説明

脳波図を用いる神経治療への反応を予測するシステムおよび方法

神経または精神上の疾患の治療の有効性を査定し、治療に対する反応を予測するシステムおよび方法が開示される。好適な実施形態は、患者の体表面からEEG信号を捕捉する少なくとも2つの表面電極と、EEG信号から患者の神経または精神状態を表す様々な特徴および指標を演算するプロセッサとを使用する。治療前の指標は患者の神経または精神状態を表すため、治療に対する反応を予測するのに使用することもできる。これらのパラメータの変化は、治療の有効性を査定し、結果的に生じる患者の状態を最適化するように治療を改良するのに利用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、2003年5月6日に提出された米国仮出願第60/468,350号と2004年1月5日に提出された米国仮出願第60/534,247号に優先権を主張する米国特許出願第10/840,343号の一部継続出願である。
(発明の技術分野)
【0002】
様々な手段で治療することのできる神経および精神上の疾患の範囲は幅広い。多くの疾患にとって、医薬品の投与は最も一般的な治療方法である。疾患の症状が薬物治療に抵抗する、あるいはそのための薬物治療が存在しない場合、神経刺激(neurostimulation)などの他の様式を使用することができる。
【0003】
神経刺激は、概して直接的に、あるいは末梢神経系の神経を介して、中枢神経系(CNS)を刺激するのに使用される電流信号を提供するため、電気刺激装置を用いる疾患治療方法である。上記神経刺激装置とそれに対応する電極とは通常、患者の体内に埋め込まれる。中枢神経系疾患に対する主要な2つの神経刺激方法、すなわち、深部脳刺激(DBS)と迷走神経刺激(VNS)がある。DBSは患者の脳に直接埋め込まれた電極を用い、VNSは患者の迷走神経を末梢的に刺激する。
【背景技術】
【0004】
4個の円柱状の刺激電極を有する刺激導線を備えた市販のDBS神経刺激装置、型番3386が、米国ミネソタ州ミネアポリスのMedtronic Inc.社により製造販売されている。深部脳刺激装置は、心臓のペースメーカーと同様、外科的手術で埋め込まれる医療装置で、脳内の正確な対象領域に高周波脈動(pulsatile)電気刺激を送る。該装置は、深部脳構造に配置され、鎖骨(collarbone)近くの皮下に外科的手術で埋め込まれた電気パルス生成装置に延長ワイヤを介して接続される非常に小さな電極アレイ(中心間距離が3mmで、それぞれの長さが1.5mmの電極)から成る。Medtronic社のDBSは、パーキンソン病、本態性振戦(Essential Tremor)、および筋失調症(Dystonia)の治療効果があるとして米食品医薬品局(FDA)からの販売認可を受けている。最新の研究では、てんかん、精神疾患、および慢性痛の治療法としてDBSを評価している。
【0005】
DBS刺激装置は、患者の胸部の皮下に外科的手術で配置される。刺激DBS電極導線は、DBS刺激装置ワイヤに接続され、治療される脳の領域に応じて変化する場合のある特定の側頭骨内の位置に配置される。DBSシステムはいくつかのパラメータ:1.4個の電極導線の位置、2.刺激電極の選択、3.刺激装置信号の振幅、4.刺激装置信号の周波数(反復周波数)、5.刺激信号の極性、および6.刺激信号のパルス幅、によって調節される。埋込み後、電極位置を除くこれらのパラメータはすべて、治療の有効性を高め、副作用を最小限に抑えるため、臨床医によって非侵襲性に変動させることができる。ボルト単位で測定される振幅は、刺激の強度である。典型的な範囲は1.5〜9ボルトである。周波数は、刺激パルスが出力され、秒当たりのパルス(Hz)単位で測定される反復周波数で、典型的な範囲は100〜185Hzである。パルス幅は、マイクロ秒単位で測定される刺激パルスの継続時間である。典型的なパルス幅の範囲は60〜120マイクロ秒である。
【0006】
もう1つの市販の神経刺激装置は、末梢神経系、具体的には迷走神経で使用されるように設計されている。この種のシステムは、たとえば米国テキサス州ヒューストンのCyberonics Corporation社によって設計販売されている。迷走神経刺激装置(VNS)治療装置は、患者の胸部で、鎖骨の真下か腋窩の近傍の皮下に埋め込まれる。装置から出た2本の小さなワイヤが、首の左側の迷走神経を取り巻く。この末梢神経の刺激を通じて、脳機能が影響を受ける。VNS療法は、てんかんに治療効果があるとしてFDAから販売認可を受けており、鬱病、肥満、アルツハイマー病などの多くのその他中枢神経系疾患および症状の治療が調査中である。
【0007】
これらの装置のより広範な使用に対する障害は、多くの症候において、治療の有効性の尺度とどの患者が治療に反応するかに関する知識とが欠如していることである。神経刺激の有効性は、様々な刺激装置のパラメータ(すなわち、特に電極の選択、刺激パルス振幅、刺激パルス周波数、刺激極性、および刺激パルス幅など)の設定の関数である。しかしながら、本態性振戦または非常に頻繁なてんかん発作のある患者への治療を除いては、与えられる刺激の効果を査定し、可能な限り最大の治療の有効性を達成するようにこれらのパラメータを調節することは困難である。さらに、患者によっては神経刺激治療に全く反応しなかったり、あるいは反応の程度が所望するより小さかったりする場合がある。神経刺激装置の埋込みは侵襲的な手術手順で、相当のコストがかかるため、特定の患者がその治療にどの程度反応するかに関する演繹的(priori)な(埋込前の)知識は、患者、主治医、および第三者にとって貴重である。
【0008】
多数の様々なアプローチが、神経刺激に対するフィードバック信号としてEEGを使用している。
【0009】
Riseらの米国特許第6263237号は、不安障害を治療するために、信号発生装置(神経刺激装置)とセンサとの組み合わせについて記載している。この実施形態では、センサは不安障害から生じる状態に関連する信号を生成する。センサ信号に応答する制御手段は、神経疾患が治療されるように信号発生装置を調整する。ある種のセンサ信号は、神経疾患に関連する挙動の具体的な側面を制御するニューロン上に記録される皮質電位であり、この場合、センサは埋込深部電極の形をとる。このシステムでは、センサは刺激装置に一体化される構成要素である。しかしながら、不安障害、あるいは治療の有効性または反応性に関連するセンサ信号を得る、あるいは演算する方法については、前記特許に教示も示唆もされていない。
【0010】
Johnらの米国特許第6066163号では、外傷性脳損傷、昏睡、またはその他の脳機能障害からの患者のリハビリを支援する適応脳刺激(ABS)システムが記載されている。該システムは、センサ、刺激手段、統計的比較のための比較手段、および比較結果に従い刺激装置を調節する手段を備える。システムの目的は、統計的に有意で医学的に有意義な基準に基づいて特定刺激プログラムを選択することによって、昏睡などの中枢神経系病変の治療を向上させることである。Johnのシステムは、脳からの信号(EPおよびEEG)とEKGおよびEMGを特別に利用する。Johnは、これらの信号から演算可能な潜在的パラメータを多数記載している。パラメータは統計的方法を用いて、患者から以前に得られた値、医療従事者が得た値、あるいは適切な基準患者群からの値を含むことのできる、データベースの1セットの基準値と比較される。次に、ABSはこの比較に基づき、1セットの刺激パラメータを選択する。肯定的な結果は、患者の状態の改善を示す1セットの基準を満たす現状として定義される。Johnは一般的な意味でのみ方法を記載しており、特定の方法も、特定の信号またはそれらの信号を定量化するパラメータの使用も教示していない。また、同特許は、肯定的な結果を定義する基準も教示していない。さらに、Johnは、治療の有効性または反応性の指標の作製を教示していない。
【0011】
