説明

膜濾過工程用現場検出分析装置

【課題】 膜濾過工程用現場検出分析装置の提供。
【解決手段】 本発明は光感知装置と駆動装置とデータ処理装置とを備えた膜濾過工程用現場検出分析装置開示する。前記光感知装置は線形の第一アレイに配列される複数の感知素子を含有して、線形の位置にケーキ層の厚み変化に関する信号を検出する。前記駆動装置は前記光感知装置は少なくとも一つの局部平面にケーキ層の厚み変化を検出できるように、前記ケーキ層上に平行に前記濾材と前記光感知装置との相対的移動ことができるように前記光感知装置を駆動する。前記データ処理装置は前記光感知装置を接続し、前記光感知装置から検出され前記信号を連続的に処理と分析する、さらにすぐにこの膜濾過工程中に少なくとも一つの局部平面にケーキ層の厚み変化を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濾過システムで生成したケーキ層の厚さを測定する検出分析装置に係り、特に光感知装置と駆動装置をあわせて使用する濾過システムに応用し、即時現場でケーキ層成長を測定する膜濾過工程用現場検出分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
濾過工程において、スラリーの固形成分の直径が濾材の孔径より大きくなると、濾過工程を複数回進めたときに、濾材の表面にケーキ層が徐々に生成され、その厚みは時間とともに増加する。ケーキの厚みが厚くなると、スラリーを濾過する障害は大きくなるので、濾過率は遅くなる。したがって、濾材上のケーキは取り除かねばならないが、通常はケーキを完全に取り除くのは難しく、一部が濾過膜上に残留する。このまま前記濾過膜を使用して濾過プロセスを進めると生成するケーキの厚み分布の違いはより大きくなり、スラリーの流動状態が不安定となって例えばケーキの粘性と孔隙率などケーキ物理特性もよりむらが出るため、したがって、このときに濾材表面のケーキの厚み分布を測定して特性を理解すれば、ケーキがある一定の厚みに達するまでを測定して洗浄処理を行い、濾過効率を上昇することができる。排気ガス濾過、スラリー濾過または精密セラミック工業のような分野では、このようなケーキの厚み分布を測定する方法は、非常に重要な問題である。
【0003】
現在では、ケーキの厚みを測定する技術は、大まかに2つの種類に分けられる。1つは破壊的な測定方法であり、濾過膜からケーキを取り外して、ケーキの厚みを測定しやすく加工するために、ケーキの元の構造を破壊し、濾過工程実行中にケーキの厚みをすぐに測定することができない。2つ目は非破壊的な測定方法である。つまり、濾過工程中に形成されるケーキの厚さを直接測定して、ケーキの形成を邪魔せずその構造を破壊しないので、濾過工程中のケーキの真の厚みを表すことができる。
【0004】
破壊的な測定には、乾燥秤量法、冷凍セクション法、ケーキ再建方法などのような方法が挙げられる。ある文献では、ケーキ上に数点を取って、細胞からなるケーキ内蛋白質成分を分析して、単位ケーキ堆積における細胞数を計算して、細胞の形状と孔隙率をあらかじめ設定してケーキの厚みを計算したのち、顕微鏡によるイーストと細胞の観察からこの測定方法を実証したが、その結果については報告されていない(非特許文献1参照)。この方法は、複雑で、且つ誤差を生じやすい。又、冷凍セクション法についての文献では、ケーキを冷凍してから、顕微鏡を使って、ケーキの厚みと孔隙率を観察する(非特許文献2参照)。このほか、ケーキの厚みと孔隙率を測る破壊的な方法では、管状濾材上で生成したケーキの固形成分を取り出し、表面の濾過方法と同じ操作条件を使って(定圧下の濾過)ケーキを再建して、その厚みを測定し管状濾材内におけるケーキの厚みとすることが開示されている(非特許文献3参照)。
【0005】
また、いろいろな非破壊的な測定方法も、現在開発されている。大部分は光または音波を利用してケーキの物理特性が反射波の強さで測定される。たとえば、1973年の米国特許第3,748,263号は濾過板が垂直に重畳して配置された沈殿槽内の濾過室で、ケーキの厚みを計る方法が開示されている。流入されるスラリーはケーキと濾液に分けられ、(特許文献1参照)前記ケーキは濾過板の表面で作られ、濾液は支流から収集タンクへ集められる。ケーキが所定の最大厚みに達したとき、濾過室の通過水道を詰まらせて、支流から流出した濾液がガラスをとおして見たときに透明であれば、沈殿槽内の濾過室のケーキが所定の最大厚みに達したことを示す。(特許文献1参照)
