説明

脂質混合物含有栄養物

本発明は妊娠中に代謝障害を患った母親の乳児への授乳のための栄養素生物の製造のための長鎖多価不飽和脂肪酸組成物の使用、および対応する組成物に関する。当該組成物は全脂質重量に対して少なくとも0.1wt%のドコサヘキサエン酸(DHA)、全脂質重量に対して少なくとも0.01wt%のn−3ドコサペンタエン酸(DPAn−3)および全脂質重量に対して少なくとも0.01wt%のエイコサペンタエン酸(EPA)を含むn−3多価不飽和脂肪酸画分を含み、この際DHA、DPAn−3およびEPAの合計は全脂質重量の1wt%未満である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は妊娠中に代謝障害を患った母親の乳児への授乳のための長鎖多価不飽和脂肪酸組成物の使用、およびその使用に適した多価不飽和脂肪酸の栄養組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
乳児の多価不飽和脂肪酸状態は本技術分野において関心が持たれ続けている。いくつかの機能が異なる脂肪酸に帰属されている。例えばドコサヘキサエン酸(DHA)は脳の灰白質や目の網膜の一次構造の脂肪酸成分であり、よって脳や目の機能に必須である。ゆえに、DHAは乳児の成育に特に重要である。
【0003】
DHA欠乏の結果、代わってn−6ドコサペンタエン酸(DPAn−6)が成育中の乳児の脳に取り込まれる。これは排出することが困難なため神経発達疾患に至る可能性があり望ましくない。加えて、DHAの不足は健康な発達を妨げる可能性もある。
【0004】
DHA欠乏は妊娠中に疾病を患った母親の乳児にとって特に重大である。ゆえに、これらの乳児にとっては特に、乳児用ミルクが乳児の最適な脂肪酸分布を提供するということはきわめて重要である。
【0005】
DE 4 327 310には、牛乳に含まれるエイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)およびn−3ドコサペンタエン酸(DPA−n3)を含有する牛乳組成物が記載されており、これは子供の成長、知的機能および視覚機能の促進に有用である。しかしながら、リノール酸/アルファ−リノレン酸(LA/ALA)重量比が最適ではないため、この脂質組成物は乳児への授乳には適さない。
【0006】
WO 01/78530には、早期産児の栄養供給と神経発達促進のための、特定量のドコサヘキサエン酸(DHA)およびアラキドン酸(AA)、さらにそれらの前駆体である必須脂肪酸ALAおよびLAを含む栄養組成物が記載されている。
【0007】
WO 2004/052115には、グリセリド組成物、グリセリド組成物の製造方法、およびグリセリド組成物を含む栄養組成物が記載されている。グリセリド組成物は主に一または複数の長鎖多価不飽和脂肪酸を持つモノグリセリドおよびジグリセリドを含む。また、グリセリド組成物の使用方法および栄養剤も開示されている。
【0008】
WO 98/36745には、壊死性小腸大腸炎の発生率を低下させる方法および組成物が記載されている。当該組成物はn−6およびn−3長鎖多価不飽和脂肪酸を供給する。
【0009】
本発明の目的は妊娠中に代謝障害を患った母親の乳児への授乳に適した多価不飽和脂肪酸を含む栄養組成物を提供することである。
【発明の開示】
【0010】
発明の要約
本発明者らはDHAおよびAAが乳児用ミルクにおいて最適な脳の発達のために十分に存在することが必要であるだけでなく、DHAおよびAAの主要部分はそれらの前駆体から脳内で局所的に合成されるのでこれらの脂肪酸の前駆体も必須であると考える。よって、本発明者らは標準的な乳児用ミルクへのDHAおよび/またはAAの単独添加は、多様な神経組織へのDHAの最適な取り込みには不十分であると考える。ゆえに、本組成物はDHAおよびAAに加え有意量のDHAおよびAAの前駆体を含む。
【0011】
