説明

脱顆粒反応及びサイトカイン産生を抑制する活性を有する化合物及びその用途

【課題】強力な脱顆粒反応抑制効果及びサイトカイン産生抑制効果を有し、且つ低毒性な、アレルギー性疾患及び炎症性疾患の予防・治療に有用な化合物及びその製造方法、並びに該化合物を含有する医薬組成物を提供すること。
【解決手段】式(I):


又は、式(II):


[式中の各記号は、明細書記載と同意義である。]
で表される化合物或いはその塩、その製造方法、及び該化合物を含む医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アレルギー疾患等の疾患の予防・治療剤として有用な新規化合物及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、脱顆粒反応及びサイトカイン産生を抑制することにより、アレルギー疾患、及び/又は炎症性疾患の予防・治療作用を有する化合物及びその製造方法、並びに当該化合物を含有する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のアレルギー治療薬としては、抗ヒスタミン剤や免疫抑制効果のあるステロイド剤等が挙げられる。抗ヒスタミン剤は、肥満細胞等のエフェクター細胞より遊離されたヒスタミンの、標的細胞に発現する特異的な受容体への結合を抑制するものである。しかしながら、エフェクター細胞より産生される化学伝達物質にはヒスタミンだけではなくセロトニンやプロスタグランジン等が含まれており、抗ヒスタミン剤はこれらの化学伝達物質に対する効果が期待できない。一方、ステロイド剤は強力な免疫抑制や抗炎症作用を有しており、アレルギー治療薬としては頻繁に使用されているが、易感染症等の副作用が多く観察されることが知られている。
【0003】
肥満細胞(マスト細胞)はヒスタミン等の化学伝達物質を含有する顆粒及びサイトカイン産生能を有し、花粉症、気管支喘息、アトピー性皮膚炎等のアレルギー性疾患や、自己免疫疾患を含む各種炎症性疾患においては、肥満細胞からの脱顆粒及びサイトカイン産生が、重要な役割を有していることが明らかになっている。従って脱顆粒反応を抑制することがこれらの疾患の治療方法として有効である。
【0004】
肥満細胞の膜を安定化することによって脱顆粒反応による化学伝達物質の放出を抑制する薬剤としてインタール(登録商標)(クロモグリク酸ナトリウム)やリザベン(登録商標)(トラニスト)等が挙げられ、これらの薬剤は抗アレルギー剤として既に臨床で用いられている。また、脱顆粒はIgE受容体を介するシグナル伝達によって起こる。かかる過程がカルシウムイオン依存的であることから、細胞内のカルシウム濃度を制御することによって脱顆粒反応を制御する試みも為されているが、カルシウムイオンは生体内のあらゆる場面で重要な役割を担っているため、細胞内カルシウム濃度を制御することは他の生体機能に影響を及ぼすリスクを有する。
【0005】
脱顆粒反応や抗アレルギー剤に関する従来技術については、非特許文献1及び2を参照すること。肥満細胞からのサイトカイン産生に関する従来技術については、非特許文献3及び4を参照すること。
【0006】
平野らは、細胞内の亜鉛イオン濃度を制御することにより、脱顆粒反応やサイトカイン産生を制御できることを見出し、亜鉛イオンのキレーターであるTPEN(N,N,N’,N’‐テトラキス(2−ピリジルメチル)エチレンジアミン)が肥満細胞の脱顆粒反応を抑制し、アレルギー疾患等の予防・治療剤として有用であることを報告している(特許文献1)。しかし、TPENは亜鉛イオンの強力なキレーターとして開発された化合物であるため、これを生体に投与した場合には予期せぬ副作用を引き起こす可能性が否定できない。
【0007】
三方らは、非対称エーテルの酸素原子に亜鉛又は銅が配位した金属錯体の合成及びそれらの構造を報告している(非特許文献5〜7)。同文献中で、上記非対称エーテル化合物として、本願発明に包含される化合物が配位子として用いられているが、同文献のいずれにも該化合物が医薬、特に、アレルギー疾患等の疾患の予防・治療剤、として有用であることも、脱顆粒反応及びサイトカイン産生を抑制する作用を有することも記載されていない。
【0008】
Amendolaらは、本願発明の化合物に包含されるビス−チア−ビス−キノリン化合物が安定な銅錯体を形成する配位子として有用であることを報告している(非特許文献8)。しかし、同文献には、上記ビス−チア−ビス−キノリン化合物が、医薬、特に、アレルギー疾患等の疾患の予防・治療剤、として有用であることも、脱顆粒反応及びサイトカイン産生を抑制する作用を有することも記載されていない。
【0009】
一方、医用医薬品として、アトピー性皮膚炎を適応として取得している非ステロイド性抗炎症薬としてイブプロフェンピコノール及びウフェナマートが知られている(非特許文献9及び10)。
【0010】
【化1】

【0011】
【化2】

【0012】
また、イブプロフェン及びフルフェナム酸は、COX-1及び2の阻害作用を有しており、抗炎症薬として広く用いられている。(非特許文献11及び12)。
【0013】
【化3】

【0014】
【化4】

【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】国際公開第2006/080581号パンフレット
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Turner H. & Kinet JP. Signalling through the high-affinity IgE receptor Fc epsilonRI. Nature 402, B24-30 (1999)
【非特許文献2】Blank U, Rivera J. The ins and outs of IgE-dependent mast-cell exocytosis. TRENDS in Immunology 25, 266-273 (2004)
【非特許文献3】Burd PR, Rogers HW, Gordon JR, Martin CA, Jayaraman S, Wilson SD, Dvorak AM, Galli SJ, Dorf ME. Interleukin 3-dependent and -independent mast cells stimulated with IgE and antigen express multiple cytokines. J. Exp. Med. 170, 245-257 (1989)
【非特許文献4】Song JS, Haleem-Smith H, Arudchandran R, Gomez J, Scott PM, Mill JF, Tan TH, Rivera J. Tyrosine phosphorylation of Vav stimulates IL-6 production in mast cells by a Rac/c-Jun N-terminal kinase-dependent pathway. J. Immunology 163, 802-810 (1999)
【非特許文献5】藤本智美, 矢野重信, 三方裕司,エーテル酸素原子が金属中心に配位した金属錯体の合成と構造, 第56回錯体化学討論会講演要旨集, 2006年9月8日, p.110
【非特許文献6】松田紗織, 藤本智美, 矢野重信, 三方裕司,不斉窒素および不斉酸素原子を含む金属錯体の合成と構造, 第57回錯体化学討論会講演要旨集, 2007年9月10日, p.169
【非特許文献7】松田紗織, 藤本智美, 矢野重信, 三方裕司,不斉窒素および不斉酸素原子を含む金属錯体の合成と構造, 日本化学会第88春季年会講演予稿集, 2008年3月12日, 講演番号3 E5 20
【非特許文献8】Amendola V, Mangano C, Pallavicini P, Zema M, Bistable Copper Complexes of Bis-thia-bis-quinoline Ligands, Inorg. Chem. 42, 6056-6062(2003)
【非特許文献9】「スタデルム軟膏」医薬品添付文書、鳥居薬品株式会社、2004年2月改訂(第2版)
【非特許文献10】「フエナゾール軟膏」医薬品添付文書、アボットジャパン株式会社、2005年6月改訂(第3版)
【非特許文献11】「ブルフェン錠100」医薬品添付文書、科研製薬株式会社、2005年12月改訂(第9版)
【非特許文献12】「オパイリン錠125mg」医薬品添付文書、大正富山医薬品株式会社、2007年7月改訂(第8版)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、強力な脱顆粒反応抑制効果、サイトカイン産生抑制効果を有し、且つ低毒性な、アレルギー性疾患及び炎症性疾患の予防・治療に有用な化合物及びその製造方法、並びにかかる化合物を含有する医薬組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは、脱顆粒反応抑制及びサイトカイン産生抑制効果を有する化合物について鋭意検討を行った結果、式(I):
【0019】
【化5】

【0020】
又は、式(II):
【0021】
【化6】

【0022】
[式中、
Lは、アルキレン基を;
Xは、−O−又は−NR−を;
Yは、結合手、−CO−、−CONR−又は−SO−を
Zは、水素原子又は有機基を;
及びRは、それぞれ独立して、同一又は異なって、置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子又は水素原子であるか、或いは、R及びRは、それぞれが隣接する環炭素原子に結合する場合には、それらは一緒になって置換されていてもよい6員の芳香族炭化水素基を形成し、ピリジル基と縮合環を形成していてもよく;
は、置換されていてもよい含窒素複素環基、置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン又は水素原子を;
及びRは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル基又は水素原子を;
A及びBは、それぞれ独立して、同一又は異なって、置換されていてもよい含窒素複素環基を; かつ
nは、1乃至4を示す。]
で表される化合物、或いはその塩(以下、これらをそれぞれ化合物(I)及び化合物(II)と称する場合がある。)が、優れた脱顆粒反応抑制効果及びサイトカイン産生抑制効果を有し、且つ毒性が低いことを見出し、本発明を完成した。
【0023】
即ち、本発明は以下に関する。
[1] 式(Ia):
【0024】
【化7】

【0025】
又は、式(IIa):
【0026】
【化8】

【0027】
[式中、
Lは、アルキレン基を;
Xは、−O−又は−NR−を;
Yは、結合手、−CO−、−CONR−又は−SO−を
Zは、置換されていてもよい炭化水素基又は置換されていてもよい複素環基を;
及びRは、それぞれ独立して、同一又は異なって、置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子又は水素原子であるか、或いは、R及びRは、それぞれが隣接する環炭素原子に結合する場合には、それらは一緒になって置換されていてもよい6員の芳香族炭化水素基を形成し、ピリジル基と縮合環を形成していてもよく;
は、置換されていてもよい含窒素複素環基、置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン又は水素原子を;
及びRは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル基又は水素原子を;
A及びBは、それぞれ独立して、同一又は異なって、置換されていてもよい含窒素複素環基を; かつ
nは、1乃至4を示す。ただし、式(Ia)において、Xが−O−の場合には、Yは−CO−ではなく、また、Lがエチレン、Xが−O−、Yが結合手で、R及びRが共に水素原子で、かつRが2−ピリジル、2−キノリル、又は水素原子の場合には、Zは、2−ピリジルメチル又は2−キノリルメチルではなく、また、式(IIa)において、環外の炭素原子と結合するA及びBの環原子に隣接する環原子の少なくとも1つは窒素原子であり、並びにnが1で、かつLがエチレン又は1,2−シクロヘキシレンの場合、A、Bは同時に非置換の2−キノリル基ではない。]
で表される化合物、或いはその塩。
[2] Lが、C1−6アルキレン基である、[1]記載の化合物又はその塩。
[3] Rが、置換されていてもよい2−ピリジル、置換されていてもよい2−キノリル基、置換されていてもよい1−若しくは3−イソキノリル、置換されていてもよいアルキル基又は水素原子である、[1]又は[2]に記載の化合物又はその塩。
[4] Zが、置換されていてもよいアルキル基;置換されていてもよいアリール基;置換されていてもよいアラルキル基;又は酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含む置換されていてもよい複素環基である、 [1]〜[3]のいずれかに記載の化合物又はその塩。
[5] A及びBが、それぞれ独立して、置換されていてもよいピリジル基、置換されていてもよいキノリル基、置換されていてもよいイソキノリル基、置換されていてもよいピラジニル基、置換されていてもよいピリミジニル基、置換されていてもよいピリダジニル基、置換されていてもよいキノキサリニル基、置換されていてもよいフタラジニル基、置換されていてもよいキナゾリニル基、置換されていてもよいシンノリニル基、置換されていてもよいプテリジニル基、置換されていてもよいナフチリジニル基、又は置換されていてもよいベンゾチアゾリル基から選ばれる含窒素複素環基である、[1]又は[2]に記載の化合物又はその塩。
[6] N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エトキシカルボニル}アニリン、
N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エチル}ベンゼンスルホンアミド、
N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エチル}ベンズアミド、
2−[N−(3−トリフルオロメチルフェニル)アミノ]−N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エトキシカルボニル}アニリン、
2−[N−(3−トリフルオロメチルフェニル)アミノ]−N−ベンジル−N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エトキシカルボニル}アニリン、
2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸 N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エチル}アミド、
又はN−(3−トリフルオロメチルフェニル)アントラニル酸 N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エチル}アミド、
或いはそれらの塩である、[1]記載の化合物。
[7] S,S’−ビス(ベンゾチアゾリルメチル)エタンジチオール、
2,5,8−トリチア−1,9−ビス(2−キノリル)ノナン、
2,5,8−トリチア−1,9−ビス[2−(5,6,7−トリメトキシキノリル)]ノナン、
又は2,5,8−トリチア−1,9−ビス[2−(6−メトキシキノリル)]ノナン、
或いはそれらの塩である、[1]記載の化合物。
[8] 式(Ib):
【0028】
【化9】

【0029】
又は、式(IIb):
【0030】
【化10】

【0031】
[式中、
Lは、アルキレン基を;
Xは、−O−又は−NR−を;
Yは、結合手、−CO−、−CONR−又は−SO−を
Zは、水素原子、置換されていてもよい炭化水素基又は置換されていてもよい複素環基を;
及びRは、それぞれ独立して、同一又は異なって、置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子又は水素原子であるか、或いは、R及びRは、それぞれが隣接する環炭素原子に結合する場合には、それらは一緒になって置換されていてもよい6員の芳香族炭化水素基を形成し、ピリジル基と縮合環を形成していてもよく;
は、置換されていてもよい含窒素複素環基、置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン又は水素原子を;
及びRは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル基又は水素原子を;
A及びBは、それぞれ独立して、同一又は異なって、置換されていてもよい含窒素複素環基を; かつ
nは、1乃至4を示す。ただし、式(Ib)において、Xが−O−の場合には、Yは−CO−ではなく、また、式(IIb)において、環外の炭素原子と結合するA及びBの環原子に隣接する環原子の少なくとも1つは窒素原子である。]
で表される化合物、或いはその塩を含有する医薬組成物。
[9] 式(Ib)及び(IIb)のLが、C1−6アルキレン基である、[8]記載の医薬組成物。
[10] 式(Ib)のRが、置換されていてもよい2−ピリジル、置換されていてもよい2−キノリル、置換されていてもよい1−若しくは3−イソキノリル、置換されていてもよいアルキル基又は水素原子である、[8]又は[9]に記載の医薬組成物。
[11] 式(IIb)のA及びBが、それぞれ独立して、置換されていてもよいピリジル基、置換されていてもよいキノリル基、置換されていてもよいイソキノリル基、置換されていてもよいピラジニル基、置換されていてもよいピリミジニル基、置換されていてもよいピリダジニル基、置換されていてもよいキノキサリニル基、置換されていてもよいフタラジニル基、置換されていてもよいキナゾリニル基、置換されていてもよいシンノリニル基、置換されていてもよいプテリジニル基、置換されていてもよいナフチリジニル基、又は置換されていてもよいベンゾチアゾリル基から選ばれる含窒素複素環基である、[8]又は[9]に記載の医薬組成物。
[12] 式(Ib)で表される化合物が、
N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エトキシカルボニル}アニリン、
N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エチル}ベンゼンスルホンアミド、
N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エチル}ベンズアミド、
2−[N−(3−トリフルオロメチルフェニル)アミノ]−N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エトキシカルボニル}アニリン、
2−[N−(3−トリフルオロメチルフェニル)アミノ]−N−ベンジル−N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エトキシカルボニル}アニリン、
2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸 N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エチル}アミド、
N−(3−トリフルオロメチルフェニル)アントラニル酸 N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エチル}アミド、
2−{2−[N−メチル−N−(2−ピリジルメチル)アミノ]エトキシ}メチルピリジン、
2−{2−[N−メチル−N−(2−ピリジルメチル)アミノ]エトキシ}メチルキノリン、
2−{2−[N−(2−ピリジルメチル)−N−(2−キノリルメチル)アミノ]エトキシ}メチルピリジン、
2−{2−[N−(2−ピリジルメチル)−N−(2−キノリルメチル)アミノ]エトキシ}メチルキノリン、
2−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エトキシ}メチルピリジン、
2−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エトキシ}メチルキノリン、
又は2−{2−[N,N−ビス(2−キノリルメチル)アミノ]エタノール、
或いはそれらの塩である、[8]記載の医薬組成物。
[13] 式(IIb)で表される化合物が、
S,S’−ビス(2−キノリル)エタンジチオール、
S,S’−ビス(ベンゾチアゾリルメチル)エタンジチオール、
2,5,8−トリチア−1,9−ビス(2−キノリル)ノナン、
2,5,8−トリチア−1,9−ビス[2−(5,6,7−トリメトキシキノリル)]ノナン、
又は2,5,8−トリチア−1,9−ビス[2−(6−メトキシキノリル)]ノナン、
或いはそれらの塩である、[8]記載の医薬組成物。
[14] アレルギー疾患の予防及び/又は治療剤である、[8]〜[13]のいずれかに記載の医薬組成物。
[15] アレルギー疾患がアレルギー性皮膚炎である、[14]記載の医薬組成物。
[16] 炎症性疾患の予防及び/又は治療剤である、[8]〜[13]のいずれかに記載の医薬組成物。
[17] 脱顆粒反応抑制剤である、[8]〜[13]のいずれかに記載の医薬組成物。
[18] サイトカイン産生抑制剤である、[8]〜[13]のいずれかに記載の医薬組成物。
[19] 式(III):
【0032】
【化11】