【0006】
また、1974年の米国特許第3,815,745号は、フィルタ内のケーキの厚さと洗浄の程度、乾燥の程度とを測定する装置を開示している。この装置は濾液と洗液と乾燥ガスをマニホールドから導入して、検知素子をマニホールドとフィルタ入口との間に検知素子を提供して、他の検知素子をフィルタ内に提供して、2つの検知素子から2つの信号の差異によりケーキの厚みを計る。又、ケーキの厚みと洗浄程度と乾燥程度も同じような方法で測定し、ケーキの厚さ、洗浄の程度及び乾燥の程度を制御する。(特許文献2参照)
【0007】
このほか、一方では1985年の米国特許第4,548,080号は、掘削時の流体力学を模擬する装置を開示している。この装置は、超音波を生成、受信できる超音波装置を有する検知器を備える。(特許文献3参照)
該検知素子は棒状で、間隔をおいて多孔性円形スリーブを包囲し、スラリーからなるケーキが多孔性円形スリーブの内面に形成され、該検知器は外に向かって超音波を放射して、超音波がケーキ表面に当たって検知素子に反射するまでの間隔の時間を受信器で記録し、これによりスラリーのケーキ厚さを測定して、ケーキを通過する流速を維持することが開示されている。
【0008】
また、別の文献によれば、フィルタの表面で高さ分布を測る方法がフィルタケーキの上で光線を移動できるようなライトプロジェクタを使って、CCDデジタルカメラと合わせて、ライトプロジェクタの投射点の垂直軸と濾過膜、ケーキ表面との交差点とのライトプロジェクタに対する角度差を記録して、ケーキの表面高さ分布を測定し、コンピュータにより計算して後、その立体像が表示されることが開示されている。(非特許文献4参照)
【0009】
さらにまた別の文献では(非特許文献5参照)、超音波の発散と反射原理を利用して、間隔の時間を測定して換算した後、精密セラミックのプロセスにおけるケーキ厚さを得る方法が開示されている。然しながら、この方法では、ケーキ成長をじゃまするか、若しくはケーキ構造を破壊する。
【0010】
それゆえに、この破壊的な方法でケーキの厚みを測定しても、濾過工程中のケーキ厚みを得ることができないため、フィルタの調整をすぐにすることができない。また、ケーキの元の構造が乾燥、冷凍、ケーキ再建時に変化する。他方、フィルタケーキの厚さの非破壊的な測定方法では、例えば高価な器材が必要、測定の後の換算が複雑、時間がかかる、実験の誤差または計算ミスエラーが起こり易く、ケーキまで発射する波長がケーキの形成プロセスまたはケーキの構造を破壊するなどの問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第3,748,263号。
【特許文献2】米国特許第3,815,745号。
【特許文献3】米国特許第4,548,080号。
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Riesmeier, B., K.H. Kroner, and M.R.Kula, Studies on secondary layer formation and its characterization during cross-flow filtration of microbial cells, J. Membr. Sci., Vol.34, pp.245,1987。
【非特許文献2】Schmidt, E. and F. Loffeler, Preparation of dust cakes for microscopic examination, Powder Technol., Vol.60, pp.173, 1990。
【非特許文献3】Vyas, H.K., A.J. Mawson, R.J. Bennett, A.D. Marshall, A new method for estimating cake height and porosity during cross flow filtration of particulate suspensions, J. Membr. Sci. Vol.176, pp.113-119, 2000。
