説明

自動車用のペダル装置

【課題】踏み込んでブレーキ操作をするブレーキペダルと、横方向に所要の角度範囲で回転させてアクセル操作をするアクセルパッドとアクセルレバーとアクセルアームとを備えたペダル装置において、アクセルの始動や加速のタイミングなどを各メーカーの車種毎に調整することができるようにする。
【解決手段】踏み込んでブレーキ操作をするブレーキペダル2と、横方向に所要の角度範囲で回転させてアクセル操作をするアクセルパッド3とアクセルレバー11とアクセルアーム15とを備えたペダル装置1であって、従来のペダル式のブレーキおよびアクセルに替えて取り付けても、異なるメーカーの各車種および運転者の好みに対応してアクセルの始動や加速調整などが容易に行えるのであり、アクセル操作位置において急ブレーキを掛けようとしたときに、アクセルからブレーキへの踏み替えなどの時間遅れや踏み違えがなく、正確にブレーキを掛けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ブレーキ操作機構とアクセル操作機構とを備えた自動車用のペダル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術としては、例えば、縦方向に操作するプレーキペダルに補助ペダルを連接し、該補助ペダルに横方向に操作するアクセルパッドを配設し、該アクセルパッドにより駆動されるアクセル機構を備えたブレーキペダル装置であって、前記アクセルパッドは、板状材で形成されその中間部分を外側に膨らませて山形に形成し、その山形の傾斜面でアクセル機構を操作することを特徴とする自動車用アクセル及びブレーキペダル装置である(特許文献1)。
【0003】
また、前記アクセル機構は、少なくともアクセルパッドの作用を受けるアクセルレバーとアクセルワイヤーが連結されたアクセルワイヤーアームとから構成され、アクセルレバーによってアクセルワイヤーアームがアクセルワイヤーを引き上げまたは押し下げる方向に作用する構成にしたものである。
【0004】
この特許文献1の公知技術において、アクセルを作用状態にしたままブレーキペダルを踏み込んでも、その踏み込む動作によって必然的にアクセルパッドが補助ペダルと共に前進するのであり、それによって踏み変える等の時間的な一瞬の遅れもなく、直ちにアクセルレバーを元の不作用位置に戻し、アクセルをOFFにしてブレーキ機能を正常に作用させることができ、それによって操作ミスもなくなり事故を未然に防ぐことができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4249010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記特許文献1の公知技術におけるペダル装置は、アクセル機構を踏み込み式ではなく横方向に操作するアクセルパッドにし、該アクセルパッドの作用を受けるアクセルレバーとアクセルワイヤーが連結されたアクセルワイヤーアームとから構成されているため、各自動車メーカーの新車に取り付ける場合には、各メーカーは、予め、その車種毎にアクセルワイヤーの長さやアクセルパッドとアクセルレバーとの接触状態を調節して画一的に設定すればほとんど問題はない。
【0007】
しかしながら、各メーカーが既に市販された複数の車種に対して、アクセル機構を前記ペダル装置に取り替えようとした場合に、各メーカー毎にアクセルの踏み込み圧やアクセルの吹かし方がそれぞれ異なっていることと、ドライバー個人の好みによって、発進時のスピードを速くしたい人とかスローにしたい人など様々であるので、画一的な手段ではそれらに合わせることは実質的にできないのである。さらに、前記ペダル装置においては、横方向に押して操作するので、横押し圧を低く設定してあり、その低い横押し圧の中で、各メーカーの車種毎の調整が困難であると共に、発進時のスピードを速くしたりスローに調整したりする調整ができないという問題点を有している。
【0008】
