニルホスファイト、トリス(オクチルチオエチル)ホスファイト、トリス(オクチルチオプロピル)ホスファイト、トリス(クレジルチオプロピル)ホスファイト、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキスフェニル)ホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−4−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−4−6−t−ブチルフェニル−ジ−オクチル)ホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)スピロペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)スピロペンタエリスリトール−ジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェニル)スピロペンタエリスリトール−ジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)スピロペンタエリスリトール−ジホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等のホスファイト系化合物、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4−ビフェニレンホスホナイト等のホスホナイト化合物(テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレン−ジホスホナイトは除く。)等が挙げられる。
酸化防止性能や臭気、色相の点で特に好ましいのはトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトである。
【0027】
(C)ヒンダードアミン系化合物
本発明の組成物には、(A)プロピレン系重合体100重量部に対して、安定剤としてヒンダードアミン系化合物を0.01〜0.1重量部配合することが必要であり、0.03〜0.100重量部配合することが好ましく、0.03〜0.07重量部が特に好ましい。(C)ヒンダードアミン系化合物の配合割合が0.01未満であると押出機内で著しい劣化を起こすため、適切な押出成形性を得られないおそれがある。一方、0.1重量部を超えると、ポリプロピレンシート表面にこれらがブリードして白化するため外観不良となるおそれがある。
【0028】
ヒンダードアミン系化合物は特に限定されず、公知の、当該分野で一般的なものから1種又は複数組み合わせて使用できる。具体的には、HALSと称されるヒンダードアミン系耐候・耐光安定剤として用いられているものであり、例えば、ヒンダ−ドアミン窒素原子及び任意に他の異原子、好ましくは窒素又は酸素を含む6員複素環からなるヘテロサイクリックヒンダ−ドアミン系化合物が挙げられる。その具体例としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケ−ト、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,2,3,4−テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ブタンテトラカルボキシレ−ト、1,4−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−2,3−ブタンジオン、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)トリメリテ−ト、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレ−ト、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルn−オクトエ−ト、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケ−ト、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ニトリルアセテ−ト、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ヒドロキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、1,1′−(1,2−エタンジイル)ビス[3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)エステル、コハク酸−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)エステル、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン−{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−4−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]ウンデカン−2,4−ジオン、