胃瘻カテーテルの留置状態確認装置
【課題】胃瘻カテーテルが適正な状態に留置されているか否かを確認するために用いられる内視鏡の挿入部の構成を簡略化し、かつ細径化を図る。
【解決手段】内視鏡10の挿入部11は、曲げ方向に可撓性を有するものであり、胃瘻カテーテル1のカテーテルチューブ2内に挿通できるようになっており、この挿入部11の先端硬質部11aには照明部13と観察部14とからなる観察手段が設けられており、またこの先端硬質部11aの外面には磁性板24が設けられ、磁石23を設けた操作手段20を体表皮に当接させて、挿入部11に設けた磁性板24に磁気吸引力を作用させて、挿入部11の先端部分の方向を反転させて、カテーテルチューブ2の胃内に挿入されている部位を視野に収め、操作手段20を体表皮に沿って動かすことによって、挿入部11の先端を所望の方向に向けることができるようになる。
【解決手段】内視鏡10の挿入部11は、曲げ方向に可撓性を有するものであり、胃瘻カテーテル1のカテーテルチューブ2内に挿通できるようになっており、この挿入部11の先端硬質部11aには照明部13と観察部14とからなる観察手段が設けられており、またこの先端硬質部11aの外面には磁性板24が設けられ、磁石23を設けた操作手段20を体表皮に当接させて、挿入部11に設けた磁性板24に磁気吸引力を作用させて、挿入部11の先端部分の方向を反転させて、カテーテルチューブ2の胃内に挿入されている部位を視野に収め、操作手段20を体表皮に沿って動かすことによって、挿入部11の先端を所望の方向に向けることができるようになる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腹壁から胃壁を通り、胃内への通路としての瘻孔を穿設して、この瘻孔に胃瘻カテーテルを挿入し、薬剤や栄養剤を胃の内部に直接注入する等ために、瘻孔に留置される胃瘻カテーテルが適正な状態に留置されているか否かを確認するための胃瘻カテーテルの留置状態確認装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、認知症の患者や口腔内や、咽喉部等を損傷した患者等のように、経口的に薬剤や栄養等の摂取を行えない患者に対しては胃瘻カテーテルを造設し、この胃瘻カテーテルを介して薬剤や栄養剤等の流動物を胃の内部に直接注入する手技が近年広く行われるようになってきている。胃瘻カテーテルは基本的には流動物を注入するための通路としてのカテーテルチューブを備えるものであり、このカテーテルチューブの先端は胃の内部にまで挿入されており、また基端部は腹腔の外に導き出される。カテーテルチューブを胃の内部に確実に、しかも安定的に留置するために、カテーテルチューブの先端外面にはバルーンやバンパ等のストッパ部材が設けられる。このストッパ部材はカテーテルチューブの先端側の外面に設けられ、瘻孔への挿入時には縮小させた状態とし、カテーテルチューブの先端部が胃内に進入した後に、膨出乃至拡径させることによって、抜け止め機能を発揮する。また、カテーテルチューブの基端部は体腔外に位置し、この基端側の部位には外部ストッパが設けられ、さらに基端部は注入口として開口しており、この開口部は蓋体により施蓋される。
【0003】
以上のように構成することによって、カテーテルチューブの蓋体を脱着することによって、薬剤,栄養剤等の注入操作を容易に行うことができ、注入操作が終了すると、蓋体を装着するだけで良いことから、在宅でも操作が可能である等の利点がある。この胃瘻カテーテルは数カ月から半年程度は交換する必要はなく、長期間にわたって使用することができる点でも有利である。
【0004】
胃瘻カテーテルは、定期的または随時抜去して、洗浄を行う必要がある。この胃瘻カテーテルを抜去して、洗浄した後に再装着するか、または交換して新たな胃瘻カテーテルを装着することになるが、再装着のために瘻孔による経路を確保しておく。まずカテーテルチューブの内部にガイドワイヤを挿入して、このガイドワイヤをカテーテルチューブの先端から導出させて、胃の内部にまで挿入した状態で、ガイドワイヤからカテーテルチューブを引き抜くようにする。胃瘻カテーテルを再装着するには、ガイドワイヤの端部からカテーテルチューブを挿入して、このカテーテルチューブの先端を瘻孔から胃の内部にまで挿入するようになし、次いでバルーン乃至バンパ等からなるストッパ部材を膨出乃至拡径させ、さらに、ガイドワイヤを引き抜くように操作する。
【0005】
初期的に胃瘻カテーテルを造設するが、胃瘻カテーテルの留置状態が所定の期間経過すると、胃瘻カテーテルを交換するか、または洗浄を行った後に再装着する。このように、胃瘻カテーテルを造設し、また交換乃至洗浄後の再装着が行われて、胃瘻カテーテルが所定の位置に装着され、留置されているときに、最も注意を要するのは、カテーテルチューブの先端が確実に胃の内部にまで挿入されることである。ここで、瘻孔は腹壁から胃壁を経て胃の内部までの通路であるが、腹壁と胃壁とが乖離していると、カテーテルチューブの先端が腹壁と胃壁との間の空間に進入するおそれがある。この状態を見過ごすと、流動物を注入する際に、胃内に注入されず、腹腔に向けて入り込んでしまう事態が発生する。また、ストッパ部材の全体が完全に胃の内部に位置していないと、体の動きによっては、カテーテルチューブが胃から逸脱してしまうこともある。
【0006】
前述したような事態が発生しないようにするために、胃瘻カテーテルの留置状態において、このカテーテルチューブが正規の位置に配置されているか否かを検出する必要がある。胃瘻カテーテルは直線的な通路を構成するものであることから、カテーテルチューブ内に細径の内視鏡を挿入することができる。そこで、内視鏡により胃瘻カテーテルの胃内への留置状態を検出することが必要となる。
【0007】
ここで、内視鏡の観察視野は主に挿入部の前方であり、この挿入部をカテーテルチューブ内に挿入したときには、挿入方向の前方が観察視野となる。しかしながら、カテーテルチューブの胃壁を通過している部位は内視鏡の挿入部における挿入方向の途中位置であるので、挿入部をカテーテルチューブの先端から導出させたときには、その先端若しくは先端側面に形成した内視鏡観察手段を後方に向けなければならない。挿入部に、手元操作で湾曲させることができる湾曲部が設けられておれば、この湾曲部を湾曲操作すれば良いが、挿入部に湾曲部を設けるように構成すると、構成が複雑になり、またカテーテルチューブの内部に挿通されるものであるから、挿入部は細径化する必要があるが、このような細径の挿入部に先端部を180度反転させる湾曲部を設ける構成とするのは困難であり、また内視鏡は極めて高価なものとなってしまう。
【0008】
そこで、挿入部に湾曲部を設けない内視鏡を用いて胃瘻カテーテルの造設後における留置状態を確認する構成としたものが、特許文献1に記載されている。この特許文献1では、曲げ方向に可撓性を有する挿入部の先端にワイヤを連結して設け、このワイヤを所定の長さ分だけ挿入部の外部に導出させて、途中位置から挿入部内に導入するようになし、挿入部の基端部近傍で外部に導出させる構成としている。従って、ワイヤの基端部を牽引すると、先端側の外部に導出させている部位に張力が作用して、挿入部の先端部分が弓なりに湾曲することになる。その結果、挿入部の先端部が反転するようになって、この挿入部の先端に設けた内視鏡観察手段はカテーテルチューブの胃壁内への導入部分を視野に収めることができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−131470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、特許文献1の挿入部内には、照明光を伝送するためのライトガイドと、観察像を伝送するための光学手段としてのイメージガイドとを設けるようにしており、これらライトガイドやイメージガイドは極細の光ファイバから構成されることから、これらの光ファイバに外力が作用すると容易に断線することになる。挿入部の先端部分を湾曲させるためのワイヤは全長ではないにしろ、部分的に挿入部の内部を通るようになっており、従って挿入部の先端部分を湾曲操作して反転させたときに、ワイヤに張力が作用することになる結果、ライトガイドやイメージガイドが圧迫されて、断線のおそれがある。従って、光ファイバを保護するために、ワイヤはガイドスリーブ等に挿通させるように構成しなければならない。このために、少なくともワイヤ及びそのガイドスリーブを装着する分だけ挿入部は太径化することになる。ここで、内視鏡の挿入部の外径は、カテーテルチューブの内径寸法に制約を受けることから、カテーテルチューブ内に挿通可能なように細径化するためには、ライトガイドやイメージガイドの本数を少なくしなければならず、そうすると内視鏡観察手段による体内像の鮮明度が低下するという問題点が生じる。
【0011】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、胃瘻カテーテルのカテーテルチューブ内に内視鏡の挿入部を挿入して、この胃瘻カテーテルが適正な状態に留置されているか否かを確認するに当って、この挿入部の構成を簡略化し、かつ細径化を図るようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した目的を達成するために、本発明は、胃瘻カテーテルのカテーテルチューブ内に挿通されて、胃瘻カテーテルの留置状態を確認するものであって、前記カテーテルチューブ内に挿通可能であり、曲げ方向に可撓性を有する挿入部の先端に、照明部及び観察部を設けた内視鏡と、前記挿入部の先端を所望の方向に向けるように操作可能な操作手段と、前記挿入部の先端部と前記操作手段との間に磁気による吸引力を作用させて、この操作手段の変位に追従させて前記挿入部の先端部を変位させる磁気吸引力作用手段とから構成したことをその特徴とするものである。
【0013】
腹壁から胃壁を貫通して胃の内部に至る瘻孔を形成して、胃瘻カテーテルのカテーテルチューブがこの瘻孔内に挿入される。カテーテルチューブの外面には、バルーンまたはバンパといったストッパ部材が設けられており、このストッパ部材が完全に胃の内部に入り込んだ状態となっていなければならない。
【0014】
そこで、胃瘻カテーテルを造設して留置した後であれ、また留置されている胃瘻カテーテルを取り外して洗浄して再装着した場合であれ、さらに取り外した胃瘻カテーテルを新たなものと交換した場合であれ、いずれにしろ留置されている胃瘻カテーテルの状態を確認するために、内視鏡を用いる。内視鏡は可撓性コードとして用いられるものであり、内視鏡には可撓性を有するコード状の挿入部を備えるものであり、この挿入部の先端からカテーテルチューブの全長以上の長さ分はカテーテルチューブ内に挿入可能な外径とする。後述するように、この内視鏡の挿入部をガイド部材として機能させる場合には、挿入部は、その全長にわたってカテーテルチューブ内に挿通できるものとするのが望ましい。
【0015】
胃瘻カテーテルにおける正規の留置状態は、そのカテーテルチューブの先端部分のストッパ部材の装着部が完全に胃の内部にまで挿入され、かつストッパ部材も胃の内部に位置している状態である。従って、カテーテルチューブの外面と胃の内壁との位置関係をこのカテーテルチューブのほぼ全周にわたって検出する。このために、挿入部の先端に照明部と観察部とからなる観察手段を設けた内視鏡を用いるが、カテーテルチューブ内に挿通されるものであり、しかもカテーテルチューブ内を円滑に出し入れできるようにするために、挿入部の外径はカテーテルチューブの内径より小さいものとする。ただし、胃瘻カテーテルを装着する際には、安全確保のために、胃の内部に気腹ガスを供給しておくことがあるが、気腹ガスが漏れないようにするために、あまり径差が大きくしない方が望ましい。
