説明

自動調整発振器

【課題】チャージポンプを用いずに、出力周波数の精度を高くすることのできる自動調整発振器を提供する。
【解決手段】発振器10は、発振回路11、パルスカウンタ12、充電回路13、リセット回路14、調整回路15及びタイミング制御部を備えている。タイミング制御部から供給されたカウント開始信号に基づいてパルスカウンタ12は、発振回路11から出力される周波数f0のパルス信号をカウントし、この間、出力信号S1を充電回路13に供給する。充電回路13は、出力信号S1が供給されている間、定電流減PS1とコンデンサC1とを接続し、接続ノードND1の電圧V1を上昇させる。調整回路15は、出力信号S1の出力が終了した場合の電圧V1が、高電位基準電圧VHより高い場合には、周波数f0を高くする調整値を発振回路11に供給し、低電位基準電圧VLより低い場合には、周波数f0を低くする調整値を発振回路11に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力する周波数を自動的に調整する自動調整発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、RC発振器は、半導体製品において広く使われている。この理由は、安価なクロックソースであり、抵抗値及びキャパシタンスを変更することにより様々な周波数を発生できるという利点による。しかしながら、発振器を構成する回路内に発生する遅延が、発振周波数に影響を及ぼしてしまうという問題点があった。この遅延時間は、電源電圧、環境温度や製造プロセス等に依存する。このため、実際の使用では、低周波数や低精度のものに用途が限定されていた。
【0003】
そこで、高精度で発振するRC発振器が検討されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載の発振器は、抵抗器及びキャパシタンスを用いており、抵抗値及びキャパシタンスで規定される時定数を有している。この発振器においては、従来と異なり、RC回路自体を周波数発生のために使用しない。この代わりに、RC時定数と他の発振回路を用いて発生させた周波数から生成した期間とを比較して、比較した結果に応じてRC発振回路全体の周波数の自動調整を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5594388号明細書(第1頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した特許文献1に記載の発振器では、発振周波数を調整するための電圧信号を生成するチャージポンプが必要である。加えて、この発振器は、周波数を常に自動調整する構成になっているため、常に電力を消費することになる。
【0006】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされ、その目的は、効率的に出力周波数の精度を高くすることのできる自動調整発振器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、調整値に応じた周波数を出力する発振回路と、
前記発振回路からの出力信号を予め定められた回数までカウントし、カウントが終了するまで制御出力信号を出力するパルスカウンタと、前記制御出力信号が供給されている期間に、電流を供給してキャパシタを充電する充電回路と、前記キャパシタの接続ノードの電圧と基準電圧との比較に応じた調整値を前記発振回路に供給する調整回路とを含むことを要旨とする。このため、発振回路が出力する周波数に応じた時間でキャパシタが充電され、この充電に応じて接続ノードの電圧が上昇する。発振回路は、この接続ノードの電圧と基準電圧との比較に応じた調整値に基づいて周波数を調整する。従って、キャパシタに接続された接続ノードの電圧から、発振器は周波数を自動的に調整することができるので、チャージポンプを用いずに、より高い精度の周波数を出力することができる。
【0008】
本発明は、前記調整回路は、充電が終了したときの前記接続ノードの充電電圧と、この充電電圧の上限値を定める高電位基準電圧とを比較する第1比較器と、前記充電電圧と、この充電電圧の下限値を定める低電位基準電圧とを比較する第2比較器と、予め定めた初期の計数値を記憶しており、記憶している計数値に応じた調整値を出力する調整用アップ
ダウンカウンタとを備え、この調整用アップダウンカウンタは、前記充電電圧が前記低電位基準電圧より低い場合には、前記周波数を低くするために計数値を加算又は減算して計数値を更新し、前記充電電圧が前記高電位基準電圧より高い場合には、前記周波数を高くするために前記計数値を減算又は加算して計数値を更新することを要旨とする。このため、充電電圧が低電位基準電圧より低い場合及び高電位基準電圧より高い場合には、調整用カウンタは、充電電圧が低電位基準電圧〜高電位基準電圧になるまで計数値を更新し、この計数値に応じた調整値を発振回路に供給する。従って、充電電圧が低電位基準電圧〜高電位基準電圧の値になるまで周波数を自動的に調整することができるので、低電位基準電圧〜高電位基準電圧の値に応じて周波数の精度を任意に変更することができる。
【0009】
本発明は、前記調整回路は、複数の比較器と、これら比較器からの出力信号に応じた調整値を供給するエンコーダとを備えたフラッシュ形アナログデジタルコンバータであり、前記各比較器の一方の入力端子には、充電が終了したときの前記接続ノードの充電電圧を供給し、前記各比較器の他方の入力端子には、低電位基準電圧と高電位基準電圧との中間値を供給したことを要旨とする。このため、基準電圧を分圧した電圧と充電電圧とを比較する複数の比較器の出力信号に応じた調整値をエンコーダは出力する。従って、複数の電圧値と接続ノードの電圧とを一度に比較することができるので、周波数を調整するためのより適切な調整値を発振回路に提供することができる。よって、短時間で、周波数を自動的に調整することができるので、周波数を迅速に出力することができる。
【0010】
本発明は、調整値に応じた周波数を出力する発振回路と、前記発振回路からの出力信号を予め定められた回数までカウントし、カウントの終了を識別する終了識別信号と、前記カウントの開始から制御出力信号を出力するパルスカウンタと、前記制御出力信号が供給されている期間に、電流を供給してキャパシタを充電する充電回路と、前記キャパシタの接続ノードの電圧が基準電圧以上になったことを識別する基準識別信号と、前記終了識別信号とを取得し、前記接続ノードの電圧が基準電圧以上になった時間と前記カウントが終了した時間との前後関係に応じた調整値を前記発振回路に供給する調整回路とを含むことを要旨とする。このため、パルスカウンタがカウントを開始してから、接続ノードの電圧が基準電圧以上になるまでの時間と、発振回路が出力する周波数に応じてカウントが終了した時間との前後関係に応じた調整値に基づいて、発振回路は周波数を調整する。従って、キャパシタに接続された接続ノードの電圧とパルスカウンタのカウント終了のタイミングに基づいて、発振器は周波数を自動的に調整することができるので、チャージポンプを用いずに、より高い精度の周波数を出力することができる。
【0011】
