説明

自動倉庫

【課題】幅が異なる複数種類の物品を取扱う自動倉庫において、低コスト化を図りつつ、移載を迅速に行えるようにすること。
【解決手段】自動倉庫20は、複数の棚段24を有する格納棚22と、それぞれ複数の棚段24の少なくとも一つに対応して設けられ、対応する少なくとも一つの棚段24に対して物品Wを出し入れする一対のピッキングユニット70、75を有する複数の移載装置60A、60Bとを備える。移載装置60A、60Bは、一対のピッキングユニット70、75の間隔を第1の調整幅で調整可能な第1の移載装置60Aと、一対のピッキングユニット70、75の間隔を第1の調整幅とは異なる第2の調整幅で調整可能な第2の移載装置60Bとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、物品を自動的に出し入れする自動倉庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動倉庫として、特許文献1に開示のものがある。
【0003】
特許文献1では、移載ユニットに一対のピッキングユニットが備えられている。一方のピッキングユニットの固定フレームは、機枠に固着されており、他方のピッキングユニットの固定フレームは、一方のピッキングユニットに対して遠近移動自在となるようにガイド部材に取付けられている。そして、荷物の幅寸法に応じて、両ピッキングユニットの間隔を調整できるようになっている。かかる移載ユニットを、各棚段に走行自在に配置された移載用台車に適用する例も開示されている。
【0004】
同様の構成が特許文献2にも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−120993号公報
【特許文献2】特開2003−26307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のような移載ユニットによって、荷幅に比較的大きな差がある複数種類の荷物を移載するためには、他方のピッキングユニットを大きく移動できるようにする必要がある。すると、移載ユニットが大型化してしまい、コストアップを招く。
【0007】
また、移載ユニットの大型化によって、物品の移載時間が長くなってしまう。例えば、移載ユニットが大型化、重量化することによって、走行移動に時間を要するようになる。また、荷物の移載順によっては、荷幅が大きく異なり、ピッキングユニットを大きく移動させる必要が生じるため、そのピッキングユニットの移動調整時間にも時間を要する。
【0008】
そこで、この発明は、幅が異なる複数種類の物品を取扱う自動倉庫において、低コスト化を図りつつ、移載を迅速に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、第1の態様は、複数の棚段を有する格納棚と、それぞれ前記複数の棚段の少なくとも一つに対応して設けられ、対応する少なくとも一つの前記棚段に対して物品を出し入れする一対のピッキングユニットを有する複数の移載装置とを備え、前記複数の移載装置は、前記一対のピッキングユニットの間隔を第1の調整幅で調整可能な第1の移載装置と、前記一対のピッキングユニットの間隔を前記第1の調整幅とは異なる第2の調整幅で調整可能な第2の移載装置とを含む。
【0010】
また、第2の態様は、第1の態様に係る自動倉庫であって、前記第2の調整幅の最小値及び最大値は、それぞれ前記第1の調整幅の最小値及び最大値より大きくなるように設定されている。
【発明の効果】
【0011】
第1の態様によると、自動倉庫全体としては、第1の調整幅及び第2の調整幅に対応する物品を取り扱うことができる。また、第1の移載装置は、第1の調整幅で一対のピッキングユニットの幅を調整可能であればよく、また第2の移載装置は、第2の調整幅で一対のピッキングユニットの幅を調整可能であればよい。このため、第1の移載装置及び第2の移載装置については、低コスト化及び移載の迅速化を図ることができる。
【0012】
第2の態様によると、第1の移載装置によって比較的小さい幅の物品を出し入れすることができ、第2の移載装置によって比較的大きい幅の物品を出し入れすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態に係る自動倉庫の全体構成を示す概略正面図である。
【図2】同上の自動倉庫の全体構成を示す概略平面図である。
【図3】走行移載装置を示す概略正面図である。
【図4】走行移載装置を示す概略平面図である。
【図5】走行移載装置を示す一部概略側面図である。
【図6】他の走行移載装置を示す概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態に係る自動倉庫について説明する。