【0016】
カテーテルチューブ内に挿入部が挿入されて、その先端から胃の内部に導かれる。挿入部をカテーテルチューブから導出させた後に、この挿入部を方向転換させて、逆方向を向かせる。これによって、カテーテルチューブ外面と胃壁との間を観察することができるようになる。この挿入部を反転状態になるように湾曲させるために、磁気吸引力作用手段を用いる。挿入部の先端部分と操作手段とのうち、一方に永久磁石または電磁石からなる磁石を用い、他方には鉄等の磁性部材を設ける。例えば、内視鏡側に磁性部材を設け、操作手段側に磁石を設けるようにする。体腔壁は、一般的に透磁性を有することから、操作手段を体表皮に当接させて、挿入部に設けた磁性部材に近接させると、磁石による磁気の作用で挿入部の先端部分が吸引される。
【0017】
操作手段を操作することによって、挿入部の先端に設けた観察手段を、カテーテルチューブ外面と胃壁との間の部位で、観察可能な位置に変位させることができる。ここで、挿入部の先端部に観察手段が設けられるが、この観察手段による観察視野は、挿入部の前方を視野とする直視型のものや、挿入部の軸線と直交する方向を視野とする側視型、斜め前方または斜め後方を視野とする斜視型がある。直視型の内視鏡の場合には、挿入部の先端面を観察すべき部位に向ける必要があることから、磁性部材は挿入部の先端近傍における側面部に装着する。また、側視型の内視鏡の場合には、挿入部の先端面に磁性部材を設ける。さらに、斜視型の内視鏡にあっては、挿入部の先端部に、観察手段を設けた傾斜面とは異なる部位に斜面部を設けて、この斜面部に磁性部材を装着する。
【0018】
観察手段によりカテーテルチューブの外面のほぼ全周を観察する必要がある。このためには、操作手段を体外からカテーテルチューブの周囲に沿って移動させるように操作して、磁気吸引力の作用が及んでいる挿入部の先端部分を追従させて移動させるように構成することができる。ここで、操作手段側に磁石を設ける場合、その全体を磁石とするのではなく、体表皮に沿って移動させる本体部の一部に磁石を設ける。これによって、挿入部の指向性が良好になる。操作手段は、留置されている胃瘻カテーテルとは完全に独立して変位させるようにしても良いが、この操作手段による操作はカテーテルチューブの周囲を移動させるものであるから、カテーテルチューブとの関連性で移動範囲を設定することもできる。このためには、操作手段の本体部をカテーテルチューブの周囲を囲繞するリング状の部材として構成し、このリング状の部材の一部に磁石を設けることができ、また磁石はカテーテルチューブの軸回りの回転方向だけでなく、半径方向にも移動可能な構成とすることも可能である。さらに、電磁石を用いる場合において、シート状の部材に所定数の電磁石をマトリックス状に配列して設けた磁場シートから構成することもできる。そして、この磁場シートの電磁石を順次励磁することによって、挿入部の先端部分を所望の方向に変位させることができる。
【0019】
内視鏡は、先端に照明手段と観察手段とを設けた可撓性コードを有するものであって、照明手段としては、外部から照明光を伝送するライトガイドが一般的であるが、挿入部の先端に発光体を設ける構成とすることもできる。発光体はLED(発光ダイオード)やLD(レーザダイオード)等を用いることができ、さらにはレーザ励起式発光素子等を用いることができる。一方、観察手段としては、イメージガイドを用いるか、または固体撮像素子を用いる。固体撮像素子を用いる場合には、映像信号の伝送は、ケーブルを介するものや、無線による伝送を行うようにすることもできる。
【0020】
挿入部内にはライトガイドやイメージガイドを構成する光ファイバや信号ケーブルを挿通させるが、細径化のために挿通部材は必要最小限のものとし、かつ挿入部の内部で相対移動する部材を設けない。観察手段を構成する照明部を発光体から構成し、観察部を固体撮像素子で構成し、固体撮像素子からの映像信号を無線で送信するようにした場合には、カプセル内視鏡を用いることができる。このカプセル内視鏡とした場合には、カテーテルチューブ内に挿脱する必要があるので、カプセル内視鏡のケーシングに可撓性を有するコードを接続するようになし、挿入部はカプセル内視鏡とコードとから構成される。
【0021】
内部に光ファイバや信号ケーブル等の挿通部材を挿通させたものとするか、または単なるコードとするかのいずれにしろ、挿入部の先端から胃瘻カテーテルのカテーテルチューブ内に挿入される。従って、挿入部は胃瘻カテーテルを脱着する際におけるガイドワイヤとしての機能も発揮させることができる。即ち、挿入部をカテーテルチューブ内に挿入して、その先端をカテーテルチューブの先端から導出させておき、この状態で胃瘻カテーテルを挿入部の基端側から脱着することができる。これによって、胃瘻カテーテルを脱着した後における瘻孔を形成した状態に確保される。また、胃瘻カテーテルを交換し、または洗浄により再生させるようにして装着する際に、挿入部の基端部から胃瘻カテーテルのカテーテルチューブを挿嵌させて、瘻孔内に押し込んで胃の内部にまで導くようにする。従って、挿入部はその全長にわたってカテーテルチューブの内径より小さい外径としなければならない。カテーテルチューブが瘻孔内に挿入された後には、操作手段を操作し、ガイドワイヤとして機能していた挿入部の先端が反転する状態になるように湾曲させて、適正な留置状態となっているか否かの確認を行うことができる。そして、挿入部は制御装置に着脱可能に接続する構成とすることになり、挿入部の基端部は制御装置に接続するコネクタとして機能させる。
【発明の効果】
【0022】
留置されている胃瘻カテーテルに対して、そのカテーテルチューブ内に内視鏡における可撓性を有するコード部材からなる挿入部を挿入して、この胃瘻カテーテルが適正な状態に留置されているか否かを確認するが、この挿入部の構成が簡略化され、かつ挿通部材を不要とするか、または最小限のものとすることができるので、挿入部の細径化が図られ、しかも挿通部材にダメージが生じるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】留置状態確認装置が装着される胃瘻カテーテルの外観斜視図である。
【図2】胃瘻カテーテルが正規の状態に装着されている状態を示す正面図である。
【図3】本発明の実施の一形態を示す胃瘻カテーテルの留置状態確認装置の構成説明図である。
【図4】図3の内視鏡の先端部分と操作手段とを示す外観図である。
【図5】胃瘻カテーテルのバンパを縮径させた状態を示す断面図である。
【図6】胃瘻カテーテルにその留置状態を確認するための内視鏡の挿入部を挿入している状態を示す断面図であって、挿入部がカテーテルチューブへの挿通直後の状態を示す図である。
【図7】胃瘻カテーテルにその留置状態を確認するための内視鏡の挿入部を挿入している状態を示す断面図であって、挿入部がカテーテルチューブの先端を反転した状態を示す図である。
【図8】胃瘻カテーテルにその留置状態を確認するための内視鏡の挿入部を挿入している状態を示す断面図であって、操作手段の操作により観察手段によりカテーテルチューブの胃内壁への挿入状態を観察している状態を示す図である。
【図9】操作手段の他の形態を示す外観図である。
【図10】操作手段のさらに別の形態を示す外観図である。
【図11】操作手段のさらに他の形態を示す構成説明図である。
【図12】胃瘻カテーテルの留置状態を確認するために用いられる内視鏡の他の例としての側視型のものとして構成した挿入部の先端部分の外観図である。
【図13】内視鏡のさらに別の例としてのカプセル内視鏡の概略構成図である。
【図14】内視鏡に設けた照明部の他の例を示す構成説明図である。
【図15】図1とは異なる構成の胃瘻カテーテルを示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。まず、図1及び図2に胃瘻カテーテルの全体構成を示す。この胃瘻カテーテルはバンパを有するものであって、ボタンタイプのものである。なお、バンパはストッパ部材として用いられるものであり、ストッパ部材はバンパだけでなく、バルーンから構成したものもある。また、ボタンタイプは注入口に装着される蓋部材であり、ボタンタイプのものだけでなく、チューブを接続したものも用いられる。本発明における留置状態確認装置が装着される胃瘻カテーテルの種類は図1に示したものには限定されない。
【0025】
胃瘻カテーテル1は、薬剤や栄養剤等の流動物を注入する通路を有するカテーテルチューブ2を有するものであり、このカテーテルチューブ2の先端にはバンパ3が設けられ、また基端側である注入口2aにはボタン4が着脱可能に装着されるようになっている。バンパ3は、カテーテルチューブ2の先端に4箇所連結したバンパ構成体5からなるものであって、これらバンパ構成体5の各々の一端部はカテーテルチューブ2の先端に固着されるか、またはカテーテルチューブ2と一体に形成されており、この固着部から90度毎に放射方向に向けて突出させ、カテーテルチューブ2の外面から所定量突出した状態から内向きに折り返されている。そして、バンパ構成体5の他端はカテーテルチューブ2に摺動可能に挿嵌させた内筒6に固定されている。
【0026】
バンパ構成体5は拡径して中間部分が突出する図1の状態に癖付けられており、このときには内筒6はカテーテルチューブ2に所定の長さ挿嵌した状態に保持されている。そこで、内筒6をカテーテルチューブ2の先端から押し出す方向に押動すると、バンパ構成体5は直線化するように変形して、バンパ3が縮径状態となる。そして、内筒6に対する押圧力を解除すると、バンパ構成体5が突出状態に復元することになって、元の拡径状態に復帰する。そして、このときには、内筒6はカテーテルチューブ2の内部を基端側に向けて摺動することになる。バンパ3が拡径した状態がストッパ部材として機能する作動状態であり、バンパ3を縮径させると、瘻孔に対して挿脱できる状態となる。
【0027】
ボタン4は、カテーテルチューブ2から延在させた軟性部材からなる連結帯片7に設けられている。従って、連結帯片7を折り返して、ボタン4を注入口2aに嵌合させることによって、カテーテルチューブ2の基端部が施蓋されることになる。そして、カテーテルチューブ2の注入口2aを設けた部位には半径方向の外方に突出する一対のフランジ部8,8が設けられている。
【0028】
従って、バンパ3は胃の内部側でのストッパ機能を発揮し、フランジ部8はカテーテルチューブ2の全体が体内に入り込んでしまうのを防止する外部ストッパとして機能する。ここで、胃瘻カテーテル1は、図2から明らかなように、体表皮から腹壁AWから胃壁SWを貫通して、胃内に至る瘻孔GPを設けて、この瘻孔GP内に挿入される。この胃瘻カテーテル1の正しい留置状態は図2に示した状態である。しかしながら、腹壁AWと胃壁SWとの間には腹腔NAが存在していることから、胃瘻カテーテル1がこの腹腔NAに入り込んだり、また内部ストッパ部材としてのバンパ3を構成するバンパ構成体5が腹腔NAの部位に位置していたりすると、不完全な留置状態であり、カテーテルチューブ2内に薬剤や栄養剤等の流動物を供給すると、腹腔NA内に流入するおそれがある。従って、胃瘻カテーテル1が造設された後において、遅くとも薬剤や栄養剤を注入する前の段階で、この胃瘻カテーテル1が正規の状態に留置されているか否かの確認を行う。