【0033】
[式中のL、R、R及びRは、[1]で定義されたのと同じ意味を有する。]で表される化合物を、式(IV):
【0034】
【化12】

【0035】
[式中のZは、[1]で定義されたのと同じ意味を有する。]で表される化合物と反応させることを特徴とする、[1]記載の式(Ia)で表される化合物の製造方法。
[20] 式(V):
【0036】
【化13】

【0037】
[式中のL、X、R、R及びRは、[1]で定義されたのと同じ意味を有する。]で表される化合物を、式(VI):
【0038】
【化14】

【0039】
[式中のY及びZは、[1]で定義されたのと同じ意味を有し、Tは、脱離基を表す。]で表される化合物と反応させることを特徴とする、[1]記載の式(Ia)で表される化合物の製造方法。
【発明の効果】
【0040】
化合物(I)又は化合物(II)は、肥満細胞等の脱顆粒反応及びサイトカイン産生を抑制する活性を有するので、当該化合物は、アレルギー性皮膚炎等のアレルギー疾患及び炎症性疾患の予防・治療剤として非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】参考例1の化合物の代表的なNMRスペクトルを示す。
【図2】参考例2の化合物の代表的なNMRスペクトルを示す。
【図3A】化合物2の代表的なNMRスペクトルを示す。
【図3B】化合物2の代表的なNMRスペクトルの部分拡大図を示す。
【図4】化合物3の代表的なNMRスペクトルを示す。
【図5A】化合物4の代表的なNMRスペクトルを示す。
【図5B】化合物4の代表的なNMRスペクトルの部分拡大図を示す。
【図6】化合物5の代表的なNMRスペクトルを示す。
【図7】化合物6の代表的なNMRスペクトルを示す。
【図8】化合物7の代表的なNMRスペクトルを示す。
【図9】化合物1の脱顆粒阻害活性を示す。
【図10】化合物2〜4の脱顆粒阻害活性を示す。
【図11】化合物5の脱顆粒阻害活性を示す。
【図12】化合物6〜7の脱顆粒阻害活性を示す。
【図13】化合物8〜9の脱顆粒阻害活性を示す。
【図14】化合物10〜13の脱顆粒阻害活性を示す。
【図15】化合物14〜18の脱顆粒阻害活性を示す。
【図16】化合物6,7の受身皮膚アナフィラキシー試験の結果を示す。
【図17】化合物1、2、5〜7のマウス肥満細胞のサイトカイン産生阻害活性を示す。
【図18】化合物8〜13のマウス肥満細胞のサイトカイン産生阻害活性を示す。
【図19】化合物14〜18のマウス肥満細胞のサイトカイン産生阻害活性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明は、式(I):
【0043】
【化15】

