説明

膜分離活性汚泥処理装置および膜分離活性汚泥処理方法

【課題】 濾過効率を格段に向上できるとともに、濾過膜の損傷及び汚染を抑制でき、廃水処理効率が良好である膜分離活性汚泥処理装置を提供することを一の課題とする。
【解決手段】 活性汚泥を生物的に凝集させて凝集汚泥体を生成する生物凝集手段により生成された凝集汚泥体及び廃水を混合して混合水を生成し該混合水を生物処理して汚泥含有生物処理水を得る生物処理部と、膜濾過を行う膜ユニットを有して前記汚泥含有生物処理水から膜濾過によって透過水たる浄化処理水を得る浄化処理水生成部とを備えてなることを特徴とする膜分離活性汚泥処理装置を提供することにある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜分離活性汚泥処理装置および膜分離活性汚泥処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、膜分離活性汚泥処理装置は、廃水と活性汚泥とを混合し、生物処理して汚泥含有生物処理水を形成する生物処理部と、膜濾過を行う膜ユニットを有して前記汚泥含有生物処理水から膜濾過によって透過水たる浄化処理水を得る浄化処理水生成部とを備えてなることから、用途として、有機物等を含有する廃水の処理に用いられている(例えば、特許文献1)。
【0003】
しかしながら、斯かる膜分離活性汚泥処理装置は、濾過膜が活性汚泥により目詰まりしてしまい、濾過効率の低下や濾過膜の損傷が生じる虞がある。特に、濾過膜の損傷が生じた場合には、濾過膜を交換するためのコストが掛かるという問題がある。このような目詰まりを抑制するために、濾過膜を曝気したりするなどをしているが、曝気のためのエネルギーが必要となる。また、このような目詰まりが生じてしまった場合、膜ユニットでの水の流れを逆流させ洗浄水(廃水よりも綺麗な水や、酸、アルカリ、酸化剤等の薬品を含有する水)を用いて該濾過膜に詰まった活性汚泥を洗い流したり、濾過膜を曝気したりするなどの対応を頻繁に実施することが必要となり手間がかかってしまう虞があり、また、膜の洗浄のために廃水処理を頻繁に中断しなければならない虞もある。また、濾過膜が詰まったり、洗浄が頻繁に実施されてしまうと、透過水の回収する速度が低下してしまうという問題がある。さらに、洗浄が頻繁に実施されてしまうと、洗浄するためにエネルギーコストが増大してしまうという問題もある。
このように、従来の膜分離活性汚泥処理装置は、廃水処理の効率が悪いという問題を有している。
【0004】
斯かる問題に対応すべく、凝集剤により活性汚泥を凝集させて粒径を大きくした活性汚泥を用いて、膜の目詰まりを生じ難くする膜分離活性汚泥処理装置が開示されている(例えば、特許文献2)。また、プラスチック等の粒状の担体を核にして活性汚泥を凝集し、この担体と共に浮遊する活性汚泥を用いる膜分離活性汚泥処理装置も開示されている(例えば、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−289941号公報
【特許文献2】特開2006−15236号公報
【特許文献3】特開平9−308883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2の如く凝集剤のみで活性汚泥を凝集しようとした場合、凝集剤が少なすぎると活性汚泥が十分に凝集されず、活性汚泥による膜の目詰まりをほとんど抑制することができず、一方で、凝集剤の量が多すぎると凝集剤自体が膜に詰まってしまい、膜を損傷してしまう虞がある。また、活性汚泥は廃水処理の過程で増加しうるので、活性汚泥の増加に応じて凝集剤をそのつど添加する必要があり、凝集剤のコストが掛かるという問題もある。
【0007】
また、特許文献3の如くプラスチック等の粒状の流動担体を核にして活性汚泥を凝集しこの担体と共に浮遊する活性汚泥を用いた場合には、担体が濾過膜に接触してしまい濾過膜への損傷が生じてしまう虞がある。また、凝集せずに浮遊する活性汚泥が残存するため、特許文献1と同様の問題も依然として残る。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑み、濾過効率を格段に向上できるとともに、濾過膜の損傷及び汚染を抑制でき、廃水処理効率が良好である膜分離活性汚泥処理装置を提供することを一の課題とする。また、濾過効率を格段に向上できるとともに、濾過膜の損傷及び汚染を抑制でき、廃水処理効率が良好である膜分離活性汚泥処理方法を提供することを他の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、活性汚泥を生物的に凝集させて凝集汚泥体を生成する生物凝集手段により生成された凝集汚泥体及び廃水を混合して混合水を生成し該混合水を生物処理して汚泥含有生物処理水を得る生物処理部と、膜濾過を行う膜ユニットを有して前記汚泥含有生物処理水から膜濾過によって透過水たる浄化処理水を得る浄化処理水生成部とを備えてなることを特徴とする膜分離活性汚泥処理装置にある。
【0010】
斯かる膜分離活性汚泥処理装置によれば、凝集汚泥体が凝集されたものであることにより、濾過膜への付着や濾過膜の目詰まりが生じ難くなる。また、凝集汚泥体が前記生物凝集手段により生成されたものであることにより、濾過膜の損傷を抑制することができる。その結果、本発明は、濾過効率を向上することができ、さらに、濾過膜の損傷を抑制して従来よりも濾過膜の寿命を延ばすことができ、また、濾過膜の洗浄頻度や膜洗浄のための曝気量を抑制して洗浄のためのエネルギーコストを抑制することができるという効果を奏する。
【0011】
また、本発明に係る膜分離活性汚泥処理装置は、好ましくは、前記生物凝集手段は、担体により前記活性汚泥を凝集させ前記担体から前記凝集汚泥体を分離させて生成するものである。
【0012】
斯かる膜分離活性汚泥処理装置によれば、凝集汚泥体が担体から分離して形成されたものであることにより、担体自体と濾過膜とが接触しないようにすることができ、濾過膜の損傷をより一層抑制することができるという利点がある。また、一の担体から凝集汚泥体を何度も生成することが可能であるため、従来の担体(流動担体)に比して、活性汚泥を凝集させやすいという利点がある。
【0013】
さらに、前記生物凝集手段として担体により前記活性汚泥を凝集させ前記担体から前記凝集汚泥体を分離させて生成するものを採用する膜分離活性汚泥処理装置は、好ましくは、前記生物処理部内には曝気する曝気手段が備えられてなり、前記担体は、前記膜ユニットと離間するように配され、且つ前記活性汚泥が付着される付着体と該付着体を支持する支持部とを備え、且つ前記曝気手段による曝気によって前記付着体が揺動するように構成されてなる。
【0014】
斯かる膜分離活性汚泥処理装置によれば、容易に凝集汚泥体を生成することができるという利点がある。
【0015】
また、本発明に係る膜分離活性汚泥処理装置は、好ましくは、前記凝集汚泥体の粒径が、1μm〜10mmである。
【0016】
斯かる膜分離活性汚泥処理装置によれば、前記凝集汚泥体の粒径が1μm以上であることにより、凝集汚泥体が沈降しやすくなり混合水の固液分離性がしやすくなるため、濾過膜の目詰まりが生じ難くすることができる利点がある。また、前記凝集汚泥体の粒径が10mm以下であることにより、凝集汚泥体による濾過膜間の閉塞が生じるのを抑制することができるという利点がある。
【0017】
尚、凝集汚泥体の粒径とは、凝集汚泥体の集合体を構成する粒子を顕微鏡で測定した最長部分の長さの算術平均値(試料数:100個以上)のことである。
【0018】