Schiffらの米国特許6539263は、認知機能または患者の皮質領域全体の機能の調整を改善するために意識のある患者を治療するシステムを記載している。電気刺激は、患者の認知機能を改善するのに有効な状況下における汎用遠心(efference)コピー信号の生成および制御に含まれる皮質下(subcortical)構造の少なくとも1部に印加される。その後、患者の体内で生成される運動が検出され、そうした体内で生成される運動に反応して、電気刺激の印加が制御される。さらに、Schiffらは、従来技術(EEGまたは脳磁気図(MEG:magnetoencephalogram))によって測定されるような脳波の領域内および大脳半球内の変化を監視する、あるいは代謝活性における領域内および大脳半球内(intrahemispheric)の変化を監視することによって方法を最適化できると記載している。しかしながら、Schiffらは、EEGまたはMEG信号を処理して認知(cognitive)機能を反映するパラメータを生成する具体的な方法を教示していない。
【0012】
Whitehurstらの米国公開特許2002/0013612Aは、気分障害および/または不安障害(anxiety disorders)を治療するため、薬物を投与する、および/または電気刺激を脳に印加するシステムを記載している。記載されるシステムは、頭蓋骨に完全に埋め込まれる。所望の効果を生むために必要な電気刺激の強度および/または継続時間、および/または刺激薬の量および/または種類を決定する助けとして、ある好適な実施形態では、治療に対する患者の反応および/または治療の必要性が感知される。Whitehurstは、必要な電気および/または薬物刺激を決定する方法は、神経患者群の電気活動の測定(たとえば、EEG)、神経伝達物質レベルおよび/または関連分解生成物レベルの測定、医薬品および/またはその他の薬物レベルの測定、ホルモンレベル、および/またはその他の血液型(blood borne)物質のレベルの測定を含むと記載している。さらに、Whitehurstは、感知された情報が好ましくは、閉ループ的にシステム制御ユニットの刺激パラメータを制御するのに使用されると述べている。Whitehurstは、EEG信号を処理して制御変数として使用可能なパラメータを生成する方法を教示していないし、頭の表面からEEGを記録することも教示していない。
【0013】
Suffinの米国特許第6622036号は、神経生理データに基づく薬物治療の選択について記載している。Suffinの発明は、疾患の行動的兆候は必ずしもEEG/QEEG、MRI、FMRI、PET、SPECTなどから引き出される神経生理情報と相関関係を持たない、という神経精神状態を治療する上での基本的な問題点に対処することを目的としている。行動的兆候を示す患者が、神経生理学的測定値の特有の変化を示さないことがある。この問題を回避するため、Suffinの発明は、行動的兆候を省略している。彼の発明は、症候性および無症候性/正常な被験者の両方から得た神経生理学的測定値の比較データベースに基づく。Suffinは、特定の行動的特徴を備える通常の臨床方法によってではなく、無症候性対照群の値から統計的に逸脱する神経生理学的測定値を有することとして異常を定義している。このような異常を示す患者は、同様の神経生理的異常を示すデータベース内の1セットの被験者のうちの1人と整合させられる。比較データベースは、比較データベースサブグループのメンバーを無症候性データベースメンバーの神経生理的状態の特徴に戻すのに成功したと立証される種類の治療に関する情報を含む。最も成功した過去の治療が、現在の患者に対して推奨される。この意味で、Suffinの発明は、行動的兆候の代わりに神経生理学的測定値を扱い、行動的兆候に関係なく、無症候性患者の神経生理的状態特徴に患者を戻すことを、成功治療と定義する。
【0014】
EEG非対称性(すなわち、脳半球間のEEG距離の差)も研究されてきた「鬱状態または精神的に不安な個人において右脳の活性化に対する左脳の活性化の低減について、前頭領域における非対称活性化の変更パターンに関する脳波(EEG)研究の一般的考察」。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の主な目的は、神経刺激療法の最適化を支援するため、脳波信号から臨床的に有意義な情報を引き出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、神経または精神状況に対する治療の有効性を予測および/または査定するシステムおよび方法を記載している。治療の有効性は、EEG信号の変化の解釈によって査定される。治療への反応の予測(治療の有効性)は、患者の治療前EEGから得られた指標および/または指標の変化を分析することによって査定可能である。視床の神経刺激がEEGに影響を及ぼしうることは十分既知である。本発明は、脳回路の励起または抑止は、深部脳刺激または迷走神経刺激療法の有効性によって特徴付けられ、それと関連する特定のEEG変化によって明示されるという概念に基づく。
【0017】
本願に記載される発明は、神経および精神上の疾患の様々な治療法の有効性の定量化と監視を可能にする。好適な実施形態では、末梢および/または中枢神経系の神経刺激の予想される、および実際の有効性が定量化される。本発明を適用可能な疾患および症状は、たとえば、鬱病、強迫性障害、てんかん、パーキンソン病、運動障害、卒中などである。同様に、好適な実施形態は神経刺激の予測および有効性の定量化を記載しているが、本発明は薬物治療、電気ショック療法(ECT:electroconvulsive therapy)、および経頭蓋磁気刺激(TMS:transcranial magnetic simulation)を含むがそれらに限定されないその他の種類の治療の有効性を予測し監視するのに使用することができる。
【0018】
深部脳または迷走神経の刺激を介して脳機能を抑止する場合、深部脳神経伝達信号路への大脳皮質の途絶が生じる可能性がある。この結果、EEG信号パワーが減少する。逆に、神経刺激が神経伝達路を始動または増強すると、EEG信号パワーが増大する可能性がある。DBS患者の観察が示すように、内包前脚(視床近傍の脳の解剖領域)を両側から刺激することによって強迫性障害および鬱病に苦しむ患者の治療に現在使用されている神経刺激は、左の耳たぶおよび右の耳たぶに参照される前頭骨のEEGパワーを、具体的にはα(8〜12Hz)および/またはθ(4〜8Hz)周波数帯域に減少させる。このパワーの減少は、前頭骨αパワーが大脳皮質−視床神経路によって生成され、DBSがその経路を阻害するという仮説に一致する。
【0019】
ここに記載される発明は、刺激されている脳の領域に直接的または間接的に影響を受けるEEG信号を処理する。神経刺激治療の有効性の指標は、スペクトルおよび/または時間領域の特徴を用いてEEG信号から生成される。次に、熟練した臨床医は、EEG変化に基づき神経刺激装置の設定または位置を調節する。好適な実施形態は、以下の2つのEEGチャネル、額の中線(Fpz)に照会される左の耳たぶ(A)とFpzに照会される右の耳たぶ(A)を組み合わせて測定されるEEGを使用する。次に、2つのEEG信号は、神経刺激装置治療の有効性を反映する数値指標を算出するのに使用される。治療の開始前に算出される数値指標は、治療に対する反応を予測するのに使用することができる。この方法は、他の電極位置、および機器と薬物治療の両方を含むその他の脳治療方法から得られる他のEEGパラメータ(時間ベースおよび周波数ベースのパラメータを含む)に適用するように拡張することができる。
【0020】
本発明では、成功した治療は、行動的兆候の緩和または行動側定値の有意義な減少のいずれかを結果的に招くとして、認められた臨床方法において定義される。本発明は、行動臨床評価の改善度を特徴付ける特徴を有する値である指標によって、治療処置に対する反応を予測し査定する。結果として生じる指標は、特定の治療処置の予測および達成される行動上の成功を反映する尺度である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明のこれらのおよびその他の特徴および目的は、添付の図面を参照し読み取るべきである以下の詳細な説明からより十分に理解されるであろう。図面においては、対応する参照符号は、複数の図面全体を通じて対応する部品を指す。
