説明

育毛・養毛剤組成物及びその評価方法

【課題】男性型脱毛等における退行期誘導に代表されるアポトーシス現象を標的として作用する物質を簡便、かつ一度に大量に評価できる手法及び男性型脱毛等における退行期誘導に代表されるアポトーシス現象を標的として作用し、毛母細胞の細胞死を抑制又は阻害し、毛髪の成長期を延長し、退行期誘導を遅延化又は阻害する、育毛・養毛剤組成物を提供すること。
【解決手段】C3H/HeSlc系新生仔マウス毛包細胞を、形質転換増殖因子TGF−β2を含有した培地で培養して、強制的にアポトーシスを誘導する条件下に、被験物質存在下における該毛包細胞中における断片化DNA数を測定し、それによりアポトーシス誘導阻害効果を評価する、アポトーシス誘導阻害剤の評価方法、該評価方法により得られたアポトーシス誘導阻害剤を含有した育毛・養毛剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、育毛・養毛剤組成物、及び育毛・養毛剤に有用な物質の評価方法に関する。詳しくは、本発明は、アポトーシス誘導阻害物質、例えば、形質転換増殖因子TGF−β2により誘導されるマウス毛包細胞のアポトーシスを阻害する物質の評価方法、育毛・養毛剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
男性型脱毛症は、男性ホルモンであるテストステロンの作用により毛周期が正常に移行せず、退行期誘導後早期に脱毛することが主な原因であると報告されている。この早期退行期誘導は、活性型男性ホルモンと内皮系の毛乳頭細胞に存在するレセプターが結合することにより、毛乳頭細胞から大量のサイトカインであるTGF−β2が放出され、上皮系の毛母細胞が、カスパーゼ−9及びカスパーゼ−3の活性化により早期に、大量にアポトーシスを引き起こすためであると考えられているが、男性ホルモンがどのようなメカニズムで毛周期の短縮を引き起こしているのかは未だよくわかっていないのが現状である〔非特許文献1を参照のこと〕。
【0003】
従来の男性型脱毛をターゲットとした評価系は、男性ホルモンを指標としたin vitroの評価系であり、その中でも男性ホルモンから活性型男性ホルモンに変換するII型5αレダクターゼの阻害を評価する試験系が中心であった〔例えば、特許文献1を参照のこと〕。しかしながら、かかる男性ホルモンを指標とした評価系は、多段階の連鎖反応の中でも初期段階の反応を評価するものであるため、次段階である毛母細胞のアポトーシスに対して選択的に作用するか否かは不明であるという欠点がある。
【0004】
一方、アポトーシスを指標とした評価系として毛包由来上皮細胞を浮遊培養することでアポトーシスへ誘導し、毛包由来上皮細胞の断片化DNA量、又はモノヌクレオソームとオリゴヌクレオソームの総量を電気泳動により測定することによって育毛剤のアポトーシス抑制作用を評価する方法が報告されている〔例えば、特許文献2を参照のこと〕。しかしながら、前記特許文献2に記載の評価方法では、浮遊培養することによりアポトーシスに導いて阻害効果を評価しているため、本来、生体内で生じていると考えられているTGF−β2による毛母細胞のアポトーシスを必ずしも忠実に再現しているとはいえないのが現状である。また、前記特許文献2に記載の評価方法では、一度に大量の被験物質を評価することが困難であり、多段階の処理工程が発生し簡便ではなかった。
【特許文献1】特開平10−017486号公報
【特許文献2】特開平11−029442号公報
【非特許文献1】中川典昭、外1名、「FRAGRANCE JOURNAL」フレグランスジャーナル社、1998年6月15日、p.57−62
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、1つの側面では、男性型脱毛等における退行期誘導に代表されるアポトーシス現象を標的として作用する物質を選別すること、前記物質を簡便、かつ一度に大量に評価すること等のいずれかを少なくとも可能にする、アポトーシス誘導阻害物質の評価方法を提供することに関する。また、本発明は、別の側面では、男性型脱毛等における退行期誘導に代表されるアポトーシス現象を標的として作用すること、毛母細胞の細胞死を抑制又は阻害すること、毛髪の成長期を延長すること、退行期誘導を遅延化又は阻害すること等のいずれかの性質を少なくとも発揮する、育毛・養毛剤組成物を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明の要旨は、
〔1〕 C3H/HeSlc系新生仔マウス毛包細胞を、形質転換増殖因子TGF−β2(Transforming Growth Factor−β2)を含有した培地で培養して、強制的にアポトーシスを誘導する条件下に、被験物質存在下における該毛包細胞中における断片化DNA数を測定し、それによりアポトーシス誘導阻害効果を評価することを特徴とする、アポトーシス誘導阻害剤の評価方法、
〔2〕 培地中におけるTGF−β2の濃度が、0.1〜30.0ng/mLである、前記〔1〕記載の評価方法、
〔3〕 毛包細胞を、3〜5日間培養する、前記〔1〕又は〔2〕記載の評価方法、
