脂肪の減少に有効である安定な乳成分
本発明は、体重を調節する個体に、カルシウム含有新鮮ホエイ製品を、体重および/または脂肪の減少を誘導するか、体重および/または脂肪の増加を予防するか、代謝による脂肪組織の消費を増大させるか、ならびに/あるいは筋肉量を維持することによって体格を管理するのに有効な量で投与する工程を包含する方法に関する。ホエイ由来無機質画分、ホエイ由来タンパク質単離物およびホエイ由来酵素阻害ペプチド画分からなる群より選択される成分を含む治療的に有効な量の新鮮ホエイ製品をパッケージ中に含む体重管理組成物もまた提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、体重管理における新鮮または安定なホエイ製品の使用(例えば、体重を調節する個体に、カロリー制限された食事において、体重の減少を誘導するか、体重の増加を予防するか、代謝による脂肪組織消費量を増大させるか、ならびに/または筋肉量を維持するのに有効な量のカルシウム含有新鮮ホエイ製品を投与する工程を包含する方法)に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
食事性カルシウムは、体重の減少を誘導するか、体重の増加を予防するか、ならびに/または代謝による脂肪組織消費量を増大させることが示されている。例えば、共有に係る特許文献1(Zemelら)、ならびに特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、および特許文献9(全てがZemelらの名義であり、そしてこれらは全て、その全体が本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。このような効果が新鮮ホエイ製品を投与することによって達成および増強され得ることは、以前には認識されていなかった。
【0003】
個体は、しばしば、1年間で体重が1〜3ポンド増え、食事療法を行う場合、脂肪の減少が達成され得るが、それは、しばしば、除脂肪(lean)量または筋肉量の減少を伴う。除脂肪量または筋肉量を維持しながらも特定の脂肪領域を選択的に標的とする食事を提供する必要性が存在する。
【0004】
また、十分量のカルシウム、特に特定の乳カルシウムを含む健康的な食事を維持することは、多くの者にとって困難である。乳製品(例えば、乳、チーズ、またはヨーグルト)を毎日数(2〜4)部消費することは、一部の者にとって困難であるか、または望ましくない。食物およびそれらを強化する配合物に添加するのに適した形態にある乳による体重管理の利益を一貫して提供し得る食事性成分を使用することが、望ましい。
【特許文献1】米国特許第6,384,087号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004−0197425号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2004−0197423号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2004−0197385号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2004−0197383号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2004−0197382号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2002−0132014号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2002−0192264号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2004−0197424号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、筋肉を保護しながらも体重減少を増大させるホエイ由来成分を含む製品に関する。このような製品を消費する個体は、より多くの脂肪を失い、そして除脂肪部分をあまり失わない。本発明はまた、身体の脂肪量が増加するのを回避することを補助する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、例えば、体重を調節する個体に、カルシウム含有新鮮ホエイ製品を、この個体において、体重および/または脂肪の減少を誘導するか、体重および/または脂肪の増加を予防するか、代謝による脂肪組織消費量を増大させるか、ならびに/あるいは筋肉量を維持するのに有効な量で投与する工程を包含する方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(発明の説明)
本発明のカルシウム含有新鮮ホエイ製品は、ホエイまたはホエイを含有する組成物、ホエイ由来タンパク質製品、ホエイ由来無機質単離物のブレンド、あるいはそれらの組み合わせであり得、それらのうちのいくつかは、固有の酵素阻害ペプチドまたはさらなる酵素阻害ペプチド(例えば、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害ペプチド)を必要に応じて含み得る。
【0008】
ホエイは、一般に、凝固性部分または凝乳から、特に、チーズを製造するプロセスにおいて分離される乳の水性部分として公知である(Merriam−Webster Online Dictionary<www.m−w.com>)。ホエイは、乳業から副産物として容易に入手可能であり、それは、代表的に、乳から脂肪およびカゼインを除去することによって調製され、そしてラクトース、数種の塩、および種々のタンパク質(ウシ血清アルブミン「BSA」(分子量66,000ダルトン)、α−ラクトグロブリン(分子量14,000ダルトン)、β−ラクトグロブリン(分子量16,000ダルトン)、κ−カゼインフラグメント106〜109、ラクトフェリン、ラクトペルオキシダーゼ、および免疫グロブリンが挙げられる)を含む。ホエイまたは乳に含まれる塩としては、カルシウム、銅、マグネシウム、リン、カリウム、セレンおよび/または亜鉛が挙げられ得る。ホエイタンパク質調製物は、例えば、タンパク質または炭水化物(ラクトース)を含むホエイタンパク質濃縮物(WPC)(例えば、AVONLAC 134(Glanbia Nutritionals,Inc.,Monroe,Wis.(「Glanbia」)))またはホエイタンパク質単離物(WPI)(例えば、PROVON 190またはPROVON 290(Glanbia)あるいはPROTARMOR(Armor Proteines SAS、France))として市販されている。他のホエイ供給業者は、Davisco(Le Sueur、MN);Bio−Isolates PLC(Deeside、UK);NZMP North America(Santa Rosa Calif.);Formost Farms(Baraboo Wis.);Arla Foods(Union NJ.);Avenmore Waterford(Monroe Wis.);Borculo Fresh whey products;およびBorculo、Netherlandsである。
【0009】
本発明による新鮮ホエイ製品は、任意の乳製品(例えば、乳またはチーズホエイ)に由来する任意のそのような画分であり得る。上記新鮮ホエイ製品は、ホエイ、WPC、WPI、ホエイ無機質濃縮物を含め、乳からの分画または単離後にホエイから製造された任意の製品(例えば、24%のカルシウムおよび13%のリンを含む、TRUCALカルシウム単離物(Glanbia)またはVITALARMOR(Armor Proteines SAS))であり得る。上記新鮮ホエイ製品は、当該分野において公知である任意の方法によって得られ得る。例えば、ホエイ画分は、乳またはチーズホエイの抽出、限外濾過、電気透析、エバポレーション、および逆浸透のうちの1つ以上によって得られ得る。
【0010】
上記新鮮ホエイ製品は、酵素阻害ペプチドを含む組成のものであり得、それは、カゼイン、ホエイタンパク質、大豆タンパク質、または任意の他の適切な供給源などのペプチドから、当業者に公知である加工手段によって得られ得る。このようなペプチドの1つの例は、アンギオテンシン変換酵素(ACE)を阻害するものである。例えば、TRUCAL FP(Glanbia)またはBIPRO(Davisco)は、乳無機質およびACE阻害ペプチドを含む。
【0011】
上記新鮮ホエイ製品は、本発明の目的を実施するために、当該分野において公知である任意の形態で個体に投与され得る。
【0012】
ホエイ製品は、種々の段階(例えば、製造、保存、または輸送)において損害を受け得る。このような製品は、「新鮮ホエイ」であるとは考えられない。ホエイ製品は、例えば、原料製品または最終製品の取り扱いを誤らず、適切pHを維持し、水性の液体と固体濃縮物(例えば、乾燥ホエイタンパク質濃縮物、液体ホエイタンパク質濃縮物、ホエイタンパク質単離物、液体かまたは乾燥したスイートホエイ、液体かまたは乾燥した酸性ホエイ)との適切な組み合わせを使用し、腐敗性微生物の活動を適切な保存条件または保存剤によって妨げ、精製するか、または例えば、限外濾過、電気透析によるような無機質除去に供し、そして他のホエイ由来成分とブレンドするか、特定の成分によって安定化するか、その新鮮ホエイ製品が製造された後に特定の環境、包装または温度において包装、保存または維持することによって安定化するか、あるいはそのホエイ製品を機能的に強化することによって、安定であり得、そして新鮮に維持され得る。
【0013】
本明細書中で使用される場合、「新鮮」ホエイは、実質的に変性していないホエイタンパク質内容物を有し得、そして非分解かつ非変性であり得る。新鮮ホエイは、生物学的に利用可能でかつ消化可能であり得、これは、そのホエイが凝固しておらず、凝集しておらず、結晶化しておらず、消化不可能でも生物学的もしくは化学的に利用不可能な別の形態でもないことを意味する。新鮮ホエイは、熱による損傷を受けておらず、そして汚染されていない;種々の温度(例えば、5℃、23℃、または37℃)にて腐敗性微生物の腐敗活動を受けておらず;高レベルの熱、水分または微生物崩壊への曝露に起因して損傷を受けているとも無効にされているとも考えられていない。新鮮ホエイ製品は、消費時に新鮮であり、したがって製造、保存、輸送および使用に用いられる条件下で安定である。新鮮ホエイ製品は、このような条件下で新鮮さを失うことに抵抗するように安定化されて、その安定性が強化され得る。新鮮ホエイの種々の公知の組成物またはホエイを安定化する方法が使用され得る(例えば、米国特許第4,081,555号(Sawhill)、米国特許第4,497,836号(Marquardtら)、米国特許第4,748,034号(de Rham)、米国特許第6,558,716号(Kentら)、または米国特許出願公開第2003009976号(Jost)(これらは、全て、本明細書中に参考として援用される)に示されるもの)。
【0014】
新鮮ホエイはまた、安定なホエイと称され得る。任意の理論に束縛されないが、新鮮ホエイ製品は有利であり得る。なぜならば、新鮮ではないホエイ製品は、他の食事性カルシウム源(例えば、乳および乳のカゼイン画分(チーズにおいて優勢である))と比較して、除脂肪体重の維持を補助する成分を欠くからである。新鮮ホエイのこのような望ましい特性としては、乳のカゼイン画分よりも高い、ホエイのロイシン含量または分枝状アミノ酸含量が挙げられ得る。
【0015】
例示の実施形態において、上記新鮮ホエイ製品は、約25%〜約99%のタンパク質(すなわち、少なくとも、75%、約80%、約85%、約90%、約95%、またはそれより多くのタンパク質)を含むホエイ由来タンパク質単離物を含む組成物である。その組成物は、約10%未満、約5%未満、または約1%未満の炭水化物、ラクトース、脂肪または他の無機質をさらに含み得る。別の局面において、上記タンパク質単離物は、安定剤または乳化剤(例えば、レシチン、エトキシ化モノグリセリドおよびエトキシ化ジグリセリド、ならびにプロピレングリコール)を含み得る。
【0016】
例示の実施形態において、上記新鮮ホエイ製品は、約1%〜約99%のホエイ由来無機質(約1%〜約30%、約10%〜約90%、約20%〜約80%、約30%〜約70%、約15%〜約30%、約20%〜約30%、約22%〜約28%、または約23%〜約25%のカルシウムを含む)を含むホエイ由来無機質画分を含有する組成物である。
【0017】
別の例示の実施形態において、上記新鮮ホエイ製品は、例えば、上記の量(例えば、少なくとも約78%のタンパク質、少なくとも約15%の総無機質および少なくとも約3.8%のカルシウム)のホエイ由来無機質画分およびホエイ由来タンパク質単離物を含む組成物である。
【0018】
上記新鮮ホエイ製品は、カルシウム含有製品を強化し得る。すなわち、上記新鮮ホエイ製品は、別の製品に添加され、そして別の製品の一部となる。新鮮ホエイ製品によって強化され得るカルシウム含有製品の例としては、食事性カルシウム、炭酸カルシウム調製物、および乳製品(例えば、乳、クリーム、ヨーグルトまたはチーズ)に由来する他の製品が挙げられる。上記カルシウム含有製品は、例えば、ヨーグルトまたはヨーグルトに由来する製品、チーズまたはチーズに由来する製品、あるいは乳または乳に由来する製品(例えば、脱脂乳、1%乳、2%乳、全乳、ハーフアンドハーフクリーム(half and half cream)またはホイップクリーム(whipping cream))であり得る。別の例示の実施形態において、上記新鮮ホエイ製品は、粉末の形態にあるか、あるいは栄養組成物もしくは食事性組成物もしくは栄養補助剤もしくは食餌性補助剤またはカルシウムが強化されたビタミン栄養補助剤に組み込まれるか、あるいはカルシウムが多い食品もしくは食糧もしくは他の食物または個体によって消費される任意の食品に組み込まれる。上記食糧は、乳製品、卵、穀類、豆果、野菜、果物、肉、魚、または鳥肉に基づき得る。それは、例えば、シリアル、鮭、豆、豆腐、ほうれん草、カブラ菜、ケール、ブロッコリー、ワッフル、パンケーキ、ピザ、カッテージチーズ、アイスクリームまたはフローズンヨーグルトであり得る。別の例示の実施形態において、上記カルシウム含有製品は、乳児用調製粉乳、栄養補給食品、あるいは食事に代わる飲料もしくは飲み物、または上記のいずれかを調製するための粉末を含む。
【0019】
別の実施形態において、上記製品は、丸剤、錠剤、カプセル剤、または他の無機質および/もしくはビタミンとの組み合わせの形態であり得る。上記製品は、ヒトまたは非ヒト/動物による消費(例えば、ペットフードまたは家畜/農業用動物の飼料)のためのものであり得る。
【0020】
本発明はまた、個体によって摂取または消費される新鮮ホエイ製品の量を増大させる方法を提供し、そしてその方法は、必要に応じて、他の食事面の試み(例えば、カロリー摂取を制限すること)もしくは運動すること、ならびに/あるいは上記新鮮ホエイ製品を長期間にわたって投与することと組み合わされて、体重および/または脂肪の減少を誘導すること、体重および/または脂肪の増加を予防すること、ならびに/あるいは代謝による脂肪組織消費量を増大させることという所望の結果が得られる。例えば、上記製品は、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約1ヶ月間、少なくとも約6週間、少なくとも約2ヶ月間、少なくとも約3ヶ月間、少なくとも約6ヶ月間、または少なくとも約1年間の連続した期間にわたって投与され得、その製品は、所望の結果を誘導するのに有効な量において、1日平均ベースで投与される。
【0021】
所望の結果を誘導するのに有効な量は、上記新鮮ホエイ製品に含まれるカルシウムの量に基づき得る(例えば、1日あたり少なくとも約1000mgのカルシウム)。新鮮ホエイ製品またはその一食分(serving)は、平均で少なくとも約100mg、200mg、255mg、300mg、400mgまたは500mgを含み得る。新鮮ホエイ製品の消費量は、平均で、少なくとも約500mg、少なくとも約600mg、少なくとも約773mg、少なくとも約800mg、少なくとも約900mg、少なくとも約1000mg、少なくとも約1100mg、少なくとも約1200mg、少なくとも約1300mg、少なくとも約1346mg、少なくとも約1400mg、少なくとも約1500mg、少なくとも約1600mgまたはそれより多くの量のカルシウム消費量を、少なくとも2週間、少なくとも1ヶ月間、少なくとも2ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、またはそれよりも長い期間にわたって提供し得る。例示の実施形態において、上記新鮮ホエイ製品は、少なくとも1ヶ月間の連続した期間にわたって投与され、1日平均ベースにおいて少なくとも約1000mgのカルシウムを提供する。これらの投薬量は、「高カルシウム」であると称され得る。
【0022】
本発明の別の局面は、個体の食事性カルシウム消費量を決定する方法を提供し、その個体はヒトであり、そして(1)その食事性カルシウム消費量が1000mg/日未満である場合、新鮮ホエイ製品の消費量を増やし、そして(2)食事性カルシウム消費が少なくとも約1000mg/日である場合、新鮮ホエイ製品の消費によってそのレベルを維持する。別の実施形態において、有効な量の新鮮ホエイ製品を投与する前に個体によって消費されるカルシウムの量は、約400mg/日未満、約600mg/日未満または約773mg/日未満のカルシウムである。別の局面において、投与される1日平均の新鮮ホエイ製品は、少なくとも約800mg/日、少なくとも約1000mg/日、少なくとも約1100mg/日、少なくとも約1200mg/日、少なくとも約1346mg/日または少なくとも約1400mg/日のカルシウムを提供し得る。
【0023】
なお別の例示の実施形態において、上記有効な量のカルシウム含有新鮮ホエイ製品は、その新鮮ホエイ製品によって強化された乳製品の形態であり得、それは、1日あたり少なくとも約3〜4食分(例えば、2.5食分または3.5食分)で投与される。一食分のサイズの例としては、少なくとも約8オンスの乳、8オンスのヨーグルトまたは1.5オンスのチーズのカルシウム含量を有するホエイ強化製品が挙げられ得る。例示の実施形態において、1食分は、少なくとも約200mg、少なくとも約255mgまたは少なくとも約300mgのカルシウムを含み得、2食分は、約700mg、約773mgまたは約800mgのカルシウムを含み得、そして3食分は、1000mg、1100mg、1300mg、1346mgまたは1400mgのカルシウムを含み得る。1つの局面において、上記一食分部分は、平均で少なくとも約300mgのホエイ由来食事性カルシウムを含み得る。本発明の別の局面において、一食分部分は、平均で少なくとも約200mgの食事性カルシウムを含み得る。例示の実施形態において、上記ホエイ由来食事性カルシウムの有効な量は、1日あたり少なくとも約1000mgである。別の実施形態において、上記新鮮ホエイ製品は、1ヶ月あたり少なくとも約50食分〜約75食分、または1ヶ月あたり100食分〜120食分に相当する1日平均ベースで投与され得る。1つの実施形態において、上記カルシウムの量は、体重および/または脂肪の減少を誘導する所望の効果、体重および/または脂肪の増加を予防する所望の効果、ならびに/あるいは代謝による脂肪組織の消費を増大させる所望の効果を達成するために、平均で1日に約346mgまたは3食分〜3.5食分の新鮮ホエイ製品において投与される。