【0022】
本明細書に記載される発明は、EEGに明示されるようなニューロン活性の変化を査定することによって、神経および精神障害の治療の有効性を予測し査定する方法である。本発明の特定な実施形態は、刺激電極導線70(図1)を介して患者10に接続される神経刺激装置60から提供される電気刺激の効果を予測し査定するシステムを含む。システムは、以後の処理のために被験者のEEG信号を捕捉するのに使用されるデータ捕捉ユニット(DAU)20を組み込む。DAU20は通常、一体型のアナログ−デジタル(A−D)コンバータ25を有するコンピュータシステムと、被験者10の頭蓋骨に配置される1セットの電極15から成る。A/Dコンバータは、1セットの表面電極から得られるアナログEEG信号を、データ演算ユニット(DCU)30のコンピュータによって分析可能なサンプルセットの信号値に変換するために使用される。DCU30は、プロセッサ35と、DAU20からのサンプル値を受け取る通信装置36とを組み込む。本実施形態では、DAU20およびDCU30のプロセッサは1つであり同一である。しかしながら、別の実施形態では、DAU20はEEG信号を捕捉し、通信リンクを介して遠隔DCU30にサンプルEEG信号を送信してもよい。上記通信リンクは、直列または並列データ線、局所または広域ネットワーク、電話線、インターネット、または無線接続であってもよい。査定を実行する臨床医は、キーボード40および表示装置50を用いてDCU30と通信することができる。
【0023】
EEGデータは、表面電極15を用いて患者の体表面から捕捉される。治療への反応を予測するのに使用されるEEGデータは、治療の開始前に収集される。対照的に、治療の有効性を査定するのに使用されるEEGデータは、治療の開始後に収集される、あるいは、治療前の状態からの変化を定量化する微分パラメータを算出するため治療前データと組み合わされる。電極がすべて毛筋の下に配置されるとき、電極は好ましくはAspect Medical Systems、Inc.(マサチューセッツ州、ニュートン)社製のZipprep(登録商標)タイプである。電極が毛髪内に配置されるとき、コロジオン(collodion)または物理的拘束のいずれかによって適所に保持されたゴールドカップ型の電極を使用することができる。様々な異なる電極の配置、すなわち、モンタージュを使用することができる。好適な実施形態は、額の中心(Fpz)に参照される左の耳たぶ(A)とFpzに参照される右の耳たぶ(A)とを組み合わせた電極配置(モンタージュ)を使用し、第1のチャネルのEEG信号は電極位置AおよびFpz(A−Fpz)間で観察される電圧であり、第2のチャネルのEEGはAとFpz(A−Fpz)の電極位置間で観察される電圧である。別の実施形態は、第1のチャネルがF−Fpzの電極位置間で観察される電圧であり、第2のチャネルのEEGはF−Fpzの電極位置間で観察される電圧である電極モンタージュを使用する。別の実施形態はFpz−At1、Fpz−SM94の単方向性モンタージュを使用するBISセンサ(Aspect Medical Systems Inc.)を用いており、At1は目の横の左こめかみに(頬骨の0.75インチ前方)、SM94はFpzの2.5インチ側方にある。このモンタージュは、頭の左側にあるとして説明されているが、同様に右側にあってもよく、その場合、Fpz−At2、Fpz−SM94と表される。もしくは、基準および単極構造の両方を用い、HH Jasper著、国際10/20電極モンタージュシステム、「脳波検査および臨床神経学における10−20電極システム国際連盟」、EEG Journal、1958、10(付録)、371〜5ページ、に記載されるような電極位置構造など、任意の構造を採ることができる。
【0024】
電極15によって捕捉されたEEG信号は、DAU20のD/Aコンバータ25によってサンプル採取され、好ましくは128サンプル/秒のサンプリング速度でサンプルデータセットを作製する。サンプルデータセットは、好適な実施形態での分析目的で2秒(256サンプル)記録(時期)に分割される。DCU30がDAU20からのサンプル値を受領後、DCU30はまず患者の運動、まばたき、電気ノイズなどから生じるアーティファクトに関してサンプルEEG信号を調査する。検出されたアーティファクトは信号から除去される、あるいはアーティファクトを有する信号の1部がさらなる処理から排除される。不適切なサンプリング周波数(エイリアシング)のため低域周波数で発生する当該信号帯域を超える周波数でのパワーの傾向を低減するために、高域フィルタリングも採用される。
【0025】
次に、DCU30は、アーティファクトのないEEGデータから1セットのパラメータを算出する。上記パラメータは、パワースペクトルアレイ、バイスペクトルアレイ、高次スペクトルアレイ(トリスペクトルなど)、(米国特許第5269315号および米国特許第5309923号に記載されているような)コーダンス、z−変換変数、エントロピーパラメータ、およびテンプレートマッチング、ピーク検出、閾値クロッシング、ゼロクロッシング、およびHjorth記述子を含むがそれらに限定されない時間領域パラメータを含むことができる。上記パラメータ、スペクトル、またはデータのいくつかの側面を定量化するその他を、特徴と称する。DCU30は、被験者の神経機能障害の重症度または神経性症状のレベルを示す一連の特徴および指標をパラメータから算出する。これらの特徴および指標が神経刺激装置60によって与えられる神経刺激に反応してどのように変化するかを観察することによって、刺激パラメータは神経刺激の効果を調節するように変更することができる。これらの特徴および指標は、表示装置50上でユーザに表示することができる。DCU30がDAU20から遠い実施形態では、結果をDAU20上の表示装置に送り返す、eメールで患者の主治医に送る、あるいは、安全なウェブページ上で入手可能とすることができる。
−スペクトルアレイの算出−
【0026】
好適な実施形態では、指標の特徴は、パワースペクトルアレイ、バイスペクトルアレイ、または高次スペクトルアレイ(トリスペクトルなど)のいずれかとして定義されるスペクトルアレイから算出される。パワースペクトルおよびバイスペクトルデータアレイは、周波数領域(フーリエ変換)法および時間領域(自己回帰)法を用いて算出することができる。パワースペクトルアレイまたはパワースペクトルという用語は、パワースペクトル、クロススペクトル、およびコヒーレンスアレイのいずれかまたはすべてを含む。バイスペクトルアレイまたはバイスペクトルという用語は、オートおよびクロスフォーミュレーションの両方に対して、以下のアレイ、複素数三重積、実数三重積、バイスペクトル密度、バイフェーズ、およびバイコヒーレンスアレイのいずれかまたは全部を含む。パワースペクトルアレイは、バイスペクトルアレイ算出の中間ステップとして算出され、指標における特徴として使用されるべきパラメータの派生に利用可能である。パワースペクトルアレイのみが指標を算出するのに使用される場合、演算は、必要なアレイの計算後に終えることができる。周波数方法と時間領域方法の両方をここに示すが、当業者であれば、他の方法も引き出すことができると理解することができる。本発明は、パワースペクトルおよびバイスペクトルアレイを得るすべての演算方法を組み込むことを目的とする。
【0027】
次に図2を参照しつつ、パワースペクトル(power spectral)、クロススペクトル(cross-spectral)、コヒーレンス(coherence)、オートバイスペクトル(autobispectral)、またはクロス−バイスペクトル(cross- bispectral)アレイを生成する周波数領域ベース手順を説明する。ステップ802では、システムは、実行される演算がオートスペクトル演算かクロススペクトル演算かをチェックする。オートバイスペクトル分析は、クロス−バイスペクトル分析の特別なケースなので、異なる対称性の規則を適用する。
【0028】
ステップ804では、システムは、オートバイスペクトル演算を進めるために以下の対称変換を設定する。
【0029】
【数1】