〔4〕 アポトーシス誘導阻害剤が、育毛・養毛剤である、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の評価方法、
〔5〕 前記〔4〕記載の評価方法により得られたアポトーシス誘導阻害剤を含有してなる、育毛・養毛剤組成物、及び
〔6〕 アポトーシス誘導阻害剤が、カテキン化合物と没食子酸とのエステル化合物であって、下記一般式(I):
【化1】

〔式中、R1は、水素原子又は水酸基を示す〕
で表される化合物の少なくとも1種である、育毛・養毛剤組成物、
に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のアポトーシス誘導阻害剤の評価方法によれば、男性型脱毛等における退行期誘導に代表されるアポトーシス現象を標的として作用する物質を簡便、かつ一度に大量に選別又は評価することができるという優れた効果を奏する。本発明の育毛・養毛剤組成物によれば、成長期を延長し、退行期誘導を遅延化又は阻害することができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、C3H/HeSlc系新生仔マウスの毛包細胞、すなわち、毛母細胞及び毛乳頭細胞の混合培養系に、形質転換増殖因子TGF−β2(Transforming Growth Factor−β2)を添加することで、毛髪の退行期誘導に代表されるアポトーシスを強制的に引き起こすことができ、アポトーシス誘導の阻害、ひいては、男性型脱毛等における退行期誘導に代表されるアポトーシス誘導の阻害の評価に用いうるという本発明者らの驚くべき知見に基づく。
【0009】
なお、本明細書において、「アポトーシス誘導を阻害する」とは、アポトーシス誘導の抑制、遅延化等を含む概念を意味する。
【0010】
本発明は、1つの側面では、C3H/HeSlc系新生仔マウス毛包細胞を、TGF−β2を含有した培地で培養して、強制的にアポトーシスを誘導する条件下に、被験物質存在下における該毛包細胞中における断片化DNA数を測定し、それによりアポトーシス誘導阻害効果を評価することを特徴とする、アポトーシス誘導阻害剤の評価方法に関する。
【0011】
なお、本発明の評価方法の実施は、物質の薬理評価、物質の特性評価等における「バリデーション」、アポトーシス誘導を阻害する効果を示す物質(すなわち、アポトーシス誘導阻害剤)の「スクリーニング」等における実施を包含する。
【0012】
本発明の評価方法は、C3H/HeSlc系新生仔マウス毛包細胞におけるアポトーシスを指標として用いられていることに1つの大きな特徴がある。したがって、本発明の評価方法によれば、例えば、脱毛、具体的には、男性型脱毛等における退行期誘導に関連するアポトーシスに直接的に作用しうる物質を評価することができるという優れた効果を発揮する。
【0013】
また、本発明の評価方法は、細胞レベルでアポトーシスを評価することが可能であることから、一度に大量の物質を評価することが可能であり、かつ操作が簡便である。
【0014】
さらに、本発明の評価方法は、C3H/HeSlc系新生仔マウス毛包細胞において、TGF−β2により生じるアポトーシスを指標とすることに1つの大きな特徴がある。したがって、本発明の評価方法によれば、TGF−β2以外の因子のみに作用し、アポトーシスを引き起こさない物質ではなく、TGF−β2により生じるアポトーシスに作用する物質を効率よく評価することができるという優れた効果を発揮する。
【0015】
本発明の評価方法で用いられる毛包細胞は、生後5日齢のC3H/HeSlc系新生仔マウスの背部皮膚から単離した毛母細胞及び毛乳頭細胞である。本発明の評価方法においては、前記C3H/HeSlc系マウスは、毛周期が明らかであること、マウス週齢により厳密に成長期毛の毛母細胞と毛乳頭細胞とを含む毛包細胞を採取可能であること、安定的に大量確保が可能であること、再現性よく入手可能であること等の多くの利点を有するため、有利である。したがって、本発明の評価方法によれば、毛母細胞と毛乳頭細胞とを含む成長期毛の毛包細胞が用いることにより、生体内で生じている成長期毛のアポトーシス誘導を忠実に再現できるため、本発明の評価方法により得られるアポトーシス誘導阻害物質は、退行期誘導の遅延化及び阻害又は成長期延長に優れた効果を発揮する。
【0016】
なお、本発明の評価方法においては、本発明の目的を妨げないものであれば、前記C3H/HeSlc系新生仔マウスの毛包細胞に代えて、ヒト、ラット、ウサギ、モルモット、サル等の毛包細胞を用いてもよい。
【0017】
前記毛包細胞は、例えば、皮膚から、毛包を単離するステップ、及び前記ステップで得られた毛包から、毛包細胞を分離するステップを含むプロセスを行なうことにより得られうる。
【0018】
皮膚から、毛包を単離するステップにおける毛包の単離手段としては、例えば、真皮結合組織中の繊維芽細胞等と毛包とを分離する活性を有する酵素(例えば、コラゲナーゼ等)による処理等が挙げられる。前記酵素による処理条件は、用いる酵素(例えば、コラゲナーゼ等)の至適pH、至適温度等の性質に応じて、任意に設定することができる。このようにコラゲナーゼ等による酵素処理を施すことで、真皮結合組織中に存在する繊維芽細胞、脂肪等を除去し、毛球部を含む毛包を得ることができる。
【0019】