【0024】
本発明の新鮮ホエイ製品は、カルシウムの高いバイオアベイラビリティーを提供し、そして個体において体重および/または脂肪の減少を誘導するか、体重および/または脂肪の増加を予防するか、および/または代謝による脂肪組織消費量を増大させることによって体重および/または体脂肪を調節するのに、無機質のカルシウム(例えば、炭酸カルシウム由来)よりも有効である。上記新鮮ホエイは、非新鮮ホエイ製品(安定ではないホエイ製品)よりも有効である。新鮮ホエイは、乳とほぼ同程度に有効であるか、または少なくとも乳と同程度に有効であり、そして体格の管理において乳のカゼイン画分よりも有効である。
【0025】
本発明の方法および組成物は、体格の管理(例えば、体重、肥満、および筋肉量を調節または制御すること)において有効である。それらはまた、体重障害または過体重に関連する他の障害(例えば、肥満、高血圧、脳卒中、月経前症候群、うつ病、妊娠性高血圧障害、2型糖尿病、喘息、炎症性腸疾患、注意欠陥障害、片頭痛、腎疾患、腎臓結石、高コレステロール血症、うっ血性心不全、免疫不全、および実施者に公知である他の障害)を予防するか、それらの重篤度を減少させるか、それらの危険性を減少させるか、またはそれらを処置するのに有効である。
【0026】
いくつかの非新鮮ホエイ製品を使用する実施例1は、新鮮ホエイ製品を使用する実施例2との比較目的のために含まれる。実施例1は、本願と同じ実体によって所有される同時係属中の米国仮特許出願第60/558,706号の主題である。
【0027】
本発明者は、カルシウム含有製品(例えば、乳)が体重および/または脂肪の減少を誘導するのに有効であることを以前に見出した。実施例1および実施例2において示され、そして詳述される通り、驚くべきことに、カルシウム含有ホエイ製品および新鮮ホエイ製品は、動物において体重の減少を誘導すること、体重の増加を予防することおよび/または代謝による脂肪組織の消費を増大させることにおいて、無機質源(例えば、炭酸カルシウム)由来の同量のカルシウムよりも有効である。新鮮ホエイ、ホエイタンパク質、ホエイ由来無機質単離物もしくはホエイ由来無機質ブレンド、または酵素阻害ペプチドを含むホエイ由来無機質単離物を含む食事は、体重および/または脂肪の減少を誘導することにおいて、カルシウム単独、あるいはカルシウムと他の非ホエイ含有製品または非新鮮ホエイ含有製品とを投与するよりも有効であり得る。
【0028】
本発明はまた、カロリー制限した食事またはエネルギー制限した食事において個体を維持することを包含し得る。しばしば、このような制限した食事は、脂肪および筋肉の両方の減少をもたらす。本発明は、身体の特定の領域および/または脂肪もしくは筋肉細胞もしくは筋肉組織のタイプを選択的に標的とすることによる体重調節の方法を提供する。
【0029】
例示の実施形態において、本発明は、例えば、除脂肪量または筋肉量を維持しながらも特定の脂肪細胞または組織領域を選択的に標的とする体重関連の食事を、新鮮ホエイ製品を個体に投与することによって提供する方法に関し、それによって筋肉または除脂肪体重を保護しながらも体重の減少を増大させる。上記新鮮ホエイ製品はまた、運動による代謝ストレスからの容易な身体の回復を補助し得、そして個体が過度の量の脂肪を得ることを予防するのを補助し得る。これらのホエイベースの食事は、食事性エネルギーの脂肪組織から骨格筋への再分配を促進し、除脂肪体重の保持および/または改善をもたらす一方で、脂肪組織は、失われる。
【0030】
本発明に従って投与される新鮮ホエイ製品は、脂肪細胞においてアポトーシスを促す。すなわち、十分なレベルのカルシウム部分として新鮮ホエイ製品を含む食事は、脂肪細胞において細胞自己死を誘導し、そして食事療法を行っている個体中の脂肪細胞の数を減少させ得る。その減少は、腹部領域または体幹領域において優先的であり得、そして脂肪量の減少に寄与する。脂肪細胞数の減少は、脂肪細胞の少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、または少なくとも約30%の範囲であり得る。したがって、本発明による新鮮ホエイ製品食は、脂肪細胞を殺すか、脂肪細胞を排除するか、または脂肪細胞の数を減少させるものとして宣伝され得る。
【0031】
例えば、1つの実施形態は、体重を調節する個体に、個体において体重および/または脂肪の減少を誘導するか、体重および/または脂肪の増加を予防するか、ならびに/あるいは代謝による脂肪組織の消費を増大させながらも筋肉量を維持するのに有効な量でカルシウム含有新鮮ホエイ製品を投与することを包含する方法を提供する。
【0032】
除脂肪量または筋肉量の保持は、身体の種々の領域(例えば、骨格筋、四肢(例えば、腕および脚)または体幹)において維持され得る。例えば、新鮮ホエイ製品の消費は、腓腹筋を維持し得る。同様に、脂肪の減少の誘導もまた、種々の領域またはタイプにおいて選択的に標的とされ得る(例えば、脂肪パッド量の減少、腹部脂肪の減少、腎傍脂肪の減少もしくは肩甲下脂肪の減少および/またはそれらの組み合わせ)。本発明はまた、除脂肪量または筋肉量を維持しながらも脂肪の減少を誘導することを支援し得る。筋肉量を維持することは、新鮮ホエイ製品が消費される食事療法を行っている期間中に、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約5%、または少なくとも約10%の筋肉量が増加すること、または筋肉量が全く減少しないこと、または約1%以下、約2%以下、または約5%以下の筋肉量が減少することを含み得る。
【0033】
体重および脂肪を制限するための種々の構成成分を含む食事の効力は、最も効力のない構成成分から最も有効な構成成分まで、ほぼ以下の通りであると測定された:低カルシウム、高無機質カルシウム、ホエイ無機質単離物、ならびにホエイタンパク質および乳。ACEインヒビターは、ホエイ無機質単離物食およびホエイタンパク質食の効力を改善させた。
【0034】
実施例2は、新鮮ホエイ製品(例えば、群4において)が乳製品(例えば、群3)と同程度に有効であること、ならびにホエイ由来無機質画分を含有する新鮮ホエイ製品が肥満の調節において他の補助的なカルシウム源(例えば、炭酸カルシウム)と少なくとも同程度に有効であることを示す。
【0035】
上記データはまた、ホエイが、驚くべきことに、乳において見出された生物活性の大部分または全てを保持すること、およびホエイ由来ACEインヒビターがこの効果に寄与することを示す。上記ACE阻害作用は、肥満、体重の減少などの一貫した改善をもたらすが、インタクトな新鮮ホエイは、ずっと大きい効果を有する。
【0036】
別の例示の実施形態において、本発明は、体重の減少を増強するか、および/または体重の増加を制限し、そして良好な健康を促すことによって、所定の体重範囲を維持するための組成物および方法、ならびに過体重状態または肥満を処置するための組成物および方法に関する。過体重および肥満は、乳製品、より具体的には、乳製品に存在する無機質の不適切な摂取にある程度関連している。過体重状態および肥満は、本発明の実施に従って、直接的かまたは栄養補助組成物が強化された食品を通してかのいずれかによって栄養補助組成物を投与することによって効果的に処置され得ることが見出された。上記栄養補助組成物は、治療的に有効な量のホエイ無機質、ホエイタンパク質および/またはホエイ由来酵素阻害ペプチドを含み、そして食事の前または食事中に投与される。上記栄養補助組成物はまた、所望の体重を維持しようとする個体に投与され得る。
【0037】
処置は、体重制御についての他の機構に取り組む上記組成物中のさらなる成分の使用によって増強され得る。さらに、酵素阻害ペプチドが、脂肪代謝を制御することによって肥満の調節を支援するために含まれ得る。
【0038】
本明細書中で使用される場合、用語「処置する」、「処置すること」、「処置」および類似の用語は、過体重もしくは肥満またはそれに関連する任意の症状を緩和するか、抑制するか、阻害するか、さもなければ、個体が過体重もしくは肥満またはそれに関連する任意の症状である程度を減少させるための、過体重または肥満である個体(特に、ヒト)への上記栄養補助組成物の投与をいう。本明細書中で使用される場合、用語「処置する」、「処置すること」、「処置」および類似の用語はまた、過体重もしくは肥満になる危険性があるか、または過体重もしくは肥満になることを回避することを望む個体に対する上記栄養補助組成物の予防的投与をいう。
【0039】
上記栄養補助組成物の1つの成分は、ホエイ無機質である。米国特許出願公開第2003/0165574号(2003年9月4日公開、Wardら、本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。市販の乳無機質製品としては、例えば、TRUCAL製品(Glanbia)が挙げられ得る。ホエイ無機質の組成の一例は、下の表1に示される。
【0040】
【表1】
本発明の別の局面において、上記新鮮ホエイ組成物は、ホエイタンパク質を含む。ホエイタンパク質は、可溶性の球状タンパク質として乳中に存在し、そして懸濁されたカゼイン粒子とは異なる。一般に、それらは、総合的に良好な健康および栄養に必要とされるタンパク質の重要な供給源である。ホエイタンパク質に由来する主要なタンパク質およびペプチド構成成分としては、α−ラクトアルブミンおよびβ−ラクトグロブリン、κ−カゼイン、ラクトフェリン、ウシ血清アルブミン、ラクトペルオキシダーゼ、ならびに免疫グロブリンが挙げられる。
【0041】
本発明の別の局面において、上記新鮮ホエイ組成物は、活性な酵素阻害ペプチドを含む。例としては、アンギオテンシン変換酵素(ACE)を阻害するペプチドが挙げられる。アンギオテンシンIIは、脂肪細胞によって合成および分泌されるホルモンである。文献は、アンギオテンシンIIが脂肪細胞の脂質合成および脂質貯蔵の調節によって肥満の制御に関与し得ることを示している。いくつかの乳ペプチドは、アンギオテンシン変換酵素(ACE)の阻害に関連する。したがって、治療的に有効な量のACE阻害ペプチドを含む新鮮ホエイを投与することによって、体重の減少が強化され得る。理論に束縛されることを意図しないが、非新鮮ホエイ製品は新鮮ホエイと比較してより低いレベルの酵素阻害ペプチド(例えば、ACEインヒビター)を有することが可能である。本発明の組成物を得るために、その組成物のために選択された成分は、所望される場合、そのホエイ製品の安定性または新鮮さを維持する様式で上記栄養補助組成物の調製前に加工され得る。ホエイ無機質抽出物は、代表的に、精製され、噴霧乾燥され、そして所望される場合、液体食品または固形食品と混合できる適切な粒径を有する粉末へと挽かれる。同様に、上記タンパク質成分は、代表的に、精製され、噴霧乾燥され、そして粉末へと挽かれる。ACE阻害ペプチドもまた、上記組成物中に提供され得る。本発明による食事性栄養補助剤または食物組成物は、必要に応じて、当業者に周知である技術によって他の成分(例えば、無機質、ビタミン、香料および着色剤)を含み得る。
【0042】
上記組成物に適した粒径は、上記粉末が混合される食品の物理学的特性(例えば、液体または固体、特定の重力、pH、粘性など)および安定な新鮮ホエイ製品を維持する必要性のような因子に依存する。
【0043】
新鮮ホエイ製品は、広範な種々のタイプの食品に対する添加剤として本発明に従って使用され得、そして本発明による新鮮ホエイ製品を含有する食品組成物としては、酸性ジュースおよびスポーツ飲料、中性pH飲料(例えば、乳UHT乳製品、RTD栄養、豆乳、またはシェイク(shake)および他の混合飲料(blended beverage)(例えば、ミルクセーキ、スムージー、フラッペ))、栄養補助食品(例えば、高エネルギーのタンパク質バー)、菓子製品(例えば、高カルシウムチュー、チューインガム、チョコレート、またはクッキー)、乳製品(例えば、ヨーグルト、アイスクリーム、乳、チーズ、プロセスチーズ、またはバター)、ならびに穀粉製品(例えば、パン、マフィン、ビスケット、シリアルまたはロールパン)が挙げられる。食品と合わされる新鮮ホエイ組成物の相対的な重量は、その食品の密度および一食分のサイズのような因子に依存する。代表的に、新鮮ホエイ組成物の量は、食品の総重量を基準として0.1重量%〜約10重量%の範囲であり得る。
【0044】
上記組成物の配合、および食品で投与される場合に、その食品に混合されるその組成物の量は、体格を管理するのに有効であるために、特定の成分の所望の量を提供するように選択される。一例として、代表的な栄養補助組成物は、その組成物の1食分あたり、少なくとも約1グラム、少なくとも約2グラム、少なくとも約5グラム、少なくとも約10グラム、または少なくとも約15グラムのタンパク質、少なくとも約0.2グラム、少なくとも約0.5グラムまたは少なくとも約6グラムまたはそれより多くのカルシウム、および少なくとも約0.1グラム、少なくとも約0.5グラム、少なくとも約1グラム、少なくとも約2グラム、少なくとも約3グラム、少なくとも約5グラム、または少なくとも約10グラムまたはそれより多くのACE阻害ペプチドの間で提供するように投与され得る。投与される組成物の量は、物理学的特徴ならびにその組成物が投与される個体の栄養要求量およびボディマス指数における違いに起因して、所望される場合、調整され得る。
【0045】
本発明の方法に従って、過体重および肥満を含む体重状態は、有効に管理および処置される。すなわち、健康な状態でありかつ一般的に理想の体重を有する個体は、その体重を管理し得、そして所望の体重範囲を維持し得る。所望の範囲を超える体重を有し、そして過体重または肥満と見なされ得る個体は、筋肉量を維持しながらも体重の増加を制限するか、および/または体重の減少を促すことによって有効に処置され得る。治療的に有効な量の上記栄養補助組成物が、これらの利益を提供するために個体に投与される。
【0046】
本発明は、新鮮ホエイ製品を投与して、体重の減少を誘導するか、体重を維持するかまたは筋肉保持を増大させる方法を包含する。例示の実施形態において、個体のカロリー摂取は、未改変または無制限(ad lib)であり得るか、あるいは食事計画の一部として個体のカロリー摂取を減少させることが、望まれ得る。未改変かまたは無制限のカロリー摂取の制限は、個体が体重を維持しているか否か、または体重を減少させているか否かに基づいて、わずかであり得るか、またはより大きなものであり得る。例えば、個体は、未改変のカロリー摂取(例えば、無制限(満足のいく時点までの食物またはカロリーの制限のない摂取))と一緒に新鮮ホエイ製品を消費することによって、体重を維持し得るか、および/または筋肉保持を増大させ得、かつ脂肪の減少を増大させ得る。しかし、個体は、無制限未満にカロリー摂取を制限することによって脂肪または体重の減少を増大させ得る。カロリー制限の例は、未改変または無制限とは対照的に、カロリー摂取を約200〜500カロリー/日減少させることであり得る(例えば、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1200または1500カロリー/日)。上記個体はまた、カロリー摂取量を、合計で約500〜約5000カロリー/日、あるいは1日あたり約4500カロリー未満、4000カロリー未満、3500カロリー未満、3000カロリー未満、2500カロリー未満、2000カロリー未満、1500カロリー未満、または1000カロリー未満に制限し得る。
【0047】
別の例示の実施形態において、本発明は、ホエイ由来無機質画分、ホエイ由来タンパク質単離物およびホエイ由来酵素阻害ペプチド画分からなる群より選択される成分を含む治療的に有効な量の新鮮ホエイ製品をパッケージ中に含む体重管理組成物であって、そのパッケージには、個体において体重および/または脂肪の減少を誘導するか、体重および/または脂肪の増加を予防するか、ならびに/あるいは代謝による脂肪組織の消費を増大させながらも筋肉量を維持するか、および/または筋肉量を増大させるために有効な量のそのホエイ製品を消費することの効果についての情報のラベルが付けられている、体重管理組成物に関連し得る。本発明の1つの局面において、上記情報または説明は、印刷物または印刷資料の形態にある。さらなる局面において、上記製品は、パッケージで包装され、そして上記説明は、そのパッケージの一部であるか、挿入物もしくはラベルとしてその製品に直接付随するか、またはその製品上にインプリントされる。ラベリングは、例えば、店の棚、店の通路における製品パッケージに付随する通知または情報の形態、あるいはあらゆる標準的な印刷物または電子媒体(インターネット、テレビ、またはラジオが挙げられる)における通知または広告であり得る。
【0048】
別の例示の実施形態において、本発明は、消費する新鮮ホエイ製品が体重もしくは体脂肪および/または筋肉保持に対する有益な効果を有し得ることを潜在的な消費者に伝達することを包含する方法に関し、その伝達は、その製品の消費に商業的関心がある実体によるものである。別の局面において、本発明は、上記製品の販売に財政的関心がある商業的実体によって上記新鮮ホエイ製品の消費を誘導するための方法に関し得、その実体は、その新鮮ホエイ製品の潜在的な消費者に、その製品の消費に起因する新鮮ホエイ製品による体重制御および/または筋肉保持の利点を記載する情報を配布する。よりさらなる局面において、本発明は、新鮮ホエイ製品の消費を促すための方法であり得、この方法は、その製品中のカルシウムの消費に起因するその商品による体重制御または肥満制御の利点を記載する情報の公衆への配布を包含する。
【0049】
本発明の1つの局面において、伝達、情報の配布または公衆への配布は、言葉による伝達、パンフレットの配布、印刷媒体、オーディオテープ、磁気媒体、デジタル媒体、視聴覚媒体、看板、広告、新聞、雑誌、ダイレクトメール、ラジオ、テレビ、インターネットのウェブサイト、電子メール、電子媒体、バナー広告、光ファイバーおよび製品パッケージ、挿入物、またはラベル上の情報によるもの、あるいはその製品に直接付随するものによるものであり得る。
