説明

腫瘍壊死因子−アルファ阻害剤を備えた医療用ステント

本発明は、TNF−アルファの阻害剤を少なくとも1種含む組成物を備えたステントであって、血管における狭窄などの平滑筋細胞増殖の治療および再狭窄の予防に使用するためのステントに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験体の管腔を拡げ、かつその際の再狭窄を治療するために有用なステントに関する。
【背景技術】
【0002】
ステントは、通常、閉塞を取り除くために管の管腔内に導入される管状構造として使用する。通常、ステントを非拡張形式で管の管腔内に挿入し、その後in situで自律的に(またはセカンド装置の支援を受けて)拡張する。
【0003】
ステントを使用して血管腔を拡張すると、再狭窄(再狭小化)が生じることがある。独立型の血管形成術後のアテローム硬化型冠状動脈の再狭窄は、10〜50%の患者において6か月以内に生じる可能性があり、追加の血管形成術または冠状動脈バイパス移植が必要となる。アテローム硬化型の閉塞動脈を開くことに加えて、裸のステント(薬剤を全く伴わない)をはめ込むプロセスが常在性の冠状動脈平滑筋細胞(SMC)を傷つけることが、現在認識されている。この外傷に応答して、付着血小板、浸潤マクロファージ、白血球、または平滑筋細胞(SMC)自体が細胞由来の成長因子を放出し、その後、内側SMCが増殖し、内弾性板を通過して血管内膜の領域へ遊走する。3〜6か月の期間にわたる内膜SMCの追加の増殖および過形成、ならびに最も顕著には、大量の細胞外基質の生産によって、結果として冠状血流を著しく妨げるのに十分なほど血管の間隙を埋めること、および狭小化することになる。
【0004】
再狭窄を低減または予防するために、ステントにはSMC増殖の阻害剤を拡張血管壁に直接送達するための手段が備わっている。該送達手段には、例えば、ステントの支柱、ステント移植片、移植片、ステントカバーまたはさやを介する手段、ステントまたは移植片に薬剤を固定するためのポリマー(分解性および非分解性の両者)を伴う組成、またはマイクロポアまたはチャネルを含有するように改変されているステントまたは移植片本体の金属内に薬剤を包括することが含まれる。他の送達手段には、溶液化学技術(例えばCarmedaプロセスによって)または固相化学技術(例えばrf−プラズマ重合等の蒸着法)およびその組み合わせによってステントに薬剤を共有結合することが含まれる。いくつかの送達手段の例は米国特許第 6,599,314号(特許文献1)に記載されている。
【0005】
SMC増殖の阻害剤には、シロリムス(sirolimus)(またはラパマイシン、免疫抑制剤)およびパクリタキセル(またはタキソール、抗増殖、抗血管原性剤)が含まれる。バルーン血管傷害の動物モデルにおいて筋内膜(myointimal)肥厚を低減する能力を実証している他の物質は、ヘパリン、アンギオペプチン(angiopeptin)(ソマトスタチンアナログ)、カルシウムチャネルブロッカー、アンギオテンシン変換酵素阻害剤(カプトプリル、シラザプリル)、シクロスポリンA、トラピジル(抗狭心症、抗血小板剤)、テルビナフィン(抗真菌剤)、コルヒチン(抗チューブリン抗増殖剤)、およびc−mycおよびc−mybアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0006】
当技術分野の阻害剤に伴う問題は、治癒の遅延(Farb Aら、Circulation 2001;104:473-479(非特許文献1))およびポリマー関連超過敏反応(Virmani Rら、Circulation 2004;109:r8-r42(非特許文献2))である。この問題により、遅延型で潜在的に致死の血栓症のリスクが増加する(Virmani Rら、Liistro F, Colombo A. Heart 2001;86:262-264(非特許文献3))。
【特許文献1】米国特許第 6,599,314号
【非特許文献1】Farb Aら、Circulation 2001;104:473-479
【非特許文献2】Virmani Rら、Circulation 2004;109:r8-r42
【非特許文献3】Virmani Rら、Liistro F, Colombo A. Heart 2001;86:262-264
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
先行技術を考慮して、ステントによって送達される、狭窄および再狭窄の新規タイプの阻害剤が必要とされている。
【0008】
特に定義しない限り、本明細書中で使用する技術用語および科学用語すべては、当業者が共通に理解する意味と同じ意味を有する。本明細書中で参照される出版物すべては参照によりそこに援用される。本明細書中で参照される米国特許および特許出願すべては、図面を含めて参照により本明細書中に援用される。
【0009】
冠詞「a」および「an」は、本明細書中で、1または2以上、すなわち該冠詞の文法上の対象の少なくとも1つを表すために使用する。一例として、「a stent」とは、1ステントまたは2以上のステントを意味する。
【0010】
本願の全体を通して、用語「約」は、ある値が、該値を決定するために使用する装置または方法の誤差の標準偏差を含むことを示すのに用いる。
【0011】
終末点による数的範囲の列挙には、該範囲内に包含されるすべての整数および、必要に応じて、分数が含まれる(例えば1〜5には、例えばステント数を表す場合、1、2、3、4が含まれ、例えば用量を表す場合には、1.5、2、2.75および3.80がさらに含まれうる)。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、血管におけるSMC増殖の治療に使用するための、腫瘍壊死因子−アルファ(TNF−アルファ)阻害剤を少なくとも1種含む組成物を備えたステントに関する。本発明の組成物の具体的使用について記述する場合、該使用を方法として理解してよい。
【0013】
該組成物を使用して、SMC増殖を治療することができる。このことは、該組成物を使用して狭窄細胞塊または再狭窄細胞塊を治療できることを意味する。該組成物によって該塊は縮小し、または完全に根絶されうる。さらに、狭窄または再狭窄細胞が外科的に除去された領域に該組成物を適用すると、再狭窄を予防して、再成長の可能性を低減できる。該ステントにより長期間にわたるSMC増殖の治療が可能になる。
【0014】
発明者らは、活性なTNF−アルファの生産を減少させるTNF−アルファ多型を有するマウスモデルがSMC増殖のリスクを低下させることを発見した。したがって、TNF−アルファの阻害剤、例えばサリドマイドを狭窄または再狭窄細胞に投与すると、該増殖細胞に対して有効な治療が提供される。これは事実であることが示された。TNF−アルファ阻害剤を使用すると、細胞周期の早期にSMC増殖が低減または停止し、良好な治癒応答および他の細胞を死滅させる攻撃性の低い治療につながる。TNF−アルファの阻害により、細胞周期のG1期での細胞の成長停止が誘発されるため細胞分裂抑制が生じる。さらにまた、TNF−アルファの阻害は、炎症性サイトカインの放出を減少させ、かつ細胞接着分子の発現を低減する。これらのプロセスは再狭窄の予防に役立つ。
【0015】
本明細書中で使用する用語「管」とは、医療用ステントを設置するために好適な、被験体の任意の壁つきの空洞を表す。該管は医学的症状、例えば狭窄またはアテローム性動脈硬化症によって狭小化される可能性がある。管の例には、動脈および静脈が含まれるが、これらに限定されない。
【0016】
本発明の「被験体」は、ステントによる治療の影響を受けやすい任意の生体であってよい。その例には、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ウサギ、およびヤギ等が含まれるが、これらに限定されない。
【0017】
ステントが組成物を備えている場合、それは、該組成物がステント表面またはステント内に配置されていて、該ステントが該管に接触すると該組成物が放出されうることを意味する。ステントを組成物でコーティングするか、あるいはステントに組成物をしみ込ませるか、あるいは、組成物が存在する空洞をステントが含んでもよい。ステントの種々の実施態様を以下に記載する。
【0018】
本明細書中で使用する組成物は、少なくともTNF−アルファ阻害剤を含んでもよい。本発明の好ましい様式では、ステントに取り付けるTNF−アルファ阻害剤、すなわちサリドマイドを備えている。
【0019】
本発明の組成物は、追加物質、例えば、阻害剤の溶解および/またはステントに対する阻害剤の取り付けを促進する物質、in situで制御下にて阻害剤を放出する物質、およびin situでステントの機能または性能を支援する物質を含んでもよい。該追加物質は当業者に周知である。
【0020】
ステント
本発明のステントは、本発明の組成物を備えることができる任意のステントであってよい。ステントは当技術分野において広範囲に報告されている。例えば、ステントは、穴があいていて、スロット、卵形、円形、規則的、不規則的などの形状の通路を有するシリンダーであってよい。ステントは、らせん状に巻いているか、または蛇行しているワイヤー構造から構成されていてもよい。その場合、ワイヤー間のスペースが通路を形成する。ステントは平らで穴があいている構造であってもよく、該構造は、その後、ロールされて管状構造または円柱状構造を形成し、該構造は編み込まれ、包まれ、穿孔され、エッチングされ、またはカットされて通路を形成する。ステントは移植片と組み合わせて複合医療装置を形成してもよい。該装置はステント移植片と称されることが多い。ステントは、本明細書中に記載の組成物でコーティング可能であるべきであろう。
【0021】