【0029】
この胃瘻カテーテル1の留置状態を確認する装置の構成としては、図3に示した内視鏡10と操作手段20とから構成される。内視鏡10は、挿入部11と制御装置12とから構成される。挿入部11は少なくとも曲げ方向に可撓性を有し、好ましくは柔軟性を有するコード状の部材からなり、その先端部は先端硬質部11aとなっている。そして、この先端硬質部11aには、図4に示したように、観察手段が設けられている。観察手段は、照明部13と観察部14とから構成されている。ここで、図示した内視鏡10は、その挿入部11の先端硬質部11aの先端面に照明部13及び観察部14が設けられ、挿入部11の前方を観察視野とする直視型のものである。
【0030】
そして、照明部13には照明用レンズが装着されており、また観察部14には対物レンズが設けられている。また、照明用レンズにはライトガイドの出射端が臨み、対物レンズの結像位置には固体撮像素子が装着されている。ライトガイドは、図4に符号15で示したように、極細の光ファイバを束ねたものから構成される。また、固体撮像素子に接続した複数の信号ケーブル16が導出されている。従って、挿入部11の内部にはライトガイド15及び信号ケーブル16は挿入部11の全長にわたって延在されており、その基端部はコネクタ部17となっている。このコネクタ部17は、中央位置にライトガイド15が接続されているライトガイド棒18となり、またこのライトガイド棒18の周囲には所定数の電極(図示せず)が設けられている。
【0031】
制御装置12には、光源装置と映像信号処理回路とが内蔵されており、挿入部11のコネクタ部17が制御装置12のソケット部12aに接続されると、ライトガイド15に光源装置からの照明光が伝送され、また挿入部11の先端硬質部11aに設けた固体撮像素子から信号ケーブル16を介して伝送される映像信号は制御装置12の映像信号処理回路で信号処理が行われて、モニタに映像が表示されることになる。
【0032】
操作手段20は、挿入部11の先端硬質部11aを移動させるためのものであって、円板形状の本体部21に把持部22を突設したものから構成される。そして、本体部21には例えば永久磁石または電磁石からなる磁石23が設けられている。一方、内視鏡10の挿入部11における先端硬質部11aは、その全体がプラスチック等の非磁性部材から構成されており、その側面部に磁性部材からなり、磁気吸引力作用手段として機能する磁性板24が取り付けられている。従って、操作手段20に挿入部11の先端硬質部11aに設けた磁性板24を近付けると、本体部21に設けた磁石23に吸引されることになる。
【0033】
本実施の形態は以上のように構成されるものであって、胃瘻カテーテル1を造設するに当っては、まず体表皮から胃の内部に至る瘻孔GPを穿設する。そして、この瘻孔GP内に胃瘻カテーテル1のカテーテルチューブ2を挿入するが、このときには、安全確保の観点から、胃の内部に、例えばCO2ガス等の気腹ガスを胃の内部に供給して、胃を膨張させた状態とするのが望ましい。そして、図5に示したように、内筒押動部材9を用いて、内筒6をカテーテルチューブ2内で先端から押し出すように操作する。バンパ3を構成するバンパ構成体5をほぼ直線状態となるように引き伸ばした縮径状態とする。この状態で、カテーテルチューブ2を瘻孔GP内に挿入する。カテーテルチューブ2が所定の深さまで進入すると、内筒押動部材9をカテーテルチューブ2から引き抜いて、内筒6に対する押し込み力を解除する。その結果、バンパ3を構成する4箇所のバンパ構成体5が湾曲状態に復元すると共に、内筒6はカテーテルチューブ2の内部に向けて退入することになり、ストッパ機能を発揮するようになる。
【0034】
胃瘻カテーテル1を造設した後には、この胃瘻カテーテル1が正規の状態に留置されているか否かの確認を行う。また、胃瘻カテーテル1を交換した後や、洗浄等を行って再装着した後も同様に、その留置状態の確認を行う。このために、図6に示したように、ボタン4を注入口2aから取り外した状態で、内視鏡10の挿入部11を注入口2aに挿入して、その先端硬質部11aをカテーテルチューブ2の先端から内筒6を通過させて、胃の内部に導入する。ここで、挿入部11の先端硬質部11aに設けられている照明部13及び観察部14からなる観察手段は、その視野が挿入部11の前方に向けた直視型のものであるから、先端硬質部11aを方向転換させることによって、胃瘻カテーテル1のカテーテルチューブ2の方向に向ける必要がある。このために胃壁SWを反転用の壁として利用することができる。
【0035】
カテーテルチューブ2から導出された挿入部11は、そのままカテーテルチューブ2内に押し込む操作を継続すると、このカテーテルチューブ2が挿入されている側とは反対側の胃壁面に当接する。ここで、挿入部11は先端硬質部11aを除いて、柔軟な構造となっており、これによって、胃壁面に当接すると、図7に示したように、先端硬質部11aが反転することになる。先端硬質部11aが反転したときには、この先端硬質部11aに設けた磁性板24はカテーテルチューブ2が挿入されている側、つまり図中の上方に向くようにする。そして、挿入部11の曲がる方向は方向性があることから、挿入部11における先端硬質部11aより基端側の部位に曲げ癖を付けておくのが望ましい。そして、この曲げ癖を付けた部位の曲げ角度を大きくすると、胃壁面に当接させなくても、自然に望ましい方向に湾曲するようになる。
【0036】
ただし、挿入部11に、例えば90度以上というように、大きな曲げ癖を付けると、カテーテルチューブ2内への挿入操作に支障を来すおそれがある。このためには、例えば図6に符号30で示したように、挿入部11におけるこの癖付けされた部位にポケットを設けて、このポケット30の内部に直進化用のワイヤ、即ちスタイレット31を挿入するようになし、このスタイレット31で挿入部11を真っ直ぐになるように矯正できる。従って、挿入部11のカテーテルチューブ2内への挿入時には、スタイレット31をポケット30に挿入しておき、先端硬質部11aがカテーテルチューブ2の先端から導出された後に、スタイレット31を引き抜くようにすると、癖付けされた方向に湾曲することになる。なお、このスタイレット31は挿入部11の外面に設けられているので、挿入部11の内部における挿通部材に対するダメージを与えることはない。
【0037】
挿入部11が胃の内部にまで進入した後に、体表皮に操作手段20を当接させる。ここで、操作手段20の本体部21には把持部22が設けられているので、この把持部22を把持して操作が行われる。本体部21には磁石23が設けられており、この磁石23を挿入部11に設けた磁性板24に近接させると、挿入部11に磁気吸引力が作用することになり、操作手段20をカテーテルチューブ2に近接させると、図8に示したように、観察部14による観察視野はカテーテルチューブ2と胃壁SWとの境界部に向けられる。ここで、カテーテルチューブ2にはバンパ3が設けられており、カテーテルチューブ2の胃壁SWから胃内に導入されている部位の下部位置にバンパ3が配置されているが、内視鏡10における観察部14の観察部位は、カテーテルチューブ2におけるバンパ3と胃壁SWとの間の部位であるので、留置状態が適正か否かを確実に確認することができる。
【0038】
カテーテルチューブ2のほぼ全周にわたって観察する必要があるので、操作手段20を造設された胃瘻カテーテル1の周囲に走査するように移動させる。これによって、磁気吸引力が作用している挿入部11が追従してカテーテルチューブ2を中心として回ることになるので、胃瘻カテーテル1におけるカテーテルチューブ2の全周にわたって適正に留置されているか否かの確認を行うことができる。なお、この挿入部11がカテーテルチューブ2を中心として回転する際に、挿入部11の注入口2aから外部の部位を軸回りに回転させるようにすると、挿入部11の先端硬質部11aはより円滑に回転することになる。
【0039】
以上のようにして挿入部11の先端硬質部11aをカテーテルチューブ2の外周部で回転させることによって、カテーテルチューブ2が正規の状態で留置されており、胃瘻カテーテル1に流動物を注入したときに、確実に胃の内部に供給される状態となっておれば、この胃瘻カテーテル1が正規の状態で留置されていることが内視鏡10により確認される。一方、カテーテルチューブ2が不完全な状態となっていることが検出されると、カテーテルチューブ2を一度瘻孔GPから引き抜いて、挿入し直すように操作する。このときに、内視鏡10の挿入部11を胃の内部に挿入した状態に保持しておくことによって、カテーテルチューブ2の瘻孔GPへの挿脱操作が容易に、しかも安全に行うことができる。そして、再装着を行った後には、前述と同様にして、内視鏡10の挿入部11の観察部14によりカテーテルチューブ2の胃壁SW内への留置状態を確認する。
【0040】
ところで、胃瘻カテーテル1を留置状態で長期間にわたって使用を継続すると、この胃瘻カテーテル1が汚損される等のために、適宜の時期に交換するか、または胃瘻カテーテル1の全体を洗浄して再使用する。即ち、既設の胃瘻カテーテル1を取り外して、新たな胃瘻カテーテル1を再装着する。このときには、瘻孔GPによる経路を確保し、新たな胃瘻カテーテル1を確実に胃の内部に導くようにするために、ガイドワイヤが用いられ、このガイドワイヤを既設の胃瘻カテーテル1におけるカテーテルチューブ2の内部に挿通させた状態で取り外して、新たな胃瘻カテーテル1がガイドワイヤを手懸りとして装着されることになる。そこで、内視鏡10の挿入部11をこのガイドワイヤとして機能させることもできる。
【0041】
このためには、挿入部11をカテーテルチューブ2内に挿入する。挿入部11はカテーテルチューブ2の先端から導出させて、胃の内部にまで進入させる。一方、内筒押動部材はカテーテルチューブ2の内部に設けられている内筒6の端面を押動して、この内筒6をカテーテルチューブ2の先端から押し出すように操作する。その結果、バンパ4を構成するバンパ構成体5が引き伸ばして、外径を縮径させて、ストッパとしての機能が解消させる。この状態で、内筒押動部材を挿入させているカテーテルチューブ2を瘻孔GPから取り出すようにする。ただし、挿入部11は胃の内部に導入された状態になっているので、瘻孔GPは確保されている。
【0042】
ここで、挿入部11には、その基端部がコネクタ部17となっており、このコネクタ部17は制御装置12のソケット部12aに接続されるものであるが、挿入部11をガイドワイヤとして機能させる際には、照明光を伝送する必要がなく、固体撮像素子からの信号を取り出すこともないので、コネクタ部17をソケット部12aから取り外しておく。このようにして取り出された胃瘻カテーテル1は、そのカテーテルチューブ2を挿入部11の基端側に移動させ、コネクタ部17から引き出すように操作する。これによって、既設の胃瘻カテーテル1が取り外される。
【0043】
次に、交換して使用される新たな胃瘻カテーテル1のカテーテルチューブ2を挿入部11に挿通させる。このときには、内筒押動部材9をカテーテルチューブ2に装着して、バンパ3を縮径状態に保持しておき、この胃瘻カテーテル1が挿入部11をガイド手段として瘻孔GPの内部に所定の深さ位置まで、つまりカテーテルチューブ2が胃の内部にまで進行するように挿入する。その後に、内筒押動部材9をカテーテルチューブ2から脱着することによりバンパ3を拡径させて作動状態とする。これによって、新たな胃瘻カテーテル1が装着されたことになる。この状態から、カテーテルチューブ2内に挿通されている内視鏡10の挿入部11を操作手段20の磁石23による磁気の作用による吸引を行わせて、操作手段20をカテーテルチューブ2の周囲に移動させることにより、胃瘻カテーテル1の留置状態が確認される。そして、胃瘻カテーテル1が適正な状態で留置されていることが確認された後に、挿入部11をカテーテルチューブ2から取り出すことによって、この胃瘻カテーテル1が流動物等を注入できる状態、つまり使用状態となる。