さらに、本発明に係る膜分離活性汚泥処理装置は、好ましくは、前記浄化処理水生成部が、凝集汚泥体の重力沈降により、前記汚泥含有生物処理水から凝集汚泥体が前記汚泥含有生物処理水よりも濃縮された汚泥濃縮水と凝集汚泥体の含有率が前記汚泥含有生物処理水よりも少ない上澄水とを生成する重力沈降槽を備え、前記膜ユニットが、該上澄水を膜濾過することによって前記浄化処理水を生成するように構成されてなる。
【0019】
斯かる膜分離活性汚泥処理装置によれば、凝集汚泥体を容易に沈降させることができるため、上澄水を容易に形成することができ、また、該上澄水を膜ユニットで濾過することにより、濾過膜の目詰まりをより一層抑制することができるという利点がある。よって、濾過膜の洗浄頻度や膜洗浄のための曝気量を低減できる。
【0020】
また、前記重力沈降槽を備え且つ前記膜ユニットが前記上澄水を膜濾過することによって前記浄化処理水を生成するように構成されてなる膜分離活性汚泥処理装置は、好ましくは、前記膜ユニットが、前記重力沈降槽内の液面下に浸漬膜として設置されてなる。
【0021】
斯かる膜分離活性汚泥処理装置によれば、装置の構造を簡単にし、また、装置を小型化することができるという利点がある。
【0022】
さらに、前記重力沈降槽を備え且つ前記膜ユニットが前記上澄水を膜濾過することによって前記浄化処理水を生成するように構成されてなる膜分離活性汚泥処理装置は、好ましくは、前記重力沈降槽から前記上澄水が供給され且つ該上澄水を貯留する上澄水貯留槽を備え、前記膜ユニットは前記上澄水貯留槽内の液面下に浸漬膜として設置されてなる。
【0023】
斯かる膜分離活性汚泥処理装置によれば、重力沈降槽の汚泥濃縮水に含まれる凝集汚泥体が上澄水へ浮遊した場合でも、この浮遊した凝集汚泥体が浸透膜に接してしまうのを抑制することができるため、濾過膜の目詰まりをより一層抑制することができるという利点がある。また、濾過膜を薬品洗浄した場合に、汚泥含有生物処理水貯留槽にその薬品が混入し難くなり、汚泥含有生物処理水貯留槽の凝集汚泥体が薬品による影響を受けにくくなるという利点もある。
【0024】
また、前記重力沈降槽を備え且つ前記膜ユニットが前記上澄水を膜濾過することによって前記浄化処理水を生成するように構成されてなる膜分離活性汚泥処理装置は、好ましくは、前記生物処理部が生成した汚泥含有生物処理水を貯留する汚泥含有生物処理水貯留槽を備え、
前記汚泥含有生物処理水貯留槽と前記重力沈降槽とが、1つの槽が仕切り板で区画されることにより形成されてなる。
【0025】
斯かる膜分離活性汚泥処理装置によれば、装置の構造を簡単にし、また、装置を小型化することができるという利点がある。
【0026】
さらに、前記重力沈降槽を備え且つ前記膜ユニットが前記上澄水を膜濾過することによって前記浄化処理水を生成するように構成されてなる膜分離活性汚泥処理装置は、好ましくは、前記重力沈降槽が底部に汚泥濃縮水排出口が設けられてなり、前記底部が、前記汚泥濃縮水排出口に向けて傾斜するように、下方に向けて先細りとなるテーパー状に形成されてなる。
【0027】
斯かる膜分離活性汚泥処理装置によれば、汚泥濃縮水を前記重力沈降槽から容易に引き抜きやすくなり、汚泥濃縮水の凝集汚泥体が浮上するのを抑制することができ、上澄水に含まれる凝集汚泥体の量を抑制することができるため、濾過膜がより一層目詰まりし難くなるという利点がある。
【0028】
また、前記重力沈降槽を備え且つ前記膜ユニットが前記上澄水を膜濾過することによって前記浄化処理水を生成するように構成されてなる膜分離活性汚泥処理装置は、好ましくは、前記重力沈降槽の内側に傾斜板が備えられてなる。
【0029】
斯かる膜分離活性汚泥処理装置によれば、沈降した凝集汚泥体が再浮上するのを抑制することができ、上澄水に含まれる凝集汚泥体の量を抑制することができるため、濾過膜がより一層目詰まりし難くなるという利点がある。また、水面積負荷を高くしやすいことから重力沈降槽を小型化することが容易となり、又は分離界面(上澄水と汚泥濃縮水との界面)を低くしやすいことから膜ユニットの設置スペースの確保が容易となるという利点がある。
【0030】
さらに、前記重力沈降槽を備え且つ前記膜ユニットが前記上澄水を膜濾過することによって前記浄化処理水を生成するように構成されてなる膜分離活性汚泥処理装置は、好ましくは、前記重力沈降槽が、該槽内に前記汚泥含有生物処理水を分配供給するディストリビューターを備えてなる。
【0031】
斯かる膜分離活性汚泥処理装置によれば、前記重力沈降槽に浄化処理水を比較的均等に供給することができ、汚泥濃縮水と上澄水との界面を乱すことを抑制して、上澄水に凝集汚泥体が混入する量を抑制することができる。従って、濾過膜がより一層目詰まりし難くなるという利点がある。また、重力沈降槽内に前記汚泥含有生物処理水を供給する手段としてセンターウェルが備えられてなる重力沈降槽に比して、重力沈降槽を小型化することが容易となり、又は膜ユニットの設置スペースの確保が容易となるという利点がある。
【0032】
また、前記重力沈降槽を備え且つ前記膜ユニットが前記上澄水を膜濾過することによって前記浄化処理水を生成するように構成されてなる膜分離活性汚泥処理装置は、好ましくは、前記重力沈降槽が、該槽内周面に沿って、前記汚泥含有生物処理水を旋回させながら該槽内に供給する旋回供給手段を備えてなる。
【0033】
斯かる膜分離活性汚泥処理装置によれば、沈降した凝集汚泥体の浮上を抑制することができ、上澄水に含まれる凝集汚泥体の量を抑制することができるため、濾過膜がより一層目詰まりし難くなるという利点がある。また、重力に加えて遠心力により凝集汚泥体を沈降しやすくすることができることから水面積負荷を高くすることができ重力沈降槽を小型化することが容易となり、又は重力沈降槽内に前記汚泥含有生物処理水を供給する手段としてセンターウェルが備えられてなる重力沈降槽に比して重力沈降槽を小型化しやすくなり膜ユニットの設置スペースの確保が容易となるという利点がある。
【0034】
さらに、本発明に係る膜分離活性汚泥処理装置は、好ましくは、前記膜ユニットでの膜濾過により得られた非透過水に含まれる有機物を酸化処理する非透過水酸化処理部を備え、該非透過水酸化処理部にて有機物が酸化処理された非透過水が前記混合水の一部として前記生物処理部に移送されるように構成されてなる。
【0035】
斯かる膜分離活性汚泥処理装置によれば、非透過水に含まれ且つ凝集汚泥体に分解され難い物質(難分解性物質)を酸化により凝集汚泥体に分解され易い物質(易分解性物質)まで分解し、難分解性物質が蓄積するのを抑制して、ファウリングを抑制することができるため、濾過膜がより一層目詰まりし難くなるという利点がある。
【0036】
さらに、前記重力沈降槽を備え且つ前記膜ユニットが前記上澄水を膜濾過することによって前記浄化処理水を生成するように構成されてなる膜分離活性汚泥処理装置は、好ましくは、前記上澄水に含まれる有機物を酸化処理する上澄水酸化処理部を備え、該上澄水酸化処理部にて有機物が酸化処理された上澄水を膜濾過することによって前記浄化処理水を生成するように構成されてなる。
【0037】
斯かる膜分離活性汚泥処理装置によれば、上澄水に含まれ且つ凝集汚泥体に分解され難い物質(難分解性物質)を酸化により凝集汚泥体に分解され易い物質(易分解性物質)まで分解し、難分解性物質が蓄積するのを抑制して、ファウリングを抑制することができるため、濾過膜がより一層目詰まりし難くなるという利点がある。
【0038】
また、本発明に係る膜分離活性汚泥処理装置は、好ましくは、前記浄化処理水生成部が、遠心力により、前記汚泥含有生物処理水から凝集汚泥体が前記汚泥含有生物処理水よりも濃縮された汚泥濃縮水と凝集汚泥体の含有率が前記汚泥含有生物処理水よりも少ないサイクロン処理水とを生成するサイクロンを備え、前記膜ユニットが、該サイクロン処理水を膜濾過することによって前記浄化処理水を生成するように構成されてなる。