【0015】
<自動倉庫の全体構成>
図1は本実施形態に係る自動倉庫20の全体構成を示す概略正面図であり、図2は同自動倉庫20の全体構成を示す概略平面図である。
【0016】
この自動倉庫20は、格納棚22と、仮置き棚30と、昇降移載装置35と、入出庫コンベア40と、走行移載装置50とを備えている。概略的には、外部からの物品Wは、入出庫コンベア40、昇降移載装置35、仮置き棚30から走行移載装置50を経て、格納棚22に格納される。また、格納棚22に格納された物品Wは、上記とは逆に、走行移載装置50から仮置き棚30、昇降移載装置35及び入出庫コンベア40を経て外部に搬出される。
【0017】
より具体的には、格納棚22は、間隔を有して一対設けられている。格納棚22が一対設けられていることは必須ではなく、一つであってもよい。格納棚22は、平面視略長尺状に形成され、上下方向に間隔をあけて複数の棚段24を有している。各棚段24は、縦フレーム25等によって上下方向に間隔をあけて支持され、それぞれに物品Wを載置支持できるようになっている。ここでは、複数の棚段24のうち、下側の少なくとも一つ(図1では2つ)の棚段24の上方には比較的高い空間が形成され、比較的大きいサイズの物品Wを格納できるようになっている。また、複数の棚段24のうち上側の少なくとも一つ(図1では4つ)の棚段24の上方には比較的低い空間が形成され、比較的小さいサイズの物品Wを効率よく格納できるようになっている。
【0018】
また、一対の格納棚22間には、走行移載装置50に対応する走行レール26が形成されている。ここでは、複数の棚段24のうち、比較的大きいサイズの物品Wを格納するための下側のそれぞれの棚段24に対応して走行レール26が設けられている。また、比較的小さいサイズの物品Wを格納するための上側の棚段24に対しては、一つおきに走行レール26が設けられている。
【0019】
走行移載装置50は、複数設けられており、それぞれ上記複数の棚段24の少なくとも一つに対応して設けられている。そして、対応する少なくとも一つの棚段24に対向可能な高さ位置で、前記走行レール26上を走行することによって、対応する棚段24と仮置き棚30との間を往復水平移動するようになっている。
【0020】
また、各走行移載装置50には、少なくとも一つの移載装置60が搭載されている。移載装置60も、複数の棚段24のうちの少なくとも一つに対応して設けられており、それぞれ対応する少なくとも一つの棚段24に対して物品Wを出し入れする一対のピッキングユニット70、75を有している。
【0021】
ここでは、大きいサイズ用の下側の各格納棚22の一つに対して走行移載装置50(以下、走行移載装置50Bと表記する場合がある)が一つ設けられ、小さいサイズ用の上側の各格納棚22の2つに対して一つの走行移載装置50(以下、走行移載装置50Aと表記する場合がある)が設けられている。
【0022】
また、大きいサイズ用の走行移載装置50Bには、一つの移載装置60(第2の移載装置、以下、移載装置60Bと表記する場合がある)が設けられている。つまり、大きいサイズ用の移載装置60Bは、各棚段24に対して一対一で対応して設けられている。また、小さいサイズ用の走行移載装置50Aには、上下方向に2つの移載装置60(第1の移載装置、以下、移載装置60Aと表記する場合がある)が設けられている。つまり、小さいサイズ用の移載装置60Aも各棚段24に対して一対一で対応して設けられている。
【0023】
また、上記移載装置60Aは、一対のピッキングユニット70、75の間隔を第1の調整幅で調整可能とされている。これにより、移載装置60Aは、第1の調整幅に対応する範囲内の物品Wを出し入れできるようになっている。また、移載装置60Bは、一対のピッキングユニット70、75の間隔を、前記第1の調整幅とは異なる第2の調整幅で調整可能とされている。これにより、移載装置60Bは、第2の調整幅に対応する範囲内の物品Wを出し入れできるようになっている。
【0024】
第1の調整幅及び第2の調整幅が異なるとは、それぞれの最小値及び最大値の少なくとも一方が異なる場合をいい、好ましくは、第2の調整幅の最小値及び最大値が、それぞれ第1の調整幅の最小値及び最大値よりも大きくなるように設定されているといい。具体的な一例としては、第1の調整幅を、荷幅300mm〜800mmの物品Wを出し入れできる範囲に設定し、第2の調整幅を、荷幅601mm〜1400mmの物品Wを出し入れできる範囲に設定するとよい。なお、一対のピッキングユニット70、75の調整幅は、当該一対のピッキングユニット70、75の間隔の最小値と最大値とで挟まれる範囲で規定され、本調整幅にピッキングに要する幅等を加味すると、一対のピッキングユニット70、75で出し入れできる物品Wの荷幅の範囲となる。