ステントは、生体安定性材料および生体吸収性材料が含む生体適合性材料からなっていてよい。好適な生体適合性金属には、ステンレス鋼、タンタル、チタン合金(ニチノールを含む)、およびコバルト合金(コバルト−クロム−ニッケル合金を含む)が含まれるが、これらに限定されない。ステントは、生体適合性および生体吸収性材料、例えばマグネシウムベースの合金からなっていてよい。生体吸収性ステントは、治療部位に挿入して、その場所に残してよい。ステントの構造は治療対象の管壁内に組み込まれないが、やがて分解される。ステントが生体安定性(非吸収性)材料からなる場合、治療期間中にステントを挿入し、後に除去してよい。
【0022】
好適な非金属の生体適合性材料には、以下が含まれるが、これらに限定されない:ポリアミド、ポリオレフィン(すなわちポリプロピレン、ポリエチレン等)、非吸収性ポリエステル(すなわちポリエチレンテレフタラート)、および生体吸収性脂肪族ポリエステル(すなわち乳酸、グリコール酸、ラクチド、グリコリド、パラ−ジオキサノン、トリメチレンカルボナート、イプシロン−カプロラクトン、等のホモポリマーおよびコポリマー、ならびにその混合物)、ラクチドカプロノラクトン(lactide capronolactone)、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L−ラクチド)(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(L−ラクチド−co−D,L−ラクチド)(PLLA/PLA)、ポリ(L−ラクチド−co−グリコリド)(PLLA/PGA)、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)(PLA/PGA)、ポリ(グリコリド−co−トリメチレンカルボナート)(PGA/PTMC)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシルブチラート(PHBT)、ポリ(ホスファゼン)、ポリD,L−ラクチド−co−カプロラクトン)(PLA/PCL)、ポリ(グリコリド−co−カプロラクトン)(PGA/PCL)、ポリアンヒドリド(PAN)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(リン酸エステル)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(ヒドロキシブチラート)、ポリアクリラート、ポリアクリルアミド、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリラート)、エラスチンポリペプチドコポリマー、ポリウレタン、デンプン、ポリシロキサンおよびそれらのコポリマー。
【0023】
本発明のステントは、当技術分野において周知の、TNF−アルファ阻害剤の送達に好適な任意のタイプのステントでありうる。そのように、これらのステントは、バルーン拡張性、自己拡張性で、物質を含有するためにステントのフレームワーク内にエッチングされた空洞を備えることができ、物質を含有するための手段を備えたステント、生体吸収性ステントでありうる。ステントは異なる種類のワイヤー、例えば活性化合物を含有し、ステント(バルーン拡張性または自己拡張性ステント)の金属支柱と織り合わされているポリマー性生分解性ワイヤー、からなっていてよい。
【0024】
自己拡張性ステントは特殊合金などのフレキシブル金属、ニテノール(nitenol)、フィノックス(phynox)から編まれていてよい。ニテノールからなる自己拡張性ステントはレーザーでカットしてよい。自己拡張性ステントを構成する1つ以上のフィラメントは、抗エネルギー化合物(anti-energetic compound)を溶出するポリマーまたはチューブからなりうる。
【0025】
ステントの変形物およびポリマーは以下でさらに詳細に記載する。
【0026】
ステントの例には、以下の文献に記載のステントが含まれるが、それらに限定されない:米国特許第 4,733,665号, 米国特許第 4,800,882号, 米国特許第 4,886,062号, 米国特許第 5,514,154号, 米国特許第 6,398,806号, 欧州特許第 1 140 242号, 米国特許第 6,248,129号, 欧州特許第 1 217 969号, 欧州特許第 1 359 868号, 欧州特許第 1 349 517号, 欧州特許第 1 347 717号, 欧州特許第 1 318 765号, 欧州特許第 1 296 615号, 欧州特許第 1 229 864号, 欧州特許第 1 194 081号, 欧州特許第 1 191 904号, 欧州特許第 1 139 914号, 欧州特許第 1 087 701号, 欧州特許第 1 079 768号, 欧州特許第 1 018 985号, 欧州特許第 0 749 729号, 欧州特許第 0 556 850号, 欧州特許第 1 328 212号, 欧州特許第 1 322 256号, 欧州特許第 0 740 558号, 欧州特許第 1 251 800号, 欧州特許第 1 251 799号, 欧州特許第 1 235 856号, 欧州特許第 1 227 772号, 欧州特許第 1 123 065号, 欧州特許第 1 112 040号, 欧州特許第 1 094 764号, 欧州特許第 1 076 534号, 欧州特許第 1 065 993号, 欧州特許第 1 059 896号, 欧州特許第 1 059 894号, 欧州特許第 1 049 421号, 欧州特許第 1 027 012号, 欧州特許第 1 001 718号, 欧州特許第 0 986 416号, 欧州特許第 0 859 644号, 欧州特許第 0 740 558号, 欧州特許第 0 664 689号, 欧州特許第 0 556 850号, 欧州特許第 1 372 535号, 米国特許第 6,669,723, 米国特許第 6,663,660号, 欧州特許第 1 065 996号, 米国特許第 6,652,577号, 米国特許第 6,652,575号, 欧州特許第 1 360 943号, 米国特許第 6,620,202号, 米国特許第 6,610,087号, 米国特許第 6,602,283号, 米国特許第 6,592,617号, 米国特許第 6,585,758号, 米国特許第 6,585,753号, 欧州特許第 1 318 771号, 欧州特許第 1 318 768号, 米国特許第 6,579,308号, 米国特許第 2003/0109931号, 欧州特許第 1 163 889号, 欧州特許第 0 790 811号, 米国特許第 6,551,351号, 米国特許第 6,540,777号, 米国特許第 6,533,810号, 米国特許第 6,530,950号, 米国特許第 6,527,802号, 米国特許第 6,524,334号, 米国特許第 6,506,211号, 米国特許第 6,488,703号, 米国特許第 6,485,590号, 米国特許第 6,478,816号, 米国特許第 6,478,815号, 米国特許第 6,475,233号, 欧州特許第 1 251 891号, 米国特許第 6,471,720号, 米国特許第 6,428,569号, 欧州特許第 1 223 873号, 欧州特許第 0 758 216号, 米国特許第 6,416,543号, 米国特許第 6,641,538号, 欧州特許第 1 217 101号, 米国特許第 6,409,754号, 米国特許第 6,409,753号, 米国特許第 2002/0077592号, 欧州特許第 0 754 017号, 米国特許第 6,398,807号, 欧州特許第 1 207 815号, 欧州特許第 0 775 471号, 米国特許第 6,395,020号, IS 6,391,052号, 米国特許第 6,387,122号, 米国特許第 6,379,379号, 米国特許第 6,355,070号, 米国特許第 6,348,065号, 欧州特許第 1 173 110号, 米国特許第 6,334,870号, 欧州特許第 1 163 889号, IS 6,325,822号, 米国特許第 6,319,277号, 欧州特許第 1 144 042号, 欧州特許第 0 622 059号, 米国特許第 6,261,319号, 欧州特許第 1 112 039号, 米国特許第 6,251,134号, 米国特許第 6,240,978号, 米国特許第 6,217,607号, 米国特許第 6,193,744号, 米国特許第 6,174,328号, 欧州特許第 1 065 996号, 米国特許第 6,168,621号, 米国特許第 6,168,619号, 米国特許第 6,159,238号, 米国特許第 6,159,237号, 米国特許第 6,146,416号, 米国特許第 6,143,002, 欧州特許第 0 986 416号, 欧州特許第 1 032 329号, 欧州特許第 1 019 107号, 欧州特許第 1 011 529号, 欧州特許第 1 011 528号, 米国特許第 6,071,308号, 欧州特許第 0 859 644号, 米国特許第 6,059,810号, 米国特許第 6,042,597号, 米国特許第 6,033,433号, 欧州特許第 0 979 059号, 米国特許第 6,022,371号, 米国特許第 5,993,483号, 米国特許第 6,957,974号, 米国特許第 5,594,744号, 国際公開 第99/44535号, 欧州特許第 0 934 034号, 欧州特許第 0 934 033号, 米国特許第 5,922,019号, 国際公開 第99/16388号, 欧州特許第 0 858 298号, 米国特許第 5,891,191号, 米国特許第 5,888,201号, 米国特許第 5,876,448号, 米国特許第 5,876,445号, 米国特許第 5,868,781号, 米国特許第 5,855,600号, 国際公開第 98/55174号, 欧州特許第 0 746 375号, 米国特許第 5,824,045号, 米国特許第 5,800,511号, 欧州特許第 0 836 839号, 欧州特許第 0 767 685号, 米国特許第 5,683,488号, 欧州特許第 1 