【0039】
斯かる膜分離活性汚泥処理装置によれば、膜ユニットに供給されるサイクロン処理水に含まれる凝集汚泥体の含有量が減少されているため、濾過膜がより一層目詰まりし難くなるという利点がある。また、サイクロンは重力沈殿槽に比して省スペースで済むことから、省スペースで濾過膜を目詰まりし難くすることができるという利点がある。
【0040】
さらに、本発明に係る膜分離活性汚泥処理装置は、好ましくは、前記汚泥含有生物処理水から凝集汚泥体の含有率が前記汚泥含有生物処理水よりも少ないスクリーン処理水を生成するスクリーンを備え、前記膜ユニットは、該スクリーン処理水を膜濾過することによって前記浄化処理水を生成するように構成されてなる。
【0041】
斯かる膜分離活性汚泥処理装置によれば、膜ユニットに供給されるスクリーン処理水に含まれる凝集汚泥体の含有量が減少されているため、濾過膜がより一層目詰まりし難くなるという利点がある。また、スクリーンは重力沈殿槽に比して省スペースで済むことから、省スペースで濾過膜を目詰まりし難くすることができるという利点がある。
【0042】
また、本発明に係る膜分離活性汚泥処理装置は、好ましくは、前記生物処理部が、前記生物凝集手段により凝集汚泥体を生成する生物凝集槽と、該生成された凝集汚泥体及び廃水を混合して混合水を生成し該混合水を生物処理して汚泥含有生物処理水を得る汚泥含有生物処理水貯留槽とを備えてなり、
前記膜ユニットにより生成された非透過水が、前記汚泥含有生物処理水貯留槽内の汚泥含有生物処理水よりも凝集汚泥体が濃縮されたものとなるように構成されてなり、
前記非透過水を前記生物凝集槽に移送する非透過水移送手段が備えられてなる。
【0043】
斯かる膜分離活性汚泥処理装置によれば、活性汚泥が濃縮された非透過水に含まれる活性汚泥が凝集されるように構成されてなることにより、より効率良く凝集汚泥体を生成し得るという利点がある。また、非透過水を返送するためのエネルギーを有効利用することができるという利点もある。
【0044】
さらに、本発明に係る膜分離活性汚泥処理装置は、好ましくは、前記生物処理部が、前記生物凝集手段により凝集汚泥体を生成する生物凝集槽と、該生成された凝集汚泥体及び廃水を混合して混合水を生成し該混合水を生物処理して汚泥含有生物処理水を得る汚泥含有生物処理水貯留槽とを備えてなり、
前記浄化処理水生成部が、重力沈降により前記汚泥含有生物処理水から凝集汚泥体が前記汚泥含有生物処理水よりも濃縮された汚泥濃縮水と凝集汚泥体の含有率が前記汚泥含有生物処理水よりも少ない上澄水とを生成する重力沈降槽、又は、遠心力により前記汚泥含有生物処理水から凝集汚泥体が前記汚泥含有生物処理水よりも濃縮された汚泥濃縮水と凝集汚泥体の含有率が前記汚泥含有生物処理水よりも少ないサイクロン処理水とを生成するサイクロンを備えてなり、
前記膜ユニットが、前記上澄水又はサイクロン処理水を膜濾過することによって前記浄化処理水を生成するように構成されてなり、
前記重力沈降槽若しくはサイクロンにより生成された汚泥濃縮水を前記生物凝集槽に移送する汚泥濃縮水移送手段が備えられてなる。
【0045】
斯かる膜分離活性汚泥処理装置によれば、活性汚泥が濃縮された凝集汚泥体に含まれる活性汚泥が凝集されるように構成されてなることにより、より効率良く凝集汚泥体を生成し得るという利点がある。また、汚泥濃縮水を返送するためのエネルギーを有効利用することができるという利点もある。
【0046】
また、前記生物凝集槽と前記汚泥含有生物処理水貯留槽とを備えてなる膜分離活性汚泥処理装置は、好ましくは、前記生物凝集手段が、担体により前記活性汚泥を凝集させ前記担体から前記凝集汚泥体を分離させて生成するものであり、
前記担体が、活性汚泥が付着される付着体と該付着体を支持する支持部とを備えてなり、
水流によって前記付着体が揺動するように構成されてなる。
【0047】
斯かる膜分離活性汚泥処理装置によれば、水流によって前記付着体が揺動するように構成されてなることにより、エネルギー効率良く凝集汚泥体が担体から分離され得るという利点がある。また、効率良く凝集汚泥体を生成することができることから、凝集汚泥体の生成効率を低下させずに、担体の大きさを小さくし得るという利点もある。
【0048】
また、本発明は、活性汚泥を生物的に凝集させて凝集汚泥体を生成する生物凝集手段により生成された凝集汚泥体及び廃水を混合して混合水を生成し該混合水を生物処理して汚泥含有生物処理水を得る生物処理工程と、膜ユニットを用いた膜濾過によって前記汚泥含有生物処理水から透過水たる浄化処理水を得る浄化処理水生成工程とを備えてなることを特徴とする膜分離活性汚泥処理方法にある。
【発明の効果】
【0049】
以上のように、本発明によれば、濾過効率を格段に向上できるとともに、濾過膜の損傷及び汚染を抑制でき、廃水処理効率が良好である膜分離活性汚泥処理装置を提供することができる。また、濾過効率を格段に向上できるとともに、濾過膜の損傷及び汚染を抑制でき、廃水処理効率が良好である膜分離活性汚泥処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】一実施形態に係る膜分離活性汚泥処理装置の概略図。
【図2】図1のAA矢視断面図。
【図3】一実施形態に係る浄化処理水生成部の概略図。
【図4】一実施形態に係る浄化処理水生成部の概略図。
【図5】一実施形態に係る浄化処理水生成部の概略図。
【図6】一実施形態に係る膜分離活性汚泥処理装置の概略図。
【図7】一実施形態に係る膜分離活性汚泥処理装置の概略図。
【図8】一実施形態に係る膜分離活性汚泥処理装置の概略図。
【図9】一実施形態に係る膜分離活性汚泥処理装置の概略図。
【図10】一実施形態の生物凝集槽の概略図。
【図11】一実施形態の生物凝集槽の概略図。
【図12】一実施形態の生物凝集槽の概略図。
【図13】一実施形態に係る膜分離活性汚泥処理装置の概略図。
【図14】一実施形態に係る膜分離活性汚泥処理装置の概略図。
【図15】一実施形態に係る膜分離活性汚泥処理装置の概略図。
【図16】一実施形態に係る膜分離活性汚泥処理装置の概略図。
【図17】一実施形態に係る膜分離活性汚泥処理装置の概略図。
【図18】実施例で用いた浄化処理水生成部の概略図。
【図19】実施例1及び比較例1の汚泥含有生物処理水を膜濾過した時における膜間の差圧の経時変化。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0052】
先ず、本実施形態に係る膜分離活性汚泥処理装置について説明する。
【0053】
図1は、本実施形態の膜分離活性汚泥処理装置の概略図である。
図1に示すように、本実施形態の膜分離活性汚泥処理装置1は、活性汚泥を生物的に凝集させて凝集汚泥体を生成する生物凝集手段により生成された凝集汚泥体及び廃水Aを混合して混合水を生成し且つ該混合水を生物処理して汚泥含有生物処理水を得る生物処理部2と、膜濾過を行う膜ユニット31を有して前記汚泥含有生物処理水から膜濾過によって透過水たる浄化処理水Bを得る浄化処理水生成部3とを備えてなる。
【0054】
前記生物処理として、具体的には、活性汚泥処理等を挙げることができる。
活性汚泥処理は、細菌、原生動物、後生動物等の生物種を有する活性汚泥と、有機物を含む廃水とを曝気しながら混合して、該有機物を前記生物種で分解する処理である。
【0055】