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]デカン−ジオン、1,6,11−トリス[{4,6−ビス(N−ブチル−N(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル}アミノ]ウンデカン、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸エステル、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸エステル、N−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル−N−アミノオキザアミド、ポリ[6−モリホリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][4−(2,2,6,6−テトラエチルピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン−[4−(2,2,6,6−テトラエチルピペリジル)イミノ]、ポリメチルプロピル−3−オキシ−[4−(2,2,6,6−テトラメチル)ピペリジニル]シロキサン、ポリメチルプロピル−3−オキシ−[4−(1,2,2,6,6−ペンタメチル)ピペリジニル)]シロキサン、1,5−ジオキサスピロ[5,5]ウンデカン−3,3−ジカルボン酸エステルと2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−アールとの縮合物、1,1’,1”−(1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリイル−トリス{(シクロヘキシルイミノ)−2,1−エタンジイル}]−トリス[3,3,5,5−テトラメチルピペラジン−2−オン]、N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−3−[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)アミノ]−プロパナミド、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと1,2−ジブロモエタンとの重縮合物等が挙げられる。これらのヘテロサイクリックヒンダードアミン系化合物は、単独で使用しても併用してもよい。
安定性やブリード性の点で特に好ましいのはコハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールである。
【0029】
尚、(B)リン系酸化防止剤又は(C)ヒンダードアミン系化合物のどちらか一方のみの添加では十分な押出成形性を得ることができない。
【0030】
(D)ステアリン酸カルシウム
本発明の組成物には、(A)プロピレン系重合体100重量部に対して、さらに安定剤として(D)ステアリン酸カルシウムを0.01〜0.1重量部する必要がある。配合割合が0.01重量部未満では、ポリプロピレンを重合する際に使用する触媒の担持体に含まれる金属塩化物から生成する酸性物質により押出機のスクリュー等の腐食が発生するおそれがある。また、0.1重量部を超えると、シート成形時に発煙が著しい等配合量に見合う効果が得られない。
【0031】
尚、上記成分(B)〜(D)以外の添加剤を使用することも可能であるが、フェノール系酸化防止剤は放射線照射後の色相が著しく悪化するため、配合する場合にはその配合割合は、(A)ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.005重量部未満とすることが好ましい。
【0032】
また、造核剤については臭気の問題から添加しないことが望ましいが、添加する場合には、配合割合を0.05重量部未満とすることが好ましい。
【0033】
これら成分(B)〜(D)及び添加剤を、(A)プロピレン系重合体に添加するには、一般的な方法を用いればよく、例えば、(A)プロピレン系重合体に、これら成分(B)〜(D)及び添加剤を添加した後、押出機で混練する方法等が好ましい。
【0034】
本発明の組成物は、メルトフローレートが0.5〜10g/10分の範囲内であることが必要である。メルトフローレートが0.5g/10分未満であると、組成物を溶融させた際の粘度が高すぎるため押出成形が困難となる場合があり、10g/10分を超えると樹脂を溶融させた際の粘度が低すぎてシート状物が得られない場合があるためである。好ましいメルトフローレートは2〜8g/10分である。
【0035】
本発明の組成物のメルトフローレートを0.5〜10g/10分の範囲内とするためには、前記プロピレン系重合体製造時の重合段階における水素濃度を調整するか、若しくは下記の有機過酸化物を添加して溶融混練することによって調整すればよい。
【0036】
(E)有機過酸化物
本発明の組成物は、さらに(E)有機過酸化物を配合してもよい。
有機過酸化物の添加方法には特に制限はなく、前記成分(A)〜(D)及び添加剤と共に混合してもよいし、また、成分(A)〜(D)及び添加剤を混合した後、押出機の途中から添加してもよい。有機過酸化物を添加することによって、本発明の組成物のメルトフローレートを調整することができる。