【0044】
前述した実施の形態では、操作手段20を用いて挿入部11の先端硬質部11aを制御する構成としたが、これに代えて図9に示した操作手段120を用いることもできる。この操作手段120は、本体部121をリング状に形成して、中央部分に挿通孔121aを形成し、この本体部121の所定の位置に永久磁石123を装着する。そして、本体部121の挿通孔121aにカテーテルチューブ2に嵌合させて、この本体部121に設けた磁石123を回転させるように操作すると、内視鏡10の挿入部11の先端硬質部11aに設けた磁性板24を吸引して回転させることができるようになる。
【0045】
また、図10に示したように、操作手段220を用いることもできる。この操作手段220は、カテーテルチューブ2を囲繞するように組み込まれるCリング状の本体部221に、その切り欠いた部位に先端に把持部222を設けたスライド部材223が半径方向に移動可能に設けられており、このスライド部材223に磁石から構成されている。操作手段220の本体部221に形成した挿通孔221aをカテーテルチューブ2に嵌合させるように組み付けて、把持部222を操作して、スライド部材223を本体部221の半径方向における所定の位置に配置した状態で、挿入部11の先端硬質部11aに設けた磁性板24を吸引した状態で、スライド部材223を半径方向に動かせば、先端硬質部11aをカテーテルチューブ2に近接・離間させることができ、また先端硬質部11aの観察部14をカテーテルチューブ2の外面に対して所定の間隔となるように調整した状態で、本体部221をカテーテルチューブ2の周囲に回転させるようにすることができる。
【0046】
ここで、第1の実施の形態と、操作手段の異なる形態を示した図9及び図10では、操作手段を手動操作により体表皮に沿って移動させる構成としたが、これら以外でも図11に示したように、それぞれ独立に磁化される複数の磁場エリア323Mをマトリックス状に形成したシート状の部材からなる磁場シート323と、この磁気シート323が接続される制御装置312とから操作手段320を構成することができる。ここで、磁場エリア323Mは電磁石から構成され、制御手段312からの制御信号でON,OFFされるようになっている。そして、この磁場シート323には透孔326が穿設されており、この透孔326にはカテーテルチューブ2が挿入されることになる。また、磁場シート323の相隣接する2辺には、X方向電極部330XとY方向電極部330Yとが設けられており、これらX方向電極部330XとY方向電極部330Yとにはそれぞれ配線が引き出されており、各配線はケーブル331として束ねられて、制御手段312に接続される。そこで、制御手段312からの制御信号に基づいて、X方向電極部330Xのいずれかの電極とY方向電極部330Yのいずれかの電極とを通電させると、その交点位置の磁場エリア323Mが磁化されることになる。そして、X方向電極部330XとY方向電極部330Yとにおいて、通電する電極を切り替えることによって、所望の磁場エリア323Mを磁化させることができる。
【0047】
ここで、制御手段312は磁気シート323を制御する専用のものとするか、または制御装置12と同様、内視鏡10における照明部13に照明光を伝送するための光源装置と、観察部14に設けた固体撮像素子の映像信号を処理する映像信号処理回路を設ける構成とする。この場合には、挿入部11の先端硬質部11aに設けた磁性板24に対しては、磁気シート323において、磁化された磁場エリア323Mにより磁気吸引力が作用することになる。従って、磁化される磁場エリア323Mの位置を変化させることによって、挿入部11の先端部分を所望の方向に動かすことができる。
【0048】
胃瘻カテーテル1の留置状態を確認するために用いられる内視鏡としては、前述した実施の形態では、直視型の内視鏡10としたが、これに代えて図12に示したように、照明部413及び観察部414が挿入部411における先端硬質部411aに設けた側視型の内視鏡410を用いることもできる。この内視鏡410を用いる場合には、磁性板424は先端硬質部411aの先端面に装着するように構成する。
【0049】
さらに、胃瘻カテーテル1の留置状態を確認するために用いられる内視鏡としては、図13に示したカプセル内視鏡510を用いるように構成することもできる。このように、カプセル内視鏡510を用いる場合には、このカプセル内視鏡510のケーシングに磁性板524を装着する。そして、カプセル内視鏡510には、可撓性のあるコード511を連結して設けるように構成する。ここで、コード511は単なる紐状のものから構成することができる。
【0050】
ところで、内視鏡10において、その挿入部11は胃瘻カテーテル1のカテーテルチューブ2内に挿通可能なものでなければならない。従って、挿入部11を細径化する必要がある。しかも、挿入部11を胃瘻カテーテル1の交換時におけるガイドワイヤとしての機能をも発揮させる場合には、挿入部11は全長にわたってカテーテルチューブ2内に挿通可能なものでなければならない。内視鏡410の挿入部411も同様である。また、カプセル内視鏡510を用いる場合は、このカプセル内視鏡510と、このカプセル内視鏡510に接続したコード511も同様である。
【0051】
内視鏡10の挿入部11には、照明部13と観察部14とが設けられる。図4に示したように、照明部13にはライトガイド15の出射面を臨ませ、観察部14には固体撮像素子を設けて、この固体撮像素子に接続した信号ケーブル16を挿入部11の基端側に延在させる構成としている。観察部14には固体撮像素子に代えて、イメージガイドを設けるように構成することもできる。一方、照明部13における照明手段としては、LEDランプを用いることができる。
【0052】
また、図14に示したように、光ファイバ40を用い、この光ファイバ40の入射端にレーザ光を入射させ、その出射端には蛍光体変換部41を対面させて設けるように構成することもできる。蛍光体変換部41では、光ファイバ40からのレーザによる励起光の一部が蛍光光に変換され、この蛍光光と励起光とによって白色光が生成されて、照明用レンズ42から照明すべき箇所に照射される。従って、青色の波長光を照射するレーザ光源を用いて、蛍光体変換部41では、このレーザ励起光から赤色から緑色にわたる波長の蛍光光に変換させるようにすると、出射光は白色光となる。このように構成すると、光源としてランプを用いる場合より消費電力が少なくなる。
【0053】
なお、胃瘻カテーテルとしては、前述したボタンタイプのバンパストッパ式のものとしたが、他の構成の胃瘻カテーテルとしては、図15に示したチューブタイプのバルーンストッパ式の胃瘻カテーテル601を用いることもできる。同図において、602はカテーテルチューブであり、このカテーテルチューブ602の先端近傍には内部ストッパ部材としてのバルーン603が設けられており、またこのバルーン603の装着部より基端側の部位には外部ストッパ608が装着されている。そして、カテーテルチューブ602の基端部には接続部610が連設されており、この接続部610には、カテーテルチューブ602と同軸状態に栄養剤注入ポート611が設けられており、側部にはバルーン拡張用ポート612が設けられている。さらに、栄養剤と薬液とを同時に注入する際等の観点から、接続部610の側部に薬液注入ポート613が設けられている。そして、これら各ポート611,612,613はキャップ611a,612a,613aにより着脱可能に施蓋されるようになっている。
【0054】
この胃瘻カテーテル601においては、カテーテルチューブ602を胃の内部にまで進入するようにして装着され、バルーン拡張用ポート612を介してバルーン603に空気を圧送することによって、このバルーン603を拡張させることによって、カテーテルチューブ602が胃から脱落しないように保持する。この状態で、前述した第1の実施の形態で示した内視鏡10の挿入部11を栄養剤注入ポート611からカテーテルチューブ602を通過させて、胃の内部に挿入し、操作手段20を操作することによって、挿入部11の先端に設けた観察手段によって、バルーン603が胃の内部で拡張されているか否かを検出することによって、胃瘻カテーテル601の留置状態が確認される。
【符号の説明】
【0055】
1,601 胃瘻カテーテル 2,602 カテーテルチューブ
3 バンパ 10,410,510 内視鏡
11,411,511 挿入部 12,312 制御装置
13,413 照明部 14,314 観察部
20,120,220,320 操作手段
21,121,221,321 本体部
23,123,223,磁石
24,424,524 磁性板
【技術分野】
【0001】
本発明は、腹壁から胃壁を通り、胃内への通路としての瘻孔を穿設して、この瘻孔に胃瘻カテーテルを挿入し、薬剤や栄養剤を胃の内部に直接注入する等ために、瘻孔に留置される胃瘻カテーテルが適正な状態に留置されているか否かを確認するための胃瘻カテーテルの留置状態確認装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、認知症の患者や口腔内や、咽喉部等を損傷した患者等のように、経口的に薬剤や栄養等の摂取を行えない患者に対しては胃瘻カテーテルを造設し、この胃瘻カテーテルを介して薬剤や栄養剤等の流動物を胃の内部に直接注入する手技が近年広く行われるようになってきている。胃瘻カテーテルは基本的には流動物を注入するための通路としてのカテーテルチューブを備えるものであり、このカテーテルチューブの先端は胃の内部にまで挿入されており、また基端部は腹腔の外に導き出される。カテーテルチューブを胃の内部に確実に、しかも安定的に留置するために、カテーテルチューブの先端外面にはバルーンやバンパ等のストッパ部材が設けられる。このストッパ部材はカテーテルチューブの先端側の外面に設けられ、瘻孔への挿入時には縮小させた状態とし、カテーテルチューブの先端部が胃内に進入した後に、膨出乃至拡径させることによって、抜け止め機能を発揮する。また、カテーテルチューブの基端部は体腔外に位置し、この基端側の部位には外部ストッパが設けられ、さらに基端部は注入口として開口しており、この開口部は蓋体により施蓋される。
【0003】
以上のように構成することによって、カテーテルチューブの蓋体を脱着することによって、薬剤,栄養剤等の注入操作を容易に行うことができ、注入操作が終了すると、蓋体を装着するだけで良いことから、在宅でも操作が可能である等の利点がある。この胃瘻カテーテルは数カ月から半年程度は交換する必要はなく、長期間にわたって使用することができる点でも有利である。
【0004】
胃瘻カテーテルは、定期的または随時抜去して、洗浄を行う必要がある。この胃瘻カテーテルを抜去して、洗浄した後に再装着するか、または交換して新たな胃瘻カテーテルを装着することになるが、再装着のために瘻孔による経路を確保しておく。まずカテーテルチューブの内部にガイドワイヤを挿入して、このガイドワイヤをカテーテルチューブの先端から導出させて、胃の内部にまで挿入した状態で、ガイドワイヤからカテーテルチューブを引き抜くようにする。胃瘻カテーテルを再装着するには、ガイドワイヤの端部からカテーテルチューブを挿入して、このカテーテルチューブの先端を瘻孔から胃の内部にまで挿入するようになし、次いでバルーン乃至バンパ等からなるストッパ部材を膨出乃至拡径させ、さらに、ガイドワイヤを引き抜くように操作する。