また、本実施形態の膜分離活性汚泥処理装置1は、汚泥含有生物処理水が浄化処理水生成部3に、透過水たる浄化処理水Bが透過水貯留部(図示せず)に、前記膜ユニット31での膜濾過により得られた非透過水が混合水の一部として生物処理部2に、汚泥濃縮水Cが汚泥濃縮水貯留部(図示せず)及び/又は混合水の一部として生物処理部2に移送されるように構成されてなる。
【0056】
さらに、本実施形態の膜分離活性汚泥処理装置1は、図1に示すように、汚泥含有生物処理水を移送する汚泥含有生物処理水移送経路4a、透過水たる浄化処理水Bを移送する浄化処理水移送経路4b、汚泥濃縮水Cを移送する汚泥濃縮水移送経路4c、非透過水を移送する非透過水移送経路4dを備えてなる。
【0057】
廃水Aは、生物分解することができる有機物等を含有する廃水であれば、特に限定されるものではないが、該廃水Aとしては、例えば、生活廃水や、食品工場、化学工場、電子産業工場、パルプ工場等の工場の廃水等が挙げられる。
【0058】
生物処理部2は、図2に示すように、生成した汚泥含有生物処理水を貯留する汚泥含有生物処理水貯留槽21と、担体22と、汚泥含有生物処理水貯留槽21内を曝気する生物処理曝気手段23とを備えてなる。
【0059】
前記生物凝集手段は、担体22により前記活性汚泥を凝集させ、前記担体22から前記凝集汚泥体を分離させて生成するものである。
【0060】
前記担体22は、前記膜ユニット31と離間するように配されてなる。また、前記担体22は、前記活性汚泥が付着される付着体22aと該付着体22aを支持する支持部22bとを備えてなる。さらに、前記担体22は、前記生物処理曝気手段23による曝気によって生じる水流で前記付着体22aが揺動するように構成されてなる。
【0061】
前記付着体22aは、糸状に形成されてなる。
前記付着体22aを構成する材料は、前記活性汚泥が付着しやすいものであれば特に限定されるものではないが、該材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリエチレン、炭素繊維等が挙げられる。
【0062】
前記支持部22bを構成する材料は、該付着体22aを支持するものであれば特に限定されるものではないが、該材料としては、例えば、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリエチレン、炭素繊維等が挙げられる。
【0063】
生物処理部2は、必要に応じて、凝集汚泥体の生成をより促進させるべく廃水Aと活性汚泥とが混合された水に凝集剤を添加する凝集剤添加手段を備えてなる。
凝集剤としては、従来公知の凝集剤を用いることができ、例えば、ポリ塩化アルミニウム、塩化第二鉄等の無機系凝集剤、有機系高分子凝集剤等が挙げられる。
【0064】
凝集汚泥体の粒径は、好ましくは、1μm〜10mmであり、より好ましくは、10μm〜1mmであり、さらに好ましくは、50μm〜500μmである。
本実施形態の膜分離活性汚泥処理装置1は、凝集汚泥体の粒径が1μm以上であることにより、凝集汚泥体が沈降しやすくなり固液分離性が向上されるため、濾過膜の目詰まりが生じにくくなるという利点がある。また、凝集汚泥体の粒径が10mm以下であることにより、凝集汚泥体による濾過膜間の閉塞が生じるのを抑制することができるという利点がある。
【0065】
前記浄化処理水生成部3は、図1に示すように、凝集汚泥体の重力沈降により、前記汚泥含有生物処理水Dから凝集汚泥体が前記汚泥含有生物処理水よりも濃縮された汚泥濃縮水と凝集汚泥体の含有率が前記汚泥含有生物処理水Dよりも少ない上澄水とを生成する重力沈降槽32を備え、前記膜ユニット31は、該上澄水を膜濾過することによって前記浄化処理水を生成するように構成されてなる。
【0066】
膜ユニット31が有する濾過膜の種類としては、特に限定されるものではないが、例えば、逆浸透膜(RO膜)、限外濾過膜(UF膜)、精密濾過膜(MF膜)等が挙げられる。
【0067】
前記濾過膜の構造としては、酢酸セルロース、芳香族ポリアミド、ポリビニールアルコール、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなどの素材により形成された直径数mmの中空糸状に形成されたいわゆる中空糸膜などと呼ばれるタイプのものや、薄い板状の膜たる平膜と呼ばれるタイプのものなど従来公知のものを採用することができる。
平膜は、膜のクリアランスが通常10mm程度であることから、前記濾過膜の構造が平膜である場合には、凝集汚泥体による該隙間の閉塞を抑制するという観点から、前記凝集汚泥体の粒径は、10mm以下であることが好ましい。
中空糸膜は、糸間の隙間が1mm程度であることから、前記濾過膜の構造が中空糸膜である場合には、凝集汚泥体による該隙間の閉塞を抑制するという観点から、前記凝集汚泥体の粒径は、1mm以下であることが好ましい。
【0068】
膜ユニット31は、前記重力沈降槽32内の液面下に浸漬膜として設置されてなる。
【0069】
膜ユニット31は、濾過膜を常時あるいは間欠的に曝気して該濾過膜に付着した凝集汚泥体等の汚れを取り除く膜曝気手段(図示せず)を備えてなる。
【0070】
前記重力沈降槽32は、図3に示すように、内側に傾斜板33が備えられてなる。
本実施形態の膜分離活性汚泥処理装置1は、重力沈降槽32に、内側に傾斜板33が備えられてなることにより、沈降した凝集汚泥体が再浮上するのを抑制することができ、上澄水に含まれる凝集汚泥体の量を抑制することができるため、濾過膜がより一層目詰まりし難くなるという利点がある。また、水面積負荷を高くしやすいことから重力沈降槽を小型化することが容易となり、又は分離界面(上澄水と汚泥濃縮水との界面)を低くしやすいことから膜ユニットの設置スペースの確保が容易となるという利点がある。
【0071】
また、前記重力沈降槽32は、必要に応じて、図4に示すように、該槽内に前記汚泥含有生物処理水を分配供給するディストリビューター34を備えてなる。
本実施形態の膜分離活性汚泥処理装置1は、重力沈降槽32に、該ディストリビューター34を備えてなることにより、前記重力沈降槽に浄化処理水を比較的均等に供給することができ、汚泥濃縮水と上澄水との界面を乱すことを抑制して、上澄水に凝集汚泥体が混入する量を抑制することができる。従って、濾過膜がより一層目詰まりし難くなるという利点がある。また、重力沈降槽内に前記汚泥含有生物処理水を供給する手段としてセンターウェルが備えられてなる重力沈降槽に比して、重力沈降槽を小型化することが容易となり、又は膜ユニットの設置スペースの確保が容易となるという利点がある。
【0072】
さらに、前記重力沈降槽32が、必要に応じて、図5に示すように、該槽内周面に沿って、前記汚泥含有生物処理水Dを旋回させながら該槽内に供給する旋回供給手段(図示せず)を備えてなる。
本実施形態の膜分離活性汚泥処理装置1は、前記重力沈降槽32が前記旋回供給手段を備えてなることにより、沈降した凝集汚泥体の浮上を抑制することができ、上澄水に含まれる凝集汚泥体の量を抑制することができるため、濾過膜がより一層目詰まりし難くなるという利点がある。また、重力に加えて遠心力により凝集汚泥体を沈降しやすくすることができることから水面積負荷を高くすることができ重力沈降槽を小型化することが容易となり、又は重力沈降槽内に前記汚泥含有生物処理水を供給する手段としてセンターウェルが備えられてなる重力沈降槽に比して重力沈降槽を小型化しやすくなり膜ユニットの設置スペースの確保が容易となるという利点がある。
【0073】
本実施形態の膜分離活性汚泥処理装置1は、図1に示すように、必要に応じて、前記膜ユニット31での膜濾過により得られた非透過水に含まれる有機物を酸化処理する非透過水酸化処理部5を備え、該非透過水酸化処理部5にて有機物が酸化処理された非透過水が前記混合水の一部として前記生物処理部2に移送されるように構成されてなる。