【0037】
(E)有機過酸化物は、公知の、当該分野で一般的に使用されているものを用いることができる。代表的な有機過酸化物としては、メチルエチルパーオキサイド、メチルイソブチルパーオキサイド等のパーオキサイド;イソブチリルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、その他のハイドロパーオキサイド;2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン等のジアルキルパーオキサイド;1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−シクロヘキサン、その他のパーオキシケタール;t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステル;t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、その他のパーカーボネート等が挙げられる。
【0038】
(E)有機過酸化物の配合割合は、得られるポリプロピレンのメルトフローレートの設定値等によって異なり一概に決定されないが、(A)プロピレン系重合体100重量部に対して、0.001〜1.0重量部であることが好ましく、0.005〜0.5重量部がより好ましい。配合割合が0.001重量部未満であると、MFRの調整ができないおそれがある。一方、1.0重量部を超えると、押出機内で著しくMFRが上昇する部分が発生し、均一なMFR調整ができず、ブツ等の外観不良が発生するおそれがある。
【0039】
本発明の組成物は、上記成分(A)〜(E)の他、必要に応じて各種の添加剤を添加することができる。このような添加剤としては、アンチブロッキング(AB)剤、スリップ剤、耐電防止剤等が挙げられる。
【0040】
II.ポリプロピレンシート及びその製造方法
本発明のポリプロピレンシート(以下、本発明のシートということがある)は、上記本発明のポリプロピレン組成物を溶融してTダイから押し出し、両面から急冷しながらシート状に成形して得られることを特徴とする。このようにして製造することにより、得られるシートは高透明であり、かつ、耐放射線性に優れている。
【0041】
本発明の組成物の前記成分(A)〜(D)を混合した後、前記(E)有機過酸化物を添加し、溶融混練した組成物を溶融してシートを形成することもできる。このように(E)有機過酸化物を後から添加することができることは、シートを多層化する場合に、各層用の組成物のMFRを調整する上で有用である。
【0042】
本発明のシートの製造において、溶融したポリプロピレン組成物をTダイから押し出した後の両面からの急冷は、溶融したポリプロピレンを金属ベルト、ロール等に接触させるか、又は水槽を用いることが好ましい。
【0043】
本発明のシートの製造は、複数の冷却ロールに巻装されたエンドレスベルトと鏡面冷却ロールとの間に溶融した本発明のポリプロピレン組成物を導入し後、前記エンドレスベルト及び鏡面ロールで前記溶融組成物を圧接してシート状に成形するとともに同時に急冷させるベルト急冷法を用いることが好ましい。ベルト急冷法によれば、低結晶性を図り、透明性を発現させることができる。
【0044】
具体的には、特開平9−136346号公報、特開平11−115037号公報等に記載の方法を用いることができる。
【0045】
Tダイから押し出された本発明の組成物(シート)は、0℃以上50℃以下のロール及びベルト温度で急冷することが好ましく、10〜30℃がさらに好ましい。温度が露点より低いと、水分がベルトに結露し、シートに氷滴斑が発生する場合があり、50℃より高いと、良好な透明性が得られない場合がある。
【0046】
III.シート、積層体、成形体、包装体及び医療用容器
本発明のシートは、下記各物性を有することが好ましい。
(a)0.3mm厚シートでのγ線の照射線量25kGy、3時間の滅菌後の黄色度(YI値)の変化率が滅菌前の30%以内
(b)γ線照射による滅菌後の0℃におけるデュポン衝撃強度の変化率が滅菌前の40%以内
(c)シート厚みt(mm)に対する霞度y=1375t−487.5t+62.5t以下
(d)固体密度が895kg/m以下
【0047】
(a)0.3mm厚シートでのγ線の照射線量25kGy、3時間の滅菌後の黄色度(YI値)の変化率が滅菌前の30%以内であることにより、各種安定剤や改質剤等の変質を抑えて、黄変を少なくし、外観が損なわれるのを抑える効果が得られる。ここで、黄変度(YI値)は、透過法(透明なサンプルを対象とする)又は反射法(半透明又は不透明なサンプルを対象とする)のいずれかの方法によって測定された値であってもよく、両方の測定法で得られた値が30%以内であることがより好ましい。
【0048】
(b)γ線照射による滅菌後の0℃におけるデュポン衝撃強度の変化率が滅菌前の40%以内、より好ましくは30%以内であることにより、分子の分解・劣化を抑制し、シートとしての衝撃適性が維持される効果が得られる。
【0049】
(c)シート厚みt(mm)に対する霞度y=1375t−487.5t+62.5t以下であることにより、シートに透明性を与える効果が得られる。ここで、霞度とは、全ヘイズともいい、JIS K7105での霞度測定方法により測定した値である。例えば、シートの厚みが300μm(0.3mm)である場合には、霞度yは12となる。