従って、既に市販された踏み込み式のアクセルペダルを供えた多機種の自動車に、前記したような横方向に操作するアクセルパッドでアクセルを操作させる構成の安全性の高いペダル装置を付け替えることは、各メーカーの車種毎にアクセル調整することが極めて困難であるので、その調整が簡単に行えるようにすることに解決しなければならない課題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した従来例の課題を解決する具体的手段として本発明に係る自動車用のペダル装置は、少なくとも踏み込んでブレーキ操作をするブレーキペダルと、横方向に所要の角度範囲で回転させてアクセル操作をするアクセルパッドとアクセルレバーとアクセルアームとを備えたペダル装置であって、前記アクセルレバーとアクセルアームとの間にアクセル調整機構を備えたことを特徴とする構成にしたことを最も主要な特徴とする。
【0010】
この発明において、前記アクセル調整機構は、アクセルレバー側に軸芯に対し回動自在に配設した外筒体を介して取り付けられたアクセル差動ローラと、回転軸を介して取り付けられたアクセルアーム側のはみ出した端部に取り付けられた受部材に複数本の棒状またはバー状のアクセルコントロール部材とからなること;および前記アクセルレバーとアクセルアームは、常に元の位置に戻されるようにバネ付勢されていること;を付加的な要件として含むものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るペダル装置は、アクセルレバーとアクセルアームとの間にアクセル調整機構を備えたことによって、従来のペダル式のブレーキおよびアクセルに替えて取り付けても、異なるメーカーの各車種および運転者の好みに対応してアクセルの始動や加速調整などが容易に行えるのであり、また、同時にアクセル操作位置において急ブレーキを掛けようとしたときに、本能的にそのままブレーキペダルを踏み込めば、アクセルからブレーキへの踏み替えなどの時間遅れや踏み違えがなく、誤操作が全面的に解消され、正確且つ速やかにブレーキ操作をすることができ安全性に優れるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態に係るペダル装置を略示的に示した平面図である。
【図2】同ペダル装置のアクセル調整機構のアクセルコントロール部材とアクセル差動ローラとの関係で不作用状態(アクセルOFF)を略示的に且つ拡大して示した斜視図である。
【図3】同ペダル装置のアクセル調整機構のアクセルコントロール部材とアクセル差動ローラとの関係で作用状態(アクセルON)を略示的に且つ拡大して示した平面図である。
【図4】同ペダル装置におけるアクセル調整機構の原理を示す構成を略示的に拡大して示した斜視図である。
【図5】同ペダル装置におけるアクセル調整機構の原理を示す構成を略示的に拡大して示した側面図である。
【図6】同ペダル装置におけるアクセルの操作状況を略示的に示した平面図である。
【図7】同ペダル装置におけるアクセル操作中で走行状態から急ブレーキを掛けた状態を略示的に示した側面図である。
【図8】本発明の他の実施の形態に係るペダル装置を略示的に示した図6と同様の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明を具体的な一実施の形態に基づいて詳しく説明する。
本発明に係るペダル装置を図1乃至図4を用いて説明する。
図1において、ペダル装置1は、前記従来例のブレーキペダル装置と同じように、踏み込んでブレーキ操作をするブレーキペダル2と、横方向に所要の角度範囲で回転させてアクセル操作をするアクセルパッド3を備えたものである。
【0014】
ブレーキペダル2は金属製であって、該ブレーキペダル2の先端部側(つま先側)は、両側に所要幅の張出部2a、2bが形成され、その略中央部に軸部4を介して回動できるように金属製のブレーキ補助パッド5を取り付け、該ブレーキ補助パッド5にブレーキアーム6を連結し、該ブレーキアーム6には、例えば、図示していないが、一般的な構成の油圧装置等を含む所要のブレーキ機構が連接されており、ブレーキペダル2と一緒にブレーキ補助パッド5を踏み込むことにより、ブレーキアーム6を介してブレーキ機構の操作ができるようになっている。なお、ブレーキペダル2は軽量化の目的でカラーの強化プラスチックで形成しても良い。また、ブレーキ補助パッド5の上面には滑り止め用のゴムシートが貼着されている。
【0015】