【0025】
この移載装置60A、60Bのより具体的な構成例については後述する。
【0026】
仮置き棚30は、上記格納棚22の一端部に隣接されている。ここでは、一対の格納棚22のそれぞれに対応して仮置き棚30が一対設けられている。仮置き棚30は、上記各棚段24に対応して設けられた仮置き棚段32を有している。仮置き棚段32は、対応する棚段24と同じ高さ位置に設けられており、仮置き棚段32とこれに対応する棚段24との間で、走行移載装置50によって物品Wが移載されるようになっている。また、各仮置き棚段32は、昇降移載装置35の昇降テーブル36との間で物品Wを授受可能に構成されている。仮置き棚段32と昇降テーブル36との間における物品Wの授受は、例えば、仮置き棚段32及び昇降テーブル36のそれぞれに、複数のローラを並列状に設け、図示省略のモータによって各ローラを回転駆動させることで、載置された物品Wを、仮置き棚段32から昇降テーブル36に向けて或はその逆に搬送する構成等を採用することができる。その他、別途設けられたプッシャー等で物品Wを押して、仮置き棚段32と昇降テーブル36との間で当該物品Wを移動させる構成等であってもよい。また、本仮置き棚30が省略され、走行移載装置50と昇降テーブル36との間で直接的に物品Wの授受が行われてもよい。
【0027】
昇降移載装置35は、物品Wを昇降移動させる装置である。ここでは、一対の格納棚22のそれぞれの外側方位置、より具体的には、一対の仮置き棚30と一対の入出庫コンベア40との各間に設けられている。この昇降移載装置35は、各仮置き棚段32に対応する位置と入出庫コンベア40に対応する位置との間で昇降移動可能な可動部として昇降テーブル36を有している。そして、昇降テーブル36がいずれかの仮置き棚段32に対応する位置に移動した状態で、仮置き棚段32と昇降テーブル36との間で物品Wが授受されるように構成されている。さらに、昇降テーブル36が入出庫コンベア40に対応する位置に移動した状態で、昇降テーブル36と入出庫コンベア40との間で物品Wが授受されるように構成されている。
【0028】
昇降テーブル36と入出庫コンベア40との間における物品Wの授受は、例えば、上記したのと同様に、仮置き棚段32及び入出庫コンベア40のそれぞれに、複数のローラを並列状に設け、図示省略のモータによって各ローラを回転駆動させることで、載置された物品Wを、仮置き棚段32から入出庫コンベア40に向けて或はその逆に搬送する構成等を採用することができる。その他、別途設けられたプッシャー等で物品Wを押して当該物品Wを移動させる構成等であってもよい。
【0029】
入出庫コンベア40は、昇降移載装置35の外側側方位置からさらに外方に向けて線状に延びるように設けられており、昇降移載装置35と外部との間で物品Wを水平方向に沿った線状の搬送経路に沿って移動させるように構成されている。かかる入出庫コンベア40としては、例えば、並列状に設けられた複数のローラを、図示省略のモータによって回転駆動させることで、載置された物品Wを線状に移動させる構成を採用することができる。入出庫コンベア40は、当該構成に限られず、いわゆるベルトコンベア等であってもよい。また、入出庫コンベア40が、上下2段に設けられていてもよい。さらに、入出庫コンベア40が省略され、昇降テーブル36と人手或は別途設けられたテーブルとの間で直接的に物品Wが授受される構成であってもよい。
【0030】
この自動倉庫20は、図示省略の制御ユニットによる制御下、次の格納動作を行う。
【0031】
すなわち、外部からの物品Wを、入出庫コンベア40を通じて昇降移載装置35に向けて搬送する。そして、昇降テーブル36を入出庫コンベア40に対応する高さ位置に移動させた状態で、入出庫コンベア40から昇降テーブル36に物品Wを移載する。この後、昇降テーブル36を、空き格納箇所のうちから選択された格納対象箇所に対応する棚段24に対応する位置に昇降移動させる。なお、格納対象箇所の選択は以下の点を考慮して行われる。すなわち、格納対象となる物品Wの荷幅が、別途キーボード等の入力手段を介した入力指令に基づいて(或は、センサによる幅検知信号に基づいて)認識される。そして、当該物品Wの荷幅及び移載装置60A、60Bによる調整幅に応じて、当該物品Wをいずれの移載装置60A、60Bで格納すべきか、即ち、いずれの棚段24に格納すべきかが判断される。即ち、物品Wの荷幅が移載装置60A、60Bにより取扱い可能な幅となるように、格納すべき棚段24が選択される。そして、昇降テーブル36から仮置き棚段32に物品Wを移載する。この後、走行移載装置50が仮置き棚段32から物品Wを取込み、走行移載装置50が格納対象箇所に向けて走行移動する。そして、走行移載装置50から棚段24の格納対象箇所に向けて物品Wを送込む。これにより、物品Wの格納動作が収容する。なお、物品Wの格納位置は、物品Wを格納する際に、当該物品Wに付与された識別符号と格納棚22における格納位置とを対応付けたテーブルを作成しておくことと等で、管理されている。