霞度は、サンプル(シート)に入射した光を(A)、入射した光がサンプル(シート)に当たり反射した光を(E)、平行透過した光を(B)、拡散透過した光を(C)としたときに、
霞度(%)=(C)/{(C)+(B)}×100
で表される値である。
【0050】
シートの(d)固体密度が895kg/m以下であることにより、ポリプロピレンの結晶化を抑え、融点を低く抑え、易成形性を与える効果が得られる。ここで、固体密度は、密度勾配管を用いて測定する。
【0051】
本発明のシートは、上記特性を有することにより、従来のポリプロピレン系樹脂では不可能であった耐γ線、耐電子線等の放射線滅菌適性に優れ、ポリ塩化ビニル(PVC)系やポリエチレンテレフタレート(PET)系資材に比べてソフト感を有し、熱成形性に優れている。
【0052】
本発明のシートの厚さは使用目的に応じて適宜選択すべきであるが、通常は100〜1000μm、好ましくは200〜500μmである。100μmより薄いと、実用上、熱成形に適さないおそれがあり、1000μmを超えると、透明性が得られないおそれがある。
【0053】
本発明の積層体は、少なくとも、蓋材と接着する層と、上記本発明のポリプロピレン組成物を成形してなるシートからなる基材層と、を含む多層構造を有することを特徴とする。
基材層に耐放射線性を有するシートを用いることにより、内容物を入れてシールした後、さらには最終包装を施した後に、内容物をγ線滅菌又は電子線滅菌しても、包装資材の劣化や透明性が失われることがない。
【0054】
さらに、蓋材と接着する層も、本発明のポリプロピレン組成物を成形してなるシートからなっていることが好ましい。このように構成することにより、より耐放射線性に優れ、かつ、蓋材とのシール性及びピール性に優れた包装体を得ることができる。
尚、蓋材と接着する層の形成材料中のランダムコポリマーは、本発明の組成物で構成されていなくてもよいが、より優れた耐放射線性を求める場合には、本発明の組成物を用いることが好ましい。このような蓋材と接着する層の形成用材料としては、エチレン量が2.0〜5.5重量%で、融点が125〜150℃のランダムコポリマーを50〜100重量%の割合で含有し、融点が90〜125℃までの直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)若しくは低密度ポリエチレン(LDPE)、又はそれらの混合物を0〜50重量%の割合で含有するものであることが好ましい。蓋材と接着する層の厚さは、基材層よりも薄くなければならない。
【0055】
蓋材と接着する層が、本発明のシートからなっていない場合、下記材料から形成され、かつ、下記厚さを有することにより、耐放射線性、γ線又は電子線照射後のシートの透明性、黄変、引張り特性等の変化が、蓋材と接着する層を本発明のシートで構成する場合と同等となり得る。
蓋材と接着する層の厚さは、本発明の組成物で構成されたもので有れば制限はないが、それ以外の組成物からなる場合には、蓋材と接着する層の厚さが100μm以下であり、かつ、全層厚に対する蓋材と接着する層の厚みの割合が25%以下であることが好ましい。25%を超えると、蓋材と接着する層の物性が支配的となり、目的とする耐γ線効果が充分に発現されないおそれがある。
【0056】
本発明の積層体の各層を形成する方法は特に限定されないが、共押出し、押出しラミネート等が好ましい。
本発明の積層体は、基材層及び蓋材と接着する層の他に、必要に応じて各種の機能を有する層を含んでいてもよい。このような層としては、帯電防止層、防曇層等が挙げられる。
【0057】
本発明の包装体は、前記本発明のシートを含むことを特徴とする。
本発明の包装体は、例えば、前記本発明の積層体の蓋材と接着する層の上に内容物を載置し、内容物の上に、滅菌紙、滅菌不織布、PO系シーラントを含有するフィルム等からなる蓋材を載置し、内容物の周囲の蓋材と接着する層と蓋材とをヒートシールして内容物を密封するものである。
【0058】
尚、本発明の包装体を、蓋材と、蓋材と接着する層とが容易に接着でき、また容易に剥離できるようにするためには、蓋材と、蓋材と接着する層を、国際特許出願第PCT/JP2005/014287のように構成することが好ましい。
【0059】
本発明の医療用容器は、前記本発明のシートを含むことを特徴とする。
本発明の医療用容器によって包装される内容物は、注射器、薬液充填済シリンジ、ガーゼ、ピンセット、メス等の医療器具である。これらの医療器具を本発明の医療用容器に密封した後、γ線又は電子線を、容器の外部から照射することにより滅菌することができる。
本発明の医療用容器は、熱成形性に優れた本発明のシートを含んでいるため、容易に内容物に適合した形状とすることができる。また、耐放射線適性に優れた本発明のシートを含んでいるため、内容物密封後のγ線又は電子線滅菌処理によっても容器の劣化がなく、透明性も損なわれることがない。
【実施例】
【0060】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0061】
<製造例1>
プロピレン単独重合体の製造
(1)固体触媒成分の調製