また、ブレーキペダル2の右側の張出部2aには、横スライド用ローラ7を設けてある。この横スライド用ローラ7は、ブレーキ補助パッド5に乗せた靴の先端側でアクセルパッド3を操作するために横方向への回転移動の際の摩擦を軽減し、アクセルパッド3の操作をスムーズに行えるようにするためのものである。
【0016】
さらに、ブレーキペダル2の後端部側(踵側)には、好ましくは靴の踵の一部が嵌る凹部8を形成すると共に、その裏面側にローラ9が突出形成されている。このローラ9はブレーキペダル2を踏み込んだときに、ブレーキペダル2の回転中心になると共に前進するものであって、ブレーキ動作と同時にアクセルのスローダウン動作とをスムーズに行わせるためのものであり、その動作において凹部8は運転者の履物(靴)の踵を維持(靴のスリップ防止)して確実に動作が行えるようにしてある。なお、ローラ9は、自動車のフロア上を転動させても良いが、好ましくは、フロアに取り付けたガイド部材18等によってスムーズに転動できるようにガイドさせた方が良い。
【0017】
ブレーキペダル2の後端部側の、例えば、右側上面に軸部10を介して前記アクセルパッド3が回転可能(略扇状の回転)に取り付けられ、ブレーキペダル2のほぼ側面に沿って配設されている。なお、ブレーキペダル2およびブレーキ補助パッド5は、比較的幅広に形成するか、または幅をそれほど広くできない場合には、左側面寄りの上面に適宜のストッパー部材30を立ち上げて形成しておくことにより、運転者が急ブレーキを掛ける時に本能的に踏み替え動作を行っても、ブレーキペダル2およびブレーキ補助パッド5の広さ範囲内に納まり、ブレーキ操作が確実に行えるのである。
【0018】
このアクセルパッド3も、軽量を目的としてカラーの強化プラスチック製で所要幅を有する板状を呈するものであり、その略中間部分を外側に膨らませて山形の突出部3aに形成し、軸受側の端部3bと自由端側の端部3cとを板状のほぼ平坦のまま残しておくものである。なお、突出部3aを形成する山形の形状は曲線で形成した方が好ましい。
【0019】
そして、アクセルパッド3の取付位置については、ブレーキ操作を右足でする場合に、右側上面に取り付けるのであり、ユーザによっては、左足の方がブレーキ操作をし易いというのであれば、左側上面に取り付けることができるのであり、左右いずれでも良いのである。なお、取り付けられたアクセルパッド3は、軸部10に対して回転角度θ(θ=3〜5°程度)の範囲で遊びがある。
【0020】
前記アクセルパッド3の外側面に接触するアクセルレバー11が配設される。このアクセルレバー11は、その基端側12は後述する取付基台等を介してアクセル調整機構14に連繋されて回動自在に支持されると共に先端部側にローラ13が取り付けられ、該ローラ13が前記アクセルパッド3の外側面に接触する構成になっている。なお、アクセルアーム11の回転角度範囲については、ローラ13がアクセルパット3と接触している位置(図示の位置)よりも左側には回転しないように位置決めされているのである。
【0021】
図1〜3に示したように、前記アクセルレバー11と、アクセル調整機構14とアクセルアーム15は取付基台16を介して車体内、例えば、自動車のフロア上又は内壁面に所要のベース部材32を介して取り付けられるものである。取付基台16は、長方形のベース部16aから一対の立ち上がり壁16b、16cと、複数の立ち上がり壁16d、16eとを形成したものであり、アクセル調整機構14は、例えば、取付基台16の一対の立ち上がり壁16b、16c間に装着した回転軸17にアクセルアーム15の後端側を少しはみ出させて一体的に取り付けると共に、そのはみ出した端部15aにアクセル動作を受ける所要長さのバー状の受部材18を一体的に取り付けてある。そして、アクセルアーム15が常に元の位置(不作用位置)に戻るように回転軸17に装着したコイルスプリング19によりバネ付勢されている。
【0022】
受部材18にはアクセル動作の起点およびアクセルの深さ等を調整できる複数本の棒状またはバー状のアクセルコントロール部材20a、20b、20cが溶接等の手段により起立状態に設けられている。これらのアクセルコントロール部材20a、20b、20cの取り付けに当っては、例えば、アクセル動作の起点およびアクセルの深さ等のアクセル作用を伝達する側に2本のコントロール部材20a、20bをV字状に起立させて同じ側面に設け、他の1本のコントロール部材20cは前記2本のコントロール部材20a、20bとV字状を呈するように起立させて一体的に取り付ける。なお、必要に応じて、2本のコントロール部材20a、20b側に、さらにもう1本のコントロール部材を付加することができる。要するに、コントロール部材を多くすることによって、アクセル動作の微調整ができるのである。