最適なデノボ合成のために、本組成物は少なくともアルファ−リノレン酸(ALA)、エイコサペンタエン酸(EPA)およびn−3ドコサペンタエン酸(DPA−n3)を含むDHAの前駆体を含有する。しかし、EPAはリノレン酸(LA)から他の主要な脂肪酸であるAAへの代謝変換を阻害するため、本組成物にEPAを大量に含むことができない。本組成物に含まれる比較的多量のドコサペンタエン酸(DPAn−3)によって比較的少量のEPAを補う。両前駆体は局所DHA合成を刺激する前駆体を供給すると考えられるため、必須である。
【0012】
ゆえに、最適な構成において、
本組成物のEPA/DHA重量比は0.05〜1であり、これは平均的な人乳の比と同様かまたは幾分低い;
DHAに対する長鎖DHA前駆体[DPAn−3+EPA]重量比は十分なDHA前駆体を供給するために0.25〜1が好ましい;および
本組成物のDPAn−3/EPA重量比は0.25〜5である。一般的に人乳のDPAn−3/EPA重量比はおよそ1より大きい。
【0013】
使用に適した高DPAn−3油脂には、アザラシ油および高DPAn−3配合魚油などの海産性油を含む。本組成物は、人乳のDHA/DPAn−3の平均含有量重量比をやや上回る2〜25のDHA/DPAn−3重量比を有するが、皆無か極微量のDPAn−3しか含まないこれまでの乳児用ミルクを大幅に改良する。
【0014】
本組成物をより改良するべく、さらにDHAの不足を抑えるためALAを有意量添加する。本組成物におけるALA/DHA比は5〜25が好ましい。
【0015】
さらに、本組成物、特にドコサヘキサエン酸の長鎖前駆体を含む組成物では、アラキドン酸(AA)を含むことが非常に重要である。AAはリノール酸由来のオメガ−6脂肪酸で、主に肉、卵および乳などの食物源に見られる。AAは20炭素原子と4つの二重結合を含み(20:4n−6)、脳に見られる主要なオメガ−6脂肪酸である。AAの他に、脂質は有意量のAA前駆体、すなわちガンマ−リノレン酸(GLA)およびリノール酸(LA)を含むこともまた特に重要である。これらの脂肪酸はAAの局所合成の前駆体を供給する。本組成物はGLA含有量が多いため、すなわち、GLAは全脂質重量に対して0.05〜0.4wt%が好ましいため、本組成物はリノール酸含有量が少ない、すなわち、LAは全脂質重量に対して10〜15wt%である。
【0016】
好ましい実施形態の詳細な説明
本発明は以下を提供する;全カロリーの40〜75%を炭水化物が供給し、全カロリーの20〜50%を脂質が供給し、全カロリーの5〜12.5%をタンパク質が供給する栄養組成物であって、前記脂質が少なくとも一つの植物性脂質源およびn−3ドコサペンタエン酸(DPAn−3)含有脂質源を含み、前記脂質がn−3多価不飽和脂肪酸画分およびn−6多価不飽和脂肪酸画分を含み、この際、
前記n−3多価不飽和脂肪酸画分が、
全脂質重量に対して少なくとも0.1wt%のドコサヘキサエン酸(DHA);全脂質重量に対して少なくとも0.01wt%のDPAn−3;全脂質重量に対して少なくとも0.01wt%のエイコサペンタエン酸(EPA)(ここでDHA、DPAn−3およびEPAの合計は全脂質重量に対して1wt%未満である);および全脂質重量に対して1.9〜3wt%のアルファリノレン酸(ALA);を含み、さらに重量比は:
EPA/DHA比が0.05〜1;(DPAn−3+EPA)/DHAが0.25〜1;DPAn−3/EPAが0.25〜5;DHA/DPAn−3が2〜25;ALA/DHAが5〜25;であり、
n−6多価不飽和脂肪酸画分が、
全脂質重量に対して0.2〜1wt%のアラキドン酸(AA);および全脂質重量に対して10〜15wt%のリノレン酸(LA);を含み、さらに、
重量比LA/ALAが5〜10である、栄養組成物。
【0017】
