説明

脂肪の蓄積を抑制する食品

【課題】 これまでに無いレベルで体内への脂肪の蓄積を抑制する食品を提供する。
【解決手段】 L−アラビノースと、脂肪吸収抑制剤および/または脂肪燃焼促進剤を含有することを特徴とする食品であり、好ましくは、脂肪吸収抑制剤および/または脂肪燃焼促進剤が、キトサン、L−カルニチン、シクロデキストリン、フィトステロール、β−グルカン、サポニン、コンドロイチン硫酸、超短鎖ペプチド、ギムネマシルベスタ、カテキン類、プアール茶、ヒドロキシクエン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種類であるものであり、また好ましくは、食品が、痩身、肥満治療、コレステロール値低下、糖尿病予防、糖尿病治療、基礎代謝能力向上のいずれか一つ以上を目的とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、L−アラビノースと脂肪吸収抑制剤および/または脂肪燃焼促進剤を含有する脂肪の蓄積を抑制する食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年食生活は大きく変化し、飽食の時代といわれるまでになった。このような中、肥満人口の増加が社会的問題となっている。肥満は外見上の問題があるばかりではなく、心臓病、糖尿病、癌などの生活習慣病の発病に関わっていることが知られており、多くの先進国において医療費の増大を引き起こす国家的な問題にもなっている。
【0003】
肥満は、体内に脂肪が過剰に蓄積した状態であり、脂肪が体内に蓄積する原因としては運動不足や過剰なカロリー摂取が挙げられる。特に、糖類(炭水化物)や脂肪の過剰摂取は脂肪の蓄積に大きく影響するため、食品分野においては脂肪の蓄積を抑制する為の様々な機能性食品が開発されてきた。
【0004】
例えば、糖類の吸収を抑制する食品素材としては、L−アラビノース、難消化性デキストリン、ギムネマシルベスタ、キシロース、キシリトールなどが知られている。これらの中でもL−アラビノースは、シュクロースに近い味質を持ち、シュクロース等、二糖の加水分解酵素を阻害する、すなわちα−グルコシダーゼ阻害活性を持つことから、シュクロース等摂取時の血糖値の上昇を抑制するという効果において優れた素材である。L−アラビノースは、十二指腸、小腸粘膜の微絨毛膜表面(粘膜刷毛縁)に局在するスクラーゼやマルターゼ等の二糖類分解酵素を不拮抗型で阻害し、その結果、摂取した炭水化物のD−グルコースやD−フルクトースへの分解が緩やかに起こるようになるため、十二指腸や空腸上部での吸収が少なくなり、小腸中部、下部で消化吸収するようになる。すなわち、小腸全体を使って単糖の吸収がゆっくりと行なわれるため、食後の急峻な血糖値上昇(過血糖)を抑制、満腹感が持続し、食欲を抑えられることから、ダイエット効果を示すというものである(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
L−アラビノースを高収率で安価に工業生産するための方法が提案され(例えば、特許文献1、2参照)、またL−アラビノースを含有する機能性食品についても報告されている(例えば、特許文献3〜7参照)。
【0006】
また、脂肪の吸収を抑制する食品素材としては、キトサン、β−グルカン、超短鎖ペプチド、ギムネマシルベスタ、カテキン、プアール茶、植物ステロールなどが知られている。
これらの素材は、例えばキトサンは異なる電荷を持つ脂肪を吸着して排出する作用があり、プアール茶も含有する茶ポリフェノールが脂肪を吸着する性質を持つ。また、植物ステロールは小腸でのコレステロールの吸収を拮抗的に阻害する作用がある。
【0007】
脂肪の燃焼を促進する食品素材としては、L−カルニチン、カプサイシン、ガラナなどが知られている。これらの素材は、体内に蓄積された脂肪を燃焼することで消費するものであり、基礎代謝能力の向上も見込むことができる。特にL−カルニチンは動物の筋肉に多く含まれる物質であり、近年これによる脂肪燃焼作用が注目されている。
【非特許文献1】檜作進著、J.Appl.Glucosci.,Vol.46,N0.2,p.159−165(1999)