【0074】
非透過水酸化処理部5は、前記有機物を酸化する酸化手段を備えてなる。該酸化手段としては、例えば、紫外線(UV)を該有機物に照射する紫外線酸化手段、オゾン(O3)を発生して該有機物をオゾン分解させるオゾン酸化手段、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)を非透過水に添加して該有機物を分解する次亜塩素酸ナトリウム酸化手段等が挙げられる。
【0075】
非透過水酸化処理部5は、オゾンで前記有機物を酸化する場合、オゾンが生物処理部2内に混入して凝集汚泥体の生物種が死滅しないように、オゾンを排気するオゾン排気部(図示せず)を備えてなる。
また、非透過水酸化処理部5は、次亜塩素酸ナトリウムで前記有機物を酸化する場合、次亜塩素酸ナトリウムが生物処理部2内に混入して凝集汚泥体の生物種が死滅しないように、次亜塩素酸ナトリウムを還元剤で中和する中和部(図示せず)を備えてなる。
【0076】
次に、本実施形態の膜分離活性汚泥処理方法について説明する。
本実施形態の膜分離活性汚泥処理方法は、活性汚泥を生物的に凝集させて凝集汚泥体を生成する生物凝集手段により生成された凝集汚泥体及び廃水を混合して混合水を生成し該混合水を生物処理して汚泥含有生物処理水を得る生物処理工程と、膜ユニットを用いた膜濾過によって前記汚泥含有生物処理水から透過水たる浄化処理水を得る浄化処理水生成工程とを備えてなる。
【0077】
詳しくは、本実施形態の膜分離活性汚泥処理方法は、廃水Aと活性汚泥とを混合し前記生物凝集手段により活性汚泥を生物的に凝集させて凝集汚泥体を生成する凝集汚泥体形成工程と、前記生物処理部2に廃水Aをさらに供給し、該廃水A及び前記凝集汚泥体を混合して混合水を生成し該混合水を生物処理して汚泥含有生物処理水を得て、汚泥含有生物処理水移送経路4aを介して前記汚泥含有生物処理水を重力沈降槽32に移送する生物処理工程と、凝集汚泥体の重力沈降により、該移送された汚泥含有生物処理水から凝集汚泥体が前記汚泥含有生物処理水よりも濃縮された汚泥濃縮水と凝集汚泥体の含有率が前記汚泥含有生物処理水よりも少ない上澄水とを生成し、汚泥濃縮水移送経路4cを介して汚泥濃縮水Cを汚泥濃縮水貯留槽及び/又は混合水の一部として生物処理部2に移送する重力分離工程と、該上澄水を膜ユニット3で濾過して透過水たる浄化処理水及び非透過水を得て、透過水移送経路4bを介して透過水を透過水貯留槽に移送し、非透過水移送経路4dを介して非透過水を混合水の一部として生物処理部2に移送する浄化処理水生成工程とを備えてなる。
【0078】
本実施形態の膜分離活性汚泥処理装置、及び本実施形態の膜分離活性汚泥処理方法は、上記のように構成されているので、以下の利点を有するものである。
【0079】
即ち、本実施形態は、凝集汚泥体が凝集されたものであることにより、濾過膜への付着や濾過膜の目詰まりが生じ難くなる。また、凝集汚泥体が前記生物凝集手段により生成されたものであることにより、濾過膜の損傷を抑制することができる。その結果、本発明は、濾過効率を向上することができ、さらに、濾過膜の損傷を抑制して従来よりも濾過膜の寿命を延ばすことができ、また、洗浄の頻度を抑制して洗浄のためのエネルギーコストを抑制することができるという効果を奏する。
【0080】
また、本実施形態は、前記生物凝集手段は、担体により前記活性汚泥を凝集させ前記担体から前記凝集汚泥体を分離させて生成するものであることにより、担体自体と濾過膜とが接触しないようにすることができ、濾過膜の損傷をより一層抑制することができるという利点がある。また、一の担体から凝集汚泥体を何度も生成することが可能であるため、従来の担体(流動担体)に比して、活性汚泥を凝集させやすいという利点がある。
【0081】
さらに、本実施形態は、前記生物処理部内には曝気する曝気手段が備えられてなり、前記担体が前記膜ユニットと離間するように配され且つ前記活性汚泥が付着される付着体と該付着体を支持する支持部とを備え且つ前記曝気手段による曝気によって前記付着体が揺動するように構成されてなることにより、容易に凝集汚泥体を生成することができるという利点がある。
【0082】
また、本実施形態は、前記重力沈降槽を備え、前記膜ユニットが、該上澄水を膜濾過することによって前記浄化処理水を生成するように構成されてなることにより、凝集汚泥体を容易に沈降させることができるため、上澄水を容易に形成することができ、また、該上澄水を膜ユニットで濾過することにより、濾過膜の目詰まりをより一層抑制することができるという利点がある。よって、濾過膜の洗浄頻度や膜洗浄のための曝気量を低減することができる。
【0083】
さらに、本実施形態は、前記膜ユニットが、前記重力沈降槽内の液面下に浸漬膜として設置されてなることにより、装置の構造を簡単にし、また、装置を小型化することができるという利点がある。
【0084】
また、本実施形態は、前記非透過水酸化処理部を備え、該非透過水酸化処理部にて有機物が酸化処理された非透過水が前記混合水の一部として前記生物処理部に移送されるように構成されてなることにより、非透過水に含まれ且つ凝集汚泥体に分解され難い物質(難分解性物質)を酸化により凝集汚泥体に分解され易い物質(易分解性物質)まで分解し、難分解性物質が蓄積するのを抑制して、ファウリングを抑制することができるため、濾過膜がより一層目詰まりし難くなるという利点がある。
【0085】
尚、本実施形態の膜分離活性汚泥処理装置、及び本実施形態の膜分離活性汚泥処理方法は、上記構成により、上述の利点を有するものであったが、本発明の膜分離活性汚泥処理装置、及び本発明の膜分離活性汚泥処理方法は、上記構成に限定されず、適宜設計変更可能である。
【0086】
例えば、本実施形態の膜分離活性汚泥処理装置は、前記付着体22aが糸状に形成されてなるが、本実施形態の膜分離活性汚泥処理装置は、例えば、前記付着体22aが球状に形成され且つ前記曝気手段による曝気によって前記支持部22bが揺動することにより付着体22aが揺動するように構成されてもよい。
【0087】
また、本実施形態の膜分離活性汚泥処理装置は、前記膜ユニットが、前記重力沈降槽内の液面下に浸漬膜として設置されてなるが、本発明の膜分離活性汚泥処理装置は、図6に示すように、前記重力沈降槽32から前記上澄水が供給され且つ該上澄水を貯留する上澄水貯留槽35を備え、前記膜ユニットが前記上澄水貯留槽内の液面下に浸漬膜として設置されてもよい。
前記浸漬膜が、前記上澄水貯留槽の上澄水を濾過することにより、重力沈降槽の汚泥濃縮水に含まれる凝集汚泥体が上澄水へ浮遊した場合でも、この浮遊した凝集汚泥体が浸透膜に接してしまうのを抑制することができるため、濾過膜の目詰まりをより一層抑制することができるという利点がある。また、濾過膜を薬品洗浄した場合に、汚泥含有生物処理水貯留槽にその薬品が混入し難くなり、汚泥含有生物処理水貯留槽の凝集汚泥体が薬品による影響を受けにくくなるという利点もある。
【0088】
さらに、本実施形態の膜分離活性汚泥処理装置は、図1では、汚泥含有生物処理水貯留槽21と重力沈降槽32とが離間した別の槽で形成されてなるが、本発明の膜分離活性汚泥処理装置は、図6に示すように、汚泥含有生物処理水貯留槽21と重力沈降槽32とは、1つの槽が槽仕切り板6で区画されることにより形成されてもよい。
斯かる膜分離活性汚泥処理装置によれば、装置の構造を簡単にし、また、装置を小型化することができるという利点がある。