脂質混合物を含む栄養物とみなすことが可能な本組成物は、健康な乳児への授乳に好適に用いられ、妊娠中に代謝障害を患った母親の乳児への授乳に特に適している。上述したn−3多価不飽和脂肪酸画分はこれらの乳児に非常に有益である。好ましくは、前述した本組成物は本明細書中に記載のn−3多価不飽和脂肪酸画分およびn−6多価不飽和脂肪酸画分の両方を含む。
【0018】
さらなる形態において、本発明は妊娠中に代謝障害を患った母親の乳児への授乳のための、栄養組成物の製造のための長鎖多価不飽和脂肪酸の使用を提供し、当該組成物は液体組成物であることが好ましく、当該組成物は全脂質重量に対して少なくとも0.1wt%のドコサヘキサエン酸(DHA);および全脂質重量に対して少なくとも0.01wt%のn−3ドコサペンタエン酸(DPA−n3);および全脂質重量に対して少なくとも0.01wt%のエイコサペンタエン酸(EPA,n3)を含むn−3多価不飽和脂肪酸画分を含み;並びにこの際DHA、DPAn−3およびEPAの合計が全脂質重量に対して1wt%未満である。当該栄養素生物は授乳目的に好ましいおよび/または適したあらゆる形態が可能であり、好ましくは液体状である。
【0019】
本組成物は、妊娠中に糖尿病1型、糖尿病2型、過体重および肥満の一つまたは複数を患った母親の乳児に特に適している。これらの代謝障害は特にDHAおよび/またはDHA前駆体の母親から乳児への輸送を減少させ、脳膜へのDPAn−6の取り込みを増大させることがある。
【0020】
n−3多価不飽和脂肪酸画分:
オメガ3(n−3)脂肪酸の略語:ALA=C18:3n−3=アルファ−リノレン酸;EPA=20:5n−3=エイコサペンタエン酸;DPAn−3=22:5n−3=n−3ドコサペンタエン酸;DHA=22:6n−3=ドコサヘキサエン酸。
【0021】
本組成物は、全脂質重量に対して少なくとも0.1wt%、好ましくは0.10〜1wt%、より好ましくは0.15〜0.5wt%のDHAを含有するn−3多価不飽和脂肪酸画分を含む。本組成物は全脂質重量に対して少なくとも0.01wt%、好ましくは0.015〜0.5wt%のDPAn−3を含む。EPA含量は全脂質重量に対して少なくとも0.01wt%、好ましくは0.03〜0.5wt%、さらにより好ましくは0.04〜0.1wt%である。
【0022】
本組成物中のDHA、DPAおよびEPAの累積wt%(合計)は脂質の合計の1wt%未満、好ましくは0.5wt%未満である。
【0023】
本組成物のEPA/DHA重量比は0.05〜1、好ましくは0.1〜0.5、より好ましくは0.2〜0.5である。本組成物のDHA/DPAn−3重量比は2〜25、好ましくは5〜15である。本組成物の(DPAn−3+EPA)/DHA重量比は0.25〜1である。より最適には(DHA前駆体/DHA)重量比、すなわち(DPAn−3+EPA)/DHA重量比は0.3〜0.5である。母乳中のDPAn−3/EPA重量比は通常1より大きい。本組成物のDPAn−3/EPA重量比は好ましくは0.25〜5、より好ましくは0.3〜3である。特定のDPAn−3富化魚油、特定のアザラシ油および生物工学的に生産した高DPAn−3油は、本発明組成物の調製に好ましく用いられうる。
【0024】
本組成物は全脂質重量に対して1.9〜3wt%、好ましくは2〜2.5wt%のALAを含む。このALAのwt%は母乳と比べてわずかに多い。母乳は全脂質重量に対して一般的におよそ0.5〜1.6wt%のALAを含む。しかし、母乳は一般的により多い重量%のDHAの長鎖前駆体、例えばDPAn3およびEPAを含む。ゆえに、本組成物中のALA/DHA重量比は母乳に比べて高い、すなわち本組成物では5〜25であるのに対し、母乳ではおよそ2である。好ましくは本組成物中のALA/DHA重量比は7.5〜15である。
【0025】
n−6多価不飽和脂肪酸画分:
オメガ6(n−6)脂肪酸の略語:LA=18:2n−6=リノール酸;GLA=18:3n−6=ガンマ−リノレン酸;DGLA=20:3n−6=ジホモ−ガンマ−リノレン酸;AA=20:4n−6=アラキドン酸;DPAn−6=22:5n−6=n−6ドコサペンタエン酸。