【0023】
さらに、アクセルレバー11を取り付けるために、前記取付基台16の立ち上がり壁16dにアーム部材21を一体的に取り付け、該アーム部材21は前記アクセルコントロール部材20a、20b、20c側に湾曲させた形状であって、該アーム部材21の先端部側に所要長さの軸芯22を取り付け、該軸芯22に例えばベアリングなどを介して回動自在に外筒体23を装着すると共に、該外筒体23と一体的に且つ一側面に張り出した連結部材27にアクセルレバー11の基端側12が連結支持され、さらに、軸芯22には外筒体23が常に初期の位置に戻るようにバネ付勢するコイルスプリング24を配設してある。
【0024】
前記外筒体23の外周面には軸25を起立させて一体的に取り付け、該軸25にアクセル差動ローラ26を回動自在に配設し、該アクセル差動ローラ26は前記アクセルコントロール部材20a、20bと他のアクセルコントロール部材20cとの間に僅かな隙間をもって位置させてあり、前記アクセルレバー11を作用させた時に外筒体23が回動することで、アクセル差動ローラ26が軸芯22の周方向に移動し、アクセルコントロール部材20a、20bのいずれかが接触してアクセル動作が伝達されるようになっている。
【0025】
外筒体23の連結部材27とアクセルレバー11との連結は、例えば、複数のボルトナット28等によって強固に締め付けて一体的に取り付けられている。さらに、アクセルアーム15の先端側には、従来例と同様にクラッチを含むアクセル機構を操作するアクセルワイヤー29が連結されている。なお、図中仮想線で示した31は運転者の履物(靴)である。
【0026】
アクセル調整機構14におけるアクセル調整の仕方については、図4と図5に示したように、アクセルコントロール部材20a、20b、20cとアクセル差動ローラ26との間で行われる。即ち、アクセル差動ローラ26に接触してアクセル動作が伝達されるアクセルコントロール部材20a、20bにおいては、その取付角度を最初から少し変えてあって、一方のアクセルコントロール部材20aが標準的な位置に、他方のアクセルコントロール部材20bを少し遅れ気味の位置にそれぞれ設定して置き、標準的な位置から少し早めたい時には一方のアクセルコントロール部材20aの先端部側を仮想線で示したようにアクセル差動ローラ26側に曲げるのであり、その曲げる度合いによってアクセル差動ローラ26との接触が早くなってアクセルの入る速さが早くなるのである。
【0027】
これとは逆に、アクセルコントロール部材20aを外側に曲げるとアクセル差動ローラ26との接触が遅くなるかまたは接触しなくなり、他方のアクセルコントロール部材20bが接触して遅れ気味にアクセル差動ローラ26の作用を受けるのであり、それによってアクセルの入る速さを標準より遅くすることができるのである。この調整は、本発明のペダル装置を取り付ける際に、ドライバーの意向に沿って行うのであり、また、各メーカーの車種によっても調整することができるし、さらに、アクセルレバー11については、ペダル装置の取り付け位置や車種によって、その長さや湾曲のさせ方等については任意に変更することができるし、また、前記取付基台16の取り付け位置については、ブレーキペダルと違ってそれ程強い力が掛からないので、例えば、車両の床面や側壁面に適宜の軽量金属からなるベース部材32を介して取り付ければよいのである。
【0028】
このように構成された本発明の電機自動車用のペダル装置1について、その動作を説明すると、まず、図1に示した位置関係がアクセル及びブレーキにおいて不作用位置であって、ブレーキ補助パッド5及びアクセルレバー11を含むアクセルパッド3などの各機構は、常に元の位置、即ち、不作用位置に来るようにバネ付勢されている。
【0029】