【0050】
別の例示の実施形態において、本発明は、以下の工程を包含する個体の体重を調節する方法であり得る:(a)新鮮ホエイ製品を消費することが体重および/または脂肪の減少および/または減少した増加、ならびに/あるいは代謝による脂肪組織の消費および/または筋肉保持から選択される1種以上の健康効果と関連することを開示する情報を個体に提供する工程、ならびに(b)その1種以上の健康効果を誘導するのに十分な有効な量の新鮮ホエイ製品を含有する製品を消費することについての食事計画を個体に提供する工程。
【0051】
別の例示の実施形態において、本発明は、個体における健康問題の危険性を回避するかまたは減少させる方法であり得、その個体は、過剰な体重および/または過剰な体脂肪に起因してその危険性があり、この方法は、その個体に、十分な量の新鮮ホエイ製品を投与して、最適未満の量の新鮮ホエイ消費と比較して代謝の変化を誘導する工程を包含する。1つの局面において、上記健康問題は、冠動脈疾患、脳卒中、骨粗しょう症、変形性関節症、じん帯損傷、会陰皮膚炎(perineal dermatitis)、真性糖尿病、心筋症、および/または泌尿器症候群(urologic syndrome)のうちの1種以上であり得る。
【0052】
別の例示の実施形態において、本発明は、非ヒト動物において体重の減少を誘導するか、体重の増加を予防するか、ならびに/あるいは代謝による脂肪組織の消費量および/または筋肉保持を増大させるのに十分な量の新鮮ホエイ製品を投与する工程を包含する体重を調節する方法に関する。1つの局面において、その動物は、哺乳動物ペット(例えば、イヌまたはネコ)またはマウスまたは家畜であり得る。別の局面において、本発明は、動物用食品パッケージであり得、このパッケージは、新鮮ホエイ製品の動物用食品、ならびに体重の減少を誘導すること、体重の増加を予防すること、ならびに/あるいは代謝による脂肪組織の消費および/または筋肉保持を増大させることにおける新鮮ホエイを消費することの利益の記載を含む。上記動物用食品は、ペットフードまたは家畜用飼料であり得る。
【実施例】
【0053】
(実施例1)
本実施例は、食事誘導性肥満のトランスジェニックマウスにおけるカルシウムの抗肥満筋肉量保持効果の乳製品誘導性増大を担う乳画分に関する。具体的に、本実施例は、高脂肪/高スクロース/低脂肪食を与えたアグーチ−トランスジェニックマウスでのカロリー制限に伴う体重および脂肪の減少を促進することにおける、(低カルシウムコントロールと比較した)カゼインベースの高カルシウム食、大豆ベースの高カルシウム食および乳ベースの高カルシウム食と比較したホエイベースの高カルシウム食の有効性、ならびにホエイの強化された抗肥満効果が、カルシウムに加えて、ホエイ中に見出されたホエイタンパク質または無機質混合物に起因し得るか否かに関する。
【0054】
(動物および食事)
インビボでの肥満を調節することにおける食事性カルシウムの役割を評価するために、aP2プロモーターの制御下で脂肪細胞において特異的にアグーチを発現するトランスジェニックマウスを研究した。これらの動物は、ヒトにおいて見出されたものに類似する正常なパターンのレプチンの発現および活性を示し、そしてヒトパターン(脂肪細胞特異的)のアグーチ発現を示す。これらのマウスは、それらが、標準的なAIN−93G食では肥満ではないが、インスリン投与または高スクロース食のいずれかによって誘導した高インスリン血症に応答して肥満になるという点で、食事誘導性肥満についての有用なモデルである。別個の研究において、この動物モデルは、体重の減少、体重の増加、脂肪量および筋肉量を含めた、体格に関連するヒトにおける栄養効果を予測するものであることが確認された。
【0055】
(方法)
図2に示すように、マウスに、低カルシウム(0.4%)で高スクロースでかつ高脂肪である食事を6週間にわたって与えて、肥満を誘導した。全ての食事は、25%の脂肪(ラード+大豆油)を有し、唯一の炭水化物としてスクロースを含み、そして唯一のタンパク質源として示したタンパク質を含んだ。群1は、6週間にわたって無制限で上記食事を継続した。
【0056】
群2〜8は、6週間にわたって制限(無制限なエネルギー摂取の70%)を継続した。群2を、乳カゼイン由来のタンパク質およびCaCO3由来の0.4%カルシウムを含む低カルシウム食(カゼイン/0.4%カルシウム)において維持した。
【0057】
群3〜6は、高カルシウムのエネルギー制限した食事を継続した。群3を、1.2%のカルシウムを有する乾燥乳を含む、無脂肪乾燥乳/1.2%カルシウムで維持した。これらのカルシウムのほとんどは乳に由来し、一部のカルシウムはCaCO3に由来した。群4を、ホエイ由来タンパク質のみと大部分がホエイ由来でささやかな量がCaCO3由来であるカルシウムとを含有する、ホエイタンパク質単離物/1.2%カルシウム(例えば、PROVON 190)で維持した。群5を、カゼイン由来タンパク質およびCaCO3由来の1.2%カルシウムを含む、カゼイン/1.2%カルシウムで維持した。群6を、大豆由来タンパク質およびCaCO3由来の1.2%カルシウムを含む、大豆タンパク質単離物/1.2%カルシウムで維持した。
【0058】
群7および群8は、高カルシウム(1.2%)の、エネルギー制限した食事を継続した。群7は、1.2%カルシウムおよびカゼイン由来タンパク質を含みかつホエイ由来アンギオテンシン変換酵素(ACE)インヒビターを含まないホエイ無機質単離物(TRUE−CAL)を使用した。群8は、ホエイ由来ACEインヒビターを含むホエイ無機質単離物(TRUE−CAL FP)を使用した。
【0059】
6週間の間、体重、食物摂取および核心温度を毎週測定した。6週間の終わりにおいて、脂肪パッド量、脂肪細胞の細胞内Ca2+([Ca2+]i)、脂肪酸シンターゼの発現および活性、ならびに脂肪分解を評価した。
【0060】
(結果)
図3は、高カルシウム乳の群3のマウスが、最も顕著かつ実質的な体重変化を有し、その次に高カルシウムホエイタンパク質単離物の群4が、顕著かつ実質的な体重変化を有したことを示す。高カルシウムカゼインの群5および大豆の群6は、乳またはホエイタンパク質単離物よりも少ないが、低カルシウムの群2および高カルシウムホエイ無機質の群7ならびにホエイ無機質/ACEの群8よりも大きい体重変化を有した。最小量の体重変化は、無制限の群1において存在した。
【0061】
図4において観察されるように、無制限の群1のマウスは、他のいずれのカルシウム含有群よりも有意に多い脂肪パッド量を有した。最も少ない脂肪パッド量が、高カルシウム乳の群3において見られ、その次に少ない脂肪パッド量が、高カルシウムホエイタンパク質単離物の群4において見られた。高カルシウムカゼインの群5、大豆の群6およびホエイ無機質/ACEの群8は、乳またはホエイタンパク質単離物よりも多いが、高カルシウムホエイ無機質の群7よりも少ない脂肪パッド量を有し、これは、低カルシウムの群2よりもさらに少ない脂肪パッド量を有した。
【0062】
図5において、無制限の群1のマウスは、他のカルシウム含有群のいずれよりも有意に多い腹部脂肪を有するようである。最も少ない腹部脂肪は、高カルシウム乳の群3において観察され、その次に少ない腹部脂肪は、高カルシウムホエイタンパク質単離物の群4、高カルシウムカゼインの群5および大豆の群6において観察された。高カルシウムホエイ無機質の群7およびホエイ無機質/ACEの群8は、他の高カルシウム含有群よりも多いが、低カルシウムの群2よりも少ない腹部脂肪を有した。
【0063】
図6は、無制限の群1のマウスが任意の他のカルシウム含有群よりも有意に多い腎傍脂肪を有するようであることを示す。最も少ない腎傍脂肪は、高カルシウム乳の群3において観察され、その次に少ない腎傍脂肪は、高カルシウムホエイタンパク質単離物の群4、高カルシウムカゼインの群5、大豆の群6およびホエイ無機質/ACEの群8において観察された。低カルシウムの群2は、他の高カルシウム含有群よりも多いが、高カルシウムホエイ無機質の群7よりも少ない腎傍脂肪を有した。
【0064】
図7において見られるように、無制限の群1のマウスは、他のカルシウム含有群のいずれよりも有意に多い肩甲下脂肪を有した。最も少ない肩甲下脂肪は、高カルシウム乳の群3およびホエイタンパク質単離物の群4において見られ、その次に少ない肩甲下脂肪は、高カルシウムカゼインの群5、大豆の群6、ホエイ無機質の群7およびホエイ無機質/ACEの群8において見られ、これは、低カルシウムの群2よりもさらに少ない肩甲下脂肪を有した。
【0065】
図8において、高カルシウム乳の群3およびホエイタンパク質単離物の群4は、最も多い腓腹筋量を有し、その次に、高カルシウムカゼインの群5、大豆の群6および低カルシウムの群2が、多い腓腹筋量を有した。高カルシウムホエイ無機質の群7およびホエイ無機質/ACEの群8は、無制限の群1を除いて、全ての他の群よりも少ない腓腹筋量を有した。
【0066】
表2はこれらの結果をまとめる。
【0067】
【表2】
(結論)
ここで示されるように、高カルシウム食は、低カルシウム食と比較して脂肪減少を32%増大させ(p<0.0001)、一方で乳は、他の高カルシウム食と比較してこの脂肪減少を62.5%増大させた(p<0.001)。ホエイは、乳ほど有効ではなく、そして使用したホエイ無機質は、さらなる脂肪の減少を提供しなかった。ホエイACEインヒビターの添加は、脂肪量を22%減少させたが(p<0.001)、インタクトな乳は、依然として、顕著により有効であり、それは、加工によるアーティファクトに起因し得、バイオアベイラビリティーの減損を生じる。したがって、ホエイ成分は、抗肥満効果を提供する。
【0068】
さらに、低カルシウム食におけるエネルギー制限は、腓腹筋量の減少を生じ、その腓腹筋量の減少は、ホエイ食によって予防された(少量の有意な増加をもたらした)が、カルシウムを補充したカゼイン食および大豆食によっては予防されなかった。
【0069】
ホエイベースの食事が、脂肪組織から骨格筋への食事性エネルギーの再分配を促進し、除脂肪体重の保存および/または改善をもたらすようである一方で、脂肪組織は、失われる。新鮮ホエイ製品は、十分な抗肥満効果をもたらすようであり、そしてその新鮮ホエイ製品は、骨格筋節約(sparing)効果をもたらした。
【0070】
上記実施例は、増加したカルシウムまたはカルシウムが豊富な新鮮ホエイ製品をこれらのマウスの食事に含めることが、食事誘導性肥満を有意に減衰させ、そしてカロリー制限に伴う体重および脂肪の両方の減少を顕著に促進したことを示す。これらの効果は、一部、カルシウムに起因したが、ホエイ由来カルシウム源は、等量の栄養補助剤由来カルシウムよりも大きい効果を発揮した。
【0071】
(実施例2)
この実施例は、食事誘導性肥満のトランスジェニックマウスでのカルシウムの抗肥満筋肉量保持効果の乳製品誘導性増大を担う新鮮ホエイ画分を比較した。新鮮ホエイ製品ベースの高カルシウム食の有効性を、高脂肪/高スクロース/低脂肪食を与えたアグーチ−トランスジェニックマウスでのカロリー制限に伴う体重および脂肪の減少を促進することにおけるカゼインベースの高カルシウム食、大豆ベースの高カルシウム食および乳ベースの高カルシウム食の有効性と比較した(低カルシウムコントロールと比較して)。
【0072】
(動物および食事)
同じ動物を、実施例1においてのとおりに使用した。
【0073】
(方法)
図2に示したように、マウスに、低カルシウム(0.4%)で高スクロースでかつ高脂肪である食事を6週間にわたって与えて、肥満を誘導した。全ての食事は、25%の脂肪(ラード+大豆油)を有し、唯一の炭水化物としてスクロースを含み、そして唯一のタンパク質源として示したタンパク質を含んだ。群1は、6週間にわたって無制限の上記食事を継続した。
【0074】
群2〜群8は、6週間にわたって制限した食事(無制限なエネルギー摂取の70%)を継続した。群2を、乳カゼイン由来のタンパク質およびCaCO3由来の0.4%カルシウムを含む低カルシウム食(カゼイン/0.4%カルシウム)で維持した。
【0075】
群3〜群6は、高カルシウムのエネルギー制限した食事を継続した。群3を、1.2%のカルシウムを有する乾燥乳を含む、無脂肪乾燥乳/1.2%カルシウムで維持した。これらのカルシウムのほとんどは乳に由来し、一部のカルシウムはCaCO3に由来する。群4を、新鮮ホエイ由来タンパク質のみと大部分がホエイ由来でささやかな量がCaCO3由来のカルシウムとを含有する新鮮ホエイタンパク質単離物/1.2%カルシウム(例えば、PROTARMOR)で維持した。
【0076】
群5を、カゼイン由来タンパク質およびCaCO3由来の1.2%カルシウムを含む、カゼイン/1.2%カルシウムで維持した。群6を、大豆由来タンパク質およびCaCO3由来の1.2%カルシウムを含む、大豆タンパク質単離物/1.2%カルシウムで維持した。
【0077】
群7および群8は、高カルシウム(1.2%)の、エネルギー制限した食事を継続した。群7は、1.2%カルシウムおよびカゼイン由来タンパク質を含み、ホエイ由来アンギオテンシン変換酵素(ACE)インヒビターを含まない新鮮ホエイ無機質単離物(例えば、VITALARMOR)を使用した。群8は、ホエイ由来ACEインヒビターを含む新鮮ホエイ無機質単離物(例えば、BIPRO)を使用した。
【0078】
6週間の間、体重、食物摂取および核心温度、毎週測定した。6週間の終わりにおいて、脂肪パッド量、脂肪細胞の細胞内Ca2+([Ca2+]i)、脂肪酸シンターゼの発現および活性、ならびに脂肪分解を評価した。
【0079】
具体的には、核心温度を、熱電対を使用して間接的な代謝指数としてモニタリングし、そして空腹時インスリンレベル(放射免疫アッセイによる)、レプチンレベル(放射免疫アッセイによる)およびグルコースレベル(グルコースオキシダーゼによる)を、ベースラインならびに2週目および6週目において評価した。この研究の結論において、全てのマウスをイソフルオラン麻酔下で屠殺し、そして個体の皮下および内臓の脂肪蓄積物(depot)を、群間における脂肪の蓄積の比較ならびにCoulter Counter法による脂肪細胞のサイズおよび数の評価のために切除して秤量した。次いで脂肪組織のアリコートを、遺伝子発現の次なる研究のために直ちに液体窒素中で凍結した。他の脂肪組織アリコートを、脂肪酸シンターゼ活性、基底およびフォルスコリン刺激性の脂肪分解、ならびに細胞内Ca2+の決定のために直ちに利用した。
【0080】
(結果)
図9は、高カルシウム乳の群3マウスおよび新鮮ホエイタンパク質単離物の群4が最も顕著かつ実質的な体重変化を有し、その次に高カルシウムが、顕著かつ実質的な体重変化を有したことを示す。高カルシウムカゼインの群5、大豆の群6、高カルシウムホエイ無機質群の7およびホエイ無機質/ACEの群8は、乳またはホエイタンパク質単離物よりも小さいが、低カルシウム群2よりも大きい体重変化を有した。最小量の体重変化は、無制限の群1においてであった。
【0081】
図10において観察されるように、無制限の群1のマウスは、任意の他のカルシウム含有群よりも有意に多い脂肪パッド量を有した。最も少ない脂肪パッド量は、高カルシウム乳の群3およびホエイタンパク質単離物の群4において見られ、その次に少ない脂肪パッド量は、ホエイ無機質/ACEの群8において見られた。高カルシウムカゼインの群5、高カルシウム大豆の群6、および高カルシウムホエイ無機質の群7は、群3、群4または群8よりも多いが、低カルシウムの群2よりも少ない脂肪パッド量を有した。
【0082】
図11において、高カルシウム乳の群3および新鮮ホエイタンパク質単離物の群4は、最も多い腓腹筋量を有し、無制限の群1は、その次に多い腓腹筋量を有し(これはまた、高い体重および脂肪を有した)、次いで低カルシウムの群2、高カルシウムカゼインの群5、大豆の群6、高カルシウム新鮮ホエイ無機質の群7および新鮮ホエイ無機質/ACEの群8が、多い腓腹筋量を有した。したがって、新鮮ホエイタンパク質単離物は、低い肥満と高い筋肉量とを釣り合わせる除脂肪体重に対する体格の最適な管理を提供した。
【0083】
表3は、これらの結果をまとめる。
【0084】
【表3】
(考察および結論)
総合して、これらの結果は、顕著により大きい効果を発揮する乳製品による、カロリー制限の間の体重および脂肪の減少を促進するカルシウムおよび乳製品の以前の観察を確認する。驚くべきことに、新鮮ホエイタンパク質は、無脂肪乾燥乳のものと等しい効果を発揮し、そしてその新鮮ホエイタンパク質は、実施例1において使用されるような非新鮮ホエイタンパク質よりも優れていた。新鮮ホエイ由来ACEインヒビターもまた、実施例1において使用した非新鮮材料においてよりも有効であった。したがって、乳中の「抗肥満」因子は、主として新鮮ホエイ画分において見出される。低カルシウム食の動物は、ヒトにおいて食事療法を行う間に起きる除脂肪体重の減少と同様に、カロリー制限の間に有意な量の筋肉量を失う。しかし、上記新鮮ホエイを含有する食事は、筋肉の減少を完全に予防し、そして実際に、カロリー制限にかかわらず、筋肉量の僅かな増加を引き起こし、それらは、乳によって達成されたものに匹敵した。この効果は、新鮮ホエイおよび乳ベースの食事に対して特異的である。なぜならば、他の高カルシウム食は、筋肉に対してそのような保護効果を発揮しなかったからである。
【0085】
ホエイに由来する無機質混合物は、補充のカルシウムよりも大きな抗肥満活性を示さなかった。上記ホエイ由来無機質混合物に対する上記新鮮ホエイ由来ACEインヒビターの添加は、脂肪の減少を有意に増大させたが、インタクトな乳および新鮮ホエイは、脂肪の減少の促進において、顕著により有効であった。この研究の知見は、新鮮ホエイが補充のカルシウムよりも顕著に大きい抗肥満効果を発揮することを確かめ、そして乳の「抗肥満」活性の実質的に全てが新鮮ホエイ画分において見出されたことを示す。カルシウムは、明確に、この効果を部分的に担い、そして本発明者らのデータは、さらなる(カルシウムに関連しない)活性の一部が新鮮ホエイ由来ACEインヒビターに起因することを示す。また、乳製品の総合的な効果は、新鮮ホエイにおいて主に見出される乳製品の複数の成分の間の相乗効果から生じるようである;結果的に、乳製品の単離された成分がインタクト(新鮮で、安定)なホエイおよび/または乳製品の抗肥満効果を再現するようであるとは考えにくい。さらに、新鮮ホエイタンパク質調製物および新鮮ホエイペプチド調製物に存在する抗肥満因子は、明らかに、いくつかの市販のホエイ調製物において分解されるか、存在しないか、または利用できない。したがって、新鮮ホエイは、予想外に、体格の管理のために食事性成分として有益である。低カルシウムの基礎食におけるエネルギー制限は、体重(p<0.01)および体脂肪(p<0.001)の予想可能な減少をもたらし、その両方は、図9および図10に示すように、高カルシウム食によって有意に増大した。本発明者らの先の観察と一致して、カルシウム源としての無脂肪乾燥乳の使用は、この抗肥満効果の顕著かつ実質的な増幅を生じた(図9および図10);さらに、新鮮ホエイは、カルシウムの抗肥満効果の増幅において無脂肪乾燥乳と同程度に有効であり、これは、乳製品の非カルシウム性抗肥満活性のほとんどまたは全てが新鮮ホエイに存在することを示唆する。