【0005】
初期的に胃瘻カテーテルを造設するが、胃瘻カテーテルの留置状態が所定の期間経過すると、胃瘻カテーテルを交換するか、または洗浄を行った後に再装着する。このように、胃瘻カテーテルを造設し、また交換乃至洗浄後の再装着が行われて、胃瘻カテーテルが所定の位置に装着され、留置されているときに、最も注意を要するのは、カテーテルチューブの先端が確実に胃の内部にまで挿入されることである。ここで、瘻孔は腹壁から胃壁を経て胃の内部までの通路であるが、腹壁と胃壁とが乖離していると、カテーテルチューブの先端が腹壁と胃壁との間の空間に進入するおそれがある。この状態を見過ごすと、流動物を注入する際に、胃内に注入されず、腹腔に向けて入り込んでしまう事態が発生する。また、ストッパ部材の全体が完全に胃の内部に位置していないと、体の動きによっては、カテーテルチューブが胃から逸脱してしまうこともある。
【0006】
前述したような事態が発生しないようにするために、胃瘻カテーテルの留置状態において、このカテーテルチューブが正規の位置に配置されているか否かを検出する必要がある。胃瘻カテーテルは直線的な通路を構成するものであることから、カテーテルチューブ内に細径の内視鏡を挿入することができる。そこで、内視鏡により胃瘻カテーテルの胃内への留置状態を検出することが必要となる。
【0007】
ここで、内視鏡の観察視野は主に挿入部の前方であり、この挿入部をカテーテルチューブ内に挿入したときには、挿入方向の前方が観察視野となる。しかしながら、カテーテルチューブの胃壁を通過している部位は内視鏡の挿入部における挿入方向の途中位置であるので、挿入部をカテーテルチューブの先端から導出させたときには、その先端若しくは先端側面に形成した内視鏡観察手段を後方に向けなければならない。挿入部に、手元操作で湾曲させることができる湾曲部が設けられておれば、この湾曲部を湾曲操作すれば良いが、挿入部に湾曲部を設けるように構成すると、構成が複雑になり、またカテーテルチューブの内部に挿通されるものであるから、挿入部は細径化する必要があるが、このような細径の挿入部に先端部を180度反転させる湾曲部を設ける構成とするのは困難であり、また内視鏡は極めて高価なものとなってしまう。
【0008】
そこで、挿入部に湾曲部を設けない内視鏡を用いて胃瘻カテーテルの造設後における留置状態を確認する構成としたものが、特許文献1に記載されている。この特許文献1では、曲げ方向に可撓性を有する挿入部の先端にワイヤを連結して設け、このワイヤを所定の長さ分だけ挿入部の外部に導出させて、途中位置から挿入部内に導入するようになし、挿入部の基端部近傍で外部に導出させる構成としている。従って、ワイヤの基端部を牽引すると、先端側の外部に導出させている部位に張力が作用して、挿入部の先端部分が弓なりに湾曲することになる。その結果、挿入部の先端部が反転するようになって、この挿入部の先端に設けた内視鏡観察手段はカテーテルチューブの胃壁内への導入部分を視野に収めることができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−131470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、特許文献1の挿入部内には、照明光を伝送するためのライトガイドと、観察像を伝送するための光学手段としてのイメージガイドとを設けるようにしており、これらライトガイドやイメージガイドは極細の光ファイバから構成されることから、これらの光ファイバに外力が作用すると容易に断線することになる。挿入部の先端部分を湾曲させるためのワイヤは全長ではないにしろ、部分的に挿入部の内部を通るようになっており、従って挿入部の先端部分を湾曲操作して反転させたときに、ワイヤに張力が作用することになる結果、ライトガイドやイメージガイドが圧迫されて、断線のおそれがある。従って、光ファイバを保護するために、ワイヤはガイドスリーブ等に挿通させるように構成しなければならない。このために、少なくともワイヤ及びそのガイドスリーブを装着する分だけ挿入部は太径化することになる。ここで、内視鏡の挿入部の外径は、カテーテルチューブの内径寸法に制約を受けることから、カテーテルチューブ内に挿通可能なように細径化するためには、ライトガイドやイメージガイドの本数を少なくしなければならず、そうすると内視鏡観察手段による体内像の鮮明度が低下するという問題点が生じる。
【0011】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、胃瘻カテーテルのカテーテルチューブ内に内視鏡の挿入部を挿入して、この胃瘻カテーテルが適正な状態に留置されているか否かを確認するに当って、この挿入部の構成を簡略化し、かつ細径化を図るようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した目的を達成するために、本発明は、胃瘻カテーテルのカテーテルチューブ内に挿通されて、胃瘻カテーテルの留置状態を確認するものであって、前記カテーテルチューブ内に挿通可能であり、曲げ方向に可撓性を有する挿入部の先端に、照明部及び観察部を設けた内視鏡と、前記挿入部の先端を所望の方向に向けるように操作可能な操作手段と、前記挿入部の先端部と前記操作手段との間に磁気による吸引力を作用させて、この操作手段の変位に追従させて前記挿入部の先端部を変位させる磁気吸引力作用手段とから構成したことをその特徴とするものである。
【0013】
腹壁から胃壁を貫通して胃の内部に至る瘻孔を形成して、胃瘻カテーテルのカテーテルチューブがこの瘻孔内に挿入される。カテーテルチューブの外面には、バルーンまたはバンパといったストッパ部材が設けられており、このストッパ部材が完全に胃の内部に入り込んだ状態となっていなければならない。
【0014】
そこで、胃瘻カテーテルを造設して留置した後であれ、また留置されている胃瘻カテーテルを取り外して洗浄して再装着した場合であれ、さらに取り外した胃瘻カテーテルを新たなものと交換した場合であれ、いずれにしろ留置されている胃瘻カテーテルの状態を確認するために、内視鏡を用いる。内視鏡は可撓性コードとして用いられるものであり、内視鏡には可撓性を有するコード状の挿入部を備えるものであり、この挿入部の先端からカテーテルチューブの全長以上の長さ分はカテーテルチューブ内に挿入可能な外径とする。後述するように、この内視鏡の挿入部をガイド部材として機能させる場合には、挿入部は、その全長にわたってカテーテルチューブ内に挿通できるものとするのが望ましい。
【0015】
胃瘻カテーテルにおける正規の留置状態は、そのカテーテルチューブの先端部分のストッパ部材の装着部が完全に胃の内部にまで挿入され、かつストッパ部材も胃の内部に位置している状態である。従って、カテーテルチューブの外面と胃の内壁との位置関係をこのカテーテルチューブのほぼ全周にわたって検出する。このために、挿入部の先端に照明部と観察部とからなる観察手段を設けた内視鏡を用いるが、カテーテルチューブ内に挿通されるものであり、しかもカテーテルチューブ内を円滑に出し入れできるようにするために、挿入部の外径はカテーテルチューブの内径より小さいものとする。ただし、胃瘻カテーテルを装着する際には、安全確保のために、胃の内部に気腹ガスを供給しておくことがあるが、気腹ガスが漏れないようにするために、あまり径差が大きくしない方が望ましい。
【0016】
カテーテルチューブ内に挿入部が挿入されて、その先端から胃の内部に導かれる。挿入部をカテーテルチューブから導出させた後に、この挿入部を方向転換させて、逆方向を向かせる。これによって、カテーテルチューブ外面と胃壁との間を観察することができるようになる。この挿入部を反転状態になるように湾曲させるために、磁気吸引力作用手段を用いる。挿入部の先端部分と操作手段とのうち、一方に永久磁石または電磁石からなる磁石を用い、他方には鉄等の磁性部材を設ける。例えば、内視鏡側に磁性部材を設け、操作手段側に磁石を設けるようにする。体腔壁は、一般的に透磁性を有することから、操作手段を体表皮に当接させて、挿入部に設けた磁性部材に近接させると、磁石による磁気の作用で挿入部の先端部分が吸引される。
【0017】
操作手段を操作することによって、挿入部の先端に設けた観察手段を、カテーテルチューブ外面と胃壁との間の部位で、観察可能な位置に変位させることができる。ここで、挿入部の先端部に観察手段が設けられるが、この観察手段による観察視野は、挿入部の前方を視野とする直視型のものや、挿入部の軸線と直交する方向を視野とする側視型、斜め前方または斜め後方を視野とする斜視型がある。直視型の内視鏡の場合には、挿入部の先端面を観察すべき部位に向ける必要があることから、磁性部材は挿入部の先端近傍における側面部に装着する。また、側視型の内視鏡の場合には、挿入部の先端面に磁性部材を設ける。さらに、斜視型の内視鏡にあっては、挿入部の先端部に、観察手段を設けた傾斜面とは異なる部位に斜面部を設けて、この斜面部に磁性部材を装着する。
【0018】
観察手段によりカテーテルチューブの外面のほぼ全周を観察する必要がある。このためには、操作手段を体外からカテーテルチューブの周囲に沿って移動させるように操作して、磁気吸引力の作用が及んでいる挿入部の先端部分を追従させて移動させるように構成することができる。ここで、操作手段側に磁石を設ける場合、その全体を磁石とするのではなく、体表皮に沿って移動させる本体部の一部に磁石を設ける。これによって、挿入部の指向性が良好になる。操作手段は、留置されている胃瘻カテーテルとは完全に独立して変位させるようにしても良いが、この操作手段による操作はカテーテルチューブの周囲を移動させるものであるから、カテーテルチューブとの関連性で移動範囲を設定することもできる。このためには、操作手段の本体部をカテーテルチューブの周囲を囲繞するリング状の部材として構成し、このリング状の部材の一部に磁石を設けることができ、また磁石はカテーテルチューブの軸回りの回転方向だけでなく、半径方向にも移動可能な構成とすることも可能である。さらに、電磁石を用いる場合において、シート状の部材に所定数の電磁石をマトリックス状に配列して設けた磁場シートから構成することもできる。そして、この磁場シートの電磁石を順次励磁することによって、挿入部の先端部分を所望の方向に変位させることができる。
【0019】
内視鏡は、先端に照明手段と観察手段とを設けた可撓性コードを有するものであって、照明手段としては、外部から照明光を伝送するライトガイドが一般的であるが、挿入部の先端に発光体を設ける構成とすることもできる。発光体はLED(発光ダイオード)やLD(レーザダイオード)等を用いることができ、さらにはレーザ励起式発光素子等を用いることができる。一方、観察手段としては、イメージガイドを用いるか、または固体撮像素子を用いる。固体撮像素子を用いる場合には、映像信号の伝送は、ケーブルを介するものや、無線による伝送を行うようにすることもできる。
【0020】
