説明

自動倉庫装置及びこれに用いられるスタッカクレーン

【課題】自動倉庫装置内での物品の入替え時間を短くして作業者の手待ち時間を短くするとともに、装置全体の動作能力を高める。
【解決手段】マトリックス状に配置された多段構成の物品保管棚を持つ固定棚と、固定棚の一面側に配置されたスタッカクレーンと、スタッカクレーンの動作を制御する制御装置とを備える自動倉庫装置に適用され、スタッカクレーンは、ある物品保管棚と他の物品保管棚との間で物品の入替えを行うことができるようにされている。スタッカクレーンは、物品保管棚との間で物品の受け渡しを行う2つの移載装置130−1、130−2を有し、物品保管棚のほぼ1間口分だけ固定棚に沿った水平方向に一体的にスライド可能に構成されている。スタッカクレーンは、走行部100と、昇降部120とを備え、2つの移載装置は、昇降部に搭載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多種類の商品等の物品を保管するのに適した自動倉庫装置及びこの自動倉庫装置内で使用するのに適したスタッカクレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
物流センター、配送センター等において、日用品、雑貨品、各種食品、ビン又は缶入りの飲料水等のような多種類の商品を保管し、保管されている商品の搬送を自動的に行う自動倉庫装置が提供されている。
【0003】
自動倉庫装置は、上下及び間口方向に複数の物品保管棚をマトリックス状に配列した固定棚を設け、固定棚に隣接して、スタッカクレーンを昇降及び間口方向に走行自在に配置して成る。スタッカクレーンの昇降及び走行動作は、制御装置によって制御される。
【0004】
自動倉庫装置が、受注オーダーに応じて商品を箱詰めし出荷する流通センターや配送センターにおけるピッキングシステムに適用される場合、固定棚は、ピッカーと呼ばれる作業者が手の届く範囲の高さであるフェイスエリアと、それより上方の保管エリアとに分けられる。つまり、ピッカーはフェイスエリアにある物品保管棚から指定された商品をピッキングする。フェイスエリアにおける物品保管棚の商品が不足すると、スタッカクレーンにより保管エリアの該当する物品保管棚から商品を取り出し、フェイスエリアの該当する物品保管棚へ補充する。フェイスエリアにおけるある物品保管棚の商品が、しばらくの間ピッキングされる予定が無い場合には、その商品はスタッカクレーンにより保管エリアにおける該当する物品保管棚あるいは空きの物品保管棚に戻され、フェイスエリアの物品保管棚が空きとされる。スタッカクレーンは、代わりに新規にピッキングされる予定の商品を、保管エリアにおける別の物品保管棚から取り出して上記の空きの物品保管棚に入れる。このような商品の出し入れ、つまり入替えに伴うスタッカクレーンの動作も上記制御装置で制御される。また、商品の補充、入替えは、通常、商品単位ではなく、複数の商品を収容しているダンボール箱のような箱単位で行われる。
【0005】
ところで、スタッカクレーンには、図5に示すように、シングルシャトル式(図5a)とツインシャトル式(図5b)とがある。
【0006】
図5(a)において、シングルシャトル式のスタッカクレーンは、固定棚が設置されている床面を走行する走行部300と、走行部300と共に走行する架枠310に、上下方向に昇降可能に設けられた昇降部320と、昇降部320に搭載されて昇降部320と物品保管棚との間で商品の受け渡しを行うための移載装置330とを有する。移載装置330は、箱に収容されている商品を載せた板部材をスライド式に水平移動させるようにして商品を物品保管棚内に出し入れできるように構成されている。このようなスタッカクレーンは、例えば、特許文献1に開示されている。
【0007】
図5(b)において、ツインシャトル式のスタッカクレーンは、床面を走行する走行部300と、走行部300と共に走行する架枠310に、上下方向に昇降可能に設けられた昇降部320と、昇降部320に搭載されて昇降部320と物品保管棚との間で商品の受け渡しを行うための2つの移載装置330−1、330−2とを有する。移載装置330−1、330−2の構成はシングルシャトル式のものと同じであり、個別に動作可能である。このようなスタッカクレーンは、例えば、特許文献2に開示されている。
【0008】