【0030】
ただし、fsはサンプリング速度で(128 2−秒記録を使用する好適な実施形態では128サンプル/秒で、結果的に0.5Hzの周波数分解能を生じる)、f1およびf2(周波数1および周波数2とも称する)は、クロススペクトルまたはバイスペクトル演算が実行される周波数ペアを示す。さらに、パワースペクトルおよびオートバイスペクトル演算に関しては、以下に示す。
【0031】
【数2】

【0032】
Xi(t)およびYi(t)は、パワーおよびバイスペクトル演算に使用される個々の時系列記録を示す。好適な実施形態では、Xi(t)およびYi(t)は、異なるチャネルから同時に得られるサンプルEEG記録である。それらは、同じチャネルからの連続する記録であってもよい。Xi(f)およびYi(f)は、時系列記録Xi(t)およびYi(t)のフーリエ変換をそれぞれ示し、iは記録番号を示す。
【0033】
ステップ806では、以下の対称変換をクロス−バイスペクトル分析のために付与する。
【0034】
【数3】

【0035】
ただし、クロススペクトル分析に関して、Xi(t)およびYi(t)が個々に引き出された時系列記録を表すことを除き、すべての変数はオートバイスペクトル分析の場合と同じ値を表す。
【0036】
選択された記録の高速フーリエ変換(FFT)Xi(f)およびYi(f)は、標準的なIEEEライブラリルーチンまたはその他一般に利用可能なルーチンをステップ808で用いて算出される。
【0037】
ステップ810では、各選択記録のパワースペクトルPXi(f)およびPYi(f)は、フーリエ変換Xi(f)およびYi(f)それぞれの各成分の大きさを自乗することによって算出される。
【0038】
【数4】

【0039】
クロススペクトルアレイPXY(f)およびコヒーレンスアレイγXY(f)は以下のように算出することができる。
【0040】
【数5】

【0041】
ただし、Xi(f)はXi(f)の共役複素数であり、Mは記録の数である(好適な実施形態では128)。
【0042】
システムは以下の式を利用することによって、ステップ812で平均複素数三重積を算出する。ただし、bci(fi,f2)は1つの記録からの個々の複素数三重積であり、BC(fi,f2)は平均複素数三重積である。
【0043】
【数6】

【0044】
ただし、Yi(f1+f2)はYi(f1+f2)の共役複素数である。
【0045】
【数7】

【0046】
平均実数三重積は、以下の式を用いることによって、ステップ814で算出される。PXi(f)およびPYi(f)は1つの記録からのパワースペクトルであり、bri(f,f)は1つの記録からの個々の実数三重積であり、BR(f,f)は平均実数三重積である。
【0047】
【数8】

【0048】
Yiは実数値であるため、PYi=PYiであることに注意。
【0049】
ステップ816では、バイスペクトル密度アレイBD(f,f)は以下の式を用いて算出される。
【0050】
【数9】

【0051】
ステップ818では、システムは以下の式を用いてバイフェーズアレイφ(f,f)を算出する。
【0052】
【数10】

【0053】
ステップ820では、システムは以下の式を用いてバイコヒーレンスアレイR(f,f)を算出する。
【0054】
【数11】

【0055】
ステップ822では、システムは、要求されたオート/クロス バイスペクトルアレイをデータ演算ユニット30に戻す。
【0056】
次に図3に移り、オート/クロスバイスペクトルアレイを算出するためのパラメータベースの方法について説明する。ステップ902、904、および906では、システムはステップ802、804、および806でそれぞれ上述されたのと同じ方法で、対称変換および時系列記録を設定する。Xi(t)およびYi(t)のパワースペクトルは、ステップ908、910、および912で推定される。さらに、クロススペクトルとコヒーレンスアレイが算出される。この推定方法は、2つの主要な段階、つまり、自己回帰(AR)モデル次数選択とXi(t)およびYi(t)のパワースペクトル演算とを含む。ステップ908では、システムは以下の式を用いて、2つの自己相関シーケンス{R2X(m)}および(R2Y(m))を算出する
【0057】
【数12】

【0058】
ただし、Mは記録の数であり、Nは記録当たりのサンプル数であり(好適な実施形態で、それぞれ128と256)、Lは 可能なARフィルタ次数(好適な実施形態ではL=50)よりずっと大きい。最終予測誤差、FPE(m)およびFPE(m)は、ARフィルタの次数を発見するため、ステップ910で各自己相関シーケンスでレビンソン回帰関数を実行することによって、すべての次数m=0、1、2、...Lに対して算出される。FPE(m)およびFPE(m)の最小値、QおよびQの位置は、Xi(t)およびYi(t)のパワースペクトルのARフィルタの次数として選択される。すなわち、
【0059】
【数13】

【0060】
いったんパワースペクトルに対するARフィルタの次数が選択されたら、自己相関シーケンス{R2X(m)}および{R2Y(m)}は、Lの代わりに、それぞれ次数QXおよびQYでレビンソン回帰に入力される。回帰から得られる係数、{cix、i=0、1、...、Q}および{ciY、i=0、1、...、Q}は、それぞれXi(t)およびYi(t)のパワースペクトルに対するARフィルタの係数である。次に、ステップ912では、パワースペクトル P(f)およびP(f)は、係数のフーリエ変換の大きさの自乗によって除算される予測誤差(σ)として算出される。すなわち、
【0061】
【数14】