【非特許文献4】Dittler, A., B. Gutmann, R. Lichtenberger, H. Weber and G. Kasper, Optical in situ measurement of dust cake thickness distributions on rigid filter media for gas cleaning, Powder Technology, Vol. 99, pp, 177-184, 1998。
【非特許文献5】Hutchins D.A. and H.D. Mair, Ultrasonic monitoring of slip, cast ceramics, J. Materials science Letters, Vol. 8, pp. 1185, 1989。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述の問題に対して、本発明は、産業の需要を満たすために、膜濾過工程用現場検出分析装置を提供することを目的としている。
【0014】
本発明の一つの目的は、濾過工程中に即時にケーキの厚みを測定し、且つケーキ構造を破壊しない検出分析装置を提供する。
【0015】
本発明の別の目的は、濾過工程用現場検出分析装置を提供し、現場(イン・サイチュ)測定の光学技術を利用し、安いコストで実装が容易、且つ高精度の濾過工程用現場検出分析装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、濾過システムに用いる、膜濾過工程用現場検出分析装置であって、前記濾過システムは、濾過装置と濾材と被濾過物を備え、前記濾過装置は、膜濾過工程を実行し濾材上にケーキ層の厚み変化を現場で検出及び分析する装置であって、
線形の第一アレイに配列され、複数の感知素子を含有し、前記濾材の線型位置にある一つの線形の位置にケーキ層の厚み変化に関する信号を検出する光感知装置と、
前記光感知装置が前記濾材の少なくとも一局部平面におけるケーキ層の厚み変化を検出できるように、前記ケーキ層上で前記濾材と平行に相対移動するように前記光感知装置を駆動する駆動装置と、
前記光感知装置に接続し、前記光感知装置から検出された前記信号を連続的に処理分析して、即時に該濾材の少なくとも局部平面上におけるケーキ層の厚み変化を算出する、一つのデータ処理装置と、
を備えたことを特徴とする、膜濾過工程用現場検出分析装置を提供する。
【0017】
また、本発明は、前記濾過システムが薄膜生物反応器であって、前記薄膜生物反応器が互いに平行配置される複数の濾過板を含み、それぞれ濾過板が少なくとも一の濾過膜で被覆され、前記薄膜生物反応器が前記膜濾過工程を実施し、それぞれ濾過膜上にケーキ層の厚み変化を有し、濾材上にケーキ層の厚み変化を現場で検出及び分析する装置が、
線形の第一アレイに配列され、複数の感知素子を含有し、前記濾材の線型位置にある一つの線形の位置にケーキ層の厚み変化に関する信号を検出する光感知装置と、
前記光感知装置を前記濾材上において前記濾過膜と平行に相対移動するように駆動し、且つ前記光感知装置を複数の互いに平行する濾過板との間で移動するよう駆動する駆動装置と、
前記光感知装置に接続し、前記光感知装置から検出された前記信号を連続的に処理分析して、即時に濾過工程中の少なくとも一濾過板の濾過膜上の全ての平面上におけるケーキ層の厚み変化を算出する、一つのデータ処理装置と、
を備えたことを特徴とする、膜濾過工程用現場検出分析装置を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、膜濾過工程用現場検出分析装置は、濾過工程中ですぐにケーキの厚みを測って、ケーキの構造を破壊しない、現場(イン・サイチュ)測定の光学技術を利用し、コストが低くすること、設置が容易にできること、精度を向上させるという効果を達成する。これにより、前記の問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第一実施形態の膜濾過工程用現場検出分析装置を示す図である。
