自動変速機用流体フィルタ及びその製造方法
【課題】フィルタの外観寸法に対する濾材の濾過面積を大きくしてフィルタの小型化を図ることができると共に、樹脂使用量を低減することができる自動変速機用流体フィルタを提供する。
【解決手段】本フィルタは、樹脂製の上側ケース部材2と、前記上側ケース部材との間で濾過室4を形成する樹脂製の下側ケース部材3と、前記濾過室内に配置される濾材9及び該濾材の縁端を保持する樹脂製の側板10を有するフィルタエレメント5と、を備え、前記上側ケース部材の周側壁の下端部と前記側板の上端部との間には、該上側ケース部材及び該側板を接合する上側接合部16が形成されており、前記下側ケース部材の周側壁の上端部と前記側板の下端部との間には、該下側ケース部材及び該側板を接合する下側接合部17が形成されている。
【解決手段】本フィルタは、樹脂製の上側ケース部材2と、前記上側ケース部材との間で濾過室4を形成する樹脂製の下側ケース部材3と、前記濾過室内に配置される濾材9及び該濾材の縁端を保持する樹脂製の側板10を有するフィルタエレメント5と、を備え、前記上側ケース部材の周側壁の下端部と前記側板の上端部との間には、該上側ケース部材及び該側板を接合する上側接合部16が形成されており、前記下側ケース部材の周側壁の上端部と前記側板の下端部との間には、該下側ケース部材及び該側板を接合する下側接合部17が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動変速機用流体フィルタ及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、フィルタの外観寸法に対する濾材の濾過面積を大きくしてフィルタの小型化を図ることができると共に、樹脂使用量を低減することができる自動変速機用流体フィルタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動変速機用流体フィルタとして、樹脂製の上側ケース部材と、この上側ケース部材との間で濾過室を形成する樹脂製の下側ケース部材と、この濾過室内に配置されるひだ折り状の濾材及び該濾材の縁端を保持する樹脂製の保持枠を有するフィルタエレメントと、を備えてなるオイルフィルタが一般に知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
上記オイルフィルタでは、例えば、図13に示すように、各ケース部材102,103のそれぞれの周側壁102b,103bには外側方に突出する溶着部120a,120bが設けられており、保持枠118は、濾材109の縁端を保持する側板110と、この側板110の上下方向の中央部から外側方に突出する溶着部121と、を有して構成されている。そして、各ケース部材102,103の溶着部120a,120bと保持枠118の溶着部121とを振動溶着させて、各ケース部材102,103及び保持枠118(即ち、フィルタエレメント105)が一体化されたオイルフィルタ101が得られることとなる。
【0003】
しかし、上記従来のオイルフィルタ101では、フィルタエレメント105を構成する側板110は、各ケース部材102,103の内壁から隙間をもって濾過室104内に配置されており、側板110及び隙間を含む濾過室104内の空間Sでは、濾材109による濾過機能を発揮させることができない。したがって、フィルタ全体の外観寸法に対して濾材の濾過面積が比較的小さなものとなっている。また、各ケース部材102,103及び保持枠118には外側方に突出する溶着部120a,120b,121が形成されているので、やはりフィルタ全体の外観寸法に対して濾材の濾過面積が比較的小さなものとなっており、また樹脂使用量も比較的多いものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−273116号公報
【特許文献2】特開2006−316902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、フィルタの外観寸法に対する濾材の濾過面積を大きくしてフィルタの小型化を図ることができると共に、樹脂使用量を低減することができる自動変速機用流体フィルタ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の通りである。
1.樹脂製の上側ケース部材と、
前記上側ケース部材との間で濾過室を形成する樹脂製の下側ケース部材と、
前記濾過室内に配置される濾材及び該濾材の縁端を保持する樹脂製の側板を有するフィルタエレメントと、を備え、
前記上側ケース部材の周側壁の下端部と前記側板の上端部との間には、該上側ケース部材及び該側板を接合する上側接合部が形成されており、
前記下側ケース部材の周側壁の上端部と前記側板の下端部との間には、該下側ケース部材及び該側板を接合する下側接合部が形成されていることを特徴とする自動変速機用流体フィルタ。
2.前記下側ケース部材の周側壁の上端部と前記側板の下端部とのうちの一方には、上下方向に突出する凸部が設けられており、他方には上下方向に凹み且つ該凸部が嵌合する凹部が設けられており、
前記上側接合部は、前記上側ケース部材の周側壁の下端部と前記側板の上端部との振動溶着により形成されており、
前記下側接合部は、前記振動溶着の際に前記側板を挟んで前記上側ケース部材及び前記下側ケース部材を上下方向に加圧するときに前記凸部及び前記凹部が嵌合されることにより形成されている上記1.記載の自動変速機用流体フィルタ。
3.前記凸部及び/又は前記凹部には、該凸部及び該凹部が嵌合されるときに押し潰される突起が設けられている上記2.記載の自動変速機用流体フィルタ。
4.前記濾材は、ひだ折り状に形成されており、
前記側板は、前記濾材のひだ折り側の縁端を保持する第1側板と、前記濾材の非ひだ折り側の縁端を保持する第2側板と、を有して枠状に形成されており、該第1側板及び該第2側板のそれぞれは、前記濾材のひだ折高さ(h1)より大きな高さ(h2)を有している上記1.乃至3.のいずれか一項に記載の自動変速機用流体フィルタ。
5.樹脂製の上側ケース部材と、
前記上側ケース部材との間で濾過室を形成する樹脂製の下側ケース部材と、
前記濾過室内に配置される濾材及び該濾材の縁端を保持する樹脂製の側板を有するフィルタエレメントと、を備える自動変速機用流体フィルタの製造方法であって、
前記上側ケース部材の周側壁の下端部と前記側板の上端部との間に、該上側ケース部材及び該側板を接合する上側接合部を形成すると共に、前記下側ケース部材の周側壁の上端部と前記側板の下端部との間に、該下側ケース部材及び該側板を接合する下側接合部を形成する工程を備えることを特徴とする自動変速機用流体フィルタの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の自動変速機用流体フィルタによると、上側ケース部材の周側壁の下端部と側板の上端部との間には、該上側ケース部材及び該側板を接合する上側接合部が形成されており、下側ケース部材の周側壁の上端部と側板の下端部との間には、該下側ケース部材及び該側板を接合する下側接合部が形成されている。すなわち、フィルタエレメントを構成する側板の上下端部を利用してフィルタエレメントと各ケース部材とを接合している。したがって、濾過室の略全域にわたって濾材を配置させ得ると共に、従来のように外側方に突出する溶着部を設ける必要がない。その結果、フィルタの外観寸法に対する濾材の濾過面積を大きくしてフィルタの小型化を図ることができると共に、樹脂使用量を低減することができる。