【0062】
同様に、クロススペクトルPxy(f)は以下のように算出され、
【0063】
【数15】

【0064】
コヒーレンスアレイは、上述のようにP(f)、P(f)、およびPxy(f)から算出される。
【0065】
システムは、ステップ914、916、および918でオート/クロス実数および複素数三重積を推定する。推定プロセスは以下の2つの主要な段階、次数選択と実数および複素数三重積演算とを含む。ステップ914では、三次モーメントの2つのシーケンス、{R3X(τ)}および{R3Y(τ)}が以下の式を用いて算出される。
【0066】
【数16】

【0067】
ただし、s=max(1,1−τ)、s=min(N、N−τ)、およびLは可能なARフィルタ次数(たとえば50)よりずっと大きい。
【0068】
ステップ916では、2つのスーパーマトリクスTおよびTが以下のように形成される。
【0069】
【数17】

【0070】
我々がバイスペクトルアレイのARフィルタに関して行った推定から、Xi(t)およびYi(t)のバイスペクトルアレイのARフィルタの次数OxおよびOyは、スーパーマトリクスTおよびTのランクである。したがって、OxおよびOyは、特異値分解を用いて選択される。発見された次数で、我々は以下の線形システムの式を解くことによって、バイスペクトルアレイのARフィルタの係数を得る。
【0071】
【数18】

【0072】
ただし、歪み(βz)と係数(b1z,...,bOzz)、z=X,Y,は線形システムの式を解くことによって得ることができる。
【0073】
Xi(t)およびYi(t)の平均オート/クロス複素数三重積は、ARフィルタ係数(Hz(f))のフーリエ変換の三重積によって除算された、歪み(βββ1/3の三重積の立方根として、ステップ918で算出される。すなわち、
【0074】
【数19】

【0075】
BR(f,f)は平均オート/クロス実数三重積である。
【0076】
【数20】

【0077】
平均オート/クロス複素数および実数三重積を得た後、システムは、ステップ816、818、820と同じようにしてステップ920で、バイスペクトル密度、バイフェーズ、およびバイコヒーレンスアレイを算出する。ステップ922では、システムは要求されたバイスペクトルアレイをデータ演算ユニット30に戻す。
【0078】
−神経刺激の有効性の指標算出−
指標は、スペクトルアレイから算出した特徴を用い、他の周波数および時間領域方法によって構築することができる。好適な実施形態では、上記指標は、神経刺激装置の治療への反応に関連するEEG変化を定量化するように設計される。上記指標の開発は、 記録前および記録中の神経刺激装置の状態と、治療の進行状況と有効性に関する単独の尺度とともに、神経刺激装置が治療の対象とする特定の病的症状を有する個人からの治療前EEGデータセットを必要とする。
【0079】
本実施形態の進展に際し、DBS刺激装置を埋め込まれた一連の大鬱病性障害(MDD)または強迫性障害(OCD)患者からのEEGデータが記録される。患者が目を閉じて意識のある間にEEG記録が行われる。EEGデータが、DBS刺激(ベースライン記録)の前と、その後の複数のオンオフ刺激装置サイクル間に、電極ペアA−Fpz(左大脳半球)およびA−Fpz(右大脳半球)が記録される。記録のたびに、被験者は1−10の段階(すなわち、想像しうる限り1が最悪の気分で10が最高の気分)で自分の気分と不安度(想像しうる限り1が全く不安がない、10が最も不安である)を自己報告した。気分および不安スコアは、EEGから独立した患者の状態の尺度であり、治療(ここでは、神経刺激)による気分の変化は治療の有効性に関する独自の尺度である。気分の査定の動的領域を広げるため、EEGは刺激装置がオフ(通常、気分が悪化する)とオン(通常、気分が向上する)のときに記録される。チャネルA−FpzおよびA−Fpzのそれぞれに関して、上述のように様々なスペクトルアレイが算出され、患者の気分と不安の査定の直前の期間に別個のアレイが算出された。アーティファクトのないEEGの最初の30秒の2秒記録を用いて、0.5Hzの分解能ですべての周波数に対して平均EEGスペクトルアレイが算出された。
【0080】
好適な実施形態では、特徴が、2EEGチャネル(A−FpzおよびA−Fpz)で平均を取ったα周波数域(8〜12Hz)内の絶対パワーとして構成された。この特徴、すなわち、絶対αパワーは以下の式で算出される。
【0081】
【数21】

【0082】
絶対パワーは、各EEGチャネルに対して別々にα周波数帯域内で合計され、平均αパワーは2チャネルで算出される。絶対αパワーと気分スコアの相関関係は体系的にネガティブであるため、被験者の気分スコアが上がるほど、αパワーは減少する。絶対αパワーと気分スコア間のピアソン線形相関は、統計的に有意である(R=−0.821、p=0.012)。
【0083】
好適な実施形態は2チャネルのEEGデータを使用するが、別の実施形態は1つまたは複数のチャネルからのデータを使用することができる。さらに、生体系はある程度変動するため、やや異なる周波数帯域が同等の働きを提供する可能性がある。同様に、他の周波数帯域を使用することができる。
【0084】
好適な実施形態におけるパワースペクトルアレイから算出されるもう1つの特徴は、左半球と右半球間のα周波数領域(8Hz≦f≦12Hz)での絶対パワーの差である。この特徴、つまり絶対α非対称性、すなわち、大脳半球間の差異は以下の式で算出される。
【0085】
【数22】

【0086】
分析後、患者の絶対α非対称性が気分スコアと相互に関連付けられると判定された。双方向性差異を算出するもう1つの方法が、相対パワー非対称性である。左および右チャネルの絶対αパワーを当該周波数(この場合、0.5〜20Hz)帯域でのそれぞれの総パワーで割ると、EEGパワーレベル全体の変化に対するデータが標準化され、気分スコアとの相関性が高まる。各チャネルの標準化されたαパワーは相対αパワーと称され、左と右の相対αパワー間の差異は相対α非対称性である。このパラメータは、左半球の相対αパワー(すなわち、EEGチャネル A−Fpzから算出された)から右半球の相対αパワー(すなわち、EEGチャネルA−Fpzから算出された)を引くことで算出される。
【0087】
【数23】

【0088】
相対αパワーの大脳半球間差異と気分スコアとの相関関係は体系的にポジティブであるため、被験者の気分が良くなるほど、頭の右側の相対αパワーに対する頭の左側の相対αパワーは増大する。相対α非対称性と対応するMDDでの気分スコア間のピアソン線形相関(R)は0.838(p<0.001)である。MDDおよびOCD患者を合わせた患者群では、相対α非対称性の変化と気分スコアとの相関関係はR=0.766で、病因とは関係しない。さらなる発見は、同一期間において、相対α非対称性の変化が不安スコアと逆の相関を有する(R=−0.605、p<0.02)ことであり、この関係は個人および病因全体で一致する(MDDおよびOCD)。繰り返すが、好適な実施形態は2チャネルのEEGデータを使用するが、別の実施形態は1つまたは複数のチャネルを含むことができる。さらに、生体系はある程度変動するため、やや異なる周波数帯域が同等の働きをする可能性がある。同様に、他の周波数帯域を使用することができる。
【0089】
指標は、一次方程式の形をとるように明示されることが多い。当業者であれば、非一次方程式または神経網などの別の形もとることができることが理解できる。好適な実施形態では、指標は以下の一般的な形式をとる。
【0090】
【数24】