【0044】
又は、式(II):
【0045】
【化16】

【0046】
[式中、
Lは、アルキレン基を;
Xは、−O−又は−NR−を;
Yは、結合手、−CO−、−CONR−又は−SO−を
Zは、水素原子又は有機基を;
及びRは、それぞれ独立して、同一又は異なって、置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子又は水素原子であるか、或いは、R及びRは、それぞれが隣接する環炭素原子に結合する場合には、それらは一緒になって、隣接する炭素−炭素二重結合と共に置換されていてもよい6員の芳香族炭化水素基を形成し、ピリジル基と縮合環を形成していてもよく;
は、置換されていてもよい含窒素複素環基、置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン又は水素原子を;
及びRは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル基又は水素原子を;
A及びBは、それぞれ独立して、同一又は異なって、置換されていてもよい含窒素複素環基を; かつ
nは、1乃至4を示す。]
で表される化合物、或いはその塩を提供するものである。
【0047】
式(I)又は式(II)中、Lで示されるアルキレン基は直鎖状であっても分岐状又は環状であってもよい。アルキレン基は、好ましくはC1−10アルキレン基又はC3−10シクロアルキレン基、より好ましくはC1−6アルキレン基又はC3−6シクロアルキレン基、さらに好ましくはC1−3アルキレン基である。
Lのアルキレン基の好適な例としては、−CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH10−、−CH(CH)−、−C(CH−、−(CH(CH))−、−(CHC(CH−、−(CHC(CH−、1,2−シクロプロピレン、1,2−シクロブチレン、1,2−シクロペンチレン、1,2−シクロヘキシレンなどが挙げられる。好ましくは−CH−、−(CH−、−(CH−、−CH(CH)−又は−C(CH−であり、より好ましくは−CH−又は−(CH−である。
【0048】
式(I)中、Xは、−O−又は−NR−を示す。
【0049】
式(I)中、Yは、結合手、−CO−、−CONR−又は−SO−を示す。
【0050】
又はRで示される置換されていてもよいアルキル基において、アルキル基は直鎖状であっても分岐状であってもよい。アルキル基は、好ましくはC1−10アルキル基、より好ましくはC1−6アルキル基、更に好ましくはC1−3アルキル基である。
アルキル基の好適な例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチルなどが挙げられる。
該アルキル基は、1乃至3個の置換基を有していてもよい。有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−10アルコキシ、ヒドロキシ、ニトロ、アミノなどが挙げられる。
1−10アルコキシ基としては、後述の「置換されていてもよいヒドロキシ基」において例示されたものが挙げられる。
尚、本明細書中の「ハロゲン原子」は、特に断りのない限り、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を意味する。
又はRは、好ましくは、同一又は異なって、C1−6アルキル基又は水素原子であり、より好ましくは水素原子である。
【0051】
XとYの組み合わせは、特に限定されないが、好適な例としては以下の組み合わせを挙げることができる:
1)Xが−O−であり且つYが結合手又は−CONRである;
2)Xが−NR−であり且つYが−CO−又は−SO−である。
【0052】
式(I)中、R又はRで示される「置換されていてもよいアルキル基」としては、R又はRで示される「置換されていてもよいアルキル基」として例示されたものが挙げられる。
及びRは、好ましくは、同一又は異なって、C1−6アルキル基、ハロゲン原子又は水素原子であり、より好ましくは、ハロゲン原子又は水素原子であり、特に好ましくは、双方ともに水素原子である。
及びRは、ピリジン環上の置換可能な任意の位置に置換されていてもよく、R及びRが、ピリジン環上の隣接する環炭素原子に結合する場合には、それらは一緒になって置換されていてもよい6員の芳香族炭化水素基を形成し、ピリジル基と縮合環を形成してもよい。該縮合環の好適な例としては、1乃至6個の置換基を有していてもよい2−キノリル基などが挙げられ、有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−10アルキル、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−10アルコキシ、ヒドロキシ、ニトロ、アミノなどが挙げられる。
【0053】
式(I)中、Rで示される置換されていてもよい含窒素複素環基の「含窒素複素環基」としては、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子を1乃至4個含有する5乃至7員の単環式芳香族複素環基または縮合芳香族複素環基が挙げられる。該縮合芳香族複素環基としては、例えば、これら5乃至7員の単環式芳香族複素環基と、1乃至2個の窒素原子を含む6員環、ベンゼン環、または1個の硫黄原子を含む5員環とが縮合した基等が挙げられる。「含窒素複素環基」の好適な例としては、ピリジル(例、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル)、ピリミジニル(例、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、6−ピリミジニル)、ピリダジニル(例、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル)、ピラジニル(例、2−ピラジニル)、ピロリル(例、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル)、イミダゾリル(例、1−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル)、ピラゾリル(例、1−ピラゾリル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル)、オキサゾリル(例、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル)、イソオキサゾリル、チアゾリル(例、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル)、イソチアゾリル、オキサジアゾリル(例、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)、チアジアゾリル(例、1,3,4−チアジアゾール−2−イル)、トリアゾリル(例、1,2,4−トリアゾール−1−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル、1,2,4−トリアゾール−5−イル、1,2,3−トリアゾール−1−イル、1,2,3−トリアゾール−2−イル、1,2,3−トリアゾール−4−イル)、テトラゾリル(例、テトラゾール−1−イル、テトラゾール−5−イル)、キノリル(例、2−キノリル、3−キノリル、4−キノリル)、キナゾリル(例、2−キナゾリル、4−キナゾリル)、キノキサリル(例、2−キノキサリル)、フタラジニル(例、2−フタラジニル)、シンノリニル(例、2−シンノリニル)、プテリジニル、ナフチリジニル、ベンズオキサゾリル(例、2−ベンズオキサゾリル)、ベンゾチアゾリル(例、2−ベンゾチアゾリル)、ベンズイミダゾリル(例、ベンズイミダゾール−1−イル、ベンズイミダゾール−2−イル)、インドリル(例、インドール−1−イル、インドール−3−イル)、1H−インダゾリル(例、1H−インダゾール−3−イル)、1H−ピロロ[2,3−b]ピラジニル(例、1H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−2−イル)、1H−ピロロピリジニル(例、1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−6−イル)、1H−イミダゾピリジニル(例、1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル、1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル)、1H−イミダゾピラジニル(例、1H−イミダゾ[4,5−b]ピラジン−2−イル)、トリアジニル、イソキノリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンズトリアゾリルなどが挙げられ、該含窒素複素環基は、1乃至6個の置換基を有していてもよい。有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−10アルコキシ、ヒドロキシ、ニトロ、アミノなどが挙げられる。
で示される「置換されていてもよいアルキル基」としては、前述のR又はRにおいて「置換されていてもよいアルキル基」として例示されたものが挙げられる。
は、好ましくは、2−ピリジル、2−キノリル、1−イソキノリル、3−イソキノリル、C1−6アルキル基、又は水素原子であり、より好ましくは、2−ピリジル、2−キノリル又は水素原子である。
【0054】
式(I)中、Zで示される有機基としては、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい複素環基等が挙げられる。
【0055】
前記「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」としては、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、芳香脂肪族炭化水素基、芳香族複素環脂肪族炭化水素基、脂環脂肪族炭化水素基などが挙げられる。
【0056】
脂肪族炭化水素基としては、例えば、直鎖状または分枝状のC1−15脂肪族炭化水素基、具体的には、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。
アルキル基は、好ましくはC1−10アルキル基、より好ましくはC1−6アルキル基、さらに好ましくはC1−3アルキル基である。
アルキル基の好適な例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチルなどが挙げられる。
アルケニル基の好適な例としては、C2−10アルケニル基、例えば、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、5−ヘキセニル、1−ヘプテニル、1−オクテニル等が挙げられる。
アルキニル基の好適な例としては、C2−10アルキニル基、例えば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニル、1−ヘプチニル、1−オクチニルなどが挙げられる。
【0057】
脂環式炭化水素基としては、例えば、飽和または不飽和のC3−12脂環式炭化水素基、具体的にはシクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルカジエニル基などが挙げられる。
シクロアルキル基の好適な例としては、C3−10シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、ビシクロ[3.2.2]ノニル、ビシクロ[3.3.1]ノニル、ビシクロ[4.2.1]ノニル、ビシクロ[4.3.1]デシルなどが挙げられる。
シクロアルケニル基の好適な例としては、C3−10シクロアルケニル基、例えば、2−シクロペンテン−1−イル、3−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル、3−シクロヘキセン−1−イルなどが挙げられる。
シクロアルカジエニル基の好適な例としては、C4−10シクロアルカジエニル基、例えば、2,4−シクロペンタジエン−1−イル、2,4−シクロヘキサジエン−1−イル、2,5−シクロヘキサジエン−1−イルなどが挙げられる。
【0058】
芳香族炭化水素基としては、例えば、C6−14アリール基が挙げられる。
該アリール基の好適な例としては、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、アセナフチレニル、ビフェニリル、インデニルなどが挙げられる。なかでもフェニル、ナフチルなどが好ましい。
該アリール基は、部分的に飽和されていてもよく、部分的に飽和されたアリール基としては、例えば、ジヒドロインデニルなどが挙げられる。
【0059】
芳香脂肪族炭化水素基としては、例えば、C7−13芳香脂肪族炭化水素基、具体的には、アラルキル基、アリールアルケニル基などが挙げられる。
アラルキル基は、好ましくはC7−13アラルキル基、より好ましくはC7−11アラルキル基、更に好ましくはC7−9アラルキル基である。
アラルキル基に含まれるアリールとしては、上述の「芳香族炭化水素基」として例示されたものが挙げられる。該アリールは、好ましくはフェニルである。
アラルキル基に含まれるアルキレンとしては、上述のLで示されるアルキレン基として例示したものが挙げられる。
アラルキル基の好適な例としては、ベンジル、フェネチル、フェニルプロピル、1−フェニルエチル、1−メチル−2−フェニルエチル、ナフチルメチル、ベンズヒドリルなどが挙げられる。
アリールアルケニル基の好適な例としては、C8−13アリールアルケニル基、例えば、スチリルなどが挙げられる。
【0060】
芳香族複素環脂肪族炭化水素基としては、例えば、C3−13芳香族複素環脂肪族炭化水素基、具体的には、ヘテロアラルキル基、ヘテロアラルケニル基などが挙げられる。
ヘテロアラルキル基は、好ましくはC3−13ヘテロアラルキル基、より好ましくはC4−11ヘテロアラルキル基、更に好ましくはC6−10ヘテロアラルキル基である。
ヘテロアラルキル基に含まれるヘテロアリールとしては、例えば、後述のZで示される「置換されていてもよい複素環」における複素環として例示した芳香族複素環基が挙げられる。該ヘテロアリールは、好ましくは、ピリジル、キノリル、イソキノリル、イミダゾリル、トリアゾリル又はピリミジニルである。
ヘテロアラルキル基に含まれるアルキレン基としては、上述のLで示されるアルキレン基として例示したものが挙げられる。
ヘテロアラルキル基の好適な例としては、2−ピリジルメチル、2−ピリジルエチル、2−ピリジルプロピル、2−キノリルメチル、2−キノリルエチル、2−キノリルプロピルなどが挙げられる。
ヘテロアラルケニル基の好適な例としては、C7−11アラルケニル基、例えば、2−ピリジルエテン−2−イルなどが挙げられる。
【0061】
脂環脂肪族炭化水素基としては、例えば、C4−13脂環脂肪族炭化水素基、具体的にはシクロアルキルアルキル基、シクロアルキルアルケニル基などが挙げられる。
シクロアルキルアルキル基の好適な例としては、C4−13シクロアルキルアルキル基、例えば、シクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロペンチルメチル、シクロペンチルエチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチルなどが挙げられる。
シクロアルキルアルケニル基の好適な例としては、C5−13シクロアルキルアルケニル基、例えば、シクロプロピルエテニル、シクロペンチルエテニル、シクロヘキシルエテニルなどが挙げられる。
【0062】
「炭化水素基」は、好ましくは脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、芳香脂肪族炭化水素基又は芳香族複素環脂肪族炭化水素基であり、より好ましくはアルキル基(例えば、C1−10アルキル基)、アリール基(例えば、C6−14アリール基)、アラルキル基(例えば、C7−13アラルキル基)、又はヘテロアラルキル基(例えば、C3−13ヘテロアラルキル基)等である。
【0063】
上記「炭化水素基」は、置換可能な位置に1乃至3個の置換基を有していてもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいアシル基、置換されていてもよいアルキル基などが挙げられる。
【0064】
「置換されていてもよいアミノ基」としては、例えば、それぞれ置換基を有していてもよいC1−10アルキル基、C2−10アルケニル基、C3−10シクロアルキル基、C3−10シクロアルケニル基、C6−14アリール基、C7−13アラルキル基、C1−13アシル基またはヘテロアリール基でモノまたはジ置換されていてもよいアミノ基が挙げられる。
【0065】
ここで、C1−10アルキル基、C2−10アルケニル基、C3−10シクロアルキル基、C3−10シクロアルケニル基、C6−14アリール基およびC7−13アラルキル基としては、Zで示される「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」として例示したものが挙げられる。
ここで、C1−10アルキル基の好適な例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチルなどが挙げられる。
2−10アルケニル基の好適な例としては、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、5−ヘキセニル、1−ヘプテニル、1−オクテニル等が挙げられる。
3−10シクロアルキル基の好適な例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、ビシクロ[3.2.2]ノニル、ビシクロ[3.3.1]ノニル、ビシクロ[4.2.1]ノニル、ビシクロ[4.3.1]デシルなどが挙げられる。
3−10シクロアルケニル基の好適な例としては、2−シクロペンテン−1−イル、3−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル、3−シクロヘキセン−1−イルなどが挙げられる。
6−14アリール基の好適な例としては、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、アセナフチレニル、ビフェニリル、インデニルなどが挙げられる。
7−13アラルキル基の好適な例としては、ベンジル、フェネチル、フェニルプロピル、1−フェニルエチル、1−メチル−2−フェニルエチル、ナフチルメチル、ベンズヒドリルなどが挙げられる。
【0066】
前記C1−13アシル基としては、後述の「置換されていてもよいアシル基」におけるアシル基として例示するものが挙げられる。
該アシル基は、好ましくはホルミル、C1−10アルキル−カルボニル、C1−6アルコキシ−カルボニル、C6−14アリール−カルボニル、C7−13アラルキル−カルボニル等である。
【0067】
前記ヘテロアリール基としては、例えば、後述のZで示される「置換されていてもよい複素環」における複素環として例示した芳香族複素環基が挙げられる。なかでも、ピリジル、キノリル、イソキノリル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピリミジニルなどが好ましい。
【0068】
これらC1−10アルキル基、C2−10アルケニル基、C3−10シクロアルキル基、C3−10シクロアルケニル基、C6−14アリール基、C7−13アラルキル基、C1−13アシル基およびヘテロアリール基は、置換可能な位置に1〜6個、好ましくは1〜2個の置換基を有していてもよく、このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、1〜3個のハロゲン原子(例、フッ素原子)で置換されていてもよいC1−10アルキル基(好ましくはC1−6アルキル基)、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−10アルコキシ基、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、C1−6アルキルスルホニル基等が挙げられる。
ここでC1−10アルキル基としては、Zで示される「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」として例示したものが挙げられる。C1−10アルキル基の好適な例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチルなどが挙げられる。
1−10アルコキシ基としては、後述の「置換されていてもよいヒドロキシ基」において例示されたものが挙げられる。アルコキシ基の好適な例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、ノニルオキシなどが挙げられる。
【0069】
「置換されていてもよいアミノ基」は、好ましくは置換を有していてもよいC6−14アリール基(例、フェニル)によりモノまたはジ置換されていてもよいアミノ基であり、より好ましくは置換を有していてもよいC6−14アリール基によりモノ置換されていてもよいアミノ基である。
該C6−14アリール基は、好ましくは置換可能な位置に1〜6個のC1−10アルキル基(該アルキル基は1〜3個のハロゲン原子(例、フッ素原子)で置換されていてもよい)を有していてもよいC6−14アリール基であり、より好ましくは置換可能な位置に1〜2個のC1−10アルキル基(該アルキル基は1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい)を有していてもよいフェニルである。
【0070】
「置換されていてもよいヒドロキシ基」に関して、「置換されたヒドロキシ基」としては、例えば、それぞれ置換されていてもよいアルコキシ基、アルケニルオキシ基、シクロアルキルオキシ基、シクロアルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基、ヘテロアリールオキシ基等が挙げられる。
【0071】
アルコキシ基は、好ましくはC1−10アルコキシ基、より好ましくはC1−6アルコキシ基、さらに好ましくはC1−4アルコキシ基である。
アルコキシ基の好適な例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、ノニルオキシなどが挙げられる。
アルケニルオキシ基の好適な例としては、C2−10アルケニルオキシ基、例えば、アリル(allyl)オキシ、クロチルオキシ、2−ペンテニルオキシ、3−ヘキセニルオキシなどが挙げられる。
シクロアルキルオキシ基の好適な例としては、C3−10シクロアルキルオキシ基、例えば、シクロブトキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシなどが挙げられる。
シクロアルケニルオキシ基の好適な例としては、C3−10シクロアルケニルオキシ基、例えば、2−シクロペンテニルオキシ、2−シクロヘキセニルオキシなどが挙げられる。
アリールオキシ基の好適な例としては、C6−14アリールオキシ基、例えば、フェノキシ、ナフチルオキシ等が挙げられる。
アラルキルオキシ基の好適な例としては、C7−13アラルキルオキシ基、例えば、ベンジルオキシ、フェネチルオキシ、ナフチルメチルオキシ等が挙げられる。
アシルオキシ基の好適な例としては、C2−13アシルオキシ基、例えば、C1−6アルキル−カルボニルオキシ基(例、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、イソブチリルオキシ)等が挙げられる。
ヘテロアリールオキシ基の好適な例としては、5乃至7員の単環式ヘテロアリールオキシ基、例えば、2−ピリジルオキシ、3−ピリジルオキシ、2−イミダゾリルオキシ、2−ピリミジニルオキシ、1,2,4−トリアゾール−5−イルオキシ等が挙げられる。
【0072】
上記したアルコキシ基、アルケニルオキシ基、シクロアルキルオキシ基、シクロアルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基およびヘテロアリールオキシ基は、置換可能な位置に1〜3個、好ましくは1乃至2個の置換基を有していてもよく、このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−10アルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−10アルコキシ基、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ等が挙げられる。
ここでC1−10アルキル基としては、Zで示される「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」として例示したものが挙げられる。C1−10アルキル基の好適な例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチルなどが挙げられる。
1−10アルコキシ基としては、上述の「置換されていてもよいヒドロキシ基」において例示されたものが挙げられる。
【0073】
「置換されていてもよいアシル基」におけるアシル基としては、例えば、式:−COR,−CO−OR,−SO,−SOR[式中、Rは、水素原子又は炭化水素基を示す。]で表される基などが挙げられる。
で示される「炭化水素基」としては、Zとして例示した「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」として例示したものが挙げられる。
該炭化水素基は、好ましくはアルキル基(例、C1−10アルキル基)、シクロアルキル基(C3−10シクロアルキル基)、アリール基(C6−14アリール基)、アラルキル基(C7−13アラルキル基)である。
ここでアルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基としては、Zで示される「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」として例示したものが挙げられる。