保管エリアの物品保管棚とフェイスエリアの物品保管棚との間で商品の入替えを行う場合、シングルシャトル式のスタッカクレーンは、図6に示すような動作を実行する。図6では、マトリックス状に配置された多段構成の物品保管棚を持つ固定棚400が、3段の物品保管棚410から成るフェイスエリアFAと、それらの上に構築された複数段の物品保管棚420から成る保管エリアKAとに分けられて構成されているものを示している。この場合、スタッカクレーンは、移載装置330が空の状態で、図6に”スタート”で示す前回の動作終了位置からフェイスエリアFAの指定された物品保管棚410まで移動し、そこにある商品Aを取り出す(図6のAピック)。続いて、保管エリアKAにおける指定された商品A用の物品保管棚あるいは空きの物品保管棚420まで移動し、そこへ商品Aを入れる(図6のAデポ)。次に、保管エリアKAにおける指定された商品B用の物品保管棚420まで移動し、そこにある商品Bを取り出す(図6のBピック)。更に、フェイスエリアFAの指定された物品保管棚410まで移動し、そこに商品Bを入れる(図6のBデポ)。
【0009】
以上のように、シングルシャトル式のスタッカクレーンは、入替え動作開始からフェイスエリアFAの指定された物品保管棚410へ次の商品Bを入れるまでに4回の移動動作を必要とし、ピッカーの手待ち時間が長くなる。
【0010】
一方、ツインシャトル式のスタッカクレーンは、保管エリアの物品保管棚とフェイスエリアの物品保管棚との間で商品の入替えを行う場合、図7に示すような動作を実行する。図7も、マトリックス状に配置された多段構成の物品保管棚を持つ固定棚400が、3段の物品保管棚410から成るフェイスエリアFAと、それらの上に構築された複数段の物品保管棚420から成る保管エリアKAとに分けられて構成されているものを示している。この場合、スタッカクレーンは、移載装置330−1、330−2が空の状態で、図7に”スタート”で示す前回の動作終了位置から保管エリアKAの指定された物品保管棚420まで移動し、移載装置330−1、330−2の一方によりそこにある商品Bを取り出す(図7のBピック)。続いて、フェイスエリアFAの指定された物品保管棚410まで移動し、移載装置330−1、330−2の他方によりそこにある商品Aを取り出す(図7のAピック)。次に、後述されるように、物品保管棚410の幅に対応する1間口分だけ移動し、移載装置330−1、330−2の一方に搭載されている商品Bを入れる(図7のBデポ)。次に、保管エリアKAにおける指定された商品A用の物品保管棚あるいは空きの物品保管棚420まで移動し、移載装置330−1、330−2の他方に搭載された商品Aをそこへ入れる(図7のAデポ)。
【0011】
図8を参照して、スタッカクレーンの1間口移動について説明する。ここでは、図5(b)で説明した2つの移載装置330−1、330−2のうち移載装置330−2が図7のAピックを行い、移載装置330−1が図7のBデポを行うものとする。また、物品保管棚410は、便宜上、2列分のみ図示している。
【0012】
図8(a)では、スタッカクレーンは、空状態の移載装置330−2がフェイスエリアFAの指定された物品保管棚410に対向する位置で停止し、移載装置330−2が物品保管棚410にある商品Aを取り出す。続いて、図8(b)に示すように、スタッカクレーンは1間口分だけ走行移動し、商品Bを載せた移載装置330−1が商品Aの取り出された空きの物品保管棚410に対向する位置で停止し、移載装置330−1が商品Bを空きの物品保管棚410に入れる。
【0013】
図8(a)、(b)で明らかなように、ツインシャトル式の場合、昇降部320の長さ(幅)は、物品保管棚410のほぼ2間口分のサイズが必要であり、2スペース型と呼ばれる。図5(a)ではシングルシャトル式の昇降部320の長さを、図5(b)のツインシャトル式の昇降部320の長さと同じにしているが、実際にはツインシャトル式の昇降部320の長さより短い。
【0014】
いずれにしても、ツインシャトル式のスタッカクレーンは、入替え動作開始からフェイスエリアFAの指定された物品保管棚410へ次の商品Bを入れるまでに3回の移動動作で済み、シングルシャトル式に比較するとピッカーの手待ち時間を短くできる。つまり、1回の入替えサイクルが完了するまでは、1間口分の移動も含めればシングルシャトル式と同様に4回の移動動作を必要とするが、図7のBデポ以降の移動はピッカーの手待ち時間には無関係であるので、移動動作回数が同じでもシングルシャトル式よりはピッカーの手待ち時間を短縮できる。
【0015】
しかしながら、図7のAピックからBデポに移行するためにスタッカクレーンを1間口分だけ移動させる場合、スタッカクレーンの重量が大きいことと短い距離であるため、加減速度、速度を上げることができず、その分時間がかかってしまい、またその分だけ余分に電力を消費する。
【0016】
【特許文献1】特開平6−156615号公報