また、斯かる膜分離活性汚泥処理装置は、好ましくは、図6に示すように、前記重力沈降槽32は底部32aに汚泥濃縮水排出口が設けられてなり、前記底部32aは、前記汚泥濃縮水排出口に向けて傾斜するように、下方に向けて先細りとなるテーパー状に形成されてなる。
斯かる膜分離活性汚泥処理装置によれば、汚泥濃縮水を前記重力沈降槽32から容易に引き抜きやすくなり、汚泥濃縮水の凝集汚泥体が浮上するのを抑制することができ、上澄水に含まれる凝集汚泥体の量を抑制することができるため、濾過膜がより一層目詰まりし難くなるという利点がある。
【0089】
また、本実施形態の膜分離活性汚泥処理装置は、前記膜ユニット31が、該上澄水を膜濾過することによって前記浄化処理水を生成するように構成されてなるが、本発明の膜分離活性汚泥処理装置は、図7に示すように、膜ユニット31が圧力容器に濾過膜が収納されたタイプであり、重力沈降槽32の槽外に設置され、且つ上澄水がポンプ7を介して加圧されてから該膜ユニット31に供給されるように構成されてもよい。
斯かる膜分離活性汚泥処理装置によれば、高圧力による濾過が可能となるため、膜ユニットが浸漬膜の場合に比べて、透過水を高い透過流束で回収することができ、薬品等による洗浄等が行い易くなるという利点がある。
【0090】
さらに、斯かる膜分離活性汚泥処理装置は、好ましくは、図7に示すように、前記上澄水に含まれる有機物を酸化処理する上澄水酸化処理部8を備え、該上澄水酸化処理部8にて有機物が酸化処理された上澄水を膜濾過することによって前記浄化処理水を生成するように構成されていてもよく、さらに、非透過水が非透過水酸化部5により酸化処理されてから混合水の一部として汚泥含有生物処理水貯留槽21に移送されるように構成されていてもよい。
斯かる膜分離活性汚泥処理装置によれば、上澄水に含まれ且つ凝集汚泥体に分解され難い物質(難分解性物質)を酸化により凝集汚泥体に分解され易い物質(易分解性物質)まで分解し、難分解性物質が蓄積するのを抑制して、ファウリングを抑制することができるため、濾過膜がより一層目詰まりし難くなるという利点がある。
【0091】
また、本実施形態の膜分離活性汚泥処理装置は、汚泥含有生物処理水から汚泥濃縮水と上澄水とを生成する重力沈降槽を備えてなるが、本発明の膜分離活性汚泥処理装置は、図8に示すように、前記浄化処理水生成部が、遠心力により、前記汚泥含有生物処理水から凝集汚泥体が前記汚泥含有生物処理水よりも濃縮された汚泥濃縮水と凝集汚泥体の含有率が前記汚泥含有生物処理水よりも少ないサイクロン処理水とを生成するサイクロン9を備え、前記膜ユニットが該サイクロン処理水を膜濾過することによって前記浄化処理水を生成するように構成されていてもよく、さらに、汚泥含有生物処理水がサイクロン9に移送され、汚泥濃縮水が汚泥濃縮水貯留部(図示せず)及び/又は混合水の一部として生物処理部2に移送されるように構成されていてもよい。
斯かる膜分離活性汚泥処理装置によれば、膜ユニットに供給されるサイクロン処理水に含まれる凝集汚泥体の含有量が減少されているため、濾過膜がより一層目詰まりし難くなるという利点がある。また、サイクロンは重力沈殿槽に比して省スペースで済むことから、省スペースで濾過膜を目詰まりし難くすることができるという利点がある。
また、本発明の膜分離活性汚泥処理装置は、前記サイクロン9の代わりにスクリーンを備えてもよく、具体的には、前記汚泥含有生物処理水から凝集汚泥体の含有率が前記汚泥含有生物処理水よりも少ないスクリーン処理水を生成するスクリーンを備え、前記膜ユニットは、該スクリーン処理水を膜濾過することによって前記浄化処理水を生成するように構成されてもよく、さらに、汚泥含有生物処理水がスクリーンに移送されるように構成されていてもよい。
斯かる膜分離活性汚泥処理装置によれば、膜ユニットに供給されるスクリーン処理水に含まれる凝集汚泥体の含有量が減少されているため、濾過膜がより一層目詰まりし難くなるという利点がある。また、スクリーンは重力沈殿槽に比して省スペースで済むことから、省スペースで濾過膜を目詰まりし難くすることができるという利点がある。
【0092】
さらに、本実施形態の膜分離活性汚泥処理装置は、前記汚泥含有生物処理水貯留槽21が凝集汚泥体を生成するが、本発明の膜分離活性汚泥処理装置は、図9に示すように、前記生物処理部2が、前記生物凝集手段により凝集汚泥体を生成する生物凝集槽24と、該生成された凝集汚泥体及び廃水を混合して混合水を生成し該混合水を生物処理して汚泥含有生物処理水を得る汚泥含有生物処理水貯留槽21とを備えてなり、前記浄化処理水生成部3が、重力沈降により前記汚泥含有生物処理水から凝集汚泥体が前記汚泥含有生物処理水よりも濃縮された汚泥濃縮水と凝集汚泥体の含有率が前記汚泥含有生物処理水よりも少ない上澄水とを生成する重力沈降槽32を備えてなり、前記膜ユニット31が、前記上澄水を膜濾過することによって前記浄化処理水を生成するように構成されてなり、前記重力沈降槽32により生成された汚泥濃縮水を前記生物凝集槽24に移送する汚泥濃縮水移送手段10が備えられてもよい。
【0093】
また、斯かる膜分離活性汚泥処理装置は、前記生物凝集槽24で生成された凝集汚泥体を汚泥含有生物処理水貯留槽21に移送する凝集汚泥体移送経路11を備えてなる。また、斯かる膜分離活性汚泥処理装置は、必要に応じて、前記生物凝集槽24内を曝気する生物凝集槽曝気手段(図示せず)を備えてなるが、該生物凝集槽曝気手段(図示せず)を備えない態様であってもよい。
【0094】
さらに、斯かる膜分離活性汚泥処理装置は、前記生物凝集槽24と前記汚泥含有生物処理水貯留槽21とが別体の槽となるように区画されて形成されてなる。
【0095】
また、斯かる膜分離活性汚泥処理装置は、好ましくは、前記生物凝集手段が、担体22により前記活性汚泥を凝集させ前記担体22から前記凝集汚泥体を分離させて生成するものであり、前記担体22が、活性汚泥が付着される付着体22aと該付着体22aを支持する支持部22bとを備えてなり、前記汚泥濃縮水移送手段10から前記生物凝集槽24に移送される汚泥濃縮水の水流によって前記付着体22aが揺動するように構成されてなる。
また、斯かる膜分離活性汚泥処理装置は、生物凝集槽24が担体22により活性汚泥を凝集させるように構成されてなる代わりに、生物凝集槽24として、汚泥濃縮水が乱流で移送され得るように移送経路の長さが延長されたものや経路が細分化されたもの、具体的には、図10に示すような流路がジグザグにされたものや、図11に示すような多管状(ハニカム状)のものや、図12に示すようなスタティクミキサーが設けられてなるものを備えてもよい。斯かる膜分離活性汚泥処理装置によれば、高速に活性汚泥を壁様のものに衝突させることができるため、効率良く凝集汚泥体を生成し得るという利点がある。
【0096】
さらに、斯かる膜分離活性汚泥処理装置は、図13に示すように、前記重力沈降槽32の代わりに、遠心力により前記汚泥含有生物処理水から凝集汚泥体が前記汚泥含有生物処理水よりも濃縮された汚泥濃縮水と凝集汚泥体の含有率が前記汚泥含有生物処理水よりも少ないサイクロン処理水とを生成するサイクロン9を備え、前記膜ユニット31が、前記サイクロン処理水を膜濾過することによって前記浄化処理水を生成するように構成されてなり、前記サイクロン9により生成された汚泥濃縮水を前記生物凝集槽24に移送する汚泥濃縮水移送手段10が備えられてもよい。
【0097】
また、本発明の膜分離活性汚泥処理装置は、図14に示すように、前記生物処理部2が、前記生物凝集手段により凝集汚泥体を生成する生物凝集槽24と、該生成された凝集汚泥体及び廃水を混合して混合水を生成し該混合水を生物処理して汚泥含有生物処理水を得る汚泥含有生物処理水貯留槽21とを備えてなり、前記膜ユニット31により生成された非透過水が、前記汚泥含有生物処理水貯留槽21内の汚泥含有生物処理水よりも凝集汚泥体が濃縮されたものとなるように構成されてなり、前記非透過水を前記生物凝集槽に移送する非透過水移送手段12が備えられてもよい。