【0026】
本組成物は全脂質重量に対して0.2〜1wt%、好ましくは0.25〜0.75wt%のAAを含む。AAはその炎症誘発作用のため本組成物に多量に添加することができない。ゆえに、AAの前駆体として、本組成物は全脂質重量に対して好ましくは0.05〜1wt%、好ましくは0.1〜0.4wt%、より好ましくは0.15〜0.3wt%のGLAを含む。母乳と比較して少量である本組成物中のDGLAを少なくとも部分的に補うために、本組成物には多量のGLAが含まれる。まだ累積前駆体量が比較的少ないので、本組成物は多量のLA、すなわち全脂質重量に対して10〜15wt%、好ましくは11〜14wt%のLAを含み、これはおよそ9wt%である母乳中のLAの平均含有量に比べてわずかに多い(Luukainen et al,Eur J Pedoatr (1995) 154: 316−319)。しかし、このGLAと最適n−3多価不飽和脂肪酸画分の量により本組成物に過剰量、すなわち全脂質重量に対して15wt%以上のLAが含まれる必要がない。
【0027】
本組成物のLA/ALA重量比は5〜10である。
【0028】
乳児栄養物:
本発明は乳児への授乳に適した栄養剤、すなわち全カロリーの40〜75%を炭水化物が供給し、20〜50%を脂質が供給し、5〜12.5%をタンパク質が供給する栄養組成物、に関する。好ましくは全カロリーの7.5〜12.5%をタンパク質が供給する。
【0029】
本組成物は少なくとも一つの植物性脂質源およびDPAn−3含有脂質源を含む。より好ましくは、本組成物はオオマツヨイグサ油、ルリジサ油およびクロフサスグリ油からなる群から選択された少なくとも一つの脂質源;キャノーラ油、ヒマワリ油、ココナッツ油、ヤシ油および大豆油からなる群から選択された少なくとも一つの脂質源;少なくとも一つのDPAn−3含有脂質源を含む。さら好ましい実施形態においては、本組成物はカビ油も含む。好ましくは、DPAn−3含有脂質源はDPAn−3含有脂質源の脂肪酸に対して少なくとも1wt%、さらにより好ましくは少なくとも2wt%のDPAn−3を含む。簡便な製造のために、DPAn−3含有脂質源はDPAn−3含有脂質源の脂肪酸に対して少なくとも15wt%、より好ましくは少なくとも20wt%のDHA、さらにより好ましくは少なくとも25wt%のDHAを含む。
【0030】
さらに他の形態において本発明は、本組成物を投与することにより、妊娠中に代謝障害を患った母親の乳児の治療方法を提供する。
【0031】
本組成物を調製するために、動物性および植物性脂質源の混合物を用いる。脂質源の脂肪酸組成が著しく多様になり得るので(たとえ同じ植物または動物源から得たとしても)、はじめに使用する脂質源を分析し、次に本組成物を満たすのに必要な個々の油脂量を計算し、脂質源を混ぜる。あるいは、当業者であれば適当な便覧から適した脂質源を見つけることも可能である。使用する脂質源はヒト由来でないものが好ましい。本発明で述べた脂肪酸は、遊離脂肪酸として、トリグリセリドの形態で、リン脂質型中の形態で、またはこれらの一つ以上の混合物として供給されうる。
【0032】
本組成物は乳児への授乳に最も適しているため、本組成物の炭水化物は主にラクトースから供給されるのが好ましい。よって、消化性炭水化物画分(炭水化物)は炭水化物画分の総重量に対して好ましくは少なくとも50wt%、より好ましくは少なくとも90wt%含まれる。
【0033】
睡眠もまた乳児の本来の知的発達のために最も重要である。よって、乳児の腸の不快感を軽減することが好ましい。水溶性の難消化性繊維は鼓脹のような腸の不快感が起こるのを抑えるのに貢献する。ゆえに、本組成物は好ましくは本組成物100kcalあたりおよそ0.2〜5g、さらに好ましくは100kcalあたり0.5〜1.5gの水溶性の難消化性繊維もまた含む。好ましくは、本組成物はガラクトオリゴ糖、フルクトオリゴ糖およびイヌリンからなる群から選択された少なくとも一つの水溶性の難消化性繊維を含む。