【0086】
ホエイ由来無機質混合物を使用してカルシウム摂取を増加させることは、実施例1での肥満の減少における乳または炭酸カルシウムほど有効ではなかった。なぜならば、それが、低カルシウム食と比較して、総脂肪パッド量に対してほとんど効果をもたらさなかったからである。これは、減少したバイオアベイラビリティーを生じる、ホエイ由来無機質混合物の加工から生じた異常であると疑われた。結果的に、実施例2において、2種類の異なるホエイ由来無機質源(TRUECALの別のバッチおよびVITALARMORのバッチを含む)を使用して、そして両方が、炭酸カルシウムに匹敵するがカルシウムより大きくない同様の抗肥満効果をもたらすことを見出した。異なる粒径(10ミクロン未満か、または10ミクロンよりも大きい)のホエイ由来無機質調製物を、比較した。この因子は、結果に影響しないことを見出した。これは、(a)元々の知見が実際には異常であったこと、および(b)ホエイに含まれる無機質の「パッケージ」が体重および脂肪の減少の増大において単離されたカルシウムよりも有効というわけではないことを示す。これは、ホエイの非無機質成分が抗肥満効果を担うはずであることを示す。これらの成分の1つは、ホエイ由来ACE阻害活性であるようである。なぜならば、高カルシウム食に対するホエイ由来ACEインヒビターの添加が、脂肪減少のさらなる増大を生じたからである(図10)。
【0087】
しかし、ホエイ由来無機質混合物に対するホエイ由来ACEインヒビターの添加は、脂肪の減少を有意に増大させたが、乳および新鮮ホエイの両方は、顕著により有効であった。これは、2つの可能性を示唆する。1つの可能性は、さらなる活性を提供するさらなる特定の別のホエイ成分が存在することである。他の可能性は、カルシウムおよびACEインヒビターは乳製品の抗肥満効果の一部に寄与するが、乳製品の総合的な効果が新鮮ホエイにおいて見出される複数の乳成分間の相乗効果から生じるようであることである。そうである場合、単離された乳成分がインタクトな乳製品(例えば、新鮮ホエイタンパク質)の抗肥満効果を再現するようであるとは、考えにくい。
【0088】
図11は、骨格筋量に対する食事性処置の効果をまとめる。予想通り、低カルシウム食でのエネルギー制限による骨格筋量の減少が存在し、そしてACE阻害を伴うかまたはACE阻害を伴わないカルシウム(炭酸カルシウムまたはホエイ由来無機質混合物のいずれか)の添加は、この減少を改変も減弱もしなかった。対照的に、乳ベースの食事および新鮮ホエイベースの食事の両方は、エネルギー制限中の腓腹筋量の減少を完全に予防し、そして実際に、無制限に餌を与えた動物と比較して、僅かではあるが、統計学的に有意(p<0.01)な増大をもたらした。これらのデータは、乳製品ベースの食事が脂肪組織から骨格筋への食事性エネルギーの再分配を促進し、除脂肪体重の保存および/または改善をもたらす一方で、脂肪組織が失われることを示唆する。
【0089】
実施例2に示されるように、インタクトな乳および新鮮ホエイは、十分な抗肥満効果および骨格筋節約効果をもたらした。理論に束縛されることを意図しないが、新鮮ホエイおよびインタクトな乳における分岐鎖アミノ酸は、骨格筋量のこの保存に寄与し得る。
【0090】
カルシウムおよび乳製品食品が脂肪細胞の機能を調節することによって肥満の危険性を変化させ得ることによる複数の機構が存在する。例えば、低カルシウム食に応答して産生されたカルシトリオールの増加は、増大した脂肪生成および減少した脂肪分解を生じ、そして結果的に脂肪細胞のトリグリセリド貯蔵の拡大をもたらす脂肪細胞[Ca2+]iの流入を刺激することが見出されている。対照的に、より高カルシウムの食事は、マウスにおいて、脂肪生成を阻害し、脂肪分解、脂質酸化および熱産生を促し、そして食事誘導性肥満を阻害する。さらに、カルシトリオールは、脂肪細胞においてミトコンドリアの非共役(uncoupling)およびアポトーシスの両方を阻害し、低カルシウム食におけるエネルギー保存の増大した効率を生じるが、より大きい脂肪細胞の非共役およびアポトーシスが、より高カルシウムの食事において見出された。これらの実施例の結果は、これらの結論を支持する。全ての高カルシウム食は、高カルシウム食において、脂肪細胞の細胞内カルシウムを294±46nMから118±34nMへと抑制し(p<0.0001)、そして食事性カルシウム源の間に有意差は存在しなかった。
【0091】
上記高カルシウム食は全て、低カルシウム食と比較して脂肪組織の脂肪酸シンターゼの遺伝子発現を42%抑制し(p<0.001)、一方で上記新鮮ホエイベースの食事および乳ベースの食事は、さらなる54%のさらなる抑制をもたらした(高カルシウムに対してp<0.001)。さらに、高カルシウム食に対するACEインヒビターの添加は、同様の効果をもたらし(高カルシウムによって見出されるものよりもさらに47%の抑制;高カルシウムに対してp<0.001;乳または新鮮ホエイと有意に異ならない)、これは、カルシウムと比較して乳製品による脂肪酸シンターゼのさらなる抑制が乳製品食品におけるACE阻害活性の存在に大きく起因することを示す。
【0092】
上記高カルシウム食は、脂肪組織の脂肪分解の63%の刺激を誘発し(p<0.01)、その脂肪分解は、新鮮ホエイおよび乳の食事によってさらに74%増大されたが(p<0.01)、その高カルシウム食に対するACEインヒビターの添加は効果を有さなかった。したがって、高カルシウム食によって見出されるものよりも高い脂肪分解に寄与するさらなる乳成分は、現在、依然として完全には同定されていない。
【0093】
脂肪組織のUCP2発現は、上記高カルシウム食によって約2倍増大した(p<0.001)、そのUCP2発現は、乳ベースの食事および新鮮ホエイベースの食事におけるさらなる35%の刺激(p<0.01)を伴い、一方で上記ACEインヒビターは、効果を有さなかった。骨格筋において、上記高カルシウム食は、PPARα発現に対する有意な効果を有さなかった;しかし、乳および新鮮ホエイの食事は、>2倍の刺激(全ての他の食事に対してp<0.01)を誘発し、これは、利用可能な食事性エネルギーを脂肪組織における貯蔵から骨格筋における酸化に再分配することにおける乳製品の役割をさらに支持する。
【0094】
表4は、これらの分子生物学の結果をまとめる。
【0095】
【表4】
要約すると、新鮮ホエイ由来ACEインヒビターを消費することは、少なくとも脂肪組織の脂肪酸シンターゼに関連して、無機質カルシウムのみまたは低カルシウムを有する食事よりも優れた代謝効果を提供し、そして新鮮ホエイおよび乳は、他の遺伝子発現の測定に関して優れた結果を提供する。これらのデータは、乳のさらなる(非カルシウム性)抗肥満がホエイ画分に主としてか、または専ら存在することを示す。ホエイのACE阻害活性は、この生物活性に寄与し、他の因子は、カルシウムとACEインヒビターとの組み合わせが、乳または新鮮ホエイよりも有意に有効ではないので、生物活性を増大させるために、独立してか、または相乗的かのいずれかで作用しなければならない。カルシウムは、乳製品の非存在下において限定的な抗肥満生物活性を発揮するが、カルシウムは、体重の減少のためのエネルギー制限中の骨格筋量の減少に対して保護を提供しない一方で、乳および新鮮ホエイは、このマウスモデルにおいて、この減少に対して十分な保護し、そして骨格筋PPARα(脂質酸化のマーカー)を刺激する。ACE阻害は、これにおいて役割を有さないようである;豊富な濃度の分岐鎖アミノ酸がこの効果を大きく担うことが、提唱される
上述の説明から、当業者は、本発明の本質的特徴を容易に確認し得、そしてその精神および範囲から逸脱することなく、当業者は、本発明を種々の用途および条件に適合させるために、本発明の変更および改変をなし得る。
【0096】
さらなる詳述を伴わずに、当業者は前述の説明を使用して本発明をその完全な範囲まで利用し得ると、考えられる。したがって、前述した例示の特定の実施形態は、単なる例示として解釈されるべきであり、そして決して本開示の残部を限定するものとして解釈されるべきではない。上記および下記に引用した全ての出願、特許および刊行物ならびに図面における開示の全体は、本明細書に参考として援用される。
【0097】
【表5−1】
【0098】
【表5−2】
【0099】
【表5−3】
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】図1は、新鮮ホエイ製品の効果および機構の概略図である。食事性カルシウムが不十分であると、ヒト脂肪細胞において細胞内カルシウム([Ca2+]i)を増大させ、それによって脂肪生成を刺激し、脂肪分解を阻害し、そしてトリグリセリドの蓄積を増大させる。対照的に、新鮮ホエイ製品などの乳製品によって食事性カルシウムを増大させることは、カルシトロフィック(calcitrophic)ホルモンである1α,25−(OH)2−D3を抑制し、それによって[Ca2+]iを減少させ、結果的にトリグリセリドの蓄積を減少させる。
【図2】図2は、aP2プロモーターの制御下で脂肪細胞において特異的にアグーチを発現する8群のトランスジェニックマウスにおけるカルシウムおよび選択的な乳成分の特定の給餌パターンを概説する。
【図3】図3は、aP2プロモーターの制御下で脂肪細胞において特異的にアグーチを発現するトランスジェニックマウスにおける体重の変化に対する、カルシウムおよび選択的な乳成分を6週間にわたって消費することの効果を示す。
【図4】図4は、aP2プロモーターの制御下で脂肪細胞において特異的にアグーチを発現するトランスジェニックマウスにおける脂肪パッド量に対する、カルシウムおよび選択的な乳成分を6週間にわたって消費することの効果を示す。
【図5】図5は、aP2プロモーターの制御下で脂肪細胞において特異的にアグーチを発現するトランスジェニックマウスにおける腹部脂肪に対する、カルシウムおよび選択的な乳成分を6週間にわたって消費することの効果を示す。
【図6】図6は、aP2プロモーターの制御下で脂肪細胞において特異的にアグーチを発現するトランスジェニックマウスにおける腎傍脂肪に対する、カルシウムおよび選択的な乳成分を6週間にわたって消費することの効果を示す。
【図7】図7は、aP2プロモーターの制御下で脂肪細胞において特異的にアグーチを発現するトランスジェニックマウスにおける肩甲下脂肪に対する、カルシウムおよび選択的な乳成分を6週間にわたって消費することの効果を示す。
【図8】図8は、aP2プロモーターの制御下で脂肪細胞において特異的にアグーチを発現するトランスジェニックマウスにおける腓腹筋量に対する、カルシウムおよび選択的な乳成分を6週間にわたって消費することの効果を示す。
【図9】図9は、aP2プロモーターの制御下で脂肪細胞において特異的にアグーチを発現するトランスジェニックマウスにおける体重の変化に対する、カルシウムおよび選択的な乳成分(新鮮ホエイ製品を含む)を6週間にわたって消費することの効果を示す。
【図10】図10は、aP2プロモーターの制御下で脂肪細胞において特異的にアグーチを発現するトランスジェニックマウスにおける脂肪パッド量に対する、カルシウムおよび選択的な乳成分(新鮮ホエイ製品を含む)を6週間にわたって消費することの効果を示す。
【図11】図11は、aP2プロモーターの制御下で脂肪細胞において特異的にアグーチを発現するトランスジェニックマウスにおける腓腹筋量に対する、カルシウムおよび選択的な乳成分(新鮮ホエイ製品を含む)を6週間にわたって消費することの効果を示す。
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、体重管理における新鮮または安定なホエイ製品の使用(例えば、体重を調節する個体に、カロリー制限された食事において、体重の減少を誘導するか、体重の増加を予防するか、代謝による脂肪組織消費量を増大させるか、ならびに/または筋肉量を維持するのに有効な量のカルシウム含有新鮮ホエイ製品を投与する工程を包含する方法)に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
食事性カルシウムは、体重の減少を誘導するか、体重の増加を予防するか、ならびに/または代謝による脂肪組織消費量を増大させることが示されている。例えば、共有に係る特許文献1(Zemelら)、ならびに特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、および特許文献9(全てがZemelらの名義であり、そしてこれらは全て、その全体が本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。このような効果が新鮮ホエイ製品を投与することによって達成および増強され得ることは、以前には認識されていなかった。
【0003】
個体は、しばしば、1年間で体重が1〜3ポンド増え、食事療法を行う場合、脂肪の減少が達成され得るが、それは、しばしば、除脂肪(lean)量または筋肉量の減少を伴う。除脂肪量または筋肉量を維持しながらも特定の脂肪領域を選択的に標的とする食事を提供する必要性が存在する。
【0004】
また、十分量のカルシウム、特に特定の乳カルシウムを含む健康的な食事を維持することは、多くの者にとって困難である。乳製品(例えば、乳、チーズ、またはヨーグルト)を毎日数(2〜4)部消費することは、一部の者にとって困難であるか、または望ましくない。食物およびそれらを強化する配合物に添加するのに適した形態にある乳による体重管理の利益を一貫して提供し得る食事性成分を使用することが、望ましい。
【特許文献1】米国特許第6,384,087号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004−0197425号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2004−0197423号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2004−0197385号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2004−0197383号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2004−0197382号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2002−0132014号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2002−0192264号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2004−0197424号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、筋肉を保護しながらも体重減少を増大させるホエイ由来成分を含む製品に関する。このような製品を消費する個体は、より多くの脂肪を失い、そして除脂肪部分をあまり失わない。本発明はまた、身体の脂肪量が増加するのを回避することを補助する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、例えば、体重を調節する個体に、カルシウム含有新鮮ホエイ製品を、この個体において、体重および/または脂肪の減少を誘導するか、体重および/または脂肪の増加を予防するか、代謝による脂肪組織消費量を増大させるか、ならびに/あるいは筋肉量を維持するのに有効な量で投与する工程を包含する方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(発明の説明)
本発明のカルシウム含有新鮮ホエイ製品は、ホエイまたはホエイを含有する組成物、ホエイ由来タンパク質製品、ホエイ由来無機質単離物のブレンド、あるいはそれらの組み合わせであり得、それらのうちのいくつかは、固有の酵素阻害ペプチドまたはさらなる酵素阻害ペプチド(例えば、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害ペプチド)を必要に応じて含み得る。
【0008】
ホエイは、一般に、凝固性部分または凝乳から、特に、チーズを製造するプロセスにおいて分離される乳の水性部分として公知である(Merriam−Webster Online Dictionary<www.m−w.com>)。ホエイは、乳業から副産物として容易に入手可能であり、それは、代表的に、乳から脂肪およびカゼインを除去することによって調製され、そしてラクトース、数種の塩、および種々のタンパク質(ウシ血清アルブミン「BSA」(分子量66,000ダルトン)、α−ラクトグロブリン(分子量14,000ダルトン)、β−ラクトグロブリン(分子量16,000ダルトン)、κ−カゼインフラグメント106〜109、ラクトフェリン、ラクトペルオキシダーゼ、および免疫グロブリンが挙げられる)を含む。ホエイまたは乳に含まれる塩としては、カルシウム、銅、マグネシウム、リン、カリウム、セレンおよび/または亜鉛が挙げられ得る。ホエイタンパク質調製物は、例えば、タンパク質または炭水化物(ラクトース)を含むホエイタンパク質濃縮物(WPC)(例えば、AVONLAC 134(Glanbia Nutritionals,Inc.,Monroe,Wis.(「Glanbia」)))またはホエイタンパク質単離物(WPI)(例えば、PROVON 190またはPROVON 290(Glanbia)あるいはPROTARMOR(Armor Proteines SAS、France))として市販されている。他のホエイ供給業者は、Davisco(Le Sueur、MN);Bio−Isolates PLC(Deeside、UK);NZMP North America(Santa Rosa Calif.);Formost Farms(Baraboo Wis.);Arla Foods(Union NJ.);Avenmore Waterford(Monroe Wis.);Borculo Fresh whey products;およびBorculo、Netherlandsである。
【0009】
本発明による新鮮ホエイ製品は、任意の乳製品(例えば、乳またはチーズホエイ)に由来する任意のそのような画分であり得る。上記新鮮ホエイ製品は、ホエイ、WPC、WPI、ホエイ無機質濃縮物を含め、乳からの分画または単離後にホエイから製造された任意の製品(例えば、24%のカルシウムおよび13%のリンを含む、TRUCALカルシウム単離物(Glanbia)またはVITALARMOR(Armor Proteines SAS))であり得る。上記新鮮ホエイ製品は、当該分野において公知である任意の方法によって得られ得る。例えば、ホエイ画分は、乳またはチーズホエイの抽出、限外濾過、電気透析、エバポレーション、および逆浸透のうちの1つ以上によって得られ得る。