毛球部からの毛母細胞と毛乳頭細胞とを含む毛包細胞の分離は、毛球部を含む毛包を、トリプシン等によるプロテアーゼ処理に供し、それにより、毛球部から、毛母細胞と毛乳頭細胞とを含む毛包細胞を分離することにより行なわれうる。このように毛球部をプロテアーゼ処理に供することで、目的とする毛包細胞をマウスの背部皮膚から得ることができる。
【0020】
本発明の評価方法においては、被験物質の評価を実施するには、毛包細胞を、事前に5体積% CO2、37℃で前培養し、得られた細胞をリン酸緩衝液で洗浄して不純物を除去しておくことが望ましい。なお、毛母細胞と毛乳頭細胞とを含む単離した毛包細胞は、凍結保存により保存可能である。
【0021】
本発明の評価方法に用いられる培地成分は、用いられる毛包細胞の種類、該毛包細胞の供給源等に応じて適宜選択することができる。前記C3H/HeSlc系新生仔マウス毛包細胞の場合、例えば、ヒドロコルチゾンと、ウシ膵臓由来インシュリンと、上皮成長因子EGF(Epidermal Growth Factor)と、ウシ下垂体抽出物BPE(Bovine Pituitary Extract)と、適切な抗生物質とを含有したMCDB153(例えば、pH7.2)等が培地として用いられうる。
【0022】
また、本発明の評価方法は、形質転換増殖因子であるTGF−β2を用いることで、強制的に毛包細胞のアポトーシスを誘導させることにも1つの大きな特徴がある。したがって、本発明の評価方法によれば、TGF−β2によるアポトーシスが指標として用いられているため、例えば、脱毛、具体的には、男性型脱毛等における退行期誘導に代表されるアポトーシス誘導の阻害に好適な物質を評価することができるという優れた効果を発揮する。
【0023】
前記TGF−β2の前記培地中における濃度は、アポトーシスを効率よく誘導する観点から、好ましくは、0.1〜30.0ng/mLであり、さらに好ましくは、1.0〜30.0ng/mLである。さらに、TGF−β2含有培地を用いたアポトーシス誘導に要する培養期間は、毛包細胞のアポトーシスを十分に誘導させ、かつ細胞がコンフルエントな状態になること等に起因する細胞死による評価への影響を低減する観点から、好ましくは、3〜5日間であり、更に好ましくは4日間である。
【0024】
本発明の評価方法は、1つの実施態様では、TGF−β2含有培地に被験物質を添加し、前記TGF−β2により、毛包細胞に強制的なアポトーシスを誘導する場合と同様に培養した場合において、アポトーシス誘導が阻害されるか否かを評価する方法である。
【0025】
被験物質によるアポトーシス誘導の阻害効果は、例えば、細胞増殖の有無を評価する方法等により調べられうる。前記細胞増殖の有無を評価する方法としては、例えば、細胞数測定、断片化DNAの測定等が挙げられる。
【0026】
前記細胞数測定は、例えば、高感度水溶性ホルマザンを生成するテトラゾリウム塩WST−8を用いて、該テトラゾリウム塩WST−8が細胞内脱水素酵素により還元されることにより生成した水溶性のホルマザンの450nm(参照波長650nm)の吸光度を介して、生細胞数を測定することにより行なわれうる。かかる細胞数測定には、例えば、商品名:Cell Counting Kit−8法(同仁化学研究所製)等が用いられうる。前記断片化DNAの測定は、電気泳動により、断片化DNAを可視化すること、5’末端又は3’末端に結合する試薬を用いて断片化DNA数を検出すること等により行なわれうる。前記断片化DNAの測定は、例えば、Apoptosis screening kit wako(和光純薬株式会社製)等を用い、断片化したDNAの3’−OH末端に結合した発色試薬の最大吸収波長である405nm(参照波長655nm)の吸光度を介して、断片化されたDNA数を測定することにより行なわれうる。本発明の評価方法においては、前記細胞増殖の有無を評価する方法の中でも、断片化DNA数を検出する方法は、簡易であり、アポトーシスに特徴的な現象を測定するものである点で有利である。
【0027】
さらに、本発明の評価方法は、毛周期が明らかなC3H/HeSlc系新生仔マウスが用いられているので、マウス週齡により厳密に成長期毛の毛母細胞と毛乳頭細胞とを含む毛包細胞を採取できるため、動物ロットの変動に左右されず、効果の結果を、良好な再現性で、迅速、かつ動物施設等を要さず安価に評価できるという利点を有する。
【0028】
よって、本発明の評価方法は、男性型脱毛症に見られるアポトーシス誘導を、簡便、且つ忠実に再現でき、評価することができる利点を有する。すなわち、本評価方法により得られるアポトーシス誘導阻害物質は、成長期延長又は退行期誘導の遅延化及び阻害に優れた効果を発揮する。本発明は、別の側面では、男性型脱毛等における退行期誘導に代表されるアポトーシス現象を標的として作用すること等のいずれかの性質を少なくとも発揮する、アポトーシス誘導阻害物質に関する。本発明のアポトーシス誘導阻害物質によれば、男性型脱毛等における退行期誘導等に代表されるアポトーシスを原因とする事象において、アポトーシス誘導を阻害することができるという優れた効果を奏する。
【0029】