212 987号, 欧州特許第 1 212 987号, 欧州特許第 1 151 730号, 欧州特許第 1 151 730号, 欧州特許第 0 722 701号, 欧州特許第 1 236 447号, 欧州特許第 1 293 178号, 欧州特許第 1 236 449号, 欧州特許第 1 190 685号, 欧州特許第 1 138 280号, 欧州特許第 1 346 706号, 欧州特許第 1 330 993号, 欧州特許第 1 258 231号, 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6,270,521号, 欧州特許第 1 031 329号, 欧州特許第 0 928 605号, 欧州特許第 0 928 605号, 欧州特許第 0 904 009号, 欧州特許第 0 903 123号, 欧州特許第 0 879 027号, 米国特許第 5,840,009号, 欧州特許第 0 839 506号, 米国特許第 5,741,324号, 欧州特許第 0 823 245号, 欧州特許第 0 698 380号, 欧州特許第 0 606 165号, 米国特許第 6,626,938号, 米国特許第 6,613,075号, 米国特許第 6,565,600号, 米国特許第 6,562,067号, 米国特許第 6,547,817号, 米国特許第 6,540,775号, 米国特許第 6,520,985号, 米国特許第 6,494,908号, 米国特許第 6,482,227号, 米国特許第 6,423,091号, 米国特許第 6,342,067号, 米国特許第 6,325,825号, 米国特許第 6,315,708号, 米国特許第 6,267,783号, 米国特許第 6,267,777号, 米国特許第 6,264,687号, 米国特許第 6,258,116号, 米国特許第 6,238,409号, 米国特許第 6,214,036号, 米国特許第 6,190,406号, 米国特許第 6,176,872号, 米国特許第 6,162,243号, 米国特許第 6,129,755号, 米国特許第 6,053,873号, 欧州特許第 0 904 009号, 米国特許第 6,019,778号, 欧州特許第 0 974 315号, 米国特許第 6,017,363号, 欧州特許第 0 951 877号, 欧州特許第 0 970 711号, 欧州特許第 0 785 807号, 米国特許第 6,013,019号, 欧州特許第 0 947 180号, 米国特許第 5,997,570号, 米国特許第 5,980,553号, 欧州特許第 0 951 877号, 米国特許第 5,938,682号, 米国特許第 5,895,406号, 米国特許第 5,891,108号, 米国特許第 5,882,335号, 米国特許第 5,792,172号, 米国特許第 5,782,906号, 欧州特許第 0 810 845号, 米国特許第 5,695,516号, 米国特許第 5,674,241号, 米国特許第 5,609,605号, 米国特許第 5,607,442号, 米国特許第 5,599,291号, 米国特許第 5,135,536号, 米国特許第 5,116,365号, 欧州特許第 0 378 151号, 米国特許第 4,994,071号, 欧州特許第 0 378 151号, 米国特許第 4,856,516号。本出願中で参照されるすべての文献の開示内容は参照により本明細書中に援用される。
【0027】
ポリマー
本発明のある態様では、ポリマーを含む組成物でステントを少なくとも部分的にコーティングすることで、ステントはTNF−アルファの阻害剤を少なくとも1種備えている。本発明のポリマーは、ステント(すなわちステントおよび/またはメンブレン)に対する阻害剤(群)の取り付けを容易にし、および/または該阻害剤の制御放出を促進する任意のポリマーである。
【0028】
本発明での使用に好適なポリマーは、ステントに取り付け可能で、かつ阻害剤を放出可能な任意のポリマーである。それらは管壁に対する刺激を最小にするために生体適合性でなければならない。ポリマーは、例えば、吸収性または非吸収性のフィルム形成ポリマーであってよい。該ポリマーは、所望の放出速度または所望のポリマー安定度に応じて、生体安定性または生体吸収性であってよい。
【0029】
使用することができる好適な生体吸収性ポリマーには、以下からなる群から選択されるポリマーが含まれる:脂肪族ポリエステル、ポリ(アミノ酸)、コポリ(エーテル−エステル)、ポリアルキレンオキサラート、ポリアミド、ポリ(イミノカルボナート)、ポリアンヒドリド、ポリオルトエステル、ポリオキサエステル、ポリアミドエステル、ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシブチラートバレラート、アミド基含有ポリオキサエステル、ポリ(アンヒドリド)、ポリホスファゼン、シリコーン、ヒドロゲル、生体分子およびその混合物。
【0030】
本発明の目的では、脂肪族ポリエステルには、ラクチド(乳酸D−、L−およびメソラクチドを含む)、イプシロン−カプロラクトン、グリコリド(グリコール酸を含む)、ヒドロキシブチラート、ヒドロキシバレラート、パラ−ジオキサノン、トリメチレンカルボナート(およびそのアルキル誘導体)、1,4−ジオキセパン−2−オン、1,5−ジオキセパン−2−オン、6,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2−オンのホモポリマーおよびコポリマー、ならびにそのポリマー混合物が含まれる。本発明のためのポリ(イミノカルボナート)には、KemnitzerおよびKohn, the Handbook of Biodegradable Polymers, edited by Domb, Kost and Wisemen, Hardwood Academic Press, 1997, pages 251-272に報告されているものが含まれる。本発明のためのコポリ(エーテル−エステル)には、CohnおよびYounes, Journal of Biomaterials Research, Vol. 22, pages 993-1009, 1988およびCohn, Polymer Preprints (ACS Division of Polymer Chemistry) Vol. 30(1), page 498, 1989に記載のコポリエステル−エーテル(例えばPEO/PLA)が含まれる。本発明のためのシュウ酸ポリアルキレンには、特許第4,208,511号;第4,141,087号;第4,130,639号;第4,140,678号;第4,105,034号;および第4,205,399号(参照により本明細書中に援用される)が含まれる。
【0031】
L−ラクチド、D,L−ラクチド、乳酸、グリコリド、グリコール酸、パラ−ジオキサノン、トリメチレンカルボナートおよびイプシロン−カプロラクトンからなるポリホスファゼン、co−、ter−およびさらに高次の混合モノマーベースのポリマーは、例えばAllcock, The Encyclopedia of Polymer Science, Vol. 13, pages 31-41, Wiley Intersciences, John Wiley & Sons, 1988およびVandorpe, Schacht, DejardinおよびLemmouchi, Handbook of Biodegradable Polymers, edited by Domb, Kost and Wisemen, Hardwood Academic Press, 1997, pages 161-182(ここに参照により本明細書中に援用される)に記載のものである。
【0032】
HOOC−C−O−(CH)m−O−C−COOH形式(式中、mは1〜11、3〜9、3〜7、2〜6または好ましくは2〜8の範囲の整数である)の二価酸由来のポリアンヒドリドおよび8、9、10、11または好ましくは12炭素までの脂肪族アルファ−オメガ二価酸とのそのコポリマー。ポリオキサエステル ポリオキサアミドならびにアミンおよび/またはアミド基含有ポリオキサエステルは、1以上の下記米国特許第5,464,929号;第5,595,751号;第5,597,579号;第5,607,687号;第5,618,552号;第5,620,698号;第5,645,850号;第5,648,088号;第5,698,213号および第5,700,583号;(参照により本明細書中に援用される)に記載されている。ポリオルトエステルは、例えばHeller, Handbook of Biodegradable Polymers, edited by Domb, Kost and Wisemen, Hardwood Academic Press, 1997, pages 99-118(参照により本明細書中に援用される)に記載のものである。
【0033】
本発明のための他のポリマー性生体分子には、ヒト体内で酵素によって分解されるか、またはヒト体内で加水分解に不安定である天然に存在する材料、例えばフィブリン、フィブリノゲン、コラーゲン、ゼラチン、グリコサミノグリカン、エラスチン、および吸収性生体適合性多糖類、例えばキトサン、デンプン、脂肪酸(およびそのエステル)、グルコソ−グリカンおよびヒアルロン酸が含まれる。
【0034】