アルキル基の好適な例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチルなどが挙げられる。
シクロアルキル基の好適な例としては、C3−10シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、ビシクロ[3.2.2]ノニル、ビシクロ[3.3.1]ノニル、ビシクロ[4.2.1]ノニル、ビシクロ[4.3.1]デシルなどが挙げられる。
6−14アリール基の好適な例としては、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、アセナフチレニル、ビフェニリル、インデニルなどが挙げられる。
7−13アラルキル基の好適な例としては、ベンジル、フェネチル、フェニルプロピル、1−フェニルエチル、1−メチル−2−フェニルエチル、ナフチルメチル、ベンズヒドリルなどが挙げられる。
【0074】
アシル基の好適な例としては、ホルミル、カルボキシ、C1−10アルキル−カルボニル(例、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル)、C2−10アルケニル−カルボニル(例、クロトノイル)、C3−10シクロアルキル−カルボニル(例、シクロブタンカルボニル、シクロペンタンカルボニル、シクロヘキサンカルボニル、シクロヘプタンカルボニル)、C3−10シクロアルケニル−カルボニル(例、2−シクロヘキセンカルボニル)、C6−14アリール−カルボニル(例、ベンゾイル、1−ナフトイル、2−ナフトイル)、C7−13アラルキル−カルボニル(例、ベンジルカルボニル、フェネチルカルボニル)、芳香族複素環カルボニル(例、ニコチノイル、イソニコチノイル)、非芳香族複素環カルボニル(例、ピロリジニルカルボニル、ピペリジノカルボニル)、C1−10アルコキシ−カルボニル(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル)、C6−14アリールオキシ−カルボニル(例、フェニルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル)、C7−13アラルキルオキシ−カルボニル(例、ベンジルオキシカルボニル、フェネチルオキシカルボニル)、C1−10アルキルスルフィニル基(例、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル)、C1−10アルキルスルホニル基(例、メチルスルホニル、エチルスルホニル)、C6−14アリールスルホニル(例、フェニルスルホニル)などが挙げられる。
【0075】
該アシル基は、置換可能な位置に1〜3個の置換基を有していてもよく、このような置換基としては、例えば、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−10アルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−10アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ等が挙げられる。
ここでC1−10アルキル基としては、Zで示される「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」として例示したものが挙げられる。C1−10アルコキシ基としては、上述の「置換されていてもよいヒドロキシ基」において例示されたものが挙げられる。
【0076】
「置換されていてもよいアシル基」は、好ましくはホルミル、カルボキシ、置換されていてもよいアルコキシ−カルボニルであり、より好ましくは、カルボキシ又はC1−10アルコキシ−カルボニルである。
【0077】
前記「炭化水素基」が置換基として有していてもよい「置換されていてもよいアルキル基」におけるアルキル基としては、Zで示される「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」として例示したものが挙げられる。
アルキル基は、好ましくはC1−10アルキル基、より好ましくはC1−6アルキル基である。
アルキル基の好適な例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチルなどが挙げられる。
該アルキル基は、置換可能な位置に1〜6個、好ましくは1〜3個の置換基を有していてもよく、このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ等が挙げられる。
「置換されていてもよいアルキル基」は、好ましくは置換されていてもよいC1−10アルキル基であり、より好ましくはC1−6アルキル基(例、イソブチル)である。
【0078】
Zで示される「置換されていてもよい複素環基」における複素環基としては、環構成原子として炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる少なくとも1個(例えば1〜4個)のヘテロ原子を含む複素環基を挙げることができる。複素環基には、芳香族複素環基および非芳香族複素環基が含まれる。
【0079】
「芳香族複素環基」としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1乃至4個含有する5乃至7員の単環式芳香族複素環基または縮合芳香族複素環基が挙げられる。該縮合芳香族複素環基としては、例えば、これら5乃至7員の単環式芳香族複素環基と、1乃至2個の窒素原子を含む6員環、ベンゼン環、または1個の硫黄原子を含む5員環とが縮合した基等が挙げられる。
【0080】
「芳香族複素環基」の好適な例としては、フリル(例、2−フリル、3−フリル)、チエニル(例、2−チエニル、3−チエニル)、ピリジル(例、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル)、ピリミジニル(例、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、6−ピリミジニル)、ピリダジニル(例、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル)、ピラジニル(例、2−ピラジニル)、ピロリル(例、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル)、イミダゾリル(例、1−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル)、ピラゾリル(例、1−ピラゾリル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル)、オキサゾリル(例、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル)、イソオキサゾリル、チアゾリル(例、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル)、イソチアゾリル、オキサジアゾリル(例、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)、チアジアゾリル(例、1,3,4−チアジアゾール−2−イル)、トリアゾリル(例、1,2,4−トリアゾール−1−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル、1,2,4−トリアゾール−5−イル、1,2,3−トリアゾール−1−イル、1,2,3−トリアゾール−2−イル、1,2,3−トリアゾール−4−イル)、テトラゾリル(例、テトラゾール−1−イル、テトラゾール−5−イル)、キノリル(例、2−キノリル、3−キノリル、4−キノリル)、キナゾリル(例、2−キナゾリル、4−キナゾリル)、キノキサリル(例、2−キノキサリル)、フタラジニル(例、2−フタラジニル)、シンノリニル(例、2−シンノリニル)、プテリジニル、ナフチリジニル、ベンゾフリル(例、2−ベンゾフリル、3−ベンゾフリル)、ベンゾチエニル(例、2−ベンゾチエニル、3−ベンゾチエニル)、ベンズオキサゾリル(例、2−ベンズオキサゾリル)、ベンゾチアゾリル(例、2−ベンゾチアゾリル)、ベンズイミダゾリル(例、ベンズイミダゾール−1−イル、ベンズイミダゾール−2−イル)、インドリル(例、インドール−1−イル、インドール−3−イル)、1H−インダゾリル(例、1H−インダゾール−3−イル)、1H−ピロロ[2,3−b]ピラジニル(例、1H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−2−イル)、1H−ピロロピリジニル(例、1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−6−イル)、1H−イミダゾピリジニル(例、1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル、1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル)、1H−イミダゾピラジニル(例、1H−イミダゾ[4,5−b]ピラジン−2−イル)、トリアジニル、イソキノリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンズトリアゾリルなどが挙げられる。
【0081】
「非芳香族複素環基」としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1乃至4個含有する5乃至7員の単環式非芳香族複素環基または縮合非芳香族複素環基が挙げられる。該縮合非芳香族複素環基としては、例えば、これら5乃至7員の単環式非芳香族複素環基と、1乃至2個の窒素原子を含む6員環、ベンゼン環、または1個の硫黄原子を含む5員環とが縮合した基等が挙げられる。
【0082】
「非芳香族複素環基」の好適な例としては、モルホリニル(例、モルホリノ)、ピロリジニル(例、1−ピロリジニル)、ピペリジニル(例、ピペリジノ)、チオモルホリニル(例、チオモルホリノ)、ピペラジニル(例、1−ピペラジニル)、ヘキサメチレンイミニル(例、ヘキサメチレンイミン−1−イル)、オキサゾリジニル(例、オキサゾリジン−3−イル)、チアゾリジニル(例、チアゾリジン−3−イル)、イミダゾリジニル(例、イミダゾリジン−3−イル)、イミダゾリニル(例、イミダゾリン−1−イル、イミダゾリン−2−イル)、オキサゾリニル(例、オキサゾリン−2−イル)、チアゾリニル(例、チアゾリン−2−イル)、オキサジニル(例、オキサジン−2−イル)、テトラヒドロフラニル、アゼパニル、テトラヒドロピリジニル(例、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−1−イル)、ジヒドロベンゾフラニル、ジオキソラニル、ジチオラニル、ジオキソチアゾリジニル、ジオキソオキサゾリジニルなどが挙げられる。
【0083】
非芳香族複素環基は、好ましくは含窒素非芳香族複素環基である。「含窒素非芳香族複素環」としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に少なくとも1個の窒素原子を含み、さらに酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1乃至2個含有していてもよい5、6又は7員の含窒素非芳香族複素環が挙げられる。含窒素非芳香族複素環は、より好ましくは、炭素原子以外に1個の窒素原子を含み、さらに酸素原子を1個含有する6員の含窒素非芳香族複素環(例、モルホリン、[1,3]オキサジナン、[1,2]オキサジナン)である。
【0084】
上記した複素環基は、置換可能な位置に1乃至3個の置換基を有していてもよい。このような置換基としては、例えば、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、オキソ、ハロゲン原子、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−10アルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−10アルコキシ基、C6−14アリール基等が挙げられる。
ここでC1−10アルキル基及びC6−14アリール基としては、Zで示される「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」として例示したものが挙げられる。C1−10アルコキシ基としては、上述の「置換されていてもよいヒドロキシ基」において例示されたものが挙げられる。
【0085】
「置換されていてもよい複素環基」は、好ましくは、窒素原子及び/又は酸素原子を1個含有する置換されていてもよい5又は6員の複素環基(例、フリル、ピリジル、モルホリノ)である。
【0086】
式(I)中、Zで示される有機基は非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)である化合物の残基であってもよい。即ち、Z−COOH、Z−NH、Z−OH、Z−H等がNSAIDであり得る。NSAIDとしてはフルフェナム酸、イブプロフェン、アセチルサリチル酸等を挙げることができる。Zとして安全性が確認されている公知のNSAIDの残基を用いることで、本発明の化合物による副作用発生のリスクを最小限に抑制することができる。
【0087】
式(II)中、A又はBで示される「置換されていてもよい含窒素複素環基」としては、前述のRにおいて「置換されていてもよい含窒素複素環基」として例示されたものが挙げられる。
A及びBは、好ましくは、同一又は異なって、置換されていてもよい2−ピリジル、置換されていてもよい2−キノリル、置換されていてもよい1−イソキノリル、置換されていてもよい3−イソキノリル、又は置換されていてもよい2−ベンゾチアゾリルであり、より好ましくは、2−ピリジル、2−キノリル又は2−ベンゾチアゾリルである。
【0088】
式(I)の化合物の第1の好適な態様として、Zが水素原子、置換されていてもよいC1−6アルキル基、置換されていてもよいC6−14アリール基、置換されていてもよいC7−13アラルキル基、置換されていてもよいC7−13アラルキル基、置換されていてもよいC3−13ヘテロアラルキル基又は酸素原子および窒素原子から選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含む置換されていてもよい複素環基である、化合物又はその塩が提供される。
【0089】
式(I)の化合物の第1の態様においては、好ましくは、
LがC1−3アルキレン基であり;
Xが−O−であり;
Yが−CONR−であり;
ZがC1−6アルキル基、アミノ基[該アミノ基はフェニル基(該フェニル基はハロゲンにより置換されていてもよいC1−6アルキル基により置換されていてもよい)により置換されていてもよい]により置換されていてもよいフェニル基、C1−6アルキル基により置換されていてもよいC7−13アラルキル基、ハロゲン若しくはC1−6アルキル基により置換されていてもよいC3−13ヘテロアラルキル基、ピリジル基又はフリル基であり;
及びRが水素原子であり;
が2−ピリジル基であり;かつ
が水素原子又はベンジル基である。
該態様においては、好ましくは、Zがアミノ基[該アミノ基はフェニル基(該フェニル基はハロゲンにより置換されていてもよいC1−6アルキル基により置換されていてもよい)により置換されていてもよい]により置換されていてもよいフェニル基である。
【0090】
式(I)の化合物の第2の態様においては、好ましくは、
LがC1−3アルキレン基であり;
Xが−O−であり;
Yが結合手であり;
Zが水素原子、C1−6アルキル基、C1−6アルキル基により置換されていてもよいC7−13アラルキル基、又はハロゲン若しくはC1−6アルキル基により置換されていてもよいC3−13ヘテロアラルキル基であり;
及びRが水素原子であり;かつ
が2−ピリジル基、2−キノリル基又は水素原子である。
該態様においては、好ましくは、Zが水素原子、又は2−ピリジルメチル又は2−キノリルメチルである。
【0091】
式(I)の化合物の第3の態様においては、好ましくは、
LがC1−3アルキレン基であり;
Xが−NH−であり;
Yが−CO−又は−SO−であり;
ZがC1−6アルキル基、置換されていてもよいフェニル基、置換されていてもよいC7−13アラルキル基、置換されていてもよいピリジル基又はキノリル基であり;
及びRが水素原子であり;かつ
が2−ピリジル基である。
該態様においては、好ましくは、Zが置換されていてもよいフェニル基である。
【0092】
化合物(I)の好適な例として、以下の化合物を挙げることが出来る:
N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エトキシカルボニル}アニリン、
N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エチル}ベンゼンスルホンアミド、
N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エチル}ベンズアミド、
2−[N−(3−トリフルオロメチルフェニル)アミノ]−N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エトキシカルボニル}アニリン、
2−[N−(3−トリフルオロメチルフェニル)アミノ]−N−ベンジル−N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エトキシカルボニル}アニリン、
2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸 N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エチル}アミド、
N−(3−トリフルオロメチルフェニル)アントラニル酸 N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エチル}アミド、
2−{2−[N−メチル−N−(2−ピリジルメチル)アミノ]エトキシ}メチルピリジン、
2−{2−[N−メチル−N−(2−ピリジルメチル)アミノ]エトキシ}メチルキノリン、
2−{2−[N−(2−ピリジルメチル)−N−(2−キノリルメチル)アミノ]エトキシ}メチルピリジン、
2−{2−[N−(2−ピリジルメチル)−N−(2−キノリルメチル)アミノ]エトキシ}メチルキノリン、
2−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エトキシ}メチルピリジン、
2−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エトキシ}メチルキノリン、
又は2−{2−[N,N−ビス(2−キノリルメチル)アミノ]エタノール、
或いはそれらの塩である。
【0093】
中でも、以下の化合物は、強力な脱顆粒反応抑制効果及びサイトカイン産生阻害効果を有している点、及び毒性が低い点において優れている:
N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エトキシカルボニル}アニリン、
N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エチル}ベンゼンスルホンアミド、
N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エチル}ベンズアミド、
2−[N−(3−トリフルオロメチルフェニル)アミノ]−N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エトキシカルボニル}アニリン、
2−[N−(3−トリフルオロメチルフェニル)アミノ]−N−ベンジル−N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エトキシカルボニル}アニリン、
2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸 N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エチル}アミド、
N−(3−トリフルオロメチルフェニル)アントラニル酸 N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エチル}アミド、
2−{2−[N−メチル−N−(2−ピリジルメチル)アミノ]エトキシ}メチルキノリン、
2−{2−[N−(2−ピリジルメチル)−N−(2−キノリルメチル)アミノ]エトキシ}メチルピリジン、
2−{2−[N−(2−ピリジルメチル)−N−(2−キノリルメチル)アミノ]エトキシ}メチルキノリン、
又は2−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エトキシ}メチルキノリン。
【0094】
式(II)の化合物の第1の好適な態様として、LがC1−6アルキレン基であり、nが1乃至4であり、A及びBが、同一又は異なって、置換されていてもよい2−ピリジル、置換されていてもよい2−キノリル、置換されていてもよい1−イソキノリル、置換されていてもよい3−イソキノリル、又は置換されていてもよい2−ベンゾチアゾリルである、化合物又はその塩が提供される。
【0095】
式(II)の化合物の第1の態様において、好ましくは、
LがC1−3アルキレン基であり;
nが1乃至3であり;かつ
A及びBが、同一又は異なって、ハロゲン、C1−6アルキル基若しくはC1−6アルコキシ基により置換されていてもよい2−ピリジル、ハロゲン、C1−6アルキル基若しくはC1−6アルコキシ基により置換されていてもよい2−キノリル、又はハロゲン、C1−6アルキル基若しくはC1−6アルコキシ基により置換されていてもよい2−ベンゾチアゾリルである。
該態様においては、好ましくは、Lがエチレンである。
【0096】
化合物(II)の好適な例として、以下の化合物を挙げることが出来る:
S,S’−ビス(2−キノリル)エタンジチオール、
S,S’−ビス(ベンゾチアゾリルメチル)エタンジチオール、
2,5,8−トリチア−1,9−ビス(2−キノリル)ノナン、
2,5,8−トリチア−1,9−ビス[2−(5,6,7−トリメトキシキノリル)]ノナン、
又は2,5,8−トリチア−1,9−ビス[2−(6−メトキシキノリル)]ノナン、
或いはそれらの塩である。
【0097】
上記化合物(II)は、強力な脱顆粒反応抑制効果及びサイトカイン産生阻害効果を有している。
【0098】
化合物(I)又は(II)の塩としては、薬理学的に許容される塩が好ましく、このような塩としては、例えば、無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。
【0099】
無機塩基との塩の好適な例としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;ならびにアルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。
【0100】
有機塩基との塩の好適な例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。
【0101】
無機酸との塩の好適な例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。
【0102】
有機酸との塩の好適な例としては、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。
【0103】
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、アルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられる。
【0104】
酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、アスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。
【0105】
化合物(I)又は(II)は、無水物、水和物のいずれであってもよい。
【0106】
さらに、化合物(I)又は(II)は、同位元素(例、H、14C、35S)で標識されていてもよい。
【0107】
化合物(I)又は(II)が、光学異性体、立体異性体、位置異性体、回転異性体を含有する場合には、これらも化合物(I)又は(II)として含有されるとともに、自体公知の合成手法、分離手法によりそれぞれを単品として得ることができる。例えば、化合物(I)又は(II)に光学異性体が存在する場合には、該化合物から分割された光学異性体も化合物(I)又は(II)に包含される。該光学異性体は、自体公知の方法により製造することができる。
【0108】
化合物(I)は、以下に詳述する[製造法1]、[製造法2]又はこれに準ずる方法によって製造することができる。また、化合物(II)は、以下に詳述する[製造法3]又はこれに準ずる方法によって製造することができる。
なお、原料化合物として用いられる化合物は、それぞれ塩として用いてもよい。このような塩としては、前記した化合物(I)、(II)の塩として例示したものが挙げられる。
【0109】
下記の[製造法1]、[製造法2]及び[製造法3]において、アルキル化反応、加水分解反応、アミノ化反応、エステル化反応、アミド化反応、エステル化反応、エーテル化反応、酸化反応、還元反応等を行う場合、これらの反応は、自体公知の方法にしたがって行われる。このような方法としては、例えば、オーガニック ファンクショナル グループ プレパレーションズ(Organic Functional Group Preparations)第2版、アカデミックプレス社(Academic Press, Inc.)1989年刊;コンプリヘンシブ・オーガニック・トランスフォーメーション (Comprehensive Organic Transformations) VCH Publishers Inc.,1989年刊等に記載の方法が挙げられる。
【0110】
[製造法1]
Xが−O−であり且つYが−CONH−である化合物(I)(以下、化合物(IA)という)は、例えば、化合物(III)と化合物(IV)の下記縮合反応により製造することができる。
【0111】
【化17】

