説明

自動車のコードレス充電器のキー内蔵型遠隔操作装置

【課題】自動車に対して非接触で充電する装置を、自動車が駐車している位置に設け、自動車の運転者が容易にこの充電器の電源のオンオフが可能なキー内蔵型遠隔操作装置を提供する。
【解決手段】自動車11に搭載されている電池12に、外部に配置された電源からコードレスで充電を行う充電器13の電源を無線でオンオフする装置であって、自動車11のドアの施錠及び解錠を無線で行うキー中に、ドアの施錠及び解錠とは別に、充電器13の電源をオンオフするスイッチ手段23を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の電池を充電する充電器の電源のオンオフをリモコンで行うキー内蔵型遠隔操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の電池に非接触で充電する装置は、例えば、特許文献1に記載され、給電側と受電側のケーブル接続を要することなく、自動車に備えられている電池に充電するもので、一次コイルと二次コイルを離間して備え、固定配置された一次コイルから自動車に搭載された二次コイルに向けて電力を送っている。
【0003】
一方、自動車のドアやエンジン等をリモコンで操作するキーが近年広く使用され、特許文献2には、小型のポータブル送信機(例えば、自動車のキー)から送信できる信号を増加するためのワイヤレス操作システムが提案されている。
また、特許文献3には、通信機能を有する電子キーに重力センサーとモーションセンサーを配置し、これらを組み合わせてドアの解錠を行う車両用施解錠システムが提案されている。
そして、特許文献4には2種類の電波を使用して、車載ユニットの複雑な制御を行う車両用遠隔操作装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−97671号公報
【特許文献2】特開平10−252329号公報
【特許文献3】特許第4649273号公報
【特許文献4】特開2004−68420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1記載の技術は、所定の駐車場に駐車し、特定の作業者の下で自動車の充電が行われるもので、自動車の運転者が簡単に充電開始及び充電停止の動作を行えるものではないという問題があった。
一方、特許文献2〜4には自動車のキーに別のスイッチを設けて、自動車の他の機器を作動させるようにしているが、自動車外に設けられている非接触式の充電装置を作動させ、自動車の電池を充電させるものではなかった。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、自動車に対して非接触で充電する装置を、自動車が駐車している近位置に設け、自動車の運転者が容易にこの充電器の電源のオンオフが可能なキー内蔵型遠隔操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的に沿う第1の発明に係るキー内蔵型遠隔操作装置は、自動車に搭載されている電池に、外部に配置された電源からコードレスで充電を行う充電器の電源を無線でオンオフする装置であって、
前記自動車のドアの施錠及び解錠を無線で行うキー中に、前記ドアの施錠及び解錠とは別に、前記充電器の電源をオンオフするスイッチ手段を設けた。
【0008】
また、第2の発明に係るキー内蔵型遠隔操作装置は、第1の発明に係るキー内蔵型遠隔操作装置において、前記スイッチ手段は、前記キーに設けられている押しボタンスイッチと姿勢検知手段とを有し、前記キーが特定の姿勢にあることを前記姿勢検知手段によって検知した状態で、前記押しボタンスイッチの操作によって、前記充電器の電源のオンオフができる。
【0009】
第3の発明に係るキー内蔵型遠隔操作装置は、第2の発明に係るキー内蔵型遠隔操作装置において、前記姿勢検知手段は、前記キーの3以上の姿勢を検知し、前記キーが特定の姿勢で、ガレージの開閉スイッチ又はドアの開閉スイッチとして働く。
【0010】
そして、第4の発明に係るキー内蔵型遠隔操作装置は、第3の発明に係るキー内蔵型遠隔操作装置において、前記姿勢検知手段は、円板状又は球状の重りと、該重りを収納する容器と、該容器の内側周囲にある感圧センサー又は圧電センサーとを有する。
【発明の効果】
【0011】