【特許文献1】特開2001−286294号公報
【特許文献2】特開2002−95491号公報
【特許文献3】特開2002−136272号公報
【特許文献4】特開2002−136278号公報
【特許文献5】特開2003−319758号公報
【特許文献6】特開2004−73197号公報
【特許文献7】特開2004−129595号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、脂肪の蓄積を抑制しようとする人々が要求するレベルは、際限なく高いのが現状であり、上記の素材単独で使用しても満足できるものではなかった。
【0009】
本発明は、これまでに無いレベルで体内への脂肪の蓄積を抑制する食品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、L−アラビノースとともに、脂肪の吸収を抑制する素材や脂肪の燃焼を促進する素材を併せて摂取することにより、脂肪の蓄積が著しく抑制されることを見出し、本発明に至った。
【0011】
すなわち本発明は、L−アラビノースと、脂肪吸収抑制剤および/または脂肪燃焼促進剤を含有することを特徴とする食品を要旨とするものであり、好ましくは、脂肪吸収抑制剤および/または脂肪燃焼促進剤が、キトサン、L−カルニチン、シクロデキストリン、フィトステロール、β−グルカン、サポニン、コンドロイチン硫酸、超短鎖ペプチド、ギムネマシルベスタ、カテキン類、プアール茶、ヒドロキシクエン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種類であるものであり、また好ましくは、食品が、痩身、肥満治療、コレステロール値低下、糖尿病予防、糖尿病治療、基礎代謝能力向上のいずれか一つ以上を目的とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、体内への脂肪の蓄積を効果的に抑制することができ、美容効果のみならず糖尿病予防、糖尿病治療を効果的に行えるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明で用いられるL−アラビノースは、単品であってもL−アラビノースを含有する組成物であっても良く、食品として使用できるものであれば原料も特に限定されない。L−アラビノースを製造する原料としては例えば、ビート、リンゴ、トウモロコシ、ミカン、落花生、米ぬか、大豆など様々なものが考えられるが、これらの中でビートが好ましく、ビートからシュクロースを製造する際に副産物として出るビートパルプに適当な酵素を作用させてL−アラビノースを遊離させたものが、安全、安価であり好ましい。ここで用いられる酵素としては、アラビナン含有物に作用してL−アラビノースを遊離する活性を有する酵素であればよく、具体的にはアラビナーゼ(アラバナーゼ)、アラビノフラノシダーゼ等のアラビナン分解酵素が挙げられる。
【0015】
本発明の食品に含まれるL−アラビノースの量は特に限定されないが、0.01質量%以上99質量%以下が好ましく、1質量%以上90質量%以下がより好ましい。これより少なければ、摂取した糖類が脂肪として蓄積してしまう問題があり、これより多ければ脂肪吸収抑制剤およびまたは脂肪燃焼促進剤の添加量が減少するため、摂取した脂肪が蓄積してしまう問題がある。また、L−アラビノースは、シュクロース量に対して0.1質量%から50質量%、好ましくは1質量%から20質量%、さらに好ましくは2質量%から5質量%を摂取すると、シュクロースの吸収を有意に阻害できることから、本発明の食品は同時に摂取する他の食品中に含まれる糖類を考慮した量を摂取することが好ましい。
【0016】