この状態で、図6に示したように、ブレーキペダル2及びブレーキ補助パッド5上に運転者の右足、即ち、靴31などの履き物を軽く載置し、エンジンが作動している状態で、靴31の踵を中心にしてつま先側を右方向に回転または移動させてアクセル操作すると、アクセルパッド3の先端部3c側が押されてアクセルパッド3が軸部10を中心にして右方向に回転して作用位置側に移行し、それに伴ってアクセルレバー11に取り付けられたローラ13が突出部3aの山形の傾斜面に沿って頂部方向に転動すると共に、アクセルレバー11が必然的に右方向に押される。
【0030】
この動作または操作によって、アクセルレバー11が連結している取付部材27を介して外筒体23が軸芯22に対して反時計方向(左方向)に回動し、それに伴って外筒体23に取り付けたアクセル差動ローラ26が軸芯22の周方向において反時計方向に回動または移動し、その回動または移動するアクセル差動ローラ26によってアクセルコントロール部材20a、20bのいずれかが接触して押され、図2〜5に示したように、受部材18を介してアクセルアーム15のはみ出した端部15aが押し下げられることになり、それによってアクセルアーム15は回転軸17を起点にして先端部側が引き上げられ、アクセル機構を操作するアクセルワイヤー29が引き上げられてアクセル操作するのである。
【0031】
このアクセル操作において、外筒体23が回転しアクセル差動ローラ26が回動または移動してアクセルコントロール部材20a、20bのいずれかに接触して押圧するが、基本的には標準に設定されているアクセルコントロール部材20aが最初に接触し、受部材18を介してアクセルアーム15のはみ出した端部15aが押し下げられるようになる。この場合に、アクセル動作を標準よりも早くしたいと希望するユーザに対しては、アクセルコントロール部材20aを、図5に示したように、ほぼ中央部から先端部側を図において左側、即ち、アクセル差動ローラ26側に曲げることによって早くするように調整するのである。
【0032】
これとは反対に、アクセル動作を標準よりも遅くしたい場合には、アクセルコントロール部材20aを、図において右側、即ち、アクセル差動ローラ26から離れる方向に曲げることによって、他のアクセルコントロール部材20bが標準よりも遅れて接触するようにしたものであり、複数のアクセルコントロール部材を予め設けて置いて、アクセル動作についての要望により、標準よりも早くしたり遅くしたりする調整をアクセルコントロール部材によって簡単に行えるようにしたものであり、アクセルパッド3からアクセルレバー11を介して伝達されるアクセル操作について、アクセル差動ローラ26によって複数のアクセルコントロール部材、例えば、標準に設定されているアクセルコントロール部材20aと接触して手前側に押して傾倒させ、その傾倒動作が受部材18に伝達され、回転軸17を起点にしてアクセルアーム15は先端部側が引き上げられるのであり、その先端部に取り付けられたアクセルワイヤー29の引き上げられる度合いによって、通常のアクセルと同様にアクセル機構の作動状態の調整が行われて所要の速度で車両が走行するのである。
【0033】
また、当然のこととして、アクセルパッド3に押されてアクセルレバー11が右方向に移動すればするほどアクセルの機構の作動状態(吹かし)が上がり、それに伴って自動車の走行スピードがアップするのである。この時に、アクセルパッド3が山形を呈していることから、右方向に少し回転させても、アクセルレバー11のローラ13の移動が大きくなり、その分アクセルレバー11の回転角度も大きくなるので、アクセル差動ローラ26によるアクセルコントロール部材20a、20bの傾倒及びアクセルアーム15の回転角度が大きくなってアクセルワイヤー29の引き上げが大きくなるからである。このように運転者のつま先側の右方向への回転移動によって通常のアクセル操作と同様にアクセルの作動状態を任意にコントロールして、自動車の走行速度を任意に選択することができるのである。
【0034】
自動車の通常走行での走行中において、例えば、交差点に差し掛かってスピードを落としてブレーキを掛ける時には、足のつま先を左方向に少しづつ戻してアクセルパッド3を元の位置方向に戻すことで、アクセルレバー11のローラ13が突出部3aの山形の傾斜面に沿って裾部(谷部)方向に転動し、アクセルレバー11が左方向に戻るのでアクセル差動ローラ26の回動も元の位置方向に戻り、それによってアクセルアーム15によるアクセルワイヤー29の引き上げが元の位置方向に戻ることによってアクセル機構の出力が下がり、徐々に走行スピードを落とせるのであり、最終的に、アクセル又は駆動モータをOFFにしてブレーキペダル2と一緒にブレーキ補助パッド5を踏み込むことにより、スピードを調整しながら停車させることができる。