また、前記下側ケース部材の周側壁の上端部と前記側板の下端部とのうちの一方には、上下方向に突出する凸部が設けられており、他方には上下方向に凹み且つ該凸部が嵌合する凹部が設けられており、前記上側接合部が、前記上側ケース部材の周側壁の下端部と前記側板の上端部との振動溶着により形成されており、前記下側接合部が、前記振動溶着の際に前記側板を挟んで前記上側ケース部材及び前記下側ケース部材を上下方向に加圧するときに前記凸部及び前記凹部が嵌合されることにより形成されている場合は、振動溶着により上側接合部を形成しているので、濾過室(特にクリーン室)に必要な密封性を発揮し得る上側接合部を容易且つ確実に形成することができる。また、上側接合部を形成するための振動溶着の際の各ケース部材の加圧力を利用して下側接合部を形成しているので、濾過室(特にダスティ室)に必要な密封性を発揮し得る下側接合部を容易且つ確実に形成することができる。
また、前記凸部及び/又は前記凹部には、該凸部及び該凹部が嵌合されるときに押し潰される突起が設けられている場合は、突起が押し潰された状態で凸部及び凹部がより強固に嵌合されるので、下側接合部の接合力をより高めることができる。
さらに、前記濾材が、ひだ折り状に形成されており、前記側板が、前記濾材のひだ折り側の縁端を保持する第1側板と、前記濾材の非ひだ折り側の縁端を保持する第2側板と、を有して枠状に形成されており、該第1側板及び該第2側板のそれぞれが、前記濾材のひだ折高さ(h1)より大きな高さ(h2)を有している場合は、枠状の側板に対して濾材のひだ折り側及び非ひだ折り側の縁端をより確実に保持させることができる。したがって、フィルタの品質を向上させることができる。
【0008】
本発明の自動変速機用流体フィルタの製造方法によると、上側ケース部材の周側壁の下端部と側板の上端部との間には、該上側ケース部材及び該側板を接合する上側接合部が形成されており、下側ケース部材の周側壁の上端部と側板の下端部との間には、該下側ケース部材及び該側板を接合する下側接合部が形成されている。すなわち、フィルタエレメントを構成する側板の上下端部を利用してフィルタエレメントと各ケース部材とを接合している。したがって、濾過室の略全域にわたって濾材を配置させ得ると共に、従来のように外側方に突出する溶着部を設ける必要がない。その結果、フィルタの外観寸法に対する濾材の濾過面積を大きくしてフィルタの小型化を図ることができると共に、樹脂使用量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例に係るオイルフィルタの全体を示す斜視図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】図3のIV矢視で示す部位の拡大図である。
【図5】図3のV矢視で示す部位の拡大図である。
【図6】上記オイルフィルタの製造方法を説明するための説明図である。
【図7】図6のVII矢視で示す部位の拡大図である。
【図8】図6のVIII矢視で示す部位の拡大図である。
【図9】図1のIX−IX線断面図である。
【図10】下側接合部のその他の形態を説明するための説明図である。
【図11】下側接合部の更にその他の形態を説明するための説明図である。
【図12】上側接合部及び下側接合部の更にその他の形態を説明するための説明図である。
【図13】従来のオイルフィルタを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.自動変速機用流体フィルタ
本実施形態1.に係る自動変速機用流体フィルタ(以下、単に「フィルタ」とも略記する。)は、以下に述べる上側ケース部材、下側ケース部材及びフィルタエレメントを備えている。なお、上記自動変速機の種類としては、例えば、トルコン式、CVT式などを挙げることができる。
【0011】
上記「上側ケース部材」は、樹脂製である限り、その構造、形状、大きさ等は特に問わない。この上側ケース部材は、通常、下方を開放した箱状に形成されており、天井壁及びこの天井壁の周縁端から上下方向に延びる周側壁を有している。
【0012】
上記「下側ケース部材」は、上側ケース部材との間で濾過室を形成し且つ樹脂製である限り、その構造、形状、大きさ等は特に問わない。この下側ケース部材は、通常、上方を開放した箱状に形成されており、底壁及びこの底壁の周縁端から上下方向に延びる周側壁を有している。
【0013】
上記「フィルタエレメント」は、上記濾過室内に配置される濾材及び該濾材の縁端を保持する樹脂製の側板を有する限り、その構造、形状、大きさ等は特に問わない。このフィルタエレメントによって、通常、フィルタの濾過室は、上側のクリーン室と下側のダスティ室とに区画されている。また、このフィルタエレメントの側板、上側ケース部材及び下側ケース部材によって、通常、フィルタの濾過室が形成されると共に、フィルタの外側面(意匠側面)が形成される。
上記濾材の形状としては、例えば、ひだ折り状、シート状、波状、袋状等を挙げることができる。また、上記濾材の材質としては、例えば、不織布、織物、紙等を挙げることができる。
上記濾材は、例えば、フィルタの平面視において、その縁端が上側ケース部材及び下側ケース部材のそれぞれの周側壁と重なって設けられていることができる。これにより、濾材の濾過面積をより大きくすることができる。
【0014】
本実施形態1.のフィルタでは、上側ケース部材の周側壁の下端部と側板の上端部との間には、該上側ケース部材及び該側板を接合する上側接合部が形成されており、下側ケース部材の周側壁の上端部と前記側板の下端部との間には、該下側ケース部材及び該側板を接合する下側接合部が形成されている。これら上側接合部及び下側接合部は、通常、各ケース部材の周側壁の全周にわたって設けられている。
上記上側接合部及び下側接合部の接合形態としては、例えば、(1)振動、超音波、レーザー、熱板等による溶着、(2)接着剤等による接着、(3)凸部及び凹部による嵌合等のうちの1種又は2種以上の組み合わせを挙げることができる。
【0015】
ここで、本実施形態1.のフィルタとしては、例えば、下側ケース部材の周側壁の上端部と側板の下端部とのうちの一方には、上下方向に突出する凸部が設けられており、他方には上下方向に凹み且つ該凸部が嵌合する凹部が設けられており、上側接合部は、上側ケース部材の周側壁の下端部と側板の上端部との振動溶着により形成されており、下側接合部は、振動溶着の際に側板を挟んで上側ケース部材及び下側ケース部材を上下方向に加圧するときに凸部及び凹部が嵌合されることにより形成されている形態を挙げることができる。
上記凸部及び/又は凹部の形状、大きさ、個数、配置形態等は特に問わない。これら凸部及び/又は凹部には、該凸部及び該凹部が嵌合されるときに押し潰される突起が設けられていることができる。
上記下側接合部には、例えば、上側接合部を形成するための振動溶着によって、下側ケース部材の周側壁の上端部と側板の下端部との間で振動溶着される溶着部が形成されていることができる。これにより、下側接合部の接合力をより高めることができる。
【0016】
ここで、本実施形態1.のフィルタとしては、例えば、濾材は、ひだ折り状に形成されており、側板は、濾材のひだ折り側の縁端を保持する第1側板と、濾材の非ひだ折り側の縁端を保持する第2側板と、を有して枠状に形成されており、該第1側板及び該第2側板のそれぞれは、濾材のひだ折高さ(h1)より大きな高さ(h2)を有している形態を挙げることができる。