本発明は、前記調整回路は、前記キャパシタの接続ノードの電圧と基準電圧とを比較する比較器と、予め定めた初期の計数値を記憶しており、記憶している計数値に応じた調整値を出力する調整用アップダウンカウンタとを備え、前記調整用アップダウンカウンタは、カウント終了を示す前記終了識別信号を前記パルスカウンタから受信するより前に、前記接続ノードの電圧が前記基準電圧より高いことを示す信号を前記比較器から取得した場合には、カウント終了を示す前記終了識別信号を受信するまで、前記周波数を高くするために、前記発振回路からのパルス信号毎に計数値を減算又は加算し続けて更新し、前記接続ノードの電圧が前記基準電圧よりも高いことを示す信号を前記比較器から取得するより前に、前記カウント終了を示す前記終了識別信号を前記パルスカウンタから受信した場合には、前記接続ノードの電圧が前記基準電圧よりも高いことを示す信号を取得するまで、前記周波数を低くするために、発振回路からのパルス信号毎に計数値を加算又は減算し続けて更新し、更新された計数値を新たに記憶することを要旨とする。このため、一度の調整において、接続ノードの電圧が基準電圧より高くなるまでの時間と、カウントの終了までの時間との時間差におけるパルス信号の数が減算又は加算されて、計数値が更新される。発振回路は、更新された計数値に応じた調整値を取得する。従って、一度の比較で周波数を調整するためのより適切な調整値を発振回路に提供することができる。よって、短時
間で、周波数を自動的に調整することができるので、より高い精度の周波数を迅速に出力することができる。
【0012】
本発明は、前記充電回路は、定電流源、スイッチ及びキャパシタが直列に接続されており、前記接続ノードは、前記スイッチと前記キャパシタとの接続ノードであり、前記スイッチは、前記制御出力信号が供給されているときには、前記定電流源と前記キャパシタとを接続して充電を行ない、前記制御出力信号の供給が停止されたときには、前記定電流源と前記キャパシタとを切断することを要旨とする。このため、定電流源を用いているので、キャパシタを比例的に充電することができる。従って、周波数を調整したときの時間に対して接続ノードの電圧をリニアに変更することができるので、周波数の調整をより簡単に行なうことができる。
【0013】
本発明は、前記接続ノードには、前記パルスカウンタがカウントを開始する前に、前記接続ノードの電圧を、予め定めた初期値にするためのリセット回路を接続したことを要旨とする。このため、パルスカウンタがカウントを開始する前に、接続ノードの電圧は強制的に初期値電圧に設定される。従って、初期値電圧からキャパシタの充電が必ず開始されるので、周波数に応じた時間に応じて変化する接続ノードの電圧をより正確に検出することができ、より精度よく周波数を調整することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、チャージポンプを用いずに、発振器は発振回路から出力される周波数を自動的に調整して、より高精度の周波数を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態における自動調整発振器の構成を説明する回路図。
【図2】接続ノードの電圧が低電位基準電圧VLより低いときの時間的変化を示す説明図であり、(a)は接続ノードの電圧、(b)はデータ線の出力信号を示す。
【図3】接続ノードの電圧が高電位基準電圧VHより高いときの時間的変化を示す説明図であり、(a)は接続ノードの電圧、(b)はデータ線の出力信号を示す。
【図4】第2実施形態における自動調整発振器の構成を説明する回路図。
【図5】第3実施形態における自動調整発振器の構成を説明する回路図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態の発振器10について図1〜図3を用いて説明する。
【0017】
図1に示すように、本実施形態の発振器10は、発振回路11、パルスカウンタ12、充電回路13、リセット回路14及び調整回路15を備えている。この発振器10は、発振回路11の周波数f0を調整する調整時に、図2及び図3に示すように、充電・保持期間T1及びロード・リセット期間T2から構成される1サイクルを、調整期間が経過するまで繰り返して行なう。そして、発振器10は、予め定めた調整期間が経過したときの周波数f0を調整後の周波数として出力する。
【0018】
この発振器10には、タイミング制御部(図示せず)が設けられている。このタイミング制御部は、外部からの調整開始信号を取得した場合、充電・保持期間T1及びロード・リセット期間T2を開始する信号を出力する。具体的には、タイミング制御部は、充電・保持期間T1になった場合にパルスカウンタ12にカウント開始信号を供給する。更に、タイミング制御部は、カウント開始信号を出力してから予め定めた充電・保持期間T1が終了してロード・リセット期間T2になった場合に、調整回路15にロード信号LS1を
供給する。そして、タイミング制御部は、ロード信号LS1を出力してから予め定めた第2の所定時間経過後、リセット回路14にリセット信号を供給する。タイミング制御部は、リセット信号を出力してから予め定めたリセット期間終了後に、再び、充電・保持期間T1を開始してカウント開始信号を出力する。また、このタイミング制御部は、周波数f0の調整を終了する調整期間を記憶しており、調整期間が経過するまで、カウント開始信号、ロード信号LS1及びリセット信号の出力を繰り返して行なう。
【0019】
(発振回路11)
図1に示す発振回路11は、例えば、公知の電圧制御発振回路により構成されており、周波数f0の出力信号を出力する。この発振回路11は、複数のデータ線を介して調整回路15と接続されている。発振回路11は、これらデータ線を介して調整データを取得し、この調整データにより表わされる調整値に応じて出力信号の周波数f0を調整する。本実施形態では、発振回路11は、データ信号D0,D1,D2,D3,D4によって、「32」の調整値を取得する。本実施形態の発振回路11は、データ信号D0〜D4によって表わされる調整値をアップした場合には、出力信号の周波数f0を低くし、調整値をダウンした場合には、出力信号の周波数f0を高くする。更に、この発振回路11の出力信号に対応するパルス信号が、パルスカウンタ12に供給される。
【0020】
(パルスカウンタ12)
パルスカウンタ12は、発振回路11の出力信号に対応するパルス信号をカウントする。具体的には、パルスカウンタ12は、タイミング制御部からカウント開始信号を受信した場合、パルス信号の数のカウントを開始し、予め定めた所定のカウント数Nc1までカウントを行なう。そして、このパルスカウンタ12は、カウントを開始してからカウント数Nc1を数え終わるまで、すなわち充電期間Tc1中は、出力信号S1を出力する。この出力信号S1は、充電回路13に供給される。
【0021】
(充電回路13)
充電回路13は、本実施形態では、定電流源PS1、スイッチSW1及びキャパシタC1を直列に接続した回路である。
【0022】
スイッチSW1は、パルスカウンタ12の出力信号S1が供給されている間は、定電流源PS1とキャパシタC1とを接続して、キャパシタC1を充電する。従って、この充電は、出力信号S1が供給されている間、すなわちパルスカウンタ12がカウントしている充電期間Tc1に行なわれる。また、スイッチSW1は、出力信号S1の供給が停止されると、定電流源PS1とキャパシタC1との接続を切断する。
【0023】
キャパシタC1は、スイッチSW1と低電位ラインとの間に設けられている。この低電位ラインには、低電位電源電圧が供給されている。キャパシタC1は、スイッチSW1の閉操作により充電される。そして、スイッチSW1の開操作により、電圧を保持し、リセット回路14の動作によって放電される。本実施形態では、キャパシタC1は、定電流源PS1から電流供給を受けるので、時間に比例して充電される。これに伴って、スイッチSW1とキャパシタC1との接続ノードND1の電圧V1は時間に比例して上昇する。
【0024】
充電回路13に用いられる定電流源PS1は、電流I1を供給する。この定電流源PS1は、比較器VCM1と抵抗R1とトランジスタM1,M2,M3とを備える。トランジスタM1は、NチャンネルのMOSトランジスタであり、トランジスタM2,M3は、PチャンネルMOSトランジスタである。
【0025】