また、本発明の評価方法により、例えば、天然物原料及び天然物由来成分に関してアポトーシス阻害を評価することにより、例えば、カテキン誘導体に毛母細胞のアポトーシス誘導を阻害する効果が見出される。本発明の評価方法により得られるアポトーシス誘導阻害物質としては、特に限定されないが、例えば、カテキン化合物と没食子酸とのエステル化合物であって、下記一般式(I):
【0030】
【化2】

〔式中、R1は、水素原子又は水酸基を示す〕
で表される化合物等が挙げられる。本発明の評価方法によれば、例えば、カテキンガレートとカテキンとの間の構造上の差異、エピカテキンガレートとエピカテキンとの間の構造上の差異、エピガロカテキンガレートとエピガロカテキンとの間の構造上の差異に基づくアポトーシス誘導阻害効果の有無を評価することができる。
【0031】
前記一般式(I)で示される化合物において、R1は、水素原子又は水酸基を示す。前記一般式(I)で表される化合物は、s体であってもよく、d体であってもよい。
【0032】
前記一般式(I)で示される化合物は、一般的なエステルの合成法により合成すること又は天然物供給源から単離することにより得られうる。また、かかる化合物は、本発明の目的を妨げない範囲で、適宜修飾基により修飾されていてもよい。前記天然物供給源としては、特に限定されないが、カテキン化合物が多く含まれた茶抽出物等が挙げられる。かかる天然物供給源からのカテキン化合物の単離は、例えば、適切な溶剤による抽出後、各種吸着剤(例えば、シリカゲル等)による分離、液体クロマトグラフィーにより分取することにより行なわれうる。
【0033】
本発明は、別の側面では、本発明のアポトーシス誘導阻害物質を含有した育毛・養毛剤組成物に関する。
【0034】
本発明の育毛・養毛剤組成物は、本発明のアポトーシス誘導阻害物質を含有することに1つの大きな特徴がある。したがって、本発明の育毛・養毛剤組成物によれば、男性型脱毛等における退行期誘導に代表されるアポトーシス現象を標的として作用するという優れた効果が得られる。また、本発明の育毛・養毛剤組成物によれば、毛母細胞の細胞死を抑制又は阻害することができる。さらに、本発明の育毛・養毛剤組成物によれば、毛髪の成長期を延長することができ、退行期誘導を遅延化又は阻害するという優れた効果を発揮する。
【0035】
なお、本発明の育毛・養毛剤組成物中において、前記アポトーシス誘導阻害物質は、イオンの状態であってもよい。
【0036】
本発明の育毛・養毛剤組成物中における前記アポトーシス誘導阻害剤の含有量は、特に限定されないが、アポトーシス誘導を効率よく阻害する観点から、0.0001〜5.0重量%、好ましくは0.0003〜0.1重量%、より好ましくは0.0005〜0.01重量%である。
【0037】
本発明の育毛・養毛剤組成物としては、特に限定されないが、前記一般式(I)で表される化合物を含有した育毛・養毛剤組成物が挙げられる。かかる育毛・養毛剤組成物によれば、TGF−β2による毛包細胞のアポトーシスを阻害し、それにより、男性型脱毛等における退行期誘導を遅延化又は阻害することができる。
【0038】
本発明の育毛・養毛剤組成物は、前記アポトーシス誘導阻害剤に加え、適宜、他の育毛・養毛成分等を含有してもよい。前記育毛・養毛成分としては、例えば、特に限定されないが、ビタミンE及びその誘導体、センブリエキス、ニンニクエキス、セファランチン、塩化カルプロニウム、アセチルコリン等の血行促進剤、トウガラシチンキ、カンタリスチンキ、ショウキョウチンキ、ノニル酸バニリルアミド等の局所刺激剤、サリチル酸、レゾルシン、乳酸等の角質溶解剤、プラセンタエキス、ペンタデカン酸グリセリド、パントテニルエチルエーテル、ビオチン、ヒノキチオール、アラントイン等の代謝賦活剤、グリチルリチン酸、グチリルレチン酸等の消炎剤、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、ジンクピリチオン、ヒノキチール等の殺菌剤、メントール、カンフル等の清涼剤、女性ホルモン等が挙げられる。なお、本発明の育毛・養毛剤組成物には、前記育毛・養毛成分を、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
また、本発明の育毛・養毛剤組成物は、前述した以外に、皮膚内への浸透性を示し、本発明の目的を妨げない範囲内で他の成分、すなわち、アルコール(特に限定されないが、例えば、炭素数2〜5の直鎖又は分枝鎖の低級アルコール、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール等)、多価アルコール(特に限定されないが、例えば、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等)、水溶性高分子(特に限定されないが、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等)、酸化防止剤(特に限定されないが、例えば、アスコルビン酸、マレイン酸等)、pH調整剤(特に限定されないが、例えば、クエン酸、リン酸等)、紫外線防止剤(特に限定されないが、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、パラメトキシ桂皮酸エチル等)、金属イオン封鎖剤(特に限定されないが、例えば、