挿入部内にはライトガイドやイメージガイドを構成する光ファイバや信号ケーブルを挿通させるが、細径化のために挿通部材は必要最小限のものとし、かつ挿入部の内部で相対移動する部材を設けない。観察手段を構成する照明部を発光体から構成し、観察部を固体撮像素子で構成し、固体撮像素子からの映像信号を無線で送信するようにした場合には、カプセル内視鏡を用いることができる。このカプセル内視鏡とした場合には、カテーテルチューブ内に挿脱する必要があるので、カプセル内視鏡のケーシングに可撓性を有するコードを接続するようになし、挿入部はカプセル内視鏡とコードとから構成される。
【0021】
内部に光ファイバや信号ケーブル等の挿通部材を挿通させたものとするか、または単なるコードとするかのいずれにしろ、挿入部の先端から胃瘻カテーテルのカテーテルチューブ内に挿入される。従って、挿入部は胃瘻カテーテルを脱着する際におけるガイドワイヤとしての機能も発揮させることができる。即ち、挿入部をカテーテルチューブ内に挿入して、その先端をカテーテルチューブの先端から導出させておき、この状態で胃瘻カテーテルを挿入部の基端側から脱着することができる。これによって、胃瘻カテーテルを脱着した後における瘻孔を形成した状態に確保される。また、胃瘻カテーテルを交換し、または洗浄により再生させるようにして装着する際に、挿入部の基端部から胃瘻カテーテルのカテーテルチューブを挿嵌させて、瘻孔内に押し込んで胃の内部にまで導くようにする。従って、挿入部はその全長にわたってカテーテルチューブの内径より小さい外径としなければならない。カテーテルチューブが瘻孔内に挿入された後には、操作手段を操作し、ガイドワイヤとして機能していた挿入部の先端が反転する状態になるように湾曲させて、適正な留置状態となっているか否かの確認を行うことができる。そして、挿入部は制御装置に着脱可能に接続する構成とすることになり、挿入部の基端部は制御装置に接続するコネクタとして機能させる。
【発明の効果】
【0022】
留置されている胃瘻カテーテルに対して、そのカテーテルチューブ内に内視鏡における可撓性を有するコード部材からなる挿入部を挿入して、この胃瘻カテーテルが適正な状態に留置されているか否かを確認するが、この挿入部の構成が簡略化され、かつ挿通部材を不要とするか、または最小限のものとすることができるので、挿入部の細径化が図られ、しかも挿通部材にダメージが生じるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】留置状態確認装置が装着される胃瘻カテーテルの外観斜視図である。
【図2】胃瘻カテーテルが正規の状態に装着されている状態を示す正面図である。
【図3】本発明の実施の一形態を示す胃瘻カテーテルの留置状態確認装置の構成説明図である。
【図4】図3の内視鏡の先端部分と操作手段とを示す外観図である。
【図5】胃瘻カテーテルのバンパを縮径させた状態を示す断面図である。
【図6】胃瘻カテーテルにその留置状態を確認するための内視鏡の挿入部を挿入している状態を示す断面図であって、挿入部がカテーテルチューブへの挿通直後の状態を示す図である。
【図7】胃瘻カテーテルにその留置状態を確認するための内視鏡の挿入部を挿入している状態を示す断面図であって、挿入部がカテーテルチューブの先端を反転した状態を示す図である。
【図8】胃瘻カテーテルにその留置状態を確認するための内視鏡の挿入部を挿入している状態を示す断面図であって、操作手段の操作により観察手段によりカテーテルチューブの胃内壁への挿入状態を観察している状態を示す図である。
【図9】操作手段の他の形態を示す外観図である。
【図10】操作手段のさらに別の形態を示す外観図である。
【図11】操作手段のさらに他の形態を示す構成説明図である。
【図12】胃瘻カテーテルの留置状態を確認するために用いられる内視鏡の他の例としての側視型のものとして構成した挿入部の先端部分の外観図である。
【図13】内視鏡のさらに別の例としてのカプセル内視鏡の概略構成図である。
【図14】内視鏡に設けた照明部の他の例を示す構成説明図である。
【図15】図1とは異なる構成の胃瘻カテーテルを示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。まず、図1及び図2に胃瘻カテーテルの全体構成を示す。この胃瘻カテーテルはバンパを有するものであって、ボタンタイプのものである。なお、バンパはストッパ部材として用いられるものであり、ストッパ部材はバンパだけでなく、バルーンから構成したものもある。また、ボタンタイプは注入口に装着される蓋部材であり、ボタンタイプのものだけでなく、チューブを接続したものも用いられる。本発明における留置状態確認装置が装着される胃瘻カテーテルの種類は図1に示したものには限定されない。
【0025】
胃瘻カテーテル1は、薬剤や栄養剤等の流動物を注入する通路を有するカテーテルチューブ2を有するものであり、このカテーテルチューブ2の先端にはバンパ3が設けられ、また基端側である注入口2aにはボタン4が着脱可能に装着されるようになっている。バンパ3は、カテーテルチューブ2の先端に4箇所連結したバンパ構成体5からなるものであって、これらバンパ構成体5の各々の一端部はカテーテルチューブ2の先端に固着されるか、またはカテーテルチューブ2と一体に形成されており、この固着部から90度毎に放射方向に向けて突出させ、カテーテルチューブ2の外面から所定量突出した状態から内向きに折り返されている。そして、バンパ構成体5の他端はカテーテルチューブ2に摺動可能に挿嵌させた内筒6に固定されている。
【0026】
バンパ構成体5は拡径して中間部分が突出する図1の状態に癖付けられており、このときには内筒6はカテーテルチューブ2に所定の長さ挿嵌した状態に保持されている。そこで、内筒6をカテーテルチューブ2の先端から押し出す方向に押動すると、バンパ構成体5は直線化するように変形して、バンパ3が縮径状態となる。そして、内筒6に対する押圧力を解除すると、バンパ構成体5が突出状態に復元することになって、元の拡径状態に復帰する。そして、このときには、内筒6はカテーテルチューブ2の内部を基端側に向けて摺動することになる。バンパ3が拡径した状態がストッパ部材として機能する作動状態であり、バンパ3を縮径させると、瘻孔に対して挿脱できる状態となる。
【0027】
ボタン4は、カテーテルチューブ2から延在させた軟性部材からなる連結帯片7に設けられている。従って、連結帯片7を折り返して、ボタン4を注入口2aに嵌合させることによって、カテーテルチューブ2の基端部が施蓋されることになる。そして、カテーテルチューブ2の注入口2aを設けた部位には半径方向の外方に突出する一対のフランジ部8,8が設けられている。
【0028】
従って、バンパ3は胃の内部側でのストッパ機能を発揮し、フランジ部8はカテーテルチューブ2の全体が体内に入り込んでしまうのを防止する外部ストッパとして機能する。ここで、胃瘻カテーテル1は、図2から明らかなように、体表皮から腹壁AWから胃壁SWを貫通して、胃内に至る瘻孔GPを設けて、この瘻孔GP内に挿入される。この胃瘻カテーテル1の正しい留置状態は図2に示した状態である。しかしながら、腹壁AWと胃壁SWとの間には腹腔NAが存在していることから、胃瘻カテーテル1がこの腹腔NAに入り込んだり、また内部ストッパ部材としてのバンパ3を構成するバンパ構成体5が腹腔NAの部位に位置していたりすると、不完全な留置状態であり、カテーテルチューブ2内に薬剤や栄養剤等の流動物を供給すると、腹腔NA内に流入するおそれがある。従って、胃瘻カテーテル1が造設された後において、遅くとも薬剤や栄養剤を注入する前の段階で、この胃瘻カテーテル1が正規の状態に留置されているか否かの確認を行う。
【0029】
この胃瘻カテーテル1の留置状態を確認する装置の構成としては、図3に示した内視鏡10と操作手段20とから構成される。内視鏡10は、挿入部11と制御装置12とから構成される。挿入部11は少なくとも曲げ方向に可撓性を有し、好ましくは柔軟性を有するコード状の部材からなり、その先端部は先端硬質部11aとなっている。そして、この先端硬質部11aには、図4に示したように、観察手段が設けられている。観察手段は、照明部13と観察部14とから構成されている。ここで、図示した内視鏡10は、その挿入部11の先端硬質部11aの先端面に照明部13及び観察部14が設けられ、挿入部11の前方を観察視野とする直視型のものである。
【0030】
そして、照明部13には照明用レンズが装着されており、また観察部14には対物レンズが設けられている。また、照明用レンズにはライトガイドの出射端が臨み、対物レンズの結像位置には固体撮像素子が装着されている。ライトガイドは、図4に符号15で示したように、極細の光ファイバを束ねたものから構成される。また、固体撮像素子に接続した複数の信号ケーブル16が導出されている。従って、挿入部11の内部にはライトガイド15及び信号ケーブル16は挿入部11の全長にわたって延在されており、その基端部はコネクタ部17となっている。このコネクタ部17は、中央位置にライトガイド15が接続されているライトガイド棒18となり、またこのライトガイド棒18の周囲には所定数の電極(図示せず)が設けられている。
【0031】
制御装置12には、光源装置と映像信号処理回路とが内蔵されており、挿入部11のコネクタ部17が制御装置12のソケット部12aに接続されると、ライトガイド15に光源装置からの照明光が伝送され、また挿入部11の先端硬質部11aに設けた固体撮像素子から信号ケーブル16を介して伝送される映像信号は制御装置12の映像信号処理回路で信号処理が行われて、モニタに映像が表示されることになる。
【0032】
操作手段20は、挿入部11の先端硬質部11aを移動させるためのものであって、円板形状の本体部21に把持部22を突設したものから構成される。そして、本体部21には例えば永久磁石または電磁石からなる磁石23が設けられている。一方、内視鏡10の挿入部11における先端硬質部11aは、その全体がプラスチック等の非磁性部材から構成されており、その側面部に磁性部材からなり、磁気吸引力作用手段として機能する磁性板24が取り付けられている。従って、操作手段20に挿入部11の先端硬質部11aに設けた磁性板24を近付けると、本体部21に設けた磁石23に吸引されることになる。
【0033】
本実施の形態は以上のように構成されるものであって、胃瘻カテーテル1を造設するに当っては、まず体表皮から胃の内部に至る瘻孔GPを穿設する。そして、この瘻孔GP内に胃瘻カテーテル1のカテーテルチューブ2を挿入するが、このときには、安全確保の観点から、胃の内部に、例えばCO2ガス等の気腹ガスを胃の内部に供給して、胃を膨張させた状態とするのが望ましい。そして、図5に示したように、内筒押動部材9を用いて、内筒6をカテーテルチューブ2内で先端から押し出すように操作する。バンパ3を構成するバンパ構成体5をほぼ直線状態となるように引き伸ばした縮径状態とする。この状態で、カテーテルチューブ2を瘻孔GP内に挿入する。カテーテルチューブ2が所定の深さまで進入すると、内筒押動部材9をカテーテルチューブ2から引き抜いて、内筒6に対する押し込み力を解除する。その結果、バンパ3を構成する4箇所のバンパ構成体5が湾曲状態に復元すると共に、内筒6はカテーテルチューブ2の内部に向けて退入することになり、ストッパ機能を発揮するようになる。
【0034】
胃瘻カテーテル1を造設した後には、この胃瘻カテーテル1が正規の状態に留置されているか否かの確認を行う。また、胃瘻カテーテル1を交換した後や、洗浄等を行って再装着した後も同様に、その留置状態の確認を行う。このために、図6に示したように、ボタン4を注入口2aから取り外した状態で、内視鏡10の挿入部11を注入口2aに挿入して、その先端硬質部11aをカテーテルチューブ2の先端から内筒6を通過させて、胃の内部に導入する。ここで、挿入部11の先端硬質部11aに設けられている照明部13及び観察部14からなる観察手段は、その視野が挿入部11の前方に向けた直視型のものであるから、先端硬質部11aを方向転換させることによって、胃瘻カテーテル1のカテーテルチューブ2の方向に向ける必要がある。このために胃壁SWを反転用の壁として利用することができる。