【特許文献2】特開2000−255708号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は自動倉庫装置内での物品の入替え時間を短くして作業者の手待ち時間を短くするとともに、装置全体の動作能力を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明によれば、マトリックス状に配置された多段構成の物品保管棚を持つ固定棚と、該固定棚の一面側に配置されたスタッカクレーンと、該スタッカクレーンの動作を制御する制御装置とを備え、前記スタッカクレーンは前記制御装置の制御下で、ある物品保管棚と他の物品保管棚との間で物品の入替えを行うことができるようにされている自動倉庫装置であって、前記スタッカクレーンは、前記物品保管棚との間で物品の受け渡しを行う2つの移載装置を有し、しかも該2つの移載装置は前記物品保管棚のほぼ1間口分だけ前記固定棚に沿った水平方向に一体的にスライド可能に構成されていることを特徴とする自動倉庫装置が提供される。
【0019】
本発明による自動倉庫装置においては、前記スタッカクレーンは、前記固定棚に沿って走行可能な走行部と、該走行部に上下方向に昇降可能に設けられた昇降部とを備え、前記2つの移載装置は、スライド駆動機構により前記昇降部上をスライドするように前記昇降部に搭載されていることを特徴とする。
【0020】
本発明による自動倉庫装置においてはまた、前記固定棚は下から数段までのフェイスエリアとその上の保管エリアとに分けられ、前記物品の入替えは前記フェイスエリアの物品保管棚と前記保管エリアの物品保管棚との間で行われ、前記制御装置は、前記保管エリアの指定した物品保管棚にある物品を前記2つの移載装置のうちの一方の移載装置で取り出しを行わせた後、空き状態にある他方の移載装置が前記フェイスエリアの指定した物品保管棚に対向する位置まで前記スタッカクレーンを移動させて該他方の移載装置により当該物品保管棚にある物品の取り出しを行わせ、続いて、前記一方の移載装置が前記フェイスエリアの前記指定した物品保管棚に対向する位置まで前記スライド機構により前記2つの移載装置をスライドさせて該他方の移載装置に搭載されている物品を前記指定した物品保管棚に移載させる制御動作を実行することを特徴とする。
【0021】
本発明によればまた、マトリックス状に配置された多段構成の物品保管棚を持つ固定棚と、該固定棚の一面側に配置されたスタッカクレーンと、該スタッカクレーンの動作を制御する制御装置とを備えた自動倉庫に用いられるスタッカクレーンであって、該スタッカクレーンは前記制御装置の制御下で、ある物品保管棚と他の物品保管棚との間で物品の入替えを行うことができるようにされているスタッカクレーンが提供される。特に、本発明によるスタッカクレーンは、前記物品保管棚との間で物品の受け渡しを行う2つの移載装置を有し、しかも該2つの移載装置は前記物品保管棚のほぼ1間口分だけ前記固定棚に沿った水平方向に一体的にスライド可能に構成されていることを特徴とする。
【0022】
本発明によるスタッカクレーンにおいてはまた、前記固定棚に沿って走行可能な走行部と、該走行部に上下方向に昇降可能に設けられた昇降部とを備え、前記2つの移載装置は、スライド駆動機構により前記昇降部上をスライドするように前記昇降部に搭載されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、スタッカクレーンを2つの移載装置を有するツインシャトル式とし、2つの移載装置を一体的にスライド可能に構成したことにより、ある物品保管棚からの物品の取り出しを2つの移載装置のうちの一方の移載装置で行い、続いて、2つの移載装置を物品保管棚のほぼ1間口分だけスライドさせることで2つの移載装置のうちの他方の移載装置にあらかじめ搭載されている物品を空き状態となった物品保管棚に移載させることにより、スタッカクレーン本体を走行移動させることなく物品の入替え動作を行うことができる。
【0024】
このことにより、物品の入替えに伴うピッカーの手待ち時間を短縮することができ、スタッカクレーン本体を走行移動させる場合に比べて消費電力を少なくすることができる。また、物品の入替えに必要な1サイクル当りの時間を短縮することができ、単位時間当たりの物品の入替え回数を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1は、本発明による自動倉庫装置の要部であるスタッカクレーンの実施形態を示す。
【0026】