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩、ポリリン酸ナトリウム等)、増粘剤(特に限定されないが、例えば、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド等)、界面活性剤(特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等)、精製水、香料、防腐剤、抗菌剤、油剤、高級脂肪酸(特に限定されないが、例えば、炭素数12〜22の直鎖又は分枝鎖の高級脂肪酸、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等)、脂肪酸エステル(特に限定されないが、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル等)、保湿剤、清涼剤、色素等の通常の化粧料成分、ホルモン剤、ビタミン剤、アミノ酸類、収斂剤及び胎盤抽出物、エラスチン、コラーゲン、ムコ多糖、アロエ抽出物、ヘチマ水、ローヤルゼリー、バーチ、ニンジンエキス、カモミラエキス、甘草エキス、サルビアエキス、アルテアエキス、セイヨウノコギリソウエキス等の生薬成分をはじめとする動植物由来の抽出成分等、特殊配合成分等を適宜含有してもよい。なお、前記成分として例示された化合物において、多量体の化合物は、例えば、当該技術分野で慣用のものであればよい。また、本発明の育毛・養毛剤組成物には、前記育毛・養毛成分を、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
本発明の育毛・養毛剤組成物は、化粧品、医薬部外品又は医薬品として用いられうる。具体的には、本発明の育毛・養毛剤組成物は、例えば、ヘアトニック、ヘアクリーム、ヘアトリートメント、エアゾール等の剤型として用いることができる。また、前記剤型に調整する際、本発明の目的を妨げない範囲内で、イオウ製剤、グルタチオン、保湿剤、紫外線吸収剤、ビタミン類等の通常使用されている公知の添加物を適宜組み合わせて用いることもできる。
【0041】
なお、本発明の育毛・養毛剤組成物中において、前記アポトーシス誘導阻害物質は、他の成分と反応する場合、反応により生じる産物が本発明の目的を妨げないものであれば、他の成分と反応して生じた産物として含有していてもよい。
【0042】
前記アポトーシス誘導阻害剤を用い、育毛・養毛剤組成物を製造する場合、前記アポトーシス誘導阻害剤をそのまま配合してもよく、他の成分と複合体を形成させ、得られた複合体を配合してもよい。
【0043】
本発明の育毛・養毛剤組成物による効果は、本発明の評価方法による評価に加え、例えば、C3Hマウスの背部の毛を除去し、除去された部位に育毛・養毛剤組成物を投与し、その後、投与部位における毛の成長を評価する、毛成長促進評価試験;インビトロで、育毛・養毛剤組成物によるC3Hマウスの毛包細胞の増殖率を評価する、毛包細胞増殖促進試験;インビトロで、育毛・養毛剤組成物によるテストステロン−5αレダクターゼ(T−5α)の阻害効果を評価する、T−5α阻害試験等により評価されうる。
【0044】
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0045】
新生仔C3Hマウス背部毛包細胞の採取及び培養
(1)前培養培地の調製
D−MEM(Dulbecoo’s Modified Eagle Medium、Gibco社製)500mLにFetal Bovine Serum(Gibco社製) 55.5mLと、商品名:Antibiotic−Antimycotic(Gibco社製) 5.5mLとを添加し、前培養培地を調製した。
【0046】
(2)新生仔C3Hマウス背部毛包細胞の採取
生後5日齢のC3H/HeSlc系新生仔マウスの背部皮膚を無菌的に採取し、前記(1)で得られた前培養培地で洗浄した後、筋組織を除去し、皮膚片を得た。前記皮膚片を1.0mm幅の短冊状に切り、毛包下部が現れるように、真皮結合組織を剥離した。得られた真皮結合組織から、完全な毛球部が得られるようにメスにて真皮組織を更に細分化した。得られた試料を、0.2重量% コラゲナーゼ溶液中、60分間、37℃でインキュベートした後、5℃に冷却し、前培養培地を加え反応を停止させ、毛包すなわち毛球部を回収した。
【0047】
(3)基礎培地の調製
MCDB153(Sigma社製) 1vaialに、NaHCO3(和光純薬株式会社製) 1.21gを添加し、超純水で900mLに調整した。得られた混合物について、1.0mol/L 水酸化ナトリウム溶液(和光純薬株式会社製)で、pHを7.2に調整した後、超純水で全量を1.0Lに調整した。得られた溶液を、0.22μmボトルトップフィルター(FALCON社製)で、滅菌ろ過し、基礎培地を得た。
【0048】
(4)完全培地の調製
前記(3)で得られた基礎培地 500mLに、ヒドロコルチゾン(ナカライテスク社製) 0.25mgと、ウシ膵臓由来インシュリン(γ線照射)(Sigma社製) 2.5mgと、EGF〔上皮成長因子(Epidermal Growth Factor) 0.2μ−filtered:UBI社製〕 2.5μgと、BPE〔ウシ下垂体抽出物(Bovine Pituitary Extract) 0.2μ−filtered:コスモバイオ(CosmoBio)社製〕 15.0mgと、商品名:Antibiotic−Antimycotic(Gibco社製) 5.5mLとを添加し、完全培地を得た。得られた完全培地に、TGF−β2を0.1〜30.0ng/mL濃度で添加し、TGF−β2含有完全培地を得た。