【0035】
通常は、上記のようにして運転するのであるが、例えば、急ブレーキを掛ける必要が生じたときに、アクセルパッド3を戻してアクセル又は駆動モータをOFFにすることなく、そのままブレーキ補助パッド5と一緒にブレーキペダル2を急激に踏み込みさえすれば、図7に示したように、ローラ9によりブレーキペダル2が少し前進すると共にブレーキペダル2先端側が下がり、ブレーキの踏み込みと同時にアクセルレバー11の先端、即ちローラ13がアクセルパッド3から離脱して、アクセルレバー11が直ちに元の位置に戻るのでアクセル機構が完全にOFFになり、ブレーキ操作とアクセルOFFが同時に行われて二重の安全性が図られるのである。
【0036】
このように、急ブレーキを掛けるときに、アクセルパッド3を戻さなくても、本能的に足を載せてあるブレーキペダル2及びブレーキ補助パッド5を最深部まで踏み込みさえすれば、同時にアクセル機構等がOFF状態になるのであり、アクセルからブレーキに踏み換えるという一瞬の遅れもなく、また、ブレーキとアクセルとを踏み違えるという誤操作が完全に解消され、確実にブレーキ操作が行われるようになるのである。従って、運転者の本能的な踏み込み動作により、ブレーキ操作と同時にアクセルがOFFになって安全性が確保できるのである。
【0037】
また、アクセル調整機構14を設けたことによって、運転者の好みまたはメーカーによる車種に合わせて、アクセル始動のタイミングを微調整することができるのであり、運転者によって慣れている従来のペダル式アクセルに替えて本発明のペダル装置を取り付けても、始動や加速のタイミングなどを調整することでアクセル操作を違和感なく行えるようになるのである。
【0038】
さらに、本発明に係る他の実施の形態について図8を用いて説明する。なお、先の実施の形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、要部に係る部分について詳説する。
この実施例においては、横方向に操作するアクセルワイヤー29に対応させるものであって、取付基台16を自動車の内側側面に取り付けるものであり、アクセルワイヤー29を横方向に操作する場合には、アクセルパッド3によりアクセルレバー11は基本的に横方向に操作されるのであるから、横方向の操作を縦方向に変換する必要がないのでアクセル調整機構14の全体が簡単になるのである。
【0039】
要するに、アクセルレバー11とアクセルアーム15とを一連に連結し、該アクセルアーム15は取付基台16の回転軸17に溶着して回転自在に取り付けられると共に、複数本のコントロール部材20a、20bがアクセルアーム15に直にV字型に溶着させて一体的に設けられ、該コントロール部材20a、20bに係合させてアクセル差動ローラ26が配設され、該アクセル差動ローラ26は支持アーム33を介して外筒体23に取り付けられ、該外筒体23は回動自在に軸芯22を介して取付基台16のブラケットに直に取り付けられ、前記軸芯22にコイルスプリング24を挿着して外筒体23が設定した初期位置に戻るように付勢され、該コイルスプリング24の強さを調整する強度調整手段34が設けられ、該強度調整手段34は例えば摘みを回すことにより強度が調整できるように構成されている。なお、前記回転軸17にも前記実施例と同様にコイルスプリング19が設けられてアクセルアーム15を不作用位置に戻す方向に付勢させている。
【0040】
そして、アクセルアーム15は、基本的には不作用位置に戻るべくコイルスプリング19によって付勢されているので、アクセルアーム15の先端側は、図において常に右側に来るようになっている。しかしながら、その戻る方向への付勢力が強すぎると、アクセルパッド3によりアクセル操作する際に、つま先側を回転させるのに強い力が要求されるので、それを緩和させるためにアクセル調整機構14におけるコントロール部材20a、20bとアクセル差動ローラ26の間で調整するのである。つまり、アクセルアーム15の回転軸17に取り付けられたスプリング19と、軸芯22に取り付けられ外筒体23の回動作用させるスプリング24との力関係を調整すること、つまり、アクセル差動ローラ26がコントルール部材20aを矢印で示したように手前側に押圧する力を調整することによって、アクセル操作におけるつま先の回転が容易に行えるようにバランスさせるのである。