【0091】
ただし、cは定数であり、{Fi,i=l,2,...,p}は特徴のセットであり、{ci、i=1,2,...,p}は特徴に対応する係数のセットであり、pは特徴の数である。
【0092】
気分の変化に影響を及ぼす神経刺激の有効性を追跡する指標は、以下のようにして算出することができる。
【0093】
【数25】

【0094】
ここで、cおよびcは、IndexMood_1の範囲が、有効性が高まるほど低減するという特徴F(たとえば、絶対αパワー)(負の相関関係)に関して0(最も有効でない状態)から100(最も有効な状態)の間になるように定義される。この例を引き出すのに使用されるデータベースに基づくと、min(F)=122.9でmax(F)=191.9であり、結果的にc=278.12でc=−1.45となる。αパワーと気分スコアとの高い相関関係(R=−0.821、p=0.012)が示すように、IndexMood_1は気分の状態に敏感な尺度である。
【0095】
気分の変化に影響を及ぼす神経刺激の有効性を定量化するもう1つの指標は、以下のように相対α非対称性を用いて算出することができる。
【0096】
【数26】

【0097】
繰り返すが、cおよびcは、IndexMood_2の範囲が、有効性が増すほど高まるという特徴F(たとえば、相対α非対称性)(正の相関関係)に関して0(最も有効でない状態)から100(最も有効な状態)の間になるように定義される。これらの結果を引き出すのに使用されるデータセットでは、min(F)=−0.048でmax(F)=0.068であり、結果的にc=41.379でc=862.069となる。相対αパワーの大脳半球間差異と気分スコア間の高い相関関係が示すように、IndexMood_2は気分の状態に敏感な尺度である。2つの実施形態で定数cおよびcの形式の違いは、Fと気分スコア間の相関関係の兆候(正対負)によることに注意されたい。cおよびcの値が単に倍率であるという単独の特徴の場合、c=0およびc=1ならば、単独の特徴を構成する指標の値は、特徴それ自体の値であることに注意すべきである。上述の式と同じ一般的な式を用いて、複数の特徴を備える指標を実行することもできる。先の説明は大脳半球間EEGチャネルから引き出される指標に特有であるが、特徴は1つまたは複数の単方向性EEGチャネル、および双方向性EEGチャネルのモンタージュから算出することができる。指標は、単方向性および双方向性特徴の両方を組み合わせて構成することもできる。
【0098】
異なる周波数帯域からの特徴も使用することができる。たとえば、予備的な開発の試みでは、いずれかの半球から算出されるθ帯域(4〜8Hz)での相対パワーは、患者の気分スコアと逆相関を有することが判定された。したがって、気分スコアの別の指標は、F=相対θパワー、min(F)=0.005、およびmax (F)=0.310を用いて計算することができる。
【0099】
【数27】