本実施形態によるスタッカクレーンもツインシャトル式であり、床面を走行する走行部100と、走行部100と共に走行する架枠110に、上下方向に昇降可能に設けられた昇降部120と、昇降部120に搭載されて昇降部120と物品保管棚との間で商品の受け渡しを行うための2つの移載装置130−1、130−2とを有する。昇降部120は、架枠110の一部あるいは架枠110に設けられた図示しないガイド部材により昇降動作が案内される。商品の受け渡しを行うための移載装置130−1、130−2の構成は、特許文献1に開示されているシングルシャトル式のものと同じで良く、個別に動作可能であるが、一例を後述する。商品を保管するための固定棚も図6、図7で説明した固定棚400と同じで良い。
【0027】
本実施形態によるスタッカクレーンがこれまでのツインシャトル式のスタッカクレーンと異なる点は、以下の通りである。
【0028】
1.走行方向に関する架枠110のサイズを大きくして昇降部120を、物品保管棚410のほぼ3間口分の長さを持つ3スペース型としている。
【0029】
2.2つの移載装置130−1、130−2を、昇降部120上で一体的に水平方向かつ固定棚に沿った走行方向にスライド移動可能にするスライド駆動機構を備える。
【0030】
3.自動倉庫装置の制御装置は、前述したスタッカクレーンによる商品の入替え動作、特に図7で説明したAピックからBデポの間に上記スライド駆動機構を制御する機能をも有する。
【0031】
図2を参照して、移載装置130−1(130−2)において物品保管棚との間で商品の受け渡しを行うための機構について簡単に説明する。移載装置130−1は、棚板部本体130−11に、中段棚枠130−12、上段棚板130−13をスライド式に送り出し、引き込み可能に組み込んで成る。つまり、中段棚枠130−12は棚板部本体130−11に対してスライド式に送り出し、引き込み可能であり、上段棚板130−13は中段棚枠130−12に対してスライド式に送り出し、引き込み可能である。特に、上段棚板130−13は、商品を載せるという観点から上記スライド動作において常に棚板部本体130−11の上端より高い高さ位置にあるようにされる。このようなスライド動作は、棚板部本体130−11に設けられたモータ130−14と、例えば図示しないギヤ、チェーン等の組合せによる動力伝達機構との組合せにより実現されるが、動力伝達機構はどのようなものであっても良い。なお、中段棚枠130−12、上段棚板130−13の送り出し量、引き込み量はリミットスイッチ等の手段で設定することができる。以上の構成は、移載装置130−2においても同様である。
【0032】
図2(a)は中段棚枠130−12及び上段棚板130−13を棚板部本体130−11内に引き込んだ状態を側面から示し、図2(b)は中段棚枠130−12及び上段棚板130−13を棚板部本体130−11から送り出した状態を側面から示す。
【0033】
次に、図2に加えて、図3をも参照して、昇降部120上で移載装置130−1、130−2を一体的にスタッカクレーンの走行方向にスライド可能とするスライド駆動機構について説明する。
【0034】
昇降部120の上面には、互いに平行に走行方向に延びる2本のレール121が設けられている。移載装置130−1、130−2は、それらの棚板部本体において連結され、各棚板部本体の下面には2本のレール121で案内されるスライド受け部材(図2に移載装置130−1側のスライド受け部材130−15のみを図示)が設けられている。移載装置130−1の棚板部本体130−11の下面にはまた、本スライド駆動機構の駆動源としてのモータ130−16が設けられている。モータ130−16の出力軸の回転運動を移載装置130−1、130−2の直線運動に変換する手段は、モータ130−16と、前述したギヤ、チェーン等の組合せによる動力伝達機構との組合せにより実現することができるが、本スライド駆動機構においても動力伝達機構はどのようなものであっても良い。移載装置130−1、130−2のスライド量は物品保管棚410のほぼ1間口分であり、リミットスイッチ等の手段で設定することができる。
【0035】
前述したように、本スタッカクレーンは3スペース型であり、以降では図3において移載装置130−2が位置している中間位置を3スペースの中間部、移載装置130−1が位置している下側位置を3スペースの左端部、空きとなっている上側の位置を3スペースの右端部と呼ぶことがある。
【0036】
本実施形態によるツインシャトル式のスタッカクレーンは、自動倉庫装置における制御装置の制御下で、保管エリアの物品保管棚とフェイスエリアの物品保管棚との間で商品の入替えを行う場合、図4に示すような動作を実行する。図4も、マトリックス状に配置された多段構成の物品保管棚を持つ固定棚400が、3段の物品保管棚410から成るフェイスエリアFAと、それらの上に構築された複数段の物品保管棚420から成る保管エリアKAとに分けられて構成されているものを示している。
【0037】