本発明で用いられる脂肪吸収抑制剤は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されない。また、単独で使用してもよいし、いくつかの脂肪吸収抑制剤および/または脂肪燃焼促進剤などと併用してもよい。そのような脂肪吸収抑制剤としては、キトサン(カニ、エビ等の甲殻類由来、シイタケ、マイタケ、シメジ、エノキダケ、アガリクスダケ、ハナビラタケ等のキノコ類由来等いかなるものでも良い)、キトサン生体高分子複合物(アブソービトル)、シクロデキストリン類(α−体、β−体、γ−対いずれでも良く、単独でもこれらのうち2種類以上の混合物でも良い)、超短鎖ペプチド、フィトステロール(β−シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、シトスタノール、カンペスタノールいずれでも良く、単独でもこれらのうち2種類以上の混合物でも良い)、β−グルカン(1,3−結合、1,6−結合いずれでも良く、キノコ類由来、酵母由来等いかなるものでも良いが、キノコ類由来のものが特に好ましい)、サポニン、コンドロイチン硫酸、カテキン類(カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピガロカテキンガレートいずれでも良く、単独でもこれらのうち2種類以上の混合物でも良い)、ウーロン茶ポリフェノール、ベルゲニン、アスチルビン、ジアシルグリセロール、ギムネマシルベスタ、グァバ、グロビン蛋白分解物、アラニン、アルギン酸、シトラス、食物繊維、スレオニン、パパイン酵素、プアール茶、ケルセチン、ローヤルゼリー、オオバコ、オーリスタット(医薬品)、クコ等が挙げられ、これらの中で、キトサン、キトサン生体高分子複合物(アブソービトル)、フィトステロール、β−グルカン、カテキン類、ウーロン茶ポリフェノール、食物繊維、ガルシニア、プアール茶が好ましく、キトサン、フィトステロール、β−グルカン、ウーロン茶ポリフェノール、食物繊維、プアール茶がさらに好ましい。
【0017】
本発明で用いられる脂肪燃焼促進剤は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されない。また、単独で使用しても良いしいくつかの脂肪吸収抑制剤および/または脂肪燃焼促進剤などと併用しても良い。そのような脂肪燃焼促進剤としては、L−カルニチン(酒石酸塩、フマル酸塩等の塩類でも良い)、カフェイン、フィルスコリン、クロロゲン酸、ヒドロキシクエン酸(ガルシニア由来のものが好ましい)、共役リノール酸、グロビン蛋白分解物、クロム、黄杞、アルギニン、イソターム、トナリン、ビタミンB2、ビタミンB12、ビタミンF等が挙げられ、これらの中でL−カルニチン、カフェイン、ヒドロキシクエン酸、共役リノール酸が好ましく、L−カルニチン、ヒドロキシクエン酸がさらに好ましい。
【0018】
本発明の食品中に含まれる脂肪吸収抑制剤および/または脂肪燃焼促進剤の量は、本発明の効果が損なわれない限り特に限定されないが、0.01質量%以上99質量%以下が好ましく、1質量%以上90質量%以下がより好ましい。この量は、使用する脂肪吸収抑制剤および/または脂肪燃焼促進剤によっても異なり、それぞれの好適な量に合わせて含有させることが好ましいが、一般にこの範囲より少なければ、体内に脂肪を蓄積させないためには非常に大量の本発明品を摂取しなければならず、この範囲より多ければL−アラビノースの量が相対的に少なくなるために本発明のような著しい効果が発揮されない可能性がある。
【0019】
本発明における脂肪吸収抑制剤および脂肪燃焼促進剤の組み合わせとしては、キトサンおよびL−カルニチン、キトサンおよびヒドロキシクエン酸、β−グルカンおよびL−カルニチン、β−グルカンおよびヒドロキシクエン酸、ウーロン茶ポリフェノールおよびL−カルニチン、ウーロン茶ポリフェノールおよびヒドロキシクエン酸、食物繊維およびL−カルニチン、食物繊維およびヒドロキシクエン酸、プアール茶およびL−カルニチン、プアール茶およびヒドロキシクエン酸が好ましく、キトサンおよびL−カルニチン、β−グルカンおよびL−カルニチン、食物繊維およびL−カルニチン、食物繊維およびヒドロキシクエン酸、プアール茶およびL−カルニチンがさらに好ましい。
【0020】