【0100】
この説明はパワースペクトルアレイから得られる指標に特有のものだが、この方法には限定されない。バイスペクトルアレイ(すなわち、バイスペクトル、複素数三重積、実数三重積、バイフェーズ、およびバイコヒーレンス、オートおよびクロスフォーミュレーションの両方に対するすべてのもの)、ならびにクロススペクトルおよびコヒーレンスアレイの様々な周波数帯域から算出することができる。中央値、標準偏差および分散、パーセンタイル値、特定周波数によって境界を示される領域内の絶対パワー、相対パワー(特定周波数によって境界を示される領域内の総パワーのパーセンテージである絶対パワー)、神経網、フラクタルスペクトル分析、エントロピーや複雑性などの情報論から得られる尺度、およびその他の当業者にとって既知な統計的尺度、といった特徴を引き出すために、他の方法を使用することができる。特徴は、パターンまたはテンプレートマッチングなどの各種時間領域分析方法から引き出すこともできる。特徴は、期間中の特定の状態の有無、あるいは、特定の状態が特定の期間中に満たされる程度(たとえば、パワーまたはバイスペクトルアレイの特定周波数帯域におけるパワーが閾値未満である、最近の期間内の時間の割合)を定量化することができる。特定の状況または信号の種類の検出器を、2つ以上の異なる状態を有する特徴または指標として使用することもできる。
【0101】
算出された指標は患者の神経または精神状態を反映するため、これらの指標は、治療に対する患者の反応を予測するのに使用することができる。上述の実施形態では、Relative_Alpha_Asymmetryのベースライン値(すなわち、治療前データで算出された)は、治療に対する患者の反応の可能性を示す。Relative_Alpha_Asymmetryの大きさは、治療に対する反応の程度を予測する。
【0102】
演算された指標または特徴は、患者の神経または精神状態を反映する。上述の実施形態では、様々なIndexMood_i(i=1、2、3)は気分スコアによって定量化されるように、患者の気分の尺度である。したがって、本発明は、IndexMood_iが最大値まで上昇するように治療パラメータを変更することによって特定の治療様式を最適化するために利用される。神経刺激(DBSおよびVNS)の場合、治療パラメータは刺激信号の振幅、周波数、極性、およびパルス幅と、選択された刺激電極のサブセットを含む。他の治療様式に関しては、治療パラメータは、用量(薬物治療)、刺激電圧(ECT)、および電界強度(TMS)を含むことができる。
【0103】
本発明のシステムおよび方法は、神経刺激の治療の有効性を観察する。本発明は治療から生じる神経活動の変化を観察するため、特定の治療様式には限定されない。したがって、本発明は、薬物治療、電気ショック療法、および経頭蓋磁気刺激を含むがそれらに限定されない他の種類の治療の有効性をも観察するために使用することができる。
【0104】
−感度と特定性を向上する試験方法−
本発明の感度と特定性は、差別試験方法を使用して高めることができる。差別試験方法は、2つ以上の連続する査定を用い、査定毎に査定値と実際値間の試験距離の値の変化を分析する。査定は一般的に、睡眠などの各種状況下や精神的作業などのストレッサーの影響下で行われ、これらがベースライン査定と比較される。痴呆、鬱病、OCD、およびその他の神経疾患を抱える患者は、差別試験方法において正常な被験者とは異なるEEG反応を示す。本明細書では、この得られた指標の性能を高めるために使用可能ないくつかの差別試験方法を説明する。好ましくは、試験距離が、EEGスペクトルアレイおよび別のパラメータから得られる指標であり、ここではINDEXとして示す。
【0105】
ある差別試験方法は、刺激装置がオンのときとオフのときの患者の変動する反応を利用する。電極は最初に、目を開けた、あるいは閉じた状態で静かに座っているように指示された被験者に貼り付けられる。ベースライン査定は神経刺激装置60がオフの状態で行われ、DAU20がEEGのセグメントを捕捉し、分析のためにそれをDCU30に送信する。概して、数分間のセグメントが、INDEX値を算出するために使用される。INDEXの第1の値(INDEXstim_offと称する)が、EEGのセグメントからDCU30によって算出される。次に、神経刺激装置60がオンにされ、EEGの第2のセグメントがDAU20によって捕捉され、分析のためにDCU30に送信される。INDEXの第2の値(INDEXstim_onと称する)が、第2の査定の期間に捕捉されたEEGからDCU30によって算出される。この後者の査定期間は、神経刺激装置60がオンにされたとき、あるいは一定期間のオン後オフにされたときであってもよい。アーティファクトに関して捕捉されたデータを調査し、分析から検知されたアーティファクトを除去する、あるいは、捕捉されたデータのアーティファクト部分を排除することは、INDEX値の演算に欠かせない部分である。これらの2つの査定時間、INDEXstim_onとINDEXstim_offで得られるINDEX値の差は、治療の有効性を定量化するのに使用可能な指標を構成する。たとえば、相対α非対称性と気分スコア間の相関関係は、ベースライン(刺激装置オフ)から刺激装置がオンのとき、あるいはオン後にオフになったときの以後の期間との相対α非対称性の変動を比較することにより向上させることができる。MDDにおける相対α非対称性の変化は、同一期間内の気分スコアの変化と高い相関性を有する(R=0.872、p<0.001)。この関係は、刺激モード(双極刺激、単極刺激、および刺激装置オフ)と関係しない。この差別方法は、異なる刺激信号周波数(反復周波数)、パルス幅、パルス振幅およびデューティサイクル、導線の選択、および刺激装置信号の極性といった異なる制御設定での神経刺激装置によるINDEX値を比較することにより拡大可能である。
【0106】
別の試験方法は、被験者が目を開けた状態で得られたEEGから算出されるINDEXの第1の値と、被験者が目を閉じた状態で得られたEEGから算出されるINDEXの第2の値との差を算出する。神経刺激装置60は、査定中のいずれかの時点でオンであってもオフであってもよい。電極15は最初に、目を開けた状態で静かに座っているように指示された被験者に貼り付けられる。EEGのセグメントがDAU20によって捕捉され、分析のためにDCU30に送信される。通常、数分間のセグメントが、INDEX値を算出するのに使用される。次に、被験者は目を閉じた状態で静かに座っているように指示され、EEGの第2のセグメントがDAU20によって捕捉され、分析のためにDCU30に送信される。DCU30は、INDEXeyes_openおよびINDEXeyes_closedとして称される捕捉データの第1および第2の期間におけるINDEX値を算出する。アーティファクトに関して捕捉されたデータを調査し、分析から検知されたアーティファクトを除去する、あるいは、捕捉されたデータのアーティファクト部分を排除することは、INDEX値の演算に欠かせない部分である。INDEXeye_openとINDEXeyes_closed間の数値的差異は、治療の有効性を定量化するのに使用可能な指標を構成する。神経刺激装置がオフの状態で捕捉された治療前EEGのセグメントの場合、INDEXeye_openとINDEXeyes_closed間の数値的差異は、治療に対する反応を予測するのに使用可能な指標を構成する。
【0107】
第3の差別試験方法は、被験者がリラックスした状態で捕捉されたEEGから算出されるINDEXの第1の値と、被験者が暗算課題に取り組んでいる間に捕捉されたEEGから算出されるINDEXの第2の値との差を算出する。神経刺激装置60が、査定中のいずれかの時点でオンであってもオフであってもよい。記録期間の両方で目を開けておくように被験者に指示することができる。もしくは、記録期間の両方で目を閉じておくように被験者に指示することができるが、これは、選択可能な暗算課題に限定することができる。暗算課題は、試験される患者群にとって普遍ではない特別な訓練や教育レベルを必要としない、十分難しいが一般的であるように選定された単純な課題または1組の課題であってもよい。2つの課題の例は暗算の足し算と引き算であり、小切手帳を清算したり、100から逆に3ずつ引いて数えたり、2つの日付の間の日数を計算したりするのに必要とされる。最初に、電極15が、静かに座っているように指示された被験者に貼り付けられる。EEGのセグメントがDAU20によって捕捉され、分析のためにDCU30に送信される。ここでも、数分間のセグメントが、INDEX値の算出に使用される。次に、被験者は暗算課題で所与の指示を与えられてから、課題を完了するように要求される。暗算中に、EEGの第2のセグメントがDAU20によって捕捉される。その後、捕捉されたデータが分析のためにDCU30に送信される。DCU30は、INDEXbaselineおよびINDEXtaskと称される、捕捉されたデータの第1および第2の期間の両方のINDEX値を算出する。INDEXtaskとINDEXbaseline間の数値的差異は、治療の有効性の定量化に利用可能な指標を構成する。神経刺激装置をオフにして捕捉された治療前EEGのセグメントの場合、INDEXtaskとINDEXbaseline間の数値的差異は、治療に対する反応を予測するのに使用可能な指標を構成する。
【0108】
−最大の治療効果を得るための神経刺激装置パラメータの自動調節−
EEG状態のベースライン尺度は、神経刺激装置が動作不能になったときの治療の有効性の指標を算出することによって査定することができる。この値は、様々な神経刺激装置パラメータ(設定)で算出される指標と比較することができる。最大の治療効果、したがって、最適な神経刺激装置パラメータは、対応するIndex値およびベースラインIndex値間の差を最大化したパラメータに一致する。Index値は神経刺激装置の有効性の一変量の尺度であるため、制御信号はDCU30から神経刺激装置60に提供することができる。この制御信号は、様々な神経刺激装置パラメータを制御するのに使用することができる。神経刺激装置の設定の様々な組み合わせは、設定毎に算出されるDCU30とIndex値とによって自動的に選択することができる。最適な神経刺激装置のパラメータは、指標が指標のベースライン(神経刺激装置オフ)値から最大の差を有するパラメータとなるように決定される。次に、DCU30が、最適と決定されたパラメータを用いて自身を構成するように神経刺激装置に命令する。