【0035】
カテーテルチューブ2から導出された挿入部11は、そのままカテーテルチューブ2内に押し込む操作を継続すると、このカテーテルチューブ2が挿入されている側とは反対側の胃壁面に当接する。ここで、挿入部11は先端硬質部11aを除いて、柔軟な構造となっており、これによって、胃壁面に当接すると、図7に示したように、先端硬質部11aが反転することになる。先端硬質部11aが反転したときには、この先端硬質部11aに設けた磁性板24はカテーテルチューブ2が挿入されている側、つまり図中の上方に向くようにする。そして、挿入部11の曲がる方向は方向性があることから、挿入部11における先端硬質部11aより基端側の部位に曲げ癖を付けておくのが望ましい。そして、この曲げ癖を付けた部位の曲げ角度を大きくすると、胃壁面に当接させなくても、自然に望ましい方向に湾曲するようになる。
【0036】
ただし、挿入部11に、例えば90度以上というように、大きな曲げ癖を付けると、カテーテルチューブ2内への挿入操作に支障を来すおそれがある。このためには、例えば図6に符号30で示したように、挿入部11におけるこの癖付けされた部位にポケットを設けて、このポケット30の内部に直進化用のワイヤ、即ちスタイレット31を挿入するようになし、このスタイレット31で挿入部11を真っ直ぐになるように矯正できる。従って、挿入部11のカテーテルチューブ2内への挿入時には、スタイレット31をポケット30に挿入しておき、先端硬質部11aがカテーテルチューブ2の先端から導出された後に、スタイレット31を引き抜くようにすると、癖付けされた方向に湾曲することになる。なお、このスタイレット31は挿入部11の外面に設けられているので、挿入部11の内部における挿通部材に対するダメージを与えることはない。
【0037】
挿入部11が胃の内部にまで進入した後に、体表皮に操作手段20を当接させる。ここで、操作手段20の本体部21には把持部22が設けられているので、この把持部22を把持して操作が行われる。本体部21には磁石23が設けられており、この磁石23を挿入部11に設けた磁性板24に近接させると、挿入部11に磁気吸引力が作用することになり、操作手段20をカテーテルチューブ2に近接させると、図8に示したように、観察部14による観察視野はカテーテルチューブ2と胃壁SWとの境界部に向けられる。ここで、カテーテルチューブ2にはバンパ3が設けられており、カテーテルチューブ2の胃壁SWから胃内に導入されている部位の下部位置にバンパ3が配置されているが、内視鏡10における観察部14の観察部位は、カテーテルチューブ2におけるバンパ3と胃壁SWとの間の部位であるので、留置状態が適正か否かを確実に確認することができる。
【0038】
カテーテルチューブ2のほぼ全周にわたって観察する必要があるので、操作手段20を造設された胃瘻カテーテル1の周囲に走査するように移動させる。これによって、磁気吸引力が作用している挿入部11が追従してカテーテルチューブ2を中心として回ることになるので、胃瘻カテーテル1におけるカテーテルチューブ2の全周にわたって適正に留置されているか否かの確認を行うことができる。なお、この挿入部11がカテーテルチューブ2を中心として回転する際に、挿入部11の注入口2aから外部の部位を軸回りに回転させるようにすると、挿入部11の先端硬質部11aはより円滑に回転することになる。
【0039】
以上のようにして挿入部11の先端硬質部11aをカテーテルチューブ2の外周部で回転させることによって、カテーテルチューブ2が正規の状態で留置されており、胃瘻カテーテル1に流動物を注入したときに、確実に胃の内部に供給される状態となっておれば、この胃瘻カテーテル1が正規の状態で留置されていることが内視鏡10により確認される。一方、カテーテルチューブ2が不完全な状態となっていることが検出されると、カテーテルチューブ2を一度瘻孔GPから引き抜いて、挿入し直すように操作する。このときに、内視鏡10の挿入部11を胃の内部に挿入した状態に保持しておくことによって、カテーテルチューブ2の瘻孔GPへの挿脱操作が容易に、しかも安全に行うことができる。そして、再装着を行った後には、前述と同様にして、内視鏡10の挿入部11の観察部14によりカテーテルチューブ2の胃壁SW内への留置状態を確認する。
【0040】
ところで、胃瘻カテーテル1を留置状態で長期間にわたって使用を継続すると、この胃瘻カテーテル1が汚損される等のために、適宜の時期に交換するか、または胃瘻カテーテル1の全体を洗浄して再使用する。即ち、既設の胃瘻カテーテル1を取り外して、新たな胃瘻カテーテル1を再装着する。このときには、瘻孔GPによる経路を確保し、新たな胃瘻カテーテル1を確実に胃の内部に導くようにするために、ガイドワイヤが用いられ、このガイドワイヤを既設の胃瘻カテーテル1におけるカテーテルチューブ2の内部に挿通させた状態で取り外して、新たな胃瘻カテーテル1がガイドワイヤを手懸りとして装着されることになる。そこで、内視鏡10の挿入部11をこのガイドワイヤとして機能させることもできる。
【0041】
このためには、挿入部11をカテーテルチューブ2内に挿入する。挿入部11はカテーテルチューブ2の先端から導出させて、胃の内部にまで進入させる。一方、内筒押動部材はカテーテルチューブ2の内部に設けられている内筒6の端面を押動して、この内筒6をカテーテルチューブ2の先端から押し出すように操作する。その結果、バンパ4を構成するバンパ構成体5が引き伸ばして、外径を縮径させて、ストッパとしての機能が解消させる。この状態で、内筒押動部材を挿入させているカテーテルチューブ2を瘻孔GPから取り出すようにする。ただし、挿入部11は胃の内部に導入された状態になっているので、瘻孔GPは確保されている。
【0042】
ここで、挿入部11には、その基端部がコネクタ部17となっており、このコネクタ部17は制御装置12のソケット部12aに接続されるものであるが、挿入部11をガイドワイヤとして機能させる際には、照明光を伝送する必要がなく、固体撮像素子からの信号を取り出すこともないので、コネクタ部17をソケット部12aから取り外しておく。このようにして取り出された胃瘻カテーテル1は、そのカテーテルチューブ2を挿入部11の基端側に移動させ、コネクタ部17から引き出すように操作する。これによって、既設の胃瘻カテーテル1が取り外される。
【0043】
次に、交換して使用される新たな胃瘻カテーテル1のカテーテルチューブ2を挿入部11に挿通させる。このときには、内筒押動部材9をカテーテルチューブ2に装着して、バンパ3を縮径状態に保持しておき、この胃瘻カテーテル1が挿入部11をガイド手段として瘻孔GPの内部に所定の深さ位置まで、つまりカテーテルチューブ2が胃の内部にまで進行するように挿入する。その後に、内筒押動部材9をカテーテルチューブ2から脱着することによりバンパ3を拡径させて作動状態とする。これによって、新たな胃瘻カテーテル1が装着されたことになる。この状態から、カテーテルチューブ2内に挿通されている内視鏡10の挿入部11を操作手段20の磁石23による磁気の作用による吸引を行わせて、操作手段20をカテーテルチューブ2の周囲に移動させることにより、胃瘻カテーテル1の留置状態が確認される。そして、胃瘻カテーテル1が適正な状態で留置されていることが確認された後に、挿入部11をカテーテルチューブ2から取り出すことによって、この胃瘻カテーテル1が流動物等を注入できる状態、つまり使用状態となる。
【0044】
前述した実施の形態では、操作手段20を用いて挿入部11の先端硬質部11aを制御する構成としたが、これに代えて図9に示した操作手段120を用いることもできる。この操作手段120は、本体部121をリング状に形成して、中央部分に挿通孔121aを形成し、この本体部121の所定の位置に永久磁石123を装着する。そして、本体部121の挿通孔121aにカテーテルチューブ2に嵌合させて、この本体部121に設けた磁石123を回転させるように操作すると、内視鏡10の挿入部11の先端硬質部11aに設けた磁性板24を吸引して回転させることができるようになる。
【0045】
また、図10に示したように、操作手段220を用いることもできる。この操作手段220は、カテーテルチューブ2を囲繞するように組み込まれるCリング状の本体部221に、その切り欠いた部位に先端に把持部222を設けたスライド部材223が半径方向に移動可能に設けられており、このスライド部材223に磁石から構成されている。操作手段220の本体部221に形成した挿通孔221aをカテーテルチューブ2に嵌合させるように組み付けて、把持部222を操作して、スライド部材223を本体部221の半径方向における所定の位置に配置した状態で、挿入部11の先端硬質部11aに設けた磁性板24を吸引した状態で、スライド部材223を半径方向に動かせば、先端硬質部11aをカテーテルチューブ2に近接・離間させることができ、また先端硬質部11aの観察部14をカテーテルチューブ2の外面に対して所定の間隔となるように調整した状態で、本体部221をカテーテルチューブ2の周囲に回転させるようにすることができる。
【0046】
ここで、第1の実施の形態と、操作手段の異なる形態を示した図9及び図10では、操作手段を手動操作により体表皮に沿って移動させる構成としたが、これら以外でも図11に示したように、それぞれ独立に磁化される複数の磁場エリア323Mをマトリックス状に形成したシート状の部材からなる磁場シート323と、この磁気シート323が接続される制御装置312とから操作手段320を構成することができる。ここで、磁場エリア323Mは電磁石から構成され、制御手段312からの制御信号でON,OFFされるようになっている。そして、この磁場シート323には透孔326が穿設されており、この透孔326にはカテーテルチューブ2が挿入されることになる。また、磁場シート323の相隣接する2辺には、X方向電極部330XとY方向電極部330Yとが設けられており、これらX方向電極部330XとY方向電極部330Yとにはそれぞれ配線が引き出されており、各配線はケーブル331として束ねられて、制御手段312に接続される。そこで、制御手段312からの制御信号に基づいて、X方向電極部330Xのいずれかの電極とY方向電極部330Yのいずれかの電極とを通電させると、その交点位置の磁場エリア323Mが磁化されることになる。そして、X方向電極部330XとY方向電極部330Yとにおいて、通電する電極を切り替えることによって、所望の磁場エリア323Mを磁化させることができる。
【0047】
ここで、制御手段312は磁気シート323を制御する専用のものとするか、または制御装置12と同様、内視鏡10における照明部13に照明光を伝送するための光源装置と、観察部14に設けた固体撮像素子の映像信号を処理する映像信号処理回路を設ける構成とする。この場合には、挿入部11の先端硬質部11aに設けた磁性板24に対しては、磁気シート323において、磁化された磁場エリア323Mにより磁気吸引力が作用することになる。従って、磁化される磁場エリア323Mの位置を変化させることによって、挿入部11の先端部分を所望の方向に動かすことができる。
【0048】