【0010】
上記新鮮ホエイ製品は、酵素阻害ペプチドを含む組成のものであり得、それは、カゼイン、ホエイタンパク質、大豆タンパク質、または任意の他の適切な供給源などのペプチドから、当業者に公知である加工手段によって得られ得る。このようなペプチドの1つの例は、アンギオテンシン変換酵素(ACE)を阻害するものである。例えば、TRUCAL FP(Glanbia)またはBIPRO(Davisco)は、乳無機質およびACE阻害ペプチドを含む。
【0011】
上記新鮮ホエイ製品は、本発明の目的を実施するために、当該分野において公知である任意の形態で個体に投与され得る。
【0012】
ホエイ製品は、種々の段階(例えば、製造、保存、または輸送)において損害を受け得る。このような製品は、「新鮮ホエイ」であるとは考えられない。ホエイ製品は、例えば、原料製品または最終製品の取り扱いを誤らず、適切pHを維持し、水性の液体と固体濃縮物(例えば、乾燥ホエイタンパク質濃縮物、液体ホエイタンパク質濃縮物、ホエイタンパク質単離物、液体かまたは乾燥したスイートホエイ、液体かまたは乾燥した酸性ホエイ)との適切な組み合わせを使用し、腐敗性微生物の活動を適切な保存条件または保存剤によって妨げ、精製するか、または例えば、限外濾過、電気透析によるような無機質除去に供し、そして他のホエイ由来成分とブレンドするか、特定の成分によって安定化するか、その新鮮ホエイ製品が製造された後に特定の環境、包装または温度において包装、保存または維持することによって安定化するか、あるいはそのホエイ製品を機能的に強化することによって、安定であり得、そして新鮮に維持され得る。
【0013】
本明細書中で使用される場合、「新鮮」ホエイは、実質的に変性していないホエイタンパク質内容物を有し得、そして非分解かつ非変性であり得る。新鮮ホエイは、生物学的に利用可能でかつ消化可能であり得、これは、そのホエイが凝固しておらず、凝集しておらず、結晶化しておらず、消化不可能でも生物学的もしくは化学的に利用不可能な別の形態でもないことを意味する。新鮮ホエイは、熱による損傷を受けておらず、そして汚染されていない;種々の温度(例えば、5℃、23℃、または37℃)にて腐敗性微生物の腐敗活動を受けておらず;高レベルの熱、水分または微生物崩壊への曝露に起因して損傷を受けているとも無効にされているとも考えられていない。新鮮ホエイ製品は、消費時に新鮮であり、したがって製造、保存、輸送および使用に用いられる条件下で安定である。新鮮ホエイ製品は、このような条件下で新鮮さを失うことに抵抗するように安定化されて、その安定性が強化され得る。新鮮ホエイの種々の公知の組成物またはホエイを安定化する方法が使用され得る(例えば、米国特許第4,081,555号(Sawhill)、米国特許第4,497,836号(Marquardtら)、米国特許第4,748,034号(de Rham)、米国特許第6,558,716号(Kentら)、または米国特許出願公開第2003009976号(Jost)(これらは、全て、本明細書中に参考として援用される)に示されるもの)。
【0014】
新鮮ホエイはまた、安定なホエイと称され得る。任意の理論に束縛されないが、新鮮ホエイ製品は有利であり得る。なぜならば、新鮮ではないホエイ製品は、他の食事性カルシウム源(例えば、乳および乳のカゼイン画分(チーズにおいて優勢である))と比較して、除脂肪体重の維持を補助する成分を欠くからである。新鮮ホエイのこのような望ましい特性としては、乳のカゼイン画分よりも高い、ホエイのロイシン含量または分枝状アミノ酸含量が挙げられ得る。
【0015】
例示の実施形態において、上記新鮮ホエイ製品は、約25%〜約99%のタンパク質(すなわち、少なくとも、75%、約80%、約85%、約90%、約95%、またはそれより多くのタンパク質)を含むホエイ由来タンパク質単離物を含む組成物である。その組成物は、約10%未満、約5%未満、または約1%未満の炭水化物、ラクトース、脂肪または他の無機質をさらに含み得る。別の局面において、上記タンパク質単離物は、安定剤または乳化剤(例えば、レシチン、エトキシ化モノグリセリドおよびエトキシ化ジグリセリド、ならびにプロピレングリコール)を含み得る。
【0016】
例示の実施形態において、上記新鮮ホエイ製品は、約1%〜約99%のホエイ由来無機質(約1%〜約30%、約10%〜約90%、約20%〜約80%、約30%〜約70%、約15%〜約30%、約20%〜約30%、約22%〜約28%、または約23%〜約25%のカルシウムを含む)を含むホエイ由来無機質画分を含有する組成物である。
【0017】
別の例示の実施形態において、上記新鮮ホエイ製品は、例えば、上記の量(例えば、少なくとも約78%のタンパク質、少なくとも約15%の総無機質および少なくとも約3.8%のカルシウム)のホエイ由来無機質画分およびホエイ由来タンパク質単離物を含む組成物である。
【0018】
上記新鮮ホエイ製品は、カルシウム含有製品を強化し得る。すなわち、上記新鮮ホエイ製品は、別の製品に添加され、そして別の製品の一部となる。新鮮ホエイ製品によって強化され得るカルシウム含有製品の例としては、食事性カルシウム、炭酸カルシウム調製物、および乳製品(例えば、乳、クリーム、ヨーグルトまたはチーズ)に由来する他の製品が挙げられる。上記カルシウム含有製品は、例えば、ヨーグルトまたはヨーグルトに由来する製品、チーズまたはチーズに由来する製品、あるいは乳または乳に由来する製品(例えば、脱脂乳、1%乳、2%乳、全乳、ハーフアンドハーフクリーム(half and half cream)またはホイップクリーム(whipping cream))であり得る。別の例示の実施形態において、上記新鮮ホエイ製品は、粉末の形態にあるか、あるいは栄養組成物もしくは食事性組成物もしくは栄養補助剤もしくは食餌性補助剤またはカルシウムが強化されたビタミン栄養補助剤に組み込まれるか、あるいはカルシウムが多い食品もしくは食糧もしくは他の食物または個体によって消費される任意の食品に組み込まれる。上記食糧は、乳製品、卵、穀類、豆果、野菜、果物、肉、魚、または鳥肉に基づき得る。それは、例えば、シリアル、鮭、豆、豆腐、ほうれん草、カブラ菜、ケール、ブロッコリー、ワッフル、パンケーキ、ピザ、カッテージチーズ、アイスクリームまたはフローズンヨーグルトであり得る。別の例示の実施形態において、上記カルシウム含有製品は、乳児用調製粉乳、栄養補給食品、あるいは食事に代わる飲料もしくは飲み物、または上記のいずれかを調製するための粉末を含む。
【0019】
別の実施形態において、上記製品は、丸剤、錠剤、カプセル剤、または他の無機質および/もしくはビタミンとの組み合わせの形態であり得る。上記製品は、ヒトまたは非ヒト/動物による消費(例えば、ペットフードまたは家畜/農業用動物の飼料)のためのものであり得る。
【0020】
本発明はまた、個体によって摂取または消費される新鮮ホエイ製品の量を増大させる方法を提供し、そしてその方法は、必要に応じて、他の食事面の試み(例えば、カロリー摂取を制限すること)もしくは運動すること、ならびに/あるいは上記新鮮ホエイ製品を長期間にわたって投与することと組み合わされて、体重および/または脂肪の減少を誘導すること、体重および/または脂肪の増加を予防すること、ならびに/あるいは代謝による脂肪組織消費量を増大させることという所望の結果が得られる。例えば、上記製品は、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約1ヶ月間、少なくとも約6週間、少なくとも約2ヶ月間、少なくとも約3ヶ月間、少なくとも約6ヶ月間、または少なくとも約1年間の連続した期間にわたって投与され得、その製品は、所望の結果を誘導するのに有効な量において、1日平均ベースで投与される。
【0021】
所望の結果を誘導するのに有効な量は、上記新鮮ホエイ製品に含まれるカルシウムの量に基づき得る(例えば、1日あたり少なくとも約1000mgのカルシウム)。新鮮ホエイ製品またはその一食分(serving)は、平均で少なくとも約100mg、200mg、255mg、300mg、400mgまたは500mgを含み得る。新鮮ホエイ製品の消費量は、平均で、少なくとも約500mg、少なくとも約600mg、少なくとも約773mg、少なくとも約800mg、少なくとも約900mg、少なくとも約1000mg、少なくとも約1100mg、少なくとも約1200mg、少なくとも約1300mg、少なくとも約1346mg、少なくとも約1400mg、少なくとも約1500mg、少なくとも約1600mgまたはそれより多くの量のカルシウム消費量を、少なくとも2週間、少なくとも1ヶ月間、少なくとも2ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、またはそれよりも長い期間にわたって提供し得る。例示の実施形態において、上記新鮮ホエイ製品は、少なくとも1ヶ月間の連続した期間にわたって投与され、1日平均ベースにおいて少なくとも約1000mgのカルシウムを提供する。これらの投薬量は、「高カルシウム」であると称され得る。
【0022】
本発明の別の局面は、個体の食事性カルシウム消費量を決定する方法を提供し、その個体はヒトであり、そして(1)その食事性カルシウム消費量が1000mg/日未満である場合、新鮮ホエイ製品の消費量を増やし、そして(2)食事性カルシウム消費が少なくとも約1000mg/日である場合、新鮮ホエイ製品の消費によってそのレベルを維持する。別の実施形態において、有効な量の新鮮ホエイ製品を投与する前に個体によって消費されるカルシウムの量は、約400mg/日未満、約600mg/日未満または約773mg/日未満のカルシウムである。別の局面において、投与される1日平均の新鮮ホエイ製品は、少なくとも約800mg/日、少なくとも約1000mg/日、少なくとも約1100mg/日、少なくとも約1200mg/日、少なくとも約1346mg/日または少なくとも約1400mg/日のカルシウムを提供し得る。
【0023】
なお別の例示の実施形態において、上記有効な量のカルシウム含有新鮮ホエイ製品は、その新鮮ホエイ製品によって強化された乳製品の形態であり得、それは、1日あたり少なくとも約3〜4食分(例えば、2.5食分または3.5食分)で投与される。一食分のサイズの例としては、少なくとも約8オンスの乳、8オンスのヨーグルトまたは1.5オンスのチーズのカルシウム含量を有するホエイ強化製品が挙げられ得る。例示の実施形態において、1食分は、少なくとも約200mg、少なくとも約255mgまたは少なくとも約300mgのカルシウムを含み得、2食分は、約700mg、約773mgまたは約800mgのカルシウムを含み得、そして3食分は、1000mg、1100mg、1300mg、1346mgまたは1400mgのカルシウムを含み得る。1つの局面において、上記一食分部分は、平均で少なくとも約300mgのホエイ由来食事性カルシウムを含み得る。本発明の別の局面において、一食分部分は、平均で少なくとも約200mgの食事性カルシウムを含み得る。例示の実施形態において、上記ホエイ由来食事性カルシウムの有効な量は、1日あたり少なくとも約1000mgである。別の実施形態において、上記新鮮ホエイ製品は、1ヶ月あたり少なくとも約50食分〜約75食分、または1ヶ月あたり100食分〜120食分に相当する1日平均ベースで投与され得る。1つの実施形態において、上記カルシウムの量は、体重および/または脂肪の減少を誘導する所望の効果、体重および/または脂肪の増加を予防する所望の効果、ならびに/あるいは代謝による脂肪組織の消費を増大させる所望の効果を達成するために、平均で1日に約346mgまたは3食分〜3.5食分の新鮮ホエイ製品において投与される。
【0024】
本発明の新鮮ホエイ製品は、カルシウムの高いバイオアベイラビリティーを提供し、そして個体において体重および/または脂肪の減少を誘導するか、体重および/または脂肪の増加を予防するか、および/または代謝による脂肪組織消費量を増大させることによって体重および/または体脂肪を調節するのに、無機質のカルシウム(例えば、炭酸カルシウム由来)よりも有効である。上記新鮮ホエイは、非新鮮ホエイ製品(安定ではないホエイ製品)よりも有効である。新鮮ホエイは、乳とほぼ同程度に有効であるか、または少なくとも乳と同程度に有効であり、そして体格の管理において乳のカゼイン画分よりも有効である。
【0025】
本発明の方法および組成物は、体格の管理(例えば、体重、肥満、および筋肉量を調節または制御すること)において有効である。それらはまた、体重障害または過体重に関連する他の障害(例えば、肥満、高血圧、脳卒中、月経前症候群、うつ病、妊娠性高血圧障害、2型糖尿病、喘息、炎症性腸疾患、注意欠陥障害、片頭痛、腎疾患、腎臓結石、高コレステロール血症、うっ血性心不全、免疫不全、および実施者に公知である他の障害)を予防するか、それらの重篤度を減少させるか、それらの危険性を減少させるか、またはそれらを処置するのに有効である。
【0026】
いくつかの非新鮮ホエイ製品を使用する実施例1は、新鮮ホエイ製品を使用する実施例2との比較目的のために含まれる。実施例1は、本願と同じ実体によって所有される同時係属中の米国仮特許出願第60/558,706号の主題である。
【0027】
本発明者は、カルシウム含有製品(例えば、乳)が体重および/または脂肪の減少を誘導するのに有効であることを以前に見出した。実施例1および実施例2において示され、そして詳述される通り、驚くべきことに、カルシウム含有ホエイ製品および新鮮ホエイ製品は、動物において体重の減少を誘導すること、体重の増加を予防することおよび/または代謝による脂肪組織の消費を増大させることにおいて、無機質源(例えば、炭酸カルシウム)由来の同量のカルシウムよりも有効である。新鮮ホエイ、ホエイタンパク質、ホエイ由来無機質単離物もしくはホエイ由来無機質ブレンド、または酵素阻害ペプチドを含むホエイ由来無機質単離物を含む食事は、体重および/または脂肪の減少を誘導することにおいて、カルシウム単独、あるいはカルシウムと他の非ホエイ含有製品または非新鮮ホエイ含有製品とを投与するよりも有効であり得る。
【0028】
本発明はまた、カロリー制限した食事またはエネルギー制限した食事において個体を維持することを包含し得る。しばしば、このような制限した食事は、脂肪および筋肉の両方の減少をもたらす。本発明は、身体の特定の領域および/または脂肪もしくは筋肉細胞もしくは筋肉組織のタイプを選択的に標的とすることによる体重調節の方法を提供する。
【0029】
例示の実施形態において、本発明は、例えば、除脂肪量または筋肉量を維持しながらも特定の脂肪細胞または組織領域を選択的に標的とする体重関連の食事を、新鮮ホエイ製品を個体に投与することによって提供する方法に関し、それによって筋肉または除脂肪体重を保護しながらも体重の減少を増大させる。上記新鮮ホエイ製品はまた、運動による代謝ストレスからの容易な身体の回復を補助し得、そして個体が過度の量の脂肪を得ることを予防するのを補助し得る。これらのホエイベースの食事は、食事性エネルギーの脂肪組織から骨格筋への再分配を促進し、除脂肪体重の保持および/または改善をもたらす一方で、脂肪組織は、失われる。
【0030】
本発明に従って投与される新鮮ホエイ製品は、脂肪細胞においてアポトーシスを促す。すなわち、十分なレベルのカルシウム部分として新鮮ホエイ製品を含む食事は、脂肪細胞において細胞自己死を誘導し、そして食事療法を行っている個体中の脂肪細胞の数を減少させ得る。その減少は、腹部領域または体幹領域において優先的であり得、そして脂肪量の減少に寄与する。脂肪細胞数の減少は、脂肪細胞の少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、または少なくとも約30%の範囲であり得る。したがって、本発明による新鮮ホエイ製品食は、脂肪細胞を殺すか、脂肪細胞を排除するか、または脂肪細胞の数を減少させるものとして宣伝され得る。
【0031】
例えば、1つの実施形態は、体重を調節する個体に、個体において体重および/または脂肪の減少を誘導するか、体重および/または脂肪の増加を予防するか、ならびに/あるいは代謝による脂肪組織の消費を増大させながらも筋肉量を維持するのに有効な量でカルシウム含有新鮮ホエイ製品を投与することを包含する方法を提供する。
【0032】
除脂肪量または筋肉量の保持は、身体の種々の領域(例えば、骨格筋、四肢(例えば、腕および脚)または体幹)において維持され得る。例えば、新鮮ホエイ製品の消費は、腓腹筋を維持し得る。同様に、脂肪の減少の誘導もまた、種々の領域またはタイプにおいて選択的に標的とされ得る(例えば、脂肪パッド量の減少、腹部脂肪の減少、腎傍脂肪の減少もしくは肩甲下脂肪の減少および/またはそれらの組み合わせ)。本発明はまた、除脂肪量または筋肉量を維持しながらも脂肪の減少を誘導することを支援し得る。筋肉量を維持することは、新鮮ホエイ製品が消費される食事療法を行っている期間中に、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約5%、または少なくとも約10%の筋肉量が増加すること、または筋肉量が全く減少しないこと、または約1%以下、約2%以下、または約5%以下の筋肉量が減少することを含み得る。
【0033】
体重および脂肪を制限するための種々の構成成分を含む食事の効力は、最も効力のない構成成分から最も有効な構成成分まで、ほぼ以下の通りであると測定された:低カルシウム、高無機質カルシウム、ホエイ無機質単離物、ならびにホエイタンパク質および乳。ACEインヒビターは、ホエイ無機質単離物食およびホエイタンパク質食の効力を改善させた。
【0034】
実施例2は、新鮮ホエイ製品(例えば、群4において)が乳製品(例えば、群3)と同程度に有効であること、ならびにホエイ由来無機質画分を含有する新鮮ホエイ製品が肥満の調節において他の補助的なカルシウム源(例えば、炭酸カルシウム)と少なくとも同程度に有効であることを示す。
【0035】
上記データはまた、ホエイが、驚くべきことに、乳において見出された生物活性の大部分または全てを保持すること、およびホエイ由来ACEインヒビターがこの効果に寄与することを示す。上記ACE阻害作用は、肥満、体重の減少などの一貫した改善をもたらすが、インタクトな新鮮ホエイは、ずっと大きい効果を有する。
【0036】