【0017】
2.自動変速機用流体フィルタの製造方法
本実施形態2.に係る自動変速機用流体フィルタの製造方法は、樹脂製の上側ケース部材と、上側ケース部材との間で濾過室を形成する樹脂製の下側ケース部材と、濾過室内に配置される濾材及び該濾材の縁端を保持する樹脂製の側板を有するフィルタエレメントと、を備える自動変速機用流体フィルタの製造方法であって、
前記上側ケース部材の周側壁の下端部と前記側板の上端部との間に、該上側ケース部材及び該側板を接合する上側接合部を形成すると共に、前記下側ケース部材の周側壁の上端部と前記側板の下端部との間に、該下側ケース部材及び該側板を接合する下側接合部を形成する工程を備えることを特徴とする。
なお、本記自動変速機用流体フィルタの製造方法は、例えば、上記実施形態1.の自動変速機用流体フィルタを製造する方法であることができる。
【実施例】
【0018】
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本実施例では、本発明に係る「自動変速機用流体フィルタ」として自動変速機用オイルフィルタ(以下、単に「オイルフィルタ」とも略記する。)を例示する。
【0019】
(1)オイルフィルタの構成
本実施例に係るオイルフィルタ1は、図1〜3に示すように、樹脂製の上側ケース部材2と、この上側ケース部材2との間で濾過室4を形成する樹脂製の下側ケース部材3と、これら各ケース部材2,3の間に挟持されるフィルタエレメント5と、を備えている。
【0020】
上記上側ケース部材2は、下方を開放した箱状に形成されており、天井壁2a及びこの天上壁2aの周縁端から下方に延びる周側壁2bを有している。この天井壁2aには、濾過室4内のオイルを流出させるオイル流出部6aが設けられている。この周側壁2bの下端部には、上下方向に凹んだ凹部7が周側壁2bの全周にわたって形成されている(図7参照)。
【0021】
上記下側ケース部材3は、上方を開放した箱状に形成されており、底壁3a及びこの底壁3aの周縁端から上方に延びる周側壁3bを有している。この底壁3aには、濾過室4内にオイルを流入させるオイル流入部6bが設けられている。この周側壁3bの上端部には、上下方向に凹んだ凹部8が周側壁3bの全周にわたって形成されている(図8参照)。
【0022】
上記フィルタエレメント5は、濾過室4内に配置される濾材9及びこの濾材9の縁端を保持する樹脂製の側板10を有している。このフィルタエレメント5は、これら濾材9及び側板10をインサート成形により一体成形してなされている。また、このフィルタエレメント5によって、上記濾過室4は、上側のクリーン室4aと下側のダスティ室4bとに区画されている。
【0023】
上記濾材9は、不織布製でひだ折り状に形成されており、ひだ折り側の縁端9aと非ひだ折り側の縁端9bとを有している。この濾材9は、オイルフィルタ1の平面視において、その縁端が各ケース部材2,3のそれぞれの周側壁2b,3bと重なって設けられている。
【0024】
上記側板10は、濾材9のひだ折り側の縁端9aを保持する第1側板10aと、濾材9の非ひだ折り側の縁端9bを保持する第2側板10bと、を有して枠状に形成されている。これら第1側板10a及び第2側板10bのそれぞれは、濾材9のひだ折高さh1より大きな高さh2を有している(図2参照)。そして、これら第1側板10a、第2側板10b、上側ケース部材2及び下側ケース部材3によって、オイルフィルタ1の上記濾過室4が形成されると共に、オイルフィルタ1の外側面(意匠側面)が形成されることとなる。
【0025】
上記第1側板10a及び第2側板10bの上端部には、図6及び図7に示すように、上下方向に突出した突起12が側板10の全周にわって設けられている。また、これら第1側板10a及び第2側板10bの下端部には、図6及び図8に示すように、上下方向に突出し且つ上記凹部8に嵌合(圧入嵌合)される凸部13が側板10の全周にわたって形成されている。この凸部13の先端側には、凸部13及び凹部8が嵌合されるときに押し潰される突起14が側板10の全周にわたって設けられている。
【0026】
上記上側ケース部材2の周側壁2bの下端部と側板10の上端部との間には、図4に示すように、これら上側ケース部材2及び側板10を接合する上側接合部16が周側壁2bの全周にわたって形成されている。この上側接合部16は、主に上記凹部7及び突起12が振動溶着により溶融されて形成されている。
【0027】
上記下側ケース部材3の周側壁3bの上端部と側板10の下端部との間には、図5及び図9に示すように、これら下側ケース部材3及び側板10を接合する下側接合部17が周側壁3bの全周にわたって形成されている。この下側接合部17は、上記突起12が凹部8内で押し潰された状態で凸部13及び凹部8が嵌合されることにより形成されている。
【0028】
(2)オイルフィルタの製造方法
次に、上記構成のオイルフィルタ1の製造方法について説明する。
図6に示すように、上側ケース部材2の凹部7と側板10の突起12とが対向すると共に、下側ケース部材3の凹部8と側板の凸部13とが対向するように上側ケース部材2、下側ケース部材3及びフィルタエレメント5を振動溶着装置の複数の型部(図示省略)にセットする。次に、それら複数の型部を上下方向に移動させて、側板10を挟んで上側ケース部材2及び下側ケース部材3を上下方向に所定の加圧力で加圧する。このとき、凹部8内で突起12が押し潰された状態で凸部13及び凹部8が嵌合されて下側接合部17(図5参照)が形成される。次いで、その振動溶着装置によって、固定状態の下側ケース部材3及びフィルタエレメント5に対して上側ケース部材2を所定の振動方向P(図1参照)に振動させると、突起12及び凹部7が溶融されて上側接合部16(図4参照)が形成される。
【0029】
(3)実施例の効果
本実施例のオイルフィルタ1によると、上側ケース部材2の周側壁2bの下端部と側板10の上端部との間には、該上側ケース部材2及び該側板10を接合する上側接合部16が形成されており、下側ケース部材3の周側壁3bの上端部と側板10の下端部との間には、該下側ケース部材3及び該側板10を接合する下側接合部17が形成されている。すなわち、フィルタエレメント5を構成する側板10の上下端部を利用してフィルタエレメント5と各ケース部材2,3とを接合している。したがって、濾過室4の略全域にわたって濾材9を配置させ得ると共に、従来のように外側方に突出する溶着部を設ける必要がない。その結果、オイルフィルタ1の外観寸法に対する濾材9の濾過面積を大きくしてオイルフィルタ1の小型化を図ることができると共に、樹脂使用量を低減することができる。
【0030】
また、本実施例では、側板10の下端部に上下方向に突出する凸部13を設け、下側ケース部材3の周側壁3bの上端部に上下方向に凹み且つ凸部13が嵌合する凹部8を設け、上側接合部16を、上側ケース部材2の周側壁2bの下端部と側板10の上端部との振動溶着により形成し、下側接合部17を、振動溶着の際に側板10を挟んで上側ケース部材2及び下側ケース部材3を上下方向に加圧するときに凸部13及び凹部8が嵌合されることにより形成するようにしたので、振動溶着により上側接合部16が形成されており、クリーン室4aに必要な密封性を発揮し得る上側接合部16を容易且つ確実に形成することができる。また、上側接合部16を形成するための振動溶着の際の各ケース部材2,3の加圧力を利用して下側接合部17を形成しているので、ダスティ室4bに必要な密封性を発揮し得る下側接合部17を容易且つ確実に形成することができる。