【0109】
概して、神経刺激装置は、しばしば連続的に調整可能である4つ以上のパラメータを有する。したがって、パラメータの組み合わせの数は非常に多い。指標の局所的最大値を発見しつつ(最大の治療効果が最大有効INDEX値で得られると推定する)、調査されるパラメータの組み合わせの数を低減するために、様々な方策を採用することができる。たとえば、最初にすべてのパラメータが名目値で設定され、次にその範囲で1つのパラメータが調整される。DCU30は、ベースラインからの最大INDEX差を生じるパラメータ値を記録する。このプロセスは、全パラメータで繰り返される。プロセスの最後で、神経刺激装置60は、各パラメータを最適な設定にするDCU30によって構成される。指標の別の実施形態では、指標の局所的最低値を生じる設定が、所望されるかもしれない。本明細書に記載される発明は、治療法として神経刺激を使用する。しかしながら、同じ発明を、医薬品の投与、電気ショック療法、および経頭蓋磁気刺激などの他の方法に使用することができる。前者の場合、薬物、投与量、または投与方法を変更させることができ、後者の2つではショックのパラメータを変更させることができる。
【0110】
上述の発明を好適な実施形態を参照して説明したが、当業者にとっては様々な変更や改造が可能である。そのような変更や改造は、添付の請求項の範囲に入ると意図される。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明のシステムのブロック図である。
【図2】本発明のパワースペクトルおよびオート/クロスバイスペクトルアレイの演算方法のフローチャートである。
【図3】本発明のパワースペクトルおよびオート/クロスバイスペクトルアレイの別の演算方法のフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経疾患治療への反応予測システムであって、
身体からの電気生理信号を捕捉する少なくとも2つの電極と、
治療に対する反応に関係する少なくとも1つの特徴を電気生理信号(electrophysiological signals)から算出するプロセッサとを備え、電気生理信号は治療の開始前に捕捉されることを特徴とするシステム。
【請求項2】
治療は神経刺激であることを特徴とする、請求項1の神経疾患治療への反応予測システム。
【請求項3】
神経刺激は深部脳刺激(deep brain stimulation)であることを特徴とする、請求項2の神経疾患治療への反応予測システム。
【請求項4】
神経刺激は迷走神経刺激(vagus nerve stimulation)であることを特徴とする、請求項2の神経疾患治療への反応予測システム。
【請求項5】
治療は医薬品の投与であることを特徴とする、請求項1の神経疾患治療への反応予測システム。
【請求項6】
治療は電気ショック療法であることを特徴とする、請求項1の神経疾患治療への反応予測システム。
【請求項7】
治療は経頭蓋磁気刺激(transcranial magnetic stimulation)であることを特徴とする、請求項1の神経疾患治療への反応予測システム。
【請求項8】
プロセッサは少なくとも2つの特徴を算出し、少なくとも2つの特徴を結びつけて指標とすることを特徴とする、請求項1の神経疾患治療への反応予測システム。
【請求項9】
プロセッサはスペクトルアレイから少なくとも1つの特徴を算出することを特徴とする、請求項1の神経疾患治療への反応予測システム。
【請求項10】
プロセッサはパワースペクトルアレイから少なくとも1つの特徴を算出することを特徴とする、請求項8の神経疾患治療への反応予測システム。
【請求項11】
プロセッサはバイスペクトルアレイから少なくとも1つの特徴を算出することを特徴とする、請求項8の神経疾患治療への反応予測システム。
【請求項12】
少なくとも1つの特徴は時間領域特徴であることを特徴とする、請求項1の神経疾患治療への反応予測システム。
【請求項13】
少なくとも2つの電極は双方向性モンタージュ(bilateral montage)に配置されることを特徴とする、請求項1の神経疾患治療への反応予測システム。
【請求項14】
少なくとも2つの電極は単方向性モンタージュ(unilateral montage)に配置されることを特徴とする、請求項1の神経疾患治療への反応予測システム。
【請求項15】
特徴は各電気生理信号から算出される距離の半球間差異(interhemispheric difference)であることを特徴とする、請求項1の神経疾患治療への反応予測システム。
【請求項16】
距離はスペクトル特徴であることを特徴とする、請求項15の神経疾患治療への反応予測システム。
【請求項17】
距離は時間領域特徴であることを特徴とする、請求項15の神経疾患治療への反応予測システム。
【請求項18】
神経疾患治療への反応予測システムであって、
身体からの電気生理信号を捕捉する少なくとも2つの電極と、
該電極からベースライン状態を示す第1の電気生理信号と以後の状態を示す第2の電気生理信号とを捕捉し、第1および第2の電気生理信号を治療の開始前に捕捉するデータ捕捉回路と、
データ捕捉回路から受信した電気生理信号から
(a)ベースライン状態間の患者の状況に関連する少なくとも1つの特徴と、
(b)以後の状態間の患者の状況に関連する少なくとも1つの特徴と、
(c)治療への反応に関係するように、ベースライン状態と以後の状態とに関連する特徴間の差と
を算出するプロセッサとを備えることを特徴とするシステム。
【請求項19】
神経疾患治療に対する反応を予測する方法であって、
身体に置かれた電極を通じて身体からの電気生理信号を捕捉するステップと、
治療に対する反応に関係する少なくとも1つの特徴を電気生理信号から算出するステップとを備え、電気生理信号は治療の開始前に捕捉されることを特徴とする方法。
【請求項20】
治療は神経刺激であることを特徴とする、請求項19の神経疾患治療に対する反応を予測する方法。
【請求項21】
神経刺激は深部脳刺激であることを特徴とする、請求項20の神経疾患治療に対する反応を予測する方法。
【請求項22】
神経刺激は迷走神経刺激であることを特徴とする、請求項20の神経疾患治療に対する反応を予測する方法。
【請求項23】
治療は医薬品の投与であることを特徴とする、請求項19の神経疾患治療に対する反応を予測する方法。
【請求項24】
治療は電気ショック療法であることを特徴とする、請求項19の神経疾患治療に対する反応を予測する方法。
【請求項25】
治療は経頭蓋磁気刺激であることを特徴とする、請求項19の神経疾患治療に対する反応を予測する方法。
【請求項26】
特徴を結びつけて指標とするステップをさらに含むことを特徴とする、請求項19の神経疾患治療に対する反応を予測する方法。
【請求項27】
少なくとも1つの特徴はスペクトルアレイから算出されることを特徴とする、請求項19の神経疾患治療に対する反応を予測する方法。
【請求項28】
少なくとも1つの特徴はパワースペクトルアレイから算出されることを特徴とする、請求項26の神経疾患治療に対する反応を予測する方法。
【請求項29】
少なくとも1つの特徴はバイスペクトルアレイから算出されることを特徴とする、請求項26の神経疾患治療に対する反応を予測する方法。
【請求項30】
少なくとも1つの特徴は時間領域特徴であることを特徴とする、請求項19の神経疾患治療に対する反応を予測する方法。
【請求項31】
少なくとも2つの電極は双方向性モンタージュに配置されることを特徴とする、請求項19の神経疾患治療に対する反応を予測する方法。
【請求項32】
少なくとも2つの電極は単方向性モンタージュに配置されることを特徴とする、請求項19の神経疾患治療に対する反応を予測する方法。
【請求項33】
特徴は各電気生理信号から算出される距離の半球間差異であることを特徴とする、請求項19の神経疾患治療に対する反応を予測する方法。
【請求項34】
距離はスペクトル特徴であることを特徴とする、請求項33の神経疾患治療に対する反応を予測する方法。
【請求項35】
距離は時間領域特徴であることを特徴とする、請求項33の神経疾患治療に対する反応を予測する方法。
【請求項36】
神経疾患治療に対する反応を予測する方法であって、
治療される身体に少なくとも2つの電極を配置するステップと、
ベースライン状態で該身体から第1の電気生理信号を捕捉するステップと、
以後の状態で該身体から第2の電気生理信号を捕捉するステップであって、第1および第2の電気生理信号が治療の開始前に捕捉されるステップと、
ベースライン状態間の患者の状況に関連する少なくとも1つの特徴を算出するステップと、
以後の状態間の患者の状況に関連する少なくとも1つの特徴を算出するステップと、
治療への反応に関係するように、ベースライン状態と以後の状態とに関連する特徴間の差とを算出するステップと、を備えることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−529743(P2008−529743A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−556343(P2007−556343)
【出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
【国際出願番号】PCT/US2006/005767
【国際公開番号】WO2006/089181
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(500568240)アスペクト メディカル システムズ,インク. (8)
【Fターム(参考)】