【0049】
(5)細胞培養
前記(2)で得られた毛球部をトリプシン処理し、毛球部分の細胞である毛包細胞(毛母細胞及び毛乳頭細胞を含む)を得た。得られた細胞を、5×105細胞/mLの密度となるよう前培養培地に懸濁し、細胞懸濁液を得た。ついで、前記細胞懸濁液を、コラーゲンコートした96ウェルマイクロプレートに1ウェルあたりの量が200μLとなるように播種し、5体積CO2、37℃で24時間培養した。
【0050】
培養後、各ウェルから培地成分を除去し、PBS(Dulbecoo’s Phospate Buffered Salines:Gibco社製) 200μLで、各ウェル中の細胞を洗浄した。その後、各ウェルに、前記TGF−β2含有完全培地 100μL又は前記完全培地 100μLを添加し、5体積CO2、37℃で1〜7日間培養し、毛包細胞を得た。
【実施例2】
【0051】
アポトーシス誘導条件の検討
(1)TGF−β2作用時間の検討
前記実施例1で得られた毛包細胞を含む培養物の培地について、0、3.0又は30.0ng/mL TGF−β2を含有した完全培地と交換した後、当該培養物を、5体積CO2、37℃で、1、2、4又は7日間培養した。商品名:Cell Counting Kit−8(同仁化学研究所製)を用いて、各培養時間の細胞数を測定し、ついで、商品名:Apoptosis screening kit Wako(和光純薬株式会社製)を用いて、アポトーシスによる断片化DNA数を測定した。
【0052】
上記測定には、マイクロプレートリーダー Model680(Bio Rad社製)を使用した。なお、有意差の検定は、細胞数の測定及び断片化DNA数の測定ともに、t検定により行ない、p<0.01のとき有意差ありと判定した。細胞数の結果を表1及び図1に示し、断片化DNA数の結果を表2及び図2に示す。なお、表1の値は、TGF−β2を含まな培地(陰性対照)を用いた場合の細胞増殖率を100%とし、TGF−β2を含有した培地を用いた場合の細胞増殖率を算出した値である。
【0053】
【表1】

【0054】
【表2】

【0055】
その結果、表1及び図1に示されるように、培養1日目、2日目では、TGF−β2を含有しない完全培地で培養した細胞群の細胞数と比べて、TGF−β2含有完全培地で培養した細胞群の細胞数は同等であり、細胞数の減少は認められなかった。培養4日目では、TGF−β2を含有しない完全培地で培養した細胞群の細胞数は、増加したのに対し、TGF−β2濃度3.0ng/mL以上のTGF−β2含有完全培地で培養した細胞群の細胞数は、減少した。また、培養7日目では、TGF−β2を含有しない完全培地で培養した細胞群においてもコンフルエントによる細胞死が認められた。したがって、培養4日目前後で、TGF−β2含有完全培地で培養した細胞群において、識別可能なアポトーシスが有意に誘導されることがわかる。
【0056】
また、表2及び図2に示されるように、培養1日目、2日目では、各添加濃度のTGF−β2含有完全培地で培養した細胞群において、アポトーシスによる断片化DNAは認められなかった。培養4日目では、TGF−β2を含有しない完全培地で培養した細胞群において、アポトーシスによる断片化DNAが認められないのに対し、TGF−β2濃度3.0ng/mL以上のTGF−β2含有完全培地で培養した細胞群において、培養2日目の2倍量の断片化DNAが認められた。培養7日目では、TGF−β2を含有しない完全培地で培養した細胞群においても断片化DNA数が認められたため、TGF−β2によるアポトーシス誘導を評価するには不適な培養日数であることがわかる。
【0057】
したがって、アポトーシス誘導を評価する最適培養日数は4日間であることが明らかとなった。
【0058】
(2)TGF−β2作用濃度の検討
前記実施例2で得られた培養物の培地について、0.1、0.3、1.0、3.0、10.0、30.0ng/mL TGF−β2を含有した完全培地と交換した後、当該培養物を、4日間培養した。ついで、前記(1)と同様に、各添加濃度のTGF−β2含有完全培地で培養した場合の細胞数とアポトーシスによる断片化DNA数とを測定した。細胞数の結果を表3及び図3に示し、断片化DNA数の結果を表4及び図4に示す。なお、表3の値は、TGF−β2を含まな培地(陰性対照)を用いた場合の細胞増殖率を100%とし、TGF−β2を含有した培地を用いた場合の細胞増殖率を算出した値である。
【0059】
【表3】

【0060】
【表4】

【0061】
表3及び図3に示されるように、TGF−β2添加濃度が0.3ng/mL以下の場合、明らかな細胞数の減少は認められないのに対し、添加濃度が1.0ng/mL以上の場合では、明らかな細胞数の減少が認められた。また、表4及び図4に示されるように、TGF−β2添加濃度が0.3ng/mL以下の場合、アポトーシスによる断片化DNAが認められないのに対し、添加濃度が1.0ng/mL以上の場合では、アポトーシスによる断片化DNAが認められた。