【図2】本発明の第一実施形態の光感知装置を示す図である。
【図3】本発明の第一実施形態の保護装置付き光感知装置を示す図である。
【図4】本発明の第二実施形態の薄膜生物反応器400で使われる膜濾過工程用現場検出分析装置を示す図である。
【図5】本発明の第二実施形態の光感知装置を示す図である。
【図6】本発明の第二実施形態の他の光感知装置を示す図である。
【図7】本発明の第二実施形態の他の膜濾過工程用現場検出分析装置を示す図である。
【図8】本発明の第二実施形態の保護装置付き光感知装置を示す図である。
【図9】本発明の実施例1のセンサのエラー校正図である。
【図10】本発明の実施例2で、0.5cmの間隔で配置されているセンサの信号干渉テスト図である。
【図11】本発明の実施例2で、センサ同士間の間隔を調整するときのセンサの信号干渉テスト図である。
【図12】本発明の実施例3で、単独のセンサで行った膜表面のケーキ層の分析図である。
【図13】本発明の実施例4で、複数台のセンサで行った膜の表面のケーキ層構造の分析図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に図面を参照して詳細に本発明の膜濾過工程用現場検出分析装置の説明を行なうが、同じ部品は同じ符号を以て表示する。
【0021】
図1を参照すると本発明の第一実施形態は濾過システム200で使われる検出分析装置100を開示する。前記濾過システム200は、流動濾過システムまたは潜没型薄膜生物反応器(SMBR)である。濾過システム200は、濾過装置210、濾過膜220と被濾過物230を備える。濾過装置210は濾過工程を実行し、濾過膜220に作られるケーキ240の厚み変化を備える。
【0022】
上記の検出分析装置100は、光感知装置110、駆動装置120とデータ処理装置130を備える。光感知装置110は、線形の第一アレイを形成する複数の検知素子112を有する。光感知装置110は、濾過膜220の線形位置で、ケーキ240の厚み変化の信号を感知する。且つ光感知装置110と濾過膜220の間の測定距離は、5mm以下である。前記駆動装置120は光感知装置110をケーキ240上で駆動して、濾過膜220と平行に相対移動をして、光感知装置110が濾過膜220の少なくとも局部平面上におけるケーキ240の厚み変化を測定する。且つ駆動装置120は更にステッピングモーター(歩進電動機)を含む。データ処理装置130は光感知装置110に接続されて、光感知装置110で感知される信号を連続的に処理分析し、濾過工程中において、プロセス濾過膜220の少なくとも局部平面もしくは濾過膜220の全平面上のケーキ240の厚み変化を即時測定できる。前記の被濾過物230は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、炭酸カルシウム(CaCO)と酵母菌(Saccharomyces cereVisiae)からなる群より選ばれる。光感知装置110はデジタル/アナログ変換器(AD/DAコンバータ)によりデータ信号をデータ処理装置130で分析可能な数値に変換する。
【0023】
図2で示すように、本実施形態の具体例によれば、光感知装置110は、少なくとも第二アレイ2を更に含む。この第二アレイ2は線形に配置される複数の検知素子112から成り、光感知装置110中で各検知素子112との間の間隔は30mm以上である。好ましくは第一アレイと第二アレイが互いに平行し、且つ第一アレイ中の複数の検知素子112と第二アレイ中の複数の検知素子112が互い違いに配列し、かつ光感知装置110中の各検知素子112同士間の距離が30mm以上である。
【0024】
図3で示すように、検出分析装置100は、検知素子112が被濾過物230に直接触れて腐食することを防ぐために光感知装置110をカバーしているアクリル保護装置140を更に含む。検知素子112は、発光ユニット1122と受光ユニット1124から成る。発光ユニット1122は光線を発し、光線はケーキ240に触れて反射されて反射光線を生成し、が受光ユニット1124によって反射光線が受け取られる。実施例では、受光ユニット1124がフォトトランジスタ、発光ユニット1122は発光ダイオード(LED)である。上記の光線は、赤外線である。