【0031】
また、本実施例では、凸部13に、凸部13及び凹部8が嵌合されるときに押し潰される突起14を設けるようにしたので、突起14が押し潰された状態で凸部13及び凹部8がより強固に嵌合され、下側接合部17の接合力をより高めることができる。
【0032】
さらに、本実施例では、濾材9を、ひだ折り状に形成し、側板10を、濾材9のひだ折り側の縁端9aを保持する第1側板10aと、濾材9の非ひだ折り側の縁端9bを保持する第2側板10bと、を有して枠状に形成し、これら第1側板10a及び第2側板10bのそれぞれを、濾材9のひだ折高さh1より大きな高さh2を有して構成したので、枠状の側板10に対して濾材9のひだ折り側及び非ひだ折り側の縁端9a,9bをより確実に保持させることができる。したがって、オイルフィルタ1の品質を向上させることができる。これに対して、従来一般のオイルフィルタでは、濾材の非ひだ折り側の縁端を保持する部位の高さ寸法は、濾材のひだ折り高さより小さな値に設定されているため、フィルタエレメントのインサート成形時に濾材の非ひだ折り端側の縁端があばれてしまい正確に保持されない場合があった。
【0033】
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記実施例では、凸部13及び凹部8の嵌合のみにより下側接合部17を形成するようにしたが、これに限定されず、例えば、凸部13及び凹部8の嵌合に加えて、上側接合部16を形成するための振動溶着により凸部13及び凹部8を溶融させて溶着部を下側接合部17に設けるようにしてもよい。この溶着部は、例えば、下側ケース部材3の周側壁3bの全周に沿って設けられていてもよいが、複数の溶着部を下側ケース部材3の周側壁3bに沿う所定部位(例えば、図9中に仮想線で示す領域で囲まれる下側接合部の部位)に設けることが好ましい。ダスティ室4bに必要な密封性を発揮し得る下側接合部17をより容易且つ確実に形成できるためである。特に、上記溶着部が下側ケース部材の周側壁の少なくとも4隅部に設けられていることが好ましい。
【0034】
また、上記実施例では、凸部13及び凹部8を各ケース部材2,3の周側壁2b,3bの全周に沿って設けるようにしたが、これに限定されず、例えば、図10に示すように、凸部13及び凹部8を、上側接合部16を形成するための振動溶着の所定の振動方向Pに沿って設けると共に、その振動方向Pに交差する方向に沿って設けないようにしてもよい。これにより、下側接合部17において振動方向Pに交差する方向により容易且つ確実に溶着部を形成することができる。
【0035】
また、上記実施例では、突起12,14を各ケース部材2,3の周側壁2b,3bの全周に沿って設けるようにしたが、これに限定されず、例えば、複数の突起2,3を各ケース部材2,3の周側壁2b,3bに沿う所定部位に設けるようにしてもよい。
【0036】
また、上記実施例では、上側接合部16を振動溶着により形成すると共に、下側接合部17を凸部13及び凹部8の嵌合により形成するようにしたが、これに限定されず、例えば、上側接合部16及び下側接合部17の両者を振動溶着により形成するようにしてもよい。この場合、例えば、図11に示すように、側板10の上端部及び下端部に突起12を設け、各ケース部材2,3の周側壁2b,3bの端部に凹部7を設け、1回の振動溶着により上側接合部16及び下側接合部17を同時に形成するようにしてもよい。
【0037】
また、上記実施例では、側板10の下端部に凸部13を設け、上側ケース部材2の周側壁2bの上端部に凹部7を設けるようにしたが、これに限定されず、例えば、図12に示すように、側板10の下端部に凹部7を設け、上側ケース部材2の周側壁2bの上端部に凸部13を設けるようにしてもよい。
【0038】
また、上記実施例では、側板10の上端部に突起12を設け、上側ケース部材2の周側壁2bの下端部に凹部7を設けるようにしたが、これに限定されず、例えば、図12に示すように、側板10の上端部に凹部7を設け、上側ケース部材2の周側壁2bの下端部に突起12を設けるようにしてもよい。
【0039】
さらに、上記実施例では、上側接合部16及び下側接合部17を1工程で同時に形成するようにしたが、これに限定されず、例えば、上側接合部16を形成する工程と下側接合部17を形成する工程とを備え、上側接合部16及び下側接合部17を2回の工程で形成するようにしてもよい。この場合、例えば、先ず、凸部13及び凹部8の嵌合により下側接合部17を形成してフィルタエレメント5及び下側ケース部材3を一体化し、その後、振動溶着により上側接合部16を形成してオイルフィルタ1を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
車両等の自動変速機用流体を濾過するフィルタとして広く利用される。
【符号の説明】
【0041】
1;オイルフィルタ、2;上側ケース部材、2b;周側壁、3;下側ケース部材、3b;周側壁、4;濾過室、4a;クリーン室、4b;ダスティ室、5;フィルタエレメント、8;凹部、9;濾材、9a;ひだ折り側の縁端、9b;非ひだ折り側の縁端、10;側板、10a;第1側板、10b;第2側板、13;凸部、14;突起、16;上側接合部、17;下側接合部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動変速機用流体フィルタ及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、フィルタの外観寸法に対する濾材の濾過面積を大きくしてフィルタの小型化を図ることができると共に、樹脂使用量を低減することができる自動変速機用流体フィルタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動変速機用流体フィルタとして、樹脂製の上側ケース部材と、この上側ケース部材との間で濾過室を形成する樹脂製の下側ケース部材と、この濾過室内に配置されるひだ折り状の濾材及び該濾材の縁端を保持する樹脂製の保持枠を有するフィルタエレメントと、を備えてなるオイルフィルタが一般に知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
上記オイルフィルタでは、例えば、図13に示すように、各ケース部材102,103のそれぞれの周側壁102b,103bには外側方に突出する溶着部120a,120bが設けられており、保持枠118は、濾材109の縁端を保持する側板110と、この側板110の上下方向の中央部から外側方に突出する溶着部121と、を有して構成されている。そして、各ケース部材102,103の溶着部120a,120bと保持枠118の溶着部121とを振動溶着させて、各ケース部材102,103及び保持枠118(即ち、フィルタエレメント105)が一体化されたオイルフィルタ101が得られることとなる。
【0003】