【0032】
また、物品Wの取出動作は、次のようにして行われる。
【0033】
すなわち、取出対象として指定された物品Wが存在する棚段24に対応する走行移載装置50を走行移動させて、当該走行移載装置50を取出対象として指定された物品W前に移動させる。そして、走行移載装置50は、棚段24から物品Wを取込んだ後、仮置き棚段32に向けて走行移動する。この後、走行移載装置50から仮置き棚段32に向けて物品Wを送込む。また、この仮置き棚段32と対応する高さ位置に、昇降テーブル36を昇降移動させ、仮置き棚段32から昇降テーブル36に物品Wを移載する。この後、昇降テーブル36を入出庫コンベア40に対応する高さ位置に昇降移動させ、物品Wを昇降テーブル36から入出庫コンベア40に向けて移載する。入出庫コンベア40に移載された物品Wは、入出庫コンベア40によって外部に向けて搬送される。
【0034】
<走行移載装置の構成例>
走行移載装置50の構成例について説明する。
【0035】
小さいサイズ用の走行移載装置50Aについて説明する。図3は走行移載装置50Aを示す概略正面図であり、図4は走行移載装置50Aを示す概略平面図であり、図5は走行移載装置50Aを示す一部概略側面図である。
【0036】
走行移載装置50Aは、走行台車52に、上下2段に移載装置60Aが搭載された構成とされている。
【0037】
走行台車52は、平面視略方形状の台車本体部54と、台車本体部54に設けられた車輪56とを有している。そして、走行レール26上に車輪56を配設した状態で、モータ58を含む走行駆動部の駆動によって車輪56を回転駆動させることによって、走行移載装置50Aが走行レール26上を走行して、対応する棚段24と仮置き棚30との間を往復水平移動するようになっている。
【0038】
上記台車本体部54には、略方形状の孔が形成され、その孔の周囲部分に下段の移載装置60Aが組込まれている。また、台車本体部54に、支持柱59が立設され、当該支持柱59の上端部に上段の移載装置60Bが組込まれている。これにより、上下2段の走行移載装置50Aが、上下2段の棚段24或は上下2段の仮置き棚段32それぞれに対して、物品Wを出し入れできるようになっている。
【0039】
上下2段の移載装置60Aは、同様構成であるため、下段の移載装置60Aを中心に説明する。
【0040】
移載装置60は、一対のピッキングユニット70、75と、幅調整機構90とを有している。
【0041】
一対のピッキングユニット70、75のうち一方のピッキングユニット70は、走行台車52に対して一定位置に固定されており、他方のピッキングユニット75は一方のピッキングユニット70に対して接近及び離間移動可能に設けられている。
【0042】
すなわち、一方のピッキングユニット70は、長尺状のピッキングフレーム部71と、当該ピッキングフレーム部71内に設けられたピッキング部72とを有している。ピッキングフレーム部71は、台車本体部54の一定位置に固定されている。ピッキング部72は、ピッキングフレーム部71内に収る程度の長尺状部材であり、ピッキングフレーム部71の両端部から進退可能な状態で当該ピッキングフレーム部71内に移動可能に配設されている。また、ピッキング部72の両端部には、内側に向けて起伏可能な爪部73が設けられている。爪部73は、図示省略のモータ、流体シリンダ等の駆動によって、ピッキング部72の内側に突出する状態とピッキング部72内に退避する状態との間で切替駆動されるようになっている。
【0043】
また、他方のピッキングユニット75は、長尺状のピッキングフレーム部76と、当該ピッキングフレーム部76内に設けられたピッキング部77とを有している。ピッキングフレーム部76は、上記ピッキングフレーム部71に対して並列姿勢で、かつ、当該ピッキングフレーム部71に対して接近及び離間移動可能に、上記台車本体部54に支持されている。ピッキングフレーム部76の支持は、リニアガイド等、直線移動可能な状態で支持する各種構成によって実現できる。ピッキング部77は、上記ピッキング部72と同様に、ピッキングフレーム部76内に移動可能に配設され、かつ、その両端部に起伏駆動可能な爪部78を有している。
【0044】