別の例示の実施形態において、本発明は、体重の減少を増強するか、および/または体重の増加を制限し、そして良好な健康を促すことによって、所定の体重範囲を維持するための組成物および方法、ならびに過体重状態または肥満を処置するための組成物および方法に関する。過体重および肥満は、乳製品、より具体的には、乳製品に存在する無機質の不適切な摂取にある程度関連している。過体重状態および肥満は、本発明の実施に従って、直接的かまたは栄養補助組成物が強化された食品を通してかのいずれかによって栄養補助組成物を投与することによって効果的に処置され得ることが見出された。上記栄養補助組成物は、治療的に有効な量のホエイ無機質、ホエイタンパク質および/またはホエイ由来酵素阻害ペプチドを含み、そして食事の前または食事中に投与される。上記栄養補助組成物はまた、所望の体重を維持しようとする個体に投与され得る。
【0037】
処置は、体重制御についての他の機構に取り組む上記組成物中のさらなる成分の使用によって増強され得る。さらに、酵素阻害ペプチドが、脂肪代謝を制御することによって肥満の調節を支援するために含まれ得る。
【0038】
本明細書中で使用される場合、用語「処置する」、「処置すること」、「処置」および類似の用語は、過体重もしくは肥満またはそれに関連する任意の症状を緩和するか、抑制するか、阻害するか、さもなければ、個体が過体重もしくは肥満またはそれに関連する任意の症状である程度を減少させるための、過体重または肥満である個体(特に、ヒト)への上記栄養補助組成物の投与をいう。本明細書中で使用される場合、用語「処置する」、「処置すること」、「処置」および類似の用語はまた、過体重もしくは肥満になる危険性があるか、または過体重もしくは肥満になることを回避することを望む個体に対する上記栄養補助組成物の予防的投与をいう。
【0039】
上記栄養補助組成物の1つの成分は、ホエイ無機質である。米国特許出願公開第2003/0165574号(2003年9月4日公開、Wardら、本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。市販の乳無機質製品としては、例えば、TRUCAL製品(Glanbia)が挙げられ得る。ホエイ無機質の組成の一例は、下の表1に示される。
【0040】
【表1】
本発明の別の局面において、上記新鮮ホエイ組成物は、ホエイタンパク質を含む。ホエイタンパク質は、可溶性の球状タンパク質として乳中に存在し、そして懸濁されたカゼイン粒子とは異なる。一般に、それらは、総合的に良好な健康および栄養に必要とされるタンパク質の重要な供給源である。ホエイタンパク質に由来する主要なタンパク質およびペプチド構成成分としては、α−ラクトアルブミンおよびβ−ラクトグロブリン、κ−カゼイン、ラクトフェリン、ウシ血清アルブミン、ラクトペルオキシダーゼ、ならびに免疫グロブリンが挙げられる。
【0041】
本発明の別の局面において、上記新鮮ホエイ組成物は、活性な酵素阻害ペプチドを含む。例としては、アンギオテンシン変換酵素(ACE)を阻害するペプチドが挙げられる。アンギオテンシンIIは、脂肪細胞によって合成および分泌されるホルモンである。文献は、アンギオテンシンIIが脂肪細胞の脂質合成および脂質貯蔵の調節によって肥満の制御に関与し得ることを示している。いくつかの乳ペプチドは、アンギオテンシン変換酵素(ACE)の阻害に関連する。したがって、治療的に有効な量のACE阻害ペプチドを含む新鮮ホエイを投与することによって、体重の減少が強化され得る。理論に束縛されることを意図しないが、非新鮮ホエイ製品は新鮮ホエイと比較してより低いレベルの酵素阻害ペプチド(例えば、ACEインヒビター)を有することが可能である。本発明の組成物を得るために、その組成物のために選択された成分は、所望される場合、そのホエイ製品の安定性または新鮮さを維持する様式で上記栄養補助組成物の調製前に加工され得る。ホエイ無機質抽出物は、代表的に、精製され、噴霧乾燥され、そして所望される場合、液体食品または固形食品と混合できる適切な粒径を有する粉末へと挽かれる。同様に、上記タンパク質成分は、代表的に、精製され、噴霧乾燥され、そして粉末へと挽かれる。ACE阻害ペプチドもまた、上記組成物中に提供され得る。本発明による食事性栄養補助剤または食物組成物は、必要に応じて、当業者に周知である技術によって他の成分(例えば、無機質、ビタミン、香料および着色剤)を含み得る。
【0042】
上記組成物に適した粒径は、上記粉末が混合される食品の物理学的特性(例えば、液体または固体、特定の重力、pH、粘性など)および安定な新鮮ホエイ製品を維持する必要性のような因子に依存する。
【0043】
新鮮ホエイ製品は、広範な種々のタイプの食品に対する添加剤として本発明に従って使用され得、そして本発明による新鮮ホエイ製品を含有する食品組成物としては、酸性ジュースおよびスポーツ飲料、中性pH飲料(例えば、乳UHT乳製品、RTD栄養、豆乳、またはシェイク(shake)および他の混合飲料(blended beverage)(例えば、ミルクセーキ、スムージー、フラッペ))、栄養補助食品(例えば、高エネルギーのタンパク質バー)、菓子製品(例えば、高カルシウムチュー、チューインガム、チョコレート、またはクッキー)、乳製品(例えば、ヨーグルト、アイスクリーム、乳、チーズ、プロセスチーズ、またはバター)、ならびに穀粉製品(例えば、パン、マフィン、ビスケット、シリアルまたはロールパン)が挙げられる。食品と合わされる新鮮ホエイ組成物の相対的な重量は、その食品の密度および一食分のサイズのような因子に依存する。代表的に、新鮮ホエイ組成物の量は、食品の総重量を基準として0.1重量%〜約10重量%の範囲であり得る。
【0044】
上記組成物の配合、および食品で投与される場合に、その食品に混合されるその組成物の量は、体格を管理するのに有効であるために、特定の成分の所望の量を提供するように選択される。一例として、代表的な栄養補助組成物は、その組成物の1食分あたり、少なくとも約1グラム、少なくとも約2グラム、少なくとも約5グラム、少なくとも約10グラム、または少なくとも約15グラムのタンパク質、少なくとも約0.2グラム、少なくとも約0.5グラムまたは少なくとも約6グラムまたはそれより多くのカルシウム、および少なくとも約0.1グラム、少なくとも約0.5グラム、少なくとも約1グラム、少なくとも約2グラム、少なくとも約3グラム、少なくとも約5グラム、または少なくとも約10グラムまたはそれより多くのACE阻害ペプチドの間で提供するように投与され得る。投与される組成物の量は、物理学的特徴ならびにその組成物が投与される個体の栄養要求量およびボディマス指数における違いに起因して、所望される場合、調整され得る。
【0045】
本発明の方法に従って、過体重および肥満を含む体重状態は、有効に管理および処置される。すなわち、健康な状態でありかつ一般的に理想の体重を有する個体は、その体重を管理し得、そして所望の体重範囲を維持し得る。所望の範囲を超える体重を有し、そして過体重または肥満と見なされ得る個体は、筋肉量を維持しながらも体重の増加を制限するか、および/または体重の減少を促すことによって有効に処置され得る。治療的に有効な量の上記栄養補助組成物が、これらの利益を提供するために個体に投与される。
【0046】
本発明は、新鮮ホエイ製品を投与して、体重の減少を誘導するか、体重を維持するかまたは筋肉保持を増大させる方法を包含する。例示の実施形態において、個体のカロリー摂取は、未改変または無制限(ad lib)であり得るか、あるいは食事計画の一部として個体のカロリー摂取を減少させることが、望まれ得る。未改変かまたは無制限のカロリー摂取の制限は、個体が体重を維持しているか否か、または体重を減少させているか否かに基づいて、わずかであり得るか、またはより大きなものであり得る。例えば、個体は、未改変のカロリー摂取(例えば、無制限(満足のいく時点までの食物またはカロリーの制限のない摂取))と一緒に新鮮ホエイ製品を消費することによって、体重を維持し得るか、および/または筋肉保持を増大させ得、かつ脂肪の減少を増大させ得る。しかし、個体は、無制限未満にカロリー摂取を制限することによって脂肪または体重の減少を増大させ得る。カロリー制限の例は、未改変または無制限とは対照的に、カロリー摂取を約200〜500カロリー/日減少させることであり得る(例えば、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1200または1500カロリー/日)。上記個体はまた、カロリー摂取量を、合計で約500〜約5000カロリー/日、あるいは1日あたり約4500カロリー未満、4000カロリー未満、3500カロリー未満、3000カロリー未満、2500カロリー未満、2000カロリー未満、1500カロリー未満、または1000カロリー未満に制限し得る。
【0047】
別の例示の実施形態において、本発明は、ホエイ由来無機質画分、ホエイ由来タンパク質単離物およびホエイ由来酵素阻害ペプチド画分からなる群より選択される成分を含む治療的に有効な量の新鮮ホエイ製品をパッケージ中に含む体重管理組成物であって、そのパッケージには、個体において体重および/または脂肪の減少を誘導するか、体重および/または脂肪の増加を予防するか、ならびに/あるいは代謝による脂肪組織の消費を増大させながらも筋肉量を維持するか、および/または筋肉量を増大させるために有効な量のそのホエイ製品を消費することの効果についての情報のラベルが付けられている、体重管理組成物に関連し得る。本発明の1つの局面において、上記情報または説明は、印刷物または印刷資料の形態にある。さらなる局面において、上記製品は、パッケージで包装され、そして上記説明は、そのパッケージの一部であるか、挿入物もしくはラベルとしてその製品に直接付随するか、またはその製品上にインプリントされる。ラベリングは、例えば、店の棚、店の通路における製品パッケージに付随する通知または情報の形態、あるいはあらゆる標準的な印刷物または電子媒体(インターネット、テレビ、またはラジオが挙げられる)における通知または広告であり得る。
【0048】
別の例示の実施形態において、本発明は、消費する新鮮ホエイ製品が体重もしくは体脂肪および/または筋肉保持に対する有益な効果を有し得ることを潜在的な消費者に伝達することを包含する方法に関し、その伝達は、その製品の消費に商業的関心がある実体によるものである。別の局面において、本発明は、上記製品の販売に財政的関心がある商業的実体によって上記新鮮ホエイ製品の消費を誘導するための方法に関し得、その実体は、その新鮮ホエイ製品の潜在的な消費者に、その製品の消費に起因する新鮮ホエイ製品による体重制御および/または筋肉保持の利点を記載する情報を配布する。よりさらなる局面において、本発明は、新鮮ホエイ製品の消費を促すための方法であり得、この方法は、その製品中のカルシウムの消費に起因するその商品による体重制御または肥満制御の利点を記載する情報の公衆への配布を包含する。
【0049】
本発明の1つの局面において、伝達、情報の配布または公衆への配布は、言葉による伝達、パンフレットの配布、印刷媒体、オーディオテープ、磁気媒体、デジタル媒体、視聴覚媒体、看板、広告、新聞、雑誌、ダイレクトメール、ラジオ、テレビ、インターネットのウェブサイト、電子メール、電子媒体、バナー広告、光ファイバーおよび製品パッケージ、挿入物、またはラベル上の情報によるもの、あるいはその製品に直接付随するものによるものであり得る。
【0050】
別の例示の実施形態において、本発明は、以下の工程を包含する個体の体重を調節する方法であり得る:(a)新鮮ホエイ製品を消費することが体重および/または脂肪の減少および/または減少した増加、ならびに/あるいは代謝による脂肪組織の消費および/または筋肉保持から選択される1種以上の健康効果と関連することを開示する情報を個体に提供する工程、ならびに(b)その1種以上の健康効果を誘導するのに十分な有効な量の新鮮ホエイ製品を含有する製品を消費することについての食事計画を個体に提供する工程。
【0051】
別の例示の実施形態において、本発明は、個体における健康問題の危険性を回避するかまたは減少させる方法であり得、その個体は、過剰な体重および/または過剰な体脂肪に起因してその危険性があり、この方法は、その個体に、十分な量の新鮮ホエイ製品を投与して、最適未満の量の新鮮ホエイ消費と比較して代謝の変化を誘導する工程を包含する。1つの局面において、上記健康問題は、冠動脈疾患、脳卒中、骨粗しょう症、変形性関節症、じん帯損傷、会陰皮膚炎(perineal dermatitis)、真性糖尿病、心筋症、および/または泌尿器症候群(urologic syndrome)のうちの1種以上であり得る。
【0052】
別の例示の実施形態において、本発明は、非ヒト動物において体重の減少を誘導するか、体重の増加を予防するか、ならびに/あるいは代謝による脂肪組織の消費量および/または筋肉保持を増大させるのに十分な量の新鮮ホエイ製品を投与する工程を包含する体重を調節する方法に関する。1つの局面において、その動物は、哺乳動物ペット(例えば、イヌまたはネコ)またはマウスまたは家畜であり得る。別の局面において、本発明は、動物用食品パッケージであり得、このパッケージは、新鮮ホエイ製品の動物用食品、ならびに体重の減少を誘導すること、体重の増加を予防すること、ならびに/あるいは代謝による脂肪組織の消費および/または筋肉保持を増大させることにおける新鮮ホエイを消費することの利益の記載を含む。上記動物用食品は、ペットフードまたは家畜用飼料であり得る。
【実施例】
【0053】
(実施例1)
本実施例は、食事誘導性肥満のトランスジェニックマウスにおけるカルシウムの抗肥満筋肉量保持効果の乳製品誘導性増大を担う乳画分に関する。具体的に、本実施例は、高脂肪/高スクロース/低脂肪食を与えたアグーチ−トランスジェニックマウスでのカロリー制限に伴う体重および脂肪の減少を促進することにおける、(低カルシウムコントロールと比較した)カゼインベースの高カルシウム食、大豆ベースの高カルシウム食および乳ベースの高カルシウム食と比較したホエイベースの高カルシウム食の有効性、ならびにホエイの強化された抗肥満効果が、カルシウムに加えて、ホエイ中に見出されたホエイタンパク質または無機質混合物に起因し得るか否かに関する。
【0054】
(動物および食事)
インビボでの肥満を調節することにおける食事性カルシウムの役割を評価するために、aP2プロモーターの制御下で脂肪細胞において特異的にアグーチを発現するトランスジェニックマウスを研究した。これらの動物は、ヒトにおいて見出されたものに類似する正常なパターンのレプチンの発現および活性を示し、そしてヒトパターン(脂肪細胞特異的)のアグーチ発現を示す。これらのマウスは、それらが、標準的なAIN−93G食では肥満ではないが、インスリン投与または高スクロース食のいずれかによって誘導した高インスリン血症に応答して肥満になるという点で、食事誘導性肥満についての有用なモデルである。別個の研究において、この動物モデルは、体重の減少、体重の増加、脂肪量および筋肉量を含めた、体格に関連するヒトにおける栄養効果を予測するものであることが確認された。
【0055】
(方法)
図2に示すように、マウスに、低カルシウム(0.4%)で高スクロースでかつ高脂肪である食事を6週間にわたって与えて、肥満を誘導した。全ての食事は、25%の脂肪(ラード+大豆油)を有し、唯一の炭水化物としてスクロースを含み、そして唯一のタンパク質源として示したタンパク質を含んだ。群1は、6週間にわたって無制限で上記食事を継続した。
【0056】
群2〜8は、6週間にわたって制限(無制限なエネルギー摂取の70%)を継続した。群2を、乳カゼイン由来のタンパク質およびCaCO3由来の0.4%カルシウムを含む低カルシウム食(カゼイン/0.4%カルシウム)において維持した。
【0057】
群3〜6は、高カルシウムのエネルギー制限した食事を継続した。群3を、1.2%のカルシウムを有する乾燥乳を含む、無脂肪乾燥乳/1.2%カルシウムで維持した。これらのカルシウムのほとんどは乳に由来し、一部のカルシウムはCaCO3に由来した。群4を、ホエイ由来タンパク質のみと大部分がホエイ由来でささやかな量がCaCO3由来であるカルシウムとを含有する、ホエイタンパク質単離物/1.2%カルシウム(例えば、PROVON 190)で維持した。群5を、カゼイン由来タンパク質およびCaCO3由来の1.2%カルシウムを含む、カゼイン/1.2%カルシウムで維持した。群6を、大豆由来タンパク質およびCaCO3由来の1.2%カルシウムを含む、大豆タンパク質単離物/1.2%カルシウムで維持した。
【0058】
群7および群8は、高カルシウム(1.2%)の、エネルギー制限した食事を継続した。群7は、1.2%カルシウムおよびカゼイン由来タンパク質を含みかつホエイ由来アンギオテンシン変換酵素(ACE)インヒビターを含まないホエイ無機質単離物(TRUE−CAL)を使用した。群8は、ホエイ由来ACEインヒビターを含むホエイ無機質単離物(TRUE−CAL FP)を使用した。
【0059】
6週間の間、体重、食物摂取および核心温度を毎週測定した。6週間の終わりにおいて、脂肪パッド量、脂肪細胞の細胞内Ca2+([Ca2+]i)、脂肪酸シンターゼの発現および活性、ならびに脂肪分解を評価した。
【0060】
(結果)
図3は、高カルシウム乳の群3のマウスが、最も顕著かつ実質的な体重変化を有し、その次に高カルシウムホエイタンパク質単離物の群4が、顕著かつ実質的な体重変化を有したことを示す。高カルシウムカゼインの群5および大豆の群6は、乳またはホエイタンパク質単離物よりも少ないが、低カルシウムの群2および高カルシウムホエイ無機質の群7ならびにホエイ無機質/ACEの群8よりも大きい体重変化を有した。最小量の体重変化は、無制限の群1において存在した。
【0061】
図4において観察されるように、無制限の群1のマウスは、他のいずれのカルシウム含有群よりも有意に多い脂肪パッド量を有した。最も少ない脂肪パッド量が、高カルシウム乳の群3において見られ、その次に少ない脂肪パッド量が、高カルシウムホエイタンパク質単離物の群4において見られた。高カルシウムカゼインの群5、大豆の群6およびホエイ無機質/ACEの群8は、乳またはホエイタンパク質単離物よりも多いが、高カルシウムホエイ無機質の群7よりも少ない脂肪パッド量を有し、これは、低カルシウムの群2よりもさらに少ない脂肪パッド量を有した。
【0062】
図5において、無制限の群1のマウスは、他のカルシウム含有群のいずれよりも有意に多い腹部脂肪を有するようである。最も少ない腹部脂肪は、高カルシウム乳の群3において観察され、その次に少ない腹部脂肪は、高カルシウムホエイタンパク質単離物の群4、高カルシウムカゼインの群5および大豆の群6において観察された。高カルシウムホエイ無機質の群7およびホエイ無機質/ACEの群8は、他の高カルシウム含有群よりも多いが、低カルシウムの群2よりも少ない腹部脂肪を有した。
【0063】