第1〜第4の発明に係るキー内蔵型遠隔操作装置は、自動車に搭載されている電池に、外部に配置された電源からコードレスで充電を行う充電器の電源を無線でオンオフする装置であって、自動車のドアの施錠及び解錠を無線で行うキー中に、ドアの施錠及び解錠とは別に、充電器の電源をオンオフするスイッチ手段を設けているので、運転者は自動車に載ったままで、充電器の電源のオンオフができる。この場合、充電器もコードレスで自動車に電源を供給しているので、全ての操作が自動車内でかつ非接触でできる。
そして、スイッチ手段は自動車のドアの施錠及び解錠を無線で行うキー中に配置されているので、2つのスイッチを用意する必要がない。
【0012】
特に、第2の発明に係るキー内蔵型遠隔操作装置は、スイッチ手段が、キーに設けられている押しボタンスイッチと姿勢検知手段とを有し、キーが特定の姿勢にあることを姿勢検知手段によって検知した状態で、押しボタンスイッチを操作することによって、充電器の電源のオンオフができるので、確実に押しボタンスイッチを使い分けることができる。
【0013】
第3、第4の発明に係るキー内蔵型遠隔操作装置は、姿勢検知手段が、キーの3以上の姿勢を検知し、キーが特定の姿勢で、ガレージの開閉スイッチ又はドアの開閉スイッチとして働き、キーの融通性が増す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(A)、(B)はそれぞれ本発明の一実施の形態に係るキー内蔵型遠隔操作装置の説明図、(C)はその回路ブロック図である。
【図2】同キー内蔵型遠隔操作装置の説明図である。
【図3】本発明の他の実施の形態に係るキー内蔵型遠隔操作装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
続いて、添付した図面を参照しながら、本発明を具体化した実施の形態について説明する。
図1(A)〜(C)、図2に示すように、本発明の一実施の形態に係るキー内蔵型遠隔操作装置10は、自動車11に搭載されている電池12に、外部に配置された充電器13からコードレスで充電を行う場合に用いるものである。なお、自動車11としては、例えば、ハイブリッドカー又は電気自動車等がある。
【0016】
この充電器13は、本発明者が先に出願して公開になった特開2011−97671号公報に記載のように、自動車11の底部に二次コイル14を配置し、地面(床面)15に一次コイル16を配置して、一次コイル16に高周波電源発生装置17から高周波電流を流し、二次コイル14に高周波電流を誘導し、充電制御装置18で所定電圧の直流に変換して電池12に供給するものである。
【0017】
充電器13は高周波電源装置17を有し、商用電源を整流して直流とし、これを高周波交流に変えるインバータを有している。この高周波電源装置17は一次側に手動スイッチ20と、無線によってオンオフされる無線スイッチ21とを有している。
この無線スイッチ21のオンオフはキー内蔵型遠隔操作装置10によって行われる。キー内蔵型遠隔操作装置10は、キー中に自動車11のドアの施錠及び解錠を無線で行うドアの施錠及び解錠の他に、無線スイッチ21にIDを含む信号を送って、充電器13の電源をオンオフするスイッチ手段23を有している。
【0018】
キー内蔵型遠隔操作装置10は、図1(B)、(C)に示すように、キー本体24の内部に、図示しない電池、この電池によって駆動される無線機25、スイッチ手段23を構成する押しボタンスイッチ26、及び姿勢検知手段27を有している。
姿勢検知手段27は、図2に示すように、円板状の重り30と、重り30を収納する容器31と、容器31の内側周囲の上下左右にある感圧センサー32〜35とを有し、キー内蔵型遠隔操作装置10を水平又は垂直にした場合には、異なる感圧センサー32〜35の一つが働く(正確には抵抗が変化する)ようになっている。
【0019】
この感圧センサー32〜35には図示しない制御部に信号が送られ、感圧センサー32〜35のいずれが重り30によって押されたかを検知し、鍵部36を基準にして、上、左、下、右の信号を発するようになっている。即ち、感圧センサー32が重り30で押されれば、上信号を、感圧センサー33が重り30で押されれば左の信号を、感圧センサー34が重りで押されれば下信号を、感圧センサー35が重り30で押されれば右の信号を発するようになっている。なお、この実施の形態では、右と左の信号は区別し難いので、いずれが動作しても、同一の信号(総称して横信号という)としている。
【0020】
押しボタンスイッチ26は、機械的スイッチ又は感圧センサーからなって、押された場合、オンの信号を発するようになっている。この押しボタンスイッチ26に直列に姿勢検知手段27が接続されて、姿勢検知手段27の検出位置(上、下、横)で、押しボタンスイッチ26から異なる信号を無線機25に与え、無線機25から異なる種類のIDを含む信号を電波として外部に送信するようになっている。この実施の形態では、横信号を使用しないで、上信号と下信号を使用している。