比較的低い慢性組織応答を伴う好適な生体安定性ポリマー、例えばポリウレタン、シリコーン、ポリ(メタ)アクリレーツ、ポリエステル、ポリアルキルオキシド(ポリエチレンオキシド)、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールおよびポリビニルピロリドン、ならびにヒドロゲル、例えば架橋型ポリビニルピロリジノンから形成されたものおよびポリエステルを使用することもできる。溶解でき、ステント上で硬化またはポリマー化できれば、他のポリマーを使用することもできる。これらには、ポリオレフィン、ポリイソブチレンおよびエチレン−アルファオレフィンコポリマー;アクリル酸ポリマー(メタクリラートを含む)およびコポリマー、ビニルハライドポリマーおよびコポリマー、例えばポリ塩化ビニル;ポリビニルエーテル、例えばポリビニルメチルエーテル;ポリビニリデンハライド、例えばポリビニリデンフルオライドおよびポリビニリデンクロライド;ポリアクリロニトリル、ポリビニルケトン;ポリビニル芳香族化合物、例えばポリスチレン;ポリビニルエステル、例えばポリ酢酸ビニル;ビニルモノマーの相互およびオレフィンとのコポリマー、例えばエチレン−メタクリル酸メチルコポリマー、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、ABS樹脂およびエチレン−酢酸ビニルコポリマー;ポリアミド、例えばナイロン66およびポリカプロラクタム;アルキド樹脂;ポリカルボナート;ポリオキシメチレン;ポリイミド;ポリエーテル;エポキシ樹脂、ポリウレタン;レーヨン;レーヨン−トリアセタート、セルロース、酢酸セルロース、酢酸セルロースブチラート;セロハン;硝酸セルロース;プロピオン酸セルロース;セルロースエーテル(すなわちカルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシアルキルセルロース);およびその組み合わせが含まれる。本出願のためのポリアミドには、−NH−(CH)n−CO−およびNH−(CH)x−NH−CO−(CH)y−CO形式のポリアミドも含まれ、式中:
nは5〜15、7〜11、8〜10または好ましくは6〜13の整数であり;
xは5〜14、7〜11、8〜10または好ましくは6〜12の範囲の整数であり;および
yは3〜18、5〜14、6〜10または好ましくは4〜16の範囲の整数である。上に挙げたリストは実例であり、限定的ではない。
【0035】
本発明での使用に好適な他のポリマーは生体吸収性エラストマー、より好ましくは脂肪族ポリエステルエラストマーである。適正な割合では、脂肪族ポリエステルコポリマーはエラストマーである。エラストマーは、金属ステントに良好に付着する傾向があり、かなりの変形に対して、割れずに、よく耐えることができるという利点を与える。高い伸長性および良好な付着性は、コーティング済みステントを拡張した時に、他のポリマーコーティングより優れた性能を提供する。好適な生体吸収性エラストマーの例は、米国特許第5,468,253号(参照によりここに援用される)に記載されている。好ましくは、脂肪族ポリエステルベースの生体吸収性生体適合性エラストマーには、非限定的に、イプシロン−カプロラクトンおよびグリコリドのエラストマーコポリマー(好ましくは約35:65〜約65:35、より好ましくは45:55〜35:65のイプシロン−カプロラクトン:グリコリドのモル比を有する)、E−カプロラクトンおよびラクチド、例えばL−ラクチド、D−ラクチドその混合物または乳酸コポリマーのエラストマーコポリマー(好ましくは約35:65〜約90:10、より好ましくは約35:65〜約65:35、最も好ましくは約45:55〜30:70または約90:10〜約80:20のイプシロン−カプロラクトン:ラクチドのモル比を有する)、p−ジオキサノン(1,4−ジオキサン−2−オン)およびラクチド、例えばL−ラクチド、D−ラクチドおよび乳酸のエラストマーコポリマー(好ましくは約30:70〜約70:30、45:55〜約55:45、および好ましくは約40:60〜約60:40のp−ジオキサノン:ラクチドのモル比を有する)、イプシロン−カプロラクトンおよびp−ジオキサノンのエラストマーコポリマー(好ましくは約40:60〜約60:40および好ましくは約30:70〜約70:30のイプシロン−カプロラクトン:p−ジオキサノンのモル比を有する)、p−ジオキサノンおよびトリメチレンカルボナートのエラストマーコポリマー(好ましくは約40:60〜約60:40、好ましくは約30:70〜約70:30のp−ジオキサノン:トリメチレンカルボナートのモル比を有する)、トリメチレンカルボナートおよびグリコリドのエラストマーコポリマー(好ましくは約40:60〜約60:40、好ましくは約30:70〜約70:30のトリメチレンカルボナート:グリコリドのモル比を有する)、トリメチレンカルボナートおよびラクチド、例えばL−ラクチド、D−ラクチド、その混合物または乳酸コポリマーのエラストマーコポリマー(好ましくは約30:70〜約70:30のトリメチレンカルボナート:ラクチドのモル比を有する)およびその混合物からなる群から選択されるものが含まれる。当技術分野において周知であるように、これらの脂肪族ポリエステルコポリマーは種々の加水分解速度を有し、したがって、エラストマーの選択は、部分的に、コーティング吸着に関する要求に基づく。例えばイプシロン−カプロラクトン−co−グリコリドコポリマー(それぞれ45:55モルパーセント)フィルムは2週後に人工生理バッファー中でその初期強度の90%を失い、一方、イプシロン−カプロラクトン−co−ラクチドコポリマー(それぞれ40:60モルパーセント)は12〜16週の範囲で、同バッファー中でその強度のすべてを失う。速く加水分解するポリマーおよびゆっくり加水分解するポリマーの混合物を使用して、強度保持の期間を調節することができる。
【0036】
コーティングの量は、コーティング後のステントの総重量のパーセントとして約0.5〜約20の範囲におよび、好ましくは、約1〜約15パーセントの範囲におよぶ。ポリマーコーティングは、塗布したポリマーの量に応じて、1以上のコーティング段階で塗布してよい。ステントコーティング中の異なる層に関して、異なるポリマーを使用してもよい。実際、阻害剤を含有してよいコーティング層の後の付着を促進するための下塗りとして、希釈した第一コーティング液を使用することが選択肢にあってよい。
【0037】
さらに、阻害性医薬品の放出をさらに遅延させるために上塗りを施すことができ、または異なる医薬活性材料の送達のための基質としてそれらを使用することができる。ステント上の上塗りの量は変動するが、概して、約2000マイクログラム未満であり、好ましくは上塗りの量は約マイクログラム〜約1700マイクログラムの範囲であり、最も好ましくは約300マイクログラム〜約1000マイクログラムの範囲である。速く加水分解するコポリマーおよびゆっくり加水分解するコポリマーのコーティングのレイヤーを使用して、薬剤の放出を段階的にするか、または異なる層中に置かれた異なる物質の放出を制御することができる。ポリマー混合物を使用して、異なる物質の放出速度を制御するか、またはコーティング(すなわち弾性、靭性等)および薬剤送達特性(放出プロファイル)の望ましいバランスを提供してもよい。溶媒中の溶解度が異なるポリマーを使用して、種々の薬剤を送達するか、または薬剤の放出プロファイルを制御するために使用してよい種々のポリマー層を構築することができる。例えば、イプシロン−カプロラクトン−co−ラクチドエラストマーは酢酸エチルに可溶性であり、イプシロン−カプロラクトン−co−グリコリドエラストマーは酢酸エチルに不溶性であるからである。薬剤を含有するイプシロン−カプロラクトン−co−グリコリドエラストマーからなる第一の層は、溶媒である酢酸エチルでできているコーティング液を使用して、イプシロン−カプロラクトン−co−グリコリドエラストマーで上塗りすることができる。さらに、コポリマー内のモノマー比、ポリマー構造または分子量が異なれば、溶解度が異なる。例えば、45/55イプシロン−カプロラクトン−co−グリコリドは、室温でアセトンに可溶性であり、一方、同様の分子量の、35/65イプシロン−カプロラクトン−co−グリコリドのコポリマーは4重量パーセント溶液以内で実質的に不溶性である。第二のコーティング(または複数の追加のコーティング)を上塗りとして使用して、第一層中に含有される薬剤の薬剤送達を遅延させることができる。あるいは、第二層は、連続的な阻害剤送達を提供するために、異なる阻害剤を含有することができる。異なる阻害剤からなる多層は、第一のあるポリマー、そして他のポリマーの層を交互にすることによって提供することができる。当業者に容易に理解されるように、多数のレイヤーアプローチを使用して所望の薬剤送達を提供することができる。
【0038】
コーティングは当業者に周知の好適な方法論、例えばディップコーティング、スプレーコーティング、静電コーティング、ステント上へのパワード型(powered form)の溶解によって施すことができる。心臓インターベンション専門医によるインターベンション時に裸のステント上にコーティングを施してもよい。いくつかのポリマー(例えばポリオルトエステル)は特殊な保存条件(アルゴン雰囲気および低温)を必要とするため、コーティングを伴う薬剤を特殊な包装で送達してよい。医師(MD)は裸のステント表面にコーティングを施す。それはわずかに粘着性であるため、取り付け済みのステントを患者の管または腔内に導入する直前に行う。
【0039】
ポリマーコーティング、およびコーティング法の他の例は、特許文献欧州特許第 1 107 707号、国際公開第 97/10011号、米国特許第 6,656,156号、欧州特許第 0 822 788号、米国特許第 6,364,903号、米国特許第 6,231,600号、米国特許第 5,837,313号、国際公開第 96/32907号、欧州特許第 0 832,655号、米国特許第 6,653,426号、米国特許第 6,569,195号、欧州特許第 0 822 788 B1号、国際公開第 00/32238号、米国特許第 6,258,121号、欧州特許第 0 832,665号、国際公開第 01/37892号、米国特許第 6,585,764号、米国特許第 6,153,252号(参照により本明細書中に援用される)に記載されている。
【0040】
非ポリマー性コーティング