【0034】
最適な脳の発達は生後数ヶ月の乳児にとって特に重要である。よって、本発明は特に生後数ヶ月間の授乳に最適な栄養剤に関する。1mlあたり0.600〜0.800kcalのカロリー含有は、これら生まれたての乳児の腸の不快感を抑え、これにより脂肪酸吸収を刺激すると考えられる。ゆえに、本組成物は好ましくは0.600〜0.800kcal/ml、さらに好ましくは0.650〜0.680kcal/mlを含む。
【0035】
妊娠中に疾病を患った母親の乳児はしばしば神経組織発達の遅れを取り戻さなくてはならないため、本発明はヌクレオチドを含有することが好ましい。本組成物は好ましくは100kcalあたり2〜25mgのヌクレオチドおよび/または100kcalあたり2〜25mgのヌクレオシド、さらに好ましくは100kcalあたり3〜10mgのヌクレオチドもまた含む。本組成物は好ましくはシチジン−5−モノリン酸、ウリジン−5−モノリン酸、アデノシン−5−モノリン酸、グアノシン−5−モノリン酸およびイノシン−5−モノリン酸からなる群から選択された少なくとも2つのヌクレオチドを含む。ヌクレオチドおよび/またはヌクレオシドはさらに免疫系を刺激し、本組成物の他の成分と相乗的に働く。
【実施例】
【0036】
実施例
実施例1:乳児用ミルク
液体乳児栄養物は、13.9gの粉末を水と混合することにより100mlの最終生成物として調製した。当該液体生成物100mlが含むのは:
エネルギー:66kcal
タンパク質:8en%
消化性炭水化物:44en%(7.3gラクトースを含む)
脂質:48en%(全脂質重量に対して0.2wt% DHA;0.02wt% DPAn−3;0.05wt% EPA;2.2wt% ALA,0.2wt% GLA;0.35wt% AA,13wt% LAを含む)
繊維:0.8g(0.05gフルクト多糖(Raftiline HPTM, Orafti, Tienen, Belgium);0.55gトランスガラクトオリゴ糖(Vivinal−GOSTM(Borculo Domo Ingredients, Netherlands);EP1373543、実施例1に記載のように調製したペクチン加水分解物0.20gを含む。
【0037】
ヌクレオチド:0.89mg シチジン−5−モノリン酸;
0.55mg ウリジン−5−モノリン酸;
0.82mg アデノシン−5−モノリン酸;
0.20mg グアノシン−5−モノリン酸;
0.34mg イノシン−5−モノリン酸
浸透圧:300mOsmol/l
本組成物はさらにコリン(6mg/100ml)およびタウリン(6.3mg/100ml);ミネラルおよび微量元素(2mg亜鉛/100mlを含む)ならびに乳児用調乳に関する国際ガイドラインに従った量のビタミン類を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
妊娠中に代謝障害を患った母親の乳児への授乳のための液体栄養組成物の製造のための長鎖多価不飽和脂肪酸の使用:当該組成物は全脂質重量に対して少なくとも0.1wt%のドコサヘキサエン酸(DHA)、全脂質重量に対して少なくとも0.01wt%のn−3ドコサペンタエン酸(DPAn−3)、および全脂質重量に対して少なくとも0.01wt%のエイコサペンタエン酸(EPA)を含むn−3多価不飽和脂肪酸画分を含み;この際DHA、DPAn−3およびEPAの合計は全脂質重量の1wt%未満である。
【請求項2】
重量比が以下である、請求項1に記載の使用:
EPA/DHA比は0.05〜1;
(DPAn−3+EPA)/DHA比は0.25〜1;
DPAn−3/EPA比は0.25〜5;および
DHA/DPAn−3比は2〜25。
【請求項3】
前記組成物が以下を含むn−6多価不飽和脂肪酸画分をさらに含む、請求項1または2に記載の使用:
全脂質重量に対して0.05〜0.4wt%のGLA;