胃瘻カテーテル1の留置状態を確認するために用いられる内視鏡としては、前述した実施の形態では、直視型の内視鏡10としたが、これに代えて図12に示したように、照明部413及び観察部414が挿入部411における先端硬質部411aに設けた側視型の内視鏡410を用いることもできる。この内視鏡410を用いる場合には、磁性板424は先端硬質部411aの先端面に装着するように構成する。
【0049】
さらに、胃瘻カテーテル1の留置状態を確認するために用いられる内視鏡としては、図13に示したカプセル内視鏡510を用いるように構成することもできる。このように、カプセル内視鏡510を用いる場合には、このカプセル内視鏡510のケーシングに磁性板524を装着する。そして、カプセル内視鏡510には、可撓性のあるコード511を連結して設けるように構成する。ここで、コード511は単なる紐状のものから構成することができる。
【0050】
ところで、内視鏡10において、その挿入部11は胃瘻カテーテル1のカテーテルチューブ2内に挿通可能なものでなければならない。従って、挿入部11を細径化する必要がある。しかも、挿入部11を胃瘻カテーテル1の交換時におけるガイドワイヤとしての機能をも発揮させる場合には、挿入部11は全長にわたってカテーテルチューブ2内に挿通可能なものでなければならない。内視鏡410の挿入部411も同様である。また、カプセル内視鏡510を用いる場合は、このカプセル内視鏡510と、このカプセル内視鏡510に接続したコード511も同様である。
【0051】
内視鏡10の挿入部11には、照明部13と観察部14とが設けられる。図4に示したように、照明部13にはライトガイド15の出射面を臨ませ、観察部14には固体撮像素子を設けて、この固体撮像素子に接続した信号ケーブル16を挿入部11の基端側に延在させる構成としている。観察部14には固体撮像素子に代えて、イメージガイドを設けるように構成することもできる。一方、照明部13における照明手段としては、LEDランプを用いることができる。
【0052】
また、図14に示したように、光ファイバ40を用い、この光ファイバ40の入射端にレーザ光を入射させ、その出射端には蛍光体変換部41を対面させて設けるように構成することもできる。蛍光体変換部41では、光ファイバ40からのレーザによる励起光の一部が蛍光光に変換され、この蛍光光と励起光とによって白色光が生成されて、照明用レンズ42から照明すべき箇所に照射される。従って、青色の波長光を照射するレーザ光源を用いて、蛍光体変換部41では、このレーザ励起光から赤色から緑色にわたる波長の蛍光光に変換させるようにすると、出射光は白色光となる。このように構成すると、光源としてランプを用いる場合より消費電力が少なくなる。
【0053】
なお、胃瘻カテーテルとしては、前述したボタンタイプのバンパストッパ式のものとしたが、他の構成の胃瘻カテーテルとしては、図15に示したチューブタイプのバルーンストッパ式の胃瘻カテーテル601を用いることもできる。同図において、602はカテーテルチューブであり、このカテーテルチューブ602の先端近傍には内部ストッパ部材としてのバルーン603が設けられており、またこのバルーン603の装着部より基端側の部位には外部ストッパ608が装着されている。そして、カテーテルチューブ602の基端部には接続部610が連設されており、この接続部610には、カテーテルチューブ602と同軸状態に栄養剤注入ポート611が設けられており、側部にはバルーン拡張用ポート612が設けられている。さらに、栄養剤と薬液とを同時に注入する際等の観点から、接続部610の側部に薬液注入ポート613が設けられている。そして、これら各ポート611,612,613はキャップ611a,612a,613aにより着脱可能に施蓋されるようになっている。
【0054】
この胃瘻カテーテル601においては、カテーテルチューブ602を胃の内部にまで進入するようにして装着され、バルーン拡張用ポート612を介してバルーン603に空気を圧送することによって、このバルーン603を拡張させることによって、カテーテルチューブ602が胃から脱落しないように保持する。この状態で、前述した第1の実施の形態で示した内視鏡10の挿入部11を栄養剤注入ポート611からカテーテルチューブ602を通過させて、胃の内部に挿入し、操作手段20を操作することによって、挿入部11の先端に設けた観察手段によって、バルーン603が胃の内部で拡張されているか否かを検出することによって、胃瘻カテーテル601の留置状態が確認される。
【符号の説明】
【0055】
1,601 胃瘻カテーテル 2,602 カテーテルチューブ
3 バンパ 10,410,510 内視鏡
11,411,511 挿入部 12,312 制御装置
13,413 照明部 14,314 観察部
20,120,220,320 操作手段
21,121,221,321 本体部
23,123,223,磁石
24,424,524 磁性板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胃瘻カテーテルのカテーテルチューブ内に挿通されて、胃瘻カテーテルの留置状態を確認するものであって、
前記カテーテルチューブ内に挿通可能であり、曲げ方向に可撓性を有する挿入部の先端に、照明部及び観察部を設けた内視鏡と、
前記挿入部の先端を所望の方向に向けるように操作可能な操作手段と、
前記挿入部の先端部と前記操作手段との間に磁気による吸引力を作用させて、この操作手段の変位に追従させて前記挿入部の先端部を変位させる磁気吸引力作用手段
とから構成したことを特徴とする胃瘻カテーテルの留置状態確認装置。
【請求項2】
前記磁気吸引力作用手段は、前記挿入部の先端部と前記操作手段とのいずれか一方に設けた永久磁石または電磁石からなる磁石と、他方には、この磁石による磁気に吸引される磁性部材とを設ける構成としたことを特徴とする請求項1記載の胃瘻カテーテルの留置状態確認装置。
【請求項3】
前記磁石を前記操作手段側に設ける構成としたことを特徴とする請求項2記載の胃瘻カテーテルの留置状態確認装置。
【請求項4】
前記操作手段は、前記カテーテルチューブからは独立した可動範囲を有するものであることを特徴とする請求項3記載の胃瘻カテーテルの留置状態確認装置。
【請求項5】
前記操作手段は、前記カテーテルチューブに嵌合させたリング部材から構成し、このリング部材は、前記カテーテルチューブを中心として軸回りに回転操作可能なものとすることにより前記磁石を回転方向に移動可能な構成であることを特徴とする請求項3記載の胃瘻カテーテルの留置状態確認装置。
【請求項6】
前記リング部材は前記磁石を半径方向にも移動可能な構成としたことを特徴とする請求項5記載の胃瘻カテーテルの留置状態確認装置。
【請求項7】
前記操作手段は前記カテーテルチューブを中心とした平面的な広がりを有し、独立に磁化される複数の磁場エリアを形成したシート状の部材からなり、それぞれ独立して磁化される電磁石を複数設けた磁場シートと、この磁場シートを構成する複数の電磁石の作動制御を行う制御装置とから構成したことを特徴とする請求項1記載の胃瘻カテーテルの留置状態確認装置。
【請求項8】
前記照明手段は、前記挿入部に挿通させたライトガイドまたは前記挿入部の先端部に設けた発光素子から構成したことを特徴とする請求項1記載の胃瘻カテーテルの留置状態確認装置。
【請求項9】
前記観察手段は前記挿入部に挿通させたイメージガイドまたは固体撮像手段から構成したことを特徴とする請求項1記載の胃瘻カテーテルの留置状態確認装置。
【請求項10】
前記内視鏡の挿入部は、カプセル内視鏡と、このカプセル内視鏡に接続した可撓性コードとから構成したことを特徴とする請求項1記載の胃瘻カテーテルの留置状態確認装置。
【請求項11】
前記挿入部は、その全長にわたって前記カテーテルチューブの内径より小さい外径を有するものであり、この挿入部の基端部は制御装置に着脱可能に接続されるものであることを特徴とする請求項1記載の胃瘻カテーテルの留置状態確認装置。
【請求項1】
胃瘻カテーテルのカテーテルチューブ内に挿通されて、胃瘻カテーテルの留置状態を確認するものであって、
前記カテーテルチューブ内に挿通可能であり、曲げ方向に可撓性を有する挿入部の先端に、照明部及び観察部を設けた内視鏡と、
前記挿入部の先端を所望の方向に向けるように操作可能な操作手段と、
前記挿入部の先端部と前記操作手段との間に磁気による吸引力を作用させて、この操作手段の変位に追従させて前記挿入部の先端部を変位させる磁気吸引力作用手段
とから構成したことを特徴とする胃瘻カテーテルの留置状態確認装置。
【請求項2】
前記磁気吸引力作用手段は、前記挿入部の先端部と前記操作手段とのいずれか一方に設けた永久磁石または電磁石からなる磁石と、他方には、この磁石による磁気に吸引される磁性部材とを設ける構成としたことを特徴とする請求項1記載の胃瘻カテーテルの留置状態確認装置。
【請求項3】
前記磁石を前記操作手段側に設ける構成としたことを特徴とする請求項2記載の胃瘻カテーテルの留置状態確認装置。
【請求項4】
前記操作手段は、前記カテーテルチューブからは独立した可動範囲を有するものであることを特徴とする請求項3記載の胃瘻カテーテルの留置状態確認装置。
【請求項5】
前記操作手段は、前記カテーテルチューブに嵌合させたリング部材から構成し、このリング部材は、前記カテーテルチューブを中心として軸回りに回転操作可能なものとすることにより前記磁石を回転方向に移動可能な構成であることを特徴とする請求項3記載の胃瘻カテーテルの留置状態確認装置。
【請求項6】
前記リング部材は前記磁石を半径方向にも移動可能な構成としたことを特徴とする請求項5記載の胃瘻カテーテルの留置状態確認装置。
【請求項7】
前記操作手段は前記カテーテルチューブを中心とした平面的な広がりを有し、独立に磁化される複数の磁場エリアを形成したシート状の部材からなり、それぞれ独立して磁化される電磁石を複数設けた磁場シートと、この磁場シートを構成する複数の電磁石の作動制御を行う制御装置とから構成したことを特徴とする請求項1記載の胃瘻カテーテルの留置状態確認装置。
【請求項8】
前記照明手段は、前記挿入部に挿通させたライトガイドまたは前記挿入部の先端部に設けた発光素子から構成したことを特徴とする請求項1記載の胃瘻カテーテルの留置状態確認装置。
【請求項9】
前記観察手段は前記挿入部に挿通させたイメージガイドまたは固体撮像手段から構成したことを特徴とする請求項1記載の胃瘻カテーテルの留置状態確認装置。
【請求項10】
前記内視鏡の挿入部は、カプセル内視鏡と、このカプセル内視鏡に接続した可撓性コードとから構成したことを特徴とする請求項1記載の胃瘻カテーテルの留置状態確認装置。
【請求項11】
前記挿入部は、その全長にわたって前記カテーテルチューブの内径より小さい外径を有するものであり、この挿入部の基端部は制御装置に着脱可能に接続されるものであることを特徴とする請求項1記載の胃瘻カテーテルの留置状態確認装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−136007(P2011−136007A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297372(P2009−297372)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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