また、一方のピッキングフレーム部71には、他方のピッキングフレーム部76に向う底板74が延設され、他方のピッキングフレーム部76には、一方のピッキングフレーム部71に向う底板79が延設されている。これらの底板74、79は、ピッキングフレーム部71、76の間隔に応じて、重なり合うようになっている。
【0045】
さらに、上記ピッキング部72、77は、次の構成によって同期して進退移動可能とされている。すなわち、上記一対のピッキングユニット70、75を結ぶ方向に延びるようにして、スプライン軸82が回転可能に支持されている。また、走行台車52に固定されたモータ83の回転運動が、プーリー等の伝達機構を介してスプライン軸82に伝達されるようになっている。また、一方のピッキングユニット70には、上記ピッキング部72に設けられたラック歯と噛合い可能な歯車72aが設けられ、この歯車72aはスプライン軸82に対して相対回転不能に固定されている。また、他方のピッキングユニット75には、上記ピッキング部77に設けられたラック歯と噛合い可能な歯車77aが設けられ、この歯車77aはスプライン軸82に対してその長手方向に沿って移動可能にスプライン結合している。
【0046】
そして、モータ83の駆動によってスプライン軸82を回転させると、歯車72a、77aが同期回転して、ピッキング部72、77が同期して進退移動するようになっている。また、歯車77aは、スプライン軸82に対してその長手方向に沿って移動可能にスプライン結合しているため、他方のピッキングユニット75を一方のピッキングユニット70に対して接近及び離間移動させても、モータ83の駆動によってピッキング部72、77を同期して進退移動動作させることができるようになっている。
【0047】
そして、この走行移載装置50Aでは、一対のピッキング部72、77を棚段24或は仮置き棚段32に対して進出させた状態で、爪部73を一対のピッキング部72、77の内側に突出させて物品Wに引っかけた後、一対のピッキング部72、77を待避移動させることで、当該物品Wを台車本体部54内であって底板74、79上に取込むように移動させることができる。
【0048】
また、爪部73を物品Wに当接させた状態で、一対のピッキング部72、77を棚段24或は仮置き棚段32に対して進出させることで、当該物品Wを棚段24或は仮置き棚段32に押込移動させることができる。
【0049】
また、幅調整機構90は、上記他方のピッキングユニット75を一方のピッキングユニット70に向けて接近及び離間移動させるように構成されている。
【0050】
より具体的には、幅調整機構90は、ラック歯92と、幅調整用歯車94と、幅調整駆動部とを有している。
【0051】
ラック歯92は、一側面に複数の歯が並ぶように形成された長尺状部材であり、他方のピッキングユニット75の移動経路に沿った位置及び姿勢(ここでは、台車本体部54の下部で、その孔部の一側部から中間部に至る姿勢)で、台車本体部54に固定されている。
【0052】
また、幅調整用歯車94は、ラック歯92と噛合い可能な状態で、他方のピッキングフレーム部76に回転可能に支持されている。
【0053】
幅調整駆動部は、他方のピッキングフレーム部76に固定されたモータ96を有しており、当該モータ96の回転駆動力がプーリー等の駆動力伝達機構を通じて幅調整用歯車94に伝達されるようになっている。
【0054】
そして、ラック歯92と噛合う幅調整用歯車94を、幅調整駆動部のモータ96の駆動によって回転させると、ラック歯92上を走行するように幅調整用歯車94が回転することになり、これにより、他方のピッキングユニット75が一方のピッキングユニット70に接近する方向或は離間する方向に移動するようになる。
【0055】
かかる構成の移載装置60Aでは、上記他方のピッキングユニット75の移動距離(ピッキングユニット75のガイド長さ、スプライン軸82の長さ等)、幅調整機構90の駆動距離(ラック歯92の長さ等)を適宜調整することによって、一対のピッキングユニット70、75間の距離、つまり、調整幅を適宜設定できる。
【0056】
大きいサイズ用の走行移載装置50Bに搭載された移載装置60Bについても、基本的には、上記移載装置60Aと同様構成を採用することができる。ただし、図6に示すように、台車本体部54Bの幅、他方のピッキングユニット75が移動可能な距離、スプライン軸82Bの長さ、幅調整機構90Bの駆動距離(ラック歯92Bの長さ等)を上記の場合よりも長くする。これにより、移載装置60Bは、移載装置60Aよりも大きい第2調整幅で一対のピッキングユニット70、75の間隔を調整することができるようになる。
【0057】