【0112】
[式中の記号は前記と同意義を示す。]
【0113】
該縮合反応においては、好ましくは、化合物(III)に対して1乃至10当量の化合物(IV)を、ピリジン等の塩基存在下で反応させる。化合物(IV)は、市販品又は公知化合物を使用してもよく、また、化合物(VII)、すなわち、ZCOH、をトリエチルアミン等の塩基存在下、ジフェニルリン酸アジド(DPPA)と共に加熱還流することにより、化合物(IV)を要時調製して使用してもよい。
【0114】
[製造法2]
Xが−O−又は−NR−であり、且つYが結合手、−CO−又は−SO−である化合物(I)(以下、化合物(IB)という)は、例えば、化合物(V)と化合物(VI)の下記縮合反応、すなわち、エーテル化、エステル化、スルホン酸エステル化、アミド化、又はスルホンアミド化反応、により製造することができる。
【0115】
【化18】

【0116】
[式中、Tは脱離基を、その他の記号は前記と同意義を示す。]
【0117】
Tで示される「脱離基」としては、例えば、ハロゲン原子、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキルスルホニルオキシ基(例、メタンスルホニルオキシ、エタンスルホニルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ)、ヒドロキシ基等が挙げられる。該「脱離基」は、好ましくは、ハロゲン原子又はヒドロキシ基である。
【0118】
該縮合反応においては、好ましくは、化合物(V)に対して1乃至5当量の化合物(VI)を、塩基存在下、不活性溶媒中で反応させるか、又は化合物(V)、1乃至5当量の化合物(VI)、及び化合物(V)に対して1乃至3当量の脱水縮合剤を、不活性溶媒中で反応させる。必要に応じて、化合物(V)に対して1乃至3当量のアルコール及び/又は触媒量乃至化合物に対して1乃至5当量の塩基の共存下に反応を行ってもよい。
【0119】
「脱水縮合剤」としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)塩酸塩等が挙げられる。
【0120】
「不活性溶媒」としては、例えば、ニトリル系溶媒、アミド系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、水等が挙げられる。これらは、二種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。なかでも、アセトニトリル、DMF、ジクロロメタン、THF等が好ましい。
【0121】
「ニトリル系溶媒」としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリルが挙げられる。
「アミド系溶媒」としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリジオン(NMP)が挙げられる。
「ハロゲン化炭化水素系溶媒」としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素が挙げられる。
「エーテル系溶媒」としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンが挙げられる。
【0122】
「アルコール」としては、例えば、C1−6アルキルアルコール(好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール)が挙げられる。
【0123】
該「塩基」としては、例えば、
1)例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水素化物(例、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム)、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のアミド類(例、リチウムアミド、ナトリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムジシクロヘキシルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド)、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のC1−6アルコキシド(例、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド)等の強塩基;
2)例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物(例、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化バリウム)、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩(例、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム)、アルカリ金属の炭酸水素塩(例、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム)等の無機塩基;
3)例えば、アミン類(例、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、4−ジメチルアミノピリジン、DBU(1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデカ−7−エン)、DBN(1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナ−5−エン))、塩基性複素環化合物(例、ピリジン、イミダゾール、2,6−ルチジン)等の有機塩基;
等が挙げられる。
上記した塩基の中でも、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等が好ましい。
【0124】
反応温度は、通常、−20℃乃至150℃、好ましくは、0℃乃至100℃である。反応時間は、通常、1時間乃至90時間、好ましくは、5時間乃至24時間である。
【0125】
上記縮合反応は、化合物(V)と1乃至5当量(好ましくは、1乃至3当量)の反応性誘導体である化合物(VI)とを不活性溶媒中で反応させる。必要に応じて、化合物(V)に対して1乃至10当量の塩基の共存下に反応を行ってもよい。
【0126】
「反応性誘導体」である化合物(VI)としては、例えば、酸ハライド(例、酸クロリド、酸ブロミド)、混合酸無水物(例、C1−6アルキル−カルボン酸、C6−10アリール−カルボン酸またはC1−6アルキル炭酸との酸無水物)、活性エステル(例、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールまたはN−ヒドロキシスクシンイミドとのエステル)、活性アミド(例、N,N’−カルボニルジイミダゾールとのアミド)等が挙げられる。
該反応性誘導体は、好ましくは、酸ハライド又は活性アミドである。
【0127】
該「不活性溶媒」としては、前記「不活性溶媒」において例示されたものが挙げられる。中でも、アセトニトリル、N,N−ジメチルアセトアミド、THF、ピリジン、クロロホルム等が好ましい。
【0128】
該「塩基」としては、前記「塩基」で例示したものが挙げられる。該塩基は、好ましくは、水素化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等である。
【0129】
反応温度は、通常、−20℃乃至60℃、好ましくは、室温である。反応時間は、通常、1時間乃至40時間、好ましくは、5時間乃至24時間である。
【0130】
XがOである化合物(V’)は、例えば特開2006−8790号公報に記載された方法に準じて、下記アミノ化反応により製造することができる。
(アミノ化反応)
【0131】
【化19】

【0132】
[式中の各記号は前記と同意義を示す。]
【0133】
Tで示される「脱離基」は、前記と同意義を示すが、中でもハロゲン原子が好ましい。
【0134】
本反応は、通常、不活性溶媒中で行われる。
「不活性溶媒」としては、前記例示されたものが挙げられる。中でも、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、エタノール、ピリジン、水等が好ましい。
【0135】
化合物(IX)の使用量は、化合物(VIII)に対して、通常、0.5乃至2当量(例えば、1当量)である。化合物(X)の使用量は、化合物(VIII)と化合物(IX)の和に対して、通常、0.5乃至10当量である。
【0136】
反応温度は、通常、約−20℃乃至200℃、好ましくは、室温乃至100℃である。反応時間は、例えば、約0.5時間乃至1日である。
【0137】
本反応は、必要に応じて、塩基の共存下に行ってもよい。
該「塩基」としては、前記例示したものが挙げられる。該塩基は、好ましくは、水素化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等である。塩基の使用量は、化合物(X)に対して、通常、0.1乃至100当量、好ましくは、1乃至10当量である。
【0138】
XがNHである化合物(V)は、例えば、化合物(VIII)とモノN−t−ブトキシカルボニルエチレンジアミンとを塩基存在下、不活性溶媒中で反応させた後、酸により脱t−ブトキシカルボニル化することにより製造することができる。
【0139】
該「塩基」としては、前記例示したものが挙げられる。該塩基は、好ましくは、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等である。
【0140】
反応温度は、通常、約−20℃乃至200℃、好ましくは、室温乃至100℃である。
【0141】
「不活性溶媒」としては、前記例示されたものが挙げられる。中でも、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、エタノール、ピリジン、水等が好ましい。
【0142】
該「酸」としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸、または酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0143】
[製造法3]
化合物(II)は、例えば、化合物(XIa)と化合物(XIb)による化合物(XII)の下記アルキル化反応により製造することができる。
【0144】
【化20】

【0145】
[式中の記号は前記と同意義を示す。]
【0146】
該アルキル化反応においては、好ましくは、化合物(XII)に対して、合わせて1ないし10当量の化合物(XIa)及び化合物(XIb)を、塩基存在下、不活性溶媒中で反応させる。
【0147】
該「塩基」としては、前記例示したものが挙げられる。該塩基は、好ましくは、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等である。
【0148】
「不活性溶媒」としては、前記例示されたものが挙げられる。中でも、アセトニトリル、等が好ましい。
【0149】
反応温度は、通常、約−20℃乃至200℃、好ましくは、室温乃至100℃である。反応時間は、例えば、約0.5時間乃至1日である。
【0150】
上記製造法1〜3において、原料化合物が置換基としてアミノ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボニル基を有する場合、これらの基にペプチド化学などで一般的に用いられるような保護基が導入されていてもよく、反応後に必要に応じて保護基を除去することにより目的化合物を得ることができる。
【0151】
アミノ基の保護基としては、例えば、ホルミル基、C1−6アルキル−カルボニル基(例、アセチル、プロピオニル)、C1−6アルコキシ−カルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル)、ベンゾイル基、C7−10アラルキル−カルボニル基(例、ベンジルカルボニル)、C7−14アラルキルオキシ−カルボニル基(例、ベンジルオキシカルボニル、9−フルオレニルメトキシカルボニル)、トリチル基、フタロイル基、N,N−ジメチルアミノメチレン基、置換シリル基(例、トリメチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルフェニルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジエチルシリル)、C2−6アルケニル基(例、1−アリル)などが挙げられる。これらの基は、ハロゲン原子、C1−6アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ)およびニトロ基から選ばれる1乃至3個の置換基で置換されていてもよい。
【0152】
カルボキシ基の保護基としては、例えば、C1−6アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル)、C7−11アラルキル基(例、ベンジル)、フェニル基、トリチル基、置換シリル基(例、トリメチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルフェニルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジエチルシリル)、C2−6アルケニル基(例、1−アリル)などが挙げられる。これらの基は、ハロゲン原子、C1−6アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ)およびニトロ基から選ばれる1乃至3個の置換基で置換されていてもよい。
【0153】
ヒドロキシ基の保護基としては、例えば、C1−6アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル)、フェニル基、トリチル基、C7−10アラルキル基(例、ベンジル)、ホルミル基、C1−6アルキル−カルボニル基(例、アセチル、プロピオニル)、ベンゾイル基、C7−10アラルキル−カルボニル基(例、ベンジルカルボニル)、2−テトラヒドロピラニル基、2−テトラヒドロフラニル基、置換シリル(例、トリメチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルフェニルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジエチルシリル)、C2−6アルケニル基(例、1−アリル)などが挙げられる。これらの基は、ハロゲン原子、C1−6アルキル(例、メチル、エチル、n−プロピル)、C1−6アルコキシ(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ)またはニトロ基から選ばれる1乃至3個の置換基で置換されていてもよい。
【0154】
メルカプト基の保護基としては、例えば、C1−6アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル)、フェニル基、トリチル基、C7−10アラルキル基(例、ベンジル)、ホルミル基、C1−6アルキル−カルボニル基(例、アセチル、プロピオニル)、ベンゾイル基、C7−10アラルキル−カルボニル基(例、ベンジルカルボニル)、2−テトラヒドロピラニル基、2−テトラヒドロフラニル基、置換シリル(例、トリメチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルフェニルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジエチルシリル)、C2−6アルケニル基(例、1−アリル)などが挙げられる。これらの基は、ハロゲン原子、C1−6アルキル(例、メチル、エチル、n−プロピル)、C1−6アルコキシ(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ)またはニトロ基から選ばれる1乃至3個の置換基で置換されていてもよい。
【0155】
カルボニル基の保護基としては、例えば、環状アセタール(例、1,3−ジオキサン)、非環状アセタール(例、ジ−C1−6アルキルアセタール)などが挙げられる。
【0156】
上記した保護基の除去方法は、自体公知の方法、例えば、プロテクティブ グループス イン オーガニック シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)、 John Wiley and Sons 刊(1980)に記載の方法などに準じて行うことができる。具体的には、酸、塩基、紫外光、ヒドラジン、フェニルヒドラジン、N−メチルジチオカルバミン酸ナトリウム、テトラブチルアンモニウムフルオリド、酢酸パラジウム、トリアルキルシリルハライド(例えば、トリメチルシリルヨージド、トリメチルシリルブロミドなど)などを使用する方法、還元法などが用いられる。
【0157】
上記製造法により得られた化合物(I)又は(II)は、公知の手段、例えば、溶媒抽出、液性変換、転溶、晶出、再結晶、クロマトグラフィーなどによって単離精製することができる。
【0158】
化合物(I)、化合物(II)又はその塩(以下、本発明の化合物という)は、優れた脱顆粒抑制効果及びサイトカイン産生抑制効果を有するため、脱顆粒反応抑制剤、サイトカイン産生抑制剤、あるいは化学伝達物質(例、ヒスタミン)等を脱顆粒し得る細胞(例えば肥満細胞)又はサイトカイン産生能を有する細胞が関与する各種アレルギー性疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患等の予防・治療剤として有用である。
【0159】
本発明において「サイトカイン」とは、一般に過剰に産生される、あるいは放出されると、種々のアレルギー性疾患や自己免疫疾患を含む各種炎症性疾患を誘導し得る液性タンパク質である。サイトカインとしては、インターロイキン(IL)−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10、IL−12、IL−13、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、トランスフォーミング増殖因子−β(TGF−β)、インターフェロン−γ(IFN−γ)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、単球遊走促進因子−1(MCP−1)、MIPIβ、MIPIα、白血病阻害因子(LIF)等が挙げられる。
【0160】
本発明の化合物は、肥満細胞等の脱顆粒反応を抑制し、ヒスタミン分泌を抑制することにより、I型アレルギー反応による血管透過性亢進、平滑筋収縮、腺分泌亢進、血管拡張等の諸症状の発現を抑制し、諸症状を改善し得る。また、本発明の化合物は、肥満細胞におけるサイトカイン産生及び遊離を制御することも可能であり、各種アレルギー性疾患、自己免疫疾患を含む炎症性疾患に有効である。更に、本発明の化合物は、毒性(例、急性毒性、慢性毒性)も低い。
【0161】
したがって、本発明の化合物は、哺乳動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ウマ、ブタ、ウシ、サル、ヒト)に対し、細胞(例、肥満細胞)の脱顆粒反応やサイトカイン産生が関与する疾患の予防・治療剤等として安全に投与される。
【0162】
脱顆粒反応やサイトカイン産生が関与する疾患としては、アレルギー疾患(特にI型アレルギー反応が関与する疾患)、例えば、アレルギー性皮膚炎(例、アトピー性皮膚炎)、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、気管支喘息、蕁麻疹、アレルギー性炎症、アナフィラキシーショック等を挙げることができる。その他、全身性エリテマトーデス、混合型結合組織病、関節リウマチ、シェーグレン症候群、リウマチ熱、グッドパスチャー症候群、パセドウ病、橋本病、アジソン病、自己免疫性溶血性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、重症筋無力症、潰瘍性大腸炎、クローン病、交換性眼炎、多発性硬化症、乾癬、肝炎等の自己免疫疾患を含む炎症性疾患も脱顆粒反応やサイトカイン産生が関与する疾患として挙げられる。
【0163】
本発明の化合物は、そのままあるいは薬理学的に許容される担体とともに、自体公知の手段、例えば、日本薬局方に記載の方法に従って製剤化することによって、医薬組成物として用いられる。
【0164】
薬理学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質、例えば、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤が挙げられる。また、製剤化の際に、必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤、吸着剤、湿潤剤等の添加物を用いることもできる。
【0165】
賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、D−マンニトール、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸が挙げられる。滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカが挙げられる。結合剤としては、例えば、結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、デンプン、ショ糖、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムが挙げられる。崩壊剤としては、例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)が挙げられる。
【0166】
溶剤としては、例えば、注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油が挙げられる。溶解補助剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムが挙げられる。懸濁化剤としては、例えば、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン等の界面活性剤;例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子が挙げられる。
【0167】
等張化剤としては、例えば、ブドウ糖、D−ソルビトール、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトールが挙げられる。緩衝剤としては、例えば、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩等の緩衝液が挙げられる。無痛化剤としては、例えば、ベンジルアルコールが挙げられる。防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸が挙げられる。
抗酸化剤としては、例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸が挙げられる。
【0168】
着色剤としては、例えば、水溶性食用タール色素(例、食用赤色2号および3号、食用黄色4号および5号、食用青色1号および2号等の食用色素)、水不溶性レーキ色素(例、前記水溶性食用タール色素のアルミニウム塩)、天然色素(例、β−カロチン、クロロフィル、ベンガラ)が挙げられる。甘味剤としては、例えば、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、アスパルテーム、ステビアが挙げられる。
【0169】
吸着剤としては、例えば、有孔デンプン、ケイ酸カルシウム(商品名:フローライトRE)、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(商品名:ノイシリン)、軽質無水ケイ酸(商品名:サイリシア)が挙げられる。湿潤剤としては、例えば、プロピレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ジエチレングリコールモノラウレート、ポリオキシエチレンラウリルエーテルが挙げられる。
【0170】
前記医薬組成物の剤型としては、例えば、錠剤(舌下錠、口腔内崩壊錠を含む)、散剤、顆粒剤、ドロップ、カプセル剤(ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)、カシェ剤、トローチ剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤等の経口剤;注射剤(例、皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤)、外用剤(例、経皮製剤、経鼻剤、軟膏剤、クリーム、エアロゾル、スプレー、粉剤、ローション等)、坐剤(例、直腸坐剤、膣坐剤)、ペレット、経肺剤(吸入剤)、点滴剤等の非経口剤が挙げられる。これらは、経口的または非経口的(例、局所、直腸、静脈投与)に安全に投与することができる。
なお、医薬組成物中の本発明の化合物の含有量は、例えば、医薬組成物全体の約0.1乃至100重量%である。
【0171】
錠剤は必要に応じて通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、腸溶性コーティング錠、フィルムコーティング錠あるいは二層錠、多層錠とすることができる。散剤は、薬学的に許容される散剤の基剤と共に製剤化される。基剤としては、タルク、ラクトース、澱粉等が挙げられる。ドロップは水性又は非水性の基剤と一種またはそれ以上の薬学的に許容される拡散剤、懸濁化剤、溶解剤等と共に製剤化できる。カプセル剤は、有効成分となる化合物を薬学的に許容される担体と共に中に充填することにより製造できる。本発明の化合物を、薬学的に許容される賦形剤と共に混合し、または賦形剤なしでカプセルの中に充填することができる。カシェ剤も同様の方法で製造できる。
【0172】
注射用液剤としては、溶液、懸濁液、乳剤等が挙げられる。例えば、水溶液、水−プロピレングリコール溶液等が挙げられる。液剤は、水を含んでも良い、ポリエチレングリコールおよび/またはプロピレングリコールの溶液の形で製造することもできる。
【0173】
外用剤は、本発明の化合物と薬学的に許容される希釈剤および担体と混合することによって製造できる。軟膏およびクリームは、例えば、水性または油性の基剤に増粘剤および/またはゲル化剤を加えて製剤化する。該基剤としては、例えば、水、液体パラフィン、植物油等が挙げられる。増粘剤としては、例えばソフトパラフィン、ステアリン酸アルミニウム、セトステアリルアルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ラノリン、水素添加ラノリン、蜜蝋等が挙げられる。局所投与剤には、必要に応じて、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、クロロクレゾール、ベンザルコニウムクロリド等の防腐剤、細菌増殖防止剤を添加することもできる。ローションは、水性又は油性の基剤に、一種類またはそれ以上の薬学的に許容される安定剤、懸濁化剤、乳化剤、拡散剤、増粘剤、着色剤、香料等を加えることができる。
【0174】
本発明の化合物を坐剤として調製する場合、植物油(ひまし油、オリーブ油、ピーナッツ油等)や鉱物油(ワセリン、白色ワセリン等)、ロウ類、部分合成もしくは全合成グリセリン脂肪酸エステル等の基剤と共に通常用いられる手法によって製剤化される。
【0175】
かくして得られる医薬組成物は、脱顆粒反応抑制剤として、あるいは上記疾患の予防・治療剤として、経口または非経口的に投与される。
【0176】
本発明の化合物の投与量は、投与対象、投与ルート、疾患等により適宜選択される。
例えば、本発明の化合物を、アレルギー性皮膚炎の成人患者(体重約60kg)に非経口的に投与する場合の1日当たりの投与量は、約0.001〜約100,000mgであり、この量を1日1乃至数回に分けて投与することができる。
【0177】
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下に示す実施例によって何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0178】
(参考例1)
2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エタノールの製造
【0179】
【化21】