図6は、無制限の群1のマウスが任意の他のカルシウム含有群よりも有意に多い腎傍脂肪を有するようであることを示す。最も少ない腎傍脂肪は、高カルシウム乳の群3において観察され、その次に少ない腎傍脂肪は、高カルシウムホエイタンパク質単離物の群4、高カルシウムカゼインの群5、大豆の群6およびホエイ無機質/ACEの群8において観察された。低カルシウムの群2は、他の高カルシウム含有群よりも多いが、高カルシウムホエイ無機質の群7よりも少ない腎傍脂肪を有した。
【0064】
図7において見られるように、無制限の群1のマウスは、他のカルシウム含有群のいずれよりも有意に多い肩甲下脂肪を有した。最も少ない肩甲下脂肪は、高カルシウム乳の群3およびホエイタンパク質単離物の群4において見られ、その次に少ない肩甲下脂肪は、高カルシウムカゼインの群5、大豆の群6、ホエイ無機質の群7およびホエイ無機質/ACEの群8において見られ、これは、低カルシウムの群2よりもさらに少ない肩甲下脂肪を有した。
【0065】
図8において、高カルシウム乳の群3およびホエイタンパク質単離物の群4は、最も多い腓腹筋量を有し、その次に、高カルシウムカゼインの群5、大豆の群6および低カルシウムの群2が、多い腓腹筋量を有した。高カルシウムホエイ無機質の群7およびホエイ無機質/ACEの群8は、無制限の群1を除いて、全ての他の群よりも少ない腓腹筋量を有した。
【0066】
表2はこれらの結果をまとめる。
【0067】
【表2】
(結論)
ここで示されるように、高カルシウム食は、低カルシウム食と比較して脂肪減少を32%増大させ(p<0.0001)、一方で乳は、他の高カルシウム食と比較してこの脂肪減少を62.5%増大させた(p<0.001)。ホエイは、乳ほど有効ではなく、そして使用したホエイ無機質は、さらなる脂肪の減少を提供しなかった。ホエイACEインヒビターの添加は、脂肪量を22%減少させたが(p<0.001)、インタクトな乳は、依然として、顕著により有効であり、それは、加工によるアーティファクトに起因し得、バイオアベイラビリティーの減損を生じる。したがって、ホエイ成分は、抗肥満効果を提供する。
【0068】
さらに、低カルシウム食におけるエネルギー制限は、腓腹筋量の減少を生じ、その腓腹筋量の減少は、ホエイ食によって予防された(少量の有意な増加をもたらした)が、カルシウムを補充したカゼイン食および大豆食によっては予防されなかった。
【0069】
ホエイベースの食事が、脂肪組織から骨格筋への食事性エネルギーの再分配を促進し、除脂肪体重の保存および/または改善をもたらすようである一方で、脂肪組織は、失われる。新鮮ホエイ製品は、十分な抗肥満効果をもたらすようであり、そしてその新鮮ホエイ製品は、骨格筋節約(sparing)効果をもたらした。
【0070】
上記実施例は、増加したカルシウムまたはカルシウムが豊富な新鮮ホエイ製品をこれらのマウスの食事に含めることが、食事誘導性肥満を有意に減衰させ、そしてカロリー制限に伴う体重および脂肪の両方の減少を顕著に促進したことを示す。これらの効果は、一部、カルシウムに起因したが、ホエイ由来カルシウム源は、等量の栄養補助剤由来カルシウムよりも大きい効果を発揮した。
【0071】
(実施例2)
この実施例は、食事誘導性肥満のトランスジェニックマウスでのカルシウムの抗肥満筋肉量保持効果の乳製品誘導性増大を担う新鮮ホエイ画分を比較した。新鮮ホエイ製品ベースの高カルシウム食の有効性を、高脂肪/高スクロース/低脂肪食を与えたアグーチ−トランスジェニックマウスでのカロリー制限に伴う体重および脂肪の減少を促進することにおけるカゼインベースの高カルシウム食、大豆ベースの高カルシウム食および乳ベースの高カルシウム食の有効性と比較した(低カルシウムコントロールと比較して)。
【0072】
(動物および食事)
同じ動物を、実施例1においてのとおりに使用した。
【0073】
(方法)
図2に示したように、マウスに、低カルシウム(0.4%)で高スクロースでかつ高脂肪である食事を6週間にわたって与えて、肥満を誘導した。全ての食事は、25%の脂肪(ラード+大豆油)を有し、唯一の炭水化物としてスクロースを含み、そして唯一のタンパク質源として示したタンパク質を含んだ。群1は、6週間にわたって無制限の上記食事を継続した。
【0074】
群2〜群8は、6週間にわたって制限した食事(無制限なエネルギー摂取の70%)を継続した。群2を、乳カゼイン由来のタンパク質およびCaCO3由来の0.4%カルシウムを含む低カルシウム食(カゼイン/0.4%カルシウム)で維持した。
【0075】
群3〜群6は、高カルシウムのエネルギー制限した食事を継続した。群3を、1.2%のカルシウムを有する乾燥乳を含む、無脂肪乾燥乳/1.2%カルシウムで維持した。これらのカルシウムのほとんどは乳に由来し、一部のカルシウムはCaCO3に由来する。群4を、新鮮ホエイ由来タンパク質のみと大部分がホエイ由来でささやかな量がCaCO3由来のカルシウムとを含有する新鮮ホエイタンパク質単離物/1.2%カルシウム(例えば、PROTARMOR)で維持した。
【0076】
群5を、カゼイン由来タンパク質およびCaCO3由来の1.2%カルシウムを含む、カゼイン/1.2%カルシウムで維持した。群6を、大豆由来タンパク質およびCaCO3由来の1.2%カルシウムを含む、大豆タンパク質単離物/1.2%カルシウムで維持した。
【0077】
群7および群8は、高カルシウム(1.2%)の、エネルギー制限した食事を継続した。群7は、1.2%カルシウムおよびカゼイン由来タンパク質を含み、ホエイ由来アンギオテンシン変換酵素(ACE)インヒビターを含まない新鮮ホエイ無機質単離物(例えば、VITALARMOR)を使用した。群8は、ホエイ由来ACEインヒビターを含む新鮮ホエイ無機質単離物(例えば、BIPRO)を使用した。
【0078】
6週間の間、体重、食物摂取および核心温度、毎週測定した。6週間の終わりにおいて、脂肪パッド量、脂肪細胞の細胞内Ca2+([Ca2+]i)、脂肪酸シンターゼの発現および活性、ならびに脂肪分解を評価した。
【0079】
具体的には、核心温度を、熱電対を使用して間接的な代謝指数としてモニタリングし、そして空腹時インスリンレベル(放射免疫アッセイによる)、レプチンレベル(放射免疫アッセイによる)およびグルコースレベル(グルコースオキシダーゼによる)を、ベースラインならびに2週目および6週目において評価した。この研究の結論において、全てのマウスをイソフルオラン麻酔下で屠殺し、そして個体の皮下および内臓の脂肪蓄積物(depot)を、群間における脂肪の蓄積の比較ならびにCoulter Counter法による脂肪細胞のサイズおよび数の評価のために切除して秤量した。次いで脂肪組織のアリコートを、遺伝子発現の次なる研究のために直ちに液体窒素中で凍結した。他の脂肪組織アリコートを、脂肪酸シンターゼ活性、基底およびフォルスコリン刺激性の脂肪分解、ならびに細胞内Ca2+の決定のために直ちに利用した。
【0080】
(結果)
図9は、高カルシウム乳の群3マウスおよび新鮮ホエイタンパク質単離物の群4が最も顕著かつ実質的な体重変化を有し、その次に高カルシウムが、顕著かつ実質的な体重変化を有したことを示す。高カルシウムカゼインの群5、大豆の群6、高カルシウムホエイ無機質群の7およびホエイ無機質/ACEの群8は、乳またはホエイタンパク質単離物よりも小さいが、低カルシウム群2よりも大きい体重変化を有した。最小量の体重変化は、無制限の群1においてであった。
【0081】
図10において観察されるように、無制限の群1のマウスは、任意の他のカルシウム含有群よりも有意に多い脂肪パッド量を有した。最も少ない脂肪パッド量は、高カルシウム乳の群3およびホエイタンパク質単離物の群4において見られ、その次に少ない脂肪パッド量は、ホエイ無機質/ACEの群8において見られた。高カルシウムカゼインの群5、高カルシウム大豆の群6、および高カルシウムホエイ無機質の群7は、群3、群4または群8よりも多いが、低カルシウムの群2よりも少ない脂肪パッド量を有した。
【0082】
図11において、高カルシウム乳の群3および新鮮ホエイタンパク質単離物の群4は、最も多い腓腹筋量を有し、無制限の群1は、その次に多い腓腹筋量を有し(これはまた、高い体重および脂肪を有した)、次いで低カルシウムの群2、高カルシウムカゼインの群5、大豆の群6、高カルシウム新鮮ホエイ無機質の群7および新鮮ホエイ無機質/ACEの群8が、多い腓腹筋量を有した。したがって、新鮮ホエイタンパク質単離物は、低い肥満と高い筋肉量とを釣り合わせる除脂肪体重に対する体格の最適な管理を提供した。
【0083】
表3は、これらの結果をまとめる。
【0084】
【表3】
(考察および結論)
総合して、これらの結果は、顕著により大きい効果を発揮する乳製品による、カロリー制限の間の体重および脂肪の減少を促進するカルシウムおよび乳製品の以前の観察を確認する。驚くべきことに、新鮮ホエイタンパク質は、無脂肪乾燥乳のものと等しい効果を発揮し、そしてその新鮮ホエイタンパク質は、実施例1において使用されるような非新鮮ホエイタンパク質よりも優れていた。新鮮ホエイ由来ACEインヒビターもまた、実施例1において使用した非新鮮材料においてよりも有効であった。したがって、乳中の「抗肥満」因子は、主として新鮮ホエイ画分において見出される。低カルシウム食の動物は、ヒトにおいて食事療法を行う間に起きる除脂肪体重の減少と同様に、カロリー制限の間に有意な量の筋肉量を失う。しかし、上記新鮮ホエイを含有する食事は、筋肉の減少を完全に予防し、そして実際に、カロリー制限にかかわらず、筋肉量の僅かな増加を引き起こし、それらは、乳によって達成されたものに匹敵した。この効果は、新鮮ホエイおよび乳ベースの食事に対して特異的である。なぜならば、他の高カルシウム食は、筋肉に対してそのような保護効果を発揮しなかったからである。
【0085】
ホエイに由来する無機質混合物は、補充のカルシウムよりも大きな抗肥満活性を示さなかった。上記ホエイ由来無機質混合物に対する上記新鮮ホエイ由来ACEインヒビターの添加は、脂肪の減少を有意に増大させたが、インタクトな乳および新鮮ホエイは、脂肪の減少の促進において、顕著により有効であった。この研究の知見は、新鮮ホエイが補充のカルシウムよりも顕著に大きい抗肥満効果を発揮することを確かめ、そして乳の「抗肥満」活性の実質的に全てが新鮮ホエイ画分において見出されたことを示す。カルシウムは、明確に、この効果を部分的に担い、そして本発明者らのデータは、さらなる(カルシウムに関連しない)活性の一部が新鮮ホエイ由来ACEインヒビターに起因することを示す。また、乳製品の総合的な効果は、新鮮ホエイにおいて主に見出される乳製品の複数の成分の間の相乗効果から生じるようである;結果的に、乳製品の単離された成分がインタクト(新鮮で、安定)なホエイおよび/または乳製品の抗肥満効果を再現するようであるとは考えにくい。さらに、新鮮ホエイタンパク質調製物および新鮮ホエイペプチド調製物に存在する抗肥満因子は、明らかに、いくつかの市販のホエイ調製物において分解されるか、存在しないか、または利用できない。したがって、新鮮ホエイは、予想外に、体格の管理のために食事性成分として有益である。低カルシウムの基礎食におけるエネルギー制限は、体重(p<0.01)および体脂肪(p<0.001)の予想可能な減少をもたらし、その両方は、図9および図10に示すように、高カルシウム食によって有意に増大した。本発明者らの先の観察と一致して、カルシウム源としての無脂肪乾燥乳の使用は、この抗肥満効果の顕著かつ実質的な増幅を生じた(図9および図10);さらに、新鮮ホエイは、カルシウムの抗肥満効果の増幅において無脂肪乾燥乳と同程度に有効であり、これは、乳製品の非カルシウム性抗肥満活性のほとんどまたは全てが新鮮ホエイに存在することを示唆する。
【0086】
ホエイ由来無機質混合物を使用してカルシウム摂取を増加させることは、実施例1での肥満の減少における乳または炭酸カルシウムほど有効ではなかった。なぜならば、それが、低カルシウム食と比較して、総脂肪パッド量に対してほとんど効果をもたらさなかったからである。これは、減少したバイオアベイラビリティーを生じる、ホエイ由来無機質混合物の加工から生じた異常であると疑われた。結果的に、実施例2において、2種類の異なるホエイ由来無機質源(TRUECALの別のバッチおよびVITALARMORのバッチを含む)を使用して、そして両方が、炭酸カルシウムに匹敵するがカルシウムより大きくない同様の抗肥満効果をもたらすことを見出した。異なる粒径(10ミクロン未満か、または10ミクロンよりも大きい)のホエイ由来無機質調製物を、比較した。この因子は、結果に影響しないことを見出した。これは、(a)元々の知見が実際には異常であったこと、および(b)ホエイに含まれる無機質の「パッケージ」が体重および脂肪の減少の増大において単離されたカルシウムよりも有効というわけではないことを示す。これは、ホエイの非無機質成分が抗肥満効果を担うはずであることを示す。これらの成分の1つは、ホエイ由来ACE阻害活性であるようである。なぜならば、高カルシウム食に対するホエイ由来ACEインヒビターの添加が、脂肪減少のさらなる増大を生じたからである(図10)。
【0087】
しかし、ホエイ由来無機質混合物に対するホエイ由来ACEインヒビターの添加は、脂肪の減少を有意に増大させたが、乳および新鮮ホエイの両方は、顕著により有効であった。これは、2つの可能性を示唆する。1つの可能性は、さらなる活性を提供するさらなる特定の別のホエイ成分が存在することである。他の可能性は、カルシウムおよびACEインヒビターは乳製品の抗肥満効果の一部に寄与するが、乳製品の総合的な効果が新鮮ホエイにおいて見出される複数の乳成分間の相乗効果から生じるようであることである。そうである場合、単離された乳成分がインタクトな乳製品(例えば、新鮮ホエイタンパク質)の抗肥満効果を再現するようであるとは、考えにくい。
【0088】
図11は、骨格筋量に対する食事性処置の効果をまとめる。予想通り、低カルシウム食でのエネルギー制限による骨格筋量の減少が存在し、そしてACE阻害を伴うかまたはACE阻害を伴わないカルシウム(炭酸カルシウムまたはホエイ由来無機質混合物のいずれか)の添加は、この減少を改変も減弱もしなかった。対照的に、乳ベースの食事および新鮮ホエイベースの食事の両方は、エネルギー制限中の腓腹筋量の減少を完全に予防し、そして実際に、無制限に餌を与えた動物と比較して、僅かではあるが、統計学的に有意(p<0.01)な増大をもたらした。これらのデータは、乳製品ベースの食事が脂肪組織から骨格筋への食事性エネルギーの再分配を促進し、除脂肪体重の保存および/または改善をもたらす一方で、脂肪組織が失われることを示唆する。
【0089】
実施例2に示されるように、インタクトな乳および新鮮ホエイは、十分な抗肥満効果および骨格筋節約効果をもたらした。理論に束縛されることを意図しないが、新鮮ホエイおよびインタクトな乳における分岐鎖アミノ酸は、骨格筋量のこの保存に寄与し得る。
【0090】
カルシウムおよび乳製品食品が脂肪細胞の機能を調節することによって肥満の危険性を変化させ得ることによる複数の機構が存在する。例えば、低カルシウム食に応答して産生されたカルシトリオールの増加は、増大した脂肪生成および減少した脂肪分解を生じ、そして結果的に脂肪細胞のトリグリセリド貯蔵の拡大をもたらす脂肪細胞[Ca2+]iの流入を刺激することが見出されている。対照的に、より高カルシウムの食事は、マウスにおいて、脂肪生成を阻害し、脂肪分解、脂質酸化および熱産生を促し、そして食事誘導性肥満を阻害する。さらに、カルシトリオールは、脂肪細胞においてミトコンドリアの非共役(uncoupling)およびアポトーシスの両方を阻害し、低カルシウム食におけるエネルギー保存の増大した効率を生じるが、より大きい脂肪細胞の非共役およびアポトーシスが、より高カルシウムの食事において見出された。これらの実施例の結果は、これらの結論を支持する。全ての高カルシウム食は、高カルシウム食において、脂肪細胞の細胞内カルシウムを294±46nMから118±34nMへと抑制し(p<0.0001)、そして食事性カルシウム源の間に有意差は存在しなかった。
【0091】
上記高カルシウム食は全て、低カルシウム食と比較して脂肪組織の脂肪酸シンターゼの遺伝子発現を42%抑制し(p<0.001)、一方で上記新鮮ホエイベースの食事および乳ベースの食事は、さらなる54%のさらなる抑制をもたらした(高カルシウムに対してp<0.001)。さらに、高カルシウム食に対するACEインヒビターの添加は、同様の効果をもたらし(高カルシウムによって見出されるものよりもさらに47%の抑制;高カルシウムに対してp<0.001;乳または新鮮ホエイと有意に異ならない)、これは、カルシウムと比較して乳製品による脂肪酸シンターゼのさらなる抑制が乳製品食品におけるACE阻害活性の存在に大きく起因することを示す。
【0092】
上記高カルシウム食は、脂肪組織の脂肪分解の63%の刺激を誘発し(p<0.01)、その脂肪分解は、新鮮ホエイおよび乳の食事によってさらに74%増大されたが(p<0.01)、その高カルシウム食に対するACEインヒビターの添加は効果を有さなかった。したがって、高カルシウム食によって見出されるものよりも高い脂肪分解に寄与するさらなる乳成分は、現在、依然として完全には同定されていない。
【0093】
脂肪組織のUCP2発現は、上記高カルシウム食によって約2倍増大した(p<0.001)、そのUCP2発現は、乳ベースの食事および新鮮ホエイベースの食事におけるさらなる35%の刺激(p<0.01)を伴い、一方で上記ACEインヒビターは、効果を有さなかった。骨格筋において、上記高カルシウム食は、PPARα発現に対する有意な効果を有さなかった;しかし、乳および新鮮ホエイの食事は、>2倍の刺激(全ての他の食事に対してp<0.01)を誘発し、これは、利用可能な食事性エネルギーを脂肪組織における貯蔵から骨格筋における酸化に再分配することにおける乳製品の役割をさらに支持する。
【0094】
表4は、これらの分子生物学の結果をまとめる。
【0095】
【表4】
要約すると、新鮮ホエイ由来ACEインヒビターを消費することは、少なくとも脂肪組織の脂肪酸シンターゼに関連して、無機質カルシウムのみまたは低カルシウムを有する食事よりも優れた代謝効果を提供し、そして新鮮ホエイおよび乳は、他の遺伝子発現の測定に関して優れた結果を提供する。これらのデータは、乳のさらなる(非カルシウム性)抗肥満がホエイ画分に主としてか、または専ら存在することを示す。ホエイのACE阻害活性は、この生物活性に寄与し、他の因子は、カルシウムとACEインヒビターとの組み合わせが、乳または新鮮ホエイよりも有意に有効ではないので、生物活性を増大させるために、独立してか、または相乗的かのいずれかで作用しなければならない。カルシウムは、乳製品の非存在下において限定的な抗肥満生物活性を発揮するが、カルシウムは、体重の減少のためのエネルギー制限中の骨格筋量の減少に対して保護を提供しない一方で、乳および新鮮ホエイは、このマウスモデルにおいて、この減少に対して十分な保護し、そして骨格筋PPARα(脂質酸化のマーカー)を刺激する。ACE阻害は、これにおいて役割を有さないようである;豊富な濃度の分岐鎖アミノ酸がこの効果を大きく担うことが、提唱される