比較器VCM1の非反転入力端子には、参照電圧VREFが印加されている。比較器VCM1の反転入力端子は、トランジスタM1のソース端子に接続されている。比較器VC
M1の出力端子は、トランジスタM1のゲート端子に接続されている。
【0026】
このトランジスタM1のソース端子は、抵抗R1を介して低電位ラインに接続されている。トランジスタM1のドレイン端子には、トランジスタM2を介して高電位ラインに接続されている。この高電位ラインには、高電位電源電圧VDDが供給される。このため、トランジスタM2,M1及び抵抗R1を流れる電流が変化しようとすると、比較器VCM1は、トランジスタM1のゲート端子の電圧を制御するので、トランジスタM2,M1及び抵抗R1を流れる電流が一定に保たれる。
【0027】
更に、トランジスタM2,M3は、カレントミラー回路を構成している。具体的には、トランジスタM2,M3のソース端子は、高電位ラインに接続されている。トランジスタM2,M3のゲート端子は、トランジスタM2のドレイン端子に接続されている。トランジスタM3のドレイン端子は、スイッチSW1に接続されている。このため、定電流源PS1は、スイッチSW1が閉じている場合、トランジスタM2を流れる電流に比例する電流I1を、キャパシタC1に供給する。
【0028】
(リセット回路14)
スイッチSW1とキャパシタC1の接続ノードND1には、リセット回路14が接続されている。このリセット回路14は、リセット信号に応じてキャパシタC1に蓄積した電荷を放電して、接続ノードND1の電圧を低電位ライン(初期値)にリセットする。具体的には、このリセット回路14は、タイミング制御部からリセット信号を取得した場合、接続ノードND1を接地して、この接続ノードND1の電圧を低電位ラインにする。そして、リセット信号に対応したリセット期間が終了した場合、このリセット回路14は、キャパシタC1の放電を停止する。
【0029】
(調整回路15)
調整回路15は、キャパシタC1の充電が終了したときの電圧V1(充電電圧)に対応したデータ信号D0〜D4を発振回路11に供給する。調整回路15は、第1比較器CM1、第2比較器CM2、インバータN1,N2、第1論理積回路A1、第2論理積回路A2及びアップダウンカウンタBC1を備えている。
【0030】
第1比較器CM1及び第2比較器CM2の非反転入力端子は、接続ノードND1に接続されている。第1比較器CM1の反転入力端子には、高電位基準電圧VHが供給されている。また、第2比較器CM2の反転入力端子には、低電位基準電圧VLが供給されている。ここで、高電位基準電圧VH及び低電位基準電圧VLは、充電期間Tc1が終了したときの電圧V1の上限値及び下限値である。これら上限値及び下限値は、発振回路11が出力する周波数f0の許容範囲に応じた電圧V1の値によって決定されている。なお、この周波数f0の許容範囲については後述する。
【0031】
第1比較器CM1の出力端子は、インバータN2の入力端子に接続されている。このインバータN2の出力端子は、第1論理積回路A1の第2の入力端子に接続されている。更に、この第1比較器CM1の出力端子は、第2論理積回路A2の第2の入力端子に接続されている。
【0032】
第2比較器CM2の出力端子は、インバータN1の入力端子に接続されている。このインバータN1の出力端子は、第1論理積回路A1の第1の入力端子に接続されている。更に、この第2比較器CM2の出力端子は、第2論理積回路A2の第1の入力端子に接続されている。
【0033】
第1論理積回路A1及び第2論理積回路A2は、それぞれ2つの入力端子を有する。そ
して、第1論理積回路A1は信号Xを出力し、第2論理積回路A2は信号Yを出力する。第1論理積回路A1から出力される信号Xは、2つの入力信号が両方ともハイレベルの場合にハイレベルになり、その他の場合にはローレベルになる。同様に、第2論理積回路A2から出力される信号Yは、2つの入力信号が両方ともハイレベルの場合にハイレベルになり、その他の場合にはローレベルになる。本実施形態では、第1論理積回路A1には、第1比較器CM1及び第2比較器CM2の出力信号の反転信号が供給され、第2論理積回路A2には、第1比較器CM1及び第2比較器CM2の出力信号が供給される。このため、第1論理積回路A1の信号Xは、充電期間Tc1が終了したときの電圧V1が低電位基準電圧VL(及び高電位基準電圧VH)よりも低いときにハイレベルになり、第2論理積回路A2の信号Yは、充電期間Tc1が終了したときの電圧V1が高電位基準電圧VH(及び低電位基準電圧VL)より高いときにハイレベルになる。
【0034】
第1論理積回路A1からの信号X及び第2論理積回路A2からの信号Yは、アップダウンカウンタBC1に供給される。このアップダウンカウンタBC1は、調整開始時には予め定めた初期の計数値を記憶しており、信号X,Yのハイレベルに応じて計数値を更新する。具体的には、アップダウンカウンタBC1は、入力される信号Xがハイレベルのときに、ロード・リセット期間T2においてロード信号LS1を受信した場合は、この計数値を1つ増加させて、記憶している計数値を更新する。また、このアップダウンカウンタBC1は、入力される信号Yがハイレベルのときに、ロード・リセット期間T2においてロード信号LS1を受信した場合は、この計数値を1つ減少させて、記憶している計数値を更新する。なお、アップダウンカウンタBC1は、信号X,Yがローレベルのときには、記憶している計数値をそのまま維持する。そして、この計数値に応じたデータ信号D0〜D4を発振回路11に供給する。従って、本実施形態では、この計数値が「キャパシタの接続ノードの電圧と基準電圧との比較に応じた調整値」に相当する。
【0035】
(周波数f0及びその許容範囲)
以上のような構成の発振回路11においては、以下の式が成立する。
(VH+VL)/2=(1/C1)×(VREF/R1)×(Nc1×f0)
ここで、高電位基準電圧VH、低電位基準電圧VL及び参照電圧VREFが高電位電源電圧VDDに応じて変化する場合、すなわちVH=α×VDD、VL=β×VDD、VREF=γ×VDD(α、β、γは定数)の場合には、以下の式が成立する。
【0036】
f0=(2×γ×Nc1)/[C1×R1×(α+β)]
ただし、この周波数f0には、高電位基準電圧VH及び低電位基準電圧VLに依存する誤差が生じる。これは、充電期間Tc1が終了したときの電圧V1が高電位基準電圧VH〜低電位基準電圧VLの範囲内の場合には、アップダウンカウンタBC1が一定値を出力するためである。従って、この高電位基準電圧VH及び低電位基準電圧VLの電圧差がヒステリシスとして機能し、ノイズによる出力変動を抑えることができる。また、周波数f0の許容範囲において最も低い周波数f1及び最も高い周波数f2は、以下の式で表示される。
【0037】
f1=(γ×Nc1)/(C1×R1×α)
f2=(γ×Nc1)/(C1×R1×β)
このため、高い精度の周波数f0を得るためには、高電位基準電圧VH及び低電位基準電圧VLを近付けておく。
【0038】
(自動調整処理)
次に、本実施形態の発振回路11の自動調整処理を説明する。ここで、発振器10のタイミング制御部は、調整期間が経過するまで、充電・保持期間T1及びロード・リセット期間T2を繰り返す。
【0039】
(充電・保持期間T1)
タイミング制御部は、充電・保持期間T1において、パルスカウンタ12にカウント開始信号を供給する。このカウント開始信号を受信したパルスカウンタ12は、カウント数Nc1の計数を開始する。更に、このパルスカウンタ12は、カウントをしている間、出力信号S1を出力する。この出力信号S1の出力を受信すると、充電回路13のスイッチSW1は、定電流源PS1とキャパシタC1とを接続して、キャパシタC1を充電する。そして、この充電期間Tc1において、キャパシタC1は充電され、接続ノードND1の電圧V1が時間に比例して上昇する。