また、斯かる膜分離活性汚泥処理装置は、汚泥含有生物処理水がポンプ13を介して膜ユニット31に移送され、必要に応じて、非透過水Eが非透過水貯留槽(図示せず)に移送されるように構成されてなる。
【0098】
さらに、斯かる膜分離活性汚泥処理装置は、好ましくは、前記生物凝集手段が、担体22により前記活性汚泥を凝集させ前記担体22から前記凝集汚泥体を分離させて生成するものであり、前記担体22が、活性汚泥が付着される付着体22aと該付着体22aを支持する支持部22bとを備えてなり、前記非透過水移送手段12から前記生物凝集槽24に移送される非透過水の水流によって前記付着体22aが揺動するように構成されてなる。
【0099】
また、本発明の膜分離活性汚泥処理装置は、図15〜17に示すように、前記汚泥含有生物処理水貯留槽21及び前記生物凝集槽24の水面下にそれぞれ担体22が収容されるように構成されていてもよい。
【実施例】
【0100】
次に、実施例および比較例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。
【0101】
(実施例1)
汚泥含有生物処理水貯留槽(容積:10.6L、内寸:115cm(幅)×145cm(奥行き)×640cm(高さ))、担体としてのバイオフリンジ(登録商標)(エヌ・イー・ティ社製)、及び生物処理曝気手段としてポンプを用いて活性汚泥及び廃水を混合して凝集汚泥体を生成し実施例1の汚泥含有生物処理水を生成した。
具体的には、まず、前記汚泥含有生物処理水貯留槽内に廃水(魚肉エキス・ペプトンを主成分としたBODを1000mg/L含有し且つpH緩衝成分としてのNaHCO3でpH7.0に調整された廃水)及び活性汚泥を入れた(このときを以下「初期注入時」という)。そして、生物処理曝気手段によって一日曝気して廃水と活性汚泥とを混合して活性汚泥を担体により凝集させた。その後、初期注入時から1週間(初期注入時から1日間は除く)には2.5L/d、1〜2週の間には5L/d、2〜3週の間には10L/d、3〜5週の間には15L/d、5〜7週の間には23L/d、7〜8週の間には30L/dの一定速度で廃水を注入し且つ廃水と活性汚泥とを混合しつつ曝気して、活性汚泥を担体によって凝集させ担体から分離させて凝集汚泥体を生成し実施例1の汚泥含有生物処理水を生成した。尚、曝気は空気量10L/minで行った。また、前記汚泥含有生物処理水貯留槽内のMLSSが9,000〜10,000mg/Lになるよう前記汚泥含有生物処理水貯留槽内の汚泥を引き抜いた。
【0102】
(実施例2)
前記汚泥含有生物処理水貯留槽内のMLSSが5,000〜6,000mg/Lになるように、前記汚泥含有生物処理水貯留槽内の汚泥を引き抜いたこと以外は実施例1と同様な方法で、表1に示すように、MLSSが、5,660mg/L、MLVSSが、5,270mg/Lである実施例2の汚泥含有生物処理水を生成した。
【0103】
(比較例1)
担体としてのバイオフリンジ(登録商標)を設置しなかったこと以外は実施例1と同様な方法で、表1に示すように、実施例1の浄化処理水のMLSS及びMLVSSが同程度の比較例1の汚泥含有生物処理水を生成した。
【0104】
(比較例2)
担体としてのバイオフリンジ(登録商標)を設置しなかったこと以外は実施例2と同様な方法で、表1に示すように、実施例2の浄化処理水のMLSS及びMLVSSが同程度の比較例2の汚泥含有生物処理水を生成した。
【0105】
実施例及び比較例の汚泥含有生物処理水を下記の試験に供した。
【0106】
実施例及び比較例の汚泥含有生物処理水中のMLSS、MLVSS、活性汚泥沈降率(SV30)は、JIS B 9944(「活性汚泥処理装置の試験方法」)に従って測定した。また、MLSSに対するMLVSSの比(VSS/SS比)を算出した。
【0107】
濾過器上に5種C(JIS P 3801)の濾紙(アドバンテック社製、直径18.5cm)を載置し、該濾紙上に実施例及び比較例の汚泥含有生物処理水を50mL滴下し、滴下して5分経過後に濾紙を透過した濾液(透過水)の量(透過水量)を測定した。
【0108】
実施例及び比較例の汚泥含有生物処理水中の粘度は、粘度計(商品名:ビスコテスターVT−03F、リオン社製)で測定した。
【0109】
実施例及び比較例の汚泥含有生物処理水中を前記5種Cの濾紙で濾過して濾液(透過水)を得た。該透過水に含まれる全有機炭素(TOC)濃度(透過水中のTOC(5C))を、TOC計(商品名:TOC−5000A、島津製作所社製)で測定した。
【0110】
実施例及び比較例の汚泥含有生物処理水中を0.1μmの濾紙(アドバンテック社製)で濾過して濾液を得た。該濾液に含まれる全有機炭素(TOC)濃度(透過水中のTOC(0.1μm))を、前記TOC計で測定した。
【0111】
実施例及び比較例の汚泥含有生物処理水中の溶解性微生物代謝産物(Soluble Microbial Products(SMP))濃度は、下記式(1)で算出した。
SMP = TOC(5C) − TOC(0.1μm) (1)
【0112】
図18に示すように、実施例1及び比較例1の汚泥含有生物処理水をぞれぞれ500Lタンク51に入れ、膜ユニットとしての浸漬膜52(ポリフッ化ビニリデン(PVDF)製、孔径:0.1μm、表面積:0.05m3)を該タンク51内の汚泥含有生物処理水53に浸漬し、常時汚泥含有生物処理水53を攪拌機54で撹拌し且つブロア55で曝気しながら膜濾過し膜差水圧(膜間差圧)を圧力データロガー56(商品名:DAQSTATION DX120、横河電機社製)で測定した。膜差水圧の経時変化を図19に示す。温度25℃、透過水の流束0.6m/dの条件下で測定を行った。
尚、比較例1の汚泥含有生物処理水では、膜の目詰まりにより流束0.6m/dの条件下での透過水の回収を測定開始直後から実施できなくなったため、比較例1については、図10に、透過水の流束0.6m/dでの膜差水圧として換算した値を示す。換算値は、下記式(2)により算出した。
膜差水圧(換算値)=膜差水圧(実測値)×0.6m/d÷透過流束(m/d)(実測値) (2)
【0113】
上記試験の結果を表1、図19に示す。
【0114】
【表1】

【0115】
本発明の範囲内である実施例1、2の汚泥含有生物処理水は、MLSS、MLVSSが同程度であり、且つ凝集させていない活性汚泥を有してなる比較例1、2の汚泥含有生物処理水に比して、SV30、粘度、SMP、透過水中TOC(5C)、透過水中TOC(0.1μm)が低い値を示した。
また、図10に示すように、本発明の範囲内である実施例1の汚泥含有生物処理水の膜濾過では、比較例1の汚泥含有生物処理水の膜濾過に比して、膜間の差圧は小さく安定しており、濾過膜の汚染が抑制されることが示された。
【符号の説明】
【0116】