以上のように構成された自動倉庫20によると、第1の調整幅に対応する荷幅(例えば、300mm〜800mm)の物品Wについては、移載装置60Aによって上側の棚段24に出し入れして格納し、第2の調整幅に対応する荷幅(例えば、601mm〜1400mm)の物品Wについては、移載装置60Bによって下側の棚段24に出し入れして格納することができる。
【0058】
このため、自動倉庫全体としては、第1の調整幅及び第2の調整幅に対応する物品W(例えば、300mm〜1400mm)を取扱って格納することができる。一方、移載装置60A、60Bは、その全範囲で調整可能である必要はなく、一部範囲で調整可能であればよい。このため、移載装置60A、60Bの調整可能な幅を小さくして、その小型化、軽量化、低コスト化を図ることができる。また、小型化、軽量化により、動作の迅速化を図ることもできる。
【0059】
また、移載装置60A、60Bのそれぞれで一対のピッキングユニット70、75の調整幅、つまり、移動距離が小さくなるので、一対のピッキングユニット70、75の幅調整期間短縮化による、動作の迅速化を図ることもできる。
【0060】
なお、移載装置60Aによる第1の調整幅と第2の調整幅とは、上記例に限られず、その最小値及び最大値のいずれか一方が異なっていればよい。例えば、第2の調整幅範囲内に、第1の調整幅が含まれていてもよい。
【0061】
もっとも、第2の調整幅の最小値及び最大値が、それぞれ前記第1の調整幅の最小値及び最大値より大きくなるように設定されることで、専ら移載装置60Aによって比較的小さいサイズの物品Wを出し入れし、専ら移載装置60Bによって比較的大きいサイズの物品Wを出し入れするというように使い分けすることができ、両方の移載装置60A、60Bの小型化、軽量化、動作迅速化を行うことができる。
【0062】
<変形例>
上記実施形態では、上側の棚段24では、2つの棚段24に対して1つの走行移載装置50Aが設けられていたが、必ずしもその必要はなく、一つの棚段に対して一つの走行移載装置が設けられていてもよい。この場合、一つの走行移載装置には、当該一つの棚段に対応する一つの移載装置が搭載されていればよい。
【0063】
また、複数(例えば、2つ)の棚段に対して1つの走行移載装置が設けられている場合でも、全ての棚段に対応して移載装置が設けられている必要はない。一つの移載装置が昇降可能に設けられ、複数の棚段に対して出し入れ可能に配設されていてもよい。
【0064】
要するに、複数の移載装置が設けられ、各移載装置が少なくとも一つの棚段に対応して設けられていればよい。
【0065】
また、ピッキングユニット70、75の幅を調整する機構も上記例に限られず、ピッキングユニットをスプロケット、ベルト等に連結し、当該スプロケット、ベルト等をモータ等で回転駆動させて、ピッキングユニットを移動させる構成等であってもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、移載装置として、2つの調整幅を持つ2種類のものが設けられる場合について説明したが、さらに別の調整幅を持つものが設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0067】
20 自動倉庫
22 格納棚
24 棚段
50(50A、50B) 走行移載装置
52 走行台車
60(60A、60B) 移載装置
70、75 ピッキングユニット
90、90B 幅調整機構
W 当物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の棚段を有する格納棚と、
それぞれ前記複数の棚段の少なくとも一つに対応して設けられ、対応する少なくとも一つの前記棚段に対して物品を出し入れする一対のピッキングユニットを有する複数の移載装置と、
を備え、
前記複数の移載装置は、
前記一対のピッキングユニットの間隔を第1の調整幅で調整可能な第1の移載装置と、
前記一対のピッキングユニットの間隔を前記第1の調整幅とは異なる第2の調整幅で調整可能な第2の移載装置と、
を含む、自動倉庫。
【請求項2】
請求項1記載の自動倉庫であって、
前記第2の調整幅の最小値及び最大値は、それぞれ前記第1の調整幅の最小値及び最大値より大きくなるように設定された、自動倉庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−144327(P2012−144327A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3859(P2011−3859)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(000139780)株式会社イトーキ (833)
【Fターム(参考)】