しかし、上記従来のオイルフィルタ101では、フィルタエレメント105を構成する側板110は、各ケース部材102,103の内壁から隙間をもって濾過室104内に配置されており、側板110及び隙間を含む濾過室104内の空間Sでは、濾材109による濾過機能を発揮させることができない。したがって、フィルタ全体の外観寸法に対して濾材の濾過面積が比較的小さなものとなっている。また、各ケース部材102,103及び保持枠118には外側方に突出する溶着部120a,120b,121が形成されているので、やはりフィルタ全体の外観寸法に対して濾材の濾過面積が比較的小さなものとなっており、また樹脂使用量も比較的多いものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−273116号公報
【特許文献2】特開2006−316902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、フィルタの外観寸法に対する濾材の濾過面積を大きくしてフィルタの小型化を図ることができると共に、樹脂使用量を低減することができる自動変速機用流体フィルタ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の通りである。
1.樹脂製の上側ケース部材と、
前記上側ケース部材との間で濾過室を形成する樹脂製の下側ケース部材と、
前記濾過室内に配置される濾材及び該濾材の縁端を保持する樹脂製の側板を有するフィルタエレメントと、を備え、
前記上側ケース部材の周側壁の下端部と前記側板の上端部との間には、該上側ケース部材及び該側板を接合する上側接合部が形成されており、
前記下側ケース部材の周側壁の上端部と前記側板の下端部との間には、該下側ケース部材及び該側板を接合する下側接合部が形成されていることを特徴とする自動変速機用流体フィルタ。
2.前記下側ケース部材の周側壁の上端部と前記側板の下端部とのうちの一方には、上下方向に突出する凸部が設けられており、他方には上下方向に凹み且つ該凸部が嵌合する凹部が設けられており、
前記上側接合部は、前記上側ケース部材の周側壁の下端部と前記側板の上端部との振動溶着により形成されており、
前記下側接合部は、前記振動溶着の際に前記側板を挟んで前記上側ケース部材及び前記下側ケース部材を上下方向に加圧するときに前記凸部及び前記凹部が嵌合されることにより形成されている上記1.記載の自動変速機用流体フィルタ。
3.前記凸部及び/又は前記凹部には、該凸部及び該凹部が嵌合されるときに押し潰される突起が設けられている上記2.記載の自動変速機用流体フィルタ。
4.前記濾材は、ひだ折り状に形成されており、
前記側板は、前記濾材のひだ折り側の縁端を保持する第1側板と、前記濾材の非ひだ折り側の縁端を保持する第2側板と、を有して枠状に形成されており、該第1側板及び該第2側板のそれぞれは、前記濾材のひだ折高さ(h1)より大きな高さ(h2)を有している上記1.乃至3.のいずれか一項に記載の自動変速機用流体フィルタ。
5.樹脂製の上側ケース部材と、
前記上側ケース部材との間で濾過室を形成する樹脂製の下側ケース部材と、
前記濾過室内に配置される濾材及び該濾材の縁端を保持する樹脂製の側板を有するフィルタエレメントと、を備える自動変速機用流体フィルタの製造方法であって、
前記上側ケース部材の周側壁の下端部と前記側板の上端部との間に、該上側ケース部材及び該側板を接合する上側接合部を形成すると共に、前記下側ケース部材の周側壁の上端部と前記側板の下端部との間に、該下側ケース部材及び該側板を接合する下側接合部を形成する工程を備えることを特徴とする自動変速機用流体フィルタの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の自動変速機用流体フィルタによると、上側ケース部材の周側壁の下端部と側板の上端部との間には、該上側ケース部材及び該側板を接合する上側接合部が形成されており、下側ケース部材の周側壁の上端部と側板の下端部との間には、該下側ケース部材及び該側板を接合する下側接合部が形成されている。すなわち、フィルタエレメントを構成する側板の上下端部を利用してフィルタエレメントと各ケース部材とを接合している。したがって、濾過室の略全域にわたって濾材を配置させ得ると共に、従来のように外側方に突出する溶着部を設ける必要がない。その結果、フィルタの外観寸法に対する濾材の濾過面積を大きくしてフィルタの小型化を図ることができると共に、樹脂使用量を低減することができる。
また、前記下側ケース部材の周側壁の上端部と前記側板の下端部とのうちの一方には、上下方向に突出する凸部が設けられており、他方には上下方向に凹み且つ該凸部が嵌合する凹部が設けられており、前記上側接合部が、前記上側ケース部材の周側壁の下端部と前記側板の上端部との振動溶着により形成されており、前記下側接合部が、前記振動溶着の際に前記側板を挟んで前記上側ケース部材及び前記下側ケース部材を上下方向に加圧するときに前記凸部及び前記凹部が嵌合されることにより形成されている場合は、振動溶着により上側接合部を形成しているので、濾過室(特にクリーン室)に必要な密封性を発揮し得る上側接合部を容易且つ確実に形成することができる。また、上側接合部を形成するための振動溶着の際の各ケース部材の加圧力を利用して下側接合部を形成しているので、濾過室(特にダスティ室)に必要な密封性を発揮し得る下側接合部を容易且つ確実に形成することができる。
また、前記凸部及び/又は前記凹部には、該凸部及び該凹部が嵌合されるときに押し潰される突起が設けられている場合は、突起が押し潰された状態で凸部及び凹部がより強固に嵌合されるので、下側接合部の接合力をより高めることができる。
さらに、前記濾材が、ひだ折り状に形成されており、前記側板が、前記濾材のひだ折り側の縁端を保持する第1側板と、前記濾材の非ひだ折り側の縁端を保持する第2側板と、を有して枠状に形成されており、該第1側板及び該第2側板のそれぞれが、前記濾材のひだ折高さ(h1)より大きな高さ(h2)を有している場合は、枠状の側板に対して濾材のひだ折り側及び非ひだ折り側の縁端をより確実に保持させることができる。したがって、フィルタの品質を向上させることができる。
【0008】
本発明の自動変速機用流体フィルタの製造方法によると、上側ケース部材の周側壁の下端部と側板の上端部との間には、該上側ケース部材及び該側板を接合する上側接合部が形成されており、下側ケース部材の周側壁の上端部と側板の下端部との間には、該下側ケース部材及び該側板を接合する下側接合部が形成されている。すなわち、フィルタエレメントを構成する側板の上下端部を利用してフィルタエレメントと各ケース部材とを接合している。したがって、濾過室の略全域にわたって濾材を配置させ得ると共に、従来のように外側方に突出する溶着部を設ける必要がない。その結果、フィルタの外観寸法に対する濾材の濾過面積を大きくしてフィルタの小型化を図ることができると共に、樹脂使用量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例に係るオイルフィルタの全体を示す斜視図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】図3のIV矢視で示す部位の拡大図である。
【図5】図3のV矢視で示す部位の拡大図である。
【図6】上記オイルフィルタの製造方法を説明するための説明図である。
【図7】図6のVII矢視で示す部位の拡大図である。
【図8】図6のVIII矢視で示す部位の拡大図である。
【図9】図1のIX−IX線断面図である。
【図10】下側接合部のその他の形態を説明するための説明図である。
【図11】下側接合部の更にその他の形態を説明するための説明図である。
【図12】上側接合部及び下側接合部の更にその他の形態を説明するための説明図である。