また、これらの組み合わせの場合の各成分の含有量としては、キトサンおよびL−カルニチンの場合、L−アラビノース10質量部に対して、キトサンが1質量部〜25質量部、L−カルニチンが0.2質量部〜5質量部、キトサンおよびヒドロキシクエン酸の場合、L−アラビノース10質量部に対して、キトサンが1質量部〜25質量部、ヒドロキシクエン酸が1質量部〜25質量部、β−グルカンおよびL−カルニチンの場合、L−アラビノース10質量部に対して、β−グルカンが2質量部〜50質量部、L−カルニチンが0.2質量部〜5質量部、β−グルカンおよびヒドロキシクエン酸の場合、L−アラビノース10質量部に対して、β−グルカンが2質量部〜50質量部、ヒドロキシクエン酸が1質量部〜25質量部、ウーロン茶ポリフェノールおよびL−カルニチンの場合、L−アラビノース10質量部に対して、ウーロン茶ポリフェノールが0.2質量部〜5質量部、L−カルニチンが0.2質量部〜5質量部、ウーロン茶ポリフェノールおよびヒドロキシクエン酸の場合、L−アラビノース10質量部に対して、ウーロン茶ポリフェノールが0.2質量部〜5質量部、ヒドロキシクエン酸が2質量部〜50質量部、食物繊維およびL−カルニチンの場合、L−アラビノース10質量部に対して、食物繊維が10質量部〜500質量部、L−カルニチンが0.2質量部〜5質量部、食物繊維およびヒドロキシクエン酸の場合、L−アラビノース10質量部に対して、食物繊維が10質量部〜500質量部、ヒドロキシクエン酸が2質量部〜50質量部、プアール茶およびL−カルニチンの場合、L−アラビノース10質量部に対して、プアール茶が固形分換算で0.1質量部〜20質量部、L−カルニチンが0.2質量部〜5質量部、プアール茶およびヒドロキシクエン酸の場合、L−アラビノース10質量部に対して、プアール茶が固形分換算で0.1質量部〜20質量部、ヒドロキシクエン酸が2質量部〜50質量部であることが好ましい。
【0021】
本発明の脂肪の蓄積を抑制する食品は、有効成分であるL−アラビノースと脂肪吸収抑制剤および/または脂肪燃焼促進剤のみで構成されていても良いが、その他の成分を含有していても良い。その他の成分は特に限定されず、粉末化や打錠を容易にするために賦型剤として添加するデキストリンや乳糖等のようなもの、液体状に加工するための水性、油性組成物、ソフトカプセル・グミなどに加工するためのゼラチンや寒天のようなものでも良いし、ジュース類、パン、米飯、菓子類、酒類、調味料等のようにそれ自体が主たる食品となっているものでも良い。その他の成分の含有量は本発明の効果を損なわない限り特に限定されない。
【0022】
本発明の食品は、摂取し、脂肪の蓄積を抑制することによって体に良い効果を及ぼすことを目的とするものである。具体的な目的としては痩身、肥満治療、コレステロール値低下、糖尿病予防、糖尿病治療、基礎代謝能力向上が挙げられ、これらのうち少なくとも一つの作用効果を奏するものであり、好ましくは前記のすべての作用効果を奏する。体内に蓄積した脂肪は肥満の原因となり、まず美容の観点から好ましくない。さらに肥満は近年糖尿病、心臓病、ガン、脳卒中などの成人病の発病に関わっていることが報告されており健康上全く好ましくないものである。
【0023】
本発明における痩身とは、体内の脂肪の蓄積を抑制する及び又は体内の脂肪を燃焼させることによるものであり、特に部位は限定されない。本発明における肥満治療とは、外見上の肥満は言うに及ばず、脂肪肝など内臓脂肪の蓄積も含む。
【0024】
本発明におけるコレステロール値低下とは、血清中のコレステロール量に関するものである。一般に血清中の総コレステロール量は2.2g/L以下であることが望ましいとされ、いわゆる善玉コレステロールであるHDLコレステロール量は0.7g/L程度あるほうが好ましいとされている。一方、いわゆる悪玉コレステロールであるLDLコレステロール量は1.5g/Lを超えると危険であるとされている。本発明におけるコレステロール値低下は、総コレステロール量2.2g/L以下、HDLコレステロール0.4g/L以上、LDLコレステロール1.5g/L以下の範囲で血清中コレステロール量が低下するものである。
【0025】