【0040】
その後、パルスカウンタ12は、カウント数Nc1を計数し終わると、出力信号S1を停止する。この出力信号S1の供給停止に応じて、充電回路13のスイッチSW1は、定電流源PS1とキャパシタC1とを切断する。これにより、キャパシタC1に対する充電は停止され、蓄積された電荷により、接続ノードND1の電圧V1が一定になる。この場合、第1比較器CM1は、このときの電圧V1(充電期間Tc1が終了したときの電圧V1)と高電位基準電圧VHとを比較する。また、第2比較器CM2は、充電期間Tc1が終了したときの電圧V1と低電位基準電圧VLとを比較する。
【0041】
(V1<VLの場合)
ここで、第1比較器CM1及び第2比較器CM2の出力信号は、電圧V1が低電位基準電圧VL(及び高電位基準電圧VH)よりも低い場合、ローレベルになる。これにより、第1論理積回路A1の各入力端子に供給される信号はハイレベルになるので、第1論理積回路A1の信号Xはハイレベルになる。一方、第2論理積回路A2の各入力端子に供給される信号はローレベルになるので、第2論理積回路A2の信号Yはローレベルになる。
【0042】
(VL≦V1≦VHの場合)
一方、電圧V1が低電位基準電圧VL以上で高電位基準電圧VH以下の場合、第1比較器CM1の出力信号はローレベルになり、第2比較器CM2の出力信号はハイレベルになる。これにより、第1論理積回路A1及び第2論理積回路A2には、ハイレベルの信号とローレベルの信号の両方が供給される。これにより、第1論理積回路A1及び第2論理積回路A2から出力される信号X及び信号Yはローレベルとなる。
【0043】
(VH<V1の場合)
更に、第1比較器CM1及び第2比較器CM2の出力信号は、電圧V1が高電位基準電圧VH(及び低電位基準電圧VL)よりも高い場合、ハイレベルになる。これにより、第1論理積回路A1の各入力端子に供給される信号はローレベルになるので、第1論理積回路A1の信号Xはローレベルになる。一方、第2論理積回路A2の各入力端子に供給される信号は、ハイレベルになるので、第2論理積回路A2の信号Yはハイレベルになる。
【0044】
(ロード・リセット期間T2)
その後、充電・保持期間T1が終了して、ロード・リセット期間T2になるとタイミング制御部は、アップダウンカウンタBC1にロード信号LS1を供給する。このロード信号LS1を受信すると、アップダウンカウンタBC1は、第1論理積回路A1の信号Xがハイレベルの場合は、記憶している計数値を1つ加算した新たな計数値に更新し、第2論理積回路A2の信号Yがハイレベルの場合は、記憶している計数値を1つ減算した新たな計数値を記憶する。そして、この計数値に対応するデータ信号D0〜D4を発振回路11に供給する。
【0045】
そして、タイミング制御部は、リセット回路14にリセット信号を供給する。リセット信号を受信したリセット回路14は、接続ノードND1の電位を低電位ラインの電位にす
る。そして、リセット期間が経過することにより、ロード・リセット期間T2が終了する。
【0046】
本実施形態では、上述した充電・保持期間T1とロード・リセット期間T2の1サイクルが終了する度にアップダウンカウンタBC1の計数値が1つずつ変更されて、周波数f0が調整される。次に、これらサイクルが繰り返されるときの動作について説明する。
【0047】
(電圧V1の上昇による調整)
図2(a)には、充電期間Tc1が終了したときの電圧V1を徐々に上昇させて周波数f0を調整する場合の電圧V1の変化を示す。また、図2(b)には、それに伴うデータ信号D0〜D4の変化を示す。なお、ここでは、アップダウンカウンタBC1は、初期の計数値として「0」を記憶している。
【0048】
この場合、充電期間Tc1が終了したときの電圧V1は低電位基準電圧VLより低いため、調整回路15のアップダウンカウンタBC1は前回のサイクルの計数値より1つ増加した計数値に応じたデータ信号D0〜D4を発振回路11に供給する。発振回路11は、このデータ信号D0〜D4に応じて周波数f0が低くなるように調整した信号を出力する。パルスカウンタ12は周波数f0のパルス信号を同じカウント数Nc1までカウントするため、出力信号S1は前回のサイクルのときに比べて長い時間、出力されることになる。従って、前回のサイクルよりも長くなった充電期間Tc1の間、キャパシタC1が充電され、充電期間Tc1が終了したときの電圧V1は前回のサイクルのときよりも高くなる。
【0049】
これらの動作を繰り返して行なうことにより、1サイクルを行なう毎に、充電期間Tc1が終了したときの電圧V1は、徐々に高くなる。そして、調整期間が終了するまでに、充電期間Tc1が終了したときの電圧V1は、低電位基準電圧VL〜高電位基準電圧VHの値になる。なお、図2に示すように、充電期間Tc1が終了したときの電圧V1が低電位基準電圧VL〜高電位基準電圧VHの値になった以降(図2の時間TL1以降)は、アップダウンカウンタBC1は、一定のデータ信号D0〜D4を出力する。その後、調整期間が経過すると、このときのデータ信号D0〜D4が常に発振回路11に供給されることにより、調整された周波数f0が出力される。
【0050】
(電圧V1の降下による調整)
図3(a)には、充電期間Tc1が終了したときの電圧V1を徐々に降下させて周波数f0を調整する場合の電圧V1の変化を示す。また、図3(b)には、それに伴うデータ信号D0〜D4の変化を示す。なお、ここでは、アップダウンカウンタBC1は、初期の計数値として「0」を記憶している。
【0051】
この場合、充電期間Tc1が終了したときの電圧V1は高電位基準電圧VHより高いため、調整回路15のアップダウンカウンタBC1は前回のサイクルの計数値より1つ減少した計数値に応じたデータ信号D0〜D4を発振回路11に供給する。発振回路11は、このデータ信号D0〜D4に応じて周波数f0が高くなるように調整した信号を出力する。パルスカウンタ12は、周波数f0のパルス信号を同じカウント数Nc1までカウントするため、出力信号S1は前回のサイクルのときに比べて短い時間、出力されることになる。従って、前回のサイクルよりも短くなった充電期間Tc1の間、キャパシタC1が充電され、充電期間Tc1が終了したときの電圧V1は前回のサイクルのときよりも低くなる。
【0052】
これらの動作を繰り返して行なうことにより、1サイクルを行なう毎に、充電期間Tc1が終了したときの電圧V1は、徐々に低くなる。そして、調整期間が終了するまでに、
充電期間Tc1が終了したときの電圧V1は、低電位基準電圧VL〜高電位基準電圧VHの値になる。なお、図3に示すように、充電期間Tc1が終了したときの電圧V1が低電位基準電圧VL〜高電位基準電圧VHの値になった以降(図3の時間TH1以降)は、アップダウンカウンタBC1は、一定のデータ信号D0〜D4を出力する。その後、調整期間が経過すると、このときのデータ信号D0〜D4が常に発振回路11に供給されることにより、調整された周波数f0が出力される。
【0053】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1) 本実施形態では、パルスカウンタ12は、カウント開始信号を受信した場合、発振回路11の出力信号の周波数f0に応じたパルス信号をカウント数Nc1になるまでカウントし、この間、出力信号S1を出力する。充電回路13のスイッチSW1は、出力信号S1を取得した場合、定電流源PS1とキャパシタC1とを接続して、キャパシタC1を充電し、接続ノードND1の電圧V1を上昇させる。調整回路15は、電圧V1が高電位基準電圧VHより高い場合には、周波数f0を高くする調整値を発振回路11に供給し、電圧V1が低電位基準電圧VLより低い場合には、周波数f0を低くする調整値を発振回路11に供給する。このため、調整された周波数f0に対応する充電期間Tc1にキャパシタC1が充電され、これに応じて充電期間Tc1が終了したときの電圧V1が変更される。そして、この電圧V1の大きさに応じて発振回路11の周波数f0が調整されるので、チャージポンプを用いずに、発振器10は、自動的に周波数f0を効率的に調整することができる。