【図13】従来のオイルフィルタを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.自動変速機用流体フィルタ
本実施形態1.に係る自動変速機用流体フィルタ(以下、単に「フィルタ」とも略記する。)は、以下に述べる上側ケース部材、下側ケース部材及びフィルタエレメントを備えている。なお、上記自動変速機の種類としては、例えば、トルコン式、CVT式などを挙げることができる。
【0011】
上記「上側ケース部材」は、樹脂製である限り、その構造、形状、大きさ等は特に問わない。この上側ケース部材は、通常、下方を開放した箱状に形成されており、天井壁及びこの天井壁の周縁端から上下方向に延びる周側壁を有している。
【0012】
上記「下側ケース部材」は、上側ケース部材との間で濾過室を形成し且つ樹脂製である限り、その構造、形状、大きさ等は特に問わない。この下側ケース部材は、通常、上方を開放した箱状に形成されており、底壁及びこの底壁の周縁端から上下方向に延びる周側壁を有している。
【0013】
上記「フィルタエレメント」は、上記濾過室内に配置される濾材及び該濾材の縁端を保持する樹脂製の側板を有する限り、その構造、形状、大きさ等は特に問わない。このフィルタエレメントによって、通常、フィルタの濾過室は、上側のクリーン室と下側のダスティ室とに区画されている。また、このフィルタエレメントの側板、上側ケース部材及び下側ケース部材によって、通常、フィルタの濾過室が形成されると共に、フィルタの外側面(意匠側面)が形成される。
上記濾材の形状としては、例えば、ひだ折り状、シート状、波状、袋状等を挙げることができる。また、上記濾材の材質としては、例えば、不織布、織物、紙等を挙げることができる。
上記濾材は、例えば、フィルタの平面視において、その縁端が上側ケース部材及び下側ケース部材のそれぞれの周側壁と重なって設けられていることができる。これにより、濾材の濾過面積をより大きくすることができる。
【0014】
本実施形態1.のフィルタでは、上側ケース部材の周側壁の下端部と側板の上端部との間には、該上側ケース部材及び該側板を接合する上側接合部が形成されており、下側ケース部材の周側壁の上端部と前記側板の下端部との間には、該下側ケース部材及び該側板を接合する下側接合部が形成されている。これら上側接合部及び下側接合部は、通常、各ケース部材の周側壁の全周にわたって設けられている。
上記上側接合部及び下側接合部の接合形態としては、例えば、(1)振動、超音波、レーザー、熱板等による溶着、(2)接着剤等による接着、(3)凸部及び凹部による嵌合等のうちの1種又は2種以上の組み合わせを挙げることができる。
【0015】
ここで、本実施形態1.のフィルタとしては、例えば、下側ケース部材の周側壁の上端部と側板の下端部とのうちの一方には、上下方向に突出する凸部が設けられており、他方には上下方向に凹み且つ該凸部が嵌合する凹部が設けられており、上側接合部は、上側ケース部材の周側壁の下端部と側板の上端部との振動溶着により形成されており、下側接合部は、振動溶着の際に側板を挟んで上側ケース部材及び下側ケース部材を上下方向に加圧するときに凸部及び凹部が嵌合されることにより形成されている形態を挙げることができる。
上記凸部及び/又は凹部の形状、大きさ、個数、配置形態等は特に問わない。これら凸部及び/又は凹部には、該凸部及び該凹部が嵌合されるときに押し潰される突起が設けられていることができる。
上記下側接合部には、例えば、上側接合部を形成するための振動溶着によって、下側ケース部材の周側壁の上端部と側板の下端部との間で振動溶着される溶着部が形成されていることができる。これにより、下側接合部の接合力をより高めることができる。
【0016】
ここで、本実施形態1.のフィルタとしては、例えば、濾材は、ひだ折り状に形成されており、側板は、濾材のひだ折り側の縁端を保持する第1側板と、濾材の非ひだ折り側の縁端を保持する第2側板と、を有して枠状に形成されており、該第1側板及び該第2側板のそれぞれは、濾材のひだ折高さ(h1)より大きな高さ(h2)を有している形態を挙げることができる。
【0017】
2.自動変速機用流体フィルタの製造方法
本実施形態2.に係る自動変速機用流体フィルタの製造方法は、樹脂製の上側ケース部材と、上側ケース部材との間で濾過室を形成する樹脂製の下側ケース部材と、濾過室内に配置される濾材及び該濾材の縁端を保持する樹脂製の側板を有するフィルタエレメントと、を備える自動変速機用流体フィルタの製造方法であって、
前記上側ケース部材の周側壁の下端部と前記側板の上端部との間に、該上側ケース部材及び該側板を接合する上側接合部を形成すると共に、前記下側ケース部材の周側壁の上端部と前記側板の下端部との間に、該下側ケース部材及び該側板を接合する下側接合部を形成する工程を備えることを特徴とする。
なお、本記自動変速機用流体フィルタの製造方法は、例えば、上記実施形態1.の自動変速機用流体フィルタを製造する方法であることができる。
【実施例】
【0018】
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本実施例では、本発明に係る「自動変速機用流体フィルタ」として自動変速機用オイルフィルタ(以下、単に「オイルフィルタ」とも略記する。)を例示する。
【0019】
(1)オイルフィルタの構成
本実施例に係るオイルフィルタ1は、図1〜3に示すように、樹脂製の上側ケース部材2と、この上側ケース部材2との間で濾過室4を形成する樹脂製の下側ケース部材3と、これら各ケース部材2,3の間に挟持されるフィルタエレメント5と、を備えている。
【0020】
上記上側ケース部材2は、下方を開放した箱状に形成されており、天井壁2a及びこの天上壁2aの周縁端から下方に延びる周側壁2bを有している。この天井壁2aには、濾過室4内のオイルを流出させるオイル流出部6aが設けられている。この周側壁2bの下端部には、上下方向に凹んだ凹部7が周側壁2bの全周にわたって形成されている(図7参照)。
【0021】
上記下側ケース部材3は、上方を開放した箱状に形成されており、底壁3a及びこの底壁3aの周縁端から上方に延びる周側壁3bを有している。この底壁3aには、濾過室4内にオイルを流入させるオイル流入部6bが設けられている。この周側壁3bの上端部には、上下方向に凹んだ凹部8が周側壁3bの全周にわたって形成されている(図8参照)。
【0022】
上記フィルタエレメント5は、濾過室4内に配置される濾材9及びこの濾材9の縁端を保持する樹脂製の側板10を有している。このフィルタエレメント5は、これら濾材9及び側板10をインサート成形により一体成形してなされている。また、このフィルタエレメント5によって、上記濾過室4は、上側のクリーン室4aと下側のダスティ室4bとに区画されている。
【0023】
上記濾材9は、不織布製でひだ折り状に形成されており、ひだ折り側の縁端9aと非ひだ折り側の縁端9bとを有している。この濾材9は、オイルフィルタ1の平面視において、その縁端が各ケース部材2,3のそれぞれの周側壁2b,3bと重なって設けられている。
【0024】
上記側板10は、濾材9のひだ折り側の縁端9aを保持する第1側板10aと、濾材9の非ひだ折り側の縁端9bを保持する第2側板10bと、を有して枠状に形成されている。これら第1側板10a及び第2側板10bのそれぞれは、濾材9のひだ折高さh1より大きな高さh2を有している(図2参照)。そして、これら第1側板10a、第2側板10b、上側ケース部材2及び下側ケース部材3によって、オイルフィルタ1の上記濾過室4が形成されると共に、オイルフィルタ1の外側面(意匠側面)が形成されることとなる。