【0025】
図4で示すように、本発明の第二実施形態は薄膜生物反応器400で使われる検出分析装置300を開示する。薄膜生物反応器400は、互い平行に配列する複数の濾過板410と被濾過物430を備える。各々の濾過板410は、少なくとも一の濾過膜420で被覆される。薄膜生物反応器400は濾過工程を実行して、各々の濾過膜420上にはケーキ440の厚み変化を備える。そのうえ、検出分析装置300は、光感知装置310、駆動装置320とデータ処理装置330を備える。図5で示すように、光感知装置310は、線形の第一アレイをつくるために線形に配置される複数の検知素子312を有する。光感知装置310は、濾過膜420上で、ケーキ440の厚み変化の信号を感知することになっている、且つ光感知装置310と濾過膜420の間の測定距離は、5mm以下である。駆動装置320はケーキ440上において濾過膜420と平行に相対移動し、また互い平行に配列する濾過板410間で前記光感知装置を移動するように光感知装置310を駆動する。駆動装置320は、ステッピングモーター(歩進電動機)を更に含む。
【0026】
上記のデータ処理装置330は光感知装置310に接続されて、光感知装置310で感知される信号を連続的に処理して分析し、更に、濾過工程中に、即時に少なくとも1つの濾過板410側の濾過膜420上で即時に全てのケーキ440の厚み変化を推測できる。前記の被濾過物430は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、炭酸カルシウム(CaCO)と酵母菌(Saccharomyces cereVisiae)からなる群より選ばれる。光感知装置310は、データ処理装置330で分析できるよう、信号をデータに変換するために、デジタル/アナログ変換器(AD/DAコンバータ)を使う。
【0027】
図6で示すように、上記の光感知装置310は、少なくとも第二アレイ2を更に含む。この第二アレイ2は線形に配置される複数の検知素子312から成り、且つ光感知装置310中における検知素子312との間の間隔は30mm以上である。好ましくは第一アレイと第二アレイが互いに平行し、且つ第一アレイ中の複数の検知素子312と第二アレイ中の複数の検知素子312が互い違いに配列し、かつ光感知装置310中で検知素子312同士間の距離は30mm以上である。図7を参照すると、実施例では、光感知装置310中に含有される検知素子312は同時に隣接の濾過板上のケーキ層の厚み変化を検出するために、両面に配置されている。従って、複数の互い平行に配列する濾過板間での前記光感知装置310の移動経路は連続S形である。
【0028】
図8で示すように、検出分析装置300は、検知素子312が被濾過物430に直接触れて腐食することを防ぐために光感知装置310をカバーしているアクリル保護装置340を更に含む。検知素子312は、発光ユニット3122と受光ユニット3124から成る。発光ユニット3122は光線を発し、光線がケーキ440に触れて反射されて反射光線が生成し受光ユニット3124によって受け取られる。実施例では、受光ユニット3124がフォトトランジスタ、発光ユニット3122は発光ダイオード(LED)である。上記の光線は、赤外線である。
【実施例1】
【0029】
8台のセンサ(上記の実施形態では「光感知装置」と呼ばれる)は、1番から8番まで順番に標記される。ノギスの移動によりケーキ層の成長をシミュレーションし、それぞれ空気中でノギスでセンサの高度を調整し、異なる高さでの電圧変化を記録する。テストの後、センサは取り出されて、再建される。テストは、全てのセンサに対してセンサ毎に4回繰り返し行われる。図9を参照すると、センサNo.1の試験結果が示される(その他の7台のセンサの結果は、センサNo.1と類似している)、そして、結果はエラーの範囲が5〜10%である。距離が5mm以内にあるときは、センサ反応カーブの傾斜は比較的大きい。距離が5mm以上のときは、傾きが小さすぎて成長したケーキの厚みを計るのにふさわしくない。したがって、センサと濾過膜の表面の間の測定距離は5mm以下程度が望ましい。