【0054】
(2) 本実施形態では、電圧V1が低電位基準電圧VL〜高電位基準電圧VHの値になるまで、周波数f0が調整される。従って、低電位基準電圧VL及び高電位基準電圧VHを近付けることにより、周波数f0の精度を高くすることができる。
【0055】
(3) 本実施形態では、調整回路15は、電圧V1と高電位基準電圧VHとを比較する第1比較器CM1、電圧V1と低電位基準電圧VLとを比較する第2比較器CM2、インバータN1,N2、第1論理積回路A1、第2論理積回路A2及びアップダウンカウンタBC1を備える。第1比較器CM1及び第2比較器CM2の出力結果から、電圧V1が低電位基準電圧VLより低い場合には、信号Xがハイレベルになる。第2比較器CM2及び第1比較器CM1の出力結果から、電圧V1が高電位基準電圧VHより高い場合には、信号Yがハイレベルになる。第1比較器CM1及び第2比較器CM2の出力結果から、電圧V1が低電位基準電圧VL〜高電位基準電圧VHの値である場合には、信号X,Yはローレベルになる。アップダウンカウンタBC1は、タイミング制御部からロード信号LS1を受信した際に、ハイレベルの信号Xを取得していた場合には計数値を1つ加算し、ハイレベルの信号Yを取得していた場合には計数値を1つ減算して、新たな計数値を記憶し、その計数値に応じた調整値を示すデータ信号D0〜D4を発振回路11に供給する。更に、このアップダウンカウンタBC1は、ローレベルの信号X,Yを取得した場合には、記憶している計数値をそのまま維持する。発振回路11は、データ信号D0〜D4で表示される調整値に応じて出力信号の周波数f0を調整する。従って、発振器10は、簡単な構成で、周波数f0を自動的に調整することができる。
【0056】
(4) 本実施形態では、このタイミング制御部は、周波数f0の調整を終了する調整期間を記憶しており、調整期間が経過するまで、充電・保持期間T1及びロード・リセット期間T2を計測して、カウント開始信号、ロード信号LS1及びリセット信号を供給する。従って、調整期間が経過して調整が終了した後には、タイミング制御部は、周波数f0を調整するための信号の供給を停止するので、消費電力を抑えることができる。
【0057】
(5) 本実施形態では、充電回路13は、定電流源PS1、スイッチSW1及びキャパシタC1を直列に接続した回路である。パルスカウンタ12からの出力信号S1が供給
されている間、スイッチSW1は、定電流源PS1とキャパシタC1とを接続して、キャパシタC1を充電する。このため、キャパシタC1は、時間に比例して充電され、接続ノードND1の電圧は、時間に比例して充電される。従って、周波数f0の調整をより簡単に行なうことができる。
【0058】
(6) 本実施形態では、接続ノードND1には、リセット回路14が接続されている。リセット回路14は、ロード・リセット期間T2においてタイミング制御部からリセット信号を受信すると、接続ノードND1の電圧を低電位ラインの電位にする。このため、パルスカウンタ12がカウントを開始する前に、接続ノードND1の電圧V1が強制的に低電位ラインの電位になるため、周波数f0に応じた充電期間Tc1中の電圧V1の増加量をより正確に検出することができる。従って、この電圧V1に基づいて周波数f0を調整することにより、周波数f0を精度よく調整することができる。
【0059】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態について、図4を用いて説明する。以降の実施形態において、上記第1実施形態と同様の部分については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0060】
本実施形態では、上記第1実施形態における調整回路15の代わりに、調整回路25を用いる。すなわち、本実施形態の発振器20は、上記第1実施形態と同様に、発振回路11、パルスカウンタ12、充電回路13、リセット回路14、調整回路25及びタイミング制御部を備えている。
【0061】
調整回路25は、充電期間Tc1が終了したときの電圧V1に基づいてデータ信号D0〜D4を決定し、発振回路11に供給する。本実施形態の調整回路25は、いわゆるフラッシュADコンバータである。具体的には、調整回路25は、31個の比較器CP(1),CP(2),CP(3),…,CP(31)と、各比較器CP(1)〜CP(31)の出力端子が接続されているエンコーダE1とを備えている。
【0062】
各比較器CP(1)〜CP(31)の非反転入力端子には、接続ノードND1が接続されている。更に、各比較器CP(1)〜CP(31)の反転入力端子には、高電位電源電圧VDDと低電位電源電圧VSSとの間の電位を抵抗器Rc(1),Rc(2),Rc(3),…,Rc(31),Rc(32)で分圧した各電圧(複数の分割電圧)が印加される。このため、本実施形態では、高電位電源電圧VDDが高電位基準電圧に相当し、低電位電源電圧VSSが低電位基準電圧に相当する。
【0063】
具体的には、高電位ラインと低電位ラインとの間に、32個の抵抗器Rc(1)〜Rc(32)が直列に接続されている。高電位ラインには高電位電源電圧VDDが供給され、低電位ラインには低電位電源電圧VSSが供給される。本実施形態では、各抵抗器Rc(1)〜Rc(32)は同じ抵抗値を有する。そして、抵抗器Rc(1)と抵抗器Rc(2)との接続ノードが比較器CP(1)の反転入力端子に接続され、抵抗器Rc(2)と抵抗器Rc(3)との接続ノードが比較器CP(2)の反転入力端子に接続される。すなわち、nを整数とすると、抵抗器Rc(n)と抵抗器Rc(n+1)との接続ノードが比較器CP(n)の反転入力端子に接続される。更に、比較器CP(31)の反転入力端子は、抵抗器Rc(32)を介して低電位電源電圧VSSに接続されている。
【0064】
各比較器CP(1)〜CP(31)の出力端子はエンコーダE1に接続されている。このエンコーダE1は、各比較器CP(1)〜CP(31)の出力信号によるサーモメータコードをバイナリコードに変換する。このエンコーダE1には、ロード信号LS1が供給される。従って、エンコーダE1は、このロード信号LS1が供給された場合、変換され
たバイナリコードを示すデータ信号D0〜D4を発振回路11に供給する。
【0065】
(自動調整処理)
次に、本実施形態の自動調整処理について説明する。本実施形態においても、上記第1実施形態と同様に、タイミング制御部は、充電・保持期間T1及びロード・リセット期間T2の計測を調整期間が経過するまで繰り返して行ない、カウント開始信号、ロード信号LS1及びリセット信号を供給する。
【0066】
本実施形態において、充電・保持期間T1が開始されると、上記第1実施形態と同様に、発振回路11からの出力信号の周波数f0に応じて、パルスカウンタ12は出力信号S1を充電回路13に供給する。充電回路13では、キャパシタC1が充電され、接続ノードND1の電圧V1が上昇する。そして、出力信号S1が停止されると、スイッチSW1は定電流源PS1とキャパシタC1とを切断し、キャパシタC1は充電された電荷を保持し、接続ノードND1の電圧V1は一定になる。
【0067】
そして、各比較器CP(1)〜CP(31)は、充電期間Tc1が終了したときの電圧V1と、反転入力端子に供給された電圧とを比較する。そして、反転入力端子に供給された電圧に対して高い電圧V1が供給された比較器は、ハイレベルの出力信号を出力してエンコーダE1に供給する。また、反転入力端子印加された電圧に対して低い電圧V1が供給された比較器は、ローレベルの出力信号をエンコーダE1に供給する。