本発明における糖尿病とは、1型糖尿病、2型糖尿病の両方を含む。糖尿病は食後に血糖値が急激に上昇したまま下がらなくなる病気であり、一般的には空腹時の血糖値が126mg/dl以上の場合に診断される。糖尿病は血糖値が下がりにくくなるだけでなく、それによって疲労の増大、網膜症、腎症、神経障害、動脈硬化などの合併症が起こりやすくなり、ひとたび発症すると、インスリン注射、食事療法、運動療法などを行う必要があり、生活面での制約を多く受けるようになる。また、現在は糖尿病と診断されるレベルではなくとも、このままの生活を続けると糖尿病を発症する可能性が高い糖尿病予備軍あるいは境界型と言われる人が増加しており、これらの人も含めると40歳代以上の約2割が糖尿病あるいは糖尿病予備軍であることが知られている。
【0026】
本発明における糖尿病予防とは、このような糖尿病発症、及び又は糖尿病予備軍への移行を予防することを示し、糖尿病治療とはすでに糖尿病及び又は糖尿病予備軍である人の症状を緩和させることを示す。
【0027】
本発明における基礎代謝とは、意識的な運動以外に体内で自然にエネルギーが消費されることを意味しており、臓器の中では筋肉によるエネルギー消費の割合が最も大きいと言われている。基礎代謝能力が高い人は、運動量が少なくても体内でのエネルギーの消費量が大きいために、体内の脂肪は燃焼し、脂肪の体内への蓄積も抑制される傾向にある。反対に基礎代謝能力の低い人は、体内に脂肪が蓄積しやすい傾向にある。本発明における基礎代謝能力の向上とは、このように体内でのエネルギー消費レベルの向上を意味する。
【実施例】
【0028】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0029】
製造例1
ユニチカ(株)製ビート由来L−アラビノース粉末1kg、脂肪吸収抑制剤としてキトサン粉末(甲陽ケミカル(株)製「コーヨーキトサンFM−80」)1kgを混合し、水をバインダーとして噴霧しながら造粒機によって造粒を行った。その結果、1865gの白色顆粒状の脂肪の蓄積を抑制する食品が得られた。
【0030】
製造例2
製造例1においてキトサン粉末1kgを脂肪燃焼促進剤としてのL−カルニチン酒石酸エステル(ロンザジャパン(株)製「L−カルニチン結晶性粉末」)100gに代えた以外は同様に混合して造粒を行った。その結果、1098gの白色顆粒状の脂肪の蓄積を抑制する食品が得られた。
【0031】
製造例3
ユニチカ(株)製L−アラビノース粉末300gと、脂肪吸収抑制剤としての植物シトステロール(ウーハンカイディファインケミカルインダストリー社(中国)製「フィトステロール」)700gを混合し、打錠機にて1錠300mgとなるように打錠することによって、3000錠の白色の脂肪の蓄積を抑制する食品が得られた。
【0032】
製造例4
ユニチカ(株)製L−アラビノース粉末200gを脂肪吸収抑制剤としてのプアール茶(オリヒロ(株)製「プアール茶」30gを10Lの沸騰水に入れ、3分間抽出し、放冷したもの)10Lに溶解することにより、10Lの若干の甘みを有する脂肪の蓄積を抑制する飲料が得られた。
(機能性試験)
Wistarラットのオス4週齢30匹を購入し、1週間、表1に示した飼料1で馴化飼育した後A〜Fの6群に分け、表1に示した高脂肪食である飼料2に切り替えて飼育した。A〜E群については実施例1〜2、比較例1〜4に示す被験物質2mlを1日1回胃ゾンデを用いて経口投与した。なお、飼料2および飲料水は自由摂取とし、試験期間は飼料2に切り替えて4週間とした。
【0033】
【表1】

【0034】
実施例1
被験物質として製造例1に記載の食品50gを飲料水に溶解し、400mlとした。これを機能性試験においてラットA群に投与した。4週間投与後にラットから採血、肝臓摘出手術を行い、各種分析に供した。体重増加率、肝臓脂質量、肝臓コレステロール量、血中コレステロール量、血中LDLコレステロール量、血中トリグリセライド量の平均値を表2に示す。この結果から、L−アラビノースと水溶性キトサンを投与した群は有意に体重、肝臓脂質量、肝臓コレステロール量、血中コレステロール量、血中LDLコレステロール量、血中トリグリセライド量の増加を抑制することができた。
【0035】
実施例2