スタッカクレーンは、移載装置130−1、130−2が空で、しかも移載装置130−2が3スペースの中間部に位置した状態で、図4に”スタート”で示す前回の動作終了位置から保管エリアKAの指定された物品保管棚420まで移動し、ここでは3スペースの左端部にある移載装置130−1によりそこにある商品Bを取り出す(図4のBピック)。続いて、フェイスエリアFAの指定された物品保管棚410まで移動して移載装置130−2が指定された物品保管棚410に対向する位置で停止し、移載装置130−2によりそこにある商品Aを取り出す(図1a及び図4のAピック)。次に、前述したスライド駆動機構により、移載装置130−1、130−2は物品保管棚410のほぼ1間口分だけスライド移動して、移載装置130−1が空きとなった物品保管棚410に対向する位置で停止し、移載装置130−1はそこに載せている商品Bを入れる(図1b及び図4のBデポ)。次に、保管エリアKAにおける指定された商品A用の物品保管棚あるいは空きの物品保管棚420まで移動し、移載装置130−2に搭載された商品Aをそこへ入れる(図4のAデポ)。
【0038】
以上の説明で明らかなように、本実施形態によるスタッカクレーンが、図7のツインシャトル式と大きく違うところは、フェイスエリアFAでの商品A、Bの入替え動作を行う際に、スタッカクレーン本体を動かすことなく、移載装置130−1、130−2をスライド移動させることにより入替えを可能としたことにある。つまり、商品の入替え動作開始からフェイスエリアFAの指定された物品保管棚410へ次の商品Bを入れるまでにスタッカクレーンは2回の移動動作で済む。図4のAピックからBデポまでの時間は、スライド駆動機構によるスライド動作であるので、図7で説明したスタッカクレーンの1間口分の移動時間に比べて充分に短く、ピッカーの手待ち時間も短くなる。また、1間口分の移動は、スタッカクレーン全体の移動ではなく、移載装置130−1、130−2とその上の移動であるので消費電力も少なくて済む。更に、図4の”スタート”から”Aデポ”までの商品入替えの1サイクルの時間でみた場合にも、図7のツインシャトル式に比べて短縮することができ、単位時間当たりの商品の入替可能回数を向上させることができる。
【0039】
なお、本発明による自動倉庫装置は、受注オーダーに応じて商品を箱詰めし出荷する流通センターや配送センターにおけるピッキングシステムに適している。
【0040】
ピッキングシステムの一例を簡単に説明する。ピッキングシステムは固定棚をピッキングゾーンとして有し、固定棚はピッカーが商品のピッキングを行う下段側のフェイスエリアと上段側の保管エリアとに分けられる。フェイスエリアにおける各物品保管棚にはピッキングを指示するための表示器が設けられている。表示器は少なくとも以下の2つの手段を有する。第1の手段はピッカーに対してピッキングすべき商品の個数を指示する個数表示部であり、第2の手段はピッキングの完了を知らせるためにピッカーにより操作されるピッキング完了押ボタンである。
【0041】
ピッキングシステムはまた、システム全体を統括制御するための制御部として機能する管理計算機を備える。管理計算機は多数の顧客からオーダーを受注することで顧客別に作成された1種類以上の商品を示すオーダー内容を含む1日分のオーダー情報を受ける。管理計算機は、受け取った複数の1日分のオーダー情報に基づいて1日分のピッキング計画を作成し、ピッキングシステム全体の統括制御を行う。前述した制御装置は、管理計算機で実現されても良いし、管理計算機の下位装置として位置付けられても良い。
【0042】
ピッキングに必要な制御として、管理計算機は顧客別のオーダー内容に基づいて該当する物品保管棚における表示器の個数表示部を点灯させる。ピッカーは、フェイスエリアにおいて点灯中の表示器に対応する物品保管棚から指示された個数の商品をピッキングして容器に投入した後、ピッキング完了押しボタンを押して指示された商品のピッキングが完了したことを管理計算機に知らせる。管理計算機は、点灯させた表示器のすべてからピッキングが完了したことを知らされると、ある顧客に対する商品のピッキングが完了したものと判断し、次の顧客のオーダー内容に基づいて該当する物品保管棚における表示器の個数表示部を点灯させる。
【0043】
なお、各物品保管棚に設置される表示器に代えて、ディスプレイを備えた端末装置がピッカー1人に付き1台あるいは複数のピッカーに1台設置され、ピッカーはディスプレイに表示されたピッキング指示に基づいてピッキングを行うというようなピッキングシステムにも適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、本発明において用いられるスタッカクレーンの概略構成を説明するための正面図である。