【0068】
一方、ロード・リセット期間T2になった場合、タイミング制御部は、ロード信号LS1をエンコーダE1に供給する。ロード信号LS1を取得した場合、エンコーダE1は、各比較器CP(1)〜CP(31)の出力信号のレベルに対応するバイナリコードを特定し、このバイナリコードを示すデータ信号D0〜D4を発振回路11に供給する。
【0069】
本実施形態によれば、上記(1)、(4)〜(6)に記載の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(7) 本実施形態では、調整回路25は、複数の比較器CP(1)〜CP(31)と、各比較器CP(1)〜CP(31)の出力端子が接続されているエンコーダE1を備えたフラッシュADコンバータである。発振回路11からの出力信号の周波数f0に応じて接続ノードND1の電圧V1が上昇し、この電圧V1が各比較器CP(1)〜CP(31)の非反転入力端子に供給される。各比較器CP(1)〜CP(31)は、充電期間Tc1が終了したときの電圧V1と、高電位電源電圧VDDと低電位電源電圧VSSとの電位間を各抵抗器Rc(1)〜Rc(32)で分圧した電圧とを比較し、この比較した結果の出力信号をエンコーダE1に供給する。エンコーダE1は、各比較器CP(1)〜CP(31)の出力信号によるサーモメータコードをバイナリコードに変換し、ロード信号LS1が供給された場合、このバイナリコードを示すデータ信号D0〜D4を発振回路11に供給する。このため、高電位電源電圧VDDと低電位電源電圧VSSとを抵抗器Rc(1)〜Rc(32)で分圧した各電圧と、充電期間Tc1が終了したときの電圧V1とを一度に比較することができる。そして、エンコーダE1は、この比較結果に基づいて調整値を算出するため、発振回路11は、より短時間で周波数f0に調整することができる。
【0070】
(第3実施形態)
次に、本発明を具体化した第3実施形態について、図5を用いて説明する。本実施形態では、上記第1実施形態におけるパルスカウンタ12及び調整回路15の代わりに、パルスカウンタ32及び調整回路35を用いる。すなわち、本実施形態の発振器30は、上記第1実施形態と同様に、発振回路11、パルスカウンタ32、充電回路13、リセット回路14、調整回路35及びタイミング制御部を備えている。
【0071】
本実施形態のパルスカウンタ32は、充電回路13に接続されており、出力信号S1を充電回路13に供給する。パルスカウンタ32は、カウント開始信号を受信して、パルスカウンタ32がパルス信号のカウントを開始したときに、出力信号S1を出力する(ハイレベルにする)。また、パルスカウンタ32には、タイミング制御部からのリセット信号が供給される。パルスカウンタ32は、上記第1実施形態の出力信号S1と異なり、このリセット信号を受信した場合に、出力信号S1の供給を停止する(出力信号S1をローレベルにする)。従って、パルスカウンタ32は、リセット信号が出力されるまで(比較器CMP1の出力信号がローレベルの間は)ハイレベルを維持する。このため、本実施形態では、充電回路13は、充電・保持期間T1中は、パルスカウンタ32からの出力信号S1の供給を受けてキャパシタC1を充電する。従って、接続ノードND1の電圧V1は必ず参照電圧VREF以上になる。
【0072】
更に、パルスカウンタ32は、カウント数Nc1になるまでパルス信号をカウントし、カウントを開始してからカウント数Nc1を数え終わると、終了識別信号としての調整基準信号S2を調整回路35に出力する。この調整基準信号S2は、カウントしている間はローレベル、カウントを終了したときにはハイレベルになる。
【0073】
本実施形態の調整回路35は、接続ノードND1の電圧V1に基づいてデータ信号D0〜D4を決定し、発振回路11に供給する。具体的には、調整回路35は、比較器CMP1、インバータN3,N4、第1論理積回路A3、第2論理積回路A4及びアップダウンカウンタBC2を備えている。
【0074】
比較器CMP1の非反転入力端子は、接続ノードND1に接続されている。この比較器CMP1の反転入力端子には、参照電圧VREFが印加されている。本実施形態では、この参照電圧VREFが基準電圧として機能する。比較器CMP1の出力端子は、インバータN3の入力端子に接続されている。このインバータN3の出力端子は、第1論理積回路A3の第2の入力端子に接続されている。更に、比較器CMP1の出力端子は、第2論理積回路A4の第2の入力端子に接続されている。
【0075】
第1論理積回路A3及び第2論理積回路A4は、第1実施形態の第1論理積回路A1及び第2論理積回路A2と同様に、それぞれ2つの入力端子を有する論理積回路である。本実施形態では、第1論理積回路A3の第1の入力端子には、パルスカウンタ32が接続され、調整基準信号S2が供給される。更に、第2論理積回路A4の第1の入力端子には、調整基準信号S2の反転信号が供給される。具体的には、第2論理積回路A4の第1の入力端子は、インバータN4を介してパルスカウンタ32に接続されている。
【0076】
第1論理積回路A3からの信号X及び第2論理積回路A2からの信号Yは、アップダウンカウンタBC2に供給される。アップダウンカウンタBC2には、本実施形態では、発振回路11からのパルス信号が供給されている。アップダウンカウンタBC2は、入力される信号Xがハイレベルのとき、発振回路11からのパルス信号毎にその計数値を1つ増加させて、記憶している計数値を更新する。また、アップダウンカウンタBC2は、入力される信号X、Yがローレベルのときは、記憶している計数値をそのまま維持する。更に、アップダウンカウンタBC2は、入力される信号Yがハイレベルのとき、発振回路11からのパルス信号毎にその計数値を1つ減少させて、記憶している計数値を更新する。そして、アップダウンカウンタBC2は、ロード・リセット期間T2においてロード信号LS1を受信した場合、記憶している計数値に応じたデータ信号D0〜D4を発振回路11に供給する。
【0077】
(自動調整処理)
次に、本実施形態の自動調整処理について説明する。本実施形態においても、上記第1
実施形態と同様に、タイミング制御部は、調整期間が経過するまで、カウント開始信号、ロード信号LS1及びリセット信号の出力を繰り返して行なう。
【0078】
本実施形態において、充電・保持期間T1が開始されると、上記第1実施形態と同様に、パルスカウンタ32から出力信号S1が充電回路13に供給されて、キャパシタC1が充電され、接続ノードND1の電圧V1が上昇する。この場合、比較器CMP1の出力信号は、初期値としてローレベルになっている。
【0079】
一方、この充電・保持期間T1においては、パルスカウンタ32は、初期値としてローレベルの調整基準信号S2を調整回路35に供給している。従って、第1論理積回路A3の第1入力端子にはローレベルの信号が入力され、第2論理積回路A4の第1入力端子にはハイレベルの信号が入力される。
【0080】
(調整基準信号S2が比較器CMP1の出力信号より先にハイレベルになる場合)
ここでは、接続ノードND1の電圧V1が参照電圧VREFを超えないうちに、パルスカウンタ32が、カウント数Nc1を数え終わって、ハイレベルの調整基準信号S2を調整回路35に供給した場合を説明する。この場合、調整基準信号S2がローレベルからハイレベルになる。また、比較器CMP1の出力信号はローレベルを維持する。
【0081】