窒素で置換した内容積5Lの攪拌器付三つ口フラスコにジエトキシマグネシウム160g(1.4mol)を投入し、さらに脱水処理したヘプタンを500mL加えた。40℃に加熱し、四塩化ケイ素28.5mL(0.225mol)を加え、20分間攪拌し、フタル酸ジエチルを127mmol加えた。溶液を80℃まで昇温し、引き続き四塩化チタンを、滴下ロートを用いて461mL(4.2mol)滴下した。内温を110℃とし、2時間攪拌して担持操作を行った。その後、脱水ヘプタンを用いて十分洗浄を行った。さらに四塩化チタンを768mL(7.0mol)加え、内温を110℃とし、2時間攪拌して2回目の担持操作を行った。その後、脱水ヘプタンを用いて十分洗浄を行い、固体触媒成分(固体状チタン触媒成分)を得た。
【0062】
(2)予備重合
窒素で置換した内容積1Lの攪拌機付きの三つ口フラスコに、上記(1)で得た固体状チタン触媒成分60g(37.6mmol−Ti)を含むヘプタンスラリーを投入し、さらに、脱水したヘプタンを加えて、全量を500mLとした。これを40℃に制御しながら攪拌し、トリエチルアルミニウム24.8mmol、シクロヘキシルジメトキシシラン6.2mmolを加えた。40℃のまま、120分間プロピレンを所定量吸収させ、残留プロピレンを窒素で置換して、ヘプタンを用いて充分洗浄を行い、予備重合触媒成分を85g得た(シール量:0.43g−PP/g−固体状Ti触媒成分)。
【0063】
(3)重合
内容積10Lの攪拌機付ステンレス製オートクレーブを十分乾燥し、窒素置換の後、内部に脱水処理したヘプタン6Lを加えた。このオートクレーブの温度を80℃に加温し、トリエチルアルミニウム12mmol、続いてシクロヘキシルメチルジメトキシシラン1.2mmolを加えた。次いで水素を0.005MPa導入した後、プロピレンを導入して全圧を0.78MPaとした。系内が安定した後、上記(2)で得た予備重合触媒成分をTi当たりで0.5mmol加え、重合を開始した。1時間後、メタノール50mLを系内に投入して重合を終了させ、降温、脱圧した。内容物を取り出して濾別し、70℃の乾燥窒素気流下で12時間乾燥してプロピレン単独重合体1.9kgを得た。この重合体の135℃テトラリン中で測定した極限粘度[η]は2.04dl/gであった。
【0064】
<製造例2>
プロピレン−エチレンランダム共重合体の製造
(1)マグネシウム化合物の調製
攪拌機付き反応槽(内容積500L)を窒素ガスで充分に置換し、エタノール97.2kg、ヨウ素640g、及び金属マグネシウム6.4kgを投入し、攪拌しながら還流条件下で系内からの水素ガスの発生がなくなるまで反応させ、固体状反応生成物を得た。この固体状反応生成物を含む反応液を減圧乾燥させることにより目的のマグネシウム化合物(固体触媒の担体)を得た。
【0065】
(2)固体触媒成分の調整
窒素ガスで充分に置換した攪拌機付き反応槽(内容積500L)に、上記(1)で得たマグネシウム化合物(粉砕していないもの)30kg、精製ヘプタン(n−ヘプタン)150L、四塩化ケイ素4.5L、及びフタル酸ジ−n−ブチル5.4Lを加えた。系内を90℃に保ち、攪拌しながら四塩化チタン144Lを投入して110℃で2時間反応させた後、固体成分を分離して80℃の精製ヘプタンで洗浄した。さらに四塩化チタン228Lを加え、110℃で2時間反応させた後、精製ヘプタンで充分に洗浄し固体触媒成分を得た。
【0066】
(3)前処理
内容積500Lの攪拌機付き反応槽に精製ヘプタン230Lを投入し、上記(2)で得た固体触媒成分を25kg、トリエチルアルミニウムを固体触媒成分中のチタン原子に対して1.0mol/mol、ジシクロペンチルジメトキシシランを1.8mol/molの割合で供給した。その後、プロピレンをプロピレン分圧で0.3kg/cmGになるまで導入し、25℃で4時間反応させた。反応終了後、固体触媒成分を精製ヘプタンで数回洗浄し、さらに二酸化炭素を供給し24時間攪拌した。
【0067】
(4)重合
内容積200Lの攪拌機付き重合装置に上記(3)で得た処理済の固体触媒成分を成分中のチタン原子換算で3mmol/hrで、トリエチルアルミニウムを4mmol/kg−PPで、ジシクロヘンチルジメトキシシランを1mmol/kg−PPでそれぞれ供給し、重合温度80℃、重合圧力(全圧)28kg/cmでプロピレンとエチレンを反応させた。この時、重合装置内のエチレン濃度を2.5mol%、水素濃度を0.4mol%とし、所望のエチレン含有量及び分子量となるようにした。尚、エチレン濃度及び水素濃度はガスクロマトグラフィーによる重合装置内のガス部の組成分析値である。
【0068】
<製造例3>
プロピレン−エチレンランダム共重合体の製造
重合時のエチレン濃度を1.5mol%、水素濃度を1.8mol%に設定してエチレン含有量及びMFRを調整した以外は製造例2と同様にしてプロピレン共重合体の製造を得た。
【0069】
<製造例4>
プロピレン−エチレンランダム共重合体の製造
重合時のエチレン濃度を2.9mol%、水素濃度を1.0mol%に設定してエチレン含有量及びMFRを調整した以外は製造例2と同様にしてプロピレン−エチレンランダム共重合体の製造を得た。
【0070】
<製造例5>
プロピレン−エチレンランダム共重合体の製造