【実施例2】
【0030】
この実験では、使用される光反射素子(上記の実施形態では検知素子」と呼ばれる)の操作原理は発光ダイオード(LED)が赤外線が物体の反射を経由し、他端のフォトトランジスタにより反射光が受信される。受信した輝度に応じて、フォトトランジスタの2本の電極の上で発生する光電流が異なる。この発射輝度と受信輝度の割合がこの光電流の強さから分かり、被測定物までの距離を判断できる。実験中、光反射素子が互いに密接に配置されると、フォトトランジスタは近くの素子で発せられる反射光線によって妨害されるため、実際の電圧を正確に観測することができない。センサの反射光線どうしの間の干渉をテストするために、実験では、8台のセンサが0.5cmの間隔で配置される。センサの位置と電圧干渉の関係を調べるとその結果は図10に示される。そのうち、両側のセンサと比べて、中央の部分に置かれたセンサがより高い電圧値を持つことが分かる。つまり電圧変化は両側(低い電圧値がある)部分であるセンサが低い電圧値を持つ。これは、中央に置かれた光反射素子が両側から反射された光線の干渉を同時に受け取るからである。結果、中央の部分に置かれた光反射素子が高い電圧値を持つ。
さらに電圧の観察値に対するセンサの間の間隔の影響を調査するために、実験では、2台の隣接したセンサを動かして、距離の変化による電圧変化を観察した。結果は、図11に示される。実験では、1台のセンサの初期電圧は1.01Vである。しかし、2台の隣接したセンサの間の間隔が5mmであると、電圧は1.54Vまで上昇する。この結果から、センサが隣接したセンサの反射光線の干渉の影響を受けたことを示す。2台の隣接したセンサの間の間隔をより大きくすると、電圧値は下降する。2台の隣接したセンサを30mm以上離すと、電圧値は1.01Vまで戻る。上記の実験から、複数のセンサを同時に使用すると、センサ間の間隔は反射光線同士の干渉による誤差を減らすために30mm以上に保たなければならない。
【実施例3】
【0031】
単独のセンサが、ケーキ層の成長を観察するのに用いられる。実験では、10分おきに、センサが上から下まで膜の表面を走査するように、ステッピングモーターを制御してセンサを動かす。この方法により、即時に潜没型薄膜生物反応器中でケーキ層の成長を測定する。図12の電圧反応カーブは、0cmから2cmまでの間隔を置いて配置された位置で測定された電圧値がより高いことを示す。プレートの枠の上の空気吸入口の付近で吸入力がより強いので、大量の粒子は空気吸入口のまわりに堆積される。センサが下に動くにつれて、吸入力が弱くなるので、測定される電圧値は徐々に減少する。距離がおよそ16cmで、一部の粒子は重力の沈積のために下側の枠辺に堆積されて、電圧値が再びわずかに上昇する。図では、異なる時間の電圧変化が見られ、時間の増加につれてケーキ層が堆積する様子が観察される。
【実施例4】
【0032】
センサの数を、8つに増やした。8台のセンサは、膜表面で同時にケーキ層の厚みを計るのに用いられる。吸入と濾過を30分実行したあと、センサが上から下まで膜の表面を走査するように、ステッピングモーターを制御してセンサを移動させる。センサの配列位置をX軸とすると、移動の距離はY軸、電圧値はZ軸である。測定されたデータは3D分布図(図13に示される)に変換される。プレート上方の空気吸入口のまわりの電圧値は比較的大きいことが分かる。これはこの部位で形成されるケーキ層の厚みが比較的に厚いことを示す。下にいくほど、吸入力はより小さくなり、電圧値も減少する。距離がおよそ17cmで、一部粒子は重力の沈積のために下側の枠辺に堆積されて、電圧値が再びわずかに上昇する。この実験の結果から、膜の表面を走査しているセンサから取得したデータが3D分布図に変換され、ケーキ層の分布がより明らかに広範囲にわたって観察できる。
【0033】
以上の実施例は本発明を説明するために提示されたものであり、本発明の範囲を制限するものではなく、本発明の要旨より離脱せずに当業者がなしうる各種の変更或いは修飾することは、本発明の請求範囲に属するものとする。
【符号の説明】
【0034】