このため、第1論理積回路A3の各入力端子に供給される信号はハイレベルになり、第1論理積回路A3の信号Xはハイレベルになる。一方、第2論理積回路A4の各入力端子に供給される信号はローレベルになり、第2論理積回路A4の信号Yはローレベルになる。従って、アップダウンカウンタBC2には、ハイレベルの信号X、ローレベルの信号Yが入力される。アップダウンカウンタBC2は、ハイレベルの信号Xが供給されているときに、発振回路11からパルス信号が供給される毎に、記憶している計数値を1つ増加させる。
【0082】
その後、接続ノードND1の電圧V1が参照電圧VREF以上になった場合には、比較器CMP1の出力がハイレベルになる。この場合、第1論理積回路A3の信号Xはローレベルになる。なお、第2論理積回路A4の信号Yはローレベルを維持する。従って、アップダウンカウンタBC2は、記憶している計数値をそのまま維持する。そして、アップダウンカウンタBC2は、ロード・リセット期間T2においてロード信号LS1を受信した場合、記憶している計数値に応じたデータ信号D0〜D4を発振回路11に供給する。発振回路11は、このデータ信号D0〜D4の調整値に応じて出力信号の周波数f0を調整する。この場合、カウント数Nc1を数え終わっても電圧V1が参照電圧VREFより低いため、発振回路11は、出力する信号の周波数f0を低くなるように調整する。
【0083】
(比較器CMP1の出力信号が調整基準信号S2より先にハイレベルになる場合)
ここでは、パルスカウンタ32がカウント数Nc1を数え終わる前に、接続ノードND1の電圧V1が参照電圧VREF以上になった場合について説明する。この場合、調整基準信号S2はローレベルを維持する。また、比較器CMP1の出力信号がローレベルからハイレベルになる。
【0084】
このため、第1論理積回路A3の各入力端子に供給される信号はローレベルになり、第1論理積回路A3の信号Xはローレベルになる。一方、第2論理積回路A4の各入力端子に供給される信号はハイレベルになり、第2論理積回路A4の信号Yはハイレベルになる。従って、アップダウンカウンタBC2には、ローレベルの信号X、ハイレベルの信号Yが入力される。アップダウンカウンタBC2は、ハイレベルの信号Yが供給されているときに、発振回路11からパルス信号が供給される毎に、記憶している計数値を1つ減少させる。
【0085】
その後、パルスカウンタ32がカウント数Nc1を数え終わると、調整基準信号S2がハイレベルになる。この場合、第2論理積回路A4の信号Yはローレベルになる。なお、第1論理積回路A3の信号Xはローレベルを維持する。従って、アップダウンカウンタBC2は、記憶している計数値をそのまま維持する。そして、アップダウンカウンタBC2は、ロード・リセット期間T2においてロード信号LS1を受信した場合、記憶している計数値に応じたデータ信号D0〜D4を発振回路11に供給する。発振回路11は、このデータ信号D0〜D4の調整値に応じて出力信号の周波数f0を調整する。この場合、カウント数Nc1を数え終わる前に電圧V1が参照電圧VREF以上になるため、発振回路11は、出力する信号の周波数f0を高くなるように調整する。
【0086】
本実施形態によれば、上記(4)〜(6)に記載の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(8) 本実施形態では、パルスカウンタ32は、カウント開始信号を受信した場合、出力信号S1が出力される。充電回路13のスイッチSW1は、出力信号S1を取得した場合、定電流源PS1とキャパシタC1とを接続して、キャパシタC1を充電し、接続ノードND1の電圧V1を上昇させる。この場合、調整回路35の比較器CMP1の出力信号が参照電圧VREF以上になる。一方、パルスカウンタ32は、カウント数Nc1になるまでパルス信号をカウントし、カウントが終了した場合には、調整基準信号S2を調整回路35に出力する。調整回路35は、比較器CMP1の出力信号が、前記調整基準信号S2よりも先に変化した場合には、周波数f0を高くする調整値を発振回路11に供給する。また、調整回路35は、調整基準信号S2が、比較器CMP1の出力信号よりも先に変化した場合には、周波数f0を低くする調整値を発振回路11に供給する。このため、接続ノードND1の電圧V1が参照電圧VREFになったタイミングとパルスカウンタ32のカウント終了とのタイミングに応じて、発振回路11の周波数f0が調整されるので、チャージポンプを用いずに、発振器10は、自動的に周波数f0を効率的に調整することができる。
【0087】
(9) 本実施形態では、調整回路35は、パルスカウンタ32がカウントを開始したときから上昇する接続ノードND1の電圧V1と参照電圧VREFとを比較する比較器CMP1と、インバータN3,N4、第1論理積回路A3、第2論理積回路A4及びアップダウンカウンタBC2を備える。調整基準信号S2が比較器CMP1の出力信号より先にハイレベルなった場合には、アップダウンカウンタBC2に供給される信号Xはハイレベルになる。この場合、アップダウンカウンタBC2は、電圧V1が上昇して比較器CMP1の出力がハイレベルになるまでの間、発振回路11からのパルス信号毎にその計数値を1つ増加させて、記憶している計数値を更新する。一方、比較器CMP1の出力信号が調整基準信号S2より先にハイレベルなった場合には、アップダウンカウンタBC2に供給される信号Yはハイレベルになる。この場合、アップダウンカウンタBC2は、パルスカウンタ32がカウントを終了して調整基準信号S2をハイレベルにするまでの間、発振回路11からのパルス信号毎にその計数値を1つ減少させて、記憶している計数値を更新する。そして、アップダウンカウンタBC2は、ロード信号LS1を受信した場合には、この計数値に対応するデータ信号D0〜D4を発振回路11に供給する。従って、カウント開始信号、ロード信号LS1及びリセット信号の1サイクルの調整において、カウントの開始から、電圧V1が参照電圧VREFより高くなるまでの時間と、カウントの終了を示す調整基準信号S2がハイレベルになるまでの時間との時間差におけるパルス信号の数が計数値から減算又は加算される。このため、1サイクルで、周波数f0を調整するためのより適切な調整値を発振回路11に提供することができる。よって、より短時間で、周波数f0を自動的に調整することができる。
【0088】
また、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
○ 上記第1及び第3実施形態における調整回路15,35は、周波数f0を低くなるように調整する場合には計数値を増加させ、周波数f0を高くなるように調整する場合には計数値を減少させるアップダウンカウンタBC1,BC2を設けた。電圧V1に基づいて発振回路11の出力信号の周波数f0が調整できるのであれば、調整回路15,35の構成は、これに限られない。例えば、周波数f0を低くなるように調整する場合には計数値を減少させ、周波数f0を高くなるように調整する場合には計数値を増加させるアップダウンカウンタBC1,BC2を用いてもよい。
【0089】
○ 上記第2実施形態においては、31個の比較器CP(1)〜CP(31)及び32個の抵抗器Rc(1)〜Rc(32)を設けた。比較器及び抵抗器の数は適宜変更してもよい。また、上記第2実施形態においては、各抵抗器Rc(1)〜Rc(32)の抵抗値を同じとしたが、これら抵抗値を適宜変更してもよい。例えば、高電位電源電圧VDD及び低電位電源電圧VSSにより近い抵抗器の抵抗値を大きくすることにより、高電位電源電圧VDDと低電位電源電圧VSSとの中間値をより細かく調整することができる。この場合には、この中間値を、充電期間Tc1が終了したときの電圧V1の目標値とすることにより、周波数f0の微調整をより容易に行なうことができる。
【0090】