【0180】
特開2006−8790号公報に記載された方法に準じて、表題化合物を合成した。
【0181】
2−クロロメチルピリジン塩酸塩6.56g(40.0mmol)、2−アミノエタノール1.22g(20.0mmol)、粉状にすりつぶした炭酸カリウム16.6g(120mmol)およびアセトニトリル70mLを室温にて混合した後、2日間加熱還流した。室温まで冷却した後、減圧下溶媒留去し、残渣に水30mLを加えジクロロメタン30mLで3回抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮後、減圧蒸留を行い、表題化合物を得た(収量3.35g(13.8mmol),収率69%,橙色油状物)。
【0182】
(参考例2)
2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エチルアミンの製造
【0183】
【化22】

【0184】
エチレンジアミン15.0g(250mmol)、トリエチルアミン1.32g(13mmol)およびエタノール20mLを室温にて混合し撹拌した。これを氷冷した後,二炭酸ジ−tert−ブチル((Boc)O) 5.46g(25mmol)を滴下し(エタノール10mLで洗いこみ)、その後室温にて1.5時間撹拌した。反応液を減圧濃縮後,残渣にジクロロメタン50mLを加え、1mol/L酢酸水溶液20mLで3回抽出した。水層に2mol/L水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH10とし、ジクロロメタン50mLで3回抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮することにより、モノ−N−Boc−エチレンジアミンを得た(収量2.88g(18.0mmol)、収率72%、微黄色油状物)。
【0185】
2−クロロメチルピリジン塩酸塩5.90g(36.0mmol)、モノ−N−Boc−エチレンジアミン2.88g(18.0mmol)、粉状にすりつぶした炭酸カリウム14.9g(108mmol)およびアセトニトリル60mLを室温にて混合した後、2日間加熱還流した。室温まで冷却した後、減圧下溶媒留去し、残渣に水50mLを加えクロロホルム40mLで3回抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して粗N−Boc,N’,N’−ジピコリルエチレンジアミンを得た(収量8.25g,褐色オイル)。粗N−Boc,N’,N’−ジピコリルエチレンジアミン 8.25gに6mol/L塩酸80mLを加え、3時間加熱還流した。室温まで冷却した後、減圧下溶媒留去し、残渣に2mol/L水酸化ナトリウム60mLを加えジクロロメタン50mLで3回抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮後、減圧蒸留して表題化合物を得た(収量2.79g(11.5mmol)、収率64%、黄色油状物)。
【0186】
(参考例3)
N−(2−ピリジルメチル)−N−(2−キノリルメチル)アミノエタノールの製造
【0187】
【化23】

【0188】
2−ホルミルピリジン2.14g(20.0mmol)のメタノール溶液100mLに2−アミノエタノール1.22g(20.0mmol)のメタノール溶液を氷浴で冷やしながら1時間滴下し、さらに室温で1時間攪拌した。その後反応溶液を減圧蒸留すると黄色油状物を得た(収量2.99g(19.9mmol,99%))。
H NMR (CDCl, MeSi, 300MHz): δ8.58−8.60 (d,1H, HPy−6),8.39 (s, 1H, HPy−α),7.88−7.91 (d,1H,HPy−3),7.69−7.75 (t,1H,HPy−4),7.28−7.33 (t,2H,HPy−5),3.90−3.95 (t,2H,HCH2−O),3.79−3.83 (t,2H,HN−CH2).
【0189】
【化24】

【0190】
得られたイミン生成物2.99g(19.9mmol)のエタノール溶液60mLに2当量の水素化ホウ素ナトリウム1.51g(40.0mmol)を加え、4時間室温で攪拌した。その後、60mLの水を加え減圧蒸留し、クロロホルム50mLで数回抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ減圧蒸留を行い、黄色油状物を得た(収量 2.97g(19.5mmol,98%))。
H NMR (CDCl,MeSi,300MHz): δ8.52−8.54 (d,1H,HPy−6), 7.62−7.68 (t,1H,HPy−4), 7.28−7.31 (d,1H,HPy−3), 7.15−7.20 (t,2H,HPy−5), 3.93 (s,2H, HPy−α), 3.67−3.70 (t,2H,HCH2−O), 2.80−2.84 (t,2H,HN−CH2).
【0191】
【化25】

【0192】
N−(2−ピリジルメチル)アミノエタノール1.22g(8.01mmol)と粉状にすりつぶした炭酸カリウム6.63g(48.0mmol)を混合させたアセトニトリル溶液35mLに2−(クロロメチル)キノリン塩酸塩1.71g(8.01mmol)のアセトニトリル懸濁液35mLをゆっくりと滴下していき、2日間還流を行った。室温まで冷却して減圧蒸留後、水30mLを加え、クロロホルム 30mLで数回抽出し有機層に硫酸ナトリウムを加えて乾燥し、減圧蒸留した。そして6N塩酸20mLと等量の水を加えたところに活性炭を入れ脱色し、吸引濾過して水酸化ナトリウム6.0gを加えた後に水20mLとジクロロメタン40mLで数回抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥後に減圧蒸留すると表題化合物が橙色油状物として得られた(収量1.82g(6.20mmol,77%))。
H NMR (CDCl,MeSi,300MHz) : δ8.54−8.55 (d,1H), 8.05−8.09 (m,2H), 7.67−7.79 (m,2H), 7.43−7.59 (m,2H), 7.33−7.35 (d,2H), 7.11−7.15 (t,1H), 4.11 (s,2H), 4.00 (s,2H), 3.70−3.73 (t,2H), 2.92−2.95 (t,2H).
【0193】
(実施例1)
2−[N,N−ビス(2−キノリルメチル)アミノ]エタノール(化合物1)の製造
【0194】
【化26】

【0195】
2−クロロメチルキノリン塩酸塩8.56g(40.0mmol)、2−アミノエタノール1.22g(20.0mmol)、粉状にすりつぶした炭酸カリウム16.6g(120mmol)及びアセトニトリル70mLを室温にて混合した後、2日間加熱還流した。室温まで冷却した後、減圧下溶媒留去し、残渣に水80mLを加え、ジクロロメタン100、40および40mLで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮後、ジクロロメタンから再結晶を行い、表題化合物を得た(収量3.56g(10.4mmol)、収率52%、黄色結晶)。
H NMR (CDCl,MeSi,300MHz): δ 8.09 (d,J=8.4Hz,2H), 8.03 (d,J=8.1Hz,2H), 7.76 (d,J=8.1Hz,2H), 7.71 (m, 2H), 7.50 (m, 2H), 7.49 (d,J=8.4Hz,2H), 4.17 (s,4H), 3.76 (t,J=5.1Hz,2H), 3.00 (t,J=5.1Hz,2H).
13C NMR (CDCl,MeSi,75MHz): δ160.0, 147.4, 136.5, 129.6, 128.8, 127.5, 127.3, 126.2, 120.9, 61.0, 60.0, 57.5.
【0196】
(実施例2)
N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エトキシカルボニル}アニリン (化合物2)の製造
【0197】
【化27】

【0198】
参考例1の化合物500mg(2.05mmol)をピリジン(10mL)に溶解し、フェニルイソシアネート2.39g(20.1mmol)を滴下して室温で2時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、水70mLを加え、クロロホルム70mLで3回抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:アセトン=2:1 → 1:1 →1:2 → 1:5 → クロロホルム:メタノール=10:1)で精製することにより、表題化合物を得た(収量733mg(1.95mmol)、収率99%、褐色油状物)。
【0199】
(実施例3)
N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エチル}ベンゼンスルホンアミド(化合物3)の製造
【0200】
【化28】

【0201】
参考例2の化合物500mg(2.06mmol)およびトリエチルアミン417mg(4.12mmol)をジクロロメタン2mLに溶解し、氷冷下塩化ベンゼンスルホニル401mg(2.27mmol)を滴下した。氷冷条件で撹拌した。反応開始後すぐに結晶が析出したのでジクロロメタン7.5mLを加えて溶解し、そのまま氷冷条件で4時間反応した。反応溶液にエタノールを加えた後、減圧濃縮し、水20mLを加え、クロロホルム20mLで3回抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:アセトン=10:1 →5:1→ クロロホルム:メタノール=10:1)で精製することにより、表題化合物を得た(収量747mg(1.95mmol),収率95%,褐色油状物)。
【0202】
(実施例4)
N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エチル}ベンズアミド(化合物4)の製造
【0203】
【化29】

【0204】
参考例2の化合物500mg(2.06mmol)をピリジン2mLに溶解し、氷冷下塩化ベンゾイル319mg(2.27mmol)を滴下した。氷冷条件で4時間撹拌した後、反応溶液にエタノールを加え減圧濃縮した。残渣に水30mLを加え、クロロホルム30mLで3回抽出し、有機層を1mol/L塩酸で抽出した。水層を2mol/L水酸化ナトリウムでアルカリ性とした後、クロロホルム50mLで3回抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:アセトン=10:1 → 5:1→2:1→ 1:1→ クロロホルム:メタノール=10:1)で精製することにより、表題化合物を得た(収量484mg(1.34mmol),収率65%,褐色油状物)。
【0205】
(実施例5)
2−[N−(3−トリフルオロメチルフェニル)アミノ]−N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エトキシカルボニル}アニリン(化合物5)の製造
【0206】
【化30】

【0207】
フルフェナム酸58.5mmolのDMF165mL溶液に水素化ナトリウム58.5mmolを氷冷下投入後、室温で1時間反応させた。氷冷後ベンジルブロミド58.5mmolを投入し100℃まで昇温して3時間反応させた。反応液を冷却し水を加え、酢酸エチルで3回抽出、乾燥、濃縮、カラム精製し、N−(3−トリフルオロメチルフェニル)フルフェナム酸ベンジルを得た。N−(3−トリフルオロメチルフェニル)フルフェナム酸ベンジル47.4mmolをジオキサン180mLに溶解し、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)0.3g、(BOC)O 71.1mmol、及びトリエチルアミン71.1mmolを投入し、80℃下で4時間反応させた。(BOC)O 47.2mmol及びトリエチルアミン47.2mmolを追加し更に3時間反応させた後、反応液を濃縮し、カラム精製することにより、N−Boc体を得た。N−Boc体44.8mmolをTHF220mLに溶解し、10%パラジウムカーボン(50%ウエット)を投入後、常温常圧で2時間水素化分解し、濾過、及び濃縮することにより、N−(3−トリフルオロメチルフェニル)フルフェナム酸を得た。N−(3−トリフルオロメチルフェニル)フルフェナム酸35.4mmol、ベンゼン200mL、ジフェニルリン酸アジド(DPPA)35.4mmol、及びトリエチルアミン35.4mmolを1時間加熱還流した。冷却後、参考例1の化合物のクロロホルム溶液(35%)35.4mmolを注入し、再度加熱還流下、7時間反応させた。反応液を冷却し、そのままシリカゲルカラムにて精製することにより、2−[N−(3−トリフルオロメチルフェニル)アミノ]−N−Boc−N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エトキシカルボニル}アニリンを得た。該化合物18.3mmolを酢酸エチル100mlに溶解し、4N塩酸/酢酸エチルを注入。室温で1時間反応後2N水酸化ナトリウムで中和し、水層を酢酸エチルで抽出し、有機層を濃縮乾固することにより、表題化合物を得た。
【0208】
(実施例6)
2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸 N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エチル}アミド(化合物6)の製造
【0209】
【化31】

【0210】
参考例2の化合物500mg(2.06mmol)、イブプロフェン425mg(2.06mmol)、トリエチルアミン417mg(4.12mmol)をジクロロメタン10mLに溶解し、撹拌、氷冷した。これに1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)334mg(2.47mmol)および1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl)474mg(2.47mmol)を加え、室温まで昇温し、21時間撹拌した。反応液を減圧濃縮後、残渣に水70mLを加え、クロロホルム70mLで3回抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:アセトン=10:1→ 5:1 → 2:1 → 1:1 → 1:2 → 1:5→ クロロホルム:メタノール=10:1)で精製することにより、表題化合物を得た(収量727mg(1.69mmol),収率82%,黄色油状物)。
【0211】
(実施例7)
N−(3−トリフルオロメチルフェニル)アントラニル酸 N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エチル}アミド(化合物7)の製造
【0212】
【化32】

【0213】
参考例2の化合物500mg(2.06mmol)、フルフェナム酸580mg(2.06mmol)、トリエチルアミン417mg(4.12mmol)をジクロロメタン10mLに溶解し、撹拌、氷冷した。これにHOBt 334mg(2.47mmol)およびEDC・HCl 474mg(2.47mmol)を加え、室温まで昇温し、20時間撹拌した。反応液を減圧濃縮後、残渣に水70mLを加え、クロロホルム70mLで3回抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:アセトン=10:1→ 5:1 → 2:1 → 1:1 → クロロホルム:メタノール=10:1)で精製することにより、表題化合物を得た(収量941mg(1.86mmol),収率90%,緑色油状物)。
【0214】
(実施例8)
2−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エトキシ}メチルピリジン(化合物8)の製造
【0215】
【化33】