【0025】
上記第1側板10a及び第2側板10bの上端部には、図6及び図7に示すように、上下方向に突出した突起12が側板10の全周にわって設けられている。また、これら第1側板10a及び第2側板10bの下端部には、図6及び図8に示すように、上下方向に突出し且つ上記凹部8に嵌合(圧入嵌合)される凸部13が側板10の全周にわたって形成されている。この凸部13の先端側には、凸部13及び凹部8が嵌合されるときに押し潰される突起14が側板10の全周にわたって設けられている。
【0026】
上記上側ケース部材2の周側壁2bの下端部と側板10の上端部との間には、図4に示すように、これら上側ケース部材2及び側板10を接合する上側接合部16が周側壁2bの全周にわたって形成されている。この上側接合部16は、主に上記凹部7及び突起12が振動溶着により溶融されて形成されている。
【0027】
上記下側ケース部材3の周側壁3bの上端部と側板10の下端部との間には、図5及び図9に示すように、これら下側ケース部材3及び側板10を接合する下側接合部17が周側壁3bの全周にわたって形成されている。この下側接合部17は、上記突起12が凹部8内で押し潰された状態で凸部13及び凹部8が嵌合されることにより形成されている。
【0028】
(2)オイルフィルタの製造方法
次に、上記構成のオイルフィルタ1の製造方法について説明する。
図6に示すように、上側ケース部材2の凹部7と側板10の突起12とが対向すると共に、下側ケース部材3の凹部8と側板の凸部13とが対向するように上側ケース部材2、下側ケース部材3及びフィルタエレメント5を振動溶着装置の複数の型部(図示省略)にセットする。次に、それら複数の型部を上下方向に移動させて、側板10を挟んで上側ケース部材2及び下側ケース部材3を上下方向に所定の加圧力で加圧する。このとき、凹部8内で突起12が押し潰された状態で凸部13及び凹部8が嵌合されて下側接合部17(図5参照)が形成される。次いで、その振動溶着装置によって、固定状態の下側ケース部材3及びフィルタエレメント5に対して上側ケース部材2を所定の振動方向P(図1参照)に振動させると、突起12及び凹部7が溶融されて上側接合部16(図4参照)が形成される。
【0029】
(3)実施例の効果
本実施例のオイルフィルタ1によると、上側ケース部材2の周側壁2bの下端部と側板10の上端部との間には、該上側ケース部材2及び該側板10を接合する上側接合部16が形成されており、下側ケース部材3の周側壁3bの上端部と側板10の下端部との間には、該下側ケース部材3及び該側板10を接合する下側接合部17が形成されている。すなわち、フィルタエレメント5を構成する側板10の上下端部を利用してフィルタエレメント5と各ケース部材2,3とを接合している。したがって、濾過室4の略全域にわたって濾材9を配置させ得ると共に、従来のように外側方に突出する溶着部を設ける必要がない。その結果、オイルフィルタ1の外観寸法に対する濾材9の濾過面積を大きくしてオイルフィルタ1の小型化を図ることができると共に、樹脂使用量を低減することができる。
【0030】
また、本実施例では、側板10の下端部に上下方向に突出する凸部13を設け、下側ケース部材3の周側壁3bの上端部に上下方向に凹み且つ凸部13が嵌合する凹部8を設け、上側接合部16を、上側ケース部材2の周側壁2bの下端部と側板10の上端部との振動溶着により形成し、下側接合部17を、振動溶着の際に側板10を挟んで上側ケース部材2及び下側ケース部材3を上下方向に加圧するときに凸部13及び凹部8が嵌合されることにより形成するようにしたので、振動溶着により上側接合部16が形成されており、クリーン室4aに必要な密封性を発揮し得る上側接合部16を容易且つ確実に形成することができる。また、上側接合部16を形成するための振動溶着の際の各ケース部材2,3の加圧力を利用して下側接合部17を形成しているので、ダスティ室4bに必要な密封性を発揮し得る下側接合部17を容易且つ確実に形成することができる。
【0031】
また、本実施例では、凸部13に、凸部13及び凹部8が嵌合されるときに押し潰される突起14を設けるようにしたので、突起14が押し潰された状態で凸部13及び凹部8がより強固に嵌合され、下側接合部17の接合力をより高めることができる。
【0032】
さらに、本実施例では、濾材9を、ひだ折り状に形成し、側板10を、濾材9のひだ折り側の縁端9aを保持する第1側板10aと、濾材9の非ひだ折り側の縁端9bを保持する第2側板10bと、を有して枠状に形成し、これら第1側板10a及び第2側板10bのそれぞれを、濾材9のひだ折高さh1より大きな高さh2を有して構成したので、枠状の側板10に対して濾材9のひだ折り側及び非ひだ折り側の縁端9a,9bをより確実に保持させることができる。したがって、オイルフィルタ1の品質を向上させることができる。これに対して、従来一般のオイルフィルタでは、濾材の非ひだ折り側の縁端を保持する部位の高さ寸法は、濾材のひだ折り高さより小さな値に設定されているため、フィルタエレメントのインサート成形時に濾材の非ひだ折り端側の縁端があばれてしまい正確に保持されない場合があった。
【0033】
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記実施例では、凸部13及び凹部8の嵌合のみにより下側接合部17を形成するようにしたが、これに限定されず、例えば、凸部13及び凹部8の嵌合に加えて、上側接合部16を形成するための振動溶着により凸部13及び凹部8を溶融させて溶着部を下側接合部17に設けるようにしてもよい。この溶着部は、例えば、下側ケース部材3の周側壁3bの全周に沿って設けられていてもよいが、複数の溶着部を下側ケース部材3の周側壁3bに沿う所定部位(例えば、図9中に仮想線で示す領域で囲まれる下側接合部の部位)に設けることが好ましい。ダスティ室4bに必要な密封性を発揮し得る下側接合部17をより容易且つ確実に形成できるためである。特に、上記溶着部が下側ケース部材の周側壁の少なくとも4隅部に設けられていることが好ましい。
【0034】
また、上記実施例では、凸部13及び凹部8を各ケース部材2,3の周側壁2b,3bの全周に沿って設けるようにしたが、これに限定されず、例えば、図10に示すように、凸部13及び凹部8を、上側接合部16を形成するための振動溶着の所定の振動方向Pに沿って設けると共に、その振動方向Pに交差する方向に沿って設けないようにしてもよい。これにより、下側接合部17において振動方向Pに交差する方向により容易且つ確実に溶着部を形成することができる。
【0035】
また、上記実施例では、突起12,14を各ケース部材2,3の周側壁2b,3bの全周に沿って設けるようにしたが、これに限定されず、例えば、複数の突起2,3を各ケース部材2,3の周側壁2b,3bに沿う所定部位に設けるようにしてもよい。
【0036】
また、上記実施例では、上側接合部16を振動溶着により形成すると共に、下側接合部17を凸部13及び凹部8の嵌合により形成するようにしたが、これに限定されず、例えば、上側接合部16及び下側接合部17の両者を振動溶着により形成するようにしてもよい。この場合、例えば、図11に示すように、側板10の上端部及び下端部に突起12を設け、各ケース部材2,3の周側壁2b,3bの端部に凹部7を設け、1回の振動溶着により上側接合部16及び下側接合部17を同時に形成するようにしてもよい。