本発明の別の態様は、ポリマーの存在が任意であって、本発明の組成物でコーティングされたステントである。ポリマーおよび非ポリマー性コーティングおよび組成物に好適な該ステントは当技術分野において周知である。これらのステントは、例えば、粗面、微細な穴を有してよく、または多孔性材料から構築されていてよい。その例には、米国特許第 6,387,121号、米国特許第 5,972,027号、米国特許第 6,273,913号および米国特許第 6,099,561号の開示内容が含まれるが、これらに限定されない。これらの文献は参照により本明細書中に援用される。
【0041】
ステント移植片
ステントは移植片と組み合わせられて複合医療装置を形成してもよい。該装置はステント移植片と称されることが多い。該複合医療装置は、弱くなった血管部を通る血流に対しさらなるサポートを行う。移植片部品は任意の好適な材料、例えば、織物、例えばナイロン、オーロン(Orlon)、ダクロン(Dacron)、またはテフロン(登録商標)織物、および不織物(nontextiles)、例えば発泡ポリテトラフルオロエチレン(EPTFE)から形成されていてよい。
【0042】
本発明のステント移植片は、コーティングするか、または本発明のTNF−アルファ阻害剤を放出するように別の方法で構築してよい。ステント移植片は、(a)本発明の組成物をステント移植片に直接取り付けることによって(例えば、ステント移植片にポリマー/阻害剤フィルムをスプレーすることによって、またはインプラントまたは装置をポリマー溶液/薬液中に浸すことによって、または他の共有結合または非共有結合性手段によって);(b)後に本発明の組成物を吸収するヒドロゲル等の物質でステント移植片をコーティングすることによって;(c)組成物でコーティングされた糸をステント移植片内に編み込むことによって(例えば阻害剤を放出するポリマーを糸型に成形してインプラントまたは装置内に入れる);(d)本発明の組成物から構成されるか、または本発明の組成物でコーティングされたスリーブまたはメッシュを挿入することによって;(e)ステント移植片自体を本発明の組成物で構築することによって;または(f)別の方法でステント移植片に本発明の組成物をしみ込ませることによって、該阻害剤を放出するように構築してよい。
ステント移植片は生分解性であってよく、マグネシウム合金およびデンプンからなっていてよいが、これらに限定されない。
【0043】
ステント移植片コーティングの例および方法は、特許文献国際公開第 00/40278号、および国際公開第 00/56247号に記載されている。これらの文献は参照により本明細書中に援用される。
【0044】
ステント空洞
本発明のある態様では、ステントには本発明の組成物が備わっており、組成物はステント中に形成された空洞中に存在する。生物活性材料の送達に好適な空洞が存在するステントは、例えば国際公開第02/060351号、 米国特許第 6,071,305号、米国特許第 5,891,108号から、当技術分野において周知である。これらの文献は参照により本明細書中に援用される。
【0045】
生分解性ステント
本発明の別の態様は、本発明の組成物がしみ込んだ生分解性(生体吸収性)ステントである。該組成物は、ステント上にコーティングするか、またはステント構造内にしみ込ませてよく、該組成物はin situで該ステントの生分解に付随して放出される。ステントの本体に好適な材料には、以下が含まれるが、これらに限定されない:ポリ(アルファ−ヒドロキシ酸)、例えばポリ−L−ラクチド(PLLA)、ポリ−D−ラクチド(PDLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、ポリグルコナート、ポリ乳酸−ポリエチレンオキシドコポリマー、修飾セルロース、コラーゲンまたは他の結合性タンパク質または天然材料、ポリ(ヒドロキシブチラート)、ポリアンヒドリド、ポリホスホエステル、ポリ(アミノ酸)、hylauric acid、デンプン、キトサン、接着タンパク質、前記物質のコポリマーならびにその複合材料および組み合わせならびに他の生分解性ポリマーの組み合わせ。生分解性ガラスまたは生物活性ガラスもまた、本発明での使用に好適な生分解性材料である。本発明の組成物は、周知の方法を使用して生分解性ステント中に組み入れてよい。当技術分野において周知の生分解性ステントの例には、米国特許第 2002/0099434号、米国特許第 6,387,124 B1号、米国特許第 5,769,883号、欧州特許第 0 894 505 A2号、米国特許第 653,312号、米国特許第 6,423,092号、米国特許第 6,338,739号および米国特許第 6,245,103号、欧州特許第 1 110 561号で開示されているものが含まれるが、これらに限定されない。これらの文献は参照により本明細書中に援用される。生分解性ステントは、金属(ランタニド、例えば非限定的にマグネシウムまたはマグネシウム合金)、または有機および非有機材料の結合物(例えば、非限定的にデンプンと組み合わされたマグネシウムベースの合金)からなっていてもよい。
【0046】
医療治療
上述のように、SMC増殖、例えば狭窄、再狭窄およびその予防は、本発明のステントによる治療の影響を受けやすい。ステントを、増殖中のSMC上に、またはそれに隣接して、例えば動脈等の管に配置してよい。
【0047】
増殖中のSMCの除去後にステントをin situで配置してもよい。例えば、動脈の狭窄を外科的に除去した後に、外科手術後に残っている可能性がある増殖細胞を縮小させるために動脈縫合の領域にステントを配置してよい。
【0048】
阻害剤を徐放剤と組み合わせて、該阻害剤が数日〜数週の期間にわたって機能し、そしてステントの取り替えを回避できるようにしてよい。生分解性ステントを使用する場合、治療後にステントを除去する必要がない。
【0049】
本発明は、治療を必要とするヒト、家畜類、家畜動物、野生動物、または任意の動物を含み、必要がある任意の動物の治療に有用である。動物の例は、ヒト、ウマ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、スナネズミ、ウシ種、ブタ、家禽、ラクダ種、ヤギ、ヒツジ、ウサギ、ノウサギ、トリ、ゾウ、サル、チンパンジー等である。動物は哺乳類であってよい。
【0050】
TNF−アルファ阻害剤
本発明のTNF−アルファ阻害剤は、TNFアルファを少なくとも部分的に不活性化する任意の阻害剤であってよく、すなわちそれら阻害剤はTNF−アルファが天然の標的(例えばTNF−アルファ受容体)と結合することを妨げる。それら阻害剤にはまた、TNFアルファの生合成を少なくとも部分的に不活性化する阻害剤が含まれる。
【0051】
TNF−アルファの阻害剤は当業者に周知の任意のものである。TNF−アルファ阻害剤の例には、アルファ−(N−フタルイミド)グルタルイミドとしても知られるサリドマイドまたは2−(2,6−ジオキソ−3−ピペリジニル)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン)が含まれる。好ましくは、サリドマイドはサリドマイドのR(+)エナンチオマーである。TNF−アルファの他の阻害剤には、ペントキシフィリン、RWJ67657、EtOH(アルコール)、Tyrphostin AG-556、AG126、AG128、s−アデノシルメチオニン、5'−メチルチオアデノシン、インリキシマブ(inliximab)(レミケード)、tgAAC94、エンタネルセプト(entanercept)(エンブレル)、D2E7(フミラ)、MP阻害剤GI5402、TMI-1、SCIO-469、VX-745、BIRB 796、BB-2275、キャッツクロー(Uncaria tomentosa)、SteiHap69、TACE阻害剤、ISIS25302、ロフルミラスト、AS2868、AS2920、SPC-839、PEG-TNFRI、CDP-870、オネルセプト(onercept)、TIMP-3、DPC333、MMP阻害剤、ボルテゾミブ(ベルケイド)、オキサスピロジオン、Shi-Bi-Lin、JM34、ルテオリン、セイヨウイラクサ(urtica dioica)、緑茶ポリフェノール、テニダップ(tenidap)、レフルニミド(leflunimide)(アラバ)、クルクミノイド、デキサメタゾン、ビタミンD3、プロスタグランジンE2、シクロスポリンAが含まれる。TNF−アルファ阻害剤には、天然のTNF−アルファ阻害剤の誘導体または塩が含まれる。
【0052】
TNF−アルファの阻害剤はTNF−アルファに対する抗体に基づいてよい。例えば、マウスをTNF−アルファの全体または断片に対して免疫化し、免疫グロブリンライブラリーを作成してよい。該ライブラリーは、TNA−アルファに対する好適な結合物、およびTNA−アルファ/TNF−アルファ受容体相互作用の好適な阻害剤をスクリーニングするためのアッセイで使用することができる。抗体が被験体に適合するように改変することができる。例えばマウス抗体をヒト化してよい。抗体を産生し、スクリーニングし、およびヒト化する該方法は当技術分野において周知である。抗体ベースのTNF−アルファ阻害剤の例には、インフリキシマブ(レミケード(登録商標))、エタネルセプト(エンブレル(登録商標))およびアダリムマブ(フミラ(登録商標))が含まれる。
【0053】
上述のように、TNF−アルファの阻害剤は、サリドマイド(I)または、サリドマイド構造に基づくその誘導体、例えばモノサリドマイド、ジチオサリドマイド、およびトリチオサリドマイドであってよい。
【化1】

【0054】
TNF−アルファの阻害剤はサリドマイド類似体であってもよい。概してサリドマイド類似体は2つの別の種類の分子を含む。第一の種類の化合物はIMiD(免疫調節性イミド薬剤)であり、それはPDE4−阻害剤からなる。第二の種類はSelCiD(選択的サイトカイン阻害性薬剤)と称される。IMiDはサリドマイドと機構的に類似していると考えられる。両群の化合物は強力なTNF−アルファ阻害剤である(J. Blake Marriottら、Cancer Research 2003; 63:593-599, 4. Laura G Corral, Gilla Kaplan. Ann Rheum Dis 1999; 1107-1113)。IMiDの例には、式(II)、(III)、(IV)の化合物およびその誘導体が含まれる。SelCiDの例には、式(V)、(VI)、(VII)の化合物およびその誘導体が含まれる。両方の種類のサリドマイド類似体とも本発明の範囲内である。