上述の説明から、当業者は、本発明の本質的特徴を容易に確認し得、そしてその精神および範囲から逸脱することなく、当業者は、本発明を種々の用途および条件に適合させるために、本発明の変更および改変をなし得る。
【0096】
さらなる詳述を伴わずに、当業者は前述の説明を使用して本発明をその完全な範囲まで利用し得ると、考えられる。したがって、前述した例示の特定の実施形態は、単なる例示として解釈されるべきであり、そして決して本開示の残部を限定するものとして解釈されるべきではない。上記および下記に引用した全ての出願、特許および刊行物ならびに図面における開示の全体は、本明細書に参考として援用される。
【0097】
【表5−1】
【0098】
【表5−2】
【0099】
【表5−3】
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】図1は、新鮮ホエイ製品の効果および機構の概略図である。食事性カルシウムが不十分であると、ヒト脂肪細胞において細胞内カルシウム([Ca2+]i)を増大させ、それによって脂肪生成を刺激し、脂肪分解を阻害し、そしてトリグリセリドの蓄積を増大させる。対照的に、新鮮ホエイ製品などの乳製品によって食事性カルシウムを増大させることは、カルシトロフィック(calcitrophic)ホルモンである1α,25−(OH)2−D3を抑制し、それによって[Ca2+]iを減少させ、結果的にトリグリセリドの蓄積を減少させる。
【図2】図2は、aP2プロモーターの制御下で脂肪細胞において特異的にアグーチを発現する8群のトランスジェニックマウスにおけるカルシウムおよび選択的な乳成分の特定の給餌パターンを概説する。
【図3】図3は、aP2プロモーターの制御下で脂肪細胞において特異的にアグーチを発現するトランスジェニックマウスにおける体重の変化に対する、カルシウムおよび選択的な乳成分を6週間にわたって消費することの効果を示す。
【図4】図4は、aP2プロモーターの制御下で脂肪細胞において特異的にアグーチを発現するトランスジェニックマウスにおける脂肪パッド量に対する、カルシウムおよび選択的な乳成分を6週間にわたって消費することの効果を示す。
【図5】図5は、aP2プロモーターの制御下で脂肪細胞において特異的にアグーチを発現するトランスジェニックマウスにおける腹部脂肪に対する、カルシウムおよび選択的な乳成分を6週間にわたって消費することの効果を示す。
【図6】図6は、aP2プロモーターの制御下で脂肪細胞において特異的にアグーチを発現するトランスジェニックマウスにおける腎傍脂肪に対する、カルシウムおよび選択的な乳成分を6週間にわたって消費することの効果を示す。
【図7】図7は、aP2プロモーターの制御下で脂肪細胞において特異的にアグーチを発現するトランスジェニックマウスにおける肩甲下脂肪に対する、カルシウムおよび選択的な乳成分を6週間にわたって消費することの効果を示す。
【図8】図8は、aP2プロモーターの制御下で脂肪細胞において特異的にアグーチを発現するトランスジェニックマウスにおける腓腹筋量に対する、カルシウムおよび選択的な乳成分を6週間にわたって消費することの効果を示す。
【図9】図9は、aP2プロモーターの制御下で脂肪細胞において特異的にアグーチを発現するトランスジェニックマウスにおける体重の変化に対する、カルシウムおよび選択的な乳成分(新鮮ホエイ製品を含む)を6週間にわたって消費することの効果を示す。
【図10】図10は、aP2プロモーターの制御下で脂肪細胞において特異的にアグーチを発現するトランスジェニックマウスにおける脂肪パッド量に対する、カルシウムおよび選択的な乳成分(新鮮ホエイ製品を含む)を6週間にわたって消費することの効果を示す。
【図11】図11は、aP2プロモーターの制御下で脂肪細胞において特異的にアグーチを発現するトランスジェニックマウスにおける腓腹筋量に対する、カルシウムおよび選択的な乳成分(新鮮ホエイ製品を含む)を6週間にわたって消費することの効果を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体重を調節する個体に、カルシウム含有新鮮ホエイ製品の有効な量を投与し、それによって、該個体において、体重および/または脂肪の減少を誘導するか、体重および/または脂肪の増加を予防するか、ならびに/あるいは代謝による脂肪組織消費量を増大させる工程を包含する、方法。
【請求項2】
筋肉量を維持する工程および/または筋肉量の増大を誘導する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記新鮮ホエイ製品が、前記個体における体重および/または脂肪の減少の誘導、体重および/または脂肪の増加の予防、代謝による脂肪組織消費量の増大、ならびに/あるいは筋肉量の維持について、乳と同程度に有効である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記個体は、カロリー制限された食事で維持される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記筋肉は、四肢において維持される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記筋肉は、骨格筋である、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記投与された新鮮ホエイ製品は、脂肪パッド量の減少、腹部脂肪の減少、腎傍脂肪の減少または肩甲下脂肪の減少、およびそれらの組み合わせを選択的に誘導する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記新鮮ホエイ製品は、筋肉量の増大を誘導する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記新鮮ホエイ製品は、ホエイ由来タンパク質単離物またはホエイ由来無機質分画およびホエイ由来酵素阻害ペプチド分画、ならびに/あるいはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ホエイ由来タンパク質単離物は、ウシ血清アルブミン、α−ラクトグロブリン、β−ラクトグロブリン、κ−カゼイン、ラクトフェリン、ラクトペルオキシダーゼ、および/または免疫グロブリンを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ホエイ由来無機質画分は、カルシウム、銅、マグネシウム、リン、カリウム、セレン、亜鉛および/またはそれらの組み合わせを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記ホエイ由来無機質画分は、カルシウムを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記新鮮ホエイ製品は、乳製品を強化する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記乳製品は、乳、ヨーグルトまたはチーズである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記新鮮ホエイ製品は、酵素阻害ペプチド画分を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記酵素阻害ペプチドは、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害ペプチドを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記新鮮ホエイ製品は、粉末の形態にある、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記新鮮ホエイ製品は、栄養組成物または食事組成物、あるいは栄養補助剤に組み込まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記新鮮ホエイ製品は、食品に組み込まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記食品は、飲料である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記食品は、酸性ジュース飲料、酸性飲料、中性pH飲料、栄養補助食品、菓子製品、乳製品、ベーカリー製品および穀粉製品からなる群より選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記新鮮ホエイ製品組成物は、錠剤、カプセル剤、または他の無機質および/もしくはビタミンとの組み合わせの形態にある、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記新鮮ホエイ製品を個体に投与し、それによって高血圧、脳卒中、肥満、腎臓結石、結腸癌、乳癌、頭頸部腫瘍、月経前症候群、産後うつ病、妊娠性高血圧障害、2型糖尿病、うつ病、喘息、炎症性腸疾患、注意欠陥障害、片頭痛、腎疾患、高コレステロール血症、うっ血性心不全、および免疫不全からなる群より選択される障害を処置する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記新鮮ホエイ製品は、その必要がある個体に肥満を処置するために投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
個体に、ホエイ由来無機質画分、ホエイ由来タンパク質単離物、およびホエイ由来酵素阻害ペプチド画分からなる群より選択される2種以上の体重制御成分を含む新鮮ホエイ製品の治療的に有効な量を投与し、それによって該個体において体重および/または脂肪の減少を誘導するか、体重および/または脂肪の増加を予防するか、ならびに/あるいは代謝による脂肪組織消費量を増大させる工程を包含する、体重状態を処置する方法。
【請求項26】
筋肉量を維持する工程および/または筋肉量の増大を誘導する工程をさらに包含する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
ホエイ由来無機質画分、ホエイ由来タンパク質単離物およびホエイ由来酵素阻害ペプチド画分からなる群より選択される成分を含む治療的に有効な量の新鮮ホエイ製品をパッケージ中に含む体重管理組成物であって、該パッケージには、個体において体重および/または脂肪の減少を誘導するか、体重および/または脂肪の増加を予防するか、ならびに/あるいは代謝による脂肪組織消費量を増大させながらも筋肉量を維持するか、および/または筋肉量を増大させるために有効な量の該ホエイ製品を消費することの効果についての情報のラベルが付けられている、体重管理組成物。
【請求項1】
体重を調節する個体に、カルシウム含有新鮮ホエイ製品の有効な量を投与し、それによって、該個体において、体重および/または脂肪の減少を誘導するか、体重および/または脂肪の増加を予防するか、ならびに/あるいは代謝による脂肪組織消費量を増大させる工程を包含する、方法。
【請求項2】
筋肉量を維持する工程および/または筋肉量の増大を誘導する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記新鮮ホエイ製品が、前記個体における体重および/または脂肪の減少の誘導、体重および/または脂肪の増加の予防、代謝による脂肪組織消費量の増大、ならびに/あるいは筋肉量の維持について、乳と同程度に有効である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記個体は、カロリー制限された食事で維持される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記筋肉は、四肢において維持される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記筋肉は、骨格筋である、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記投与された新鮮ホエイ製品は、脂肪パッド量の減少、腹部脂肪の減少、腎傍脂肪の減少または肩甲下脂肪の減少、およびそれらの組み合わせを選択的に誘導する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記新鮮ホエイ製品は、筋肉量の増大を誘導する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記新鮮ホエイ製品は、ホエイ由来タンパク質単離物またはホエイ由来無機質分画およびホエイ由来酵素阻害ペプチド分画、ならびに/あるいはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ホエイ由来タンパク質単離物は、ウシ血清アルブミン、α−ラクトグロブリン、β−ラクトグロブリン、κ−カゼイン、ラクトフェリン、ラクトペルオキシダーゼ、および/または免疫グロブリンを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ホエイ由来無機質画分は、カルシウム、銅、マグネシウム、リン、カリウム、セレン、亜鉛および/またはそれらの組み合わせを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記ホエイ由来無機質画分は、カルシウムを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記新鮮ホエイ製品は、乳製品を強化する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記乳製品は、乳、ヨーグルトまたはチーズである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記新鮮ホエイ製品は、酵素阻害ペプチド画分を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記酵素阻害ペプチドは、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害ペプチドを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記新鮮ホエイ製品は、粉末の形態にある、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記新鮮ホエイ製品は、栄養組成物または食事組成物、あるいは栄養補助剤に組み込まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記新鮮ホエイ製品は、食品に組み込まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記食品は、飲料である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記食品は、酸性ジュース飲料、酸性飲料、中性pH飲料、栄養補助食品、菓子製品、乳製品、ベーカリー製品および穀粉製品からなる群より選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記新鮮ホエイ製品組成物は、錠剤、カプセル剤、または他の無機質および/もしくはビタミンとの組み合わせの形態にある、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記新鮮ホエイ製品を個体に投与し、それによって高血圧、脳卒中、肥満、腎臓結石、結腸癌、乳癌、頭頸部腫瘍、月経前症候群、産後うつ病、妊娠性高血圧障害、2型糖尿病、うつ病、喘息、炎症性腸疾患、注意欠陥障害、片頭痛、腎疾患、高コレステロール血症、うっ血性心不全、および免疫不全からなる群より選択される障害を処置する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記新鮮ホエイ製品は、その必要がある個体に肥満を処置するために投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
個体に、ホエイ由来無機質画分、ホエイ由来タンパク質単離物、およびホエイ由来酵素阻害ペプチド画分からなる群より選択される2種以上の体重制御成分を含む新鮮ホエイ製品の治療的に有効な量を投与し、それによって該個体において体重および/または脂肪の減少を誘導するか、体重および/または脂肪の増加を予防するか、ならびに/あるいは代謝による脂肪組織消費量を増大させる工程を包含する、体重状態を処置する方法。
【請求項26】
筋肉量を維持する工程および/または筋肉量の増大を誘導する工程をさらに包含する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
ホエイ由来無機質画分、ホエイ由来タンパク質単離物およびホエイ由来酵素阻害ペプチド画分からなる群より選択される成分を含む治療的に有効な量の新鮮ホエイ製品をパッケージ中に含む体重管理組成物であって、該パッケージには、個体において体重および/または脂肪の減少を誘導するか、体重および/または脂肪の増加を予防するか、ならびに/あるいは代謝による脂肪組織消費量を増大させながらも筋肉量を維持するか、および/または筋肉量を増大させるために有効な量の該ホエイ製品を消費することの効果についての情報のラベルが付けられている、体重管理組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2008−535919(P2008−535919A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−506599(P2008−506599)
【出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/013454
【国際公開番号】WO2006/110731
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(500296088)ユニバーシティ オブ テネシー リサーチ ファウンデーション (9)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/013454
【国際公開番号】WO2006/110731
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(500296088)ユニバーシティ オブ テネシー リサーチ ファウンデーション (9)
【Fターム(参考)】
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