1 第一アレイ
2 第二アレイ
100、300 検出分析装置
110、310 光感知装置
112、312 検知素子
1122、3122 発光ユニット
1124、3124 受光ユニット
120、320 駆動装置
130、330 データ処理装置
140、340 保護装置
200 濾過システム
210 濾過装置
220、420 濾過膜
230、430 被濾過物
240、440 ケーキ
400 薄膜生物反応器
410 濾過板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾過システムに用いる、膜濾過工程用現場検出分析装置であって、前記濾過システムは、濾過装置と濾材と被濾過物を備え、前記濾過装置は、膜濾過工程を実行し濾材上にケーキ層の厚み変化を現場で検出及び分析する装置であって、
線形の第一アレイに配列され、複数の感知素子を含有し、前記濾材の線型位置にある一つの線形の位置にケーキ層の厚み変化に関する信号を検出する光感知装置と、
前記光感知装置が前記濾材の少なくとも一局部平面におけるケーキ層の厚み変化を検出できるように、前記ケーキ層上で前記濾材と平行に相対移動するように前記光感知装置を駆動する駆動装置と、
前記光感知装置に接続し、前記光感知装置から検出された前記信号を連続的に処理分析して、即時に該濾材の少なくとも局部平面上におけるケーキ層の厚み変化を算出する、一つのデータ処理装置と、
を備えたことを特徴とする、膜濾過工程用現場検出分析装置。
【請求項2】
前記光感知装置が、さらに少なくとも一つの第二アレイを有し、前記第二アレイが複数の感知素子が線型に配列してなり、前記第一アレイと互いに平行し、前記第一アレイの複数の感知素子と前記第二アレイの複数の感知素子が互い違いに配列することを特徴とする請求項1記載の膜濾過工程用現場検出分析装置。
【請求項3】
前記光感知装置の二つ感知素子の間隔が30mm又は30mm以上であることを特徴とする請求項1記載の膜濾過工程用現場検出分析装置。
【請求項4】
前記感知素子が発光ユニットと受光ユニットを含み、前記発光ユニットが光波を発射し、前記光波がケーキ層と接触して反射して反射光波を生成し、前記受光ユニットが前記反射光波を受信して、さらに前記発光ユニットが発光ダイオード(LED)、前記受光ユニットがフォトトランジスター(phototransistor)、及び前記光波が赤外線であることを特徴とする請求項1記載の膜濾過工程用現場検出分析装置。
【請求項5】
前記光感知装置がアナログ・デジタル変換器(AD/DA conVerter)を利用し、前記信号を前記データ処理装置で処理できる数値に変換することを特徴とする請求項1記載の膜濾過工程用現場検出分析装置。
【請求項6】
前記濾過システムが薄膜生物反応器であって、前記薄膜生物反応器が互いに平行配置される複数の濾過板を含み、それぞれの濾過板が少なくとも一の濾過膜で被覆され、前記薄膜生物反応器が前記膜濾過工程を実施し、前記各濾過膜上にケーキ層の厚み変化を有し、さらに前記駆動装置が前記感知装置を前記ケーキ層上方で前記濾過膜と平行の相対移動するために駆動する以外、前記光感知装置が複数の互いに平行な前記濾過板との間で移動するよう駆動することを特徴とする請求項1記載の膜濾過工程用現場検出分析装置。
【請求項7】
前記光感知装置に含有される前記感知素子が両面に配列されて、同時に隣接の濾過板上におけるケーキ層の厚み変化を検出することを特徴とする請求項6記載の膜濾過工程用現場検出分析装置。
【請求項8】
前記光感知装置の複数の互いに平行である前記濾過板との間における移動経路が
連続S形であることを特徴とする請求項6記載の膜濾過工程用現場検出分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−156527(P2011−156527A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40726(P2010−40726)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(506255902)私立中原大學 (14)
【Fターム(参考)】