【0216】
アルゴン置換した参考例1の化合物1.5g(6.16mmol)の乾燥THF溶液20mL に1.5当量分の15%n−ブチルリチウム/ヘキサン溶液5.8mL(9.3mmol)を加え氷浴で冷やしながら20分間撹拌した後、その赤色溶液に2−(クロロメチル)ピリジン 1.2g(9.24mmol)の乾燥THF溶液10mLを加え、しばらくアルゴン下氷浴中で撹拌後室温まで冷やし、続けて2日間還流させた。その後、30mLの水を加え30mLクロロホルムで数回抽出し硫酸ナトリウムで乾燥させ減圧濃縮を行った。それを展開溶媒1%メタノール−クロロホルム溶液を用いてAlカラムクロマトグラフィーで精製することにより、表題化合物を得た(収量1.75g (5.24mmol, 85%))。
H NMR (CDCl,MeSi,300MHz):δ8.52−8.59 (d,2H,HPy−6), 7.57−7.78 (m,2H,HPy−4), 7.41 (d,2H,HPy−3), 7.12−7.18 (m,2H,HPy−5), 4.60 (s,2H,HPy−α), 3.92 (s,4H,HPy-α), 3.73 (t,2H,HCH2−O), 2.91 (t,2H,HN−CH2).
13C NMR (CDCl,75MHz) :δ159.71, 158.53, 149.00, 148.81, 136.51, 136.30, 122.24, 121.90, 121.09, 73.83, 69.32, 60.87, 53.62.
【0217】
(実施例9)
2−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エトキシ}メチルキノリン(化合物9)の製造
【0218】
【化34】

【0219】
アルゴン置換した、参考例1の化合物1.5g(6.16mmol)の乾燥THF溶液20mLに1.5当量分の15%n−ブチルリチウム/ヘキサン溶液5.8mL (9.3mmol)を加えて氷浴で冷やしながら20分間撹拌した後、その赤色溶液に1.5当量の2−(クロロメチル)キノリン 1.7g (9.24mmol)の乾燥THF溶液10mLを加え、3分間アルゴン下氷浴中で撹拌したあと室温に上げてそのまま2日間還流した。その後、水30mLを加えクロロホルムで数回抽出したのち硫酸ナトリウムを加えて乾燥させ減圧濃縮した。残渣を展開溶媒1%メタノール−クロロホルム溶液のAlカラムクロマトグラフィーにより精製することにより、表題化合物を得た(収量964mg(2.5mmol,23%))。
H NMR (CDCl,MeSi,300MHz):δ8.50−8.60 (d,2H), 8.15−8.20 (d,1H), 8.00−8.13 (d,1H), 7.8 (d,1H), 7.70 (t,1H), 7.50−7.63 (m,6H), 7.10 (td,2H), 4.78(s,2H), 3.96 (s,4H), 3.76 (t,2H), 2.95 (t,2H).
13C NMR (CDCl,75MHz):δ160.46, 159.95, 149.78, 149.54, 148.18, 137.46, 137.08, 130.26, 129.54, 128.18, 126.94, 123.61, 122.54, 120.03, 75.24, 70.18, 61.80, 54.49.
【0220】
(実施例10)
2−{2−[N−メチル−N−(2−ピリジルメチル)アミノ]エトキシ}メチルピリジン(化合物10)の製造
【0221】
【化35】

【0222】
アルゴン置換したN−メチル−N−(2−ピリジルメチル)アミノエタノール0.924g(5.56mmol)の乾燥THF溶液20mLに1.5当量分の1.6M n−ブチルリチウム/ヘキサン溶液 5.22mL(8.36mmol)を加え氷浴で冷やしながら20分間撹拌した後、その赤色溶液に2−(クロロメチル)ピリジン1.07g(8.36mmol)の乾燥THF溶液10mLを加え、しばらくアルゴン下氷浴中で撹拌後室温まで冷やし、続けて2日間還流した。その後、40mLの水を加え、40mLクロロホルムで数回抽出し硫酸ナトリウムで乾燥させ減圧蒸留を行った。それを展開溶媒1%メタノール−クロロホルム溶液を用いてAlカラムクロマトグラフィーで精製することにより、表題化合物を得た(収量0.431g(1.67mmol,30%))。
H NMR (CDCl,MeSi,300MHz):δ8.54−8.55 (d,2H,HPy−6), 7.64−7.68 (m,2H,HPy−4), 7.44−7.48 (m,2H,HPy−3), 7.16−7.17 (m,2H,HPy−5), 4.65 (s,2H, HPy−α), 3.71−3.76 (m, 4H, HPy−α, HCH2−O), 2.76−2.80 (t,2H,HN−CH2), 2.36 (s,3H,HCH3).
13C NMR (CDCl,75.0MHz):δ159.04, 158.39, 148.97, 136.53, 123.06, 122.27, 122.13, 121.93, 121.79, 121.22, 73.764, 68.942, 63.975, 56.694, 42.925
【0223】
(実施例11)
2−{2−[N−メチル−N−(2−ピリジルメチル)アミノ]エトキシ}メチルキノリン(化合物11)の製造
【0224】
【化36】

【0225】
アルゴン置換したN−メチル−N−(2−ピリジルメチル)アミノエタノール 1.03g(6.17mmol)の乾燥THF溶液20mLに約1.5当量分の1.6M n−ブチルリチウム/ヘキサン溶液 5.80mL (9.30mmol)を加え氷浴で冷やしながら20分間撹拌した後、その赤色溶液に2−(クロロメチル)キノリン 1.64g(9.24mmol)の乾燥THF溶液10mLを加え、しばらくアルゴン下氷浴中で撹拌後室温まで冷やし、続けて2日間還流した。その後、30mLの水を加え、30mLクロロホルムで数回抽出し硫酸ナトリウムで乾燥させ減圧蒸留を行った。それを展開溶媒1%メタノール−クロロホルム溶液を用いてAlカラムクロマトグラフィーで精製することにより、表題化合物を得た(収量0.105g(0.341mmol,5.5%))。
H NMR (CDCl,MeSi,300MHz):δ8.53−8.55 (d,1H), 8.14−8.17 (m,1H), 8.03−8.06 (m,1H), 7.80−7.82 (m,1H), 7.61−7.74 (m,3H), 7.46−7.55 (m,2H), 7.13−7.17 (m,1H), 4.83 (s,2H), 3.76−4.82 (m,4H), 2.80−3.74 (t,2H), 2.37 (s,3H).
13C NMR (CDCl,75.0MHz) :δ158.91, 148.79, 147.16, 136.56, 136.20, 129.34, 128.65, 127.37, 126.03, 122.97, 121.80, 119.15, 74.217, 68.942, 63.813, 56.597, 42.780.
【0226】
(実施例12)
2−{2−[N−(2−ピリジルメチル)−N−(2−キノリルメチル)アミノ]エトキシ}メチルピリジン(化合物12)の製造
【0227】
【化37】

【0228】
アルゴン置換したN−(2−ピリジルメチル)−N−(2−キノリルメチル)アミノエタノール 0.452g(1.54mmol)の乾燥THF溶液20mLに約1.5当量分の1.6M n−ブチルリチウム/ヘキサン溶液1.4mL(2.25mmol)を加え氷浴で冷やしながら20分間撹拌した後、その赤色溶液に2−(クロロメチル)ピリジン 0.289g(2.27mmol)の乾燥THF溶液10mLを加え、しばらくアルゴン下氷浴中で撹拌後室温まで冷やし、続けて2日間還流させた。その後、30mLの水を加え、30mLクロロホルムで数回抽出し硫酸ナトリウムで乾燥させ減圧蒸留を行った。それを展開溶媒1%メタノール−クロロホルム溶液を用いてAlカラムクロマトグラフィーで精製することにより表題化合物を得た(収量0.224g(0.581mmol,38%))。
H NMR (CDCl,MeSi,300MHz):δ8.51−8.53 (d,2H), 8.03−8.11 (m,2H), 7.71−7.77 (m,2H), 7.57−7.69 (m,3H), 7.48−7.53 (t,1H), 7.38−7.41 (d,1H), 7.11−7.17 (m,2H), 4.60 (s,2H), 4.10 (s,2H), 3.98 (s,2H), 3.73−3.76 (t,2H), 2.94−2.98 (t,2H).
13C NMR (CDCl,75.0MHz): δ160.52, 159.55, 158.43, 148.89, 147.38, 136.57, 129.26, 127.27, 126.01, 122.97, 122.14, 121.11, 73.732, 69.331, 61.629, 60.966, 53.766.
【0229】
(実施例13)
2−{2−[N−(2−ピリジルメチル)−N−(2−キノリルメチル)アミノ]エトキシ}メチルキノリン(化合物13)の製造
【0230】
【化38】

【0231】
アルゴン置換したN−(2−ピリジルメチル)−N−(2−キノリルメチル)アミノエタノール 0.448g(1.53mmol)の乾燥THF溶液20mLに約1.5当量分の1.6M n−ブチルリチウム/ヘキサン溶液 1.4mL(2.25mmol)を加え氷浴で冷やしながら20分間撹拌した後、その赤色溶液に2−(クロロメチル)キノリン 0.402g(2.26mmol)の乾燥THF溶液10mLを加え、しばらくアルゴン下氷浴中で撹拌後室温まで冷やし、続けて2日間還流させた。その後、30mLの水を加え、30mLクロロホルムで数回抽出し硫酸ナトリウムで乾燥させ減圧蒸留を行った。それを展開溶媒1%メタノール−クロロホルム溶液を用いてAlカラムクロマトグラフィーで精製することにより、表題化合物を得た(収量0.159g(0.367mmol,24%))。
1H NMR (CDCl,MeSi,300MHz):δ8.50−8.52 (d,1H), 8.01−8.11 (m,3H), 7.27−7.80 (m,8H), 7.10−7.14 (m,1H), 4.77 (s,2H), 4.11 (s,2H), 3.99 (s,2H), 3.75−3.79 (t,2H), 2.96−3.00 (t,2H).
13C NMR (CDCl,75.0MHz):δ160.50, 159.55, 158.11, 148.97, 147.38, 136.66, 136.32, 129.46, 128.87, 127.37, 126.14, 122.94, 121.93, 120.95, 119.23, 74.395, 69.379, 61.661, 61.030, 53.782.
【0232】
(実施例14)
S,S’−ビス(2−キノリル)エタンジチオール(化合物14)の製造
【0233】
【化39】

【0234】
以下の文献の記載に従い、表題化合物を合成した。
Amendola V, Mangano C, Pallavicini P, Zema M, Inorg. Chem. 42, 6056-6062(2003)
【0235】
具体的には、1,2−エタンジチオール 46.9mg(0.50mmol)と炭酸カリウム 1.42g(10.3mmol)にアセトニトリル (硫酸カルシウムで乾燥させたもの)懸濁液10mLに、2−クロロメチルキノリン214mg(1.00mmol)にアセトニトリル 8mLを加えた懸濁液を加え、1.5日間還流を行った。室温まで冷却し、溶媒を減圧留去した後、水を加えてクロロホルムで抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥した後、減圧濃縮し、アセトニトリル洗浄を行い、表題化合物を白色粉末として得た(82mg(0.22mmol),収率44%)。
H NMR (CDCl, MeSi, 400 MHz) :δ 8.08 (d,2H,J=8.3Hz), 8.00 (d,2H,J=8.3Hz), 7.77 (m,2H), 7.67 (m,2H), 7.51 (m,4H), 3.98 (s,4H), 2.71 (s,4H)
13C NMR (CDCl, MeSi, 100.5 MHz) :δ 158.5, 147.1, 136.6, 129.3, 128.8, 127.2, 126.7, 126.1, 120.1, 38.5, 31.1
【0236】
(実施例15)
S,S’−ビス(ベンゾチアゾリルメチル)エタンジチオール(化合物15)の製造
【0237】
【化40】

【0238】
2−クロロメチルベンゾチアゾール183.6mg(1.00mmol)と炭酸カリウム 1.38g(10.1mmol)にアセトニトリル (硫酸カルシウムで乾燥させたもの) 20mL懸濁液に1,2−エタンジチオール40.0 μL (0.5mmol)、1.5日間還流を行った。反応懸濁液を室温まで冷却し、溶媒を減圧留去した後、水を加えてクロロホルムで抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥した後、減圧濃縮し、褐色油状物179mg を得た。該油状物をアセトニトリルで再結晶を行ったところ、表題化合物を黄色粉末として得た(92.8mg(0.24mmol), 収率48%)。
H NMR (CDCl, MeSi, 400 MHz) :δ 7.93 (m,2H), 7.83 (m,2H), 7.45 (m,2H), 7.37 (m,2H), 4.13(s,4H), 2.85 (s,4H)
13C NMR (CDCl,MeSi,100.5MHz):δ 169.5, 152.8, 135.6, 129.5, 126.0, 125.1, 122.8, 121.6, 34.0, 31.6
【0239】
(実施例16)
2,5,8−トリチア−1,9−ビス(2−キノリル)ノナン(化合物16)の製造
【0240】
【化41】

【0241】
2−クロロメチルキノリン214mg(1.00mmol)と炭酸カリウム1.30g(9.37mmol)のアセトニトリル (硫酸カルシウムで乾燥させたもの)懸濁液10mLに2,2’−チオジエタンチオール77.0μL(0.50mmol)を加え、2日間還流を行った。反応懸濁液を室温まで冷却し、溶媒を留去した後、残渣をクロロホルムと水で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮すると橙色油状物を得た。これをアセトニトリルから再結晶することで表題化合物を黄白色固体として得た(202mg (0.46mmol), 収率92%)。
H NMR(CDCl, MeSi, 400 MHz):δ 8.11 (d,2H,J=8.5Hz), 8.03 (d,2H,J=8.5Hz), 7.78 (m,2H), 7.68 (m,2H), 7.51 (m,4H), 4.00 (s,4H), 4.10−3.94 (m,16H), 2.63(m,8H)
13C NMR (CDCl, MeSi, 100.5 MHz):δ 158.7, 147.1, 136.8, 129.5, 128.9, 127.3, 126.8, 126.2, 121.0, 38.5, 31.7, 31.3
【0242】
(実施例17)
2,5,8−トリチア−1,9−ビス[2−(5,6,7−トリメトキシキノリル)]ノナン(化合物17)の製造
【0243】
【化42】

【0244】
5,6,7−トリメトキシ−2−クロロメチルキノリン 278mg (1.00mmol)と炭酸カリウム 1.38g(10.0mmol)のアセトニトリル (硫酸カルシウムで乾燥させたもの)懸濁液10mLに2,2’−チオジエタンチオール77.0μL (0.5mmol)加え、還流を行った。反応懸濁液を室温まで冷却し、溶媒を留去した後、残渣をクロロホルムと水で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮することで、褐色油状物519mgを得た。該油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル : ヘキサン=2:3,0.1% 酢酸)で精製することにより、表題化合物を黄色油状物として得た(201mg (0.33mmol), 収率65%)。
H NMR (CDCl, MeSi, 400 MHz):δ8.31 (d,2H,J=8.5), 7.36 (d,2H,J=8.5), 7.27 (s,2H), 4.05−3.96 (m,22H), 2.66 (m,4H)
13C NMR (CDCl, MeSi, 100.5MHz):δ158.0, 155.9, 146.7, 144.8, 140.5, 131.3, 118.6, 117.8, 103.6, 61.6, 61.2, 56.2, 38.2, 31.7, 31.4
【0245】
(実施例18)
2,5,8−トリチア−1,9−ビス[2−(6−メトキシキノリル)]ノナン(化合物18)の製造
【0246】
【化43】