重合時のエチレン濃度を2.3mol%、水素濃度を5.8mol%に設定してエチレン含有量及びMFRを調整した以外は製造例2と同様にしてプロピレン−エチレンランダム共重合体を得た。得られた共重合体に、フェノール系酸化防止剤としてペンタエリスリトールテトラキス[3−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名:Irg1010)0.09重量部、リン系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名:Irg168)0.09重量部、ステアリン酸カルシウム(日本油脂社製)0.03重量部、ハイドロタルサイト(協和化学社製、商品名:DHT−4A)0.03重量部を混合しペレタイズした。こうして得られたポリプロピレン組成物のエチレン含有量は4.2重量%、MFRは7.9g/10分であった。
【0071】
<実施例1>
ポリプロピレン組成物の製造
製造例1で得たプロピレン単独重合体パウダーに、リン系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:Irg168)0.1重量部、ヒンダードアミン化合物としてコハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:チヌビン622LD)0.04重量部、ステアリン酸カルシウム(日本油脂(株)製)0.07重量部を混合し、50mm単軸押出機(GMZ−50)にて設定温度230℃、80rpmの回転数で溶融混練しペレット(ポリプロピレン組成物)を得た。得られたポリプロピレン組成物のMFRは3.2g/10分であった。
【0072】
<実施例2>
ポリプロピレン組成物の製造
製造例2で得たプロピレン−エチレンランダム共重合体(MFR0.7)に、実施例1と同様の添加剤処方を施し、実施例1と同様にペレタイズを行い、ペレット(ポリプロピレン組成物)を得た。得られたポリプロピレン組成物のエチレン含有量は4.5重量%、MFRは0.7g/10分であった。
【0073】
<実施例3>
ポリプロピレン組成物の製造
製造例3で得たプロピレン−エチレンランダム共重合体(MFR1.5)に、実施例1と同様の添加剤処方を施し、実施例1と同様にペレタイズを行い、ペレット(ポリプロピレン組成物)を得た。得られたポリプロピレン組成物のエチレン含有量は2.5重量%、MFRは1.5g/10分であった。
【0074】
<実施例4>
ポリプロピレン組成物の製造
製造例3の共重合体に、実施例1と同様の添加剤処方を施し、実施例1と同様にペレタイズする際に、有機過酸化物として2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(吉富ファインケミカル製、商品名:ルパゾール101)を0.028重量部配合し、ペレット(ポリプロピレン組成物4)を得た。得られたポリプロピレン組成物(ポリプロピレン組成物3の有機過酸化物分解物)のエチレン含有量は2.5重量%、MFRは6.7g/10分であった。
【0075】
<比較例1>
ポリプロピレン組成物の製造
製造例1で製造したプロピレン単独重合体のパウダーに、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物の代わりにフェノール系酸化防止剤ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:Irg1010)0.1重量部、リン系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:Irg168)0.1重量部、ステアリン酸カルシウム(日本油脂(株)製)0.07重量部を混合し、ポリプロピレン組成物を得た。
【0076】
<比較例2>
ポリプロピレン組成物の製造
製造例3で製造した共重合体のパウダーに、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:Irg168)0.15重量部、ヒンダードアミン化合物としてコハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:チヌビン622LD)0.04重量部、ステアリン酸カルシウム(日本油脂(株)製)0.07重量部を混合し、ポリプロピレン組成物を得た。
【0077】
<比較例3>
ポリプロピレン組成物の製造
製造例3で製造した共重合体のパウダーに、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:Irg168)0.15重量部、ヒンダードアミン化合物としてコハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物の代わりにポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ]ヘキサメチレン{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ](チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:キマソーブ944LD)0.15重量部、ステアリン酸カルシウム(日本油脂(株)製)0.07重量部を混合し、ポリプロピレン組成物を得た。