○ 上記第3実施形態においては、パルスカウンタ32は、調整回路35に、カウントしている間はローレベル、カウントを終了したときにはハイレベルになる調整基準信号S2を供給した。調整基準信号S2は、パルスカウンタ32が、カウントを終了したことを特定する信号であればこれに限られない。すなわち、パルスカウンタ32は、カウントしている間はハイレベル、カウントを終了したときにはローレベルになる調整基準信号S2を調整回路35に供給してもよい。この場合には、調整回路35のインバータN3,N4の配置やアップダウンカウンタBC2の構成等を変更することにより、上記第3実施形態と同様な処理を行なうことができる。
【0091】
○ 上記第3実施形態においては、調整回路35は、パルス信号に応じて計数値を減算又は加算するアップダウンカウンタBC2を備えた。調整回路35は、これに限らず、接続ノードND1の電圧V1が基準電圧VREF以上になった時間とカウントが終了した時間との前後関係に応じて調整値を変化させる構成であればよい。例えば、第3実施形態のアップダウンカウンタBC2の代わりに、上記第1実施形態と同様に、このロード信号LS1の受信に応じて、記憶している計数値を1つ加算又は減算した新たな計数値に更新するアップダウンカウンタBC1を用いてもよい。この場合には、1サイクル毎に徐々に調整値が調整されるが、アップダウンカウンタBC1に発振回路11の信号を供給しなくてもよいし、基準電圧も1つでよい。
【0092】
○ 上記各実施形態においては、充電回路13においてキャパシタC1を充電するために定電流源PS1を用いた。キャパシタC1を充電するのであれば、この定電流源PS1に限られない。例えば、定電流源PS1の代わりに、スイッチSW1を、抵抗器を介して高電位ラインに接続してもよい。この場合には、充電回路13の構成をより簡単にすることができる。
【符号の説明】
【0093】
10,20,30…発振器、11…発振回路、12,32…パルスカウンタ、13…充電回路、14…リセット回路、15,25,35…調整回路、A1,A3…第1論理積回路、A2,A4…第2論理積回路、BC1…アップダウンカウンタ、C1…キャパシタ、CM1…第1比較器、CM2…第2比較器、CP(1),CP(2),CP(3),CP(31),CMP1,VCM1…比較器、D0,D1,D2,D3,D4…データ信号、E1…エンコーダ、I1…電流、LS1…ロード信号、M1,M2,M3…トランジスタ、N1,N2,N3,N4…インバータ、ND1…接続ノード、PS1…定電流源、R1
,Rc(1),Rc(2),Rc(3),Rc(31),Rc(32)…抵抗器、S1…出力信号、S2…調整基準信号、SW1…スイッチ、T1…充電・保持期間、T2…ロード・リセット期間、Tc1…充電期間、V1…接続ノードの電圧、VDD…高電位電源電圧、VH…高電位基準電圧、VL…低電位基準電圧、VSS…低電位電源電圧、VREF…参照電圧、X,Y…信号、f0…周波数。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調整値に応じた周波数を出力する発振回路と、
前記発振回路からの出力信号を予め定められた回数までカウントし、カウントが終了するまで制御出力信号を出力するパルスカウンタと、
前記制御出力信号が供給されている期間に、電流を供給してキャパシタを充電する充電回路と、
前記キャパシタの接続ノードの電圧と基準電圧との比較に応じた調整値を前記発振回路に供給する調整回路とを含むことを特徴とする自動調整発振器。
【請求項2】
前記調整回路は、
充電が終了したときの前記接続ノードの充電電圧と、この充電電圧の上限値を定める高電位基準電圧とを比較する第1比較器と、
前記充電電圧と、この充電電圧の下限値を定める低電位基準電圧とを比較する第2比較器と、
予め定めた初期の計数値を記憶しており、記憶している計数値に応じた調整値を出力する調整用アップダウンカウンタとを備え、
この調整用アップダウンカウンタは、前記充電電圧が前記低電位基準電圧より低い場合には、前記周波数を低くするために計数値を加算又は減算して計数値を更新し、前記充電電圧が前記高電位基準電圧より高い場合には、前記周波数を高くするために前記計数値を減算又は加算して計数値を更新することを特徴とする請求項1に記載の自動調整発振器。
【請求項3】
前記調整回路は、複数の比較器と、これら比較器からの出力信号に応じた調整値を供給するエンコーダとを備えたフラッシュ形アナログデジタルコンバータであり、
前記各比較器の一方の入力端子には、充電が終了したときの前記接続ノードの充電電圧を供給し、前記各比較器の他方の入力端子には、低電位基準電圧と高電位基準電圧との中間値を供給したことを特徴とする請求項1に記載の自動調整発振器。
【請求項4】
調整値に応じた周波数を出力する発振回路と、
前記発振回路からの出力信号を予め定められた回数までカウントし、カウントの終了を識別する終了識別信号と、前記カウントの開始から制御出力信号を出力するパルスカウンタと、
前記制御出力信号が供給されている期間に、電流を供給してキャパシタを充電する充電回路と、
前記キャパシタの接続ノードの電圧が基準電圧以上になったことを識別する基準識別信号と、前記終了識別信号とを取得し、前記接続ノードの電圧が基準電圧以上になった時間と前記カウントが終了した時間との前後関係に応じた調整値を前記発振回路に供給する調整回路とを含むことを特徴とする自動調整発振器。
【請求項5】
前記調整回路は、
前記キャパシタの接続ノードの電圧と基準電圧とを比較する比較器と、
予め定めた初期の計数値を記憶しており、記憶している計数値に応じた調整値を出力する調整用アップダウンカウンタとを備え、
前記調整用アップダウンカウンタは、カウント終了を示す前記終了識別信号を前記パルスカウンタから受信するより前に、前記接続ノードの電圧が前記基準電圧より高いことを示す信号を前記比較器から取得した場合には、カウント終了を示す前記終了識別信号を受信するまで、前記周波数を高くするために、前記発振回路からのパルス信号毎に計数値を減算又は加算し続けて更新し、
前記接続ノードの電圧が前記基準電圧よりも高いことを示す信号を前記比較器から取得するより前に、前記カウント終了を示す前記終了識別信号を前記パルスカウンタから受信
した場合には、前記接続ノードの電圧が前記基準電圧よりも高いことを示す信号を取得するまで、前記周波数を低くするために、発振回路からのパルス信号毎に計数値を加算又は減算し続けて更新し、更新された計数値を新たに記憶することを特徴とする請求項4に記載の自動調整発振器。
【請求項6】
前記充電回路は、定電流源、スイッチ及びキャパシタが直列に接続されており、
前記接続ノードは、前記スイッチと前記キャパシタとの接続ノードであり、
前記スイッチは、前記制御出力信号が供給されているときには、前記定電流源と前記キャパシタとを接続して充電を行ない、前記制御出力信号の供給が停止されたときには、前記定電流源と前記キャパシタとを切断することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の自動調整発振器。
【請求項7】
前記接続ノードには、前記パルスカウンタがカウントを開始する前に、前記接続ノードの電圧を、予め定めた初期値にするためのリセット回路を接続したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の自動調整発振器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−206650(P2010−206650A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−51205(P2009−51205)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(504199127)フリースケール セミコンダクター インコーポレイテッド (806)
【Fターム(参考)】