【化2】

【0055】
TNF−アルファの阻害剤は、そのTNF−アルファに対する結合、TNF−アルファ/TNF−アルファ受容体相互作用の阻害、またはTNF−アルファ生合成の阻害を検査することによって、本発明で使用するためスクリーニングすることができる。例えばマイクロアレイテクノロジーを使用することによって、結合実験を実施することができる。該テクノロジーでは、マイクロアレイ(例えばスライドグラス)に多数の位置の個別の阻害性化合物を配置し、各位置で結合反応を構成する。種々の周知のツール、例えば蛍光、プラズマ共鳴、放射性標識、等を使用して、反応をモニターすることができる。
【0056】
個別の阻害剤および阻害剤の組み合わせ
本発明の一態様では、組成物はTNF−アルファの1つ以上の阻害剤(例えばサリドマイドおよびインフリキシマブ)を含む。増殖中のSMCの特性のために、阻害剤の組み合わせを含む組成物もまた、増殖細胞塊を低減するために有効である可能性があることを発明者らは見出している。
【0057】
誘導体
特に指定のない限り、TNF−アルファ阻害剤の立体異性体、互変異性体、ラセミ化合物、プロドラッグ、代謝産物、医薬的に許容される塩、塩基、エステル、構造的に関連する化合物または溶媒和物は本発明の範囲内である。
【0058】
本発明の阻害剤の医薬的に許容される塩、すなわち水溶性、油溶性、または分散物形式の塩には、例えば無機または有機の酸もしくは塩基から形成された従来の無毒の塩または四級アンモニウム塩が含まれる。該酸付加塩の例には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、カンフル酸塩(camphorate)、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシラート、およびウンデカン酸塩が含まれる。塩基塩には、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えばナトリウムおよびカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えばカルシウムおよびマグネシウム塩、有機塩基との塩、例えばジシクロヘキシルアミン塩、N−メチル−D−グルカミン、およびアミノ酸、例えばアルギニン、リシンとの塩、等が含まれる。また、塩基性窒素含有基は、低級アルキルハライド、例えばメチル、エチル、プロピル、およびブチルクロライド、ブロミドおよびヨーダイド;硫酸ジアルキル、例えばジメチル、ジエチル、ジブチル;および硫酸ジアミル、長鎖ハライド、例えばデシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルクロライド、ブロミドおよびヨーダイド、アラルキルハライド、例えばベンジルおよびフェネチル−ブロミド等の物質で四級化してよい。他の医薬的に許容される塩には、硫酸塩エタノラートおよび硫酸塩が含まれる。
【0059】
本明細書中で使用する用語「立体異性体」は、同じ結合順序で結合している同じ原子から構成されるが、本発明の阻害剤が有する可能性がある、相互転換できない異なる立体構造を有するすべての可能な化合物を明示する。特に記載または指定のない限り、本明細書中の阻害剤の化学名は、前記化合物が有する可能性がある、すべての可能な立体化学的異性体の混合物を包含する。前記混合物は、前記化合物の基本的分子構造のすべてのジアステレオマーおよび/またはエナンチオマーを含有する。本発明の阻害剤のすべての立体化学的異性体は、純粋な形であれ、互いに混合された形式であれ、本発明の範囲内に入るものとする。
【0060】
本発明の阻害剤は互変異性体として存在してもよい。該形式は、本明細書中に記載の阻害剤中に明示されていないが、本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0061】
治療用途では、本発明の阻害剤の塩は、カウンターイオンが医薬的または生理的に許容される塩である。
【0062】
本明細書中で使用する用語「プロドラッグ」とは、薬理学的に許容される誘導体、例えばエステル、アミドおよびリン酸塩であって、結果として生じる該誘導体のインビボ生体内変換産物が活性な薬剤である誘導体を意味する。プロドラッグについて記載しているGoodmanおよびGilmanの参考文献(The Pharmacological Basis of Therapeutics, 8th Ed, McGraw-Hill, Int. Ed. 1992, "Biotransformation of Drugs", p 13-15)は全体的に本明細書中に援用される。本発明の化合物のプロドラッグは、所定の操作またはインビボで該修飾が分解されて親成分になるように、該成分中に存在する官能基を修飾することによって、調製することができる。プロドラッグの典型例は、例えば国際公開 第99/33795号、国際公開第99/33815号、国際公開第99/33793号および国際公開第99/33792号に記載している(すべての文献は参照により本明細書中に援用される)。プロドラッグはバイオアベイラビリティの向上を特徴とし、インビボで容易に代謝されて活性な阻害剤になる。
【0063】
徐放剤
上で記載したのは、阻害性化合物の放出を調節するために上塗りを施すことである。本発明の別の態様は、阻害剤の放出を制御する添加物を含む組成物に関する。本発明の別の実施態様では、該組成物は徐放剤である。従って、大用量または濃縮した用量の阻害剤がステントには備わっていてよい。ステントを治療部位に配置すると、阻害剤は該製剤によって決定される割合で放出される。これにより、特定用量を維持するためにステントを頻繁に取り替える必要が回避される。徐放剤の別の利点は、数日または数週にわたって、休みなく、組成物が拡散することである。
【0064】
本発明の一実施態様は、1つ以上の徐放剤をさらに含む、本明細書中に記載の組成物を含むステントである。徐放剤は、天然または合成ポリマー、または再吸収系、例えばマグネシウム合金であってよい。
【0065】
本発明の徐放剤に従った、有用な合成ポリマーには、ポリ(グリコール)酸、ポリ(乳酸)または、一般に、グリコール酸および乳酸ベースのポリマーおよびコポリマーがある。それらにはまた、ポリカプロラクトンおよび、一般に、ポリヒドロキシルアルカノアート(PHA)(ポリ(ヒドロキシアルカン酸)(poly(hydroxy alcanoic acids)=すべてのポリエステル)が含まれる。それらにはまた、ポリ(エチレングリコール)、ポリビニルアルコール、ポリ(オルトエステル)、ポリ(アンヒドリド)、ポリ(カルボナート)、ポリアミド、ポリイミド、ポリイミン、ポリ(イミノカルボナート)、ポリ(エチレンイミン)、ポリジオキサン、ポリオキシエチレン(ポリエチレンオキシド)、ポリ(ホスファゼン)、ポリスルホン、脂質、ポリアクリル酸、ポリメチルメタクリラート(PMMA)、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル(ポリシアノアクリレーツ)、ポリHEMA、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリテレフタラート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルケトン、ポリ塩化ビニル、ポリフルオライド、シリコーン、ポリケイ酸塩(生物活性ガラス)、シロキサン(ポリジメチルシロキサン)、ヒドロキシアパタイト、ラクチド−カプロノラクトン、および当業者に周知の任意の他の合成ポリマーが含まれる。他の合成ポリマーは、アルカリ加水分解した動物性または植物性タンパク質と組み合わさった活性化ポリエチレングリコール(PEG)ベースのヒドロゲルからなっていてよい。
【0066】
本発明の徐放剤に従った、有用な天然由来のポリマーには、ポリアミノ酸(天然および非天然)、ポリβ−アミノエステルがある。それらにはまた、ポリ(ペプチド)、例えば:アルブミン、アルギナート、セルロース/酢酸セルロース、キチン/キトサン、コラーゲン、フィブリン/フィブリノゲン、ゼラチン、リグニンが含まれる。一般に、タンパク質はポリマーを基本とする。ポリ(リシン)、ポリ(グルタマート)、ポリ(マロナート)、ポリ(ヒアルロン酸)。ポリ核酸、ポリサッカライド、ポリ(ヒドロキシアルカノアート)、ポリイソプレノイド、デンプンベースのポリマー、および当業者に周知の任意の他の天然由来のポリマー。
【0067】
他のポリマーは、アルカリ加水分解した動物性または植物性タンパク質と組み合わさった活性化ポリエチレングリコール(PEG)ベースのヒドロゲルからなっていてよい。
【0068】
合成および天然ポリマーの両者に関して、本発明には、直線状、分岐状、高分岐状、デンドリマー、架橋型、官能化型(表面、官能基、親水性/疎水性)などのポリマーがさらに含まれている。
【0069】
徐放性組成物は、液体または半液体、例えば溶液、ゲル、ヒドロゲル、懸濁液、格子、リポソームとして製剤化してよい。当業者に周知の任意の好適な製剤は本発明の範囲内である。本発明のある態様では、阻害剤の量が総徐放性ポリマー質量の1%未満〜60%の範囲であるように組成物を製剤化する。本発明のある態様では、阻害剤の量が総徐放性ポリマー質量の1%〜50%、1%〜40%、1%〜30%、1%〜20%、2%〜60%、5%〜60%、10%〜60%、20%〜60%、30%〜60%、または40%〜60%の範囲であるように組成物を製剤化する。
【0070】
用量