【0037】
また、上記実施例では、側板10の下端部に凸部13を設け、上側ケース部材2の周側壁2bの上端部に凹部7を設けるようにしたが、これに限定されず、例えば、図12に示すように、側板10の下端部に凹部7を設け、上側ケース部材2の周側壁2bの上端部に凸部13を設けるようにしてもよい。
【0038】
また、上記実施例では、側板10の上端部に突起12を設け、上側ケース部材2の周側壁2bの下端部に凹部7を設けるようにしたが、これに限定されず、例えば、図12に示すように、側板10の上端部に凹部7を設け、上側ケース部材2の周側壁2bの下端部に突起12を設けるようにしてもよい。
【0039】
さらに、上記実施例では、上側接合部16及び下側接合部17を1工程で同時に形成するようにしたが、これに限定されず、例えば、上側接合部16を形成する工程と下側接合部17を形成する工程とを備え、上側接合部16及び下側接合部17を2回の工程で形成するようにしてもよい。この場合、例えば、先ず、凸部13及び凹部8の嵌合により下側接合部17を形成してフィルタエレメント5及び下側ケース部材3を一体化し、その後、振動溶着により上側接合部16を形成してオイルフィルタ1を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
車両等の自動変速機用流体を濾過するフィルタとして広く利用される。
【符号の説明】
【0041】
1;オイルフィルタ、2;上側ケース部材、2b;周側壁、3;下側ケース部材、3b;周側壁、4;濾過室、4a;クリーン室、4b;ダスティ室、5;フィルタエレメント、8;凹部、9;濾材、9a;ひだ折り側の縁端、9b;非ひだ折り側の縁端、10;側板、10a;第1側板、10b;第2側板、13;凸部、14;突起、16;上側接合部、17;下側接合部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製の上側ケース部材と、
前記上側ケース部材との間で濾過室を形成する樹脂製の下側ケース部材と、
前記濾過室内に配置される濾材及び該濾材の縁端を保持する樹脂製の側板を有するフィルタエレメントと、を備え、
前記上側ケース部材の周側壁の下端部と前記側板の上端部との間には、該上側ケース部材及び該側板を接合する上側接合部が形成されており、
前記下側ケース部材の周側壁の上端部と前記側板の下端部との間には、該下側ケース部材及び該側板を接合する下側接合部が形成されていることを特徴とする自動変速機用流体フィルタ。
【請求項2】
前記下側ケース部材の周側壁の上端部と前記側板の下端部とのうちの一方には、上下方向に突出する凸部が設けられており、他方には上下方向に凹み且つ該凸部が嵌合する凹部が設けられており、
前記上側接合部は、前記上側ケース部材の周側壁の下端部と前記側板の上端部との振動溶着により形成されており、
前記下側接合部は、前記振動溶着の際に前記側板を挟んで前記上側ケース部材及び前記下側ケース部材を上下方向に加圧するときに前記凸部及び前記凹部が嵌合されることにより形成されている請求項1記載の自動変速機用流体フィルタ。
【請求項3】
前記凸部及び/又は前記凹部には、該凸部及び該凹部が嵌合されるときに押し潰される突起が設けられている請求項2記載の自動変速機用流体フィルタ。
【請求項4】
前記濾材は、ひだ折り状に形成されており、
前記側板は、前記濾材のひだ折り側の縁端を保持する第1側板と、前記濾材の非ひだ折り側の縁端を保持する第2側板と、を有して枠状に形成されており、該第1側板及び該第2側板のそれぞれは、前記濾材のひだ折高さ(h1)より大きな高さ(h2)を有している請求項1乃至3のいずれか一項に記載の自動変速機用流体フィルタ。
【請求項5】
樹脂製の上側ケース部材と、
前記上側ケース部材との間で濾過室を形成する樹脂製の下側ケース部材と、
前記濾過室内に配置される濾材及び該濾材の縁端を保持する樹脂製の側板を有するフィルタエレメントと、を備える自動変速機用流体フィルタの製造方法であって、
前記上側ケース部材の周側壁の下端部と前記側板の上端部との間に、該上側ケース部材及び該側板を接合する上側接合部を形成すると共に、前記下側ケース部材の周側壁の上端部と前記側板の下端部との間に、該下側ケース部材及び該側板を接合する下側接合部を形成する工程を備えることを特徴とする自動変速機用流体フィルタの製造方法。
【請求項1】
樹脂製の上側ケース部材と、
前記上側ケース部材との間で濾過室を形成する樹脂製の下側ケース部材と、
前記濾過室内に配置される濾材及び該濾材の縁端を保持する樹脂製の側板を有するフィルタエレメントと、を備え、
前記上側ケース部材の周側壁の下端部と前記側板の上端部との間には、該上側ケース部材及び該側板を接合する上側接合部が形成されており、
前記下側ケース部材の周側壁の上端部と前記側板の下端部との間には、該下側ケース部材及び該側板を接合する下側接合部が形成されていることを特徴とする自動変速機用流体フィルタ。
【請求項2】
前記下側ケース部材の周側壁の上端部と前記側板の下端部とのうちの一方には、上下方向に突出する凸部が設けられており、他方には上下方向に凹み且つ該凸部が嵌合する凹部が設けられており、
前記上側接合部は、前記上側ケース部材の周側壁の下端部と前記側板の上端部との振動溶着により形成されており、
前記下側接合部は、前記振動溶着の際に前記側板を挟んで前記上側ケース部材及び前記下側ケース部材を上下方向に加圧するときに前記凸部及び前記凹部が嵌合されることにより形成されている請求項1記載の自動変速機用流体フィルタ。
【請求項3】
前記凸部及び/又は前記凹部には、該凸部及び該凹部が嵌合されるときに押し潰される突起が設けられている請求項2記載の自動変速機用流体フィルタ。
【請求項4】
前記濾材は、ひだ折り状に形成されており、
前記側板は、前記濾材のひだ折り側の縁端を保持する第1側板と、前記濾材の非ひだ折り側の縁端を保持する第2側板と、を有して枠状に形成されており、該第1側板及び該第2側板のそれぞれは、前記濾材のひだ折高さ(h1)より大きな高さ(h2)を有している請求項1乃至3のいずれか一項に記載の自動変速機用流体フィルタ。
【請求項5】
樹脂製の上側ケース部材と、
前記上側ケース部材との間で濾過室を形成する樹脂製の下側ケース部材と、
前記濾過室内に配置される濾材及び該濾材の縁端を保持する樹脂製の側板を有するフィルタエレメントと、を備える自動変速機用流体フィルタの製造方法であって、
前記上側ケース部材の周側壁の下端部と前記側板の上端部との間に、該上側ケース部材及び該側板を接合する上側接合部を形成すると共に、前記下側ケース部材の周側壁の上端部と前記側板の下端部との間に、該下側ケース部材及び該側板を接合する下側接合部を形成する工程を備えることを特徴とする自動変速機用流体フィルタの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−169130(P2010−169130A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−10386(P2009−10386)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】
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