1:膜分離活性汚泥処理装置、2:生物処理部、3:浄化処理水生成部、4a:汚泥含有生物処理水移送経路、4b:浄化処理水移送経路、4c:汚泥濃縮水移送経路、4d:非透過水移送経路、5:非透過水酸化処理部、6:槽仕切り板、7:ポンプ、8:上澄水酸化処理部、9:サイクロン、10:汚泥濃縮水移送手段、11:凝集汚泥体移送経路、12:非透過水移送手段、13:ポンプ、21:汚泥含有生物処理水貯留槽、22:担体、22a:付着体、22b:支持部、23:生物処理曝気手段、24:生物凝集槽、31:膜ユニット、32:重力沈降槽、33:傾斜板、34:ディストリビューター、35:上澄水貯留層、51:タンク、52:浸漬膜、53:汚泥含有生物処理水、54:攪拌機、55:ブロア、56:圧力データロガー、A:廃水、B:浄化処理水、C:汚泥濃縮水、D:汚泥含有生物処理水、E:非透過水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性汚泥を生物的に凝集させて凝集汚泥体を生成する生物凝集手段により生成された凝集汚泥体及び廃水を混合して混合水を生成し該混合水を生物処理して汚泥含有生物処理水を得る生物処理部と、膜濾過を行う膜ユニットを有して前記汚泥含有生物処理水から膜濾過によって透過水たる浄化処理水を得る浄化処理水生成部とを備えてなることを特徴とする膜分離活性汚泥処理装置。
【請求項2】
前記生物凝集手段は、担体により前記活性汚泥を凝集させ前記担体から前記凝集汚泥体を分離させて生成するものである請求項1記載の膜分離活性汚泥処理装置。
【請求項3】
前記生物処理部内には曝気する曝気手段が備えられてなり、前記担体は、前記膜ユニットと離間するように配され、且つ前記活性汚泥が付着される付着体と該付着体を支持する支持部とを備え、且つ前記曝気手段による曝気によって前記付着体が揺動するように構成されてなる請求項2記載の膜分離活性汚泥処理装置。
【請求項4】
前記凝集汚泥体の粒径が、1μm〜10mmである請求項1〜3の何れかに記載の膜分離活性汚泥処理装置。
【請求項5】
前記浄化処理水生成部は、凝集汚泥体の重力沈降により、前記汚泥含有生物処理水から凝集汚泥体が前記汚泥含有生物処理水よりも濃縮された汚泥濃縮水と凝集汚泥体の含有率が前記汚泥含有生物処理水よりも少ない上澄水とを生成する重力沈降槽を備え、前記膜ユニットは、該上澄水を膜濾過することによって前記浄化処理水を生成するように構成されてなる請求項1〜4の何れかに記載の膜分離活性汚泥処理装置。
【請求項6】
前記膜ユニットは、前記重力沈降槽内の液面下に浸漬膜として設置されてなる請求項5記載の膜分離活性汚泥処理装置。
【請求項7】
前記重力沈降槽から前記上澄水が供給され且つ該上澄水を貯留する上澄水貯留槽を備え、前記膜ユニットは前記上澄水貯留槽内の液面下に浸漬膜として設置されてなる請求項5記載の膜分離活性汚泥処理装置。
【請求項8】
前記生物処理部は生成した汚泥含有生物処理水を貯留する汚泥含有生物処理水貯留槽を備え、
前記汚泥含有生物処理水貯留槽と前記重力沈降槽とは、1つの槽が仕切り板で区画されることにより形成されてなる請求項5〜7の何れかに記載の膜分離活性汚泥処理装置。
【請求項9】
前記重力沈降槽は底部に汚泥濃縮水排出口が設けられてなり、前記底部は、前記汚泥濃縮水排出口に向けて傾斜するように、下方に向けて先細りとなるテーパー状に形成されてなる請求項5〜8の何れかに記載の膜分離活性汚泥処理装置。
【請求項10】
前記重力沈降槽は内側に傾斜板が備えられてなる請求項5〜9の何れかに記載の膜分離活性汚泥処理装置。
【請求項11】
前記重力沈降槽は、該槽内に前記汚泥含有生物処理水を分配供給するディストリビューターを備えてなる請求項5〜10の何れかに記載の膜分離活性汚泥処理装置。
【請求項12】
前記重力沈降槽は、該槽内周面に沿って、前記汚泥含有生物処理水を旋回させながら該槽内に供給する旋回供給手段を備えてなる請求項5〜11の何れかに記載の膜分離活性汚泥処理装置。
【請求項13】
前記膜ユニットでの膜濾過により得られた非透過水に含まれる有機物を酸化処理する非透過水酸化処理部を備え、該非透過水酸化処理部にて有機物が酸化処理された非透過水が前記混合水の一部として前記生物処理部に移送されるように構成されてなる請求項1〜12の何れかに記載の膜分離活性汚泥処理装置。
【請求項14】
前記上澄水に含まれる有機物を酸化処理する上澄水酸化処理部を備え、該上澄水酸化処理部にて有機物が酸化処理された上澄水を膜濾過することによって前記浄化処理水を生成するように構成されてなる請求項5記載の膜分離活性汚泥処理装置。
【請求項15】
前記浄化処理水生成部は、遠心力により、前記汚泥含有生物処理水から凝集汚泥体が前記汚泥含有生物処理水よりも濃縮された汚泥濃縮水と凝集汚泥体の含有率が前記汚泥含有生物処理水よりも少ないサイクロン処理水とを生成するサイクロンを備え、前記膜ユニットは、該サイクロン処理水を膜濾過することによって前記浄化処理水を生成するように構成されてなる請求項1〜4の何れかに記載の膜分離活性汚泥処理装置。
【請求項16】
前記浄化処理水生成部は、前記汚泥含有生物処理水から凝集汚泥体の含有率が前記汚泥含有生物処理水よりも少ないスクリーン処理水を生成するスクリーンを備え、前記膜ユニットは、該スクリーン処理水を膜濾過することによって前記浄化処理水を生成するように構成されてなる請求項1〜4の何れかに記載の膜分離活性汚泥処理装置。
【請求項17】
前記生物処理部は、前記生物凝集手段により凝集汚泥体を生成する生物凝集槽と、該生成された凝集汚泥体及び廃水を混合して混合水を生成し該混合水を生物処理して汚泥含有生物処理水を得る汚泥含有生物処理水貯留槽とを備えてなり、
前記膜ユニットにより生成された非透過水が、前記汚泥含有生物処理水貯留槽内の汚泥含有生物処理水よりも凝集汚泥体が濃縮されたものとなるように構成されてなり、
前記非透過水を前記生物凝集槽に移送する非透過水移送手段が備えられてなる請求項1記載の膜分離活性汚泥処理装置。
【請求項18】
前記生物処理部は、前記生物凝集手段により凝集汚泥体を生成する生物凝集槽と、該生成された凝集汚泥体及び廃水を混合して混合水を生成し該混合水を生物処理して汚泥含有生物処理水を得る汚泥含有生物処理水貯留槽とを備えてなり、
前記浄化処理水生成部は、重力沈降により前記汚泥含有生物処理水から凝集汚泥体が前記汚泥含有生物処理水よりも濃縮された汚泥濃縮水と凝集汚泥体の含有率が前記汚泥含有生物処理水よりも少ない上澄水とを生成する重力沈降槽、又は、遠心力により前記汚泥含有生物処理水から凝集汚泥体が前記汚泥含有生物処理水よりも濃縮された汚泥濃縮水と凝集汚泥体の含有率が前記汚泥含有生物処理水よりも少ないサイクロン処理水とを生成するサイクロンを備えてなり、
前記膜ユニットは、前記上澄水又はサイクロン処理水を膜濾過することによって前記浄化処理水を生成するように構成されてなり、
前記重力沈降槽若しくはサイクロンにより生成された汚泥濃縮水を前記生物凝集槽に移送する汚泥濃縮水移送手段が備えられてなる請求項1記載の膜分離活性汚泥処理装置。
【請求項19】
前記生物凝集手段は、担体により前記活性汚泥を凝集させ前記担体から前記凝集汚泥体を分離させて生成するものであり、
前記担体は、活性汚泥が付着される付着体と該付着体を支持する支持部とを備えてなり、
水流によって前記付着体が揺動するように構成されてなる請求項17又は18記載の膜分離活性汚泥処理装置。
【請求項20】
活性汚泥を生物的に凝集させて凝集汚泥体を生成する生物凝集手段により生成された凝集汚泥体及び廃水を混合して混合水を生成し該混合水を生物処理して汚泥含有生物処理水を得る生物処理工程と、膜ユニットを用いた膜濾過によって前記汚泥含有生物処理水から透過水たる浄化処理水を得る浄化処理水生成工程とを備えてなることを特徴とする膜分離活性汚泥処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−137216(P2010−137216A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150522(P2009−150522)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000192590)株式会社神鋼環境ソリューション (534)
【Fターム(参考)】