【図2】図2は、図1に示されたスタッカクレーンにおける移載装置及びそのスライド駆動機構の構成及び動作を説明するための側面図である。
【図3】図3は、図2のスライド駆動機構を説明するための平面図である。
【図4】図4は、本発明によるスタッカクレーンの動作を説明するための図である。
【図5】図5は従来のシングルシャトル式のスタッカクレーン(図a)及びツインシャトル式のスタッカクレーン(図b)を説明するための正面図である。
【図6】図6は従来のシングルシャトル式のスタッカクレーンの動作を説明するための図である。
【図7】図7は従来のツインシャトル式のスタッカクレーンの動作を説明するための図である。
【図8】図8は、従来のツインシャトル式のスタッカクレーンの概略構成を説明するための正面図である。
【符号の説明】
【0045】
100、300 走行部
110、310 架枠
120、320 昇降部
121 レール
130−1、130−2、330−1、330−2 移載装置
400 固定棚
410、420 物品保管棚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックス状に配置された多段構成の物品保管棚を持つ固定棚と、該固定棚の一面側に配置されたスタッカクレーンと、該スタッカクレーンの動作を制御する制御装置とを備え、前記スタッカクレーンは前記制御装置の制御下で、ある物品保管棚と他の物品保管棚との間で物品の入替えを行うことができるようにされている自動倉庫装置において、
前記スタッカクレーンは、前記物品保管棚との間で物品の受け渡しを行う2つの移載装置を有し、しかも該2つの移載装置は前記物品保管棚のほぼ1間口分だけ前記固定棚に沿った水平方向に一体的にスライド可能に構成されていることを特徴とする自動倉庫装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動倉庫装置において、前記スタッカクレーンは、前記固定棚に沿って走行可能な走行部と、該走行部に上下方向に昇降可能に設けられた昇降部とを備え、前記2つの移載装置は、スライド駆動機構により前記昇降部上をスライドするように前記昇降部に搭載されていることを特徴とする自動倉庫装置。
【請求項3】
請求項2に記載の自動倉庫装置において、前記固定棚は下から数段までのフェイスエリアとその上の保管エリアとに分けられ、前記物品の入替えは前記フェイスエリアの物品保管棚と前記保管エリアの物品保管棚との間で行われ、
前記制御装置は、前記保管エリアの指定した物品保管棚にある物品を前記2つの移載装置のうちの一方の移載装置で取り出しを行わせた後、空き状態にある他方の移載装置が前記フェイスエリアの指定した物品保管棚に対向する位置まで前記スタッカクレーンを移動させて該他方の移載装置により当該物品保管棚にある物品の取り出しを行わせ、続いて、前記一方の移載装置が前記フェイスエリアの前記指定した物品保管棚に対向する位置まで前記スライド機構により前記2つの移載装置をスライドさせて該他方の移載装置に搭載されている物品を前記指定した物品保管棚に移載させる制御動作を実行することを特徴とする自動倉庫装置。
【請求項4】
マトリックス状に配置された多段構成の物品保管棚を持つ固定棚と、該固定棚の一面側に配置されたスタッカクレーンと、該スタッカクレーンの動作を制御する制御装置とを備えた自動倉庫に用いられるスタッカクレーンであって、該スタッカクレーンは前記制御装置の制御下で、ある物品保管棚と他の物品保管棚との間で物品の入替えを行うことができるようにされているスタッカクレーンにおいて、
該スタッカクレーンは、前記物品保管棚との間で物品の受け渡しを行う2つの移載装置を有し、しかも該2つの移載装置は前記物品保管棚のほぼ1間口分だけ前記固定棚に沿った水平方向に一体的にスライド可能に構成されていることを特徴とするスタッカクレーン。
【請求項5】
請求項4に記載のスタッカクレーンにおいて、該スタッカクレーンは、前記固定棚に沿って走行可能な走行部と、該走行部に上下方向に昇降可能に設けられた昇降部とを備え、前記2つの移載装置は、スライド駆動機構により前記昇降部上をスライドするように前記昇降部に搭載されていることを特徴とするスタッカクレーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−174376(P2008−174376A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−11621(P2007−11621)
【出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】