【0062】
したがって、アポトーシス誘導を評価するために最適なTGF−β2添加濃度は、1.0ng/mL以上であることが明らかとなった。
【0063】
以上の結果から、マウス毛包細胞を、1.0ng/mL濃度のTGF−β2を含有した培地 200μL中、5体積CO2、37℃で4日間培養することにより、強制的に細胞をアポトーシス誘導させることに成功した。本手法による細胞のアポトーシス誘導を阻害する物質は、早期退行期への移行の阻害又は遅延化が可能であると考えられる。すなわち、本評価方法により得られたアポトーシス誘導阻害剤は、成長期を延長させる効果も期待できる。
【実施例3】
【0064】
評価方法の試行及び効果確認
(1)評価方法によるアポトーシス誘導阻害剤のスクリーニング
様々な天然物原料及び天然物由来成分について、上記実施例2の評価方法を用い、細胞増殖効果及びアポトーシス誘導阻害効果の有無を調査した。
【0065】
天然物原料及び天然物由来成分を、1.0ng/mL濃度のTGF−β2を含有した完全培地及びTGF−β2を含有しない完全培地それぞれに0.01、0.1、1.0、10.0μMとなるよう溶解させた。ついで、各被験物質含有濃度下、実施例1で得られた毛包細胞を、5体積CO2、37℃で4日間培養した。
【0066】
培養後、前記実施例2の(1)と同様に、細胞数とアポトーシスによる断片化DNA数とを測定し、それにより、細胞増殖効果及びアポトーシス誘導阻害効果を調べた。種々の被験物質による細胞増殖効果を調べた結果の一例について、表5〜7及び図5〜13に示す。
【0067】
【表5】

【0068】
【表6】

【0069】
【表7】

【0070】
その結果、表5及び図5〜7に示すように、カテキンガレート(Catechin gallate)、エピカテキンガレート(Epicatechin gallate)及びエピガロカテキンガレート(Epigallocatechin gallate)の3種のカテキン誘導体それぞれについて、10.0μM濃度で用いた場合、明らかな細胞数の減少は認められず、アポトーシス誘導が阻害されている可能性が示唆された。一方、表6及び図8〜10に示されるように、これら3種のカテキン誘導体の母核であるカテキン、エピカテキン及びエピガロカテキンを用いた場合、いずれの使用濃度においても、明らかな細胞数の減少が認められ、アポトーシスが起こっていることが示唆された。さらに、3種のカテキン誘導体の共通構造であるgalloyl基を有する没食子酸、そのメチルエステル化合物及びエチルエステル化合物それぞれについて、細胞増殖効果を確認した結果、表7及び図11〜13に示されるように、明らかな細胞数の減少が認められた。
【0071】
ついで、細胞数の減少は認められなかった3種のカテキン誘導体(カテキンガレート、エピカテキンガレート及びエピガロカテキンガレート)によるアポトーシス誘導阻害効果を、表8及び図14〜16を示す。
【0072】
その結果、表8及び図14〜16に示されるように、被験物質として、カテキンガレート、エピカテキンガレート及びエピガロカテキンガレートを用いた場合、1.0ng/mL TGF−β2を含有した完全培地で培養した細胞群では、被験物質濃度の増加に伴い、吸光度値の低下、すなわちアポトーシスによる断片化DNA数の減少が認められ、被験物質濃度10.0μMでアポトーシス誘導の抑制が認められた。なお、TGF−β2を含有しない完全培地で培養した細胞群では、被験物質濃度の増加に関係なく、アポトーシスによる断片化DNA数は認められなかった。
【0073】
【表8】

【0074】
これらの結果から、アポトーシス誘導抑制には、カテキン化合物と没食子酸とのエステル化合物の構造、又はカテキン化合物の部分構造とガロイル基の部分構造とを含む構造を基本骨格として有していることが必要であることが示唆された。
【実施例4】
【0075】
前記実施例3で選択されたカテキン誘導体をアポトーシス誘導阻害剤として配合し、以下に示す育毛・養毛剤組成物を調製した。
【0076】
処方例1
育毛・養毛剤 (%)
アポトーシス誘導阻害剤 0.005
酢酸トコフェロール 0.1
ニコチン酸ベンジル 0.1
ニコチン酸アミド 0.1
パントテニルアルコール 0.2
ポリオキシエチレン(EO60)
硬化ヒマシ油 0.3
香料 0.1
1,3−ブチレングリコール 1.5
エタノール 55.0
精製水 残 部
合 計 100.0
【0077】
処方例2
エアゾール式育毛・養毛剤
原液 (%)
アポトーシス誘導阻害剤 0.005
酢酸トコフェロール 0.1
ニコチン酸ベンジル 0.1
メントール 0.1
香料 0.1
1,3−ブチレングリコール 1.0
エタノール 65.0
精製水 残 部
合 計 100.0
噴霧剤 (%)
LPG
(20℃、1.5kg/cm2 ) 86.2
窒素 13.8
合 計 100.0

前記原液 97.11
前記噴霧剤 2.89
合 計 100.0