全脂質重量に対して0.2〜1wt%のアラキドン酸(AA);および
全脂質重量に対して10〜15wt%のリノール酸(LA)。
【請求項4】
母親は妊娠中に糖尿病1型、糖尿病2型、肥満または過体重を患った者である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
全カロリーの40〜75%を炭水化物が供給し、全カロリーの20〜50%を脂質が供給し、全カロリーの5〜12.5%をタンパク質が供給する栄養組成物であって、前記脂質が少なくとも一つの植物性脂質源およびn−3ドコサペンタエン酸(DPAn−3)含有脂質源を含み、前記脂質がn−3多価不飽和脂肪酸画分およびn−6多価不飽和脂肪酸画分を含み、この際:
a.前記n−3多価不飽和脂肪酸画分が、
全脂質重量に対して少なくとも0.1wt%のドコサヘキサエン酸(DHA);全脂質重量に対して少なくとも0.01wt%のDPAn−3;全脂質重量に対して少なくとも0.01wt%のエイコサペンタエン酸(EPA)(ここでDHA、DPAn−3およびEPAの合計は全脂質重量に対して1wt%未満である);および
全脂質重量に対して1.9〜3wt%のアルファリノレン酸(ALA);を含み、
重量比:
EPA/DHA比が0.05〜1;
(DPAn−3+EPA)/DHAが0.25〜1;
DPAn−3/EPAが0.25〜5;
DHA/DPAn−3が2〜25;および
ALA/DHAが5〜25;であり、さらに、
b.n−6多価不飽和脂肪酸画分が、
全脂質重量に対して0.2〜1wt%のアラキドン酸(AA);および
全脂質重量に対して10〜15wt%のリノレン酸(LA);を含み、
c.重量比LA/ALAが5〜10である、栄養組成物。
【請求項6】
1mlあたり0.65〜0.80kcalのカロリー濃度を有する、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
オオマツヨイグサ油、ルリジサ油およびクロフサスグリ油からなる群から選択された少なくとも一つの脂質源;キャノーラ油、ヒマワリ油、ココナッツ油、ヤシ油および大豆油からなる群から選択された少なくとも一つの脂質源;並びに少なくとも一つのDPAn−3含有脂質源を含む、請求項5または6に記載の組成物。
【請求項8】
炭水化物画分の総重量に対して少なくとも50wt%のラクトースを含む、請求項5〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
100kcalあたり2〜25mgのヌクレオチドおよび/または2〜25mgのヌクレオシドを含む、請求項5〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
100kcalあたり0.2〜5gの水溶性の難消化性繊維を含む、請求項5〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
全脂質重量に対して0.05〜0.4wt%のガンマ−リノレン酸(GLA)を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物を投与することにより、妊娠中に代謝障害を患った母親の乳児を治療する方法。

【公表番号】特表2008−519796(P2008−519796A)
【公表日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540596(P2007−540596)
【出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【国際出願番号】PCT/EP2005/012122
【国際公開番号】WO2006/050975
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(502191066)ナムローゼ フェンノートシャップ ヌトリシア (3)
【Fターム(参考)】