被験物質として製造例2に記載の食品27.5gを飲料水に溶解し、400mlとした。これを機能性試験においてラットB群に投与した。4週間投与後にラットから採血、肝臓摘出手術を行い、各種分析に供した。体重増加率、肝臓脂質量、肝臓コレステロール量、血中コレステロール量、血中LDLコレステロール量、血中トリグリセライド量の平均値を表2に示す。この結果から、L−アラビノースとL−カルニチンを投与した群は有意に体重、肝臓脂質量、肝臓コレステロール量、血中コレステロール量、血中LDLコレステロール量、血中トリグリセライド量の増加を抑制することができた。
【0036】
比較例1
被験物質としてL−アラビノース25gのみを飲料水に溶解し、400mlとした。これを機能性試験においてC群に投与した。4週間投与後にラットから採血、肝臓摘出手術を行い、各種分析に供した。体重増加率、肝臓脂質量、肝臓コレステロール量、血中コレステロール量、血中LDLコレステロール量、血中トリグリセライド量の平均値を表2に示す。この結果から、L−アラビノースのみを投与した群では体重、肝臓脂質量、肝臓コレステロール量、血中コレステロール量、血中LDLコレステロール量、血中トリグリセライド量の増加抑制の効果は弱いものであった。
【0037】
比較例2
被験物質として水溶性キトサン25gのみを飲料水に溶解し、400mlとした。これを機能性試験においてD群に投与した。4週間投与後にラットから採血、肝臓摘出手術を行い、各種分析に供した。体重増加率、肝臓脂質量、肝臓コレステロール量、血中コレステロール量、血中LDLコレステロール量、血中トリグリセライド量の平均値を表2に示す。この結果から、水溶性キトサンのみを投与した群では体重、肝臓脂質量、肝臓コレステロール量、血中コレステロール量、血中LDLコレステロール量、血中トリグリセライド量の増加抑制の効果は弱いものであった。
【0038】
比較例3
被験物質としてL−カルニチン2.5gのみを飲料水に溶解し、400mlとした。これを機能性試験においてE群に投与した。4週間投与後にラットから採血、肝臓摘出手術を行い、各種分析に供した。体重増加率、肝臓脂質量、肝臓コレステロール量、血中コレステロール量、血中LDLコレステロール量、血中トリグリセライド量の平均値を表2に示す。この結果から、L−カルニチンのみを投与した群では体重、肝臓脂質量、肝臓コレステロール量、血中コレステロール量、血中LDLコレステロール量、血中トリグリセライド量の増加抑制の効果は弱いものであった。
【0039】
比較例4
機能性試験においてF群は被験物質として飲料水のみの投与とした。4週間投与後にラットから採血、肝臓摘出手術を行い、各種分析に供した。体重増加率、肝臓脂質量、肝臓コレステロール量、血中コレステロール量、血中LDLコレステロール量、血中トリグリセライド量の平均値を表2に示す。この結果から、機能性物質を投与しない群では体重、肝臓脂質量、肝臓コレステロール量、血中コレステロール量、血中LDLコレステロール量、血中トリグリセライド量はいずれも高い値となった。
【0040】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
L−アラビノースと、脂肪吸収抑制剤および/または脂肪燃焼促進剤を含有することを特徴とする食品。
【請求項2】
脂肪吸収抑制剤および/または脂肪燃焼促進剤が、キトサン、L−カルニチン、シクロデキストリン、フィトステロール、β−グルカン、サポニン、コンドロイチン硫酸、超短鎖ペプチド、ギムネマシルベスタ、カテキン類、プアール茶、ヒドロキシクエン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする請求項1記載の食品。
【請求項3】
食品が、痩身、肥満治療、コレステロール値低下、糖尿病予防、糖尿病治療、基礎代謝能力向上のいずれか一つ以上を目的とすることを特徴とする請求項1記載の食品。


【公開番号】特開2006−191830(P2006−191830A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−5207(P2005−5207)
【出願日】平成17年1月12日(2005.1.12)
【出願人】(000004503)ユニチカ株式会社 (1,214)
【Fターム(参考)】