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明のアポトーシス誘導阻害を評価する評価方法によれば、男性型脱毛症の主たる原因であると考えられるアポトーシス誘導を簡便に再現でき、かつかかるアポトーシス誘導に作用する物質を評価でき、かかる評価方法により得られたアポトーシス誘導阻害物質は、成長期延長若しくは退行期誘導の延長及び阻害に優れた効果を奏する。また、本発明の育毛・養毛剤組成物によれば、成長期延長、退行期誘導の遅延化及び阻害が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】図1は、マウス毛包細胞をTGF−β2含有培地で培養した場合の細胞数の増減を示すグラフである。横軸は日数、縦軸は細胞増殖率(%)を示す。
【0080】
【図2】図2は、マウス毛包細胞をTGF−β2含有培地で培養した場合のアポトーシスによる断片化DNA数を示すグラフである。横軸は日数、縦軸は405nmでの吸光度値を示す。
【0081】
【図3】図3は、TGF−β2各濃度添加培地で4日間培養した場合の細胞数の増減を示すグラフである。横軸はTGF−β2の培地への添加濃度、縦軸は細胞増殖率(%)を示す。
【0082】
【図4】図4は、TGF−β2各濃度添加培地で4日間培養した場合のアポトーシスによる断片化DNA数を示すグラフである。横軸はTGF−β2の培地への添加濃度、縦軸は405nmでの吸光度値を示す。
【0083】
【図5】図5は、カテキンガレートの細胞増殖効果を示すグラフである。横軸はTGF−β2の培地への添加濃度、縦軸は細胞増殖率(%)を示す。
【0084】
【図6】図6は、エピカテキンガレートの細胞増殖効果を示すグラフである。横軸はTGF−β2の培地への添加濃度、縦軸は細胞増殖率(%)を示す。
【0085】
【図7】図7は、エピガロカテキンガレートの細胞増殖効果を示すグラフである。横軸はTGF−β2の培地への添加濃度、縦軸は細胞増殖率(%)を示す。
【0086】
【図8】図8は、カテキンの細胞増殖効果を示すグラフである。横軸はTGF−β2の培地への添加濃度、縦軸は細胞増殖率(%)を示す。
【0087】
【図9】図9は、エピカテキンの細胞増殖効果を示すグラフである。横軸はTGF−β2の培地への添加濃度、縦軸は細胞増殖率(%)を示す。
【0088】
【図10】図10は、エピガロカテキンの細胞増殖効果を示すグラフである。横軸はTGF−β2の培地への添加濃度、縦軸は細胞増殖率(%)を示す。
【0089】
【図11】図11は、没食子酸の細胞増殖効果を示すグラフである。横軸はTGF−β2の培地への添加濃度、縦軸は細胞増殖率(%)を示す。
【0090】
【図12】図12は、没食子酸のメチルエステル化合物の細胞増殖効果を示すグラフである。横軸はTGF−β2の培地への添加濃度、縦軸は細胞増殖率(%)を示す。
【0091】
【図13】図13は、没食子酸のエチルエステル化合物の細胞増殖効果を示すグラフである。横軸はTGF−β2の培地への添加濃度、縦軸は細胞増殖率(%)を示す。
【0092】
【図14】図14は、カテキンガレートのアポトーシス誘導阻害効果を示すグラフである。横軸はTGF−β2の培地への添加濃度、縦軸は405nmでの吸光度値を示す。
【0093】
【図15】図15は、エピカテキンガレートのアポトーシス誘導阻害効果を示すグラフである。横軸はTGF−β2の培地への添加濃度、縦軸は405nmでの吸光度値を示す。
【0094】
【図16】図16は、エピガロカテキンガレートのアポトーシス誘導阻害効果を示すグラフである。横軸はTGF−β2の培地への添加濃度、縦軸は405nmでの吸光度値を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
C3H/HeSlc系新生仔マウス毛包細胞を、形質転換増殖因子TGF−β2(Transforming Growth Factor−β2)を含有した培地で培養して、強制的にアポトーシスを誘導する条件下に、被験物質存在下における該毛包細胞中における断片化DNA数を測定し、それによりアポトーシス誘導阻害効果を評価することを特徴とする、アポトーシス誘導阻害剤の評価方法。
【請求項2】
培地中におけるTGF−β2の濃度が、0.1〜30.0ng/mLである、請求項1記載の評価方法。
【請求項3】
毛包細胞を、3〜5日間培養する、請求項1又は2記載の評価方法。
【請求項4】
アポトーシス誘導阻害剤が、育毛・養毛剤である、請求項1〜3のいずれかに記載の評価方法。
【請求項5】
請求項4記載の評価方法により得られたアポトーシス誘導阻害剤を含有してなる、育毛・養毛剤組成物。
【請求項6】
アポトーシス誘導阻害剤が、カテキン化合物と没食子酸とのエステル化合物であって、下記一般式(I):
【化1】

〔式中、R1は、水素原子又は水酸基を示す〕
で表される化合物の少なくとも1種である、育毛・養毛剤組成物。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−94786(P2006−94786A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−285324(P2004−285324)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(390011442)株式会社マンダム (305)
【Fターム(参考)】