【0078】
実施例1〜4及び比較例1〜3で製造したペレット(ポリプロピレン組成物)及びこれらのペレットから形成したシートについて、下記各物性を測定した。結果を下記表1に示す。
【0079】
<シート成形方法>
溶融したポリプロピレン組成物を、下記成形機内の複数の冷却ロールに巻装されたエンドレスベルトと、鏡面冷却ロールとの間に導入し、組成物を前記エンドレスベルト及び鏡面ロールによって圧接してシート状に形成すると同時に急冷して厚さ0.3mmのシートを得た。
(1)使用した成形機:金属ロール/金属ベルト冷却式単層シート成形機(φ65mm)
(2)設定温度:C1/C2/C3/C4/C5/D=200/200/220/230/240℃ ここで、Cは押出機シリンダーの設定温度を表し、Dはダイスの設定温度を示し、数字はホッパー側からの位置を示す。
(3)エンドレスベルト及び鏡面冷却ロールの温度:15℃
【0080】
<放射線照射条件>
γ線照射機施設1号機(ラジエ工業(株)製、60Coによる放射線照射装置)にて、ペレット及びシートにγ線を25kGyで、3時間照射した。
【0081】
<物性試験方法>
(1)ペレット物性
(i)MFR:JIS K7210に準拠し、測定温度230℃、荷重2.16kgで測定した。
(ii)黄色度(YI):JIS K7105に準拠して測定した。
【0082】
(2)シート物性
(i)全ヘイズ:JIS K7105に準拠して測定した。
(ii)引張弾性率:JIS K7127に準拠して測定した。ここで、表1中の「引張り弾性率(MD)」は、シート成形時の樹脂が流れる方向に対して並行な方向に引っ張ったときの測定値を表し、「引張り弾性率(TD)]は、樹脂が流れる方向に対して垂直方向に引っ張ったときの測定値を表す。
(iii)デュポン衝撃強度(23℃):JIS K7124に準拠し、撃芯径15.8mmφ、アンビル径30mmφを用い、23℃で測定した。
(iv)黄色度(YI):JIS K7105に準拠し、反射法で測定した。
(v)ブリード白化:目視によりブリード白化の有無を判断した。
【0083】
【表1】

【0084】
表1中の商品名は、以下のものを表す。
Irg168:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、リン系酸化防止剤
Irg1010:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、フェノール系酸化防止剤
チヌビン622LD:コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、ヒンダードアミン化合物
キマソーブ944LD:ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ]ヘキサメチレン{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ];チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、ヒンダードアミン化合物
Ca−St:日本油脂(株)製、ステアリン酸カルシウム
ルパゾール101:2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン;吉富ファインケミカル製、有機過酸化物
【0085】
<実施例5>
ポリプロピレン組成物の製造
製造例4で得られた共重合体をペレタイズする際に実施例1と同様の添加剤処方に加え、有機過酸化物として2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(吉富ファインケミカル社製、商品名:ルバゾール101)を0.028重量部配合した。こうして得られたポリプロピレン組成物のエチレン含有量は4.9重量%、MFRは7.2g/10分であった。
【0086】
<実施例6〜9及び比較例4〜6>
下記表2に示すシート形成材料を用い、表2に記載の製膜法によって単層又は多層シートを製造し、各種物性を測定又は評価した。結果を下記表2に示す。
【0087】
<シート成形方法>
(1)ベルト急冷法
上記実施例1で用いた方法と同様である。
(2)エアナイフ法
50〜100℃のキャストロールにエアーを吹き付けてシートを冷却する方法である。
【0088】
<放射線照射条件>
上記実施例1と同様である。
【0089】
<物性試験方法>
(i)デュポン衝撃強度(0℃):JIS K7124に準拠し、撃芯径15.8mmφ、アンビル径30mmφを用い、0℃で測定した。
【0090】
(ii)YI透過:JIS K7105に準拠し、透過法で測定した。
【0091】
(iii)YI反射:JIS K7105に準拠し、反射法で測定した。
【0092】
(iv)霞度(%):JIS−K7105での霞度測定方法により測定した。
【0093】
(v)熱成形性:CKD社製CFF−360熱板成形機を用い、シートを上熱板温度145℃、した熱板温度145℃(1段)、145℃(2段)、150℃(3段)にて3段加熱し、20ショット/分のサイクルにて圧空整形し、金型再現性を評価した。評価基準は次の通りである。
○:型再現性が良い。
×:型再現性が悪い。
【0094】