ステントのサイズおよびその上の組成物の濃度は、当業者が周知技術を使用して算出することができる。組成物の濃度は、使用する1マイクログラムあたりのTNF−アルファを阻害する化合物の能力に依存し、阻害剤の活性に応じて変動するかもしれない。本発明の一態様では、ステントはTNF−アルファ阻害剤を含む組成物でコーティングされており、被験体に送達される阻害剤濃度は、0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.5、1、5、10、20、40、60、80、100、150、200、300、400、500、600、700、800、900、1000またはmg阻害剤/ステント1mmより大きいか、またはそれに等しいか、または上述の値のいずれか2つの間の範囲の濃度であるようにする。
【0071】
当業者は、上記用量に到達するために必要とされる、ステント1mmあたりの阻害剤の濃度を容易に算出することができる。
【0072】
キット
本発明のキットは、少なくとも1つのステントおよび、別途、少なくとも1つの本発明の組成物を含んでよい。該キットによって、技術者または他の者が、ステントを管に挿入する前に組成物でコーティングすることが可能になる。
【0073】
該組成物は、TNF−アルファの阻害剤を少なくとも1種含むことに加えて、エンドユーザーがステントのコーティングを容易にする追加物質を含有してよい。該組成物は、例えば、ステントを迅速に乾燥させるために高速で蒸発する溶媒を含有してよい。それは、阻害剤をステントに付着させ、その徐放を促すポリマー材料を含有してよい。
【0074】
該組成物は、当技術分野において周知の任意の手段、例えば、ステントを組成物中に浸すか、ステントに組成物をスプレーするか、静電気力を使用することを、キットのステントに適用してよい。該方法は当技術分野において周知である。
【0075】
本発明のある態様では、該組成物を容器中で提供する。例えば、バイアル、小袋、ねじ口びん、シリンジ、開けると封ができない容器、何度も封ができる容器である。該容器は、組成物を含有し、かつ、場合により、ステントに対する組成物の適用を容易にするために好適な任意の容器である。実際、活性化合物のコーティングおよび制御放出に使用するいくつかのポリマー、例えばポリオルトエステルは、非常に不安定で、湿度に非常に感受性で、冷雰囲気および例えばアルゴン雰囲気中に保存すべきであろう。いくつかの活性な製品、例えばロテノンは同様に、光および熱に感受性であり、暗冷所で保存すべきであろう。そのような場合、組成物を含む容器は裸のステントとは別にしておく。心臓インターベンション専門医は、コーティングを含有する箱を開封し、インターベンション直前にステントに適用してよい。
【0076】
キットは1種類以上のタイプのステントおよび1種類以上の容器の組成物を含んでよい。キットは、一連のステントサイズ、ステント構成、種々の材料からなるステントを提供してよい。キットは、種々の阻害剤、種々の組み合わせの阻害剤、種々の組み合わせのポリマーを有する種々の組成物を含有する一連のバイアルを提供してよい。キットは1種類以上のタイプの組成物の逐次適用を容易にしてよい。キットは使用説明書を含有してよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0077】
本発明の一実施態様は、TNF−アルファの阻害剤を少なくとも1種含む組成物を備えた医療用ステントである。
【0078】
本発明の別の実施態様は、前記組成物を含有および放出するように構成されている1つ以上の空洞を備えている上記ステントである。
【0079】
本発明の別の実施態様は、少なくとも部分的に、in situで生分解性の材料からなる上記ステントである。
【0080】
本発明の別の実施態様は、マグネシウムベースの合金を含む上記ステントである。
【0081】
本発明の別の実施態様は、少なくとも部分的に、in situで非生分解性の材料からなる上記ステントである。
【0082】
本発明の別の実施態様は、前記組成物を、少なくとも部分的に備えている上記ステントである。
【0083】
本発明の別の実施態様は、平滑筋細胞(SMC)の増殖を治療するための医療用ステントを提供するための薬剤を製造するための、TNF−アルファの阻害剤を少なくとも1種含む組成物の使用である。
【0084】
本発明の別の実施態様は、前記ステントが上で規定した通りである上記の使用である。
【0085】
本発明の別の実施態様は、a)少なくとも1つの医療用ステントおよびb)TNF−アルファの阻害剤を少なくとも1種含む組成物を含むキットである。
【0086】
本発明の別の実施態様は、前記ステントが上に規定するステントである上記キットである。
【0087】
本発明の別の実施態様は、前記組成物が、阻害剤の徐放を促す1つ以上の徐放剤をさらに含む上記医療用ステント、使用またはキットである。
【0088】
本発明の別の実施態様は、前記徐放剤が、以下のいずれかである上記医療用ステント、使用またはキットである:マグネシウム合金、ポリ(グリコール)酸、ポリ(乳酸)または、一般に、グリコール酸および乳酸ベースのポリマー、コポリマー、ポリカプロラクトンおよび、一般に、ポリヒドロキシルアルカノアート、ポリ(ヒドロキシアルカン酸)、ポリ(エチレングリコール)、ポリビニルアルコール、ポリ(オルトエステル)、ポリ(アンヒドリド)、ポリ(カルボナート)、ポリアミド、ポリイミド、ポリイミン、ポリ(イミノカルボナート)、ポリ(エチレンイミン)、ポリジオキサン、ポリオキシエチレン(ポリエチレンオキシド)、ポリ(ホスファゼン)、ポリスルホン、脂質、ポリアクリル酸、ポリメチルメタクリラート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル(ポリシアノアクリレーツ)、ポリHEMA、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリテレフタラート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルケトン、ポリ塩化ビニル、ポリフルオライド、シリコーン、ポリケイ酸塩(生物活性ガラス)、シロキサン(ポリジメチルシロキサン)、ヒドロキシアパタイト、ラクチド−カプロノラクトン、天然および非天然ポリアミノ酸、ポリβ−アミノエステル、アルブミン、アルギナート、セルロース/酢酸セルロース、キチン/キトサン、コラーゲン、フィブリン/フィブリノゲン、ゼラチン、リグニン、タンパク質ベースのポリマー、ポリ(リシン)、ポリ(グルタマート)、ポリ(マロナート)、ポリ(ヒアルロン酸)、ポリ核酸、ポリサッカライド、ポリ(ヒドロキシアルカノアート)、ポリイソプレノイド、デンプンベースのポリマー、そのコポリマー、その直線状、分岐状、高分岐状、デンドリマー、架橋型、官能化誘導体、またはアルカリ加水分解した動物性または植物性タンパク質と組み合わせた活性化ポリエチレングリコールベースのヒドロゲル。
【0089】
本発明の別の実施態様は、TNF−アルファの前記阻害剤がサリドマイドである上記医療用ステント、使用またはキットである。
【0090】
本発明の別の実施態様は、TNF−アルファの前記阻害剤がサリドマイド類似体に分類される免疫調節性イミド薬剤(IMiD)に属する上記医療用ステント、使用またはキットである。
【0091】
本発明の別の実施態様は、前記阻害剤が式(II)、(III)もしくは(IV)のいずれかの化合物またはその誘導体である上記医療用ステント、使用またはキットである。
【0092】
本発明の別の実施態様は、TNF−アルファの前記阻害剤がサリドマイド類似体に分類される選択的サイトカイン阻害性薬剤(SelCiD)に属する上記医療用ステント、使用またはキットである。
【0093】
本発明の別の実施態様は、前記阻害剤が式(V)、(VI)もしくは(VII)のいずれかの化合物またはその誘導体である上記医療用ステント、使用またはキットである。
【0094】
本発明の別の実施態様は、TNF−アルファの前記阻害剤が、以下のいずれかである上記医療用ステント、使用またはキットである:ペントキシフィリン、RWJ67657、EtOH(アルコール)、Tyrphostin AG-556、AG126、AG128、s−アデノシルメチオニン、5'−メチルチオアデノシン、インリキシマブ(レミケード)、tgAAC94、エンタネルセプト(エンブレル)、D2E7(フミラ)、MP阻害剤GI5402、TMI-1、SCIO-469、VX-745、BIRB 796、BB-2275、キャッツクロー、SteiHap69、TACE阻害剤、ISIS25302、ロフルミラスト、AS2868、AS2920、SPC-839、PEG-TNFRI、CDP-870、オネルセプト、TIMP-3、DPC333、MMP阻害剤、ボルテゾミブ(ベルケイド)、オキサスピロジオン、Shi-Bi-Lin、JM34、ルテオリン、セイヨウイラクサ、緑茶ポリフェノール、テニダップ、レフルニミド(アラバ)、クルクミノイド、デキサメタゾン、ビタミンD3、プロスタグランジンE2、またはシクロスポリンA。
【0095】
本発明の別の実施態様は、SMC増殖の阻害に使用するために好適な上記医療用ステント、使用またはキットである。
【0096】
本発明の別の実施態様は、前記SMC増殖が再狭窄または狭窄である上記医療用ステント、使用またはキットである。
【0097】
本発明の別の実施態様は、動脈または静脈に配置される上記医療用ステント、使用またはキットである。
【0098】
実施例
以下の非限定的な実施例を挙げて本発明を説明する。それら例は上記TNF−アルファ阻害剤の選択の有効性を説明するものである。実施例に記載されていない他の阻害剤の阻害特性は周知であり、当業者は、例示する阻害剤を例えば上に列挙する阻害剤に容易に置き換えることができる。
【実施例1】
【0099】
実施例1
展開されていないステント1平方mmあたり1ナノグラム〜100ミリグラムの範囲のサリドマイド、および好適なポリマーを含む組成物をバルーン膨張性ステント上にコーティングする。経皮的、経腔的、冠動脈再建術(PTCA)インターベンションを使用して、限局性血管狭窄を患う被験体に該ステントを導入する。インターベンションの6か月後に、インターベンション領域の血管造影を行う。患者の血管腔の割合の関数として再狭窄の程度を算出する。