【0041】
この場合に、アクセル調整機構14の調整作用は、アクセル操作におけるアクセルレバー11の操作を容易にし、且つ、ブレーキ操作の場合もアクセルが完全にOFF状態に直ぐに戻るように、コントロール部材20a、20bとアクセル差動ローラ26とによって調整されるのであり、新規な自動車の設計の段階から、または電気自動車においても横方向のアクセル操作を採用すれば、簡単に取り付けることができるのである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明に係る自動車用のペダル装置は、アクセルレバー11とアクセルアーム15との間にアクセル調整機構14を備えたことによって、アクセルの始動や加速のタイミングなどを任意に調整することができるので、従来の各メーカーの車種に搭載しているペダル式のブレーキおよびアクセルと取り替えて搭載しても、各車種が本来有しているアクセルのタイミングに合わせて運転者に違和感を与えないように調整することができるのであり、しかも、運転者はブレーキペダル2に載置した足(靴)のつま先側を外側に開くようにしてアクセルパッド3を横方向に押し出したり戻したりすることで、アクセルレバー11を操作して自動車の走行スピードを制御するのであり、その制御中に急ブレーキを掛けた場合でも、ブレーキベダル2を踏み込む縦方向の動作であって、アクセルとブレーキとを間違えることなく、しかも、踏み込むことによってアクセルパッド3からアクセルレバー11が外れてアクセルがOFFになり、速やかに且つ誤操作の余地なく正確にブレーキ操作ができるのであり、安全性の高いペダル装置を各種自動車に広く利用できるのである。
【符号の説明】
【0043】
1 ペダル装置
2 ブレーキペダル
3 アクセルパッド
3a 山形の突出部
3b、3c 端部
4、10 軸部
5 ブレーキ補助パッド
6 ブレーキアーム
7 横スライド用ローラ
8 凹部
9、13 ローラ
11 アクセルレバー
12 基端側
14 アクセル調整機構
15 アクセルアーム
15a はみ出した端部
16 取付基台
16a ベース部
16b、16c、16d、16e 立ち上がり壁
17 回転軸
18 受部材
19、24 コイルスプリング
20a、20b、20c コントロール部材
21 アーム部材
22 軸芯
23 外筒体
25 軸
26 アクセル差動ローラ
27 連結部材
28 ボルトナット
29 アクセルワイヤー
30 ストッパー部材
31 履物(靴)
32 ベース部材
33 支持アーム
34 強度調整手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも踏み込んでブレーキ操作をするブレーキペダルと、横方向に所要の角度範囲で回転させてアクセル操作をするアクセルパッドとアクセルレバーとアクセルアームとを備えたペダル装置であって、
前記アクセルレバーとアクセルアームとの間にアクセル調整機構を備えたこと
を特徴とする自動車用のペダル装置。
【請求項2】
前記アクセル調整機構は、アクセルレバー側に軸芯に対し回動自在に配設した外筒体を介して取り付けられたアクセル差動ローラと、
回転軸を介して取り付けられたアクセルアーム側のはみ出した端部に取り付けられた受部材に複数本の棒状またはバー状のアクセルコントロール部材とからなること
を特徴とする請求項1に記載のペダル装置。
【請求項3】
前記アクセルレバーとアクセルアームは、常に元の位置に戻されるようにバネ付勢されていること
を特徴とする請求項1または2に記載のペダル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−164067(P2012−164067A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22883(P2011−22883)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(000244316)
【Fターム(参考)】