【0021】
即ち、姿勢検知手段27は、鍵部36が下位置にある場合、押しボタンスイッチ26を押すと下信号を無線機25に与え、無線機25から通常のID信号を含む電波を発して、自動車11内の図示しない受信機で受信してドアの開閉(施錠及び解錠)を行う。即ち、通常の自動車11の無線キーとして使用できる。
【0022】
一方、鍵部36を上にした状態で、押しボタンスイッチ26を押すと、姿勢検知手段27から上信号を無線機25に送信し、無線機25からは通常のID信号の前に又は後に更に2桁の別の信号を加えた信号を発信し、充電器13の無線スイッチ21を作動させる。この時、手動スイッチ20が入っていれば、充電器13の電源のオンオフを行う。なお、電池12の充電が完了すると、自動車11に設けられている別の送信機から無線スイッチ21に信号を送って充電を停止させる。勿論、キー内蔵型遠隔操作装置10によっても充電器13の電源をオフにすることができる。
【0023】
前記した実施の形態においては、姿勢検知手段27からの横信号を使用しなかったが、横信号を使用して、無線機25から更に異なる信号を送信し、ガレージ又は玄関等のドアの開閉スイッチ等に使用することもできる。
【0024】
図3には、本発明の他の実施の形態に係るキー内蔵型遠隔操作装置38を示すが、姿勢検知手段の容器39が球状となって、内部に球体からなる重り40が配置されている。これによって、上下と周囲4方向の検出が可能で、6通りの異なる姿勢の信号を得ることができ、押しボタンスイッチ26と組み合わせて、6種類の無線信号を得ることができ、用途を拡張することができる。
また、前記実施の形態においては、姿勢検知手段に感圧センサーを用いたが、圧電センサーを用いることもできるし、従来からなる水銀スイッチを使用することもできる。
【0025】
本発明は前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲でその構成を変更することもできる。
【符号の説明】
【0026】
10:キー内蔵型遠隔操作装置、11:自動車、12:電池、13:充電器、14:二次コイル、15:地面、16:一次コイル、17:高周波電源発生装置、18:充電制御装置、20:手動スイッチ、21:無線スイッチ、23:スイッチ手段、24:キー本体、25:無線機、26:押しボタンスイッチ、27:姿勢検知手段、30:重り、31:容器、32〜35:感圧センサー、36:鍵部、38:キー内蔵型遠隔操作装置、39:容器、40:重り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に搭載されている電池に、外部に配置された電源からコードレスで充電を行う充電器の電源を無線でオンオフする装置であって、
前記自動車のドアの施錠及び解錠を無線で行うキー中に、前記ドアの施錠及び解錠とは別に、前記充電器の電源をオンオフするスイッチ手段を設けたことを特徴とするキー内蔵型遠隔操作装置。
【請求項2】
請求項1記載のキー内蔵型遠隔操作装置において、前記スイッチ手段は、前記キーに設けられている押しボタンスイッチと姿勢検知手段とを有し、前記キーが特定の姿勢にあることを前記姿勢検知手段によって検知した状態で、前記押しボタンスイッチの操作によって、前記充電器の電源のオンオフができることを特徴とするキー内蔵型遠隔操作装置。
【請求項3】
請求項2記載のキー内蔵型遠隔操作装置において、前記姿勢検知手段は、前記キーの3以上の姿勢を検知し、前記キーが特定の姿勢で、ガレージの開閉スイッチ又はドアの開閉スイッチとして働くことを特徴とするキー内蔵型遠隔操作装置。
【請求項4】
請求項3記載のキー内蔵型遠隔操作装置において、前記姿勢検知手段は、円板状又は球状の重りと、該重りを収納する容器と、該容器の内側周囲にある感圧センサー又は圧電センサーとを有することを特徴とするキー内蔵型遠隔操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−251374(P2012−251374A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125380(P2011−125380)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(591221916)有限会社日本テクモ (13)
【Fターム(参考)】