【実施例2】
【0100】
実施例2
経皮的冠血管インターベンション(PCI)手順を首尾良く受けた3104人の患者を再狭窄遺伝的決定因子(GENetic Determinants of Restenosis(GENDER))プロジェクトに含めた。GENDERは多施設前向き追加研究であった。TNF遺伝子中の6多型に関する系統的遺伝子型決定を実施して、再狭窄の進行に関する6個の異なるTNF多型の役割を実証した。
【0101】
マウスの研究では、ApoE*3-LeidenマウスおよびTNFノックアウトマウスを使用して、14日間の大腿動脈周囲のカフ配置後に、再狭窄進行に関するTNF−アルファの影響を決定した。別のApoE*3-Leidenマウス群では、TNF生合成阻害剤である1%(w/w)サリドマイドをカフにロードした。
【0102】
実験に参加した3104人の患者のうち、304人の患者が標的血管の血行再建術(TVR)を受ける必要があった。−238A/A遺伝子型を有する患者および−1031C/C遺伝子型を有する患者はTVRの必要頻度が低かった。他のTNF多型はTVRとの有意な関連性を示さなかった。12か月のTVR率によって、ハプロタイプ−238G/−1031Tを有する患者が他のタイプより高い再狭窄リスクを有することが示された(p=0.02)。6か月の血管造影での追跡調査によっても、このハプロタイプを有する患者についての再狭窄リスクの増加が示された(p=0.002)。−238A対立遺伝子に関して、有意な保護的関連性が観察された(p=0.002)。
【0103】
このマウスモデルでは、動脈TNF mRNAが有意に時間依存的に上方制御された。TNFノックアウトマウスならびにサリドマイドで治療したマウスは、有意に低い新生内膜形成を示した(それぞれp=0.014およびp=0.005)。
【0104】
GENDERデータは、TNFがPCI後のヒトにおける再狭窄の進行に関与することを示す。この研究は、TNF −238A/Aおよび−1031C/C遺伝子型を有する患者の再狭窄リスクが低下したことを実証した。Huizingaらは、−238A対立遺伝子に関するTNF生産が−238G対立遺伝子と比較して低いことを見出した(Huizinga Tら、J. Neuroimmunol. 72: 149-153, 1997.)。
【0105】
このマウスモデルは、TNFを構成的に欠いているマウスが新生内膜形成の低減を示すことを実証した。さらに、サリドマイドを局所投与すると、TNFタンパク質の血管レベルが減少した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
TNF−アルファの阻害剤を少なくとも1種含む組成物を備えた医療用ステント。
【請求項2】
前記組成物を含有および放出するように構成されている1つ以上の空洞を備えている、請求項1に記載の医療用ステント。
【請求項3】
少なくとも部分的に、in situで生分解性の材料から作製される、請求項1または2に記載の医療用ステント。
【請求項4】
マグネシウムベースの合金を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の医療用ステント。
【請求項5】
少なくとも部分的に、in situで非生分解性の材料から作製される、請求項1または3に記載の医療用ステント。
【請求項6】
前記組成物を少なくとも部分的に備えている、請求項1〜5のいずれかに記載の医療用ステント。
【請求項7】
平滑筋細胞(SMC)の増殖を処置する医療用ステントを提供するための医薬品調製を目的とする、TNF−アルファの阻害剤を少なくとも1種含む組成物の使用。
【請求項8】
前記ステントが請求項2〜6のいずれかで規定される、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
a)少なくとも1つの医療用ステント、とb)TNF−アルファの阻害剤を少なくとも1種含む組成物とを含む、キット。
【請求項10】
前記ステントが請求項2〜6のいずれかで規定される、請求項9に記載のキット。
【請求項11】
前記組成物が、阻害剤の徐放を促すために1つ以上の徐放剤をさらに含む、請求項1〜6のいずれかに記載の医療用ステント、請求項7もしくは8に記載の使用、または請求項9もしくは10に記載のキット。
【請求項12】
請求項11に記載の医療用ステント、使用またはキットであって、前記徐放剤が、マグネシウム合金、ポリ(グリコール)酸、ポリ(乳酸)または、一般に、グリコール酸および乳酸ベースのポリマー、コポリマー、ポリカプロラクトンおよび、一般に、ポリヒドロキシルアルカノアート、ポリ(ヒドロキシアルカン酸)(poly(hydroxy alcanoic acids))、ポリ(エチレングリコール)、ポリビニルアルコール、ポリ(オルトエステル)、ポリ(アンヒドリド)、ポリ(カルボナート)、ポリアミド、ポリイミド、ポリイミン、ポリ(イミノカルボナート)、ポリ(エチレンイミン)、ポリジオキサン、ポリオキシエチレン(ポリエチレンオキシド)、ポリ(ホスファゼン)、ポリスルホン、脂質、ポリアクリル酸、ポリメチルメタクリラート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル(ポリシアノアクリレーツ)、ポリHEMA、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリテレフタラート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルケトン、ポリ塩化ビニル、ポリフルオライド、シリコーン、ポリケイ酸塩(生物活性ガラス)、シロキサン(ポリジメチルシロキサン)、ヒドロキシアパタイト、ラクチド−カプロノラクトン(lactide-capronolactone)、天然および非天然ポリアミノ酸、ポリβ−アミノエステル、アルブミン、アルギナート、セルロース/酢酸セルロース、キチン/キトサン、コラーゲン、フィブリン/フィブリノゲン、ゼラチン、リグニン、タンパク質ベースのポリマー、ポリ(リシン)、ポリ(グルタマート)、ポリ(マロナート)、ポリ(ヒアルロン酸)、ポリ核酸、ポリサッカライド、ポリ(ヒドロキシアルカノアート)、ポリイソプレノイド、デンプンベースのポリマー、そのコポリマー、その直線状、分岐状、高分岐状、デンドリマー、架橋型、官能化誘導体、またはアルカリ加水分解した動物性もしくは植物性タンパク質と組み合わせた活性化ポリエチレングリコールベースのヒドロゲルのいずれかである医療用ステント、使用またはキット。
【請求項13】
TNF−アルファの前記阻害剤がサリドマイドである、請求項1〜12のいずれかに記載の医療用ステント、キットまたは使用。
【請求項14】
TNF−アルファの前記阻害剤がサリドマイド類似体に分類される免疫調節性イミド剤(IMiD)に属する、請求項1〜12のいずれかに記載の医療用ステント、キットまたは使用。
【請求項15】
前記阻害剤が式(II)、(III)もしくは(IV)のいずれかの化合物、またはその誘導体である、請求項14に記載の医療用ステント、キットまたは使用:
【化1】

【請求項16】
TNF−アルファの前記阻害剤がサリドマイド類似体に分類される選択的サイトカイン阻害剤(SelCiD)に属する、請求項1〜12のいずれかに記載の医療用ステント、キットまたは使用。
【請求項17】
前記阻害剤が式(V)、(VI)もしくは(VII)のいずれかの化合物、またはその誘導体である、請求項16に記載の医療用ステント、キットまたは使用:
【化2】

【請求項18】
TNF−アルファの前記阻害剤が以下のいずれかである、請求項1〜17のいずれかに記載の医療用ステント、キットまたは使用:ペントキシフィリン、RWJ67657、EtOH(アルコール)、Tyrphostin AG-556、AG126、AG128、s−アデノシルメチオニン、5'−メチルチオアデノシン、インリキシマブ(inliximab)(レミケード)、tgAAC94、エンタネルセプト(entanercept)(エンブレル)、D2E7(フミラ)、MP阻害剤GI5402、TMI-1、SCIO-469、VX-745、BIRB 796、BB-2275、キャッツクロー(Uncaria tomentosa)、SteiHap69、TACE阻害剤、ISIS25302、ロフルミラスト、AS2868、AS2920、SPC-839、PEG-TNFRI、CDP-870、オネルセプト(onercept)、TIMP-3、DPC333、MMP阻害剤、ボルテゾミブ(ベルケイド)、オキサスピロジオン、Shi-Bi-Lin、JM34、ルテオリン、セイヨウイラクサ(urtica dioica)、緑茶ポリフェノール、テニダップ(tenidap)、レフルニミド(leflunimide)(アラバ)、クルクミノイド、デキサメタゾン、ビタミンD3、プロスタグランジンE2、またはシクロスポリンA。
【請求項19】
SMC増殖の阻害に使用するために好適な、請求項1〜6、9〜18のいずれかに記載の医療用ステントまたはキット。
【請求項20】
前記SMC増殖が再狭窄または狭窄である、請求項7、8、11〜19のいずれかに記載の医療用ステント、キットまたは使用。
【請求項21】
該ステントが動脈または静脈に配置される、請求項1〜20のいずれかに記載の医療用ステント、キットまたは使用。

【公表番号】特表2009−514623(P2009−514623A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−539253(P2008−539253)
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【国際出願番号】PCT/EP2005/011943
【国際公開番号】WO2007/054108
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(508137110)
【Fターム(参考)】