(vi)シール性:蓋材として米デュポン社製タイベックを用い、シール時間2.5秒、シール圧力5.5kg/cmで一定とし、シール温度を140℃から2℃間隔で蓋材が溶断する温度(154℃)まで昇温し、評価した。評価基準は次のとおりである。
○:適正なシール条件温度が存在する。
×:蓋材が溶断してもシールできない。
【0095】
(vii)ピール性:上記シール条件でシールしたサンプル(シール温度146℃のサンプル)の滅菌前後の剥離性を評価した。評価基準は次の通りである。
○:蓋材も破断せず簡単にピールできた。
×:蓋材が破断したか、又はシールされていない。
【0096】
【表2】

【0097】
表2中の記号は、以下のものを表す。
E105GM:株式会社プライムポリマー製;押出しポリプロピレングレードのポリプロピレン
HE30:日本ポリエチレン社製;ノバテックLD
LDPE:低密度ポリエチレン
【0098】
表2の結果から、実施例の単層シート又は多層シート(積層体)は、γ線滅菌前後でのデュポン衝撃強度(0℃)の変化率が小さく、YI透過及びYI反射もγ滅菌前後での変化率が小さく、γ線滅菌による霞度の低下もなく透明性を保持しており、耐放射線性に優れていることがわかる。さらに、熱成形性にも優れていることがわかる。
また、蓋材と接着する層に本発明のシートを用いた場合にも、シール性及びピール性に優れた多層シートが得られることがわかる(実施例8)。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明のポリプロピレン組成物から形成されるシートは、耐放射線適性に優れているため、特に、内容物を密封した後に外部から放射線照射される場合に有用である。
本発明の包装体は、蓋材とのピール性に優れており、各種包装容器として有用である。
本発明の包装体は、医療用具等の、内容物密封後にγ線又は電子線滅菌が施される場合に用いられる包装容器として特に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリプロピレン単独重合体、エチレン含有量が5重量%以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体、又はこれらの樹脂混合物100重量部に対し、
(B)リン系酸化防止剤0.01〜0.125重量部、
(C)ヒンダードアミン系化合物0.01〜0.1重量部、及び
(D)ステアリン酸カルシウム0.01〜0.1重量部
を配合し、メルトフローレートが0.5〜10g/10分であることを特徴とするポリプロピレン組成物。
【請求項2】
さらに(E)有機過酸化物を配合してなることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のポリプロピレン組成物を溶融してTダイから押し出し、両面から急冷しながらシート状に成形されたことを特徴とするポリプロピレンシート。
【請求項4】
前記両面からの急冷が、前記溶融ポリプロピレンを金属ベルト、ロール等に接触させるか、又は水槽を用いることを特徴とする請求項3に記載のポリプロピレンシート。
【請求項5】
前記成分(A)〜(D)を混合した後、(E)有機過酸化物を添加し、溶融混練することを特徴とする、請求項3又は4に記載のポリプロピレンシート。
【請求項6】
0.3mm厚シートでのγ線の照射線量25kGy、3時間の滅菌後の黄色度(YI値)の変化率が滅菌前の30%以内であることを特徴とする、請求項3〜5のいずれか1項に記載のポリプロピレンシート。
【請求項7】
γ線照射による滅菌後の0℃におけるデュポン衝撃強度の変化率が滅菌前の40%以内であることを特徴とする、請求項3〜6のいずれか1項に記載のポリプロピレンシート。
【請求項8】
シート厚みt(mm)に対する霞度y=1375t−487.5t+62.5t以下であることを特徴とする、請求項3〜7のいずれか1項に記載のポリプロピレンシート。
【請求項9】
固体密度が895kg/m以下であることを特徴とする、請求項3〜5のいずれか1項に記載のポリプロピレンシート。
【請求項10】
少なくとも、蓋材と接着する層と、
請求項3〜9のいずれか1項に記載のポリプロピレンシートからなる基材層と、
を含むことを特徴とする多層構造を有する積層体。
【請求項11】
前記蓋材と接着する層が、請求項3〜9のいずれか1項に記載のポリプロピレンシートからなることを特徴とする積層体。
【請求項12】
請求項3〜11のいずれか1項に記載のポリプロピレンシートを含むことを特徴とする成形体。
【請求項13】
請求項3〜11のいずれか1項に記載のポリプロピレンシートを含むことを特徴とする包装体。
【請求項14】
請求項3〜11のいずれか1項に記載のポリプロピレンシートを含むことを特徴とする医療用容器。


【公開番号】特開2007−231036(P2007−231036A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−50842(P2006−50842)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(505130112)株式会社プライムポリマー (180)
【出願人】(500163366)出光ユニテック株式会社 (128)
【Fターム(参考)】