【0247】
6−メトキシ−2−クロロメチルキノリン830mg (4.00mmol)と炭酸カリウム 4.14g (30.0mmol)のアセトニトリル (硫酸カルシウムで乾燥させたもの)懸濁液50mLに2,2’−チオジエタンチオール308μL (2.00mmol)加え、還流を行った。反応懸濁液を室温まで冷却し、溶媒を留去した後、残渣をクロロホルムと水で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮することで、褐色油状物1.08gを得た。該油状物を、アセトニトリルを用いて再結晶を行うことにより、表題化合物を白褐色粉末として得た(569mg (1.15mmol), 収率57%)。
H NMR (CDCl, MeSi, 400MHz):δ8.01(d,2H,J=8.3), 7.92(d,2H,J=9.3), 7.46 (d,2H,J=8.3), 7.34−7.31 (dd,2H,J=2.7), 7.04(s,2H), 3.96 (s,4H), 3.92 (s,6H), 2.68−2.61 (m,8H)
13C NMR (CDCl, MeSi, 100.5 MHz):δ157.4, 156.0, 143.2, 135.6, 130.3, 127.8, 122.0, 121.3, 105.1, 55.5, 38.4, 31.7, 31.3
【0248】
参考例1、2及び実施例2〜7の化合物についての代表的なNMRスペクトルを図1〜8にそれぞれ示す。
【0249】
(試験例1)
マウス肥満細胞の脱顆粒反応に対する実施例化合物の効果
マウス大腿骨から髄液を採取し、増殖因子としてIL−3を含む調製培地下にて培養したマウス骨髄由来肥満細胞(mBMMC)を評価系に使用した。
【0250】
脱顆粒量測定試験
1.0μg/mLのIgEを含む調製培地を用いて3x10cells/wellとなるように24wellプレートにmBMMCを播種した。37℃, 5%COインキュベータ内で4時間培養後、測定濃度に希釈した実施例化合物 (0.2%DMSO)を加え、さらに2時間反応させた。細胞をタイロード緩衝液を用いて2回洗浄後、1x10cells/wellとなるようにV底の96wellプレートに移し、37℃で5分間静置した。抗原であるDNP−HSAを至適濃度加え、37℃で30分間反応させ脱顆粒を惹起した。上清 (遊離画分)の一部を吸光度測定用96wellプレートに移し、残った上清を取り除き細胞抽出用緩衝液を加え、得られた細胞抽出液の上清 (細胞内画分)を同様に96wellプレートに移した。用時調製した酵素反応溶液を加え、37℃で1時間反応させた。反応停止溶液を用いて反応停止後プレートリーダーを用いβ−hexosaminidase活性を測定した。
遊離率は以下の式より求め、IC50はKaleidaGraph (Synergy Software)を用いて算出した。
遊離率 (%) = 上清画分 / (上清画分 + 細胞内画分) x 100
【0251】
結果
1.各実施例化合物の脱顆粒阻害活性測定
各実施例化合物の阻害活性を1〜200μMの濃度範囲で調べた。脱顆粒量をβ−hexosaminidase活性を用いて測定し、無刺激時のβ−hexosaminidaseの遊離率を0%、抗原により誘発された遊離率を100%とした時の脱顆粒反応の程度を示している。図9〜15より化合物1〜18について阻害活性が確認された。化合物1〜18のいずれの化合物も、用量依存的にマウス肥満細胞の脱顆粒反応を抑制した。
これらの結果より、化合物1〜18は脱顆粒阻害剤であり、抗アレルギー剤及び抗炎症剤として有望であることが示唆された。
【0252】
2.化合物1、5、8〜13及び化合物14〜18の阻害活性の比較
同一ロットのmBMMCを使用し、同時に測定を行うことで、化合物1、5、8〜13及び化合物14〜18の阻害活性を詳細に比較した。図9、図11、図13及び図14より化合物1、5、8〜13のIC50値を算出した結果を表1に、図15より化合物14〜18のIC50値を算出した結果を表2に示す。
【0253】
【表1】

【0254】
化合物1、8、9、10及び11について、IC50値がそれぞれ41、20、10、80及び30μMの脱顆粒阻害能を確認することができた。一方、化合物5、12及び13のIC50は8、3及び3μMであり、高い脱顆粒阻害能を示すことが確認された。
【0255】
【表2】

【0256】
化合物14、15、16、17及び18のIC50値はそれぞれ4、10、4、6及び3μMであり、高い脱顆粒阻害能を確認することができた。
【0257】
これらの結果より、化合物1、5、8〜18は脱顆粒阻害剤であり、抗アレルギー剤及び抗炎症剤として有望であることが示唆された。
【0258】
(試験例2)
受身皮膚アナフィラキシー試験
試験方法
0.5mgのIgEをマウス耳介部に皮内投与し、受動感作を行った。一晩経過後に、化合物6又は7をそれぞれ30mg/kgを尾静脈内投与して、15分後に、DNP−HSAをエバンスブルーと共に投与し、アレルギー反応を惹起させた。15分後、マウスを屠殺し、感作した耳を分離し、浸潤したエバンスブルーを定量した。結果を図16に示す。
【0259】
結果
図16に示すように、化合物6、7は、いずれも受身皮膚アナフィラキシー反応を抑制することが確認された。この結果から、化合物6、7はいずれも抗アレルギー剤として有望であることが示唆された。
【0260】
(試験例3)
マウス肥満細胞のサイトカイン産生に対する実施例化合物の効果
1 μg/mLのIgEを含む調製培地を用いて1x10cells/wellとなるように96wellプレートにmBMMCを播種した。37 ℃, 5% COインキュベータ内で一晩培養後、測定濃度に希釈した実施例化合物 (0.2% DMSO)を加え、さらに2時間時間反応させた。タイロード緩衝液を用い2回洗浄後、抗原であるDNP−HSA又はPMAを至適濃度加え、37℃で3時間細胞をインキュベートした。上清を回収し、ELISA kitを用いてmIL−6濃度を測定した。
【0261】
結果
化合物1、2、5〜18のいずれもが、抗原(DNP−HSA)又はPMA刺激によるマウス肥満細胞のIL−6産生を用量依存的に抑制した(図17〜19)。
【0262】
これらの結果から、化合物1、2、5〜18は強力なサイトカイン産生抑制剤であり、抗アレルギー剤及び抗炎症剤として有望であることが示唆された。
【産業上の利用可能性】
【0263】
本発明によれば、脱顆粒反応及びサイトカイン産生を抑制することにより、アレルギー疾患及び炎症性疾患の予防・治療作用を有する化合物及びその製造方法、並びに当該化合物を含有する医薬組成物を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(Ia):
【化1】


又は、式(IIa):
【化2】

[式中、
Lは、アルキレン基を;
Xは、−O−又は−NR−を;
Yは、結合手、−CO−、−CONR−又は−SO−を
Zは、置換されていてもよい炭化水素基又は置換されていてもよい複素環基を;
及びRは、それぞれ独立して、同一又は異なって、置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子又は水素原子であるか、或いは、R及びRは、それぞれが隣接する環炭素原子に結合する場合には、それらは一緒になって置換されていてもよい6員の芳香族炭化水素基を形成し、ピリジル基と縮合環を形成していてもよく;
は、置換されていてもよい含窒素複素環基、置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン又は水素原子を;
及びRは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル基又は水素原子を;
A及びBは、それぞれ独立して、同一又は異なって、置換されていてもよい含窒素複素環基を; かつ
nは、1乃至4を示す。ただし、式(Ia)において、Xが−O−の場合には、Yは−CO−ではなく、また、Lがエチレン、Xが−O−、Yが結合手で、R及びRが共に水素原子で、かつRが2−ピリジル、2−キノリル、又は水素原子の場合には、Zは、2−ピリジルメチル又は2−キノリルメチルではなく、また、式(IIa)において、環外の炭素原子と結合するA及びBの環原子に隣接する環原子の少なくとも1つは窒素原子であり、並びにnが1で、かつLがエチレン又は1,2−シクロヘキシレンの場合、A、Bは同時に非置換の2−キノリル基ではない。]
で表される化合物、或いはその塩。
【請求項2】
Lが、C1−6アルキレン基である、請求項1記載の化合物又はその塩。
【請求項3】
が、置換されていてもよい2−ピリジル、置換されていてもよい2−キノリル基、置換されていてもよい1−若しくは3−イソキノリル、置換されていてもよいアルキル基、又は水素原子である、請求項1又は2に記載の化合物又はその塩。
【請求項4】
Zが、置換されていてもよいアルキル基;置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、又は酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含む置換されていてもよい複素環基である、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物又はその塩。
【請求項5】
A及びBが、それぞれ独立して、置換されていてもよいピリジル基、置換されていてもよいキノリル基、置換されていてもよいイソキノリル基、置換されていてもよいピラジニル基、置換されていてもよいピリミジニル基、置換されていてもよいピリダジニル基、置換されていてもよいキノキサリニル基、置換されていてもよいフタラジニル基、置換されていてもよいキナゾリニル基、置換されていてもよいシンノリニル基、置換されていてもよいプテリジニル基、置換されていてもよいナフチリジニル基、又は置換されていてもよいベンゾチアゾリル基から選ばれる含窒素複素環基である、請求項1又は2に記載の化合物又はその塩。
【請求項6】
N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エトキシカルボニル}アニリン、
N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エチル}ベンゼンスルホンアミド、
N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エチル}ベンズアミド、
2−[N−(3−トリフルオロメチルフェニル)アミノ]−N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エトキシカルボニル}アニリン、
2−[N−(3−トリフルオロメチルフェニル)アミノ]−N−ベンジル−N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エトキシカルボニル}アニリン、
2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸 N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エチル}アミド、
又はN−(3−トリフルオロメチルフェニル)アントラニル酸 N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エチル}アミド、
或いはそれらの塩である、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
S,S’−ビス(ベンゾチアゾリルメチル)エタンジチオール、
2,5,8−トリチア−1,9−ビス(2−キノリル)ノナン、
2,5,8−トリチア−1,9−ビス[2−(5,6,7−トリメトキシキノリル)]ノナン、
又は2,5,8−トリチア−1,9−ビス[2−(6−メトキシキノリル)]ノナン、
或いはそれらの塩である、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
式(Ib):
【化3】


または、式(IIb):
【化4】

[式中、
Lは、アルキレン基を;
Xは、−O−又は−NR−を;
Yは、結合手、−CO−、−CONR−又は−SO−を
Zは、水素原子、置換されていてもよい炭化水素基又は置換されていてもよい複素環基を;
及びRは、それぞれ独立して、同一又は異なって、置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子又は水素原子であるか、或いは、R及びRは、それぞれが隣接する環炭素原子に結合する場合には、それらは一緒になって置換されていてもよい6員の芳香族炭化水素基を形成し、ピリジル基と縮合環を形成していてもよく;
は、置換されていてもよい含窒素複素環基、置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン又は水素原子を;
及びRは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル基又は水素原子を;
A及びBは、それぞれ独立して、同一又は異なって、置換されていてもよい含窒素複素環基を; かつ
nは、1乃至4を示す。ただし、式(Ib)において、Xが−O−の場合には、Yは−CO−ではなく、また、式(IIb)において、環外の炭素原子と結合するA及びBの環原子に隣接する環原子の少なくとも1つは窒素原子である。]
で表される化合物、或いはその塩を含有する医薬組成物。
【請求項9】
式(Ib)及び(IIb)のLが、C1−6アルキレン基である、請求項8記載の医薬組成物。
【請求項10】
式(Ib)のRが、置換されていてもよい2−ピリジル、置換されていてもよい2−キノリル、置換されていてもよい1−若しくは3−イソキノリル、置換されていてもよいアルキル基又は水素原子である、請求項8又は9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
式(IIb)のA及びBが、それぞれ独立して、置換されていてもよいピリジル基、置換されていてもよいキノリル基、置換されていてもよいイソキノリル基、置換されていてもよいピラジニル基、置換されていてもよいピリミジニル基、置換されていてもよいピリダジニル基、置換されていてもよいキノキサリニル基、置換されていてもよいフタラジニル基、置換されていてもよいキナゾリニル基、置換されていてもよいシンノリニル基、置換されていてもよいプテリジニル基、置換されていてもよいナフチリジニル基、又は置換されていてもよいベンゾチアゾリル基から選ばれる含窒素複素環基である、請求項8又は9に記載の医薬組成物。
【請求項12】
式(Ib)で表される化合物が、
N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エトキシカルボニル}アニリン、
N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エチル}ベンゼンスルホンアミド、
N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エチル}ベンズアミド、
2−[N−(3−トリフルオロメチルフェニル)アミノ]−N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エトキシカルボニル}アニリン、
2−[N−(3−トリフルオロメチルフェニル)アミノ]−N−ベンジル−N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エトキシカルボニル}アニリン、
2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸 N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エチル}アミド、
N−(3−トリフルオロメチルフェニル)アントラニル酸 N−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エチル}アミド、
2−{2−[N−メチル−N−(2−ピリジルメチル)アミノ]エトキシ}メチルピリジン、
2−{2−[N−メチル−N−(2−ピリジルメチル)アミノ]エトキシ}メチルキノリン、
2−{2−[N−(2−ピリジルメチル)−N−(2−キノリルメチル)アミノ]エトキシ}メチルピリジン、
2−{2−[N−(2−ピリジルメチル)−N−(2−キノリルメチル)アミノ]エトキシ}メチルキノリン、
2−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エトキシ}メチルピリジン、
2−{2−[N,N−ビス(2−ピリジルメチル)アミノ]エトキシ}メチルキノリン、」又は2−{2−[N,N−ビス(2−キノリルメチル)アミノ]エタノール、
或いはそれらの塩である、請求項8記載の医薬組成物。
【請求項13】
式(IIb)で表される化合物が、
S,S’−ビス(2−キノリル)エタンジチオール、
S,S’−ビス(ベンゾチアゾリルメチル)エタンジチオール、
2,5,8−トリチア−1,9−ビス(2−キノリル)ノナン、
2,5,8−トリチア−1,9−ビス[2−(5,6,7−トリメトキシキノリル)]ノナン、
又は2,5,8−トリチア−1,9−ビス[2−(6−メトキシキノリル)]ノナン、
或いはそれらの塩である、請求項8記載の医薬組成物。
【請求項14】
アレルギー疾患の予防及び/又は治療剤である、請求項8〜13のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項15】
アレルギー疾患がアレルギー性皮膚炎である、請求項14記載の医薬組成物。
【請求項16】
炎症性疾患の予防及び/又は治療剤である、請求項8〜13のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項17】
脱顆粒反応抑制剤である、請求項8〜13のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項18】
サイトカイン産生抑制剤である、請求項8〜13のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項19】
式(III):
【化5】


[式中のL、R、R及びRは、請求項1で定義されたのと同じ意味を有する。]で表される化合物を、式(IV):
【化6】

[式中のZは、請求項1で定義されたのと同じ意味を有する。]で表される化合物と反応させることを特徴とする、請求項1記載の式(Ia)で表される化合物の製造方法。
【請求項20】
式(V):
【化7】


[式中のL、X、R、R及びRは、請求項1で定義されたのと同じ意味を有する。]で表される化合物を、式(VI):
【化8】

[式中のY及びZは、請求項1で定義されたのと同じ意味を有し、Tは、脱離基を表す。]で表される化合物と反応させることを特徴とする、請求項1記載の式(Ia)で表される化合物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−6364(P2011−6364A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−152600(P2009−152600)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(501280921)インタープロテイン株式会社 (3)
【Fターム(参考)】